JP2014124562A - イオン交換膜、その製造方法および逆電気透析発電装置 - Google Patents

イオン交換膜、その製造方法および逆電気透析発電装置 Download PDF

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Abstract

【課題】膜抵抗が低く、機械強度および耐有機汚染性に優れ、かつ膜に気泡が混入するのを防いで、膜抵抗のバラツキをなくし、均一性に優れた逆電気透析発電用のイオン交換膜を提供する。
【解決手段】カチオン交換基またはアニオン交換基を有する重合体を含むイオン交換体(A)と多孔質支持層(B)とから形成されたイオン交換膜であって、イオン交換体(A)が、ビニルアルコール系単量体(A−1)及びイオン交換性単量体(A−2)からなる共重合体から形成され、多孔質支持層(B)が、第1多孔質支持層(B−1)と、第1多孔質支持層(B−1)より空隙率の小さい第2多孔質支持層(B−2)を有し、イオン交換体(A)がノニオン系消泡剤(C)を含有することを特徴とする逆電気透析発電用のイオン交換膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、カチオン交換基またはアニオン交換基を有するイオン交換性重合体を含むイオン交換体(A)と多孔質支持層(B)とから形成された、逆電気透析発電用のイオン交換膜、その製造方法および該イオン交換膜が組み込まれた逆電気透析発電装置に関する。
従来、イオン交換膜は海水の濃縮、飲料水製造のための脱塩や硝酸性窒素の除去、食品製造工程における塩分除去、医薬品の有効成分の濃縮などを目的に、多種多様な用途、例えば、電気透析法、拡散透析法などで使用されている。これらに使用される有用なイオン交換膜は、主にスチレン−ジビニルベンゼン系重合体を原料とするイオン交換膜であり、工業上有用な分離ができるまでに至っている。
また、このイオン交換膜は上記の既存分野だけでなく、新規な用途への展開も検討されている。例えば、全地球的規模の課題である環境・エネルギー問題に着目してなされた、新しいエネルギー(再生可能エネルギー)の可能性を秘めた用途として、濃度差エネルギーを利用した逆電気透析発電の装置のために使用するイオン交換膜の開発である。
逆電気透析発電とは、淡水と海水のように塩濃度の異なるものが混ざる際に発生する混合自由エネルギー(濃度差エネルギー)を直接電気に変換する発電方法である。具体的には、塩分濃度の高い海水と濃度の低い河川水の塩分濃度差を利用して発電できることである。海水と河川水のように、環境負荷の少ない、再生可能な資源を使用することからクリーンで環境に優しい発電技術として注目を集めている。
例えば、市販の炭化水素系イオン交換膜を用いて逆電気透析発電装置の検証がなされた例がある。そこでは、淡水と河川水の濃度差の影響や用いるイオン交換膜の電気特性(膜抵抗)が逆電気透析発電の発電効率に及ぼす影響が検証されている。
しかしながら、市販の炭化水素系イオン交換膜を逆電気透析発電に用いると、イオン交換膜が疎水性であるがゆえに、連続使用時に耐有機汚染性(=耐ファウリング性)の問題より、優れた発電効率を長時間維持することができないことが報告されている。また、発電容量をあげるためには、必要となるイオン交換膜が多量(数千枚以上)になるため、コスト試算を行うと、イオン交換膜が非常に高価なために現実的に実用化することができなかった。
特許文献1には、海水淡水化設備において生成する濃縮海水を利用した発電方法として、イオン交換膜を利用した逆電気透析発電の装置が報告されている。
特許文献2には、ポリビニルアルコールにカチオン基またはアニオン基を導入したカチオン性重合体および/またはアニオン性重合体からなるイオン交換層と支持層とを有するイオン交換膜であって、該イオン交換膜が印刷によって支持層上に形成されているイオン交換膜が開示されている。
特開2004−335312号公報 WO2010−119858号公報
特許文献1には、使用するイオン交換膜に関する詳細な情報開示がなく、一般的な市販の炭化水素系イオン交換膜が使用されていることが推測される。従って、上述したような、耐有機汚染性(耐ファウリング性)の問題、イオン交換膜由来の電コストが高いとの課題は解決していない。
特許文献2に開示されている、親水性であるビニルアルコール系重合体のイオン交換膜を用いると、炭化水素系イオン交換膜と異なり、上記の耐有機汚染性の課題が解決され、
逆電気透析発電によって長期的に良好な発電効率が得られることが期待できることから、
イオン交換膜由来の発電コストの課題は、解決ができるものと見込まれる。
特許文献2に開示されているイオン交換膜については、
(1)耐有機汚染性:親水性高分子のポリビニルアルコールを構成要素に含むことによ
って、耐有機汚染性の問題の解決が期待できる。
(2)機械的強度:イオン交換膜を支持層で支持することにより、機械的強度が与えら
れる。
(3)電気特性(膜抵抗):ビニルアルコール系重合体にイオン性基を導入することにより優れた電気特性を得ることが期待できる。
しかしながら、実際には、得られる電気抵抗の値にはバラツキがあり、常に安定した電気抵抗を得ることが困難であるという問題があった。
本発明者等は、このバラツキについて検討する必要があると認め、常に安定した電気抵抗を得ることのできる、逆電気透析発電用のイオン交換膜を得ることを解決すべき課題であるとした。
本発明者等は、前記課題について種々検討した結果、イオン交換性重合体を含むイオン交換膜の製膜時に気泡が膜内に混入する場合があり、この気泡の存在が電気抵抗を大きし、電気透析用のイオン交換膜の性能を低下させていること、この気泡の発生を抑制するためにノニオン系消泡剤(消泡性を有するノニオン系界面活性剤をノニオン系消泡剤と称することがある)の添加が有効であることを見出し、本発明に到達した。
本発明第1の構成は、カチオン交換基またはアニオン交換基を有する重合体を含むイオン交換体(A)と多孔質支持層(B)とから形成されたイオン交換膜であって、
前記イオン交換体(A)が、ビニルアルコール系単量体(A−1)及びイオン交換性単量体(A−2)からなる共重合体から形成され、前記多孔質支持層(B)が、第1多孔質支持層(B−1)と、前記第1多孔質支持層(B−1)より空隙率の小さい第2多孔質支持層(B−2)を有し、前記イオン交換体(A)がノニオン系消泡剤(C)を含有することを特徴とする逆電気透析発電用のイオン交換膜である。
前記イオン交換体(A)において、ビニルアルコール系単量体(A−1)とイオン交換性単量体(A−2)のモル比が99:1〜50:50の範囲であることが好ましい。
前記イオン交換体(A)がビニルアルコール系重合体(a−1)とイオン交換性基を有する重合体(a−2)から形成されるブロック共重合体であることが好ましい。
前記ノニオン系消泡剤(C)を含むイオン交換体(A)が、前記第1多孔質支持層(B−1)と前記第2多孔質支持層(B−2)に含浸されていることが好ましい。
ここで、「含浸されている」とは、実用的な透気性を有する一方では、イオン交換体(A)が多孔質支持層の空隙をほぼ埋めている状態を意味している。
前記ノニオン系消泡剤(C)を含むイオン交換体(A)が、前記第2多孔質支持層(B−2)のみに含浸されていることが好ましい。
前記ノニオン系消泡剤(C)の添加量が、前記イオン交換体(A)100質量部に対して、0.001〜1質量部であることが好ましい。
本発明第2の構成は、カチオン交換基またはアニオン交換基を有する重合体を含むイオン交換体(A)と多孔質支持層(B)から構成され、前記多孔質支持層(B)が、第1多孔質支持層(B−1)と、前記第1多孔質支持層(B−1)より空隙率の小さい第2多孔質支持層(B−2)と、を有するイオン交換膜の製造方法であって、
前記イオン交換体(A)とノニオン系消泡剤(C)を含む水溶液を、前記第1多孔質支持層(B−1)および/または第2多孔質支持層に塗工することを特徴とする逆電気透析発電用のイオン交換膜の製造方法である。
本発明第3の構成は、カチオン交換基またはアニオン交換基を有する重合体を含むイオン交換体(A)と多孔質支持層(B)から構成され、前記多孔質支持層(B)が、第1多孔質支持層(B−1)と、前記第1多孔質支持層(B−1)より空隙率の小さい第2多孔質支持層(B−2)と、を有するイオン交換膜の製造方法であって、前記イオン交換体(A)とノニオン系消泡剤(C)を含む水溶液中に、前記第1多孔質支持層(B−1)および/または第2多孔質支持層を浸漬することを特徴とする逆電気透析発電用のイオン交換膜の製造方法である。
本発明第4の構成は、塩濃度の異なる2種の水溶液をイオン交換膜の両側に供給して、塩濃度の差を利用して発電を行う逆電気透析発電用装置であって、イオン交換膜として前記イオン交換膜を有することを特徴とする逆電気透析発電装置である。
本発明第1の構成によるイオン交換膜は、イオン交換体(A)がビニルアルコール系単量体(A−1)及びイオン交換性単量体(A−2)からなる共重合体から構成されて、多孔質支持層(B)により支持されているので、電気特性、機械特性および耐有機汚染性に優れ、かつ面方向の寸法安定性にも優れているだけでなく、イオン交換膜を製造する際に製膜溶液にノニオン系消泡剤(C)が加えられていることにより、膜面に気泡が付着することなく、均一な膜を得ることができる。特に、本発明のイオン交換膜は、第1多孔質支持層(B−1)と、第1多孔質支持層(B−1)より空隙率の小さい第2多孔質支持層(B−2)と、から形成された、多孔質支持層(B)により支持されているので、イオン交換体(A)の保持が均一であり、イオン交換膜に欠陥が生じにくく、このため、膜厚や膜抵抗にバラツキのない、常に安定した膜抵抗を有するイオン交換膜を得ることができるので、このイオン交換膜を備えることにより、長期間にわたり、安定的に優れた発電性能を発現する逆電気透析発電装置を提供することができる。
