JP2020063327A - 複合材料の製造方法及び複合材料 - Google Patents

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【課題】複合材料の製造方法は、セルロースナノファイバーを複合化するための加工性に優れた繊維材料を用いて複合材料を製造することができる。【解決手段】複合材料の製造方法は、CNF分散液を得る工程(S10)と、CNF分散液から水系溶媒を除去して繊維材料を得る乾燥工程(S12)と、繊維材料をゴム成分と混合して複合材料を得る混合工程(S14)と、を含む。CNF分散液におけるセルロースナノファイバーに対するカチオン界面活性剤の質量比が0.1倍〜2.0倍である。CNF分散液におけるセルロースナノファイバーに対する多価アルコールの質量比が2.0倍〜20.0倍である。【選択図】図1

Description

本発明は、セルロースナノファイバーを用いた複合材料の製造方法及び複合材料に関するものである。
近年、天然セルロース繊維をナノサイズに解繊したセルロースナノファイバーが注目されている。天然セルロース繊維は、木材などのパルプを原料とするバイオマスであって、これを有効利用することによって、環境負荷低減が期待される。
セルロースナノファイバーは、水分散液として市場に提供されているが、ゴム成分や合成樹脂との複合化のための加工が困難であった。セルロースナノファイバーは、水分散液から水を除去する乾燥工程において水素結合を形成して凝集するため、複合化過程において、セルロースナノファイバーが高度に解繊された状態で存在できず、複合材料をセルロースナノファイバーによって十分に補強することができなかった。
そこで、セルロースナノファイバー水分散液とゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンとを混合する方法が提案された(特許文献1,2参照)。
しかしながら、これらの方法で製造された複合材料は、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンの特性に影響されることがあった。また、ゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンとして市場に流通していないゴムや樹脂への適用ができなかった。
特開2015−98576号公報 特開2016−29169号公報
本発明は、セルロースナノファイバーを複合化するための加工性に優れた繊維材料を用いた複合材料の製造方法を提供する。また、本発明は、ゴム成分をセルロースナノファイバーによって補強する複合材料を提供する。
[1]複合材料の製造方法の一態様は、
水系溶媒にセルロースナノファイバーが分散したセルロースナノファイバー水分散液とカチオン界面活性剤と多価アルコールとを混合してCNF分散液を得る工程と、
前記CNF分散液から水系溶媒を除去して繊維材料を得る乾燥工程と、
前記繊維材料をゴム成分と混合して複合材料を得る混合工程と、
を含み、
前記CNF分散液における前記セルロースナノファイバーに対する前記カチオン界面活性剤の質量比が0.1倍〜2.0倍であり、
前記CNF分散液における前記セルロースナノファイバーに対する前記多価アルコールの質量比が2.0倍〜20.0倍である。
[2]前記複合材料の製造方法の一態様において、
前記カチオン界面活性剤は、1級〜3級のアミン塩及び4級アンモニウム塩のいずれか
1つ以上であることができる。
[3]前記複合材料の製造方法の一態様において、
前記カチオン界面活性剤は、炭素数が10〜18の長鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩であることができる。
[4]前記複合材料の製造方法の一態様において、
前記多価アルコールは、2価アルコール及び3価アルコールの少なくとも一方であることができる。
[5]前記複合材料の製造方法の一態様において、
前記混合工程は、ロール間隔が0mmを超え0.5mm以下に設定されかつロール温度が0℃〜50℃に設定されたオープンロールを用いて薄通しすることができる。
[6]前記複合材料の製造方法の一態様において、
前記ゴム成分がニトリルゴムであることができる。
[7]前記複合材料の製造方法の一態様において、
前記ゴム成分がシリコーンゴムであることができる。
[8]前記複合材料の製造方法の一態様において、
前記ゴム成分がスチレン・ブタジエンゴムであることができる。
[9]前記複合材料の製造方法の一態様において、
前記混合工程で得られる前記複合材料を加熱炉内で加熱するとともに、前記加熱炉内を脱気することにより、前記複合材料に残存する多価アルコールを除去する除去工程をさらに含むことができる。
[10]複合材料の製造方法の一態様は、
ゴム成分中にセルロースナノファイバー及びカチオン界面活性剤を含み、
前記ゴム成分100質量部に対して前記セルロースナノファイバーを5.0質量部〜40.0質量部含み、
前記セルロースナノファイバーに対する前記カチオン界面活性剤の質量比が0.1倍〜2.0倍である。
[11]前記複合材料の一態様において、
前記セルロースナノファイバーは、繊維径の平均値が3nm〜200nmであることができる。
[12]前記複合材料の一態様において、
前記セルロースナノファイバーは10μm以上の最大幅を有する凝集塊を含まないことができる。
[13]前記複合材料の一態様において、
前記ゴム成分がニトリルゴムであることができる。
[14]前記複合材料の一態様において、
前記ゴム成分がシリコーンゴムであることができる。
[15]前記複合材料の一態様において、
前記ゴム成分がスチレン・ブタジエンゴムであることができる。
前記複合材料の製造方法の一態様によれば、セルロースナノファイバーを複合化するための加工性に優れた繊維材料を用いて複合材料を製造することができる。また、前記複合材料の一態様によれば、ゴム成分をセルロースナノファイバーによって補強することができる。
一実施形態に係る複合材料の製造方法を示すフローチャートである。 一実施形態に係る複合材料の製造方法における混合工程を模式的に示す図である。 一実施形態に係る複合材料の製造方法における混合工程を模式的に示す図である。 一実施形態に係る複合材料の製造方法における混合工程を模式的に示す図である。 実施例3の複合材料の引張破断面の電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例3の複合材料の引張破断面の電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例2の複合材料の引張破断面の電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例2の複合材料の引張破断面の電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例2及び比較例1の引張疲労試験の結果を示すグラフである。
以下、複合材料の製造方法及び複合材料の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
A.複合材料の製造方法
図1は、一実施形態に係る複合材料の製造方法を示すフローチャートである。
