以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
以下に、本発明にかかる電子部品実装装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。本発明の電子部品実装装置は、リード線(挿入部)を有し、当該リード線が、基板の基板孔(挿入穴、穴)に挿入されることで、基板に実装される電子部品、いわゆる挿入型電子部品及び挿入型電子部品を実装する電子部品実装装置である。電子部品実装装置は、挿入型電子部品(リード型電子部品)を実装する機能を備えている。ここで、挿入型電子部品は、リード線が基板に形成された穴に挿入されることで実装されるものである。また、挿入穴(基板孔)に挿入されずに基板上に搭載される電子部品、例えばSOP、QFP等は、搭載型電子部品とする。なお、電子部品実装装置は、基板上に搭載される搭載型電子部品を実装する機能を備えていてもよい。以下の実施形態の電子部品実装装置10は、搭載型電子部品と挿入型電子部品の両方を実装する機能を備える。
次に、図1から図17を用いて、本実施形態の搭載型電子部品と挿入型電子部品の両方を実装することができる電子部品実装装置10について説明する。電子部品実装装置10は、基板上に載せることで実装される搭載型電子部品とリードを基板の挿入穴に差し込んで実装するリード型電子部品(挿入型電子部品)との両方を実装することができる装置である。電子部品実装装置10は、1台で搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を実装することも、いずれか一方のみを実装することもできる。つまり電子部品実装装置10は、搭載型電子部品とリード型電子部品の両方を実装することが可能で、製造する基板や他の電子部品実装装置のレイアウトに応じて、種々の用途で使用することができる。
図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す模式図である。図1に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載する装置である。電子部品実装装置10は、筐体11と、基板搬送部12と、部品供給ユニット14f、14rと、ヘッド15と、XY移動機構16と、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19と、制御装置20と、操作部40と、表示部42と、を有する。なお、XY移動機構16は、X軸駆動部22と、Y軸駆動部24と、を備える。ここで、本実施形態の電子部品実装装置10は、図1に示すように、基板搬送部12を中心にしてフロント側とリア側に部品供給ユニット14f、14rを備える。電子部品実装装置10は、部品供給ユニット14fが電子部品実装装置10のフロント側に配置され、部品供給ユニット14rが電子部品実装装置10のリア側に配置される。また、以下では、2つの部品供給ユニット14f、14rを特に区別しない場合、部品供給ユニット14とする。
基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材であるはんだが付着している。また、基板8には、電子部品が挿入されるスルーホール(挿入穴、基板孔)も形成されている。
基板搬送部12は、基板8を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12は、X軸方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の搭載対象面がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX軸方向に搬送する。基板搬送部12は、電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定位置まで搬送する。ヘッド15は、所定位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12は、前記所定位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組合せ、前記エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構を用いることができる。
電子部品実装装置10は、フロント側に部品供給ユニット14fが配置され、リア側に部品供給ユニット14rが配置されている。フロント側の部品供給ユニット14fと、リア側の部品供給ユニット14rは、それぞれ基板8上に搭載する電子部品を多数保持し、ヘッド15に供給可能、つまり、ヘッド15で保持(吸着又は把持)可能な状態で保持位置に供給する電子部品供給装置を備える。本実施形態の部品供給ユニット14f、14rはともに、本体と、本体に連結されたリードとを有するリード型電子部品を供給する。
図2は、部品供給ユニットの一例の概略構成を示す模式図である。部品供給ユニット14は、図2に示すように、複数の電子部品供給装置(以下、単に「部品供給装置」ともいう。)90、90aを有する。
具体的には、部品供給ユニット14は、複数のラジアルリード型電子部品(ラジアルリード部品)をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持したラジアルリード型電子部品のリードを保持位置(第2保持位置)で切断し、当該保持位置にあるラジアルリード型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズル又は把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置90を複数装着することに加え、複数の搭載型電子部品をテープ本体に固定した電子部品保持テープ(チップ部品テープ)を装着し、当該電子部品保持テープで保持した搭載型電子部品の保持位置(第1保持位置)でテープ本体から剥がし、当該保持位置にある搭載型電子部品をヘッドに備えた吸着ノズル又は把持ノズルで保持可能とする電子部品供給装置90aを備えていてもよい。部品供給ユニット14は、その他電子部品供給装置90aとしてスティックフィーダやトレイフィーダをリア側バンクに設置してもよい。図2に示す複数の部品供給装置90、90aは、支持台(バンク)96に保持される。また、支持台96は、部品供給装置90、90aの他の装置(例えば、計測装置やカメラ等)を搭載することができる。
部品供給ユニット14は、支持台96に保持されている複数の電子部品供給装置90、90aが、搭載する電子部品の種類、電子部品を保持する機構又は供給機構が異なる複数種類の電子部品供給装置90、90aで構成される。また、部品供給ユニット14は、同一種類の電子部品供給装置90、90aを複数備えていてもよい。また、部品供給ユニット14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。
