以下、添付図面を参照しながら、本発明の画像形成装置および画像形成方法の実施形態を詳細に説明する。本発明の画像形成装置は、電子写真方式で画像を形成する装置であれば適用でき、例えば、電子写真方式の画像形成装置や複合機(MFP:Multifunction Peripheral)などにも適用できる。なお、複合機とは、印刷機能、複写機能、スキャナ機能、および、ファクシミリ機能のうちの少なくとも2つの機能を有する装置である。
図1は、一般的な電子写真装置のうち、画像の形成を行う部分の構成例を中心に示す図である。図1に示す電子写真装置は、無端状移動手段である搬送ベルト5に沿って、C(シアン)の色の画像を形成する画像形成部(電子写真プロセス部)6C、M(マゼンダ)の色の画像を形成する画像形成部6M、Y(イエロー)の色の画像を形成する画像形成部6Y、K(ブラック、Bkと表記する場合もある)の色の画像を形成する画像形成部6Kが並べられた構成を備え、所謂タンデムタイプと呼ばれる。以下では、各画像形成部6Y、6M、6Cおよび6Kを互いに区別しない場合は、単に「画像形成部6」と表記することもある。図1に示す電子写真装置は、画像データに従った露光が行われた感光体ドラムから、用紙などの記録媒体に対して画像を直接転写する方式である。
図1に示すように、給紙トレイ1から給紙ローラ2と分離ローラ3とにより分離給紙される用紙4を搬送する搬送ベルト5に沿って、この搬送ベルト5の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部6Y、6M、6C、6Kが配列されている。これら複数の画像形成部6Y、6M、6C、6Kは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。以下の説明では、画像形成部6Yについて具体的に説明するが、他の画像形成部6M、6C、6Kの構成は画像形成部6Yと同様であるので、画像形成部6M、6C、6Kの各構成要素については、画像形成部6Yの各構成要素に付したYに替えて、M、C、Kを付して区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
搬送ベルト5は、回転駆動される駆動ローラ7と従動ローラ8とに巻回されたエンドレスのベルトである。この駆動ローラ7は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ7と、従動ローラ8とが、無端状移動手段である搬送ベルト5を移動させる駆動手段として機能する。画像形成に際して、給紙トレイ1に収納された用紙4は最も上のものから順に送り出され、静電吸着作用により搬送ベルト5に吸着されて回転駆動される搬送ベルト5により最初の画像形成部6Yに搬送され、ここで、イエローのトナー画像を転写される。
図1に示すように、画像形成部6Yは、感光体としての感光体ドラム9Yと、感光体ドラム9Yの周囲に配置された帯電器10Yと、LEDAヘッド11Y、現像器12Y、感光体クリーナ(図示せず)、除電器13Yとを含んで構成される。LEDAヘッド11Yは、感光体ドラム9Yを露光するように構成されている。
画像形成に際し、感光体ドラム9Yの外周面は、暗中にて帯電器10Yにより一様に帯電された後、LEDAヘッド11Yからのイエロー画像に対応した照射光により露光され、静電潜像を形成される。現像器12Yは、この静電潜像をイエローのトナーにより可視像化する。これにより、感光体ドラム9Y上にイエローのトナー画像が形成される。感光体ドラム9Y上に形成されたイエローのトナー画像は、感光体ドラム9Yと搬送ベルト5上の用紙4とが接する位置(転写位置)で、転写器15Yの働きにより用紙4上に転写される。この転写により、用紙4上にイエローのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム9Yは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器13Yにより除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、画像形成部6Yでイエローのトナー画像を転写された用紙4は、搬送ベルト5によって次の画像形成部6Mに搬送される。画像形成部6Mでは、画像形成部6Yでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム9M上にマゼンダのトナー画像が形成され、マゼンダのトナー画像が用紙4上に形成されたイエローのトナー画像に重畳されて転写される。用紙4は、さらに次の画像形成部6C、6Kに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム9C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム9K上に形成されたブラックのトナー画像とが、用紙4上に順次に重畳されて転写される。こうして、用紙4上にフルカラーの画像が形成される。つまり、図1の例では、画像形成部6は、所定速度で駆動される記録媒体(用紙4)に対して複数の色の画像を重ね合わせて形成する。このフルカラーの重畳画像が形成された用紙4は、搬送ベルト5から剥離されて定着器16に送り込まれる。定着器16は、熱および圧力を加えることにより、用紙4上に重畳画像を定着させる。画像が定着された用紙4は、電子写真装置の外部に排紙される。
以上のような電子写真方式の画像形成装置では、各色の転写位置がずれていると、各色のトナー画像が正しく重ならず、印刷画像の画像品質が低下する。そのため、各色の転写位置のずれを補正する必要がある(各色の像の位置ずれを補正する必要がある)。図1に示す電子写真装置は、位置ずれ補正のために、像担持体である搬送ベルト5に対して位置ずれ補正用パターン画像を形成する。各感光体ドラム(9Y、9M、9C、9K)の下流側(搬送ベルト5の駆動方向の下流側)には、搬送ベルト5に形成された位置ずれ補正用パターン画像を検出するためのセンサ17および18が設けられる。
センサ17および18の各々は、例えばTMセンサなどの光反射式センサで構成され、検出対象に向けて光線を出射する光源と、検出対象からの反射光を検出する光検出素子とを有する。図1の例では、センサ17および18は、搬送ベルト5の駆動方向(搬送方向、副走査方向)に直交する方向(主走査方向)に整列して配置される。なお、図1の例では、主走査方向に沿って2つのセンサ(17,18)が配置されているが、位置ずれ補正用パターン画像を検出するためのセンサの数および位置は任意に変更可能である。