本発明第2の構成および第3の構成によるイオン交換膜の製造方法によれば、ノニオン系消泡剤(C)が加えられたイオン交換体(A)溶液を、第1多孔質支持層(B−1)と、前記第1多孔質支持層(B−1)より空隙率の小さい第2多孔質支持層(B−2)と、から形成された多孔質支持層(B)の第1多孔質支持層(B−1)および/または第2多孔質支持層(B−2)に塗工するか、前記イオン交換体(A)溶液中に第1多孔質支持層(B−1)および/または第2多孔質支持層(B−2)を浸漬することにより、得られたイオン交換膜において、イオン交換体(A)が多孔質支持層に均一に保持された、欠陥のないイオン交換膜を簡便なプロセスで製造することができる。
本発明第4の構成によれば、イオン交換膜として本発明第1の構成のイオン交換膜を用いることにより、機械強度に優れているためハンドリングがよく、膜抵抗が低く、かつ、膜抵抗にバラツキがないため安定した発電特性を有しており、耐有機汚染性に優れているため、長期運転が可能な逆電気透析発電装置を得ることができる。
イオン交換膜の膜抵抗の評価に用いた装置の概略図である。 イオン交換膜の耐有機汚染評価に用いた装置の概略図である。 逆電気透析発電の評価に用いた装置の概略図である。
本発明の逆電気透析発電用のイオン交換膜は、カチオン交換基またはアニオン交換基を有する重合体を含むイオン交換体(A)と多孔質支持層(B)とから形成され、前記イオン交換体(A)がビニルアルコール系単量体(A−1)及びイオン交換性単量体(A−2)から形成される共重合体を含み、前記多孔質支持層(B)が、第1多孔質支持層(B−1)と、前記多孔質支持層(B−1)より空隙率の小さい多孔質支持層(B−2)と、を有している。そして、前記イオン交換体(A)がノニオン系消泡剤(C)を含有することによって、イオン交換体(A)に含まれる前記共重合体を溶解した溶液を支持層(B)に塗工または前記支持層を前記溶液に浸漬することにより、気泡のない均一で良質な、膜抵抗が小さく、耐有機汚染性および機械強度に優れた膜を得ることができる。
上述のように、本発明において、イオン交換体(A)は、カチオン交換基またはアニオン交換基のイオン交換基を有する重合体であって、ビニルアルコール系単量体(A−1)及びイオン交換性単量体(A−2)から形成される共重合体から構成される。イオン交換性単量体としては、アニオン交換基を含む単量体とカチオン交換基を含む単量体とがある。
なかでも、上記共重合体は、ビニルアルコール系重合体(a−1)とイオン交換性基を有する重合体(a−2)から形成されるブロック共重合体であることが好ましい。
(アニオン交換基を有する重合体)
本発明で用いるアニオン交換基を有するイオン交換性重合体(カチオン性重合体と称することがある)(ビニルアルコール系単量体との共重合体およびブロック共重合体を構成するカチオン性重合体を含む)は、分子中にアニオン交換基(カチオン基と称することがある)を含有する単量体であれば、カチオン基が、主鎖、側鎖、末端のいずれに含有されていても構わない。カチオン基としては、アンモニウム基、イミニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基などが例示される。また、アミノ基やイミノ基のように、水中においてその一部が、アンモニウム基やイミニウム基に変換し得る官能基を含有する重合体も、本発明のカチオン基を持つ重合体に含まれる。この中で工業的に入手しやすい観点から、アンモニウム基が好ましい。アンモニウム基としては、1級アンモニウム基(アンモニウム塩)、2級アンモニウム基(アンモニウム塩)、3級アンモニウム基(塩)、4級アンモニウム基(トリアルキルアンモニウム基等)のいずれを用いることができるが、4級アンモニウム基(トリアルキルアンモニウム基)がより好ましい。カチオン性重合体は、1種類のみのカチオン基を含有しても良いし、複数種のカチオン基を含有しても良い。また、カチオン基の対アニオンは特に限定されず、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオンなどが例示される。この中で、入手の容易性の点から、ハロゲン化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。カチオン性重合体は、1種類のみの対アニオンを含有しても良いし、複数種の対アニオンを含有しても良い。
カチオン性重合体としては、以下の一般式(1)〜(8)の構造単位を有するものが例示される。
Figure 2014124562
[式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表わす。R、R、Rは、相互に連結して飽和若しくは不飽和環状構造を形成していてもよい。Zは−O−、−NH−、または−N(CH)−を表し、Yは酸素、窒素、硫黄またはリン原子を含んでもよい総炭素数1〜8の二価の連結基を表す。Xはアニオンを表す。]
一般式(1)中の対アニオンXとしては、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオンなどが例示される。一般式(1)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体しては、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなど3−(メタ)アクリルアミド−アルキルトリアルキルアンモニウム塩の単独重合体または共重合体などが例示される。
Figure 2014124562
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表わす。R、R、R、およびXは一般式(1)と同義である。]
一般式(2)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体としては、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどビニルベンジルトリアルキルアンモニウム塩の単独重合体または共重合体などが例示される。
Figure 2014124562
[式中、R、R、およびXは一般式(1)と同義である。]
Figure 2014124562
[式中、R、R、およびXは一般式(1)と同義である。]
一般式(3)および一般式(4)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどジアリルジアルキルアンモニウム塩が環化重合して得られる単独重合体または共重合体が例示される。
Figure 2014124562
[式中、nは0または1を表わす。RおよびRは一般式(1)と同義である。]
一般式(5)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体としては、アリルアミンの単独重合体または共重合体が例示される。
Figure 2014124562
[式中、nは0または1を表わす。R、R、R、およびXは一般式(1)と同義である。]
一般式(6)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体としては、アリルアミン塩酸塩などアリルアンモニウム塩の単独重合体または共重合体が例示される。
Figure 2014124562
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Aは−CH(OH)CH−、−CHCH(OH)−、−C(CH)(OH)CH−、−CHC(CH)(OH)−、−CH(OH)CHCH−、または−CHCHCH(OH)−を表す。Eは−N(Rまたは−N(R・Xを表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。Xはアニオンを表す。)
一般式(7)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体として、N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミンまたはその4級アンモニウム塩の単独重合体または共重合体、N−(4−アリルオキシ−3−ヒドロキシブチル)ジエチルアミンまたはその4級アンモニウム塩の単独重合体または共重合体が例示される。
Figure 2014124562
[式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはi−プロピル基、Rは水素原子、メチル基、またはエチル基をそれぞれ表わす。]
一般式(8)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体として、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等が例示される。
(カチオン交換基を有する重合体)
