JP2014130706A - 蓄電デバイス用正極および蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】正極活物質であるポリアニリンの酸化状態によらず、優れた放電特性を有し、保存性、取扱い性に優れた蓄電デバイス用正極を提供する。
【解決手段】ポリアニリンを含む蓄電デバイス用正極であって、正極中のポリアニリン酸化体の割合がポリアニリン全体の0.01〜75%である。
【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電デバイス用正極およびそれを用いた蓄電デバイスに関するものである。
近年、携帯型PC、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等における電子技術の進歩、発展に伴い、これら電子機器の蓄電デバイスとして、繰り返し充放電することができる二次電池等が広く用いられている。このような二次電池等の電気化学的蓄電デバイスにおいては、電極として使用する材料の高容量化が望まれる。
蓄電デバイスの電極は、イオンの挿入・脱離が可能な機能を有する活物質を含有する。活物質のイオンの挿入・脱離は、いわゆるドーピング・脱ドーピングとも称され、一定の分子構造あたりのドーピング・脱ドーピング量をドープ率(またはドーピング率)と呼び、ドープ率が高い材料ほど、電池としては高容量化が可能となる。
電気化学的には、イオンの挿入・脱離の量が多い材料を電極として使用することにより、電池として高容量化が可能となる。より詳しく述べると、蓄電デバイスとして注目されるリチウムイオン二次電池(以下、「リチウム二次電池」と略す。)においては、リチウムイオンを挿入・脱離することができるグラファイト系の負極が用いられ、6つの炭素原子あたり1つ程度のリチウムイオンが挿入・脱離し高容量化が得られている。
このようなリチウム二次電池のなかでも、正極にマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムのようなリチウム含有遷移金属酸化物を用い、負極にリチウムイオンを挿入・脱離し得る炭素材料を用い、両電極を電解液中で対峙させたリチウム二次電池は、高エネルギー密度を有するようになるため、上述した電子機器の蓄電デバイスとして広く用いられている。
しかし、上記リチウム二次電池は、電気化学反応によって電気エネルギーを得る二次電池であって、上記電気化学反応の速度が小さいために、出力密度が低いという欠点がある。さらに、二次電池の内部抵抗が高いため、急速な放電は困難であるとともに、急速な充電も困難となっている。また、充放電に伴う電気化学反応によって電極や電解液が劣化するため、一般に寿命、すなわち、サイクル特性もよくない。
そこで、上記の問題を改善するため、ドーパントを有するポリアニリンのような導電性ポリマーを正極活物質に用いるリチウム二次電池も知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、一般に、導電性ポリマーを正極活物質として有する二次電池は、充電時には導電性ポリマーにアニオンがドープされ、放電時にはそのアニオンがポリマーから脱ドープされるアニオン移動型である。そのため、負極活物質にリチウムイオンを挿入・脱離し得る炭素材料等を用いたときは、充放電時にカチオンが両電極間を移動するカチオン移動型のロッキングチェア型二次電池を構成することができない。すなわち、ロッキングチェア型二次電池は電解液量が少なくてすむという利点を有するが、上記導電性ポリマーを正極活物質として有する二次電池はそれができず、蓄電デバイスの小型化に寄与することができない。
このような問題を解決するために、電解液を大量に必要とせず、電解液中のイオン濃度を実質的に変化させないとともに、これにより体積や重量あたりの容量密度、エネルギー密度の向上を目的とした、カチオン移動型の二次電池も提案されている。これは、ドーパントとしてポリビニルスルホン酸のようなポリマーアニオンを有する導電性ポリマーを用いて正極を構成し、負極にリチウム金属を用いているものである(特許文献2参照)。
特開平3−129679号公報 特開平1一132052号公報
上記のような二次電池において、例えば活物質にポリアニリンを使用した場合、ポリアニリンがドープ状態と脱ドープ状態とを遷移することで、電池としての放充電を可能としている。しかしながら、ポリアニリンは空気中では酸化されやすく、容易にキノンジイミン構造に異性化される性質を有する。このため、ポリアニリンは活物質としては保存性、取扱い性に問題があり、実際の使用にあたっては、予め還元処理等の前処理が必要と考えられていた。
本発明は、正極活物質であるポリアニリンの酸化状態によらず、優れた放電特性を有し、保存性、取扱い性に優れた蓄電デバイス用正極およびそれを用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
