JP2014127630A - Euvリソグラフィ用反射型マスクブランクおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】EUVマスクブランクとしての特性に優れ、広い組成範囲において高い平滑性を示す吸収層を有するEUVマスクブランクの製造方法の提供。
【解決手段】基板の成膜面上に、EUV光を反射する多層反射膜12を形成した後、前記多層反射膜12上に該多層反射膜12の保護層14を形成し、前記保護層14上にEUV光を吸収する吸収層16を形成することにより、EUVリソグラフィ(EUVL)用反射型マスクブランクを製造する、EUVL用反射型マスクブランクの製造方法であって、前記多層反射膜12が、Mo/Si多層反射膜であり、前記保護層14が、Ru層、または、Ru化合物層であり、前記吸収層16が、少なくともTaおよびNを含有する層であり、前記保護層14を形成し、該保護層14上に、膜厚2nm以下のSi薄膜またはSi酸化薄膜15を形成した後、前記吸収層16を形成することを特徴するEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体製造等に使用されるEUV(Extreme Ultraviolet:極端紫外)リソグラフィ用反射型マスクブランク(以下、本明細書において、「EUVマスクブランク」ともいう。)およびその製造方法、ならびに該EUVマスクブランクをパターニングしたEUVマスクに関する。
従来、半導体産業において、シリコン基板等に微細なパターンからなる集積回路を形成する上で必要な微細パターンの転写技術として、可視光や紫外光を用いたフォトリソグラフィ法が用いられてきた。しかし、半導体デバイスの微細化が加速している一方で、従来のフォトリソグラフィ法の限界に近づいてきた。フォトリソグラフィ法の場合、パターンの解像限界は露光波長の1/2程度であり、液浸法を用いても露光波長の1/4程度と言われており、ArFレーザ(波長:193nm)の液浸法を用いても、その露光波長は45nm程度が限界と予想される。そこで45nmよりも短い波長を用いる次世代の露光技術として、ArFレーザよりさらに短波長のEUV光を用いた露光技術であるEUVリソグラフィが有望視されている。本明細書において、EUV光とは、軟X線領域または真空紫外線領域の波長の光線を指し、具体的には波長10〜20nm程度、特に13.5nm±0.3nm程度の光線を指す。
EUV光は、あらゆる物質に対して吸収されやすく、かつこの波長で物質の屈折率が1に近いため、従来の可視光または紫外光を用いたフォトリソグラフィのような屈折光学系を使用できない。このため、EUV光リソグラフィでは、反射光学系、すなわち反射型フォトマスクとミラーとが用いられる。
マスクブランクは、フォトマスク製造に用いられるパターニング前の積層体である。EUVマスクブランクの場合、ガラス製等の基板上にEUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収する吸収層とがこの順で形成された構造を有している。
上記反射層と吸収層の間には、通常、保護層が形成される。該保護層は、吸収層にパターン形成する目的で実施されるエッチングプロセスによって反射層がダメージを受けないように、該反射層を保護する目的で設けられる。
反射層としては、低屈折率層であるモリブデン(Mo)層と高屈折率層であるケイ素(Si)層とを交互に積層することで、EUV光を層表面に照射した際の光線反射率が高められたMo/Si多層反射膜が通常使用される。
吸収層には、EUV光に対する吸収係数の高い材料、具体的にはたとえば、クロム(Cr)やタンタル(Ta)を主成分とする材料が用いられる。
EUVマスクブランクの吸収層は、その表面が平滑性に劣っていると、吸収層表面に形成されるパターンのエッジラフネスが大きくなり、パターンの寸法精度が低下する。パターンが微細になるに従いエッジラフネスの影響が顕著になるため、吸収層表面は平滑であることが要求される。
吸収層表面を平滑性に優れた面にするためには、吸収層の結晶状態がアモルファス構造又は微結晶構造であることが好ましいとされている(特許文献1、2参照)。本願出願人は、吸収層を、タンタル(Ta)、窒素(N)および水素(H)を特定の比率で含有するTaNH膜とすることにより、あるいは、タンタル(Ta)、ホウ素(B)、ケイ素(Si)および窒素(N)および水素(H)を特定の比率で含有するTaBSiNH膜とすることで、結晶状態がアモルファス構造又は微結晶構造であり、表面の平滑性に優れた吸収層を得られることを見出している(特許文献3、4参照)。
特許文献3、4において、Mo/Si多層反射膜と、吸収層(TaNH膜、TaBSiNH膜)と、の間には、エッチングプロセス、通常はドライエッチングプロセスにより吸収層にパターン形成する際、Mo/Si多層反射膜がエッチングプロセスによりダメージを受けないよう、該Mo/Si多層反射膜を保護する目的で保護層が設けられている。保護層の構成材料としては、吸収層のエッチングプロセスによる影響を受けにくい、つまりエッチング速度が吸収層よりも遅く、しかもこのエッチングプロセスによるダメージを受けにくい材料が選択される。また、保護層形成後もMo/Si多層反射膜のEUV光線反射率を損なうことがないよう、保護層自体もEUV光線反射率が高いことが好ましい。このため、特許文献3、4では、Ru層またはRu化合物(RuB、RuNb、RuZr)層が保護層として好ましいとしている。
特開2004−6798号公報 特開2004−6799号公報 国際公開WO2009/116348号 国際公開WO2011/071123号
特許文献1〜4において示されるように、保護層上に形成される吸収層は、その結晶状態がアモルファス構造又は微結晶構造であることで平滑性に優れた表面を形成できる。しかしながら、吸収層表面は、将来的により高いレベルの平滑性が要求されるため、吸収層を構成する材料の組成を、より好適な平滑性を実現できる範囲に入るように制御しなければならず、高い歩留まりが期待できないおそれがある。また、平滑性に優れた組成範囲で制御できたとしても、吸収層の材料によっては、エッチングレートが遅くなる場合も考えられるため、広い組成範囲において平滑性に優れた吸収層の実現が望まれている。
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するため、EUVマスクブランクとしての特性に優れ、広い組成範囲において高い平滑性を示す吸収層を有するEUVマスクブランクの製造方法および該EUVマスクブランクの提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、保護層として形成される、Ru層、Ru化合物層上に、Si薄膜を形成してから、TaおよびNを成分として含有する吸収層を形成することで、EUVマスクブランクとしての特性に優れ、広い組成範囲において平滑性に優れた吸収層を有するEUVマスクブランクが得られることを見出した。
本発明は、上記した本発明者らの知見に基づいてなされたものであり、基板の成膜面上に、EUV光を反射する多層反射膜を形成した後、前記多層反射膜上に該多層反射膜の保護層を形成し、前記保護層上にEUV光を吸収する吸収層を形成することにより、EUVリソグラフィ(EUVL)用反射型マスクブランクを製造する、EUVL用反射型マスクブランクの製造方法であって、
前記多層反射膜が、Mo/Si多層反射膜であり、
前記保護層が、Ru層、または、Ru化合物層であり、
前記吸収層が、少なくともTaおよびNを含有する層であり、
前記Mo/Si多層反射膜の形成後、前記保護層を形成し、該保護層上に、膜厚2nm以下のSi薄膜またはSi酸化薄膜を形成した後、前記吸収層を形成することを特徴するEUVL用反射型マスクブランクの製造方法を提供する。
また、本発明は、基板の成膜面上に、EUV光を反射する多層反射膜を形成した後、前記多層反射膜上に該多層反射膜の保護層を形成し、前記保護層上にEUV光を吸収する吸収層を形成し、前記吸収層上にマスクパターンの検査に使用する検査光における低反射層を形成することにより、EUVリソグラフィ(EUVL)用反射型マスクブランクを製造する、EUVL用反射型マスクブランクの製造方法であって、
前記多層反射膜が、Mo/Si多層反射膜であり、
前記保護層が、Ru層、または、Ru化合物層であり、
前記吸収層が、少なくともTaおよびNを含有する層であり、
前記低反射層が、少なくともTaおよびOを含有する層であり、
前記Mo/Si多層反射膜の形成後、前記保護層を形成し、該保護層上に、膜厚2nm以下のSi薄膜またはSi酸化薄膜を形成した後、前記吸収層を形成することを特徴するEUVL用反射型マスクブランクの製造方法を提供する。
本発明のEUVマスクブランクの製造方法において、前記吸収層は、TaN、TaNH、TaBN、TaGaN、TaGeN、TaSiN、TaBSiN、および、PdTaNからなる群から選択されるいずれか1つであることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクの製造方法において、前記低反射層は、TaON、TaBON、TaBSiO、TaBSiON、TaGeON、TaOH、TaONH、TaBONH、TaBSiOH、TaBSiONH、および、TaGeONHからなる群から選択されるいずれか1つであることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクの製造方法において、前記Mo/Si多層反射膜の形成後、該Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi層表面を、大気中へ暴露することなく、窒素含有雰囲気に暴露した後に前記保護層を形成することが好ましい。
また、本発明は、本発明のEUVマスクブランクの製造方法により得られるEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクを提供する。
