JP2014138621A - 複数領域菓子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、キャンディ中に含まれる軟成分の流失を抑制して軟成分による利点を享受でき且つ口中でのざらつき感を低減できる菓子及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明に係る菓子10は、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を含む第1領域20と、この第1領域20を少なくとも部分的に包囲し、ハードキャンディ組成物の硬化体からなる第2領域30と、を備える。複数領域菓子の製造方法は、ハードキャンディ組成物の溶融体中に、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を位置した後、溶融体を硬化する手順を有する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る菓子10は、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を含む第1領域20と、この第1領域20を少なくとも部分的に包囲し、ハードキャンディ組成物の硬化体からなる第2領域30と、を備える。複数領域菓子の製造方法は、ハードキャンディ組成物の溶融体中に、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を位置した後、溶融体を硬化する手順を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、複数領域を有する菓子、及びその製造方法に関する。
従来、ジャム、ペースト、シロップ等の軟成分をハードキャンディで被覆したキャンディが多数開発されている。これらのキャンディは、スタンピング製法、即ち、上記軟成分がハードキャンディで挟まれた状態で全体を引き伸ばした後、所望の寸法を有する型でスタンプして引きちぎることで製造されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、前述した従来のキャンディは、舐め始めるとすぐに水性の軟成分が流失して、ハードキャンディ(シェルキャンディ)だけが口腔内に残ってしまうという問題点がある。これは、製造の過程で、軟成分が菓子中央に均等に配置されないために、シェルキャンディの両端が非常に薄くなってしまうことによる。従って、従来のキャンディでは、通常10%程度しか軟成分を被覆できないため、シェルキャンディと軟成分との食感の違いを充分に楽しむことができない。
また、製造過程においてハードキャンディに多量の微細な気泡が混入する結果、キャンディに大小様々の孔が形成され、これらの孔が口中において不快なざらつき感を与える場合が多い。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、キャンディ中に含まれる軟成分の流失を抑制して軟成分による利点を享受でき且つ口中でのざらつき感を低減できる菓子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を含む第1領域を、ハードキャンディ組成物の硬化体からなる第2領域で少なくとも部分的に包囲することで、多量の軟成分を用いても、軟成分がキャンディ中央に配置され、これにより口中への流失が遅延されて、舐め終わり時に軟成分を官能できること、また、気泡の混入が大幅に低減されて、口中でのざらつき感を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を含む第1領域と、前記第1領域を少なくとも部分的に包囲し、ハードキャンディ組成物の硬化体からなる第2領域と、を備える複数領域菓子。
(2)前記油系分散媒は、37℃以下の流動点又は融点を有する(1)記載の複数領域菓子。
(3)前記油系分散媒は、20℃以下の流動点又は融点を有する(2)記載の複数領域菓子。
(4)前記油系分散媒は、20℃以上45℃以下の流動点又は融点を有する(1)記載の複数領域菓子。
(5)前記分散系は、前記複数領域菓子全体の5質量%以上を占める(1)から(4)いずれか記載の複数領域菓子。
(6)前記分散系は、前記複数領域菓子全体の70質量%以下を占める(1)から(5)いずれか記載の複数領域菓子。
(7)前記分散系は、前記複数領域菓子全体の15質量%以上50質量%以下を占める(5)又は(6)記載の複数領域菓子。
(8)第1領域及び第2領域の一組の質量が2g以下である(1)から(7)いずれか記載の複数領域菓子。
(9)前記分散系は、乳化剤を更に含有する(1)から(8)いずれか記載の複数領域菓子。
(10)前記乳化剤は、モノグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及びプロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である(9)記載の複数領域菓子。
(11)前記乳化剤は、グリセリン系乳化剤及びポリグリセリン系乳化剤からなる群より選ばれる1種以上である(9)又は(10)記載の複数領域菓子。
(12)第1領域は、前記複数領域菓子の初期消費の後に放出される(1)から(11)いずれか記載の複数領域菓子。
