以下に本発明の実施形態を、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の太陽光パネル架台1は、複数(本実施形態では2つ)の架台ユニット2を連結して構成するものである。各架台ユニット2,2は、太陽光パネル3を支持する複数の垂木10と、垂木10と交差する垂木受け20と、垂木受け20を支持する支持材40とを備えている。垂木10は、水平方向に対して傾斜して延在し、垂木受け20は、垂木10の傾斜方向の上側と下側のそれぞれに配置されて水平方向に延在している。垂木受け20と支持材40が、一対の支持材連結用ガセットプレート50’,50’で挟まれた状態で接続されており、上側に配置された垂木受け20同士が、一対の第一のユニット連結用ガセットプレート50,50で挟まれた状態で連結されるとともに、下側に配置された垂木受け20同士が、一対の第二のユニット連結用ガセットプレート50,50で挟まれた状態で連結されている。ユニット連結用ガセットプレート50および垂木受け20の一方には、凸条51が形成されており、他方には、凸条51と噛み合う凹溝25が形成されている。まず、架台ユニット2の全体構成を説明する。
図1に示すように、架台ユニット2は、太陽光パネル3を支持する複数の垂木10と、垂木10と交差する垂木受け20と、垂木受け20を支持する支持材40とを備えている。なお、図1の(b)の紙面上下方向を縦方向または前後方向とし、紙面左右方向を横方向とする。図1の(a)は、(b)のX−X線断面図であり、垂木受け20を後方から見た図である。図1の(a)では、後方の支持材40の奥に前方の支持材40が見えている。前方の支持材40は途中で破断して、上端部は図示を省略している。図1の(a)では上下を逆に図示している。図1の(c)は、(b)のY−Y線断面図であり、垂木受け20を前方から見た図である。図1の(c)では、前方の支持材40の奥に後方の支持材40が見えている。後方の支持材40の上端部は、垂木受け20に隠れている。
図2にも示すように、垂木10は、縦方向に延在しており、垂木受け20,20上に架け渡されている。垂木10の長手方向は、水平方向に対して傾斜して配置されている。垂木10は、前方が低くなるとともに、後方が高くなっている。垂木10の前端部は、前側の垂木受け20から前方外側に張り出しており、垂木10の後端部は、後側の垂木受け20から後方外側に張り出している。垂木10の傾斜角度は、太陽光パネル3の傾斜角度と一致している。
垂木受け20は、図1に示すように、横方向に延在しており、長手方向が水平方向となるように配置されている。垂木受け20は、架台ユニット2の前側と後側の二箇所に設けられている。前後一対の垂木受け20,20は、間隔をあけて互いに平行に配置されている。前側の垂木受け20は、後側の垂木受け20よりも低い位置に配置されている。
図1に示すように、支持材40は、斜めに配置された棒状の支柱部材からなり、一の架台ユニット2の前後の垂木受け20,20にそれぞれ2本ずつ設けられている。前側の垂木受け20を支持する一対の支持材40,40は、後側の垂木受け20を支持する一対の支持材40,40よりも短い。一対の支持材40,40は、V字形状に配置されている(図1の(a),(c)参照)。後側の支持材40,40の下端部は、第一の支持部41に支持されており、前側の支持材40,40の下端部は、第二の支持部42に支持されている。後側の支持材40,40の上端部は、所定間隔で拡がって後側の垂木受け20に連結されており、前側の支持材40,40の上端部は、所定間隔で拡がって前側の垂木受け20に連結されている。
前側の支持材40,40の上端部同士の離間距離と、後側の支持材40,40の上端部同士の離間距離とは等しく、前側の支持材40,40の開き角度は、後側の支持材40,40の開き角度よりも大きくなっている。
支持部41,42は、例えばコンクリート製の独立基礎にて構成されており、地盤あるいは建築物の屋上の躯体に固定された支持部材である。なお、支持材40,40が固定される部分は、独立基礎に限定されるものではなく、例えば、杭基礎、布基礎やべた基礎などの安定した支持部材であればよい。この場合、杭基礎、布基礎やべた基礎の一部が、支持部41,42となる。
一の架台ユニット2においては、後側の第一の支持部41と前側の第二の支持部42との二点支持となっている。そして、二点支持である架台ユニット2が2つ連結されることで、太陽光パネル架台1全体で、4つの支持部41,41,42,42で支持されている(四点支持されている)。
