JP5713348B2 - 逆電気透析発電用のイオン交換複層膜 - Google Patents

逆電気透析発電用のイオン交換複層膜 Download PDF

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本発明は、ビニルアルコール系重合体からなるイオン交換層を有し、塩の濃度差を利用して発電を行う逆電気透析発電用のイオン交換複層膜に関する。より詳細には、重要物性である電気特性(イオン交換容量、荷電密度、膜抵抗)、機械特性、耐ファウリング性に優れ、発電特性を長期間維持できる逆電気透析発電用のイオン交換複層膜に関する。また、本発明は、このようなイオン交換複層膜を有する逆電気透析発電装置に関する。
従来、イオン交換膜は海水の濃縮、飲料水製造のための脱塩や硝酸性窒素の除去、食品製造工程における塩分除去、医薬品の有効成分の濃縮などを目的に、多種多様な用途、例えば、電気透析法、拡散透析法などで使用されている。これらに使用される有用なイオン交換膜は、主にスチレン−ジビニルベンゼン系重合体を材料とするイオン交換膜であり、工業上有用な分離ができるまでに至っている。
また、このイオン交換膜は上記の既存分野だけでなく、新規な用途への展開も検討されている。例えば、全地球的規模の課題である環境・エネルギー問題に着目してなされた、新しいエネルギー(再生可能エネルギー)の可能性を秘めた用途として、濃度差エネルギーを利用した逆電気透析発電の装置のために使用するイオン交換膜の検討である。
逆電気透析発電とは、淡水と海水のように塩濃度の異なるものが混ざる際に発生する混合自由エネルギー(濃度差エネルギー)を直接電気に変換する発電方法である。具体的には、塩分濃度の高い海水と濃度の低い河川水の塩の濃度差を利用して発電することができる。海水と河川水のように環境負荷の少ない、再生可能な資源を使用することから、クリーンで環境に優しい発電技術として注目を集めている。
例えば、市販のイオン交換膜を用いて逆電気透析発電装置の検証がなされた例がある。そこでは、淡水と河川水の濃度差の影響や用いるイオン交換膜の電気特性(主に抵抗)が逆電気透析発電装置の発電効率に与える影響が検証されている。
しかしながら市販のイオン交換膜を逆電気透析発電に用いると、イオン交換膜が炭化水素系の樹脂からなり、その材質が疎水性であるために、連続使用時における耐有機汚染性(=耐ファウリング性)の問題より、優れた発電効率が長期間維持できないことが報告されている。また、発電効率を向上させるためには、必要とされるイオン交換膜が多量(数千枚以上)になるため、単位電力あたりのコスト試算を行うと、イオン交換膜の高価な値段のために現実的に実用化することが難しい。
また、特許文献1では、海水淡水化設備において生成する濃縮海水を利用した発電方法として、イオン交換膜を利用した逆電気透析発電の装置が報告されている。
しかしながら特許文献1において、使用するイオン交換膜に関する詳細な情報開示がなく、一般的な市販イオン交換膜を用いていることが推測される。従って、上述したような、耐有機汚染性(耐ファウリング性)の問題、イオン交換膜の高コストの問題は解決していない。
イオン交換膜の耐有機汚染性を改善するために、例えば特許文献2に記載しているようなポリビニルアルコール系のイオン交換膜の報告がなされている。炭化水素系(スチレン−ジビニルベンゼン系)の樹脂と異なり、親水性高分子のビニルアルコール系重合体からなるイオン交換膜を用いることで、耐有機汚染性(耐ファウリング性)の問題も解決でき、イオン交換膜の高コストの問題解決にも期待ができるものである。
しかしながら、特許文献2ではイオン交換膜に機械特性を付与するために支持体を使用した複層膜の形態を有しており、その支持体由来の膜抵抗の増大が生じることが懸念される。よって、逆電気透析発電装置に用いるイオン交換膜に必要とされている低膜抵抗化が難しくなる。
特開2004−335312号公報 WO2010−119858A1号公報 特開昭59−187003号公報 特開昭59−189113号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、優れた電気特性、機械特性および耐ファウリング性能を持つ逆電気透析発電用のイオン交換複層膜、並びにこのようなイオン交換複層膜を有する逆電気透析発電装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、カチオン交換基またはアニオン交換基から選ばれるイオン交換基を有するビニルアルコール系重合体からなるイオン交換層と、空隙率が異なる2種の多孔質支持層とを有するイオン交換複層膜を逆電気透析発電装置に用いることで、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、カチオン交換基またはアニオン交換基から選ばれるイオン交換基を有する重合体からなるイオン交換層(A)と多孔質支持層(B)とを有する、逆電気透析発電用のイオン交換複層膜であって、前記重合体が、ビニルアルコール単位およびビニルエステル単位の合計とイオン交換基を有する単位とのモル比が80:20〜99.5:0.5の範囲であるビニルアルコール系重合体であり、多孔質支持層(B)が、繊維集合体からなる多孔質支持層(B1)と、該多孔質支持層(B1)上に形成され且つ多孔質支持層(B1)より空隙率の小さい、繊維集合体からなる多孔質支持層(B2)とを有し、多孔質支持層(B1)、多孔質支持層(B2)、およびイオン交換層(A)がこの順番で配置されるか、またはイオン交換層(A)の少なくとも一部が多孔質支持層(B2)内に含有され且つ多孔質支持層(B1)内には含有されないことを特徴とする、逆電気透析発電用のイオン交換複層膜に関する。
このとき、多孔質支持層(B1)が平均繊維径1μm以上100μm以下の繊維集合体からなり、多孔質支持層(B2)が平均繊維径0.01μm以上1μm未満の繊維集合体からなることが好ましい。また、前記ビニルアルコール系重合体のけん化度が60モル%以上であり、重合度が200以上であることが好ましい。また、前記イオン交換層(A)の厚みが0.5〜500μmの範囲であることが好ましい。また、前記多孔質支持層(B1)の厚みが5〜1000μmの範囲であり、前記多孔質支持層(B2)の厚みが0.1〜100μmの範囲であることが好ましい。さらに、前記多孔質支持層(B1)および前記多孔質支持層(B2)の少なくとも一方が、ビニルアルコール系重合体を50質量%以上含むことが好ましい。
また、本発明は、カチオン交換基を有する重合体からなるカチオン交換層(A1)と、アニオン交換基を有する重合体からなるアニオン交換層(A2)と、多孔質支持層(C)とを有する、逆電気透析発電用のイオン交換複層膜であって、前記カチオン交換基を有する重合体およびアニオン交換基を有する重合体が、ビニルアルコール単位およびビニルエステル単位の合計とイオン交換基を有する単位とのモル比が80:20〜99.5:0.5の範囲であるビニルアルコール系重合体であり、多孔質支持層(C)が多孔質支持層(C1)と、多孔質支持層(C1)の両面上に形成され且つ多孔質支持層(C1)より空隙率の小さい多孔質支持層(C2)および(C3)とを有し、カチオン交換層(A1)、多孔質支持層(C2)、多孔質支持層(C1)、多孔質支持層(C3)およびアニオン交換層(A2)がこの順番で配置されるか、またはカチオン交換層(A1)の少なくとも一部が多孔質支持層(C2)内に含有され且つ多孔質支持層(C1)内には含有されず、アニオン交換層(A2)の少なくとも一部が多孔質支持層(C3)内に含有され且つ多孔質支持層(C1)内には含有されないことを特徴とする、逆電気透析発電用のイオン交換複層膜に関する。
さらに、本発明は、塩濃度の異なる2種の水溶液をイオン交換膜の両側に供給し、塩濃度の差を利用して発電を行う逆電気透析発電装置であって、イオン交換膜として上記のいずれかのイオン交換複層膜を有することを特徴とする逆電気透析発電装置に関する。
本発明の逆電気透析発電用のイオン交換複層膜は、電気特性、機械特性および耐有機汚染性に優れている。これにより、長期間にわたり、安定的に優れた発電性能を発現する逆電気透析発電装置を提供することができる。また、本発明のイオン交換複層膜は、支持層を有しているため面方向の寸法安定性も優れており、耐ファウリング性にも優れており、これにより優れた発電特性を保持することができる。
実施例において、イオン交換複層膜の膜抵抗の評価に用いた装置の概略図である。 実施例において、イオン交換複層膜の耐有機汚染性の評価に用いた電気透析装置の概略図である。 実施例において、逆電気透析発電の評価に用いた装置の概略図である。
本発明の逆電気透析発電用のイオン交換複層膜の第1の態様は、カチオン交換基またはアニオン交換基から選ばれるイオン交換基を有する重合体からなるイオン交換層(A)と多孔質支持層(B)とを有し、上記重合体が、ビニルアルコール単位およびビニルエステル単位の合計とイオン交換基を有する単位とのモル比が80:20〜99.5:0.5の範囲であるビニルアルコール系重合体であり、多孔質支持層(B)が、多孔質支持層(B1)と、該多孔質支持層(B1)上に形成され且つ多孔質支持層(B1)より空隙率の小さい多孔質支持層(B2)とを有し、多孔質支持層(B1)、多孔質支持層(B2)、およびイオン交換層(A)がこの順番で配置されるか、またはイオン交換層(A)の少なくとも一部が多孔質支持層(B2)内に含有され且つ多孔質支持層(B1)内には含有されないことを特徴とする。このような構成にすることにより、多孔質支持層(B)上にイオン交換層(A)を薄く均一に形成することができるため、イオン交換複層膜の膜抵抗を小さくし、機械強度を向上させることができる。従って、電気特性、機械特性および耐有機汚染性に優れたイオン交換複層膜を得ることができる。
