JP2014070094A - 複合イオン交換膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強度、寸法安定性、形状安定性などの特性に優れており、セルフォルダーからの外部液漏洩が防止でき、しかも膜抵抗が低く、高いイオン交換容量を有するイオン交換膜及びその製造方法の提供。
【解決手段】カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有するイオン交換性シート及び前記イオン交換性シートを支持する支持シートと、を具備しており、前記イオン交換性シートは、被処理液が接する表面と前記表面に対向する裏面とを有し、かつ、シート周囲部と前記周囲部に囲まれた中央部とを有する、複合イオン交換膜において、前記イオン交換性シートは多孔性であり、前記支持シートは非多孔性であり、 前記支持シートは、前記イオン交換性シートの裏面の周囲部全周で、前記イオン交換性シートを支持している複合イオン交換膜およびその製造方法。
【選択図】図1(a)
【解決手段】カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有するイオン交換性シート及び前記イオン交換性シートを支持する支持シートと、を具備しており、前記イオン交換性シートは、被処理液が接する表面と前記表面に対向する裏面とを有し、かつ、シート周囲部と前記周囲部に囲まれた中央部とを有する、複合イオン交換膜において、前記イオン交換性シートは多孔性であり、前記支持シートは非多孔性であり、 前記支持シートは、前記イオン交換性シートの裏面の周囲部全周で、前記イオン交換性シートを支持している複合イオン交換膜およびその製造方法。
【選択図】図1(a)
Description
本発明は、カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有するイオン交換性シートの裏面周囲の全周に沿って、非多孔性のシートで支持する複合イオン交換膜及びその製造方法に関する。本発明において、「複合」とは、イオン交換性シートと支持・補強シートとが組み合わされていることを意味する。
イオン交換膜は、製塩や食品分野における脱塩工程などで利用される電気透析用や、燃料電池の電解質膜として工業的に利用されている。このようなイオン交換膜は、イオン交換樹脂を膜状に成形したものが多く、しかも電気抵抗等の特性を向上させるために、強度の確保ができる範囲で薄膜化されているが、イオン交換樹脂の強度は通常それほど大きくない。そこで織布をイオン交換膜に埋め込んで補強する方法や、合成樹脂多孔体とイオン交換樹脂フィルムとを積層する方法が提案されている。
特許文献1には、上記の補強材として多孔質樹脂シートが使用されて複合化された複合イオン交換膜が開示されている。
特許文献2には、安価な補強シートとして不織布を用いた複合イオン交換膜が開示されている。具体的には、繊維径が8〜30μmの長繊維層を両面に有し、且つ該長繊維層の間の中間層として繊維径が5μm以下の微細繊維層が繊維同士の融着により形成されている繊維層構造を有している不織布の表面に、イオン交換樹脂コーティング層を設けた形態である。
また、不織布を補強シートとして用いた場合には、イオン交換膜の膜抵抗が高くなったり、或いは不織布にムラがあるためにイオン交換樹脂層にもムラを生じイオン交換膜の物性が不安定となったり、イオン交換膜が膨潤した際に伸びムラを生じ、波打ちなどを生じてしまうという問題もある。
特許文献1に開示のイオン交換膜では、基材である多孔質樹脂シート中の空隙部にイオン交換樹脂が充填されており、この結果、膜抵抗が低いという利点があるが多孔質樹脂シートが高価であるため、安価な他の材料を補強シートとして用いることが検討されている。
特許文献2に開示のイオン交換膜における不織布は、安価であるという利点を有するものの、その強度が低いため、不織布を基材シートとして有するイオン交換膜は寸法安定性や形状安定性が十分ではなかった。
特許文献2に開示のイオン交換膜における不織布は、安価であるという利点を有するものの、その強度が低いため、不織布を基材シートとして有するイオン交換膜は寸法安定性や形状安定性が十分ではなかった。
また、不織布を補強シートとして用いた場合には、イオン交換膜の膜抵抗が高くなったり、或いは不織布にムラがあるためにイオン交換樹脂層にもムラを生じイオン交換膜の物性が不安定となったり、イオン交換膜が膨潤した際に伸びムラを生じ、波打ちなどを生じてしまうという問題もある。
したがって、上記の従来技術の問題点を解決すべく、本発明の目的は、強度、寸法安定性、形状安定性などの特性に優れており、電解液と接触させたときの波打ちを有効に抑制される為、セルフォルダーからの外部液漏洩が防止でき、しかも膜抵抗が低く、高いイオン交換容量を有するイオン交換膜及び該イオン交換膜を製造する方法を提供することにある。
本発明第1の構成は、「カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有するイオン交換性を有するイオン交換性シート及び前記イオン交換性シートを支持する支持シートと、を具備しており、前記イオン交換性シートは、被処理液が接する表面と前記表面に対向する裏面とを有し、かつ、シート周囲部と前記周囲部に囲まれた中央部とを有する、複合イオン交換膜において、
前記イオン交換性シートは多孔性であり、
前記支持シートは非多孔性であり、
前記支持シートは、前記イオン交換性シートの裏面の周囲部全周で、前記イオン交換性シートを支持していることを特徴とする複合イオン交換膜」である。
前記イオン交換性シートは多孔性であり、
前記支持シートは非多孔性であり、
前記支持シートは、前記イオン交換性シートの裏面の周囲部全周で、前記イオン交換性シートを支持していることを特徴とする複合イオン交換膜」である。
本発明においてシートとは、例えば任意の大きさ、形状(例えば、四角形状もしくは円形状)を有する平面形状をしたもので、織布、不織布、網状体、紙、フィルムなどを含む。
本発明において多孔性とは、シート中に多数の微細な孔が存在していることを意味し、上記のシートの例示の中で、織布、不織布、網状体、紙が多孔性シートに相当する。また、非多孔性とは、走査型電子顕微鏡観察で孔が観察されなく、液体、例えば、水及び水溶液に対して透過性を有しないことを意味する。上記のシートの例示の中で、溶融成形されたフィルムが非多孔性シートに相当する。
本発明において多孔性とは、シート中に多数の微細な孔が存在していることを意味し、上記のシートの例示の中で、織布、不織布、網状体、紙が多孔性シートに相当する。また、非多孔性とは、走査型電子顕微鏡観察で孔が観察されなく、液体、例えば、水及び水溶液に対して透過性を有しないことを意味する。上記のシートの例示の中で、溶融成形されたフィルムが非多孔性シートに相当する。
本発明において、前記のカチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、カチオン基および/またはアニオン基を有する親水性重合体(なかでも、ポリビニルアルコール)であることが好ましい。
さらには、前記のカチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、カチオン性単量体および/またはアニオン性単量体を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有する、ブロック共重合体またはグラフト共重合体であることが好ましい。
さらには、前記のカチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、カチオン性単量体および/またはアニオン性単量体を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有する、ブロック共重合体またはグラフト共重合体であることが好ましい。
前記カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体において、カチオン性および/またはアニオン性のイオン基を有する単量体の含有量が、重合体を構成する単量体単位の総数(100モル%)に対して、0.1モル%以上であることが好ましい。
前記カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体のイオン交換容量が0.30meq/g以上であることが好ましい。
前記イオン交換性シートは、多孔性シートが前記カチオン性および/またはアニオン性重合体で被覆されて形成されているのが好ましい。
前記多孔性シートは、特に限定されないが、ポリビニルアルコール系不織布、またはポリエチレンテレフタレート系不織布であることが好ましい。
前記多孔性シートは、特に限定されないが、ポリビニルアルコール系不織布、またはポリエチレンテレフタレート系不織布であることが好ましい。
前記支持シートが、無孔プラスチックフィルムであることが好ましい。前記無孔プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートとエチレン−酢酸ビニル共重合体との積層フィルムであることが好ましい。
前記支持シートの厚みが50μm以上であるのが好ましい。
本発明第2の構成は、カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有してイオン交換性を有し、被処理液が接する表面と前記表面に対向する裏面とを備える多孔性シートを用意する工程、
前記多孔性シートに積層されたとき、前記多孔性シートの周囲部のみに積層する形状の非多孔性の支持シートを用意する工程、
前記多孔性シートの裏面周囲部の全周に沿って、前記非多孔性のシートを積層する工程、を含むことを特徴とする複合イオン交換膜の製造方法である。
前記多孔性シートに積層されたとき、前記多孔性シートの周囲部のみに積層する形状の非多孔性の支持シートを用意する工程、
前記多孔性シートの裏面周囲部の全周に沿って、前記非多孔性のシートを積層する工程、を含むことを特徴とする複合イオン交換膜の製造方法である。
前記の製造方法において、カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有してイオン交換性を有する前記多孔性シートに前記非多孔性シートを積層する方法としては、特に限定されないが、熱溶融接着による積層が好ましい。
