JP2014102147A - 生体試料の切断装置及び切断方法並びに細胞観察方法 - Google Patents

生体試料の切断装置及び切断方法並びに細胞観察方法 Download PDF

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Abstract

【課題】細胞の生きた状態を保持して生体試料のワークを薄片に切断する。
【解決手段】生体試料のワークWを薄片に切断するための切断装置であって、ワークWが載置される基板4と、ワークWを基板4上に凍結固定する手段と、一定の回転方向rへの回転動作により基板4上に凍結固定されたワークWを切断して薄片を切り出すためのブレード1と、を備え、ブレード1の刃先11の形状は、回転軸Cからの距離Rminが最も短い最近点Pminである一端から、回転軸Cからの距離Rmaxが最も長い最遠点Pmaxである他端まで、回転軸Cからの距離が単調増加する曲線であって、最遠点Pmaxは最近点Pminより回転方向rにおいて後方に位置し、かつ、最近点Pminと最遠点Pmaxを結ぶ直線Qに対して回転軸Cの反対側に凸となる曲線である。
【選択図】図1

Description

本発明は、細胞又は組織を含む生体試料を凍結させて薄片に切断する切断装置及び切断方法並びに細胞観察方法に関する。
従来、生物学や医学等の技術分野において、生体試料を凍結させて薄片に切断する装置が知られている。生体試料とは、例えば、人間や動物、植物から採取したものであり、例えば、内臓や身体の一部等である。生体試料には、通常、1又は複数の組織が含まれている。このような組織は、何種類かの細胞が集合して所定の構造を形成したものである。
特許文献1は、外科手術中に短時間で病変部の性質を判断するための凍結薄切片作製装置を開示している。特許文献1の装置は、−10℃〜−30℃程度の冷凍装置内にロータリーミクロトーム(薄切装置)を設置したものである。特許文献1の装置は、細胞が徐々に凍結する際の水の体積膨張による組織破壊を防止するために、マイクロ波照射を行って細胞中の水分を過冷却状態とし、マイクロ波照射の停止により細胞を瞬時に凍結させるものである。この細胞を瞬時凍結させた組織をロータリーミクロトームにより例えば5μm〜10μmに薄切りして、顕微鏡観察等による診断に供している。
一方、全く異なる技術分野である機械加工の分野において、フライス加工や研削加工等の対象であるワークを凍結固定する装置及び方法が知られている。特許文献2及び3は、液状若しくは粘状の凝固剤(水溶性ポリマー等)をワークと基板の間に介在させ、凝固剤を5℃〜15℃程度で冷凍してワークを冷凍固定した後、処理具によりワークを加工処理する方法を開示している。
特開2011−232299号公報 特開2007−30059号公報 特開2007−237376号公報
特許文献1の装置は、生体試料の採取、切断及び診断までを数分から数十分という短時間で行うためのものであり、生体試料全般(長期保存されているものもある)に適用可能な切断装置ではない。また、マイクロ波照射のための特別な設備も必要であり、一般的に利用できる切断方法ではない。
特許文献1でも用いている公知の切断装置であるミクロトームは、通常、冷凍温度が−50℃程度までである。生体試料の細胞を劣化させずに半永久的に保存できる温度は、液体窒素の温度程度とされており、それより高温では細胞の劣化が進む。また、ミクロトームでは、試料の前処理としてパラフィン等を用いた包埋処理や凍結処理が必要であるが、作業者の技能に依存する部分が多いために、良好な試料を誰もが容易に作製することは難しい。また、ミクロトームでは、試料の固定に必要な前処理(例えばホルマリン等による処理、脱水してからのパラフィン処理など)によって細胞が生体内で備えていた機能は失われ、細胞は、いわば死んだ状態となる。さらに一般的なミクロトーム利用技術では、準備開始から生体試料の切断を経て細胞観察を行うまでの期間が例えば5日間と長く、時間的コスト及び人的コストが非常に大きかった。
また、特許文献2及び3における機械加工分野における凍結切断装置では、固定のための冷凍温度が高いことに加え、機械加工において一般的な円盤刃を用いているため、生体試料の切断にこの装置をそのまま適用しても、細胞が破壊されてしまう。これは、生体試料が円盤刃の刃先により切断された後にも、切断面と刃の側面とが長く接触するために、切断面が摩擦により加熱されて細胞が劣化したり、形状が変化したりするためである。カミソリ状の刃を直線的に動かして生体試料を切断する場合も同様である。
以上の現状に鑑み、本発明は、生体試料を薄片に切断する装置及び方法において、生体試料に含まれる組織及び細胞を劣化させることなく、元の生体中に存在していた状態を保持したまま、例えば数μm〜数十μm程度の薄片に切断することを目的とする。加えて、本発明は、採取直後の生体試料であっても長期保存された生体試料であっても、短時間で行える簡易な前処理のみで確実に切断することを目的とする。