また、本発明の逆電気透析発電用のイオン交換複層膜の第2の態様は、カチオン交換基を有する重合体からなるカチオン交換層(A1)と、アニオン交換基を有する重合体からなるアニオン交換層(A2)と、多孔質支持層(C)とを有し、上記カチオン交換基を有する重合体およびアニオン交換基を有する重合体が、ビニルアルコール単位およびビニルエステル単位の合計とイオン交換基を有する単位とのモル比が80:20〜99.5:0.5の範囲であるビニルアルコール系重合体であり、多孔質支持層(C)が多孔質支持層(C1)と、多孔質支持層(C1)の両面上に形成され且つ多孔質支持層(C1)より空隙率の小さい多孔質支持層(C2)および(C3)とを有し、カチオン交換層(A1)、多孔質支持層(C2)、多孔質支持層(C1)、多孔質支持層(C3)およびアニオン交換層(A2)がこの順番で配置されるか、またはカチオン交換層(A1)の少なくとも一部が多孔質支持層(C2)内に含有され且つ多孔質支持層(C1)内には含有されず、アニオン交換層(A2)の少なくとも一部が多孔質支持層(C3)内に含有され且つ多孔質支持層(C1)内には含有されないことを特徴とする。このような構成にすることにより、多孔質支持層(C)の両面上にカチオン交換層(A1)とアニオン交換層(A2)を、それぞれ薄く均一に形成することができるため、イオン交換複層膜の膜抵抗を小さくし、機械強度を向上させることができる。従って、第1の態様と同様に、電気特性、機械特性および耐有機汚染性に優れたイオン交換複層膜を得ることができる。また、このような構成のイオン交換複層膜を用いることにより、逆電気透析発電装置において、カチオン交換膜とアニオン交換膜とを交互に平行に配置してなる積層電池を容易に製造することができる。
本発明で用いられるカチオン交換基を有する重合体は、分子鎖中にアニオン基を有するアニオン性重合体である。当該アニオン性重合体は、アニオン基を主鎖、側鎖、末端のいずれに有していても構わない。アニオン基としては、スルホネート基、カルボキシレート基、ホスホネート基などが例示される。また、スルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基のように、水中において少なくともその一部が、スルホネート基、カルボキシレート基、ホスホネート基に変換し得る官能基も、アニオン基に含まれる。この中で、イオン解離定数が大きい点から、スルホネート基が好ましい。アニオン性重合体は、1種類のみのアニオン基を有していてもよいし、複数種のアニオン基を有していてもよい。また、アニオン基の対カチオンは特に限定されず、水素イオン、アルカリ金属イオンなどが例示される。この中で、設備の腐蝕問題が少ない点から、アルカリ金属イオンが好ましい。アニオン性重合体は、1種類のみの対カチオンを含有していてもよいし、複数種の対カチオンを含有していてもよい。
本発明で用いられるアニオン性重合体は、上記アニオン基を有する構造単位、ビニルアルコール単位およびビニルエステル単位を含む重合体である。この重合体は架橋性を有するものであることが好ましい。アニオン性重合体は、1種類のみの重合体からなるものであってもよいし、複数種のアニオン性重合体を含むものであってもよい。また、これらアニオン性重合体と別の重合体との混合物であっても構わない。ここでアニオン性重合体以外の重合体はカチオン性の重合体でないことが望ましい。
アニオン性重合体としては、以下の一般式(1)および(2)の構造単位を有するものが例示される。
Figure 0005713348
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。Gは−SOH、−SO 、−POH、−PO 、−COHまたは−CO を表す。Mはアンモニウムイオンまたはアルカリ金属イオンを表す。]
一般式(1)で表わされる構造単位を含有するアニオン性重合体としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とビニルアルコールとの共重合体などが例示される。
Figure 0005713348
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表わし、Tは水素原子がメチル基で置換されていてもよいフェニレン基またはナフチレン基を表わす。Gは一般式(1)と同義である。]
一般式(2)で表わされる構造単位を含有するアニオン性重合体としては、p−スチレンスルホン酸ナトリウムなどp−スチレンスルホン酸塩とビニルアルコールとの共重合体などが例示される。
また、アニオン性重合体としては、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸などのスルホン酸またはその塩とビニルアルコールとの共重合体、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸、その誘導体またはその塩の単独重合体または共重合体なども例示される。
一般式(1)または(2)において、Gは、より高い荷電密度を与えるスルホネート基、スルホン酸基、ホスホネート基、またはホスホン酸基であることが好ましい。また一般式(1)および一般式(2)中、Mで表わされるアルカリ金属イオンとしてはナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等が挙げられる。
これらの中でも、入手容易である点から、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩成分とビニルアルコール成分との共重合体、またはp−スチレンスルホン酸塩成分とビニルアルコール成分との共重合体が特に好ましい。
本発明で用いられるアニオン交換基を有する重合体は、分子鎖中にカチオン基を有するカチオン性重合体である。当該カチオン性重合体は、カチオン基を主鎖、側鎖、末端のいずれに有していても構わない。カチオン基としては、アンモニウム基、イミニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基などが例示される。また、アミノ基やイミノ基のように、水中において少なくともその一部が、アンモニウム基やイミニウム基に変換し得る官能基も、カチオン基に含まれる。この中で、工業的に入手しやすい観点から、アンモニウム基が好ましい。アンモニウム基としては、1級アンモニウム基(アンモニウム基)、2級アンモニウム基(アルキルアンモニウム基等)、3級アンモニウム基(ジアルキルアンモニウム基等)、4級アンモニウム基(トリアルキルアンモニウム基等)のいずれを用いることもできるが、4級アンモニウム基(トリアルキルアンモニウム基等)がより好ましい。カチオン性重合体は、1種類のみのカチオン基を有していても良いし、複数種のカチオン基を有していても良い。また、カチオン基の対アニオンは特に限定されず、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオンなどが例示される。この中で、入手の容易性の点から、ハロゲン化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。カチオン性重合体は、1種類のみの対アニオンを含有しても良いし、複数種の対アニオンを含有しても良い。
本発明で用いられるカチオン性重合体は、上記カチオン基を有する構造単位、ビニルアルコール単位およびビニルエステル単位を含む重合体である。この重合体は架橋性を有するものであることが好ましい。カチオン性重合体は、1種類のみの重合体からなるものであってもよいし、複数種のカチオン性重合体を含むものであってもよい。また、これらカチオン性重合体と別の重合体との混合物であっても構わない。ここでカチオン性重合体以外の重合体はアニオン性の重合体でないことが望ましい。
カチオン性重合体としては、以下の一般式(3)〜(10)の構造単位を有するものが例示される。
Figure 0005713348
[式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表わす。R、R、Rは、相互に連結して飽和若しくは不飽和環状構造を形成していてもよい。Zは−O−、−NH−、または−N(CH)−を表し、Yは酸素、窒素、硫黄またはリン原子を含んでもよい総炭素数1〜8の二価の連結基を表す。Xはアニオンを表す。]
一般式(3)中の対アニオンXとしては、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオンなどが例示される。一般式(1)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体しては、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなど3−(メタ)アクリルアミド−アルキルトリアルキルアンモニウム塩とビニルアルコールとの共重合体などが例示される。
Figure 0005713348
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表わす。R、R、R、およびXは一般式(3)と同義である。]
一般式(4)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体としては、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどビニルベンジルトリアルキルアンモニウム塩とビニルアルコールとの共重合体などが例示される。
Figure 0005713348
[式中、R、R、およびXは一般式(3)と同義である。]
Figure 0005713348
[式中、R、R、およびXは一般式(3)と同義である。]
一般式(5)および一般式(6)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどジアリルジアルキルアンモニウム塩とビニルアルコールとの共重合体が例示される。
Figure 0005713348
[式中、nは0または1を表わす。RおよびRは一般式(3)と同義である。]
一般式(7)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体としては、アリルアミンとビニルアルコールとの共重合体が例示される。