図1に例示された電子写真装置は、記録媒体に画像を直接転写する方式の装置であるが、図2に例示された画像形成装置100は、中間転写ベルト5に形成されたトナー画像を、用紙4などの記録媒体に転写する方式の装置である。本実施形態に係る画像形成装置は、図2に示すような、中間転写ベルト5に形成されたトナー画像を、用紙4などの記録媒体に転写する方式の画像形成装置100である場合を例に挙げて説明するが、これに限らず、例えば図1に示すような、記録媒体に画像を直接転写する方式の画像形成装置を用いることもできる。
図2の例では、無端状移動手段は搬送ベルトでは無く、中間転写ベルト5である。中間転写ベルト5は、回転駆動される駆動ローラ7と従動ローラ8とに巻回されたエンドレスのベルトである。各色のトナー画像は、感光体ドラム9Y、9M、9C、9Kと中間転写ベルト5とが接する位置(1次転写位置)で、転写器15Y、15M、15C、15Kの働きにより中間転写ベルト5上に転写される。この転写により、中間転写ベルト5上に各色のトナーによる画像が重ね合わされたフルカラー画像が形成される。つまり、図2の例では、画像形成部6は、所定速度で駆動される像担持体(中間転写ベルト5)に対して複数の色の画像を重ね合わせて形成する。画像形成に際して、給紙トレイ1に収納された用紙4は最も上のものから順に送り出され、中間転写ベルト5上に搬送される。中間転写ベルト5上に形成されたフルカラーのトナー画像は、中間転写ベルト5と用紙4とが接する位置(2次転写位置20)で、2次転写ローラ21の働きにより、用紙4上に転写される。2次転写ローラ21は中間転写ベルト5に密着しており、接離機構は無い。こうして、用紙4上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重畳画像が形成された用紙4は、定着器16に送り込まれ、定着器16にて画像が定着された用紙4は、画像形成装置100の外部に排紙される。
図2の例では、位置ずれ補正のために、像担持体である中間転写ベルト5に対して位置ずれ補正用パターン画像を形成する。各感光体ドラム(9Y、9M、9C、9K)の下流側(中間転写ベルト5の駆動方向の下流側)には、中間転写ベルト5に形成された位置ずれ補正用パターン画像を検出するためのセンサ17および18が設けられる。
図3は、本実施形態の画像形成装置100を制御するための構成例を示す機能ブロック図である。図3に示すように、画像形成装置100は、制御部30と、I/F(インターフェイス)部31と、作像プロセス部32と、副制御部33と、操作部34と、記憶部35と、プリントジョブ管理部36と、定着部37と、読取部38と、LEDA制御部39と、検出部40とを有する。
制御部30は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含み、ROMに予め記憶されるプログラムに従い、RAMをワークメモリとして用いて、画像形成装置100全体を制御する。また、制御部30は、バス上のデータ転送の調停を行う調停部を有し、上述した各部間でのデータ転送を制御する。
I/F部31は、パーソナルコンピュータ(PC)といった外部機器と接続され、制御部30の命令に従い、外部機器との間の通信を制御する。例えば、I/F部31は、外部機器から送信された印刷要求などを受信して制御部30に渡す。プリントジョブ管理部36は、この画像形成装置100に対して要求された印刷要求(印刷ジョブ)について、印刷を行う順番などを管理する。
副制御部33は、例えばCPUを有し、印刷要求に応じて図2で示した各部の制御を行うと共に、外部機器からI/F部31を介して送信された、印刷のための画像データを、LEDA制御部39に渡す。
LEDA制御部39は、画像データに応じた露光を行い、画像データに基づく潜像を感光体ドラム9上に形成させる。より具体的には、LEDA制御部39は、副制御部33から画像データを受け取り、上述した各LEDAヘッド11Y、11M、11Cおよび11Kによる、各感光体ドラム9Y、9M、9Cおよび9Kに対する画像データに従った光の書き込み、すなわち露光を制御する。以下では、各LEDAヘッド11Y、11M、11Cおよび11Kを互いに区別しない場合は、単に「LEDAヘッド11」と表記することもある。LEDA制御部39には、LEDAヘッド11が接続される。この例では、LEDA制御部39とLEDAヘッド11が、請求項の「露光部」に対応していると捉えることができる。
作像プロセス部32は、上述した各画像形成部6Y、6M、6Cおよび6Kを含み、LEDA制御部39により各感光体ドラム9Y、9M、9Cおよび9Kに書き込まれた静電潜像の現像や転写などの処理を行う。
検出部40は、上述のセンサ17および18を含み、センサ17および18の各々から出力された信号に基づいて、画像形成部6により中間転写ベルト5上に形成される位置ずれ補正用パターン画像の検出処理を行う。
記憶部35は、ある時点における画像形成装置100の状態を示す情報を記憶する。例えば、検出部40による位置ずれ補正用パターン画像の検出結果は、記憶部35に格納される。制御部30は、取得した検出結果に基づいて、LEDA制御部39による位置ずれ補正処理を制御する。操作部34は、ユーザ操作を受け付ける操作子と、ユーザに対してこの画像形成装置100の状態を表示させる表示部とを有する。
定着部37は、上述した定着器16および定着器16を制御するための構成を有し、作像プロセス部32によりトナー画像を転写した用紙4に対して熱および圧力を加えて、トナー画像を用紙4に定着させる処理を行う。
読取部38は、用紙4上の印字情報を読み取り、電気信号に変換するもので、所謂スキャナ機能を実現する。読取部38が印字情報を読み取って出力した電気信号は、制御部30に渡される。この読取部38および図示されない通信手段により、この画像形成装置100は、プリンタ機能、スキャナ機能、複写機能およびFAX機能を1の筐体で実現する複合機として機能できる。なお、読取部38は、省略可能である。