本発明で用いられるカチオン交換基を有するイオン交換性重合体(アニオン性重合体と称することがある)は、分子中にカチオン交換基(アニオン基と称することがある)を含有する重合体である。当該アニオン基は、主鎖、側鎖、末端のいずれに含有されていても構わない。アニオン基としては、スルホネート基、カルボキシレート基、ホスホネート基などが例示される。また、スルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基のように、水中において少なくともその一部が、スルホネート基、カルボキシレート基、ホスホネート基に変換し得る官能基も、アニオン基に含まれる。この中で、イオン解離定数が大きい点から、スルホネート基が好ましい。アニオン性重合体は、1種類のみのアニオン基を含有していてもよいし、複数種のアニオン基を含有していてもよい。また、アニオン基の対カチオンは特に限定されず、水素イオン、アルカリ金属イオン、などが例示される。この中で、設備の腐蝕問題が少ない点から、アルカリ金属イオンが好ましい。アニオン性重合体は、1種類のみの対カチオンを含有していてもよいし、複数種の対カチオンを含有していてもよい。
本発明で用いられるアニオン性重合体は、上記アニオン基を含有する構造単位のみからなる重合体であってもよいし、上記アニオン基を含有しない構造単位をさらに含む重合体であってもよい。また、これらの重合体は架橋性を有するものであることが好ましい。アニオン性重合体は、1種類のみの重合体からなるものであってもよいし、複数種のアニオン性重合体を含むものであってもよい。また、これらアニオン性重合体と別の重合体との混合物であっても構わない。ここでアニオン性重合体以外の重合体はカチオン性重合体でないことが望ましい。
アニオン性重合体としては、以下の一般式(9)および(10)の構造単位を有するものが例示される。
Figure 2014124562
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Gは−SOH、−SO 、−POH、−PO 、−COHまたは−CO を表す。Mはアンモニウムイオンまたはアルカリ金属イオンを表す。]
一般式(9)で表わされる構造単位を含有するアニオン性重合体としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の単独重合体または共重合体などが例示される。
Figure 2014124562
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表わし、Tは水素原子がメチル基で置換されていてもよいフェニレン基またはナフチレン基を表わす。Gは一般式(9)と同義である。]
一般式(10)で表わされる構造単位を含有するアニオン性重合体としては、p−スチレンスルホン酸ナトリウムなどp−スチレンスルホン酸塩の単独重合体または共重合体などが例示される。
また、アニオン性重合体としては、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸などのスルホン酸またはその塩の単独重合体または共重合体、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸、その誘導体またはその塩の単独重合体または共重合体なども例示される。
一般式(9)または(10)において、Gは、より高い荷電密度を与えるスルホネート基、スルホン酸基、ホスホネート基、またはホスホン酸基であることが好ましい。また一般式(9)および一般式(10)中、Mで表わされるアルカリ金属イオンとしてはナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等が挙げられる。
(ビニルアルコール系単量体との共重合体)
本発明においては、上記のカチオン交換基またはアニオン交換基を有する重合体は、ビニルアルコール系単量体との共重合体構造を有する。ビニルアルコール系単量体との共重合構造を取ることが、イオン交換膜の強度、柔軟性、および、物理的または化学的架橋性の点から好ましい。
(カチオン基を有する単量体とビニルアルコール系単量体との共重合体)
カチオン基を有するビニルアルコール系共重合体としては、入手容易である点からメタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩とビニルアルコール成分との共重合体、ビニルベンジルトリアルキルアンモニウム塩とビニルアルコール成分との共重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩とビニルアルコール成分との共重合体が特に好ましい。カチオン基を含有するビニルアルコール系重合体、またはカチオン基を含有するビニルアルコール系重合体とカチオン基を含有しないビニルアルコール系重合体との混合物においては、カチオン性重合体中の単量体単位の総数に対するビニルアルコール単位の数の割合が、50モル%以上であることが好ましく、55モル%以上であることがより好ましい。ここでカチオン性重合体以外の重合体(カチオン基を含有しないビニルアルコール系重合体)はアニオン性重合体でないことが望ましい。
(アニオン基を有する単量体とビニルアルコール系単量体との共重合体)
アニオン基を有するビニルルコール系共重合体としては、入手容易である点から、アニオン基を有するビニルアルコール系共重合体としては、入手容易である点から、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩成分とビニルアルコール成分との共重合体、p−スチレンスルホン酸塩成分とビニルアルコール成分との共重合体が特に好ましい。アニオン基を含有するビニルアルコール系重合体、またはアニオン基を含有するビニルアルコール系重合体とアニオン基を含有しないビニルアルコール系重合体との混合物においては、アニオン性重合体中の単量体単位の総数に対するビニルアルコール単位の数の割合が、50モル%以上であることが好ましく、55モル%以上であることがより好ましい。ここでアニオン性重合体以外の重合体(アニオン基を含有しないビニルアルコール系重合体)はカチオン性重合体でないことが望ましい。
(ブロック共重合体)
本発明において、イオン交換体(A)は、カチオン基またはアニオン基を有する単量体単位とビニルアルコール系単量体単位とを含む共重合体から構成されている。中でも、ビニルアルコール系重合体(a―1)とカチオン基またはアニオン基を有する単量体単位を含む重合体(a−2)とを含有するブロック共重合体が好適に用いられる。こうすることにより、イオン性重合体がミクロ相分離して、膜の膨潤度の抑制、および形状保持についての機能を担うビニルアルコール重合体成分と、カチオンまたはアニオンを透過させる機能を担うイオン交換ユニットを重合してなる重合体成分とが役割分担でき、イオン交換膜の膨潤度と寸法安定性とを両立させることができる。カチオン基またはアニオン基を有する単量体単位としては、前記一般式(1)〜(10)で表わされるものなどが例示される。この中で、入手容易である点から、カチオン性重合体としては、メタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩を重合してなる重合体成分とビニルアルコール系重合体成分とを含有するブロック共重合体、ビニルベンジルトリアルキルアンモニウム塩を重合してなる重合体成分とビニルアルコール系重合体成分とを含有するブロック共重合体、またはジアリルジアルキルアンモニウム塩を重合してなる重合体成分とビニルアルコール系重合体成分とを含有するブロック共重合体が好ましく用いられる。また、アニオン性重合体としては、p−スチレンスルホン酸塩を重合してなる重合体成分とビニルアルコール系重合体成分とを含有するブロック共重合体、または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩を重合してなる重合体成分とビニルアルコール系重合体成分とを含有するブロック共重合体が好ましく用いられる。
(ビニルアルコール系重合体とイオン交換性重合体との比率)
本発明において、ビニルアルコール系単量体(A−1)とイオン交換性単量体(A−2)との比率は、ビニルアルコール系単量体(A−1)が99〜50mol%,イオン交換性単量体(A−2)が1〜50mol%[単量体(A−1)と単量体(A−2)との合計量を100mol%とする]の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、ビニルアルコール系単量体(A−1)が97〜60mol%、イオン交換性単量体(A−2)が3〜40mol%の範囲内にあることが好ましい。
イオン交換性重合体の比率が1mol%未満では、イオン交換膜中の有効荷電密度が低下し、膜の対イオン選択性が低下するおそれがある。また、イオン交換性重合体の比率が50mol%を超えると、イオン交換膜の膨潤度が高くなり、機械的強度が低下するおそれがある。
(ランダム共重合体の製造)
本発明のイオン交換膜に用いられる、カチオン交換基またはアニオン交換基を有する重合体を含むイオン交換体(A)は、カチオン性単量体またはアニオン性単量体とビニルエステル系単量体を共重合し、これを常法によりけん化して得られる。ビニルエステル系単量体は、ラジカル重合可能なものであれば使用できる。例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびパーサティック酸ビニル等があげられる。この中でも酢酸ビニルが好ましい。