また、本発明は、基板上に、EUV光を反射する多層反射膜、該多層反射膜の保護層、および、EUV光を吸収する吸収層がこの順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクであって、
前記多層反射膜が、Mo/Si多層反射膜であり、
前記保護層が、それぞれNを含有するRu層、または、Ru化合物層であり、
前記吸収層が、少なくともTaおよびNを含有する層であり、
前記保護層と、前記吸収層と、の間には、膜厚2nm以下のSi薄膜またはSi酸化薄膜が形成されているEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクを提供する。
また、本発明は、基板上に、EUV光を反射する多層反射膜、該多層反射膜の保護層、EUV光を吸収する吸収層、および、マスクパターンの検査に使用する検査光における低反射層がこの順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクであって、
前記多層反射膜が、Mo/Si多層反射膜であり、
前記保護層が、それぞれNを含有するRu層、または、Ru化合物層であり、
前記吸収層が、少なくともTaおよびNを含有する層であり、
前記低反射層が、少なくともTaおよびOを含有する層であり、
前記保護層と、前記吸収層と、の間には、膜厚2nm以下のSi薄膜またはSi酸化薄膜が形成されているEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクを提供する。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記吸収層は、TaN、TaNH、TaBN、TaGaN、TaGeN、TaSiN、TaBSiN、および、PdTaNからなる群から選択されるいずれか1つであることが好ましい。
低反射層を有する本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記低反射層は、TaON、TaBON、TaBSiO、TaBSiON、TaGeON、TaOH、TaONH、TaBONH、TaBSiOH、TaBSiONH、および、TaGeONHからなる群から選択されるいずれか1つであることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記多層反射膜の最上層はSi層であり、前記多層反射膜の最上層と、前記保護層と、の間には、SiおよびNを含有する中間層が形成されていることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記保護層の膜厚が1〜10nmであることが好ましい。
本発明のEUVマスクブランクにおいて、前記中間層は、前記多層反射膜側から第1層および第2層からなり、
前記第1層は、窒素を0.5〜25at%含有し、Siを75〜99.5at%含有し、前記第2層は、窒素を0.1〜10at%含有し、Siを0.1〜30at%含有し、前記第1層および前記第2層の合計膜厚が0.2〜2.5nmである中間層が形成されており、
前記保護層が、Siを実質的に含有しないことが好ましい。
また、本発明は、上記した本発明のEUVマスクブランクをパターニングしたEUVリソグラフィ用反射型マスク(以下、「本発明のEUVマスク」ともいう。)を提供する。
本発明によれば、EUVマスクブランクとしての特性に優れ、広い組成範囲において平滑性に優れた吸収層を有するEUVマスクブランクが得られる。
図1は、本発明の方法により製造されるEUVマスクブランクの実施形態を示す概略断面図である。 図2は、本発明の方法により製造されるEUVマスクブランクの別の実施形態を示す概略断面図である。 図3は、本発明の方法により製造されるEUVマスクブランクのさらに別の実施形態を示す概略断面図である。 図4は、図1と同様の図である。但し、吸収層上に低反射層が形成されている。 図5は、図2と同様の図である。但し、吸収層上に低反射層が形成されている。 図6は、図3と同様の図である。但し、吸収層上に低反射層が形成されている。 図7は、図4のEUVマスクブランク1´の吸収層16(および低反射層17)にパターン形成した状態を示している。
以下、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明の方法により製造されるEUVマスクブランクの1実施形態を示す概略断面図である。図1に示すEUVマスクブランク1は、基板11の成膜面上にEUV光を反射する反射層12、該反射層12を保護するための保護層14、および、EUV光を吸収する吸収層16がこの順に掲載されている。但し、本発明の方法により製造されるEUVマスクブランク1では、保護層14と、吸収層16と、の間にSi薄膜15が形成されている。なお、後述するが、Si薄膜15は、Si酸化薄膜、つまり、SiOx膜(0.1≦x≦2)であってもよい。
以下、EUVマスクブランク1の個々の構成要素について説明する。
基板11は、EUVマスクブランク用の基板としての特性を満たすことが要求される。
そのため、基板11は、低熱膨張係数(0±1.0×10-7/℃が好ましく、より好ましくは0±0.3×10-7/℃、さらに好ましくは0±0.2×10-7/℃、さらに好ましくは0±0.1×10-7/℃、特に好ましくは0±0.05×10-7/℃)を有し、平滑性、平坦度、およびマスクブランクまたはパターン形成後のフォトマスクの洗浄等に用いる洗浄液への耐性に優れたものが好ましい。基板11としては、具体的には低熱膨張係数を有するガラス、例えば、SiO2−TiO2系ガラス等を用いるが、これに限定されず、β石英固溶体を析出した結晶化ガラスや石英ガラスやシリコンや金属などの基板も使用できる。また、基板11上に応力補正膜のような膜を形成してもよい。
基板11は、0.15nm rms以下の平滑な表面と100nm以下の平坦度を有していることが、パターン形成後のフォトマスクにおいて高反射率および転写精度が得られるために好ましい。
基板11の大きさや厚さなどはマスクの設計値等により適宜決定される。後で示す実施例では、外形6インチ(152.4mm)角で、厚さ0.25インチ(6.3mm)のSiO2−TiO2系ガラスを用いた。
基板11の成膜面、つまり、反射層(多層反射膜)12が形成される側の表面には欠点が存在しないことが好ましい。しかし、存在している場合であっても、凹状欠点および/または凸状欠点によって位相欠点が生じないように、凹状欠点の深さおよび凸状欠点の高さが2nm以下であり、かつこれら凹状欠点および凸状欠点の半値幅は、60nm以下が好ましい。
EUVマスクブランクの反射層12に特に要求される特性は、高EUV光線反射率である。具体的には、EUV光の波長領域の光線を反射層12表面に入射角度6度で照射した際の、波長13.5nm付近の光線反射率の最大値は、60%以上が好ましく、63%以上がより好ましく、65%以上がさらに好ましい。また、反射層12の上に中間層13および保護層14を設けた場合であっても、波長13.5nm付近の光線反射率の最大値は、60%以上が好ましく、63%以上がより好ましく、65%以上がさらに好ましい。
EUVマスクブランクの反射層としては、EUV波長域において高反射率を達成できることから、高屈折率層と低屈折率層とを交互に複数回積層させた多層反射膜が広く用いられている。本発明のEUVマスクブランクでは、低屈折率層としてのMo層と、高屈折率層としてのSi層とを交互に複数回積層させたMo/Si多層反射膜を用いる。
Mo/Si多層反射膜の場合に、EUV光線反射率の最大値が60%以上の反射層12とするには、膜厚2.3±0.1nmのMo層と、膜厚4.5±0.1nmのSi層とを繰り返し単位数が30〜60になるように積層させればよい。
なお、Mo/Si多層反射膜を構成する各層は、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法など、周知の成膜方法を用いて所望の厚さになるように成膜すればよい。例えば、イオンビームスパッタリング法を用いてMo/Si多層反射膜を形成する場合、ターゲットとしてMoターゲットを用い、スパッタリングガスとしてArガス(ガス圧1.3×10-2Pa〜2.7×10-2Pa)を使用して、イオン加速電圧300〜1500V、成膜速度0.03〜0.30nm/secで厚さ2.3nmとなるようにMo層を成膜し、次に、ターゲットとしてSiターゲットを用い、スパッタリングガスとしてArガス(ガス圧1.3×10-2Pa〜2.7×10-2Pa)を使用して、イオン加速電圧300〜1500V、成膜速度0.03〜0.30nm/secで厚さ4.5nmとなるようにSi層を成膜することが好ましい。これを1周期として、Mo層およびSi層を30〜60周期積層させることによりMo/Si多層反射膜が成膜される。
保護層14は、エッチングプロセス、具体的には、エッチングガスとして塩素系ガスを用いたドライエッチングプロセスにより吸収層16にパターン形成する際に、反射層12がエッチングプロセスによるダメージを受けないよう反射層12を保護する目的で設けられる。したがって保護層14の材質としては、吸収層16のエッチングプロセスによる影響を受けにくい、つまりこのエッチング速度が吸収層16よりも遅く、しかもこのエッチングプロセスによるダメージを受けにくい物質が選択される。
また、保護層14は、保護層14を形成した後であっても反射層12でのEUV光線反射率を損なうことがないように、保護層14自体もEUV光線反射率が高いことが好ましい。
本発明では、上記の条件を満足するため、保護層14として、Ru層、または、Ru化合物層が形成される。Ru化合物層としては、RuB、RuNb、および、RuZrからなる少なくとも1種で構成されることが好ましい。保護層14がRu化合物層である場合、Ruの含有率は50at%以上、80at%以上、特に90at%以上であることが好ましい。但し、保護層14がRuNb層の場合、保護層14中のNbの含有率が5〜40at%、特に5〜30at%が好ましい。
保護層14の厚さは、1〜10nmの範囲が、EUV光線反射率を高め、かつ耐エッチング特性を得られるという理由から好ましい。保護層14の厚さは、1〜5nmの範囲がより好ましく、2〜4nmの範囲がさらに好ましい。