本発明のイオン交換膜は、カチオン性および/またはアニオン性のイオン交換性を有するイオン交換性シートを多孔性シートとすることにより、薄い厚みで被処理液のイオンの透過流束を大きくすることが可能で、膜抵抗が低く、イオン交換容量の高いイオン交換膜を得ることができる。一方、多孔性シートの有する形態安定性不足または端面からの液漏れの問題を、多孔性シートの周囲部のみを非多孔性シートで支持するという構成とすることにより解消し、実用的に優れた複合イオン交換膜を得ることができる。
さらに、イオン交換性重合体樹脂にイオン性基含有ポリビニルアルコール系重合体を用いると、結晶による物理架橋と架橋材による化学架橋が可能であり、かつイオン性ブロック共重合体、またはグラフト共重合体とすることで高イオン性基の導入が可能となり、高いイオン交換容量が達成されている。
本発明の複合イオン交換膜は、カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を多孔性シートにコートして形成しているが、多孔性シートとして、不織布を用いると、極めて安価になるという利点を有している。また、カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有する多孔性シートの裏面周囲の全周に沿って、非多孔性のシートにより支持・補強されているため、不織布を多孔性シートとして用いているイオン交換膜に特有の欠点が有効に解消されている。
即ち、通常の不織布は、繊維が織られていないため、強度が低く、従って、寸法安定性が低く、その形状も不安定となりやすいが、本発明では、カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有する多孔性シートの裏面周囲の全周に沿って、非多孔性のシートで支持・補強しているため、その強度、寸法安定性、形状安定性が高められている。
さらに、多孔性シートにポリビニルアルコール系不織布、またはポリエチレンテレフタレート系不織布を用いることで、カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体であるイオン性基含有ポリビニルアルコール系重合体との接着性も良好であり、多孔性シートとカチオン性重合体および/またはアニオン性重合体との界面剥離が生じにくく、空隙による膜抵抗の増加が生じにくいという利点もある。
(複合イオン交換膜の構造)
本発明の複合イオン交換膜の構造を、図面を用いて説明する。図1(a)には、一例として本発明の複合イオン交換膜の概略説明平面図を、図1(b)には、その概略説明断面図を示す。図1(b)は、図1(a)の図中の点線で示した部分の断面形状を示す。複合イオン交換膜1において、カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有するイオン交換性シート(多孔性シート)3の裏面周囲の全周を沿う形で非多孔性の支持シート2が該イオン交換性シートを支持している。
本発明の複合イオン交換膜の構造を、図面を用いて説明する。図1(a)には、一例として本発明の複合イオン交換膜の概略説明平面図を、図1(b)には、その概略説明断面図を示す。図1(b)は、図1(a)の図中の点線で示した部分の断面形状を示す。複合イオン交換膜1において、カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有するイオン交換性シート(多孔性シート)3の裏面周囲の全周を沿う形で非多孔性の支持シート2が該イオン交換性シートを支持している。
図1(a)および図1(b)に示されているように、本発明の複合イオン交換膜1は、カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有する多孔性シート3の裏面周囲部の全周に沿って、非多孔性のシート2で支持・補強されたものである。本発明の複合イオン交換膜1においては、多孔性シート3の裏面周囲部の全周に沿って非多孔性シート2で支持されていることが必要である。周囲部の全周ではなく、部分的に非多孔性シート2で支持されていない部分があると、その部分での多孔性シート3の変形が起こり、また、被処理液の漏洩が起こり、複合イオン交換膜1の所定の性能が発揮されなくなる。
(カチオン性重合体)
本発明で用いられるカチオン性重合体は、分子鎖中にカチオン基を含有する重合体である。当該カチオン基は主鎖、側鎖、末端のいずれに含まれていても構わない。カチオン基としては、アンモニウム基、イミニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基などが例示される。また、アミノ基やイミノ基のように、水中において少なくともその一部が、アンモニウム基やイミニウム基に変換し得る官能基も、カチオン基に含まれる。この中で、工業的に入手し易い観点から、アンモニウム基が好ましい。アンモニウム基としては、1級アンモニウム基(アンモニウム基)、2級アンモニウム基(アルキルアンモニウム基等)、3級アンモニウム基(ジアルキルアンモニウム基等)、4級アンモニウム基(トリアルキルアンモニウム基等)のいずれを用いることもできるが、4級アンモニウム基(トリアルキルアンモニウム基等)がより好ましい。カチオン性重合体は、1種類のみのカチオン基を含有していてもよいし、複数種のカチオン基を含有していてもよい。また、カチオン基の対アニオンは特に限定されず、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオンなどが例示される。この中で、入手の容易性の点から、ハロゲン化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。カチオン性重合体は、1種類のみの対アニオンを含有していてもよいし、複数種の対アニオンを含有していてもよい。
本発明で用いられるカチオン性重合体は、分子鎖中にカチオン基を含有する重合体である。当該カチオン基は主鎖、側鎖、末端のいずれに含まれていても構わない。カチオン基としては、アンモニウム基、イミニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基などが例示される。また、アミノ基やイミノ基のように、水中において少なくともその一部が、アンモニウム基やイミニウム基に変換し得る官能基も、カチオン基に含まれる。この中で、工業的に入手し易い観点から、アンモニウム基が好ましい。アンモニウム基としては、1級アンモニウム基(アンモニウム基)、2級アンモニウム基(アルキルアンモニウム基等)、3級アンモニウム基(ジアルキルアンモニウム基等)、4級アンモニウム基(トリアルキルアンモニウム基等)のいずれを用いることもできるが、4級アンモニウム基(トリアルキルアンモニウム基等)がより好ましい。カチオン性重合体は、1種類のみのカチオン基を含有していてもよいし、複数種のカチオン基を含有していてもよい。また、カチオン基の対アニオンは特に限定されず、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオンなどが例示される。この中で、入手の容易性の点から、ハロゲン化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。カチオン性重合体は、1種類のみの対アニオンを含有していてもよいし、複数種の対アニオンを含有していてもよい。
本発明で用いられるカチオン性重合体は、上記カチオン基を含有する構造単位のみからなる重合体であってもよいし、上記カチオン基を含有しない構造単位をさらに含む重合体であってもよい。また、これらの重合体は架橋性を有するものであることが好ましい。カチオン性重合体は、1種類のみの重合体からなるものであってもよいし、複数種のカチオン性重合体を含むものであってもよい。また、これらカチオン性重合体と別の重合体との混合物であっても構わない。ここでカチオン性重合体以外の重合体はアニオン性重合体でないことが望ましい。
カチオン性重合体としては、以下の一般式(1)〜(8)の構造単位を有するものが例示される。
[式中、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。R2、R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表わす。R2、R3、R4は、相互に連結して飽和若しくは不飽和環状構造を形成していてもよい。Zは−O−、−NH−、または−N(CH3)−を表し、Yは酸素、窒素、硫黄またはリン原子を含んでもよい総炭素数1〜8の二価の連結基を表す。X−はアニオンを表す。]
一般式(1)中の対アニオンX−としては、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオンなどが例示される。一般式(1)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体しては、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなど3−(メタ)アクリルアミド−アルキルトリアルキルアンモニウム塩の単独重合体または共重合体などが例示される。
一般式(2)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体としては、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどビニルベンジルトリアルキルアンモニウム塩の単独重合体または共重合体などが例示される。
一般式(3)および一般式(4)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどジアリルジアルキルアンモニウム塩が環化重合して得られる単独重合体または共重合体が例示される。
一般式(5)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体としては、アリルアミンの単独重合体または共重合体が例示される。
一般式(6)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体としては、アリルアミン塩酸塩などアリルアンモニウム塩の単独重合体または共重合体が例示される。
[式中、R5は水素原子またはメチル基を表し、Aは−CH(OH)CH2−、−CH2CH(OH)−、−C(CH3)(OH)CH2−、−CH2C(CH3)(OH)−、−CH(OH)CH2CH2−、または−CH2CH2CH(OH)−を表す。Eは−N(R6)2または−N+(R6)3・X−を表し、R6は水素原子またはメチル基を表す。X−はアニオンを表す。]