図1に示すように、本実施形態に係る複合材料の製造方法は、CNF分散液を得る工程(S10)と、乾燥工程(S12)と、混合工程(S14)と、を含む。より具体的には、本実施形態に係る複合材料の製造方法は、水系溶媒にセルロースナノファイバーが分散したセルロースナノファイバー水分散液とカチオン界面活性剤と多価アルコールとを混合してCNF分散液を得る工程(S10)と、前記CNF分散液から水系溶媒を除去して繊維材料を得る乾燥工程(S12)と、前記繊維材料をゴム成分と混合する混合工程(S14)と、を含み、前記CNF分散液における前記セルロースナノファイバーに対する前記カチオン界面活性剤の質量比が0.1倍〜2.0倍であり、前記CNF分散液における前記セルロースナノファイバーに対する前記多価アルコールの質量比が2.0倍〜20.0倍である。
A−1.CNF分散液を得る工程(S10)
CNF分散液を得る工程(S10)は、水系溶媒にセルロースナノファイバーが分散したセルロースナノファイバー水分散液とカチオン界面活性剤と多価アルコールとを混合してCNF分散液を得る工程である。
CNF分散液を得る工程(S10)は、セルロースナノファイバー水分散液に所定量のカチオン界面活性剤と多価アルコールとを加え、公知の撹拌手段で混合することができる。撹拌手段としては、後述する微細化工程で用いられるものを採用することができる。
次に、CNF分散液を得る工程(S10)に用いる各原料について説明する。
A−1−1.セルロースナノファイバー
セルロースナノファイバーは、繊維径の平均値が3nm〜200nmであるセルロースの微細繊維である。セルロースナノファイバーは、セルロースナノファイバー水分散液として提供される。該水分散液は、酸化セルロース繊維を含んでもよい。セルロースナノファイバーは、公知の種々の方法により得られたものも使用することが可能である。公知のセルロースナノファイバーの原料としては、木材等の植物性材料に由来するものでもよいし、植物性材料以外の例えばホヤなどの動物性材料やバクテリアなどの微生物に由来するものでもよい。また、植物性材料の原料を用いるセルロースナノファイバーの作成方法としては、例えば、原料に化学的処理を施して解繊しやすい状態にした後に機械的なせん断力による物理的処理を施して原料を解繊し製造したものや、高圧ホモジナイザー法、グラインダー摩砕法、凍結粉砕法、強剪断力混練法、ボールミル粉砕法など公知の機械的な高せん断力を用いた方法により物理的に原料を解繊し製造したものを使用することができる。
原料に化学的処理を施す方法としては、セルロースナノファイバーにイオン性官能基としてアニオン基を導入することができる。このようなイオン性官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基及びこれらに由来する基を挙げることができる。イオン性官能基が導入されたセルロースナノファイバーとしては、例えば、カルボキシメチル化CNF(セルロースナノファイバー)及び以下で詳述する酸化CNFなどを採用することができる。
酸化セルロース繊維を含む水分散液は、例えば天然セルロース繊維を酸化して酸化セルロース繊維を得る酸化工程により製造することができる。
セルロースナノファイバーを含む水分散液は、例えば天然セルロース繊維を酸化して酸化セルロース繊維を得る酸化工程と、酸化セルロース繊維を微細化処理する微細化工程とを含む製造方法によって得ることができる。
まず、酸化工程は、原料となる天然セルロース繊維に対して水を加え、ミキサー等で処理して、水中に天然セルロース繊維を分散させたスラリーを調製する。ここで、天然セルロース繊維としては、例えば、木材パルプ、綿系パルプ、バクテリアセルロース等が含まれる。より詳細には、木材パルプとしては、例えば針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等を挙げることができ、綿系パルプとしては、コットンリンター、コットンリントなどを挙げることができ、非木材系パルプとしては、麦わらパルプ、バガスパルプ等を挙げることができる。天然セルロース繊維は、これらの少なくとも1種以上を用いることができる。
天然セルロース繊維は、セルロースミクロフィブリル束とその間を埋めているリグニン及びヘミセルロースから構成された構造を有する。すなわち、セルロースミクロフィブリル及び/又はセルロースミクロフィブリル束の周囲をヘミセルロースが覆い、さらにこれをリグニンが覆った構造を有していると推測される。リグニンによってセルロースミクロフィブリル及び/又はセルロースミクロフィブリル束間は、強固に接着しており、植物繊維を形成している。そのため、植物繊維中のリグニンはあらかじめ除去されていることが、植物繊維中のセルロース繊維の凝集を防ぐことができるという点で好ましい。具体的には、植物繊維含有材料中のリグニン含有量は、通常40質量%程度以下、好ましくは10質量%程度以下である。また、リグニンの除去率の下限は、特に限定されるものではなく、0質量%に近いほど好ましい。なお、リグニン含有量の測定は、Klason法により測定することができる。
セルロースミクロフィブリルとしては、繊維径3nm〜4nm程のセルロースミクロフィブリルが最小単位として存在し、これをシングルセルロースナノファイバーと呼ぶことができる。セルロースナノファイバーとしては、天然セルロース繊維及び/又は酸化セルロース繊維をナノサイズレベルまで解きほぐしたものであり、特に繊維径の平均値が3nm〜200nmであることができ、さらに3nm〜150nmであることができ、特に3nm〜100nmのセルロースミクロフィブリル及び/又はセルロースミクロフィブリル束であることができる。すなわち、セルロースナノファイバーは、シングルセルロースナノファイバー単体、またはシングルセルロースナノファイバーが複数本集まった束を含むことができる。ここで本明細書において「〜」で示す数値範囲は上限と下限を含む。
セルロースナノファイバーのアスペクト比(繊維長/繊維径)は、平均値で、10〜1000であることができ、さらに10〜500であることができ、特に100〜350であることができる。
なお、セルロースナノファイバーの繊維径及び繊維長の平均値は、電子顕微鏡の視野内のセルロースナノファイバーの少なくとも50本以上について測定した算術平均値である。
次に、酸化工程は、水中においてN−オキシル化合物を酸化触媒として天然セルロース繊維を酸化処理して酸化セルロース繊維を得る。酸化工程としては、セルロースを酸化する公知の方法を採用することができる。セルロースの酸化触媒として使用可能なN−オキシル化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(以下、TEMPOとも表記する)、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−フォスフォノオキシ−TEMPO等を用いることができる。
酸化工程後、例えば水洗とろ過を繰り返す精製工程を実施し、未反応の酸化剤や各種副生成物等の、スラリー中に含まれる酸化セルロース繊維以外の不純物を除去することができる。酸化セルロース繊維を含む溶媒は、例えば水に含浸させた状態であり、この段階では酸化セルロース繊維はセルロースナノファイバーの単位まで解繊されていない。溶媒は、水を用いることができるが、例えば、水以外にも目的に応じて水に可溶な有機溶媒(アルコール類、エーテル類、ケトン類等)を使用することができる。
酸化セルロース繊維は、セルロースナノファイバーの水酸基の一部がカルボキシル基を有する置換基で変性され、カルボキシル基を有する。
酸化セルロース繊維は、繊維径の平均値が10μm〜30μmであることができる。なお、酸化セルロース繊維の繊維径の平均値は、電子顕微鏡の視野内の酸化セルロース繊維の少なくとも50本以上について測定した算術平均値である。