部品供給装置90は、テープに複数のラジアルリード型電子部品のリードを貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15にラジアルリード型電子部品を供給する。部品供給装置90は、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、保持しているラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより電子部品が保持できる保持領域(吸着位置、把持位置、保持位置)まで移動するテープフィーダである。部品供給装置90は、保持領域まで移動させたラジアルリード型電子部品のリードを切断して分離することで、当該テープでリードが固定されたラジアルリード型電子部品を所定位置に保持可能な状態とすることができ、当該ラジアルリード型電子部品をヘッド15のノズルにより保持(吸着、把持)することができる。部品供給装置90については後述する。なお、複数の部品供給装置90は、それぞれ異なる品種の電子部品を供給しても、別々の電子部品を供給してもよい。また、部品供給装置90は、テープに複数のラジアルリード型電子部品に限定されず、ボウルフィーダや、アキシャルフィーダ、スティックフィーダ、トレイフィーダ等を用いることもできる。
電子部品供給装置90aは、テープに基板搭載するチップ型の電子部品を貼り付けて構成される電子部品保持テープを使用してヘッド15に電子部品を供給する。なお、電子部品保持テープは、テープに複数の格納室が形成されており、当該格納室に電子部品が格納されている。電子部品供給装置90aは、電子部品保持テープを保持し、保持している電子部品保持テープを送り、格納室をヘッド15のノズルにより電子部品が吸着できる保持領域まで移動させるテープフィーダである。なお、格納室を保持領域に移動させることで、当該格納室に収容されている電子部品を所定位置に露出した状態とすることができ、当該電子部品をヘッド15のノズルにより吸着、把持することができる。電子部品供給装置90aは、テープフィーダに限定されず、チップ型電子部品を供給する種々のチップ部品フィーダとすることができる。チップ部品フィーダとしては、例えば、スティックフィーダ、テープフィーダ、バルクフィーダを用いることができる。
ヘッド15は、部品供給ユニット14fに保持された電子部品又は部品供給ユニット14rに保持された電子部品、をノズルで保持(吸着又は把持)し、保持した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に実装する機構である。また、ヘッド15は、部品供給ユニット14rが電子部品供給装置90aを備えている場合、電子部品供給装置90aに保持されたチップ型電子部品(搭載型電子部品)を基板8上に搭載(実装)する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。なお、チップ型電子部品(搭載型電子部品)とは、基板に形成された挿入穴(スルーホール)に挿入するリードを備えないリードなし電子部品である。搭載型電子部品としては、上述したようにSOP、QFP等が例示される。チップ型電子部品は、リードを挿入穴に挿入せずに、基板に実装される。
XY移動機構16は、ヘッド15を図1中X軸方向及びY軸方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部22とY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22は、ヘッド15と連結しており、ヘッド15をX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22をY軸方向に移動させることで、ヘッド15をY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15をXY軸方向に移動させることで、ヘッド15を基板8と対面する位置、又は、部品供給ユニット14f、14rと対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。つまり、XY移動機構16は、ヘッド15を水平面(XY平面)上で移動させて、部品供給ユニット14f、14rの電子部品供給装置90、90aにある電子部品を基板8の所定位置(搭載位置、実装位置)に移送する移送手段となる。なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、XY平面において、ヘッド15の可動領域と重なる位置で、かつ、Z方向における位置がヘッド15よりも鉛直方向下側となる位置に配置されている。本実施形態では、VCSユニット17と、交換ノズル保持機構18と、部品貯留部19とは、基板搬送部12と部品供給ユニット14rとの間に、隣接して配置される。
VCSユニット17は、画像認識装置であり、ヘッド15のノズル近傍を撮影するカメラや、撮影領域を照明する照明ユニットを有する。VCSユニット17は、ヘッド15のノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。より具体的には、VCSユニット17は、対面する位置にヘッド15が移動されると、ヘッド15のノズルを鉛直方向下側から撮影し、撮影した画像を解析することで、ノズルで吸着された電子部品の形状や、ノズルによる電子部品の保持状態を認識する。VCSユニット17は、取得した情報を制御装置20に送る。
交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルを保持する機構である。交換ノズル保持機構18は、複数種類のノズルをヘッド15が着脱交換可能な状態で保持する。ここで、本実施形態の交換ノズル保持機構18は、電子部品を吸引することで保持する吸引ノズルと、電子部品を把持することで保持する把持ノズルと、を保持している。ヘッド15は、交換ノズル保持機構18で装着するノズルを変更し、装着されたノズルに対して空気圧を供給して駆動することで、保持する電子部品を適切な条件(吸引又は把持)で保持することができる。
部品貯留部19は、ヘッド15がノズルで保持し、基板8に実装しない電子部品を貯留する箱である。つまり、電子部品実装装置10では、基板8に実装しない電子部品を廃棄する廃棄ボックスとなる。電子部品実装装置10は、ヘッド15が保持している電子部品の中に基板8に実装しない電子部品がある場合、ヘッド15を部品貯留部19と対面する位置に移動させ、保持している電子部品を解放することで、電子部品を部品貯留部19に投入する。
制御装置20は、電子部品実装装置10の各部を制御する。制御装置20は、各種制御部の集合体である。操作部40は、作業者が操作を入力する入力デバイスである。操作部40としては、キーボード、マウスと、タッチパネル等が例示される。操作部40は検出した各種入力を制御装置20に送る。表示部42は、作業者に各種情報を表示する画面である。表示部42としては、タッチパネル、ビジョンモニタ等がある。表示部42は、制御装置20から入力される画像信号に基づいて各種画像を表示させる。
なお、本実施形態の電子部品実装装置10は、ヘッド15を1つとしたが部品供給ユニット14f、14rのそれぞれに対応して2つのヘッド15を設けてもよい。この場合、X軸駆動部を2つ設け、2つのヘッド15をそれぞれXY方向に移動させることで、2つのヘッド15を独立して移動させることができる。さらに、電子部品実装装置10は、基板搬送部12を平行に2つ配置することも好ましい。電子部品実装装置10は、2つの基板搬送部12で2つの基板8を交互に電子部品搭載位置に移動させ、前記2つのヘッド15で交互に部品搭載すれば、さらに効率よく基板8に電子部品を搭載することができる。