一般式(7)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体として、N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミンまたはその4級アンモニウム塩の単独重合体または共重合体、N−(4−アリルオキシ−3−ヒドロキシブチル)ジエチルアミンまたはその4級アンモニウム塩の単独重合体または共重合体が例示される。
[式中、R5は水素原子またはメチル基、R7は水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはi−プロピル基、R8は水素原子、メチル基、およびエチル基をそれぞれ表わす。]
[式中、R5は水素原子またはメチル基、R7は水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはi−プロピル基、R8は水素原子、メチル基、およびエチル基をそれぞれ表わす。]
一般式(8)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体として、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等が例示される。
(アニオン性重合体)
本発明で用いられるアニオン性重合体は、分子鎖中にアニオン基を含有する重合体である。当該アニオン基は主鎖、側鎖、末端のいずれに含まれていても構わない。アニオン基としては、スルホネート基、カルボキシレート基、ホスホネート基などが例示される。また、スルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基のように、水中において少なくともその一部が、スルホネート基、カルボキシレート基、ホスホネート基に変換し得る官能基も、アニオン基に含まれる。この中で、イオン解離定数が大きい点から、スルホネート基が好ましい。アニオン性重合体は、1種類のみのアニオン基を含有していてもよいし、複数種のアニオン基を含有していてもよい。また、アニオン基の対カチオンは特に限定されず、水素イオン、アルカリ金属イオン、などが例示される。この中で、設備の腐蝕問題が少ない点から、アルカリ金属イオンが好ましい。アニオン性重合体は、1種類のみの対カチオンを含有していてもよいし、複数種の対カチオンを含有していてもよい。
本発明で用いられるアニオン性重合体は、分子鎖中にアニオン基を含有する重合体である。当該アニオン基は主鎖、側鎖、末端のいずれに含まれていても構わない。アニオン基としては、スルホネート基、カルボキシレート基、ホスホネート基などが例示される。また、スルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基のように、水中において少なくともその一部が、スルホネート基、カルボキシレート基、ホスホネート基に変換し得る官能基も、アニオン基に含まれる。この中で、イオン解離定数が大きい点から、スルホネート基が好ましい。アニオン性重合体は、1種類のみのアニオン基を含有していてもよいし、複数種のアニオン基を含有していてもよい。また、アニオン基の対カチオンは特に限定されず、水素イオン、アルカリ金属イオン、などが例示される。この中で、設備の腐蝕問題が少ない点から、アルカリ金属イオンが好ましい。アニオン性重合体は、1種類のみの対カチオンを含有していてもよいし、複数種の対カチオンを含有していてもよい。
本発明で用いられるアニオン性重合体は、上記アニオン基を含有する構造単位のみからなる重合体であってもよいし、上記アニオン基を含有しない構造単位をさらに含む重合体であってもよい。また、これらの重合体は架橋性を有するものであることが好ましい。アニオン性重合体は、1種類のみの重合体からなるものであってもよいし、複数種のアニオン性重合体を含むものであってもよい。また、これらアニオン性重合体と別の重合体との混合物であっても構わない。ここでアニオン性重合体以外の重合体はカチオン性重合体でないことが望ましい。
アニオン性重合体としては、以下の一般式(9)および(10)の構造単位を有するものが例示される。
[式中、R5は水素原子またはメチル基を表す。Gは−SO3H、−SO3 −M+、−PO3H、−PO3 −M+、−CO2Hまたは−CO2 −M+を表す。M+はアンモニウムイオンまたはアルカリ金属イオンを表す。]
一般式(9)で表わされる構造単位を含有するアニオン性重合体としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の単独重合体または共重合体などが例示される。
一般式(10)で表わされる構造単位を含有するアニオン性重合体としては、p−スチレンスルホン酸ナトリウムなどp−スチレンスルホン酸塩の単独重合体または共重合体などが例示される。
また、アニオン性重合体としては、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸などのスルホン酸またはその塩の単独重合体または共重合体、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸、その誘導体またはその塩の単独重合体または共重合体なども例示される。
一般式(9)または(10)において、Gは、より高い荷電密度を与えるスルホネート基、スルホン酸基、ホスホネート基、またはホスホン酸基であることが好ましい。また一般式(9)および一般式(10)中、M+で表わされるアルカリ金属イオンとしてはナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等が挙げられる。
カチオン性重合体またはアニオン性重合体から選択されるイオン性重合体が、共重合体である場合の共重合成分としては、ビニルアルコール成分が好適なものとして挙げられる。カチオン基またはアニオン基から選択されるイオン基を含有する重合体と、カチオン基またはアニオン基から選択されるイオン基を含有しない重合体との混合物を用いる場合、イオン基を含有しない重合体としてはイオン基を含有する重合体と親和性の高いものが好適に用いられる。具体的には、ポリビニルアルコールおよびポリアクリルアミドからなる群から選択される1種が好適に用いられる。その中でも、架橋性の高さからポリビニルアルコールがより好適に用いられる。
(親水性重合体)
本発明により得られる複合イオン交換膜においては、カチオン性重合体およびアニオン性重合体が親水性重合体であることが好ましく、このことにより被処理液中の有機汚染物質の付着による汚染を抑制できる利点を有する。ここでカチオン性重合体およびアニオン性重合体が親水性重合体であるとは、上記カチオン性重合体およびアニオン性重合体であるために必要な官能基がない構造において親水性を有することを意味する。このように、カチオン性重合体およびアニオン性重合体が親水性重合体であることにより、親水性度の高い複合イオン交換膜が得られ、被処理液中の有機汚染物質が複合イオン交換膜に付着して膜の性能を低下させる問題を低減できる。また、膜強度が高くなる。
本発明により得られる複合イオン交換膜においては、カチオン性重合体およびアニオン性重合体が親水性重合体であることが好ましく、このことにより被処理液中の有機汚染物質の付着による汚染を抑制できる利点を有する。ここでカチオン性重合体およびアニオン性重合体が親水性重合体であるとは、上記カチオン性重合体およびアニオン性重合体であるために必要な官能基がない構造において親水性を有することを意味する。このように、カチオン性重合体およびアニオン性重合体が親水性重合体であることにより、親水性度の高い複合イオン交換膜が得られ、被処理液中の有機汚染物質が複合イオン交換膜に付着して膜の性能を低下させる問題を低減できる。また、膜強度が高くなる。
親水性のカチオン性重合体としては、カチオン基を含有するポリビニルアルコール、カチオン基を含有するセルロース誘導体、カチオン基を含有するポリアクリルアミド、カチオン基を含有する重合体とカチオン基を含有しないポリビニルアルコールとの混合物、カチオン基を含有する重合体とカチオン基を含有しないセルロース誘導体との混合物、カチオン基を含有する重合体とカチオン基を含有しないポリアクリルアミドとの混合物などが例示される。この中で、カチオン基を含有するポリビニルアルコール、またはカチオン基を含有する重合体とカチオン基を含有しないポリビニルアルコールとの混合物であることが好ましい。ポリビニルアルコール単位を有する重合体を用いることが、複合イオン交換膜の強度、物理的または化学的架橋性の点から好ましい。その中でも、入手容易である点から、メタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩とポリビニルアルコール成分との共重合体、ビニルベンジルトリアルキルアンモニウム塩とポリビニルアルコール成分との共重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩とポリビニルアルコール成分との共重合体、メタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩の重合体とポリビニルアルコールとの混合物、ビニルベンジルトリアルキルアンモニウム塩の重合体とポリビニルアルコールとの混合物、またはジアリルジアルキルアンモニウム塩の重合体とポリビニルアルコールとの混合物が特に好ましい。カチオン基を含有するポリビニルアルコール、またはカチオン基を含有する重合体とカチオン基を含有しないポリビニルアルコールとの混合物においては、カチオン性重合体中の単量体単位の総数に対するビニルアルコール単位の数の割合が、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましい。カチオン性重合体が親水性重合体である場合、1種類の親水性重合体であってもよいし、複数種の親水性重合体の混合物であってもよい。また、親水性重合体と非親水性重合体との混合物であってもよい。また、親水性または非親水性のカチオン性重合体以外の重合体を含んでいても良い。ここでカチオン性重合体以外の重合体はアニオン性重合体でないことが望ましい。