架台ユニット2同士の連結は、後側(上側)に配置された垂木受け20,20同士が、第一のユニット連結用ガセットプレート50を介して連結されるとともに、前側(下側)に配置された垂木受け20,20同士が、第二(第一とは別途)のユニット連結用ガセットプレート50を介して連結されることで為されている。
図1の(b)に示すように、太陽光パネル架台1上には、複数の太陽光パネル3,3,3・・・が設置される。本実施形態では、太陽光パネル3は、縦方向に4枚、横方向に7枚がそれぞれ配列されている。28枚の太陽光パネル3,3,3・・・は二台の架台ユニット2,2からなる一つの太陽光パネル架台1上に載置される。各太陽光パネル3は、左右に隣り合う垂木10,10間に架け渡されており、太陽光パネル3の左側端部と右側端部が、左右の垂木10,10にそれぞれ支持されている。なお、太陽光パネル3の設置枚数や設置形態は一例であって、本実施形態の構成に限定されるものではない。
図4に示すように、垂木受け20は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。垂木受け20は、断面略矩形形状を呈しており、上面部、下面部および両側面部を備えている。垂木受け20の両側面部には、ボルトBの頭部が収容される収容溝21がそれぞれ形成されている。
収容溝21は、垂木受け20の側面部の下部に形成されている。収容溝21には、ボルトBの頭部が収容される。ボルトBは、垂木受け20とユニット連結用ガセットプレート50とを固定するためのものであり、例えば六角ボルトが用いられている。収容溝21の溝幅寸法は、ボルトBの頭部の二面幅の寸法より大きく、対角距離より小さくなっている。これによって、ボルトBは、収容溝21内を長手方向に移動可能でありながらも、回転が阻止された状態となる。一対の収容溝21,21は、ともに同じ高さ位置に形成されている。そして、互いに対向する収容溝21,21の溝底壁間には、これらを繋ぐ補強リブ22が形成されている。
収容溝21の開口端には、一対の係止部23,23が形成されている。係止部23は、溝側壁21aから溝の内側に向かって延在している。係止部23,23は、垂木受け20の長手方向全長に渡って形成されている。係止部23,23の外面は、垂木受け20の側面と面一になっている。係止部23,23の離間距離は、ボルトBの軸部の外径よりも僅かに大きい寸法になっている。ボルトBの軸部は、係止部23,23間を通過して、垂木受け20の側面から突出する。ボルトBの頭部は、収容溝21の長手方向(押出方向)の端部から挿入される。ボルトBは、軸部が係止部23,23間の隙間から突出した状態で、溝長手方向に沿って、所望の位置まで移動される。係止部23は、ボルトBの頭部の座面に当接し、収容溝21からのボルトBの抜け落ちを防止している。
垂木受け20の側面には、長手方向に延在する凹溝25が形成されている。凹溝25は、収容溝21の下側に形成されている。凹溝25は、後記するユニット連結用ガセットプレート50の凸条51と噛み合う部分である。
図3に示すように、垂木受け20,20同士は、ユニット連結用ガセットプレート50を介して連結されている。垂木受け20、20同士の連結箇所では、垂木受け20の端面同士が突き合わさっており、垂木受け20,20の端部が、一対のユニット連結用ガセットプレート50,50に挟まれている(図4参照)。
図5に示すように、ユニット連結用ガセットプレート50は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。ユニット連結用ガセットプレート50は、側面視長方形形状を呈しており、その長手方向寸法は後記する支持材連結用ガセットプレート50’(図6参照)よりも長尺になっている。ユニット連結用ガセットプレート50は、長手方向(押出方向)が垂木受け20の長手方向に沿うように配置されている。ユニット連結用ガセットプレート50の上下両縁には、それぞれ補強リブ52が形成されている。補強リブ52は、ユニット連結用ガセットプレート50の板部に対して外側(垂木受け20を挟んだときの外側)に屈曲している。ユニット連結用ガセットプレート50の板部には、ボルト貫通孔53が複数形成されている。ボルト貫通孔53には、ボルトBの軸部が挿通される。ボルト貫通孔53は、6つ形成されており、垂木受け20ごとに3つずつ設けられたボルトBの軸部がそれぞれ挿通される。ユニット連結用ガセットプレート50の長手方向中央寄りの2つのボルト貫通孔53,53間の距離は、他の貫通孔間距離よりも狭くなっている。