上記の目的を達成するべく本発明は、以下の構成を提供する。なお、括弧内の符号は、後述する図面中の符号であり、参考のために付している。
本発明の第1の態様は、生体試料のワーク(W)を薄片に切断するための切断装置であって、前記ワーク(W)が載置される基板(4)と、前記ワーク(W)を前記基板(4)上に凍結固定する手段と、一定の回転方向(r)への回転動作により前記基板(4)上に凍結固定された前記ワーク(W)を切断して薄片を切り出すためのブレード(1)と、を備え、前記ブレード(1)の刃先(11)の形状は、回転軸(C)からの距離(Rmin)が最も短い最近点(Pmin)である一端から、前記回転軸(C)からの距離(Rmax)が最も長い最遠点(Pmax)である他端まで、前記回転軸(C)からの距離が単調増加する曲線であって、前記最遠点(Pmax)は前記最近点(Pmin)より回転方向(r)において後方に位置し、かつ、最近点(Pmin)と最遠点(Pmax)を結ぶ直線(Q)に対して前記回転軸(C)の反対側に凸となる曲線であることを特徴とする。
上記の第1の態様において、前記凍結固定する手段は、極低温液体を用いたものであることが、好適である。また、前記ブレード(1)による切断中に前記ワーク(W)に対して極低温液体を補給することが、好適である。極低温液体は液体窒素であることが好適である。
本発明の第2の態様は、生体試料のワーク(W)を薄片に切断するための切断方法であって、前記ワーク(W)を基板上に載置する工程と、前記ワーク(W)を前記基板(4)上に凍結固定する工程と、ブレード(1)を一定の回転方向(r)へ回転させることにより前記基板(4)上に凍結固定された前記ワーク(W)を切断して薄片を切り出す工程と、を備え、前記ブレード(1)の刃先(11)の形状は、回転軸(C)からの距離(Rmin)が最も短い最近点(Pmin)である一端から、前記回転軸(C)からの距離(Rmax)が最も長い最遠点(Pmax)である他端まで、前記回転軸(C)からの距離が単調増加する曲線であって、前記最遠点(Pmax)は前記最近点(Pmin)より回転方向(r)において後方に位置し、かつ、最近点(Pmin)と最遠点(Pmax)を結ぶ直線(Q)に対して前記回転軸(C)の反対側に凸となる曲線であることを特徴とする。
上記第2の態様において、前記凍結固定する工程において、極低温液体を用いることが、好適である。また、前記ブレード(1)による切断中に前記ワーク(W)に対して極低温液体を補給することが、好適である。極低温液体は液体窒素であることが好適である。
本発明の第3の態様は、上記第2の態様の切断方法を用いて作製された生体試料の薄片である。
本発明の第4の態様は、細胞観察方法であって、上記第2の態様の切断方法を用いて生体試料の薄片を作製する工程と、前記薄片を組織培養液に浸漬した状態にて前記薄片に含まれる細胞を位相差顕微鏡にて観察する工程と、を有する。さらに、前記薄片を浸漬した前記組織培養液を炭酸ガス培養器に保管して培養を継続しつつ前記薄片に含まれる細胞を位相差顕微鏡にて観察する工程をさらに有することが、好適である。
本発明の第5の態様は、細胞観察方法であって、上記第2の態様の切断方法を用いて生体試料の薄片を作製する工程と、前記薄片を組織培養液に浸漬した後に取り出し、前記薄片に含まれる細胞を染色した後に顕微鏡にて観察する工程と、を有する。
本発明の切断装置及び切断方法は、生体試料であるワークを基板上に固定したワークを、所定形状のブレードを回転させることにより切断するものである。ブレードの形状及び回転動作の組合せによって、従来の円盤刃とは異なり、切断後のワークの切断面とブレードとが長時間接触しないことを実現する。この結果、生体試料の細胞がブレードとの摩擦により劣化したり変形したりすることがない。
また、本発明では、凍結固定用液体によりワークを基板上に瞬間的に凍結固定してから切断する。従って、従来のような、生体試料に含まれる細胞の機能を損傷してしまう前処理は不要である。この結果、本発明を適用して薄片に切断された生体試料においては、その中に含まれる組織又は細胞が生体内に存在していた状態(位置及び機能)を保持している。すなわち、生体内で組織を形成していた細胞の位置がそのまま保持され、かつ、生体内で細胞に備わっていた増殖、修復、代謝、又は細胞間の情報交換等の機能がそのまま保持されている。本明細書では、この状態の細胞を「生きている細胞」と称することとする。切断の過程の間、生体試料のワークが凍結固定用液体の温度に維持されることと、所定の形状のブレードの回転動作を利用してワークを切断することにより、これを実現している。
本発明により例えば数μm〜数十μmの薄片に切断された生体試料は、生きた細胞から構成されているので、生物学、生化学、医学、薬学等の種々の分野における研究における細胞観察用の試料として、又は、これらの分野における製品若しくは製品材料として利用することができる。
さらに、従来の一般的な細胞観察は、生体試料の準備から観察までに数日間を要していたが、本発明では、生体試料の準備から観察までを1時間程度で行うことも可能である。これにより、時間的コスト及び人的コストを大幅に削減することができる。