親水性のアニオン性重合体としては、アニオン基を含有するポリビニルアルコール、アニオン基を含有するセルロース誘導体、アニオン基を含有するポリアクリルアミド、アニオン基を含有する重合体とアニオン基を含有しないポリビニルアルコールとの混合物、アニオン基を含有する重合体とアニオン基を含有しないセルロース誘導体との混合物、アニオン基を含有する重合体とアニオン基を含有しないポリアクリルアミドとの混合物などが例示される。この中で、アニオン基を含有するポリビニルアルコール、またはアニオン基を含有する重合体とアニオン基を含有しないポリビニルアルコールとの混合物であることが好ましい。ポリビニルアルコール単位を有する重合体を用いることが、複合イオン交換膜の強度、物理的または化学的架橋の点から好ましい。その中でも、入手容易である点から、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩成分とビニルアルコール成分との共重合体、p−スチレンスルホン酸塩成分とビニルアルコール成分との共重合体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩の重合体とポリビニルアルコールとの混合物、またはポリスチレンスルホン酸塩の重合体とポリビニルアルコールとの混合物が特に好ましい。アニオン基を含有するポリビニルアルコール、またはアニオン基を含有する重合体とアニオン基を含有しないポリビニルアルコールとの混合物においては、アニオン性重合体中の単量体単位の総数に対するビニルアルコール単位の数の割合が、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましい。アニオン性重合体が親水性重合体である場合、1種類の親水性重合体であってもよいし、複数種の親水性重合体の混合物であってもよい。また、親水性重合体と非親水性重合体との混合物であってもよい。また、親水性または非親水性のカチオン性重合体以外の重合体を含んでいても良い。ここでアニオン性重合体以外の重合体はカチオン性重合体でないことが望ましい。
本発明において、前記カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、イオン基を含有するポリビニルアルコールであることが好ましい。中でも、カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体として、イオン性単量体を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有する、ブロック共重合体またはグラフト共重合体が好適に用いられ、ブロック共重合体がより好適に用いられる。こうすることにより、イオン性重合体がミクロ相分離して、複合イオン交換膜全体の強度の向上、膜の膨潤度の抑制、および形状保持についての機能を担うポリビニルアルコール成分と、陽イオンまたは陰イオンを透過させる機能を担うイオン性単量体を重合してなる重合体成分とが役割分担でき、複合イオン交換膜のイオン透過機能と寸法安定性とを両立することができる。イオン性単量体を重合してなる重合体成分の構造単位は特に限定されないが、前記一般式(1)〜(10)で表わされるものなどが例示される。この中で、入手容易である点から、カチオン性重合体としては、メタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有するブロック共重合体、ビニルベンジルトリアルキル塩を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有するブロック共重合体、またはジアリルジアルキルアンモニウム塩を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有するブロック共重合体が好ましく用いられる。また、アニオン性重合体としては、p−スチレンスルホン酸塩を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有するブロック共重合体、または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有するブロック共重合体が好ましく用いられる。
本発明で用いられるイオン性単量体を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有するブロック共重合体の製造方法は主に次の2つの方法に大別される。すなわち、(1)所望のブロック共重合体を製造した後、特定のブロックにイオン基を結合させる方法、および(2)少なくとも1種類のイオン性単量体を重合させて所望のブロック共重合体を製造する方法である。このうち、(1)については、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールの存在下、1種類または複数種の単量体をブロック共重合させ、次いでブロック共重合体中の1種類または複数種の重合体成分にイオン基を導入する方法、(2)については、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールの存在下、少なくとも1種類のイオン性単量体をラジカル重合させることによりブロック共重合体を製造する方法が工業的な容易さから好ましい。特に、ブロック共重合体中のポリビニルアルコール成分とイオン性単量体を重合してなる重合体成分の各成分の種類や量を容易に制御できることから、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールの存在下、少なくとも1種類のイオン性単量体をラジカル重合させてブロック共重合体を製造する方法が好ましい。こうして得られるイオン性単量体を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有するブロック共重合体には、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールが未反応のまま含まれていても構わない。
これらのブロック共重合体の製造に用いられる、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体は、例えば、特開昭59−187003号公報などに記載されている方法により得ることができる。すなわち、チオール酸の存在下にビニルエステル系単量体、例えば酢酸ビニルをラジカル重合して得られるビニルエステル系重合体をけん化する方法が挙げられる。このようにして得られる末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールと、イオン性単量体とを用いてブロック共重合体を得る方法としては、例えば、特開昭59−189113号公報などに記載された方法が挙げられる。すなわち、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールの存在下にイオン性単量体をラジカル重合させることによりブロック共重合体を得ることができる。このラジカル重合は公知の方法、例えばバルク重合、溶液重合、パール重合、乳化重合などによって行うことができるが、末端にメルカプト基を含有するポリビニルアルコールを溶解し得る溶剤、例えば水やジメチルスルホキシドを主体とする媒体中で行うのが好ましい。また、重合プロセスとしては、回分法、半回分法、連続法のいずれをも採用することができる。
イオン性重合体のイオン性単量体単位の含有量は特に限定されないが、イオン性重合体のイオン性単量体単位の含有量、すなわち、イオン性重合体中の単量体単位の総数に対するイオン性単量体単位の数の割合が、0.1モル%以上であることが好ましい。イオン性単量体単位の含有量が0.1モル%未満だと、複合イオン交換膜中の有効荷電密度が低下し、電解質選択透過性が低下するおそれがある。イオン性単量体単位の含有量が1モル%以上であることがより好ましく、3モル%以上であることがさらに好ましい。また、イオン性単量体単位の含有量は50モル%以下であることが好ましい。イオン性単量体単位の含有量が50モル%を超えると、複合イオン交換膜の膨潤度が高くなり、複合イオン交換膜中の有効荷電密度が低下し、電解質選択透過性が低下するおそれがある。イオン性単量体単位の含有量が30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがさらに好ましい。イオン性重合体が、イオン基を含有する重合体とイオン基を含有しない重合体との混合物である場合や、イオン基を含有する重合体の複数種の混合物である場合のイオン性単量体単位の含有量は、混合物中の単量体単位の総数に対するイオン性単量体単位の数の割合をいう。
本発明において、カチオン基またはアニオン基から選択されるイオン基を含有するポリビニルアルコールは、イオン性単量体とビニルエステル系単量体を共重合し、これを常法によりけん化して得られる。ビニルエステル系単量体は、ラジカル重合可能なものであれば使用できる。例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等が挙げられる。この中でも、酢酸ビニルが好ましい。
イオン性単量体とビニルエステル系単量体とを共重合させる方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。それらの方法の中でも、無溶媒で行う塊状重合法、またはアルコールなどの溶媒を用いて行う溶液重合法が通常採用される。溶液重合法を採用して共重合反応を行う際に、溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合反応に使用される開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)などのアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどの過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。共重合反応を行う際の重合温度については特に制限はないが、5℃〜180℃の範囲が適当である。
イオン性単量体とビニルエステル系単量体とを共重合させることによって得られたビニルエステル系重合体は、次いで、公知の方法にしたがって溶媒中でけん化され、イオン基を含有するポリビニルアルコールへと導かれる。
ビニルエステル系重合体のけん化反応の触媒としては通常アルカリ性物質が用いられ、その例として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、およびナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。けん化触媒は、けん化反応の初期に一括して添加しても良いし、あるいはけん化反応の初期に一部を添加し、残りをけん化反応の途中で追加して添加しても良い。けん化反応に用いられる溶媒としては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒の中でもメタノールが好ましい。けん化反応は、バッチ法および連続法のいずれの方式にても実施可能である。けん化反応の終了後に、必要に応じて、残存するけん化触媒を中和しても良く、使用可能な中和剤として、酢酸、乳酸などの有機酸、および酢酸メチルなどのエステル化合物などが挙げられる。