Figure 0005713348
[式中、nは0または1を表わす。R、R、R、およびXは一般式(3)と同義である。]
一般式(8)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体としては、アリルアミン塩酸塩などアリルアンモニウム塩とビニルアルコールとの共重合体が例示される。
Figure 0005713348
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Aは−CH(OH)CH−、−CHCH(OH)−、−C(CH)(OH)CH−、−CHC(CH)(OH)−、−CH(OH)CHCH−、または−CHCHCH(OH)−を表す。Eは−N(Rまたは−N(R・Xを表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。Xはアニオンを表す。)
一般式(9)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体として、N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミンまたはその4級アンモニウム塩とビニルアルコールとの共重合体、N−(4−アリルオキシ−3−ヒドロキシブチル)ジエチルアミンまたはその4級アンモニウム塩とビニルアルコールとの共重合体が例示される。
Figure 0005713348
[式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはi−プロピル基、Rは水素原子、メチル基、およびエチル基をそれぞれ表わす。]
一般式(10)で表わされる構造単位を含有するカチオン性重合体として、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドとビニルアルコールとの共重合体が例示される。
これらの中でも、入手容易である点から、メタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩とポリビニルアルコール成分との共重合体、ビニルベンジルトリアルキルアンモニウム塩とポリビニルアルコール成分との共重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩とポリビニルアルコール成分との共重合体が特に好ましい。
本発明で用いられる、カチオン交換基を有するビニルアルコール系重合体およびアニオン交換基を有するビニルアルコール系重合体として、イオン交換基を有する単量体を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有する、ブロック共重合体またはグラフト共重合体が好適に用いられ、ブロック共重合体がより好適に用いられる。こうすることにより、イオン性重合体がミクロ相分離して、最終的なイオン交換複層膜での強度の向上、膜の膨潤度の抑制、および形状保持についての機能を担うポリビニルアルコール成分と、陽イオンまたは陰イオンを透過させる機能を担うイオン交換基を有する単位を重合してなる重合体成分とが役割分担でき、イオン交換複層膜の膨潤度と寸法安定性とを両立することができる。イオン交換基を有する単位を重合してなる重合体成分の構造単位は特に限定されないが、前記一般式(1)〜(10)で表わされるものなどが例示される。この中で、入手容易である点から、カチオン性重合体としては、メタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩を重合してなる重合体ブロックとポリビニルアルコールブロックとを有するブロック共重合体、ビニルベンジルトリアルキル塩を重合してなる重合体ブロックとポリビニルアルコールブロックとを有するブロック共重合体、またはジアリルジアルキルアンモニウム塩を重合してなる重合体ブロックとポリビニルアルコールブロックとを有するブロック共重合体が好ましく用いられる。また、アニオン性重合体としては、p−スチレンスルホン酸塩を重合してなる重合体ブロックとポリビニルアルコールブロックとを有するブロック共重合体、または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩を重合してなる重合体ブロックとポリビニルアルコールブロックとを有するブロック共重合体が好ましく用いられる。
本発明で用いることのできるイオン交換基を有する単位を重合してなる重合体ブロックとポリビニルアルコールブロックとを有するブロック共重合体の製造方法は主に次の2つの方法に大別される。すなわち、(1)所望のブロック共重合体を製造した後、特定のブロックにイオン基を結合させる方法、および(2)少なくとも1種類のイオン性単量体を重合させて所望のブロック共重合体を製造する方法である。このうち、(1)については、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールの存在下、1種類または複数種の単量体をブロック共重合させ、次いでブロック共重合体中の1種類または複数種の重合体成分にイオン基を導入する方法、(2)については、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールの存在下、少なくとも1種類のイオン性単量体をラジカル重合させることによりブロック共重合体を製造する方法が工業的な容易さから好ましい。特に、ブロック共重合体中のポリビニルアルコール成分とイオン性単量体を重合してなる重合体成分の各成分の種類や量を容易に制御できることから、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールの存在下、少なくとも1種類のイオン交換基を有する単量体をラジカル重合させてブロック共重合体を製造する方法が好ましい。こうして得られるイオン交換基を有する単位を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有するブロック共重合体には、末端にメルカプト基を有するまたは有さないポリビニルアルコールが未反応のまま又は副生物として含まれていても構わない。
これらのブロック共重合体の製造に用いられる、末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体は、例えば、特許文献3などに記載されている方法により得ることができる。すなわち、チオール酸の存在下にビニルエステル系単量体、例えば酢酸ビニルをラジカル重合して得られるビニルエステル系重合体をけん化する方法が挙げられる。このようにして得られる末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールと、イオン性単量体とを用いてブロック共重合体を得る方法としては、例えば、特許文献4などに記載された方法が挙げられる。すなわち、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールの存在下にイオン性単量体をラジカル重合させることによりブロック共重合体を得ることができる。このラジカル重合は公知の方法、例えばバルク重合、溶液重合、パール重合、乳化重合などによって行うことができるが、末端にメルカプト基を含有するポリビニルアルコールを溶解し得る溶剤、例えば水やジメチルスルホキシドを主体とする媒体中で行うのが好ましい。また、重合プロセスとしては、回分法、半回分法、連続法のいずれをも採用することができる。
イオン交換基を有する重合体におけるポリビニルアルコール系成分のうち、イオン交換基を有する単位の割合、すなわち、ビニルアルコール単位およびビニルエステル単位の合計とイオン交換基を有する単位との割合は、モル比で80:20〜99.5:0.5である。イオン交換基を有する単位の割合が20モル%以上では、得られるイオン交換層の膨潤が激しく、所望の電気特性が得られず、発電特性が低下するおそれがある。膨潤による機械強度の低下も懸念される。一方、イオン交換基を有する単位の割合が0.5モル%以下では、得られるイオン交換層の有効荷電密度が低下し、発電特性が低下するおそれがある。ビニルアルコール単位およびビニルエステル単位の合計とイオン交換基を有する単位とのモル比は、82:18〜99:1であることが好ましく、84:16〜98:2であることがより好ましい。なお、ここでいうビニルエステル単位は、好適には酢酸ビニル単位である。
本発明において、カチオン交換基またはアニオン交換基から選択されるイオン交換基を含有するポリビニルアルコールは、イオン性単量体とビニルエステル系単量体を共重合し、これを常法によりけん化して得られる。ビニルエステル系単量体は、ラジカル重合可能なものであれば使用できる。例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等が挙げられる。この中でも、酢酸ビニルが好ましい。
上記で示したイオン交換基を有する単量体とビニルエステル系単量体とを共重合させる方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。それらの方法の中でも、無溶媒で行う塊状重合法、またはアルコールなどの溶媒を用いて行う溶液重合法が通常採用される。溶液重合法を採用して共重合反応を行う際に、溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合反応に使用される開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)などのアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどの過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。共重合反応を行う際の重合温度については特に制限はないが、5℃〜180℃の範囲が適当である。