酸化セルロース繊維は、セルロースミクロフィブリルの束であることができる。酸化セルロース繊維は微細化工程においてセルロースナノファイバーに解繊することができる。
微細化工程は、酸化セルロース繊維を水等の溶媒中で撹拌処理することができ、セルロースナノファイバーを得ることができる。
微細化工程において、分散媒としての溶媒を水とすることができる。また、水以外の溶媒として、水に可溶な有機溶媒、例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類等を単独でまたは組み合わせて使用することができる。
微細化工程における撹拌処理は、例えば、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等を用いることができる。
また、微細化処理における酸化セルロース繊維を含む溶媒の固形分濃度は、例えば50質量%以下とすることができる。この固形分濃度が50質量%を超えると、分散に高いエネルギーを必要とすることになる。
微細化工程によってセルロースナノファイバーを含む水分散液を得ることができる。セルロースナノファイバーを含む水分散液は、無色透明又は半透明な懸濁液であることができる。懸濁液には、表面酸化されると共に解繊されて微細化した繊維であるセルロースナノファイバーが水中に分散されている。すなわち、この水分散液においては、ミクロフィブリル間の強い凝集力(表面間の水素結合)を、酸化工程によるカルボキシル基の導入によって弱め、更に微細化工程を経ることで、セルロースナノファイバーが得られる。そして、酸化工程の条件を調整することにより、カルボキシル基含有量、極性、平均繊維径、平均繊維長、平均アスペクト比等を制御することができる。このようにして得られた水分散液中のセルロースナノファイバーの繊維径の平均値は、3nm〜10nmであることができ、さらに3nm〜4nmであることができる。この水分散液中のセルロースナノファイバーのアスペクト比の平均値は、20〜350であることができ、さらに20〜250であることができ、特に50〜200であることができる。また、ここでは酸化工程により得られた酸化CNFについて説明したが、イオン性官能基としてアニオン基を導入した例えばカルボキシメチル化CNFであっても酸化CNFと同様の繊維径及びアスペクト比であることができる。
このようにして得られた水分散液は、セルロースナノファイバーの固形分が0.01質量%〜5質量%であることができ、好ましくは0.1質量%〜2質量%であることができる。水分散液におけるセルロースナノファイバー固形分が0.01質量%未満であると後述する乾燥工程に時間を要することになり、5質量%を超えるとカチオン界面活性剤を均一に処理できずセルロースナノファイバーの凝集体が生じやすい。また、水分散液は、例えば、セルロースナノファイバーの固形分1質量%に希釈した水分散液であることができる。さらに、水分散液は、光透過率が40%以上であることができ、さらに光透過率が60%以上であることができ、特に80%以上であることができる。水分散液の透過率は、紫外可視分光硬度計を用いて、波長660nmでの透過率として測定することができる。
A−1−2.カチオン界面活性剤
カチオン界面活性剤は、セルロースナノファイバー同士の水素結合による凝集を抑制できる。カチオン界面活性剤は、乾燥工程後の繊維材料におけるセルロースナノファイバー同士の凝集を抑制する効果を有する。カチオン界面活性剤は、1級〜3級のアミン塩及び4級アンモニウム塩のいずれか1つ以上であることができる。特にカチオン界面活性剤は、炭素数(C数)が1〜40、好ましくは2〜20、更に好ましくは8〜18の長鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩であることができる。塩としては塩化物、臭化物等であることができる。
炭素数が1〜40の長鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩としては、例えば、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム等のトリメチルアンモニウム塩;塩化オクチルピリジニウム、塩化デシルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシルピリジニウム、塩化オクタデシルピリジニウム等のピリジニウム塩;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩
化ベンジルトリアルキルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化トリメチルステアリルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニム等が挙げられる。
CNF分散液におけるセルロースナノファイバーに対するカチオン界面活性剤の質量比は0.1倍〜2.0倍である。セルロースナノファイバーに対するカチオン界面活性剤の質量比が0.1倍以上であればセルロースナノファイバー表面のカルボキシル基へ作用させることがで、セルロースナノファイバーの再凝集を抑制し、ゴム成分中で良好な解繊状態を得ることができる。CNF分散液におけるセルロースナノファイバーに対するカチオン界面活性剤の質量比が2.0倍を超えると複合体中での界面活性剤量が多くなり、加工性が低下するとともに、複合材料の諸物性が低下する。さらに、セルロースナノファイバーに対するカチオン界面活性剤の質量比は0.1倍〜1.0倍であることができる。当該質量比が1.0倍以下であれば後述する混合工程における加工性に優れることができる。
A−1−3.多価アルコール
多価アルコールは、後述する乾燥工程で水系溶媒が除去されてもセルロースナノファイバー同士の水素結合を妨げることにより、脱水乾燥後のセルロースナノファイバーの再凝集を抑制することができる。そのため、多価アルコールはCNF分散液の水系溶媒との置換材としての機能を発揮する。また、混合工程におけるセルロースナノファイバーの解繊を容易にすることができる。多価アルコールは、1価アルコールを除くアルコールである。1価アルコールは水よりも沸点が低いため、採用できない。
多価アルコールは、水よりも高い沸点を有する。水よりも高い沸点を有することにより、後述する乾燥工程を経て水が蒸発しても多価アルコールは繊維材料中に残存することができる。また、界面活性剤がセルロースナノファイバーへ吸着しているため、セルロースナノファイバー同士は凝集せずに安定した分散状態を維持することができる。多価アルコールは、後述する混合工程における混練温度よりも高い沸点を有することが望ましい。混合工程で多価アルコールが急速に蒸発してセルロースナノファイバーの再凝集が生じることを防ぐためである。
多価アルコールは、2価アルコール及び3価アルコールの少なくとも一方であることが好ましい。2価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。3価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。2価及び3価以外の多価アルコールとして例えばペンタエリスリトール、ジグリセリン、ポリグリセリン等を含んでもよい。
