JP2014139290A - 複合フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】離型性(又は剥離性)に優れ、薄肉であっても強度が高い複合フィルムを提供する。
【解決手段】セルロース繊維で形成されたセルロース不織布中に液状シリコーンゴム組成物を含浸し、硬化させて、複合フィルムを調製する。この複合フィルムの平均厚みは5〜1000μm程度であってもよく、100μm厚の全光線透過率が50%以上であってもよい。前記シリコーンゴムはポリジメチルシロキサン単位を含む二液硬化型シリコーンゴムであってもよい。前記セルロース繊維の表面は疎水化剤(特にシランカップリング剤)で処理されていてもよい。前記セルロース繊維は植物由来のフィブリル化繊維であってもよく、最大繊維径は2μm以下であってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、シリコーンゴム及びセルロース繊維を含む複合フィルム及びその製造方法に関する。
ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのシリコーンゴムを用いた部材は、光学材料や半導体用材料及びその製造プロセス上、重要な材料であり、特に、ソフトモールドやマイクロ流体チップ基材、各種接着剤などに利用されている。なかでも、ソフトモールドやマイクロ流体チップ基材などの分野では、シリコーンゴムをシート(又はフィルム)化して使用することが多い。しかし、シリコーンゴムの中でも、PDMSは、特にコシがなく、非常に脆いために薄膜化するのが困難であり、通常、相当な厚みを持たせることによってハンドリングに必要な強度を担保している。しかし、大面積のPDMSシートを作製しようとすると、大量のPDMSが必要であり、大幅なコストアップにつながるため、PDMSシートの薄膜化が求められている。
特開2007−1288号公報(特許文献1)には、2方向のシートで構成されたUV透過率の高い支持フィルムと、この支持フィルム全体を取り囲み、一面に凹凸が形成されたモールドとで構成されたソフトモールドが開示されている。この文献には、前記支持フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが記載され、前記モールドとして、PDMSで形成されたモールドが記載されている。この文献では、透明フィルムを芯材としてPDMSで取り囲まれた薄膜を形成することにより、薄型化と強度とを両立している。
しかし、支持フィルムは、大きな面積にすると、曲面への追随性が低下し、支持フィルムとPDMSとの接着強度が弱いため、繰り返し使用したときに剥離が起こる。また、PETフィルムで形成された支持フィルムは、耐熱性が低く、熱に対して変形し易い。
一方、特開2007−146143号公報(特許文献2)には、封止剤、接着剤又は充填剤として用いられる樹脂組成物として、平均繊維径4〜200nmのセルロース繊維とマトリックス樹脂の液状前駆体とを含む透明な繊維強化複合樹脂組成物が開示されている。この文献には、マトリックス樹脂としては、透明性の高いアクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂が好ましいと記載されている。この文献の実施例では、含水バクテリアセルロースの水懸濁液に対して、水をゲル状のシリコーン樹脂(ジーイー東芝シリコーン製TSE3051)に置換して、繊維含有率10%の繊維強化複合樹脂組成物及び硬化物を調製している。
しかし、この文献には、繊維強化複合樹脂組成物のシート化(又はフィルム化)については記載されておらず、シリコーン樹脂の詳細も記載されていない。さらに、実施例で使用されているシリコーン樹脂は、シリコーンゲルと称される弾性率が低いシリコーン化合物であり、ハンドリング性が低く、シート化(特に、薄肉のシート化)は困難である。
特開2007−1288号公報(特許請求の範囲) 特開2007−146143号公報(請求項1、段落[0086]、実施例)
従って、本発明の目的は、離型性(又は剥離性)に優れ、薄肉であっても強度が高い複合フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、透明性に優れ、紫外線の透過性が高い複合フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、耐熱性が高い複合フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、表面平滑性が高い複合フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、セルロース繊維と特定の引張弾性率を有するシリコーンゴムとを組み合わせることにより、離型性に優れ、薄肉であっても強度が高い複合フィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の複合フィルムは、セルロース繊維と引張弾性率が0.1〜2000MPaであるシリコーンゴムとを含む。本発明の複合フィルムの平均厚みは5〜1000μm程度であってもよい。本発明の複合フィルムは、100μm厚の全光線透過率が50%以上であってもよい。前記シリコーンゴムは、ポリジメチルシロキサン単位を含む二液硬化型シリコーンゴムであってもよい。前記セルロース繊維の表面は疎水化剤(特にシランカップリング剤)で処理されていてもよい。前記セルロース繊維は植物由来のフィブリル化繊維であってもよく、最大繊維径は2μm以下であってもよい。前記シリコーンゴムの割合は、セルロース繊維100重量部に対して10〜2000重量部程度である。本発明の複合フィルムは、セルロース繊維で形成されたセルロース不織布と、このセルロース不織布に含浸し、かつ硬化したシリコーンゴムとで形成されていてもよい。本発明の複合フィルムは、破断点応力が4.0MPa以上(特に8.0MPa以上)であってもよい。本発明の複合フィルムは、ソフトモールドに用いられるフィルムであってもよい。
本発明には、セルロース繊維及び液状シリコーンゴム組成物を混合する混合工程及び液状シリコーンゴムを硬化させる硬化工程を含む前記複合フィルムの製造方法も含まれる。前記混合工程は、セルロース繊維を抄紙してセルロース不織布を得る抄紙工程及びセルロース不織布に液状シリコーンゴム組成物を含浸させる含浸工程を含んでいてもよい。前記抄紙工程において、セルロース繊維を含む水分散液中の水の少なくとも一部を有機溶媒で置換した後、湿式抄紙してもよい。前記含浸工程において、液状シリコーンゴム組成物を含浸させる前に、セルロース布を疎水化剤で表面処理してもよい。前記含浸工程において、加圧してセルロース不織布に液状シリコーンゴム組成物を含浸させてもよい。
本発明では、セルロース繊維と特定の引張弾性率を有するシリコーンゴムとを組み合わせているため、離型性に優れ、薄肉であっても強度が高い。また、透明性に優れ、紫外線の透過性が高い。さらに、シリコーンゴム及びセルロース繊維で形成されているため、耐熱性も高い。
図1は、実施例で得られた複合フィルムのシリコーンゴム(PDMS)/セルロース不織布の重量比に対する破断点応力のグラフである。
[複合フィルム]
本発明の複合フィルムは、セルロース繊維と引張弾性率が0.1〜2000MPaであるシリコーンゴム(硬化したシリコーンゴム)とを含む。