本発明者らは、正極活物質であるポリアニリンの酸化状態によらず、優れた放電特性を有し、保存性、取扱い性に優れた蓄電デバイスを得るために鋭意検討を重ねた。従来、ポリアニリンは使用時には還元状態であることが必要であると思われてきた。しかしながら、還元状態のポリアニリンは不安定で、初回の充放電サイクルにおいて、低い充電挙動を示す傾向にあることから、充放電サイクル安定性に劣る。本発明者らは、ポリアニリンの充放電機構には、酸化脱ドープ状態も関与していることを突き止め、実験を重ねた結果、蓄電デバイス用正極中のポリアニリン酸化体の割合をポリアニリン全体の0.01〜75%の範囲に調整することにより、所期の目的を達成できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ポリアニリンを含む蓄電デバイス用正極であって、正極中のポリアニリン酸化体の割合がポリアニリン全体の0.01〜75%である蓄電デバイス用正極を第一の要旨とする。
また、本発明は、電解質層と、これを挟んで設けられる正極と負極とを有する蓄電デバイスであって、上記正極が、上記第一の要旨の蓄電デバイス用正極である蓄電デバイスを第二の要旨とする。
このように、本発明の蓄電デバイス用正極は、正極中のポリアニリン酸化体の割合がポリアニリン全体の0.01〜75%の範囲に調整されているため、正極活物質であるポリアニリンの酸化状態によらず、優れた放電特性を有し、保存性、取扱い性に優れた蓄電デバイスを得ることができる。すなわち、ポリアニリン酸化体の割合を低くコントロールすることにより、初回からフルで放電でき、充放電サイクル安定性に優れた蓄電デバイスを得ることができる。一方、ポリアニリン酸化体の割合を高くコントロールすることにより、保存性、取り扱い性に優れた蓄電デバイスを得ることができる。
そして、本発明の蓄電デバイス用正極が、アニオン性材料を含むバインダーと、導電助剤とを含有する場合には、放電特性、保存性、取扱い性がさらに良好となる。
また、上記アニオン性材料がポリアクリル酸である場合には、放電特性がより一層向上する。
さらに、上記ポリアニリン酸化体の割合がポリアニリン全体の0.01〜20%である場合には、初回からフルで充電でき、充放電サイクル特性にさらに優れるようになる。
また、上記ポリアニリン酸化体の割合がポリアニリン全体の30〜75%である場合には、保存性および取り扱い性がより一層向上する。
本発明の蓄電デバイスの一例を示す模式的な断面図である。 酸化型および還元型のポリアニリン粉末を、CP/MS法により測定したNMRスペクトルのグラフ図を示す(図の上半分は酸化型、図の下半分は還元型)。 酸化状態の異なる各ポリアニリン粉末を、DD/MAS法により測定したNMRスペクトル(太線)とそのデータのカーブフィッティング(細線)のグラフ図を示す。 酸化度の異なる各ポリアニリン粉末を、Ge−ATR法により測定したFT−IR(赤外)スペクトルのグラフ図を示す(1400〜1650cm-1の範囲に限定)。 酸化度の異なる各ポリアニリン粉末の、IR吸光度比を縦軸とし、酸化体の割合を横軸とする検量線図を示す。 実施例1〜4の各蓄電デバイスの正極中のポリアニリンを、Ge−ATR法により測定したFT−IR(赤外)スペクトルのグラフ図を示す。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明は、以下の内容に限定されない。
本発明の蓄電デバイス用正極(以下、単に「正極」と略す場合がある。)は、ポリアニリンを含む蓄電デバイス用正極であって、正極中のポリアニリン酸化体の割合がポリアニリン全体の0.01〜75%であることを特徴とする。
本発明の蓄電デバイス用正極は、例えば、図1に示すように、電解質層3と、これを挟んで対向して設けられた正極2と負極4とを有する蓄電デバイスの正極2として用いられる。図1において、1は正極集電体、5は負極集電体を示す。
以下、上記正極、電解質層、負極について順に説明する。
<正極>
本発明の正極は、ポリアニリンを含有する活物質粒子等の正極形成用材料を用いてなる。
〔ポリアニリン〕
本発明の正極に使用するポリアニリンは、ポリアニリン誘導体であってもよい。本発明において、上記ポリアニリンとは、アニリンを電解重合させ、または化学酸化重合させて得られるポリマーをいい、ポリアニリン誘導体とは、例えば、アニリンの誘導体を電解重合もしくは化学酸化重合させて得られるポリマーをいう。
上記アニリンの誘導体としては、アニリンの4位以外の位置にアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基等の置換基を少なくとも1つ有するものを例示することができる。好ましい具体例としては、例えば、o−メチルアニリン、o−エチルアニリン、o−フェニルアニリン、o−メトキシアニリン、o−エトキシアニリン等のo−置換アニリンや、m−メチルアニリン、m−エチルアニリン、m−メトキシアニリン、m−エトキシアニリン、m−フェニルアニリン等のm−置換アニリンがあげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
以下、本発明において、特に断らない限り「アニリンまたはその誘導体」を単に「アニリン」といい、また、「ポリアニリンおよびポリアニリン誘導体の少なくとも一方」を単に「ポリアニリン」という。したがって、導電性ポリマーを構成するポリマーがアニリン誘導体から得られる場合であっても、「導電性ポリアニリン」ということがある。