イオン基を含有するポリビニルアルコールのけん化度は特に限定されないが、40〜99.9モル%であることが好ましい。けん化度が40モル%未満だと、結晶性が低下し、複合イオン交換膜の強度が不足するおそれがある。けん化度が60モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。通常、けん化度は99.9モル%以下である。このとき、前記ポリビニルアルコールが複数種のポリビニルアルコールの混合物である場合のけん化度は、混合物全体としての平均のけん化度をいう。なお、ポリビニルアルコールのけん化度は、JIS K6726に準じて測定した値である。本発明で用いられるイオン基を含有しないポリビニルアルコールのけん化度も、上記範囲であることが好ましい。
イオン基を含有するポリビニルアルコールの粘度平均重合度(以下単に重合度と言うことがある)は特に限定されないが、50〜10000であることが好ましい。重合度が50未満だと、実用上で複合イオン交換膜が十分な強度を保持できないおそれがある。重合度が100以上であることがより好ましい。重合度が10000を超えると重合体水溶液の粘度が高すぎて、重合体水溶液の均一な塗布が困難になり、得られる膜に欠陥が生じやすくなるおそれがある。重合度が8000以下であることがより好ましい。このとき、前記ポリビニルアルコールが複数種のポリビニルアルコールの混合物である場合の重合度は、混合物全体としての平均の重合度をいう。なお、ポリビニルアルコールの粘度平均重合度は、JIS K6726に準じて測定した値である。本発明で用いられるイオン基を含有しないポリビニルアルコールの重合度も、上記範囲であることが好ましい。
(多孔性シート)
本発明に用いられる多孔性シートとしては、特に限定されないがビニロン不織布、ポリエステル不織布、ポリプロピレン不織布、ポリエステルメッシュ等が挙げられるが、イオン性基含有ポリビニルアルコール系重合体との接着性の観点からビニロン不織布、ポリエステル不織布が好ましい。また、ポリエステル不織布では親水性付与のために、コロナ処理等の親水化処理を行うことも可能である。
本発明に用いられる多孔性シートとしては、特に限定されないがビニロン不織布、ポリエステル不織布、ポリプロピレン不織布、ポリエステルメッシュ等が挙げられるが、イオン性基含有ポリビニルアルコール系重合体との接着性の観点からビニロン不織布、ポリエステル不織布が好ましい。また、ポリエステル不織布では親水性付与のために、コロナ処理等の親水化処理を行うことも可能である。
本発明に用いられる多孔性シートの厚みとしては、5μm以上であり500μm以下であることが好ましい。厚みが5μm未満では多孔性シートの強度が弱く取り扱い性に劣る。また、厚みが500μm超の場合は、得られる複合膜の膜抵抗が高くなってしまう。
イオン交換性多孔性シート3の作製は、ビニロン不織布、ポリエステル不織布等の多孔性基材にカチオン性重合体および/またはアニオン性重合体の水溶液を塗布し、乾燥することにより得られる。塗布方法としては、塗布装置としては特に限定はなく、コンマコーター、ディップ・ニップコータ、ロールコータ、キスコータ、グラビアコータ、スライドビードコータ等の各種の塗布機を使用することができる。カチオン性おおび/またはアニオン性重合体塗布量としては、該重合体中におけるアニオン基および/またはカチオン基の含有量または要求されるイオン交換容量に応じて適宜選択されるが、通常、5〜100g/m2(好ましくは、10〜80g/m2)の範囲内で選択されることが好ましい。塗布量が少なすぎると所定のイオン交換容量を得ることが困難となり、塗布量が多すぎると塗膜が厚くなりすぎてカチオン性および/またはアニオン性重合体の機能を十分に発揮できなくなる。
また、乾燥して得られたフィルムに熱処理を施すことが好ましい。熱処理を施すことによって、ポリビニルアルコール分子鎖間に物理的な架橋が生じ、得られる複合イオン交換膜の機械的強度が向上する。熱処理の方法は特に限定されず、加熱したベルトやローラー、あるいは熱風乾燥機などが一般に用いられる。熱処理の温度は特に限定されないが、50〜250℃であることが好ましい。熱処理の温度が50℃未満であると、得られる複合イオン交換膜の機械的強度が不足するおそれがある。該温度は80℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがより好ましい。一方、熱処理の温度が250℃を超えると、結晶性重合体が融解するおそれがある。該温度は230℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。
本発明においては、乾燥して得られたフィルムを架橋処理することが好ましい。架橋処理を行うことにより、得られる複合イオン交換膜の機械的強度が向上する。架橋処理の方法は、重合体の分子鎖同士を化学結合によって結合できる方法であればよく、特に限定されない。フィルムを、架橋処理剤を含む溶液に浸漬する方法などが用いられる。架橋処理剤としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ノナンジアールなどが例示される。架橋処理剤の濃度は、通常、溶液に対する架橋処理剤の体積濃度が0.001〜1体積%である。
(支持シート;非多孔性)
本発明において支持シートとなる非多孔性シートとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、エチレン・ビニルアルコールフィルムなど各種の無孔プラスチックフィルムが使用可能である。イオン交換性多孔性シートと積層するためには、前記無孔プラスチックフィルムの、多孔性シートが積層される面に、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンーブテン共重合体、ポリアミド系ホットメルト樹脂、熱可塑性ポリウレタン系ホットメルト樹脂、ポリエステル系ホットメルト樹脂などの接着性フィルムをラミネートした、プラスチック積層フィルムが、非多孔性シートと多孔性シートとを熱融着により接着固定しやすいため、好ましい。
本発明において支持シートとなる非多孔性シートとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、エチレン・ビニルアルコールフィルムなど各種の無孔プラスチックフィルムが使用可能である。イオン交換性多孔性シートと積層するためには、前記無孔プラスチックフィルムの、多孔性シートが積層される面に、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンーブテン共重合体、ポリアミド系ホットメルト樹脂、熱可塑性ポリウレタン系ホットメルト樹脂、ポリエステル系ホットメルト樹脂などの接着性フィルムをラミネートした、プラスチック積層フィルムが、非多孔性シートと多孔性シートとを熱融着により接着固定しやすいため、好ましい。
非多孔性シートの厚みは、10〜500μmの範囲内、好ましくは、50μm以上であることが好ましい。10μmよりも厚みが薄いとイオン交換性多孔性シートを十分に支持できず、多孔性シートが変形を生じる恐れがある。一方、500μmよりも厚みが大きいと複合イオン交換膜がかさばり、コンパクト性に欠けることになる。
図1(a)に示すように、非多孔性シートの形状は、イオン交換性多孔性シートの外形(長方形、円形等)に合わせながら、多孔性シートの周囲部全周を支持する形状である。イオン交換性シートの外周上の点と中心部との距離Lと周囲部の幅Мの比率M/Lとしては、0.1〜0.8(好ましくは、0.2〜0.7)の範囲で選択されるのが好ましい。M/Lが0.1未満の場合は、多孔性シートの支持が十分でなく、M/Lが0.8を超える場合には、被処理液の通過性に障害となるので好ましくない。
本発明の複合イオン交換膜1の製造方法は、
(1)カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有するイオン交換性を有する多孔性シート3を作製・用意する工程、
(2)前記多孔性シートに積層されたとき、前記多孔性シートの周囲のみに積層する形状の非多孔性の支持シート2を作製・用意する工程、ついで、
(3)前記多孔性シートの裏面周囲の全周に沿って、前記非多孔性の支持シートを積層して、図1(a)および図1(b)に示される複合イオン交換膜1を得る工程、とからなる。上記の(3)の工程において、非多孔性のシート2を多孔性シート1に熱融着により貼り付けで積層するのが好ましい。
(1)カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有するイオン交換性を有する多孔性シート3を作製・用意する工程、
(2)前記多孔性シートに積層されたとき、前記多孔性シートの周囲のみに積層する形状の非多孔性の支持シート2を作製・用意する工程、ついで、
(3)前記多孔性シートの裏面周囲の全周に沿って、前記非多孔性の支持シートを積層して、図1(a)および図1(b)に示される複合イオン交換膜1を得る工程、とからなる。上記の(3)の工程において、非多孔性のシート2を多孔性シート1に熱融着により貼り付けで積層するのが好ましい。
(複合イオン交換膜の性能)
上記のようにして得られた本発明の複合イオン交換膜は、イオン交換容量が少なくとも0.10meq/gよりも大きく、好ましくは0.30meq/g以上を有し、膜抵抗が少なくとも30Ωcm2以下、好ましくは15Ωcm2以下であるので、優れた性能を有する複合イオン交換膜を与え、しかも、周囲を非多孔性支持シートで支持されているため、変形等がしにくく、耐久性も高い。したがって、本発明の複合イオン交換膜は、電気透析用、燃料電池の電解質膜等の用途に用いられることができる。
上記のようにして得られた本発明の複合イオン交換膜は、イオン交換容量が少なくとも0.10meq/gよりも大きく、好ましくは0.30meq/g以上を有し、膜抵抗が少なくとも30Ωcm2以下、好ましくは15Ωcm2以下であるので、優れた性能を有する複合イオン交換膜を与え、しかも、周囲を非多孔性支持シートで支持されているため、変形等がしにくく、耐久性も高い。したがって、本発明の複合イオン交換膜は、電気透析用、燃料電池の電解質膜等の用途に用いられることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例により何等限定されるものではない。尚、以下の実施例および比較例中、特に断りのない限り「%」および「部」は質量基準である。実施例および比較例における分析および評価は下記の方法に従って行った。
