JP2014032792A - 導電積層体およびそれを用いてなる表示体 - Google Patents

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義和 佐藤
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Abstract

【課題】本発明は、耐久性の良好な導電積層体を提供せんとするものである。
【解決手段】基材の少なくとも片面に導電層を有する導電積層体であって、該導電層は金属系線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分と、構造内に窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有するマイグレーション抑制剤とが、高分子からなるマトリックス中に含有されている導電積層体。
【選択図】図2

Description

本発明は、耐久性の良好な導電積層体に関する。さらに詳しくは、金属系線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電層を有し、耐久性の良好な導電積層体に関するものである。またさらに、タッチパネル、電子ペーパー、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの表示体関連に使用される導電積層体に関するものである。
近年、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどの表示体関連や太陽電池モジュールなどの電極用に透明導電部材が用いられている。
透明導電部材としては基材上に導電層を積層したものがあり、その導電層としては酸化インジウムスズ(ITO)や金属薄膜、等の従来の導電性薄膜を用いたものの他に、金属粒子や金属ナノワイヤーなどの線状の導電成分のネットワークを形成することで導電性を発現させたものが提案されている。例えば、銀微粒子と、銀とはイオン化傾向の異なる金属とを含む導電層を用いたものが提案されている(特許文献1)。また、導電性繊維と含窒素芳香族ヘテロ環自体に官能基が修飾された化合物を含む導電層を用いたものも提案されている(特許文献2)。また、メッシュ構造の導電層の上に、導電性高分子と含窒素芳香族ヘテロ環自体に官能基が修飾されたマイグレーション防止剤からなる層を積層し用いたものも提案されている(特許文献3)。
特開2007−201142号公報 特開2011−54419号公報 特開2009−146678号公報
しかしながら、金属の導電成分は電極として使用した際、外部から導電層へ浸入する水と、電流が流れることによる電気ストレスによって導電層の金属が電極に析出する、いわゆるマイグレーションが発生し、電極間での短絡や導電不良が発生し耐久性が低いという問題があった。特許文献1のように金属微粒子を用いたものでは耐久性の良好な導電積層体を提供することが困難であるという問題があった。特許文献2や3のように含窒素芳香族ヘテロ環自体に官能基が修飾された化合物を含むものは依然として高い耐久性を得るには至っていない。このように導電層に起因してマイグレーションが発生し十分な耐久性が得られないという問題があった。
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑み、導電層を改良し良好な耐久性の導電積層体を得んとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用する。すなわち、
(1)基材の少なくとも片面に導電層を有する導電積層体であって、該導電層は金属系線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分と、構造内に窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有するマイグレーション抑制剤とが、高分子からなるマトリックス中に含有されている導電積層体。
また、本発明の導電積層体は以下を満たすことが好ましい。
(2)前記金属系線状構造体が、銀ナノワイヤーである前記(1)に記載の導電積層体。
(3)前記マイグレーション抑制剤が、構造内にさらに極性基を有し、且つ、その極性基が窒素系複素環とは別の部位に結合していることを特徴とする導電積層体。
(4)(3)に記載の極性基がヒドロキシル基である導電積層体。
(5)前記マイグレーション抑制剤がマトリックスの高分子と結合を有する(1)〜(4)のいずれかに記載の導電積層体。
(6)前記高分子からなるマトリックスが、架橋構造を有する(1)〜(5)のいずれかに記載の導電積層体。
(7)前記導電層内にさらに無機粒子を含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の導電積層体。
(8)(7)に記載の無機粒子の平均径aが前記金属系線状構造体の平均径r未満である(7)に記載の導電積層体。
さらに、本発明は以下の製造方法も提供する。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の導電積層体の導電層に、導電領域と非導電領域を形成するパターン化導電積層体の製造方法。
また、本発明は、以下の表示体を提供する。
(10)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の導電積層体、もしくは前記(9)に記載の製造方法により得たパターン化導電積層体、を用いてなる表示体。
加えて、本発明は(10)に記載の表示体を用いた以下の製品も提供する。
(11)前記(10)に記載の表示体を用いたタッチパネル。
(12)前記(10)に記載の表示体を用いた電子ペーパー。
(13)前記(10)に記載の表示体を用いた有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ。
本発明によれば、耐久性の良好な導電積層体を提供できる。
本発明の導電積層体の一例を示す断面模式図である。 本発明の導電積層体に用いられる金属系線状構造体の一例を示す模式図である。 本発明のタッチパネルの一例を示す断面模式図である。 本発明における金属系線状構造体近傍の一例を示す断面模式図である。 本発明における耐久性評価用のパターンの一例である。 本発明における耐久性評価用モジュールの一例を示す模式図である。
[導電積層体]
本発明の導電積層体は、基材の少なくとも片面に導電層を有することが好ましい。導電層は、金属系線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分と、マイグレーション抑制剤とが、高分子からなるマトリックス中に含有されてなるものである。ネットワーク構造を有する金属系線状構造体は、いわゆる導電成分として働いて電気抵抗値を低くするので、導電層として必要な導電性が発現し、特定の構造を有するマイグレーション抑制剤を高分子からなるマトリックス中に同時に含有せしめることで耐久性が良好な導電積層体を提供できることを見出したものである。また、金属系線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分がランダムな配向であると、導電性および耐久性に加えて良好な光学特性をも得ることができるので、本発明の導電積層体を用いた表示体は表示画像が鮮明なものとなるので好ましい。
[導電成分]
導電層に用いられる導電成分はネットワーク構造を有する金属系線状構造体であることが好ましい。かかる導電成分を適用することで含有量に比して導電性に優れた導電層を得ることができるので、低い表面抵抗値の導電積層体を得ることができる。また、ネットワーク構造を有していることで、導電層内の面方向への導電パスが形成され、低い表面抵抗値を得ることができる。
本発明においてネットワーク構造とは、導電層内の個別の金属系線状構造体について見たとき、別の金属系線状構造体との接点の数の平均が少なくとも1を超えるような分散構造を有することをいう。
このとき接点は金属系線状構造体のいかなる部分間に形成されていてもよく、金属系線状構造体の末端部同士が接していたり、末端と金属系線状構造体の末端以外の部分が接していたり、金属系線状構造体の末端以外の部分同士が接していてもよい。
ここで、接するとはその接点が接合していても、単に接触しているだけでもよい。なお、導電層中の金属系線状構造体のうち、ネットワークの形成に寄与していない(すなわち接点が0で、ネットワークとは独立して存在している)金属系線状構造体が一部存在していてもよい。ネットワーク構造は、後述する方法にて観察することができる。
本発明の導電積層体の導電層を構成する導電成分がネットワーク構造を有する金属系線状構造体からなることから、導電層内にネットワーク構造を有する金属系線状構造体の含有比率が一定以下の場合には、面内において金属系線状構造体が存在しない領域が散在する場合があるが、かかる領域が存在しても任意の2点間で導電性を示しうる。
また、ネットワーク構造を有する金属系線状構造体を構成する金属系線状構造体は、短軸の長さ(金属系線状構造体の直径)および長軸の長さ(金属系線状構造体の長さ)は、種々の範囲を採りうるが、短軸の長さは1nm〜1000nm(1μm)が好ましく、また長軸の長さは短軸の長さに対し、アスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)が10より大きくなるような長さであればよく、1μm〜100μm(0.1mm)が好ましい。
金属系線状構造体としては、例えば、繊維状導電体、ナノワイヤー、ウィスカーやナノロッドのような針状導電体等が挙げられる。なお、繊維状とは、前述のアスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)が10より大きいことをいう。形状については特に限定されず、直線状であっても曲線状であってもよく、その一部に直線部および/または曲線部を有する形状であってもよい。
ナノワイヤーとは、図2における符号6に例示するような、弧の形状をしている構造体であり、針状とは、図2における符号7に例示するような、直線形状をしている構造体である。なお、金属系線状構造体は、単独で存在する場合の他に、集合体を形成して存在する場合があってもよい。
集合体については、例えば金属系線状構造体の配置の方向性に規則性がなくランダムに集合した状態であってもよく、また金属系線状構造体の長軸方向の面同士が平行に集合した状態であってもよい。
長軸方向の面同士が平行に集合した状態の例としては、バンドルという集合体となることが知られており、金属系線状構造体が類似のバンドル構造を有していてもよい。本発明における金属系線状構造体の平均径rは、前述の集合体を形成している場合であっても金属系線状構造体の単独の径の値を用いて平均径rを算出する。なお、金属系線状構造体の平均径rは、以下の方法にて求める。