図4および図5に示すように、ユニット連結用ガセットプレート50には、凸条51が形成されている。凸条51は、ユニット連結用ガセットプレート50の一方の側面(垂木受け20と接する面)に突設されている。凸条51は、ユニット連結用ガセットプレート50の長手方向に沿って延在している。凸条51は、垂木受け20の凹溝25に嵌まることで、ユニット連結用ガセットプレート50と垂木受け20との位置決めの役目を果たす。凸条51は、ユニット連結用ガセットプレート50の幅方向中央部から下側にオフセットして形成されている。凸条51の幅方向一端側に面積が広い第一領域54が形成され、凸条51の幅方向他端側に面積が狭い第二領域55が形成されている。なお、本実施形態では、ユニット連結用ガセットプレート50に凸条51を形成し、垂木受け20に凹溝25を形成しているが、垂木受け20に凸条を形成し、ユニット連結用ガセットプレート50に凹溝を形成してもよい。
垂木受け20,20同士の連結部では、ユニット連結用ガセットプレート50は、2つの垂木受け20,20の突合せ面(端面)を跨いで配置されており、各垂木受け20の端部の側面に接触している。凸条51は、垂木受け20の凹溝25に嵌まっている。ユニット連結用ガセットプレート50は、面積の広い第一領域54が凸条51の上側になるように配置されており、第一領域54の全体が垂木受け20の側面に接触している。垂木受け20の収容溝21には、ボルトBの頭部が収容されており、収容溝21からボルトBの軸部が突出している。収容溝21から突出した軸部は、ユニット連結用ガセットプレート50のボルト貫通孔53を貫通して、板部からも突出している。ユニット連結用ガセットプレート50の板部から突出したボルトBの軸部にナットNを螺合させて締め付けると、ボルトBの頭部とナットNで、収容溝21の係止部23とユニット連結用ガセットプレート50の板部が挟持されて、垂木受け20とユニット連結用ガセットプレート50が固定される。これによって、垂木受け20,20同士がユニット連結用ガセットプレート50を介して連結される。
次に、垂木受け20と支持材40の連結構造を説明する。まず、支持材40の構成を説明する。図10に示すように、支持材40は、アルミニウム合金製の中空押出形材からなる。支持材40の外周は、断面矩形形状を呈している。支持材40の幅寸法は、垂木受け20の幅寸法(厚さ寸法)と同等になっており、支持材40の外周面のうち、互いに対向する第一対面40a,40aは、垂木受け20の両側面とそれぞれ面一になっている(図7参照)。対面40aを含む側面部には、ボルトBの頭部が収容される収容溝43が二列形成されている。対面40aに交差する第二対面40bを含む側面部には、収容溝43が一列形成されている。収容溝43は、支持材40の長手方向(押出方向)に延在している。ボルトBは、垂木受け20の収容溝21に挿入されるものと同じボルトが用いられている。収容溝43の溝幅寸法は、ボルトBの頭部の二面幅の寸法より大きく、対角距離より小さくなっている。これによって、ボルトBは、収容溝43内を長手方向に移動可能でありながらも、回転が阻止された状態となる。なお、ボルトBのサイズは、適宜設定されるものであって、同一に限定されるものではない。
収容溝43には、両側の溝側壁44,44から内側にそれぞれ延在する一対の係止部45,45が形成されている。係止部45,45は、支持材40の長手方向全長に渡って形成されている。係止部45,45の外面は、支持材40の外周面と面一になっている。係止部45,45の離間距離は、ボルトBの軸部の外径よりも僅かに大きい寸法になっている。ボルトBの軸部は、係止部45,45間を通過して、支持材40の側面から突出する。ボルトBの頭部は、収容溝43に収容されており、頭部の座面が係止部45,45の内側面に当接することで、ボルトBの抜け落ちが防止されている。
なお、以下の説明において、第一対面40aに開口する収容溝43と、第二対面40bに開口する収容溝43を区別する場合は、前者の収容溝に符号「43a」を付し、後者の収容溝に符号「43b」を付す。本実施形態では、収容溝43bの溝幅寸法は、収容溝43aの溝幅寸法よりも小さくなっており、収容溝43bには、収容溝43aに収容されるボルトBよりも小径のボルトBが収容される。
図6に示すように、垂木受け20と支持材40は、支持材連結用ガセットプレート50’を介して連結されている。垂木受け20と支持材40の連結箇所では、支持材40の上端面が、垂木受け20の下面に当接しており、垂木受け20および支持材40が、一対の支持材連結用ガセットプレート50’,50’に挟まれている(図7参照)。
