JP2014152549A - 固定金具及び設置構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】屋根上で設置される設置体を折板屋根にボルト体を介して安定的に固定するために、改善した強度及び耐久性を具備する固定金具を提供する。
【解決手段】設置体と折板屋根Pとを連結するための固定金具100は、締結手段119によって互いに締結されると共に、設置体が頂部に取り付けられる一対の分割体110、110’と、当該一対の分割体110、110’を互いに近接させて折板屋根Pのハゼ部P1を挟持するための挟持部と、を備え、各分割体110、110’は、互いに近接される対面壁111と、当該対面壁111の上端から離隔方向に延設された上壁112と、前記対面壁111の両側端から離隔方向に延設された側壁113とを有しており、上壁112の両側端が下方に折り返されて側壁113の外面側に延在していることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、屋根上で設置される設置体を折板屋根にボルト体を介して固定するための固定金具に関する。
従来、太陽光パネル等を屋根上で設置するように設置体を折板屋根に固定するために様々な固定金具が利用されている。
例えば、特許文献1に示された折板屋根用取付金具は、折板屋根の上部のハゼ部の側面を挟着する一対の挟着体(10)と、当該挟着体(10)を貫通して相互に連結するためのU字ボルト(21)及び固定ナット(22)からなる固定金具20と、挟着体(10の天板(11)から上方に突出するように配置される取付用ボルト(30)と、を備える。この折板屋根用取付金具では、取付用ボルト(30)のボルト頭部(32)が仮止め支持するための支持溝(12)が挟着体(10)の天板(11)に形成されている。そして、ハゼ部に対して各挟着体(10)を固定金具(20)で締結して固定したときに、支持溝(12)に配置された取付用ボルト(30)が両挟着体(10)の天板(11)の間で立設状態に支持固定される。
特開2009−281114号公報
例えば太陽光パネル等の屋根上に設置された設置体は、一般的に高所で屋外に設置されているため、強風による影響を受け易い。この傾向は、設置体がより高い位置に配置されるほど顕著である。そして、設置体が強風を受けると、設置体を浮き上がらせる方向(屋根の略垂直上方向)、設置体を屋根に対して押し下げる方向(屋根の略垂直下方向)、及び/又は、設置体を屋根に対して回転又は傾斜させる方向(屋根に略平行な方向)の大きな力が発生し、当該力が折板屋根と設置体とを連結する固定金具に作用する。このような風圧による力を受けて、当該固定金具が変形したり、破損したりする虞があった。すなわち、悪天候などの強風が吹き荒れる過酷な環境下において、又は、長期間の設置において、固定金具の強度及び耐久性の面で、折板屋根と設置体との連結が不安定となる問題があった。
より具体的に、特許文献1の折板屋根用取付金具で設置体と折板屋根とを連結した場合について想定する。この折板屋根用取付金具の取付用ボルト(30)に屋根上で固定された設置体が、屋根の垂直上方向の風圧に曝されると、取付用ボルト(30)が上方に引っ張られて、ボルト頭部(32)が各天板(11)の(ネジ部を包囲する)先端縁部(スライド口(11H))を引き上げる。てこの原理により、天板(11)の先端縁部は側板(14)上端の縁辺部を支点として変形し易いため、天板(11)先端に局所的な上向きの大きな力が加わって、天板(11)の一部又は全体が上方に捲り上がるように変形する虞があった。また、取付用ボルト(30)に固定された設置体に屋根の垂直下方向の風圧が加えられた場合においても同様に、ボルト頭部(32)が天板(11)の先端縁部(支持片(11B))を押し下げることで、天板(11)先端に局所的な下向きの力が加わり、側板(14)に対して、天板(11)の一部又は全体が下方に沈み込むように傾斜変形する虞があった。さらに、回転又は傾斜方向の力が設置体に加わった場合、天板(11)が底板(13)に対して側方にずれるように、挟着体(10)全体が捻れ変形する虞があった。
すなわち、従来の固定金具では、屋根上で設置体を固定する際の強度及び耐久性が不十分であるため、折板屋根と設置体との連結が不安定となることが問題であった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、屋根上で設置される設置体を折板屋根にボルト体を介して安定的に固定するために、改善した強度及び耐久性を具備する固定金具を提供することにある。
請求項1に記載の固定金具は、設置体と折板屋根とを連結するための固定金具であって、 締結手段によって互いに締結されると共に、設置体が頂部に取り付けられる一対の分割体と、当該一対の分割体を互いに近接させて折板屋根のハゼ部を挟持するための挟持部と、を備え、各分割体は、互いに近接される対面壁と、当該対面壁の上端から離隔方向に延設された上壁と、対面壁の両側端から離隔方向に延設された側壁とを有しており、上壁の両側端が下方に折り返されて側壁の外面側に延在していることを特徴とする。
請求項2に記載の固定金具は、請求項1の固定金具において、各分割体は、対面壁の下端から離隔方向に延設された底壁をさらに備え、底壁の両側端が上方に折り返されて側壁の外面側に延在していることを特徴とする。
請求項3に記載の固定金具は、請求項1又は2の固定金具において、分割体の上壁から突出して設置体に固定されるボルト体を保持するための保持部をさらに備え、保持部は、各分割体の対向壁と上壁との間の縁辺部に形成された切り欠きからなり、互いに近接した一対の分割体の対面壁の間でボルト体を保持することを特徴とする。
請求項4に記載の固定金具は、請求項3の固定金具において、保持部は、各分割体の対面壁に切り欠き形成されたボルト体のボルト頭部収容部と、ボルト頭部収容部と連続して各分割体の上壁に切り欠き形成されたボルト体のボルト軸部挿通部と、を備えることを特徴とする。
請求項5に記載の固定金具は、請求項4の固定金具において、前記ボルト頭部収容部は、前記ボルト軸部挿通部の中心線(c)から直交方向に延びる一方側の第1幅(w1)及び他方側の第2幅(w2)を有し、前記第1幅(w1)が前記ボルト頭部の最小幅の半幅(s/2)よりも大きいと共に前記ボルト頭部の最大幅の半幅(e/2)よりも小さく、尚且つ、前記第2幅(w2)が前記最大幅の半幅(e/2)よりも大きく形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の固定金具は、請求項1から5のいずれかの固定金具において、挟持部は、対面壁の下端近傍に設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の固定金具は、請求項1から6のいずれかの固定金具において、締結手段は、ボルト及びナットの締結関係によって各対面壁を近接させることを特徴とする。
