JP2014133732A - ヒスタミン遊離抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、新規ヒスタミン遊離抑制剤を提供することである。更に本発明は、ヒスタミン遊離抑制剤を含む飲食品分野、化粧量分野等で好適に用いられる組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】糖残基を有さず、且つ1つ以上の水酸基及び/又は低級アルコキシ基を有するスチルベン誘導体を有効成分とするヒスタミン遊離抑制剤、及び斯かるヒスタミン遊離抑制剤を含む組成物(化粧料及び飲食品)。
【選択図】なし
【解決手段】糖残基を有さず、且つ1つ以上の水酸基及び/又は低級アルコキシ基を有するスチルベン誘導体を有効成分とするヒスタミン遊離抑制剤、及び斯かるヒスタミン遊離抑制剤を含む組成物(化粧料及び飲食品)。
【選択図】なし
Description
本発明は、スチルベン誘導体を含むヒスタミン遊離抑制剤に関する。また、本発明は前記ヒスタミン遊離抑制剤を含む組成物に関する。さらに、斯かる組成物は化粧料組成物及び飲食品組成物に関する。
ヒスタミンは、生体内において肥満細胞(マスト細胞)内に存在し、これらの細胞にIgEが結合することによって放出される。放出されたヒスタミンは気管支平滑筋収縮作用、血管透過性亢進作用、粘液分泌作用等に関与し、これによって、即時型アレルギー反応を引き起こすことが知られている。このような知見から、ヒスタミンの遊離を抑制する成分を含む、抗アレルギー剤等の開発が進んでいる。
例えば、イネ科植物由来の抽出物に含まれるポリフェノールが、ヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエン等の化学物質の遊離を抑制する効果を発揮することが知られており、このようなポリフェノールがフラバン骨格を有する化合物であることが解明されている(特許文献1)。
このようなフラバン骨格を有する化合物として、タンニン、ルテオリン、ケルセチン、カテキン、ナリンゲニン前駆体などは、ヒスタミン遊離抑制効果を有しており、これらの化合物を含む抗アレルギー等の効果を目的とした各種組成物が開発されている(特許文献2〜4)。
ポリフェノールの一種であるレスベラトロール、ピセアタンノール等といったスチルベン誘導体は、近年、長寿遺伝子であるサーチュインを活性化し、抗酸化作用を発揮することが知られており、これを有効成分として含む美白・美肌化粧料、アンチエイジング化粧料等といった化粧品が知られている。また、これらの作用を発揮する機能性食品も知られている(特許文献5)。
本発明の目的は、新規ヒスタミン遊離抑制剤を提供することである。更に本発明の目的は、飲食品分野、化粧料分野等で好適に用いられるヒスタミン遊離抑制剤を含む組成物を提供することを目的とする。
従来、植物等の自然界にはスチルベン誘導体としてピセアタンノール−4’−O−β−D−グルコピラノシドといった、糖残基を有するスチルベン誘導体が存在することが知られている(特許文献6)。しかしながら、斯かる化合物はサーチュイン遺伝子に関連した抗酸化効果等を示すことは報告されているが、十分なヒスタミン遊離抑制活性を有さず、これを有効成分として含む組成物はヒスタミン遊離抑制剤として、またヒスタミン遊離抑制を目的とした化粧料や飲食品として用いられるものでは無い。
本発明者は、斯かる課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のスチルベン誘導体がヒスタミンの遊離を顕著に抑制することを見い出した。本発明はこのような知見に基づいて完成したものであり、下記に示す態様の発明を含む。
項1 糖残基を有さず、且つ1つ以上の水酸基及び/又は低級アルコキシ基を有するスチルベン誘導体を有効成分とするヒスタミン遊離抑制剤。
項2 スチルベン誘導体が、1つ以上の水酸基の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよい、ピセアタンノール、レスベラトロール、オキシレスベラトロール、グネトール、イソラポンチゲニン、ラポンチゲニン、及びプテロスチルベンからなる群より選択される少なくとも1つである、項1に記載のヒスタミン遊離抑制剤。