CNF分散液におけるセルロースナノファイバーに対する多価アルコールの質量比が2.0倍〜20.0倍である。セルロースナノファイバーに対する多価アルコールの質量比が2倍以上であれば乾燥工程後の繊維材料を用いてゴム成分と複合化する際にセルロースナノファイバーを解繊することができ、20倍以上であれば複合化の際に加工が困難となる。また、セルロースナノファイバーに対する多価アルコールの質量比は2.5倍〜10.0倍であることができ、さらにセルロースナノファイバーに対する多価アルコールの質量比は2.5倍以上10.0倍未満であることができる。
A−2.乾燥工程(S12)
乾燥工程(S12)は、CNF分散液を得る工程で得られたCNF分散液から水系溶媒を除去して繊維材料を得る工程である。CNF分散液から水系溶媒を除去する方法は、公知の方法を用いることができ、例えば加熱によって乾燥してもよいし、スプレードライ法
によって乾燥してもよい。
例えば、CNF分散液を容器(バット等)に流し込み、その容器をオーブンに入れて30℃〜100℃で水系溶媒を蒸発させる。
乾燥工程(S12)は、CNF分散液から水系溶媒を完全に除去してもよいし、後述する混合工程で除去できる程度に水系溶媒をわずかに残してもよい。
A−2−1.繊維材料
乾燥工程によって得られた繊維材料は、セルロースナノファイバーとカチオン界面活性剤と多価アルコールとを含み、セルロースナノファイバーに対して多価アルコールの質量比が2.0倍〜20.0倍である。カチオン界面活性剤はセルロースナノファイバー同士の水素結合による凝集を防ぎ、多価アルコールは後述する混合工程におけるセルロースナノファイバーの解繊を容易とすることができる。そのため、当該繊維材料を複合材料の製造方法に用いることにより、セルロースナノファイバーを複合化するための加工性に優れることができる。
A−3.混合工程(S14)
混合工程(S14)は、繊維材料をゴム成分と混合する工程である。混合工程(S14)は、ロール間隔が0mmを超え0.5mm以下に設定されかつロール温度が0℃〜50℃に設定されたオープンロールを用いて薄通しすることができる。
まず、薄通し工程の前に、図2に示すように、第1のロール10に巻き付けられたゴム成分30の素練りを行なうことができ、ゴム成分30の分子鎖を適度に切断してフリーラジカルを生成する。素練りによって生成されたゴム成分30のフリーラジカルがセルロースナノファイバーと結びつきやすい状態となる。
ゴム成分30としては、天然ゴム(NR)または合成ゴムを用いることができる。合成ゴムとしては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化ブタジエンゴム(EBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,CEO)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィドゴム(T)等及びこれらの混合物を用いることができる。
ゴム成分30は、ニトリルゴムであることができる。ニトリルゴムには、水素化ニトリルゴム(H−NBR)を含む。水素化ニトリルゴムは、水素添加ニトリルゴムあるいは水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどと呼ばれることがある。水素化ニトリルゴムは、ニトリルゴムに含まれる二重結合を水素添加することによって得ることができる。ゴム成分30としてニトリルゴムを用いた複合材料は、解繊したセルロースナノファイバーによってゴム成分30が補強されるため、剛性に優れ、例えば引張試験における50%モジュラス及び100%モジュラスに優れた特性を有する。ニトリルゴムの内、水素化ニトリルゴムをゴム成分30として用いた複合材料は、例えば引張試験における引張強さが優れた特性を有する。
ゴム成分30は、シリコーンゴムであることができる。シリコーンゴムとしては、オルガノポリシロキサンの生ゴムであることができ、主鎖がシロキサン結合で構成され、側鎖にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、γ−フェニルプロピル基等のアラルキ
ル基、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換した基、例えば、クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などを持つことができる。シリコーンゴムの分子構造は、直鎖状であることができ、一部分岐を有した直鎖状であることができる。ゴム成分30としてシリコーンゴムを用いた複合材料は、解繊したセルロースナノファイバーによってゴム成分30が補強されるため、引張試験における引張強さ、剛性、及び破壊エネルギーに優れた特性を有する。
シリコーンゴムには、公知の架橋剤を用いることができ、例えば、架橋形態として縮合型反応、付加型反応、過酸化物反応を用いることができ、過酸化物架橋が好ましい。シリコーンゴムを架橋剤で架橋することによって、耐熱性や耐薬品性に優れた複合材料を製造することができる。
また、シリコーンゴムには、シリカが予め配合されているシリコーンゴムコンパウンドを含む。市販されているシリコーンゴムは、通常シリカが配合されている。シリコーンゴムは低温から高温まで幅広い温度で優れた特性を有することが特徴であるが、物理的強度が低いため、予めシリカ粒子が配合されたコンパウンドが一般的である。
ゴム成分30は、スチレン−ブタジエンゴムであることができる。ゴム成分30としてスチレン‐ブタジエンゴムを用いた複合材料は、解繊したセルロースナノファイバーによってゴム成分30が補強されるため、引張試験における引張強さ、剛性、及び破壊エネルギーに優れた特性を有する。
次に、図3に示すように、第1のロール10に巻き付けられたゴム成分30のバンク34に、繊維材料80を徐々に投入し、混練して中間混合物を得る工程を行うことができる。中間混合物を得る工程において、繊維材料80の他に、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤、受酸剤、カップリング剤などを含むことができる。これらのセルロースナノファイバー以外の配合剤は、混合の過程の適切な時期にゴム成分30に投入することができる。
図2及び図3の中間混合物を得る工程については、オープンロール法に限定されず、例えば密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。
さらに、図4に示すように、薄通し工程を行うことができる。薄通し工程は、ロール間隔dが0mmを超え0.5mm以下に設定されたオープンロール2を用いて、0℃〜50℃で薄通しを行って未架橋の複合材料50を得る工程を行うことができる。ロール間隔dは設定値であり、中間混合物36がロール間わずかな隙間に入り込むことができればそのわずかな隙間から中間混合物36を押し出すことができることがある。この工程では、第1のロール10と第2のロール20とのロール間隔dを、例えば0.1mm〜0.5mmの間隔に設定し、図3で得られた中間混合物36をオープンロール2に投入して薄通しを1回〜複数回行なうことができる。薄通しの回数は、例えば1回〜10回程度行なうことができる。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05〜3.00であることができ、さらに1.05〜1.2であることができる。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。