先ず、サンプルの観察したい部分近傍を氷で埋包し凍結固着後、日本ミクロトーム研究所(株)製ロータリー式ミクロトームを使用し、ナイフ傾斜角度3°にダイヤモンドナイフをセットして積層体平面に垂直な方向に切断する。次いで得られた積層体断面の導電領域(A)を、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kVにて観察倍率10000〜100000倍にて、画像のコントラストを適宜調節して観察する。1検体につき、異なる部分から得た金属系線状構造体の断面を含む画像を10視野分準備する。次いで、10視野内の全て金属系線状構造体の断面の径を求め、その全平均値を平均径rとする。なお、本測定に当たっては、有効数字3桁が確保できる倍率を選択し、計算に当たっては、4桁目を四捨五入して値を求める。
本発明における金属系線状構造体の材質は金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、金属水酸化物、等の成分を含有するものであってもよい。金属としては、元素の短周期型周期律表におけるIIA属、IIIA属、IVA属、VA属、VIA属、VIIA属、VIII属、IB属、IIB属、IIIB属、IVB属またはVB属に属する元素が挙げられる。具体的には、金、白金、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、ガリウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、マンガン、アンチモン、パラジウム、ビスマス、テクネチウム、レニウム、鉄、オスミウム、コバルト、亜鉛、スカンジウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、テルル、錫、マグネシウムなどが挙げられる。
合金としては、前記金属を含む合金(ステンレス鋼、黄銅、等)が挙げられる。金属酸化物としては、InO、SnO、ZnO、などが挙げられ、またこれらの金属酸化物複合体(InOSn、SnO−Sb、SnO−V、TiO(Sn/Sb)O、SiO(Sn/Sb)O、KO−nTiO−(Sn/Sb)O、KO−nTiO−Cなど)も挙げられる。またこれらは表面処理を施されていてもよい。
さらに、有機化合物(例えば、植物繊維、合成繊維等)や非金属材料(例えば、無機繊維等)の表面に前記金属や金属酸化物をコーティングまたは蒸着したものも金属系線状構造体に含まれる。
これら金属系線状構造体のうち、透明性等の光学特性や導電性等の観点から銀ナノワイヤーを特に好ましく使用することができる。
金属系線状構造体は例えば、特表2009−505358号公報、特開2009−146747号公報および特開2009−70660号公報に開示されている製法により得ることができる。
また、金属系線状構造体を単独、又は複数を組み合わせて混合して使用することもでき、さらに、必要に応じて他のマイクロ〜ナノサイズの導電性材料を添加してもよい。
[マイグレーション抑制剤]
本発明における導電層は、金属系線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分と共にマイグレーション抑制剤を高分子からなるマトリックス中に含むことが好ましい。マイグレーション抑制剤を高分子からなるマトリックス中に含むことで、金属系線状構造体のマイグレーションを抑制することができるので耐久性の良好な導電積層体とすることができる。
本発明のマイグレーション抑制剤は、構造内に窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有するものが好ましい。窒素系複素環(窒素系へテロ環)とは飽和もしくは不飽和結合を有する3員環以上の環状構造を有し、且つ、その環状構造内に1つ以上の窒素元素を有するものである。
窒素系複素環(窒素系へテロ環)としては、例えば、飽和結合を有するものとしてアジリジン(エチレンイミン)、アゼチジン(アザシクロブタン)、アゾリジン(ピロリジン)、アジナン(ピペリジン)、アゼパン(ヘキサメチレンイミン)、不飽和結合を有するものとしてアジリン(1H−アジリン、2H−アジリン)、アゼト(アザシクロブタジエン)、アゾール(1H−ピロール、2H−ピロール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾール)、ピリジン、アゼピン(アザトロピリデン)、イミダゾリン、ピラジン、トリアジン(1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン)等が挙げられ、また、窒素系複素環(窒素系へテロ環)が複数結合したポルフィリン、コリン、フタロシアニン等も挙げられる。
さらに窒素系複素環(窒素系へテロ環)同士や芳香環炭化水素化合物(ベンゼン環やナフタレン環等)と縮合したものでもよく、例えばベンゾトリアゾール、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール等も挙げられる。
また窒素以外の他の元素を含んでいてもよく、例えば、硫黄元素を含むチアゾール、イソチアゾール、チアジン等や、酸素元素を含むオキサゾール、イソオキサゾール、フラザン、モルホリン、3−ピラゾロン、5−ピラゾロン、ベンゾオキサゾール等も挙げられる。
さらに、これらの窒素系複素環にイソシアヌル酸等の別の窒素系複素環を付加した、窒素系複素環の付加化合物でもよい。
マイグレーション抑制剤は、これら窒素系複素環を1種もしくは複数組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、マイグレーション抑制剤が、構造内にさらに極性基を有し、且つ、その極性基が窒素系複素環とは別の部位に結合していると、耐久性がさらに向上するため好ましい。極性基が存在することでより金属系線状構造体の金属との作用が強くなり、さらにその極性基が窒素系複素環とは別の部位に結合していることで、金属と作用しやすくなると推定している。
極性基としては例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、アミノ基、4級アンモニウム塩基、スルホン酸基、シアノ基、またこれら極性基の一部がNa、K等のカウンターカチオンを有した状態(例えば、−ONa、−COONa、−SONaなど)が挙げられ、これらを1種または2種以上有していてもよく、特にこれらに限定されるものではない。これらの極性基のうち、耐久性が向上しやすいヒドロキシル基を好ましく使用することができる。
本発明においては、マイグレーション抑制剤がマトリックスの高分子と結合を有すると、マイグレーション抑制剤がブリードアウトするなどの劣化が生じず、耐久性がさらに向上するため好ましい。
マイグレーション抑制剤がマトリックスの高分子と結合を有する方法としては、例えば、前記極性基のほかにマトリックスの高分子と反応により結合を形成するような官能基を構造内に有するマイグレーション抑制剤を選定したり、架橋剤等でマトリックスの高分子と結合させたりすることもできる。
これらマイグレーション抑制剤は、具体的に市販されているものとしては例えば、2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン(四国化成工業(株)製、商品名:キュアゾール VT)、2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン イソシアヌル酸付加物塩(四国化成工業(株)製、商品名:キュアゾール VT−OK)、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−1,3,5−トリアジン(四国化成工業(株)製、商品名:キュアゾール MAVT)、2−[2−ヒドロキシ−4−(ヘキシルオキシ)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(チバ・ジャパン(株)製、商品名:TINUVIN 1577)、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン((株)ソート製、商品名:SB−UVA 6164)、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン((株)ソート製、商品名:SB−UVA 6577)、2−[2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(BASF社製、商品名:Tinuvin 405)、2−[4−[2−ヒドロキシ−3−(ドデシルオキシ)プロピルオキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(BASF社製、商品名:Tinuvin 400)、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)) −1,3,5−トリアジン(BASF社製、商品名:Tinuvin 460)、N’−tert−プチル−N−シクロプロピル−6−(メチルチオ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(BASF社製、商品名:IRGAGURD D 1071)、1,2,3−ベンゾトリアゾール(城北化学工業(株)製、商品名:BT−120)、1,2,3−ベンゾトリアゾールナトリウム塩水溶液(城北化学工業(株)製、商品名:JCL−400)、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール(ケミプロ化成(株)製、商品名:5MBT)、カルボキシベンゾトリアゾール(城北化学工業(株)製、商品名:CBT−1)、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール(城北化学工業(株)製、商品名:BT−LX)、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール(城北化学工業(株)製、商品名:TT−LX)、2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノール(城北化学工業(株)製、商品名:TT−LYX)、6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−tert−オクチル−6’−tert−ブチル−4’−メチル−2,2’−メチレンビスフェノール(城北化学工業(株)製、商品名:JAST−500)、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製、商品名:Tinuvin