JP2009075150A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低速モードを有する画像形成装置においても、電源装置の大型化やコストアップを回避しつつ、画像流れが発生するのを抑制することができ、しかも、感光体表面の摩耗を抑制して、感光体の長寿命化を図る。
【解決手段】帯電手段により帯電されて互いに異なった色のトナー像が形成される像担持体を備えた複数の画像形成部と、前記各画像形成部の像担持体上に形成されたトナーを一次転写する中間転写体と、前記各画像形成部の像担持体又は中間転写体の表面の少なくとも一方に研摩粒子を供給する研摩粒子供給手段と、前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間に所定の速度差を有し、且つ異なった複数の画像形成速度で駆動するように制御する手段であって、前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間の速度差を、画像形成速度が相対的に遅いときに大きくなるように制御する速度制御手段とを具備する。
【選択図】図1

Description

この発明は画像形成装置に関するものである。
特開平9−251265号公報 特開昭63−48586号公報 特開平1−113780号公報 特開2004−117722号公報 特開2003−5534号公報 特開2005−338701号公報 特開2005−234393号公報
従来、複写機やプリンター等の画像形成装置においては、感光体ドラムの長寿命化を達成し、メンテナンスサイクルを長期化することにより、総コストを低減することが強く求められている。上記感光体ドラムを長寿命化するにあたっては、感光体の膜磨耗を抑制する必要がある。この感光体の膜磨耗を抑制する技術としては、例えば、特開平9−251265号公報に開示されているように、感光体の表面に磨耗し難い表面層を形成するものが既に提案されている。
この特開平9−251265号公報に係る画像形成装置は、電子写真感光体が用いられ、帯電、潜像形成、現像、転写のサイクルを経て、画像を形成する画像形成装置において、1キロサイクルの使用による該電子写真感光体の表面層の磨耗が0.1乃至2.0nmであるように構成したものである。
ところで、上記感光体の表面層の磨耗を抑制するように構成した場合には、感光体ドラムの表面層が磨耗し難くなって、感光体ドラムの表面に放電先生物が蓄積し易くなるため、高温高湿環境下において、感光体ドラムの表面に蓄積した放電生成物が吸湿し、当該感光体ドラムの表面に形成された静電潜像の電荷が不本位に移動する、所謂“画像流れ”が発生し易くなる。
この画像流れは、特に、感光体ドラムと帯電部材との間で直接放電を生じさせることによって、当該感光体ドラムの表面を帯電する接触式又は非接触式を問わず、帯電ロール方式などに代表される帯電方式において顕著に発生することが知られている。
そこで、かかる画像流れの発生を抑制する技術としては、特開昭63−48586号公報や特開平1−113780号公報等に開示されているように、クリーニングローラとクリーニングブレードを併用するクリーニング手段を採用し、現像剤中にクリーニング剤として無機微粒子を含有させる技術や、クリーニングローラとクリーニングブレードを併用するクリーニング手段を採用し、現像剤中にクリーニング剤として有機微粒子を含有させる技術が、既に提案されている。
上記特開昭63−48586号公報に係る画像形成方法は、像担持体上の潜像に、トナーを含有する現像剤を付着させてトナー像を形成する現像工程と、該トナー像を像担持体から転写材に転写する転写工程と、像担持体表面に、少なくともその表面が弾性体からなるローラを圧接させ、像担持体表面を清掃するクリーニング工程とからなり、且つ、前記現像剤として、トナーと、該トナーと逆の摩擦帯電極性を有する微粒子とを含有する現像剤を用いるように構成したものである。
また、特開平1−113780号公報等に係る画像形成方法は、潜像担持体上の静電潜像を現像剤により現像する現像工程と、現像により得られた潜像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写工程と、転写されずに潜像担持体上に残留した残留トナーをクリーニングするクリーニング工程とを含み、前記クリーニング工程は、前記潜像担持体に接触配置されたクリーニングローラーと、当該クリーニングローラーの下流側において当該潜像担持体に接触配置されたクリーニングブレードとを有してなるクリーニング装置により遂行され、現像剤を構成するトナーが、結着樹脂粒子と、当該結着樹脂粒子よりは小径の有機微粒子とを有してなるように構成したものである。
一方、現像剤中に研摩粒子を含有させ、且つ感光体と中間転写体の間に速度差を生じさせるように構成することにより、感光体ドラム上に付着した放電生成物の除去性を高めることが考えられる。
かかる感光体ドラムと中間転写体の間に速度差をつける技術としては、レジずれや画像欠陥などの発生を抑制することを目的としたものであるが、特開2004−117722号公報や特開2003−5534号公報等に開示されたものが既に提案されている。
上記特開2004−117722号公報に係る画像形成装置は、第一の像担持体上に形成した複数の現像剤像を、前記第一の像担持体と一次転写部にて接触する第二の像担持体上に順次重ねて一次転写して、前記第二の像担持体上に、複数の現像剤像が重畳された複合現像剤像を形成し、更に、前記第二の像担持体上に形成した前記複合現像剤像を、前記第二の像担持体と二次転写部にて接触する第三の像担持体上に一括して二次転写して、前記第三の像担持体上に画像を形成する画像形成装置において、
前記第一の像担持体表面の移動速度v1[mm/s]と、前記第二の像担持体表面の移動速度v2[mm/s]と、の移動速度差Δv[%](Δv=(v2−v1)/v1×100)を、変更する手段を有するように構成したものである。
また、上記特開2003−5534号公報に係る画像形成装置は、像担持体である感光体と、該感光体表面を帯電する帯電手段と、該帯電手段の出力を調整する帯電量調整手段と、感光体表面を露光する露光手段と、該露光手段の出力を調整する露光量調整手段と、前記感光体上にトナー像を現像する現像手段と、該現像手段へのバイアス印加を調整する現像バイアス調整手段を具備し、前記感光体上に現像されたトナー像を、接地された接触転写部材によって中間転写体に転写した後、該中間転写体上のトナー像を記録材に再度転写する画像形成装置において、前記帯電量調整手段と前記露光量調整手段及び前記現像バイアス調整手段の少なくとも1つの調整値を変化させるように構成したものであるが、具体的な態様として、前記感光体の周速度を100%としたとき、前記中間転写体の周速度を100〜105%に設定したものをも含むものである。
さらに、感光体ドラムと中間転写体の間に速度差をつける技術としては、感光体の表面に対するトナーや外添剤の付着を抑制することを目的とするものであるが、特開2005−338701号公報や特開2005−234393号公報等に開示されているものも既に提案されている。
上記特開2005−338701号公報に係る画像形成装置は、走行する像担持体と、トナーを像担持体表面に供給する現像装置とからなる画像形成部と、画像形成部で形成されたトナー像を転写、合成するベルト状の中間転写体と、この中間転写体上に合成されたトナー像を記録材に転写することにより画像を形成する画像形成装置において、像担持体に当接する側の中間転写体表面のビッカース硬度が、像担持体表面のビッカース硬度より大きく、中間転写体の表面粗さは、初期の感光ドラムの表面粗さより常に大きく、像担持体に対する中間転写体の相対的な移動速度が可変であるように構成したものである。
