JP2014143992A - 乗用型田植機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジンの動力が、ミッションケースの内部に備えられた株間変速装置に伝達されるように構成する。株間変速装置と苗植付装置との間に、不等速伝動装置52と、苗植付装置に掛かる負荷が設定値以下であると下手側に動力を伝達し苗植付装置に掛かる負荷が設定値を超えると下手側への動力を遮断するトルクリミッタ53を備えて、株間変速装置の動力が不等速伝動装置52及びトルクリミッタ53を介して苗植付装置に伝達されるように構成する。不等速伝動装置52及びトルクリミッタ53を収納する伝動ケース46を、ミッションケースとは別に備える。
【選択図】図4
Description
これにより、株間変速装置により苗植付装置に伝達される動力を十分に減速しても(疎稙を行っても)、植付アームが田面を掻く状態を小さくすることができ、植付アームによる苗の植付姿勢が悪くなる状態を少なくすることができる。
この場合、作業地での植付状態や田面の状態に合わせて、適切な不等速状態が得られるように、不等速伝動装置の調整(伝動ギヤの交換等)を比較的頻繁に行う必要がある。
これにより、苗植付装置に掛かる負荷が設定値以下であると、トルクリミッタが伝動状態となって苗植付装置に動力が伝達されて、通常の植付作業が行われる。苗植付装置に掛かる負荷が設定値を超えると、トルクリミッタが遮断状態となって苗植付装置が停止し、各部の破損が防止される。
(構成)
本発明の第1特徴は、乗用型田植機において次のように構成することにある。
エンジンの動力が、ミッションケースの内部に備えられた株間変速装置に伝達されるように構成し、
前記株間変速装置と苗植付装置との間に、不等速伝動装置と、前記苗植付装置に掛かる負荷が設定値以下であると下手側に動力を伝達し前記苗植付装置に掛かる負荷が前記設定値を超えると下手側への動力を遮断するトルクリミッタとを備えて、
前記株間変速装置の動力が前記不等速伝動装置及び前記トルクリミッタを介して前記苗植付装置に伝達されるように構成し、
前記不等速伝動装置及び前記トルクリミッタを収納する伝動ケースを、前記ミッションケースとは別に備えている。
本発明の第1特徴によると、比較的頻繁に調整する必要がある不等速伝動装置及びトルクリミッタにおいて、ミッジョンケースとは別の同じ伝動ケースに不等速伝動装置及びトルクリミッタを収納しているので、伝動ケースを開けることにより、不等速伝動装置の調整及びトルクリミッタの調整を同時に行うことができる。
これにより、不等速伝動装置とトルクリミッタとを別々の伝動ケースに収納する構成に比べて、伝動ケースの開け及び閉じ作業の回数が少なくなって、メンテナンス性を向上させることができる。
これに対して本発明の第1特徴によると、伝動ケースは不等速伝動装置及びトルクリミッタのみを収納する程度の容積でよく比較的小型に構成することができるので、伝動ケースの開け及び閉じ作業はあまり多くの手間を要しない。
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の乗用型田植機において次のように構成することにある。
前記不等速伝動装置が、
上手側の偏芯ギヤと下手側の偏芯ギヤとを咬合させて構成されている。
本発明の第2特徴によると、上手側の偏芯ギヤと下手側の偏芯ギヤとを咬合させた比較的簡単な構造により不等速伝動装置が構成されるので、生産コストの低減の面で有利なものとなる。
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1特徴の乗用型田植機において次のように構成することにある。
前記不等速伝動装置が、
上手側伝動軸と、前記上手側伝動軸の端部の半径方向外側に配置されて前記上手側伝動軸と一体回転する上手側伝動部と、偏芯した状態で前記上手側伝動軸の端部に突き合わされるように配置された下手側伝動軸と、前記下手側伝動軸の端部の半径方向外側に配置されて前記下手側伝動軸と一体回転する下手側伝動部とを備え、