イオン交換基を有する単量体とビニルエステル系単量体とを共重合させることによって得られたビニルエステル系重合体は、次いで、公知の方法にしたがって溶媒中でけん化され、イオン基を含有するポリビニルアルコールへと導かれる。
ビニルエステル系重合体のけん化反応の触媒としては通常アルカリ性物質が用いられ、その例として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、およびナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。けん化触媒は、けん化反応の初期に一括して添加しても良いし、あるいはけん化反応の初期に一部を添加し、残りをけん化反応の途中で追加して添加しても良い。けん化反応に用いられる溶媒としては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒の中でもメタノールが好ましい。けん化反応は、バッチ法および連続法のいずれの方式にても実施可能である。けん化反応の終了後に、必要に応じて、残存するけん化触媒を中和しても良く、使用可能な中和剤として、酢酸、乳酸などの有機酸、および酢酸メチルなどのエステル化合物などが挙げられる。
本発明におけるイオン交換基を有するポリビニルアルコールのけん化度は、60モル%以上であることが好ましい。けん化度が60モル%未満だと、結晶性が低下し、イオン交換層、イオン交換複層膜の強度が不足したり、耐久性が悪化するおそれがある。けん化度が70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。通常、けん化度は99.9モル%以下である。このとき、前記ポリビニルアルコールが複数種のポリビニルアルコールの混合物である場合のけん化度は、混合物全体としての平均のけん化度をいう。なお、ポリビニルアルコールのけん化度は、JIS K6726に準じて測定した値である。本発明で用いられるイオン基を含有しないポリビニルアルコールのけん化度も、上記範囲であることが好ましい。
イオン交換基を有するポリビニルアルコールの粘度平均重合度(以下、単に重合度と言うことがある)は、200以上であることが好ましい。重合度が200未満だと、実用上でイオン交換膜が十分な強度を保持できないおそれがある。重合度は300以上であることがより好ましい。一方、重合度が10000を超えると印刷に用いる重合体溶液の粘度が高すぎて扱えないおそれがある。重合度が8000以下であることがより好ましい。このとき、前記ポリビニルアルコールが複数種のポリビニルアルコールの混合物である場合の重合度は、混合物全体としての平均の重合度をいう。なお、ポリビニルアルコールの粘度平均重合度は、JIS K6726に準じて測定した値である。本発明で用いられるイオン基を含有しないポリビニルアルコールの重合度も、上記範囲であることが好ましい。
本発明で用いられるイオン交換層(A)の厚みは0.5〜500μmであることが好ましい。0.5μm未満の場合、膜の欠陥(ピンホール)が発生するおそれがある。これにより、イオン交換層(A)の機械的強度、耐久性が低下するおそれがある。該厚みは1μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることが更に好ましい。イオン交換層(A)の厚みが500μmを超える場合、イオン交換性能が顕著に低下し、発電特性が低下するおそれがある。該厚みは400μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることが更に好ましく、200μm以下であることが特に好ましい。
本発明で用いられる多孔質支持層(B1)および(C1)は、多孔質の材料からなるものであれば特に限定されない。多孔質支持層(B1)および(C1)を用いることにより、得られるイオン交換複層膜の機械的強度が優れるとともに、イオンの移動も容易になり、イオン交換複層膜の膜抵抗を低下させることができる。多孔質支持層(B1)および(C1)としては、不織布、合成紙などの繊維集合体、膜、織布、連通気泡の発泡体などが例示され、従来公知の多孔質のシートがいずれも使用できる。これらの中でも、繊維集合体がより好ましい。また、多孔質支持層(B1)および(C1)の素材としては、ポリビニルアルコール繊維集合体が特に好ましく用いられ、このことにより高強度となる利点を有する。
本発明で用いられる多孔質支持層(B1)および(C1)の厚みは、特に限定されず、5〜1000μmであることが好ましい。多孔質支持層(B1)および(C1)の厚みが5μm未満だと、イオン交換複層膜の強度が不足するおそれがある。該厚みは10μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが更に好ましい。多孔質支持層(B1)の厚みが1000μmを超えると、イオン交換性能が低下し、発電特性が悪化するおそれがある。該厚みは800μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましい。
本発明で用いられる多孔質支持層(B1)および(C1)の坪量は、特に限定されず、1〜100g/mであることが好ましい。坪量が1g/m未満の場合、イオン交換複層膜の機械的強度が低下するおそれがあり、5g/m以上であることがより好ましく、10g/m以上であることが更に好ましい。一方、坪量が100g/mを超える場合、イオン交換性能が低下し、発電特性が悪化するおそれがある。坪量は、80g/m以下であることがより好ましく、50g/m以下であることがさらに好ましい。
本発明で用いられる多孔質支持層(B1)の空隙率は、後述する多孔質支持層(B2)の空隙率よりも大きければ特に限定されない。また、多孔質支持層(C1)の空隙率は、後述する多孔質支持層(C2)および(C3)の空隙率よりも大きければ特に限定されない。このように、多孔質支持層(B2)の空隙率よりも多孔質支持層(B1)の空隙率を大きくすることにより、また、多孔質支持層(C2)および(C3)の空隙率よりも多孔質支持層(C1)の空隙率を大きくすることにより、イオン交換複層膜の機械的強度に優れるとともに、イオン交換性能を向上させ、優れた発電特性を発現させることができる。空隙率の差は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。
多孔質支持層(B1)および(C1)の空隙率を所望の範囲に制御する手段は公知の手段を用いることができる。例えば、製造時の樹脂の坪量と層の厚さを調節することで空隙率を制御することが可能である。樹脂の発泡によって空隙を形成する場合は、発泡剤の種類と量によって発泡倍率を調節することで空隙率を制御できる。また、多孔質支持層(B1)および(C1)が繊維集合体からなる層である場合、繊維の交絡密度を調整することで空隙率を制御できる。
多孔質支持層(B1)および(C1)の空隙率は、40〜90%であることが好ましい。空隙率がこの範囲にあることで、得られるイオン交換複層膜の機械的強度が優れるとともに、優れた発電特性を発現する。多孔質支持体(B1)および(C1)の空隙率が40%未満の場合、イオン交換性能が低下し、発電特性が低下するおそれがある。該空隙率は、50%以上であることがより好ましく、55%以上であることがさらに好ましい。一方、多孔質支持層(B1)および(C1)の空隙率が90%を超える場合、得られるイオン交換複層膜の機械的強度が劣るおそれがある。該空隙率は、80%以下であることがより好ましく、75%以下であることがさらに好ましい。
本発明では、多孔質支持層(B1)および(C1)が繊維集合体からなる層である場合、その平均繊維径は1μm以上100μm以下であることが好ましい。このことにより、機械的強度に優れたイオン交換複層膜を得ることができる。平均繊維径が1μm未満の場合、イオン交換性能が低下し、発電特性が低下するおそれがある。該平均繊維径は、3μm以上であることが好ましい。一方、平均繊維径が100μmを超える場合、表面平滑性が劣り、多孔質支持層(B2)が均一に設けられないおそれがある。該平均繊維径は、50μm以下であることが好ましい。
本発明で用いられる多孔質支持層(B2)は、多孔質の材料からなるものであって、上記多孔質支持層(B1)より空隙率が小さければ特に限定されない。また、本発明で用いられる多孔質支持層(C2)および(C3)は、多孔質の材料からなるものであって、それぞれ、上記多孔質支持層(C1)より空隙率が小さければ特に限定されない。多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)としては、不織布、合成紙などの繊維集合体、膜、織布、連通気泡の発泡体などが例示され、従来公知の多孔質のシートがいずれも使用できる。また、多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)の素材としては繊維集合体がより好ましく用いられる。繊維集合体の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等が例示され、中でもポリビニルアルコールが好適に用いられる。このような多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)を用いることにより、多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)表面の平滑度が向上され、多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)上、またはそれらの内部にイオン交換膜層を均一に形成することができる。その結果、得られるイオン交換複層膜が優れたイオン交換性能を有し、優れた発電特性を発現することができる。
