JP2014133356A - 導電積層体、パターン化導電積層体、その製造方法、および、それらを用いてなるタッチパネル - Google Patents

導電積層体、パターン化導電積層体、その製造方法、および、それらを用いてなるタッチパネル Download PDF

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Kazuya Nishioka
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Abstract

【課題】本発明は、パターンの非視認性の良好なパターン化導電積層体を提供せんとするものである。
【解決手段】正面位相差が0nm以上10nm以下である等方性基材の少なくとも片面に導電層を有する導電積層体であって、該導電層はネットワーク構造を持つ金属系線状構造体を含み、導電積層体のいずれかの層に無機粒子を含むことを特徴とする導電積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、導電積層体および導電領域と非導電領域からなるパターン化導電積層体に関する。さらに詳しくは、導電領域と非導電領域からなるパターン部分の非視認性が高く、表示品位が良好なパターン化導電積層体に関するものである。さらに、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどのディスプレイ関連および太陽電池モジュールなどに使用される電極部材にも使用されるパターン化導電積層体に関するものである。
近年、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどのディスプレイや太陽電池モジュールなどの電極用の導電部材に関し、導電部材の導電層に非導電領域を形成する加工処理によって導電領域と非導電領域からなる所望のパターンを形成して用いられている。
導電部材としては基材上に導電層を積層したものがあり、その導電層としてはITOや金属薄膜、等の従来の導電性薄膜を用いたものの他に、金属ナノワイヤーなどの線状の導電成分を用いたものが提案されている。例えば、金属ナノワイヤーを導電成分とした導電層上に樹脂層を積層した導電積層体が提案されている(特許文献1)。また、多官能成分を用いた高い硬化度のマトリックス内に金属ナノワイヤーを分散した導電積層体が提案されている(特許文献2)。さらに、金属ナノワイヤーを使用した導電積層体を、導電領域と金属ナノワイヤーを残した非導電領域とにパターン化したものも提案されている(特許文献3)。
また、これら導電部材をタッチパネル等へ適用する際には、配線パターンを形成する必要があるが、パターン形成方法としては、フォトレジストやエッチング液を用いたケミカルエッチング法が一般的に用いられている(特許文献4)。
特表2010−507199号公報 特開2011−29037号公報 特開2010−140859号公報 特開2001−307567号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている導電積層体は、導電領域と非導電領域からなるパターンを形成すると導電領域と非導電領域との間に導電成分の存在量に差異が生じる為、光学特性の差が発生し、パターンが見分けられる(すなわち非視認性が低い)という問題があった。このパターンの非視認性を向上する手段として、特許文献2に記載されている導電積層体は基材と導電層との屈折率差を小さくしており、特許文献3に記載されている導電積層体は、導電領域と非導電領域の導電成分の残存量差を小さくしているが、依然としてパターンの非視認性が低いという問題があった。また、導電積層体のパターン形成方法としては特許文献4に記載されるようなケミカルエッチング法が一般的に用いられており、該パターニング方法を採用してのパターン非視認性の改善が望まれている。
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑み、パターン部分の非視認性が高いパターン化導電積層体を得んとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用する。すなわち、
(1)正面位相差が0nm以上10nm以下である等方性基材の少なくとも片面に導電層を有する導電積層体であって、該導電層はネットワーク構造を持つ金属系線状構造体を含み、導電積層体のいずれかの層に無機粒子を含むことを特徴とする導電積層体。
(2)等方性基材がポリカーボネート樹脂、環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂およびトリアセチルセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする前記(1)に記載の導電積層体。
(3)正面位相差が0nm以上10nm以下である等方性基材の少なくとも片面にパターン化導電層を有するパターン化導電積層体であって、該パターン化導電層はネットワーク構造を持つ金属系線状構造体が存在する導電領域と、ネットワーク構造を持つ金属系線状構造体が存在しない非導電領域とを有し、非導電領域の積層構成のいずれかの層にボイドが存在することを特徴とするパターン化導電積層体。
(4)等方性基材がポリカーボネート樹脂、環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂およびトリアセチルセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする前記(3)に記載のパターン化導電積層体。
(5)導電領域よりも非導電領域に多くのボイドが存在することを特徴とする前記(3)または(4)に記載のパターン化導電積層体。
(6)前記(3)〜(5)に記載のパターン化導電積層体の製造方法であって、前記(1)または2に記載の導電積層体の無機粒子を薬液処理で溶解することによりボイドを形成することを特徴とするパターン化導電積層体の製造方法。
(7)薬液処理で、無機粒子を溶解することによりボイドを形成すると同時に、ネットワーク構造を持つ金属系線状構造体をも除去し、非導電領域を形成することを特徴とする前記(6)に記載のパターン化導電積層体の製造方法。
(8)前記(6)または(7)に記載のパターン化導電積層体の製造方法で得られるパターン化導電積層体。
(9)金属系線状構造体が、銀ナノワイヤーである前記(1)または(2)に記載の導電積層体。