図4は、LEDA制御部39の詳細な機能の一例を説明するための図である。副制御部33は、PC50(PC50にインストールされているプリンタドライバ)により生成された印刷データを、ネットワーク(不図示)を介して受信する。なお、印刷データは、例えばPDL(Page Description Language)などで記述されている。そして、副制御部33は、受信した印刷データを、ページメモリ60上で複数の画素で構成される画像データ(例えばビットマップデータ)に変換し、LEDA制御部39へライン単位で転送する。より具体的には、副制御部33は、LEDA制御部39から副制御部33へ出力されるHSYNC信号の出力タイミングに合わせて、画像データをLEDA制御部39へ転送する。この転送形式には、複数のチャンネル(CH)ごとに、異なるフォーマットを処理できる画像形成方式と、チャンネル間で共通のフォーマットのみを処理する画像形成方式とがある。
LEDA制御部39は、副制御部33からライン単位で転送される画像データに基づいて、LEDAヘッド11を発光させ、静電潜像を形成させる。つまり、LEDA制御部39は、副制御部33から転送される画像データを発光データとして扱う。LEDA制御部39は、周波数変換部70と、ラインメモリ71と、画像処理部72と、スキュー補正部73と、ラインメモリ74−0〜74−I(Iは2以上の自然数)と、を備える。
副制御部33とLEDA制御部39とは、動作クロック周波数が異なる。このため、周波数変換部70は、副制御部33からライン単位で転送される画像データをラインメモリ71に順次記録するとともに、記録した画像データをLEDA制御部39の動作クロックに基づいて順次読み出すことにより、周波数変換を行い、画像処理部72へライン単位で転送する。
画像処理部72は、周波数変換部70からライン単位で転送される画像データに画像処理を施し、スキュー補正部73へライン単位で転送する。画像処理は、例えば、内部パターンを付加する処理やトリミング処理などである。また、画像処理部72は、制御部30の制御の下、上記画像処理と同時に、入力解像度単位に応じた位置ずれ補正を行う。なお、画像処理として、例えば、ジャギー補正などのラインメモリを要する処理を行う場合、LEDA制御部39は、画像処理部72用のラインメモリを有することになる。また、画像処理部72は、PC50からの印刷データに対する画像処理を行うだけなく、制御部30の命令に従い、所定の画像データ(例えば、位置ずれ補正用パターン画像の画像データなど)を生成することもできる。
スキュー補正部73は、画像処理部72からライン単位で転送される画像データをラインメモリ74−0〜74−Iに順次に記録するとともに、ラインメモリ74−0〜74−Iのうち読み出し対象のラインメモリ74を画像位置に応じて切り替えながら順次読み出すことにより、スキュー補正を行い、LEDAヘッド11へライン単位で転送する。
なお、スキュー補正部73の画像データ読み込み時のライン周期は、スキュー補正部73の画像データ書き込み時のライン周期の1/N(Nは自然数)である。そしてスキュー補正部73は、ラインメモリ74−0〜74−Iから画像データを読み込む際、1つのラインメモリ74から同一の画像データを連続してN回読み出すことにより、画像データの副走査方向の解像度をN倍にする倍密処理を行う。スキュー補正とともに、倍密処理が行われたデータは、LEDAヘッド11に転送される。制御部30は、このときの転送速度を変化させることで、画像形成速度を調整する。画像形成速度とは、画像を形成する速度であり、具体的には、感光体ドラム9上に静電潜像が形成される速度(LEDA制御部39による光の書き込み速度)を指す。画像形成速度とは、LEDAヘッド11の発光周期(画像形成の周期)を指すと考えることもできる。
また、LEDAヘッド11の種類によっては、LEDAヘッド11の配線に応じてデータの配列を変換する必要があるため、配列変換がライン全般に渡るような場合、LEDA制御部39は、配列変換用のラインメモリを有することになる。そして、スキュー補正後の画像データがこのラインメモリ上で配列変換され、LEDAヘッド11へライン単位で転送される。
LEDAヘッド11は、スキュー補正部73からライン単位で転送される画像データに基づいて、発光し、静電潜像を感光体ドラム9上に形成する。なお、本実施形態では、スキュー補正部73により倍密処理が行われているため、LEDAヘッド11は、画像データの副走査方向の解像度を高密度化して静電潜像を形成することができ、きめ細かな階調制御や位置合わせ制御を行うことができる。
図5は、カラー用の位置ずれ補正用パターン画像の例を示す図である。本実施形態では、制御部30の制御の下、画像形成部6は、所定速度で駆動される中間転写ベルト5に対して、カラー用の位置ずれ補正用パターン画像を形成する。より具体的には、画像形成部6は、所定速度で駆動される中間転写ベルト5(像担持体の一例)に対して、図5に例示されるようなラダーパターン200、200、・・・を形成する。各ラダーパターン200は、主走査方向と平行に延びるY、M、CおよびKの各色の線が、副走査方向に沿って等間隔に配置される横線パターン200Aと、副走査方向に対して45°の角度を有して延びるY、M、CおよびKの各色の線が、副走査方向に沿って等間隔に配置される斜め線パターン200Bとが組み合わされてなる。以下では、ラダーパターン200を構成する各色の線をトナーマークと呼ぶ場合がある。つまり、1つ(1組)のラダーパターン200は、8本のトナーマークの集合で構成されると捉えることもできる。図5の例では、センサ17に対応するラダーパターン200の列と、センサ18に対応するラダーパターン200の列とが、中間転写ベルト5上に形成される。
さらに、図5の例では、センサ17に対応するラダーパターン200の列、および、センサ18に対応するラダーパターン200の列の各々の先頭部分には、主走査方向と平行に延びる2本のY色の線が、副走査方向に沿って等間隔に配置される検出タイミング補正用パターン110が形成される。この例では、位置ずれ補正用パターン画像とは、検出タイミング補正用パターン110とラダーパターン200とを含むが、検出タイミング補正用パターン110が形成されない形態であってもよい。