保護層14は、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法など周知の成膜方法を用いて成膜できる。
イオンビームスパッタリング法を用いて、保護層14としてRu層を形成する場合、ターゲットとしてRuターゲットを用い、アルゴン(Ar)雰囲気中で放電させればよい。
具体的には、以下の条件でイオンビームスパッタリングを実施すればよい。
スパッタリングガス:Ar(ガス圧1.3×10-2Pa〜2.7×10-2Pa)
イオン加速電圧:300〜1500V
成膜速度:0.03〜0.30nm/sec
本発明の方法により製造されるEUVマスクブランク1では、保護層14と、吸収層16と、の間に、膜厚2nm以下のSi薄膜が形成されている。なお、Si薄膜としては、Si酸化薄膜、つまりSiOx(0.1≦x≦2)であっても、同じ効果を奏する。そして、Si酸化薄膜を形成する場合、Si薄膜を形成後に、大気中に暴露することで形成してもよく、酸素雰囲気中でSi薄膜を形成してもよい。保護層14と、吸収層16と、の間にSi薄膜15を形成する理由は、以下のとおりである。
本発明において、保護層14上に形成されるSi薄膜15は、Siのとる構造として相対的に準安定であるアモルファス状態の熱安定性が高い。そのため、後述するように、少なくともTaおよびNを含有する吸収層について、TaとNとの組成比(Ta:N)が9:1〜3:7の広い範囲において、その結晶状態としてアモルファスの占める割合が高い構造を取りやすくなる。
但し、Si薄膜15の膜厚が大きくなると、EUVマスクブランクの特性、具体的には、EUV光照射時の吸収層の反射特性に影響を及ぼす。このため、Si薄膜15の膜厚は2nm以下にする必要がある。
Si薄膜15の膜厚は1nm以下が好ましく、0.8nm以下がより好ましく、0.5nm以下がさらに好ましい。
Si薄膜15は、膜厚が2nm以下である限り、膜厚の下限は限定されない。膜厚が小さい場合、保護層14全面を被覆できず、保護層14の表面の一部が露出した状態となる場合もあり得るが、このような場合であっても、Si薄膜15上に形成される吸収層16は、その結晶状態としてアモルファスの占める割合が高い構造を取りやすくなる。但し、この場合、Si薄膜15が形成されている表面上領域の疎密が偏らない状態において、保護層14表面に対する面積比で、Si薄膜またはSi酸化薄膜が25%以上被覆されていることが好ましく、50%以上被覆されていることがより好ましく、75%以上被覆されていることがさらに好ましい。つまり、Si薄膜の、平面視における膜の形状としては、例えば、島状の形状や網目状の形状の膜を含んでもよい。
Si薄膜15は、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法など、周知の成膜方法を用いて所望の厚さになるように成膜すればよい。例えば、イオンビームスパッタリング法を用いてSi薄膜15を形成する場合、ターゲットとしてSiターゲットを用い、スパッタガスとしてArガス(ガス圧1.3×10-2Pa〜2.7×10-2Pa)を使用して、イオン加速電圧300〜1500V、成膜速度0.03〜0.30nm/secで厚さ2nm以下となるように成膜すればよい。
吸収層16に特に要求される特性は、EUV光線反射率が極めて低いことである。具体的には、EUV光の波長領域の光線を吸収層16表面に照射した際の、波長13.5nm付近の最大光線反射率は、0.5%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましい。
上記の特性を達成するため、EUV光の吸収係数が高い材料で構成されることが好ましく、少なくともTaおよびNを含有する層であることが好ましい。
TaおよびNを含有する層としては、TaN、TaNH、TaBN、TaGaN、TaGeN、TaSiN、TaBSiN、および、PdTaNからなる群から選択されるいずれか1つを用いることが好ましい。これらの吸収層の好適組成の一例を挙げると以下のとおりである。
TaN層
Taの含有率:好ましくは30〜90at%、より好ましくは40〜80at%、さらに好ましくは40〜70at%、特に好ましくは50〜70at%
Nの含有率:好ましくは10〜70at%、より好ましくは20〜60at%、さらに好ましくは30〜60at%、特に好ましくは30〜50at%
TaNH層
TaおよびNの合計含有率:好ましくは50〜99.9at%、より好ましくは90〜98at%、さらに好ましくは95〜98at%
Hの含有率:好ましくは0.1〜50at%、より好ましくは2〜10at%、さらに好ましくは2〜5at%
TaとNとの組成比(Ta:N):好ましくは9:1〜3:7、より好ましくは7:3〜4:6、さらに好ましくは7:3〜5:5
TaBN層
TaおよびNの合計含有率:好ましくは75〜95at%、より好ましくは85〜95at%、さらに好ましくは90〜95at%
Bの含有率:好ましくは5〜25at%、より好ましくは5〜15at%、さらに好ましくは5〜10at%
TaとNとの組成比(Ta:N):好ましくは9:1〜3:7、より好ましくは7:3〜4:6、さらに好ましくは7:3〜5:5
TaBSiN層
Bの含有率:1at%以上5at%未満、好ましくは1〜4.5at%、より好ましくは1.5〜4at%
Siの含有率:1〜25at%、好ましくは1〜20at%、より好ましくは2〜12at%
TaとNとの組成比(Ta:N):8:1〜1:1
Taの含有率:好ましくは50〜90at%、より好ましくは60〜80at%
Nの含有率:好ましくは5〜30at%、より好ましくは10〜25at%
PdTaN層
TaおよびNの合計含有率:好ましくは30〜80at%、より好ましくは30〜75at%、さらに好ましくは30〜70at%
Pdの含有率:好ましくは20〜70at%、より好ましくは25〜70at%、さらに好ましくは30〜70at%
TaとNとの組成比(Ta:N):好ましくは1:7〜3:1、より好ましくは1:3〜3:1、さらに好ましくは3:5〜3:1
本発明では、Si薄膜15を下地層として、上記組成の吸収層16、すなわち、少なくともTaおよびNを含有する層を形成するため、吸収層16の結晶状態として微結晶よりもアモルファスが占める割合が高い構造を取りやすくなり、表面の平滑性に優れる。
また、吸収層16表面の表面粗さは、0.5nm rms以下が好ましい。吸収層16表面の表面粗さが大きいと、吸収層16に形成されるパターンのエッジラフネスが大きくなり、パターンの寸法精度が低下する。パターンが微細になるに従いエッジラフネスの影響が顕著になるため、吸収層16表面は平滑であることが要求される。
吸収層16表面の表面粗さが0.5nm rms以下であれば、吸収層16表面が十分平滑であるため、エッジラフネスの影響によってパターンの寸法精度が悪化するおそれがない。また、吸収層16表面の表面粗さは、0.45nm rms以下がより好ましく、0.4nm rms以下がさらに好ましい。
吸収層16は、少なくともTaおよびNを含有する層であることにより、エッチングガスとして塩素系ガスを用いてドライエッチングを実施した際のエッチング速度が速く、保護層14とのエッチング選択比は10以上を示す。本明細書において、エッチング選択比は、下記式を用いて計算できる。
エッチング選択比
=(吸収層16のエッチング速度)/(保護層14のエッチング速度)
エッチング選択比は、10以上が好ましく、11以上がさらに好ましく、12以上が特に好ましい。
なお、保護層14と、吸収層16と、の間に存在するSi薄膜15は、エッチングガスとして塩素系ガスを用いてドライエッチングを実施した際のエッチング速度が速く、下記式で得られる、吸収層16と、Si薄膜15と、のエッチング選択比が1/2以下であり、また、Si薄膜15の膜厚は2nm以下ときわめて小さいため、吸収層16へのパターン形成時の影響は無視できる。
吸収層16と、Si薄膜15と、のエッチング選択比
=(吸収層16のエッチング速度)/(Si薄膜15のエッチング速度)
また、吸収層16の厚さは、50〜100nmの範囲が好ましい。本発明における吸収層16は、マグネトロンスパッタリング法やイオンビームスパッタリング法のようなスパッタリング法などの成膜方法を用いて形成できる。
また、本発明の方法により製造されるEUVマスクブランクは、図2に示すEUVマスクブランク10のように、反射層12と、保護層14と、の間に、SiおよびNを含有する中間層13を形成してもよい。本願出願人が、特許文献4で提案するように、EUV光線反射率低下の要因が、多層反射膜の最上層のSi層から保護層へのSiの拡散によりEUVマスクブランクの上部からの酸化が促進されることによるもの、つまり、Mo/Si多層反射膜よりも上側の膜からの酸化によるものが主であり、酸化によるEUV光線反射率低下を防止するためには、Mo/Si多層反射膜の上の層、つまり保護層からの酸化を防止すれば十分である。この構成とすることで、保護層14からの酸化によるEUV光線反射率の低下を抑制できる。
本発明の方法により製造されるEUVマスクブランク10では、反射層12と、保護層14と、の間に、SiおよびNを含有する中間層13が形成されることによって、保護層14からの酸化によるEUV光線反射率の低下を抑制できる。このように、SiおよびNを含有する中間層13が形成されることによって、保護層14からの酸化によるEUV光線反射率の低下が抑制される理由は以下によると考えられる。
中間層13は、SiおよびNを含有することで、成膜後のEUV光線反射率が高く、かつ酸化を抑制する効果を有すると考えられる。これにより、EUVマスクブランク製造時に実施される工程や該EUVマスクブランクからフォトマスクを製造する際に実施される工程(例えば、洗浄、欠陥検査、加熱工程、ドライエッチング、欠陥修正の各工程)において、あるいは該EUV露光時において、保護層14が酸化されるような状況が生じた場合でも、酸化を抑制する効果を有する中間層13が存在することによって、EUV光線反射率の低下が抑制できると考えられる。つまり、該中間層13の下にあるMo/Si多層反射膜が酸化されること、より具体的には、Mo/Si多層反射膜の最上層のSi層が酸化されることが抑制でき、その結果、保護層14からの酸化によるEUV光線反射率の低下が抑制できると考えられる。