(10)無機粒子の平均粒子径が500nm以下であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の導電積層体。
(11)非導電領域に含まれるボイドの平均ボイド径が500nm以下であることを特徴とする前記(3)、(4)、(5)、(8)のいずれかに記載のパターン化導電積層体。
(12)無機粒子が炭酸塩であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の導電積層体。
(13)前記(1)、(2)、(9)、(10)、(12)に記載の導電積層体、または、前記(3)〜(5)、(8)、(11)のいずれかに記載のパターン化導電積層体を用いた表示体。
(14)前記(13)に記載の表示体を用いたタッチパネル。
(15)前記(13)に記載の表示体を用いた電子ペーパー。
本発明によれば、パターンを形成した後にパターン部分の非視認性が高くなる導電積層体、およびパターン部分の非視認性が高いパターン化導電積層体を提供できる。
本発明のアンダーコート層に無機粒子を含んだ導電積層体の断面模式図。 本発明の導電層に無機粒子を含んだ導電積層体の断面模式図。 本発明の裏面ハードコート層に無機粒子を含んだ断面模式図。 本発明のアンダーコート層にボイドを含んだパターン化導電積層体の断面模式図。 本発明のパターン化導電層にボイドを含んだパターン化導電積層体の断面模式図。 本発明の裏面ハードコート層にボイドを含んだパターン化導電積層体の断面模式図。 ネットワーク構造を持つ金属系線状構造体の例。 本発明の導電積層体を搭載してなるタッチパネル。
[導電積層体]
本発明の導電積層体は、等方性基材の少なくとも片面に導電層を有する。導電層は、金属系線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分が、架橋構造を有する高分子からなるマトリックス中に含有されてなるものである。金属系線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分がランダムな配向であると、導電性および耐久性に加えて良好な光学特性をも得ることができるので、本発明の導電積層体を用いた表示体は表示画像が鮮明なものとなるので好ましい。 導電積層体には、必要に応じてハードコート層やアンダーコート層などの各種機能性層を付与することもできる。ハードコート層は導電積層体の導電層を形成している側の最表層、または等方性基材を挟んで反対側の最表層に設けることができる。ハードコート層は主に表面強度や防汚性、耐指紋性などを向上する為に設けられ、さらに表面に微細な凹凸を形成し防眩性を付与することもできる。ハードコート層としては、硬化した際の透明性、硬度などの特性が優れる点から熱硬化型、紫外線硬化型のアクリル系樹脂が好適に用いられる。
アンダーコート層は等方性基材と導電層との間に設けられ、主に等方性基材と導電層との密着性を向上する目的で設けられる。アンダーコート層は等方性基材、導電層との密着性、透明性の点から熱硬化型あるいは紫外線硬化型のポリエステル系樹脂やアクリル系樹脂が好適に用いられる。
本発明の導電積層体は前記いずれかの層に後述する無機粒子を含んでいればパターン化後にパターンの非視認性が良好となる効果を発現できる。また、導電層あるいはアンダーコート層に無機粒子を含んでいると、ケミカルエッチング法を採用した際に導電層のパターン化と同時にパターンの非視認性が良好となる効果を発現するため、工程数の減少による製造コスト削減の観点から導電層および/またはアンダーコート層に無機粒子を含んでいることが望ましい。
[等方性基材]
本発明の導電積層体における等方性基材としては、具体的には正面位相差(Δnd)が0nm以上10nm以下のものをいう。測定方法は、実施例の項で説明するが、この範囲にあることで偏光を透過させてもほとんど偏光解消しないため、例えばオンセル用途のタッチパネルに好適に用いることができる。さらに、前記正面位相差の範囲にあれば等方性基材の配向軸がばらついても色ムラが抑えられるため、例えばアウトセル用途のタッチパネルにおいて、偏光サングラスをかけた状態で前記タッチパネルを視認しても表示品位が損なわれることはない。本発明の導電積層体における等方性基材の素材として、正面位相差が前記範囲にあれば特に制限はないが、例えば透明な樹脂、ガラスなどを挙げることができる。樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂およびトリアセチルセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む樹脂を好ましく用いることができる。ガラスとしては、通常のソーダガラスを用いることができる。また、これらの複数の等方性基材を組み合わせて用いることもできる。例えば、樹脂とガラスを組み合わせた等方性基材、2種以上の樹脂を積層した等方性基材などの複合基材であってもよい。
等方性基材の形状については、厚み250μm以下で巻き取り可能なフィルムであっても、厚み250μmを超える基板であっても後に述べる全光線透過率の範囲で有ればよい。コスト、生産性、取り扱い性等の観点からは250μm以下の樹脂フィルムが好ましく、より好ましくは190μm以下、さらに好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下の樹脂フィルムである。
[金属系線状構造体]
本発明における金属系線状構造体としては、例えば、繊維状導電体、ナノワイヤー、ウィスカーやナノロッドのような針状導電体等が挙げられる。なお、繊維状とは、アスペクト比=長軸の長さ(金属系線状構造体の長さ)/短軸の長さ(金属系線状構造体の直径)が10より大きいことをいう。形状については特に限定されず、直線状であっても曲線状であってもよく、その一部に直線部および/または曲線部を有する形状であってもよい。