なお、本発明の正極形成用材料には、本発明の目的を損なわない限り、上記ポリアニリンとともに、ポリアニリン以外の導電性ポリマーを併用しても差し支えない。
上記ポリアニリン以外の導電性ポリマーの具体例としては、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリイソチアナフテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリアズレン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)等があげられる。
〔活物質粒子〕
前記活物質粒子は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、まず、上記導電性ポリマーであるポリアニリンと、必要に応じて溶媒や他の添加物等とを、粉砕混合装置を用いてせん断処理することにより得られる。上記粉砕混合装置としては、例えば、乾式ボールミル、湿式ボールミル、ビーズミル、アトライター、JETミル微粒化装置等があげられ、好ましくは乾式ボールミルが用いられる。
また、上記ボールミル法において使用する粉砕ボールの直径は、適切なせん断処理ができる点から、0.1〜10mmであることが好ましく、さらに好ましくは1〜7mmである。
上記活物質粒子の粒子径(メディアン径)は、0.001〜1000μmが好ましく、特に好ましく0.01〜100μmであり、最も好ましくは0.1〜20μmである。上記メディアン径は、例えば、動的光散乱式粒径分布測定装置等を用いて、光散乱法により測定することができる。
なお、本発明の正極形成用材料(正極用スラリー)には、上記導電性ポリマーを含む
活物質粒子の他に、導電助剤、バインダー等を必要に応じて適宜加えることができる。
〔導電助剤〕
上記導電助剤としては、蓄電デバイスの放電時に印加する電位によって性状の変化しない導電性材料であればよく、例えば、導電性炭素材料、金属材料等があげられ、なかでも、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電性カーボンブラックや、炭素繊維、カーボンナノチューブ等の繊維状炭素材料が好ましく用いられ、特に好ましくは導電性カーボンブラックである。
上記導電助剤の配合量は、上記ポリアニリン100重量部に対して1〜30重量部であることが好ましく、4〜20重量部であることが更に好ましく、8〜18重量部であることが特に好ましい。
〔バインダー〕
上記バインダーとしては、例えば、アニオン性材料、フッ化ビニリデン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、アニオン性材料を主成分とするバインダーが好ましい。ここで、主成分とは、全体の過半を占める成分のことをいい、全体が主成分のみからなる場合も含む。
上記アニオン性材料としては、例えば、ポリアニオンや分子量の比較的大きなアニオン化合物、電解液に溶解性の低いアニオン化合物等があげられる。さらに詳細には、分子中にカルボキシル基を有する化合物が好ましく用いられ、特にポリカルボン酸が好ましく用いられる。上記アニオン性材料としてポリカルボン酸を用いた場合は、ポリカルボン酸がバインダーとしての機能を有するとともに、ドーパントとしても機能することから、蓄電デバイスの特性が向上する。
上記ポリカルボン酸としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニル安息香酸、ポリアリル安息香酸、ポリメタリル安息香酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸が好ましい。
上記ポリカルボン酸としては、分子中にカルボキシル基を有する化合物のカルボン酸をリチウム型にするものがあげられる。リチウム型への交換率は、好ましくは100%であるが、状況に応じて交換率は低くてもよく、好ましくは40〜100%である。
上記アニオン性材料は、上記ポリアニリン100重量部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくは2〜70重量部、最も好ましくは5〜40重量部の範囲で用いられる。上記アニオン性材料の量が少なすぎると、エネルギー密度に優れる蓄電デバイスを得ることができない傾向にあり、アニオン性材料の量が多すぎても、重量エネルギー密度の高い蓄電デバイスを得ることができない傾向にある。
本発明の正極は、例えば、つぎのようにして形成される。すなわち、上記ポリカルボン酸等のアニオン性材料を水に溶解して水溶液とし、これにポリアニリンを含む活物質粒子と、必要に応じて、導電性カーボンブラック等の導電助剤、あるいはフッ化ビニリデン、スチレン−ブタジエンゴム等のバインダーを加え、充分に分散させて、ペーストを調製し、これを集電体上に塗布した後、水を蒸発させることによって、集電体上に活物質粒子とアニオン性材料と(必要に応じて、導電助剤とバインダー)の均一な混合物の層を有する複合体としてシート電極を得ることができる。