請求項8に記載の固定金具は、請求項1から7のいずれかの固定金具において、底壁には、当該固定金具の設置位置を特定するためのセンター合わせ部が対面壁近傍で貫通形成されていることを特徴とする。
請求項9に記載の固定金具は、請求項1から8のいずれかの固定金具において、上壁には、締結手段による締結状態を確認するための確認窓が設けられていることを特徴とする。
請求項10に記載の設置構造は、設置体を折板屋根上に設置するための設置構造であって、設置体を固定するために、軸部を上向きに配置したボルト体と、締結手段によって互いに締結された一対の分割体と、当該一対の分割体を互いに近接させて折板屋根のハゼ部を挟持する挟持部と、ボルト体を頂部で保持する保持部と、を備える固定金具と、を備え、各分割体は、互いに近接される対面壁と、当該対面壁の上端から離隔方向に延設された上壁と、対面壁の両側端から離隔方向に延設された側壁とを有しており、 上壁の両側端が下方に折り返されて側壁の外面側に延在し、且つ、保持部が対面壁と上壁との間の縁辺部に形成されていることを特徴とする。
請求項11に記載の設置構造は、請求項10の設置構造において、各分割体は、対面壁の下端から離隔方向に延設された底壁をさらに備え、底壁の両側端が上方に折り返されて側壁の外面側に延在していることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、一対の分割体の各々には、対面壁の上端及び両側端からそれぞれ延設された上壁及び側壁が設けられており、上壁の両側端が下方に折り返されて側壁の外面側に延在されていることにより、各分割体自体の強度及び耐久性を改善している。すなわち、設置体を押し下げる方向の風圧が生じて、垂直下方向の力が上壁に加わった場合に、両方の側壁の上端縁が上壁を下から支持するため、上壁が下方に折れ曲がることを防止することができる。さらに、設置体を回転又は傾斜させる方向の風圧が生じて、側方の力が上壁に加わった場合に、側壁が上壁の両側端で下方に延びる折曲片を支持するため、対面壁及び上壁が捻れ又は傾斜変形することを防止することができる。したがって、本発明の固定金具は、改善した強度及び耐久性を有し、折板屋根及び設置体を安定的に連結することを可能にする。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、各分割体の対面壁の下端から離隔方向に延設された底壁の両側端が上方に折り返されて、側壁の外面側に延在していることにより、設置体を押し下げる方向の風圧が生じて、垂直下方向の力が上壁に加わった場合に、上壁を支持する側壁を底壁がさらに支持する。このため、より一層効果的に、上壁が下方に折れ曲がることを防止することができる。さらに、設置体を回転又は傾斜させる方向の風圧が生じて、側方の力が上壁に加わった場合に、上壁からの力を受けた側壁を、底壁の折曲片が支持するため、側壁が外方に開くように変形することを防止する。したがって、当該固定金具では、強度及び耐久性がより一層改善されている。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の発明の効果に加えて、一対の分割体対面壁の間で、設置体に固定されるボルト体を、対向壁と上壁との間の縁辺に切り欠き形成した保持部によって支持することにより、固定金具の強度及び耐久性をさらに改善することができる。つまり、ボルト体に固定された設置体に屋根の略垂直上方向又は下方向の力が加わった場合、ボルト体を介して、上壁の基端に上向きの力又は対面壁の上端に下向きの力が作用するが、上壁と対面壁とが交差する角部でボルト体をしっかりと支持して、上壁が捲れ上がったり、又は、沈み込んだりすることを防止する。すなわち、両方の分割体の上壁と対面壁とが協働してボルト体(又は設置体)を支持していることにより、固定金具本体が変形することを効果的に防止することができる。したがって、当該固定金具では、強度及び耐久性がより一層改善されている。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の発明の効果に加えて、保持部がボルト体のボルト頭部収容部とボルト体のボルト軸部挿通部とを備えることにより、簡易な構造で、ボルト体を一対の分割体間で支持及び保持することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の発明の効果に加えて、第1幅(w1)がボルト頭部の最小幅の半幅(s/2)よりも大きいと共にボルト頭部の最大幅の半幅(e/2)よりも小さく形成され、尚且つ、第2幅(w2)が最大幅の半幅(e/2)よりも大きく形成されていることにより、対面壁を近接させてボルト体を保持部内に収容するときに、分割体を近接及び接合させる一連の動作でボルト頭部短軸を保持部の幅方向に対して平行に整列させるようにボルト頭部をガイドし、ボルト体を所定の姿勢まで回転させて保持部内に収容することができる。すなわち、ボルト体を所定の姿勢に維持する手間を省いて設置作業の負担を軽減し、尚且つ、ボルト頭部を対面壁間に噛み込んで設置不良を起こすことを防止することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1から5の発明の効果に加えて、挟持部が対面壁の下端近傍に設けられていることにより、折板屋根のハゼ部をしっかりと把持することが可能である。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から6の発明の効果に加えて、締結手段がボルト及びナットの締結関係によって各対面壁を近接させることにより、簡易な構造で、対面壁間でハゼ部をしっかりと挟圧することが可能である。
請求項8に記載の発明によれば、請求項1から7の発明の効果に加えて、底壁には、センター合わせ部が対面壁近傍で貫通形成されていることにより、センター合わせ部を介して折板屋根と固定金具の位置関係を目視して確認することでき、当該固定金具の設置位置を容易に特定することができる。
請求項9に記載の発明によれば、請求項1から8の発明の効果に加えて、上壁には、確認窓が設けられていることにより、締結手段の締結状態を目視確認することができる。つまり、当該固定金具の各分割体の側方からそれぞれ内部を覗き込まなくても、上方から一度に締結状態を確認することが可能であり、作業効率を改善することができる。