次に、図3及び図4を用いて、ヘッド15の構成について説明する。図3は、電子部品実装装置のヘッド15の概略構成を示す模式図である。図4は、電子部品実装装置のヘッド15の概略構成を示す模式図である。なお、図3には、電子部品実装装置10を制御する各種制御部と部品供給ユニット14rの1つの部品供給装置90もあわせて示す。ヘッド15は、図3及び図4に示すように、ヘッド本体30と撮影装置36と高さセンサ37とレーザ認識装置38と、を有する。
電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とは、上述した制御装置20の一部である。また、電子部品実装装置10は、電源と接続されており電源から供給される電力を制御部60、ヘッド制御部62、部品供給制御部64及び各種回路を用いて、各部に供給する。制御部60と、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64とについては後述する。
電子部品供給装置90は、電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)にリードが保持された電子部品80の本体が上方に露出している。なお、電子部品80としては、アルミ電解コンデンサが例示される。なお、電子部品80として、アルミ電解コンデンサの他にも、リードを有する各種電子部品を用いることができる。電子部品供給装置90は、電子部品保持テープを引き出し、移動させることで、電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持領域(吸着領域、把持領域)に移動させる。本実施形態では、部品供給装置90のY軸方向の先端近傍が、電子部品保持テープに保持された電子部品80をヘッド15のノズルが保持する保持領域となる。電子部品供給装置90の構成については後述する。また、電子部品供給装置90aの場合も同様に、所定の位置が、ヘッド15のノズルが電子部品保持テープに保持された電子部品80を保持する保持領域となる。
ヘッド本体30は、各部を支持するヘッド支持体31と、複数のノズル32と、ノズル駆動部34と、を有する。本実施形態のヘッド本体30には、図4に示すように、6本のノズル32が一列に配置されている。6本のノズル32は、X軸に平行な方向に並んでいる。なお、図4に示すノズル32は、いずれも電子部品80を吸着して保持する吸着ノズルが配置されている。
ヘッド支持体31は、X軸駆動部22と連結している支持部材であり、ノズル32及びノズル駆動部34を支持する。なお、ヘッド支持体31は、レーザ認識装置38も支持している。
ノズル32は、電子部品80を吸着し、保持する吸着機構である。ノズル32は、先端に開口32aを有する。開口32aは、内部の空洞及びノズル支持部33の空洞を介してノズル駆動部34に連結されている。ノズル32は、この開口32aから空気を吸引することで、先端に電子部品80を吸着し、保持する。ノズル32は、ノズル支持部33に対して着脱可能であり、ノズル支持部33に装着されていない場合、交換ノズル保持機構18に保管(格納)される。また、ノズル32は、開口32aの形状や、大きさが種々のものがある。また、本実施形態では、電子部品80を吸着するための開口32aを備える吸着型のノズルを示したが、空気圧により稼動するアームを用い、電子部品80を挟み込むことで保持する把持型のノズルも用いることができる。
ノズル支持部33は、鉛直方向下側の端部(先端)でノズル32を保持する機構であり、例えば、ノズル駆動部34にとってヘッド支持体31に対して移動されるシャフトと、ノズル32と連結するソケットと、を有する。シャフトは、棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフトは、鉛直方向下側の端部に配置されたソケットを支持する。シャフトは、ソケットに連結する部分がZ軸方向に移動可能な状態及びθ方向に回転可能な状態でヘッド支持体31に対して支持されている。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸であり、基板8の表面に対して直交する方向となる。θ方向とは、すなわち、ノズル駆動部34がノズル32を移動させる方向と平行な軸であるZ軸を中心とした円の円周方向と平行な方向である。θ方向は、ノズル32の回動方向となる。シャフトは、ソケットに連結する部分がノズル駆動部34によってZ軸方向及びθ方向に移動、回転される。
ノズル駆動部34は、ノズル支持部33をZ軸方向に移動させることでノズル32をZ軸方向に移動させ、ノズル32の開口32aで電子部品80を吸着させる。また、ノズル駆動部34は、電子部品80の実装時等にノズル支持部33をθ方向に回転させることでノズル32をθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32をZ軸方向に移動させる機構として、Z軸モータ34a、具体的には、Z軸方向が駆動方向となる直動リニアモータを有する機構がある。ノズル駆動部34は、Z軸モータ34aでノズル支持部33とともにノズル32をZ軸方向に移動させることで、ノズル32の先端部の開口32aのシャフトをZ軸方向に移動させる。また、ノズル駆動部34は、ノズル32をθ方向に回転させる機構として、例えばモータとノズル支持部33のシャフトに連結された伝達要素とで構成された機構がある。ノズル駆動部34は、モータから出力された駆動力を伝達要素でノズル支持部33のシャフトに伝達し、シャフトをθ方向に回転させることで、ノズル32の先端部もθ方向に回転させる。
ノズル駆動部34は、ノズル32の開口32aで電子部品80を吸着させる機構、つまり吸引機構としては、例えば、ノズル32の開口32aと連結された空気管と、当該空気管と接続されたポンプと、空気管の管路の開閉を切り換える電磁弁と、を有する機構がある。ノズル駆動部34は、ポンプで空気管の空気を吸引し、電磁弁の開閉を切り換えることで開口32aから空気を吸引するか否かを切り換える。ノズル駆動部34は、電磁弁を開き開口32aから空気を吸引することで開口32aに電子部品80を吸着(保持)させ、電磁弁を閉じ開口32aから空気を吸引しないことで開口32aに吸着していた電子部品80を解放する、つまり開口32aで電子部品80を吸着しない状態(保持しない状態)とする。
また、本実施形態のヘッド15は、電子部品80の本体を保持するときに本体上面がノズル(吸着ノズル)32で吸着できない形状である場合には、後述する把持ノズルを用いる。把持ノズルは、吸着ノズルと同様に空気を吸引解放することで固定片に対して可動片が開閉することで電子部品80の本体を上方から把持解放することができる。また、ヘッド15は、ノズル駆動部34でノズル32を移動させ、交換動作を実行することで、ノズル駆動部34が駆動させるノズルを換えることができる。
撮影装置36は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8等を撮影する。撮影装置36は、カメラと、照明装置と、を有し、照明装置で視野を照明しつつ、カメラで画像を取得する。これにより、ヘッド本体30に対面する位置の画像、例えば、基板8や、部品供給ユニット14の各種画像を撮影することができる。例えば、撮影装置36は、基板8の表面に形成された基準マークとしてのBOCマーク(以下単にBOCともいう。)やスルーホール(挿入穴)の画像を撮影する。ここで、BOCマーク以外の基準マークを用いる場合、当該基準マークの画像を撮影する。