(13)第1領域の放出は、液感を与える(12)記載の複数領域菓子。
(14)第1領域の放出は、固体感を与える(12)記載の複数領域菓子。
(15)ハードキャンディ組成物の溶融体中に、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を位置した後、前記溶融体を硬化する手順を有する複数領域菓子の製造方法。
(16)前記油系分散媒は、37℃以下の流動点を有する(15)記載の製造方法。
(17)前記油系分散媒は、20℃以下の流動点を有する(16)記載の製造方法。
(18)前記油系分散媒は、20℃以上45℃以下の流動点又は融点を有する(15)記載の製造方法。
(19)内管と、この内管の外方に隙間をあけて設けられた外管と、からなる二重管構造を備えるデポジッタを用い、前記内管から前記分散系を、前記隙間から前記溶融体を導出してデポジットする(15)から(18)いずれか記載の製造方法。
(20)前記デポジットは、前記溶融体を優先的に導出した後に、前記分散系及び前記溶融体を導出し、その後、前記溶融体を優先的に導出することで行う(19)記載の製造方法。
(21)前記分散系を、前記複数領域菓子全体の5質量%以上の量で配合する(15)から(20)いずれか記載の製造方法。
(22)前記分散系を、前記複数領域菓子全体の70質量%以下の量で配合する(15)から(21)いずれか記載の製造方法。
(23)前記分散系を、前記複数領域菓子全体の15質量%以上50質量%以下の量で配合する(21)又は(22)記載の製造方法。
(24)第1領域及び第2領域の一組の質量を2g以下にする(15)から(23)いずれか記載の製造方法。
(25)前記分散系は、乳化剤を更に含有する(15)から(24)いずれか記載の製造方法。
(26)前記乳化剤は、モノグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及びプロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である(25)記載の製造方法。
(27)前記乳化剤は、グリセリン系乳化剤及びポリグリセリン系乳化剤からなる群より選ばれる1種以上である(25)又は(26)記載の製造方法。
(28)第1領域は、前記複数領域菓子の初期消費の後に放出される(15)から(27)いずれか記載の製造方法。
(29)第1領域の放出は、液感を与える(28)記載の製造方法。
(30)第1領域の放出は、固体感を与える(28)記載の製造方法。
本発明によれば、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を含む第1領域を、ハードキャンディ組成物の硬化体からなる第2領域で少なくとも部分的に包囲することで、多量の軟成分を用いても、軟成分がキャンディ中央に配置される。これにより、軟成分の口中への流失が遅延されて、舐め終わり時に多量の軟成分を官能できるため、軟成分による利点を享受できる。また、気泡の混入が大幅に低減されて、口中でのざらつき感を低減できる。
以下、本発明の実施形態を説明するが、これに本発明が限定されるものではない。
<複数領域菓子>
本発明の一実施形態に係る複数領域菓子は、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を含む第1領域と、この第1領域を少なくとも部分的に包囲し、ハードキャンディ組成物の硬化体からなる第2領域と、を備える。第1領域に液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を含ませることで、ハードキャンディ組成物の硬化体からなる第2領域に、第1領域が少なくとも部分的に包囲可能になる。これにより、有効成分による利点を享受できる。
本発明の一実施形態に係る複数領域菓子は、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を含む第1領域と、この第1領域を少なくとも部分的に包囲し、ハードキャンディ組成物の硬化体からなる第2領域と、を備える。第1領域に液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を含ませることで、ハードキャンディ組成物の硬化体からなる第2領域に、第1領域が少なくとも部分的に包囲可能になる。これにより、有効成分による利点を享受できる。
従来のスタンピング製法とは異なり、本実施形態の複数領域菓子は、その製造過程において引き伸ばし等の気泡混入要因が少ないので、口中における不快なざらつき感を低減できる。水系(水系単相、又は分散媒が水系である分散系)からなる有効成分を溶融体中に位置すると、軟成分中の有効成分が溶融体中に溶解してしまうため、軟成分による利点を充分に享受することは困難である。しかし、本発明では液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を用いることで、有効成分が封入可能になるため、軟成分による利点を享受できる。