請求項10に記載の発明によれば、一対の分割体が対面壁の上端及び両側端からそれぞれ離隔方向に延設された上壁、一対の側壁を備え、上壁の両側端が下方に折り返されて側壁の外面側に延在している。また、設置体を固定するためのボルト体を保持するための保持部が、対面壁と上壁との間の縁辺部に切り欠き形成されている。これにより、設置体を押し下げる方向の風圧が生じて、垂直下方向の力がボルト体を介して上壁に加わった場合に、両方の側壁の上端縁が上壁を下から支持して、上壁が下方に折れ曲がることを防止する。また、設置体を浮き上がらせる方向の風圧が生じて、屋根の略垂直上方向の力が加わった場合、ボルト体を介して上壁の基端に上向きの力が作用するが、上壁と対面壁とが交差する角部(縁辺部)でボルト体をしっかりと支持して、上壁が捲れ上がることを防止する。さらに、設置体を回転又は傾斜させる方向の風圧が生じて、側方の力がボルト体を介して上壁に加わった場合に、側壁が上壁の両側端で下方に延びる折曲片を支持するため、対面壁及び上壁が捻れ又は傾斜変形することを防止する。したがって、本発明の設置構造は、相互に協働して支持する壁材を有する強固な筺体構造を備えており、改善した強度及び耐久性を提供し、且つ、固定金具及びボルト体によって折板屋根及び設置体を安定的に連結することを可能にする。
請求項11に記載の発明によれば、請求項10の発明の効果に加えて、各分割体の対面壁の下端から離隔方向に延設された底壁の両側端が上方に折り返されて、側壁の外面側に延在していることにより、設置体を押し下げる方向の風圧が生じて、垂直下方向の力が上壁に加わった場合に、上壁を支持する側壁を底壁がさらに支持する。このため、より一層効果的に、上壁が下方に折れ曲がることを防止することができる。さらに、設置体を回転又は傾斜させる方向の風圧が生じて、側方の力が上壁に加わった場合に、上壁からの力を受けた側壁を、底壁の折曲片が支持するため、側壁が外方に開くように変形することを防止する。したがって、当該設置構造では、強度及び耐久性がより一層改善されている。
本発明の一実施形態における固定金具の分解斜視図。 図1の固定金具の組み付けた状態を示した斜視図。 図1の固定金具の分割体の(a)前方斜視図、及び、(b)後方斜視図。 図3の分割体の(a)正面図、(b)背面図、(c)側面図、及び、(d)平面図。 図1の固定金具の他方の分割体の(a)背面図、及び(b)そのD−D断面図。 (a)図4(c)のA−A断面図、(b)図4(a)のB−B断面図、及び(c)図4(b)のC−C断面図。 図3の分割体の保持部を示す部分拡大正面図。 折板屋根に固定金具を配置した設置構造の側面図。 図8の設置構造の(a)縦断面図、及び(b)横断面図。 本発明の一実施形態のボルト体保持機構であって、一方の分割体と他方の分割体の保持部を重ね合わせた形態を示す模式図。 図10のE−E断面図。 図1の固定金具を折板屋根のハゼ部に取り付ける工程を示し、(a)は概略側面図、(b)は概略平面図。 (a)〜(c)は、ボルト体保持機構でボルト体を保持部に配置する各工程を示す模式図。 図8の設置構造に設置体を固定した形態を示す斜視図。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る一実施形態の固定金具100の分解斜視図である。図1に示すとおり、固定金具100は、その頂部に設置体が取り付けられる一対の分割体110、110’を備える。2つの分割体110、110’は、互いに近接及び接合されて締結手段119(締結孔119a、締結ナット119b、締結ボルト119c)によって締結される。そして、一対の分割体110、110’の各対面壁111間で、挟持部118によって折板屋根Pのハゼ部P1を挟持し、且つ、その頂部で設置体を固定するためにボルト体200(ボルト軸部202)を上向きに立設させて支持する。すなわち、当該固定金具100は、締結手段119により締結された状態で、両挟持部118でハゼ部P1を挟持すると共に、分割体110、110’間で上向きに保持されたボルト体200の軸部201に設置体をナット等で固定することにより、設置体と折板屋根Pとを連結する。
図2は、本実施形態の一対の分割体110、110’を模式的に組み合わせた固定金具100の斜視図である。なお、図2は、ボルト体200を保持した状態の分割体110、110’の連結構造を示すものであり、挟持部118はハゼ部P1を挟持していない。
次に、図3〜図6を参照して一方の分割体110及び他方の分割体110’の構造を説明する。なお、一方の分割体110と他方の分割体110’とは、(図5を参照して後述するとおり、他方の分割体110’に締結ナット119bが溶接されていることを除いて)その構造において、ほぼ共通している。図3(a)及び(b)は(一方の)分割体110の前方斜視図及び後方斜視図であり、図4(a)〜(d)は該分割体110の正面図、背面図、側面図及び平面図であり、図5(a)及び(b)は他方の分割体110’の背面図及び断面図であり、並びに、図6(a)〜(c)は図4のA−A断面図、B−B断面図及びC−C断面図である。そして、これら図面を組み合わせて参照することにより、本発明の実施形態の分割体110、110’を詳細に説明する。
図3及び図4に示すとおり、分割体110は、金属板を折り曲げて形成した矩形状の筺体であり、他方の分割体110’に対面する対面壁111と、当該対面壁111の上端から略直角に後方に折り曲げられて離各方向(すなわち対面壁111から離隔する方向)に延設された上壁112と、該対面壁111の両側端から略直角に後方にそれぞれ折り曲げられて離隔方向に延設された側壁113と、該対面壁111の下端から略直角に後方に折り曲げられて離隔方向に延設された底壁114とを備える。そして、対面壁111の反対側の背面には、上壁112、側壁113及び底壁114の先端縁によって縁取られた開口115が形成されている。以後、これら金属壁の筺体の外側の面を外面、内側の面を内面として定める。また、上壁112、側壁113及び底壁114の対面壁111側の端部を基端、開口115側を先端として定める。
図3(a)及び図4(a)に示すとおり、対面壁111の下端近傍には、他方の分割体110’と協働して折板屋根Pのハゼ部P1を挟持するための挟持部118が設けられている。当該挟持部118は、ハゼ部P1の根元を(他方の分割体110’の挟圧片118aと協働して)挟み込んで挟圧するための挟圧片118aと、ハゼ部P1の上部を分割体110内部に収容するための収容開口118bとを備える。挟圧片118aは、対面壁111の下端縁部に形成されており、ハゼ部P1を滑らせずに挟圧すべく、その外面に凹凸形状を有している。そして、収容開口118bは、対面壁111の両側端まで延びると共に両側壁113の一部にまで連続して延びる透孔(図4(c)参照)である。収容開口118bの両側壁113の切り欠きは、屋根に沿って長手状に延びるハゼ部P1が貫通するように形成されている。また、この収容開口118の上側の縁では、対面壁111が内方に折れ曲がっている(図6(c)参照)。つまり、収容開口118bは、挟圧片118a端縁、対面壁111端縁(折曲部111a)及び両側壁113端縁によって縁取られている。