高さセンサ37は、ヘッド本体30のヘッド支持体31に固定されており、ヘッド15と対面する領域、例えば、基板8や電子部品80が搭載された基板8との距離を計測する。高さセンサ37としては、レーザ光を照射する発光素子と、対面する位置で反射して戻ってくるレーザ光を受光する受光素子とを有し、レーザ光を発光してから受光するまでの時間で対面する部分との距離を計測するレーザセンサを用いることができる。また、高さセンサ37は、測定時の自身の位置及び基板の位置を用いて、対面する部分との距離を処理することで、対面する部分、具体的には電子部品80の高さを検出する。なお、電子部品80との距離の測定結果に基づいて電子部品80の高さを検出する処理は制御部60で行ってもよい。
レーザ認識装置38は、光源38aと、受光素子38bと、を有する。レーザ認識装置38は、ブラケット50に内蔵されている。ブラケット50は、図3に示すように、ヘッド支持体31の下側、基板8及び部品供給装置90側に連結されている。レーザ認識装置38は、ヘッド本体30のノズル32で吸着した電子部品80に対して、レーザ光を照射することで、電子部品80の状態を検出する装置である。ここで、電子部品80の状態とは、電子部品80の形状、ノズル32で電子部品80を正しい姿勢で吸着しているか等である。光源38aは、レーザ光を出力する発光素子である。受光素子38bは、Z軸方向における位置、つまり高さが同じ位置であり、光源38aに対向する位置に配置されている。レーザ認識装置38による形状の認識処理については後述する。
次に、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。電子部品実装装置10は、図3に示すように、制御装置20として、制御部60と、記憶部61、ヘッド制御部62と、部品供給制御部64と、を有する。各種制御部は、それぞれ、CPU、ROMやRAM等の演算処理機能と記憶機能とを備える部材で構成される。また、本実施形態では、説明の都合で複数の制御部としたが、1つの制御部としてもよい。また、電子部品実装装置10の制御機能を1つの制御部とした場合、1つの演算装置で実現しても複数の演算装置で実現してもよい。
制御部60は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部60は、例えば、基板8の搬送動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作、レーザ認識装置38による形状の検出動作等を制御する。また、制御部60は、上述したようにヘッド制御部62に各種指示を送り、ヘッド制御部62による制御動作も制御する。制御部60は、部品供給制御部64による制御動作も制御する。
記憶部61は、制御部60と接続されており、ROMやRAM等の記憶機能を備えている。なお、記憶部61は、制御部60と一体で設けてもよいし、別体で設けてもよい。記憶部61は、制御部60が各部から取得したデータや、制御部60で演算して算出したデータを記憶する。記憶部61は、例えば、スルーホール座標設計値と、基準マーク座標設計値と、電子部品搭載座標設計値と、を含む設計図のデータや、各種電子部品の形状、吸着条件、吸着処理の補正条件、生産プログラム等を記憶する。なお、記憶部61は、制御部60の制御により、不要となったデータは削除することもできる。
ヘッド制御部62は、ノズル駆動部34、ヘッド支持体31に配置された各種センサ及び制御部60に接続されており、ノズル駆動部34を制御し、ノズル32の動作を制御する。ヘッド制御部62は、制御部60から供給される操作指示及び各種センサ(例えば、距離センサ)の検出結果に基づいて、ノズル32の電子部品80の吸着(保持)/解放動作、各ノズル32の回動動作、Z軸方向の移動動作を制御する。ヘッド制御部62の制御については、後述する。
部品供給制御部64は、部品供給ユニット14f、14rによる電子部品80の供給動作を制御する。部品供給制御部64は、電子部品供給装置90、90a毎に設けても、1つですべての電子部品供給装置90、90aを制御してもよい。例えば、部品供給制御部64は、電子部品供給装置90による電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)、リードの切断動作及びラジアルリード型電子部品の保持動作を制御する。また、部品供給制御部64は、部品供給ユニット14が電子部品供給装置90aを備えている場合、電子部品供給装置90aによる電子部品保持テープの引き出し動作(移動動作)等を制御する。部品供給制御部64は、制御部60による指示に基づいて各種動作を実行する。部品供給制御部64は、電子部品保持テープ又は電子部品保持テープの引き出し動作を制御することで、電子部品保持テープ又は電子部品保持テープの移動を制御する。
ここで、上記実施形態では、ヘッド15に装着するノズルに吸着ノズルを用いる場合として説明したがこれに限定されない。図5は、ノズルの一例を示す説明図である。図5は、把持ノズル(グリッパーノズル)の一例を示す図である。図5に示すノズル201は、固定アーム202と、可動アーム204とを有する。ノズル201は、可動アーム204の支点205がノズル201の本体に回動可能な状態で固定されており、可動アーム204は、支点205を軸として固定アーム202と対面する部分が固定アーム202に近づく方向から遠ざかる方向に移動することができる。可動アーム204は、ノズル201の本体の部分、固定アーム202に近づいたり遠ざかったりする部分とは、支点205を介して反対側に駆動部206が連結されている。駆動部206は、把持ノズルを駆動する駆動源(空気圧)により移動される。可動アーム204は、駆動部206が移動することで、固定アーム202と対面する部分が固定アーム202に近づく方向から遠ざかる方向に移動する。
ノズル201は、固定アーム202と可動アーム204との間に電子部品80がある状態で、固定アーム202と可動アーム204との距離を縮めることで、電子部品80を把持することができる。
把持ノズルは、ノズル201に限定されず、種々の形状とすることができる。把持ノズルは、それぞれ固定アームと可動アームとの間隔や、可動範囲を種々の値とすることができる。このように把持ノズルは、ノズルの形状毎に把持できる電子部品80の形状が異なる。
電子部品実装装置10は、保持する電子部品80の種類に応じて、当該電子部品80を保持するノズルの種類を選択することで、電子部品80を適切に保持することができる。具体的には、保持する電子部品80に応じて、吸着ノズルを用いるか把持ノズルを用いるかを選択し、さらにそれぞれの種類のノズル中でもどのノズルを用いるかを切り換えることで、1台の電子部品実装装置でより多くの種類の電子部品80を実装することができる。
次に、図6及び図7を用いて部品供給装置90について説明する。部品供給装置90は、上述したようにラジアルリード型電子部品を保持位置に供給するラジアルフィーダである。まず、図6を用いて、電子部品保持テープについて説明する。図6は、電子部品保持テープの一例の概略構成を示す模式図である。
図6に示す電子部品保持テープ(ラジアル部品テープ)70は、テープ本体72と、テープ本体72に保持される複数の電子部品(ラジアルリード型電子部品、ラジアルリード部品)80と、を有する。テープ本体72は、第1テープ74と第1テープ74よりも幅の細い第2テープ76とが貼り合わされている。また、テープ本体72は、延在方向に一定間隔で送り穴としての穴78が形成されている。つまり、テープ本体72は、複数の穴78が延在方向に列状に形成されている。
