WO2014065198A1 - カチオン移動型蓄電デバイス、それに用いる電極並びに多孔質シート、およびドープ率向上方法 - Google Patents

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Abstract

 充放電速度や容量密度に優れる新規なカチオン移動型蓄電デバイスとして、電解質層3と、これを挟んで設けられた正極2と負極4とを有するカチオン移動型蓄電デバイスであって、少なくとも一方の電極が、少なくとも下記(A)と(B)と(C)とからなる複合体であるとともに下記(B)が電極内に固定されているカチオン移動型蓄電デバイスを提供する。 (A)イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質。 (B)アニオン性材料。 (C)多孔質炭素材料。

Description

カチオン移動型蓄電デバイス、それに用いる電極並びに多孔質シート、およびドープ率向上方法
 本発明はカチオン移動型蓄電デバイス、それに用いる電極並びに多孔質シート、およびドープ率向上方法に関し、詳しくは、充放電速度や容量密度に優れるカチオン移動型蓄電デバイス、それに用いる電極並びに多孔質シート、およびドープ率向上方法に関するものである。
 近年、携帯型PC、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等における電子技術の進歩、発展に伴い、これら電子機器の蓄電デバイスとして、繰り返し充放電することができる二次電池等が広く用いられている。このような二次電池等の電気化学的蓄電デバイスにおいては、電極として使用する材料の高容量化および早い充放電特性が望まれる。
 蓄電デバイスの電極は、イオンの挿入・脱離が可能な機能を有する活物質を含有する。活物質のイオンの挿入・脱離は、いわゆるドーピング・脱ドーピングとも称され、一定の分子構造あたりのドーピング・脱ドーピング量をドープ率(またはドーピング率)と呼び、ドープ率が高い材料ほど、電池としては高容量化が可能となる。
 電気化学的には、イオンの挿入・脱離の量が多い材料を電極として使用することにより、電池として高容量化が可能となる。より詳しく述べると、蓄電デバイスとして注目されるリチウム二次電池においては、リチウムイオンを挿入・脱離することができるグラファイト系の負極が用いられ、6つの炭素原子あたり1つ程度のリチウムイオンが挿入・脱離し高容量化が得られている。
 このようなリチウム二次電池のなかでも、正極にマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムのようなリチウム含有遷移金属酸化物を用い、負極にリチウムイオンを挿入・脱離し得る炭素材料を用い、両電極を電解液中で対峙させたリチウム二次電池は、高エネルギー密度を有するようになるため、上述した電子機器の蓄電デバイスとして広く用いられている。
 しかし、上記リチウム二次電池は、電気化学反応によって電気エネルギーを得る二次電池であって、上記電気化学反応の速度が小さいために、出力密度が低いという欠点がある。さらに、二次電池の内部抵抗が高いため、急速な放電は困難であるとともに、急速な充電も困難となっている。また、充放電に伴う電気化学反応によって電極や電解液が劣化するため、一般に寿命、すなわち、サイクル特性もよくない。
 そこで、上記の問題を改善するため、ドーパントを有するポリアニリンのような導電性ポリマーを正極活物質に用いるリチウム二次電池も知られている(特許文献1参照)。
 しかしながら、一般に、導電性ポリマーを正極活物質として有する二次電池は、充電時には導電性ポリマーにアニオンがドープされ、放電時にはそのアニオンがポリマーから脱ドープされるアニオン移動型である。そのため、負極活物質にリチウムイオンを挿入・脱離し得る炭素材料等を用いたときは、充放電時にカチオンが両電極間を移動するカチオン移動型のロッキングチェア型二次電池を構成することができない。すなわち、ロッキングチェア型二次電池は電解液量が少なくてすむという利点を有するが、上記導電性ポリマーを正極活物質として有する二次電池はそれができず、蓄電デバイスの小型化に寄与することができない。
 このような問題を解決するために、電解液を大量に必要とせず、電解液中のイオン濃度を実質的に変化させないとともに、これにより体積や重量あたりの容量密度、エネルギー密度の向上を目的とした、カチオン移動型の二次電池も提案されている。これは、ドーパントとしてポリビニルスルホン酸のようなポリマーアニオンを有する導電性ポリマーを用いて正極を構成し、負極にリチウム金属を用いているものである(特許文献2参照)。
 また、導電性ポリマー粉末と、活性炭などの多孔質炭素材料との混合物を使用して、導電性ポリマーの高容量特性と、活性炭のもつ良好なサイクル特性との両方を発現する複合電極も提案されている(特許文献3参照)。
 さらに、活性炭の表面に導電性ポリマーをコーティングして高容量のキャパシタを得る試みもなされている(特許文献4参照)。
特開平3-129679号公報 特開平1-132052号公報 特開2002-157995号公報 特開2012-33783号公報