また、上記特開2005−234393号公報に係る画像形成装置は、電子写真方式でトナー像を形成する像担持体と、該像担持体上に形成されたトナー像を1次転写した後記録媒体に2次転写する中間転写体とを備えた画像形成装置において、前記像担持体表面の汚染状態を光学的に検知する汚染状態検知手段を備え、前記像担持体と中間転写体の1次転写領域における相対速度を前記汚染状態検知手段の検知した前記像担持体の汚染度合いに応じて変化させるように構成したものである。
ところで、上記画像形成装置においては、厚紙等の記録媒体にカラー画像を形成する場合など、画像形成速度を通常のプロセススピードよりも遅い低速モードに切り替えることにより、高画質化の要求に応えるように構成したものがある。
しかしながら、上記画像形成装置においては、低速モードに切り替えると、感光体ドラムの表面が露光位置から現像位置まで移動する時間が長くなるため、画像流れの発生がより顕著となる。上記低速モードは、一般的に特殊なモードであるが、主としてコート紙などの厚紙に画像を形成するためのモードであって高画質化の要求が強く、画像流れの発生によって画質が低下するという技術的課題は大きいものである。
そこで、この技術的課題を解決するためには、低速モードにおいて、感光体ドラム表面の研摩能力を上げることにより、画像流れの発生を抑制する必要があるが、感光体ドラム表面の研摩能力を上げた場合には、通常モードにおいても研摩能力が高くなってしまい、感光体ドラムの表面層が早期に磨耗して、本来の目的である感光体ドラムの長寿命化を達成することが困難となる。
また、上記画像流れの現象は、感光体ドラムの表面を帯電ロール等によって帯電する際に、当該感光体ドラム表面が受ける放電ストレスにも依存しており、帯電ロールに印加するACバイアス周波数fと、プロセススピードsとの比f/sが大きいと、放電ストレスが高くなり、画像流れが顕著となる。
そこで、複数のプロセススピードを有する画像形成装置においては、プロセススピード毎にACバイアス周波数を変えることが考えられるが、プロセススピード毎にACバイアス周波数を変えるように構成した場合には、電源装置のコストが高くなり、特に低速モードに対応するために低い周波数のACバイアス電圧を出力するためには、電源装置が大型化することに繋がる。
ところで、この発明が解決しようとする課題は、低速モードを有する画像形成装置においても、電源装置の大型化やコストアップを回避しつつ、画像流れが発生するのを抑制することができ、しかも、感光体表面の摩耗を抑制して、感光体の長寿命化を図ることが可能な画像形成装置を提供することにある。
すなわち、請求項1に記載された発明は、帯電手段により帯電されて互いに異なった色のトナー像が形成される像担持体を備えた複数の画像形成部と、
前記各画像形成部の像担持体上に形成されたトナーを一次転写する中間転写体と、
前記各画像形成部の像担持体又は中間転写体の表面の少なくとも一方に研摩粒子を供給する研摩粒子供給手段と、
前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間に所定の速度差を有し、且つ異なった複数の画像形成速度で駆動するように制御する手段であって、前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間の速度差を、画像形成速度が相対的に遅いときに大きくなるように制御する速度制御手段とを具備したことを特徴とする画像形成装置である。
また、請求項2に記載された発明は、前記速度制御手段は、画像形成速度が相対的に遅いときに、単位時間当りの前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間の移動変化量が大きくなるように設定したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
さらに、請求項3に記載された発明は、前記帯電手段に印加する交流バイアス電圧の周波数をf、画像形成速度をSpとしたとき、画像形成速度Spが変化したときに、交流バイアス電圧の周波数fと画像形成速度Spとの比であるf/Spが異なるように構成され、当該f/Spの値が相対的に大きいときに、前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間の速度差が大きくなるように設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置である。
又、請求項4に記載された発明は、前記速度制御手段は、前記f/Spの値が相対的に大きいときに、単位時間当りの前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間の移動変化量が大きくなるように設定したことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置である。
更に、請求項5に記載された発明は、前記像担持体は、その電荷輸送層の表面に保護層としての表面層を備えた感光体ドラムであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれに記載の画像形成装置である。
また、請求項6に記載された発明は、前記研摩粒子は、現像剤に含有されており、前記研摩粒子供給手段として、現像手段が用いられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれに記載の画像形成装置である。
さらに、請求項7に記載された発明は、前記研摩粒子供給手段は、像担持体のクリーニング装置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれに記載の画像形成装置である。
請求項1に記載された発明によれば、低速モードを有する画像形成装置においても、電源装置の大型化やコストアップを回避しつつ、画像流れが発生するのを抑制することができ、しかも、感光体表面の摩耗を抑制して、感光体の長寿命化を図ることができる。
また、請求項2に記載された発明によれば、像担持体と中間転写体との間に確実に移動量の差を生じさせることができ、低速モードを有する画像形成装置においても、電源装置の大型化やコストアップを回避しつつ、画像流れが発生するのを抑制することができ、しかも、感光体表面の摩耗を抑制して、感光体の長寿命化を図ることができる。
さらに、請求項3に記載された発明によれば、画像流れが発生し易い状況下において、像担持体と中間転写体との間に速度差を生じさせ、低速モードを有する画像形成装置においても、電源装置の大型化やコストアップを回避しつつ、画像流れが発生するのを抑制することができ、しかも、感光体表面の摩耗を抑制して、感光体の長寿命化を図ることができる。
又、請求項4に記載された発明によれば、画像流れが発生し易い状況下において、像担持体と中間転写体との間に確実に移動量の差を生じさせることができ、低速モードを有する画像形成装置においても、電源装置の大型化やコストアップを回避しつつ、画像流れが発生するのを抑制することができ、しかも、感光体表面の摩耗を抑制して、感光体の長寿命化を図ることができる。
更に、請求項5に記載された発明によれば、低速モードを有する画像形成装置においても、電源装置の大型化やコストアップを回避しつつ、画像流れが発生するのを抑制することができ、しかも、感光体表面の摩耗を抑制して、感光体の長寿命化を図ることができる。