図1は、本発明による生体試料の切断装置の一例の主要部を概略的に示した(a)正面図、(b)側面図である。 図2(a)は、図1の例において、ブレードがワークを切断する様子を時系列的に示した模式図である。(b)は(a)のA断面の一例を示した図である。 図3は、切断装置におけるブレードの刃先の形状を説明するための模式図である。 図4は、図3で説明したブレードの刃先の形状要件に該当する種々の例を示した図である。 図5は、図3で説明したブレードの刃先の形状要件に該当する種々の例を示した図である。 図6は、図3で説明したブレードの刃先の形状要件に該当する種々の例を示した図である。 図7は、本発明による生体試料の切断方法の工程を説明するための図である。 図8は、図7で説明した生体試料の切断方法を実施するための全体装置の一例を示した概略正面図である。 図9は、本発明の切断装置及び切断方法により切断された生体試料の薄片を側面から見た様子を模式的に示した図である。 図10は、本発明の切断装置を用いてラットの肝臓を25μmの厚さに切断した薄片の顕微鏡写真である。
以下、本発明の生体試料の切断装置及び切断方法の実施形態の一例を示した図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
ここで「生体試料」とは、人間や動物又は植物から採取した、細胞又は組織を含む材料を意味する。本発明を、細胞が生きている状態の生体試料に対して適用した場合、切断後に解凍された薄片に含まれる細胞は、元の生体試料中に存在していたときの状態すなわち、生きている状態を保持している。但し、本発明は、細胞が生きている状態の生体試料にのみ適用されるものではなく、細胞が死んだ状態の生体試料であっても適用可能であり、多様な状態の生体試料に対して適用可能である。
本発明を適用する生体試料は、例えば、生体から採取した直後の生体試料である。また例えば、適宜の保存方法により所定の期間保存されていた生体試料である。保存されていた生体試料の場合は、特定の保存方法に限定されない。好適例は、細胞を半永久的に保存可能とされている液体窒素で瞬間凍結し保存されていた生体試料である。液体窒素以外の極低温液体により凍結された生体試料も適用対象となり得る。また、−80℃程度でも、数ヶ月〜1年程度の生体試料の保存は可能とされており、そのような生体試料にも適用可能である。
本発明の切断装置及び切断方法では、以上のような生体試料を切断用の「ワーク(加工対象物)」とすることができる。
図1は、本発明による生体試料の切断装置の一例の主要部を概略的に示した(a)正面図、(b)側面図である。
図1は、切断刃であるブレード1によるワークWの切断中の状態を示している。図1では、ワークWは略直方体である。ワークWは、平坦なテーブル5の上に敷かれた板状の基板4の上に載置されている。ワークWは、切断直前に凍結固定用液体を滴下されることにより、基板4に凍結固定されている。凍結固定用液体は、好適には極低温液体であり、典型例は液体窒素(−196℃)である。その他の極低温液体として、液体メタン(−163.0℃)、液体酸素(−186.0℃)、液体水素(−252.8℃)なども同様に凍結固定に用いることが可能である。以下では、凍結固定用液体として液体窒素を用いた場合を例として説明する。
テーブル5は、ワークWを移動したり向きを変えたりするために可動である。基板4の平坦な上面は、ワークWの固定面となる。基板4は、液体窒素温度で平坦性を保つ素材であればよく、フッ素樹脂、PET、ガラス、金属等の材料から選択する。基板4の厚さは、例えば200μm〜300μm程度とする。
図1の例では、切断中のワークWは静止している。ブレード1は、円板状の支持板3の周縁の一部から外側に突出している。ブレード1は、固定ボルト14、固定ナット15及び固定板16を用いて支持板3に取り付けられている。ブレード1の固定手段は、図示の例に限られない。ブレード1の実質的な切断機能は、支持板3の周縁から突出した刃先11にある。支持板3は、回転軸部材2に対して同心状に取り付けられている。回転軸部材2を回転させることにより、ブレード1の刃先11が回転してワークWから薄片を切り出している。符号rは、ブレード1の回転方向を示している。一例では、ブレード1の回転は手動にて行う。例えば、回転軸部材2を回転させるハンドルを手でゆっくり回転させる。また、別の例では、電動モータによりブレード1を回転させてもよい。電動モータによるブレード1の回転速度は任意であるが、手動の場合と同程度の低速回転が好ましい。これは、回転中のブレード1の横ブレや振動によってワークWが基板4から剥がれないようにするためである。
切断される薄片の厚さは、ワークWとブレード1の位置関係により設定できる。この設定は、後述するテーブル5の移動により調節される。例えば、5μm、10μm、30μm等の一定の厚さに切断することができる。光学顕微鏡での細胞観察に用いる薄片の厚さは、通常、数μm〜数十μm程度である。