前記上手側及び下手側伝動軸の偏芯に基づく回転軌跡の差を吸収する融通部を介して、前記上手側及び下手側伝動部を係合させることにより、前記上手側伝動軸の動力が前記下手側伝動軸に伝達されるように構成されている。
本発明の第3特徴によると、上手側及び下手側伝動部を融通により係合させた比較的簡単な構造により不等速伝動装置が構成されるので、生産コストの低減の面で有利なものとなる。
図1に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2を備えた機体の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられており、リンク機構3の後部に6条植型式の苗植付装置5が支持されて、乗用型田植機が構成されている。
次に、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2への走行伝動系について説明する。
図1に示すように、機体の前部にミッションケース17が備えられ、ミッションケース17の前部に連結された支持フレーム18にエンジン19が支持されている。ミッションケース17の右及び左の横側部に右及び左の前車軸ケース20が連結されており、右及び左の前輪1が右及び左の前車軸ケース20の縦軸芯周りに操向自在に支持されている。
次に、苗植付装置5への植付伝動系について説明する。
図2に示すように、伝動ギヤ31がワンウェイクラッチ32を介して伝動軸22に外嵌されており、ワンウェイクラッチ32により静油圧式無段変速装置21の出力軸21bの前進の動力が伝動ギヤ31に伝達される。
次に、昇降レバー47と植付クラッチ42との関係について説明する。
図1及び図2に示すように、運転席11の右横側部に、昇降レバー47が前後に揺動操作自在に備えられており、昇降レバー47は上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在に構成されている。油圧シリンダ4に作動油を給排操作する制御弁50と昇降レバー47とが接続されている。
この場合、機体前後方向に配置された右及び左の機体フレーム49と伝動軸43との下側において(伝動軸38の上側)、右及び左の機体フレーム49と伝動軸43とを平面視で斜めに交差するように操作ロッド48が配置されている。
昇降レバー47を植付位置に操作すると、苗植付装置5が他面から設定高さに維持されるように(植付アーム8による苗の植付深さが設定深さに維持されるように)、制御弁50が自動的に操作された状態で、植付クラッチ42が伝動状態に操作される。
次に、伝動軸39と伝動軸43との接続部分、伝動軸43と伝動ケース46の入力軸87との接続部分、伝動ケース46の出力軸54と伝動軸44との接続部分について説明する。
前述の接続部分において、伝動軸39と伝動軸43との接続部分を代表して説明する。図3(a)に示すように、伝動軸39,43の突き合わせ部分であるスプライン部において、外周部に等ピッチで凸条部39a,43aが形成され、180度の位相のずれを置いて一対の凹条部39b,43bが形成されている。図3(b)に示すように、伝動軸39と伝動軸43とを接続する円筒状の連結部材60において、内周部に等ピッチで凹条部60bが形成され、180度の位相のずれを置いて一対の凸条部60aが形成されている。
次に、伝動ケース46について説明する。
図1及び図2に示すように、伝動ケース46はミッションケース17(株間変速装置38)の伝動下手側に配置されて、伝動軸43と伝動軸44との間に配置されており、運転席11の下方に配置されている。
伝動ケース46を開けることにより、後述するように不等速伝動装置52の調整及びトルクリミッタ53の調整を同時に行うことができる。この場合、伝動ケース46を、大きな本体部分に対して伝動軸43側の部分又は出力軸54側の部分を蓋部分として着脱自在に構成してもよい。
次に、伝動ケース46の不等速伝動装置52について説明する(その1)。
図4に示すように、伝動ケース46の内部において、伝動ケース46の入力軸87と平行に円筒軸55が備えられて、伝動ケース46の入力軸87に固定された伝動ギヤ56と円筒軸55に固定された伝動ギヤ57とが咬合している。伝動ギヤ56,57は同じ歯数を備えた円形ギヤに構成されており、伝動ケース46の入力軸87から円筒軸55へ等速の動力が伝達される。