カチオン性単量体またはアニオン性単量体とビニルエステル系単量体とを共重合させる方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法があげられる。それらの方法の中でも、無溶媒で行う塊状重合法、またはアルコールなどの溶媒を用いて行う溶液重合が通常採用される。溶液重合を採用して共重合反応を行う際に、溶媒として使用されるアルコールには、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールがあげられる。共重合反応に使用される開始剤としては、2,2’―アゾビス(2、4−ジメチル−バレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2、2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)などのアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどの過酸化物系開始剤などの公知の開始剤があげられる。共重合反応を行う際の重合温度については、特に制限はないが、5〜180℃の範囲が適当である。
カチオン性単量体またはアニオン性単量体とビニルエステル系単量体とを共重合させることによって得られたビニルエステル系重合体は、次いで、公知の方法にしたがって溶媒中でけん化することで、カチオン基またはアニオン基を含有するビニルアルコール系重合体を得ることができる。
ビニルエステル系重合体のけん化反応の触媒としては通常アルカリ性物質が用いられ、その例として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、およびナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドがあげられる。けん化触媒は、けん化反応の初期に一括して添加しても良いし、あるいはけん化反応の初期に一部を添加し、残りをけん化反応の途中で追加して添加しても良い。けん化反応に用いられる溶媒としては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどがあげられる。この中でもメタノールが好ましい。けん化反応は、バッチ法および連続法のいずれの方式でも実施可能である。けん化反応の終了後に、必要に応じて、残存するけん化触媒を中和しても良く、使用可能な中和剤として、酢酸、乳酸などの有機酸、および酢酸メチルなどのエステル化合物などがあげられる。
イオン基を含有するビニルアルコール系重合体のけん化度は特に限定されないが、40〜99.9モル%であることが好ましい。けん化度が40モル%未満では、結晶性が低下し、イオン交換体の耐久性が不足するおそれがある。けん化度が60モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが更に好ましい。通常、けん化度は99.9モル%以下である。このとき、前記ビニルアルコール系重合体が複数種のビニルアルコール系重合体の混合物である場合のけん化度は、JIS K6726に準じて測定した値である。本発明で用いるイオン基を含有しないビニルアルコール系重合体のけん化度も、上記範囲であることが好ましい。
イオン基を含有するビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度(以下単に重合度と言うことがある)は特に限定されないが、50〜10000であることが好ましい。重合度が50未満では、実用上でイオン交換体が充分な耐久性を保持できないおそれがある。重合度が100以上であることがより好ましい。重合度が10000を超えると、水溶液にした際に粘度が高すぎて取り扱いが不便であるおそれがある。重合度が8000以下であることがより好ましい。このとき、前記ビニルアルコール系重合体が複数種のビニルアルコール系重合体の混合物である場合の重合度は、混合物全体としての平均の重合度をいう。なお、前記ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度は、JIS K6726に準じて測定した値である。本発明で用いられるイオン基を含有しないビニルアルコール系重合体の重合度も、上記範囲であることが好ましい。
(ブロック共重合体の製造)
本発明で用いられる、カチオン交換性単量体、またはアニオン交換性単量体を重合してなる重合体成分とビニルアルコール系重合体成分がブロック共重合を形成する重合体の製造方法は主に次の2つの方法に大別される。すなわち、(1)所望のブロック共重合体を製造した後、特定のブロックにカチオン基またはアニオン基を結合させる方法、および(2)少なくとも1種類のカチオン性単量体またはアニオン性単量体を重合させて所望のブロック共重合体を得る方法である。このうち、(1)については、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体の存在下、1種類または複数種の単量体をブロック共重合させ、次いでブロック共重合体中の1種類または複数種の重合体成分にカチオン基またはアニオン基を導入する方法、(2)については、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体の存在下、少なくとも1種類のカチオン性単量体またはアニオン性単量体をラジカル重合させることによりブロック共重合体を製造する方法が工業的な容易さから好ましい。特に、ブロック共重合体中の各成分の種類や量を容易に制御できることから、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体の存在下、少なくとも1種類以上のカチオン性単量体またはアニオン性単量体をラジカル重合させてブロック共重合体を製造する方法が好ましい。
これらのブロック共重合体の製造に用いられる、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体は、例えば、特開昭59−187003号などに記載されている方法により得ることができる。すなわち、チオール酸の存在下にビニルエステル系単量体、例えば酢酸ビニルをラジカル重合して得られるビニルエステル系重合体をけん化する方法があげられる。また、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体とイオン性単量体とを用いてブロック共重合体を得る方法としては、例えば、特開昭59−189113号などに記載された方法が挙げられる。すなわち、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体の存在下にイオン性単量体をラジカル重合させることによりブロック共重合体を得ることができる。このラジカル重合は公知の方法、例えば塊状重合、溶液重合、パール重合、乳化重合などによって行うことができるが、末端にメルカプト基を含有するビニルアルコール系重合体を溶解し得る溶剤、例えば水やジメチルスルホキシドを主体とする媒体中で行うのが好ましい。また、重合プロセスとしては、回分法、半回分法、連続法のいずれをも採用することができる。
(多孔質支持層)
本発明のイオン交換膜に用いられる多孔質支持層(B)は、特に限定はされないが、カチオン交換基またはアニオン交換基を有する重合体を含むイオン交換体(A)を含浸、もしくは積層できれば良い。支持層を多孔質にすることで、イオンの透過や塩の輸送が容易になる。また、多孔質支持層を空隙率の異なる多孔質支持層の2層またはそれ以上の積層体(B−1、B−2)とすることにより、イオン交換体(A)とノニオン系消泡剤(C)を含む液を均一に含浸できる。多孔質支持層(B)としては、不織布、膜、織布、合成紙などが例示され、従来公知の多孔質シートがいずれも使用できる。これらの中でも、不織布、膜、合成紙がさらに好ましい。また、素材としては、ビニルアルコール系重合体からなる繊維集合体が特に好ましく用いられる。
多孔質支持層(B)の厚みは、特に限定されないが、5〜1000μmであることが好ましい。多孔質支持層(B)の厚みが5μm未満であると、イオン交換膜の強度が不足するおそれがある。その厚みは10μm以上であることがより好ましい。多孔支持層の厚みが1000μmを超えると、膜抵抗が上昇し、イオンや塩の輸送が困難になるおそれがある。該厚みは800μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることが更に好ましい。
本発明で用いられる多孔質支持層(B)の坪量は、特に限定されず、1〜100g/mであることが好ましい。坪量が1g/m未満の場合、イオン交換膜の機械強度が低下し、耐久性が不足するおそれがある。5g/m以上であることがより好ましく、10g/m以上であることが更に好ましい。一方、坪量が100g/mを超える場合は、イオン交換膜の膜抵抗が上昇し、イオンや塩の輸送が困難になるおそれがある。該膜の坪量は80g/m以下が好ましく、50g/m以下であることがさらに好ましい。
本発明で用いられる多孔質支持層(B−1)の空隙率は、多孔質支持層(B−2)の空隙率よりも大きければ特に限定されない。多孔質支持層(B−2)よりも多孔質支持層(B−1)の空隙率を大きくすることにより、イオン交換膜の膜抵抗を低減させ、イオンや塩の輸送を促進させることができる。また、多孔質支持層(B−1)より多孔質支持層(B−2)の空隙率が小さいことで、特に高温状態の前記イオン交換体(A)とノニオン系消泡剤(C)を含む液を多孔質支持層(B−1)と多孔質支持層(B−2)に含浸、もしくは多孔質支持層(B−2)のみに含浸されて積層構造を形成する場合、該液が多孔質支持層に含浸できる。多孔質支持層(B−1)と多孔質支持層(B−1)の空隙率の差は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。