図4(a)及び(b)に示すとおり、対面壁111の略中央には、締結孔119a(締結手段119の一部)が穿設されている。後述するように、この締結孔119aに締結ボルト119cを挿通して締結ナット119bで締結することにより、当該分割体110を他方の分割体110’に近接させて締結する。そして、一方の分割体110には、締結ボルト119cの軸部が挿通可能な締結孔119aが穿設されているのに対して、他方の分割体110’には、締結ボルト119cの軸部を螺着可能な締結ナット119bが溶接されている(図5(a)及び(b)参照)。つまり、一方の分割体110の締結孔119aから締結ボルト119cの軸部先端を挿入し、その軸部先端を他方の分割体110’の締結ナット119bに螺着して締め付けることにより、締結ボルト119c頭部が締結孔119aに縁(対面壁111内面)に当接して、一対の分割体110、110’が接合状態に締結される(図9(a)参照)。
そして、この締結孔119aの両側には、対面壁111に穿設された位置合わせ孔120、及び、対面壁111外面から所定長さで突出した位置合わせ軸121(図4(c)参照)が設けられている。位置合わせ孔120及び位置合わせ軸121は、中心位置(締結孔119a)から等距離で離隔して設けられている。このため、当該分割体110を他方の分割体110’に組み合わせたときに、一方の分割体110の位置合わせ軸121(又は位置合わせ孔120)が、他方の分割体110’の位置合わせ孔120(又は位置合わせ軸121)に挿通される。すなわち、一方の分割体110及び他方の分割体110’の各位置合わせ孔120及び位置合わせ軸121が相互に嵌り合うことで、対面壁111同士がその平面方向沿ってずれたり、或いは、締結軸を中心に回転したりすることを防止する。つまり、当該位置合わせ孔120及び位置合わせ軸121は、一対の分割体110、110’を近接させるときに、対面壁111同士の平面方向の相対位置を定めるように機能する。
また、分割体110の対面壁111と上壁112の間の縁辺部116には、ボルト体200を保持するための保持部117が切り欠き形成されている(図3(a)及び図4(a)、(d)参照)。なお、この保持部117の寸法形状については図7を参照して後に詳述する。
さらに、分割体110の上壁112の略中央には、締結手段119による締結状態を、上方から視覚的に確認可能に穿設された確認窓122が設けられている(図4(d)参照)。この確認窓122は、矩形状を有しており、締結ボルト119cの頭部及び締結ナット119cの締結状態を上方から視認可能な位置及び大きさで形成されている。つまり、一方の分割体110の確認窓122を介して締結ボルト119cの頭部が締結孔119aの周縁で対面壁111の内面に当接しているかを確認可能である。また、他方の分割体110の確認窓122を介して締結ボルト119cの軸部が締結ナット119bから所定長さで延び出ているかを確認可能である。つまり、各分割体110、110’の側方(開口115)から内部をそれぞれ覗き込まなくても、上方から締結状態を一度に確認することが可能であり、作業効率を改善する。
そして、分割体110の底壁114の左右幅方向の中央には、固定金具100の折板屋根P上における設置位置を特定するためのセンター合わせ部123が貫通形成されている(図3(b)及び図4(d)参照)。このセンター合わせ部123は、対面壁110近傍(底壁114基端)から離隔方向に延びる細幅のスリット123aと、当該スリット123aと連続せずに底壁114先端縁に設けられた三角形の切り欠き123bとからなる。折板屋根上に描かれた罫書き線が当該スリット123a及び切り欠き123bから臨むように、一対の分割体110を配置して締結させることにより、固定金具100を折板屋根上に所定の向きに整列させることができる。なお、このスリット123aが対面壁111近傍から所定長で延びていると共に底壁114先端縁に切り欠き123bが形成されていることにより、折板屋根Pに罫書き線が連続して付されていなくても、スリット123a又は切り欠き123bのいずれかを介して罫書き線を底壁114から臨ませることができる。つまり、ハゼ部P1の近傍のみに罫書き線が記されている(又は、罫書き線がハゼ部P1から十分に延びていない)場合、対面壁111近傍のスリット123aを介して位置合わせ可能であり、他方、ハゼ部P1の近傍に罫書き線が記されていない場合には、切り欠き123bを介して位置合わせ可能である。
次に、この分割体110の筺体構造について詳細に説明する。図6(a)は、正面視における分割体110の断面形状(図4(c)のA−A断面)を示している。図6(a)に示すとおり、上壁112の両側端が下方に略直角に折り返されて側壁113の外面側に延在している。換言すると、上壁112の両側端が両方の側壁113の端縁を越えて側方に延在し、尚且つ、上壁112の両側端で所定長さの第1折曲片112aが側壁113外面の上縁に対して折れ重なっている。同様に、底壁114の両側端が上方に略直角に折り返されて側壁113の外面側に延在している。換言すると、底壁114の両側端が両方の側壁113の端縁を越えて側方に延在し、底壁114の両側端で、所定長さの第2折曲片114aが側壁113外面の下縁に対して折れ重なっている。すなわち、対面壁111、上壁112、側壁113及び底壁114は互いに支持可能な筺体構造を構築している。なお、第1及び第2折曲片112a、114aと側壁113の端縁及び上下縁部とは、分割体110のがたつきを軽減するために密接していることが好ましいが、側壁113と上壁111又は底壁114とが互いに支持関係にあれば、ある程度離隔して構成してもよい。
また、図6(b)は、側面視における分割体110の断面形状(図4(a)のB−B断面)を示している。図6(b)に示すとおり、対面壁111上端と上壁112基端とは、縁辺部116で屈曲している。当該縁辺部116では、対面壁111が上端近傍でその外面から(他方の対面壁111側に)緩やかに隆起して隆起部116aを形成している。また、当該縁辺部116では、上壁112が基端近傍で緩やかに湾曲するように下方に折れ曲がり、対面壁111と上壁112とが交差する角において湾曲部116bを形成している。縁辺部116に隆起部116a及び湾曲部116bが設けられていることにより、後述するが、2つの分割体110でハゼ部P1をより安定的に挟持することができる。さらに、収容開口118bの上側の縁において、対面壁111が内方に屈折し、折曲部111aを形成している。
さらに、図6(c)は、平面視における分割体110の断面形状(図4(b)のC−C断面)を示しており、両方の側壁113の先端(すなわち、対面壁111の反対側の端部)は、上下方向への折り曲げに対する強度を増加させるべく、外側に略直角に折り返されて第3折曲片113aを形成している。
次に、分割体110の対面壁111と上壁112の間の縁辺部116に切り欠き形成された保持部117について詳細に説明する。当該保持部117は、2つの分割体110、110’が締結されて組み合わされたときに、設置体を固定するためのボルト体200を互いに近接した一対の分割体100、110’の両対面壁111の間で保持又は支持可能に構成されている。すなわち、一対の分割体110、110’の各対面壁111、111’を対面させて組み合わせたときに、両保持部117が接合してボルト体200を保持及び支持可能な収容空間を形成する。