本発明においては、正極中のポリアニリン酸化体の割合がポリアニリン全体の0.01〜75%であることが特徴であるが、初回からフルで放電できる観点からは、ポリアニリン酸化体の割合は25%未満であることが好ましく、さらに好ましくは20%以下であり、特に好ましくは15%以下であり、殊に好ましくは10%以下である。一方、ポリアニリンの合成簡便性や保存性の観点からは、30%以上であることが好ましく、さらに好ましくは40%以上であり、特に好ましくは50%以上である。
すなわち、ポリアニリン酸化体の割合がポリアニリン全体の0.01〜25%の範囲内であると、充放電サイクルの初期段階からフルで放電することができ、充放電サイクル特性にさらに優れるようになるため好ましい。一方、ポリアニリン酸化体の割合がポリアニリン全体の30〜75%の範囲内であると、ポリアニリンの合成において、これまで必須と考えられてきた還元工程、及び正極材料に供する際の前処理としての還元工程を省くことが可能となり、保存性、取り扱い性がさらに優れるようになるため好ましい。
正極中のポリアニリン酸化体の割合の調整は、例えば、シート電極を乾燥した後、窒素雰囲気化のグローブボックスにシート電極を移動させ、ポリアニリン酸化体の割合が所定の範囲(0.01〜75%)になるよう、還元剤(例えば、フェニルヒドラジン)の添加量をポリアニリンに対して化学量論的に調整することにより行うことができる。ここで、還元剤の一例であるフェニルヒドラジンの還元反応につき下記化学反応式を示す。
Figure 2014130706
また、ポリアニリンは粉の状態であっても、同様に還元処理をすることができる。ただし、シート電極作製時の諸工程により酸化度が上昇してしまうことから、酸化度の調整はシート電極作製後に行うことが好ましい。
<ポリアニリン酸化体の割合の測定方法>
本発明における正極中のポリアニリン酸化体の割合は、例えば、つぎのようにして測定することができる。すなわち、固体13CNMRスペクトルと、Ge−ATR法で測定したFT−IR(赤外)スペクトルとで検量線を作成し、検量線から酸化体の割合を求めることができる。
まず、固体13CNMR(以下、「固体NMR」と略す)スペクトルの測定条件等は、以下の通りである。
〔固体NMR測定〕
装置 :Bruker Biospin社製、AVANCE 300
観測核種 :13
観測周波数 :75.5MHz
測定法 :CP/MAS、DD/MAS
測定温度 :室温(25℃)
化学シフト基準 :glycine(176ppm)
固体NMRの測定方法にはCP/MAS法とDD/MAS法とがあり(CP: Cross Polarization、MAS: Magic Sample Spinning、DD : Dipole Decoupling)、CP/MAS法は測定時間が短くピーク強度が強く出るが定量性が無い(ピーク毎に検出感度異なる)。一方、DD/MAS測定はピーク強度は弱いが定量性がある測定方法である。
CP/MAS法で測定した酸化脱ドープ状態のポリアニリン粉末と還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末のNMRスペクトルを図2に示す。また、ポリアニリン構造の還元型と酸化型について一部分を抜き出した化学式を下記一般式(1)に示す。
Figure 2014130706
上記式(1)に示すように、ポリアニリンの酸化型はキノンジイミン構造を有し、ポリアニリンの還元型はキノンジイミン構造を有しないことが分かる。ここで、図2のCP/MAS法でポリアニリンを測定したNMRスペクトルより、キノンジイミン構造由来のピーク、すなわち158ppmのピークが図2の上図には存在するが、図2の下部からは消失している。このことから、キノンジイミンが存在する図2の上図はポリアニリンの酸化型であり、キノンジイミンが消失した図2の下図はポリアニリンの還元型であることが確認できる。
次に、還元型と酸化型の割合を正確に見積もるため、前記のポリアニリン酸化体の割合の調製(例えば、還元剤の添加量により調製)することにより、酸化状態の異なる(1)〜(6)のポリアニリンを調製した。ここで(1)〜(5)につき、DD/MAS法によるNMRスペクトル測定を行った。各種ポリアニリンのDD/MAS法によるNMRスペクトルとそのデータのカーブフィッティングの結果を図3に示す。なお、カーブフィッティングは最少二乗法にて行った。なお、(6)はCP/MAS法の測定結果である図2の還元型において示されている。
そして、図3の酸化状態の異なる(1)〜(5)のポリアニリン粉末のカーブフィッティングの結果から求めた158ppmピークの面積の割合と、また、それから求めた酸化型/還元型の定量結果の割合を下記表1に示す。(6)のポリアニリン粉末においては、CP/MAS法で測定したNMRスペクトルより、158ppmのピークがないことから、ピーク面積割合を0として下記表1に併せて示す。なお、前記のようにCP/MAS法で測定したNMRスペクトルには定量性はないが、(6)のポリアニリン粉末に158ppmのピークがないことから、図3に示した定量性のDD/MAS法によるまでもなく、結局ピーク面積が0であることが分かる。
Figure 2014130706