なお、反射層12(Mo/Si多層反射膜)と、保護層14と、の間に中間層13が形成されていることによって、保護層14の形成時にMo/Si多層反射膜の最上層であるSi層中のSiが保護層14中に拡散することも抑制できる。
中間層13は、Siを75〜99.5at%、Nを0.5〜25at%含有することが好ましい。
中間層13におけるNの含有率が0.5at%未満の場合、上述した更なる酸化を抑制する効果が不十分となり、保護層14からの酸化によるEUV光線反射率の低下を抑制する効果が不十分となるおそれがある。
詳しくは後述するが、SiおよびNを含有する中間層13は、Mo/Si多層反射膜を形成した後、該Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi層表面を、大気中へ暴露することなく、窒素含有雰囲気に暴露することによって形成できるが、中間層13におけるNの含有率が25at%超の場合、Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi層の成膜時、または、中間層13上に形成される保護層14の成膜時のいずれか、あるいはそれらの両方の成膜時において、成膜する雰囲気中にNが存在していたものと考えられる。Nが存在する雰囲気での成膜は成膜中の欠点が増加するおそれがある。
中間層13はSiを85〜99.5at%含有し、Nを0.5〜15at%含有することがより好ましく、Siを90〜99.5at%含有し、Nを0.5〜10at%含有することがさらに好ましく、Siを91〜99at%含有し、Nを1〜9at%含有することがさらに好ましく、Siを91〜97at%含有し、Nを3〜9at%含有することがさらに好ましく、Siを92〜95at%含有し、Nを5〜8at%含有することが特に好ましい。
また、中間層13は、中間層13中のSiが侵食されるおそれがあるため、F(フッ素)を含まないことが好ましい。さらに、中間層13は、該中間層13中にC(炭素)やH(水素)が含まれていると、該中間層13中のO(酸素)と反応して、該中間層13中のOが放出され該中間層13の構造が劣化するおそれがあるため、CやHを含まないことが好ましい。これらの理由から、中間層13におけるF、CおよびHの含有率はそれぞれ3at%以下が好ましく、1at%以下がより好ましい。また、中間層13は、該中間層13に、Ni、Y、Ti、La、CrまたはRhといった元素が含まれていると、EUVマスクブランクをエッチングした場合に、エッチングレートの違いによる表面粗さの増加のおそれがあるため、これらを含まないことが好ましい。この理由から、中間層13におけるNi、Y、Ti、La、CrおよびRhの含有率はそれぞれ3at%以下が好ましく、1at%以下がより好ましい。
また、中間層13におけるOの含有率も、3at%以下が好ましく、1at%以下がより好ましい。
中間層13の膜厚は0.2〜2.5nmの範囲が、保護層14からの酸化によるEUV光線反射率の低下を抑制する効果という点から好ましく、0.4〜2nmの範囲がより好ましく、0.5〜1.5nmの範囲がさらに好ましい。また、多層反射膜の最上層のSi層の膜厚は、該Si膜表面を窒素含有雰囲気に暴露することによって中間層13を形成するため、2〜4.8nmの範囲、特に2.5〜4nmの範囲が好ましい。
SiおよびNを含有する中間層13は、Mo/Si多層反射膜の形成後、該Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi層表面を、大気中へ暴露することなく、窒素含有雰囲気に暴露することで該Si層表面を軽微に窒化させることにより、すなわち、Si層表面にNを含有させることによって形成できる。なお、本明細書における窒素含有雰囲気とは、窒素ガス雰囲気または、窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス雰囲気を意味する。該混合ガス雰囲気の場合、雰囲気中の窒素ガス濃度は、20vol%以上が好ましく、50vol%以上がより好ましく、80vol%以上がさらに好ましい。
ここで、Mo/Si多層反射膜の形成後、該Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi層表面を、大気中へ暴露することなく、窒素含有雰囲気に暴露するのは、窒素雰囲気に暴露する前に、該Si層表面を大気中に暴露すると、該Si層表面が酸化されてしまうおそれがある。その場合、その後、窒素雰囲気に暴露しても該Si層表面の窒化により、該Si層表面にNを含有させることができず、SiおよびNを含有する中間層13が形成できないおそれがある。
Si層表面を暴露する窒素含有雰囲気は、窒素分圧(Torr)と暴露時間(s)の積として、1×10-6Torr・s(=1L(Langmuir))以上が好ましい。窒素分圧をPa表記で表す場合、窒素含有雰囲気の窒素分圧(Pa)と暴露時間(s)の積として、1.33×10-4Pa・s以上が好ましいことになる。
窒素分圧と暴露時間との積は、窒素含有雰囲気中の窒素がSi層表面に衝突する頻度を示す指標であり、以下、本明細書において、「窒素の暴露量」という場合もある。この値は、1×10-6Torr・s以上(1.33×10-4Pa・s以上)が、Si層表面の窒化により、SiおよびNを含有する中間層13を形成するうえで好ましく、1×10-3Torr・s以上(1.33×10-1Pa・s以上)がより好ましく、1×10-2Torr・s以上(1.33Pa・s以上)がさらに好ましく、1×10-1Torr・s以上(13.3Pa・s以上)が特に好ましい。
なお、Si層表面を暴露する窒素含有雰囲気における窒素分圧は、1×10-4Torr〜820Torr(1.33×10-2Pa〜109.32kPa)が好ましい。
ここで、窒素含有雰囲気が窒素ガス雰囲気の場合、上記の窒素分圧は該窒素ガス雰囲気の雰囲気圧力を指す。
Si層表面の酸化を防止するためには、Si層表面を暴露する窒素含有雰囲気における酸素濃度がきわめて低いことが好ましい。具体的には、窒素含有雰囲気における窒素分圧が上記範囲の場合、すなわち、窒素含有雰囲気における窒素分圧が1×10-4Torr〜820Torr(1.33×10-2Pa〜109.32kPa)の場合、雰囲気中の酸素分圧が1×10-6Torr(1.33×10-4Pa)以下が好ましい。
また、Si層表面の酸化を防止するためには、Si層表面を暴露する窒素含有雰囲気におけるO3、H2OおよびOHの濃度もきわめて低いことが好ましい。具体的には、窒素含有雰囲気における窒素分圧が上記範囲の場合、すなわち、窒素含有雰囲気における窒素分圧が1×10-4Torr〜820Torr(1.33×10-2Pa〜109.32kPa)の場合、雰囲気中のO3、H2OおよびOHの分圧は、それぞれ1×10-6Torr(1.33×10-4Pa)以下が好ましい。
また、Si層を侵食するおそれがあるので、窒素含有雰囲気におけるF2の濃度もきわめて低いことが好ましい。具体的には、窒素含有雰囲気における窒素分圧が上記範囲の場合、すなわち、窒素含有雰囲気における窒素分圧が1×10-4Torr〜820Torr(1.33×10-2Pa〜109.32kPa)の場合、雰囲気中のF2の分圧は、1×10-6Torr以下が好ましい。
また、Si層表面を暴露する窒素含有雰囲気の温度は、0〜170℃が好ましい。窒素含有雰囲気の温度が0℃未満だと、真空中の残留水分の吸着による影響の問題が生じるおそれがある。窒素含有雰囲気の温度が170℃超だと、Si層の窒化が過度に進行して、Mo/Si多層反射膜のEUV光線反射率の低下が生じるおそれがある。
窒素含有雰囲気の温度は10〜160℃がより好ましく、20〜150℃がさらに好ましい。
なお、後述するように、Si層表面を窒素含有雰囲気に暴露する際に、該Si層表面を上記の温度範囲で熱処理してもよい。
また、Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi層表面を窒素含有雰囲気に暴露して該Si層表面を軽微に窒化させることにより、すなわち、Si層表面に窒素を含有させることによって、中間膜13を形成することで、保護層14形成後のEUV光線反射率の低下が抑制され、酸化耐久性が向上するので好ましい。
後述する実施例1では、Si層表面を窒素含有雰囲気に暴露する時間を600secとしているが、Si層表面を窒素含有雰囲気に暴露する時間はこれに限定されず、上述した窒素含有雰囲気に関する条件を満たす範囲で適宜選択できる。
さらに、Mo/Si多層反射膜を形成した後、該Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi層表面を、大気中へ暴露することなく、窒素含有雰囲気に暴露する際に、該窒素含有雰囲気で熱処理することによって中間層13を形成してもよい。Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi層表面を窒素雰囲気に暴露する際に、該Si層表面を熱処理することによって、該Si層表面の窒化、すなわち、該Si層表面へのNの含有が促進される。
なお、Mo/Si多層反射膜を形成した後、該Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi層表面を、大気中へ暴露することなく、窒素含有雰囲気で熱処理するには、Si層の形成後、Mo/Si多層反射膜が形成された基板を、Si層を形成した成膜チャンバ内、または、該成膜チャンバに隣接するチャンバ内に保持した状態で、チャンバ中のガスを窒素ガス(または窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス)に置換し、その置換したガス中でSi層を熱処理すればよい。
Si層表面を窒素含有雰囲気中で熱処理する際の熱処理温度は、120〜160℃、特に130〜150℃が好ましい。