図7に示すように、支持材連結用ガセットプレート50’は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。支持材連結用ガセットプレート50’は、ユニット連結用ガセットプレート50と同等の断面形状を呈しており、凸条51と上下両縁の補強リブ52,52を備えている。支持材連結用ガセットプレート50’は、側面視長方形形状を呈しているが、その長手方向寸法はユニット連結用ガセットプレート50よりも短くなっている。支持材連結用ガセットプレート50’は、その長手方向(押出方向)が垂木受け10の長手方向に沿うように配置されている。支持材連結用ガセットプレート50’の板部には、複数のボルト貫通孔(図示せず)が適宜形成されている。ボルト貫通孔は、垂木受け20の収容溝21に挿入されるボルトBの設置位置に相当する位置と、支持材40の収容溝43aに挿入されるボルトBの設置位置に相当する位置に、それぞれ形成されている。
垂木受け20と支持材連結用ガセットプレート50’との連結部では、垂木受け20の収容溝21に、ボルトBの頭部が収容されている。ボルトBの軸部は収容溝21から突出している。収容溝21から突出した軸部は、ボルト貫通孔を貫通して支持材連結用ガセットプレート50’の板部からも突出している。板部から突出したボルトBの軸部にナットNを締め付けると、ボルトBの頭部とナットNで、収容溝21の係止部23と支持材連結用ガセットプレート50’が挟持され、垂木受け20と支持材連結用ガセットプレート50’が固定される。凸条51は、垂木受け20の凹溝25に嵌まっている。支持材連結用ガセットプレート50’は、ユニット連結用ガセットプレート50と上下方向を逆向きにして使用されており、面積の広い第一領域54が凸条51の下側になるように配置されている。これによって、支持材40と支持材連結用ガセットプレート50’との接触面積を大きくしている。
支持材40と支持材連結用ガセットプレート50’との連結部では、支持材40の収容溝43aに、ボルトBの頭部が収容されている。ボルトBの軸部は収容溝43aから突出している。収容溝43aから突出した軸部は、支持材連結用ガセットプレート50’のボルト貫通孔を貫通して板部からも突出している。板部から突出したボルトBの軸部にナットNを締め付けると、ボルトBの頭部とナットNで、収容溝43aの係止部45と支持材連結用ガセットプレート50’の板部が挟持され、支持材40と支持材連結用ガセットプレート50’が固定される。
これによって、垂木受け10と支持材40とが、支持材連結用ガセットプレート50’を介して連結される。
次に、支持材40と支持部41,42との固定構造を説明する。図8および図9に示すように、支持材40の下端部は、ボルトBおよびナットNを用いて支持部41または支持部42(図8,9では支持部42を図示)に固定されている。以下では、支持部42への固定構造を説明する。支持材40は、一対のブラケット47,47を介して支持部42に固定されている。ブラケット47は断面L字形状を呈している。支持部42上には、アンカーボルトB1およびナットNを用いてブラケット47の底面部が固定されている。ブラケット47,47は、支持材40を両側から挟むように配置されている。ブラケット47の立上り部は、支持材40の第一対面40aに当接している。ブラケット47と支持材40を固定するボルトBの頭部は、対面40aを含む側面部に形成された二列の収容溝43aにそれぞれ収容されている。各収容溝43aから突出したボルトBの軸部は、ブラケット47の立上り部のボルト孔(図示せず)を貫通している。ボルトBの軸部にナットNを締め付けることで、ボルトBの頭部とナットNで、収容溝43aの係止部45とブラケット47の立上り部が挟持されて、支持材40とブラケット47が固定される。
図2に示すように、前側の支持材40と、後側の支持材40との間には、2本のブレース4が設けられている。一方のブレース4は、一端が前側の支持材40の上端部に連結され、他端が後側の支持材40の下端部に連結されている。他方のブレース4は、一端が前側の支持材40の下端部に連結され、他端が後側の支持材40の上端部に連結されている。