項3 スチルベン誘導体が、1つ以上の水酸基の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいピセアタンノールである、項1又は項2の何れか1項に記載のヒスタミン遊離抑制剤。
項4 項1〜項3の何れか1項に記載のヒスタミン遊離抑制剤を含む組成物。
項5 化粧料組成物である項4に記載の組成物。
項6 飲食品組成物である項4に記載の組成物。
項2 スチルベン誘導体が、1つ以上の水酸基の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよい、ピセアタンノール、レスベラトロール、オキシレスベラトロール、グネトール、イソラポンチゲニン、ラポンチゲニン、及びプテロスチルベンからなる群より選択される少なくとも1つである、項1に記載のヒスタミン遊離抑制剤。
項3 スチルベン誘導体が、1つ以上の水酸基の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいピセアタンノールである、項1又は項2の何れか1項に記載のヒスタミン遊離抑制剤。
項4 項1〜項3の何れか1項に記載のヒスタミン遊離抑制剤を含む組成物。
項5 化粧料組成物である項4に記載の組成物。
項6 飲食品組成物である項4に記載の組成物。
本発明のヒスタミン遊離抑制剤は、ヒスタミン遊離抑制効果を発揮するので、ヒスタミン遊離に起因する生体の異常状態、具体的には各種のアレルギー反応による症状(アレルギー性皮膚異常、アトピー肌、花粉症、喘息、脂漏性皮膚炎等)の発生を予防したり、緩和・軽減することが期待され、斯かる効果を期待して、特に化粧料及び飲食品の分野で好適に用いることができる。なかでもピセアタンノールは、実施例に示すように、顕著に優れたヒスタミン遊離抑制効果を発揮するので、当該ピセアタンノールを有効成分とする本発明のヒスタミン遊離抑制剤及びに当該ヒスタミン遊離抑制剤を含む組成物(化粧料組成物、飲食品組成物)は、化粧料及び飲食品の分野で特に好適に用いることができる
ヒスタミン遊離抑制剤
本発明のヒスタミン遊離抑制剤は、糖残基を有さず、且つ1つ以上の水酸基及び/又は低級アルコキシ基を有するスチルベン誘導体を有効成分とする。
本発明のヒスタミン遊離抑制剤は、糖残基を有さず、且つ1つ以上の水酸基及び/又は低級アルコキシ基を有するスチルベン誘導体を有効成分とする。
本発明のヒスタミン遊離抑制剤の有効成分であるスチルベン誘導体は、糖残基を有さない。すなわち、上述のスチルベン誘導体(以下、「本発明のスチルベン誘導体」と称する。)はグリコシル化された又は糖鎖を有する化合物ではなく、アグリコン又は無配糖体とも呼ばれるものである。
また、本発明のスチルベン誘導体は、1つ以上の水酸基及び/又は低級アルコキシ基を有する。すなわち、本発明のスチルベン誘導体は、スチルベン骨格のベンゼン環の水素原子の1つ以上が、水酸基、または/及び低級アルコキシ基で置換されている。
本発明のスチルベン誘導体に関し、スチルベン骨格において水酸基または/及び低級アルコキシ基で置換される水素原子の個数の上限値は、スチルベン骨格から自ずと決定されるものであり、具体的には、6個、5個、4個、3個、2個、又は1個である。
また、スチルベン骨格において水酸基または/及び低級アルコキシ基で置換される水素原子の位置は、特に限定されることはないが、3位(3’位)、4位(4’位)、又は5位(5’位)が好ましい。
なお、用語「低級」とは炭素数1〜4程度を意味し、好ましくは炭素数3、より好ましくは炭素数2、更に好ましくは炭素数1である。このような低級アルコキシ基は、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、又はブトキシ基であり、好ましくはプポキシ基、より好ましくはエトキシ基、更に好ましくはメトキシ基である。このような低級アルコキシ基は分枝を有していても、直鎖であってもよい。
例えば、糖残基を有さず、且つ1以上の水酸基を有するスチルベン誘導体として、レスベラトロール(水酸基数:3)、ピセアタンノール(水酸基数:4)、オキシレスベラトロール(水酸基数:4)、グネトール(水酸基数:4)等が挙げられる。