ナノワイヤーとは、図7における符号14に例示するような、弧の形状をしている構造体であり、針状とは、例えば図7における符号15に例示するような、直線形状をしている構造体である。なお、金属系線状構造体は、単独で存在する場合の他に、集合体を形成して存在する場合がある。集合体については、例えば金属系線状構造体の配置の方向性に規則性がなくランダムに集合した状態であってもよく、また金属系線状構造体の長軸方向の面同士が平行に集合した状態であってもよい。長軸方向の面同士が平行に集合した状態の例としては、バンドルという集合体となることが知られており、金属系線状構造体が類似のバンドル構造を有していてもよい。本発明において好ましく用いられる金属系線状構造体は金属ナノワイヤーであり、金属ナノワイヤーの金属組成としては特に制限は無く、貴金属元素、貴金属酸化物や卑金属元素の1種または複数の金属から構成されることができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)及び鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。金属系線状構造体として用いることのできる貴金属や貴金属酸化物のナノワイヤーは、特表2009−505358号公報、特開2009−129607号公報、特開2009−070660号公報に記載されており、また金属酸化物のウィスカーや繊維状のような針状結晶としては、例えば、チタン酸カリウム繊維とスズ及びアンチモン系酸化物の複合酸化物であるデントールWKシリーズ(大塚化学(株)製)のWK200B、WK300R、WK500が市販されている。
[ネットワーク構造]
本発明においてネットワーク構造とは、導電層内の個別の金属系線状構造体について見たとき、別の金属系線状構造体との接点の数の平均が少なくとも1を超えるような、分散構造を有することをいう。このとき接点は金属系線状構造体のいかなる部分間に形成されていてもよく、金属系線状構造体の末端部同士が接していたり、末端と金属系線状構造体の末端以外の部分が接していたり、金属系線状構造体の末端以外の部分同士が接していてもよい。ここで、接するとはその接点が接合していても、単に接触しているだけでもよい。なお、導電層中の金属系線状構造体のうち、ネットワークの形成に寄与していない(すなわち接点が0で、ネットワークとは独立して存在している)金属系線状構造体が一部存在していてもよい。
[マトリックス]
本発明における導電層には、前記金属系線状構造体を架橋構造を有する高分子からなるマトリックス中に含むことが好ましい。
マトリックスの成分としては、有機または無機系の高分子などが挙げられる。
無機系高分子としては、無機系の酸化物等が挙げられ、例えば、トリアルコキシシラン類等から、加水分解・重合反応によって形成させる珪素酸化物や、スパッタ蒸着により形成される珪素酸化物が挙げられる。
かかる場合に用いられるトリアルコキシシラン類としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。
有機系高分子としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられ、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ナイロンやベンゾグアナミン等のポリアミド系樹脂、ABS樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素原子(Cl原子)を含有する樹脂、フッ素原子(F原子)を含有する樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系樹脂、等の有機系の高分子が挙げられ、これら高分子の構造内に架橋構造を有しているものや、これら高分子と架橋剤を反応させて架橋高分子としたものでもよい。これら有機系高分子から要求する特性や生産性等をふまえ少なくとも1種類を選択し、また、これらから2種以上混合して用いてもよい。これらの有機系高分子のうち、炭素−炭素二重結合基を3個以上有する化合物が重合反応した構造を含む高分子からなるものであることが好ましい。かかる有機系高分子は、炭素−炭素二重結合を含む官能基を3個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む組成物を原料とし、炭素−炭素二重結合を反応点として重合反応することで得ることができる。
炭素−炭素二重結合を含む官能基としては、例えば、ビニル基、イソプロペニル基、イソペンテニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アリリデン基、アリリジン基、ビニルエーテル基や、これらの基の炭素−炭素二重結合を構成する炭素に結合する水素をフッ素や塩素等のハロゲン原子に置換したもの(例えば、フッ化ビニル基、フッ化ビニリデン基、塩化ビニル基、塩化ビニリデン基等)が挙げられる。これら以外にも、炭素−炭素二重結合の炭素にフェニル基やナフチル基等の芳香環を有する置換基が結合したもの(例えばスチリル基等)や、ブタジエニル基(例えば、CH=C(R1)−C(R2)=CH−、CH=C(R1)−C(=CH)−(R1、R2はHまたはCH))のように共役ポリエン構造を有する基を含むもの等が挙げられる。これらから要求する特性や生産性等を考慮して、1種類または2種以上を混合して使用すればよい。
重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合を3個以上有する化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールエトキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシトリメタクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリメタクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパントリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、グリセリンプロポキシトリメタクリレートや、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の環状骨格を分子内に有する化合物(例えば、トリアクリレート、トリメタクリレート、テトラアクリレート、テトラメタクリレート、ペンタアクリレート、ペンタメタクリレート、ヘキサアクリレート、ヘキサメタクリレート等)や、これら化合物の一部を変性した化合物(例えば2−ヒドロキシプロパン酸等で変性した2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールトリメタクリレート、2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、また、シリコーン骨格を導入したシリコーントリアクリレート、シリコーントリメタクリレート、シリコーンテトラアクリレート、シリコーンテトラメタクリレート、シリコーンペンタアクリレート、シリコーンペンタメタクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、シリコーンヘキサメタクリレート等)や、骨格内にビニル基および/またはビニリデン基と共にその他骨格を有する化合物(例えば、ウレタン骨格を有するウレタントリアクリレート、ウレタントリメタクリレート、ウレタンテトラアクリレート、ウレタンテトラメタクリレート、ウレタンペンタアクリレート、ウレタンペンタメタクリレート、ウレタンヘキサアクリレート、ウレタンヘキサメタクリレート、エーテル骨格を有するポリエーテルトリアクリレート、ポリエーテルトリメタクリレート、ポリエーテルテトラアクリレート、ポリエーテルテトラメタクリレート、ポリエーテルペンタアクリレート、ポリエーテルペンタメタクリレート、ポリエーテルヘキサアクリレート、ポリエーテルヘキサメタクリレート、エポキシ由来の骨格を有するエポキシトリアクリレート、エポキシトリメタクリレート、エポキシテトラアクリレート、エポキシテトラメタクリレート、エポキシペンタアクリレート、エポキシペンタメタクリレート、エポキシヘキサアクリレート、エポキシヘキサメタクリレート、エステル骨格を有するポリエステルトリアクリレート、ポリエステルトリメタクリレート、ポリエステルテトラアクリレート、ポリエステルテトラメタクリレート、ポリエステルペンタアクリレート、ポリエステルペンタメタクリレート、ポリエステルヘキサアクリレート、ポリエステルヘキサメタクリレート等)が挙げられる。
これらを用途や要求する特性や生産性等を考慮して、単体で重合したものもしくは単体で重合したものを2種以上混合した組成物、また2種以上が共重合した2量体以上のオリゴマーから形成される組成物を使用することができるが、特にこれらに限定されるものではない。
これら化合物のうち、重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を4個以上、すなわち4官能以上の化合物を、さらに好ましく用いることができる。4官能以上の化合物は、例えば、前記4官能のテトラアクリレート、テトラメタクリレート、5官能のペンタアクリレート、ペンタメタクリレート、6官能のヘキサアクリレート、ヘキサメタクリレート等が挙げられ、さらに7官能以上のものでもよい。
これら化合物は、具体的に市販されているものとして例えば、共栄社化学(株)製のライトアクリレートシリーズ、ライトエステルシリーズ、エポキシエステルシリーズ、ウレタンアクリレートAHシリーズ、ウレタンアクリレートATシリーズ、ウレタンアクリレートUAシリーズ、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ、PETIA、TMPTA、TMPEOTA、OTA 480、DPHA、PETA−K、綜研化学(株)製のフルキュアシリーズ、東洋インキ製造(株)製の“LIODURAS”(リオデュラス)(登録商標)シリーズ、中国塗料(株)製のフォルシードシリーズ、マツイカガク(株)製のEXPシリーズ、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYL1360、信越化学工業(株)製のX−12−2456シリーズ等が挙げられる。
[無機粒子]
本発明における導電積層体はそのいずれかの層中に無機粒子を含むことが好ましい。層中の無機粒子が薬液処理により溶解してボイドを発生することにより光学特性が変化する効果を発揮する。
本発明には、各種炭酸塩や酸化亜鉛、酸化スズ、ITOなどの酸処理により溶解する無機化合物が使用できる。中でも酸との反応しやすさ、水やアルカリ性溶液、有機溶媒に対する安定性、酸との反応時に炭酸ガスを発生しボイドを形成しやすいという観点から炭酸塩が好適に使用され、特に入手しやすく安価である炭酸カルシウムがより好適に使用される。無機粒子のサイズは、無機粒子を含む層を薄層化できることから平均粒子径500nm以下が好ましく、導電積層体の透過率低下、ヘイズ値上昇を抑制するために平均粒子径300nm以下がより好ましい。一方、無機粒子が小さすぎると、後に発生するボイドのサイズも小さくなり光学特性の変化が小さくなる場合がある。これは、ボイドのサイズが可視光波長よりも小さく、入射した光を効果的に拡散反射できないからであると考えられる。よって、効果的に光学特性の変化を得るために無機粒子は平均粒子径80nm以上であることが好ましい。
ここで無機粒子の平均粒子径aとは、長径の数ベースでの分布曲線から得た最頻値と定義する。また長径とは個々の無機粒子毎に顕微鏡により撮影した画像上で認識できるもっとも長い直径とする。かかるデータを採るための方法としては、例えば、無機粒子を含む層の断面を電界放射型走査電子顕微鏡(SEM)(日本電子(株)製 JSM−6700−F)にて観察した画像を用いればよい。尚、本発明における無機粒子の平均粒子径は、単分散であれば該無機粒子の一次粒子径をいい、複数の一次粒子が凝集した凝集体であればその凝集粒子の粒子径をいう。粒子が凝集した状態の場合、その凝集体を顕微鏡により撮影し、画像上で認識できる最も長い直径を粒子の長径とみなし、前述の方法で平均粒子径aを算出する。
[ボイド]
本発明におけるパターン化導電層体は非導電領域のいずれかの層にボイドを含む。該ボイドは非導電領域に透過ヘイズ値の減少および拡散反射光を減少させる効果を発現する。非導電領域においては導電領域よりも金属系線状構造体が少ないことに起因して透過ヘイズ値および拡散反射光が減少するが、本発明では前述のような光学特性の差異を小さくすることでパターンの非視認性が向上したパターン化導電層体を得ることができる。
本発明におけるボイドのサイズはボイドを含む層を薄層化できることから平均ボイド径500nm以下が好ましく、パターン化導電積層体の非導電領域における透過率低下、透過ヘイズ値上昇を抑制し、効果的に拡散反射光を得るために平均ボイド径300nm以下がより好ましい。また、前述の[無機粒子]の項記載の通り、効果的に光学特性の変化を得るためには平均ボイド径を80nm以上にすることが好ましい。平均ボイド径の測定方法は前述の[無機粒子]の項記載の無機粒子の平均粒子径と同様とする。このとき、SEM観察画像で確認できる長径10nm以上のボイドを本発明におけるボイドとする。
次いで、ボイドの形成方法について説明する。本発明におけるボイドは前述の無機粒子が溶解あるいは分解することで形成される。具体的には無機粒子を含む層へ酸やアルカリ性溶液を浸透させて化学反応により無機粒子を溶解してボイドを形成する方法や、加熱やレーザーなどによるエネルギーを外部から与えることで無機粒子を分解させてボイドを形成する方法が挙げられる。これらの方法のうち、微細なパターン化導電層に対応できる点と他の工程と同時に行うことができ、生産性が良好である点から溶液を浸透させて化学反応により無機粒子を溶解させてボイドを形成する方法が好適に用いられる。