(セルロース繊維)
セルロース繊維としては、β−1,4−グルカン構造を有する多糖類である限り、特に制限されず、高等植物由来のセルロース繊維[例えば、木材繊維(針葉樹、広葉樹などの木材パルプなど)、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維(コットンリンター、ボンバックス綿、カポックなど)、ジン皮繊維(例えば、麻、コウゾ、ミツマタなど)、葉繊維(例えば、マニラ麻、ニュージーランド麻など)などの天然セルロース繊維(パルプ繊維)など]、動物由来のセルロース繊維(ホヤセルロースなど)、バクテリア由来のセルロース繊維、化学的に合成されたセルロース繊維[セルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロースなどの無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル;ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロースなど);カルボキシアルキルセルロース(カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロースなど);アルキルセルロース(メチルセルロース、エチルセルロースなど);再生セルロース(レーヨン、セロファンなど)などのセルロース誘導体など]などが挙げられる。これらのセルロース繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、前記セルロース繊維は、用途に応じて、α−セルロース含有量の高い高純度セルロース、例えば、α−セルロース含有量70〜100重量%(例えば、95〜100重量%)、好ましくは98〜100重量%程度であってもよい。さらに、リグニンやヘミセルロース含量の少ない高純度セルロースを使用することにより、木材繊維や種子毛繊維を使用しても、ナノメータサイズで、かつ均一な繊維径を有する微小セルロース繊維を調製できる。リグニンやヘミセルロース含量の少ないセルロースは、特に、カッパー価(κ価)が30以下(例えば、0〜30)、好ましくは0〜20、さらに好ましくは0〜10(特に0〜5)程度のセルロースであってもよい。なお、カッパー価は、JIS P8211の「パルプ−カッパー価試験方法」に準拠した方法で測定できる。
これらのセルロース繊維のうち、生産性が高く、適度な繊維径及び繊維長を有する点から、植物由来のセルロース繊維、例えば、木材繊維(針葉樹、広葉樹などの木材パルプなど)や種子毛繊維(コットンリンターパルプなど)などのパルプ由来の微小セルロース繊維が好ましい。前記パルプは、機械的方法で得られたパルプ(砕木パルプ、リファイナ・グランド・パルプ、サーモメカニカルパルプ、セミケミカルパルプ、ケミグランドパルプなど)、又は化学的方法で得られたパルプ(クラフトパルプ、亜硫酸パルプなど)などであってもよく、必要に応じて、後述するような叩解(予備叩解)処理された叩解繊維(叩解パルプなど)であってもよい。また、セルロース繊維は、慣用の精製処理、例えば、脱脂処理などが施された繊維(例えば、脱脂綿など)であってもよい。ナノメータサイズの微小セルロース繊維をミクロフィブリル化して調製する場合、原料繊維同士の絡まりを抑制し、ホモジナイズ処理による効率的なミクロフィブリル化を実現し、均一なナノメータサイズの微小繊維を得る観点から、ネバードライパルプ、すなわち乾燥履歴のないパルプ(乾燥することなく、湿潤状態を保持したパルプ)が特に好ましい。ネバードライパルプは、木材繊維及び/又は種子毛繊維で構成されたパルプであり、かつカッパー価が30以下(特に0〜10程度)のパルプであってもよい。このようなパルプは、木材繊維及び/又は種子毛繊維を塩素で漂白処理することにより調製してもよい。
セルロース繊維の繊維径は、平均繊維径が10μm以下であればよく、例えば、4nm〜10μm(例えば、5nm〜5μm)程度の範囲から選択できるが、薄肉化でき、かつ透明性を向上できる点から、ナノメータサイズの微小セルロース繊維が好ましい。微小セルロース繊維の平均繊維径は10〜1000nm程度の範囲から選択でき、例えば、10〜800nm、好ましくは15〜500nm、さらに好ましくは20〜300nm(特に25〜100nm)程度である。
微小セルロース繊維の最大繊維径は2μm以下(例えば、20〜2000nm)であってもよく、例えば、20〜1000nm、好ましくは30〜500nm、さらに好ましくは40〜300nm(特に50〜100nm)程度であってもよい。微小セルロース繊維の繊維径分布の標準偏差は、例えば、1μm以下(例えば、5〜1000nm)、好ましくは10〜500nm、さらに好ましくは10〜100nm程度である。
なお、本発明において、前記平均繊維径、繊維径分布の標準偏差、最大繊維径は、電子顕微鏡写真に基づいて測定した繊維径(n=20程度)から算出した値である。
セルロース繊維の平均繊維長は、特に限定されず、長繊維であってもよいが、ミクロフィブリル化繊維の場合、10〜3000μm程度の範囲から選択でき、複合フィルムの機械的特性を向上できる点から、例えば、100〜1000μm、好ましくは200〜800μm、さらに好ましくは300〜700μm(特に400〜600μm)程度であってもよい。さらに、平均繊維径に対する平均繊維長の比(平均繊維長/平均繊維径)(平均アスペクト比)は300以上であってもよく、例えば、500以上(例えば、500〜10000)、好ましくは800〜5000、さらに好ましくは1000〜3000(特に1500〜2000)程度である。
セルロース繊維の横断面形状(繊維の長手方向に垂直な断面形状)は、バクテリアセルロースのような異方形状(扁平形状)であってもよいが、植物由来のセルロース繊維の場合、略等方形状が好ましい。略等方形状としては、例えば、真円形状、正多角形状などであり、略円形状の場合、断面の短径に対する長径の比(平均アスペクト比)は、例えば、1〜2、好ましくは1〜1.5、さらに好ましくは1〜1.3(特に1〜1.2)程度である。
前記セルロース繊維のうち、植物由来の微小セルロース繊維が好ましい。植物由来の微小セルロース繊維は、通常、原料セルロース繊維をミクロフィブリル化する方法により得られる。ミクロフィブリル化の方法としては、原料繊維を溶媒に分散させて分散液を調製する分散液調製工程、前記分散液をミクロフィブリル化するミクロフィブリル化工程を経て製造してもよい。
原料繊維の平均繊維長は、例えば、0.01〜5mm、好ましくは0.03〜4mm、さらに好ましくは0.06〜3mm(特に、0.1〜2mm)程度であり、通常0.1〜5mm程度である。また、原料繊維の平均繊維径は、0.01〜500μm、好ましくは0.05〜400μm、さらに好ましくは0.1〜300μm(特に0.2〜250μm)程度である。
溶媒としては、原料繊維に化学的又は物理的損傷を与えない限り特に制限されず、例えば、水、有機溶媒[アルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソプロパノールなどC1−4アルカノールなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジC1−4アルキルエーテル、テトラヒドロフランなどの環状エーテル(環状C4−6エーテルなど))、エステル類(酢酸エチルなどアルカン酸エステル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンなどのジC1−5アルキルケトン、シクロヘキサノンなどのC4−10シクロアルカノンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン系炭化水素類(塩化メチル、フッ化メチルなど)など]などが挙げられる。
これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。また、これらの溶媒のうち、生産性、コストの点から、水が好適であり、必要により、水と水性有機溶媒(C1−4アルカノール、アセトンなど)との混合溶媒を用いてもよい。特に、溶媒として水を用いるとともに、有機溶媒で置換する工程を経ずに製造することにより、生産性が高く、有機溶媒の使用により環境に負荷を与えることなく、微小セルロース繊維を製造できる。
ミクロフィブリル化工程に供する原料繊維は、溶媒中に少なくとも共存した状態であればよく、ミクロフィブリル化に先だって、原料繊維を溶媒中に分散(又は懸濁)させてもよい。分散は、例えば、慣用の分散機(超音波分散機、ホモディスパー、スリーワンモーターなど)などを用いて行ってもよい。なお、前記分散機は、機械的撹拌手段(撹拌棒、撹拌子など)を備えていてもよい。
原料繊維の溶媒中における濃度は、例えば、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%(特に0.5〜3重量%)程度であってもよい。
ミクロフィブリル化工程では、前記分散液を、慣用の方法、例えば、叩解処理、ホモジナイズ処理することなどによりミクロフィブリル化できる。叩解処理では、例えば、慣用の叩解機、例えば、ビーター、ジョルダン、コニカルリファイナー、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナーなどを利用できる。ホモジナイズ処理では、慣用の均質化装置、例えば、ホモジナイザー(特に高圧ホモジナイザー)を利用できる。なお、必要により、前記分散液を前記方法により叩解処理(予備叩解処理)した後、ホモジナイズ処理してもよい。さらに、ホモジナイズ処理の条件としては、特公昭60−19921号公報、特開2011−26760号公報、特開2012−25833号公報、特開2012−36517号公報、特開2012−36518号公報に記載の方法を利用でき、特に、繊維径100nm以下程度のナノファイバーを製造する場合、特開2011−26760号公報、特開2012−25833号公報、特開2012−36517号公報、特開2012−36518号公報に記載の方法のうち、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザーによるホモジナイズ処理を利用してもよい。
セルロース繊維の表面は、シリコーンゴムとの密着性を向上させるために、疎水化剤で処理されていてもよい。疎水化剤としては、セルロース繊維の表面を疎水化できればよく、特に限定されないが、各種のカップリング剤などを使用できるが、シリコーンゴムとの親和性などの点から、シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、アルコキシシリル基含有シランカップリング剤(例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラC1−4アルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシランなどのC1−12アルキルトリC1−4アルコキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどのジC2−4アルキルジC1−4アルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどのアリールC1−4アルコキシシランなど)、ハロゲン含有シランカップリング剤[例えば、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどのトリフルオロC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシランなどのパーフルオロアルキルC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシランなどのクロロC2―4アルキルトリC1−4アルコキシシラン、メチルトリクロロシランなどのC1−4アルキルトリクロロシランなど]、ビニル基含有シランカップリング剤(例えば、ビニルトリメトキシシランなどのビニルトリC1−4アルコキシシランなど)、エチレン性不飽和結合基含有シランカップリング剤[例えば、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどの(メタ)アクリロキシC2−4アルキルC1−4アルコキシシランなど]、エポキシ基含有シランカップリング剤[例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどの脂環式エポキシ基を有するC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどのグリシジルオキシC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン、3−(2−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシランなどの(グリシジルオキシC1−4アルコキシ)C2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど]、アミノ基含有シランカップリング剤[例えば、2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノC2−4アルキルC1−4アルコキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシランN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシランなど]、メルカプト基含有シランカップリング剤(例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど)、カルボキシル基含有シランカップリング剤(2−カルボキシエチルトリメトキシシランなどのカルボキシC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど)、シラノール基含有シランカップリング剤(例えば、トリメチルシラノールなど)などが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのシランカップリング剤のうち、セルロース繊維とシリコーンゴムとの接着性及び透明性を向上できる点から、ビニル基含有シランカップリング剤、特に、ビニルトリメトキシシランなどのビニルトリC1−4アルコキシシランが好ましい。