 しかしながら、上記二次電池やキャパシタ等は、性能において未だ充分ではなく、電極にマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムのようなリチウム含有遷移金属酸化物を用いたリチウム二次電池に比べ、容量密度やエネルギー密度が低い。
 本発明は、従来のリチウム二次電池のような蓄電デバイスにおける上述した問題を解決するためになされたものであって、特に、イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質のドープ率を高め、充放電速度や容量密度に優れるカチオン移動型蓄電デバイス、それに用いる電極並びに多孔質シート、およびドープ率向上方法を提供することを目的とする。
 上記目的を達成するため、本発明は、電解質層と、これを挟んで設けられた正極と負極とを有するカチオン移動型蓄電デバイスであって、少なくとも一方の電極が、少なくとも下記(A)と(B)と(C)とからなる複合体であるとともに下記(B)が電極内に固定されているカチオン移動型蓄電デバイス(以下、単に「蓄電デバイス」ということがある)を、第一の要旨とする。
(A)イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質。
(B)アニオン性材料。
(C)多孔質炭素材料。
 また、カチオン移動型蓄電デバイス用電極であって、少なくとも上記(A)と(B)と(C)とからなる複合体であるとともに上記(B)が電極内に固定されているカチオン移動型蓄電デバイス用電極を、第二の要旨とする。
 さらに、カチオン移動型蓄電デバイス電極用多孔質シートであって、少なくとも上記(A)と(B)と(C)とからなる複合体によって構成されるとともに上記(B)が電極内に固定されているカチオン移動型蓄電デバイス電極用多孔質シートを、第三の要旨とする。
 そして、電解質層と、これを挟んで設けられた正極と負極を有するカチオン移動型蓄電デバイスの、ドープ率向上方法であって、少なくとも上記(A)と(B)と(C)とからなる複合体によって電極を構成して上記(B)を電極内に固定することによりドープ率を向上させるドープ率向上方法を、第四の要旨とする。
 すなわち、本発明者らは、充放電速度や容量密度に優れるカチオン移動型蓄電デバイスを得るため、鋭意検討を重ねた。その過程で、アニオン性材料(B)および多孔質炭素材料(C)との複合化に着目し、これを中心に検討をさらに重ね、上記(A)に加え、(B)および(C)の材料を配合することにより、蓄電デバイスの特性が予想に反して大幅に向上することを見出し本発明に到達した。
 ここで、本発明におけるカチオン移動型蓄電デバイスとは、充放電時の電荷の補償が主にカチオンによるものであり、カチオンが両電極間を移動するカチオン移動型のロッキングチェア型二次電池等の蓄電デバイスのことをいう。本発明の蓄電デバイスは、アニオン性材料(B)が電極内に固定されていることから、主にカチオンが両電極間を移動するカチオン移動型となる。
 このように、電解質層と、これを挟んで設けられた正極と負極とを有するカチオン移動型蓄電デバイスであって、少なくとも一方の電極が、少なくとも下記(A)と(B)と(C)とからなる複合体であるとともに下記(B)が電極内に固定されているカチオン移動型蓄電デバイスであると、充放電性に優れ、容量密度に優れるようになる。
(A)イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質。
(B)アニオン性材料。
(C)多孔質炭素材料。
 また、カチオン移動型蓄電デバイス用電極であって、少なくとも上記(A)と(B)と(C)とからなる複合体であるとともに上記(B)が電極内に固定されているカチオン移動型蓄電デバイス用電極であると、これを用いたカチオン型蓄電デバイスは充放電性に優れ、容量密度に優れるようになる。
 さらに、カチオン移動型蓄電デバイス電極用多孔質シートであって、少なくとも上記(A)と(B)と(C)とからなる複合体によって構成されるとともに上記(B)が電極内に固定されているカチオン移動型蓄電デバイス電極用多孔質シートであると、これを用いたカチオン型蓄電デバイスは充放電性に優れ、容量密度に優れるようになる。
 また、本発明は、電解質層と、これを挟んで設けられた正極と負極を有するカチオン移動型蓄電デバイスの、ドープ率向上方法であって、少なくとも上記(A)と(B)と(C)とからなる複合体によって電極を構成して上記(B)を電極内に固定することによりドープ率を向上させるドープ率向上方法を有する。この方法を用いると、蓄電デバイスの活物質におけるドープ率が向上し、得られる蓄電デバイスは、充放電性に優れ、容量密度に一層優れるようになる。
本発明の蓄電デバイス用電極の構造を模式的に示す断面図である。 ポリアニリンと活性炭との重量配合比を変えた各電池の容量密度について、計算容量(1)と実験値を示すグラフ図である。
 以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明は、以下の内容に限定されない。
 本発明の蓄電デバイスは、図1に示すように、電解質層3と、これを挟んで設けられた正極2と負極4とを有するカチオン移動型蓄電デバイスであって、少なくとも一方の電極が、少なくとも下記(A)と(B)と(C)とからなる複合体であるとともに下記(B)が電極内に固定されている。