また、ワークWから1枚の薄片を切断して完全に切り離せるように、ブレード1の高さ調節を行う。ブレード1の高さ調節は、回転軸部材2の高さ調節により行う(矢印H参照)。
切断中にワークW及び基板4の温度が上昇しないように、液体窒素補給装置6から液体窒素を補給することが好ましい。図1では、液体窒素補給装置6のノズル部分のみを示しており、図示しない液体窒素タンク等から供給される。液体窒素補給装置6は、ブレード1による切断動作を妨げない位置に設置されている。
図2(a)は、図1の例において、ブレード1がワークWを切断する様子を時系列的に示した模式図である。(b)は(a)のA断面すなわちブレード1の断面の一例を示した図である。
図2(a)に示すように、回転するブレード1の刃先11が、ワークWの上面の縁から入り込み、ワークWの全体を切断して通り抜ける様子を示している。刃先11の通過する最も低い位置が、ワークWの下面にほぼ一致する。これを実現するように、ブレード1の高さが設定されている。
なお、好適例では、図示のように基板4の上に少量の凝固剤7(特許文献3参照)を塗布することが好ましい。凝固剤7の具体例は、例えば、ポリビニルアルコール、デンプン、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース等の粘性を有する水溶性ポリマーが好適である。凝固剤7の基本的な役割は、ワークWを凍結固定する前の仮止めである。加えて、凝固剤7の上にワークWを置くことにより、凝固剤7の厚さの分だけワークWの下面が基板4の表面から持ち上げられる。この場合、図示のようにブレード1の刃先11が凝固剤7まで入り込むようにブレード1の高さを設定することにより、刃先11がワークWの全体を確実に切断できる。また、凝固剤7を塗布しない場合は、刃先11が基板4の表面に当たらないようにブレード1の高さ調節を極めて精確に行う必要があるが、凝固剤7を塗布することで凝固剤7の厚さ分だけブレード1の高さ調節に余裕ができる。
図2(b)のA断面に示すように、ブレード1は、先端の刃先11と、刃先11の両側のテーパー状の切刃12と、平板状の平坦部13とを有する。この例では、ブレード1は両刃となっているが、片刃でもよい。
図3は、本発明の切断装置におけるブレードの刃先11の形状を説明するための模式図である。ブレードの切断機能は、実質的には刃先11によるものである。好適な形状をもった刃先11が一定の回転方向rに回転動作を行うことにより、細胞の生きた状態を保持しつつ生体試料のワークWを切断することができる。図3では、ブレード全体を示す替わりに刃先11のみを太線で示している。符号Cは、刃先11の回転軸すなわち回転中心を示す。刃先11は、一端と他端の間に延在する所定の曲線の形状を有する。
刃先11の一端は、回転軸Cからの距離Rminが最も短い点(「最近点Pmin」と称する)である。刃先11の他端は、回転軸Cからの距離Rmaxが最も長い点(「最遠点Pmax」と称する)である。刃先11は、一端から他端まで延在する曲線の形状を有している。最遠点Pmaxは、回転方向rにおいて最近点Pminよりも後方に位置する。刃先11に沿って最近点Pminから最遠点Pmaxに向かうにつれて、回転軸Cからの距離は単調増加する。例えば、刃先11上の途中の点P1、P2の回転軸Cからの距離をR1、R2とすると、Rmin<R1<R2<Rmaxとなる。
また、刃先11の曲線の形状は、最近点Pminと最遠点Pmaxを結ぶ直線Qに対して回転軸Cの反対側(回転軸Cから見て径方向外側)に凸となる曲線である。この刃先11の曲線は、図3の例では円弧である。別の例として楕円弧でもよく、これ以外の曲線(例えば放物線又はさらに高次の曲線)でもよい。
図3に示した刃先11の各部分の寸法の一例を以下に挙げる。
・回転軸Cから最近点Pminまでの距離Rmin:40mm〜60mm
(距離Rminは、図1の例では円形の支持板3の半径に相当する)
・回転軸Cから最遠点Pmaxまでの距離Rmax:50mm〜75mm
・刃先11の縦方向長さL1:10mm〜15mm
・刃先11の横方向長さL2:18mm〜30mm
(刃先11の「縦方向長さL1」及び「横方向長さL2」は、図3に示すように最遠点Pmaxが最下位置にあるときを採っている)
・ワークWの高さh:5〜8mm
刃先11が回転方向rに回転するとき、刃先11が横切る面内にある物体を切断することができる。刃先11が横切る面は、点線で示す最近点Pminが描く円軌道と最遠点Pmaxが描く円軌道により挟まれた環状の面である。これを「切断可能領域」と称することとする。ワークWから薄片を切り出すには、ワークWの断面が、この切断可能領域内にほぼ含まれるように配置する必要がある。好適な配置例は、図3に示すように、ワークWの下面W1の中央を、最遠点Pmaxの最下位置(鉛直方向で最も低くなる位置)に配置する。さらに、ワークWの上面W2が、最近点Pminの円軌道よりも低くなるようにワークWの高さhを決める。