疎水化剤(特にシランカップリング剤)の割合は、セルロース繊維100重量部に対して、例えば、0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.8重量部、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部程度である。疎水化剤の割合が少なすぎると、複合フィルムの機械的特性を向上する効果が小さく、多すぎると、複合フィルムの表面から疎水化剤がブリードアウトする。
(シリコーンゴム)
シリコーンゴムは、ポリオルガノシロキサン構造を有する硬化性ゴムであればよい。ポリオルガノシロキサンは、Si−O結合(シロキサン結合)を有する直鎖状、分岐鎖状又は網目状の化合物であって、式:RSiO(4−a)/2(式中、係数aは0〜3の数である)で表される単位で構成されている。
前記式において、置換基Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのC1−10アルキル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などのハロゲン化C1−10アルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基などのC2−10アルケニル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのC6−20アリール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC3−10シクロアルキル基、ベンジル基、フェネチル基などのC6−12アリール−C1−4アルキル基などが挙げられる。これらの置換基は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、Rとしては、メチル基、フェニル基、アルケニル基(ビニル基など)、フルオロC1−6アルキル基が好ましい。
ポリオルガノシロキサンとしては、例えば、ポリジアルキルシロキサン(ポリジメチルシロキサンなどのポリジC1−10アルキルシロキサン)、ポリアルキルアルケニルシロキサン(ポリメチルビニルシロキサンなどのポリC1−10アルキルC2−10アルケニルシロキサン)、ポリアルキルアリールシロキサン(ポリメチルフェニルシロキサンなどのポリC1−10アルキルC6−20アリールシロキサン)、ポリジアリールシロキサン(ポリジフェニルシロキサンなどのポリジC6−20アリールシロキサン)、前記ポリオルガノシロキサン単位で構成された共重合体[ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン−メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体など]などが例示できる。これらのポリオルガノシロキサンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリオルガノシロキサンは、その離型性を失わない程度に、分子末端や主鎖に、エポキシ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基又は置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)、エーテル基、(メタ)アクリロイル基などの置換基を有するポリオルガノシロキサンであってもよい。また、ポリオルガノシロキサンの両末端は、例えば、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、シラノール基、トリC1−2アルコキシシリル基などであってもよい。
これらのポリオルガノシロキサンのうち、柔軟性に優れる点から、ポリジC1−10アルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)を含むのが好ましい。さらに、PDMSは薄肉化が困難であるため、特に、本発明の効果が顕著に発現する。
シリコーンゴムは、前記ポリオルガノシロキサン(液状シリコーンゴム)を硬化(加硫)して得られ、ポリオルガノシロキサンは分岐状や網目状であってもよいが、柔軟性などの点から、直鎖状が好ましい。シリコーンゴムとしては、例えば、メチルシリコーンゴム、ビニルシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フェニルビニルシリコーンゴム、フッ化シリコーンゴムなどが例示できる。これらのうち、PDMSで構成されたメチルシリコーンゴムが好ましい。また、シリコーンゴムは、直鎖状ポリオルガノシロキサン(メチルシリコーンゴムなど)と、分岐状又は網目状ポリオルガノシロキサン(MQレジンなど)との組み合わせであってもよい。
シリコーンゴムは、室温硬化型、熱硬化型のいずれであってもよく、一液硬化型、二液硬化型のいずれであってもよい。これらのうち、取り扱い性や耐熱性などの点から、二液硬化型シリコーンゴムが好ましい。
二液硬化型シリコーンゴムは、ヒドロシリル化反応を利用した二液硬化型シリコーンゴム、例えば、アルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(特に、ビニル基を有するポリジメチルシロキサン)と、オルガノハイドロジエンポリシロキサン(特に、ケイ素原子に結合した複数の水素原子(ヒドリド基又は水素化ケイ素)を有するポリジメチルシロキサン)との組み合わせ(硬化物)であってもよい。この二液硬化型シリコーンゴムでは、オルガノハイドロジエンポリシロキサンが硬化剤として使用され、硬化剤の割合は、アルケニル基を有するポリオルガノシロキサン100重量部に対して、固形分換算で、1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部程度である。
液状シリコーンゴム組成物は、硬化触媒を含んでいてもよい。硬化触媒としては、シリコーンゴムの種類に応じて、慣用の触媒、例えば、有機過酸化物[ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド(ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなど)など]、スズ塩(スズ石けんなど)、白金族金属系化合物(例えば、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金とオレフィンとの錯体、白金とアルケニルシロキサンとの錯体、白金−リン錯体などの白金系触媒、これらの白金系触媒に対応するパラジウム系触媒、ロジウム系触媒など)などを利用できる。硬化触媒の割合は、液状シリコーンゴムに対して、重量基準で、例えば、0.1〜5000ppm、好ましくは1〜1000ppm、さらに好ましくは3〜500ppm程度である。
シリコーンゴム(硬化後のシリコーンゴム)の引張弾性率は、例えば、0.1〜2000MPa、好ましくは0.5〜1000MPa、さらに好ましくは1〜100MPa(特に1〜10MPa)程度であり、例えば、1〜5MPa(特に1.5〜3MPa)程度であってもよい。引張弾性率が小さすぎると(軟らかすぎると)、セルロース繊維と複合化してもハンドリング性が向上せず、特に、ポッティング剤に使用されるようなシリコーンゲルとなり、シート化が不可能である。一方、大きすぎると(硬すぎると)、曲面への追随性が低下し、薄肉化すると、割れが生じ易い。なお、本明細書では、引張弾性率は、JIS K7161に準拠して測定でき、詳細には、後述する実施例の方法で測定できる。