P)、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α, α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール(BASF社製、商品名:Tinuvin 234)、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製、商品名:Tinuvin 326)、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(BASF社製、商品名:Tinuvin 328)、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製、商品名:Tinuvin 329)、2−(3−ドデシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製、商品名:Tinuvin 571)、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール((株)ソート製、商品名:EVERSORB 70)、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール((株)ソート製、商品名:EVERSORB 75)、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール](城北化学工業(株)製、商品名:JF−832)、2−(3−sec−ブチル−5−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(東京化成工業(株)製)、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−ベンゾトリアゾール(BASF社製、商品名:Tinuvin PS)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(BASF社製、商品名:Tinuvin 928)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、商品名:RUVA−93)、2,5−ビス[5−tert−ブチルベンゾオキザゾリル(2)]チオフェン(BASF社製、商品名:UVITEX OB)が挙げられる。
[マトリックス]
本発明における導電層には、前記導電成分とマイグレーション抑制剤とを高分子からなるマトリックス中に含むことが好ましい。高分子からなるマトリックスを適用することで、マイグレーションの原因と推定される水が導電層内に浸入するのを遮断し、耐久性の良好な導電積積層体になるものと推定している。
マトリックスの成分としては、有機または無機系の高分子などが挙げられる。
無機系高分子としては、無機系の酸化物等が挙げられ、例えば、珪素酸化物である、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、メチルトリアセチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシランなどのオルガノアルコシシランのアルコール、水、酸などから、加水分解・重合反応によって形成させるゾル−ゲルコーティング膜、珪素酸化物のスパッタ蒸着膜などが使用できる。
有機系高分子としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられ、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ナイロンやベンゾグアナミン等のポリアミド系樹脂、ABS樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素元素(Cl元素)を含有する樹脂、フッ素元素(F元素)を含有する樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系樹脂、等の有機系の高分子化合物が挙げられるが、これらを要求する特性や生産性等を踏まえ少なくとも1種を選択し、また、これらを2種以上混合してもよいが、好ましくは、重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を2個以上有する化合物が重合反応した構造を含む高分子から構成されるものであることが好ましい。
かかる高分子は、重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマーからなる組成物を、該炭素−炭素二重結合基内の炭素−炭素二重結合を反応点として重合反応することで炭素−炭素単結合を形成して得ることができる。
炭素−炭素二重結合基を含む官能基としては、例えば、イソプロペニル基、イソペンテニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アリリデン基、アリリジン基、ビニルエーテル基や、炭素−炭素二重結合基の炭素にフッ素や塩素等のハロゲン元素が結合したもの(例えば、フッ化ビニル基、フッ化ビニリデン基、塩化ビニル基、塩化ビニリデン基等)や、炭素−炭素二重結合基の炭素にフェニル基やナフチル基等の芳香環を有する置換基が結合したもの(例えばスチリル基等)や、ブタジエニル基(例えば、CH=C(R1)−C(R2)=CH−、CH=C(R1)−C(=CH)−(R1、R2はHまたはCH))のように共役ポリエン構造を有する基、等が挙げられる。これらから要求する特性や生産性等を考慮して、1種または2種以上混合して使用すればよい。
重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を2個以上有する化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールエトキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシトリメタクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリメタクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパントリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、グリセリンプロポキシトリメタクリレートや、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の環状骨格を分子内に有する化合物(例えば、トリアクリレート・トリメタクリレート・テトラアクリレート・テトラメタクリレート・ペンタアクリレート・ペンタメタクリレート・ヘキサアクリレート・ヘキサメタクリレート等)や、これら化合物の一部を変性した化合物(例えば2−ヒドロキシプロパン酸等で変性した2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールトリメタクリレート、2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、また、シリコーン骨格を導入したシリコーントリアクリレート、シリコーントリメタクリレート、シリコーンテトラアクリレート、シリコーンテトラメタクリレート、シリコーンペンタアクリレート、シリコーンペンタメタクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、シリコーンヘキサメタクリレート等)や、骨格内にビニル基および/またはビニリデン基と共にその他骨格を有する化合物(例えば、ウレタン骨格を有するウレタントリアクリレート、ウレタントリメタクリレート、ウレタンテトラアクリレート、ウレタンテトラメタクリレート、ウレタンペンタアクリレート、ウレタンペンタメタクリレート、ウレタンヘキサアクリレート、ウレタンヘキサメタクリレート、エーテル骨格を有するポリエーテルトリアクリレート、ポリエーテルトリメタクリレート、ポリエーテルテトラアクリレート、ポリエーテルテトラメタクリレート、ポリエーテルペンタアクリレート、ポリエーテルペンタメタクリレート、ポリエーテルヘキサアクリレート、ポリエーテルヘキサメタクリレート、エポキシ由来の骨格を有するエポキシトリアクリレート、エポキシトリメタクリレート、エポキシテトラアクリレート、エポキシテトラメタクリレート、エポキシペンタアクリレート、エポキシペンタメタクリレート、エポキシヘキサアクリレート、エポキシヘキサメタクリレート、エステル骨格を有するポリエステルトリアクリレート、ポリエステルトリメタクリレート、ポリエステルテトラアクリレート、ポリエステルテトラメタクリレート、ポリエステルペンタアクリレート、ポリエステルペンタメタクリレート、ポリエステルヘキサアクリレート、ポリエステルヘキサメタクリレート等)が挙げられる。
用途や要求する特性や生産性等を考慮して、これらを単体で重合したものもしくは単体で重合したものを2種以上混合した組成物、または2種以上が共重合した2量体以上のオリゴマーから形成される組成物を使用することができるが、特にこれらに限定されるものではない。
これらの化合物は、具体的に市販されているものとして例えば、共栄社化学(株)製のライトアクリレートシリーズ、ライトエステルシリーズ、エポキシエステルシリーズ、ウレタンアクリレートAHシリーズ、ウレタンアクリレートATシリーズ、ウレタンアクリレートUAシリーズ、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ、PETIA、TMPTA、TMPEOTA、OTA 480、DPHA、PETA−K、綜研化学(株)製のフルキュアシリーズ、東洋インキ(株)製の“LIODURAS”(リオデュラス)(登録商標)シリーズ、中国塗料(株)製のフォルシードシリーズ、マツイカガク(株)製のEXPシリーズ、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYL1360、信越化学工業(株)製のX−12−2456シリーズ等が挙げられる。
本発明において、高分子からなるマトリックスが架橋構造を有することで水の導電層内への浸入をより遮断しやすくなり、架橋構造の無いマトリックスよりもさらに耐久性の良好な導電積積層体となりやすくなるため、好ましい。その例としては、前記無機系高分子ではテトラアルコシシラン類、また、前記有機系高分子としては、炭素−炭素二重結合基を3個以上有する化合物が重合反応した構造を含む架橋高分子が挙げられる。
かかる有機系高分子は、炭素−炭素二重結合を含む官能基を3個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマーからなる群より選ばれる1種以上を含む組成物を原料とし、炭素−炭素二重結合を反応点として重合反応することで得ることができ、例えば、前記4官能のテトラアクリレート、テトラメタクリレート、5官能のペンタアクリレート、ペンタメタクリレート、6官能のヘキサアクリレート、ヘキサメタクリレート等が挙げられ、さらに7官能以上のものでもよい。