センサ17または18により、ラダーパターン200が検出される直前に、検出タイミング補正用パターン110が検出されることで、制御部30は、パターンの作像(露光)開始からセンサ17,18による検出位置に到達するまでの時間を算出する。そして、理論値と実際に算出された時間との誤差を算出し、その誤差を無くすようにLEDA制御部39を制御する。これにより、適切なタイミングでラダーパターン200を検出することができる。また、制御部30は、検出タイミング補正用パターン110の検出結果から、紙の先端と各色の画像書き出し位置を補正することもできる。画像書出し位置のずれ量は感光体ドラム9へのLEDA/レーザ光の入射角度の公差によるずれ量や、中間転写ベルト5の搬送速度の変化によるずれ量によって発生し、このずれは検出タイミング補正用パターン110の検出結果に現れるため、検出タイミング補正用パターン110を検出することで、画像書出し位置の補正(露光のタイミングを示す露光タイミングの補正)をすることができる。
なお、検出タイミング補正用パターン110は、第1ステーションのパターン(Y)を使用することで、センサによる検出位置までの搬送距離が長くなり、ベルト等の誤差の影響が大きくなり、補正効果が大きくなる。また、検出タイミング補正用パターン110にKの色を使用すると検出誤差が低減し、補正精度が向上する。また、検出タイミング補正用パターン110は、主走査方向と平行に延びるC、M、Y、Kの各色の線が、副走査方向に沿って等間隔で配置される横線パターンの1組のセットであってもよい。さらに、検出タイミング補正用パターン110は、1組のラダーパターン200における横線パターン200Aであってもよいし、1組のラダーパターン200であってもよい。
ここで、本実施形態に適用可能な位置ずれ補正の一例を説明する。この例では、制御部30は、上述のラダーパターン200の横線パターン200Aを構成するトナーマーク同士の間隔と、横線パターン200Aの各トナーマークと、斜め線パターン200Bの各トナーマークとを計測することで、位置ずれ補正に用いる位置ずれ量を算出する。
この例では、制御部30は、横線パターン200Aおよび斜め線パターン200Bを構成する各トナーマークの、検出部40による検出結果を一定のサンプリング周期でサンプリングし、横線パターン200Aおよび斜め線パターン200Bの各トナーマークが検出された時間間隔を計測することで、横線パターン200Aおよび斜め線パターン200Bを構成する各トナーマーク間の距離を取得できる。また、横線パターン200Aおよび斜め線パターン200Bのうち同じ色のトナーマーク間の距離を計測し、各色の距離を比較することで、位置ずれ量を算出することが可能となる。
図6を用いて、位置ずれ量の算出についてより具体的に説明する。副走査方向の位置ずれ量を算出するには、横線パターン200Aを使用し、基準色である色Kと他の色Y、MおよびCとのパターン間隔(y1,m1,c1)をそれぞれ計測する。そして、計測結果と、基準色に対する各色それぞれの理想距離とを比較することで、副走査方向の位置ずれ量を算出することができる。理想距離の値は、例えば出荷時の調整において計測した値を図示されない不揮発の記憶装置などに予め記憶させておくことが考えられる。
主走査方向の位置ずれ量を算出するには、各色について、横線パターン200Aの各トナーマークと斜め線パターン200Bの各トナーマークとの間隔(y2,k2,m2,c2)をそれぞれ計測する。斜め線パターン200Bの各トナーマークは、主走査方向に対して45°の角度を持っているため、計測された間隔の、基準色(色K)と他の色Y、MおよびCとの差分が各色Y、MおよびCそれぞれの主走査方向の位置ずれ量となる。例えば、色Yの主走査方向における位置ずれ量は、k2−y2で求められる。以上のように、ラダーパターン200を用いて各色の副走査方向および主走査方向の位置ずれ量を取得することができる。
このような位置ずれ量の算出処理は、例えば、少なくとも1つのラダーパターン200を用いて実行することが可能である。また、例えば複数のラダーパターン200を用いて、各色の位置ずれ量の算出を行うことで、位置ずれ補正処理をより精度よく行うことができる。例えば、複数のラダーパターン200を用いて算出された位置ずれ量に対して、平均値処理などの統計的処理を施して、各色の位置ずれ量を算出することが考えられる。制御部30は、上述のようにして算出した位置ずれ量を用いて、画像書出し位置の補正を行うことができる。
図7は、モノクロ(白黒)用の位置ずれ補正用パターン画像の例を示す図である。本実施形態では、制御部30の制御の下、画像形成部6は、所定速度で駆動される中間転写ベルト5に対して、モノクロ用の位置ずれ補正用パターン画像を形成する。より具体的には、画像形成部6は、所定速度で駆動される中間転写ベルト5に対して、図7に例示されるような、主走査方向と平行に延びる2本のK色(黒色)の線を、モノクロ用の位置ずれ補正用パターン画像として形成する。制御部30は、図7に例示されたK色からなるパターンを検出することで、パターンの作像(露光)開始からセンサ17,18による検出位置に到達するまでの時間を算出する。そして、理論値と実際に算出された時間との誤差を算出し、その誤差を無くすようにLEDA制御部39を制御する。また、制御部30は、パターンの検出結果から、紙の先端と各色の画像書き出し位置を補正することもできる。画像書出し位置のずれ量は感光体ドラム9へのLEDA/レーザ光の入射角度の公差によるずれ量や、中間転写ベルト5の搬送速度の変化によるずれ量によって発生し、このずれはパターンの検出結果に現れるため、パターンを検出することで、画像書出し位置の補正を行うことができる。
次に、図8を参照しながら、中間転写ベルト5上に形成されたカラー用の位置ずれ補正用パターン画像を検出するタイミングについて説明する。まず、位置ずれ補正用パターン画像の作像開始(ゲート信号アサート)と同時にパターン検出カウンタがリセットされる。次に、制御部30は、最初の割込み信号を発生させるべきタイミングT0(検出タイミング補正用パターン110を構成する1本目のY色の横線パターンが検出される位置よりも数mm手前の位置に対応)を設定し、タイミングT0に到達したときに割込み信号を生成し、同時にカウンタを再度リセットする。さらに、制御部30は、次の割込み信号を発生させるタイミングT1を設定する。
タイミングT1に到達するまでに、検出タイミング補正用パターン110の1本目のY色の横線パターンがセンサ17または18で検出されるので、センサ17または18からの出力信号がスレッシュ値を超える。このときのカウンタ値が、不図示のタイミング格納レジスタに保存される。タイミングT1に到達すると割込み信号を発生させるので、制御部30は、タイミング格納レジスタをリードし、検出タイミング補正用パターン110の1本目のY色の横線パターンの検出タイミング情報を取得する。次に、制御部30は、次の割込み信号を発生させるタイミングT2を設定する。制御部30は、これを2回繰り返す。