シリコーンゴムの割合は、セルロース繊維100重量部に対して、固形分換算で、10〜15000重量部程度の範囲から選択でき、例えば、100〜10000重量部、好ましくは200〜9000重量部、さらに好ましくは300〜8000重量部程度である。さらに、複合フィルムの破断点応力を向上できる点から、シリコーンゴムの割合は、セルロース繊維100重量部に対して、例えば、10〜2000重量部、好ましくは50〜1500重量部(例えば、100〜1000重量部)、さらに好ましくは200〜500重量部(特に250〜400重量部)程度であってもよい。特に、セルロース繊維の割合が2000重量部以下(特に1000重量部以下)になると、飛躍的に複合フィルムの破断点応力を向上できる。シリコーンゴムの割合が少なすぎると、離型性や透明性が低下し、多すぎると、強度が低下し、薄肉化が困難となる。
(複合フィルムの特性)
本発明の複合フィルムは、セルロース繊維と特定の引張弾性率を有するシリコーンゴムとを組み合わせているため、薄肉でも強度が高い。複合フィルムの平均厚みは、例えば、5〜1000μm(例えば、5〜500μm)、好ましくは10〜300μm、さらに好ましくは30〜200μm(特に50〜150μm)程度である。複合フィルムの厚みが薄すぎると、フィルムの製造が困難となり、厚すぎると、本発明の効果を有効に発現できない。
本発明の複合フィルムは、JIS K6251に準拠して測定される破断点応力が0.5MPa以上であってもよいが、薄肉での強度を向上できる点から、例えば、3.0MPa以上(例えば、3.0〜50MPa)、好ましくは4.0MPa以上(例えば、4.0〜30MPa)、さらに好ましくは8.0MPa以上(例えば、8.0〜20MPa)であってもよい。
本発明の複合フィルムは、透明性も高く、100μm厚の全光線透過率(JIS K7105に準拠して測定した透過率)は50%以上であってもよく、例えば、50〜99%、好ましくは60〜95%、さらに好ましくは70〜90%程度である。
本発明の複合フィルムは、機械的特性も優れており、JIS K7161に準拠して測定される引張弾性率が3MPa以上であり、例えば、3〜30MPa、好ましくは4〜25MPa、さらに好ましくは5〜20MPa(特に8〜15MPa)程度である。引張弾性率が小さすぎると、薄肉での強度が不足する。
本発明の複合フィルムは、用途に応じて、慣用の添加剤、例えば、他の繊維、サイズ剤、ワックス、無機充填剤、着色剤、安定化剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤など)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤などを含有していてもよい。
[複合フィルムの製造方法]
本発明の複合フィルムの製造方法は、セルロース繊維及び液状シリコーンゴム組成物を混合する混合工程及び液状シリコーンゴムを硬化させる硬化工程を含む。
混合工程では、セルロース繊維と液状シリコーンゴム組成物との混合方法は、特に限定されず、セルロース繊維を含む分散液と液状シリコーンゴム組成物とを混合する方法であってもよく、セルロース繊維を抄紙してセルロース不織布を得る抄紙工程、セルロース不織布に液状シリコーンゴム組成物を含浸させる含浸工程及び液状シリコーンゴムを硬化させる硬化工程を含む方法であってもよい。
前者の混合方法では、セルロース繊維を含む分散液(スラリー)は、セルロース繊維を溶媒中に分散させて調製される。溶媒としては、生産性が高く、環境に対する負荷も小さい点から、親水性溶媒が汎用され、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノールなどのC1−4アルカノールなど)、アルカンジオール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどのC2−4アルカンジオールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのC1−4アルキルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテートなどのC1−4アルキルセロソルブアセテートなど)、カルビトール類(メチルカルビトール、エチルカルビトールなどのC1−4アルキルカルビトールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなどのジC1−4アルキルケトンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状又は鎖状C4−6エーテルなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
分散液中における固形分の濃度は、例えば、0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは3〜20重量%(特に5〜15重量%)程度である。
これらのうち、セルロース繊維の分散性を向上でき、シリコーンゴムとの親和性も向上できる点から、有機溶媒、例えば、エタノールやイソプロパノールなどのC1−4アルカノール、アセトン、メチルエチルケトンなどのジC1−4アルキルケトンなどが好ましい。そのため、ミクロフィブリル化した微小セルロース繊維の場合など、セルロース繊維を含む水分散液中の水の少なくとも一部は、前記有機溶媒(特に、液状シリコーンゴム組成物に含まれる溶媒と同一の溶媒、例えば、アセトンなどのケトン類など)で置換してもよく、有機溶媒を添加してもよい。
セルロース繊維を含む分散液には疎水化処理剤を添加して、セルロース繊維を疎水化処理に供してもよい。
液状シリコーンゴム組成物には、液状シリコーンゴム及び硬化触媒に加えて、セルロース不織布に対する浸透性を向上させるために、溶媒を添加してもよい。溶媒としては、セルロース繊維を分散するための溶媒として例示された溶媒(例えば、アセトンなどのケトン類など)などを用いてもよい。溶媒の割合は、液状シリコーンゴム100重量部に対して、例えば、10〜100重量部、好ましくは15〜80重量部、さらに好ましくは20〜60重量部程度である。
さらに、本発明では、固形分濃度を調整し易く、セルロース繊維濃度が高くても、フィルム化が容易あり、生産性に優れる点から、抄紙工程及び含浸工程を含む後者の方法が好ましい。
抄紙工程において、抄紙方法は、特に限定されず、慣用の方法、例えば、湿式抄紙又は乾式抄紙などの抄紙により製造できる。湿式抄紙は、慣用の方法で行うことができ、例えば、手抄き抄紙器や多孔板などを備えた湿式抄紙機などを用いて抄紙してもよい。乾式抄紙も、慣用の方法、例えば、エアレイド製法、カード製法などを用いて抄紙することができる。これらのうち、湿式抄紙による抄紙工程を含む製造方法が好ましい。
湿式抄紙に供されるセルロース繊維を含む分散液(スラリー)は、セルロース繊維を溶媒中に分散させて調製される。溶媒としては、前者の方法と同様の親水性溶媒が汎用される。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
湿式抄紙において、分散液中における固形分の濃度は、例えば、0.01〜10重量%、好ましくは0.03〜5重量%、さらに好ましくは0.05〜3重量%(特に0.1〜1重量%)程度である。