実施例1に示す手順のように、減圧雰囲気下でSi層表面を窒素ガス、または、窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガスに暴露する手順は、Mo/Si多層反射膜の成膜と、保護層の成膜と、を同一のチャンバを用いて実施する場合に、Si層表面を窒素ガス(または窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス)に暴露する手順の実施後、保護層の成膜を実施する前にチャンバ内の窒素ガス(または窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス)を排気することが重要である点を考慮することが好ましい手順である。また、この手順は、Si層表面への窒素ガス(または窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス)の暴露量を制御することによって、中間層13のN含有量を制御できるという点でも好ましい手順である。
Mo/Si多層反射膜を形成した後、該Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi層表面を、大気中へ暴露することなく、窒素含有雰囲気に暴露する際に、該窒素含有雰囲気で熱処理することによって、該Si層表面の窒化、すなわち、該Si層表面へのNの含有を促進できることを上述したが、これに限らない。この他に、減圧雰囲気下でSi層表面を窒素ガス、または、窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガスに暴露する場合、該減圧雰囲気をプラズマ状態に保持することも、Si層表面の窒化、すなわち、Si層表面の窒素含有、を促進するうえで好ましい。
但し、この場合でも、プラズマ状態でイオン化した窒素ガス(または窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス)に電圧を印加してSi層表面にイオン照射すると、イオン化した窒素が加速された状態でSi層表面に衝突するため、Si層の窒化が過度に進行してMo/Si多層反射膜のEUV光線反射率の低下が生じるおそれがあるため、プラズマ状態でイオン化した窒素ガス(または窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス)に電圧を印加しないこと、つまり、イオン照射をしないことが中間層13の窒素量を適量に制御できる点で特に好ましい。
また、減圧雰囲気下でSi層表面を窒素ガス、または、窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガスに暴露する場合、該減圧雰囲気中でSi層表面に紫外線を照射することもSi層表面の窒化、すなわち、Si層表面のN含有、を促進するうえで好ましい。
なお、保護層14には、隣接する中間層13から若干ではあるがNが拡散する。中間層13から拡散したNの保護層14中の含有率は0.1〜10at%が好ましく、0.1〜5at%がより好ましい。
中間層13から拡散したNは、中間層13からの距離が増加するにつれて保護層14中の含有率が減少していく組成、つまり、中間層13との界面付近のN含有率が高く、Si薄膜15との界面付近の含有率が低くなるように、保護層14中のN含有率が傾斜する組成であってもよい。
また、保護層14には、隣接する中間層13から若干ではあるがSiが拡散する可能性がある。中間層13から拡散したSiを保護層14が含有する場合、保護層14中のSiの含有率は、0.1〜4.5at%が好ましく、0.1〜4at%がより好ましい。なお、隣接する中間層13からSiやNが保護層14中に若干拡散しても、保護層14の特性はほとんど悪化しない。
さらに、本発明の方法により製造されるEUVマスクブランクは、図3に示すEUVマスクブランク20のように、反射層12と、保護層14と、の間に、窒素およびSiを後述する所定の量含有する第1層21、および、Ru、窒素およびSiを後述する所定の量含有する第2層22の二層構造からなる中間層13が形成されていてもよい。
本発明の方法により製造されるEUVマスクブランク20は、反射層12と、保護層14と、の間に、窒素を0.5〜25at%含有し、Siを75〜99.5at%含有する第1層21、および、Ruを60〜99.8at%含有し、窒素を0.1〜10at%含有し、Siを0.1〜30at%含有する第2層22からなる二層構造の中間層13を形成することによって、Ru保護層の酸化によるEUV光線反射率の低下を抑制する。反射層12と、保護層14と、の間に、上記した組成の二層構造(第1層21,第2層22)の中間層13を形成することによって、Ru保護層の酸化によるEUV光線反射率の低下が抑制される理由は以下によると考えられる。
上記二層構造の中間層13は、第1層21がSi膜中に窒素を多量に含むことによる反射率の低下が無い程度に窒素を含有することによって、成膜後の反射率が高く、かつ酸化を抑制する効果を有すると考えられる。
そして、第2層22が、Ruに加えて、微量の窒素を含有することにより、Ru保護層が酸化されるような状況が生じた場合でも、第2層よりも下にある層構造の酸化を抑制することができる。これにより、マスクブランク製造時に実施される工程や該マスクブランクからフォトマスクを製造する際に実施される工程(例えば、洗浄、欠陥検査、加熱工程、ドライエッチング、欠陥修正の各工程)において、あるいは該EUV露光時において、Ru保護層が酸化されるような状況が生じた場合でも、酸化を抑制する効果を有する中間層13が存在することによって、該中間層13の下にあるMo/Si多層反射膜が酸化されること、より具体的には、Mo/Si多層反射膜の最上層のSi膜が酸化されることが抑制されると考えられ、その結果、Ru保護層の酸化によるEUV光線反射率の低下が抑制されると考えられる。
また、反射層12(Mo/Si多層反射膜)と、保護層14(Ru保護層)と、の間に上記二層構造の中間層13が存在することにより、保護層14の形成時にMo/Si多層反射膜の最上層であるSi膜中のSiがRu保護層中に拡散することを抑制できる。
第1層21における窒素の含有率が0.5at%未満の場合、上述した更なる酸化を抑制する効果が不十分となり、Ru保護層の酸化によるEUV光線反射率の低下を抑制する効果が不十分となる。
詳しくは後述するが、上記した二層構造の中間層13は、Mo/Si多層反射膜を形成した後、Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi膜表面を窒素含有雰囲気に暴露することによって形成できるが、第1層21における窒素の含有率が25at%超の場合、Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi膜の成膜時、または、中間層13上に形成される保護層14の成膜時のいずれか、あるいはそれらの両方の成膜時に窒素が添加されていたものと考えられるが、窒素を添加した成膜は成膜中の欠点が増加し問題が生じる。
第1層21は窒素を0.5〜15at%含有し、Siを85〜99.5at%含有することが好ましく、窒素を0.5〜10at%含有し、Siを90〜99.5at%含有することがより好ましく、窒素を1〜9at%含有し、Siを91〜99at%含有することがさらに好ましく、窒素を3〜9at%含有し、Siを91〜97at%含有することがさらに好ましく、窒素を5〜8at%含有し、Siを92〜95at%含有することが特に好ましい。
第2層22におけるRuの含有率が60at%未満の場合、Ru保護層の酸化によるEUV光線反射率の低下のおそれがある。一方、第2層22におけるRuの含有率が98.5at%超の場合、上述した微量の窒素を含有することによる効果が発揮されにくくなる。
第2層22における窒素の含有率が0.1at%未満の場合、上述した微量の窒素を含有することによる効果が発揮されにくくなる。一方、第2層22における窒素の含有率が10at%超の場合、Ru保護層の過剰な窒化によるEUV光線反射率の低下のおそれがある。
第2層22におけるSiの含有率が0.1at%未満の場合、第1層21との密着性に劣るおそれがある。一方、第2層22におけるSiの含有率が30at%超の場合、Ru保護層の酸化によるEUV光線反射率の低下のおそれがある。
第2層22はRuを60〜99.8at%含有し、窒素を0.1〜10at%含有し、Siを0.1〜30at%含有することが好ましく、Ruを75〜99.8at%含有し、窒素を0.1〜5at%含有し、Siを0.1〜20at%含有することがより好ましく、Ruを90〜99.8at%含有し、窒素を0.1〜2.5at%含有し、Siを0.1〜7.5at%含有することがさらに好ましい。
中間層13を構成する第1層21および第2層22中のSiが侵食されるおそれがあるため、中間層13を構成する各層(第1層21および第2層22)はフッ素を含まないことが好ましい。また、中間層13を構成する各層(第1層21および第2層22)に炭素や水素が含まれていると、中間層13を構成する各層(第1層21および第2層22)に含まれる酸素と反応して、層中の酸素が放出されるおそれがあるため、中間層13を構成する各層(第1層21および第2層22)は炭素や水素を含まないことが好ましい。これらの理由から、中間層13を構成する各層(第1層21および第2層22)におけるフッ素、炭素および水素の含有率はそれぞれ3at%以下が好ましく、1at%以下がより好ましい。また、同様に、中間層13を構成する各層(第1層21および第2層22)におけるNi、Y、Ti、La、CrまたはRhといった元素含有率は3at%以下が好ましく、1at%以下がより好ましい。
中間層13を構成する第1層21および第2層22の合計膜厚が0.2〜2.5nmであると、Ru保護層の酸化によるEUV光線反射率の低下を抑制する効果という点から好ましく、0.4〜2nmがより好ましく、0.5〜1.5nmがさらに好ましい。