(A)イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質(以下、単に「電極活物質」ということがある)。
(B)アニオン性材料。
(C)多孔質炭素材料。
 本発明は、上記(A)、(B)および(C)を構成要素として有する複合体からなる電極を有することが、最大の特徴であるが、その使用材料等について順を追って説明する。
<電極活物質(A)について>
 上記電極活物質(A)は、イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質であり、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリイソチアナフテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリアズレン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、およびこれらの置換体ポリマー等の導電性ポリマー系材料、あるいはポリアセン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン等のカーボン系材料があげられる。特に、電気化学的容量の大きなポリアニリンまたはポリアニリン誘導体等の導電性ポリマー系材料が好ましく用いられる。
 上記ポリアニリンの誘導体としては、例えば、アニリンの4位以外の位置にアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基等の置換基を少なくとも1つ有するものがあげられる。なかでも、o-メチルアニリン、o-エチルアニリン、o-フェニルアニリン、o-メトキシアニリン、o-エトキシアニリン等のo-置換アニリン、m-メチルアニリン、m-エチルアニリン、m-メトキシアニリン、m-エトキシアニリン、m-フェニルアニリン等のm-置換アニリンが好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
 上記電極活物質(A)は充電時または放電時において、ドープ状態(充電状態)であってもよいし、還元脱ドープ状態(放電状態)であってもよい。
 導電性ポリマー系材料はそのままで、通常、ドープ状態(イオンが挿入された状態)にある。上記電極活物質(A)がドープ状態(充電状態)にない場合には、ドープ処理を行うことによりドープ状態となる。ドープ処理としては、具体的には、導電性ポリマー(例えば、ポリアニリン)とドーパントと反応させる方法等があげられる。
 上記電極活物質(A)の、イオンの挿入・脱離は、先に述べたように、いわゆるドーピング・脱ドーピングとも称され、一定の分子構造あたりのドーピング量をドープ率と呼び、ドープ率が高い材料ほど、電池としては高容量化が可能となる。
 例えば、導電性ポリマーのドープ率は、ポリアニリンでは0.5、ポリピロールでは0.25と言われている。ドープ率が高いほど、高容量の電池が形成できる。例えば導電性ポリアニリンの導電性は、ドープ状態では100~103S/cm程度、脱ドープ状態では、10-15~10-2S/cmとなる。
 一方、上記電極活物質(A)を初期に還元脱ドープ状態(放電状態)とするためには、直接還元脱ドープ状態にする方法もあるが、脱ドープ状態にした後、還元してもよい。まず、脱ドープ状態は、電極活物質(A)が有するドーパントを中和することによって得られる。例えば、上記電極活物質(A)のドーパントを中和する溶液中で撹拌し、その後洗浄濾過することにより、脱ドープ状態の電極活物質(A)が得られる。具体的には、テトラフルオロホウ酸をドーパントとするポリアニリンを脱ドープするには、水酸化ナトリウム水溶液中で撹拌することにより中和させる方法があげられる。
 つぎに、脱ドープ状態の電極活物質(A)を還元することにより、還元脱ドープ状態が得られる。例えば、脱ドープ状態の電極活物質(A)を還元する溶液中で撹拌し、その後洗浄濾過することにより、還元脱ドープ状態の電極活物質(A)が得られる。具体的には、脱ドープ状態となったポリアニリンを、フェニルヒドラジンのメタノール水溶液中で撹拌することにより還元させる方法があげられる。
 本発明の蓄電デバイスは、通常、上記電極活物質(A)と、つぎに説明するアニオン性材料(B)と多孔質炭素材料(C)とを含有する材料から電極をつくり、これを用いて構成される。この電極は、少なくとも上記A~C成分を用いて多孔質シート状にしたものからなる。
<アニオン性材料(B)について>
 上記アニオン性材料(B)としては、例えば、ポリマーアニオンや分子量の比較的大きなアニオン化合物、電解液に溶解性の低いアニオン化合物等があげられる。さらに詳細には、分子中にカルボキシル基を有する化合物が好ましく用いられ、特にポリマーであるポリカルボン酸は、バインダーを兼ねることもできるためより好適に用いられる。
 ポリカルボン酸としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニル安息香酸、ポリアリル安息香酸、ポリメタリル安息香酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリグルタミン酸およびポリアスパラギン酸等があげられ、ポリアクリル酸およびポリマレイン酸が特に好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