これらのうち、セルロース繊維の分散性を向上でき、シリコーンゴムとの親和性も向上できる点から、有機溶媒、例えば、エタノールやイソプロパノールなどのC1−4アルカノール、アセトン、メチルエチルケトンなどのジC1−4アルキルケトンなどが好ましい。そのため、ミクロフィブリル化した微小セルロース繊維の場合など、セルロース繊維を含む水分散液は、前記有機溶媒で置換してもよい。前記有機溶媒の中でも、置換効率の点から、エタノールやイソプロパノールなどのC1−4アルカノール(特にイソプロパノール)が特に好ましい。
水分散液に含まれる分散媒を水から親水性有機溶媒に置換するためには、水と同量以上の有機溶媒を添加するのが好ましく、有機溶媒の割合は、例えば、水分散液に含まれる水100重量部に対して、例えば、100〜5000重量部、好ましくは200〜4000重量部、さらに好ましくは300〜3000重量部(特に500〜2500重量部)程度である。
有機溶媒による置換度合いを向上させるために、有機溶媒による置換を複数回繰り返してもよい。繰り返し回数は、置換効率と簡便性とのバランスから、通常、1〜5回程度であり、好ましくは2〜4回、さらに好ましくは2〜3回程度である。
得られたセルロース不織布は、前記セルロース繊維で形成されており、かつ薄肉であるのが好ましい。セルロース不織布の平均厚みは、例えば、5〜50μm、好ましくは10〜45μm、さらに好ましくは20〜40μm程度である。
セルロース不織布の平均孔径は、0.01〜5μm程度の範囲から選択でき、微小セルロース繊維で形成された不織布では、例えば、10〜100nm、好ましくは20〜90nm、さらに好ましくは30〜80nm程度である。孔径が大きすぎると、シリコーンゴムの担持が困難となる。
セルロース不織布の坪量は、例えば、0.1〜50g/m、好ましくは1〜30g/m、さらに好ましくは3〜20g/m(特に5〜15g/m)程度であってもよい。セルロース不織布の空隙率は、例えば、10〜90%、好ましくは15〜85%、さらに好ましくは30〜80%程度であってもよい。空隙率が大きすぎると、シリコーンゴムの担持が困難となり、逆に小さすぎると、シリコーンゴムの含浸が困難となる。
含浸工程では、セルロース不織布に液状シリコーンゴム組成物を含浸させる前に、得られたセルロース不織布は、疎水化処理に供してもよい。
疎水化処理の方法としては、疎水化剤を含む溶液でセルロース不織布を構成するセルロース繊維の表面をコーティングした後、溶媒を除去する方法が挙げられる。コーティング方法としては、慣用の方法を利用でき、例えば、コーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらのうち、スプレー法などが汎用される。
溶媒としては、疎水化剤の種類に応じて選択でき、例えば、セルロース繊維を分散するための溶媒として例示された溶媒などを用いてもよい。溶媒の除去方法は、自然乾燥であってもよいが、通常、50〜200℃(特に100〜150℃)程度の加熱乾燥であってもよい。溶液中の疎水化剤の割合は、例えば、0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜3重量%程度である。
セルロース不織布に液状シリコーンゴム組成物を含浸させる方法としては、慣用の方法を利用でき、例えば、液状シリコーンゴム組成物中にセルロース不織布を浸漬する方法、セルロース不織布に液状シリコーンゴム組成物をコーティングする方法、セルロース不織布に液状シリコーンゴム組成物をスプレーする方法などが挙げられる。これらのうち、簡便な方法で、セルロース不織布に対して均一に液状シリコーンゴム組成物を含浸できる点から、液状シリコーンゴム組成物中にセルロース不織布を浸漬する方法が好ましい。
液状シリコーンゴム組成物には、液状シリコーンゴム及び硬化触媒に加えて、セルロース不織布に対する浸透性を向上させるために、溶媒を添加してもよい。溶媒としては、セルロース繊維を分散するための溶媒として例示された溶媒(例えば、アセトンなどのケトン類など)などを用いてもよい。溶媒の割合は、液状シリコーンゴム100重量部に対して、例えば、10〜100重量部、好ましくは15〜80重量部、さらに好ましくは20〜50重量部程度である。
含浸工程では、セルロース不織布に含まれる気泡が表面に漏出して複合フィルム表面の平滑性が低下することを抑制するため、加圧してセルロース不織布に液状シリコーンゴム組成物を含浸してもよい。含浸工程で加圧すると、不織布中に含まれる気泡が漏出すると同時に加圧により表面が平滑となるため、次工程の硬化工程で気泡が漏出し、気泡痕が残存した状態で硬化すること(気泡欠陥の発生)を抑制できる。
加圧方法としては、加圧装置などを用いて、加圧下でセルロース不織布に液状シリコーンゴム組成物を含浸処理してもよく、ローラーやプレス機などを用いて物理的に液状シリコーンゴム組成物を含むセルロース不織布を加圧してもよい。
圧力は、方法や温度などに応じて、適宜選択でき、例えば、0.01〜50MPa、好ましくは0.05〜30MPa、さらに好ましくは0.1〜10MPa(特に1〜5MPa)程度である。常温の加圧下で含浸処理する場合、圧力は、例えば、0.5〜10MPa(特に1〜5MPa)程度であってもよい。また、プレス機などを用いて、加圧処理し、かつ次工程の硬化工程でも加圧を継続する場合、圧力は、例えば、0.03〜1MPa(特に0.05〜0.5MPa)程度であってもよい。
加圧処理における温度は、特に限定されず、例えば、0〜100℃、好ましくは5〜80℃、さらに好ましくは10〜50℃程度であり、通常、常温(20〜30℃)程度である。
硬化工程では、液状シリコーンゴムを硬化させる前に、前記溶媒を除去すると共に、シリコーンゴムの付加重合を促進するために、セルロース繊維及び液状シリコーンゴムを含む組成物や、液状シリコーンゴム組成物を含浸させた不織布を室温(例えば、20〜30℃程度)で放置してもよい。放置時間は、例えば、1〜48時間、好ましくは5〜30時間程度である。
液状シリコーンゴムの硬化温度は、シリコーンゴムの種類に応じて選択でき、室温で硬化させてもよいが、反応性を高め、強度を向上できる点から、加熱するのが好ましい。加熱温度は、例えば、100〜200℃、好ましくは120〜180℃、さらに好ましくは130〜160℃程度である。
なお、前述のように、含浸工程における加圧処理は、含浸工程から連続して、硬化工程でも継続して加圧してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。セルロース繊維及び実施例及び比較例で得られた複合フィルムの評価は以下の方法で測定した。
[繊維径]
セルロース繊維について50000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、撮影した写真上において、写真を横切る任意の位置に2本の線を引き、線と交差する全ての繊維径をカウントして平均繊維径(n=20以上)を算出した。線の引き方は、線と交差する繊維の数が20以上となれば、特に限定されない。
[繊維長]
繊維長は、繊維長測定器(カヤーニ社製「FS−200」)を用いて測定した。
[不織布及び複合フィルムの平均厚み]
JIS L1085に準拠し、厚み測定器((株)尾崎製作所製「FFA−12」、測定子16mmφ)を用いて、フィルムの任意の箇所10点を測定し、その平均値を求めた。
