以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本実施例における電子写真プロセスを利用した画像形成装置であるカラー画像形成装置の一実施例の全体構成を示す概略断面図である。
本実施例の画像形成装置100は、複数の、本実施例ではイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4つの画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)を有している。各ステーションPに対して、第一の像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という。)1(1a〜1d)に対向して、それぞれ、現像剤(トナー)を収容した現像手段4(4a〜4d)が配置されている。また、感光ドラム1の周りには、感光ドラム1a〜1d上の残留トナー残留トナーを除去するクリーニング部材としてクリーニングブレードを備えたクリーニング手段9(9a〜9d)が設けられている。
感光ドラム1、現像手段4、クリーニング手段9は、一体に構成されてカートリッジ20(20a〜20d)(以下、「プロセスカートリッジ」という。)を構成している。本実施例にて、各カートリッジ20は、水平方向に配置する構成となっている。これらプロセスカートリッジ20a〜20dは、画像形成装置本体100Aに対して着脱可能な構成となっている。そして、プロセスカートリッジ20a〜20dで形成したそれぞれ色の異なる現像像、即ち、トナー像を、第二の像担持体としての中間転写体である中間転写ベルト6に順次に重ねて転写する。その後、トナー像を記録媒体としての転写材Sに一括転写することでフルカラー画像を得る構成となっている。転写材Sは、給紙ユニット11から給紙され、排紙トレイ(不図示)に排出される。
上記構成の本実施例の画像形成装置における画像形成動作について説明する。上述したように、画像形成装置100にて感光ドラム1a〜1dは、繰り返し使用される回転ドラム型の電子写真感光体であり、予め決められた周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。感光ドラム1a〜1dは、1次帯電ローラ(帯電手段)2(2a〜2d)より予め決められた極性・電位(本実施例ではマイナス)に一様に帯電処理されている。そして、帯電処理された感光ドラム表面に対して画像情報に基づいて露光手段3(3a〜3d)(レーザダイオード、ポリゴンスキャナ、レンズ群、などによって構成される)による露光を受ける。これにより、感光ドラム1にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した静電潜像が形成される。
次いで、現像手段4により、感光ドラム1に形成された静電潜像へ現像剤(即ち、トナー)を付着させる、所謂、現像が行われる。現像手段4a〜4dは、トナーを収容するトナー容器40a〜40dと、トナーを担持し搬送する現像剤担持体としての現像ローラ41a〜41d、及び現像ローラ上のトナー量を規制する現像ブレード42a〜42dを備えている。
現像ローラ41a〜41dは、抵抗調整された弾性ゴムで構成されている。現像ローラ41a〜41dは感光ドラム1a〜1dに対して順方向に回転しながら、感光ドラム1a〜1dに対して対向配設されている。現像ローラ41a〜41dに予め決められた極性の高圧(本実施例ではマイナス)を印加し、現像ブレード42を所定の圧で現像ローラ41a〜41dに押圧する。これにより、各現像手段内で同一極性に摩擦帯電された状態で現像ローラ41a〜41d上に担持されているトナー(本実施例ではマイナス極性を持つ)が、感光ドラム1a〜1d上の静電潜像に転移することで現像が行われる。
1次転写部T1(T1a〜T1d)には、中間転写ベルト6を挟んで、感光ドラム1a〜1dと対向して1次転写ローラ(1次転写手段)5a〜5dが配置される。1次転写ローラ5a〜5dには高圧の転写電圧(本実施例ではプラス)が印加され、感光ドラム1a〜1d上に現像された各色のトナー像が中間転写ベルト6に一次転写される。一次転写ローラ5A〜5Dは芯金に体積抵抗率が104〜107Ω・cmに抵抗調整された発泡ゴムを被覆させた発泡ゴムローラである。
中間転写ベルト6は、中間転写ベルト6に対して配列された各感光ドラム1a〜1dと接触しながら、予め設定された周速度(プロセススピード)をもって駆動ローラ61の作用で回転駆動されている。また、中間転写ベルト6は、106〜1012Ω・cmの体積固有抵抗率を持たせた厚さ50〜150μm程度の無端のフィルム状部材で構成されている。
なお、感光ドラム1a〜1dから中間転写ベルト6にトナー像の転写が行われた後の感光ドラム1a〜1d上に残留する一次転写残トナーは、クリーニング手段9a〜9dに回収される。