[無機粒子]
本発明においては、導電層内にさらに無機粒子を含むことが好ましい。導電層内に無機粒子を含むことで、よりマイグレーションの抑制効果が得られるので、さらに耐久性の良好な導電積層体とすることができる。
本発明における無機粒子に用いられる無機物質は、無機の元素を粒子中に含有する物質であり、例えば、金、白金、銀、ニッケル、銅、カルシウム、アルミニウム、チタン、ガリウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、マンガン、アンチモン、パラジウム、ビスマス、テクネチウム、レニウム、鉄、オスミウム、コバルト、亜鉛、スカンジウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、テルル、錫、マグネシウムなどの酸化物、窒化物、フッ化物、水酸化物、リン酸系誘導体の塩、無機アンモニウム塩、無機炭酸塩、無機硫酸塩等が挙げられる。
また、無機粒子として前記金属を含む合金(ステンレス鋼、黄銅、等)からなる粒子も挙げることができる。
これらの具体的な例としては、InO、SnO、ZnO、SiO、ZrO、TiO、CeO、MgO、SiO、Al、Sb、Sb、FeO、Fe、CoO、Co、Co、CrO、Cr、CrO、CrO、等の無機酸化物、CaCO、MgCO、ZnCO等の無機炭酸塩、MgSO、NaSO、CuSO、CaSO、BaSO、ZnSO等の無機硫酸塩、LiF、CaF等の無機フッ化物、Al(OH)、Mg(OH)、Ba(OH)、Ca(OH)、カルシウム・アルミネート水和物等の無機水酸化物、ホスホン酸アルミニウム、ホスフィン酸アルミニウム、ジホスフィン酸アルミニウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスフィン酸マグネシウム、ジホスフィン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、ホスフィン酸カルシウム、ジホスフィン酸カルシウム、等の無機リン酸系誘導体の塩、またさらには、これらの無機複合体(InOSn、SnO−Sb、SnO−V、TiO(Sn/Sb)O、SiO(Sn/Sb)O、KO−nTiO−(Sn/Sb)O、KO−nTiO−C、MgSi10(OH)、AlSi(OH)、マイカ、雲母チタン、リン酸カルシウムを主成分としたハイドロキシアパタイト等)が挙げられる。
またこれらの無機粒子は表面処理を施されていてもよい。これらの無機粒子を1種もしくは複数組み合わせて用いてもよい。本発明においては無機酸化物の粒子を用いることが好ましい。
本発明においては、導電層内に含む無機粒子の平均径aが金属系線状構造体の平均径r未満であると、耐久性が改善するとともに光学特性も良好な導電積層体となるため、好ましい。
ここで無機粒子の平均径aとは、短径の数ベースでの分布曲線から得た最頻値と定義する。また短径とは個々の無機粒子毎に顕微鏡により撮影した画像上で認識できる最も短い直径とする。
かかるデータを採るための方法としては、[ネットワーク構造を有する金属系線状構造体]に記載の金属系線状構造体の平均径rと同様の方法にて画像を取得して求めるものとする。この際、金属系線状構造体の断面の径を無機粒子の短径と読み替えるものとする。
無機粒子の平均径aの好ましい範囲は、金属系線状構造体の種類や平均径r、また、無機物質の種類にも依存するため一義的に限定することはできないが、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、最も好ましくは30nm以下である。
無機粒子の平均径aの下限値は特には限定されないが、1nm未満であると粒子の凝集が強くなり導電層内に均一に存在させることが困難になり、耐久性の向上効果が小さい場合がある。
[基材]
本発明の導電積層体における基材として、具体的には例えば透明な樹脂、ガラスなどを挙げることができる。
樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系・メタクリル系樹脂、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、ABS、ポリ酢酸ビニル、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素元素(Cl元素)を含有する樹脂、フッ素元素(F元素)を含有する樹脂、シリコーン系樹脂およびこれら樹脂の混合および/または共重合したものが挙げられ、ガラスとしては、通常のソーダガラスを用いることができる。
また、これらの複数の基材を組み合わせて用いることもできる。例えば、樹脂とガラスを組み合わせた基材、2種以上の樹脂を積層した基材などの複合基材であってもよい。
基材の形状については、厚み250μm以下で巻き取り可能なフィルムであっても、厚み250μmを超える基板であってもよい。
コスト、生産性、取り扱い性等の観点からは250μm以下の樹脂フィルムが好ましく、より好ましくは190μm以下、さらに好ましくは150nm以下、特に好ましくは100μm以下の樹脂フィルムである。
基材として樹脂フィルムを用いる場合、樹脂を未延伸、一軸延伸、二軸延伸してフィルムとしたものを適用することができる。
これら樹脂フィルムのうち、基材への成形性、透明性等の光学特性、生産性等の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、またPENとの混合および/または共重合したPETフィルム、ポリプロピレンフィルムを好ましく使用することができる。
[導電積層体の製造方法]
本発明の導電積層体を製造する方法は、特には限定されず、(i)基材上に金属系線状構造体とマイグレーション抑制剤とマトリックスを形成する原料とを混合したものを積層して導電層を形成してもよく、また、(ii)予め金属系線状構造体からなるネットワーク構造のみを基材上に形成した後にマイグレーション抑制剤とマトリックスを形成する原料との混合物を含浸することで導電層を形成してもよい。
上記(i)において基材上に金属系線状構造体とマイグレーション抑制剤とマトリックスを形成する原料とを混合したものを積層する方法、(ii)において、(ii−1)金属系線状構造体からなるネットワーク構造のみを基材上に形成するための方法、および、(ii−2)その後マイグレーション抑制剤とマトリックスを形成する原料との混合物を含浸するための方法、に適用される塗布方法としては、前記各材料を含む分散液を調製し、キャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、スクリーン印刷、鋳型塗布、印刷転写、インクジェットなどのウエットコート法等、の一般的な方法で塗布して形成する方法を挙げることができる。
これらの塗布方法のなかでも、上記各方法において分散液を均一に塗布できかつ基材への傷が入りにくいスリットダイコート、もしくは導電層を均一にかつ生産性良く形成できるマイクログラビアを使用したウエットコート法が好ましい。
本発明における導電層のマトリックスは、前述のマトリックスの成分を含む原料を反応させて形成する(以降、マトリックスの成分を含む原料を反応させてマトリックスを形成することを「マトリックスを硬化する」と記す)。
マトリックスを硬化する方法として、加熱による硬化(以降、「加熱硬化」と記す)や、紫外光、可視光、電子線等の照射による硬化(以降、「光硬化」と記す)が挙げられる。
光硬化の場合は、後述するような光硬化の開始剤(以降、「光重合開始剤」と記す)を含有させ、そこに紫外領域の光、可視領域の光、電子線等を照射することで系全体に同時に活性種を発生させることができるため、硬化開始に要する時間を短縮でき、さらに硬化時間も短縮できることから光硬化がより好ましい。
ここで、光重合開始剤とは、紫外領域の光、可視領域の光、電子線等を吸収し、反応を開始させる活性種であるラジカル種、カチオン種、アニオン種等の活性種を生成し、化学反応を開始させる物質である。
使用可能な光重合開始剤としては例えば、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などのα−ヒドロキシケトン系やα−アミノケトン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、メチルフェニルグリオキシレートなどが挙げられ、極大吸収波長の値、吸光度、色見、着色度合い等の観点から、これら光重合開始剤のうち1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
かかる光重合開始剤は、市販品としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとしてIRGACURE184(BASF社製)、2−メチル1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オンとしてIRGACURE907(BASF社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1としてIRGACURE369(BASF社製)等が挙げられ、これらをマトリックスの種類や性質によって1種のみまたは吸収波長領域の異なる2種以上を含有させることができる。また、前記紫外領域の光、可視領域の光、電子線等の照射量を調整させたり、さらには前記紫外領域の光、可視領域の光、電子線等を照射するにあたり、窒素やアルゴン等の不活性ガスにて置換した雰囲気下や酸素脱気した雰囲気下等の酸素濃度を低くした特定の雰囲気下とさせたりする方法も有効であり、これらを適宜組み合わせることで本発明の導電積層体を得ることができる。
本発明にかかる導電積層体は、前記導電層側から入射した際のJIS K7361−1(1997年)に基づいた全光線透過率が80%以上である透明導電積層体であることが好ましい。
本発明の導電積層体を用いてなる表示体を組み込んだタッチパネルは、優れた透明性を示し、この表示体を用いたタッチパネルの下層に設けたディスプレイの表示を鮮やかに認識することができる。
本発明における透明性とは、前記導電層側から入射した際のJIS K7361−1(1997年)に基づいた全光線透過率が80%以上であることを意味し、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。
また、本発明においては、基材に対し導電層側(本発明では導電層が積層されている側)とは反対の面に、耐摩耗性、高表面硬度、耐溶剤性、耐汚染性等を付与したハードコート処理、さらには本発明の導電層が施されていてもよい(すなわち基材の両面が導電層となる)。