このように狭いロール間から押し出された複合材料50は、ゴム成分の弾性による復元力で図5のように大きく変形し、その際にゴム成分と共にセルロースナノファイバーが大きく移動する。薄通しして得られた複合材料50は、ロールで圧延されて所定厚さ、例えば100μm〜500μmのシート状に分出しされる。
この薄通し工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、ロール温度を例えば0℃〜50℃に設定して行うことができ、さらに5℃〜30℃の比較的低い温度に設定して行うことができる。複合材料50の実測温度も0℃〜50℃に調整されることができ、さらに5℃〜30℃に調整されることができる。
このような温度範囲に調整することによって、ゴム成分の弾性を利用してセルロースナノファイバーを解繊し、解繊されたセルロースナノファイバーを複合材料50中に分散することができる。
この薄通し工程における高い剪断力により、ゴム成分に高い剪断力が作用し、繊維材料中のセルロースナノファイバーがゴム成分の分子に1本ずつ引き抜かれるように相互に分離し、ゴム成分中に分散される。ここで、繊維材料が多価アルコールを含むことによりセルロースナノファイバーの凝集を抑制し、セルロースナノファイバーに結合したカチオン界面活性剤がセルロースナノファイバー同士の水素結合による凝集を抑制するため、セルロースナノファイバーがゴム成分中に解繊されて分散する。特に、ゴム成分は、弾性と、粘性と、を有するため、セルロースナノファイバーを解繊し、分散することができる。そして、セルロースナノファイバーの分散性および分散安定性(セルロースナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた複合材料50を得ることができる。
より具体的には、オープンロールでゴム成分とセルロースナノファイバーとを混合すると、粘性を有するゴム成分がセルロースナノファイバーの相互に侵入する。セルロースナノファイバーの表面が例えば酸化処理によって適度に活性が高いと、特にゴム成分の分子と結合し易くできる。次に、ゴム成分に強い剪断力が作用すると、ゴム成分の分子の移動に伴ってセルロースナノファイバーも移動し、さらに剪断後の弾性によるゴム成分の復元力によって、凝集していたセルロースナノファイバーが分離されて、ゴム成分中に分散されることになる。特に、オープンロール法は、ロール温度の管理だけでなく、混合物の実際の温度を測定し管理することができるため、好ましい。
ゴム成分は、カチオン界面活性剤にて処理されたセルロースナノファイバーと相互作用を高めるために極性官能基および反応性官能基、例えばカルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、及びこれらの組み合わせから選ばれる反応性官能基を有する変性したゴム成分であることができる。このようなゴム成分としては、例えばカルボキシ変性NBRを挙げることができる。
混合工程は、複合材料をマスターバッチとしてマトリクスとなる高分子物質に混合してもよい。
A−4.除去工程
複合材料の製造方法において、除去工程をさらに含むことができる。除去工程は、複合材料から多価アルコールを除去する工程である。除去工程は、複合材料を加熱することにより行うことができる。除去工程における加熱温度は、複合材料に用いられた多価アルコールが蒸発する温度以上であることができる。除去工程は、混合工程(S14)で得られる複合材料を加熱炉内で加熱するとともに、加熱炉内を脱気することにより、複合材料に残存する多価アルコールを除去することができる。加熱炉内の脱気は、加熱炉に接続した真空ポンプ等で炉内の空気を吸引して多価アルコールの蒸発を促進してもよい。除去工程における加熱温度は、ゴム成分が劣化しない温度以下であることができる。また、除去工程における加熱温度は、セルロースナノファイバーが変色しない温度以下であることができる。例えば、ゴム成分及びセルロースナノファイバーが劣化しないように、熱重量測定(TG:Thermo Gravimetry測定)においてセルロースナノファイバーが5%以上重量減少しない温度に設定することができる。
除去工程における加熱処理は、例えば、減圧オーブン等を用いることができる。除去工程は、上記混合工程(S14)の後に、ロールの温度を除去工程における加熱温度まで上昇させて混練を所定時間継続することにより行ってもよい。
A−5.成形工程
混合工程(S14)または除去工程で得られる複合材料を用いて成形することができる。成形工程は、ゴム組成物の成形として一般的な例えば、プレス加工、圧縮成形、押し出し成形等である。
成形工程は、混合工程(S14)で得られる複合材料を金型内で加熱しながら加圧するとともに、金型内を脱気することにより複合材料を成形することができる。また、成型工程は、除去工程で得られる複合材料をさらに金型内で加熱しながら加圧するとともに、金型内を脱気することにより複合材料を成形することができる。金型内を脱気することにより、複合材料に残存する多価アルコールを除去することができる。金型内の脱気は、加熱炉に接続した真空ポンプ等で炉内の空気を吸引して多価アルコールの蒸発を促進してもよい。
成形工程の前に、ゴム組成物に配合する公知の添加剤を複合材料に混合してもよい。例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤、受酸剤、カップリング剤などを含むことができる。
B.複合材料
本実施形態に係る複合材料は、ゴム成分中にセルロースナノファイバー及びカチオン界面活性剤を含み、前記ゴム成分100質量部に対して前記セルロースナノファイバーを5.0質量部〜40.0質量部含み、前記セルロースナノファイバーに対する前記カチオン界面活性剤の質量比が0.1倍〜2.0倍である。
複合材料がゴム成分100質量部に対して解繊したセルロースナノファイバーを5.0質量部以上含むことにより、ゴム成分を補強することができる。また、バイオマスであるセルロースナノファイバーを含むことで、複合材料の環境負荷が低減する。複合材料がゴム成分100質量部に対して解繊したセルロースナノファイバーを40.0質量部以下含むことにより、上述の混合工程(S14)による加工ができる。また、複合材料におけるゴム成分100質量部に対するセルロースナノファイバーの配合量は、5.0質量部〜30.0質量部であることができる。
複合材料に含まれるセルロースナノファイバーは、繊維径の平均値が3nm〜200nmであることができる。セルロースナノファイバーの繊維径の平均値が3nm以上であることにより、市場で入手可能であり、同平均値が200nm以下であることにより、少量の添加でゴム成分30を補強することができる。
複合材料は、10μm以上の最大幅を有するセルロースナノファイバーの凝集塊を含まないことができ、さらに、5μm以上の最大幅を有するセルロースナノファイバーの凝集塊を含まないことができ、特に1μm以上の最大幅を有する凝集塊を含まないことができる。また、複合材料は、10μm以上の大きな凝集塊を含まないため、変形時に早期に破壊することなく、高い柔軟性と補強性を両立することができる。
複合材料は、複合材料中のゴム成分がニトリルゴムであることができる。複合材料は、複合材料中のゴム成分がシリコーンゴムであることができる。複合材料は、複合材料中のゴム成分がスチレン・ブタジエンゴムであることができる。