[パターン化導電積層体]
本発明のパターン化導電積層体は、等方性基材の少なくとも片面にパターン化導電層を有する。
パターン化導電層は、その面内に導電領域と、非導電領域を有する。導電領域は、マトリックス中にネットワーク構造を有する金属系線状構造体を含むものである。ネットワーク構造を有する金属系線状構造体は、いわゆる導電成分として機能して抵抗値を低くするので、導電領域として必要な導電性が発現する。非導電領域は金属系線状構造体が存在しないか、導電領域に比べて存在量が少なくネットワーク構造を有しない状態になっている為、導電性を発現しない。
次いで、パターン化導電層の製造方法について説明する。パターン化導電層の製造方法には、等方性基材の一面全面に導電層を形成した後に一部の領域における金属系線状構造体を除去あるいは減少させて非導電領域を形成する方法とスクリーン印刷、オフセットグラビア印刷、インクジェットなどの手法で導電領域のパターンを直接形成する方法がある。本発明は前者の全面に導電層を形成した後に非導電領域を形成する方法に好適に用いられる。
全面に導電層を形成する方法として、前述のマトリックス中に金属系線状構造体を分散させて塗布する方法や、金属系線状構造体の分散液を塗布し乾燥した後にマトリックス溶液を塗布して含浸させて硬化させる方法などが挙げられる。金属系線状構造体の分散液およびマトリックス溶液の塗布方法としてはキャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、スクリーン印刷、鋳型塗布、印刷転写、インクジェットなどのウエットコート法等、の一般的な方法を挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、上記各方法において分散液を均一に塗布できかつ基材への傷が入りにくいスリットダイコート、もしくは導電層を均一にかつ生産性良く形成できるマイクログラビアを使用したウエットコート法が好ましい。
次に非導電領域の形成方法について説明する。非導電領域の形成すなわち金属系線状構造体の除去あるいは減少にはエッチング液、エッチングペーストを用いてマトリックス中の金属系線状構造体を断線、除去するケミカルエッチング法、レーザーアブレーションにより金属系線状構造体を断線、消失するなどの方法が挙げられる。本発明では金属系線状構造体をエッチングすると同時に無機粒子を溶解することができ、パターン化と非導電層にボイドを発生させる工程とを同一の工程で行うことができる為、ケミカルエッチング法が好適に使用される。
本発明にかかる導電積層体は、前記導電層側から入射した際のJIS K7361−1(1997年)に基づいた全光線透過率が80%以上である透明導電積層体であることが好ましい。本発明の導電積層体を組み込んだタッチパネルは、優れた透明性を示し、この透明導電積層体を用いたタッチパネルの下層に設けたディスプレイの表示を鮮やかに認識することができる。本発明における透明性とは、前記導電層側から入射した際のJIS K7361−1(1997年)に基づいた全光線透過率が80%以上であることを意味し、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。なお、上限は限りなく100%に近くても問題ない。
また、本発明においては、等方性基材に対し導電層側(本発明では導電層が積層されている側)とは反対の面に、耐摩耗性、高表面硬度、耐溶剤性、耐汚染性等を付与したハードコート処理が施されていてもよい。
本発明の導電積層体は、その導電層側の表面抵抗値が、10Ω/□以上、500Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは10Ω/□以上、300Ω/□以下である。さらに好ましくは、10Ω/□以上、200Ω/□以下である。この範囲にあることで、タッチパネル用の導電積層体として好ましく用いることができる。すなわち、10Ω/□以上であれば消費電力を少なくすることができ、500Ω/□以下であれば、タッチパネルの座標読みとりにおける誤差の影響を小さくすることができる。
本発明において用いる等方性基材および/または導電層には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、有機の微粒子、架橋剤、難燃剤、難燃助剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、レベリング剤、滑り賦活剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、核剤、染料、充填剤、分散剤およびカップリング剤などを用いることができる。
また、本発明のパターン化導電層は2層以上積層されて使用することもできる。2層以上積層する際には接合層によって接合され積層される。接合層としては接着剤や粘着剤を使用することができ、取り扱い性や柔軟性の観点から粘着剤が好適に使用される。本発明ではアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが使用でき、特に粘着特性や色調の調整が容易であることからアクリル系粘着剤が好適に使用される。
本発明の導電積層体および/またはパターン化導電積層体は、表示体に好ましく用いることができ、中でも、タッチパネル及び電子ペーパーに好ましく使用することができる。そのうち、タッチパネルの一例を示した断面模式図を図8に示す。タッチパネルは、金属系線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電層を積層した本発明の導電積層体(たとえば、図1)を単独もしくは複数枚、さらには他の部材と組み合わせて搭載したものであり、その例として抵抗膜式タッチパネルや静電容量式タッチパネル等が挙げられる。本発明の導電積層体の導電層は、図7に示すように符号12、13、14、15に示すような金属系線状構造体(の何れかあるいは複数)を含み、符号16、17、18に示すような接点(の何れかあるいは複数)を有するネットワーク構造を形成している。本発明の導電積層体を搭載してなるタッチパネルは、たとえば図8に示すように導電積層体19を、接着剤や粘着剤等の接合層22によって接合して積層したものであり、さらに、タッチパネルの画面側の等方性基材、タッチパネルの画面側の等方性基材に積層したハードコート層24が設けられる。かかるタッチパネルは、例えば、リード線と駆動ユニット等を取り付け、液晶ディスプレイの前面に組み込んで用いられる。