給紙ユニット11から給紙ローラ12によって給紙された転写材Sは、予め決められたタイミングにて駆動回転するレジストローラ対13によって、二次転写ローラ7と二次転写対向ローラ62とで形成される2次転写ニップ部T2へ搬送される。そして、2次転写ローラ7に印加した高圧による電界(本実施例ではプラス)の作用で、中間転写ベルト6上のトナー像が転写材Sに転写される。2次転写ローラ7は、芯金に106〜1010Ω・cmに抵抗調整された発泡ゴムを被覆させた発泡ゴムローラである。そして、転写材Sは、フルカラートナー像が定着器8による加熱及び加圧によって、トナーが転写材Sに定着され、機外(画像形成装置本体外部)に排出される。中間転写ベルト6から転写材Sにトナー像の転写が行われた後の中間転写ベルト6上に残留する2次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング手段10としてのクリーニングブレードによって除去回収される。
[現像手段寿命検知]
本実施例に用いる図1に示す画像形成装置は、各色のプロセスカートリッジ20の現像手段寿命を検知する検知手段50と、検知手段50からの情報を記憶する記憶手段51を有している。図2は、各現像手段4の寿命を検知する検知手段50及び記憶手段51の概略構成図である。本実施例にて、各色のプロセスカートリッジ20は同じ構成とされるために、各色を示す各構成部材の添え字a〜dは省略して総括して示す。
検知手段50は、現像手段4の駆動時間、又は、駆動時間に関する情報によって現像手段4の寿命を検知する現像手段駆動検出手段54と、現像剤の残量又は現像剤の消費状態に関する情報によって現像手段4の寿命を検知する現像剤残量検出手段55とを備えている。つまり、検知手段50は、
(1)現像手段の駆動時間、又は、駆動時間に関する情報によって現像手段の寿命を検知する。又は、
(2)現像剤の残量、又は、現像剤の消費状態に関する情報によって現像手段の寿命を検知する。又は、
(3)現像手段の駆動時間又は駆動時間に関する情報、及び、現像剤の残量又は現像剤の消費状態に関する情報によって現像手段の寿命を検知する。
本発明よると、検知手段50の検知結果に応じて、寿命検知された現像手段4に対応する感光ドラム1と中間転写ベルト6との相対速度が変更される。
記憶手段51は、EEPROMなどの不揮発の読み書き可能なものであり、各プロセスカートリッジ20に、本実施例では、現像手段4の現像容器40にそれぞれ設けられている。現像手段4を含むプロセスカートリッジ20が画像形成装置本体100Aに装着された箇所において、各々の記憶手段51は、コネクタによって電気的に画像形成装置本体100Aと接続され、画像形成装置本体100Aの制御部200と情報のやり取りが可能である。つまり、各記憶手段51の情報は、制御部200により、読み書きが可能な構成となっている。この記憶手段51としては、非接触の状態で、信号の送受信が可能な、電磁結合方式などの、読み出し、書き込み可能な非接触メモリを用いても良い。
本実施例においては、現像手段4の駆動時間又は駆動時間に関する情報として現像ローラ41の総回転時間を用い、現像手段駆動検出手段54からの現像ローラ41の総回転時間を不揮発メモリ51に記憶し、現像手段寿命を判断する。
また、装置本体100A、及びプロセスカートリッジ20には、現像手段4内のトナーの残量を検出し、現像手段の寿命を検知する他の検知手段を構成する現像剤残量検出手段55が配置されている。現像剤残量検出手段55は、現像剤残量検出装置55aからの情報にて現像剤残量を検知する。現像剤残量検出装置55aは、本実施例では、装置本体100Aに設置された、LEDの発光素子とその反射光をフォトセンサで受光する受光部を有する光学センサ53と、各プロセスカートリッジ20(即ち、現像容器40)に配置された透明な樹脂で形成された光学検知窓52からなる。光学センサ53のLED部から照射した光を光学検知窓52を介して光学検知窓52部に存在する現像手段内のトナーに照射し、光学検知窓52内部に形成された透過光の反射部にトナーを透過して反射した光を受光部53で受光することでトナーの残量を検知するものである。
この現像剤残量検出装置55aは、その他の方式、例えば、トナー残量を抵抗や容量から電気的に検出する方式等を採用しても良い。
上述したように、特許文献1に記載されているような画像形成枚数をカウントする構成の場合、正確にトナーの消費状態、劣化状態を把握しているとは言えない。トナーの消費状態、劣化状態は、印刷する画像パターン差(トナーの印字率の差)によって異なる。更には、プリントジョブの差(1枚から数枚のプリントを繰り返す場合と、数枚から数十枚の比較的ページ数が多いプリントを繰り返す場合による差、等)によって現像手段内部でのトナーの摺擦状態、撹拌状態が大きく異なり、トナーの劣化状態が大きく異なる。
ここで、トナーの摺擦状態、撹拌状態とトナーの劣化状態について詳しく述べる。
本実施例の現像手段4内には、トナーを搬送し、感光ドラム1へ現像する現像ローラ41が配置されている。この現像ローラ41上のトナー量を規制し、摺擦による摩擦帯電によって適切な帯電量に制御するための現像ブレード42が現像ローラ41に当接させた状態で配置されている。また、本実施例においては、さらに現像手段内に充填されているトナーを撹拌しつつ現像ローラ近傍部へ搬送供給する撹拌機構43(図2)が配置されている。