セルロースナノファイバー凝集塊は、複数のセルロースナノファイバーが寄り集って粒子状に凝集したままマトリックス中に点在するものである。セルロースナノファイバー凝集塊の最大幅は、透過型光学顕微鏡で複合材料シート、走査型電子顕微鏡で複合材料の割断面を観察することでマトリックス材料中に点在する粒子状の凝集塊を観察して最大幅を計測する。
複合材料は、解繊したセルロースナノファイバーを含むことにより、複合材料の表面における親水性が向上し接着性が改善する。
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
(1)実施例1〜9のサンプルの作製
CNF分散液を得る工程:セルロースナノファイバー水分散液(第一工業製薬社製2%濃度TEMPO酸化セルロースナノファイバー)を水で希釈してセルロースナノファイバー1%濃度の水分散液(溶媒は水)として、その水分散液に、多価アルコールを投入し、ジューサーミキサー(Waring製ブレンダーMX1200XTX)を使用し、回転数20,000rpmで15秒間撹拌することで混合した。さらにこの混合物にカチオン界面活性剤を投入し、同ジューサーミキサーを使用して回転数20,000rpmで15秒間撹拌することで混合してCNF分散液を得た。
表1〜表3において、
「H−NBR」:水素化ニトリルゴム、日本ゼオン社製 Zetpol2230LX、ニトリル量中心値33.2%、ヨウ素価36mg/100mg、固形分濃度40.5%、カルボキシ変性H−NBRラテックスを乾燥して固形ゴムとして使用した、
「CNF」:TEMPO酸化セルロースナノファイバー(セルロースナノファイバーの平均繊維径は3.3nm、平均アスペクト比は160)、
「K1」:ACROS ORGANICS社製、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、98%濃度、
「K2」:富士フィルム和光純薬社製、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、95%濃度、
「K3」:東京化成工業社製、塩化トリメチルステアリルアンモニウム、98%濃度、
「DEG」:富士フィルム和光純薬工業社製、ジエチレングリコール、特級、
「THF」:和光純薬工業社製、テトラヒドロフラン、特級、
であった。
表1〜表5において、繊維材料中のカチオン界面活性剤及び多価アルコールの配合量は、各実施例におけるセルロースナノファイバーの配合量(質量)を「1」としたときの各材料の質量の比率で示した。したがって、例えばカチオン界面活性剤の比率が「0.5」であれば、複合材料のCNFの配合量が5.0質量部(phr)のときにカチオン界面活性剤が2.5質量部(phr)となる。また、表1〜表5において、複合材料中におけるCNFの配合量は、ゴム成分(H−NBR)を100質量部(phr)としたときのCN
Fの質量部とカチオン界面活性剤の質量部とを示した。
乾燥工程:CNF分散液から水系溶媒を除去して繊維材料を得た。より具体的には、CNF分散液をバットに流し込み、オーブンにて50℃、24時間で乾燥して水系溶媒を除去し、繊維材料を得た。
混合工程:オープンロール(二本ロール)に表1及び表2のゴム成分としてのH−NBRを巻き付け、ロールに巻き付いたH−NBRに繊維材料を徐々に投入し、オープンロールでH−NBRと繊維材料とを混練して中間混合物を得て、中間混合物を薄通し(ロール温度10℃〜30℃、ロール間隔0.3mm、ロール速度比1.1)して複合材料を得た。
ここで、実施例1〜4は、同一の配合の繊維材料を用いて、CNFの配合量を5.0質量部から30.0質量部まで変化させた。実施例5〜9は、繊維材料の配合を変化させた。具体的には、実施例5はCNF1に対してカチオン界面活性剤を0.2として実施例1〜4のカチオン界面活性剤の比率より少なくした。実施例6はCNF1に対してカチオン界面活性剤を1として実施例1〜4のカチオン界面活性剤の比率より多く配合した。実施例7はCNF1に対してDEGを10として実施例1〜4のDEGの比率よりも多くした。実施例8はカチオン界面活性剤を塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムとして、比率を0.5とした。実施例9はカチオン界面活性剤を塩化トリメチルステアリルアンモニウムとして、比率を0.5とした。
除去工程:真空オーブンに複合材料を入れ、100℃、4時間加熱して多価アルコールを除去した。
成形工程:複合材料をオープンロールに再び投入し、架橋剤及びその他の添加剤を配合した。架橋剤を添加した複合材料を真空下で165℃、30分間加圧成形して、厚さ1mmのシート状の各実施例のサンプルを得た。
(2)比較例1〜比較例5のサンプルの作製
比較例1〜5のサンプルは、表3の配合量に従って、作製した。
比較例1は、実施例1〜9で用いたゴム成分であるH−NBRを用いて、実施例1と同様にプレス成形してサンプルを得た。
比較例2は、カチオン界面活性剤をCNFの3倍とした他は実施例3と同様に混合工程を行った。
比較例3は、多価アルコールをCNFの0.5倍とした他は実施例3と同様に試験片を得た。
比較例4は、多価アルコールをCNFの50倍とした他は実施例3と同様に混合工程を行ったが、ロールに巻き付かず、試験片が得られなかった。
比較例5は、多価アルコールの代わりに多価アルコールではない溶剤であるテトラヒドロフランを用いた他は実施例3と同様に試験片を得た。
(3)評価方法
(3−1)硬度測定
実施例及び比較例のサンプルについて、ゴム硬度(Hs(JIS A))をJIS K
6253試験に基づいて測定した。測定結果を表1〜表3に示した。
(3−2)引張試験
実施例及び比較例のサンプルについて、JIS6号のダンベル形状に打ち抜いた試験片について、島津製作所社製オートグラフAG−Xの引張試験機を用いて、23±2℃、標線間距離20mm、引張速度500mm/minでJIS K6251に基づいて引張試験を行い、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))、50%モジュラス(σ50(MPa))及び100%モジュラス(σ50(MPa))を測定した。測定結果を表1〜表3に示した。
(3−3)引裂き試験
実施例及び比較例のサンプルを切込み無しのアングル形試験片に打ち抜き、島津製作所社製オートグラフAG−Xを用いて、引張速度500mm/minでJIS K6252に準拠して引裂き試験を行い、最大引裂き力(N)を測定し、その測定結果を試験片の厚さ1mmで除して引裂き強さ(Tr(N/mm))を計算した。測定結果を表1〜表3に示した。
(3−4)線膨張係数の測定
実施例及び比較例のサンプルについて、測定温度範囲における線膨張係数(CTE)の平均値(ppm(1/K))を測定した。測定装置はSII社製の熱機械分析装置TMA/SS6100、測定試料形状は20mm×2mm×1mm(チャック間10mm)、引張モードは25kPa、昇温速度は10℃/分、測定温度は20℃(室温)〜100℃の平均線膨張係数を測定した。測定結果を表1〜表3に示した。
(3−5)加工性評価
実施例及び比較例のサンプルについて、H−NBRが100gで試作した時の上記混合工程における加工性の評価を行った。評価結果(ロール巻き付き性が良好であって、かつ混練時間2時間以内であった場合に「○」とし、加工性が良好であったことを示した。ロール巻き付き性が良好であり、かつ混練時間2時間以上であった場合に「△」とし、加工が可能であったことを示した。ロール巻き付き性が悪く(例えばロールに対してゴムが滑って巻き付かない状態、ロール間を通ったゴムが繋がらない状態等)、かつ混練時間2時間以上であった場合に「×」とし、加工ができなかったことを示した。)を表1〜表3に示した。