以下、本発明を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
まず、各実施例および比較例における評価方法を説明する。
(1)導電成分の形態
絶縁抵抗計(三和電気計器(株)製、DG6)を用いて、サンプルの各面に探針をあて、通電の有無からサンプルの導電面を特定する。
次いでサンプルの導電領域(A)及び非導電領域(B)の各々の表面を、走査透過電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 日立走査透過電子顕微鏡HD−2700)もしくは電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kV、観察倍率と画像のコントラストを適宜調節して各倍率にて観察した。
前記方法にて観察が困難な場合は、次いでカラー3D レーザー顕微鏡((株)キーエンス製 VK−9700/9710)、観察アプリケーション((株)キーエンス製 VK−H1V1)、形状解析アプリケーション((株)キーエンス製 VK−H1A1)を用いて、付属の標準対物レンズ10X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan 10X)、20X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan 20X)、50X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan Apo 50X)、150X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan Apo 150X)にて各倍率で導電側の同位置を表面観察し、その画像データから画像解析した。
(2)導電成分、無機粒子の同定
サンプルから導電層を剥離し、溶解する溶剤に溶解させた。必要に応じ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、液体高速クロマトグラフィー等に代表される一般的なクロマトグラフィー等を適用し、それぞれ単一物質に分離精製して、以下の定性分析に供した。
その後、導電成分を適宜濃縮および希釈を行いサンプルを調製した。次いで、以下の評価方法を用いサンプル中に含まれる成分を特定した。
分析手法は、以下の分析の手法を組み合わせて行い、より少ない組み合わせで測定できるものを優先して適用した。
核磁気共鳴分光法(H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、19F−NMR)、二次元核磁気共鳴分光法(2D−NMR)、赤外分光光度法(IR)、ラマン分光法、各種質量分析法(ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)、熱分解ガスクロマトグラフィー−質量分析法(熱分解GC−MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、飛行時間型質量分析法(TOF−MS)、飛行時間型マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−TOF−MS)、ダイナミック二次イオン質量分析法(Dynamic−SIMS)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)、その他スタティック二次イオン質量分析法(Static−SIMS)等)、X線回折法(XRD)、中性子回折法(ND)、低速電子線回折法(LEED)、高速反射電子線回折法(RHEED)、原子吸光分析法(AAS)、紫外光電子分光法(UPS)、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)、蛍光X線元素分析法(XRF)、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−AES)、電子線マイクロアナリシス法(EPMA)、荷電粒子励起X線分光法(PIXE)、低エネルギーイオン散乱分光法(RBSまたはLEIS)、中エネルギーイオン散乱分光法(MEIS)、高エネルギーイオン散乱分光法(ISSまたはHEIS)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、透過電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(TEM−EDX)、走査電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(SEM−EDX)、ガスクロマトグラフィー(GC)その他元素分析。
(3)表面抵抗値R
導電積層体の導電層側の表面抵抗値を、非接触式抵抗率計(ナプソン(株)製 NC−10)を用い渦電流方式で100mm×50mmのサンプルの中央部分を測定した。3サンプルについて平均値を算出し、これを表面抵抗値R[Ω/□]とした。検出限界を超えて表面抵抗値が得られなかった場合は、次いで以下の方法にて測定した。
高抵抗率計(三菱化学(株)製 Hiresta−UP MCP−HT450)を用い、リングタイププローブ(三菱化学(株)製 URSプローブ MCP−HTP14)を接続して二重リング方式で100mm×100mmのサンプルの中央部分を測定した。3サンプルについて平均値を算出し、これを表面抵抗値R[Ω/□]とした。
(4)全光線透過率、ヘイズ
サンプルの導電層側にハードコート層(中国塗料(株)製フォルシード423C)が片面に形成された厚み188μmの光学PETフィルムのPETフィルム側を透明粘着剤(日東電工(株)製 LUCIACS CS9621T)で貼り合わせ、濁度計(曇り度計)NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いてJIS K7361−1(1997年)に基づいて、導電積層体厚み方向の全光線透過率、ヘイズを導電層側から光を入射させて測定した。3サンプルについて測定し、3サンプルの平均値を算出し、これを各水準の全光線透過率、ヘイズとした。本測定に当たっては、2桁目を四捨五入して値を求めた。
(5)拡散反射光