現像手段内においては、常にこの撹拌機構43による循環、現像ローラ41と現像ブレード42による摺擦を経ながらトナーが消費されていくことになる。
一般的には、トナーの母体粒子には凝集防止や、帯電制御のための添加材を外添している場合が多い。そのため、この外添粒子が、過度に撹拌、摺擦が繰り返されることによって、トナー母体粒子から欠落することでトナーの帯電性、帯電量の均一性が低下し、現像性、転写性が低下することが分かっている。このような状態をここでは「トナーが劣化している状態」と定義する。
[画像パターン差(トナーの印字率差)の影響]
例えば、テキスト画像等の、印字率の低い画像を大量に印刷する場合においては、写真画像のような印字率の高い画像を印刷する場合と比較して、現像ローラの回転時間に対して、トナーの消費速度が遅い。そのため、消費されずに現像ローラ近傍に滞留し続けるトナーは過度に摺擦され、摩擦熱の影響も受けることになるので、よりトナーの劣化が促進されることが分かっている。
異なる観点からみた場合、1枚当たりのトナーの消費量が減る(トナーの消費スピードが遅くなる)ことで、現像手段のプリント可能枚数が増加することになるため、結果として現像手段、現像ローラの回転数が増加することになる。このように、トナーの印字率が低い場合、現像ローラ近傍での滞留トナーの摺擦劣化に加え、同じカートリッジ寿命到達時(トナー残量が規定の値以下に達した場合)における、現像ローラの総回転時間の増大によりトナーの劣化状態が促進されることになる。
[プリントジョブ差の影響]
一般的には、画像形成を行う際には、停止状態/スタンバイ状態の装置を、PC等からプリント信号を受け付けた後に、装置を起動させ、装置が画像形成可能の状態にするための「前回転処理」を実行する。この「前回転処理」には、モータの立ち上げ、高圧の立ち上げ、画像形成に必要な種々の高圧を制御するための制御等が行われている。そして、「前回転処理」を終了し、画像形成準備が完了した時点で、先述している、露光、現像、転写、定着といった、所謂、「画像形成」を実行することになる。ジョブで指定された一連の画像形成を終了した後に、次の画像形成に備えるために、クリーニング処理、画像形成後の後処理の実施等を含めた後回転処理を実行し、後回転処理が終了した後に、装置を停止させ、一連のプリント処理が終了することになる。
印刷ジョブには、1枚毎のプリントを繰り返し実行する場合もあれば、数枚から数十枚のジョブを連続してプリントする場合もある。
どのような印刷ジョブ(画像形成時の連続プリント枚数)に対しても、この「前回転処理」、「後回転処理」は必ず実行される。そのため、1枚毎のような印字枚数の少ないジョブの繰り返しの場合と、印字枚数の多いジョブの繰り返しの場合では、印字枚数の少ないジョブを繰り返された場合の方が、前回転処理、後回転処理の分長く装置が回転されることになる。その結果としてトナーが消費されない状態での現像ローラの回転時間も増えることになるため、トナーの摺擦、攪拌時間の増加の観点からトナーの劣化に対して不利であると言える。
さらに、図1のカラー画像形成装置において、白黒のみの画像を出力する際には、イエロー、マゼンタ、シアンのプロセスカートリッジでの画像形成動作は停止させ、ブラックの画像形成装置のみを動作させる。従って、出力画像の色によっても各現像手段の消耗状態は異なる。
このように、現像ローラ41の回転時間、撹拌機構43による攪拌時間が増加するとトナーが現像手段内で、現像ローラ41や現像ブレード42、または現像手段内に配置されたトナー撹拌機構43等によって摺擦、撹拌が繰り返される。そのため、トナーの劣化は促進される。従って、現像ローラ41の回転時間、または、トナー撹拌機構43の攪拌時間によって現像手段4の寿命、即ちトナーの劣化状態を予測することが必要であると言える。
以上述べたように、印刷枚数での寿命検知では正確にトナーの劣化状態を判断できなかった。しかし、現像手段(現像ローラ41)の総回転時間、及びトナーの消費状態、残量を各色ごとに別々に把握することで、より正確にトナーの劣化状態を把握することが可能であると言える。
本実施例では、装置本体の耐久状況によらず、プロセスカートリッジ20a〜20dの各々の現像ローラ41a〜41dの総回転時間とトナーの残量の2つのパラメータに従って現像手段寿命を推定する。そして、これに対して、中間転写ベルト6の最適な周速を決定する方式を採用している。
具体的には、現像ローラ41の総回転時間を検出し、予め設定した閾値を超えた場合に感光ドラム1と中間転写ベルト6との周速差を変更する。または、トナーの残量を検出し、予め設定された閾値を超えた場合に周速差を変更する。または、現像ローラ41の総回転時間、及びトナーの残量の双方のうち、どちらか一方が予め設定した閾値に到達した場合に周速差を変更する構成をとっている。
[現像ローラの総回転時間に関して]
本実施例においては、現像ローラ41の総回転時間を検知し、随時メモリに格納して現像手段寿命情報として画像形成にフィードバックしている。寿命(閾値)に相当する総回転時間は、一般的な使用状態におけるプロセスカートリッジ20の印字可能枚数、設定寿命から算出している。