図3に示す通り、最遠点Pmaxは円軌道を描くので、厳密に言えばワークWの下面W1の左端近傍と右端近傍には刃先11が届かず切断されない領域が生じる。この問題は、図2で説明したように、凝固剤7を基板4上に塗布することにより、ワークWの下面W1を持ち上げることで解消することができる。
図4、図5及び図6は、図3で説明したブレード1の刃先11の形状要件に該当する種々の例を示した図である。
図4(a)に示す3通りの刃先11A、11B、11Cは、最近点Pminと最遠点Pmaxの位置は同じであるが、これらの間の曲線の形状が異なる例を示している。符号11Aは、曲がりが小さい曲線である。符号11Bは、楕円弧である。符号11Cは回転方向rの前方側にせり出した曲線である。図4(b)は、(a)に示した3通りの刃先が回転動作する際に描く最近点Pminと最遠点Pmaxの円軌道を示している。これら3通りの刃先は、最近点Pminと最遠点Pmaxが一致しているので、円軌道も一致している。
また、図4に示すようにブレード1を取り付ける支持板3は、図1に示したような円板でなくともよい。図4では、支持板3は略長方形である。支持板3は、回転軸部材2とともに一体的に回転し、ブレード1(実質的にはその刃先11)を所定の位置に取り付けられる形状であればよい。
図5は、回転軸Cに対するブレード1の取付位置を3通りに変えた例を示している。図5(a)(c)(e)にそれぞれ示すブレード1の刃先11D、11E、11Fは、刃先の形状は同じであるが、回転軸Cに対する取付位置が異なる。取付位置が異なると、回転軸Cから最近点Pmin及び最遠点Pmaxの各々までの距離が変わってくる。図5(b)(d)(f)は、(a)(c)(e)に示したそれぞれの刃先が回転動作する際に描く最近点Pminと最遠点Pmaxの円軌道を示している。刃先の取付位置によって、刃先が横切る面積すなわち切断可能領域の大きさが異なる。
図6(a)(b)(c)は、ブレード1のさらに別の形状の例を示している。図6(a)(b)では、ブレード1の平坦部13が、最遠点Pmaxよりもさらに後方に延びた部分(ハッチング部分)を有している。最遠点Pmaxより後方の部分にも刃先11の延長として刃を設けてもよいが、この部分の刃は切断には寄与しない。刃先11の切断刃としての有効範囲は、図示するように最近点Pminと最遠点Pmaxの間のみである。
ブレード1の回転中、刃先11がワークWを切断すると、刃先11に続く平坦部13は、ワークの切断面と接触しつつ回転する。従って、平坦部13の面積が大きくなるとワークとの接触時間が長くなり、切断面との摩擦でワークの温度が上昇したり、ワークが傷つく可能性がある。このことから、図4及び図5に例示した各ブレードのように、最遠点Pmaxよりも後方側に平坦部13が存在しない形状が好ましい。さらに、図6(c)のように、平坦部13の後縁部が、回転方向rの前方側に切り込まれた形状としてもよい。但し、平坦部13の面積が小さすぎると刃先11を安定に支持できないので、平坦部13の形状と面積は適切に設計する。
図7は、本発明による生体試料の切断方法の工程を説明するための図である。ここでも、液体窒素を用いた例について説明するが、他の極低温液体を用いてもよい。
<生体試料の採取工程>
人間又は動物等の生体の内臓や身体の一部等から適宜の大きさの試料を切除する。試料に含まれる細胞は、上述した生きている状態のものである。この時の試料の大きさは、切断に必要なワークが十分にとれる程度の大きさとする。その後に直ちに本発明による切断作業を行う場合は、後述する<ワークの準備工程>へ移行する。直ちに切断作業を行わない場合は、切除した試料を速やかに液体窒素により凍結し、液体窒素温度に維持して保存する。このような保存技術は公知であり、保存された試料は、細胞が生きた状態を半永久的に保持することができる。
<ワークの準備工程>
必要な設備が配置されたクリーンな空間内で作業を行う。
生体から切除した直後の試料の場合は、液体窒素を滴下するか液体窒素中に浸漬するかして試料を瞬間的に凍結させ、凍結させた部分から適切な大きさのワークを切り出す。
また、液体窒素温度で保存していた試料の場合は、その温度をなるべく維持して速やかに適切な大きさのワークを切り出す。
切断対象のワークとして適した大きさ、特に切断面となる縦横の長さは、切断装置の刃先の切断可能領域の大きさによって決定する。図3を参照すると、一例として、最近点Pminの円軌道における最下位置が基板から8mmの高さの場合、ワークの切断面を5mm×5mmの正方形とする。図3の奥行き方向の長さは適宜であるが、ワークの基板に対する固定面の面積に関係するので、奥行きが短か過ぎると十分な固定ができず、安定な切断も難しくなる。この例では、奥行きを10mm程度とする。このようにして5mm×5mm×10mmの直方体のワークを切り出す。切り出されたワークは、液体窒素により凍結された状態にある。
<ワークの基板への凍結固定工程>
図7(a)に示すように、液体窒素を充填した容器の下面に滴下ノズルを具備する液体窒素滴下装置8を適宜の高さに設置する。