また、糖残基を有さず、且つ1以上の低級アルコキシ基を有するスチルベン誘導体として、イソラポンチゲニン(メトキシ基:1)、ラポンチゲニン(メトキシ基:1)、プテロスチルベン(メトキシ基:2)等が挙げられる。なお、イソラポンチゲニン及びラポンチゲニンは上記メトキシ基の他に3つの水酸基を、またプテロスチルベンは2つの水酸基を有する。
なお、本発明のスチルベン誘導体には、1以上の水酸基を有する上記スチルベン誘導体(レスベラトロール、ピセアタンノール、オキシレスベラトロール、グネトール、イソラポンチゲニン、ラポンチゲニン、プテロスチルベン)において、その1以上の水酸基の水素原子が低級アルキル基で置換された誘導体も含まれる。ここで用いる用語「低級」とは、上述の低級アルコキシ基と同様に、炭素数1〜4程度を意味し、好ましくは炭素数3、より好ましくは炭素数2、更に好ましくは炭素数1である。このような低級アルキル基は、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基であり、好ましくはプロピル基、より好ましくはエチル基、更に好ましくはメチル基である。このような低級アルキル基は分枝を有していても、直鎖であってもよい。
このようなスチルベン誘導体の中でも、特に好ましいものは、ピセアタンノールである。また、斯かるピセアタンノールの1以上の水酸基の水素原子が低級アルキル基で置換されたものも、本発明の好適なスチルベン誘導体に含まれる。
本発明のスチルベン誘導体は、E体であってもZ体であってもよいが、E体であることが好ましい。
本発明スチルベン誘導体は、公知の方法によって製造することができる。例えば、ブドウ、ブルーベリー、落花生、パッションフルーツ、イタドリ、メリンジョ、カンテンカ、グネモン等の植物体の果実等から、公知の方法を必要に応じて適宜改変した抽出、精製等の方法によって得ることができる。
また、得られたスチルベン誘導体に対して、化学的又は生化学的手段(例えばグリコシダーゼの使用等)によってアルコキシ化、脱グリコシル化等の処理を施してもよい。これらの処理は公知の方法を適宜改変して採用すればよい。
さらに、本発明のスチルベン誘導体は、市販のものをそのまま用いてもよく、更に市販のものに対して上述のようなアルコキシ化、脱グリコシル化等の処理を適宜施してもよい。
例えば、ピセアタンノール、プテロスチルベン、レスベラトロール、グネトール、オキシレスベラトロール、イソラポンチゲニン、及びラポンチゲニンなどは、東京化成工業株式会社等から購入することができる。また、これらの化合物に対して、必要に応じて一部の水酸基を保護し、他の水酸基の水素原子をウィリアムソン合成法等といった公知の方法を用いて低級アルキル化して、本発明のスチルベン誘導体を製造することができる。
本発明のヒスタミン遊離抑制剤におけるスチルベン誘導体の含有量は、ヒスタミン遊離抑制作用を有することを限度に、特に限定されず、ヒスタミン遊離抑制剤100重量%中、0.0001〜100重量%の範囲で設定することができる。すなわち、本発明のヒスタミン遊離抑制剤は、スチルベン誘導体そのものからなるものであってもよいし、ヒスタミン遊離抑制効果を損なわない範囲において、他の成分が含まれていてもよい。他の成分として、ヒスタミン遊離抑制活性を有する成分のほか、特に限定はされないが、例えば、pH調整剤、緩衝剤、保存剤、等張化剤、防腐剤等が挙げられる。
組成物
本発明の組成物は、上述したスチルベン誘導体を有効成分とするヒスタミン遊離抑制剤を含む。組成物100重量%におけるヒスタミン遊離抑制剤の含有量は、ヒスタミン遊離抑制作用を有することを限度に、特に限定はされず、0.0001〜100重量%の範囲で設定することができる。すなわち、ヒスタミン遊離抑制剤そのものを本発明の組成物としてもよい。
本発明の組成物は、上述したスチルベン誘導体を有効成分とするヒスタミン遊離抑制剤を含む。組成物100重量%におけるヒスタミン遊離抑制剤の含有量は、ヒスタミン遊離抑制作用を有することを限度に、特に限定はされず、0.0001〜100重量%の範囲で設定することができる。すなわち、ヒスタミン遊離抑制剤そのものを本発明の組成物としてもよい。