図6に示されるように、スタンピング製法で製造される従来の菓子900では、スタンプ型に挟まれることで生じる亀裂915がハードキャンディ層930及びセンター層910の表面に形成されている。これに対して、本発明のようにデポジット製法で製造される菓子には、上記亀裂は存在しない。その結果、軟成分はデポジット製法で製造される菓子900の中央にあるため、口中への流失が遅延され、舐め始めてすぐには口中に流失しない。また、デポジット型から菓子を離脱させるときに、型の底から棒状体で菓子を押すことが一般的である(詳細は後述の通り)ため、図1に示されるように本発明の菓子10には、棒状体の押しにより形成された凹み35が形成されている場合が多い。
第1領域及び第2領域の配置は、選択される条件(後述)の組み合わせによって適宜変化するが、第1領域20が第2領域30に完全に包囲されることが好ましい。図1では第1領域20が菓子10の略中央に位置しているが、これに限られず、高さ方向(図1における上下方向)及び/又は幅方向(図1における左右方向)に関して非中央に位置してもよい。また、図2に示されるように、複数の第1領域20a,20bが第2領域30に包囲されていてもよいし、あるいは図3に示されるように、小さく分割された第1領域20Bが第2領域に分散し、完全に包囲された完全被覆領域21のみならず、部分的にのみ包囲された部分被覆領域23をも含んでもよい。
[分散系]
第1領域が水系単体、もしくは水系分散媒からなる分散系であると、同じく水系であるハードキャンディ組成物の溶融体へ分散系が混和、溶解、又は分散しやすいため、第1領域が第2領域に溶解又は混和してしまい、液感を維持できなくなる傾向がある。また、菓子は、小さく分割された有効成分の封入体がハードキャンディの硬化体中に分散された構造を有する傾向がある。これに対し、本発明で用いられる分散媒は、油系であるため、ハードキャンディ組成物の溶融体へ分散しにくく、大型の有効成分の封入体がハードキャンディの硬化体に包囲された構造が形成される傾向がある。大型の有効成分の封入体が形成されると、ある程度の大きさの固体(例えば、フルーツ破片、ドライフルーツ)を封入体中にも含めることができ、官能性の更なる向上を期待できる。従って、本発明の菓子は、ハードキャンディで多量の有効成分を包囲でき、菓子の消費の最終段階(ハードキャンディの硬化体が消費された後)において有効成分を味わうことができる。
第1領域が水系単体、もしくは水系分散媒からなる分散系であると、同じく水系であるハードキャンディ組成物の溶融体へ分散系が混和、溶解、又は分散しやすいため、第1領域が第2領域に溶解又は混和してしまい、液感を維持できなくなる傾向がある。また、菓子は、小さく分割された有効成分の封入体がハードキャンディの硬化体中に分散された構造を有する傾向がある。これに対し、本発明で用いられる分散媒は、油系であるため、ハードキャンディ組成物の溶融体へ分散しにくく、大型の有効成分の封入体がハードキャンディの硬化体に包囲された構造が形成される傾向がある。大型の有効成分の封入体が形成されると、ある程度の大きさの固体(例えば、フルーツ破片、ドライフルーツ)を封入体中にも含めることができ、官能性の更なる向上を期待できる。従って、本発明の菓子は、ハードキャンディで多量の有効成分を包囲でき、菓子の消費の最終段階(ハードキャンディの硬化体が消費された後)において有効成分を味わうことができる。
油系分散媒とは、液体となる温度条件下において、水もしくは第2領域であるハードキャンディに混和もしくは溶解しない分散媒を指す。従来公知の油脂、特に食用油脂であってよく、かかる油脂としては、例えばバター油、硬化油、植物油(例えばヤシ油、サフラワー油、菜種油、オリーブ油、茶種子油、椿油)等が挙げられる。
油系分散媒は、37℃以下の流動点又は融点を有することが好ましく、20℃以下の流動点又は融点を有することがより好ましい。これにより、通常37℃程度である口腔内において分散媒が流体化又は液化するため、咀嚼者に軟成分による利点をより享受させることができる。ただし、菓子の目的に応じて、分散媒の流動点又は融点が37℃超であってもよい。いくつかの態様では、37℃以下の流動点又は融点を有する分散媒が軟成分中で使用されると、咀嚼者に液感を与えやすく、20℃以下の流動点又は融点を有する分散媒が軟成分中で使用されると、咀嚼者に高度の液感を与える。更に他の態様において、37℃超45℃以下(具体的には40℃以下)の流動点又は融点を有する分散媒が軟成分中で使用されると、咀嚼者に固体感を与えるやすい。流動点は、ASTM D5949又はJIS K 2249に規定される方法に従って測定される。また、融点は、ASTM D127又はJIS K 2235に規定される方法に従って測定される。
ここで、液体の分散質は、常温(一般的に20℃以上)において液体であり、上述の油系分散媒に混和もしくは溶解しにくい分散質を指す。具体的には、本発明における分散質は親水性もしくは水溶性であり、室温にて水と混和可能である又は水に溶解可能である分散質を指し、適切な着色料、フレーバー、フルーツ系製品、甘味料(糖、ポリオール、シロップ、蜂蜜)、治療薬、ハイドロコロイド等が挙げられる。なお、本発明における分散質は、必ずしも水分を含有しなければならない訳ではなく、水分を実質的に含有しなくてもよい。また、液体の分散質は、分散媒中に油又は固形分が分散した分散系であってもよく、この場合には、第1領域を構成する分散系が、O/W/O、W/O/W/O等の多層構造を有する。