液体窒素滴下装置8の下方にテーブル5と基板4を移動させて配置する。テーブル5及び基板4は、予め−30℃程度に冷却しておく。
前述した通り、基板4の上に凝固剤を塗布することが好ましい。凝固剤は、粘性を有しており、ワークWを基板へ仮止めすることができる。凝固剤は無菌化されたものを用いることが好ましい。なお、図2で示したように、凝固剤の厚さは、ワークWの下面を基板4の表面から持ち上げる役割を果たせる程度とすることが好ましい。
その後、所定の大きさに切り出された凍結状態のワークWを、液体窒素滴下装置8の滴下ノズルの直下に位置するように基板4上(凝固剤を塗布した上)に載置する。さらに、ワークWの周囲に散乱防止リング9を載置する。散乱防止リング9は、滴下される液体窒素Nが周囲に散逸することを防止する。その後、液体窒素滴下装置8から液体窒素Nを滴下する。滴下量は調整可能とする。ワークWと基板4に液体窒素を供給できる装置であれば、図示した液体窒素滴下装置8以外の形態の装置や器具を用いてもよい。液体窒素Nの滴下により、ワークW(それ自体は既に凍結状態となっている)が、さらに基板4に対して瞬間的に凍結固定される。この凍結固定による固定強度は、後述する切断工程の間、ワークWが基板4から剥がれることがない程度の強さである。
ワークWの切り出しから基板4上への載置、液体窒素Nの滴下の一連の操作は、凍結状態のワークWの温度が上昇しないように、できるだけ速やかに行う。
<テーブル移動工程>
続いて、図7(a)の位置から図7(b)の位置へテーブルをX方向に移動させる(白矢印参照)。図7(b)に示すように、切断装置の回転軸部材2の直下にワークを位置させる。この時点では、切断装置の回転軸部材2は高さ調節Hにより上昇している。また、ブレード1は、切断位置から十分な角度をもって離れた準備位置にある。
<位置調整工程>
続いて、ワークWを適切な位置とするために位置調整を行う。水平面内の位置調整は、テーブル5のX方向及びY方向の平行移動と、θ方向の回転移動により行う。これらのテーブル5の移動機構は、手動でも電動モータによるものでもよい。好適には、移動量を設定可能な制御機構を備えた電動モータを用いることが好ましい。
X方向の移動は、ワークWを、ブレード1の回転軸Cの直下に位置させるために行う。Y方向の移動は、ワークWの最初の切断位置及びワークWから切り出される薄片の厚さを決定するために行う。θ方向の回転移動は、ワークWを凍結固定した際の反りの調整やワークWの向きを調整するために行う。
最後に、回転軸部材2の高さを切断位置まで降下させる。この時点では、ブレード1はワークWから離れた準備位置にあるので、ワークWには触れない。
<切断工程>
回転軸部材2を回転させることにより、ブレード1を回転方向rの方向に回転させてワークWを切断する。このブレード1の回転は、手動でも電動モータによるものでもよい。位置調整工程及び切断工程の間、ワークW及び基板4の温度が上昇しないように、液体窒素補給装置6から適量の液体窒素を補給する。この補給は、連続的でも断続的でもよい。ブレード1がワークWを通過し、薄片を切り離すと、切り離された薄片は基板4上に倒れる。
なお、図7の実施形態では、ブレード1の回転中にワークWは静止している。
別の実施形態として、ブレード1の回転中にワークWをX方向の右側から左側に平行移動させてもよい。さらに別の実施形態として、ブレード1の回転中に回転軸CをX方向の左側から右側に平行移動させてもよい。これらの別の実施形態の場合、刃先11は、ワークWに対して円運動と直線運動を合成した動きを行うこととなる。従って、刃先11の最遠点Pmax(図3参照)の動きは、ワークWの下面の左端から右端へ下面に沿って移動するような動きとなる。これにより、ワークWの下面近傍において刃先11が届かない領域がほぼなくなる。その場合は、凝固剤によるワークWの下面の持ち上げが不要となり、凝固剤は専ら仮止めのために用いられることになる。
<次の切断工程の準備>
次の薄片を続いて切断する場合は、ブレード1を回転方向rに回転させて図7(b)の準備位置に戻し、ワークWを次の薄片の厚さに応じた距離だけY方向に移動させる。切断可能な薄片の厚さの下限は、ブレード1の平坦部の厚さや切刃の長さ等の種々の条件に依存する。例えば、ブレード1の平坦部の厚さが200〜250μm程度の場合、数μmまでの薄片を切断できることが、切断実験により確認されている。
<薄片の後処理工程>
基板4上に倒れた薄片は、ピンセット等で取り出して直ちに組織培養液中に浸漬する。これは、薄片を保護すると同時に解凍させるためである。なお、複数回の切断を連続して行い、複数枚の薄片をまとめて取り出してもよい。組織培養液に移動させる間に温度が上昇しないように、切断された薄片に対して、取り出し直前に液体窒素を滴下して補給してもよい。
<細胞の観察方法>
上記のようにして組織培養液中で解凍された生体試料の薄片は、例えば、次のような細胞観察に供される。
・観察方法1
容器に入った組織培養液中に薄片を浸漬した状態において、容器の外側から薄片に含まれる細胞を位相差顕微鏡にて観察する。
・観察方法2