上述するように、本発明のヒスタミン遊離抑制剤は、肥満細胞、マスト細胞等の種々の細胞からヒスタミンが遊離するのを抑制する効果を発揮する。このような効果を利用して、斯かるヒスタミン遊離抑制剤を含む本発明の組成物は、そのアレルギー予防効果などを期待して化粧料及び飲食品の分野で好適に用いることができる。つまり、本発明の組成物の一態様として、化粧料組成物、及び飲食品組成物を挙げることができる。
化粧料組成物
本発明の化粧料組成物は、皮膚(頭皮を含む)や頭髪等に適用されることによって、生体内にて上述のようなヒスタミンの遊離抑制作用が発揮されることが期待できる。生体内においてヒスタミンの遊離抑制作用が発揮されると、過剰な免疫反応によって引き起こされるアレルギー反応を防ぐことができ、痒み、アトピー肌、アレルギー肌等といった、皮膚(頭皮を含む)の異常状態等を防ぐ効果を発揮することが期待される。
本発明の化粧料組成物は、皮膚(頭皮を含む)や頭髪等に適用されることによって、生体内にて上述のようなヒスタミンの遊離抑制作用が発揮されることが期待できる。生体内においてヒスタミンの遊離抑制作用が発揮されると、過剰な免疫反応によって引き起こされるアレルギー反応を防ぐことができ、痒み、アトピー肌、アレルギー肌等といった、皮膚(頭皮を含む)の異常状態等を防ぐ効果を発揮することが期待される。
本発明の化粧料組成物は、組成物について上述する通り、本発明のヒスタミン遊離抑制剤をそのまま化粧料組成物としてもよいが、通常は、ヒスタミン遊離抑制剤に加えて化粧品の分野において許容される担体や添加剤と共に様々な化粧料の形態に調製することができる。なお、化粧料組成物中のスチルベン誘導体の含有量は、前述する本発明の組成物に準じて適宜設定することができ、具体的には0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%を例示することができる。
化粧料組成物の形状については、通常の化粧料の形態を広く挙げることができ、特に制限されないが、例えばローション状(液状)、ムース状、ジェル状、ゼリー状、乳液状、懸濁液状、クリーム状、軟膏状、シート状、エアゾール状、スプレー状等が挙げられる。
また、当該化粧料組成物の種類についても、皮膚や頭髪に適用されるものであれば、制限されるものではないが、例えば、ファンデーション、頬紅、白粉等のメイクアップ化粧料;化粧水、乳液、スキンクリーム、ローション、オイル及びパック等の基礎化粧料;洗顔料、クレンジング、ボディソープ等の皮膚洗浄料;シャンプー、リンス、コンディショナー、整髪剤、育毛剤等の毛髪化粧料;マッサージ剤、清拭剤;清浄剤;入浴剤等が挙げられる。
このような化粧料組成物の適用量は、適用対象者の性別や年齢、該組成物の適用形態、期待される効果の程度等に基づいて適宜設定すればよく、例えばスチルベン誘導体の量に換算して、皮膚1cm2あたり、通常0.01〜2mg程度の量とすればよい。
また適用対象者としては、ヒスタミンの遊離に起因した異常状態にある者、またはそうした異常状態になる可能性のある者を挙げることができる。かかる異常状態としては、例えばPM2.5といった微小粒子物質、排気ガス、ダニ等によって引き起こされる過剰な免疫反応、延いてはアレルギー反応から生じる、目、皮膚(頭皮を含む)等の痒み、アトピー肌、アレルギー肌、鼻炎、のどの荒れ、クシャミ、鼻水等を挙げることができる。
飲食品組成物
本発明の飲食品組成物は、ヒスタミンの遊離を抑制する作用を生体内で発揮するのに有効な量のスチルベン誘導体を含有するため、飲食されることで体内でヒスタミンの遊離抑制効果を発揮することが期待される。より具体的には、本発明の飲食品組成物は、かかるヒスタミン遊離抑制効果に基づいて、抗アレルギー(アレルギーの予防及びアレルギー症状の緩和を含む)、花粉症予防やその症状緩和、喘息予防などに関連する体質改善等の効果を発揮することが期待される。
本発明の飲食品組成物は、ヒスタミンの遊離を抑制する作用を生体内で発揮するのに有効な量のスチルベン誘導体を含有するため、飲食されることで体内でヒスタミンの遊離抑制効果を発揮することが期待される。より具体的には、本発明の飲食品組成物は、かかるヒスタミン遊離抑制効果に基づいて、抗アレルギー(アレルギーの予防及びアレルギー症状の緩和を含む)、花粉症予防やその症状緩和、喘息予防などに関連する体質改善等の効果を発揮することが期待される。