電子部品80は、電子部品本体(以下単に「本体」という。)82と、本体82のラジアル方向に配置された2本のリード84と、を有する。電子部品80は、リード84が、第1テープ74と第2テープ76との間に挟まれ、固定されている。これにより、電子部品80は、リード84が、第1テープ74と第2テープ76との間に挟まれ固定されることで、テープ本体72の所定位置に固定される。また、複数の電子部品80は、2本のリード84の間に穴78が配置され、テープ本体72の穴78が形成されている位置に、それぞれ固定されている。つまり、電子部品80は、穴78と同じ送りピッチPの間隔で、かつテープの延在方向における位置が同じ位置に配置されている。なお、電子部品80は、テープ本体72の第1テープ74と第2テープ76との間に挟まれるリード線を有した形状であればよく、リード線及び本体の形状、種類は特に限定されない。また、電子部品保持テープ70は、テープの延在方向における穴78と電子部品80との相対位置関係を種々の設定とすることができる。例えば、電子部品保持テープ70は、穴78と穴78との間に電子部品80を配置してもよい。
次に、図7は、部品供給ユニットの電子部品供給装置の概略構成を示す斜視図である。電子部品供給装置(部品供給装置)90は、図7に示すように、他の各部を保持し、電子部品保持テープを案内する筐体210と、リア側バンクと連結されるクランプユニット212と、電子部品保持テープを搬送するフィードユニット214と、電子部品保持テープに保持されている電子部品80のリードを切断するカットユニット216と、を有する。また、電子部品供給装置90は、筐体210の内部に空気圧調整部が配置されている。空気圧調整部は、フィードユニット214の駆動部とカットユニット216の駆動部の空気圧を調整し、各部の駆動を制御する。
筐体210は、縦に細長い中空の箱であり、クランプユニット212とフィードユニット214とカットユニット216と空気圧調整部とを内部に保持する。筐体210は、案内溝220と、ガイド部222と、排出部226と、把持部228と、が設けられている。案内溝220は、筐体210の鉛直方向上側の細長い面の長手方向に沿って形成された2本の直線の一方の端部が連結した形状である。つまり、案内溝220は、筐体210の一方の端部から他方の端部近傍まで延び、他方の端部近傍で折り返し、一方の端部まで延びるU字形状で形成されている。案内溝220は、電子部品保持テープを案内する溝であり、U字形状の一方の端部(供給側の端部)から電子部品保持テープが供給される。案内溝220は供給された電子部品保持テープをU字形状に沿って移動させ、U字形状の他方の端部(排出側の端部)から排出する。また、案内溝220は、テープ本体72が筐体210の内部にあり、電子部品80が筐体210の外部に露出した状態で電子部品保持テープを案内する。
ガイド部222は、案内溝220の供給側の端部と連結されており、電子部品80が保持された状態の電子部品保持テープを案内溝220に案内する。排出部226は、案内溝220の排出側の端部と連結されており、筐体210内を移動して電子部品80をヘッド15に供給した部分が電子部品保持テープを排出する。把持部228は、電子部品供給装置90の搬送時等に、オペレータが持つ部分である。
クランプユニット212は、支持台96と連結される機構である。クランプユニット212は、筐体210に固定されており、支持台96と連結し固定されている状態と、支持台96と連結せずに解放されている状態と、を切り換えることができる機構である。オペレータは、クランプユニット212を操作することで、電子部品供給装置90を支持台96に対して着脱することができる。
フィードユニット214は、電子部品保持テープを搬送する、つまり案内溝220に沿って案内される電子部品保持テープを移動させる機構である。フィードユニット214は、電子部品保持テープの穴に挿入される突起部を備えており、突起部が電子部品保持テープの穴に挿入されている状態で、当該突起部を搬送方向に移動させることで電子部品保持テープを移動させる。フィードユニット214の突起部は、搬送方向と反対側に移動される場合、穴から取り外される。これによりフィードユニット214は、突起部をテープ本体72の穴の1ピッチ分、送り方向に往復運動させることで、テープを1ピッチ分送り方向に順次移動させることができる。
カットユニット216は、電子部品80を供給する供給位置に配置されており、電子部品保持テープに保持されている電子部品80のリードを切断する。また、カットユニット216は、リードを切断した電子部品80を、電子部品80がノズルによって吸着(保持)されるまで、クランプ、つまり保持する。カットユニット216は、リードを切断する高さを調整する機構、電子部品80のクランプ時にクランプする機構を移動させる範囲を調整する機構等を備えている。当該機構で各種調整を行うことで、種々のリード型電子部品のリードを切断し、クランプすることができる。
電子部品実装装置10は、カットユニット216が、リードを短く切断することで、部品供給装置90の保持位置にある電子部品80の本体をノズルで保持したときのリード間隔の安定性を向上させることができ、リードが挿入穴に挿入できる部品を多くすることができ、非常に効率よくかつ高い精度で実装できる。
電子部品供給装置90は、以上のような構成であり、クランプユニット212で支持台96の所定位置に固定される。電子部品供給装置90は、フィードユニット214で電子部品保持テープを移動させる。また、電子部品供給装置90は、カットユニット216で供給位置にある電子部品80のリードを切断し、リードを切断した電子部品80をヘッド15のノズル32で吸着されるまで保持する。これにより、電子部品保持テープで搬送される電子部品80をヘッド15で搬送可能な状態とすることができる。
次に、図8を参照しながら、電子部品実装装置10が記憶する基板8の設計図について説明する。図8は、電子部品80を実装する基板8の設計図の一例を示す説明図である。
電子部品実装装置10は、図8に示すように、設計図970の情報を記憶している。電子部品実装装置10は、設計図970の情報に基づいて、基板8に電子部品80を実装する位置を決定する。電子部品実装装置10は、通信回線を介して又は記憶媒体から設計図970の情報を取得し、取得した情報を記憶部61に記憶させる。ここで、設計図970は、複数の電子部品実装領域980を含んでいる。電子部品実装領域980は、基板8上における電子部品の搭載座標の設計値情報(電子部品搭載座標設計値)である。設計図970に含まれる複数の電子部品実装領域980は、実装する電子部品の種類に応じて大きさ、形状が異なる。また、電子部品実装領域980は、実装する電子部品のリード線を挿入する位置に対応したスルーホール形成位置982a、982b、982c、984a、984b、986a、986b、986cの設計値情報が含まれている。ここで、スルーホール形成位置982aとスルーホール形成位置982bとスルーホール形成位置982cとは、互いに隣接したスルーホールである。スルーホール形成位置986aとスルーホール形成位置986bとスルーホール形成位置986cとも、互いに隣接したスルーホールである。スルーホール形成位置984aとスルーホール形成位置984bとは、間に他のスルーホールが配置されている。なお、図8では、電子部品実装領域980の一部のスルーホール形成位置に符号を付したが、他の電子部品実装領域980もスルーホールがある場合、スルーホール形成位置が設けられている。また、図8では、リード線を備える電子部品に対応する電子部品実装領域980のみを示しているが、設計図970は、電子部品の種類としてリード線を備えていない電子部品(表面実装する電子部品)を搭載する位置に対応する電子部品実装領域の情報を含んでいる。また、設計図970は、表面実装する電子部品の搭載位置の基準マークとなるBOC990の座標の設計値情報(基準マーク座標設計値)も含んでいる。このように、設計図970は、電子部品搭載座標設計値と、スルーホール座標設計値と、基準マーク座標設計値と、の情報を含んでいる。