具体的には、例えば、プロセスカートリッジ20の公称寿命(印字可能枚数)が10000枚の場合、想定される一般的な使用モードとして、ここでは2枚印刷して一旦停止するといった耐久モード(以降、「間欠耐久モード」と定義する。)を設定する。この間欠耐久モードで10000枚を印刷する際に現像ローラ41が回転する総回転時間を現像ローラ41の寿命(閾値)Tと設定した。
表1は、本実施例の構成において、上記間欠耐久モードを実施した際の、現像ローラ総回転時間に対して周速差(周速比)を振った場合の画像レベルの評価結果を示したものである。ここでは、代表色としてシアンカートリッジの場合について説明する。
なお、ここでは実験条件としては、実際の使用状態よりもさらにトナーの劣化に対して過酷な条件となるように、30℃/80%の高温高湿環境下において、2枚の間欠耐久モードを実行した。また、画像パターンを、低印字率(トナーカバー率2%)での耐久とし、トナーの消費スピードをより抑えた、所謂、トナーの劣化促進モードでの評価を実施した。また、画像評価時には、1次転写部において転写性の振れの影響を受け易い2次色画像(即ち、2色重ね画像、)を印字した際の転写性の振れによるバンディングの発生状況で評価している。2次色画像の場合、特に後から重ね合わせる色の1次転写性が悪化する傾向がある。この転写性の振れによるバンディングについては後に詳述する。
この表においては、○:バンディングの発生なし、△:バンディングの発生が若干みられるものの通常の使用下では実害のないレベル、×:バンディングの発生がみられる、といった指標でランク分けをしている。
この表1から分かるように、現像ローラ41の総回転時間の増加に伴って転写性、バンディングの悪化傾向が見られるものの、同じ現像ローラの総回転時間で比較すると、周速差をつけるほどバンディングのレベルが改善されることが分かる。
本実施例においては、プロセスカートリッジの設定寿命到達時(総回転時間T到達)を現像手段寿命到達率100%とした場合の制御は次のようにした。つまり、寿命到達率100%を検出した以降、感光ドラム1と中間転写ベルト6との周速差の設定を、初期設定値に対して大きくする制御とした。転写性と周速差(周速比)の関係については後述する。
また、周速差(周速比)の設定は、中間転写ベルト6の周速に対する感光ドラム1の周速の比として表し、中間転写ベルト6と感光ドラム1の周速が等速の場合を周速差(周速比)100%と定義した。ここでは、中間転写ベルト6の周速を240mm/secに固定し、各々の色について感光ドラムの周速を初期設定値で242.4mm/sec周速差(周速比)101%、寿命到達後は247.2mm/sec周速差(周速比)103%となるように制御している。
本構成を採用することにより、寿命が100%到達時点までは、周速差(周速比)を101%と小さく設定することで転写性を維持しつつ、かつドラム傷等による画像弊害の発生を回避できた。また、寿命が100%到達を検知以降は、寿命到達前よりも周速差(周速比)を大きくすることで耐久後半の転写性の低下の改善、バンディングレベルの改善を図ることができた。そのため、結果として耐久を通して良好な画像形成を維持することが可能となった。
また、ここで設定したこの現像ローラの寿命到達時の総回転時間(閾値T)、周速差(周速比)に関しては、プロセスカートリッジの公称耐久枚数や、プロセススピード、耐久モード、画像評価結果から決定すればよい。装置構成、現像手段構成、プロセススピード、トナー等が変わる場合には、その都度適切な値を設定すればよい。
また、ここでは、現像ローラの寿命到達時の総回転時間(閾値T)を設定し、周速差(周速比)の設定を2段階有して切り替える構成で説明した。しかし、別の実施形態として、複数の閾値を設定して、同時に周速差(周速比)の設定を複数段階有し、各閾値に対して(現像ローラの寿命到達時の総回転時間(閾値T)多段階で周速差(周速比)を変更する構成としてもよい。このように現像ローラの寿命到達時の総回転時間(閾値T)に応じて、徐々に周速差を変更する制御とすることも可能であり、これによって、ドラム傷、転写性向上、バンディングレベルの改善に対してより最適な周速差となるように制御することが可能となる。
[トナー残量、消費状態に関して]
本実施例におけるトナー残量に関しては、プロセスカートリッジの初期のトナー残量を100%と定義し、トナー残量がゼロになった状態をトナー残量0%と定義している。
表2は、本実施例におけるトナーの残量に対して周速差を振った場合の画像レベルの評価結果を示したものである。ここでも、代表色としてシアンカートリッジの場合で説明する。
なお、ここでは実験条件としては、先に述べた実験モードと同様に、30℃/80%の高温高湿環境下における、低印字率(トナーカバー率2%)での2枚の間欠耐久モードを実施した。また、画像評価モードも同様に、転写性の振れの影響を受けやすい2次色画像を印字した際の転写性の振れによるバンディングの発生状況で評価している。画像ランクの基準も同様とする。