図9に示すように、ブレース4は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。ブレース4は、背面部4aと、背面部4aの両端から立ち上がる一対のリブ4b,4bと、各リブ4bの先端部から外側に広がる鍔部4cとを備えている。背面部4aは、支持材40の第二対面40bに当接する。背面部4aの幅方向中間部は肉厚状に形成されている。なお、ブレース4の本数、配置方向、材質や形状は、前記構成に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。ブレース4と支持材40は、ボルトBとナットNを用いて接続されている。ブレース4の背面部4aにはボルト貫通孔(図示せず)が形成されている。
ブレース4が連結される前側の支持材40と後側の支持材40は、傾斜角度が異なっているため、ブレース4の両端部の背面部4aが接する面が同一面にならないが、ブレース4を捩じることで前側の支持材40と後側の支持材40に固定することができる。あるいは、ブレース4の製作時にあらかじめ、その両端を保持して捩り加工および曲げ加工を行うことで、背面部4aと第二対面40bとが面接触できるようにしておいてもよい。この捩りおよび曲げ加工は、算出された両端の接合面の位置関係に基づいてコンピュータ制御により行う。
以上のような構成の太陽光パネル架台1によれば、下記のような作用効果を得られる。
本実施形態に係る太陽光パネル架台1においては、隣り合う架台ユニット2の垂木受け20同士を連結して一つの太陽光パネル架台1を形成したことによって、横幅の大きい太陽光パネル架台1を形成する場合であっても、垂木受け20の長尺化を抑制することができるので、製造、運搬および施工が容易になり、製造コスト、運搬コストおよび施工コストの上昇を抑制できる。つまり、垂木受け20,20同士の連結は、施工現場にて行うことで、製造や運搬時に、垂木受け20が長尺化されることはない。施工現場では、垂木受け20を支持材40,40で固定した後に、垂木受け20,20同士を連結してもよいし、垂木受け20,20同士を連結した後に、支持材40,40で固定してもよい。
また、ユニット連結用ガセットプレート50を介して垂木受け20同士を連結しているので、連結部における撓みが小さくなる。さらに、ユニット連結用ガセットプレート50の凸条51が垂木受け20の凹溝25に噛み合っているので、ユニット連結用ガセットプレート50と垂木受け20の位置決めを容易にできるとともに、隣り合う垂木受け20,20同士を精度よく直線状に連結することができる。さらには、ユニット連結用ガセットプレート50および垂木受け20自体の剛性を高めることができるとともに、ユニット連結用ガセットプレート50と垂木受け20の接合強度を高くすることができる。また、凸条51や凹溝25が補強リブの役目を果たすので、ユニット連結用ガセットプレート50と垂木受け20の補強効果を得られる。
垂木10、垂木受け20、支持材40、ユニット連結用ガセットプレート50および支持材連結用ガセットプレート50’は、アルミニウム合金製の押出形材にて形成されているので、太陽光パネル架台1の軽量化を図ることができるとともに、各部材の精度を高めることができ取り付け作業が容易且つ正確に行える。また、優れた耐候性と美観を得ることができる。さらには、アルミニウム合金は、リサイクル性に優れているため、架台の老朽化が進んだ後に、材料を再利用することができる。
さらに、ユニット連結用ガセットプレート50と支持材連結用ガセットプレート50’は同一の断面形状を呈しているので、同一の押出形材から形成することができ、製造工程の一部を共用化することができ、製造工程が容易になる。また、ユニット連結用ガセットプレート50と支持材連結用ガセットプレート50’は、互いに上下方向を逆向きにして使用されているが、ユニット連結用ガセットプレート50は、面積が広い第一領域54が上側になるので、ユニット連結用ガセットプレート50と垂木受け20の側面との接触面積を大きくできる。これによって、ユニット連結用ガセットプレート50と垂木受け20との接合強度が高くなる。さらに、ユニット連結用ガセットプレート50が、支持材連結用ガセットプレート50’よりも長尺であるため、垂木受け20の接触面積を大きくできるので、垂木受け20との接続強度をより一層高くすることができる。
一方、支持材連結用ガセットプレート50’は、面積が広い第一領域54が下側になるので、支持材連結用ガセットプレート50’と支持材40の第一対面40aとの接触面積を大きくできる。
さらに、本実施形態では、一の架台ユニット2が、第一の支持部41と第二の支持部42の二点で支持され、2つの架台ユニット2,2を連結してなる太陽光パネル架台1は、全体で四点支持されているように構成したことで、太陽光パネル架台1全体では安定した支持状態を確保できるとともに、架台ユニット2ごとの支持部の点数を軽減できるので、施工が容易になり施工コストの低減を図ることができる。