本発明で用いられる多孔質支持層(B)の空隙率を所望の範囲に制御する手段は公知の手段を用いることができる。例えば、製造時の樹脂の坪量と層の厚さを調節することで空隙率を制御することが可能である。樹脂の発泡によって空隙を形成する場合は、発泡剤の種類と量によって調節することで空隙率を制御できる。また、多孔質支持層(B)が繊維集合体からなる層である場合、繊維の交絡密度を調整することで空隙率を制御できる。
本発明で用いられる多孔質支持層(B)の空隙率は、40〜90%であることが好ましい。空隙率がこの範囲にあることで、得られるイオン交換膜の機械強度が優れ、かつ耐久性にも優れる。多孔質支持層(B)の空隙率が40%未満の場合、イオン交換膜の膜抵抗が上昇し、イオンや塩の輸送が困難になるおそれがある。該空隙率は50%以上であることが好ましく、55%以上であることがさらに好ましい。一方、 多孔質支持層(B)の空隙率が90%を超える場合、得られるイオン交換膜の機械強度が劣るおそれがあり、耐久性に問題が発生するおそれがある。該空隙率は80%以下であることが好ましく、75%以下であることが更に好ましい。
本発明で用いられる多孔質支持層(B−1)が繊維集合体からなる層である場合、その平均繊維径は1μm以上100μm以下であることが好ましい。このことより、機械強度に優れたイオン交換膜を得ることができる。平均繊維径が1μm未満の場合、イオンや塩の輸送が困難になるおそれがある。該平均繊維径は3μm以上であることが好ましい。一方、平均繊維径が100μmを超える場合、表面平滑性が劣り、多孔質支持層(B―2)を均一に設けることができないおそれがある。該平均繊維径は、50μm以下であることが好ましい。
本発明において、多孔質支持層(B−1)および/または多孔質支持層(B−2)は親水性繊維を少なくとも50質量%含む繊維層からなる。前記多孔質支持層が、親水性繊維を少なくとも50質量%含む繊維層からなることにより、イオン交換体(A)との親和性が高くなるため、多孔質支持層とイオン交換層との接着性が高くなる利点を有する。特に、多孔質支持層(B)および多孔質支持層(B−1)が、親水性繊維を少なくとも50質量%含む繊維層からなることにより、上記効果に加えて、多孔質支持層(B)および多孔質支持層(B−1)の層間における接着性も高くなる利点を有する。
本発明において、多孔質支持層(B−1)および/または多孔質支持層(B−2)は疎水性重合体を含むことが好ましい。このことにより、得られるイオン交換膜が水中強度に優れ、吸水による膨潤や変形を抑制できるため、寸法安定性の向上にも効果がある。
前記多孔質支持層に使用される疎水性重合体としては、水酸基、カルボキシル基などのプロトン性官能基を実質的に有さないものであれば特に限定されず、ポリオレフィン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ポリエステルおよびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい
(ノニオン系消泡剤)
本発明者らは、イオン交換体を溶解した溶液から膜製造を行うにあたり、イオン交換体溶液中に混入した微細気泡の存在が、得られるイオン交換膜の膜抵抗に悪影響を与えることを見出したが、静置脱泡等により微細気泡を除去することは容易ではなく、ノニオン系消泡剤の添加により気泡が混入することなく、膜抵抗にバラツキのないイオン交換体(A)の膜形成を可能にすることができた。
イオン交換体(A)に加えられるノニオン系消泡剤(C)は、ビニルアルコール系重合体を含む液の気泡を無くす効果があれば特に限定はされない。具体的には、シリコン系であればサンノプコ製のノプコ8034、8034−L、SN-DF-483、3034、3034−L、SN−DF−483、ポリエーテル系であればサンノプコ製のSN−DF−470、SN−DF−260、SNデフォーマー170、特殊ウレタン系であればダイヤファイン製のジョルシンーLBD、ジョルシンーLX、ジョルシンーPBがあげられる。本発明で用いられるノニオン系消泡剤(C)は、単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせても良い。
本発明のイオン交換膜に用いられるノニオン系消泡剤(C)の添加量は、特に限定はされないが、前記イオン交換体(A)に含まれる共重合体100質量部に対して、0.001〜1質量部の範囲であることが好ましい。消泡剤の添加量が0.001質量部より少ない場合は、消泡剤の効果が発現せず、作製したイオン交換膜内に気泡が残存するおそれがある。該ノニオン系消泡剤の添加量は0.003質量部より多いことがより好ましい。一方、消泡剤の添加量が1質量部より多い場合は、作製したイオン交換膜内に消泡剤が凝集物として存在し、イオン交換性能に悪影響を及ぼすおそれがある。該ノニオン系消泡剤の添加量は0.8質量部より少ないことがより好ましい。
(添加物)
本発明の逆電気透析発電で使用するイオン交換膜は、本発明の目的を損なわない範囲で、無機フィラーなど種々の添加剤を含んでいてもよい。
(イオン交換膜の製造)
上記のイオン交換体(A)を、水、DMSOなどの溶媒に溶解したイオン交換体(A)溶液を、多孔質支持層(B)に塗工するか、または多孔質支持層(B)をイオン交換体(A)溶液に浸漬してイオン交換体(A)層を形成し、乾燥などにより脱溶媒することによりイオン交換膜を形成することができる。
イオン交換体(A)層の厚みは、イオン交換膜としての機能、膜強度、ハンドリングなどの観点から、0.5〜500μm程度であることが好ましい。膜厚が0.5μm未満であると、膜にピンホールが発生するおそれがあり、膜の機械的強度、耐久性が不十分となる傾向にあり、また、一方、膜厚が500μmを超える場合には、膜抵抗が大きくなり、十分なイオン交換性を発揮しにくくなる傾向にある。より好ましい膜厚は400μm未満、さらにより好ましくは、300μm未満である。
なお、後述するように、イオン交換体(A)は、多孔質支持層(B)の一部または全体に含浸されて形成されるので、上記の厚みは、多孔質支持層(B)に含浸されているイオン交換体含浸層の厚みとなる。イオン交換体(A)が多孔質支持層中に含浸することにより、支持層由来の膜抵抗の増大を防ぐことができるので好ましい。
上記のように、イオン交換体(A)層は、イオン交換体(A)を構成するイオン交換性重合体を溶解した溶液を多孔性支持層(B)に塗工するか、イオン交換体(A)溶液中に多孔性支持層(B)を浸漬することにより、イオン交換体(A)層と多孔性支持層(B)とが一体化された本発明のイオン交換膜を形成することができる。この際に、イオン交換体(A)溶液にノニオン系界面活性剤を加えておくことにより、コーティング時に気泡が混入しても消泡するので、膜抵抗の増大を引き起こすことなく、安定した電気特性のイオン交換膜を形成することができる。
(塗工)
本発明のイオン交換膜は、前記多孔質支持層(B)に、ノニオン系消泡剤(C)を含む、イオン交換体(A)溶液を塗工することによって得られる。塗工方法としては、従来公知の方法が採用され、コンマコート、ダイコート、スロット塗工、カーテンコートが報告され、特に限定は無い。
イオン交換体(A)溶液の粘度、塗工量、第1多孔質支持層(B−1)と第2多孔質支持層(B−2)からなる多孔質支持層(B)の第2多孔質支持層(B−2)を上にして、第2多孔質支持層(B−2)に塗工するか、第2多孔質支持層(B−2)を下にして第1多孔質支持層(B―1)に塗工するかにより、イオン交換体(A)が第2多孔質支持層のみに含浸されたイオン交換膜、第2多孔質支持層(B−2)だけでなく第1多孔質支持層(B−1)にも含浸したイオン交換膜を得ることができる。また、イオン交換体溶液の液量の調節により所定厚みのイオン交換体(A)層を形成することができる。
(浸漬)
また、本発明のイオン交換膜は、前記多孔質支持層(B)を、ノニオン系界面活性剤である消泡剤(C)を含むイオン交換体(A)溶液に浸漬させて得られる。浸漬されるイオン交換体(A)溶液の粘度、液量、第1多孔質支持層と第2多孔質支持層からなる多孔質支持層(B)の第2多孔質支持層(B−2)を上にして浸漬するか、下にして浸漬するかにより、イオン交換体(A)が第2多孔質支持層のみに含浸されたイオン交換膜、第2多孔質支持層(B−2)だけでなく第1多孔質支持層にも含浸したイオン交換膜を得ることができる。また、イオン交換体溶液の液量の調節により所定厚みのイオン交換体(A)層を形成することができる。
イオン交換体(A)が含まれる液は水系、有機溶媒系で特に限定は無いが、ハンドリング性や安全面を考慮して水系であることが好ましい。
(熱処理)
本発明のイオン交換膜の製造方法においては、前記多孔質支持層にイオン交換体を形成した後に、熱処理を施すことが好ましい。熱処理を施すことによって、結晶化度が高くなるので、物理的な架橋が増加し、得られるイオン交換膜の機械的強度と耐久性が増大する。また、非晶部にカチオン基、アニオン基が濃縮され、高密度のイオン交換パスが形成されるため、荷電密度が増加するので、イオン交換性能が向上する。熱処理の方法は特に限定されず、熱風乾燥機などが一般に用いられる。熱処理の温度は、特に限定されないが、ビニルアルコール系重合体の場合、50〜250℃であることが好ましい。熱処理の温度が50℃未満では、得られるイオン交換膜の機械的強度や耐久性が不足するおそれがある。該温度が60℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。熱処理の温度が250℃を超えると、ビニルアルコール系重合体が熱分解するおそれがある。該温度が230℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。熱処理の時間は、通常、30秒〜10時間程度である。熱処理は不活性ガス(例えば窒素ガス、アルゴンガスなど)雰囲気下で行うことが望ましい。