 本発明による蓄電デバイスにおいて、上記ポリカルボン酸などのポリマーをアニオン性材料(B)に用いた場合は、このポリマーが、バインダーとしての機能を有するとともに、ドーパントとしても機能することから、蓄電デバイスがロッキングチェア型の機構を有することとなり、蓄電デバイスの特性の向上に関与するものと考えられる。
 上記ポリカルボン酸の一例としては、分子中にカルボキシル基を有する化合物のカルボン酸をリチウム型にするものがあげられる。リチウム型への交換率は、好ましくは100%であるが、状況に応じては交換率は低くてもよく、好ましくは40%~100%である。
 上記アニオン性材料(B)は、電極活物質(A)100重量部に対して、通常、1~100重量部、好ましくは、2~70重量部、最も好ましくは、5~40重量部の範囲で用いられる。上記電極活物質(A)に対するアニオン性材料(B)の量が少なすぎると、エネルギー密度に優れる蓄電デバイスを得ることができない傾向にあり、他方、上記電極活物質(A)に対するアニオン性材料(B)の量が多すぎても、エネルギー密度の高い蓄電デバイスを得ることができない傾向にある。
<多孔質炭素材料(C)について>
 つぎに、本発明に係る多孔質炭素材料(C)としては、吸着効率を高めるために化学的または物理的な処理(活性化、賦活)を施した多孔質の炭素を主な成分とする物質(いわゆる活性炭)が用いられている。なかでも比表面積の大きい電気二重層キャパシタ用の活性炭が好ましく用いられる。
 上記多孔質炭素材料(C)は、電極活物質(A)100重量部に対して、通常、1~10000重量部、好ましくは、5~900重量部、最も好ましくは、25~400重量部の範囲で用いられる。上記電極活物質(A)に対する多孔質炭素材料(C)の量が多すぎると、エネルギー密度に優れる蓄電デバイスを得ることができない傾向にあり、他方、上記電極活物質(A)に対する多孔質炭素材料(C)の量が少なすぎると、上記電極活物質(A)のドーピング率が高い蓄電デバイスを得ることができない傾向にある。
<電極について>
 本発明の蓄電デバイスに係る電極は、少なくとも上記A成分とB成分とC成分とからなる複合体からなり、通常、多孔質シートに形成される。電極の厚みは、1~1000μmであることが好ましく、10~700μmであることがさらに好ましい。
 上記電極の厚みは、先端形状が直径5mmの平板である標準型ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製)を用いて測定し、10点の測定値の平均をもとめることにより得られる。集電体上に電極が設けられ複合化している場合には、その複合化物の厚みを、上記と同様に測定し、測定値の平均をもとめた後、集電体(例えば、アルミ箔)の厚みを差し引くことにより電極の厚みが得られる。
 本発明の蓄電デバイスに係る電極は、例えば、つぎのようにして作製される。上記アニオン性材料(B)を水に溶解して水溶液とし、これに電極活物質(A)と多孔質炭素材料(C)、必要に応じて、導電性カーボンブラックのような導電助剤あるいはフッ化ビニリデンのようなバインダーを加え、充分に分散させて、ペーストを調製する。これを集電体上に塗布した後、水を蒸発させることによって、集電体上にA成分とB成分とC成分と(必要に応じて、導電助剤とバインダー)の混合物の層を有する複合体(多孔質シート)からなる電極を得ることができる。
 上記のように形成された電極においては、アニオン性材料(B)は、A~C成分との混合物として存在しており、それによって電極内に固定される。そして、このように電極活物質(A)の近傍に固定配置されたアニオン性材料(B)は、電極活物質(A)の酸化還元時の電荷補償にも使用される。
<A成分濃度(以下、「RC」ということがある)について>
 ここでRCについて述べる。RC(g/L)は、「電極活物質重量(g)/電極の見かけ体積(リットル)」であり、蓄電デバイス特性の観点から、50~320の範囲内であることが好ましい。さらに、下限値として好ましくは100以上、上限値として好ましくは275以下である。RCの値が大きすぎると、大きなドープ率が得られず結果として高容量の電池とならない傾向があり、一方、RCの値が小さすぎると、多孔質シートの強度など機械的特性が下がり好ましくない傾向がある。
 RCの値を50~320の範囲内にすると、前記したドープ率が向上する傾向があり、特に100~275の範囲内にすると著しくドープ率が向上することが明らかであって、例えばポリアニリンを用いた場合、上記の範囲内に設定することによりドープ率は0.7を超える場合もある。したがって、RCを50~320の範囲内の値に設定することによって、電極活物質のドープ率を向上させることができる。
 本発明において、なぜドープ率が向上し高容量の電池となるかの詳細は不明であるが、電極活物質(A)の近傍にアニオン性材料(B)が固定配置され、さらに多孔質炭素材料(C)とともに複合体化されることにより、適度な電極活物質濃度環境になるとともに、C成分の分極機能が、A成分から挿入・脱離するイオンの移動を容易にするなどの原因が考えられる。