また、前後に隣り合う支持材40,40間に、ブレース4を架け渡したことによって、倒れにくい太陽光パネル架台1を提供することができる。さらに、本実施形態では、ブレース4を捩れ加工することで、同一面にならない前側の支持材40の第二対面40bと後側の支持材40の第二対面40bとの間に、ブレース4を容易に取り付けることができる。
さらに、支持材連結用ガセットプレート50’を介して、垂木受け20と支持材40を連結するようになっているので、支持材連結用ガセットプレート50’が配置された区間において垂木受け20が補強され、スパン中央での撓みが小さくなる。すなわち、垂木受け20の実質的な支点間距離を短くできるので、垂木受け20にかかる曲げモーメントを低減できる。これによって、垂木受け10の肉厚を薄くでき、断面積を小さくできので、垂木10の軽量化が図れる。
一方、本実施形態の支持材40によれば、各側面にボルトBを設置することができるので、前後左右のいずれの方向にもブレース4を設置することができる。また、ボルトBの設置高さも自由に設定することができる。さらに、ブレース4同士が干渉しない範囲において、複数の側面にブレース4を連結することができる。
次に、垂木10と垂木受け20の固定構造を説明する。この固定構造は、図11および図12に示すように、スペーサ60と、挟持部材80と、ボルトBおよびナットNを用いて、垂木10と垂木受け20とを固定する構造である。
スペーサ60は、垂木10を所定の傾斜角度に保持するための部材であって、挟持部材80は、垂木10を挟持するための部材である。
垂木受け20の上面部は、水平方向に沿っている。垂木受け20の上部の幅方向(図11の紙面左右方向)の両端部には、外側に延出する係止片31,31が設けられている。係止片31には、スペーサ60の下部が係止する。係止片31は、垂木受け20の側面部よりも外側に延出した水平部31aと、水平部31aの先端から垂下する垂下部31bとを備えており、断面L字形状を呈している。水平部31aは、上面部と面一となって、上面部の両端部を構成している。係止片31と側面部の上端部とで、下向きに開口した溝部32が形成されている。側面部には、内側に膨らんだ肉厚部33が形成されている。肉厚部33には、ビス用孔34が形成されている。
図12に示すように、垂木10は、アルミニウム合金製の中空押出形材からなる。垂木10は、ウエブ部11と、ウエブ部11の下部に形成された係止プレート片12a,12aと、ウエブ部11の上部に形成された上フランジ部12b,12bとを備えてなる。上フランジ部12b,12bは、ウエブ部11の上端から外側両方向(ウエブ部11の厚さ方向両側)にそれぞれ延出して設けられている。係止プレート片12aは、ウエブ部11の下端から外側両方向にそれぞれ延出した下フランジ部にて構成されている。係止プレート片12aは、挟持部材80にて押えられる。係止プレート片12aの幅方向先端部(外側端部)には、上方に立ち上がる立上り部13が形成されている。
ウエブ部11の断面形状は、下側が広がった中空の台形形状を呈している。ウエブ部11の上端部には、収容溝14が形成されている。収容溝14には、太陽光パネル3(図1参照)を固定するためのボルト(図示せず)の頭部が挿入される。収容溝14の上部開口端には、両側の溝側壁から内側にそれぞれ延出する一対の係止部15,15が形成されている。
図11および図13に示すように、スペーサ60は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。スペーサ60は、その押出方向が垂木受け20の押出方向と同じになるように配置されている(図12参照)。スペーサ60は、基板部61と、基板部61の両端部から垂下する側壁部66と、側壁部66の下部に設けられる係合部71と、係合部71の下部に設けられる固定部76とを備えており、下面が開口した溝状を呈している。
基板部61の上面は平面状になっており、垂木10の下面に当接する載置面62を構成する。載置面62は水平面に対して傾斜している。載置面62の傾斜角度は、垂木10の長手方向の傾斜角度と等しくなっている。基板部61の下面は、垂木受け20の上面に間隔をあけて対向している。
基板部61には、押出方向に間隔をあけて二つのボルト貫通孔63,63が形成されている。ボルト貫通孔63には、垂木10をスペーサ60と挟持部材80とで挟持するためのボルトBの軸部が挿通される。ボルト貫通孔63,63間の距離は、挿通されたボルトB,B間に垂木10の下端部が配置可能な長さとなっている。