第1及び第2密植ギヤ63,64は同じ歯数を備えた偏芯ギヤに構成されており、第1及び第2密植ギヤ63,64により円筒軸55から伝動軸58へ不等速の動力が伝達される。第1及び第2疎植ギヤ65,66は同じ歯数を備えた偏芯ギヤに構成されており、第1及び第2疎植ギヤ65,66により円筒軸55から伝動軸58へ不等速の動力が伝達される。
以上のように、第1及び第2標準ギヤ61,62、第1及び第2密植ギヤ63,64、第1及び第2疎植ギヤ65,66、操作軸59等により不等速伝動装置52が構成されている。
次に、伝動ケース46の不等速伝動装置52について説明する(その2)。
前項[3]に記載のように、株間変速装置38を標準位置に設定した場合、図4及び前項[7]に記載のように、不等速伝動装置52を標準状態に設定する。
不等速伝動装置52の密植状態において、植付アーム8が田面付近を通過する際に植付ケース7の回転が減速されて、植付アーム8が田面付近を適正な速度で通過するように、第1及び第2密植ギヤ63,64が設定されている。これにより、植付アーム8が田面付近を適正な速度で通過して苗を植え付けることになり、植付アーム8が通過軌跡が適正なものとなって、植付アーム8による苗の植付姿勢が良いものとなる。
不等速伝動装置52の疎植状態において、植付アーム8が田面付近を通過する際に植付ケース7の回転が増速されて、植付アーム8が田面付近を適正な速度で通過するように、第1及び第2疎植ギヤ65,66が設定されている。これにより、植付アーム8が田面付近を適正な速度で通過して苗を植え付けることになり、植付アーム8が通過軌跡が適正なものとなって、植付アーム8による苗の植付姿勢が良いものとなる。
次に、伝動ケース46のトルクリミッタ53について説明する。
図4に示すように、伝動軸58の端部に第1咬合部67が固定されている。伝動ケース46の出力軸54が伝動軸58と同芯状に相対回転自在に支持されて、伝動ケース46の出力軸54の端部に、第2咬合部68がスプライン構造にて伝動ケース46の出力軸54と一体回転及びスライド自在に外嵌されている。
この場合、バネ受け69の位置を伝動ケース46の出力軸54の軸芯方向に沿って調整することができるように構成されているので、バネ受け69の位置を調整することによって、バネ70の初期付勢力を調整することができる。
苗植付装置5に掛かる負荷が設定値を超えると、バネ70の付勢力が負荷に負けて、第2咬合部68が第1咬合部67から図4の紙面右方に離れる。これによって、トルクリミッタ53が遮断状態となって苗植付装置5が停止し、各部の破損が防止される。
この場合、前項[6]に記載のように伝動ケース46を開けた状態において、バネ受け69の位置を調整してバネ70の初期付勢力を調整したり、別のバネ70に交換したりすることにより、トルクリミッタ53が遮断状態(第2咬合部68が第1咬合部67から離れる状態)となる設定値の調整を行うことができる。
前述の[発明を実施するための形態]の不等速伝動装置52において、第1及び第2密植ギヤ63,64、第1及び第2疎稙ギヤ65,66に代えて、以下に示す構造を採用してもよい。
図5及び図6に示すように、上手側伝動軸71が軸芯P1周りに回転自在に支持され、上手側伝動軸71の端部に円板部材72が固定されており、軸芯P1から所定距離だけ半径方向外側の円板部材72の位置にピン73(上手側伝動部に相当)が固定されて、ピン73にカラー74が回転自在に外嵌されている。
この場合、円板部材72におけるピン73(カラー74)の位置(軸芯P1とピン73(カラー74)との距離)を変更することにより、前述の下手側伝動軸75の角速度を変更することができる。
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]において、不等速伝動装置52及びトルクリミッタ53の伝動上手側及び下手側の位置を入れ換えて、伝動軸43の動力が伝動ケース46の入力軸87からトルクリミッタ53に伝達され、トルクリミッタ53から不等速伝動装置52に伝達されて、不等速伝動装置52動力が伝動ケース46の出力軸54に伝達されるように構成してもよい。