 本発明において、前記電極の見かけ体積とは、「電極の電極面積×電極厚み」をいい、具体的には、電極の物質の体積、電極内の空隙の体積、および電極表面の凹凸部の空間の体積の総和からなる。
 また、電極の空隙率(%)は、{(電極の見かけ体積-電極の真体積)/電極の見かけ体積}×100で算出でき、好ましくは50~80%であり、さらに好ましくは60%~70%である。
 本発明において、電極の真体積とは、「電極構成材料の体積」をいい、具体的には、電極構成材料の構成重量割合と各構成材料の真密度の値を用いて、電極構成材料全体の平均密度を算出しておき、電極構成材料の重量総和をこの平均密度で除することにより求められる。
 上記各構成材料の真密度(真比重)としては、例えば、ポリアニリンの真密度は1.2、ポリアクリル酸の真密度は1.2、活性炭の真密度は2.0、デンカブラック(アセチレンブラック)の真密度は2.0である。
<電解質層について>
 本発明の蓄電デバイスに用いる電解質層は、電解質により構成されるが、例えば、セパレータに電解液を含浸させてなるシートや、固体電解質からなるシートが好ましく用いられる。固体電解質からなるシートは、それ自体がセパレータを兼ねている。
 上記電解質は、溶質と、必要に応じて溶媒と各種添加剤とを含むものから構成される。このような溶質としては、例えば、リチウムイオンなどの金属イオンとこれに対する適宜のカウンターイオン、スルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ素イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン、ハロゲンイオン等を組み合わせてなるものが好ましく用いられる。従って、このような電解質の具体例としては、LiCF3SO3、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiCl等をあげることができる。
 必要に応じて用いられる溶媒としては、例えば、カーボネート類、ニトリル類、アミド類、エーテル類等の少なくとも1種の非水溶媒、すなわち、有機溶媒が用いられる。このような有機溶媒の具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N'-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、γ-ブチロラクトン等をあげることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、溶媒に溶質が溶解したものを「電解液」ということがある。
 また、本発明においては、セパレータを各種の態様で用いることができる。上記セパレータとしては、これを挟んで対向して配設される正極と負極の間の電気的な短絡を防ぐことができ、さらに、電気化学的に安定であり、イオン透過性が大きく、ある程度の機械強度を有する絶縁性の多孔質シートが好ましい。従って、上記セパレータの材料としては、例えば、紙、不織布や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド等の樹脂からなる多孔性の多孔質シートが好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
<負極について>
 本発明の蓄電デバイスに係る負極活物質としては、金属リチウムや、酸化・還元時にリチウムイオンが挿入・脱離し得る炭素材料や遷移金属酸化物、シリコン、スズなどが好ましく用いられる。また、本発明において、「用いる」とは、その形成材料のみを使用する場合以外に、その形成材料と他の形成材料とを組み合わせて使用する場合も含める趣旨であり、通常、他の形成材料の使用割合は、その形成材料の50重量%未満に設定される。
<蓄電デバイス>
 上記材料を用いた、蓄電デバイスの組立ては、グローブボックス中、超高純度アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
 また、図1において、正極2および負極4の集電体(図1の1,5)としては、ニッケル、アルミ、ステンレス、銅等の金属箔やメッシュが適宜用いられる。
 本発明の蓄電デバイスは、電極活物質(A)重量当たりの容量密度が、通常150mAh/g以上であり、好ましくは220mAh/g以上という優れた容量密度を有する。
 本発明の蓄電デバイスがこのように高容量を有する理由は、多孔質炭素材料(C)成分の混合により電極活物質(A)が適度なRCとなり、また多孔質炭素材料(C)の分極機能が、(A)から挿入・脱離するイオンの移動を容易にするなどにより、電極活物質(A)のドープ率が向上したことによるものであると推察される。
 つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
 まず、実施例,比較例となる蓄電デバイスの作製に先立ち、下記に示す各成分を調製準備した。
〔電極活物質(A)の調製〕
 電極活物質(A)として、テトラフルオロホウ酸をドーパントとする導電性ポリアニリン粉末を下記のように調製した。
(導電性ポリアニリン粉末)