また、請求項6に記載された発明によれば、研摩粒子供給手段を新たに設ける必要がなく、装置の構成を簡略化することができるとともに、コストダウンが可能となる。
さらに、請求項7に記載された発明によれば、像担持体のクリーニング時に、研摩粒子を供給することができる。
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンターを示すものである。また、図3はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラー複写機を示すものである。なお、上記画像形成装置としては、プリンターや複写機、及びファクシミリ等の機能を兼ね備えた複合機であっても勿論良い。
図2及び図3において、1はタンデム型のデジタルカラープリンター及び複写機の本体を示すものであり、デジタルカラー複写機の場合には、図3に示すように、複写機本体1の上部に、原稿2を一枚ずつ分離した状態で自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)3と、当該自動原稿搬送装置3によって搬送される原稿2の画像を読み取る原稿読取装置4が配設されている。この原稿読取装置4は、プラテンガラス5上に載置された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー7及びハーフレートミラー8、9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光することにより、この画像読取素子11によって原稿2の反射光像を所定のドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るようになっている。
上記原稿読取装置4によって読み取られた原稿2の反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の原稿反射率データとして画像処理装置12に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の所定の画像処理が施される。また、画像処理装置12は、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像データに対しても、所定の画像処理を行なうように構成されている。
そして、上記の如く画像処理装置12で所定の画像処理が施された画像データは、同じく画像処理装置12によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)(各8ビット)の4色の階調データに変換され、次に述べるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの画像露光装置14に送られ、この画像露光装置14では、所定の色の原稿の階調データに応じてレーザ光LBによる画像露光が行われる。
ところで、上記タンデム型のデジタルカラープリンター及び複写機本体1の内部には、図2及び図3に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kが、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置されている。
これらの4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kは、すべて同様に構成されており、図1に示すように、大別して、所定の速度で図示しない駆動手段によって回転駆動される像担持体としての感光体ドラム15と、この感光体ドラム15の表面を一様に帯電する一次帯電用の帯電ロール16と、当該感光体ドラム15の表面に所定の色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する画像露光装置14(図3参照)と、感光体ドラム15上に形成された静電潜像を所定の色のトナーで現像する現像器17と、感光体ドラム15の表面を清掃するクリーニング装置18とから構成されている。
上記感光体ドラム15としては、例えば、直径30mmのドラム状に形成され、長寿命化のため、表面にオーバーコート層を有する有機感光体からなるものが用いられ、図示しない駆動モーターによって所定の回転速度で回転駆動される。
上記感光体ドラム15としては、図4に示すように、アルミニウム等からなる金属製円筒15aの表面に、有機光導電材料からなる感光体層15b〜15eを被覆して形成されている。この感光層としては、金属製円筒15aの表面に順次積層される下地層(UCL)15bと、電荷発生層(CGL)15cと、電荷輸送層(CTL)15dと、保護層としての表面層(OCL)15eとから構成されている。
上記下地層(UCL)15b、電荷発生層(CGL)15c、電荷輸送層(CTL)15d、表面層(OCL)15eの各材料としては、例えば、次のものが用いられる。
下地層(UCL)
アセチルアセトンジルコニウムブトキシド 20重量部
( オルガチックス ZC540、松本交商製)
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 2重量部
(A1100 日本ユニカ(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 1. 5重量部
(エスレックBM−S 積水化学(株)製)
n−ブチルアルコール 70重量部
上記成分からなる溶液を、アルミニウムパイプ上に浸漬塗布した後、150℃で10間乾燥させて、膜厚0. 9μmの下地層15bを形成した。
電荷発生層(CGL)
X型無金属フタロシアニン5重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、ユ
ニオンカーバイド社製)5重量部、酢酸n−ブチル200重両部を1mmφのガラスビーズを用いたサンドミルで2時間分散して得られた分散液を、上記の下地層15b上に浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥させて、膜厚0.2μmの電荷発生層15cを形成した。
電荷輸送層(CTL)
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン45重量部及びビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量:4万)55重量部をクロルベンゼン800重量部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層15c上に塗布し、130℃、45分の乾燥を行って膜厚が16μmの電荷輸送層15dを形成した。
表面層(OCL)
下記化学式(1)で表される化合物3.5質量部、レジトップPL−4852(群栄化学製)3質量部、ポリビニルフェノール樹脂(Aldrich製)0.5重量部、イソプロピルアルコール10質量部、並びに3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.2質量部を加えて保護層用塗布液を調製した。この塗布液を電荷輸送層15dの上に浸漬塗布法により塗布し、室温で30分風乾した後、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約4.0μmの保護層15eを形成して感光体を作成した。このときの表面層15e面内の膜厚ムラは0.3μmであった。