(3−6)解繊性及び分散性の評価
実施例及び比較例のサンプルについて、日本電子社製JSM−7400Fの走査型電子顕微鏡で各サンプルの引張破断面を観察して解繊性及び分散性の評価を行った。評価結果(○は10μm以上の最大幅を有する凝集塊なしの場合、×は10μm以上の最大幅を有する凝集塊ありの場合であった)を表1〜表3に示した。また、実施例1〜33のサンプルには5μm以上の最大幅を有する凝集塊は見つからなかった。また、「○」のサンプルとして実施例3の電子顕微鏡写真を図5及び図6に示し、「×」のサンプルとして比較例2の電子顕微鏡写真を図7及び図8に示した。図5と図7とは1000倍であり、図6と図8とは10000倍であった。
(3−7)引張疲労試験
実施例及び比較例のサンプルについて、20mm×幅4mm×厚さ1mm(長辺が列理方向)の短冊状の試験片に打ち抜き、その試験片の長辺の中心から幅方向へカミソリ刃によって深さ1mmの切込みを入れ、SII社製の熱機械分析装置TMA/SS6100試験機を用いて、試験片の両端の短辺付近をチャックにて保持して(チャック間距離は10mmであった)、120℃の大気雰囲気中、周波数1Hzの条件で繰り返し応力をかけて
疲労試験を行い、複数種類の応力をかけてその応力で試験片が破断するまでの回数を測定した。測定結果を図9に示した。図9の横軸は応力である線圧(N/mm)であり、縦軸は破断までの回数(回)であった。
(4)評価
実施例1〜実施例9は、比較例1に比べて引張強さ(TS)が大きかった。
実施例1〜実施例7は、比較例1に比べて50%モジュラス(σ50)、100%モジュラス(σ100)、引裂き強さ(Tr)及び線膨張係数の値が優れていた。
実施例8,9は、実施例3異なるカチオン界面活性剤を用いたが、実施例3と同程度の評価が得られた。
実施例1〜実施例9は、比較例2,3,5に比べて解繊性及び分散性に優れていた。実施例1〜実施例9のサンプルには最大幅が10μm以上の凝集塊がなかった。図5及び図6に示すように電子顕微鏡写真では10μmを超える塊がなかった。比較例2,3,5のサンプルには10μm以上の凝集塊があった。図7及び図8に示すように電子顕微鏡写真には凝集塊の幅が10μmを超える大きなCNFの塊が多数発見された。比較例4はオープンロールによる混練が困難であったためサンプルを評価できなかった。
実施例1〜6,8,9は、比較例2〜5に比べて加工性に優れていた。実施例7は多価アルコールの配合量が実施例1〜6,7,8より多いことから混合物がオープンロールに巻き付きにくくなる傾向を示したが、比較例2,4に比べれば実施例7の加工性は優れていた。
図9によれば、実施例2は解繊されたCNFにより、同じ線圧であれば破断までの回数が1桁以上多くなった。
(5)実施例10〜15のサンプルの作製
CNF分散液を得る工程、乾燥工程、混合工程、除去工程及び成形工程は、表4,5の配合に従って、実施例1と同様にして実施例10〜15の複合材料のサンプルを得た。
表4及び表5において、
「NBR」:三元共重合体XNBR(カルボシキ変性NBR)、日本ゼオン社製Nipol NX775、ニトリル量26.7%、ムーニー粘度44.0、
「EG」:東京化成工業社製、エチレングリコール、
であった。なお、「CNF」、「K1」及び「DEG」:実施例1と同じであった。
実施例10〜実施例15は、実施例1〜実施例9とは異なるゴム成分を採用した。実施例10〜実施例12は、同一の配合の繊維材料を用いて、CNFの配合量を5.0質量部から20.0質量部まで変化させた。実施例13は、多価アルコールをCNFの5倍とした他は実施例12と同様に複合材料を得た。実施例14は、カチオン界面活性剤として塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを用いて、その他は実施例13と同様にして複合材料を得た。実施例15は多価アルコールとしてエチレングリコールを用いて、その他は実施例12と同様に複合材料を得た。
(6)比較例6及び比較例7のサンプルの作製
比較例6,7のサンプルは、表5の配合量に従って、作製した。
比較例6は、実施例10〜15で用いたゴム成分であるNBRを用いて、実施例10と同様にプレス成形してサンプルを得た。
比較例7は、多価アルコールをCNFの1.5倍にした他は実施例12と同様に試験片を得た。
(7)評価方法
実施例10〜15及び比較例6,7について、実施例1と同様の条件で上記評価試験(3)を行った。
(8)評価
実施例10は、比較例6に比べて50%モジュラス(σ50)及び100%モジュラス(σ100)の値が大きかった。実施例11は、比較例6に比べて50%モジュラス(σ50)、100%モジュラス(σ100)の値が大きかった。
実施例12〜15は、比較例6,7に比べて引張強さ(TS)、50%モジュラス(σ50)及び100%モジュラス(σ100)の値が大きかった。
実施例10〜実施例15は、比較例6,7に比べて解繊性及び分散性に優れていた。また、実施例10〜15は、比較例7に比べて加工性に優れていた。
(9)実施例16〜25のサンプルの作製
CNF分散液を得る工程、混合工程、除去工程及び成形工程は表6,7の配合に従って実施例1と同様にして、また乾燥工程は以下のようにして、実施例16〜25の複合材料のサンプルを得た。
乾燥工程:CNF分散液をバットに流し込み、オーブンにて40℃、3日間乾燥して水系溶媒を除去し、繊維材料を得た。
表6〜表8において、
「シリコーンゴム」:信越化学工業社製、KE−551−U、
であった。なお、「CNF」、「K1」、「K3」及び「DEG」:実施例1〜9と同じであった。
実施例16〜実施例25は、実施例1〜実施例9とは異なるゴム成分を採用した。実施例16〜実施例18は、同一の配合の繊維材料を用いて、CNFの配合量を5.0質量部から20.0質量部まで変化させた。実施例19は、カチオン界面活性剤を塩化トリメチルステアリルアンモニウムにした以外は実施例18と同様に複合材料を得た。実施例20〜実施例22は、多価アルコールの配合量を変えた以外は実施例18と同様に複合材料を得た。実施例23,24は、カチオン界面活性剤の配合量を変えた以外は実施例18と同様にして複合材料を得た。実施例25は多価アルコールの配合量を変えた以外は実施例18と同様に複合材料を得た。
(10)比較例8〜13のサンプルの作製
比較例8〜13のサンプルは、表8の配合量に従って、作製した。
比較例8は、実施例16〜25で用いたゴム成分であるシリコーンゴムを用いて、実施例16と同様にプレス成形してサンプルを得た。比較例9は、多価アルコールを含まない点以外は実施例18と同様に試験片を得た。比較例10は、界面活性剤を含まない点以外は実施例18と同様に混合工程を行ったがロールに巻き付かず、試験片が得られなかった。比較例11及び12は、多価アルコールの配合量を変えた点以外は実施例18と同様に各製造工程を行い、比較例11はロールに巻き付かず、試験片が得られず、比較例12についは試験片を得た。比較例13は、界面活性剤の配合量を変えた点以外は実施例18と同様に混合工程を行ったが、ロールに巻き付かず、試験片が得られなかった。
(11)評価方法
実施例16〜25及び比較例8,9,12について、実施例1と同様の条件で上記評価試験(3)を行った。実施例16〜25及び比較例8,9,12では引張試験の結果から破壊エネルギーを算出して評価した。
(12)評価