分散系の安定性向上の観点で、分散系は乳化剤を含有することが好ましい。乳化剤は、特に限定されず従来公知のものであってよく、安全性の観点から、モノグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、及び有機酸グリセリン脂肪酸エステル等のグリセリン系乳化剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等のポリグリセリン系乳化剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等であることが好ましい。
特に20℃以下の流動点又は融点を有する油系分散媒を用いて分散系を形成する、すなわち、W/O型エマルションを形成する場合、その安定性が不充分であると、製造過程又は製造後において水相から分離した油相がハードキャンディ組成物へと漏出してしまう(いわゆる油浮き)ことが懸念される。そこで、安定性に優れるW/O型エマルションを形成でき、結果的にハードキャンディで更に多量の有効成分を包囲できる点で、モノグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、及び有機酸グリセリン脂肪酸エステル等のグリセリン系乳化剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等のポリグリセリン系乳化剤が好ましいが、これに限定されるものではない。本明細書において、W/Oエマルションは、油中水エマルションと同義であり、不連続水相が連続油相中に分散した系を指す。
なお、20℃以上45℃以下の流動点又は融点を有する油系分散媒を用いて分散系を形成することで、種々の乳化剤を用いても、或いは乳化剤を用いなくても、分散系の安定性を得ることができる。
分散系の配合量は、用いる分散系の組成及び形態、有効成分の配合量等を考慮して、有効成分の漏出を抑制できるよう適宜設定されてよい。ただし、分散系は、有効成分による利点を充分に享受できるよう、複数領域菓子全体の5質量%以上を占めることが好ましく、より好ましくは10質量%以上、最も好ましくは15質量%以上である。また、分散系は、有効成分の漏出をより高確率で抑制できる観点では、複数領域菓子全体の70質量%以下を占めることが好ましく、より好ましくは60質量%以下、最も好ましくは50質量%以下である。
分散系を構成する分散質及び分散媒の配合比は、配合したい有効成分の量、使用する乳化剤等に応じて、適宜設定されてよい。例えば、分散媒が分散系全体に対して3質量%以上であってよい。また、分散系は、従来周知の製造方法で製造してよい。例えば、油系分散媒(場合によっては、更に乳化剤を含む混合物)に、液体の分散質を少量ずつ添加し、撹拌すればよい。
(有効成分)
前述のように、分散系は、着色料、フレーバー、フルーツ系製品、甘味料、治療薬等の有効成分を更に含有してもよい。かかる有効成分は従来周知のものであってよく、具体例は、国際公開WO2008/079927号パンフレット(援用されて本明細書の一部をなす)等に記載される通りである。具体的には、加温剤、冷却剤、刺激剤、フレーバー、甘味料、酸味料、苦味料、塩味料、界面活性剤、呼気清涼剤、抗菌剤、抗歯石剤、抗歯垢剤、フッ化物化合物、再石灰化剤、薬剤、微量栄養素、喉ケア剤、歯ホワイトニング剤、エネルギー増強剤、集中力増強剤、食欲抑制剤、着色料、その他成分が挙げられ、菓子の任意の部分又は領域に含まれていてよい。これらの成分は、所望の効果を得るのに充分な量で使用されてよい。
前述のように、分散系は、着色料、フレーバー、フルーツ系製品、甘味料、治療薬等の有効成分を更に含有してもよい。かかる有効成分は従来周知のものであってよく、具体例は、国際公開WO2008/079927号パンフレット(援用されて本明細書の一部をなす)等に記載される通りである。具体的には、加温剤、冷却剤、刺激剤、フレーバー、甘味料、酸味料、苦味料、塩味料、界面活性剤、呼気清涼剤、抗菌剤、抗歯石剤、抗歯垢剤、フッ化物化合物、再石灰化剤、薬剤、微量栄養素、喉ケア剤、歯ホワイトニング剤、エネルギー増強剤、集中力増強剤、食欲抑制剤、着色料、その他成分が挙げられ、菓子の任意の部分又は領域に含まれていてよい。これらの成分は、所望の効果を得るのに充分な量で使用されてよい。
[ハードキャンディ組成物]
ハードキャンディ組成物は、従来周知の組成で構成されてよい。具体的には、ハードキャンディ組成物は、ショ糖及び水飴を主成分としてもよいし、ショ糖を含まないシュガーレス型であってもよい。ショ糖の一部を黒糖に代えた黒飴、ショ糖の一部を練乳等の乳製品に代えたミルクキャンディも本発明に包含される。シュガーレス型の場合、糖質として、還元パラチノース、ソルビトール、マルチトール、マルチトリイトール、還元澱粉糖化物等の任意のシュガーレス素材が使用できる。ハードキャンディ組成物には、ショ糖、水飴、黒糖、乳製品、シュガーレス素材の他、適切な着色料、フレーバー、フルーツ系製品、甘味料、治療薬等も適宜含まれてよい。
ハードキャンディ組成物は、従来周知の組成で構成されてよい。具体的には、ハードキャンディ組成物は、ショ糖及び水飴を主成分としてもよいし、ショ糖を含まないシュガーレス型であってもよい。ショ糖の一部を黒糖に代えた黒飴、ショ糖の一部を練乳等の乳製品に代えたミルクキャンディも本発明に包含される。シュガーレス型の場合、糖質として、還元パラチノース、ソルビトール、マルチトール、マルチトリイトール、還元澱粉糖化物等の任意のシュガーレス素材が使用できる。ハードキャンディ組成物には、ショ糖、水飴、黒糖、乳製品、シュガーレス素材の他、適切な着色料、フレーバー、フルーツ系製品、甘味料、治療薬等も適宜含まれてよい。