本発明のイオン交換膜の製造方法においては、前記多孔質支持層にイオン交換体を形成した後に、熱プレス処理を施すことが好ましい。熱プレス処理を施すことによって、設けられたイオン交換体層が緻密となり、得られるイオン交換体の機械的強度と耐久性が向上する。熱プレス処理の方法は特に限定されず、カレンダー設備などが一般に用いられる。熱プレス処理の温度は、特に限定されないが、ビニルアルコール系重合体の場合、50〜250℃であることが好ましい。熱プレス処理の温度が50℃未満だと、得られるイオン交換膜の機械的強度と耐久性が不足するおそれがある。該温度が60℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。熱プレス処理の温度が250℃を超えると、ビニルアルコール系重合体が融解するおそれがある。該プレス温度が230℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。
(架橋処理)
本発明のイオン交換膜の製造方法においては、多孔質支持層にイオン交換体を形成した後に、架橋処理を施すことが好ましい。架橋処理を施すことによって、得られるイオン交換体の機械的強度と耐久性が向上する。また、荷電密度が増加するため、イオン交換性能が向上する。架橋処理の方法は、重合体の分子鎖同士を化学結合によって結合できる方法であればよく、特に限定されない。通常、イオン交換体を、架橋処理剤を含む溶液に浸漬する方法などが用いられる。該架橋処理剤としては、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、グリオキザールなどが例示される。該架橋処理剤の濃度は、通常、溶液に対する架橋処理剤の体積濃度が0.001〜1体積%である。
前記製造方法においては、熱処理と熱プレス処理と架橋処理のすべてを行ってもよいし、そのうちの2つを行ってもよいし、そのいずれかのみを行ってもよい。行う処理の順番は特に限定されない。複数の処理を同時に行ってもよい。熱処理または熱プレス処理を施した後に、架橋処理を施すことが好ましい。熱処理または熱プレス処理を施すことにより架橋されにくい部位が生じ、その後、架橋処理、特に化学架橋処理を行うことで、架橋された部位と架橋されない部位が混在することによって、膜強度が高くなるからである。熱プレス処理、熱処理、架橋処理の順番で行うことが、得られるイオン交換膜の機械的強度の面から特に好ましい。また、イオン交換体が水溶性重合体である場合には、上記熱処理、熱プレス処理、架橋処理等を行うことにより、溶出するのを防止することもできる。
(逆電気透析発電用としてイオン交換膜)
本発明の逆電気透析発電用イオン交換膜は、基礎電気特性と機械特性に優れているので、逆電気透析発電装置に用いることで良質な発電効率を発現する。また、本発明のイオン交換膜は耐有機汚染性に優れているために、逆電気透析発電装置において長時間にわたり、優れた発電特性を発現するものである。
(逆電気透析発電装置)
以下、上記発明のイオン交換膜を用いた本発明の逆電気透析発電装置について説明する。本発明の逆電気透析発電装置は、塩濃度の異なる2種の水溶液をイオン交換膜の両側に供給して、両側の層の塩濃度の差を利用して発電を行うものである。すなわち、イオン交換膜の両側に、河川層(塩濃度の薄い層)と海水層(塩濃度の濃い層)のように塩濃度の異なる水溶液を供給して濃淡電池を構成して発電を行う。このとき、本発明のイオン交換膜として、アニオン交換膜とカチオン交換膜とを交互に平行に配置し、各イオン交換層の間に塩濃度の高い水溶液と塩濃度の低い水溶液とを交互に供給することにより、積層電池を構成することができ、大きな起電力を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例中、特に断りのない限り「%」および「部」は質量基準である。実施例および比較例における分析および評価は、下記の方法にしたがって行った。
1)イオン交換体(A)に含まれるイオン交換ユニット割合の評価方法
重合して得られたイオン交換ユニットを含んだビニルアルコール系重合体を、重水素溶媒で溶解(濃度5wt%)させ、以下のNMR装置、条件で測定した。イオン交換基を持つユニットのピーク強度とビニルアルコール系重合体のピーク強度より、重合して得られたポリマー中に含まれるイオン交換ユニットの割合を算出した。以下の実施例で用いたイオン交換ユニットは、ベンゼン環を有するために、6.0〜8.0ppmに現れるベンゼン環のピークと、4.0ppm付近に現れるビニルアルコール系重合体のメチンプロトンの比より、イオン交換ユニットの割合を算出した。
装置名 : 日本電子製 超伝導核磁気共鳴装置Lambda 500
観測周波数 : 500MHz(1H)
溶媒 : 重水
ポリマー濃度 : 5wt%(H−NMR)
測定温度 : 80℃(H−NMR)
積算回数 : 256回(H−NMR)
パルス繰り返し時間 : 4秒(H−NMR)
サンプル回転速度 : 10〜12Hz
2)多孔質支持層の空隙率測定
下記計算式により空隙率を求めた。
空隙率(%)={1−[坪量(g/m)/厚み(μm)]/樹脂密度(g/cm)}×100
今回用いた支持層の密度は1.3(g/cm)として計算した。
3)透気度測定
多孔性支持層に関しては、JIS P8117に従い、ガーレーデンソメーターを用いて100mlの空気の透過時間を測定した。また、得られたイオン交換膜に関しては、JAPAN TAPPI紙のパルプ試験法No.5の王研式透気度試験に従って測定した。
4)厚み測定
イオン交換膜を25℃のイオン交換水中に5日以上浸漬させ、膨潤平衡状態としたのち、手術用ナイフで断面を切り出した後、イオン交換水にメチルバイオレットを濃度5×10−5mol/Lで溶解した水溶液に30分間浸漬してカチオン性重合体のドメインの部分を着色して測定試料を作製した。こうして得られた測定試料を乾燥させてから株式会社ニコン製光学顕微鏡「OPTIPHOT−2」で断面観察し、得られたデータを株式会社ニコン製「NIS−Elements.D.2.30」で画像解析することでイオン交換膜の厚みを算出した。なお、ここで得られた厚みの値は、乾燥時における値である。
5)イオン交換膜の膜抵抗の評価方法
膜抵抗は、図1に示される白金黒電極板(12)を有する2室セル中にイオン交換膜(14)を挟み、膜の両側に0.5モル/L−NaCl溶液(13)を満たし、交流ブリッジ(周波数1000サイクル/秒)により25℃における電極間の抵抗を測定し、該電極間抵抗とイオン交換膜を設置しない場合の電極間抵抗との差により求めた。
6)イオン交換膜の機械特性の評価方法
イオン交換水に浸漬させていたイオン交換膜をDumb Bell Ltd.性スーパーダンベルカッターを用いて、JISK6251に記載のダンベル状2号形の試験片を打ち抜いて、23℃−50%RHの条件で引っ張り測定を実施。2%歪み時の中間点応力と破断時の応力について、株式会社島津製作所製オートグラフAG−5000Bを用いて、引張り速度5mm/minで測定することにより評価した。
7)イオン交換膜の耐有機汚染性の評価方法
得られたイオン交換膜を図2に示す電気透析装置に組み込み、耐有機汚染性の評価を実施した。銀―塩化銀電極のついた2室セル間に挟み、陽極側に0.1モル/dm3NaCl水溶液を、陰極側に所定量のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムと0.1モル/dm3NaCl水溶液の混合液を入れて、電流密度10mA/cmの条件で電気透析を行った。所定温度で、膜表面近くに固定された白金プローブ電極を用いて電極間電位の経時変化を測定した。評価は、180分後に電位差Δφが5V以下であれば合格「○」、5〜10Vであれば「△」、10V以上であれば「×」と判定した。
8)逆電気透析発電の評価方法
図3に逆電気透析発電装置の概略を示す。アニオン交換膜とカチオン交換膜の間に海水と河川水が通る流路を設けて、発電特性を評価した。測定条件は、河川水のNaCl濃度を変えて、出力密度を測定し、最大出力密度P[W/m]を評価した。
電解液 :3M NaCl水溶液
海水 :0.5M NaCl水溶液
河川水 :さまざまな濃度のNaCl水溶液
有効膜面積 :22cm
膜間距離 :1.0mm
膜の数 :5枚ずつ
電極(+) :AgCl
電極(−) :Ag
(PVA−1の合成)
特開昭59−187003号公報に記載された方法(末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体およびその方法)によって、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体PVA−1を合成した。得られたPVA−1の重合度は500、けん化度は99.5モル%であった。
(カチオン性重合体P−1の合成)