(1)膜抵抗の測定
複合イオン交換膜1における多孔性シート3の部分を所定の大きさに切り出した。膜抵抗は、図2に示される装置を用いて行った。白金黒電極板Lを有する2室セル中にイオン交換膜Kを挟み、膜の両側に0.5mol/L−NaCl溶液Mを満たし、交流ブリッジ(周波数1000サイクル/秒)により25℃における電極間の抵抗を測定器Oで測定し、該電極間抵抗とイオン交換膜を設置しない場合の電極間抵抗との差により膜抵抗を求めた。上記測定に使用する膜は、あらかじめ0.5mol/L−NaCl溶液中で平衡にしたものを用いた。
複合イオン交換膜1における多孔性シート3の部分を所定の大きさに切り出した。膜抵抗は、図2に示される装置を用いて行った。白金黒電極板Lを有する2室セル中にイオン交換膜Kを挟み、膜の両側に0.5mol/L−NaCl溶液Mを満たし、交流ブリッジ(周波数1000サイクル/秒)により25℃における電極間の抵抗を測定器Oで測定し、該電極間抵抗とイオン交換膜を設置しない場合の電極間抵抗との差により膜抵抗を求めた。上記測定に使用する膜は、あらかじめ0.5mol/L−NaCl溶液中で平衡にしたものを用いた。
(2)陰イオン交換容量の測定
複合イオン交換膜の多孔性シート3の部分を所定の大きさに切り出した。この膜を0.1mol/LのKCl水溶液に10時間以上浸漬する。その後、0.1mol/LのNaNO3水溶液で塩素イオン型を硝酸イオン型に置換させ、遊離した塩素イオンをイオンクロマト測定装置(ICS−1500D;Dionex社製)で定量した(A1mol)。
複合イオン交換膜の多孔性シート3の部分を所定の大きさに切り出した。この膜を0.1mol/LのKCl水溶液に10時間以上浸漬する。その後、0.1mol/LのNaNO3水溶液で塩素イオン型を硝酸イオン型に置換させ、遊離した塩素イオンをイオンクロマト測定装置(ICS−1500D;Dionex社製)で定量した(A1mol)。
次に、同じ陰イオン交換膜を0.1mol/LのNaCl水溶液に4時間以上浸漬し、イオン交換水で十分に水洗したのち熱風乾燥機中で105℃、8時間乾燥し、乾燥膜の重さ(W1g)を測定した。イオン交換容量は次式により算出した。
・イオン交換容量=A1×1000/W1 [mmol/g−乾燥膜]
・イオン交換容量=A1×1000/W1 [mmol/g−乾燥膜]
(3)陽イオン交換容量の測定
複合イオン交換膜の多孔性シート3の部分を所定の大きさに切り出した。この膜を0.1mol/LのKCl水溶液に10時間以上浸漬する。その後、0.1mol/LのNaNO3水溶液でカリウムイオン型をナトリウム型に置換させ、遊離したカリウムイオンをイオンクロマト測定装置(ICS−1500D;Dionex社製)で定量した(A2mol)。
複合イオン交換膜の多孔性シート3の部分を所定の大きさに切り出した。この膜を0.1mol/LのKCl水溶液に10時間以上浸漬する。その後、0.1mol/LのNaNO3水溶液でカリウムイオン型をナトリウム型に置換させ、遊離したカリウムイオンをイオンクロマト測定装置(ICS−1500D;Dionex社製)で定量した(A2mol)。
次に、同じ陽イオン交換膜を0.1mol/LのNaCl水溶液に4時間以上浸漬し、イオン交換水で十分に水洗したのち熱風乾燥機中で105℃、8時間乾燥し、乾燥膜の重さ(W2g)を測定した。イオン交換容量は次式により算出した。
・イオン交換容量=A2×1000/W2[mmol/g−乾燥膜]
・イオン交換容量=A2×1000/W2[mmol/g−乾燥膜]
(4)水の漏洩試験
水の漏洩試験は図3に示す装置で行った。図1(a)および図1(b)に示す形態の複合イオン交換膜16を非多孔性シート2側をセル17に向けた状態で2つのセル17、18の間に挟み、セル17に蒸留水を入れた。続いて、窒素ガスボンベ11から窒素ガスを、圧力計12及び調節弁13でその圧力を調節して、0.1kg/cm2の一定圧力にて、セル17側に加え、30分間維持した。その間の複合イオン交換膜の端部からの液漏れの状態を観察した。
複合イオン交換膜の端部からの液漏れの程度は、下述の3段階で評価した。
1:端部からの水漏洩が激しかった。
2:端部からの水漏洩が少量観察された。
3:端部からの水漏洩は観察されなかった。
水の漏洩試験は図3に示す装置で行った。図1(a)および図1(b)に示す形態の複合イオン交換膜16を非多孔性シート2側をセル17に向けた状態で2つのセル17、18の間に挟み、セル17に蒸留水を入れた。続いて、窒素ガスボンベ11から窒素ガスを、圧力計12及び調節弁13でその圧力を調節して、0.1kg/cm2の一定圧力にて、セル17側に加え、30分間維持した。その間の複合イオン交換膜の端部からの液漏れの状態を観察した。
複合イオン交換膜の端部からの液漏れの程度は、下述の3段階で評価した。
1:端部からの水漏洩が激しかった。
2:端部からの水漏洩が少量観察された。
3:端部からの水漏洩は観察されなかった。
(5)面積変化率測定
図1(a)および図1(b)の形態の複合イオン交換膜を50℃乾燥機中に24時間放置し、十分乾燥させた、乾燥状態のイオン交換膜の面積をS1、上記乾燥状態のサンプルを純水中に液温25℃±2℃で24時間浸漬して湿潤させた。湿潤状態のイオン交換膜の面積をS2とし、これらの値を基に下式により面積変化率の変化率を算出した。
面積変化率=(S2−S1)×100/S1
図1(a)および図1(b)の形態の複合イオン交換膜を50℃乾燥機中に24時間放置し、十分乾燥させた、乾燥状態のイオン交換膜の面積をS1、上記乾燥状態のサンプルを純水中に液温25℃±2℃で24時間浸漬して湿潤させた。湿潤状態のイオン交換膜の面積をS2とし、これらの値を基に下式により面積変化率の変化率を算出した。
面積変化率=(S2−S1)×100/S1
(カチオン性重合体P−1の合成)
攪拌機、温度センサー、滴下漏斗および還流冷却管を備え付けた6Lのセパラブルフラスコに、酢酸ビニル2450g、メタノール1030g、およびメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを20質量%含有するメタノール溶液69gを仕込み、攪拌下に系内を窒素置換した後、内温を60℃まで上げた。この系に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.8g含有するメタノール20gを添加し、重合反応を開始した。重合開始時点よりメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを20質量%含有するメタノール溶液183gを系内に添加しながら、4時間重合反応を行った後、重合反応を停止した。重合反応を停止した時点における系内の固形分濃度、すなわち、重合反応スラリー全体に対する固形分の含有率は17.8質量%であった。ついで、系内にメタノール蒸気を導入することにより、未反応の酢酸ビニル単量体を追い出し、ビニルエステル共重合体を55質量%含有するメタノール溶液を得た。
攪拌機、温度センサー、滴下漏斗および還流冷却管を備え付けた6Lのセパラブルフラスコに、酢酸ビニル2450g、メタノール1030g、およびメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを20質量%含有するメタノール溶液69gを仕込み、攪拌下に系内を窒素置換した後、内温を60℃まで上げた。この系に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.8g含有するメタノール20gを添加し、重合反応を開始した。重合開始時点よりメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを20質量%含有するメタノール溶液183gを系内に添加しながら、4時間重合反応を行った後、重合反応を停止した。重合反応を停止した時点における系内の固形分濃度、すなわち、重合反応スラリー全体に対する固形分の含有率は17.8質量%であった。ついで、系内にメタノール蒸気を導入することにより、未反応の酢酸ビニル単量体を追い出し、ビニルエステル共重合体を55質量%含有するメタノール溶液を得た。
このビニルエステル共重合体を55質量%含有するメタノール溶液に、該共重合体中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.02、ビニルエステル共重合体の固形分濃度が30質量%となるように、メタノール、および水酸化ナトリウムを10質量%含有するメタノール溶液をこの順序で撹拌下に加え、40℃でけん化反応を開始した。
けん化反応の進行に伴ってゲル化物が生成した直後に、これを反応系から取り出して粉砕し、ついで、ゲル化物が生成してから1時間が経過した時点で、この粉砕物に酢酸メチルを添加することにより中和を行い、膨潤状態のポリ(ビニルアルコール−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)のカチオン性重合体を得た。この膨潤したカチオン性重合体に対して質量基準で6倍量(浴比6倍)のメタノールを加え、還流下に1時間洗浄し、該重合体をろ取した。該重合体を65℃で16時間乾燥した。得られた重合体を重水に溶解し、400MHzでの1H−NMR測定を行ったところ、該カチオン性重合体中のカチオン性単量体単位の含有量、すなわち、該重合体中の単量体単位の総数に対するメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド単量体単位の数の割合は2モル%であった。また、重合度は1700、けん化度は98.5モル%であった。
(アニオン性重合体P−2の合成)
酢酸ビニルの初期仕込み量、メタノール(MeOH)の初期仕込み量、イオン性単量体の種類と初期仕込み量、重合開始剤(AIBN)の使用量、イオン性単量体の逐次添加量などの重合条件、けん化反応条件を表1に示すように変化させた以外はP−1と同様の方法により、アニオン性重合体P−2を得た。得られた重合体の物性を表1に示す。
酢酸ビニルの初期仕込み量、メタノール(MeOH)の初期仕込み量、イオン性単量体の種類と初期仕込み量、重合開始剤(AIBN)の使用量、イオン性単量体の逐次添加量などの重合条件、けん化反応条件を表1に示すように変化させた以外はP−1と同様の方法により、アニオン性重合体P−2を得た。得られた重合体の物性を表1に示す。