<複数領域菓子の製造方法>
本発明に係る複数領域菓子の製造方法は、ハードキャンディ組成物の溶融体中に、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を位置した後、前記溶融体を硬化する手順を有する。従来のスタンピング製法とは異なり、製造過程において引き伸ばし等の気泡混入要因が少ないので、口中における不快なざらつき感を低減できる。また、軟成分が菓子の中央に配置されるため、口中への流失が遅延され、舐め始めてすぐには口中に流失しない。また、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を用いることで、有効成分が封入可能になるため、軟成分による利点を享受できる。
本発明に係る複数領域菓子の製造方法は、ハードキャンディ組成物の溶融体中に、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を位置した後、前記溶融体を硬化する手順を有する。従来のスタンピング製法とは異なり、製造過程において引き伸ばし等の気泡混入要因が少ないので、口中における不快なざらつき感を低減できる。また、軟成分が菓子の中央に配置されるため、口中への流失が遅延され、舐め始めてすぐには口中に流失しない。また、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を用いることで、有効成分が封入可能になるため、軟成分による利点を享受できる。
「溶融体中に、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を位置した後、溶融体を硬化する」に包含されるには、硬化の開始時において分散系が溶融体中に位置していればよい。つまり、硬化の開始から完了までの間、分散系が溶融体中に位置することが好ましいが、分散系の一部が溶融体に分散してもよい。
一般的には、まず、図4(a)に示されるように、デポジット用型200の型本体210内に、ハードキャンディ組成物の溶融体及び分散系を供給し、溶融体53中に分散系51を位置する。その後、溶融体53を硬化することで、分散系からなる第1領域20と、この第1領域20を少なくとも部分的に包囲し、ハードキャンディ組成物の硬化体からなる第2領域30とを備える複数領域菓子10が形成される(図4(b))。一般的には、型本体210の底に設けられた棒状体230で菓子10を押し、型本体210から分離して回収する(図4(c))。この過程で前述の凹み35が形成される。
溶融体53中に分散系51を位置するのは、特に限定されず、任意の手順で行ってよい。例えば、溶融体を型本体210内に供給し、この溶融体に向けて分散系を注ぎ、更に分散系を覆うように溶融体を供給し、この溶融体を硬化させてもよい。ただし、かかる手順では硬化を複数回行う必要があり、製造時間の長期化を招来する。
そこで、内管と、この内管の外方に隙間をあけて設けられた外管と、からなる二重管構造を備えるデポジッタを用い、内管から分散系を、隙間から溶融体を導出してデポジットすることが好ましい。これにより、単に導出を行うだけで、分散系が溶融体の中央(特に幅方向;図4における左右方向に関して)に位置しやすく、製造時間の短縮を期待できる。なお、デポジッタは、二重管構造を備える限りにおいて、更に他の管を備えていてもよい(つまり、三重管構造以上)し、あるいは国際公開WO2008/079927号公報のように、外管に複数の流路が設けられていてもよい。
特にデポジットは、溶融体を優先的に導出した後に、分散系及び溶融体を導出し、その後、溶融体を優先的に導出することで行うことが好ましい。これにより、分散系が溶融体の中央(特に高さ方向;図4における上下方向に関して)に位置しやすく、単数回の硬化でも製造時間を短縮できる。
また、溶融体を型本体210内に供給し、この溶融体に向けて分散系を注ぐ態様では、溶融体の量が小さくなるにつれ、型本体210に接触した溶融体が短時間に降温して硬化してしまうため、分散系が溶融体内に被覆された構造を形成することが困難である。しかし、上記態様によれば、分散系が既に溶融体で被覆された状態で型本体210にデポジットされるため、溶融体の量が小さくとも、被覆構造を形成できる。従って、上記態様によれば、菓子のサイズを幅広い範囲から選択でき、設計の自由度を向上でき、例えば第1領域及び第2領域の一組の質量が2g以下のように従来不可能であった小型の菓子も、高品質に製造することができる。
図5を参照しながら説明すると、まず、内管310及び外管330の隙間Gから、ハードキャンディ組成物の溶融体53’を導出する(図5(a))。次に、ハードキャンディ組成物の溶融体53’’を隙間Gから導出しつつ、分散系51’を内管310から導出する(図5(b))。その後、隙間Gから更に溶融体53’’’を導出する(図5(c))ことで、溶融体中に分散系を位置することができる。
図5(a)、(c)では、ハードキャンディ組成物の溶融体のみが導出されている(分散系をハードキャンディ組成物で包囲しやすい点で好ましい)ように示されているが、溶融体が優先的に導出されている限りにおいて、溶融体とともに分散系を導出してもよい。ここで、「優先的」とは、その前又は後における溶融体の導出速度に比べて低い速度で導出を行うことを指す。