特開昭59−189113号公報に記載された方法によってカチオン性重合体P−1の合成を行った。還流冷却管、攪拌翼を備え付けた1Lの四つ口セパラブルフラスコに、水669g、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールとしてPVA−1を110g仕込み、攪拌下95℃まで加熱して該ビニルアルコール系重合体を溶解した後、室温まで冷却した。該水溶液に1/2規定の硫酸を添加してpHを3.0に調製した。別に、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(MAPTAC)16gを溶解し、これを先に調製した水溶液に攪拌下添加した後、該水溶液中に窒素をバブリングしつつ70℃まで加温し、さらに70℃で30分間窒素のバブリングを続けることで、窒素置換した。窒素置換後、上記水溶液に過硫酸カリウム(KPS)の2.5%水溶液88.8mLを1.5時間かけて逐次的に添加してブロック共重合を開始させ、進行させた後、系内温度を75℃に1時間維持して重合をさらに進行させ、ついで冷却して、固形分濃度20%のビニルアルコール系重合体−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(MAPTAC)のブロック共重合体であるカチオン性重合体P−1の水溶液を得た。得られた水溶液の一部を乾燥した後、重水に溶解し、H−NMR測定を行ったところ、該ブロック共重合体中のカチオン性単量体含有量、すなわち、該重合体中の単量体単位の総数に対するメタクリルアミドプロピルメチルアンモニウムクロライドユニット単量体単位の数の割合は3モル%であった。
(カチオン性重合体P−2の合成)
上記のP−1の重合条件を表1のように変えて、他はカチオン性重合体P−1と同様の方法でブロック共重合体であるカチオン性重合体P−2を合成した。得られたカチオン性重合体P−2のイオン交換ユニットの割合は40モル%であった。
(PVA−2の合成)
特開昭59−187003号公報に記載された方法(末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体およびその方法)によって、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体PVA−2を合成した。得られたPVA−2の重合度は1500、けん化度は99.5モル%であった。
(カチオン性重合体P−3、P−4の合成)
上記のP−1の重合条件を表1のように変えて、他はカチオン性重合体P−1と同様の方法でブロック共重合体であるカチオン性重合体P−3、P−4を合成した。得られたカチオン性重合体P−3のイオン交換ユニットの割合は10モル%、P−4のイオン交換ユニットの割合は0.5モル%であった。
(カチオン性重合体P−5の合成)
攪拌機、温度センサー、滴下漏斗および還流冷却管を備え付けた6Lのセパラブルフラスコに、酢酸ビニル1120g、メタノール1680g、およびメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを20質量%含有するメタノール溶液を31.6gを仕込み、攪拌下に系内を窒素置換した後で、内温を60℃まで上げた。この系に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.4g含有するメタノール20gを添加して、重合反応を開始した。重合開始時点よりメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを20質量%含有するメタノール溶液を200gを系内に添加しながら、4時間反応を行い、重合反応を停止した。重合反応を停止した時点における系内の固形分濃度、すなわち、重合反応スラリー全体に対する固形分の含有率は23.9質量%であった。ついで、系内にメタノール蒸気を導入することにより、未反応の酢酸ビニル単量体を追い出し、ビニルエステル共重合体を55質量%含有するメタノール溶液を得た。
このビニルエステル共重合体を55質量%含有するメタノール溶液に、該共重合体中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.025、ビニルエステル共重合体の固形分濃度が45質量%となるように、メタノール、および水酸化ナトリウムを10質量%含有するメタノール溶液を攪拌下に加えて、40℃でけん化反応を開始した。
けん化反応の進行に伴い、ゲル化物が生成した場合は反応系から取り出し粉砕し、ついで、ゲル化物が生成してから1時間が経過した時点で、この粉砕物に酢酸メチルを添加することにより中和を行い、膨潤状態のビニルアルコール系重合体であるカチオン性重合体P−5を得た。この膨潤したカチオン性重合体に対して質量基準で6倍量(浴比6倍)のメタノールを加え、還流下に1時間洗浄し、その後のろ過によって得られた固形物として、該カチオン性重合体として回収した。得られた重合体を乾燥した後、重水に溶解し、H−NMR測定を行ったところ、該共重合体中のカチオン性単量体含有量、すなわち、該重合体中の単量体単位の総数に対するメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド単量体単位の数の割合は2モル%であった。また、重合度は500、けん化度は98.5モル%であった。
(カチオン性重合体P−6の合成)
組成を表2のように変えて、他はカチオン性重合体P−5と同様の方法によって、ランダム共重合体であるカチオン性重合体P−6を合成した。得られたカチオン重合体P−6のイオン交換ユニットの割合は3モル%であった。また、重合度は500、けん化度は98.5モル%であった。
(カチオン性重合体P−7の作製)
カチオン性重合体P−1の合成方法において、系内からPVA−1を省き、水量を250gにして、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを50g添加して同条件で重合し、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド単独から成る重合体を得た。固形分濃度16wt%の該重合体を含む水溶液50gを、PVA−1を80gと、水を508g加えて混合を実施した。結果、透明で均一な水溶液を得た。得られたカチオン重合体P−7のイオン交換ユニットの割合は2モル%であった。
(カチオン性重合体P−8の作製)
カチオン性重合体P−7の作製方法に対して、表3に示すようにメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド単独からなる重合体8gからビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド単独からなる重合体を40gとPVA−1を15gと、水を300g加えて混合を実施した。結果、透明で均一な水溶液を得た。得られたカチオン重合体P−8のイオン交換ユニットの割合は40モル%であった。
(アニオン性重合体P−9,10,11,12の合成)
組成を表4のように変えて、他はカチオン性重合体P−1と同様の方法によって、ブロック共重合体であるアニオン性重合体P−9,10,11,12を合成した。得られたアニオン性重合体P−9,10,11,12のイオン交換ユニットの割合は3モル%,40モル%、10モル%、0.5モル%であった。
(アニオン性重合体P−13,14の合成)
上記のカチオン性重合体P−5と同様の方法によって、表5のように組成を変更して、ランダム共重合体であるカチオン性重合体P−13、14を合成した。得られたカチオン重合体P−13、14のイオン交換ユニットの割合はそれぞれ3モル%、2モル%であった。また、重合度は500、けん化度は98.5モル%であった。
(アニオン性重合体P−15,16の合成)
上記のカチオン性重合体P−7、P−8と同様の方法によって、表6のように組成を変更して、アニオン性重合体P−15,16を得た。得られたカチオン重合体P−15、16のイオン交換ユニットの割合はそれぞれ3モル%、50モル%であった。
Figure 2014124562
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(基材−1の作製)
PVA124(株式会社クラレ製;重合度2400、ケン化度98.5モル%)を10質量%となるように水に投入後、90℃で攪拌溶解し、完全溶解したものを常温まで冷却して紡糸原液を得た。得られた紡糸原液を用い、ナノファイバーエレクトロスピニングユニット(カトーテック株式会社)にて、下記の基材層―2と同じ多孔質支持層(B−1)上に、ニードル内径:0.9mm、極間距離:8cm、コンベア速度:0.1m/分、印加電圧:20kVの条件で静電紡糸を行って、多孔質支持層(B−1)上に繊維層からなる多孔質支持層(B−2)が形成された多層構造体を得た。得られた多層構造体において、多孔質支持層(B−2)の坪量は2g/mであり、平均繊維径は300nmであった。また、このとき、多層構造体において、多孔質支持層(B−1)の厚みは76μm、空隙率68%であり、多孔質支持層(B−2)の厚みは3.7μm、空隙率55%である基材―1を得た。
(基材−2の作製)
PVA系主体繊維(株式会社クラレ製「VPB102×5」;1.1dtex×5mm)80質量%と、PVA系バインダー繊維(株式会社クラレ製「VPB105−1」;1.1dtex(円相当径10μm)×3mm、水中溶解温度70℃)20質量%とを加えて混合して原料とし、これを長網抄紙機にて抄紙し、ヤンキー型乾燥機にて乾燥して坪量30.0g/m、厚さ76μm、空隙率68%の湿式不織布基材からなる多孔質支持層(B−1)である基材―2を得た。
実施例1
(アニオン交換膜AEM−1の作製)