不等速伝動装置52において、第1及び第2標準ギヤ61,62を備えないように構成してもよい。このように構成すると、密植又は疎稙専用の乗用型田植機となる。
図7に示すように、伝動ケース6の後部の右及び左側部に回転駆動自在に支持された植付ケース7において、例えば6条植型式の乗用型田植機の場合、1,3,5条目の植付ケース7の位相を同じに設定し、2,4,6条目の植付ケース7の位相を、1,3,5条目の植付ケース7に対して90度だけ異ならせるように構成してもよい。
これにより、千鳥植えを行うことができるのであり、苗植付装置5の全体の振動を抑えることができる。
図8に示すように、植付ケース7を側面視で三角形状に構成して、3個の植付アーム8を植付ケース7に等ピッチで備えるように構成してもよい。これにより、苗植付装置5の全体の振動を抑えることができる。
エンジン19の出力軸19aの動力を静油圧式無段変速装置21の入力軸21aに伝達する伝動ベルト23に対して、以下に示す構造を採用してもよい。
図9に示すように、伝動ベルト23の張力を調節するテンションプーリー77、テンションプーリー77を支持するテンションアーム78、テンションアーム78を操作する電動式のアクチュエータ79、運転者が踏み操作するもので戻り側に付勢されたクラッチペダル80を備えて、伝動ベルト23によりテンションクラッチ型式の主クラッチを構成する。
エンジン19の出力軸19aの動力を静油圧式無段変速装置21の入力軸21aに伝達する伝動ベルト23に対して、以下に示す構造を採用してもよい。
図10に示すように、エンジン19の出力軸19aに高速、中速及び低速の出力プーリー19bを固定して、静油圧式無段変速装置21の入力軸21aに高速、中速及び低速の入力プーリー21cを固定する。
静油圧式無段変速装置21において、以下に示す構造を採用してもよい。
図11に示すように、静油圧式無段変速装置21の入力軸21aを、静油圧式無段変速装置21の出力軸21bと同じ側まで貫通させて突出させる。遠心クラッチを利用した動力切換機構85を静油圧式無段変速装置21の出力軸21bに取り付けて、静油圧式無段変速装置21の入力軸21aと動力切換機構85とをギヤ機構86により接続し、動力切換機構85と伝動軸22とを接続する。
17 ミッションケース
19 エンジン
38 株間変速装置
46 伝動ケース
52 不等速伝動装置
53 トルクリミッタ
61,63 偏芯ギヤ
62,64 偏芯ギヤ
71 上手側伝動軸
73 上手側伝動部
75 下手側伝動軸
76 下手側伝動部
76a 融通部
Claims (3)
- エンジンの動力が、ミッションケースの内部に備えられた株間変速装置に伝達されるように構成し、
前記株間変速装置と苗植付装置との間に、不等速伝動装置と、前記苗植付装置に掛かる負荷が設定値以下であると下手側に動力を伝達し前記苗植付装置に掛かる負荷が前記設定値を超えると下手側への動力を遮断するトルクリミッタとを備えて、
前記株間変速装置の動力が前記不等速伝動装置及び前記トルクリミッタを介して前記苗植付装置に伝達されるように構成し、
前記不等速伝動装置及び前記トルクリミッタを収納する伝動ケースを、前記ミッションケースとは別に備えている乗用型田植機。 - 前記不等速伝動装置が、
上手側の偏芯ギヤと下手側の偏芯ギヤとを咬合させて構成されている請求項1に記載の乗用型田植機。 - 前記不等速伝動装置が、
上手側伝動軸と、前記上手側伝動軸の端部の半径方向外側に配置されて前記上手側伝動軸と一体回転する上手側伝動部と、偏芯した状態で前記上手側伝動軸の端部に突き合わされるように配置された下手側伝動軸と、前記下手側伝動軸の端部の半径方向外側に配置されて前記下手側伝動軸と一体回転する下手側伝動部とを備え、
前記上手側及び下手側伝動軸の偏芯に基づく回転軌跡の差を吸収する融通部を介して、前記上手側及び下手側伝動部を係合させることにより、前記上手側伝動軸の動力が前記下手側伝動軸に伝達されるように構成されている請求項1に記載の乗用型田植機。
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