この表2から分かるようにトナーの残量が少なくなるとバンディングの悪化が見られるものの、同時に、同じトナー残量の場合に対して周速差を大きくするほど、バンディングのレベルが改善されることが分かる。
本実施例においては、トナー残量の閾値Lとしてトナー残量20%と設定し、初期から20%までは中間転写ベルトの周速に対する感光ドラムの周速の周速差(周速比)を初期設定の101%とした。そして、トナー残量の閾値L=20%を検出した時点で、周速差(周速比)を103%に設定変更する制御とした。これによりトナー残量が20%以下になるまでは、必要以上に周速差を大きく設定していないために、ドラム傷等による画像弊害は全く見られなかった。また、20%以下を検知した後に周速差を大きくすることで、耐久後半の転写性、バンディングレベルの改善を図ることができ、耐久を通して良好な画像形成を維持できることが分かった。
また、ここでは、トナー残量の閾値Lを設定し、周速差(周速比)の設定を2段階有して切り替える構成で説明した。しかし、別の実施形態として、複数の閾値を設定して、同時に周速差(周速比)の設定を複数段階有し、各閾値に対して(トナー残量に応じて)多段階で周速差(周速比)を変更する構成としてもよい。このようにトナーの残量に応じて、徐々に周速差を変更する制御とすることも可能であり、これによって、ドラム傷、転写性向上、バンディングレベルの改善に対してより最適な周速差となるように制御することが可能となる。
以上、現像ローラの総回転時間とトナーの残量の各々について説明したが、これら2つを同時に検出して、周速差(周速比)を適正化しても良い。この場合、常により周速差(周速比)が大きくなる方の条件を選択して制御を実行する。これは劣化の進んだトナーの方で画像が決まってしまうためである。
以上述べてきたように、現像ローラの総回転時間Tの検出以降、またはトナー残量L検出以降、または現像ローラの総回転時間T及びトナー残量L双方のいずれか一方が先に閾値に到達した時点で周速を変更にする。これによって、初期から耐久後半までは周速差を不必要につけることがなくなるためドラム傷、摩耗による画像不良の発生を回避することができ、耐久後半でトナーが劣化時にのみ発生する転写性低下による転写ムラ、バンディングを改善することが可能となる。
本発明によれば、従来の印字枚数情報からだけではトナーの劣化状態、ドラムの摩耗状態の把握が十分できず、適切な周速を設定できなかった課題を解決することができる。つまり、本発明の構成を採用することで耐久を通した転写性の確保、転写ムラの抑制、ドラム傷による画像不良を回避することが可能になった。
[転写性の振れによるバンディングについて]
転写性に関しては、従来から提案されているように感光ドラム1と中間転写ベルト6との間にある程度周速差(周速比)を設けることで、転写性の向上につながることが分かっている。この効果は、トナーの帯電量が不均一になりやすい耐久後半の劣化トナーに対してより効果を発揮する。
図3は、周速差(周速比)と転写性の関係を表したグラフであり、プロセスカートリッジの初期状態と、耐久後の寿命到達後(トナー劣化時)のそれぞれの場合での周速差(周速比)と転写効率関係を示したものである。
ここでは転写性の指標として1次転写効率を用いている。この1次転写効率は、感光ドラム上に現像されたトナーの量(ここではベタ画像を形成)に対して、何%トナーが中間転写ベルト6へ転写されたかをパーセントで示したものである。感光ドラム上に現像された全てのトナーが中間転写ベルト6へ転写した場合を100%の転写効率と定義している。
このグラフから分かるように、初期、耐久後ともに周速差(周速比)100%近傍が最も転写効率が低い傾向があり、周速差(周速比)を大きくしていくに従って転写効率が良くなる傾向があると言える。この傾向は、初期の場合、全体的に転写効率が高いために、周速差の効果としては、画像差としては大きなものではなかったが、耐久後の寿命到達後の場合(トナーが劣化している状態)、周速差の影響が大きく効果が大きくなると言える。特に100%近傍においては僅かな周速差の変化に対して転写効率が大きく変化していることが分かる。
また、ここまでは感光ドラム1と中間転写ベルト6との周速差に関しては、感光ドラム1に対して中間転写ベルト6の周速を速く設定する場合「周速差(周速比)100%以上」で説明してきた。しかし、この図3のグラフから明らかなように、周速差(周速比)に関しては感光ドラム1に対して中間転写ベルト6の周速が遅い場合「周速差(周速比)100%以下」としても、転写効率に対して効果があることが分かっている。そのため、言い換えると、周速差の「絶対値」を大きくすればよいと言える。以降、周速差(周速比)については、その絶対値と定義する。
感光ドラム1と中間転写ベルト6が当接した状態で回転駆動された場合、次のことが起こる。つまり、感光ドラム1と中間転写ベルト6間の摩擦係数の影響や、トナーが感光ドラム1と中間転写ベルト6との間に介在するかしないかといった画像差、各構成部品が持つガタ等による影響によって周速に影響を及ぼす場合がある。これらの要因による、微小な周速の変化が耐久後半の劣化トナーを用いた場合において転写性に影響を及ぼすことが分かった。