また、多層反射膜の最上層のSi層の膜厚は、窒素含有雰囲気に暴露して上記二層構造の中間層13を形成するため、2〜4.8nm、特に2.5〜4nmが好ましい。
第1層21の膜厚が0.1〜2.4nmであると、Ru保護層の酸化によるEUV光線反射率の低下を抑制する効果という点から好ましく、0.4〜1.5nmがより好ましく、0.8〜1.3nmがさらに好ましい。
第2層22の膜厚が0.1〜2.4nmであると、Ru保護層の酸化によるEUV光線反射率の低下を抑制する効果という点から好ましく、0.4〜1.5nmがより好ましく、0.8〜1.2nmがさらに好ましい。
中間層13を構成する各層(第1層21、第2層22)のうち、第1層21の膜厚が小さいことが、過剰なSiN層の窒化によるEUV光線反射率の低下を抑制する理由から好ましい。
第2層22と第1層21との膜厚の差(第2層22の膜厚−第1層21の膜厚)は、0〜2.3nmが好ましく、0〜1.1nmがより好ましく、0〜0.4nmがさらに好ましい。
上記二層構造の中間層13は、Mo/Si多層反射膜の形成後、該Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi膜表面を窒素含有雰囲気に暴露することで該Si膜表面を軽微に窒化させることによって形成できる。
Si膜表面を暴露する窒素含有雰囲気は、窒素分圧(Torr)と暴露時間(s)の積が1×10-6Torr・s(=1L(Langmuir))以上であることが好ましい。この値は、1×10-6Torr・s以上が、Si膜表面の窒化により上記した二層構造の中間層13を形成するうえで好ましく、1×10-3Torr・s以上がより好ましく、1×10-2Torr・s以上がさらに好ましく、1×10-1Torr・s以上がさらに好ましい。
Si膜表面を暴露する窒素含有雰囲気が上記の条件を満たす限り、Si膜表面を窒素含有雰囲気に暴露する手順は特に限定されない。但し、減圧雰囲気下でSi膜表面を窒素ガス、または、窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガスに暴露する手順は、多層反射膜の成膜と、保護層の成膜と、を同一のチャンバを用いて実施する場合に、Si膜表面を窒素ガス(または窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス)に暴露する手順の実施後、保護層の成膜を実施する前にチャンバ内の窒素ガス(または窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス)を排気することが必要である点を考慮することが好ましい手順である。また、この手順は、Si膜表面への窒素ガス(または窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス)の暴露量を制御することによって、中間層13を構成する各層(第1層21、第2層22)における窒素含有量を制御できるという点でも好ましい手順である。
なお、減圧雰囲気下でSi膜表面を窒素ガス、または、窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガスに暴露する場合、該減圧雰囲気をプラズマ状態に保持することがSi膜表面の窒化を促進するうえで好ましい。この場合でも、プラズマ状態でイオン化した窒素ガス(または窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス)に電圧を印加してSi膜表面にイオン照射すると、イオン化した窒素が加速された状態でSi膜表面に衝突するため、Si膜の窒化が過度に進行してMo/Si多層反射膜のEUV光線反射率の低下が生じるおそれがあるため、プラズマ状態でイオン化した窒素ガス(または窒素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス)に電圧を印加しないこと、つまり、イオン照射をしないことが中間層13を構成する各層(第1層21、第2層22)における窒素含有量を適量に制御できる点で特に好ましい。
Si膜表面を暴露する窒素含有雰囲気の温度は、0〜150℃が好ましい。窒素含有雰囲気の温度が0℃未満だと、真空中の残留水分の吸着による影響の問題が生じるおそれがある。一方、窒素含有雰囲気の温度が150℃超だと、Si膜の窒化が過度に進行して、Mo/Si多層反射膜のEUV光線反射率の低下が生じるおそれがある。
窒素含有雰囲気の温度は10〜140℃がより好ましく、20〜120℃がさらに好ましい。
Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi膜表面を暴露する窒素含有雰囲気に暴露して上記二層構造の中間膜13を形成することにより、保護層14(Ru保護層)の成膜後のEUV光線反射率の低下がなく、酸化耐久性を向上できるので好ましい。
また、本発明の方法により製造されるEUVマスクブランクは、図4に示すEUVマスクブランク1´や図5に示すEUVマスクブランク10´さらには図6に示すEUVマスクブランク20´のように、吸収層16上にマスクパターンの検査に使用する検査光における低反射層17が形成されてもよい。
EUVマスクを作製する際、吸収層にパターンを形成した後、このパターンが設計とおりに形成されているかどうか検査する。このマスクパターンの検査では、検査光として257nm程度の光を使用した検査機が使用される場合がある。つまり、この257nm程度の光の反射率の差、具体的には、吸収層16がパターン形成により除去されて露出した面と、パターン形成により除去されずに残った吸収層16表面と、の反射率の差によって検査される。ここで、前者は保護層14表面である。したがって、検査光の波長に対する保護層14表面と吸収層16表面との反射率の差が小さいと検査時のコントラストが悪くなり、正確な検査ができないことになる。
本発明における吸収層16は、EUV光線反射率が極めて低く、EUVマスクブランクの吸収層として優れた特性を有しているが、検査光の波長について見た場合、光線反射率が必ずしも十分低いとは言えない。この結果、検査光の波長での吸収層16表面の反射率と保護層14表面の反射率との差が小さくなり、検査時のコントラストが十分得られないおそれがある。検査時のコントラストが十分得られないと、マスク検査においてパターンの欠陥を十分判別できず、正確な欠陥検査を行えない場合がある。
そこで、図4に示すEUVマスクブランク1´や図5に示すEUVマスクブランク10´さらには図6に示すEUVマスクブランク20´のように、吸収層16上に低反射層17を形成することにより、検査時のコントラストが良好となる。別の言い方をすると、検査光の波長での光線反射率が極めて低くなる。このような目的で形成する低反射層17は、検査光の波長領域の光線を照射した際の、該検査光の波長の最大光線反射率は、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。
低反射層17における検査光の波長の光線反射率が15%以下であれば、該検査時のコントラストが良好である。具体的には、保護層14表面における検査光の波長の反射光と、低反射層17表面における検査光の波長の反射光と、のコントラストが、40%以上となる。
本明細書において、コントラストは下記式を用いて求められる。
コントラスト(%)=((R2−R1)/(R2+R1))×100
ここで、検査光の波長におけるR2は保護層14表面での反射率であり、R1は低反射層17表面での反射率である。なお、上記R1およびR2は、例えば、図4に示すEUVマスクブランク1´のSi薄膜15、吸収層16および低反射層17にパターンを形成した状態(つまり、図7に示す状態)で測定する。上記R2は、図7中、パターン形成によってSi薄膜15、吸収層16および低反射層17が除去され、外部に露出した保護層14表面で測定した値であり、R1はパターン形成によって除去されずに残った低反射層17表面で測定した値である。
本発明において、上記式で表されるコントラストは、45%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましく、80%以上が特に好ましい。
低反射層17は、上記の特性を達成するため、検査光の波長の屈折率が吸収層16よりも低い材料で構成されることが好ましい。
このような低反射層17の具体例としては、Taおよび酸素を主成分とする層が好ましく、特に、TaON、TaBON、または、TaGeONを主成分とする層が例示される。他の例としては、Ta、B、Siおよび酸素(O)を以下に述べる比率で含有するもの(低反射層(TaBSiO))が挙げられる。
Bの含有率:1at%以上5at%未満、好ましくは1〜4.5at%、より好ましくは1.5〜4at%
Siの含有率:1〜25at%、好ましくは1〜20at%、より好ましくは2〜10at%
TaとOとの組成比(Ta:O):7:2〜1:2、好ましくは7:2〜1:1、より好ましくは2:1〜1:1
また、低反射層17の具体例としては、Ta、B、Si、OおよびNを以下に述べる比率で含有するもの(低反射層(TaBSiON))が挙げられる。
Bの含有率:1at%以上5at%未満、好ましくは1〜4.5at%、より好ましくは2〜4.0at%
Siの含有率:1〜25at%、好ましくは1〜20at%、より好ましくは2〜10at%
TaとO及びNの組成比(Ta:(O+N)):7:2〜1:2、好ましくは7:2〜1:1、より好ましくは2:1〜1:1
さらに、低反射層17の他の例としては、Ta、OおよびHを少なくとも含有する材料であってもよい。そして、Ta、OおよびHを少なくとも含有する具体例としては、TaOH膜、Ta、O、NおよびHを含有するTaONH膜、Ta、B、O、NおよびHを含有するTaBONH膜、Ta、B、Si、OおよびHを含有するTaBSiOH膜、Ta、B、Si、O、NおよびHを含有するTaBSiONH膜、Ta、Ge、O、NおよびHを含有するTaGeONH膜が挙げられる。