本発明の導電積層体は、その導電層側の表面抵抗値が、1×10Ω/□以上、1×10Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは1×10Ω/□以上、1.5×10Ω/□以下である。
表面抵抗値がこの範囲にあることで、タッチパネル用の導電積層体として好ましく用いることができる。すなわち、1×10Ω/□以上であれば消費電力を少なくすることができ、1×10Ω/□以下であれば、タッチパネルの座標読みとりにおける誤差の影響を小さくすることができる。
本発明において用いる基材および/または導電層には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、有機の微粒子、架橋剤、難燃剤、難燃助剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、レベリング剤、滑り賦活剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、核剤、染料、充填剤、分散剤およびカップリング剤などを用いることができる。
本発明の導電積層体は、導電層に所望のパターンをマスクした後、エッチングすることにより、非マスク部の線状金属構造体を切断することで、非導電領域を形成することができる。このようにすることで導電層に導電領域と非導電領域とを形成し、パターン化導電積層体を製造することができる。
本発明の導電積層体および/またはパターン化導電積層体は、表示体に好ましく用いることができ、中でも、タッチパネルおよび電子ペーパーに好ましく使用することができる。
その中で、タッチパネルの一例を示した断面模式図を図3に示す。タッチパネルは、金属系線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電層を積層した本発明の導電積層体(たとえば、図1)を単独または複数枚、さらには他の部材と組み合わせて搭載したものであり、その例として抵抗膜式タッチパネルや静電容量式タッチパネル等が挙げられる。
本発明の導電積層体の導電層は、図2で符号4、5、6、7に示すような金属系線状構造体(の何れかあるいは複数)を含み、符号9、10、11に示すような接点(の何れかあるいは複数)を有するネットワーク構造を形成している。
本発明の導電積層体を搭載してなるタッチパネルは、たとえば図3に示すように導電積層体13を、接着剤や粘着剤等の接合層16によって接合して積層したものであり、さらに、タッチパネルの画面側の基材17、タッチパネルの画面側の基材に積層したハードコート層18が設けられる。かかるタッチパネルは、例えば、リード線と駆動ユニット等を取り付け、液晶ディスプレイの前面に組み込んで用いられる。
以下、本発明を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
まず、各実施例および比較例における評価方法を説明する。
(1)導電成分の形態
絶縁抵抗計(三和電気計器(株)製、DG6)を用いて、サンプルの各面に探針を当て、通電の有無からサンプルの導電面を特定した。
次いでサンプルの導電領域(A)および非導電領域(B)の各々の表面を、走査透過電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 日立走査透過電子顕微鏡HD−2700)または電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kV、観察倍率と画像のコントラストを適宜調節して各倍率にて観察した。
前記方法にて観察が困難な場合は、次いでカラー3D レーザー顕微鏡((株)キーエンス製 VK−9700/9710)、観察アプリケーション((株)キーエンス製 VK−H1V1)、形状解析アプリケーション((株)キーエンス製 VK−H1A1)を用いて、付属の標準対物レンズ10X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan 10X)、20X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan 20X)、50X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan Apo 50X)、150X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan Apo 150X)にて各倍率で導電側の同位置を表面観察し、その画像データから画像解析した。
(2)導電成分、マイグレーション抑制剤、無機粒子の同定
サンプルから導電層を剥離し、導電層が溶解する溶剤に溶解させた。その後必要に応じ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、液体高速クロマトグラフィー等に代表される一般的なクロマトグラフィー等を適用し、それぞれ単一物質に分離精製して、以下の定性分析に供した。
さらに、導電成分を適宜濃縮および希釈を行い、サンプルを調製した。次いで、以下の評価方法を用いサンプル中に含まれる成分を特定した。
分析手法は、以下の分析の手法を組み合わせて行い、より少ない組み合わせで測定できるものを優先して適用した。
核磁気共鳴分光法(H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、19F−NMR)、二次元核磁気共鳴分光法(2D−NMR)、赤外分光光度法(IR)、ラマン分光法、各種質量分析法(ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)、熱分解ガスクロマトグラフィー−質量分析法(熱分解GC−MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、飛行時間型質量分析法(TOF−MS)、飛行時間型マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−TOF−MS)、ダイナミック二次イオン質量分析法(Dynamic−SIMS)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)、その他スタティック二次イオン質量分析法(Static−SIMS)等)、X線回折法(XRD)、中性子回折法(ND)、低速電子線回折法(LEED)、高速反射電子線回折法(RHEED)、原子吸光分析法(AAS)、紫外光電子分光法(UPS)、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)、蛍光X線元素分析法(XRF)、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−AES)、電子線マイクロアナリシス法(EPMA)、荷電粒子励起X線分光法(PIXE)、低エネルギーイオン散乱分光法(RBSまたはLEIS)、中エネルギーイオン散乱分光法(MEIS)、高エネルギーイオン散乱分光法(ISSまたはHEIS)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、透過電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(TEM−EDX)、走査電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(SEM−EDX)、ガスクロマトグラフィー(GC)その他元素分析。
(3)表面抵抗値R
導電積層体の導電層側の表面抵抗値を、非接触式抵抗率計(ナプソン(株)製 NC−10)を用い、渦電流方式で100mm×50mmのサンプルの中央部分を測定した。5サンプルについて平均値を算出し、これを表面抵抗値R[Ω/□]とした。検出限界を超えて表面抵抗値が得られなかった場合は、次いで以下の方法にて測定した。
高抵抗率計(三菱化学(株)製 Hiresta−UP MCP−HT450)を用い、リングタイププローブ(三菱化学(株)製 URSプローブ MCP−HTP14)を接続して二重リング方式で100mm×100mmのサンプルの中央部分を測定した。5サンプルについて平均値を算出し、これを表面抵抗値R[Ω/□]とした。
(4)全光線透過率、ヘイズ
濁度計(曇り度計)NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いてJIS K7361−1(1997年)に基づいて、導電積層体厚み方向の全光線透過率、ヘイズを導電層側から光を入射させて測定した。5サンプルについて測定し、5サンプルの平均値を算出し、これを各水準の全光線透過率、ヘイズとした。本測定に当たっては、小数点2桁目を四捨五入して値を求めた。
(5)耐久性評価用のパターン
各実施例および比較例にて使用した評価用のパターンは、図5に示すように、櫛の歯の部分が、噛み合うように対向して配置されたものである。図5において、白の地が非導電領域、黒の塗りつぶし領域が導電領域を表している。陽極側、陰極側にそれぞれ10本の配線幅500μm、長さ20mmの直線状の導電領域が櫛の歯のように配置されている。そして陽極側、陰極側の櫛の歯は対向する各櫛の歯の間のスペースが200μm、配線の重なり長15mmとなるように向かい合って配置されている。
(6)耐久性評価用サンプル作製方法
各実施例および比較例の導電積層体の導電層側にドライフィルムレジスト(旭化成イーマテリアルズ(株)製サンフォートSPG−152)をロール温度100℃で熱ラミネートし、フォトマスクを介して露光量200mJの条件でUV露光し、前記(5)に記載の耐久性評価用のパターン形状に感光させた。次に25℃の0.7質量%炭酸ナトリウム水溶液で現像しパターン形成用のマスキングを行った。次いで36質量%塩酸:60質量%硝酸:水を20:3:17の質量比率で配合したエッチング液を45℃に加熱し、1〜5分間サンプルを浸漬させてエッチング処理を行った。次に3.0質量%水酸化ナトリウム水溶液を50℃に加熱し、2分間サンプルを浸漬させてパターン形成用のマスクを剥離した。作製したサンプルの端子への配線はそれぞれに銀ペースト(DW−117H−41東洋紡績(株)製)を塗布し、熱風オーブンで150℃、30分間硬化させて耐久性の評価用に使用する電極とした。
(7)耐久性評価用モジュール作製方法
耐久性の評価に使用する評価用モジュールは、図6に示すように、青板ガラス27、前記(6)により作製した耐久性評価用フィルムサンプル28、ハードコート層付きフィルム29がそれぞれ透明粘着剤35を介して積層された構造で、さらに電気試験用のリード線30が備え付けられた状態で積層体の端部がエポキシ樹脂31で封止されたものである。
以下に評価用モジュールの作製方法について記載する。