 イオン交換水138gを入れた300mL容量のガラス製ビーカーに42重量%濃度のテトラフルオロホウ酸水溶液(和光純薬工業社製、試薬特級)84.0g(0.402モル)を加え、磁気スターラーにて撹拌しながら、これにアニリン10.0g(0.107モル)を加えた。テトラフルオロホウ酸水溶液にアニリンを加えた当初は、アニリンは、テトラフルオロホウ酸水溶液に油状の液滴として分散していたが、その後、数分以内に水に溶解し、均一で透明なアニリン水溶液になった。このようにして得られたアニリン水溶液を低温恒温槽を用いて-4℃以下に冷却した。
 つぎに、酸化剤として二酸化マンガン粉末(和光純薬工業社製、試薬1級)11.63g(0.134モル)を上記アニリン水溶液中に少量ずつ加えて、ビーカー内の混合物の温度が-1℃を超えないようにした。このようにして、アニリン水溶液に酸化剤を加えることによって、アニリン水溶液は直ちに黒緑色に変化した。その後、しばらく撹拌を続けたとき、黒緑色の固体が生成し始めた。
 このようにして、80分間かけて酸化剤を加えた後、生成した反応生成物を含む反応混合物を冷却しながら、さらに、100分間、撹拌した。その後、ブフナー漏斗と吸引瓶を用いて、得られた固体をNo.2濾紙(ADVANTEC社製)にて吸引濾過して、粉末を得た。この粉末を約2モル/Lのテトラフルオロホウ酸水溶液中にて磁気スターラーを用いて撹拌、洗浄した。ついで、アセトンにて数回、撹拌、洗浄し、これを減圧濾過した。得られた粉末を室温(25℃、以下同様)で10時間真空乾燥することにより、テトラフルオロホウ酸をドーパントとする導電性ポリアニリン(以下、単に、「導電性ポリアニリン」という。)12.5gを得た。この導電性ポリアニリンは鮮やかな緑色粉末であった。
(導電性ポリアニリン粉末の電導度)
 上記導電性ポリアニリン粉末130mgを瑪瑙製乳鉢で粉砕した後、赤外スペクトル測定用KBr錠剤成形器を用い、75MPaの圧力下に10分間真空加圧成形して、厚み720μmの導電性ポリアニリンのディスクを得た。ファン・デル・ポー法による4端子法電導度測定にて測定した上記ディスクの電導度は、19.5S/cmであった。
(脱ドープ状態のポリアニリン粉末)
 上記により得られたドープ状態である導電性ポリアニリン粉末を2モル/L水酸化ナトリウム水溶液中に入れ、3Lセパラブルフラスコ中にて30分間撹拌し、中和反応によりドーパントのテトラフルオロホウ酸を脱ドープした。濾液が中性になるまで脱ドープしたポリアニリンを水洗した後、アセトン中で撹拌洗浄し、ブフナー漏斗と吸引瓶を用いて減圧濾過し、No.2濾紙上に、脱ドープしたポリアニリン粉末を得た。これを室温下、10時間真空乾燥して、茶色の脱ドープ状態のポリアニリン粉末を得た。
(還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末)
 つぎに、フェニルヒドラジンのメタノール水溶液中に、この脱ドープ状態のポリアニリン粉末を入れ、撹拌下30分間還元処理を行った。ポリアニリン粉末の色は、還元により、茶色から灰色に変化した。反応後、メタノール洗浄、アセトン洗浄し、濾別後、室温下真空乾燥し、還元脱ドープ状態のポリアニリンを得た。
(還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末の電導度)
 上記還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末130mgを瑪瑙製乳鉢で粉砕した後、赤外スペクトル測定用KBr錠剤成形器を用い、75MPaの圧力下に10分間真空加圧成形して、厚み720μmの還元脱ドープ状態のポリアニリンのディスクを得た。ファン・デル・ポー法による4端子法電導度測定にて測定した上記ディスクの電導度は、5.8×10-3S/cmであった。
〔アニオン性材料(B)の準備〕
 アニオンを対イオンで補償したアニオン性材料(B)として、ポリアクリル酸(和光純薬工業社製、重量平均分子量100万)を用い、水溶液中でカルボン酸の1/2当量の水酸化リチウムを加え、4.4重量%濃度の均一で粘稠なポリアクリル酸水溶液を準備した。
 上記ポリアクリル酸は、カルボキシル基の約50%がリチウム塩化したものとなった。
〔多孔質炭素材料(C)の準備〕
 活性炭(JFEケミカル社製、水蒸気賦活活性炭 JSC18)を準備した。
〔負極材料の準備〕
 厚み50μmの金属リチウム箔(本城金属社製)を準備した。
〔電解液の準備〕
 1モル/dm3濃度のテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)のエチレンカーボネート/ジメチルカーボネート溶液(キシダ化学社製)を準備した。
〔セパレータの準備〕
 不織布(宝泉社製、TF40-50、空孔率:55%)を準備した。
〔実施例1〕
<上記(A)~(C)を用いて電極を形成>
 上記B成分として準備したリチウム化したポリアクリル酸水溶液20.5gを準備した。
 上記A成分として調製した還元脱ドープ状態のポリアニリン粉末3.2gと、導電性カーボンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)粉末0.5gと、C成分として活性炭0.8gとを混合した後、これを上記4.4重量%濃度のポリアクリル酸水溶液20.5g中に加え、スパチュラでよく練った。これを超音波式ホモジナイザーにて1分間超音波処理を施し、流動性を有するペーストを得た。このペーストをさらに真空吸引鐘とロータリーポンプを用いて脱泡した。