多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)の厚みは特に限定されないが、0.1〜100μmの範囲であることが好ましい。多孔質支持体(B2)、(C2)および(C3)の厚さが0.1μm未満の場合、ピンホールが発生するおそれがある。これら多孔質支持層の厚みは、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。一方、多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)の厚さが100μmを超える場合、イオン交換性能が低下し、発電特性が低下するおそれがある。これら多孔質支持層の厚みは、70μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。また、多孔質支持層(B1)の厚みと多孔質支持層(B2)の厚みとの比(B1/B2)、多孔質支持層(C1)の厚みと多孔質支持層(C2)の厚みとの比(C1/C2)、および多孔質支持層(C1)の厚みと多孔質支持層(C3)の厚みとの比(C1/C3)は、特に限定されず、2以上であることが好ましく、5以上であることが好ましく、10以上であることが更に好ましい。一方、厚み比(B1/B2)、(C1/C2)、および(C1/C3は、通常、100以下である。
本発明で用いられる多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)の坪量は特に限定されず、0.1〜10g/mであることが好ましい。坪量が0.1g/m未満の場合、ピンホールが発生するおそれがあり、0.8g/m以上であることがより好ましく、1g/m以上であることが更に好ましい。一方、坪量が10g/mを超える場合、イオン交換性能が大きく低下し、発電特性が悪化するおそれがあり、5g/m以下であることがより好ましい。また、多孔質支持層(B1)の坪量と多孔質支持層(B2)の坪量との比(B1/B2)、多孔質支持層(C1)の坪量と多孔質支持層(C2)の坪量との比(C1/C2)、および多孔質支持層(C1)の坪量と多孔質支持層(C3)の坪量との比(C1/C3)は、特に限定されず、2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。一方、坪量比(B1/B2)、(C1/C2)および(C1/C3)は、通常、100以下である。
また、本発明で用いられる多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)の空隙率は、上記多孔質支持層(B1)の空隙率よりも小さければ特に限定されず、具体的には30〜80%であることが好ましい。空隙率がこの範囲にあることにより、多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)表面の平滑度を高くすることができるため、多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)上、またはそれらの内部にイオン交換膜層を均一に形成することができる。その結果、得られるイオン交換複層膜におけるイオンの移動度を大きくすることができる利点を有する。多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)の空隙率が30%未満の場合、イオン交換性能が大きく低下し、発電特性が低下するおそれがある。これら各多孔質支持層の空隙率は、35%以上であることがより好ましい。一方、多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)の空隙率が80%を超える場合、イオン交換層を均一に設けることが困難となるおそれがある。これら各多孔質支持層の空隙率は、70%以下であることがより好ましく、65%以下であることがさらに好ましい。
多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)の空隙率を所望の範囲に制御する手段は公知の手段を用いることができる。例えば、製造時の樹脂の坪量と層の厚さを調節することで空隙率を制御することが可能である。樹脂の発泡によって空隙を形成する場合は、発泡剤の種類と量によって発泡倍率を調節することで空隙率を制御できる。また、多孔質支持層(B1)、(C1)および/または多孔質支持層(B2)、(C2)、(C3)が繊維集合体からなる層である場合、繊維の交絡密度をそれぞれ調整することで空隙率を制御できる。
本発明では、多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)が、平均繊維径0.01μm以上1μm未満の繊維層であることが好ましい。このことにより、多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)表面の平滑度をより高くすることが可能となり、多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)上にイオン交換層が均一に形成される。また、上記のような繊維層とすることにより、多孔質支持層(B2)が高密度となる。これにより、多孔質支持層(B)上に形成されるイオン交換層(A)が、多孔質支持層(B2)の下の多孔質支持層(B1)に入り込むのを防止して、均一なイオン交換層が形成される。同様に、多孔質支持層(C2)および(C3)が高密度となることにより、多孔質支持層(C)上に形成されるイオン交換層(A1)および(A2)が、多孔質支持層(C1)に入り込むのを防止して、均一なイオン交換層が形成される。その結果、得られるイオン交換複層膜におけるイオン交換性能を向上でき、優れた発電特性を発現できる利点を有する。平均繊維径が0.01μm未満の場合、繊維層の強度が不足するおそれがあり、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。一方、平均繊維径が1μm以上の場合、繊維層表面の平滑度が低くなるおそれがあり、0.8μm以下であることが好ましく、0.6μm以下であることがより好ましい。また、多孔質支持層(B1)の平均繊維径と多孔質支持層(B2)の平均繊維径との比(B1/B2)、多孔質支持層(C1)の平均繊維径と多孔質支持層(C2)の平均繊維径との比(C1/C2)、および多孔質支持層(C1)の平均繊維径と多孔質支持層(C3)の平均繊維径との比(C1/C3)は、特に限定されないが、2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。一方、該平均繊維径比(B1/B2)、(C1/C2)および(C1/C3)は、通常、100以下である。
本発明において、多孔質支持層(B1)および/または多孔質支持層(B2)が、親水性繊維を少なくとも50質量%含む繊維層からなることが好ましい。多孔質支持層(B2)が、親水性繊維を少なくとも50質量%含む繊維層からなることにより、イオン交換層(A)との親和性が高くなるため、多孔質支持層(B2)とイオン交換層(A)との接着性が高くなる利点を有する。特に、多孔質支持層(B1)および多孔質支持層(B2)が、親水性繊維を少なくとも50質量%含む繊維層からなることにより、上記効果に加えて、多孔質支持層(B1)と多孔質支持層(B2)の接着性も高くなる利点を有する。
また、本発明において、多孔質支持層(C1)および/または多孔質支持層(C2)、(C3)が、親水性繊維を少なくとも50質量%含む繊維層からなることが好ましい。多孔質支持層(C2)、(C3)が、親水性繊維を少なくとも50質量%含む繊維層からなることにより、イオン交換層との親和性が高くなるため、多孔質支持層(C2)とカチオン交換層(A1)の接着性、および多孔質支持層(C3)とアニオン交換層(A2)との接着性が高くなる利点を有する。特に、多孔質支持層(C1)および多孔質支持層(C2)、(C3)が、親水性繊維を少なくとも50質量%含む繊維層からなることにより、上記効果に加えて、多孔質支持層(C1)と多孔質支持層(C2)の接着性および多孔質支持層(C1)と多孔質支持層(C3)の接着性も高くなる利点を有する。
本発明において、多孔質支持層(B1)および(C1)が、疎水性重合体を含んでいてもよい。この場合、得られるイオン交換複層膜が水中強度に優れ、吸水による膨潤や変形を抑制できるため、寸法安定性の向上にも効果がある。
多孔質支持層(B1)および(C1)に使用される疎水性重合体としては、水酸基、カルボキシル基などのプロトン性官能基を実質的に有さないものであれば特に限定されず、ポリオレフィン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ポリエステルおよびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。多孔質支持層(B1)および(C1)は、疎水性重合体を50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことが更に好ましい。多孔質支持層(B1)および(C1)に含まれる疎水性重合体以外の成分としては特に限定されず、多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)と接着性の高い重合体を用いてもよい。例えば、多孔質支持層(B2)、(C2)および(C3)を形成する重合体がビニルアルコール系樹脂である場合、多孔質支持層(B1)および(C1)にもビニルアルコール系樹脂を含有させることで、多孔質支持層(B1)と多孔質支持層(B2)、または多孔質支持層(C1)と多孔質支持層(C2)、(C3)との接着性を高めることができる。
本発明の逆電気透析発電用のイオン交換複層膜の第一の態様は、上述した多孔質支持層(B1)、多孔質支持層(B2)およびイオン交換層(A)が、この順番(A/B2/B1)で配置されるか、またはイオン交換層(A)の少なくとも一部が多孔質支持層(B2)内に含有され且つ多孔質支持層(B1)内には含有されないことを特徴とする。本発明において、「イオン交換層(A)の少なくとも一部が多孔質支持層(B2)内に含有され且つ多孔質支持層(B1)内には含有されない」とは、イオン交換層(A)全体が多孔質支持層(B2)に含有されていてもよいし、イオン交換層(A)の一部のみが多孔質支持層(B2)内に含有され、他の部分が多孔質支持層(B2)の外に形成されていてもよい。但し、いずれの場合においても、イオン交換層(A)が多孔質支持層(B2)内を介して、さらに多孔質支持層(B1)内に含有されることはない。イオン交換層(A)の少なくとも一部が多孔質支持層(B2)内に含有されている場合のイオン交換層(A)の厚みは、多孔質支持層(B2)内に含有されているイオン交換層(A)の下面部から表面までの長さをいう。