基板部61の下面である対面には、ボルトBが回転するのを防止するための一対のボルト回転防止用突条64a,64bが形成されている。ボルト回転防止用突条64a,64bは、スペーサ60の押出方向に沿って延在している。一対のボルト回転防止用突条64a,64b間の内法寸法は、ボルトBの頭部の二面幅の寸法より大きく、対角距離より小さくなっている。これによって、ボルトBは、ボルト回転防止用突条64a,64b間に頭部が挿入可能でありながらも、回転が阻止された状態となる。傾斜方向下側に位置するボルト回転防止用突条64aは、ボルトBの頭部の厚さ寸法より大きい突出寸法を有しており、その下端部が垂木受け20の上端面に接近している。傾斜方向上側に位置するボルト回転防止用突条64bは、ボルトBの頭部の厚さ寸法より小さい突出寸法を有している。
側壁部66は、基板部61の幅方向両端にそれぞれ設けられている。基板部61の傾斜方向下側の端部から垂下する側壁部66は、基板部61の傾斜方向上側の端部から垂下する側壁部66よりも高さ寸法が小さくなっている。側壁部66,66は、垂木受け20の側面部間の上面部上に位置する。
係合部71は、垂木受け20の係止片31を囲うことができる形状を具備している。具体的には、係合部71は、側壁部66の下端部から外側に延出した水平部71aと、水平部31aの先端(外側端)から垂下する垂下部71bと、垂下部71bの下端部から内側に折り返す折返部71cと、折返部71cの先端(内側端)から上方に立ち上がる立上部71dとを備えている。水平部71aの下面は、垂木受け20の上面部に当接する当接面を構成する。垂下部71bは、係止片31の垂下部31bの外側に位置し、折返部71cは、係止片31の垂下部31bの下側に位置し、立上部71dは、溝部32に入り込んでいる。これによって、係合部71は、係止片31に対して、垂木受け20の押出方向を除く上下左右方向の移動が規制される。
固定部76は、折返部71cの先端(内側端)から垂下している。固定部76の内側面が垂木受け20の側面部に当接する。固定部76の押出方向中間部には、ビス用孔77が形成されている。ビス用孔77は、スペーサ60を取付位置に設置した際に、肉厚部33のビス用孔34に相当する位置に形成されている。固定部76のビス用孔77から肉厚部33のビス用孔34にビスを打ち込むことで、係合部71の垂木受け20の押出方向への移動が規制される。
挟持部材80は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。挟持部材80は、押出方向がスペーサ60の押出方向に直交する方向(垂木10の長手方向)となるように配置されている。図14にも示すように、挟持部材80は、基板部81と脚部82と押圧部83とを備えている。
基板部81は、スペーサ60の載置面62と平行に配置される。基板部81の下面は、スペーサ60の載置面62と間隔をあけて対向する。基板部81の中心部には、ボルト貫通孔84が形成されている。ボルト貫通孔84には、垂木10をスペーサ60に固定するためのボルトBの軸部が挿通される。
脚部82は、基板部81の幅方向の一端部(垂木10の係止プレート片12aと離れた側)に形成されている。脚部82は、基板部81のうち、垂木10とは離れた側端部から下方に突出している。脚部82の下端部は、垂木受け20の上端面に当接する。
押圧部83は、基板部81の幅方向の他端部(垂木10の係止プレート片12aと接する側)である側縁部に形成されている。押圧部83は、係止プレート片12aの端部を押さえて係止する。押圧部83の下面には、係止プレート片12aの立上り部13が入り込む凹溝85が形成されている。
図12に示すように、挟持部材80は、垂木10の幅方向両端部にそれぞれ配置されている。各挟持部材80がボルトBとナットNによって締め付けられると、垂木10の両側の係止プレート片12aが、各挟持部材80によってそれぞれ押さえられる。これと同時に、挟持部材80の脚部82は、垂木受け20の上端面に押し付けられる。