このような飲食品組成物としては、一般の飲食品の他、特定保健用食品(条件付き特定保健用食品を含む)、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品等(サプリメントと称されるものを含む)を挙げることができる。
このような飲食品組成物として、より具体的には、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、かき氷等の冷菓;ガム、チョコレート、飴、錠菓、スナック菓子、ゼリー、ジャム、クリーム、グミ等の菓子類;そば、うどん、即席麺等の麺類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、マヨネーズ、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、サラダ、惣菜、漬物、パン、シリアル等を例示できる。
また、例えば、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品等の場合であれば、粉末、顆粒、カプセル、トローチ、錠剤(タブレット)などの固形製剤;シロップやドリンク等の液体製剤などの製剤形態のものであってもよい。
上述の飲食品組成物の摂取量は、1回の摂取に対して通常はスチルベン誘導体の量に換算して5〜20mg程度、好ましくは10〜20mg程度とすればよい。また1日1回ないしは2〜3回と複数回摂取してもよい。このような範囲の摂取量を満たすように適宜設定することで、飲食品組成物に配合するスチルベン誘導体の量を調整設定することができる。
従来、スチルベン誘導体は上述のようにブドウ等の果実類に含まれていることが知られているが、通常の食慣習における範囲での摂取量は、上述したヒスタミンの遊離抑制効果を得るには十分な量ではない。だからと言って、十分なスチルベン誘導体の量を摂取するために、大量の果実類を一度に摂取することは、経済的問題がある。さらに、果実類にはスチルベン誘導体以外の成分も含まれており、これを大量に且つ一度に摂取すると、糖分やカロリーの摂取過多や、その他人体への予期されない悪影響が懸念されるので好ましくない。
これに対して、本発明の飲食品組成物によれば、上述のようにスチルベン誘導体が生体内で十分なヒスタミン遊離抑制効果を発揮する量を、適度な摂取量に調整することができ、このため、摂取者は簡便にかつ効率的に上述する効果を得ることができる。なお、本発明の飲食品組成物の適用者は、特に制限されないものの、ヒスタミンの遊離に起因した異常状態にある者、またはそうした異常状態になる可能性のある者を好適に挙げることができる。かかる異常状態としては、PM2.5といった微小粒子物質、排気ガス、ダニ等によって引き起こされる過剰な免疫反応、延いてはアレルギー反応から生じる、痒み、アトピー肌、アレルギー肌、花粉症、喘息、目、皮膚(頭皮を含む)等の痒み、アトピー肌、アレルギー肌、鼻炎、のどの荒れ、クシャミ、鼻水等を挙げることができる。
以下に、本発明をより詳細に説明するための実施例を示す。なお、本発明が下記に示す実施例に限定されないのは言うまでもない。
1)ラット腹腔肥満細胞の採取
体重約300−400gのWistar系雄性ラットを出血致死させた後、約10mlの生理的塩溶液(PSS;154mMのNaCl,2.7mMのKCl,0.9mMのCaCl2,5.6mMのglucose,5mMのHEPES/NaOH,pH7.4)を腹腔内に注入し、約90秒間穏やかに腹腔をマッサージした後、開腹して腹腔液を採取した。更に約10mlのPSSにより腹腔内を洗浄し、腹腔液を採取した。引き続き採取した細胞懸濁液を4℃、55xg、8分間の遠心分離を行った。
体重約300−400gのWistar系雄性ラットを出血致死させた後、約10mlの生理的塩溶液(PSS;154mMのNaCl,2.7mMのKCl,0.9mMのCaCl2,5.6mMのglucose,5mMのHEPES/NaOH,pH7.4)を腹腔内に注入し、約90秒間穏やかに腹腔をマッサージした後、開腹して腹腔液を採取した。更に約10mlのPSSにより腹腔内を洗浄し、腹腔液を採取した。引き続き採取した細胞懸濁液を4℃、55xg、8分間の遠心分離を行った。