[不織布、複合フィルム及び各成分の重量]
JIS B7611に準拠し、重量測定器(メトラー・トレド(株)製「XP205」)を用いて、不織布、複合フィルム及び各成分の重量を測定した。
[引張弾性率]
JIS K7161に準じて、複合フィルムを、幅10mm、長さ100mmに切り出し、引張試験機(エー・アンド・デー(株)製「RTM−1350」)を用いて、20mm/分の速度で引張り、引張弾性率を測定した。
[ハンドリング性]
70mm角の大きさのフィルムを作成し、ガラス板にローラーで押し付け、手で剥離する工程において、何回再剥離できるかカウントした。
[UV樹脂硬化性]
カチオン性UV硬化性樹脂((株)ダイセル製「NICT825」)を用い、UV硬化性樹脂の上に、複合フィルムでマスクを行い(2500mmの全面を覆い)、UV照射を行った。照射条件(λ=365nm、35mW/hr、30秒後)での硬化性を確認した。硬化性の目安として、UV硬化性樹脂から剥離したときの剥離性を以下の指標で確認した。
○:複合フィルムが問題なく剥離できるくらいUV硬化性樹脂が硬化している
△:複合フィルムを剥離するとUV硬化性樹脂が半硬化状態である
×:複合フィルムを剥離するとUV硬化性樹脂が液状を呈する。
[破断点応力]
JIS K6251に準拠し、複合フィルムを用いて、7号ダンベルにて試験用サンプルを調製した。引張試験機(エーアンドデイ社製「テンシロンRTF−1350」)を用いて、得られたサンプルの引張試験を行い、破断点応力の測定を行った。
実施例1
(セルロース繊維の調製)
NBKPパルプ(丸住製紙(株)製、固形分約50重量%、カッパー価約0.3)を用いて、パルプを1重量%の割合で含有するスラリー液(水分散液)を100リットル調製した。次いで、ディスクリファイナー(長谷川鉄工(株)製、SUPERFIBRATER 400−TFS)を用いて、クリアランス0.15mm、ディスク回転数1750rpmとして10回叩解処理し、リファイナー処理品を得た。このリファイナー処理品を、通常の非破砕型ホモバルブシート(中空円筒状凸部の下流端の内径/リング状端面の厚み=1.9/1)を備えた第1ホモジナイザー(ゴーリン社製「15M8AT」)を用いて、処理圧50MPaで20回処理した。さらに、破砕型ホモバルブシート(中空円筒状凸部の下流端の内径/リング状端面の厚み=16.8/1)を備えた第2ホモジナイザー(ニロソアビ社製「PANDA2K」)を用いて、処理圧120MPaで20回処理した。得られた微小繊維の平均繊維径は29.0nm、繊維径分布の標準偏差は14.1nm、最大繊維径は64.3nm、平均繊維長は158μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は5448であった。
(セルロース不織布の調製)
得られた微小セルロース繊維を含む水分散液(固形分1重量%)を固形分10重量%になるまで脱液及び濃縮した分散液1kgに対して、水の10倍量のイソプロパノール10リットルを添加し、手動撹拌機(マキタ(株)製、商品名「UT1305」)で5分間撹拌して分散した。得られた分散液を、脱液用濾布を用いて手絞りで固形分が30重量%になるまで脱液した。この溶媒置換処理を再度繰り返し、得られた固形分30重量%の分散液を、手抄きマシン(東洋精機製作所(株)製「シートマシン」)を用いて、110mmφで坪量10g/mのセルロース不織布を抄紙した。セルロース不織布の平均厚みは22μmであった。
(液状シリコーンゴム組成物の調製)
液状シリコーンゴム(PDMS)(信越化学工業(株)製「X−32−1232」)と、硬化剤(信越化学工業(株)製「CX−32−1232」)と、アセトンとを、液状シリコーンゴム/硬化剤/アセトン=10/1/3の割合(重量比)で混合し、液状シリコーンゴム組成物を調製した。
(複合フィルムの調製)
得られたセルロース不織布を張った状態で開口部が50mm角のアルミニウム製の枠に固定した。固定化されたアルミニウム製枠ごと、バットに入れた液状シリコーンゴム組成物の中にセルロース不織布を投入し、30分間放置し、液状シリコーンゴム組成物をセルロース不織布に含浸させた。アルミニウム製枠を引き上げ、余分な液状シリコーンゴム組成物をスキージで扱き落として縦に吊り下げた状態で、23℃で24時間放置した後、150℃で2時間かけて硬化した。得られた複合フィルムの平均厚みは73μmであった。
実施例2
微小セルロース繊維の代わりに、セルロース繊維((株)ダイセル製「セリッシュKY−100G」、平均繊維径300nm)を用いる以外は実施例1と同様にして抄紙してセルロース不織布を製造した。セルロース不織布の平均厚みは34μmであった。このセルロース不織布を用いて実施例1と同様にして坪量10g/mの複合フィルムを製造した。複合フィルムの平均厚みは87μmであった。
実施例3
微小セルロース繊維の代わりに、実施例1のセルロース繊維の調製で得られたリファイナー処理品(平均繊維径5μm)を用いる以外は実施例1と同様にして抄紙してセルロース不織布を製造した。セルロース不織布の平均厚みは40μmであった。このセルロース不織布を用いて実施例1と同様にして坪量10g/mの複合フィルムを製造した。複合フィルムの平均厚みは95μmであった。
実施例4
セルロース不織布として、疎水化処理したセルロース不織布を用いる以外は実施例1と同様にして複合フィルムを製造した。複合フィルムの平均厚みは75μmであった。なお、疎水化処理としては、セルロース不織布の調製において、抄紙後のセルロース不織布に対して、疎水化剤としてシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン、信越化学工業株製「KBM−1003」)をイソプロパノールに対して1重量%になるように調整した溶液を、不織布全体が前記溶液で十分に濡れるようにスプレーコートした後、110℃で5分間乾燥した。
実施例5
セルロース不織布の平均厚みを100μmとする以外は実施例4と同様にして複合フィルムを製造した。複合フィルムの平均厚みは158μmであった。
実施例6
実施例1におけるセルロース繊維の調製で得られた微小セルロース繊維の水分散液をアセトンに分散し、脱液を2回繰り返し、アセトン分散液を得た。このアセトン分散液に、さらにシランカップリング剤(KBM−1003)を微小セルロース繊維100重量部に対して0.5重量部の割合で添加し、固形分10重量%の微小セルロース繊維のアセトン分散体を作製した。
この微小セルロース繊維分散体を用いて、液状シリコーンゴム(X−32−1232)と、硬化剤(CX−32−1232)と、アセトンと、微小セルロース繊維分散体とを、液状シリコーンゴム/硬化剤/アセトン/微小セルロース繊維分散体=10/1/5/5の割合(重量比)で混合し、微小セルロース繊維を含む液状シリコーンゴム組成物を調製した。
ガラス板上に厚み200μmのポリテトラフルオロエチレンシート(テフロン(登録商標)製シート)で四辺が囲まれた空間(液ダム)に前記組成物を注ぎ込み、23℃で24時間放置した後、150℃で2時間かけて硬化した。得られた複合フィルムの平均厚みは、97μmであった。
比較例1
セルロース不織布を用いることなく、液状シリコーンゴム組成物のみで平均厚み100μmのフィルムを製造した。
比較例2