本実施形態において、スルーホール座標設計値は、基板8に設けられている配線パターンと、基板8に設けられている挿入穴とのずれを検出するための座標設計値としても利用される。基板8を製作する過程において、基板8にBOC990及び配線パターンをプリントする工程と、基板8に挿入穴をあける工程とは異なる。このため、配線パターンの位置及び方向は、挿入穴が配列する位置及び方向とずれることがある。さらに、基板8の反り、歪み等により、配線パターンの位置及び方向が、挿入穴が配列する位置及び方向とずれることがある。
配線パターンと挿入穴とのずれを検出するための座標設計値として利用されるスルーホール座標設計値は、予め選択される。位置及び方向のずれを検出するために、2以上のスルーホール座標設計値が選択されることが好ましい。以下の説明では、配線パターンと挿入穴とのずれを検出するための座標設計値として利用されるスルーホール座標設計値に対応する基板8の挿入穴をマーク(エリアフィデューシャルマーク)と呼ぶことがある。
図9は、電子部品実装装置の動作の例を示すフローチャートである。図9を用いて、電子部品実装装置10の全体の処理動作について説明する。なお、図9における電子部品実装装置10の各部の動作は、制御装置20に基づいて各部の動作を制御することで実行することができる。
電子部品実装装置10は、生産プログラムを読み込むと、ステップS11として、基板搬送部12によって基板8を搬送する。具体的には、電子部品実装装置10は、ヘッド15で電子部品80を実装できる位置、つまり部品実装領域に基板8を搬入させ、固定する。
電子部品実装装置10は、基板8を搬送させると、ステップS12として、画像認識に基づく位置補正処理を実行する。具体的には、電子部品実装装置10は、撮影装置36によって撮影された画像を解析して、BOC及びマークの位置を検出する。電子部品実装装置10は、検出したBOCの位置とBOCに対応する基準マーク座標設計値(BOCの設計位置)とのずれ(以下、「第1のずれ」ということがある。)を検出する。さらに、電子部品実装装置10は、検出したマークの位置とマークに対応するスルーホール座標設計値(マークの設計位置)とのずれ(以下、「第2のずれ」ということがある。)を検出する。第2のずれは、第1のずれに対する相対的なずれとして検出される。このため、配線パターンと挿入穴とのずれがない場合、第2のずれは、位置及び方向が共に0となる。電子部品実装装置10は、第1のずれに基づいて、搭載型電子部品の搭載位置を補正し、第1のずれ及び第2のずれに基づいて、挿入型電子部品の搭載位置を補正する。そして、第2のずれを記憶部61に記憶する。
電子部品実装装置10は、画像認識に基づく位置補正処理を完了すると、ステップS13として、電子部品の実装処理を実行する。具体的には、電子部品実装装置10は、補正後の搭載位置に電子部品を実装する。なお、実装処理の詳細については、後述する。
電子部品実装装置10は、ステップS14として、生産終了かを判定する。例えば、電子部品実装装置10は、予め設定された枚数の基板の生産が完了した場合に、生産終了と判定する。生産終了である場合(ステップS14,Yes)、電子部品実装装置10は、本処理手順を終了する。生産終了ではない場合(ステップS14,No)、電子部品実装装置10は、ステップS15に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS15として、基板8の処理枚数が所定枚数と一致するか否かを判定する。所定枚数は、例えば、配線パターンと挿入穴とのずれを統計的に正しく把握するために必要な枚数である。100枚の基板8に電子部品を実装する場合、所定枚数は、例えば、10枚に設定される。
処理枚数が所定枚数と一致しない場合(ステップS15,No)、電子部品実装装置10は、ステップS11に戻り、一連の処理を実行する。一方、処理枚数が所定枚数と一致する場合(ステップS15,Yes)、電子部品実装装置10は、ステップS16として、記憶している第2のずれに基づいて、第1の代表値又はバラツキと、第2の代表値とを算出する。第1の代表値及びバラツキは、配線パターンと挿入穴とのずれを評価するための値である。第2の代表値は、挿入型電子部品を実装する位置を補正するための値である。第1の代表値は、例えば、第2のずれの平均値又は最大値である。第2の代表値は、例えば、第2のずれの平均値又は中央値である。第1の代表値及び第2の代表値は、同じ値でもよい。
電子部品実装装置10は、ステップS17として、第1の代表値又はバラツキが閾値よりも小さいかを判定する。本実施形態では、閾値は、例えば、挿入型電子部品のリードの挿入穴の径に基づいて決定される。第1の代表値が閾値より小さい場合(ステップS17,Yes)、電子部品実装装置10は、ステップS19に進む。
第1の代表値が閾値より小さくない場合(ステップS17,No)、電子部品実装装置10は、ステップS18として、第2の代表値を適用するかを判定する。例えば、電子部品実装装置10は、第2の代表値に基づいて基板8上に挿入型電子部品を実装する位置を補正する制御を開始するかを担当者に問い合わせる。電子部品実装装置10は、制御を開始するとの応答があった場合に、第2の代表値を適用すると判定する。第2の代表値を適用しない場合(ステップS18,No)、電子部品実装装置10は、ステップS11に戻り、一連の処理を実行する。すなわち、画像認識に基づく位置補正を行いながら、基板8に電子部品を実装する処理を継続する。第2の代表値を適用する場合(ステップS18,Yes)、電子部品実装装置10は、ステップS19に進む。
電子部品実装装置10は、ステップS19として、基板搬送部12によって基板8を搬送する。すなわち、電子部品実装装置10は、次に電子部品80を実装する基板8を実装領域に搬入させ、固定する。
電子部品実装装置10は、基板8を搬送させると、ステップS20として、第2の代表値に基づく位置補正処理を実行する。具体的には、電子部品実装装置10は、撮影装置36によって撮影された画像を解析して、BOCの位置を検出する。電子部品実装装置10は、検出したBOCの位置とBOCに対応する基準マーク座標設計値とのずれ(第1のずれ)に基づいて、搭載型電子部品の搭載位置を補正する。さらに、電子部品実装装置10は、第1のずれと、第2のずれの第2の代表値とに基づいて、挿入型電子部品の搭載位置を補正する。すなわち、電子部品実装装置10は、マークの画像解析によって検出することなく、搭載型電子部品の搭載位置を予想する。