検出タイミング補正用パターン110の2本目のY色の横線パターンの検出が終了した後、1本目のY色の横線パターンの検出タイミング情報と、2本目のY色の横線パターンの検出タイミング情報とから、制御部30は、理想的な検出タイミングと実際の検出タイミングとの誤差を求め、この誤差に基づいて、次の割込み信号を発生させるタイミングTXを演算し、設定する。これにより、ラダーパターン200の横線パターン200Aまたは斜め線パターン200Bを検出するときには、丁度良いタイミングで割込み信号を発生することが可能になる。
タイミングTXに到達すると、制御部30は、次の割込み信号を生成する。以降は、制御部30は、ラダーパターン200の横線パターン200Aの検出結果を取得する(記憶部35にロードする)期間を規定するための割込みタイミングT3と、斜め線パターン200Bの検出結果を取得する期間を規定するための割込みタイミングT4とを繰り返し設定し、パターン検出情報を取得していく。T0やT1といった割込み間隔やパターン(トナーマーク)の幅、パターンを生成する画像形成速度といったものは、画像形成装置100としての印刷速度や中間転写ベルト5の搬送速度、サンプリング周期などから総合的に決定される。
なお、モノクロ用の位置ずれ補正用パターンの検出は、2本のK色のパターンの検出のみを行い、2本のK色のパターンに対して、T0→T1→T2→T1までのフローを実施する。
次に、図9を参照しながら、画像形成装置100の各回転速度について説明する。印刷が行われる場合、トナー画像は、図9の矢印が示す経路300を通過する。ここでは、最下流の画像形成部6Kについてのみ記載している。感光体ドラム9に露光するタイミングを制御する画像形成速度は、LEDAヘッド11の発光タイミングによって決まる。以下の説明では、画像形成速度を、LEDA発光周期、あるいは、書き込み速度と呼ぶ場合もある。また、各感光体ドラム9と中間転写ベルト5の回転速度により、中間転写ベルト5上に画像が転写されるタイミング(作像線速)が決まる。また、ここでは、2次転写ローラ21へ向けて用紙4が搬送される速度(画像が転写されていない用紙4を搬送する速度)を、用紙搬送速度と呼ぶ。
そして、各モジュールの回転速度に応じて、最終的に用紙4上に現れる画像の副走査方向の転写位置、倍率が決まり、また横縞(バンディング)、濃度ムラ、倍率ずれといった異常画像が発生する。また、用紙4の厚さが通常に比べて厚い場合には、定着時間を増やして定着熱量を確保する必要があるので、回転速度を落として印刷動作を行う。
本実施形態では、用紙4の種類に応じて、用紙4を送り出す速度(この例では、トナー画像が転写された用紙4を定着器9へ向けて送り出す速度)を示す紙速度が可変に設定され、各モジュールの回転速度は、設定された紙速度に応じて可変に設定される。ここで、例えば理想的な感光体ドラム回転速度と理想的な中転転写ベルト回転速度の関係に対して、実際の感光体ドラム9の径や実際の中転転写ベルト5の厚さや実際のレジストローラーの径などのばらつき要因により、感光体ドラム回転速度と中転転写ベルト回転速度との間に速度差が生じてしまうと、理想的な関係が崩れてしまう。これにより、中転転写ベルト5上への転写タイミングがずれてしまい、階調を表現しているような画像部分では副走査方向に規則的な横縞(バンディング)が発生してしまう。
ここで、図10を用いて、上述のバンディングを抑制する方法について説明する。図10の例では、用紙4の種類に応じて、紙速度(各回転体の回転速度の理想値)は、「等速」に対応する200mm/s、「中速」に対応する100mm/s、「低速」に対応する50mm/sのうちの何れかに設定されることが想定されている。したがって、「等速」での各モジュールの理想回転速度(線速)は200mm/s、「中速」での各モジュールの理想回転速度は100mm/s、「低速」での各モジュールの理想回転速度は50mm/sとなる。
例えば感光体ドラム9の径の経時的変化などの要因により、中間転写ベルト回転速度に対して感光体ドラム回転速度が+10%になる場合には、感光体ドラム回転速度を、感光体ドラム回転速度の理想値の90%に設定する。つまり、中間転写ベルト回転速度と感光体ドラム回転速度との比率を調整することにより、中転転写ベルト5上(さらに用紙4上)の副走査方向に発生する規則的なバンディングを抑制できる。
図10の例では、等速、中速および低速の各々において、バンディングを抑制するために、書き込み速度(LEDA発光周期)の線速は理想値の110%、感光体ドラム回転速度の線速は理想値の90%、中間転写ベルト回転速度の線速は理想値と同じ値(100%)、用紙搬送速度の線速は理想値の110%に設定されることを示す。より具体的には、紙速度が「等速」に設定される場合(紙速度の目標値が200mm/sに設定される場合)、書き込み速度の線速は220mm/s(理想値の110%)に設定され、感光体ドラム回転速度の線速は180mm/s(理想値の90%)に設定され、中間転写ベルト回転速度の線速は200mm/s(理想値と同じ=100%)に設定され、用紙搬送速度の線速は220mm/s(理想値の110%)に設定される。
また、「中速」に設定される場合(紙速度の目標値が100mm/sに設定される場合)、書き込み速度の線速は110mm/s(理想値の110%)に設定され、感光体ドラム回転速度の線速は90mm/s(理想値の90%)に設定され、中間転写ベルト回転速度の線速は100mm/s(理想値と同じ=100%)に設定され、用紙搬送速度の線速は110mm/s(理想値の110%)に設定される。さらに、「低速」に設定される場合(紙速度の目標値が50mm/sに設定される場合)、書き込み速度の線速は55mm/s(理想値の110%)に設定され、感光体ドラム回転速度の線速は45mm/s(理想値の90%)に設定され、中間転写ベルト回転速度の線速は50mm/s(理想値と同じ=100%)に設定され、用紙搬送速度の線速は55mm/s(理想値の110%)に設定される。
なお、用紙搬送速度が中間転写ベルト回転速度と異なることで、副走査倍率ずれが発生する。しかし、LEDA書き込み速度(LEDA発光周期)は、制御ASIC(LEDA制御部39)のクロック単位で容易に調整することができるため、用紙搬送速度と書き込み速度を一致させることで、副走査倍率を容易に調整することができる。