セルロース不織布を用いることなく、液状シリコーンゴム組成物のみで平均厚み1mmのフィルムを製造した。
比較例3
セルロース不織布の代わりに、平均厚み30μmのポリプロピレン多孔膜(ポリポア(株)製「セルガード2500」)を用いる以外は実施例1と同様にして複合フィルムを製造した。複合フィルムの平均厚みは88μmであった。
比較例4
液状シリコーンゴム組成物として、シリコーンポッティングゲル(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「TSE3051」)を用いる以外は実施例1と同様にして複合フィルムを製造した。複合フィルムの平均厚みは、フィルム強度が弱すぎて(樹脂部分が軟らかすぎて)、正確に計測できなかったが、概ね130μmであった。
得られた複合フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2014139290
表1の結果から明らかなように、実施例の複合フィルムは、引張弾性率が高く、ハンドリング性及びUV樹脂硬化性に優れる。これに対して、比較例1及び2のフィルムは、引張弾性率が低く、ハンドリング性も低く、ハンドリングできなかった。比較例3の複合フィルムは、UV樹脂硬化性が低い。比較例4の複合フィルムの引張弾性率は7.0MPaであったが、樹脂部分が軟らかすぎて、ハンドリングできなかった。
実施例7〜21
セルロース不織布の厚み、シリコーンゴム(PDMS)、セルロース不織布及び複合フィルムの重量を表2に示す厚み及び重量(固形分重量)に調整する以外は実施例1と同様にして複合フィルムを製造した。
実施例7〜21で得られた複合フィルムの破断点応力を表2に示す。また、実施例1〜5で得られた複合シートについても、破断点応力を測定した結果を、複合フィルムの厚み及び重量並びに構成成分の重量とともに表2に示す。
Figure 2014139290
表2の結果について、PDMS/セルロース不織布の重量比と破断点応力との関係を図1のグラフに示す。
表2及び図1の結果から明らかなように、PDMS/セルロース不織布の重量比が小さくなるにつれて破断点応力が上昇し、PDMS/セルロース不織布の重量比が20以下辺りから急激に破断点応力が向上した。
なお、これらの実施例では、複合フィルムの調製工程において、セルロース不織布に含まれる気泡が表面に漏出するため、複合フィルム表面の平滑性がやや低かった。そのため、実施例1に準じて、厚み120μmのセルロース不織布及び液状シリコーンゴム組成物を調製した後、以下の実施例22〜24に記載の方法で複合フィルムを調製した。
実施例22(加圧含浸法)
複合フィルムを任意の厚みに調整するため、セルロース不織布(厚み120μm)を開口部が90mmφのガラス製のシャーレに入れ、液状シリコーンゴム組成物を投入した。次に、シャーレをステンレス製の加圧装置の中に入れ窒素で3MPaまで昇圧し、23℃で24時間放置し液状シリコーンゴム組成物をセルロース不織布に含浸、硬化させた。さらに、シャーレを装置から取り出し、150℃で1時間かけて硬化した。得られた複合フィルムの平均厚みは243μmであり、気泡による表面平滑性の低下は見られなかった。
実施例23(ローラー法)
セルロース不織布(厚み120μm)を開口部が90mmφのガラス製のシャーレに入れ、液状シリコーンゴム組成物を投入し、23℃で1時間放置し液状シリコーンゴム組成物をセルロース不織布に含浸させた。次に、シャーレからセルロース不織布を取り出し、ポリイミドフィルムで挟んだ後、2軸ゴムローラー(熊谷理機工業(株)製)を用いて余計な樹脂を除去した後、23℃で23時間放置し硬化させた。さらに硬化物を取り出し、150℃1時間かけて硬化した。得られた複合フィルムの平均厚みは235μmであり、気泡による表面平滑性の低下は見られなかった。
実施例24(ホットプレス法)
セルロース不織布(厚み120μm)を開口部が90mmφのガラス製のシャーレに入れ、液状シリコーンゴム組成物を投入し、23℃で1時間放置し液状シリコーンゴム組成物をセルロース不織布に含浸させた。次に、シャーレからセルロース不織布を取り出し、ポリイミドフィルムで挟んだ。さらに、ホットプレス機にて0.1MPaの圧力でポリイミドフィルムの上から挟み、余計な樹脂を除去した後、23℃で23時間放置し硬化させた。最後に、ホットプレス機で挟んだまま150℃1時間かけて硬化した。得られた複合フィルムの平均厚みは233μmであり、気泡による表面平滑性の低下は見られなかった。
本発明の複合フィルムは、光学分野や半導体分野の各種材料として利用でき、例えば、ソフトモールドやマイクロ流体チップ基材(特にソフトモールド)などに有用である。

Claims (18)

  1. セルロース繊維と引張弾性率が0.1〜2000MPaであるシリコーンゴムとを含む複合フィルム。
  2. 平均厚みが5〜1000μmである請求項1記載の複合フィルム。
  3. 100μm厚の全光線透過率が50%以上である請求項1又は2記載の複合フィルム。
  4. シリコーンゴムが、ポリジメチルシロキサン単位を含む二液硬化型シリコーンゴムである請求項1〜3のいずれかに記載の複合フィルム。
  5. セルロース繊維の表面が疎水化剤で処理されている請求項1〜4のいずれかに記載の複合フィルム。
  6. 疎水化剤がシランカップリング剤である請求項5記載の複合フィルム。
  7. セルロース繊維が植物由来のフィブリル化繊維である請求項1〜6のいずれかに記載の複合フィルム。
  8. セルロース繊維の最大繊維径が2μm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の複合フィルム。
  9. シリコーンゴムの割合が、セルロース繊維100重量部に対して10〜2000重量部である請求項1〜8のいずれかに記載の複合フィルム。
  10. セルロース繊維で形成されたセルロース不織布と、このセルロース不織布に含浸し、かつ硬化したシリコーンゴムとで形成されている請求項1〜9のいずれかに記載の複合フィルム。
  11. 破断点応力が4.0MPa以上である請求項1〜10のいずれかに記載の複合フィルム。
  12. 破断点応力が8.0MPa以上である請求項1〜10のいずれかに記載の複合フィルム。
  13. ソフトモールドに用いられる請求項1〜12のいずれかに記載の複合フィルム。
  14. セルロース繊維及び液状シリコーンゴム組成物を混合する混合工程及び液状シリコーンゴムを硬化させる硬化工程を含む請求項1〜13のいずれかに記載の複合フィルムの製造方法。
  15. 混合工程が、セルロース繊維を抄紙してセルロース不織布を得る抄紙工程及びセルロース不織布に液状シリコーンゴム組成物を含浸させる含浸工程を含む請求項14記載の複合フィルムの製造方法。
  16. 抄紙工程において、セルロース繊維を含む水分散液中の水の少なくとも一部を有機溶媒で置換した後、湿式抄紙する請求項15記載の製造方法。
  17. 含浸工程において、液状シリコーンゴム組成物を含浸させる前に、セルロース不織布を疎水化剤で表面処理する請求項15又は16記載の製造方法。
  18. 含浸工程において、加圧してセルロース不織布に液状シリコーンゴム組成物を含浸させる請求項15〜17のいずれかに記載の製造方法。
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