その後、得られたcell pelletをPSSで一回洗浄し、1mlのPSSに再懸濁させ、更に3mlの154mMのNaCl,10mMのHEPES/NaOH,pH7.4を含む90%のPercoll solutionを加えてよく混和した。その液の上に1mlのPSSを重層し、4℃で265xg、15分間の遠心分離を行った。その後、得られた細胞ペレットをPSSで再度洗浄し肥満細胞を採取した。肥満細胞の純度は、トルイジンブルー染色により純度が95%以上であることを確認した。
2)ヒスタミン(Hi)遊離抑制実験
1)で採取した肥満細胞をPSSに再懸濁し、104cells/mlになるように各試験管に分注した。公知の方法で作製したか又は市販の被検物質(レスベラトロール:図1中のrev;プテロスチルベン:図1中のPte;;ピセアタンノール:図1中のPic。)は、DMSOに溶解した後、添加濃度(それぞれ10μM及び100μM)の10倍濃度までPSSで希釈した。その際、DMSOの最終濃度は0.5重量%以下になるように調製を行った。
1)で採取した肥満細胞をPSSに再懸濁し、104cells/mlになるように各試験管に分注した。公知の方法で作製したか又は市販の被検物質(レスベラトロール:図1中のrev;プテロスチルベン:図1中のPte;;ピセアタンノール:図1中のPic。)は、DMSOに溶解した後、添加濃度(それぞれ10μM及び100μM)の10倍濃度までPSSで希釈した。その際、DMSOの最終濃度は0.5重量%以下になるように調製を行った。
また、比較実験としてピセアタンノール−O−β−D−グルコピラノシド(図2中「P4’」で示す)(以上、「比較被検物質」と称する)も同様の方法にて調製した。
上記で調製した各種濃度の被検物質または比較被検物質0.1mlを各試験管の肥満細胞懸濁液(0.8ml)に添加し、37℃、15分間インキュベーションを行い、前処置を行った。続いて、Hi遊離物質であるcompound 48/80溶液0.1ml(最終濃度1μg/ml)を添加し、さらに10分間インキュベーションを行った。試験管を氷冷することで反応を停止し、110xg,10分間遠心分離を行い、その上清0.5mlを採取し、0.5mlHCl(0.2N)と混和し、上清Hiサンプルとした。
そして、沈渣であるcell pelletに2mlのHCl(0.1N)を添加し、100℃,15分間加熱することで、細胞内に残存したHiを全て放出させ、200xg,15分間遠心分離後の上清を残存Hiサンプルとした。Hi量は、高速液体クロマトグラフィー(日本分光製)を用いたHi定量システムにより定量を行った。
3)データの解析
2)で得られた上清及び残存のヒスタミン量を基に、以下の式により各サンプルのHi遊離率(%)を算出した。
2)で得られた上清及び残存のヒスタミン量を基に、以下の式により各サンプルのHi遊離率(%)を算出した。
Hi遊離率=上清Hi量/(上清Hi量+残存Hi量)×100
被検物質に関する結果を図1に、比較被検物質に関する結果を図2に示す。なお、これらの図中、spon.は、compound 48/80溶液及び被検物質(または比較被検物質)を作用させなかった比較実験の結果であり、48/80はcompound 48/80溶液を作用させ、かつ被検物質(または比較被検物質)を作用させなかった比較実験の結果である。
被検物質に関する結果を図1に、比較被検物質に関する結果を図2に示す。なお、これらの図中、spon.は、compound 48/80溶液及び被検物質(または比較被検物質)を作用させなかった比較実験の結果であり、48/80はcompound 48/80溶液を作用させ、かつ被検物質(または比較被検物質)を作用させなかった比較実験の結果である。
図1の結果から、レスベラトロール及びピセアタンノールといったスチルベン誘導体は、Hi遊離物質であるcompound 48/80溶液を作用させても、ヒスタミンの遊離を抑制する効果を発揮することが明らかとなった。この様な効果は、レスベラトロールの2か所の水酸基がメトキシ化されたプテロスチルベンでも同様であることが明らかとなった。
これらの結果の中でも、ピセアタンノールが特に優れたヒスタミン遊離抑制効果を発揮し、斯かる効果はピセアタンノールの作用濃度に依存的に発揮されることも明らかとなった。
そして、図2に示す比較被検物質の実験結果から、ピセアタンノールの配糖体は、ヒスタミンの遊離抑制効果を発揮しないことが明らかとなった。