図7は、対面壁111に形成された保持部117の部分拡大図(正面視)である。当該保持部117は、分割体110の対面壁111上端近傍に切り欠き形成されたボルト体200の頭部201を収容可能なボルト頭部収容部117aと、このボルト頭部収容部117aと連続して上壁112基端に切り欠き形成されたボルト体200の軸部202を挿通可能なボルト軸部挿通部117bとからなる。当該ボルト軸部挿通部117bは、図4(d)に示すとおり、ボルト軸部202を挿通可能な径dで半円形状(平面視)に切り欠かれている。この径dは、ボルト体200をがたつかないように支持すべく、ボルト軸部202の直径よりも僅かに大きく設定されるのが好ましい。
図7に示すとおり、当該保持部117は、正面視において対面壁111に形成された、ボルト頭部201及び軸部202を収容可能な凸字形状の切り欠きである。ボルト頭部収容部117aは、ボルト頭部201を収容する矩形状の幅w×高さh1の下側の切り欠きである。他方、ボルト軸部挿通部117bはボルト軸部202の根元を収容する幅d(<w)×高さh2の矩形状の上側の切り欠きである。そして、保持部117は、これら上側の切り欠き及び下側の切り欠きを組み合わせてなる。高さh1は、ボルト体200の頭部201を収容可能に、ボルト頭部201の軸方向の厚みに対応している。高さh2は下側の切り欠きと上壁111外面までの距離に対応している。また、高さh2は、ボルト頭部収容部117aに収容したボルト頭部201の軸方向への移動を制限すべく、ボルト頭部収容部117aの上で上壁112を形成するように設定されればよく、図7の形態から短縮又は延長させてもよい。
そして、ボルト軸部挿通部117bは、対面壁111の略中央に配置されている。当該ボルト軸部挿通部117bは、挿通したボルト200の中心軸に合致する中心線cを有しており、この中心線cから左右対称に幅dで形成されている。他方、ボルト頭部収容部117aは、ボルト軸に沿った中心線cに対して直交する方向に延びる一方側(図7の右側)の第1幅w1、及び、他方側(図7の左側)の第2幅w2(>w1)を有し、左右幅方向に全幅wで延在している。この左側の幅w2は、右側の幅w1よりも幅Δwだけ大きい。つまり、凸字形状の保持部117は、左右対称ではなく、他方側に幅Δwだけ延設されている。換言すると、中心線cに左右対称に配置されたボルト軸部挿通部117bに対して、ボルト頭部収容部117aの中心が側方にずれるように配置されている。なお、当該ボルト頭部収容部117aを縁取る対面壁111の短幅w1側の側縁部を117w1とし、且つ、長幅w2側の側縁部を117w2とする。
ここで、ボルト体200の頭部201の最小幅をsと定義し、最大幅をeと定義する。本実施形態では、ボルト体200の頭部201は正六角形状であるため、最小幅sは六角ボルト頭部の二面幅であり、最大幅eは六角ボルト頭部の対角距離である(図11参照)。なお、本明細書において、このボルト頭部201の最小幅s及び最大幅eは、短軸及び長軸とも表される。
そして、図7の右側の短幅w1は、ボルト頭部201の最小幅の半幅s/2よりも大きく、且つ、最大幅の半幅e/2よりも小さく設計されている。他方、左側の長幅w2は、最大幅の半幅e/2よりも大きく設計されている。つまり、本実施形態における各幅とボルト頭部形状との関係式は以下のとおりである。
(式1) s/2<w1<e/2
(式2) w2>e/2
当該保持部117のボルト頭部収容部117aがボルト頭部201の形状寸法に合わせて上記範囲で設計されていることにより、ボルト頭部201をボルト頭部収容部117a内に所定の姿勢で嵌め込むようにガイドすることができる。すなわち、作業者がボルト体200を一方の保持部117に手で押し込む際にボルト頭部201の短軸が保持部117の幅方向から傾斜している場合、ボルト頭部201の外側面が第1幅w1の側縁117w1に当接することで、ボルト体200がボルト軸部202を中心に回転する。そして、ボルト頭部201が第2幅w2の側縁117w2に妨げられることなく側縁117w1でガイドされて、ボルト頭部201の短軸が幅方向に対して平行な姿勢で片方の保持部117内に嵌め込まれる。
なお、本実施形態の保持部117では、収容するボルト体200のがたつきを軽減すべく、w1は最小幅の半幅s/2よりも僅かに大きく、且つ、w2は最大幅の半幅e/2よりも僅かに大きく形成されているだけである。この「僅かに大きい幅」とは、ボルト頭部を僅差で収容可能な幅であり、広義には、ボルト体の最小距離と第1幅及び第4幅とが実質的に等しいと解釈することもできる。しかしながら、本発明においては、保持部117の寸法を任意に設計することができる。また、本実施形態では、ボルト頭部201の形状は六角形状であるが、本発明はこれに限定されない。
本実施形態の分割体110、110’は、板状のSUS材を屈曲(又はプレス)加工及び穿設加工することにより得られたが、本発明は、一実施形態の製法及び材質に限定されるものではない。例えば、複数のSUS板を溶接して本実施形態のごとき、折曲片を有する筺体を形成することもできる。また、一方の分割体110と他方の分割体110’の相違点として、対面壁111の内面に溶着された締結ナット119bが挙げられるが、締結ナット119cを溶着する替わりに、締結孔119aを形成し、別体として締結用のナットを使用することもできる。つまり、一方の分割体110と他方の分割体110’を完全に同形状とすることも可能である。あるいは、一方の分割体110と他方の分割体110’とは、同じ寸法形状の筺体であるが、用途等に合わせて、一方の寸法を変更することも可能である。
図8は、折板屋根Pに固定金具100を配置した設置構造10の側面図である。図8に示すとおり、折板屋根Pには、金属屋根を折り重ねて形成したハゼ部P1が設けられている。このハゼ部P1は、折板屋根Pの頂部から延び出ており、その上部で側方に膨らんでいる。また、ハゼ部P1は、折板屋根に沿って形成された長尺体であり、固定金具100の各側壁113の切り欠き(収容開口118b)を貫通する方向に延びている。そして、固定金具100は、このハゼ部P1を一対の分割体110、110’の対面壁111間に挟み込むことによって、折板屋根Pに固定されている。すなわち、一対の分割体110、110’の対面壁111同士が近接すると共に挟持部118で折板屋根Pのハゼ部P1を挟持している。より詳細には、一対の凹凸状の挟圧片118aでハゼ部P1の根元を挟圧すると共に、ハゼ部P1の膨らんだ上部を収容開口118bを介して一対の分割体110、110’の内部に配置している。