上記観察方法1に続いて、薄片を浸漬した組織培養液の容器を炭酸ガス培養器(例えば、37℃、炭酸ガス濃度5%)に保管して培養を継続する。その途中で、容器の外側から薄片に含まれる細胞を位相差顕微鏡にて観察する。この観察は、細胞が生きた状態ではなくなるまで続けられる。この観察方法は、例えば、医薬等の化学物質を添加して細胞への影響を調べる場合に適用可能である。
・観察方法3
容器に入った組織培養液中に浸漬した薄片を取り出し、薄片に含まれる細胞を染色した後に顕微鏡にて観察する。
従来の細胞観察は、生体試料に対してホルマリン処理、アルコール(100%)処理、パラフィン封入処理等を行った上で薄片を切り出して、染色を行い観察することが一般的であった。従来の方法は、時間がかかり、作業も煩雑であり、かつ種々の処理剤も必要であった上、生きた状態の細胞の観察はできなかった。一方、本発明を適用することで、短時間の簡易な操作で薄片を切り出すことができ、種々の処理剤も不要となる。また、本発明により、生きた状態の細胞を切断し、観察することが可能となる。
図8は、図7で説明した生体試料の切断方法を実施するための、切断装置を含む全体装置の一例を示した概略正面図である。
図8に示すクリーンベンチ20やグローブボックス等の無菌作業室の作業空間21内に上述した切断装置の主要部が設置されている。作業空間21は、周囲環境から遮蔽した状態で作業することが可能である。図示しないが、クリーンベンチ20の前面には、上下方向に可動のスライドドアが設けられている。あるいは、クリーンベンチ20の前面に作業用のグローブが設けられていてもよい。
上部にはヘパフィルタ22が設置され、作業空間21の換気を行い無菌状態に保持する。作業空間21内には、UVランプ24及びオゾン発生装置25も適宜設置されている。
作業空間21内の右側に切断装置の回転軸部材2が高さ調整可能に設置されている。クリーンベンチ20の外部に設けた手動切断用操作部26の回転は、適宜の伝達機構により回転軸部材2の回転として伝達される。これは、手動により切断を行う場合に用いる。液体窒素補給装置6は、ブレード1の近傍に位置調整可能に設置されている。
作業空間21内の左側に液体窒素滴下装置8が設置されている。液体窒素滴下装置8は、クリーンベンチ20の外部に設けた手動切断用操作部27の回転により、Y方向(X方向に垂直な方向)に位置調整可能である。
テーブル5のX方向及びY方向の移動は、テーブル5をエアーチャック等により固定した可動台10の移動制御により行う。可動台10の移動制御は、作業空間21の右端に設けられた操作盤23により電動モータを制御して行う。図7に示したテーブル5のθ方向の回転は、クリーンベンチ20の外部に設けた可動台θ角度操作部28の回転により行うことができる。
操作盤23は、その外面上にクリーンベンチ20の運転や切断装置に関する種々の設定を行うための操作ボタン等が設けられている。操作盤23の内部には、電気機器や電動モータ等の制御機器が収容されている。
図9は、本発明の切断装置及び切断方法により切断された生体試料の薄片を側面から見た様子を模式的に示した図である。
図9における上下の面が、ブレードによる切断面である。薄片の厚さtは、一例として約30μmとする。符号CL1、CL2は、1つ1つの細胞を示している。この例では1つの細胞の直径dは10μm程度である。切断面に位置して一部が切断された細胞CL2は、細胞の内容物が流出して細胞膜のみが残っている。これに対し、2つの切断面の間に位置する細胞CL1は、全体がそのまま保持されている。例えば、顕微鏡観察を行うと、完全に保持されている細胞CL1等を観察できる。そして、このような細胞CL1は、元の生体内に存在していた状態(位置及び機能)を保持していることが確認された。すなわち、生体内で組織を形成していた細胞の位置がそのまま保持され、かつ、生体内で細胞に備わっていた増殖、修復、代謝、又は細胞間の情報交換等の機能がそのまま保持された生きている細胞であることが確認された。
比較例として、ワークを凍結固定した状態で、直線刃や円盤刃を用いた切断方法、及び、刃を直線状に移動させる切断方法を試みたが、いずれも薄片に含まれる細胞が変形したり、位置が変わったり、ほとんどの細胞が完全に破壊されたりした。また、ワークを凍結固定せずに柔らかい状態のまま基板に載置した場合も、薄片の切り出しはできなかった。
なお、本発明の切断装置及び切断方法は、細胞を生きた状態で保持する必要のない生体試料にも適用可能である。その場合は、極低温に維持する必要がないので、極低温液体以外の固定手段でワークを凍結固定してもよい。例えば、上述した凝固剤を冷却して冷凍することでワークを凍結固定することもできる(特許文献3参照)。
図10は、本発明の切断装置を用いてラットの肝臓を25μmの厚さに切断した薄片の顕微鏡写真(倍率400倍)である。各細胞は、生体内にあったときの状態を維持している。