 卓上型自動塗工装置(テスター産業社製)を用い、マイクロメーター付きドクターブレード式アプリケータによって、溶液塗工厚みを360μmに調整し、塗布速度10mm/秒にて、上記脱泡ペーストを電気二重層キャパシタ用エッチングアルミニウム箔(宝泉社製、30CB)上に塗布した。ついで、室温で45分間放置した後、温度100℃のホットプレート上で乾燥した。この後、真空プレス機(北川精機社製、KVHC)を用いて、15cm角のステンレス板に挟んで、温度140℃、圧力1.5MPaで5分間プレスして、多孔質のポリアニリンシート電極を作製した。
<蓄電デバイスの作製>
 上記により得られたポリアニリンシート電極を正極として用い、その他準備した上記材料を用いて、蓄電デバイス(リチウム二次電池)であるセルの組立をつぎに示す。
 まず、上記複合体シートを直径15.95mmの打ち抜き刃が据え付けられた打ち抜き治具にて円盤状に打ち抜いて正極シートとし、負極としては、金属リチウム(本城金属社製コイン型金属リチウム(厚み50μm)を用い、セパレータとしては、宝泉社製の空隙率55%の不織布TF40-50を用いて、これらを宝泉社製の非水電解液二次電池実験用のステンレス製HSセルに組み付けた。上記正極シートとセパレータは、HSセルへの組み付けの前に真空乾燥機にて100℃で5時間、真空乾燥した。電解液には1モル/dm3濃度のテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)のエチレンカーボネート/ジメチルカーボネート溶液(キシダ化学社製)を用いた。リチウム二次電池は、露点は-100℃のグローブボックス中、超高純度アルゴンガス雰囲気下に組み立てた。
 このようにして組み立てたリチウム二次電池の特性は、電池充放電装置(北斗電工社製、SD8)を用いて、定電流一定電圧充電/定電流放電モードにて行った。本発明では、特に断わらない限り、充電終止電圧は3.8Vとし、定電流充電により電圧が3.8Vに到達した後は、3.8Vの定電圧充電を2分間行い、この後、放電終止電圧2.0Vまで定電流放電を行った。充放電電流は0.18mAで行った。
[実施例2および3、比較例1]
 実施例1のポリアニリンシート電極において、重量配合比が(A)/(C)=80/20のものを、後記の〔表1〕に記載した重量配合比に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2および3、比較例1のセルを作製した。
〔比較例2〕
 実施例1において、4.4重量%濃度のポリアクリル酸水溶液20.5gの代わりに、SBRエマルジョン(JSR社製、TRD2001、SBR含有量48重量%)0.31gとポリ(N-ビニルピロリドン)溶液(日本触媒社製、K-90W、含有量19.8重量%)1.76gを混合した溶液を用い、(A)/(C)の重量配合比を0/100とした以外は、実施例1と同様にセルを作製した。
〔比較例3〕
 実施例2において、4.4重量%濃度のポリアクリル酸水溶液20.5gの代わりに、SBRエマルジョン(JSR社製TRD2001、SBR含有量48重量%)0.31gとポリ(N-ビニルピロリドン)溶液(日本触媒社製K-90W、含有量19.8重量%)1.76gを混合した溶液を用いた以外は、実施例2と同様にセルを作製した。
 このようにして得られた各セルを用い、下記の方法に従ってセルの容量密度を計算した。
<A成分とC成分の合計重量あたりの容量密度>
 A成分とC成分の合計重量あたりの容量密度(mAh/g)=充電・放電の5回目の放電容量(mAh)/A成分とC成分の合計重量(g)
 ここで、容量密度の計算例として、下記計算容量(1)を仮定し、計算容量(1)により得られた値を、実際の実験値とともに併せて後記の〔表1〕に示した。
<計算容量(1)>
 A成分とC成分との合計重量を100重量%とした場合の、A成分100重量%(C成分は0重量%)での実験容量値をX mAh/gとし、C成分100重量%(A成分は0重量%)での実験容量値をY mAh/gとした場合、これらの値を用いて下記のように計算する。
 A成分の重量組成(%)をMとし、C成分の重量組成(%)をNとして、電極の計算容量(1)を下記のように算出する。
 複合電極での計算容量(1)=(X×M+Y×N)/100
    M=A成分重量/(A成分重量+C成分重量)
    N=C成分重量/(A成分重量+C成分重量)
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 上記〔表1〕に示した、A成分とC成分との重量配合比を変えた上記実施例および比較例の各種セルの計算容量(1)と実験値を、図2に示した(ただし、比較例3は系が異なるため除く)。ここで図2の横軸は、ポリアニリンと活性炭との合計重量を100重量%とした場合の活性炭重量%を示し、縦軸はポリアニリンと活性炭との合計重量に対する容量密度(mAh/g)を示す。