電子部品実装装置10は、第2の代表値に基づく位置補正処理を完了すると、ステップS21として、電子部品の実装処理を実行する。具体的には、電子部品実装装置10は、補正後の搭載位置に電子部品を実装する。その後、電子部品実装装置10は、ステップS22として、生産終了かを判定する。生産終了ではない場合(ステップS22,No)、電子部品実装装置10は、ステップS19に戻り、一連の処理を実行する。すなわち、電子部品実装装置10は、次の基板8に対する処理を実行する。一方、生産終了である場合(ステップS22,Yes)、電子部品実装装置10は、本処理手順を終了する。
このように、電子部品実装装置10は、所定枚数の基板8を画像解析した結果に基づいて挿入型電子部品の搭載位置のずれを把握した後は、画像解析によって挿入穴の位置を検出することなく、挿入型電子部品を対応する挿入穴に挿入することができる。このため、電子部品実装装置10は、画像解析に起因する単位時間当たりの基板の生産数の減少を抑制することができる。
また、電子部品実装装置10は、把握した挿入型電子部品の搭載位置のずれが閾値よりも小さくない場合には、画像解析によって挿入穴の位置を検出せずに挿入型電子部品を実装するかを問い合わせる。このため、電子部品実装装置10は、挿入ミスによる不良が増大する等の好ましくない事態が発生する可能性を低くすることができる。
次に、図10を参照しながら、図9に示す画像認識に基づく位置補正処理について説明する。図10は、画像認識に基づく位置補正処理の処理手順の例を示すフローチャートである。
電子部品実装装置10の制御部60は、ステップS101として、基板8のBOCを認識する。具体的には、制御部60は、撮影装置36によって撮影された画像を解析することで、基板8における実際のBOCの位置を検出する。画像解析については、任意の公知の技術を利用することができる。
制御部60は、ステップS102として、検出したBOCの位置とBOCの設計位置とのずれ(第1のずれ)を算出する。第1のずれは、基板8における実際の配線パターンの位置及び方向のずれを示す。制御部60は、ステップS103として、第1のずれに基づいて、搭載型電子部品(面実装部品)の実装位置を補正する。なお、面実装部品がない場合、制御部60は、ステップS103の処理を実行しなくてもよい。
続いて、制御部60は、ステップS104として、第1のずれに基づいてマークの設計位置を補正する。具体的には、制御部60は、設計図970の情報からマークの設計位置(スルーホール座標設計値)を取得し、取得したマークの設計位置を第1のずれに基づいて補正する。より具体的には、制御部60は、マークの設計位置を、配線パターンと挿入穴とのずれがない場合に実際にマークが存在すると想定される位置へ補正する。
続いて、制御部60は、ステップS105として、画像認識によりマークの位置を検出する。制御部60は、ステップS101においてBOCを検出する際に、マークの検出も行ってもよい。
続いて、制御部60は、ステップS106として、検出したマークの位置と補正後のマークの設計位置とのずれ(第2のずれ)を算出する。第2のずれは、配線パターンのずれが補正された状態でのマークの位置及び方向のずれを示す。マークが複数ある場合、第2のずれは、マーク毎に算出される。
続いて、制御部60は、ステップS107として、第1のずれ及び第2のずれに基づいて挿入型電子部品(挿入部品)の実装位置を補正する。マークが複数ある場合、第2のずれとして、複数の第2のずれの相加平均又は加重平均を用いてもよい。加重平均の重みは、挿入型電子部品の実装位置の設計値とマークとが近いほど大きな値に設定される。
続いて、制御部60は、ステップS108として、第2のずれを記録する。マークが複数ある場合、第2のずれは、マーク毎に記録される。制御部60は、第2のずれを記録すると、本処理手順を終了する。
図10に示す処理手順では、第1のずれを介して挿入型電子部品の実装位置を間接的に補正する場合について説明した。しかしながら、補正の仕方は、これに限定されない。例えば、制御部60は、補正していないマークの設計位置と検出したマークの位置とのずれに基づいて、挿入型電子部品の実装位置を直接的に補正してもよい。
次に、図11を参照しながら、図9に示す第2の代表値に基づく位置補正処理について説明する。図11は、第2の代表値に基づく位置補正処理の処理手順の例を示すフローチャートである。
電子部品実装装置10の制御部60は、ステップS201として、実際のBOCの位置を検出する。制御部60は、ステップS202として、検出したBOCの位置とBOCの設計位置とのずれ(第1のずれ)を算出する。制御部60は、ステップS203として、第1のずれに基づいて、面実装部品の実装位置を補正する。面実装部品がない場合、制御部60は、ステップS203の処理を実行しなくてもよい。なお、ステップS201からS203は、上述したステップS101からS103の処理と同一である。
制御部60は、ステップS204として、第1のずれ及び第2の代表値に基づいて挿入型電子部品の実装位置を補正する。マークが複数ある場合、制御部60は、ステップS16で第2の代表値を算出せずに、ステップS204を実行するたびに第2の代表値を算出してもよい。例えば、ステップS107で説明したやり方で基板毎に第2のずれの加重平均を算出し、算出した加重平均の第2の代表値を算出してもよい。あるいは、制御部60は、基板の領域を細分化した領域毎に加重平均の第2の代表値を算出しておき、挿入型電子部品の実装位置に対応する領域の第2の代表値を採用してもよい。そして、制御部60は、実装位置の補正が終了すると、本処理手順を終了する。
次に、図12を参照しながら、基板8上に挿入型電子部品を実装する電子部品実装装置10の処理について説明する。ここでは、挿入型電子部品を実装する手順について説明する。図12は、挿入型電子部品の実装に関する処理手順の例を示すフローチャートである。
制御部60は、ステップS301として、保持移動を行う。ここで、保持移動(吸着移動)とは、ノズル32が部品供給ユニット14の保持領域にある電子部品80と対面する位置までヘッド本体30を移動させる処理動作である。
制御部60は、ステップS301で保持移動を行ったら、ステップS302として、ノズル32を下降させる。つまり、制御部60は、電子部品80を保持(吸着、把持)できる位置までノズル32を下方向に移動させる。制御部60は、ステップS302でノズル32を下降させたら、ステップS303として、ノズル32で電子部品80を保持し、ステップS304として、ノズル32を上昇させる。制御部60は、ステップS304でノズル32を所定位置まで上昇させたら、具体的には電子部品80をレーザ認識装置38の計測位置まで移動させたら、ステップS305として、ノズル32で吸着している電子部品80の形状を検出する。制御部60は、ステップS305で電子部品80の形状を検出したら、ステップS306としてノズルを上昇させる。なお、制御部60は、上述したようにステップS305で部品形状を検出し、保持した電子部品80が搭載不可であると判定した場合、電子部品80を廃棄し、再び電子部品80を吸着する。制御部60は、ノズルを所定位置まで上昇させたら、ステップS307として、搭載移動、つまりノズル32で吸着している電子部品80を基板8の搭載位置(実装位置)に対向する位置まで移動させる処理動作を行い、ステップS308として、ノズル32を下降させ、ステップS309として部品搭載(部品実装)、つまりノズル32から電子部品80を解放する処理動作を行い、ステップS310として、ノズル32を上昇させ、本処理手順を終了する。