次に、上記固体NMRで測定した(1)〜(6)のポリアニリン粉末を、Ge−ATR法によりFT−IR(赤外)スペクトルを測定し、その結果を1400〜1650cm-1の範囲に限定して図4に示す。この測定条件等は以下の通りである。
〔FT−IR(赤外)測定〕
装置 :Thermo Fisher Scientific社製、Magna760
測定モード:一回反射
入射角 :45°
IR結晶 :Ge
分解能 :4cm-1
測定範囲 :4000〜650cm-1
積算回数 :64回
検出器 :DTGS
図4より、酸化体の割合が増えるに従い、1596cm-1のピークが増大することが分かる。一般的にFT−IR測定には定量性がないため、上記測定した固体NMRの結果と合わせて、検量線を作成する。
〔検量線の作成〕
上記(1)〜(6)のポリアニリン粉末の固体NMR測定により得られた酸化体の割合(%)と、FT−IR測定により得られた1596cm-1/1496cm-1の吸光度比の結果を下記表2に示す。
Figure 2014130706
上記表2に記載の吸光度比を縦軸とし、固体NMRから算出した酸化体の割合を横軸として、検量線を作成し、図5に示す。この検量線を用いることによって、FT−IRを測定することで簡易的に酸化体と還元体の割合を求めることができる。
本発明の正極は、好ましくは多孔質シートに形成され、その厚みは、通常、1〜500μmであり、好ましくは10〜300μmである。上記正極の厚みは、例えば、先端形状が直径5mmの平板であるダイヤルゲージ(尾崎製作所社製)を用いて測定し、電極の面に対して10点の測定値の平均を求めることにより算出できる。なお、集電体上に正極(多孔質層)が設けられ複合化している場合には、その複合化物の厚みを上記と同様に測定して測定値の平均を求め、この値から集電体の厚みを差し引いて計算することにより正極の厚みが求められる。
<電解質層>
先に述べた電解質層は、電解質により構成されるが、例えば、セパレータに電解液を含浸させてなるシートや、固体電解質からなるシートが好ましく用いられる。固体電解質からなるシートは、それ自体がセパレータを兼ねている。
上記電解質は、溶質と、必要に応じて溶媒と各種添加剤とを含むものから構成される。上記溶質としては、例えば、リチウムイオンなどの金属イオンとこれに対する適宜のカウンターイオン、例えば、スルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ素イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン、ハロゲンイオン等を組み合わせてなるものが好ましく用いられる。上記電解質の具体例としては、LiCF3SO3、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiCl等をあげることができる。
上記溶媒としては、例えば、カーボネート類、ニトリル類、アミド類、エーテル類等の少なくとも1種の非水溶媒、すなわち有機溶媒が用いられる。このような有機溶媒の具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N′−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン等をあげることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、上記溶媒に溶質が溶解したものを「電解液」ということがある。
<セパレータ>
また、本発明においては、セパレータを各種の態様で用いることができる。上記セパレータとしては、これを挟んで対向して配設される正極と負極の間の電気的な短絡を防ぐことができ、さらに電気化学的に安定であり、イオン透過性が大きく、ある程度の機械強度を有する絶縁性の多孔質シートであればよい。したがって、上記セパレータの材料としては、例えば、紙、不織布や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド等の樹脂からなる多孔性のフィルムが好ましく用いられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
<負極>
先に述べた負極としては、金属またはイオンを挿入・脱離し得る負極物質(負極活物質)を用いて形成されたものが好ましい。上記負極活物質としては、金属リチウムや、酸化・還元時にリチウムイオンが挿入・脱離し得る炭素材料や遷移金属酸化物、シリコン、スズなどが好ましく用いられる。なお、負極の厚みは、正極の厚みに準ずることが好ましい。
<正極集電体、負極集電体>
ここで図1における正極集電体1、負極集電体5について説明する。これら集電体の材料としては、例えば、ニッケル、アルミ、ステンレス、銅等の金属箔や、メッシュ等があげられる。なお、正極集電体と負極集電体とは、同じ材料で構成されていても、異なる材料で構成されていても差し支えない。
<蓄電デバイス>
つぎに、本発明の正極を用いた蓄電デバイスについて説明する。本発明の蓄電デバイスとしては、例えば、図1に示すように、電解質層3と、これを挟んで対向して設けられた正極2と負極4とを有するものがあげられる。