以上の結果より、スチルベン骨格を有するスチルベン誘導体であって1以上の水酸基または/及びアルコキシル基を有し、且つ糖鎖を有さないスチルベン誘導体がヒスタミンの遊離抑制活性を有すること、特にピセアタンノールが、最も優れたヒスタミンの遊離抑制活性を有することが明らかとなった。つまり本実施例の結果は、ピセアタンノールをはじめとする本発明のスチルベン誘導体が、抗アレルギー剤や抗アレルギー作用を有する各種組成物(例えば、飲食品組成物、化粧料組成物、医薬品組成物、医薬部外品組成物)の有効成分として有用であることを明らかに示している。
[処方例]
表1〜6に示す配合例に従って、タブレット、ドリンク(以上、飲食品組成物)、スキンクリーム、ローション、シャンプー、及びボディソープ(以上、化粧料組成物)を製造する。
表1〜6に示す配合例に従って、タブレット、ドリンク(以上、飲食品組成物)、スキンクリーム、ローション、シャンプー、及びボディソープ(以上、化粧料組成物)を製造する。
Claims (6)
- 糖残基を有さず、1つ以上の水酸基及び/又は低級アルコキシ基を有するスチルベン誘導体を有効成分とするヒスタミン遊離抑制剤。
- 上記スチルベン誘導体が、1つ以上の水酸基の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよい、ピセアタンノール、レスベラトロール、オキシレスベラトロール、グネトール、イソラポンチゲニン、ラポンチゲニン、及びプテロスチルベンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1に記載のヒスタミン遊離抑制剤。
- 上記スチルベン誘導体が、1つ以上の水酸基の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよいピセアタンノールである、請求項1又は2に記載のヒスタミン遊離抑制剤。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載のヒスタミン遊離抑制剤を含む組成物。
- 化粧料組成物である請求項4に記載の組成物。
- 飲食品組成物である請求項4に記載の組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013143299A JP2014133732A (ja) | 2013-07-09 | 2013-07-09 | ヒスタミン遊離抑制剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013143299A JP2014133732A (ja) | 2013-07-09 | 2013-07-09 | ヒスタミン遊離抑制剤 |
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---|---|---|---|---|
JP2004529085A (ja) * | 2001-01-18 | 2004-09-24 | ウェリケム バイオテック インコーポレーテッド | 免疫性疾患を治療するための新規な1,2−ジフェニルエテン誘導体 |
JP2013203703A (ja) * | 2012-03-28 | 2013-10-07 | Hoyu Co Ltd | Hdc活性化阻害剤、hdc活性化阻害剤組成物、鎮痒剤及び鎮痒剤組成物 |
-
2013
- 2013-07-09 JP JP2013143299A patent/JP2014133732A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004529085A (ja) * | 2001-01-18 | 2004-09-24 | ウェリケム バイオテック インコーポレーテッド | 免疫性疾患を治療するための新規な1,2−ジフェニルエテン誘導体 |
JP2013203703A (ja) * | 2012-03-28 | 2013-10-07 | Hoyu Co Ltd | Hdc活性化阻害剤、hdc活性化阻害剤組成物、鎮痒剤及び鎮痒剤組成物 |
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