本発明において、多孔質支持層(B1)上に多孔質支持層(B2)が形成されて得られる多孔質支持体層の厚み(B1+B2)と、イオン交換膜層(A)の厚みとの比(A/(B1+B2))は、特に限定されず、0.001〜0.2であることが好ましい。該比(A/(B1+B2))が0.001未満だと、得られるイオン交換層(A)に欠陥が生じるおそれがある。該比が0.005以上であることがより好ましく、0.01以上であることがさらに好ましい。該比(A/(B1+B2))が0.2を超えると、イオン交換性能が低下し、発電特性が悪化するおそれがある。該比が0.15以下であることがより好ましく、0.1以下であることがさらに好ましい。
多孔質支持層(B2)上にイオン交換層(A)を形成する方法は特に限定されないが、多孔質支持層(B2)上にイオン交換層(A)を印刷により形成する方法が好適に採用される。本発明においては、多孔質支持層(B2)上にイオン交換層(A)を薄く、均一に含浸させて形成することが重要である。印刷する方法を採用することで、厚みの小さいイオン交換層(A)を形成することができるため、イオン交換性能の優れた膜を得て、優れた発電特性を発現できる。
本発明に用いられる印刷方法としては、従来公知の印刷方法がいずれも適用できる。具体的な印刷方法としては、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、転写印刷法、ディスペンサー印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法などが例示される。これらの中でも、印刷の簡易性の点から、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、転写印刷法、ディスペンサー印刷法が特に好ましい。
上記第1の態様のイオン交換複層膜において、多孔質支持層(B2)の表面にのみイオン交換層(A)が形成されていてもよいし、多孔質支持層(B2)の表面だけでなく多孔質支持層(B2)の内部にイオン交換層(A)が形成されていてもよい。本発明者らは、多孔質支持層(B2)上にイオン交換層(A)を印刷により形成する場合、毛細管現象によりイオン交換層(A)の一部が多孔質支持体(B2)の内部に入り込むため、多孔質支持体(B2)の表面だけでなく、多孔質支持体(B2)の内部にもイオン交換層(A)が形成される場合があることを確認している。
また、本発明の逆電気透析発電用のイオン交換複層膜の第2の態様は、上述したカチオン交換層(A1)、多孔質支持層(C2)、多孔質支持層(C1)、多孔質支持層(C3)およびアニオン交換層(A2)がこの順番(A1/C2/C1/C3/A2)で配置されるか、またはカチオン交換層(A1)の少なくとも一部が多孔質支持層(C2)内に含有され且つ多孔質支持層(C1)内には含有されず、アニオン交換層(A2)の少なくとも一部が多孔質支持層(C3)内に含有され且つ多孔質支持層(C1)内には含有されないことを特徴とする。本発明において、「カチオン交換層(A1)の少なくとも一部が多孔質支持層(C2)内に含有され且つ多孔質支持層(C1)内には含有されない」とは、カチオン交換層(A1)全体が多孔質支持層(C2)に含有されていてもよいし、カチオン交換層(A1)の一部のみが多孔質支持層(C2)内に含有され、他の部分が多孔質支持層(C2)の外に形成されていてもよい。但し、いずれの場合においても、カチオン交換層(A1)が多孔質支持層(C2)を介して、さらに多孔質支持層(C1)内に含有されることはない。カチオン交換層(A1)の少なくとも一部が多孔質支持層(C2)内に含有されている場合のカチオン交換層(A1)の厚みは、多孔質支持層(C2)内に含有されているカチオン交換層(A1)の下面部から表面までの長さをいう。また、「アニオン交換層(A2)の少なくとも一部が多孔質支持層(C3)内に含有され且つ多孔質支持層(C1)内には含有されない」についても、カチオン交換層(A1)と同様に定義される。
多孔質支持層(C2)上にカチオン交換層(A1)を形成する方法、および多孔質支持層(C3)上にアニオン交換層(A2)を形成する方法は特に限定されないが、第1の態様と同様に印刷により形成する方法が好適に採用される。
上記第1の態様と同様、第2の態様のイオン交換複層膜においても、多孔質支持層(C2)の表面にのみカチオン交換層(A1)が形成されていてもよいし、多孔質支持層(C2)の表面だけでなく多孔質支持層(C2)の内部にカチオン交換層(A1)が形成されていてもよい。また、多孔質支持層(C3)の表面にのみアニオン交換層(A2)が形成されていてもよいし、多孔質支持層(C3)の表面だけでなく多孔質支持層(C3)の内部にアニオン交換層(A2)が形成されていてもよい。
本発明のイオン交換複層膜の製造方法においては、イオン交換層(A)を形成した後に、熱処理を施すことが好ましい。熱処理を施すことによって、結晶化度が高くなるので、物理的な架橋が増加し、得られるイオン交換複層膜の機械的強度が増大する。また、非晶部にカチオン基、アニオン基が濃縮され、高密度のイオン交換パスが形成されるため、荷電密度が増加し、イオン交換性能が向上する。熱処理の方法は特に限定されず、熱風乾燥機などが一般に用いられる。熱処理の温度は、特に限定されないが、ポリビニルアルコールの場合、50〜250℃であることが好ましい。熱処理の温度が50℃未満だと、得られるイオン交換複層膜の機械的強度が不足するおそれがある。該温度は80℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。熱処理の温度が250℃を超えると、ポリビニルアルコールが熱分解するおそれがある。該温度が230℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。熱処理の時間は、通常、1分〜10時間程度である。熱処理は不活性ガス(例えば窒素ガス、アルゴンガスなど)雰囲気下で行うことが望ましい。
また、本発明のイオン交換複層膜の製造方法においては、イオン交換層(A)を形成した後に、熱プレス処理を施すことが好ましい。熱プレス処理を施すことによって、印刷により設けられたイオン交換層(A)が緻密となり、得られるイオン交換層(A)の機械的強度、耐久性が向上する。熱プレス処理の方法は特に限定されず、カレンダー設備などが一般に用いられる。熱プレス処理の温度は、特に限定されないが、ポリビニルアルコールの場合、80〜250℃であることが好ましい。熱プレス処理の温度が80℃未満だと、得られるイオン交換複層膜の機械的強度、耐久性が不足するおそれがある。該温度が100℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましい。熱プレス処理の温度が250℃を超えると、ポリビニルアルコールが融解するおそれがある。該プレス温度が230℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。
本発明のイオン交換複層膜の製造方法においては、イオン交換層(A)を形成した後に、架橋処理を施すことが好ましい。架橋処理を施すことによって、得られるイオン交換層(A)の機械的強度、耐久性が向上する。また、荷電密度が増加するため、イオン交換性能が向上する。架橋処理の方法は、重合体の分子鎖同士を化学結合によって結合できる方法であればよく、特に限定されない。通常、イオン交換層(A)を、架橋処理剤を含む溶液に浸漬する方法などが用いられる。該架橋処理剤としては、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、グリオキザールなどが例示される。該架橋処理剤の濃度は、通常、溶液に対する架橋処理剤の体積濃度が0.001〜1体積%である。
前記製造方法においては、熱処理と熱プレス処理と架橋処理のすべてを行ってもよいし、そのうちの2つを行ってもよいし、そのいずれかのみを行ってもよい。行う処理の順番は特に限定されない。複数の処理を同時に行ってもよい。熱処理または熱プレス処理を施した後に、架橋処理を施すことが好ましい。熱処理または熱プレス処理を施すことにより架橋されにくい部位が生じ、その後、架橋処理、特に化学架橋処理を行うことで、架橋された部位と架橋されない部位が混在することによって、膜強度が高くなるからである。熱プレス処理、熱処理、架橋処理の順番で行うことが、得られるイオン交換複層膜の機械的強度の面から特に好ましい。また、イオン交換層(A)が水溶性重合体である場合には、上記熱処理、熱プレス処理、架橋処理等を行うことにより、溶出するのを防止することもできる。
本発明の逆電気透析発電で使用するイオン交換複層膜は、本発明の目的を損なわない範囲で、無機フィラーなど種々の添加剤を含んでいてもよい。
また、本発明の逆電気透析発電で使用するイオン交換複層膜の荷電密度は、特に限定されないが、0.1〜20mol・dm−3であることが好ましい。荷電密度が0.1mol・dm−3未満だと、膜のイオン交換性能が低下するおそれがある。荷電密度が0.3mol・dm−3以上であることがより好ましく、0.5mol・dm−3以上であることがさらに好ましい。膜の荷電密度が20mol・dm−3を超えると、膜の膨潤が著しく、寸法安定性が悪く、取り扱いが困難となるおそれがある。膜の荷電密度が10mol・dm−3以下であることがより好ましく、3mol・dm−3以下であることがさらに好ましい。
本発明のイオン交換複層膜は、イオン交換性能に優れているので、逆電気透析発電に好適に用いることができる。本発明のイオン交換複層膜は、特に、高いイオン交換性能を有するとともに、機械強度および耐有機汚染性に優れているため、逆電気透析発電装置に用いることで、長期間にわたり優れた発電特性を発現することができる。