必要に応じて、図5(a)〜(c)に示される工程を複数回繰り返してもよい。これにより、図2に示されるような複数の第1領域20a,20bが包囲された菓子10Aを、短時間で製造することもできる。
<実施例1>
水分量が1質量%になるまで煮詰めた還元麦芽糖水飴を150℃まで冷却した。その後、予め加熱溶解し、混合しておいたバター及びレシチンの混合物、黒糖フレーバー、及びカラメル色素を添加し、撹拌することで、ハードキャンディ組成物の溶融体を調製した。配合量は表1に示す通りである。
水分量が1質量%になるまで煮詰めた還元麦芽糖水飴を150℃まで冷却した。その後、予め加熱溶解し、混合しておいたバター及びレシチンの混合物、黒糖フレーバー、及びカラメル色素を添加し、撹拌することで、ハードキャンディ組成物の溶融体を調製した。配合量は表1に示す通りである。
水分量が10質量%になるまで煮詰めた還元麦芽糖水飴を80℃まで冷却した後、グリセリン及びミルクフレーバーを添加し撹拌することで、分散質としての糖質混合物を作製した。これとは別に、分散媒としてのバターオイル、及び乳化剤としての縮合リシノレイン酸ペンタグリセリンを、40〜50℃で溶解し混合した。この分散媒及び乳化剤の混合物に、上記糖質混合物を少量ずつ添加し撹拌することで、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を調製した。配合量は表2に示す通りである。
調製したハードキャンディ組成物が第2領域に、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系が第1領域になるように、図4及び図5に示す手順で複数領域菓子を製造した。このとき、溶融体の配合量を変化させることで、分散系の配合量が菓子全体の12.5質量%、15.2質量%、又は20.0質量%になるように、各菓子を製造した。
(比較例1)
液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系の代わりに、以下の手順で調製した水系分散媒を含む分散系を用いた点を除き、実施例1と同様の手順で菓子を製造した。水系分散媒を含む分散系は、水分量が10質量%になるまで煮詰めた還元麦芽糖水飴を80℃まで冷却し、グリセリンを添加し混合した後、予め加熱して溶解し、混合しておいたバターオイル及びレシチンの混合物、及びミルクフレーバーを少量ずつ添加して撹拌することにより調製した。配合量は表3に示す通りである。
液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系の代わりに、以下の手順で調製した水系分散媒を含む分散系を用いた点を除き、実施例1と同様の手順で菓子を製造した。水系分散媒を含む分散系は、水分量が10質量%になるまで煮詰めた還元麦芽糖水飴を80℃まで冷却し、グリセリンを添加し混合した後、予め加熱して溶解し、混合しておいたバターオイル及びレシチンの混合物、及びミルクフレーバーを少量ずつ添加して撹拌することにより調製した。配合量は表3に示す通りである。
(比較例2)
実施例1で用いたハードキャンディ組成物及び分散系を用い、半硬化状態のハードキャンディ組成物で分散系を巻いて、スタンピング製法で菓子を製造した。
実施例1で用いたハードキャンディ組成物及び分散系を用い、半硬化状態のハードキャンディ組成物で分散系を巻いて、スタンピング製法で菓子を製造した。
[評価1] 視覚的中央性
実施例1、及び比較例1で製造した各菓子の状態を観察し、以下の基準で評価を行った。この結果を表4に示す。
○:第1領域が菓子中央にとどまっている
×:第1領域及び第2領域の区別が不能、もしくは第1領域が菓子中央から端部へと分散している
実施例1、及び比較例1で製造した各菓子の状態を観察し、以下の基準で評価を行った。この結果を表4に示す。
○:第1領域が菓子中央にとどまっている
×:第1領域及び第2領域の区別が不能、もしくは第1領域が菓子中央から端部へと分散している
表4に示されるように、実施例1で製造した複数領域菓子は、比較例1の菓子と異なり、第2領域に包囲され液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を含む第1領域が形成されていた。これにより、軟成分による利点(例えば、甘味料やフレーバーの風味を堪能できる)を享受しつつ、気泡の混入が大幅に低減されて、口中でのざらつき感を低減できることが分かった。
また、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を用いた実施例1では、20.0質量%以上という従来のスタンピング製法では困難な多量の軟成分を完全に包囲することができることが分かった。
[評価2] 味官能性
実施例1及び比較例1〜2で製造した各菓子を20人に消費させ、口中での官能性を評価させた。この結果を総合すると、表5に示されるように、実施例1で製造した菓子は、菓子消費の最終段階で、液状の成分が口内に広がって甘味やフレーバー風味が急変し、官能性に優れることが分かった。これに対して、比較例1で製造した菓子は、菓子消費の初期に甘味やフレーバー風味が出現し、短時間に失われてしまうため、官能性が低いことが分かった。また、比較例2で製造した菓子は、口中での不快なざらつき感を感じた者が多発し、官能性が極めて低いことが分かった。