以上のように、バンディング抑制のために、感光体ドラム回転速度の線速が理想値の90%に設定される場合、図11に示すように、露光点(感光体ドラム9のうち、LEDAヘッド11からの光が照射される位置)から1次転写位置までの距離にわたって露光が行われる時間を示す露光時間が、理想の露光時間(感光体ドラム回転速度が理想値の場合の露光時間)とは異なる値を示す(線速差による露光時間差)。
図11の例では、露光点から1次転写位置までの距離を50mmとする。図11の例では、紙速度が「等速」に設定される場合、理想の露光時間は0.250sec、感光体ドラム回転速度の線速が理想値の90%に設定された場合の設定露光時間(感光体ドラム回転速度が、バンディング抑制のための調整値(設定値)に設定された場合の露光時間)は0.278sec、露光時間差は0.028secとなり、露光位置ずれ量は5000μmとなることを示す。また、「中速」に設定される場合、理想の露光時間は0.500sec、設定露光時間は0.556sec、露光時間差は0.056sec、露光位置ずれ量は5000μmとなることを示す。さらに、「低速」に設定される場合、理想の露光時間は1.000sec、設定露光時間は1.111sec、露光時間差は0.111sec、露光位置ずれ量は5000μmとなることを示す。この例では、上述の位置ずれ補正用パターン画像に基づく位置ずれ補正が副走査方向1ライン(1200dpi:21μm)の補正精度の場合、露光位置ずれ量に対して位置ずれ補正量は約236ラインとなる。
この例では、各紙速度において設定される感光体ドラム回転速度の比率(理想値に対する比率)は、何れも同じ値(90%)を示すので、上記露光時間差に伴う露光位置ずれ量(露光時間差と、バンディング抑制のために設定された感光体ドラム回転速度の線速値との乗算結果で近似される)は、同じ値を示すことになる。上記露光時間差に伴う露光位置ずれ量は、上述の位置ずれ補正用パターン画像に基づく位置ずれ補正の実行時に、他の位置ずれ要因と合わせて検出され、その検出結果に応じた位置ずれ補正量が算出され、位置ずれ補正が実行される。以下の説明では、上述の位置ずれ補正用パターン画像に基づく位置ずれ補正(位置ずれ補正用パターン画像の検出を行って位置ずれ補正量を算出し、その算出した位置ずれ補正量に応じた画像書出し位置の補正)を、デフォルトの位置ずれ補正と呼ぶ場合がある。位置ずれ補正が副走査方向1ライン(1200dpi:21μm)の補正精度の場合、上記露光位置ずれ量(5000μm)に対する位置ずれ補正量は約236ラインとなる。この例では、紙速度が変更されても、露光位置ずれ量は変わらないので、一度、デフォルトの位置ずれ補正が実行されれば、紙速度が変更されても、デフォルトの位置ずれ補正時の補正量をそのまま用いて、画像書出し位置の補正を行えばよい。
一方、各紙速度において、バンディング抑制のために設定された感光体ドラム回転速度の比率(理想値に対する比率)が相違する場合は、各紙速度における露光位置ずれ量も異なる。したがって、それぞれの紙速度において、位置ずれ補正用パターン画像の検出を行って位置ずれ補正量を算出し、その算出した位置ずれ補正量に応じた補正を行うという方法が考えられるが、この方法ではユーザーダウンタイムが大幅に増加してしまうという問題がある。
そこで、本実施形態では、基準となる紙速度を示す第1紙速度でデフォルトの位置ずれ補正(第1位置ずれ補正)を行い、第1紙速度以外の紙速度を示す第2紙速度に設定された場合、第2紙速度に対応する露光位置ずれ量と、第1紙速度に対応する露光位置ずれ量との差分を示すオフセット値を、デフォルトの位置ずれ補正時の補正量を示す第1補正量に加えた第2補正量を算出し、第2補正量に従って位置ずれ補正(第2位置ずれ補正)を行う。これにより、紙速度が変更されるたびに、位置ずれ補正用パターン画像の検出を行って位置ずれ補正量を算出し、その算出した位置ずれ補正量に応じた補正を行う必要が無いので(位置ずれ補正用パターン画像の検出結果に基づく位置ずれ補正を行う必要が無いので)、ユーザーダウンタイムを抑制するとともに画像品質の劣化を抑制できるという有利な効果を奏する。以下、具体的な内容を説明する。
図12は、上述の制御部30が有する機能の一例を示す図である。図12に示すように、制御部30は、紙速度設定部101と、書き込み速度制御部102と、感光体ドラム回転速度制御部103と、中間転写ベルト回転速度制御部104と、用紙搬送速度制御部105と、特定部106と、第1補正部107と、第2補正部108と、を備える。
紙速度設定部101は、印刷に使用される用紙4の種類に応じて、用紙4を搬送する速度を示す紙速度(目標値)を可変に設定する。そして、紙速度設定部101により設定された紙速度に応じて、各回転体の回転速度が可変に設定される。この例では、紙速度設定部101により設定され得る紙速度ごとに、書き込み速度、感光体ドラム回転速度、中間転写ベルト回転速度、および、用紙搬送速度の各々の、バンディングを抑制するために予め調整された値が記憶されている調整テーブルが不図示のメモリに格納されている。
図13は、本実施形態における調整テーブルを示す図である。なお、調整テーブルは、図13の構成に限られるものではない。図13の例では、紙速度設定部101により紙速度が200mm/sに設定された場合(「等速」に設定された場合)、書き込み速度は210mm/s(理想値の105%)に設定され、感光体ドラム回転速度は190mm/s(理想値の95%)に設定され、中間転写ベルト回転速度は200mm/s(理想値の100%)に設定され、用紙搬送速度は210mm/s(理想値の105%)に設定されることが示されている。
また、図13の例では、紙速度設定部101により紙速度が100mm/sに設定された場合(「中速」に設定された場合)、書き込み速度は105mm/s(理想値の105%)に設定され、感光体ドラム回転速度は90mm/s(理想値の90%)に設定され、中間転写ベルト回転速度は100mm/s(理想値の100%)に設定され、用紙搬送速度は105mm/s(理想値の105%)に設定されることが示されている。
さらに、図13の例では、紙速度設定部101により紙速度が50mm/sに設定された場合(「低速」に設定された場合)、書き込み速度は52.5mm/s(理想値の105%)に設定され、感光体ドラム回転速度は46mm/s(理想値の92%)に設定され、中間転写ベルト回転速度は50mm/s(理想値の100%)に設定され、用紙搬送速度は52.5mm/s(理想値の105%)に設定されることが示されている。