200mLの三角フラスコに、90mLの脱イオン水を入れ、カチオン性重合体P−1を22.5g加えてから、95℃のウォーターバスの中で加熱撹拌し、該重合体P−1を溶解させた。その後、ノニオン系消泡剤としてサンノプコ製のSNデフォーマー170をカチオン性重合体P−1に対して、0.03phr添加し、再度、均一に溶解させた。脱イオン水を加えて濃度17%のカチオン性重合体水溶液を調製した。粘度は8.7万mPa・s(20℃)であった。水溶液を均一にするために該水溶液を80℃まで昇温して、前記基材―1の第2多孔質支持層(B−2)を下側にして、前記基材―1上にベーカーアプリケーターYBA型(YOSHIMITSU SEKI製)でギャップ1000μmの条件で塗工し、第1多孔質支持層(B−1)と第2多孔質支持層(B−2)の両層にカチオン性重合体が含浸された膜が得られた。得られた膜を熱風乾燥機中で50℃、10分間乾燥した。このとき、得られたイオン交換膜の透気度は90万以上の値であり、無欠陥に近い、イオン交換膜を得た。
こうして得られたイオン交換膜を170℃で30分間熱風乾燥機を用いて熱処理し、物理的な架橋を生じさせた。ついで、該膜を2mol/Lの硫酸ナトリウムの電解質水溶液に24時間浸漬させた。該水溶液にそのpHが1になるように濃硫酸を加えた後、0.05体積%グルタルアルデヒド水溶液に該膜を浸漬し、25℃で24時間スターラーを用いて撹拌し、架橋処理を行った。ここで、グルタルアルデヒド水溶液としては、石津製薬株式会社製「グルタルアルデヒド」(25体積%)を水で希釈したものを用いた。架橋処理の後、該膜を脱イオン水に浸漬し、途中数回脱イオン水を交換しながら、該膜が膨潤平衡に達するまで浸漬させた。
(アニオン交換膜AEM−1の評価)
このようにして作製したアニオン交換膜AEM−1を所望の大きさに裁断し、測定試料を作製した。得られた測定試料を用い、上記方法にしたがって、膜の外観の様子、膜の欠陥の有無の確認。イオン交換膜にとって重要な膜抵抗、機械特性、耐有機汚染性の評価結果を表7に示す。
(カチオン交換膜CEM−1の作製と評価)
前述のアニオン交換膜AEM−1と同様の作製方法で、表8に記載するように組成を変更してカチオン交換膜CEM−1を作製、評価を行った。イオン交換膜の電気特性の結果を表8に示す。
(逆電気透析発電の評価)
前述のアニオン交換膜AEM−1とカチオン交換膜CEM−1を用いて、上述の図3に示す逆電気透析発電装置に組み込み、発電特性を評価した。結果を表9に示す。
実施例2〜6、比較例1〜6
(アニオン交換膜AEM−2〜AEM−11の作製と評価)
前述のアニオン交換膜AEM−1と同様の作製方法で、表7に記載するように組成を変更してアニオン交換膜AEM−2〜AEM−11を作製、評価を行った。それぞれの膜の物性評価結果を表7に示す。なお、表7に示しているように、第2多孔質支持層(B−2)を上側にして、基材−1上に塗工を行った場合には、第2多孔質支持層(B−2)のみにカチオン性重合体が含浸した膜が得られた。
(カチオン交換膜CEM−2〜CEM−11の作製と評価)
前述のアニオン交換膜AEM−1と同様の作製方法で、表8に記載するような組成を変更してカチオン交換膜CEM−2〜CEM−11を作製、評価を行った。それぞれの膜の物性評価結果を表8に示す。
(AEM−12およびCEM−12の作製と評価)
アニオン交換基、カチオン交換基のいずれのイオン交換基も含まないPVA-1と基材−1とから形成した膜について評価を行った。膜物性などの評価結果は、AEM-12として表7に示した。
(逆電気透析発電の評価)
上述のように作製したアニオン交換膜とカチオン交換膜を表9に示すような組み合わせで、図3に示す逆電気透析発電装置に組み込み、発電特性を評価した、結果を表9に示す。
比較例6
市販品の炭化水素系イオン交換膜をアストム社製AMX(アニオン交換膜)のイオン交換膜としての物性評価結果を表7に示す。また、市販品の炭化水素系イオン交換膜をセットに用いたときの発電特性を検証すべく、アストム社製CMX(カチオン交換膜)をセットにして図3に示す逆電気透析発電を用いて発電特性を評価した。結果を表9に示す。
Figure 2014124562
Figure 2014124562
Figure 2014124562
表7、表8および表9の結果より、アニオン基もしくはカチオン基を共重合体でなく、ブレンド体として含むイオン交換体を使用すると、イオン交換ユニット量が少ない場合は膜抵抗が大きくなり、逆電気透析発電で得られる発電特性は悪くなり(比較例1)、イオン交換ユニット量が多い場合は溶出して、発電特性に大きなバラツキ(測定値に大きなバラツキがあるので、平均値ではなく、最大値と最小値を示した)が確認できた(比較例2)。多孔質支持層を使用しない場合は、機械強度が乏しく、逆電気透析発電装置に組み込む際、ハンドリングが困難であり、一部膜の破れも確認できた(比較例3)。また、多孔質支持層が空隙率の異なる積層構造でない場合は、支持層内にイオン交換体が均一に保持できなく、イオン交換膜として欠陥が生じることが分かった。そのため、発電特性にバラツキを生じた(比較例4)。消泡剤を添加しない場合は、イオン交換膜作製の際に膜面に気泡が残存して均一で良質な膜が得られず、発電特性にも大きなバラツキ(測定値に大きなバラツキがあるので、最大値と最小値を示した)を確認した(AEM−11、CEM−11、比較例5)。また、イオン交換ユニットを含まないビニルアルコール系重合体からなるイオン交換膜は顕著に膜抵抗が大きく、逆電気透析発電で得られる発電特性は顕著に悪い結果であった(比較例6)。一方、市販されている炭化水素系イオン交換膜は、耐有機汚染性に課題があり、逆電気透析発電装置の長期運転性に懸念される点があることが分かった(比較例7)。
本発明のイオン交換膜は、膜抵抗が低く、機械強度および耐有機汚染性に優れ、逆電気透析発電用のイオン交換膜として有用であるので、産業上の利用可能性がある。
以上、本発明の好ましい実施態様を例示的に説明したが、特許請求の範囲に開示した本発明の範囲および精神から逸脱することなく多様な修正、付加、および置換ができることが理解可能である。
11 水
12 白金電極
13 NaCl溶液
14 イオン交換膜
15 LCRメーター

Claims (9)

  1. カチオン交換基またはアニオン交換基を有する重合体を含むイオン交換体(A)と多孔質支持層(B)とから形成されたイオン交換膜であって、
    前記イオン交換体(A)が、ビニルアルコール系単量体(A−1)及びイオン交換性単量体(A−2)からなる共重合体から形成され、前記多孔質支持層(B)が、第1多孔質支持層(B−1)と、前記第1多孔質支持層(B−1)より空隙率の小さい第2多孔質支持層(B−2)を有し、前記イオン交換体(A)がノニオン系消泡剤(C)を含有することを特徴とする逆電気透析発電用のイオン交換膜。
  2. 前記イオン交換体(A)において、ビニルアルコール系単量体(A−1)とイオン交換性単量体(A−2)のモル比が99:1〜50:50の範囲であることを特徴とする請求項1記載の逆電気透析発電用のイオン交換膜。
  3. 前記イオン交換体(A)がビニルアルコール系重合体(a−1)とイオン交換性基を有する重合体(a−2)から形成されるブロック共重合体であることを特徴とする請求項1または2記載の逆電気透析発電用のイオン交換膜。
  4. 前記ノニオン系消泡剤(C)を含むイオン交換体(A)が、前記第1多孔質支持層(B−1)と前記第2多孔質支持層(B−2)に含浸されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の逆電気透析発電用のイオン交換膜。
  5. 前記ノニオン系消泡剤(C)を含むイオン交換体(A)が、前記第2多孔質支持層(B−2)のみに含浸されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の逆電気透析発電用のイオン交換膜。
  6. 前記ノニオン系消泡剤(C)の添加量が、前記イオン交換体(A)100質量部に対して、0.001〜1質量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の逆電気透析発電用のイオン交換膜。
  7. カチオン交換基またはアニオン交換基を有する重合体を含むイオン交換体(A)と多孔質支持層(B)から構成され、前記多孔質支持層(B)が、第1多孔質支持層(B−1)と、前記第1多孔質支持層(B−1)より空隙率の小さい第2多孔質支持層(B−2)と、を有するイオン交換膜の製造方法であって、
    前記イオン交換体(A)とノニオン系消泡剤(C)を含む水溶液を、前記第1多孔質支持層(B−1)および/または第2多孔質支持層(B−2)に塗工することを特徴とする逆電気透析発電用のイオン交換膜の製造方法。
  8. カチオン交換基またはアニオン交換基を有する重合体を含むイオン交換体(A)と多孔質支持層(B)から構成され、前記多孔質支持層(B)が、第1多孔質支持層(B−1)と、前記第1多孔質支持層(B−1)より空隙率の小さい第2多孔質支持層(B−2)と、を有するイオン交換膜の製造方法であって、
    前記イオン交換体(A)とノニオン系消泡剤(C)を含む水溶液中に、前記第1多孔質支持層(B−1)および/または第2多孔質支持層(B−2)を浸漬することを特徴とする逆電気透析発電用のイオン交換膜の製造方法。
  9. 塩濃度の異なる2種の水溶液をイオン交換膜の両側に供給して、塩濃度の差を利用して発電を行う逆電気透析発電用装置であって、イオン交換膜として請求項1〜6のいずれか一項に記載のイオン交換膜を有することを特徴とする逆電気透析発電装置。
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