実施例1及び比較例1〜2で製造した各菓子を20人に消費させ、口中での官能性を評価させた。この結果を総合すると、表5に示されるように、実施例1で製造した菓子は、菓子消費の最終段階で、液状の成分が口内に広がって甘味やフレーバー風味が急変し、官能性に優れることが分かった。これに対して、比較例1で製造した菓子は、菓子消費の初期に甘味やフレーバー風味が出現し、短時間に失われてしまうため、官能性が低いことが分かった。また、比較例2で製造した菓子は、口中での不快なざらつき感を感じた者が多発し、官能性が極めて低いことが分かった。
〔試験例1〕
水分量が10質量%になるまで煮詰めた還元麦芽糖水飴を80℃まで冷却した後、グリセリン、ミントフレーバー及びクチナシ青色素を混合し撹拌することで、糖質混合物を作製した。別に、ヤシ系硬化油(流動点40℃)、及び表7に示す各乳化剤を40〜50℃で溶解して混合した。この油脂及び乳化剤の混合物に、上記糖質混合物を少量ずつ添加して撹拌することで、油系分散媒を含む分散系を調製した。配合量は表6に示す通りである。
水分量が10質量%になるまで煮詰めた還元麦芽糖水飴を80℃まで冷却した後、グリセリン、ミントフレーバー及びクチナシ青色素を混合し撹拌することで、糖質混合物を作製した。別に、ヤシ系硬化油(流動点40℃)、及び表7に示す各乳化剤を40〜50℃で溶解して混合した。この油脂及び乳化剤の混合物に、上記糖質混合物を少量ずつ添加して撹拌することで、油系分散媒を含む分散系を調製した。配合量は表6に示す通りである。
[評価3] 視覚的中央性
試験例で製造した油系分散媒を含む分散系の状態を観察し、以下の基準で評価を行った。この結果を表7に示す。
○:分散媒が油系であり、また、分離が見られない
×:分散媒が水系になっている(転相している)、もしくは、分離が見られる
試験例で製造した油系分散媒を含む分散系の状態を観察し、以下の基準で評価を行った。この結果を表7に示す。
○:分散媒が油系であり、また、分離が見られない
×:分散媒が水系になっている(転相している)、もしくは、分離が見られる
表7に示されるように、任意の乳化剤を用いても、分散媒が油系になるように混合することで、安定性に優れる分散系を調製できることが分かった。
〔試験例2〕
表8に示す乳化剤を用い、その量を0.5gから1.0gに変更した点を除き、試験例1と同様の手順及び基準で油系分散媒を含む分散系の状態を評価した。この結果を表8に示す。
表8に示す乳化剤を用い、その量を0.5gから1.0gに変更した点を除き、試験例1と同様の手順及び基準で油系分散媒を含む分散系の状態を評価した。この結果を表8に示す。
表8に示されるように、任意の乳化剤を用いても、分散媒が油系になるように混合することで、安定性に優れる分散系を調製できることが分かった。
〔試験例3〕
ヤシ系硬化油の代わりに中鎖脂肪酸トリグリセリド(流動点10℃)を用い、表9に示す乳化剤を用いた点を除き、試験例2と同様の手順及び基準で油系分散媒を含む分散系の状態を評価した。この結果を表9に示す。
ヤシ系硬化油の代わりに中鎖脂肪酸トリグリセリド(流動点10℃)を用い、表9に示す乳化剤を用いた点を除き、試験例2と同様の手順及び基準で油系分散媒を含む分散系の状態を評価した。この結果を表9に示す。
表9に示されるように、任意の乳化剤を用いても、分散媒が油系になるように混合することで、安定性に優れる分散系を調製できることが分かった。
〔試験例4〕
水分量が10質量%になるまで煮詰めた還元麦芽糖水飴を80℃まで冷却した後、グリセリン、ミントフレーバー及びクチナシ青色素を混合し撹拌することで、糖質混合物を作製した。別に、表11に示す油脂(流動点20℃以下)、及び縮合リシノレイン酸ペンタグリセリンを常温下で溶解して混合した。この油脂及び乳化剤の混合物に、上記糖質混合物を少量ずつ添加して撹拌することで、油系分散媒を含む分散系を調製した。配合量は表10に示す通りである。
水分量が10質量%になるまで煮詰めた還元麦芽糖水飴を80℃まで冷却した後、グリセリン、ミントフレーバー及びクチナシ青色素を混合し撹拌することで、糖質混合物を作製した。別に、表11に示す油脂(流動点20℃以下)、及び縮合リシノレイン酸ペンタグリセリンを常温下で溶解して混合した。この油脂及び乳化剤の混合物に、上記糖質混合物を少量ずつ添加して撹拌することで、油系分散媒を含む分散系を調製した。配合量は表10に示す通りである。
試験例で製造した油系分散媒を含む分散系の状態を観察し、評価3と同じ基準で評価を行った。この結果を表11に示す。
表11に示されるように、任意の油脂を用いても、分散媒が油系になるように混合することで、安定性に優れる分散系を調製できることが分かった。
〔試験例5〕
表13に示す油脂(流動点20℃以下)、及びクエン酸モノグリセライドを40〜50℃で溶解して混合した点を除き、試験例4と同様の手順で分散系を調製した。配合量は表12に示す通りである。
表13に示す油脂(流動点20℃以下)、及びクエン酸モノグリセライドを40〜50℃で溶解して混合した点を除き、試験例4と同様の手順で分散系を調製した。配合量は表12に示す通りである。
試験例で製造した油系分散媒を含む分散系の状態を観察し、評価3と同じ基準で評価を行った。この結果を表13に示す。