再び図12に戻って説明を続ける。書き込み速度制御部102は、紙速度設定部101により設定された紙速度に応じて、LEDAヘッド11の発光周期を示す書き込み速度(画像形成速度)を可変に制御する。より具体的には、書き込み速度制御部102は、上述の調整テーブルにアクセスして、紙速度設定部101により設定された紙速度に対応する書き込み速度の値(調整値)を読み出し、その読み出した値に従って、書き込み速度を制御する(書き込み速度を、読み出した値に設定する)。
感光体ドラム回転速度制御部103は、紙速度設定部101により設定された紙速度に応じて、感光体ドラム回転速度を可変に制御する。この例では、感光体ドラム回転速度制御部103は、請求項の「感光体速度制御部」に対応している。より具体的には、感光体ドラム回転速度制御部103は、上述の調整テーブルにアクセスして、紙速度設定部101により設定された紙速度に対応する感光体ドラム回転速度の値(調整値)を読み出し、その読み出した値に従って、感光体ドラム回転速度を制御する(感光体ドラム回転速度を、読み出した値に設定する)。
中間転写ベルト回転速度制御部104は、紙速度設定部101により設定された紙速度に応じて、中間転写ベルト回転速度を可変に制御する。より具体的には、中間転写ベルト回転速度制御部104は、上述の調整テーブルにアクセスして、紙速度設定部101により設定された紙速度に対応する中間転写ベルト回転速度の値(調整値)を読み出し、その読み出した値に従って、中間転写ベルト回転速度を制御する(中間転写ベルト回転速度を、読み出した値に設定する)。
用紙搬送速度制御部105は、紙速度設定部101により設定された紙速度に応じて、用紙搬送速度を可変に制御する。より具体的には、用紙搬送速度制御部105は、上述の調整テーブルにアクセスして、紙速度設定部101により設定された紙速度に対応する用紙搬送速度の値(調整値)を読み出し、その読み出した値に従って、用紙搬送速度を制御する(用紙搬送速度を、読み出した値に設定する)。
特定部106は、紙速度設定部101によって、基準となる紙速度を示す第1紙速度以外の紙速度を示す第2紙速度に設定された場合、感光体ドラム9の理想的な回転速度と、感光体ドラム回転速度制御部103により設定される感光体回転速度との速度差に応じて決まる、第2紙速度に対応する露光位置ずれ量と、第1紙速度に対応する露光位置ずれ量との差分を示すオフセット値を特定する。紙速度設定部101により設定される紙速度(「等速」、「中速」、「低速」)に応じて、感光体ドラム回転速度が図13のように設定される場合、各紙速度における理想の露光時間、設定露光時間、露光時間差、および、露光位置ずれ量の各々は、図14のように求められる。この例では、「等速」に対応する露光位置ずれ量は2500μm、「中速」に対応する露光位置ずれ量は5000μm、「低速」に対応する露光位置ずれ量は4000μmとなる。
本実施形態では、前述の「等速」が基準となる(第1紙速度となる)場合を例に挙げて説明するが、これに限られるものではない。例えば、第2紙速度である「中速」に対応する露光位置ずれ量(5000μm)と、第1紙速度である「等速」に対応する露光位置ずれ量(2500μm)との差分を示すオフセット値は、2500μm(=5000−2500)と算出される。オフセット値は、第1紙速度に対応する露光位置ずれ量を基準とするため、第2紙速度に対応する露光位置ずれ量が、第1紙速度に対応する露光位置ずれ量よりも大きい場合は、オフセット値は正の値となる一方、第1紙速度に対応する露光位置ずれ量よりも小さい場合は、オフセット値は負の値となる。
同様に、第2紙速度である「低速」に対応する露光位置ずれ量(4000μm)と、第1紙速度である「等速」に対応する露光位置ずれ量(2500μm)との差分を示すオフセット値は、1500μm(=4000−2500)と算出される。本実施形態では、図15に示すように、紙速度ごとに、露光位置ずれ量と、オフセット値(当該紙速度に対応する露光位置ずれ量と、基準となる第1紙速度に対応する露光位置ずれ量との差分)とが対応付けられて不図示のメモリに格納されている。
特定部106は、紙速度設定部101により紙速度が設定(変更)された場合、不図示のメモリにアクセスして、設定された紙速度に対応するオフセット値を読み出すことで、設定された紙速度に対応するオフセット値を特定するが、これに限られるものではない。例えば不図示のメモリには、各紙速度に対応する露光位置ずれ量は記憶されずに、各紙速度に対応するオフセット値のみが記憶される形態であってもよい。また、例えば不図示のメモリには、紙速度ごとに、露光位置ずれ量のみが対応付けられて記憶される形態であってもよい。この場合、特定部106は、紙速度設定部101により紙速度が設定された場合、設定された紙速度に対応する露光位置ずれ量と、基準となる紙速度に対応する露光位置ずれ量とを読み出し、読み出した2つの露光位置ずれ量の差分を算出することで、オフセット値を特定することもできる。また、特定部106は、前述の調整テーブルに基づいて、紙速度設定部101により設定された紙速度に対応するオフセット値を計算することもできる。
要するに、特定部106は、紙速度設定部101により第2紙速度に設定された場合、感光体ドラム9の理想的な回転速度と、感光体ドラム回転速度制御部103により設定される感光体回転速度との速度差に応じて決まる露光位置ずれ量(第2紙速度に対応する露光位置ずれ量)と、基準となる第1紙速度に対応する露光位置ずれ量との差分を示すオフセット値を特定する機能を有するものであればよい。
再び図12に戻って説明を続ける。第1補正部107は、基準となる紙線速を示す第1紙線速で印刷を行う場合、検出部40による位置ずれ補正用パターン画像の検出結果に応じて、第1位置ずれ補正(デフォルトの位置ずれ補正)を行う。
第2補正部108は、第1紙速度以外の紙速度を示す第2紙速度に設定された場合、特定部106により特定されたオフセット値を、前述の第1位置ずれ補正の実行時の補正量を示す第1補正量に加えた第2補正量を算出し、第2補正量に従って第2位置ずれ補正(画像書出し位置の補正)を行う。デフォルトの位置ずれ補正が副走査方向1ライン(1200dpi:21μm)の補正精度の場合、等速(基準)の場合には、デフォルトの位置ずれ補正量に加算するオフセット値は0ライン、中速の場合には、デフォルトの位置ずれ補正量に加算するオフセット値は約118ライン、低速の場合には、デフォルトの位置ずれ補正量に加算するオフセット値は約71ラインとなる。デフォルトの位置ずれ補正量(第1補正量)に上記オフセット値を加算した補正量(第2補正量)に従って位置ずれ補正を行うことで、バンディングと色ずれが解消された画像を得ることができる。