本発明の蓄電デバイスは、上記負極等の材料を用いて、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、上記正極と負極との間にセパレータが配置されるように積層し、積層体を作製し、この積層体をアルミニウムラミネートパッケージ等の電池容器内に入れた後、真空乾燥する。つぎに、真空乾燥した電池容器内に電解液を注入し、電池容器であるパッケージを封口することにより、蓄電デバイスを作製することができる。なお、パッケージへの電解液注入等の電池の作製は、グローブボックス中、超高純度アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明の蓄電デバイスは、上記ラミネートセル以外に、フィルム型、シート型、角型、円筒型、ボタン型等種々の形状に形成される。また、蓄電デバイスの正極電極サイズとしては、ラミネートセルであれば1辺が、1〜300mmであることが好ましく、特に好ましくは10〜50mmであり、負極の電極サイズは1〜400mmであることが好ましく、特に好ましくは10〜60mmである。負極の電極サイズは、正極電極サイズより、わずかに大きくすることが好ましい。
また、本発明の蓄電デバイスは、電気二重層キャパシタのように、重量出力密度とサイクル特性に優れるとともに、従来の電気二重層キャパシタの重量エネルギー密度よりも非常に高い重量エネルギー密度を有する。そのため、本発明の蓄電デバイスは、キャパシタ的蓄電デバイスであると言える。
つぎに、実施例について説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例となる蓄電デバイスの作製に先立ち、下記に示す各成分を調製した。
<テトラフルオロホウ酸をドーパントとする導電性ポリアニリン粉末の調製>
テトラフルオロホウ酸をドーパントとする導電性ポリアニリン(導電性ポリマー)の粉末を、下記のように調製した。すなわち、イオン交換水138gを入れた300mL容量のガラス製ビーカーに、42重量%濃度のテトラフルオロホウ酸水溶液(和光純薬工業社製、試薬特級)84.0g(0.402mol)を加え、磁気スターラーにて撹拌しながら、これにアニリン10.0g(0.107mol)を加えた。テトラフルオロホウ酸水溶液にアニリンを加えた当初は、アニリンは、テトラフルオロホウ酸水溶液に油状の液滴として分散していたが、その後、数分以内に水に溶解し、均一で透明なアニリン水溶液になった。このようにして得られたアニリン水溶液を低温恒温槽を用いて−4℃以下に冷却した。
つぎに、酸化剤として二酸化マンガン粉末(和光純薬工業社製、試薬1級)11.63g(0.134mol)を、上記アニリン水溶液中に少量ずつ加えて、ビーカー内の混合物の温度が−1℃を超えないようにした。このようにして、アニリン水溶液に酸化剤を加えることによって、アニリン水溶液は直ちに黒緑色に変化した。その後、しばらく撹拌を続けたとき、黒緑色の固体が生成し始めた。
このようにして、80分間かけて酸化剤を加えた後、生成した反応生成物を含む反応混合物を冷却しながら、さらに100分間撹拌した。その後、ブフナー漏斗と吸引瓶を用いて、得られた固体をNo.2濾紙にて吸引濾過して、粉末を得た。この粉末を約2mol/Lのテトラフルオロホウ酸水溶液中にて磁気スターラーを用いて撹拌洗浄した。ついで、アセトンにて数回、撹拌洗浄し、これを減圧濾過した。得られた粉末を室温(25℃)で10時間真空乾燥することにより、テトラフルオロホウ酸をドーパントとする導電性ポリアニリン(以下、単に「導電性ポリアニリン」という)12.5gを得た。この導電性ポリアニリンは鮮やかな緑色粉末であった。
(導電性ポリアニリン粉末の電導度)
上記導電性ポリアニリン粉末130mgを瑪瑙製乳鉢で粉砕した後、赤外スペクトル測定用KBr錠剤成形器を用い、75MPaの圧力下に10分間真空加圧成形して、厚み720μmの導電性ポリアニリンのディスクを得た。ファン・デル・ポー法による4端子法電導度測定にて測定した上記ディスクの電導度は、19.5S/cmであった。
(酸化脱ドープ状態の導電性ポリアニリン粉末の調製)
上記により得られたドープ状態である導電性ポリアニリン粉末を、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、3Lセパラブルフラスコ中にて30分間撹拌し、中和反応によりドーパントのテトラフルオロホウ酸を脱ドープした。濾液が中性になるまで脱ドープしたポリアニリンを水洗した後、アセトン中で撹拌洗浄し、ブフナー漏斗と吸引瓶を用いて減圧濾過し、No.2濾紙上に、脱ドープしたポリアニリン粉末を得た。これを室温下、10時間真空乾燥して、茶色の酸化脱ドープ状態のポリアニリン粉末を得た。
なお、この状態を完全に近い酸化体とし、後述する実施例1のポリアニリン粉末はこれを用いた。このポリアニリン粉末の酸化体の割合は、ポリアニリン全体の55%であった。
また、上記得られた酸化脱ドープ状態のポリアニリン粉末を、以下の調製を行うことにより酸化状態を変化させ、これを後記の実施例2および3のポリアニリン粉末に用いた。
(還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末の調製)