以下、上記本発明のイオン交換複層膜を用いた本発明の逆電気透析発電装置について説明する。本発明の逆電気透析発電装置は、塩濃度の異なる2種の水溶液をイオン交換膜の両側に供給し、塩濃度の差を利用して発電を行う逆電気透析発電装置であって、イオン交換膜として上記第1および第2態様のイオン交換複層膜を有することを特徴とする。すなわち、イオン交換複層膜の両側に、河川水と海水のように塩濃度の異なる水溶液を供給して濃淡電池を構成して発電を行う。このとき、本発明のイオン交換複層膜としてアニオン交換複層膜とカチオン交換複層膜とを交互に平行に配置し、各イオン交換複層膜の間に塩濃度の高い水溶液と塩濃度の低い水溶液とを交互に供給することにより、積層電池を構成することができ、大きな起電力を得ることができる。また、本発明の第2態様のイオン交換複層膜は、多孔質支持層(C)の両面上にカチオン交換層(A1)およびアニオン交換層(A2)が形成されているので、これを複数平行に並べることにより、積層電池を構成することができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例中、特に断りのない限り「%」および「部」は質量基準である。実施例および比較例における分析および評価は、下記の方法にしたがって行った。
1)イオン交換層(A)に含まれるイオン交換基を有する単位の割合の評価方法
重合して得られた、イオン交換基を有する単位を含んだポリビニルアルコールを、重水素溶媒で溶解(濃度5wt%)させ、以下のNMR装置、条件で測定した。イオン交換基を有する単位のピーク強度とポリビニルアルコールのピーク強度より、得られた重合体中に含まれるイオン交換基を有する単位の割合を算出した。以下の実施例で用いたイオン交換単位は、ベンゼン環を有するために、6.0〜8.0ppmに現れるベンゼン環のピークと、4.0ppm付近に現れるポリビニルアルコールのメチンプロトンの比より、イオン交換基を有する単位の割合を算出した。用いた装置および測定条件を以下に示す。
装置名 :日本電子製 超伝導核磁気共鳴装置Lambda 500
観測周波数 :500MHz(H)
溶媒 :重水
ポリマー濃度 :5wt%(H−NMR)
測定温度 :80℃(H−NMR)
積算回数 :256回(H−NMR)
パルス繰り返し時間:4秒(H−NMR)
サンプル回転速度 :10〜12Hz
2)多孔質支持層の空隙率測定
下記計算式により空隙率を求めた。
空隙率(%)={1−[坪量(g/m)/厚み(μm)]/樹脂密度(g/cm)}×100
今回支持層に用いた樹脂(ポリビニルアルコール)の密度は1.3(g/cm)として計算した。
3)透気度測定
多孔性支持層に関しては、JIS P8117に従い、ガーレーデンソメーターを用いて100mlの空気の透過時間を測定した。また、イオン交換複層膜に関しては、JAPAN TAPPI紙のパルプ試験法No.5による王研式透気度試験に従って測定した。
4)イオン交換層、多孔質支持層の厚み測定
イオン交換複層膜を25℃のイオン交換水中に5日以上浸漬させ、膨潤平衡状態としたのち、手術用ナイフで断面を切り出した後、イオン交換水にメチルバイオレットを濃度5×10−5mol/Lで溶解した水溶液に30分間浸漬してカチオン性重合体のドメインの部分を着色して測定試料を作製した。こうして得られた測定試料を乾燥させてから株式会社ニコン製光学顕微鏡「OPTIPHOT−2」で断面観察し、得られたデータを株式会社ニコン製「NIS−Elements.D.2.30」で画像解析することでイオン交換層(A)の厚みを算出した。また、同様にして多孔質支持体(B1)および多孔質支持体(B2)の厚みを算出した。なお、ここで得られた厚みの値は、乾燥時における値である。
5)イオン交換複層膜の膜抵抗の評価方法
膜抵抗は、以下の方法により測定した。図1に示される白金黒電極板Lを有する2室セル中にイオン交換複層膜Kを挟み、膜の両側に0.5モル/L−KCl溶液を満たし、LCRメーターを用いて、交流ブリッジ(周波数1000サイクル/秒)により25℃における電極間の抵抗を測定し、該電極間抵抗とイオン交換複層膜を設置しない場合の電極間抵抗との差により求めた。
6)イオン交換複層膜の機械特性の評価方法
イオン交換水に浸漬させていたイオン交換複層膜から、Dumb Bell Ltd.製スーパーダンベルカッターを用いて、JISK6251に記載のダンベル状2号形の試験片を打ち抜いて、23℃50%RHの条件で引っ張り測定を実施した。2%歪み時の中間点応力と破断時の応力について、株式会社島津製作所製オートグラフAG−5000Bを用いて、引張り速度5mm/min.で測定することにより評価した。
7)イオン交換複層膜の耐有機汚染性の評価方法
得られたイオン交換複層膜を図2に示す電気透析装置に組み込み、耐有機汚染性の評価を実施した。銀−塩化銀電極のついた2室セル間にイオン交換複層膜(Membrane)を挟み、陽極側に0.1モル/dmNaCl水溶液を、陰極側に所定量のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムと0.1モル/dmNaCl水溶液の混合液を入れて、電流密度10mA/cmの条件で電気透析を行った。所定温度で、膜表面近くに固定された白金プローブ電極を用いて電極間電位の経時変化を測定した。測定開始時の電極電位と測定開始から180分後の電極電位の差Δφが5V以下であれば合格「○」、5〜10Vであれば「△」、10V以上であれば「×」と判定した。
8)逆電気透析発電の評価方法
図3に逆電気透析発電装置の概略を示す。アニオン交換膜とカチオン交換膜の間に海水と河川水が通る流路を設けて、発電特性を評価した。測定条件は、河川水のNaCl濃度を変えて、出力密度を測定し、最大の発電能力である最大出力密度P[W/m]を評価した。測定の際、本発明におけるアニオン交換膜の性能を評価する際には、市販のカチオン交換膜(アストム社製CEM)をセットで用いて、本発明におけるカチオン交換膜の性能を評価する際には、市販のアニオン交換膜(アストム社製AEM)をセットで用いた。測定条件は以下の通りとした。
電解液 :3M NaCl
海水 :0.5M NaCl
河川水 :様々な濃度のNaCl
有効膜面積:22cm
膜間距離 :1.0mm
膜の数 :5枚ずつ
電極(+):AgCl
電極(−):Ag
(PVA−1の合成)
特許文献3に記載された方法(末端にメルカプト基を有するビニルアルコール系重合体およびその方法)によって、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールPVA−1を合成した。得られたPVA−1の重合度は500、けん化度は99.5モル%であった。
(カチオン性重合体P−1の合成)
特許文献4に記載された方法によって、アニオン交換基を有する重合体としてのカチオン性重合体P−1の合成を行った。還流冷却管、攪拌翼を備え付けた1Lの四つ口セパラブルフラスコに、水669g、末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコールとしてPVA−1を110g仕込み、攪拌下95℃まで加熱して該ポリビニルアルコールを溶解した後、室温まで冷却した。該水溶液に1/2規定の硫酸を添加してpHを3.0に調整した。別に、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(QBm)6gを溶解し、これを先に調製した水溶液に攪拌下添加した後、該水溶液中に窒素をバブリングしつつ70℃まで加温し、さらに70℃で30分間窒素のバブリングを続けることで、窒素置換した。窒素置換後、上記水溶液に過硫酸カリウム(KPS)の2.5%水溶液10mLを1.5時間かけて逐次的に添加してブロック共重合を開始させ、進行させた後、系内温度を75℃に1時間維持して重合をさらに進行させ、ついで冷却して、固形分濃度20%のポリビニルアルコール−ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドのブロック共重合体であるカチオン性重合体P−1の水溶液を得た。得られた水溶液の一部を乾燥した後、重水に溶解し、H−NMR測定を行ったところ、該ブロック共重合体中のカチオン性単量体含有量、すなわち、該重合体中の単量体単位の総数に対するビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド単量体単位の数の割合は1モル%であった。
(カチオン性重合体P−2、P−3の合成)
上記のP−1の重合条件を表1のように変えて、他はカチオン性重合体P−1と同様の方法によって、ブロック共重合体であるカチオン性重合体P−2、P−3を合成した。得られたカチオン性重合体P−2のイオン交換単位の割合は7モル%、P−3は14モル%であった。
(アニオン性重合体P−4の合成)
上記のP−1の重合条件を表1のように変えて、他はカチオン性重合体P−1と同様の方法によって、カチオン交換基を有する重合体としての、ブロック共重合体であるアニオン性重合体P−4を合成した。得られたアニオン性重合体P−4のイオン交換単位の割合は7モル%であった。
(カチオン性重合体P−5、P−6の合成)
上記のP−1の重合条件を表1のように変えて、他はカチオン性重合体P−1と同様の方法によって、ブロック共重合体であるカチオン性重合体P−5、P−6を合成した。得られたカチオン性重合体P−5のイオン交換単位の割合は0.2モル%、P−6は25モル%であった。
Figure 0005713348
(基材−1の作製)
(1)PVA系主体繊維(株式会社クラレ製「VPB102×5」;1.1dtex×5mm)80質量%と、PVA系バインダー繊維(株式会社クラレ製「VPB105−1」;1.1dtex(円相当径10μm)×3mm、水中溶解温度70℃)20質量%とを加えて混合して原料とし、これを長網抄紙機にて抄紙し、ヤンキー型乾燥機にて乾燥して坪量30.0g/m、厚さ76μmの湿式不織布基材からなる多孔質支持層(B1)を得た。