Figure 2009075150
また、この実施の形態では、プロセススピードである中間転写ベルト25の移動速度として、厚紙等に画像を形成する際の低速モードである80mm/sと、普通紙等に画像を形成する際の中速モードである120mm/sと、高速モードである160mm/sの3つの速度が設定されており、図示しないモード切り換え手段や用紙選択手段からの信号に基づいて、後述する制御回路50によって3段階に切り換え可能となっている。
また、上記帯電ロール16としては、例えば、芯金の表面に合成樹脂やゴムからなり電気抵抗を調整した導電層を被覆したロール状の帯電器が用いられ、この帯電ロール16の芯金には、所定の交流バイアス電圧又は直流バイアス電圧が重畳された交流バイアス電圧が印加されるものが用いられている。
上記画像露光装置14は、図2に示すように、4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kに共通に構成されており、図示しない4つの半導体レーザを各色の階調データに応じて変調して、これらの半導体レーザから4本のレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを階調データに応じて出射するように構成されている。なお、上記画像露光装置14は、複数の画像形成ユニット毎に個別に構成しても勿論よい。上記半導体レーザから出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しないf−θレンズを介して回転多面鏡19に照射され、この回転多面鏡19によって偏向走査される。上記回転多面鏡19によって偏向走査されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しない複数枚の反射ミラーを介して感光体ドラム15上に、斜め下方から走査露光される。
上記画像露光装置14は、図2に示すように、下方から感光体ドラム15上に画像を走査露光するものであるため、この画像露光装置14には、上方に位置する4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの現像器17などからトナー等が落下して、汚損される虞れを有している。そのため、画像露光装置14は、その周囲が直方体状のフレーム20によって密閉されているとともに、当該フレーム20の上部には、4本のレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15上に露光するため、シールド部材としての透明なガラス製のウインドウ21Y、21M、21C、21Kが設けられている。そして、これらのガラス製のウインドウ21Y、21M、21C、21Kは、画像露光装置14のレーザ光LBに沿った光路上において、最も上方に位置する部材となっている。
上記画像処理装置12からは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒 (K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kに共通して設けられた画像露光装置14に、各色の画像データが順次出力され、この画像露光装置14から画像データに応じて出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、対応する感光体ドラム15の表面に走査露光され、静電潜像が形成される。上記感光体ドラム15上に形成された静電潜像は、現像器17Y、17M、17C、17Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
上記各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15上に、順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの上方にわたって配置された中間転写ベルトユニット22の中間転写ベルト25上に、一次転写ロール26によって多重に転写される。この中間転写ベルト25は、ドライブロール27と、バックアップロール28と、テンションロール24等との間に一定のテンションで掛け回されており、後述するように、定速性に優れた専用の駆動モーターによって回転駆動されるドライブロール27により、矢印方向に所定の移動速度で循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト25としては、例えば、可撓性を有するPET等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。
上記中間転写ベルト25上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、バックアップロール28に圧接する二次転写ロール29によって、圧接力及び静電気力で記録媒体としての記録用紙30上に二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された記録用紙30は、上方に位置する定着器31へと搬送される。上記二次転写ロール29は、バックアップロール28の側方に圧接しており、下方から上方に搬送される記録用紙30上に、各色のトナー像を二次転写するようになっている。そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙30は、定着器31によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、排出ロール32によって本体1の上部に設けられた排出トレイ33上に排出される。
上記記録用紙30は、図2及び図3に示すように、給紙カセット34から所定のサイズのものが、給紙ローラ35及び用紙分離搬送用のローラ対36により用紙搬送路37を介して、レジストロール38まで一旦搬送され、停止される。上記給紙カセット34から供給された記録用紙30は、所定のタイミングで回転するレジストロール38によって中間転写ベルト35の二次転写位置へ送出される。
なお、上記デジタルカラープリンター及び複写機において、フルカラー等の両面コピーをとる場合には、片面に画像が定着された記録用紙30を、排出ロール32によって排出トレイ33上にそのまま排出せずに、記録用紙30の後端を排出ロール32によって挟持している間に、図示しない切替ゲートによって搬送方向を切り替え、用紙搬送用のローラ対39を介して両面用搬送ユニット40へと搬送する。そして、この両面用搬送ユニット40では、搬送径路41に沿って設けられた図示しない搬送用のローラ対により、記録用紙30の表裏が反転された状態で、再度レジストロール38へと搬送され、今度は、当該記録用紙30の裏面に画像が転写・定着された後、排出トレイ33上に排出される。
図2及び図3中、44Y、44M、44C、44Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器17に、所定の色のトナーを供給するトナーカートリッジをそれぞれ示している。
図1は上記デジタルカラープリンター及び複写機の各画像形成ユニットを示すものである。