図3のグラフから分かるように、感光ドラム1と中間転写ドラム6との周速差(周速比)が小さい場合、特に周速差が100%近傍にある場合、前述した微小な周速の変化、振れによって、1次転写性は周速差の変動の影響を受け易い。そのため、その周速差の振れが転写性の振れとして現れ、この微小な周速差の振れによる転写性の振れがバンディング状の画像不良としてあらわれる場合があった。この現象は、トナーの載り量が多い2次色のベタ画像等で顕著な傾向がある。
劣化トナーの影響、周速差(周速比)の振れの影響について以下に補足する。
耐久によるトナーの過度の撹拌によって、劣化したトナーは、静電的に転写しづらくなるため、転写性が低下する。一方で相対的にトナーの非静電的な付着力の影響が大きくなる。そのためこの非静電的な付着力の影響が大きくなったトナーに対して、1次転写時に感光ドラム1と中間転写ベルト6の周速に相対速度差を設けると、1次転写ニップ部T1で物理的な剥ぎ取り力が働くため、感光ドラム1に対する付着力の影響が小さくなる。結果として1次転写電界に対して忠実にトナーが移動し易くなるために、1次転写性が改善される。
このように周速差(周速比)の設定値が100%近傍の場合等の周速差設定が小さい場合、周速の微小変化、振れの影響によって「周速差が無い状態」と「僅かに周速差が有る状態」が交互に現れることにより、転写性が良い状態と悪い状態が交互に繰り返されることによってバンディング状の画像不良として転写不良となる場合があった。しかし、耐久後半の劣化トナーを用いた場合において周速の微小変化の影響を受けないように十分周速差を付けた設定することで、転写性の改善、バンディングの改善を達成することができた。
また、本現象は単色画像では比較的目立たず、2次色のベタ画像時に顕在化し易い。特にはイエローとシアンで形成されるグリーンの画像で顕著であった。グリーン画像形成時においては、先ずイエロー画像を中間転写ベルト上に転写した後に、画像形成方向下流側のステーションでシアン画像を2次色として形成し中間転写ベルト上に転写することになる。この時に、耐久後半等でシアンのトナーが劣化した状態、トナーの帯電状態が不均一になっている場合において転写性のムラがバンディングになって現れることがあった。これは、この2次色形成時の僅かな転写性のムラ、バンディングが、明度の差として視覚的に感知し易いためである。
上記のような条件下においても、本実施例で説明したように周速差(周速比)を102%以上(より好ましくは103%以上)と設定した場合、上記微小速度変化の影響を受けないくらい十分な周速差設定となる。そのため、特に転写性への影響が小さくなり、バンディングの発生を回避することが可能であった。
以上述べたように、本実施例においては、耐久後半以降でトナーが劣化した状態における周速差(周速比)を変更するため、初期から周速差(周速比)を大きく設定する場合に対して、耐久前半でのドラム傷、削れ等を抑制することが可能となる。従って、ドラムの寿命を延ばすことが可能になり、とくに、印字率の低い画像や、枚数の少ないジョブを繰り返し印字した場合においてとくに、感光ドラムの摩耗、傷といった問題を回避することが十分に可能になる。一方で耐久後の劣化トナーに対しては転写性の改善を図ることが可能になり、耐久を通して、画像劣化の少ない画像形成を維持することが可能になる。
以上、特にシアンの場合を例にとり説明をしてきたが、個々のプロセスカートリッジに対する実際の対応について補足する。
本実施例で用いている装置、及びプロセスカートリッジの寿命の設定に関しては、装置本体の寿命よりも各プロセスカートリッジの寿命の方が短くされており、各プロセスカートリッジはそれぞれ寿命到達時点で個々に交換されることになる。
これら個々のカートリッジの寿命の到達タイミングは、印字する画像パターンやモードによって異なることになる。これは画像パターンによって各色トナーの消費速度がそれぞれ異なるためであり、具体的にはそれぞれカートリッジトナー残量閾値Lへの到達タイミング、現像ローラ総回転時間の設定値Tへの到達タイミングが異なることになる。
一方、本実施例では、各プロセスカートリッジそれぞれに対して、現像ローラの総回転時間から算出する現像手段寿命を検知するか、または、各プロセスカートリッジそれぞれに設置されたトナー残量検知手段を有している。このような場合、各プロセスカートリッジそれぞれに現像ローラ総回転時間の設定値T、トナー残量閾値Lを検出して、各プロセスカートリッジ毎に、周速を変更するかどうかを判断し、設定の変更することが望ましい。