実施例16〜25は、比較例8に比べて引張強さ(TS)、50%モジュラス(σ50)、100%モジュラス(σ100)及び破壊エネルギーの値が大きかった。実施例18に比べて多価アルコールが多い実施例21,22,25は、加工性が低下した。実施例18に比べて界面活性剤が多い実施例24は、加工性が低下した。
比較例9,12は、多価アルコールを配合しないかまたは少なすぎるため、セルロースナノファイバーの解繊性及び分散性が低かった。
(13)実施例26〜33のサンプルの作製
CNF分散液を得る工程、乾燥工程、混合工程、除去工程及び成形工程は、表9,10の配合に従って、実施例16と同様にして実施例26〜33のCNF分散液を得た。
表9〜表11において、
「SBR」:JSR社製の乳化重合スチレン・ブタジエンゴム、JSR−1500、
「変性SBR」:旭化成社製の変性溶液重合スチレン・ブタジエンゴム、タフデンE580(「タフデン」は登録商標)、
であった。なお、「CNF」、「K1」、「K3」及び「DEG」:実施例1〜9と同じであった。
実施例26〜実施例33は、実施例1〜実施例9とは異なるゴム成分を採用した。実施例26〜実施例28は、同一の配合の繊維材料を用いて、CNFの配合量を5.0質量部から20.0質量部まで変化させた。実施例29,30は、ゴム成分を2種類のスチレン‐ブタジエンゴムを用いて実施例28と同様に複合材料を得た。実施例30は、カチオン界面活性剤を塩化トリメチルステアリルアンモニウムにした以外は実施例29と同様に複合材料を得た。実施例31,32は、カチオン界面活性剤の配合量を変えた以外は実施例28と同様にして複合材料を得た。実施例33は、多価アルコールの配合量を変えた以外
は実施例28と同様に複合材料を得た。
(14)比較例14〜20のサンプルの作製
比較例14〜20のサンプルは、表11の配合量に従って、作製した。
比較例14は、実施例26〜28,31〜33で用いたゴム成分であるスチレン・ブタジエンゴムを用いて、実施例26と同様にプレス成形してサンプルを得た。比較例15は、界面活性剤及び多価アルコールを含まない点以外は実施例28と同様に試験片を得た。比較例16は、多価アルコールを含まない点以外は実施例28と同様に試験片を得た。比較例17は、界面活性剤を含まない点以外は実施例28と同様に混合工程を行ったがロールに巻き付かず、試験片が得られなかった。比較例18は、実施例29,30で用いたゴム成分であるシリコーンゴムを用いて、実施例29と同様にプレス成形してサンプルを得た。比較例19及び20は、多価アルコールの配合量を変えた点以外は実施例28と同様に各製造工程を行い、比較例19はロールに巻き付かず試験片が得られず、比較例20についは試験片を得た。
(15)評価方法
実施例26〜33及び比較例14〜16,18,20について、実施例1と同様の条件で上記評価試験(3)を行った。実施例26〜33及び比較例14〜16,18,20では引張試験の結果から破壊エネルギーを算出して評価した。
(16)評価
実施例26〜28,31〜33は、比較例14に比べて引張強さ(TS)、50%モジュラス(σ50)、100%モジュラス(σ100)及び破壊エネルギーの値が大きかった。実施例29,30は、比較例18に比べて引張強さ(TS)、50%モジュラス(σ50)、100%モジュラス(σ100)及び破壊エネルギーの値が大きかった。実施例28に比べて界面活性剤が多い実施例32は、加工性が低下した。実施例28に比べて多価アルコールが多い実施例33は、加工性が低下した。
2…オープンロール、10…第1のロール、20…第2のロール、30…ゴム成分、34…バンク、36…中間混合物、50…複合材料、d…ロール間隔、V1,V2…回転速度

Claims (15)

  1. 水系溶媒にセルロースナノファイバーが分散したセルロースナノファイバー水分散液とカチオン界面活性剤と多価アルコールとを混合してCNF分散液を得る工程と、
    前記CNF分散液から水系溶媒を除去して繊維材料を得る乾燥工程と、
    前記繊維材料をゴム成分と混合して複合材料を得る混合工程と、
    を含み、
    前記CNF分散液における前記セルロースナノファイバーに対する前記カチオン界面活性剤の質量比が0.1倍〜2.0倍であり、
    前記CNF分散液における前記セルロースナノファイバーに対する前記多価アルコールの質量比が2.0倍〜20.0倍である、複合材料の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記カチオン界面活性剤は、1級〜3級のアミン塩及び4級アンモニウム塩のいずれか1つ以上ではある、複合材料の製造方法。
  3. 請求項1において、
    前記カチオン界面活性剤は、炭素数が10〜18の長鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩である、複合材料の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記多価アルコールは、2価アルコール及び3価アルコールの少なくとも一方である、複合材料の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、
    前記混合工程は、ロール間隔が0mmを超え0.5mm以下に設定されかつロール温度が0℃〜50℃に設定されたオープンロールを用いて薄通しする、複合材料の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、
    前記ゴム成分がニトリルゴムである、複合材料の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項において、
    前記ゴム成分がシリコーンゴムである、複合材料の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項において、
    前記ゴム成分がスチレン・ブタジエンゴムである、複合材料の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項において、
    前記混合工程で得られる前記複合材料を加熱炉内で加熱するとともに、前記加熱炉内を脱気することにより、前記複合材料に残存する多価アルコールを除去する除去工程をさらに含む、複合材料の製造方法。
  10. ゴム成分中にセルロースナノファイバー及びカチオン界面活性剤を含み、
    前記ゴム成分100質量部に対して前記セルロースナノファイバーを5.0質量部〜40.0質量部含み、
    前記セルロースナノファイバーに対する前記カチオン界面活性剤の質量比が0.1倍〜2.0倍である、複合材料。
  11. 請求項10において、
    前記セルロースナノファイバーは、繊維径の平均値が3nm〜200nmである、複合
    材料。
  12. 請求項10または11において、
    前記セルロースナノファイバーは10μm以上の最大幅を有する凝集塊を含まない、複合材料。
  13. 請求項10〜12のいずれか1項において、
    前記ゴム成分がニトリルゴムである、複合材料。
  14. 請求項10〜12のいずれか1項において、
    前記ゴム成分がシリコーンゴムである、複合材料。
  15. 請求項10〜12のいずれか1項において、
    前記ゴム成分がスチレン・ブタジエンゴムである、複合材料。
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