上記イエロー色、マゼンタ色、シアン色及び黒色の4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kは、図1に示すように、すべてが同様に構成されており、これらの4つの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kでは、上述したように、それぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色及び黒色のトナー像が所定のタイミングで順次形成されるように構成されている。上記各色の画像形成ユニット13Y、13M,13C、13Kは、上述したように、感光体ドラム15を備えており、これらの感光体ドラム15の表面は、一次帯電用の帯電ロール16によって一様に帯電される。その後、上記感光体ドラム15の表面は、画像露光装置14から画像データに応じて出射される画像形成用のレーザ光LBが走査露光されて、各色に対応した静電潜像が形成される。上記感光体ドラム15上に走査露光されるレーザ光LBは、当該感光体ドラム15の直下よりやや右側寄りの斜め下方から、所定の傾斜角度で露光されるように設定されている。上記感光体ドラム15上に形成された静電潜像は、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの現像器17の現像ロール17aによってそれぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の各色のトナーにより現像されて可視トナー像となり、これらの可視トナー像は、一次転写ロール26の帯電によって中間転写ベルト25上に順次多重に転写される。
上記各現像器17Y、17M、17C、17Kは、トナーとキャリアからなる二成分の現像剤Gを用いた二成分現像方式を採用しており、現像ロール48の表面にトナーとキャリアからなる二成分現像剤Gの磁気ブラシを形成して、対応する色の感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面に形成された静電潜像を現像するように構成されている。なお、上記現像剤Gとしては、トナーのみからなる一成分の現像剤を用いても良い。
これらの各現像器17Y、17M、17C、17Kで使用されるトナーとしては、例えば、特許3141783号に記載されるトナーに対して、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛0.5重量部、トナーよりも粒径の小さな微粒子からなる研磨粒子として酸化セリウム1.0重量部を加えて作成したものが用いられる。その結果、上記各現像器17Y、17M、17C、17Kは、研磨粒子供給手段を兼ねている。
なお、上記研磨粒子としては、酸化セリウム粉末に限らず、チタン酸カルシウム粉末、チタン酸バリウム粉末、チタン酸マグネシウム粉末、チタン酸ストロンチウム粉末、酸化ジルコニウム、酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化ケイ素粉末、炭化ホウ素粉末、炭化ケイ素粉末などが挙げられ、これらを単独もしくは混合して用いる。
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム15の表面は、クリーニング装置18によって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。上記クリーニング装置18は、クリーニングブレード42を備えており、このクリーニングブレード42によって、感光体ドラム15上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。
また、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト25の表面は、図2に示すように、クリーニング装置43によって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。上記クリーニング装置43は、クリーニングブラシ43a及びクリーニングブレード43bを備えており、これらのクリーニングブラシ43a及びブレード43bによって、中間転写ベルト25上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。
ところで、この実施の形態では、帯電手段により帯電されて互いに異なった色のトナー像が形成される像担持体を備えた複数の画像形成部と、前記各画像形成部の像担持体上に形成されたトナーを一次転写する中間転写体と、前記各画像形成部の像担持体又は中間転写体の表面の少なくとも一方に研摩粒子を供給する研摩粒子供給手段と、前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間に所定の速度差を有し、且つ異なった複数の画像形成速度で駆動するように制御する手段であって、前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間の速度差を、画像形成速度が相対的に遅いときに大きくなるように制御する速度制御手段とを具備するように構成されている。
ここで、画像形成速度が相対的に遅いときとは、異なった複数の画像形成速度のうち、相互に比較した場合に、遅い方の画像形成速度であるときを意味するものである。
また、この実施の形態では、例えば、前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間の速度差は、画像形成速度が最も遅いときに、最大となるように設定される。
なお、上記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間の速度差は、画像形成速度が遅くなるに従って大きくなるように設定しても良い。
すなわち、この実施の形態では、図5に示すように、画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの各感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kを、ステッピングモーター等からなる共通の感光体駆動手段としての感光体駆動モーター51によって回転駆動するように構成されており、この感光体駆動モーター51は、CPU等からなる速度制御手段としての制御回路50によって回転速度が制御されるように構成されている。
また、この実施の形態では、図5及び図6に示すように、画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kのうち、カラーのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の現像機17Y、17M、17Cが、共通の現像機駆動モーター52によって駆動するように構成されており、この現像機駆動モーター52は、CPU等からなる制御回路50によって制御される。
さらに、黒色の現像機17Kは、紙送り系などを駆動するメインモーター53によって、クラッチ54を介して回転駆動されるように構成されている。このメインモーター53は、クラッチ55を介してレジストロール38や、フィードロール36或いはナジャーロール35等からなる紙送り系・搬送系56を駆動するともに、定着器31や二次転写ロール29を直接駆動するように構成されている。このメインモーター53は、CPU等からなる制御回路50によって制御される。
また、中間転写ベルト25は、ステッピングモーター等からなる独自に設けられた中間転写体駆動手段としての中間転写体駆動モーター57によって回転駆動されるように構成されており、この中間転写体駆動モーター57も、CPU等からなる制御回路50によって制御されるようになっている。