それを達成するために、ここでは、各プロセスカートリッジそれぞれにおいて、現像手段寿命T、トナー残量Lを検出する。そして、検出したプロセスカートリッジの感光ドラム1の周速を中間転写ベルト6の周速に対して遅くすることで周速差(周速比)を大きくする方式を採用している。こうすることで、中間転写ベルト6の駆動速度を一定にし、かつ、周速差の変更の必要のあるカートリッジのみ速度差を変更することができる。そのため、必要のないプロセスカートリッジの感光ドラム傷、摩耗の発生を回避することが可能になる。ここで、感光ドラム1の周速差(周速比)を変更するためには、該当するプロセスカートリッジについては速度変更と同時に画像の書き出しタイミングの補正を実施し各色のレジストレーションを合わせる必要がある。すなわち、感光ドラム1の周速ダウンにより、画像露光を受けてから現像を経由して1次転写まで到達する時間が延びるため、延長分に相当する時間だけ感光ドラム1の回転方向書き出しタイミングを早めることになる。それ以外の制御は、たとえば各色の画像信号のクロックや、各色の露光部のポリゴンスキャナの回転数、中間転写ベルト6の周速、紙搬送速度などは特に変更の必要がなく容易に実施可能となる。
以上述べたように、ここでは各プロセスカートリッジそれぞれの寿命を検知し、寿命に到達した各プロセスカートリッジ毎に感光ドラムの周速差(周速比)を変更することで対応することが望ましい。しかし、例えば、複数のプロセスカートリッジのうち、いずれか一つが寿命を検知し場合に、全ての感光ドラム1と中間転写ベルト6との周速差(周速比)を変更する構成としても、耐久プロセスカートリッジのトナー劣化に起因する転写性の向上、バンディングの回避といった点では同様に効果がある。この場合、個々のプロセスカートリッジに対して周速差(周速比)を変更した場合と比べて、感光ドラム傷、摩耗といった観点からは若干不利であると考えれる。しかし、通常の使用状況下では、現像ローラ総回転時間の設定値T、トナー残量閾値Lを検知したタイミングから、実際にカートリッジの寿命に到達するまでの時間は比較的短い。また、寿命到達後、カートリッジが新品に交換された場合、初期の設定に戻すことになるので、感光ドラム傷に対しての影響は比較的に少ないといえる。一方、このように全てのプロセスカートリッジに一律に周速差(周速比)を与える場合、例えば、中間転写ベルト6に対して、感光ドラム速度を一律に変更する場合だけでなく、各感光ドラム1の周速は全て一定のまま、中間転写ベルト6の周速を変更することで周速差(周速比)をつけることも可能であり、画像形成の制御の簡素化や、装置構成の簡素化、設計自由度の向上といったメリットもある。
また、他の実施形態として、各プロセスカートリッジそれぞれの寿命を検知した後、寿命到達を検知したプロセスカートリッジでの画像形成時にのみ周速差(周速比)を変更する。更にそれだけでなく、その寿命到達を検知したプロセスカートリッジに対して、画像搬送方向の下流側に配置されたプロセスカートリッジについても、同時に周速差(周速比)を変更する構成とすることも可能である。
本構成は、必要以上に感光ドラムの傷、摩耗を抑制すると同時に、劣化トナーの転写性、特には再転写を抑制する効果がある。詳しくは、現像手段寿命を検知したプロセスカートリッジの1次転写時において、該寿命を検知したプロセスカートリッジの感光ドラムと中間転写ベルトの周速差(周速比)を変更する。と同時に、その画像形成(搬送)方向下流に配置されたプロセスカートリッジについても周速差(周速比)を変更する。これにより、劣化トナー像の下流ステーションでの再転写を抑制することが可能になるからである。
具体例としては、例えば、本実施形態での装置構成の場合、第3番目のシアンステーションにおいて現像手段が寿命を検知した場合、シアンステーションの周速差(周速比)を変更する。また、それだけでなく、その下流ステーション(ここでは第4番目のブラック)については、現像手段の寿命の到達にかかわらず、同時に相対速度差を変更する構成としている。これにより、第3番目のシアントナーの第4番目のブラックステーションでの再転写を抑制することが可能となる。このとき、上流に配置されている第1番目のイエロー、第2番目のマゼンタに関しては、現像手段寿命を検知していない場合は、転写性のマージンが十分あるため、周速差(周速比)は初期設定のままとすることができ、ドラム傷、摩耗を回避することができる。
このように、周速差(周速比)の変更が必要なステーションのみ選択的に周速差(周速比)を変更しているため、ドラム摩耗、傷を必要最低限に抑えることができると同時に転写性、再転写の改善を図ることが可能となる。
実施例2
実施例2においては、図4に示すように、画像形成装置100は、1つの感光ドラム1に対して4つの現像手段4a〜4dを有し、現像手段4a〜4dを切り替えながら順次各色の画像を形成、現像し、中間転写ベルト6上に重ね合わせることでカラー画像を形成する。つまり、本実施例では、所謂、4パス系のカラー画像形成装置の場合について説明する。
本実施例では、1つの感光ドラム1に対して、4色の現像手段4a〜4dをロータリー4Aに搭載し、ロータリー方式にて順次切り替えて画像を形成するロータリー方式の現像手段を用いて説明する。図4は、4ロータリー方式の4パス系の画像形成装置100の概略構成図である。図4に記載の構成部品のうち、実施例1の図1で説明した番号と同一のものは同一の構成部品を示している。