まず、前記(6)により作製した耐久性評価用フィルムサンプルの基材の導電層を設けていない側とハードコート層(中国塗料(株)製フォルシード423C)が片面に形成された厚み188μmの光学PETフィルムのPETフィルム側を透明粘着剤(日東電工(株)製LUCIACS CS9621T)で貼り合わせた。次いで、評価用サンプルの導電層側と厚み1.75mmの青板ガラスを透明粘着剤(日東電工(株)製LUCIACS CS9621T)で貼り合わせた。次に、積層したサンプルおよびハードコート付きフィルムの端部に2液硬化型エポキシ樹脂(主剤:チバスペシャルティケミカルズ(株)製XNR3101、硬化剤:同社製XNH3101)を塗布し、80℃の熱風オーブンで30分間硬化させた。このとき、耐久性評価用サンプルの電極にリード線を取り付け、同時に固定させた。
(8)耐久性の評価
(8−1)評価法1
恒温恒湿槽(TABAI ESPEC EHS221MD)で槽内温湿度を60℃90%RH条件にし、信頼性評価システム(TABAI ESPEC AEI−020−P)を使用して評価用モジュールに電圧5Vを印加し、100時間の抵抗値を5分間隔で測定した。測定した抵抗値が2.00×1012Ωに達した時点で導通不良と判断し、それまでの試験時間を導通不良発生時間とした。また、抵抗値が1.00×10Ωに達した時点でショートと判断し、それまでの試験時間をショート発生時間とした。この試験において導通不良発生時間とショート発生時間の何れもが100時間以上である場合良好とし、100時間未満の場合を不良とした。
(8−2)評価法2
評価法1と同様にして、評価用モジュールについて200時間の抵抗値を5分間隔で測定し、良好もしくは不良の判断をした。この試験において導通不良発生時間とショート発生時間の何れもが200時間以上である場合良好とし、200時間未満の場合を不良とした。
尚、本評価法は評価法1よりも試験時間が長い条件であり、評価法1と比較してさらに厳しい評価条件である。
(8−3)評価法3
恒温恒湿槽(TABAI ESPEC EHS221MD)で槽内温湿度を85℃85%RH条件にし、信頼性評価システム(TABAI ESPEC AEI−020−P)を使用して評価用モジュールに電圧5Vを印加し、5時間の抵抗値を5分間隔で測定した。測定した抵抗値が2.00×1012Ωに達した時点で導通不良と判断し、それまでの試験時間を導通不良発生時間とした。また、抵抗値が1.00×10Ωに達した時点でショートと判断し、それまでの試験時間をショート発生時間とした。この試験において導通不良発生時間とショート発生時間の何れもが5時間以上である場合良好とし、5時間未満の場合を不良とした。
尚、本評価法は評価法1よりも促進された条件であり、評価法1および2と比較してさらに厳しい評価条件である。
(8−4)評価法4
評価法3と同様にして、評価用モジュールについて10時間の抵抗値を5分間隔で測定し、良好もしくは不良の判断をした。この試験において導通不良発生時間とショート発生時間の何れもが10時間以上である場合良好とし、10時間未満の場合を不良とした。
尚、本評価法は評価法2よりも促進され、且つ評価法3よりも試験時間が長い条件であり、評価法1〜3と比較してさらに厳しい評価条件である。
(8−5)評価法5
耐久性評価用サンプルについて、評価法1と同様にして評価した。良好もしくは不良の判断も評価法1と同様に行った。
尚、本評価法は、耐久性評価用モジュールで行った評価法1〜4よりも、さらに厳しい評価条件である。
(8−6)評価法6
耐久性評価用サンプルについて、評価法2と同様にして評価した。良好もしくは不良の判断も評価法2と同様に行った。
尚、本評価法は、耐久性評価用モジュールで行った評価法1〜4よりも厳しい評価条件であり、さらに評価法5よりも試験時間が長い条件である。したがって評価法1〜5と比較してさらに厳しい評価条件である。
(8−7)評価法7
耐久性評価用サンプルについて、評価法3と同様にして評価した。良好もしくは不良の判断も評価法3と同様に行った。
尚、本評価法は、耐久性評価用モジュールで行った評価法1〜4よりも厳しい評価条件であり、さらに評価法6よりも促進された条件である。したがって評価法1〜6と比較してさらに厳しい評価条件である。
(8−8)評価法8
耐久性評価用サンプルについて、評価法4と同様にして評価した。良好もしくは不良の判断も評価法4と同様に行った。
尚、本評価法は、耐久性評価用モジュールで行った評価法1〜4よりも厳しい評価条件であり、さらに評価法6よりも促進され、且つ評価法7よりも試験時間が長い条件である。したがって評価法1〜7と比較してさらに厳しい評価条件であり、本発明における最も過酷な評価条件である。
(8−9)判定方法
合格1:評価法1のみで良好となり、評価法2〜8では不良となったもの。合格となったものの中では耐久性が最も劣ることを意味する。
合格2:評価法1および2で良好となり、評価法3〜8では不良となったもの。
合格3:評価法1〜3の全てで良好となり、評価法4〜8では不良となったもの。
合格4:評価法1〜4の全てで良好となり、評価法5〜8では不良となったもの。
合格5:評価法1〜5の全てで良好となり、評価法6〜8では不良となったもの。
合格6:評価法1〜6の全てで良好となり、評価法7および8では不良となったもの。
合格7:評価法1〜7の全てで良好となり、評価法8のみで不良となったもの。
合格8:評価法1〜8の全てで良好となったもの。最も耐久性が高いことを意味する。
不合格:評価法1〜8の全てで不良となったもの。耐久性がないことを意味する。
[材料]
<基材>
厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商品名:“ルミラー”(登録商標)U48)を使用した。
<金属系線状構造体>
(1)金属系線状構造体A「銀ナノワイヤー」
銀ナノワイヤー(短軸:50〜100nm、長軸:20〜40μm)
(2)金属系線状構造体B「銅ナノワイヤー」
特開2002−266007号公報の製造例1、実施例2に記載の方法にて得た銅ナノワイヤー(短軸:10〜20nm、長軸:1〜100μm)。
<マトリックス>
(1)マトリックス材料A
アクリロイル基として重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を3個以上有する化合物を含有するアクリル系組成物(綜研化学(株)製、商品名:フルキュアHC−6、固形分濃度51質量%)。硬化物は、架橋構造を有する。
(2)マトリックス材料B
下記のように重合して得たメタクリル系重合体(固形分濃度100質量%)
メタクリロイル基として重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を1個有する化合物とMethyl Methacrylate(別名メタクリル酸メチル、2−メチル−2−プロペン酸メチル、略名MMA)の混合物に、開始剤として2,2’−Azobis(2−methylpropionitrile)(別名α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、略名AIBN)を使用して、脱気後55℃72時間加熱し、Poly(methyl methacrylate)(略名PMMA)を得た。硬化物は、架橋構造ではない。
(3)光重合開始剤A
極大吸収波長300nmの光重合開始剤(BASF社製、商品名:IRGACURE907)。
(4)光重合開始剤B
極大吸収波長320nmの光重合開始剤(BASF社製、商品名:IRGACURE369)。
<添加剤>
(1)添加剤A(マイグレーション抑制剤)
・1,2,3−ベンゾトリアゾール(城北化学工業(株)製、商品名:BT−120)
・窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有する。
・極性基を有さない。
・マトリックスの高分子と結合しない。
(2)添加剤B(マイグレーション抑制剤)
・5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール(ケミプロ化成(株)製、商品名:5MBT)
・窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有する。
・極性基を有さず、非極性基を有する。
・マトリックスの高分子と結合しない。
(3)添加剤C(マイグレーション抑制剤)
・1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(ナカライテスク(株)、商品名:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)。
・窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有する。
・極性基としてヒドロキシル基を有し、窒素系複素環(窒素系へテロ環)に結合している。
・マトリックスの高分子と結合しない。
(4)添加剤D(マイグレーション抑制剤)
・1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール(日本合成化学工業(株)製、商品名:1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール)。
・窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有する。
・極性基としてアミノ基を有し、窒素系複素環とは別の部位に結合している。
・マトリックスの高分子と結合しない。
(5)添加剤E(マイグレーション抑制剤)
・2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製、商品名:Tinuvin P)。
・窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有する。
・極性基としてヒドロキシル基を有し、窒素系複素環とは別の部位に結合している。
・マトリックスの高分子と結合しない。
(6)添加剤F(マイグレーション抑制剤)
・2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−1,3,5−トリアジン(四国化成工業(株)製、商品名:キュアゾール MAVT)。
・窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有する。
・極性基としてアミノ基を有し、窒素系複素環(窒素系へテロ環)に結合している。
・マトリックスの高分子と結合する。
(7)添加剤G(マイグレーション抑制剤)
・2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、商品名:RUVA−93)。
・窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有する。
・極性基としてヒドロキシル基を有し、窒素系複素環とは別の部位に結合している。