さらに、図8によれば、一対の分割体110、110’の対面壁111上端でその外面から突出した隆起部116aが互いに当接している。つまり、対面壁111同士を面接触させないように、当該隆起部116aを支点として、挟圧片118aでハゼ部P1の根元を挟圧している。そのため、対面壁111全体に力を分散させることなく、挟圧片118aに力を集中させて、ハゼ部P1をより強固に挟圧している。また、縁辺部116に設けられた湾曲部116bにより、上方から隆起部116aの当接の度合いを視認することができる。
図9(a)は、図8の設置構造10のボルト体200中心で切った縦断面図であり、図9(b)は、その横断面図である。図9(a)に示すとおり、締結ボルト119cが一方の分割体110の締結孔119aを貫通して、他方の分割体110’の締結ナット119bに螺着することにより、分割体110、110’が締結されている。そして、図9(a)及び(b)に示すとおりボルト体200の軸部202が上方に向くように、一方及び他方の分割体110、110’の接合した両保持部117によって保持されている。このボルト体200の頭部201がボルト頭部収容部117aに収容されると共に、ボルト軸部202がボルト軸部挿通部117bを貫通していることにより、固定金具100の頂部において、その軸部201が垂直上方向に向くように、ボルト体200が分割体間で支持及び保持されている。このとき、一方及び他方のボルト軸部挿通部117bが互い合致するように接合して直径d(<s)の円孔をその頂面に形成し、当該円孔の縁部(一方及び他方の上壁112内面)がボルト頭部201と係合して、ボルト体200の上方移動を制限する。また、ボルト頭部収容部117aの下縁において、対面壁111の端面がボルト頭部201を下方から支持している。すなわち、保持部117は、対面壁111端面と上壁112内面によって、ボルト頭部201を包囲して、ボルト体200を上下に抜けないように保持している。
図10は、図9(b)における一方の分割体110及び他方の分割体110’の保持部117(ボルト頭部収容部117a)を接合した形態を示す模式図である。図10では、一方のボルト頭部収容部117aを実線、他方のボルト頭部収容部117aを点線、及び、ボルト体200を仮想線で表している。一方及び他方の保持部117が互いに部分的に重合している。一方のボルト頭部収容部117a及び他方のボルト頭部収容部117aの重合部分の幅は、2×w1である。また、接合したボルト頭部収容部117aの全幅は2×w2である。つまり、図10の接合した一方及び他方の保持部117において、ボルト軸部挿通部117bがほぼ合致して接合されているのに対し、ボルト頭部収容部117aが互いに幅方向にずれて接合されている。
図11は、図10のE−E断面図である。図11によれば、分割体110、110’の締結状態(又はボルト体200の保持状態)において、ボルト体200のボルト頭部201が保持部117の幅方向に二面幅sを有し、且つ、これに直交する対向軸aに沿って対角距離eを有する。つまり、ボルト頭部201の最小幅の側面をボルト頭部収容部117aの幅内に嵌め込み可能であるように、ボルト頭部201の短軸が保持部117の幅方向に平行な姿勢で配置されている。そして、一方及び他方の保持部117のボルト頭部収容部117aの重合幅(2×w1)がボルト頭部201の最小幅(二面幅)sよりも大きく、且つ、ボルト頭部201の最大幅(対角距離)eよりも小さい。他方、接合したボルト頭部収容部117aの全幅(2×w2)がボルト体200の最大幅eよりも大きい。そのため、ボルト体200に回転方向の力を加えたとき、一方及び他方の側縁117w1の端面がボルト頭部201の側面をその両側から係止可能であり、ボルト体200の双方向の回転を制限する。したがって、ボルト体200は、接合した保持部117に回転不能に支持及び保持されている。
本実施形態では、図10及び図11に示すとおり、接合した保持部117のボルト頭部収容部117aの重合部分がボルト体200の最小幅(二面幅)sとほぼ等しく設定されている。これにより、一方及び他方の縁部117w1の端面の両方が、ボルト頭部201の両側面に係合可能であり、ボルト体200の回転方向へのがたつきが軽減されている。
以下、図12を参照して、固定金具100を折板屋根Pのハゼ部P1に取り付けて、設置体を取り付けるための設置構造10を構築する方法を説明する。
まず、図12(a)に示すとおり、一方の分割体110と他方の分割体110’の対面壁111を対向させた状態で、一方の分割体110と他方の分割体110’との間にボルト体200を配置して、ハゼ部P1の膨らんだ上部分を、挟持部118の収容開口118bを介して分割体110、110’の内部に収容させるように対向軸に沿って近接させる。このとき、底壁114に設けられたセンター合わせ部123のスリット123a及び切り欠き123bを開口115又は確認窓122から目視して、折板屋根Pに任意に記された罫書き線に合わせることにより、固定金具100を容易に所定方向に沿って整列させることができる。
次に、図12(b)に示すように、一方の分割体110の位置合わせ軸121(又は位置合わせ孔120)を、他方の分割体110’の位置合わせ孔120(位置合わせ軸121)に挿通させる。このように分割体110、110’の対面位置を合わせた状態でさらに近接させ、締結ボルト119cを一方の分割体110の締結孔119aに開口115から挿通し、締結ボルト119cの軸部を他方の分割体110’の締結ナット119bに螺着する。そして、両分割体110、110’の縁辺部116の隆起部116aを互いに当接させるように、ボルト体200を保持部117内に配置及び保持する。
このように一方及び他方の対面壁111を互いに接合させた状態で、締結ナット119bを工具等で締め付けて、一対の挟圧片118aでハゼ部P1の根元を挟圧することにより、固定金具100を折板屋根Pのハゼ部P1に固定する。このとき、当該締結手段119の締結状態は、確認窓122を介して各分割体110、110’の内部を上方から目視することにより確認可能である。また、一対の対面壁111(隆起部116a)の当接状態又はボルト体200の収容状態は、縁辺部116の湾曲部116bを介して上方から視認可能である。このようにして、折板屋根P上に設置構造10の設置が完了する。そして、当該設置構造10に対して、所望の設置体(例えば、太陽光パネル設置装置Q)を固定金具100の頂部に位置するボルト体200を介して固定することができる。
なお、ここで説明した方法は、1つの例示にすぎず、当業者であれば、順序等を入れ替え、或いは、他の工程を追加又は省略して、当該方法を実施可能であることは云うまでもない。
図13(a)〜(c)は、一対の対面壁111を近接及び接合させる一連の動作において、ボルト体200のボルト頭部201をガイドして所定の姿勢(すなわち、ボルト頭部の最小幅が対面壁の対向軸に直交する向き)に整列させて保持部117内に嵌め込む、ボルト体保持機構の各工程を表した模式図である。特に、本ボルト体保持機構は、一対の対面壁111を接合(又は締結)する直前でボルト頭部201が所定の姿勢からずれていた場合であっても、その姿勢を修正するように機能する。