つぎに、ポリアニリン粉末の酸化状態を変化させるため、下記の方法による還元を行った。フェニルヒドラジンのメタノール水溶液中に、この酸化脱ドープ状態のポリアニリン粉末を入れ、撹拌下30分間還元処理を行った。ポリアニリン粉末の色は、還元により、茶色から灰色に変化した。反応後、メタノール洗浄、アセトン洗浄し、濾別後、室温下真空乾燥し、還元脱ドープ状態のポリアニリンを得た。このポリアニリン粉末の酸化体の割合は、ポリアニリン全体の15%であった。アセトンを溶媒として用いた、光散乱法による上記粒子のメディアン径は13μmであった。
〔実施例1〕
(ポリアニリン酸化体の割合が61%である電極を使用して作製した電池)
<バインダー溶液の調製>
ポリアクリル酸(和光純薬工業社製、重量平均分子量100万)を水に溶解し、4.4重量%濃度の均一で粘稠なポリアクリル酸水溶液20.5gを得た。このポリアクリル酸水溶液に、水酸化リチウム0.15gを加え、再度溶解させアクリル酸部位の50%がリチウムに置換したポリアクリル酸−ポリアクリル酸リチウム複合体溶液を調製した。
<スラリーの調製>
つぎに、上記で得た酸化状態のポリアニリン粉末(酸化体55%)4gと、導電助剤である導電性カーボンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)粉末0.5gと、水4gとを混合した後、これに前記で得たポリアクリル酸−ポリアクリル酸リチウム複合体溶液20.5gを加え、スパチュラでよく練った後、超音波式ホモジナイザーにて5分間超音波処理を施し、フィルミックス40−40型(プライミックス社製)を用いて、流動性を有するスラリーを得た。このスラリーをあわとり練太郎(シンキー社製)を用い、3分間脱泡操作を行った。
<ポリアニリンシート電極の作製>
上記スラリーを、卓上型自動塗工装置(テスター産業社製)を用いて、マイクロメーター付きドクターブレ−ド式アプリケータによって、塗工厚みを360μmに調整し、塗布速度10mm/秒にて、電気二重層キャパシタ用エッチングアルミニウム箔(宝泉社製、30CB)上に塗布した。つぎに、室温(25℃)で45分間放置した後、温度100℃のホットプレート上で乾燥し、ポリアニリンシート電極を作製した。
<リチウム二次電池の作製>
上記ポリアニリンシート電極を正極として用い、セパレータとしては不織布(宝泉社製、TF40−50)を用いて、リチウム二次電池を、以下のように組み立てた。上記正極シートとセパレータは、セルへの組立前に、真空乾燥機にて100℃で5時間、真空乾燥した。負極としては、金属リチウム(本城金属社製、厚み50μm)を用い、電解液には1モル/dm3濃度のテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)のエチレンカーボネート/ジメチルカーボネート溶液(キシダ化学社製)を用いた。リチウム二次電池は、露点−100℃のグローブボックス中、超高純度アルゴンガス雰囲気下に組み立てた。
なお、上記正極中のポリアニリン酸化体の割合は、正極中のポリアニリンをFT−IR測定し、これを前記した、固体NMR測定結果とGe−ATR法により得られたFT−IR測定結果とで作成した検量線を用いて求めることにより得られる。
このようにして求めたポリアニリン酸化体の割合は61%であった。なお、電極中の酸化体割合を求めるにあたっては、ポリアニリン以外の電極成分による計算誤差を抑えるため、スペクトルの補正を行っている。
〔実施例2〕
(ポリアニリン酸化体の割合が31%である電極を使用して作製した電池)
上記調製により得られた還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末を用いて、空気中、ホットプレート上80℃で3時間加熱処理した。このようにして得られたポリアニリン粉末を、実施例1の酸化状態のポリアニリン粉末(酸化体55%)に代えて用いる以外は、実施例1と同様の方法で電池を作製した。
上記正極中のポリアニリン酸化体の割合を、実施例1と同様にして求めた結果、酸化体の割合はポリアニリン全体の31%であった。
〔実施例3〕
(ポリアニリン酸化体の割合が28%である電極を使用して作製した電池)
還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末を加熱処理をしない以外は、実施例2と同様にして、電池を作製した。
上記正極中のポリアニリン酸化体の割合を、実施例1と同様にして求めた結果、ポリアニリン酸化体の割合はポリアニリン全体の28%であった。なお、上記実施例2および3においては、還元状態のポリアニリン粉末を用いていたが、ポリアニリンシート電極の作製過程にて酸化され、高酸化状態のポリアニリンを含有する電極になったと考えられる。
〔実施例4〕
(ポリアニリン酸化体の割合が6%である電極を使用して作製した電池)
前記実施例1と同様に作製したポリアニリンシート電極を乾燥した後、窒素雰囲気化のグローブボックスにシート電極を移動させ、メタノール水溶液中に、酸化状態の電極を入れ、ポリアニリンに対して大過剰のフェニルヒドラジンを用いて、攪拌下30分間還元処理を行った。反応終了後、メタノール洗浄、アセトン洗浄し、グローブボックスで乾燥後、グローブボックス内で真空検体乾燥機に入れ、そのまま120℃で2時間真空乾燥を行った。乾燥後、真空検体乾燥機ごと、超高純度アルゴンガス雰囲気下のグローブボックスに移動させ、実施例1と同様の方法で電池を作製した。