次に、図13から図15を参照しながら、第1の代表値及びバラツキについて説明する。図13は、記録される第2のずれの例を示す図である。図14は、第2のずれが小さい場合の例を示す図である。図15は、第2のずれが大きい場合の例を示す図である。以下の説明では、所定枚数は5枚であり、マークの数は1つであると想定する。
図14及び図15に示す位置Paは、マークの設計値を基板毎に検出された第1のずれに基づいて補正した位置であり、円C1は、位置Paを中心とする半径84rの円である。半径84rは、リード84が挿入される挿入穴の半径である。図13から図15に示す位置P11〜P15及び位置P21〜P25は、基板毎に実際に検出されたマークの中心の位置を示している。図13において、位置P11〜P15は、位置Paに対応する相対位置として記録されている。
図13及び図14に示す例では、XY平面における位置P11、P12、P13、P14、及びP15の座標は、それぞれ、(−X1、+Y1)、(−X2、−Y2)、(+X3、+Y3)、(+X4、−Y4)、及び(+X5、+Y5)となっている。位置Paと位置P11、P12、P13、P14、及びP15とのずれは、それぞれの基板における第2のずれに相当する。この例のように、第2のずれが円C1に対して十分に小さい場合、第2のずれの第2の代表値に基づく補正により、実際の挿入穴の位置を、挿入ミスが発生する誤差よりも小さい誤差で予想できる可能性が高い。
図15に示す例では、位置P21、P22、P23、P24、及びP25のうち、位置P22及びP23が円C1から外れている。この例のように、第2のずれが円C1に対して大きい場合、第2のずれの第2の代表値に基づく補正により予想した位置が挿入穴の外部となる頻度が高くなり、挿入ミス等の障害が発生する確率が高い。このような場合、電子部品実装装置10は、生産を一時停止して、画像認識によって挿入穴を検出する処理を基板毎に行うかをユーザに問い合わせる。
第2のずれが円C1に対して十分に小さいか否かは、第2のずれの第1の代表値又はバラツキと、閾値とに基づいて判定される。
バラツキが判定に用いられる場合、バラツキは、例えば、位置P11、P12、P13、P14、及びP15の平均の位置(位置P11、P12、P13、P14、及びP15を頂点とする多角形の重心)から各位置への距離の標準偏差の3倍の値として算出される。この場合、閾値は、例えば、半径84rに0より大きく1以下の係数を乗じた値である。この方式では、位置P11、P12、P13、P14、及びP15が、位置Paから大きく離れていても、第2のずれが円C1に対して十分に小さいと判定されることがある。この方式は、生産数が比較的多い場合(所定枚数が大きな値に設定される場合)に適している。
代表値の一種である平均値が判定に用いられる場合、平均値は、例えば、位置P11、P12、P13、P14、及びP15の中心(位置P11、P12、P13、P14、及びP15を頂点とする多角形の重心)から位置Paまでの距離として算出される。この場合、閾値は、例えば、半径84rに0より大きく1以下の係数を乗じた値である。この方式は、生産数が比較的少ない場合に適している。
代表値の一種である最大値が判定に用いられる場合、最大値は、例えば、位置P11、P12、P13、P14、及びP15のうち位置Paから最も遠いものから位置Paまでの距離として算出される。この場合、閾値は、例えば、半径84rに0より大きく1以下の係数を乗じた値である。この方式は、生産数が比較的少ない場合に適している。
次に、図16及び図17を参照しながら、電子部品実装装置10によって挿入型電子部品を実装する場合の補正例について説明する。図16は、画像認識に基づく位置補正処理における挿入型電子部品の実装位置の補正について説明するための図である。図17は、第2の代表値に基づく位置補正処理における挿入型電子部品の実装位置の補正について説明するための図である。
図16及び図17に示す例では、基板8に対応する設計図には、BOC990の設計位置(設計値情報)と、マーク991設計位置(設計値情報)と、挿入型電子部品のリードが挿入される他の挿入穴の設計位置(設計値情報)とが含まれているものと想定する。
画像認識に基づく位置補正処理では、電子部品実装装置10は、図16に示すように、撮影装置36によって撮影された基板8の画像から、実際のBOC990aを検出する。電子部品実装装置10は、BOC990の設計位置と実際のBOC990aの位置とのずれを、第1のずれmaとして算出する。図16中の矢印で示す第1のずれmaは、BOC990の設計位置から実際のBOC990aの位置へのずれ量、ずれ方向を示す。
電子部品実装装置10は、マーク991の設計位置を第1のずれmaに基づいて補正することにより、補正後のマーク991aの位置を算出する。電子部品実装装置10は、撮影装置36によって撮影された画像から、実際のマーク991bの位置を取得し、補正後のマーク991aの位置と実際のマーク991bの位置とのずれを、第2のずれmbとして算出し、第2の代表値mdを算出するために記憶する。図16中の矢印で示す第2のずれmbは、補正後のマーク991aの位置から実際のマーク991bの位置へのずれ量、ずれ方向を示している。電子部品実装装置10は、それぞれの挿入型電子部品の設計位置を、第1のずれma及び第2のずれmbに基づいて補正することにより、実際の挿入穴の位置を予想する。
第2の代表値mdに基づく位置補正処理では、電子部品実装装置10は、図17に示すように、撮影装置36によって撮影された基板8の画像から、実際のBOC990cを検出する。電子部品実装装置10は、BOC990の設計位置と実際のBOC990cの位置とのずれを、第1のずれmcとして算出する。図17中の矢印で示す第1のずれmcは、BOC990の設計位置から実際のBOC990cの位置へのずれ量、ずれ方向を示す。
電子部品実装装置10は、マーク991を、第1のずれmcに基づいて補正することにより、現在の基板8における配線パターンのずれの分だけ位置を補正したマーク991cの位置を算出する。電子部品実装装置10は、さらに、マーク991cの位置を第2の代表値mdに基づいて補正することにより、実際のマーク991dの位置を予想する。電子部品実装装置10は、同様に、それぞれの挿入型電子部品の設計位置を、第1のずれmc及び第2の代表値mdに基づいて補正することにより、実際の挿入穴の位置を予想する。
上述した実施形態では、挿入穴をマークとして用いる場合について説明したが、マークはこれに限定されない。マークは、予想する位置(例えば、挿入穴)と同じ工程にて形成され、位置の基準として用いることができるものであればよい。例えば、マークは、電子部品のリード等が挿入されない、位置の基準としてのみ用いられる穴であってもよい。
上述した実施形態では、電子部品実装装置10は、挿入穴の位置を予想する場合について説明したが、予想する位置は、これに限定されない。例えば、予想する位置は、搭載型電子部品の実装位置であってもよい。この場合、第1のずれが第2のずれとして扱われ、第1のずれはないものとして処理される。
上述した実施形態では、電子部品実装装置10は、実装位置の補正を図面単位で一括して行い、その後に電子部品を実装する場合について説明したが、補正及び実装の仕方はこれに限定されない。例えば、電子部品実装装置10は、実装位置の補正を、図面単位で一括して行わずに、電子部品を実装する際に電子部品毎に行うように構成されてもよい。