上記制御回路50は、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kと中間転写ベルト25との間に所定の速度差を有し、且つ異なった複数のプロセススピードで駆動するように制御するものである。上記中間転写ベルト25の移動速度(周速)としては、前述したように、例えば、160mm/s、120mm/s、80mm/sの3段階のプロセススピードに等しい速度に設定されているのに対して、感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの移動速度(周速)は、中間転写ベルト25の移動速度(周速)よりも所定の値(例えば、0.5%、0.7%、1.0%、1.5%等)だけ遅く設定されており、両者の間に所定の速度差が設定されている。
また、上記制御回路50は、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kと中間転写ベルト25との間に設定される速度差が、プロセススピードが相対的に遅いときに大きくなるように、例えば、プロセススピードが最も遅いとき、つまり、プロセススピードが80mm/sのときに最大となるように設定されており、プロセススピードが120mm/s、160mm/sと順次速くなるに従って小さくなるように設定されている。ただし、プロセススピードが最も遅いとき、感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kと中間転写ベルト25との間に設定される速度差が最大となれば、他のプロセススピードにおいては、任意に設定しても良い。
さらに、この実施の形態では、上記制御回路50は、プロセススピードが最も遅いときに、単位時間当りの各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kと中間転写ベルト25との間の移動変化量の差が最大となるように設定されている。即ち、この実施の形態では、プロセススピードが80mm/sのときに、中間転写ベルト25の移動速度が80mm/s、つまり単位時間(1秒間)当りの移動量が80mmに設定されているとともに、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの移動速度が78.8mm/s、つまり単位時間当りの移動量が78.8mmに設定されており、単位時間(1秒)当りの両者の移動変化量の差が1.2mmとなっている。
これに対して、この実施の形態では、プロセススピードが160mm/sのときに、中間転写ベルト25の移動速度が160mm/s、つまり単位時間当りの移動量が160mmに設定されているとともに、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの移動速度が159.2mm/s、つまり単位時間当りの移動量が159.2mmに設定されており、単位時間(1秒)当りの両者の移動変化量の差が0.8mmと、プロセススピードが最も遅い80mm/sのときと比較して小さく設定されている。
また、この実施の形態では、プロセススピードが120mm/sのときに、中間転写ベルト25の移動速度が120mm/s、つまり単位時間当りの移動量が120mmに設定されているとともに、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの移動速度が118.8mm/s、つまり単位時間当りの移動量が118.8mmに設定されており、単位時間(1秒)当りの両者の移動変化量の差が1.2mmと、プロセススピードが最も遅い80mm/sと等しい最大値に設定されている。
図7はこの実施の形態に係るデジタルカラープリンター及び複写機の各現像装置に現像バイアス電圧を印加する電源回路をそれぞれ示すものである。
この実施の形態では、図7に示すように、イエロー色の現像機17Yと、マゼンタ色の現像機17Yに、バイアス印加用のコンデンサC1、C2を介して、同一の高圧電源としての高圧ユニット61によって、交流(AC)の現像バイアス電圧(所定のP−P電圧及び周波数)を印加するとともに、黒色用の現像機17Kと当該黒色用の現像機17Kに隣接して配置されるシアン用の現像機17Cに、バイアス印加用のコンデンサC3、C4を介して、同一の高圧電源としての高圧ユニット62によって交流(AC)の現像バイアス電圧(所定のP−P電圧及び周波数)を印加するように構成されている。また、上記イエロー、マゼンタ、シアン、黒色の各現像機17Y、17M、17C、17Kには、それぞれ異なる高圧電源としての高圧ユニット63Y、63M、63C、63Kによって、直流(DC)の現像バイアス電圧を印加するように構成されている。
また、上記イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの帯電ロール16Y、16M、16C、16Kには、図8に示すように、それぞれ異なる高圧電源としての高圧ユニット64Y、64M、64C、64Kによって、交流バイアス電圧又は直流バイアス電圧を重畳した交流バイアス電圧からなる帯電バイアス電圧が個別に印加されるようになっている。
また、上記高圧ユニット64Y、64M、64C、64Kは、プロセススピードに応じて、交流バイアス電圧の周波数fを制御することが可能に構成されていても良い。
更に、上記イエロー色の現像装置とマゼンタ色の現像装置に、現像バイアス電圧を印加する高圧ユニット、及び黒色用の現像装置とシアン用の現像装置に、現像バイアス電圧を印加する高圧ユニット、並びにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各帯電ロール16に帯電バイアス電圧を印加する高圧ユニット13Y、13M、13C、13Kは、制御回路50によって、印加電圧及び電圧のタイミングが制御されるようになっている。
以上の構成において、この実施の形態に係るプリンター及び複写機においては、次のようにして、低速モードを有する画像形成装置においても、電源装置の大型化やコストアップを回避しつつ、画像流れが発生するのを抑制することができ、しかも、感光体表面の摩耗を抑制して、感光体の長寿命化を図ることが可能となっている。
すなわち、この実施の形態に係るプリンター及び複写機では、図2及び図3に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面を、帯電ロール16によって所定の電位に帯電した後、画像露光装置14によって各色の画像データに応じた画像露光を施して静電潜像を形成し、これら感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面に形成された静電潜像を、対応する色の現像器17によって現像することにより、当該感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像を形成する。
そして、上記プリンター及び複写機では、図2及び図3に示すように、感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像を、中間転写ベルト25上に順次多重に転写した後、当該中間転写ベルト25上から記録用紙へと一括して二次転写し、定着器31によって定着することにより、フルカラーの画像やモノクロの画像を形成するようになっている。