表13に示されるように、任意の油脂を用いても、分散媒が油系になるように混合することで、安定性に優れる分散系を調製できることが分かった。
<実施例3>
水分量が1質量%になるまで煮詰めた還元パラチノース(煮詰め時に加水した)を150℃まで冷却した後、クエン酸、フレーバー、アセスルファムKを添加し、撹拌することで、ハードキャンディ組成物の溶融体を調製した。配合量は表14に示す通りである。
水分量が1質量%になるまで煮詰めた還元パラチノース(煮詰め時に加水した)を150℃まで冷却した後、クエン酸、フレーバー、アセスルファムKを添加し、撹拌することで、ハードキャンディ組成物の溶融体を調製した。配合量は表14に示す通りである。
表15に示す組成とした点を除き、実施例1と同様の手順で液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を調製した。
上記のハードキャンディ組成物、及び分散系を用い、配合量を表12に示す通りとした点を除き、実施例1と同様の手順で、複数領域菓子を製造した。各菓子の状態を実施例1と同様の基準で評価した。この結果を表16に示す。
表16に示されるように、実施例3では、第1領域及び第2領域の一組の質量が1.86gの菓子中に、30.1質量%もの極めて多量の第1領域が菓子中央にとどまっていた。このことより、従来技術では不可能であった、第1領域及び第2領域の一組の質量が2g以下のような小型の菓子も、高品質に製造することができることが分かった。
<実施例4〜6>
水分量が1質量%になるまで煮詰めた還元パラチノース(煮詰め時に加水した)を150℃まで冷却した後、フレーバー及びアセスルファムKを添加し、撹拌することで、ハードキャンディ組成物の溶融体を調製した。配合量は表17に示す通りである。
水分量が1質量%になるまで煮詰めた還元パラチノース(煮詰め時に加水した)を150℃まで冷却した後、フレーバー及びアセスルファムKを添加し、撹拌することで、ハードキャンディ組成物の溶融体を調製した。配合量は表17に示す通りである。
還元麦芽糖水飴及びソルビトールを混和した後、水分量が5質量%になるまで煮詰め、80℃まで冷却した。その後、グリセリン、ミントフレーバー及びクチナシ青色素を混合し撹拌することで、分散質としての糖質混合物を作製した。これとは別に、分散媒として表18に示す油系分散媒、及び乳化剤としての縮合リシノレイン酸ペンタグリセリンを40〜50℃で溶解し混合した。この分散媒及び乳化剤の混合物に、上記糖質混合物を少量ずつ添加し撹拌することで、液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を調製した。配合量は表18に示す通りである。
上記のハードキャンディ組成物、及び分散系を用い、配合量を表15に示す通りとした点を除き、実施例1と同様の手順で、複数領域菓子を製造した。各菓子の状態を実施例1と同様の基準で評価した。この結果を表19に示す。
表19に示されるように、実施例4〜6で製造した複数領域菓子は、分散媒の流動点にかかわらず、第2領域に包囲され液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を含む第1領域が形成されていた。これにより、軟成分による利点(例えば、甘味料やフレーバーの風味を堪能できる)を享受しつつ、気泡の混入が大幅に低減されて、口中でのざらつき感を低減できることが分かった。
また、分散媒の流動点にかかわらず、実施例4〜6のいずれでも、第1領域及び第2領域の一組の質量が1.40gの菓子組成物中に、30.0質量%もの極めて多量の第1領域が菓子中央にとどまっていた。これにより、従来技術では不可能であった、第1領域及び第2領域の一組の質量が2g以下のような小型の菓子も、高品質に製造することができることが分かった。
[評価4]
実施例4〜6で製造した各菓子を20人に消費させ、口中での官能性を評価させた。この結果を総合すると、実施例4〜6で製造したいずれの菓子も、菓子消費の最終段階で、液状の成分が口内に広がって甘味やフレーバー風味が急変し、官能性に優れることが分かった。
実施例4〜6で製造した各菓子を20人に消費させ、口中での官能性を評価させた。この結果を総合すると、実施例4〜6で製造したいずれの菓子も、菓子消費の最終段階で、液状の成分が口内に広がって甘味やフレーバー風味が急変し、官能性に優れることが分かった。
とりわけ、官能性は、優れている順に実施例6、実施例5、実施例4であった。これは、液状成分の口内での拡散性に依存するものであると推測される。すなわち、拡散性は、流動点が10℃の油系分散媒を用いた実施例6において最も高く、次いで流動点が35℃の油系分散媒を用いた実施例5、そして流動点が40℃の油系分散媒を用いた実施例4の順である。
10 複数領域菓子
20 第1領域
30 第2領域
35 凹み
200 デポジット用型
300 デポジッタ
310 内管
330 外管
G 隙間
20 第1領域
30 第2領域
35 凹み
200 デポジット用型
300 デポジッタ
310 内管
330 外管
G 隙間
Claims (1)
- 液体の分散質及び油系分散媒からなる分散系を含む第1領域と、
前記第1領域を少なくとも部分的に包囲し、ハードキャンディ組成物の硬化体からなる第2領域と、を備える複数領域菓子。
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