本実施形態では、スペーサ60と、垂木10および挟持部材80との間に通電部材90が介設されている。垂木10の下面は、通電部材90を介して、スペーサ60の載置面62に当接している。通電部材90は、スペーサ60と垂木10間の通電性を高めるための部材である。通電部材90は、金属製板材からなり、ボルトBの軸部が挿通されるボルト貫通孔(図示せず)と、スペーサ60側に突出する第一通電突部(図示せず)と、垂木30側に突出する第二通電突部(図示せず)とを備えている。第一通電突部および第二通電突部は、金属製板材の端縁部をプレスにて折り曲げ加工して形成されている。第一通電突部および第二通電突部は、折り曲げプレス加工時に先端の板厚が薄くなり、断面形状は先端が尖った鋭角の楔形状となっている。そして、第一通電突部が、載置面62の表面に食い込み、第二通電突部が、垂木10の下面と挟持部材80の脚部82の下端に食い込む。
このような構成の垂木10と垂木受け20の固定構造によれば、スペーサ60によって、水平面に対する垂木10の配置角度が決まる。つまり、垂木10は、スペーサ60の載置面62に載置するだけで、所定の配置角度に傾斜するので、容易に組み立てることができる。また、かかる固定構造によれば、垂木10の配置角度の変更に容易に対応できる。つまり、垂木10の配置角度が変更になった場合には、スペーサ60を交換してスペーサ60の載置面62の角度を変えればよい。さらに、垂木受け20の上面部の角度は、水平であればよく、垂木10の下面に合わせる必要がないので、垂木受け20の汎用性を高めることができる。よって、垂木受け20の金型を統一できる。また、スペーサ60は、垂木受け20の水平な上面部に載置されるので、構造的に安定する。
スペーサ60の係合部71が、垂木受け20の係止片31を囲い込むことで、スペーサ60が垂木10に固定されているので、垂木10が上方へ持ち上げられる風圧(負圧)が作用した場合においても、負圧に対抗することができる。さらに、固定部76を垂木受け20の側面部にビス止めしているので、前記負圧に対してより一層対抗できるとともに、スペーサ60の垂木受け20に対する固定位置を規制することができる。
また、スペーサ60が、垂木受け20の長手方向に沿って延在しているおり、ボルト貫通孔63,63は、スペーサ60の長手方向両端部にそれぞれ形成されていることによって、スペーサ60と垂木受け20との接触面積を大きくすることができるので、垂木受け20への応力集中を緩和することができる。さらに、一つのスペーサ60で隣り合う複数のボルトB,Bを固定できるので、施工手間が低減される。
また、スペーサ60では、ボルト回転防止用突条64a,64bが補強リブの役目を果たすとともに、係合部71が屈曲して形成されているので、スペーサ60の軽量化を図りつつ効率的にスペーサ60の断面剛性を大きくすることができる。挟持部材80においても、脚部82が補強リブの役目を果たすことになるので、挟持部材80の軽量化を図りつつ効率的に挟持部材80の断面剛性を大きくすることができる。
さらに、係止プレート片12aの立上り部13が、押圧部83の凹溝85に入り込んでいるので、垂木受け20と垂木10の固定強度をより一層高めることができる。具体的には、立上り部13が凹溝85に噛み合うことで、垂木10が幅方向にずれるのを確実に防止できる。さらには、係止プレート片12aと挟持部材80との接触面積を大きくできるので、垂木10と挟持部材80との間に発生する摩擦力を大きくできる。したがって、垂木10がその長手方向にずれることも防止できる。
また、本実施形態では、通電部材90を、スペーサ60と、垂木10および挟持部材80の間に介設したことによって、第一通電突部が、スペーサ60の載置面62の表面に食い込み、載置面62の耐食被覆層を貫通する。これによって、通電部材90とスペーサ60との通電性が確保される。さらに、通電部材90の第二通電突部は、垂木10の下面(係止プレート片12aの下面)と、挟持部材80の脚部82の下端に食い込み、係止プレート片12aの表面の耐食被覆層と、挟持部材80の脚部82の表面の耐食被覆層を貫通する。これによって、通電部材90と、垂木10および挟持部材80との通電性が確保される。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、本実施形態では、二つの架台ユニット2,2を連結して一の太陽光パネル架台1を形成しているが、これに限定されるものではなく、三つ以上の架台ユニットを連結して太陽光パネル架台を形成してもよい。
また、前記実施形態では、垂木10や垂木受け20などの各部材がアルミニウム合金製の押出形材にて構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、ステンレス合金、鋼製材料や樹脂材料など他の材料にて形成してもよい。また、押出形材ではなく、板材を屈曲加工して形成してもよい。