本発明の切断装置及び切断方法は、所定の実験を行った後の生体試料に適用することにより、実験結果として細胞の状態を確認するために用いることができる。また、本発明の切断装置及び切断方法により切断された生体試料の薄片を用いて所定の実験を行い経過を観察したり、薄片を用いて所定の製品を生産したりすることも可能である。
最後に、本発明の実施形態は、図面を参照して説明した具体例に限定されるものではなく、本発明の主旨に沿う限りにおいて種々の変形態様が可能である。
1 ブレード
11 刃先
12 切刃
13 平坦部
14 固定ボルト
15 固定ナット
16 固定板
2 回転軸部材
3 支持板
4 基板
5 テーブル
6 液体窒素補給装置
7 凝固剤
8 液体窒素滴下装置
9 散乱防止リング
10 可動台
20 クリーンベンチ
21 作業空間
22 ヘパフィルター装置
23 操作パネル
24 UVランプ
25 オゾン発生装置
26 手動切断用操作部
27 滴下装置Y軸操作部
28 可動台θ角度操作部
r 回転方向
C 回転軸
Pmin 刃先の最近点
Pmax 刃先の最遠点
W ワーク
W1 ワーク上面
W2 ワーク下面
CL1、CL2 細胞
d 細胞直径
t 薄片厚さ

Claims (12)

  1. 生体試料のワーク(W)を薄片に切断するための切断装置であって、
    前記ワーク(W)が載置される基板(4)と、
    前記ワーク(W)を前記基板(4)上に凍結固定する手段と、
    一定の回転方向(r)への回転動作により前記基板(4)上に凍結固定された前記ワーク(W)を切断して薄片を切り出すためのブレード(1)と、を備え、
    前記ブレード(1)の刃先(11)の形状は、回転軸(C)からの距離(Rmin)が最も短い最近点(Pmin)である一端から、前記回転軸(C)からの距離(Rmax)が最も長い最遠点(Pmax)である他端まで、前記回転軸(C)からの距離が単調増加する曲線であって、前記最遠点(Pmax)は前記最近点(Pmin)より回転方向(r)において後方に位置し、かつ、最近点(Pmin)と最遠点(Pmax)を結ぶ直線(Q)に対して前記回転軸(C)の反対側に凸となる曲線であることを特徴とする
    生体試料の切断装置。
  2. 前記凍結固定する手段は、極低温液体を用いたものであることを特徴とする請求項1に記載の生体試料の切断装置。
  3. 前記ブレード(1)による切断中に前記ワーク(W)に対して極低温液体を補給することを特徴とする請求項2に記載の生体試料の切断装置。
  4. 前記極低温液体が液体窒素であることを特徴とする請求項2又は3に記載の生体試料の切断装置。
  5. 生体試料のワーク(W)を薄片に切断するための切断方法であって、
    前記ワーク(W)を基板上に載置する工程と、
    前記ワーク(W)を前記基板(4)上に凍結固定する工程と、
    ブレード(1)を一定の回転方向(r)へ回転させることにより前記基板(4)上に凍結固定された前記ワーク(W)を切断して薄片を切り出す工程と、を備え、
    前記ブレード(1)の刃先(11)の形状は、回転軸(C)からの距離(Rmin)が最も短い最近点(Pmin)である一端から、前記回転軸(C)からの距離(Rmax)が最も長い最遠点(Pmax)である他端まで、前記回転軸(C)からの距離が単調増加する曲線であって、前記最遠点(Pmax)は前記最近点(Pmin)より回転方向(r)において後方に位置し、かつ、最近点(Pmin)と最遠点(Pmax)を結ぶ直線(Q)に対して前記回転軸(C)の反対側に凸となる曲線であることを特徴とする
    生体試料の切断方法。
  6. 前記凍結固定する工程において、極低温液体を用いることを特徴とする請求項5に記載の生体試料の切断方法。
  7. 前記ブレード(1)による切断中に前記ワーク(W)に対して極低温液体を補給することを特徴とする請求項6に記載の生体試料の切断方法。
  8. 前記極低温液体が液体窒素であることを特徴とする請求項6又は7に記載の生体試料の切断方法。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の、生体試料の切断方法を用いて作製された生体試料の薄片。
  10. 細胞観察方法であって、
    請求項5〜8のいずれかに記載の、生体試料の切断方法を用いて生体試料の薄片を作製する工程と、
    前記薄片を組織培養液に浸漬した状態にて前記薄片に含まれる細胞を位相差顕微鏡にて観察する工程と、を有する
    細胞観察方法。
  11. 前記薄片を浸漬した前記組織培養液を炭酸ガス培養器に保管して培養を継続しつつ前記薄片に含まれる細胞を位相差顕微鏡にて観察する工程をさらに有する
    請求項10に記載の細胞観察方法。
  12. 細胞観察方法であって、
    請求項5〜8のいずれかに記載の、生体試料の切断方法を用いて生体試料の薄片を作製する工程と、
    前記薄片を組織培養液に浸漬した後に取り出し、前記薄片に含まれる細胞を染色した後に顕微鏡にて観察する工程と、を有する
    細胞観察方法。
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