(末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール(PVA−1)の合成)
特開昭59−187003号公報に記載された方法によって、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール(PVA−1)を合成した。得られたポリビニルアルコールの重合度は1550、けん化度は98.5モル%であった。
特開昭59−187003号公報に記載された方法によって、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール(PVA−1)を合成した。得られたポリビニルアルコールの重合度は1550、けん化度は98.5モル%であった。
(カチオン性重合体P−3の合成)
還流冷却管、攪拌翼を備え付けた5Lの四つ口セパラブルフラスコに、水2500g、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールとしてPVA−1を344g仕込み、攪拌下95℃まで加熱して該ポリビニルアルコールを溶解した後、室温まで冷却した。該水溶液に1/2規定の硫酸を添加してpHを3.0に調整した。別に、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド183gを水300gに溶解し、これを先に調製した水溶液に攪拌下添加した後、70℃まで加温し、また、水溶液中に窒素をバブリングして、30分間系内を窒素置換した。窒素置換後、上記水溶液に過硫酸カリウム(KPS)の2.5%水溶液121mLを1.5時間かけて逐次的に添加してブロック共重合を開始させ、進行させた後、系内温度を75℃に1時間維持して重合をさらに進行させ、ついで冷却して、固形分濃度15%のポリビニルアルコール−ポリメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドのブロック共重合体の水溶液を得た。粘度は18mPa・s(20℃)であった。次いで、得られた水溶液の一部を乾燥した後、重水に溶解し、400MHzでの1H−NMR測定を行ったところ、該ブロック共重合体中のカチオン性単量体単位の含有量、すなわち、該重合体中の単量体単位の総数に対するメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド単量体単位の数の割合は10モル%であった。
還流冷却管、攪拌翼を備え付けた5Lの四つ口セパラブルフラスコに、水2500g、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールとしてPVA−1を344g仕込み、攪拌下95℃まで加熱して該ポリビニルアルコールを溶解した後、室温まで冷却した。該水溶液に1/2規定の硫酸を添加してpHを3.0に調整した。別に、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド183gを水300gに溶解し、これを先に調製した水溶液に攪拌下添加した後、70℃まで加温し、また、水溶液中に窒素をバブリングして、30分間系内を窒素置換した。窒素置換後、上記水溶液に過硫酸カリウム(KPS)の2.5%水溶液121mLを1.5時間かけて逐次的に添加してブロック共重合を開始させ、進行させた後、系内温度を75℃に1時間維持して重合をさらに進行させ、ついで冷却して、固形分濃度15%のポリビニルアルコール−ポリメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドのブロック共重合体の水溶液を得た。粘度は18mPa・s(20℃)であった。次いで、得られた水溶液の一部を乾燥した後、重水に溶解し、400MHzでの1H−NMR測定を行ったところ、該ブロック共重合体中のカチオン性単量体単位の含有量、すなわち、該重合体中の単量体単位の総数に対するメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド単量体単位の数の割合は10モル%であった。
(カチオン性重合体P−4〜6の合成)
末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールの種類と仕込み量、カチオン性単量体の種類と仕込み量、水の量、重合開始剤(過硫酸カリウム)の量などの重合条件を表2に示すように変えた以外は、P−3と同様の方法によってカチオン性ブロック共重合体P−4〜6を合成した。得られたカチオン性ブロック共重合体の物性を表2に示す。
末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールの種類と仕込み量、カチオン性単量体の種類と仕込み量、水の量、重合開始剤(過硫酸カリウム)の量などの重合条件を表2に示すように変えた以外は、P−3と同様の方法によってカチオン性ブロック共重合体P−4〜6を合成した。得られたカチオン性ブロック共重合体の物性を表2に示す。
(アニオン性重合体P−7の合成)
還流冷却管、攪拌翼を備え付けた5Lの四つ口セパラブルフラスコに、水2500g、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールとしてPVA−1を344g仕込み、攪拌下95℃まで加熱して該ポリビニルアルコールを溶解した後、室温まで冷却した。該水溶液に1/2規定の硫酸を添加してpHを3.0に調整した。別に、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム190gを水300gに溶解し、これを先に調製した水溶液に攪拌下添加した後、70℃まで加温し、また、水溶液中に窒素をバブリングして、30分間系内を窒素置換した。窒素置換後、上記水溶液に過硫酸カリウム(KPS)の2.5%水溶液121mLを1.5時間かけて逐次的に添加してブロック共重合を開始させ、進行させた後、系内温度を75℃に1時間維持して重合をさらに進行させ、ついで冷却して、固形分濃度18%のポリビニルアルコール−ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム)のブロック共重合体の水溶液を得た。粘度は18mPa・s(20℃)であった。次いで、得られた水溶液の一部を乾燥した後、重水に溶解し、400MHzでの1H−NMR測定を行ったところ、該ブロック共重合体中のアニオン性単量体単位の含有量、すなわち、該重合体中の単量体単位の総数に対する2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム単量体単位の数の割合は10モル%であった。
還流冷却管、攪拌翼を備え付けた5Lの四つ口セパラブルフラスコに、水2500g、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールとしてPVA−1を344g仕込み、攪拌下95℃まで加熱して該ポリビニルアルコールを溶解した後、室温まで冷却した。該水溶液に1/2規定の硫酸を添加してpHを3.0に調整した。別に、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム190gを水300gに溶解し、これを先に調製した水溶液に攪拌下添加した後、70℃まで加温し、また、水溶液中に窒素をバブリングして、30分間系内を窒素置換した。窒素置換後、上記水溶液に過硫酸カリウム(KPS)の2.5%水溶液121mLを1.5時間かけて逐次的に添加してブロック共重合を開始させ、進行させた後、系内温度を75℃に1時間維持して重合をさらに進行させ、ついで冷却して、固形分濃度18%のポリビニルアルコール−ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム)のブロック共重合体の水溶液を得た。粘度は18mPa・s(20℃)であった。次いで、得られた水溶液の一部を乾燥した後、重水に溶解し、400MHzでの1H−NMR測定を行ったところ、該ブロック共重合体中のアニオン性単量体単位の含有量、すなわち、該重合体中の単量体単位の総数に対する2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム単量体単位の数の割合は10モル%であった。
(アニオン性重合体P−8の合成)
末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールの種類と仕込み量、カチオン性単量体の種類と仕込み量、水の量、重合開始剤(過硫酸カリウム)の量などの重合条件を表2に示すように変えた以外は、P−7と同様の方法によってアニオン性ブロック共重合体P−8を合成した。得られたアニオン性ブロック共重合体の物性を表2に示す。
末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールの種類と仕込み量、カチオン性単量体の種類と仕込み量、水の量、重合開始剤(過硫酸カリウム)の量などの重合条件を表2に示すように変えた以外は、P−7と同様の方法によってアニオン性ブロック共重合体P−8を合成した。得られたアニオン性ブロック共重合体の物性を表2に示す。
<実施例1>
(複合イオン交換膜IEM−1の作製)
200mLの三角フラスコに、90mLの脱イオン水を入れ、カチオン性重合体P−1を22.5g加えてから、95℃のウォーターバスの中で加熱撹拌し、該重合体P−1を溶解させた。その後、脱イオン水を加えて濃度8%のカチオン性重合体水溶液を調整した。粘度は15mPa・s(20℃)であった。この水溶液をマイヤーバーにてビニロン紙BFN−No.1(多孔性シート)上に塗布し、熱風乾燥機にて80℃、15分間乾燥し、乾燥塗布量25g/m2の多孔性シート(イオン交換性多孔性シート)を得、図1(a)に示すシート1の形状、サイズに切り出した。次いで、ポリエチレンテレフタレート/エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)の熱融着性フィルム(CPロール、EVA部分の厚み35μm:フジプラ株式会社製)(非多孔性支持シート)を図1(a)に示す非多孔性シート2の形状、サイズに型抜きし、このEVA面と前記多孔性シートの塗布面に対向する裏面を重ね合わせ、熱プレス機にて120度、50kgf/cm2、120秒間熱圧着させた。こうして得られた膜を、170℃で30分間熱処理し、物理的な架橋を生じさせた。ついで、該膜を2mol/Lの硫酸ナトリウムの電解質水溶液に24時間浸漬させた。該水溶液にそのpHが1になるように濃硫酸を加えた後、0.5体積%グルタルアルデヒド水溶液に該膜を浸漬し、25℃で24時間スターラーを用いて撹拌し、架橋処理を行った。ここで、グルタルアルデヒド水溶液としては、石津製薬株式会社製「グルタルアルデヒド」(25体積%)を水で希釈したものを用いた。架橋処理の後、該膜を脱イオン水に浸漬し、途中数回脱イオン水を交換しながら、該膜が膨潤平衡に達するまで浸漬させ、複合イオン交換膜を得た。以上の製造方法について表3に示す。