サンプルの導電層側に、ハードコート層(中国塗料(株)製フォルシード423C)が片面に形成された厚み188μmの光学PETフィルムのPETフィルム側を透明粘着剤(日東電工(株)製 LUCIACS CS9621T)で貼り合わせ、分光測色計CM−2600d(コニカミノルタセンシング(株)製)を用いて導電層側の反射光を測定した。拡散反射光の指標としてSCE方式でのL表色系のL値を採用した。測定は導電領域と非導電領域の両方でそれぞれ行い、各々のL値の差であるΔL値を求めた。
(6)パターンの非視認性評価
前述の拡散反射光測定におけるΔL値が0.7以下となった場合、パターンの非視認性が良好と判断した。また、測定するサンプルと同等の表面抵抗値で本発明の無機粒子および/またはボイドを含まないパターン化導電積層体において同様の拡散反射光測定を行った値をΔL 値とした。このΔL 値は金属系線状構造体の存在量すなわち、導電積層体の表面抵抗値により変化する。例えば、金属系線状構造体の存在量が多く、表面抵抗値が低い場合はΔL 値は大きくなる。ここで、同等の表面抵抗値でΔL−ΔL ≦−0.3の場合、パターンの非視認性は改善していると判断し、ΔL−ΔL >−0.3の場合、パターンの非視認性は改善されておらず、不良とした。尚、同等の表面抵抗値とは、ある値±15Ω/□の範囲内であれば、同等の表面抵抗値とする。
(7)ΔL 値の測定
いずれの層にも無機粒子を含まない表面抵抗値140.1Ω/□、150.5Ω/□、162.0Ω/□、51.0Ω/□の4種類の導電積層体を用意した。これらをパターニングし得られたパターン化導電積層体のΔLはそれぞれ1.93、1.96、2.02、3.27であり、それぞれの値をその表面抵抗値でのΔL とした。このときの導電積層体およびパターン化導電積層体は後記する比較例1および2と同様の方法で得た。
(8)正面位相差(Δnd)の測定
等方性基材を5cm×5cmにカットし、自動複屈折計KOBRA 21-ADH (王子計測機器(株)製)を用いて測定し、正面位相差(Δnd)を算出した。
(9)偏光度評価
単体透過率43%、偏光度95%の偏光板を吸収軸に平行になる辺が存在する状態で5cm×5cmに2枚カットした。ヘーズメーターNDH4000(日本電色(株)製)を用いて、前記偏光板のパラレルニコル(Tp)、クロスニコル(Tc)状態で全光線透過率を測定した。偏光度(V)は(Tp−Tc)/(Tp+Tc)の平方根にて算出し、偏光板の偏光度(V0)は0.99であった。次に、サンプルを偏光板の間に設置し、Tp、Tc状態で全光線透過率を測定し、偏光度(V)を算出した。
[材料]
<基材>
基材A
厚み100μmの環状オレフィン系フィルム(日本ゼオン(株)製 ゼオノアフィルム(登録商標))
基材B
厚み125μmのポリカーボネート系フィルム(帝人化成(株)製 パンライト(登録商標)2151)
基材C
厚み125μmのアクリル系フィルム(三菱レイヨン(株)製 アクリプレン(登録商標))
基材D
厚み80μmのトリアセチルセルロース系フィルム(富士フィルム(株)製 フジタック(登録商標))
基材E
厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)U48)。
(実施例1)
無機粒子に脂肪酸で表面処理した炭酸カルシウム微粒子粉末(ニューライム(株)製 ヴィスカルP、一次平均粒子径150nm)10.0g、イソプロピルアルコール(IPA)90.0g、平均粒子径0.4mmのジルコニアビーズ200.0gを混合し、振とう機SR−2DW(タイテック(株)製)で振とう回数300回/分の条件で2時間振とう分散させた後、ジルコニアビーズを濾過により除去し無機粒子の分散体を得た。
次いで、アクリル系組成物(共栄社化学(株)製 ライトアクリレートDPE−6A、固形分濃度100質量%)13.0g、ポリマー(綜研化学(株)製 CMX−1、固形分濃度36%)36.0g、光重合開始剤(BASF(株)製 IRGACURE(登録商標)184)3.6g、IPA897.3g、前記無機粒子の分散体51.8gを混合、撹拌し、アンダーコート材料を調製した。このアンダーコート材料を材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して基材Aに塗布、80℃で2分間乾燥後、紫外線を100mJ/cm照射し硬化させ、厚みが400nmであるアンダーコート層を形成した。
次に、金属系線状構造体を含む水分散液として、銀ナノワイヤー分散液(米国Cambrios社製CleraOhm Ink−A AQ)を用意した。この銀ナノワイヤー分散液を、銀ナノワイヤーの濃度が0.054質量%となるように希釈して銀ナノワイヤー分散塗液を調製した。この銀ナノワイヤー分散塗液を、材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して前記アンダーコート層の上に塗布、80℃で2分間乾燥し導電成分を積層形成した。
続いて、アクリル系組成物アクリル系組成物(綜研化学(株)製 フルキュアHC−6、固形分濃度51質量%)26.7g、酢酸エチル972.0gを混合、撹拌し、マトリックス組成物を調製した。
調製したマトリックス組成物を、導電成分を積層した側に、材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布、80℃で2分間乾燥後、紫外線を80mJ/cm照射し硬化させ、マトリックス部分の厚みが150nmである導電層を形成し、導電積層体1を得た。
この導電積層体1はアンダーコート層に無機粒子を含む導電積層体であり、無機粒子は炭酸カルシウムで、アンダーコート層に対して10質量%の量を含んでいる。無機粒子の平均粒子径は152nmであった。また、この導電積層体1の表面抵抗値Rは50Ω/□であった。
次に得られた導電積層体1を50mm×100mmサイズに3枚切り出しパターンの非視認性確認用のサンプルとして準備した。
次いで、36質量%塩酸:60質量%硝酸:水を20:3:17の質量比率で配合したエッチング液を45℃に加熱し、サンプルの半分の領域(50mm×50mmの範囲)のみを5分間浸漬させてエッチング処理を行った。これによりエッチング液に浸漬した領域が非導電領域となり、それ以外の領域が導電領域であるパターン化導電積層体1を得た。このパターン化導電積層体1の非導電領域は平均ボイド径160nmのボイドを含んでおり、パターンの非視認性は良好であった。
(実施例2)
基材Bを用いた以外は実施例1と同様の方法で導電積層体2およびパターン化導電積層体1を得た。
(実施例3)
基材Cを用いた以外は実施例1と同様の方法で導電積層体3およびパターン化導電積層体3を得た。