本発明では、結晶状態として微結晶よりもアモルファスが占める割合が高い吸収層16を下地層として、上記構成の低反射層17、すなわち、Taおよび酸素を主成分とする層を形成するため、低反射層17もその結晶状態としてアモルファスの占める割合が高い構造を取りやすくなり、表面の平滑性に優れている。
低反射層17表面の表面粗さは、0.5nm rms以下が好ましい。
上記したように、エッジラフネスの影響によって起こるパターンの寸法精度の低下を防止するため、吸収層16表面は平滑であることが要求される。低反射層17は、吸収層16上に形成されるため、同様の理由から、その表面は平滑であることが要求される。
低反射層17表面の表面粗さが0.5nm rms以下であれば、低反射層17表面が十分平滑であるため、エッジラフネスの影響によってパターンの寸法精度が低下するおそれがない。低反射層17表面の表面粗さは、0.45nm rms以下がより好ましく、0.4nm rms以下がさらに好ましい。
また、吸収層16上に低反射層17を形成する場合、吸収層16と低反射層17との合計厚さは、55〜130nmの範囲が好ましい。また、低反射層17の厚さが吸収層16の厚さよりも大きいと、吸収層16でのEUV光吸収特性が低下するおそれがあるので、低反射層17の厚さは吸収層16の厚さよりも小さいことが好ましい。このため、低反射層17の厚さは5〜30nmの範囲が好ましく、10〜20nmの範囲がより好ましい。
本発明における低反射層17は、マグネトロンスパッタリング法やイオンビームスパッタリング法のようなスパッタリング法などの成膜方法を用いて形成できる。
なお、図4に示すEUVマスクブランク1´や図5に示すEUVマスクブランク10´さらには図6に示すEUVマスクブランク20´のように、吸収層16上に低反射層17を形成することが好ましいのは、パターンの検査光の波長とEUV光の波長とが異なるからである。したがって、パターンの検査光としてEUV光(13.5nm付近)を使用する場合、吸収層16上に低反射層17を形成する必要はないと考えられる。検査光の波長は、パターン寸法が小さくなるにともない短波長側にシフトする傾向があり、将来的には193nm、さらには13.5nmにシフトすることも考えられる。検査光の波長が13.5nmである場合、吸収層16上に低反射層17を形成する必要はないと考えられる。
本発明の方法により製造されるEUVマスクブランクは、反射層12、保護層14、Si薄膜15、吸収層16、低反射層17、そして任意に形成できる中間層13以外に、EUVマスクブランクの分野において公知の機能膜を有していてもよい。このような機能膜の具体例としては、例えば、特表2003−501823号公報に記載されているように、基板の静電チャッキングを促すために、基板の裏面側に施される導電性コーティングが挙げられる。ここで、基板の裏面とは、図1の基板11において、反射層12が形成されている成膜面側とは反対側の面を指す。このような目的で基板の裏面に施す導電性コーティングは、シート抵抗が100Ω/□以下となるように、構成材料の電気伝導率と厚さを選択する。導電性コーティングの構成材料としては、公知の文献に記載されているものから広く選択できる。例えば、特表2003−501823号公報に記載の導電率のコーティング、具体的には、シリコン、TiN、モリブデン、クロム、TaSiからなるコーティングを適用できる。導電性コーティングの厚さは、例えば10〜1000nmの範囲とすることができる。
導電性コーティングは、公知の成膜方法、例えば、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法といったスパッタリング法、CVD法、真空蒸着法、電解メッキ法を用いて形成できる。
また、本発明の方法により製造されるEUVマスクブランクの吸収層(吸収層上に低反射層が形成されている場合は、吸収層および低反射層)を少なくともパターニングすることで、EUVリソグラフィ用の反射型マスクが得られる。吸収層(吸収層上に低反射層が形成されている場合は、吸収層および低反射層)のパターニング方法は特に限定されず、例えば、吸収層(吸収層上に低反射層が形成されている場合は、吸収層および低反射層)上にレジストを塗布してレジストパターンを形成し、これをマスクとして吸収層(吸収層上に低反射層が形成されている場合は、吸収層および低反射層)をエッチングする方法が採用できる。レジストの材料やレジストパターンの描画法は、吸収層(吸収層上に低反射層が形成されている場合は、吸収層および低反射層)の材質等を考慮して適宜選択すればよい。吸収層(吸収層上に低反射層が形成されている場合は、吸収層および低反射層)のエッチング方法としては、エッチングガスとして塩素系ガスを用いたドライエッチングを用いる。吸収層(吸収層上に低反射層が形成されている場合は、吸収層および低反射層)をパターニングした後、レジストを剥離液で剥離することにより、EUVリソグラフィ用の反射型マスク(EUVマスク)が得られる。なお、パターニング時には、吸収層と保護層との間にあるSi薄膜もエッチング除去される。
上記の手順で得られるEUVマスクを用いた半導体集積回路の製造方法について説明する。この方法は、EUV光を露光用光源として用いるフォトリソグラフィ法による半導体集積回路の製造方法に適用できる。具体的には、レジストを塗布したシリコンウェハ等の基板をステージ上に配置し、反射鏡を組み合わせて構成した反射型の露光装置に上記EUVマスクを設置する。そして、EUV光を光源から反射鏡を介してEUVマスクに照射し、EUV光をEUVマスクによって反射させてレジストが塗布された基板に照射する。このパターン転写工程により、回路パターンが基板上に転写される。回路パターンが転写された基板は、現像によって感光部分または非感光部分をエッチングした後、レジストを剥離する。半導体集積回路は、このような工程を繰り返すことで製造される。
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明する。下記の実施例1、2および比較例1では、いずれも吸収層におけるTa:Nの組成比が7:3となる条件下で実施する。
(実施例1)
本実施例では、図5に示すEUVマスクブランク10´を作製した。
成膜用の基板11として、SiO2−TiO2系のガラス基板(外形6インチ(152.4mm)角、厚さが6.3mm)を使用した。このガラス基板の熱膨張係数は0.05×10-7/℃、ヤング率は67GPa、ポアソン比は0.17、比剛性は3.07×1072/s2である。このガラス基板を研磨により、表面粗さrmsが0.15nm以下の平滑な表面と、100nm以下の平坦度に形成した。
基板11の裏面側には、マグネトロンスパッタリング法を用いて厚さ100nmのCr膜を成膜することによって、シート抵抗100Ω/□の導電性コーティング(図示していない)を施した。
平板形状をした通常の静電チャックに、形成したCr膜を用いて基板11(外形6インチ(152.4mm)角、厚さ6.3mm)を固定して、該基板11の表面上にイオンビームスパッタリング法を用いてMo層を、次いでSi層を交互に成膜することを50周期繰り返すことにより、合計膜厚340nm((2.3nm+4.5nm)×50)のMo/Si多層反射膜(反射層12)を形成した。なお、多層反射膜の最上層はSi層である。
Mo層およびSi層の成膜条件は以下のとおりである。
(Mo層の成膜条件)
・ターゲット:Moターゲット
・スパッタリングガス:Arガス(ガス圧:0.02Pa)
・電圧:700V
・成膜速度:0.064nm/sec
・膜厚:2.3nm
(Si層の成膜条件)
・ターゲット:Siターゲット(ホウ素ドープ)
・スパッタガス:Arガス(ガス圧:0.02Pa)
・電圧:700V
・成膜速度:0.077nm/sec
・膜厚:4.5nm
次に、Mo/Si多層反射膜の最上層のSi層表面を、下記条件に従って窒素含有雰囲気に暴露した。なお、Si層表面を窒素含有雰囲気に暴露する際、熱処理は実施していない。
(暴露条件)
・雰囲気ガス:Arガス(キャリアガス)、流量17sccm。窒素ガス、流量50sccm
・窒素ガス分圧:0.2mTorr(2.6×10-2Pa)
・雰囲気圧力:0.3mTorr(3.5×10-2Pa)
・暴露時間:600sec
・窒素分圧×暴露時間:1.2×105L(1L(Langmuir)=1×10-6 Torr・s=1.33×10-4Pa・s)
次に、保護層14であるRu層を、イオンビームスパッタリング法を用いて形成した。
保護層14の形成条件は以下のとおりである。
・ターゲット:Ruターゲット
・スパッタガス:Arガス(ガス圧:0.02Pa)
・電圧:700V
・成膜速度:0.052nm/sec
・膜厚:2.5nm
次に、Si薄膜15を、イオンビームスパッタ法を用いて形成した。
Si薄膜15の形成条件は以下のとおりである。
(Si薄膜15の成膜条件)
・ターゲット:Siターゲット(ホウ素ドープ)
・スパッタリングガス:Arガス(ガス圧:0.02Pa)
・電圧:700V
・成膜速度:0.077nm/sec
・膜厚:0.5nm
そして、Si薄膜形成後、大気中に暴露した。
次に、Si薄膜15上に、吸収層16としてTaN層を、マグネトロンスパッタリング法を用いて形成した。
TaN層を成膜条件は以下のとおりである。
(TaN層の成膜条件)
・ターゲット:Taターゲット
・スパッタリングガス:ArとN2の混合ガス(Ar:86vol%、N2:14vol%、ガス圧:0.3Pa)
・投入電力:1000W
・成膜速度:0.1nm/sec
・膜厚:63nm
次に、吸収層16上に、低反射層17としてTaON層を、マグネトロンスパッタリング法を用いて形成することにより、図5に示すEUVマスクブランク10´を作製した。
TaON膜の成膜条件は以下のとおりである。
(TaON層の成膜条件)
・ターゲット:Taターゲット
・スパッタリングガス:ArとN2とO2の混合ガス(Ar:61vol%、N2:12vol%、O2:32vol%、ガス圧:0.3Pa)
・投入電力:1000W
・成膜速度:0.02nm/sec
・膜厚:7nm
上記の手順で得られたマスクブランクに対し下記の評価を実施した。
(1)結晶状態