(2)PVA124(株式会社クラレ製;重合度2400、ケン化度98.5モル%)を10質量%となるように水に投入後、90℃で攪拌溶解し、完全溶解したものを常温まで冷却して紡糸原液を得た。得られた紡糸原液を用い、ナノファイバーエレクトロスピニング単位(カトーテック株式会社)にて、上記(1)で得た多孔質支持層(B1)上に、ニードル内径:0.9mm、極間距離:8cm、コンベア速度:0.1m/分、印加電圧:20kVの条件で静電紡糸を行って、多孔質支持層(B1)上に繊維層からなる多孔質支持層(B2)が形成された多層構造体を得た。得られた多層構造体において、多孔質支持層(B2)の坪量は2g/mであり、平均繊維径は300nmであった。また、このとき、多層構造体において、多孔質支持層(B1)の厚みは76μmであり、多孔質支持層(B2)の厚みは3.7μmであった。多孔質支持層(B1)の空隙率は70%であり、多孔質支持層(B2)の空隙率は58%であった。
(基材−2の作製)
基材−2の作製において、多孔質支持層(B1)の作製は基材−1と同様に行い、多孔質支持体(B2)を形成しなかった。このとき、基材−2の厚みは76μmであった。
実施例1
(イオン交換複層膜の作製)
200mLの三角フラスコに、90mLの脱イオン水を入れ、カチオン性重合体P−1を22.5g加えてから、95℃のウォーターバスの中で加熱撹拌し、該重合体P−1を溶解させた。その後、脱イオン水を加えて濃度17%のカチオン性重合体水溶液を調製した。粘度は8.7万mPa・s(20℃)であった。まず、カチオン性重合体P−1水溶液をスクリーン印刷装置LS−34TV(ニューロング精密工業株式会社製)を用いて、基材−1上に印刷を行い、得られた印刷物を熱風乾燥機中で50℃、10分間乾燥した。こうして得られたイオン交換層(A)としてのアニオン交換層の厚みを、上記方法に従って光学顕微鏡で測定した結果、4.5μmであった。このとき、多孔質支持層(B1)の厚みは76μmであり、多孔質支持層(B2)の厚みは3.7μmであった。また、得られたイオン交換複層膜の断面を観察したところ、イオン交換層(A)は多孔質支持層(B2)の内部に形成されていなかった。さらに、得られたイオン交換複層膜の透気度は10万秒以上∞以下の値であり、無欠陥に近い、イオン交換複層膜を得た。ここで、透気度の測定において∞以下とは測定限界以下を示す。
こうして得られたイオン交換複層膜を170℃で30分間熱風乾燥機を用いて熱処理し、物理的な架橋を生じさせた。ついで、該膜を2mol/Lの硫酸ナトリウムの電解質水溶液に24時間浸漬させた。該水溶液にそのpHが1になるように濃硫酸を加えた後、0.05体積%グルタルアルデヒド水溶液に該膜を浸漬し、25℃で24時間スターラーを用いて撹拌し、架橋処理を行った。ここで、グルタルアルデヒド水溶液としては、石津製薬株式会社製「グルタルアルデヒド」(25体積%)を水で希釈したものを用いた。架橋処理の後、該膜を脱イオン水に浸漬し、途中数回脱イオン水を交換しながら、該膜が膨潤平衡に達するまで浸漬させた。
(イオン交換複層膜の評価)
このようにして作製したイオン交換複層膜を、所望の大きさに裁断し、測定試料を作製した。得られた測定試料を用い、上記方法にしたがって、イオン交換膜にとって重要な膜抵抗、機械特性(中間点応力および破断時応力)、および耐有機汚染性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(逆電気透析発電の評価)
上記イオン交換複層膜を用いて、上記8)に示す方法を用いて逆電気透析発電を行った際の出力密度を測定し、最大の発電能力である最大出力密度P[W/m]を得た。結果を表2に示す。
実施例2〜4
実施例1において、用いるカチオン性重合体およびアニオン性重合体の種類を表2に示すように変えた以外は実施例1と同様にしてイオン交換複層膜を作製し、イオン交換複層膜の評価、逆電気透析発電の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例1
実施例1において、用いたイオン交換複層膜をアストム社製のAMX(アニオン交換膜)に変えた以外は同様に評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例2、3
実施例1において、用いるカチオン重合体の種類を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にイオン交換複層膜を作製し、イオン交換複層膜の評価、逆電気透析発電の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例4
上記によって得られたカチオン性重合体P−1の水溶液(濃度15wt%)に、基材−2を浸漬させて、その他は実施例1記載の方法によって、イオン交換複層膜を作製した。得られたイオン交換複層膜の評価、逆電気透析発電の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
Figure 0005713348
実施例1〜4より、多孔質支持層(B1)と、多孔質支持層(B1)より上に形成され且つ多孔質支持層(B1)より空隙率の小さい多孔質支持層(B2)を有する多孔質支持層(B)上に、ビニルアルコール単位およびビニルエステル単位の合計とイオン交換基を有する単位とのモル比が80:20〜99.5:0.5の範囲であるビニルアルコール系重合体からなるイオン交換層(A)が形成されてなるイオン交換複層膜は、良好な電気特性及び機械特性を有し、耐有機汚染性に優れ、逆電気透析発電に用いた際にも良好な発電特性を示すことがわかる。一方、市販のアニオン交換膜を用いた比較例1では、耐有機汚染性が劣っていた。また、イオン交換基を有する単位のモル比が上記範囲外である比較例2においては膜抵抗が高くなり、比較例3においてはイオン交換膜の膨潤が顕著で、無欠陥の膜を得ることができなかった。また、多孔質支持層(B2)を有さない比較例4においては、膜抵抗が高く、また逆電気透析発電を行った際も十分な出力密度を得ることができなかった。
K:イオン交換複層膜
L:白金黒電極板
M:NaCl水溶液
N:水浴
O:LCRメーター

Claims (8)

  1. カチオン交換基またはアニオン交換基から選ばれるイオン交換基を有する重合体からなるイオン交換層(A)と多孔質支持層(B)とを有する、逆電気透析発電用のイオン交換複層膜であって、
    前記重合体が、ビニルアルコール単位およびビニルエステル単位の合計とイオン交換基を有する単位とのモル比が80:20〜99.5:0.5の範囲であるビニルアルコール系重合体であり、
    多孔質支持層(B)が、繊維集合体からなる多孔質支持層(B1)と、該多孔質支持層(B1)上に形成され且つ多孔質支持層(B1)より空隙率の小さい、繊維集合体からなる多孔質支持層(B2)とを有し、
    多孔質支持層(B1)、多孔質支持層(B2)、およびイオン交換層(A)がこの順番で配置されるか、またはイオン交換層(A)の少なくとも一部が多孔質支持層(B2)内に含有され且つ多孔質支持層(B1)内には含有されないことを特徴とする、逆電気透析発電用のイオン交換複層膜。
  2. 多孔質支持層(B1)が平均繊維径1μm以上100μm以下の繊維集合体からなり、多孔質支持層(B2)が平均繊維径0.01μm以上1μm未満の繊維集合体からなることを特徴とする、請求項1記載の逆電気透析発電用のイオン交換複層膜。
  3. 前記ビニルアルコール系重合体のけん化度が60モル%以上であり、重合度が200以上であることを特徴とする請求項1または2記載の逆電気透析発電用のイオン交換複層膜。
  4. 前記イオン交換層(A)の厚みが0.5〜500μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の逆電気透析発電用のイオン交換複層膜。
  5. 前記多孔質支持層(B1)の厚みが5〜1000μmの範囲であり、前記多孔質支持層(B2)の厚みが0.1〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜のいずれか記載の逆電気透析発電用のイオン交換複層膜。
  6. 前記多孔質支持層(B1)および前記多孔質支持層(B2)の少なくとも一方が、ビニルアルコール系重合体を50質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか記載の逆電気透析発電用のイオン交換複層膜。
  7. カチオン交換基を有する重合体からなるカチオン交換層(A1)と、アニオン交換基を有する重合体からなるアニオン交換層(A2)と、多孔質支持層(C)とを有する、逆電気透析発電用のイオン交換複層膜であって、
    前記カチオン交換基を有する重合体およびアニオン交換基を有する重合体が、ビニルアルコール単位およびビニルエステル単位の合計とイオン交換基を有する単位とのモル比が80:20〜99.5:0.5の範囲であるビニルアルコール系重合体であり、
    多孔質支持層(C)が多孔質支持層(C1)と、多孔質支持層(C1)の両面上に形成され且つ多孔質支持層(C1)より空隙率の小さい多孔質支持層(C2)および(C3)とを有し、
    カチオン交換層(A1)、多孔質支持層(C2)、多孔質支持層(C1)、多孔質支持層(C3)およびアニオン交換層(A2)がこの順番で配置されるか、またはカチオン交換層(A1)の少なくとも一部が多孔質支持層(C2)内に含有され且つ多孔質支持層(C1)内には含有されず、アニオン交換層(A2)の少なくとも一部が多孔質支持層(C3)内に含有され且つ多孔質支持層(C1)内には含有されないことを特徴とする、逆電気透析発電用のイオン交換複層膜。
  8. 塩濃度の異なる2種の水溶液をイオン交換膜の両側に供給し、塩濃度の差を利用して発電を行う逆電気透析発電装置であって、イオン交換膜として請求項1〜のいずれか記載のイオン交換複層膜を有することを特徴とする逆電気透析発電装置。
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