 通常、2成分系であればその効果は各成分が有する効果の配合比で計算した効果が予想される。すなわち、A成分またはC成分をそれぞれ100重量%とした場合の容量密度があれば、AおよびC成分混合系については、A成分およびC成分それぞれ100重量%の容量密度を基に組成配合比ごとに算出した容量密度が予想される計算容量(1)となる。しかしながら、この計算容量(1)を実際に実施した実験値と比較すると、図2より、A~C成分混合系、すなわち実施例1~3品はいずれも、計算容量(1)より高い実験値(容量密度)を示すことが分かる。これは、C成分をAおよびB成分に混合しA~C成分の混合系とすることにより、A成分のドープ率が向上したからであると推察される。
 したがって、上記表1および図2より、A~C成分混合系の実施例1~3品においては、A~C成分のいずれかの成分が欠けている比較例1~3品に比べ、計算容量(1)よりも高い容量密度を有し、予期せぬ効果を有することが分かる。
 本発明は、価格や生産性の点で、A成分の使用量を減らし、代替材料を用いる要請がある場合等に、A成分を減量してC成分を用いることができることから、大きな利点を有するものである。
 上記実施例1~3および比較例1~3より得られたセルを用い、下記の方法に従って、各種特性を測定・評価し、その結果を下記〔表2〕に示した。
<電極の空隙率(%)>
 電極の空隙率(%)={(電極の見かけ体積-電極の真体積)/電極の見かけ体積}×100
<RC:A成分濃度(g/L)>
 A成分濃度(g/L)=A成分重量(g)/電極の見かけ体積(L)
 本実施例および比較例において、上記電極の見かけ体積とは、「電極の電極面積×集電体であるアルミ箔除いた電極厚み」をいい、正極の真体積とは、「アルミ箔を除いた正極構成材料の体積」をいう。
<ポリアニリンドープ率>
 ドープ率=ポリアニリン重量あたりの容量密度(mAh/g)/294.21(mAh/g)
    …ポリアニリン(パーニグラニリン)単位当たりの仮想容量=294.21(mAh/g)
 ここで、ポリアニリン重量あたりの容量は、セル全体での容量から、活性炭(C成分)100%での実験結果にC成分配合比をかけた計算容量を差し引いた分とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 上記表2より、A~C成分混合系の実施例1~3品においては、A~C成分のいずれかの成分が欠けている比較例1~3に比べ、ポリアニリンドープ率に優れている。したがって、RC値を適切な値にすることによって高容量を有することができるようになることが分かる。なお、このドープ率は、RC値が下がると、ドープ率が向上する傾向にあるものである。
 上記実施例においては、本発明における具体的な形態について示したが、上記実施例は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。当業者に明らかな様々な変形は、本発明の範囲内であることが企図されている。
 本発明のカチオン移動型蓄電デバイスは、リチウム二次電池等の蓄電デバイスとして好適に使用できる。また、本発明の蓄電デバイスは、従来の二次電池と同様の用途に使用でき、例えば、携帯型PC、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等の携帯用電子機器や、ハイブリッド電気自動車、電気自動車、燃料電池自動車等の駆動用電源に広く用いられる。
1 集電体(正極用)
2 正極
3 電解質層
4 負極
5 集電体(負極用)

Claims (4)

  1.  電解質層と、これを挟んで設けられた正極と負極とを有するカチオン移動型蓄電デバイスであって、少なくとも一方の電極が、少なくとも下記(A)と(B)と(C)とからなる複合体であるとともに下記(B)が電極内に固定されていることを特徴とするカチオン移動型蓄電デバイス。
    (A)イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質。
    (B)アニオン性材料。
    (C)多孔質炭素材料。
  2.  カチオン移動型蓄電デバイス用電極であって、少なくとも下記(A)と(B)と(C)とからなる複合体であるとともに下記(B)が電極内に固定されていることを特徴とするカチオン移動型蓄電デバイス用電極。
    (A)イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質。
    (B)アニオン性材料。
    (C)多孔質炭素材料。
  3.  カチオン移動型蓄電デバイス電極用多孔質シートであって、少なくとも下記(A)と(B)と(C)とからなる複合体によって構成されるとともに下記(B)が電極内に固定されていることを特徴とするカチオン移動型蓄電デバイス電極用多孔質シート。
    (A)イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質。
    (B)アニオン性材料。
    (C)多孔質炭素材料。
  4.  電解質層と、これを挟んで設けられた正極と負極を有するカチオン移動型蓄電デバイスの、ドープ率向上方法であって、少なくとも下記(A)と(B)と(C)とからなる複合体によって電極を構成して下記(B)を電極内に固定することによりドープ率を向上させることを特徴とするドープ率向上方法。
    (A)イオンの挿入・脱離により導電性が変化する電極活物質。
    (B)アニオン性材料。
    (C)多孔質炭素材料。
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