(複合イオン交換膜IEM−1の作製)
200mLの三角フラスコに、90mLの脱イオン水を入れ、カチオン性重合体P−1を22.5g加えてから、95℃のウォーターバスの中で加熱撹拌し、該重合体P−1を溶解させた。その後、脱イオン水を加えて濃度8%のカチオン性重合体水溶液を調整した。粘度は15mPa・s(20℃)であった。この水溶液をマイヤーバーにてビニロン紙BFN−No.1(多孔性シート)上に塗布し、熱風乾燥機にて80℃、15分間乾燥し、乾燥塗布量25g/m2の多孔性シート(イオン交換性多孔性シート)を得、図1(a)に示すシート1の形状、サイズに切り出した。次いで、ポリエチレンテレフタレート/エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)の熱融着性フィルム(CPロール、EVA部分の厚み35μm:フジプラ株式会社製)(非多孔性支持シート)を図1(a)に示す非多孔性シート2の形状、サイズに型抜きし、このEVA面と前記多孔性シートの塗布面に対向する裏面を重ね合わせ、熱プレス機にて120度、50kgf/cm2、120秒間熱圧着させた。こうして得られた膜を、170℃で30分間熱処理し、物理的な架橋を生じさせた。ついで、該膜を2mol/Lの硫酸ナトリウムの電解質水溶液に24時間浸漬させた。該水溶液にそのpHが1になるように濃硫酸を加えた後、0.5体積%グルタルアルデヒド水溶液に該膜を浸漬し、25℃で24時間スターラーを用いて撹拌し、架橋処理を行った。ここで、グルタルアルデヒド水溶液としては、石津製薬株式会社製「グルタルアルデヒド」(25体積%)を水で希釈したものを用いた。架橋処理の後、該膜を脱イオン水に浸漬し、途中数回脱イオン水を交換しながら、該膜が膨潤平衡に達するまで浸漬させ、複合イオン交換膜を得た。以上の製造方法について表3に示す。
(複合イオン交換膜の評価)
上記のようにして作製した複合イオン交換膜を上記方法にしたがって、面積変化率(%)、膜抵抗(Ωcm2)、イオン交換容量(mmol/g)の測定と水の漏洩試験を行った。得られた結果を表4に示す。
上記のようにして作製した複合イオン交換膜を上記方法にしたがって、面積変化率(%)、膜抵抗(Ωcm2)、イオン交換容量(mmol/g)の測定と水の漏洩試験を行った。得られた結果を表4に示す。
<実施例2〜11>
実施例1において、カチオン性重合体及びアニオン性重合体の種類、多孔性シート、非多孔性シートの種類を表3に示すように変えた以外は実施例1と同様にして複合イオン交換膜(IEM2〜11)を作製した。次いで、上記方法にしたがって膜の評価を行った。得られた結果を表4に示す。
実施例1において、カチオン性重合体及びアニオン性重合体の種類、多孔性シート、非多孔性シートの種類を表3に示すように変えた以外は実施例1と同様にして複合イオン交換膜(IEM2〜11)を作製した。次いで、上記方法にしたがって膜の評価を行った。得られた結果を表4に示す。
<比較例1〜3>
実施例1において、用いるカチオン性重合体及びアニオン性重合体の種類、多孔性シート、非多孔性シートの種類を表3に示すように変えた以外は実施例1と同様にして複合イオン交換膜(IEM12〜14)を作製した。次いで、上記方法にしたがって膜の評価を行った。得られた結果を表4にそれぞれ示す。
実施例1において、用いるカチオン性重合体及びアニオン性重合体の種類、多孔性シート、非多孔性シートの種類を表3に示すように変えた以外は実施例1と同様にして複合イオン交換膜(IEM12〜14)を作製した。次いで、上記方法にしたがって膜の評価を行った。得られた結果を表4にそれぞれ示す。
表4の結果から、カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有する多孔性シートの裏面周囲の全周に沿って、非多孔性のシートで支持・補強することを特徴とする本発明の複合イオン交換膜は、面積変化率が小さく、水の漏洩も少なく、膜抵抗が低く、かつイオン交換容量が高い膜が得られることが判る(実施例1〜11)。また、非多孔性シートの厚みが50μm以上であると膜の波打ちも抑制でき、水の漏洩が改善できることが判る(実施例1〜8、10〜11)。さらに、カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体のイオン性基含有量が3モル%以上であると、膜抵抗が低く、イオン交換容量が高くなることが判る(実施例3〜5、7〜8、10〜11)。一方、不織布(多孔性シート)を使用しない場合は、非多孔性シートとの接着力が弱く剥離した(比較例1)。また、多孔性シートの裏面周囲の全周に沿って、非多孔性のシートで支持しない場合は、複合膜の面積変化率が大きかった(比較例2)。さらに、非多孔性支持シートの代わりに多孔性のポリプロピレンシートを用いた場合は、多孔性のイオン交換性シートとの接着力が不十分で剥離し、水の漏洩が生じた(比較例3)。
以上のように、本発明により、膜抵抗が低く、高いイオン交換容量を有し、波うちなどの問題がない複合イオン交換膜を得ることができるので、製塩や食品分野における脱塩工程などで利用される電気透析用や、燃料電池の電解質膜として産業上の利用可能性がある。
以上、本発明の好ましい実施態様を例示的に説明したが、当業者であれば、特許請求の範囲に開示した本発明の範囲および精神から逸脱することなく多様な修正、付加および置換ができることが理解可能であろう。
1 複合イオン交換膜
2 非多孔性シート(イオン交換性シート)
3 多孔性シート(支持シート)
11 窒素ガスボンベ
12 圧力計
13 調節弁
14 バルブ
15 攪拌子
16 複合イオン交換膜
17 セル
18 セル
K 複合イオン交換膜
L 電極
M 電解液(NaCl)
N 恒温槽
O 電気抵抗測定器
2 非多孔性シート(イオン交換性シート)
3 多孔性シート(支持シート)
11 窒素ガスボンベ
12 圧力計
13 調節弁
14 バルブ
15 攪拌子
16 複合イオン交換膜
17 セル
18 セル
K 複合イオン交換膜
L 電極
M 電解液(NaCl)
N 恒温槽
O 電気抵抗測定器
Claims (13)
- カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有するイオン交換性を有するイオン交換性シート及び前記イオン交換性シートを支持する支持シートと、を具備しており、前記イオン交換性シートは、被処理液が接する表面と前記表面に対向する裏面とを有し、かつ、シート周囲部と前記周囲部に囲まれた中央部とを有する、複合イオン交換膜において、
前記イオン交換性シートは多孔性であり、
前記支持シートは非多孔性であり、
前記支持シートは、前記イオン交換性シートの裏面の周囲部全周で、前記イオン交換性シートを支持していることを特徴とする複合イオン交換膜。 - 前記カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、親水性重合体であることを特徴とする請求項1に記載の複合イオン交換膜。
- 前記カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、カチオン性および/またはアニオン性のイオン基を有するポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1または2に記載の複合イオン交換膜。
- 前記カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、カチオン性および/またはアニオン性のイオン性単量体を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有する、ブロック共重合体またはグラフト共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合イオン交換膜。
- 前記カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、前記重合体を構成する単量体単位の総数(100モル%)に対して、0.1モル%以上のイオン性単量体単位を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合イオン交換膜。
- 前記イオン交換性シートのイオン交換容量が0.30meq/g以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合イオン交換膜。
- 前記イオン交換性シートは、多孔性シートが前記カチオン性および/またはアニオン性重合体で被覆されて形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合イオン交換膜。
- 前記多孔性シートがポリビニルアルコール系不織布、またはポリエチレンテレフタレート系不織布である、請求項7に記載の複合イオン交換膜。
- 前記支持シートが、無孔プラスチックフィルムである、請求項1〜8に記載の複合イオン交換膜。
- 前記無孔プラスチックフィルムが、ポリエチレンテレフタレートとエチレン−酢酸ビニル共重合体との積層フィルムである、請求項9に記載の複合イオン交換膜。
- 前記支持シートの厚みが50μm以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合イオン交換膜。
- カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体を含有してイオン交換性を有し、被処理液が接する表面と前記表面に対向する裏面とを備える多孔性シートを用意する工程、
前記多孔性シートに積層されたとき、前記多孔性シートの周囲部のみに積層する形状の非多孔性の支持シートを用意する工程、
前記多孔性シートの裏面周囲部の全周に沿って、前記非多孔性のシートを積層する工程、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合イオン交換膜の製造方法。 - 前記非多孔性シートを積層する工程が、熱溶融接着により積層する工程である、請求項12に記載の複合イオン交換膜の製造方法。
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