図13(a)では、ボルト体200の当初姿勢において、ボルト頭部201がその対角線が対面壁111の対向軸と直交する向きで配置されている。この状態で、ボルト軸部202をボルト軸部挿通部117b内に配置するように、一方及び他方の分割体110、110’を互いに近接させる。
次に、図13(b)に示すとおり、両対面壁111を相対的に近接させると、一方及び他方のボルト頭部収容部117aを縁取る対面壁111の第1幅w1側の側縁117w1が、ボルト頭部201の両側面にほぼ同時に当接して、ボルト体200が矢印方向に回転する。このとき、長幅w2が少なくともボルト体200の最大幅の半幅e/2よりも大きく設定されているため、ボルト頭部201が対面壁111の側縁117w2に当接することなく、側縁117w1でガイドしてボルト体200が矢印方向に回転可能である。
そして、図13(c)に示すとおり、ボルト頭部201は、両対面壁111の側縁117w1にガイドされ、ボルト頭部201の対角線(長軸)が対向軸に沿って整列した姿勢でボルト頭部収容部117a内に収容されて、縁辺部116近傍で両対面壁111同士が実質的に当接する。この収容状態では、ボルト体200に回転方向の力を加えたとしても、ボルト頭部201が両分割体110、110’の側縁117w1の端面によって係止される。すなわち、ボルト体200は、所定の姿勢で保持部117に嵌って回り止め状態で保持されている。
なお、説明を分かり易くするために、ボルト頭部201が保持部117の幅方向に最大幅eを有するように配置されているが、ボルト頭部201が所定の姿勢からずれている場合、つまり、ボルト頭部201が保持部117の幅方向に最小幅sを有していない場合であれば、当該ボルト体保持機構は、図13(a)〜(c)で説明したように同様に動作及び機能する。または、ボルト頭部201の当初姿勢において、ボルト頭部201の短軸が保持部117の幅方向に平行な場合、又は、短軸がそこから僅かに傾斜した場合、当然ながら、いずれの対面壁の縁部117w1にも当接することなく、ボルト頭部201がボルト頭部収容部117a内に導かれる。あるいは、作業者が一方の保持部117にボルト体200を先に収容させた状態で、一対の対面壁111を近接させることも可能であるが、対面壁111の接合直前でボルト体200の姿勢がずれた場合にその姿勢を修正することができる。
図14は、本発明の一実施形態の設置構造10に例示の設置体を取り付けた形態を示している。設置体は、太陽光パネル設置装置Qであり、レール体Q1と、当該レール体Q1上に配置される支持体Q2と、当該支持体Q2によって支持される太陽光パネルQ3とからなる。折板屋根Pのハゼ部P1に取り付けられた固定金具100の頂部から延びるボルト体200のボルト軸部202に、レール体Q1をそこに形成された固定孔を介してレール体Q1を配置し、ボルト軸部202にナットを螺着することにより、設置体が固定金具100に固定される。つまり、図14では、折板屋根Pと設置体Qとが本発明の一実施形態の固定金具100(又は設置構造10)によって連結されている。なお、図14の太陽光パネル設置装置Qは、設置体の一例にすぎず、必要に応じて、いずれの部材を屋根上に取り付けてもよい。
以下、本発明に係る一実施形態の固定金具100(又は設置構造10)の作用効果について説明する。
本発明の一実施形態の固定金具100は、改善した強度及び耐久性を提供するものである。すなわち、一実施形態の固定金具100では、一対の分割体110、110’は、対面壁111の上端、両側端及び下端からそれぞれ離隔方向に延設された上壁112、一対の側壁113及び底壁114からなる。そして、上壁112の両側端が下方に折り返されて側壁113の外面側に第1折曲片112aが延在し、且つ、底壁114の両側端が上方に折り返されて側壁113の外面側に第2折曲片114aが延在している。これにより、設置体を押し下げる方向の風圧が生じて、ボルト体200を介して垂直下方向の力が上壁112に加わったとしても、両方の側壁113の上端縁が上壁113を下から支持し、且つ、上壁112を支持する側壁113の下端を底壁114がさらに支持するため、上壁112が下方に折れ曲って筺体が変形することを防止する。また、設置体を回転又は傾斜させる方向の風圧が生じて、ボルト体200を介して側方の力が上壁112に加わったとしても、上壁112の第1折曲片112a及び底壁114の第2折曲片114bが側壁113上縁及び下縁にそれぞれ係合して支持することにより、上壁112及び底壁114間で対面壁111や側壁113が側方に変形(捻れ又は傾斜変形)することを防止する。
さらに、一実施形態の固定金具100では、設置体をその軸部202に固定するためのボルト体200を保持するための保持部113が、対面壁111と上壁112との間の縁辺部116に切り欠き形成されている。これにより、ボルト体200に固定された設置体に屋根の略垂直上方向又は下方向の力が加わった場合、ボルト体200を介して、上壁112の基端に上向きの力又は対面壁111の上端に下向きの力が作用するが、上壁112と対面壁111とが交差する角部(縁辺部116)でボルト体200をしっかりと支持して、上壁112が捲れ上がったり、又は、沈み込んだりすることを防止する。すなわち、両方の分割体110、110’の対面壁111と上壁112とが協働してボルト体200を支持していることにより、筺体が変形することを効果的に防止することができる。
したがって、本発明の一実施形態の固定金具100及び設置構造10は、相互に協働して支持する壁材を有する強固な筺体構造を備えていることにより、改善した強度及び耐久性を提供し、且つ、ボルト体200を使用して折板屋根P及び設置体を安定的に連結することを可能にする。
(変形例)
本発明の一実施形態の固定金具100及び設置構造10を説明したが、本発明の当該実施形態に限定されることはない。すなわち、固定金具100及び設置構造10の構成する全ての要素を含んでいなくても、本発明の技術範囲に含まれることは云うまでもない。例えば、固定金具の最も簡易な構造として、固定金具の一対の分割体は、対面壁と、上壁と、側壁とを有し、上壁の両側端が下方に折り返されて側壁の外面側に延在していることにより、少なくとも、従来の固定金具よりも優れた構造的強度を提供することができる。すなわち、用途やコスト面を考慮して、確認窓やセンター合わせ部等の機能的な部分を選択的に省略することも可能である。
また、上述の一実施形態では、挟持部118は、挟圧片118a及び収容開口118bを備えるが、底壁110の下端に形成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、収容開口を切り欠き形成する替わりに、対面壁を屈折させることによりその凹ませてハゼ部を収容するための空間を形成することもできる。すなわち、ハゼ部を挟持可能であれば、挟持部の位置を任意に変更できると共に、任意の形状の挟持手段を採用することができ、当業者が用途機能等に応じて任意に選択することができる。