その際、上記感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面は、帯電ロール16によって所定の電位に帯電される際に、当該感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面には、放電生成物が付着するが、感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面には、長寿命化のために、化学式(1)で表される化合物を主成分とした表面層(OCL)が設けられており、膜摩耗を抑制するように構成されている。そのため、上記感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面には、放電生成物が蓄積し易くなっている。
かかる状況下において、高温高湿環境でプリンター等を使用すると、感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面に蓄積した放電生成物が吸湿し、所謂像流れが発生し易くなる。特に、この像流れ現象は、感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面が帯電ロール16から現像器17まで移動するのに要する時間が長い低速モードにおいて顕著に発生する。
そこで、この実施の形態では、各現像器17Y、17M、17C、17Kで使用される現像剤Gのトナー中に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛0.5重量部、及び研磨粒子として酸化セリウム1.0重量部が添加されており、感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面に形成された静電潜像を現像する際に、トナーと共に潤滑剤及び研磨粒子が感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面に付着するようになっている。
上記感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面にトナーと共に付着した潤滑剤及び研磨粒子は、図1に示すように、一部が中間転写ベルト25の表面に転移し、他の一部が感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面に残留する。
その際、上記中間転写ベルト25と感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面との間には、所定の速度差ΔSが設定されているため、中間転写ベルト25の表面に転移する潤滑剤及び研磨粒子、特に研磨粒子は、研摩作用を発揮し、感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面に蓄積した放電生成物を除去するようになっている。
また、感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面に残留した潤滑剤及び研磨粒子は、クリーニング装置18のクリーニングブレードによって除去される際に、研摩作用を発揮し、感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面に蓄積した放電生成物を除去するようになっている。
しかも、この実施の形態では、中間転写ベルト25と感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面との間に設定される所定の速度差が、プロセススピードが最も遅いときに最大となるように設定されているので、像流れが顕著に発生し易くなる低速モードにおいて、中間転写ベルト25と感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kとの間の速度差によって、研磨粒子による十分な研摩作用を発揮させることができ、高温高湿環境下における低速モード時に、像流れが顕著に発生するのを抑制することができる。
さらに、この実施の形態では、中間転写ベルト25と感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面との間に設定される所定の速度差が、プロセススピードが最も遅いときに最大となり、他のプロセススピードでは、両者の速度差が相対的に小さくなるように設定されているため、像流れが顕著に発生し難い中速モードや高速モードにおいて、感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面を過剰に研摩して、当該感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの寿命が短くなるのを回避することができる。
なお、上記実施の形態では、主に、高温高湿環境下について説明したが、機内の温度や湿度を検知する図示しないセンサーを備えて、像流れが発生し難い高温高湿環境以外の低温低湿環境下等においては、中間転写ベルト25と感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面との間に設定される所定の速度差を、低速モードであっても小さな値に設定しても勿論良い。
実験例1〜4
次に、本発明者らは、本発明の効果を確認するため、図2に示すようなプリンターとして、富士ゼロックス製フルカラープリンターC3530の改造機(中間転写タイプ)を用いて、印字率各色5%のチャートでA4サイズの記録用紙に10K(1万枚)プリントを実施し、温度28℃、湿度80%の高温高湿環境下に24時間放置した後、各色の全面ハーフトーン画像(30%濃度)を出力し、画像流れの発生を評価する実験を行った。
実験条件及び実験結果は、図8に示した通りである。
なお、図中、各パラメータは次の通りである。
St:中間転写ベルト速度
Sp:感光体ドラム速度
SR:(1−Sp/St)×100
L:St−Sp
f:帯電ロールの交流バイアスの周波数
帯電ロール印加バイアス
AC成分:1.5kVp−p
DC成分:−700V
図8から明らかなように、中間転写ベルトの移動速度であるプロセススピードが160mm/s、感光体ドラムの移動速度が159.2mm/sのとき(速度差が0.5%)には、画像流れが未発生であったが、中間転写ベルトの移動速度であるプロセススピードが80mm/s、感光体ドラムの移動速度が79.6mm/sのとき(速度差が0.5%)には、画像流れが顕著に発生した。
これに対して、図8に示すように、中間転写ベルトの移動速度であるプロセススピードが80mm/s、感光体ドラムの移動速度が79.2mm/sのとき(速度差が1.0%)には、画像流れが軽微に発生したが、実使用可能な状態であり、中間転写ベルトの移動速度であるプロセススピードが同じく80mm/s、感光体ドラムの移動速度が78.8mm/sのとき(速度差が1.5%)には、画像流れが未発生であった。
このように、プロセススピードが最も遅い80mm/sのときに、中間転写ベルトと感光体ドラムの速度差を、最大の1.0%又は1.5%に設定することにより、低速モードにおいても、画像流れの発生を抑制乃至防止することができることがわかった。
また、プロセススピードが最も遅い80mm/sのときに、中間転写ベルトと感光体ドラムの速度差を1.0%に設定した場合、単位時間当りの感光体ドラムと中間転写ベルトとの間の移動変化量Lは、速度差を0.5%に設定したプロセススピードが最も速い160mm/sのときと同じ0.8mmであるが、中間転写ベルトと感光体ドラムの速度差を1.5%に設定した場合には、単位時間当りの感光体ドラムと中間転写ベルトとの間の移動変化量Lが、最大である1.2mmとなっており、単位時間当りの感光体ドラムと中間転写ベルトとの間の移動変化量Lが実質的に影響していることが判った。