(実施例4)
基材Dを用いた以外は実施例1と同様の方法で導電積層体4およびパターン化導電積層体4を得た。
(比較例1)
金属系線状構造体を含む水分散液として、銀ナノワイヤー分散液(米国Cambrios社製CleraOhm Ink−A AQ)を用意した。この銀ナノワイヤー分散液を、銀ナノワイヤーの濃度が0.054質量%となるように希釈して銀ナノワイヤー分散塗液を調製した。この銀ナノワイヤー分散塗液を、材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して基材Aの上に塗布、80℃で2分間乾燥し導電成分を積層形成した。
続いて、アクリル系組成物アクリル系組成物(綜研化学(株)製 フルキュアHC−6、固形分濃度51質量%)26.7g、酢酸エチル972.0gを混合、撹拌し、マトリックス組成物を調製した。
調製したマトリックス組成物を、導電成分を積層した側に、材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布、80℃で2分間乾燥後、紫外線を80mJ/cm照射し硬化させ、マトリックス部分の厚みが150nmである導電層を形成し、導電積層体11を得た。
この導電積層体の表面抵抗値Rは50Ω/□であった。
続いて実施例1と同様の方法でパターン化導電積層体11を得た。このパターン化導電積層体の非導電領域はいずれの層にもボイドを含んでおらず、パターンの非視認性は低かった。
(比較例2)
アンダーコート材料組成をアクリル系組成物(共栄社化学(株)製 ライトアクリレートDPE−6A、固形分濃度100質量%)13.0g、ポリマー(綜研化学(株)製 CMX−1、固形分濃度36%)36.0g、光重合開始剤(BASF(株)製 IRGACURE(登録商標)184)3.6g、IPA897.3gとしたこと以外は実施例1と同様の方法で導電積層体12を得た。
この導電積層体はいずれの層にも無機粒子を含まない。この導電積層体の表面抵抗値Rは50Ω/□であった。
続いて実施例1と同様の方法でパターン化導電積層体12を得た。このパターン化導電積層体の非導電領域はいずれの層にもボイドを含んでおらず、パターンの非視認性は低かった。
(比較例3)
基材Eを用いた以外は実施例1と同様の方法で導電積層体13およびパターン化導電積層体13を得た。このパターン化導電積層体は偏光度が低かった。
Figure 2014133356
本発明の導電積層体およびパターン化導電積層体は、パターン非視認性が良好なことからタッチパネル、液晶ディスプレイ、電子ペーパーなどの表示体用途に好適に使用されるものである。
1:等方性基材
2:導電層
3:金属系線状構造体
4:無機粒子
5:ボイド
6:マトリックス
7:アンダーコート層
8:導電領域
9:非導電領域
10:裏面ハードコート層
11:積層面に垂直な方向より観察した導電面
12:単一の繊維状導電体
13:繊維状導電体の集合体
14:ナノワイヤー
15:針状導電体
16:繊維状導電体の重なりによって形成した接点
17:ナノワイヤーの重なりによって形成した接点
18:針状導電体の重なりによって形成した接点
19:導電積層体
20:導電積層体の基材
21:導電積層体の導電層
22:導電積層体を積層するための接合層
23:画面側の基材
24:ハードコート層

Claims (15)

  1. 正面位相差が0nm以上10nm以下である等方性基材の少なくとも片面に導電層を有する導電積層体であって、該導電層はネットワーク構造を持つ金属系線状構造体を含み、導電積層体のいずれかの層に無機粒子を含むことを特徴とする導電積層体。
  2. 等方性基材がポリカーボネート樹脂、環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂およびトリアセチルセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の導電積層体。
  3. 正面位相差が0nm以上10nm以下である等方性基材の少なくとも片面にパターン化導電層を有するパターン化導電積層体であって、該パターン化導電層はネットワーク構造を持つ金属系線状構造体が存在する導電領域と、ネットワーク構造を持つ金属系線状構造体が存在しない非導電領域とを有し、非導電領域の積層構成のいずれかの層にボイドが存在することを特徴とするパターン化導電積層体。
  4. 等方性基材がポリカーボネート樹脂、環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂およびトリアセチルセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3に記載のパターン化導電積層体。
  5. 導電領域よりも非導電領域に多くのボイドが存在することを特徴とする請求項3または4に記載のパターン化導電積層体。
  6. 請求項3〜5に記載のパターン化導電積層体の製造方法であって、請求項1または2に記載の導電積層体の無機粒子を薬液処理で溶解することによりボイドを形成することを特徴とするパターン化導電積層体の製造方法。
  7. 薬液処理で、無機粒子を溶解することによりボイドを形成すると同時に、ネットワーク構造を持つ金属系線状構造体をも除去し、非導電領域を形成することを特徴とする請求項6に記載のパターン化導電積層体の製造方法。
  8. 請求項6または7に記載のパターン化導電積層体の製造方法で得られるパターン化導電積層体。
  9. 金属系線状構造体が、銀ナノワイヤーである請求項1または2に記載の導電積層体。
  10. 無機粒子の平均粒子径が500nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電積層体。
  11. 非導電領域に含まれるボイドの平均ボイド径が500nm以下であることを特徴とする請求項3、4、5、8のいずれかに記載のパターン化導電積層体。
  12. 無機粒子が炭酸塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電積層体。
  13. 請求項1、2、9、10、12に記載の導電積層体、または、請求項3〜5、8、11のいずれかに記載のパターン化導電積層体を用いた表示体。
  14. 請求項13に記載の表示体を用いたタッチパネル。
  15. 請求項13に記載の表示体を用いた電子ペーパー。
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