・マトリックスの高分子と結合する。
(8)添加剤H(非マイグレーション抑制剤)
・テトラヒドロフルフリルアクリレート(共栄社化学(株)製、ライトアクリレート THF−A)。
・窒素系複素環(窒素系へテロ環)ではなく、酸素系複素環(酸素系へテロ環)を有する。
・極性基を有さない。
・マトリックスの高分子と結合する。
(9)添加剤I(非マイグレーション抑制剤)
・ジメチルアミノエチルアクリレート(東亜合成(株)製、アロンDA)
・窒素系複素環(窒素系へテロ環)は有さず、極性基として窒素系官能基(非複素環(非へテロ環))のみを有する。
・マトリックスの高分子と結合する。
<無機粒子>
(1)無機粒子A
ケイ素の酸化物であるSiO粒子を含有する分散液(扶桑化学工業(株)製 PL−13−MEK、固形分濃度24質量%、平均粒子径130nm)。
(2)無機粒子B
ケイ素の酸化物であるSiO粒子を含有する分散液(扶桑化学工業(株)製 PL−2L−MEK、固形分濃度20質量%、平均粒子径16nm)。
(実施例1)
金属系線状構造体Aを含む水分散液として、銀ナノワイヤー分散液(米国Cambrios社製CleraOhm Ink−A AQ)を用意した。この銀ナノワイヤー分散液を、銀ナノワイヤーの濃度が0.054質量%となるように希釈して銀ナノワイヤー分散塗液を調製した。この銀ナノワイヤー分散塗液を、材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して基材の片面に塗布し、120℃で2分間乾燥し導電成分を積層形成した。
次いで、マトリックス材料B22.0g、酢酸エチル1934.7gを混合、撹拌した。次いで、マトリックスの固形成分に対し5質量%となるように添加剤Aを混合し、再度攪拌しマトリックス組成物を調製した。
次いで、マトリックス組成物を、導電成分を積層した側に、材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布、120℃で2分間乾燥し、マトリックス部分の厚みが120nmである導電層を形成し導電積層体を得た。
この導電層は、窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有するマイグレーション抑制剤が、非架橋構造のマトリックスに結合しない状態で含まれる導電層である。
導電積層体の耐久性は、評価法1における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加100時間で導通不良が発生せず、良好となり、合格となった。
(実施例2)
実施例1と同様に導電成分を積層形成した。次いで、マトリックス材料A39.2g、光重合開始剤A0.24g、光重合開始剤B0.24g、酢酸エチル1781.0gを混合し、撹拌した。次いで、マトリックスの固形成分に対し5質量%となるように添加剤Aを混合し、再度攪拌しマトリックス組成物を調製した。
次いで、マトリックス組成物を、導電成分を積層した側に、材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布し、120℃で2分間乾燥後、紫外線を80mJ/cm照射し硬化させ、マトリックス部分の厚みが120nmである導電層を形成し導電積層体を得た。
この導電層は、窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有するマイグレーション抑制剤が、架橋構造のマトリックスに結合しない状態で含まれる導電層である。
導電積層体の耐久性は、評価法1における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加200時間で良好となり、合格となった。実施例1と比較して、マトリックスが架橋構造を有することで電圧印加時間が改善し、耐久性がさらに向上した。
(実施例3)
実施例1と同様に導電成分を積層形成した。次いで、使用する添加剤を添加剤Bとしたこと以外は実施例2と同様に導電層を積層し、導電積層体を得た。
この導電層は、窒素系複素環(窒素系へテロ環)および窒素系複素環(窒素系へテロ環)とは別の部位に結合した非極性基(メチル基)を有するマイグレーション抑制剤が、架橋構造のマトリックスに結合しない状態で含まれる導電層である。
導電積層体の耐久性は、評価法1における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加200時間で良好となり、合格となった。耐久性は合格となったが、実施例2と比較して、マイグレーション抑制剤が構造内に非極性基を有していても耐久性のさらなる向上は得られなかった。
(実施例4)
実施例1と同様に導電成分を積層形成した。次いで、使用する添加剤を添加剤Cとしたこと以外は実施例2と同様に導電層を積層し、導電積層体を得た。
この導電層は、窒素系複素環(窒素系へテロ環)および窒素系複素環(窒素系へテロ環)に結合した極性基(ヒドロキシル基)を有するマイグレーション抑制剤が、架橋構造のマトリックスに結合しない状態で含まれる導電層である。
導電積層体の耐久性は、評価法1における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加200時間で良好となり、合格となった。耐久性は合格となったが、実施例2と比較して、マイグレーション抑制剤が極性基を有していても窒素系複素環(窒素系へテロ環)に結合している場合、耐久性のさらなる向上は得られなかった。
(実施例5)
実施例1と同様に導電成分を積層形成した。次いで、使用する添加剤を添加剤Dとしたこと以外は実施例2と同様に導電層を積層し、導電積層体を得た。
この導電層は、窒素系複素環(窒素系へテロ環)および窒素系複素環(窒素系へテロ環)とは別の部位に結合した極性基(アミノ基)を有するマイグレーション抑制剤が、架橋構造のマトリックスに結合しない状態で含まれる導電層である。
導電積層体の耐久性は、評価法1における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加200時間、および、評価法2における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加5時間で良好となり、合格となった。実施例2〜4と比較して、マイグレーション抑制剤が極性基を有し、その極性基が窒素系複素環とは別の部位に結合している場合、評価条件厳しい評価法2の耐久性評価用モジュール評価においても良好となり、耐久性がさらに向上した。
(実施例6)
実施例1と同様に導電成分を積層形成した。次いで、使用する添加剤を添加剤Eとしたこと以外は実施例2と同様に導電層を積層し、導電積層体を得た。
この導電層は、窒素系複素環(窒素系へテロ環)および窒素系複素環(窒素系へテロ環)とは別の部位に結合した極性基(ヒドロキシル基)を有するマイグレーション抑制剤が、架橋構造のマトリックスに結合しない状態で含まれる導電層である。
導電積層体の耐久性は、評価法1における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加200時間、および、評価法2における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加10時間で良好となり、合格となった。実施例5と比較して、マイグレーション抑制剤の極性基がヒドロキシル基であり、そのヒドロキシル基が窒素系複素環とは別の部位に結合している場合、電圧印加時間が改善し、耐久性がさらに向上した。
(実施例7)
実施例1と同様に導電成分を積層形成した。次いで、使用する添加剤を添加剤Fとしたこと以外は実施例2と同様に導電層を積層し、導電積層体を得た。
この導電層は、窒素系複素環(窒素系へテロ環)および窒素系複素環(窒素系へテロ環)に結合した極性基(アミノ基)を有するマイグレーション抑制剤が、架橋構造のマトリックスに結合した状態で含まれる導電層である。
導電積層体の耐久性は、評価法1における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加200時間、および、評価法2における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加5時間で良好となり、合格となった。実施例4と比較して、極性基が窒素系複素環(窒素系へテロ環)に結合しているものの、マイグレーション抑制剤がマトリックスに結合した状態で導電層内に含まれることで、評価条件厳しい評価法2の耐久性評価用モジュール評価においても良好となり、耐久性がさらに向上した。
(実施例8)
実施例1と同様に導電成分を積層形成した。次いで、使用する添加剤を添加剤Gとしたこと以外は実施例2と同様に導電層を積層し、導電積層体を得た。
この導電層は、窒素系複素環(窒素系へテロ環)および窒素系複素環(窒素系へテロ環)とは別の部位に結合した極性基(ヒドロキシル基)とを有するマイグレーション抑制剤が、架橋構造のマトリックスに結合した状態で含まれる導電層である。
導電積層体の耐久性は、評価法1における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加200時間と耐久性評価用サンプル評価において電圧印加100時間、および、評価法2における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加10時間で良好となり、合格となった。実施例6と比較して、マイグレーション抑制剤の極性基がヒドロキシル基であり、そのヒドロキシル基が窒素系複素環とは別の部位に結合し、さらに、マイグレーション抑制剤がマトリックスに結合した状態で含まれることで、評価条件厳しい評価法2の耐久性評価用モジュール評価においても良好となるとともに、評価法1においては耐久性評価用モジュールだけでなく耐久性評価用サンプルにおいても良好となり、耐久性がさらに向上した。
(実施例9)
実施例1と同様に導電成分を積層形成した。次いで、マトリックス材料A39.2g、光重合開始剤A0.24g、光重合開始剤B0.24g、無機粒子A8.3g、酢酸エチル1950.5gを混合、撹拌した。次いで、マトリックスの固形成分に対し5質量%となるように添加剤Gを混合し、再度攪拌しマトリックス組成物を調製した。
次いで、マトリックス組成物を、導電成分を積層した側に、材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布し、120℃で2分間乾燥後、紫外線を80mJ/cm照射し硬化させ、マトリックス部分の厚みが120nmである導電層を形成し、導電積層体を得た。
この導電層は、窒素系複素環(窒素系へテロ環)および窒素系複素環(窒素系へテロ環)とは別の部位に結合した極性基(ヒドロキシル基)とを有するマイグレーション抑制剤が、架橋構造のマトリックスに結合した状態で含み、且つ、銀ナノワイヤーの平均径rに対して平均径aが大きい無機粒子を含む導電層である。