さらに、上述の一実施形態では、締結手段として、一方の対面壁111の中央に穿設された締結孔119a、他方の対面壁111に溶接された締結ナット119b、及び、両者を締結する1本のI字状の締結ボルト119cが使用されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、対面壁に締結用の孔を複数個形成して、複数のボルトで一対の分割体を締結してもよい。または、U字ボルトを使用して2軸で締結してもよい。あるいは、一方の対面壁の外面に螺子切り加工された軸を溶接し、当該軸を介して他方の分割体を連結してもよい。すなわち、一対の分割体を連結可能であれば、当業者が用途機能等に応じて締結手段を任意に選択することができる。
そして、上述の実施形態では、設置体を頂部に取り付けるために、保持部117及びボルト体200が使用されているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、少なくとも設置体を固定金具の頂部に固定することができればよく、当業者であれば、この取付手段を任意に設計及び選択することができる。例えば、保持部をボルト軸部挿通部の中心線cに対して左右対称に形成された切り欠きとしてもよい。あるいは、ボルト体を保持又は固定可能な孔を分割体の片方の上壁に設けてもよい。さらには、ボルト体を使用せずに、例えば、固定孔やクランプ等の当業者の考え得る代替的な取付手段を採用してもよい。
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
10 設置構造
100 固定金具
110 分割体
111 対面壁
112 上壁
112a 第1折曲片
113 側壁
113a 第3折曲片
114 底壁
114a 第2折曲片
115 開口
116 縁辺部
116a 隆起部
116b 湾曲部
117 保持部
117a ボルト頭部収容部
117b ボルト軸部挿通部
118 挟持部
118a 挟圧片
118b 収容開口
119 締結手段
119a 締結孔
119b 締結ナット
119c 締結ボルト
120 位置合わせ孔
121 位置合わせ軸
122 確認窓
123 センター合わせ部
200 ボルト体
201 頭部
202 軸部
w1 ボルト頭部収容部の第1幅
w2 ボルト頭部収容部の第2幅
d ボルト軸部挿通部の幅
c ボルト軸部挿通部の中心線
s ボルト頭部の最小幅(二面幅)
e ボルト頭部の最大幅(対角距離)
P 折板屋根
P1 ハゼ部
Q 太陽光パネル設置装置(設置体)

Claims (11)

  1. 設置体と折板屋根とを連結するための固定金具であって、
    締結手段によって互いに締結されると共に、前記設置体が頂部に取り付けられる一対の分割体と、
    当該一対の分割体を互いに近接させて前記折板屋根のハゼ部を挟持するための挟持部と、を備え、
    前記各分割体は、互いに近接される対面壁と、当該対面壁の上端から離隔方向に延設された上壁と、前記対面壁の両側端から離隔方向に延設された側壁とを有しており、
    前記上壁の両側端が下方に折り返されて前記側壁の外面側に延在していることを特徴とする固定金具。
  2. 前記各分割体は、前記対面壁の下端から離隔方向に延設された底壁をさらに備え、前記底壁の両側端が上方に折り返されて前記側壁の外面側に延在していることを特徴とする請求項1に記載の固定金具。
  3. 前記分割体の前記上壁から突出して前記設置体に固定されるボルト体を保持するための保持部をさらに備え、
    前記保持部は、前記各分割体の前記対向壁と前記上壁との間の縁辺部に形成された切り欠きからなり、互いに近接した前記一対の分割体の前記対面壁の間で前記ボルト体を保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の固定金具。
  4. 前記保持部は、前記各分割体の前記対面壁に切り欠き形成された前記ボルト体のボルト頭部収容部と、前記ボルト頭部収容部と連続して前記各分割体の前記上壁に切り欠き形成された前記ボルト体のボルト軸部挿通部と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の固定金具。
  5. 前記ボルト頭部収容部は、前記ボルト軸部挿通部の中心線(c)から直交方向に延びる一方側の第1幅(w1)及び他方側の第2幅(w2)を有し、前記第1幅(w1)が前記ボルト頭部の最小幅の半幅(s/2)よりも大きいと共に前記ボルト頭部の最大幅の半幅(e/2)よりも小さく形成され、尚且つ、前記第2幅(w2)が前記最大幅の半幅(e/2)よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項4に記載の固定金具。
  6. 前記挟持部は、前記対面壁の下端近傍に設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の固定金具。
  7. 前記締結手段は、ボルト及びナットの締結関係によって前記各対面壁を近接させることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の固定金具。
  8. 前記底壁には、当該固定金具の設置位置を特定するためのセンター合わせ部が貫通形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の固定金具。
  9. 前記上壁には、前記締結手段による締結状態を確認するための確認窓が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の固定金具。
  10. 設置体を折板屋根上に設置するための設置構造であって、
    前記設置体を固定するために、軸部を上向きに配置したボルト体と、
    締結手段によって互いに締結された一対の分割体と、当該一対の分割体を互いに近接させて前記折板屋根のハゼ部を挟持する挟持部と、前記ボルト体を頂部で保持する保持部と、を備える固定金具と、を備え、
    前記各分割体は、互いに近接される対面壁と、当該対面壁の上端から離隔方向に延設された上壁と、前記対面壁の両側端から離隔方向に延設された側壁とを有しており、
    前記上壁の両側端が下方に折り返されて前記側壁の外面側に延在し、且つ、前記保持部が前記対面壁と前記前記上壁との間の縁辺部に形成されていることを特徴とする設置構造。
  11. 前記各分割体は、前記対面壁の下端から離隔方向に延設された底壁をさらに備え、前記底壁の両側端が上方に折り返されて前記側壁の外面側に延在していることを特徴とする請求項10に記載の設置構造。
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