吸収層(TaN層)16まで形成したサンプルについて、該吸収層16の結晶状態を、X線回折装置(X−Ray Diffractmeter)(RIGAKU社製)で確認した。得られる回折ピークにはシャープなピークが見られなかった。
また、吸収層16の組成は、Ta 68at%、N 32at%であった。
(2)表面粗さ
低反射層(TaON層)17の表面粗さを、JIS−B0601(1994年)に従って、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope)(セイコーインスツルメンツ社製:番号SPI3800)を用いて確認した。低反射層(TaON層)17の表面粗さrmsは、0.36nmであった。
(実施例2)
実施例2は、Mo/Si多層膜(反射層12)形成後、窒素雰囲気中に暴露しない条件とした以外は、実施例1と同様の手順で実施する。即ち、本実施例では、図4に示すEUVマスクブランク1´を作製する。
(1)結晶状態
吸収層(TaN層)16まで形成したサンプルについて、該吸収層16の結晶状態を、X線回折装置(X−Ray Diffractmeter)(RIGAKU社製)で確認する。得られる回折ピークにはシャープなピークが見られない。
また、吸収層16の組成は、Ta 68at%、N 32at%である。
(2)表面粗さ
低反射層(TaON層)17の表面粗さを、JIS−B0601(1994年)に従って、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope)(セイコーインスツルメンツ社製:番号SPI3800)を用いて確認する。低反射層(TaON層)17の表面粗さrmsは、0.34nm以下となる。
(比較例1)
比較例1は、Si薄膜15を形成することなしに、保護層14上に直接吸収層(TaN層)16を形成した以外は実施例2と同様の手順で実施した。
上記の手順で得られたマスクブランクに対し下記の評価を実施した。
(1)結晶状態
吸収層(TaN層)16まで形成したサンプルについて、該吸収層16の結晶状態を、X線回折装置で確認したところ、得られる回折ピークにシャープなピークが見られることが確認された。
また、吸収層16の組成は、Ta 72at%、N 28at%であった。
(2)表面粗さ
低反射層(TaON層)17の表面粗さを、JIS−B0601(1994年)に従って、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope)(セイコーインスツルメンツ社製:番号SPI3800)を用いて確認した。低反射層(TaON層)17の表面粗さrmsは、0.52nmであり、Si薄膜15を形成する場合に比べて表面粗さが大きかった。
1,1´,10,10´,20,20´:EUVマスクブランク
11:基板
12:反射層
13:中間層
14:保護層
15:Si薄膜
16:吸収層
17:低反射層
21:第1層
22:第2層

Claims (14)

  1. 基板の成膜面上に、EUV光を反射する多層反射膜を形成した後、前記多層反射膜上に該多層反射膜の保護層を形成し、前記保護層上にEUV光を吸収する吸収層を形成することにより、EUVリソグラフィ(EUVL)用反射型マスクブランクを製造する、EUVL用反射型マスクブランクの製造方法であって、
    前記多層反射膜が、Mo/Si多層反射膜であり、
    前記保護層が、Ru層、または、Ru化合物層であり、
    前記吸収層が、少なくともTaおよびNを含有する層であり、
    前記Mo/Si多層反射膜の形成後、前記保護層を形成し、該保護層上に、膜厚2nm以下のSi薄膜またはSi酸化薄膜を形成した後、前記吸収層を形成することを特徴するEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  2. 基板の成膜面上に、EUV光を反射する多層反射膜を形成した後、前記多層反射膜上に該多層反射膜の保護層を形成し、前記保護層上にEUV光を吸収する吸収層を形成し、前記吸収層上にマスクパターンの検査に使用する検査光における低反射層を形成することにより、EUVリソグラフィ(EUVL)用反射型マスクブランクを製造する、EUVL用反射型マスクブランクの製造方法であって、
    前記多層反射膜が、Mo/Si多層反射膜であり、
    前記保護層が、Ru層、または、Ru化合物層であり、
    前記吸収層が、少なくともTaおよびNを含有する層であり、
    前記低反射層が、少なくともTaおよびOを含有する層であり、
    前記Mo/Si多層反射膜の形成後、前記保護層を形成し、該保護層上に、膜厚2nm以下のSi薄膜またはSi酸化薄膜を形成した後、前記吸収層を形成することを特徴するEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  3. 前記吸収層が、TaN、TaNH、TaBN、TaGaN、TaGeN、TaSiN、TaBSiN、および、PdTaNからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項1または2に記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  4. 前記低反射層は、TaON、TaBON、TaBSiO、TaBSiON、TaGeON、TaOH、TaONH、TaBONH、TaBSiOH、TaBSiONH、および、TaGeONHからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項2または3に記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  5. 前記Mo/Si多層反射膜の形成後、該Mo/Si多層反射膜の最上層であるSi層表面を、大気中へ暴露することなく、窒素含有雰囲気に暴露した後に前記保護層を形成する、請求項1〜4のいずれかに記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のEUVL用反射型マスクブランクの製造方法により得られるEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  7. 基板上に、EUV光を反射する多層反射膜、該多層反射膜の保護層、および、EUV光を吸収する吸収層がこの順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクであって、
    前記多層反射膜が、Mo/Si多層反射膜であり、
    前記保護層が、それぞれNを含有するRu層、または、Ru化合物層であり、
    前記吸収層が、少なくともTaおよびNを含有する層であり、
    前記保護層と、前記吸収層と、の間には、膜厚2nm以下のSi薄膜またはSi酸化薄膜が形成されているEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  8. 基板上に、EUV光を反射する多層反射膜、該多層反射膜の保護層、EUV光を吸収する吸収層、および、マスクパターンの検査に使用する検査光における低反射層がこの順に形成されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクであって、
    前記多層反射膜が、Mo/Si多層反射膜であり、
    前記保護層が、それぞれNを含有するRu層、または、Ru化合物層であり、
    前記吸収層が、少なくともTaおよびNを含有する層であり、
    前記低反射層が、少なくともTaおよびOを含有する層であり、
    前記保護層と、前記吸収層と、の間には、膜厚2nm以下のSi薄膜またはSi酸化薄膜が形成されているEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  9. 前記吸収層が、TaN、TaNH、TaBN、TaGaN、TaGeN、TaSiN、TaBSiN、および、PdTaNからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項7または8に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  10. 前記低反射層が、TaON、TaBON、TaBSiO、TaBSiON、TaGeON、TaOH、TaONH、TaBONH、TaBSiOH、TaBSiONH、および、TaGeONHからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項8または9に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  11. 前記多層反射膜の最上層はSi層であり、
    前記多層反射膜の最上層と、前記保護層と、の間には、SiおよびNを含有する中間層が形成されている、請求項7〜10のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  12. 前記保護層の膜厚が1〜10nmである、請求項7〜11のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  13. 前記中間層は、前記多層反射膜側から第1層および第2層からなり、
    前記第1層は、窒素を0.5〜25at%含有し、Siを75〜99.5at%含有し、前記第2層は、窒素を0.1〜10at%含有し、Siを0.1〜30at%含有し、前記第1層および前記第2層の合計膜厚が0.2〜2.5nmである中間層が形成されており、
    前記保護層が、Siを実質的に含有しない請求項7〜12のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  14. 請求項7〜13のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランクをパターニングしたEUVリソグラフィ用反射型マスク。
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