上記正極中のポリアニリン酸化体の割合を、実施例1と同様にして求めた結果、酸化体の割合はポリアニリン全体の6%であった。
このようにして得られた実施例1〜4について、下記の基準に従い、各項目の評価および測定を行った。その結果を、後記の表1に示した。
≪FI−IR測定≫
各蓄電デバイスの正極中のポリアニリンを、Ge−ATR法により得られたFT−IR測定した結果を図6に示した。そして、この図6の1596cm-1のピークと1496cm-1のピークの比(1596cm-1/1496cm-1)を吸光度として算出し、後記の表1に示した。このFT−IR測定の吸光度を用い、これを前記した、固体NMR測定結果とGe−ATR法により得られたFT−IR測定結果とで作成した検量線(図5)にあてはめることにより、ポリアニリン全体に対するポリアニリン酸化体の割合が求められ、これを後記の表1に併せて示した。
≪保存性・取り扱い性≫
各蓄電デバイスを用いて、保存性・取り扱い性の評価を行った。評価は、変質がないものを◎、若干変質があるものを○、酸化しやすく、変質があるものを△とした。
≪充放電サイクル安定性≫
各蓄電デバイスを用いて、充放電サイクル安定性の評価を行った。評価は、充放電サイクルの初期段階からサイクルごとの充放電効率の値の変動が小さいものを◎、初期段階から安定するまで値が若干変動するものを○、初期段階から安定するまで値が大きく変動するものを△とした。
≪重量容量密度≫
各蓄電デバイスを、25℃の恒温槽内に静置し、電池充放電装置(北斗電工社製、SD8)を用いて、定電流一定電圧充電/定電流放電モードにて測定を行った。充電終止電圧は3.8Vとし、定電流充電により電圧が3.8Vに到達した後は、3.8Vの定電圧充電を電流値が定電流充電時の電流値に対して20%の値になるまで行い、得られた容量を充電容量とした。その後、放電終止電圧2.0Vまで定電流放電を行い、5サイクル目で得られた重量容量密度を測定した。この重量容量密度は、正極活物質である導電性ポリアニリンの正味重量当たりに換算した値を示す。
≪重量エネルギー密度≫
各蓄電デバイスを、電池充放電装置(北斗電工社製、SD8)を用いて、25℃の環境下で、定電流一定電圧充電/定電流放電モードにて重量エネルギー密度測定を行った。充電終止電圧は3.8Vとし、定電流充電により電圧が3.8Vに到達した後は、3.8Vの定電圧充電を2分間行い、この後、放電終止電圧2.0Vまで定電流放電を行い、重量エネルギー密度を測定した。ポリアニリンの重量容量密度を150mAh/gとし、各蓄電デバイスの電極単位面積に含まれるポリアニリン量から全容量密度(mAh/g)を算出して、20時間で全容量を充放電するように設定した(0.05C)。
Figure 2014130706
上記表3の結果から、実施例1〜4は、いずれもポリアニリン酸化体の割合がポリアニリン全体の0.01〜75%の範囲内にある正極を使用しているため、重量容量密度および重量エネルギー密度が優れていることがわかった。また、保存性・取り扱い性の観点からは、ポリアニリン酸化体の割合が高い方が好ましく、一方、充放電サイクル安定性の観点からは、ポリアニリン酸化体の割合が低い方が好ましいことがわかった。
本発明の蓄電デバイスは、リチウム二次電池等の蓄電デバイスとして好適に使用できる。また、本発明の蓄電デバイスは、従来の二次電池と同様の用途に使用でき、例えば、携帯型PC、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等の携帯用電子機器や、ハイブリッド電気自動車、電気自動車、燃料電池自動車等の駆動用電源に広く用いられる。
1 正極用集電体
2 正極
3 電解質層
4 負極
5 負極用集電体

Claims (6)

  1. ポリアニリンを含む蓄電デバイス用正極であって、正極中のポリアニリン酸化体の割合がポリアニリン全体の0.01〜75%であることを特徴とする蓄電デバイス用正極。
  2. アニオン性材料を含むバインダーと、導電助剤とを含有する請求項1記載の蓄電デバイス用正極。
  3. 上記アニオン性材料がポリアクリル酸である請求項2記載の蓄電デバイス用正極。
  4. 上記ポリアニリン酸化体の割合がポリアニリン全体の0.01〜25%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用正極。
  5. 上記ポリアニリン酸化体の割合がポリアニリン全体の30〜75%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用正極。
  6. 電解質層と、これを挟んで設けられる正極と負極とを有する蓄電デバイスであって、上記正極が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用正極であることを特徴とする蓄電デバイス。
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