なお、上記実施例では、図8に示すように、感光体ドラムが帯電ロールによって帯電される際に受ける放電ストレスf/Spを、すべての実験例で一定とするため、感光体ドラムの移動速度Spに応じて、帯電ロールに印加する交流バイアスの周波数fを変化させている。そのため、感光体ドラムの移動速度Spに応じて、帯電ロールに印加する交流バイアスの周波数fを変化させない場合には、低速モードにおける画像流れの発生度合いが上昇することになる。
また、上記実施例では、中間転写ベルトの移動速度をプリンター等のプロセススピードに等しく設定し、感光体ドラムの移動速度をこれによりも遅くしているのは、中間転写ベルトの移動速度は、プリンター等の生産性を直接決定するものであるため、生産性を確保する目的と、感光体ドラムの移動速度をこれによりも遅くすることにより、中間転写ベルトにブレーキを掛ける傾向とし、粘弾性体である中間転写ベルトに振動等が発生するのを防止するためである。
実験例5〜7
実験例1と同様の評価方法において、中間転写ベルトと感光体ドラムとの速度差、及び両者間の単位時間当りの移動量の差を変化させた場合における画像流れの抑制効果を確認した。
図9は上記実験例5〜7の実験結果を示すものである。
この図9から明らかなように、中間転写ベルトの移動速度であるプロセススピードが120mm/s、感光体ドラムの移動速度が119.4mm/sのとき(速度差が0.5%)には、画像流れが顕著に発生していたのに対して、感光体ドラムの移動速度が119.2mm/sのとき(速度差が1.0%)では、画像流れの発生が実使用上問題とならない程度の軽微なものとなり、感光体ドラムの移動速度が118.8mm/sのとき(速度差が1.5%)では、画像流れが発生しなかった。
このように、感光体ドラム15が帯電ロール16によって帯電される際に受ける放電ストレスf/Spが、10、10、10.1と高速モードである160mm/sに対して相対的に大きい値であっても、中間転写ベルトと感光体ドラムの速度差を、1.0%以上に設定することにより、画像流れの発生を抑制乃至防止できることがわかった。
しかも、この実施の形態では、実験例1と実験例6、7の比較から明らかなように、中間転写ベルトと感光体ドラムの速度差が、0.5%から0.7%に大きく設定した場合、両者間の単位時間当たりの移動量の差Lが、0.8mmと等しく、120mm/sにおいて画像流れが軽微に発生していたのに対して、両者間の単位時間当たりの移動量の差Lを、1.2mmと大きく設定することにより、120mm/sにおいて画像流れの発生を防止することができ、両者間の単位時間当たりの移動量の差Lが大きく影響していることがわかった。
比較例
実験例1において、使用したトナーに対して、研摩粒子のみを除いたトナーに代えて同じ評価を実施したところ、画像流れが顕著に発生した。
その結果、トナー中の研摩粒子が画像流れの発生を抑制していることは明らかである。
なお、前記研摩粒子供給手段としては、像担持体のクリーニング装置にクリーニングブラシを設け、当該クリーニングブラシが固形の研摩剤に接触しつつ、微量ずつ感光体ドラムの表面に供給するものを用いても良い。
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターの要部を示す拡大構成図である。 図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターを示す構成図である。 図3はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラー複写機を示す構成図である。 図4は感光体ドラムの層構成を示す模式図である。 図5はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターの駆動系を示す模式図である。 図6はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターの駆動系を示すブロック図である。 図7はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターの電気系を示すブロック図である。 図8は実験例1〜4の結果を示す図表である。 図9は実験例5〜7の結果を示す図表である。
符号の説明
15:感光体ドラム(像担持体)、16:帯電ロール、17:現像装置(研摩粒子供給手段)、18:クリーニング装置、25:中間転写ベルト、50:制御回路。

Claims (7)

  1. 帯電手段により帯電されて互いに異なった色のトナー像が形成される像担持体を備えた複数の画像形成部と、
    前記各画像形成部の像担持体上に形成されたトナーを一次転写する中間転写体と、
    前記各画像形成部の像担持体又は中間転写体の表面の少なくとも一方に研摩粒子を供給する研摩粒子供給手段と、
    前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間に所定の速度差を有し、且つ異なった複数の画像形成速度で駆動するように制御する手段であって、前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間の速度差を、画像形成速度が相対的に遅いときに大きくなるように制御する速度制御手段とを具備したことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記速度制御手段は、画像形成速度が相対的に遅いときに、単位時間当りの前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間の移動変化量が大きくなるように設定したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記帯電手段に印加する交流バイアス電圧の周波数をf、画像形成速度をSpとしたとき、画像形成速度Spが変化したときに、交流バイアス電圧の周波数fと画像形成速度Spとの比であるf/Spが異なるように構成され、当該f/Spの値が相対的に大きいときに、前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間の速度差が大きくなるように設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記速度制御手段は、前記f/Spの値が相対的に大きいときに、単位時間当りの前記各画像形成部の像担持体と中間転写体との間の移動変化量が大きくなるように設定したことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記像担持体は、その電荷輸送層の表面に保護層としての表面層を備えた感光体ドラムであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれに記載の画像形成装置。
  6. 前記研摩粒子は、現像剤に含有されており、前記研摩粒子供給手段として、現像手段が用いられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれに記載の画像形成装置。
  7. 前記研摩粒子供給手段は、像担持体のクリーニング装置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれに記載の画像形成装置。
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