導電積層体の耐久性は、評価法1における耐久性評価用モジュール評価と耐久性評価用サンプルともに電圧印加200時間、および、評価法2における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加10時間で良好となり、合格となった。実施例8と比較して、導電層にマイグレーション抑制剤とともに無機粒子を含むことで、評価法1の耐久性評価用サンプルにおいて電圧印加時間が改善し耐久性がさらに向上した。
(実施例10)
実施例1と同様に導電成分を積層形成した。次いで、使用する無機粒子を無機粒子Bとしたこと以外は実施例9と同様に導電層を積層し導電積層体を得た。
この導電層は、窒素系複素環(窒素系へテロ環)および窒素系複素環(窒素系へテロ環)とは別の部位に結合した極性基(ヒドロキシル基)とを有するマイグレーション抑制剤が、架橋構造のマトリックスに結合した状態で含み、且つ、銀ナノワイヤーの平均径rに対して平均径aが小さい無機粒子(マトリックスの固形成分に対し10質量%含有)を含む導電層である。
導電積層体の耐久性は、評価法1における耐久性評価用モジュール評価と耐久性評価用サンプルともに電圧印加200時間、および、評価法2における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加10時間と耐久性評価用サンプル評価において電圧印加5時間で良好となり、合格となった。実施例9と比較して、銀ナノワイヤーの平均径rに対して平均径aが小さい無機粒子を含むことで、評価法2において耐久性評価用モジュールだけでなく耐久性評価用サンプルにおいても良好となり、耐久性がさらに向上した。
(実施例11)
実施例1と同様に導電成分を積層形成した。次いで、マトリックス材料A39.2g、光重合開始剤A0.24g、光重合開始剤B0.24g、無機粒子B20.0g、酢酸エチル2116.8gを混合し、撹拌した。次いで、マトリックスの固形成分に対し5質量%となるように添加剤Gを混合し、再度攪拌しマトリックス組成物を調製した。
次いで、マトリックス組成物を実施例9と同様に導電層を積層し導電積層体を得た。
この導電層は、窒素系複素環(窒素系へテロ環)および窒素系複素環(窒素系へテロ環)とは別の部位に結合した極性基(ヒドロキシル基)とを有するマイグレーション抑制剤が、架橋構造のマトリックスに結合した状態で含み、且つ、銀ナノワイヤーの平均径rに対して平均径aが小さい無機粒子(マトリックスの固形成分に対し20質量%含有)を含む導電層である。
導電積層体の耐久性は、評価法1における耐久性評価用モジュール評価と耐久性評価用サンプルともに電圧印加200時間、および、評価法2における耐久性評価用モジュール評価において電圧印加10時間と耐久性評価用サンプル評価において電圧印加10時間で良好となり、合格となった。実施例10と比較して、銀ナノワイヤーの平均径rに対して平均径aが小さい無機粒子の導電層内における含有量が増すことで、耐久性がさらに向上した。
(実施例12)
金属系線状構造体Bを用いた他は、実施例1と同様にして基材上に導電成分を積層形成した。
次いで、マトリックス材料Aマトリックス組成物を、マトリックス材料A39.2g、光重合開始剤A0.24g、光重合開始剤B0.24g、酢酸エチル2965.4gを混合し、撹拌した。次いで、マトリックスの固形成分に対し5質量%となるように添加剤Gを混合し、再度攪拌しマトリックス組成物を調製した。
次いで、マトリックス組成物を、導電成分を積層した側に、材質がsusのシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して塗布、120℃で2分間乾燥し、マトリックス部分の厚みが75nmである導電層を形成し、導電積層体を得た。
この導電層は、導電成分に銅ナノワイヤーを使用し、且つ、窒素系複素環(窒素系へテロ環)および窒素系複素環(窒素系へテロ環)とは別の部位に結合した極性基(ヒドロキシル基)とを有するマイグレーション抑制剤が、架橋構造のマトリックスに結合した状態で含まれる導電層である。
導電積層体の耐久性は、実施例8と同様の結果であったが、実施例8から金属系線状構造体を変更することで、表面抵抗値と光学特性の調整が可能となった。
(比較例1)
金属系線状構造体Aを含む水分散液として、銀ナノワイヤー分散液(米国Cambrios社製CleraOhm Ink−A AQ)を用意した。この銀ナノワイヤー分散液に、銀ナノワイヤーの濃度が0.0054質量%(実施例1に対し、銀ナノワイヤーの質量比が1/10)となるように銀ナノワイヤー分散塗液を調製し、実施例1と同様に基材上に金属系線状構造体を塗布後、乾燥した。
次いで、実施例8と同様にマトリックス部分の厚みが120nmである導電層を形成した(金属系線状構造体がネットワーク構造を有さず導電性を示さない場合も、便宜上、導電層と記す:以下同じ)。
本条件で得られた導電層中では、銀ナノワイヤーがネットワーク構造を形成しておらず、本比較例の積層体は導電性を示さなかったため、耐久性の評価および全光線透過率とヘイズの評価は実施しなかった。
(比較例2)
実施例1と同様にして基材上に金属系線状構造体を塗布後、乾燥した。
次いで、添加剤G20.0g、酢酸エチル1798.2gからなるマトリックスを含まない分散液を調製し、この分散液を用いて金属系線状構造体を塗布後、乾燥した側に実施例1と同様にして塗布し、120℃で2分間乾燥後導電層を形成した。
この導電層は、金属系線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分とマイグレーション抑制剤を含むが、マトリックスを含まないため耐久性評価用サンプルおよび耐久性評価用モジュールが作製できなかったため、耐久性の評価は実施しなかった。
(比較例3)
マトリックス組成物を、マトリックス材料A39.2g、光重合開始剤A0.24g、光重合開始剤B0.24g、酢酸エチル1781.0gとしたこと以外は、実施例1と同様に導電層を形成し、導電積層体を得た。
この導電層は、架橋構造を有するマトリックスを含むがマイグレーション抑制剤を含まないため耐久性が不合格となった。
(比較例4)
実施例1と同様に導電成分を積層形成した。次いで、使用する添加剤を添加剤Hとしたこと以外は実施例2と同様に導電層を積層し、導電積層体を得た。
この導電層は、酸素系複素環(酸素系へテロ環)を有する添加剤(非マイグレーション抑制剤)が、架橋構造のマトリックスに結合した状態で含まれるが、窒素系の複素環(窒素系のへテロ環)ではないため、耐久性が不合格となった。
(比較例5)
実施例1と同様に導電成分を積層形成した。次いで、使用する添加剤を添加剤Iとしたこと以外は実施例2と同様に導電層を積層し、導電積層体を得た。
この導電層は、極性基として窒素系官能基(非複素環(非へテロ環))のみを有する添加剤(非マイグレーション抑制剤)が、架橋構造のマトリックスに結合した状態で含まれるが、窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有さないため、耐久性が不合格となった。
Figure 2014032792
本発明の導電積層体は、耐久性が良好なことから、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどの表示体用途に好適に使用されるものである。さらに、本発明の導電積層体は、太陽電池モジュールなどにおいて用いられる電極部材にも好適に使用することができる。
1:基材
2:導電層
3:積層面に垂直な方向より観察した導電面
4:単一の繊維状導電体
5:繊維状導電体の集合体
6:ナノワイヤー
7:針状導電体
8:マトリックス
9:繊維状導電体の重なりによって形成した接点
10:ナノワイヤーの重なりによって形成した接点
11:針状導電体の重なりによって形成した接点
12:無機粒子
13:導電積層体
14:導電積層体の基材
15:導電積層体の導電層
16:導電積層体を積層するための接合層
17:画面側の基材
18:ハードコート層
19:導電層表面
20:単一の金属系線状構造体
21:集合体を形成する単一の金属系線状構造体
22:金属系線状構造体からなる集合体
23:単一の金属系線状構造体の径
24:金属系線状構造体からなる集合体の金属系線状構造体の径
25:導電領域
26:非導電領域
27:青板ガラス
28:耐久性評価用フィルムサンプル
29:ハードコート層付きフィルム
30:リード線
31:エポキシ樹脂
32:PETフィルム
33:パターン化導電層
34:ハードコート層
35:透明粘着剤
36:銀ペースト

Claims (13)

  1. 基材の少なくとも片面に導電層を有する導電積層体であって、該導電層は金属系線状構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分と、構造内に窒素系複素環(窒素系へテロ環)を有するマイグレーション抑制剤とが、高分子からなるマトリックス中に含有されている導電積層体。
  2. 前記金属系線状構造体が、銀ナノワイヤーである請求項1に記載の導電積層体。
  3. 前記マイグレーション抑制剤が、構造内にさらに極性基を有し、且つ、その極性基が窒素系複素環とは別の部位に結合していることを特徴とする請求項1または2に記載の導電積層体。
  4. 前記極性基がヒドロキシル基である請求項3に記載の導電積層体。
  5. 前記マイグレーション抑制剤がマトリックスの高分子と結合を有する請求項1〜4のいずれかに記載の導電積層体。
  6. 前記高分子からなるマトリックスが、架橋構造を有する請求項1〜5のいずれかに記載の導電積層体。
  7. 前記導電層内にさらに無機粒子を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の導電積層体。
  8. 前記無機粒子の平均径aが前記金属系線状構造体の平均径r未満である請求項7に記載の導電積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の導電積層体の導電層に、導電領域と非導電領域を形成するパターン化導電積層体の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の導電積層体、もしくは請求項9に記載の製造方法により得たパターン化導電積層体、を用いてなる表示体。
  11. 請求項10に記載の表示体を用いたタッチパネル。
  12. 請求項10に記載の表示体を用いた電子ペーパー。
  13. 請求項10に記載の表示体を用いた有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ。
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