次に、図16を参照しながら、具体的な副走査方向1ライン以下の補正方法について説明する。図16中に記載されたデータ読出しライン周期に合わせて画像データの読出しを開始し、露光タイミングもそれに応じて決まる。このデータ読出しライン周期を1周期分変化させることで、副走査方向1ラインのタイミング補正が可能である。さらに、このデータ読出しライン周期を1周期内で周期を微調整することで、副走査方向1ライン以下のタイミング補正が可能である。前述のオフセット値に対して、副走査方向1ライン単位の補正と、副走査方向1ライン以下の補正とを合わせることで、さらに高精度な補正が実現できる。
以上に説明したように、本実施形態では、基準となる紙速度を示す第1紙速度でデフォルトの位置ずれ補正を行い、第1紙速度以外の紙速度を示す第2紙速度に設定された場合、第2紙速度に対応する露光位置ずれ量と、第1紙速度に対応する露光位置ずれ量との差分を示すオフセット値を、デフォルトの位置ずれ補正時の補正量を示す第1補正量に加えた第2補正量を算出し、第2補正量に従って位置ずれ補正を行う。これにより、紙速度が変更されるたびに、位置ずれ補正用パターン画像の検出を行って位置ずれ補正量を算出し、その算出した位置ずれ補正量に応じた補正を行う必要が無いので(位置ずれ補正用パターン画像の検出結果に基づく位置ずれ補正を行う必要が無いので)、ユーザーダウンタイムを抑制するとともに画像品質の劣化を抑制できるという有利な効果を奏する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
(変形例)
以下、変形例を記載する。なお、以下の変形例同士は、任意に組み合わせることもできる。また、以下の変形例と上述の実施形態とを任意に組み合わせてもよい。
(1)変形例1
図17は、変形例に係る制御部300が有する機能の一例を示すブロック図である。上述の実施形態と共通する部分については適宜に説明を省略する。図17に示すように、制御部300は、記憶部301と、温度検出部302と、第1決定部303とをさらに備える。記憶部301は、紙速度と、周囲環境の状態を識別する環境情報との組み合わせごとに、オフセット値を記憶する。図18は、記憶部301が記憶するデータの一例を示す図である。図18の例では、「NN環境」とは、環境温度が、通常範囲内の環境状態であることを識別する環境情報である。「HH環境」とは、環境温度が、通常範囲の上限値以上の第1閾値よりも高い環境状態であることを識別する環境情報である。「LL環境」とは、環境温度が、通常範囲の下限値以下の第2閾値よりも低い環境状態であることを識別する環境情報である。なお、環境情報の種類や数は、図18の例に限られるものではない。
図17に戻って説明を続ける。温度検出部302は、環境温度を検出する機能を有する。温度検出部302は、画像形成装置100に取り付けられた温度センサまたは外部の温度センサによる計測結果に基づいて、環境温度を検出する処理を行う。また、第1決定部303は、温度検出部302により検出された環境温度に基づいて、現在の環境情報を決定する機能を有する。この例では、第1決定部303は、温度検出部302により検出された温度が通常範囲内である場合は、前述の「NN環境」を、現在の環境情報として決定する。また、第1決定部303は、温度検出部302により検出された温度が第1閾値よりも大きい場合は、前述の「HH環境」を、現在の環境情報として決定する。さらに、第1決定部303は、温度検出部302により検出された温度が第2閾値よりも小さい場合は、前述の「LL環境」を、現在の環境情報として決定するという具合である。
そして、特定部106は、紙速度設定部101により第2紙線速に設定された場合、記憶部301に記憶された1以上のオフセット値のうち、第2紙線速と、第1決定部303により決定された環境情報との組み合わせに対応するオフセット値を特定する機能を有する。
ここで、周辺環境が大きく変化した場合、温度変化により中間転写ベルト5の伸び縮みが発生してしまい、中間転写ベルト回転速度が変化する、あるいは、トルク変動により感光体ドラム回転速度が変化してしまう。それに伴って理想位置からの露光位置ずれ量も変化してしまい、そこから算出されるオフセット値も変化することになる。そこで、本変形例では、紙速度と環境情報との組み合わせごとにオフセット値を固定値として予め算出しておき、周辺環境に応じてオフセット値を選択し、選択したオフセット値を用いて前述の位置ずれ補正を実行するので、周辺環境に応じた露光位置ずれ量の変動を考慮した位置ずれ補正を行うことが可能になる。
(2)変形例2
例えばユーザの選択入力に応じて、複数の紙速度(紙速度設定部101により設定され得る複数の紙速度)のうちの何れかが第1紙速度として決定されてもよい。この形態では、前述の制御部(30または300)は、ユーザの選択入力に応じて、紙速度設定部101により設定され得る複数の紙速度の中から、第1紙速度を決定する第2決定部をさらに備える。
(3)変形例3
例えばLEDAヘッド11の代わりに有機ELヘッドを用いる形態であってもよいし、LDアレイを用いる形態であってもよい。要するに、請求項の「露光部」は、LEDAヘッドを含む形態であってもよいし、有機ELヘッドを含む形態であってもよいし、LDアレイを含む形態であってもよい。要するに、請求項の「露光部」は、画像データに応じた露光を行い、当該画像データに基づく潜像を感光体上に形成させる機能を実現可能な形態であればよい。
なお、上述の実施形態の画像形成装置100で実行されるプログラム(制御部30、300のCPUが実行するプログラム)は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、上述の実施形態の画像形成装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態の画像形成装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。