本実施例においては、先ず、像担持体である感光ドラム1に対して1色目の現像手段4aを当接させ、実施例1で説明した工程と同様に、帯電、露光、現像(ここでは1色目のイエロー)を行う。次いで、1次転写部T1にて1次転写を実行することによって、中間転写ベルト6上に1色目の画像を形成する。その際に、2次転写部T2には、当接、離間機構を備えてあり、1次転写工程時においては、2次転写ローラ7は、中間転写ベルト6から離間されている。同様に中間転写ベルト6のクリーニング手段10も離間した状態で待機している。
本実施例におけるクリーニング手段10は、抵抗調整された弾性ゴムで構成されたクリーニングローラを用いている。1色目の画像形成が終了した後に、ロータリー4Aを回転させて現像手段を2色目(ここではマゼンタ現像手段4b)に切り替え、1色目と同様に帯電、露光、現像、1次転写を実行し2色目の画像を中間転写ベルト6上に形成する。同様に3色目、4色目と繰り返し実行することで、ここでは4色のトナー像を中間転写ベルト6上に形成し、1次転写工程が完了する。
次に、2次転写ローラ7が中間転写ベルト6に当接され、中間転写ベルト6上に4色重ねて形成されたカラー画像を、2次転写部T2によって転写材S上に一括転写し、その後、定着され、機外に排出される。中間転写ベルト6上に残った2次転写残トナーは、中間転写ベルト6のクリーニング手段であるクリーニングローラ10を中間転写ベルトに当接させ、クリーニングバイアス(ここではトナーと逆極性のプラスバイアス)を印加する。これにより、トナーをプラスに均一に帯電させ、中間転写ベルト6上に転写させ、その後、1次転写部T1でプラスバイアスを印加することで感光ドラム1に逆転写させる。その後、感光ドラム1のクリーニング手段9で回収されることになり、一連の画像形成行程が終了する。
また、本実施例における現像手段4は、実施例1で説明した図1の装置における現像手段4と同様の機能を有するものである。また、その寿命検知方法についても実施例1と同様に、各々の色の現像手段4について、現像ローラ41の回転数、或いは、トナー残量を検出することにより検出可能である。
本実施例においては、複数の現像手段4a〜4dの中で、予め設定した寿命到達を検知した現像手段に関しては、その現像手段での画像形成を実施する際にのみ、該現像手段寿命到達後に感光ドラム1と中間転写ベルト6の周速差(周速比)へ設定変更する。その他の現像手段寿命に未到達と判断した現像手段での画像形成最中においては、初期に設定した感光ドラム1と中間転写ベルト6の周速差(周速比)となる構成としている。
ここでの設定値は、実施例1と同様に、通常の感光ドラム1と中間転写ベルト6の周速差(周速比)を101%設定とし、寿命到達後の周速差(周速比)を103%としている。
画像形成装置の構成によらず、周速差(周速比)変更による効果は実施例1で述べた場合と同様であり、寿命到達後の劣化トナーの転写性の向上、再転写性の抑制に関しては、改善が見られる。
一方、4パス方式においては、1つの感光ドラム1に対して、4つの現像手段4a〜4dを順次当接させて、画像形成させる構成であり、現像手段は各々着脱交換可能であり、感光体の寿命と現像手段の寿命が異なることが一般的である。先にも述べたように、周速差(周速比)を必要以上につけたり、長時間、周速差(周速比)の大きな状態で駆動すると感光ドラム1の傷、摩耗は促進される。そのため、本実施例においては、現像手段それぞれの寿命を検知し、現像手段の劣化を検知した現像手段での画像形成時にのみ、周速差(周速比)を変更する。これにより、必要以上にドラムの摩耗をさせることなく転写性において良好な画像形成を維持することを達成している。
また、別の実施形態として、現像手段の寿命を検知した現像手段での画像形成時にのみ周速差(周速比)を変更するだけでなく、それ以降に画像形成を実施する色に関しても、周速差(周速比)を変更する方式も考えられる。この場合、一旦転写したトナーが、次の色の1次転写時において再度感光ドラムに転写してしまう、所謂、再転写の抑制に関してさらに効果があることが確認されている。
例えば、第3番目の画像形成色であるシアンの現像手段において寿命を検知し、第4番目の画像形成色であるブラックの現像手段においては寿命到達を検知していない場合、第3番目の1次転写時の周速差(周速比)を変更する。更にそれだけでなく、同時に第4番目のブラックの1次転写時においても周速差(周速比)を変更している。
このような構成をとることで、耐久で劣化したシアンの転写性の向上だけでなく、そのシアントナーが第4番目のブラックの1次転写時において感光ドラムに再転写してしまうことを防止できる。
このように、周速差(周速比)の設定の変更が必要な画像形成工程のみに選択的に周速差(周速比)を変更しているため、ドラム摩耗、傷を必要最低限に抑えることができると同時に転写性、再転写の改善を図ることが可能となる。この場合、シアントナーがなくなり、新たな現像手段に交換されると、新品が検出されることになるため、周速差(周速比)設定としては、シアン、ブラックともに、初期の設定値に戻ることになる。そのため、感光ドラムへのダメージを必要最小限に抑えることが可能となっている。
なお、感光ドラム1と中間転写ベルト6の周速差を設ける方法については、実施例1で述べたものと基本的には同様であり、各々の色の転写性能の改善効果についても同様であるため、詳細な説明は省略する。