JP2014100985A - ラックピニオンステアリング装置用ラックガイド、ラックピニオンステアリング装置、及びラックピニオンステアリング装置用ラックガイドの製造方法 - Google Patents

ラックピニオンステアリング装置用ラックガイド、ラックピニオンステアリング装置、及びラックピニオンステアリング装置用ラックガイドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】静音性を確保するためにラックガイドとラックガイド基体との密着性を維持した上で、簡易な構成のラックピニオンステアリング装置用ラックガイド、ラックピニオンステアリング装置、及びラックピニオンステアリング装置用ラックガイドの製造方法を提供する。
【解決手段】ケーシングと、ケーシングに回転自在に支持されるピニオンと、ピニオンに噛合するラック歯を有するラックバーと、ラックバーを摺動自在にラックバーに当接する当接部103a1、103a2と、当接部に連続しラックバーから離間する逃げ部103b1、103b2と、を有するラックガイド103と、ラックガイドを収容するラックガイド基体と、ラックガイド基体を介してラックガイドをラックバーに付勢する付勢手段と、を備え、逃げ部の厚さ寸法は、当接部の厚さ寸法と異なるラックガイド、ラックガイドを備えるラックピニオンステアリング装置、及びラックガイド製造方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、ラックガイド基体への密着性を高めることができるラックピニオンステアリング装置用ラックガイド、当該ラックガイドを備えるラックピニオンステアリング装置及び当該ラックガイドの製造方法に関する。
従来より利用されているラックピニオンステアリング装置は、ケーシングと、ケーシングに回転自在に支持されるピニオンと、当該ピニオンに噛合するラック歯が形成されているラックバーと、ケーシング内に配置されラックバーを摺動自在に支持するラックガイドと、ラックガイドの外面を支持するラックガイド基体と、ラックガイド基体を介しラックバー方向にラックガイドを押圧するスプリングとを備える(特許文献1)。
上記構成のラックピニオンステアリング装置のラックガイドは、可動するラックバーのラックガイドに対して相対移動する際に、ラックバーの摺動抵抗が過度に大きくならないように複数の曲率半径から構成される湾曲面を備えるように成形される部材である。従って、ラックガイド基体もラックガイドを確実に保持するために、ラックガイドの外面に当接するラックガイド基体のラックガイド支持面は、ラックガイドと同様に複数の曲率半径を有する湾曲面を備える相補的な形状に加工されている。
特開2001−10510号
従来から用いられる加工技術であれば、ラックガイドの外面と相補的な形状にラックガイド支持面を所望の精度で形成することは可能である。しかし、ラックガイドの外面とラックガイド基体の支持面とを高精度で密着させ静音性を確保するためには、ラックガイド、金型、ラックガイドを組み付けるラックガイド基体等の製造工程を簡素化することが難しい。また、製造工程の簡素化が困難であるため、製造コストの更なる低廉化が難しい。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものである。すなわち、静音性を確保するためにラックガイドとラックガイド基体との密着性を維持した上で、簡易な構成のラックピニオンステアリング装置用ラックガイド、ラックピニオンステアリング装置、及びラックピニオンステアリング装置用ラックガイドの製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のラックピニオンステアリング装置の第1の態様は、ケーシングと、前記ケーシングに回転自在に支持されるピニオンと、前記ピニオンに噛合するラック歯を有するラックバーと、前記ラックバーを摺動自在に前記ラックバーに当接する当接部と、前記当接部に連続し前記ラックバーから離間する逃げ部と、を有するラックガイドと、前記ラックガイドを収容するラックガイド基体と、前記ラックガイド基体を介して前記ラックガイドを前記ラックバーに付勢する付勢手段と、を備え、前記逃げ部の厚さ寸法は、前記当接部の厚さ寸法と異なる。
また、本発明のラックピニオンステアリング装置の第2の態様によれば、前記第1の態様のラックピニオンステアリング装置であって、前記逃げ部の厚さ寸法は、前記当接部から離れるに従い漸減する。
本発明のラックピニオンステアリング装置の第3の態様によれば、前記第1又は第2の態様のラックピニオンステアリング装置であって、前記当接部の前記ラックバーに当接する当接面は、可塑性材料から構成される面を有する。
本発明のラックピニオンステアリング装置の第4の態様によれば、前記第1乃至第3の態様のいずれかのラックピニオンステアリング装置であって、前記ラックガイド基体に当接する前記ラックガイドの外面が、単一の曲率半径又は中心線に関し左右それぞれ単一の傾きを有する。
本発明のラックピニオンステアリング装置の第5の態様によれば、前記第3の態様のラックピニオンステアリング装置であって、前記可塑材料は、樹脂、多孔質金属又は焼結合金である。
さらに、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のラックガイド製造方法の第1の態様は、ピニオンとラックバーとが噛合するように前記ラックバーを支持可能で、前記ラックバーに当接する当接部と、前記ラックバーから離間する逃げ部を有する、ラックガイド基体に収容されるラックピニオンステアリング用ラックガイドを製造するラックガイド製造方法であって、前記逃げ部の厚さ寸法が前記当接部の厚さ寸法と異なるように被加工物を所定の厚さにする加工を行う。
また、本発明のラックガイド製造方法の第2の態様によれば、前記第1の態様のラックガイド製造方法であって、前記被加工物の前記ラックバーに当接する前記当接部の当接面になる部位は、樹脂、多孔質金属又は焼結合金からなる面を有している。
本発明のラックガイド製造方法の第3の態様によれば、前記第2の態様のラックガイド製造方法であって、前記被加工物を所定の厚さにする加工は、前記被加工物の前記逃げ部になる部位を圧縮加工することにより行われる。
本発明のラックガイド製造方法の第4の態様によれば、前記第1乃至3の態様のいずれかのラックガイド製造方法であって、前記ラックガイド基体に当接可能なように前記ラックガイドの外面が、単一の曲率半径又は中心線に関し左右それぞれ単一の傾きを有するように曲げ加工を行う。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のラックピニオンステアリング用ラックガイドの第1の態様は、ピニオンとラックバーとが噛合するように前記ラックバーを支持可能で、ラックガイド基体に収容されるラックピニオンステアリング用ラックガイドであって、前記ラックバーを摺動自在に前記ラックバーに当接できる当接部と、前記当接部に連続し前記ラックバーから離間する逃げ部と、を備え、前記逃げ部の厚さ寸法は、前記当接部の厚さ寸法と異なる。
また、本発明のラックピニオンステアリング用ラックガイドの第2の態様によれば、前記第1の態様のラックピニオンステアリング用ラックガイドであって、前記逃げ部は、前記当接部から離れるに従い厚さが漸減する。
本発明のラックピニオンステアリング用ラックガイドの第3の態様によれば、前記第1又は第2の態様のラックピニオンステアリング用ラックガイドであって、前記ラックバーに当接可能な前記当接部の当接面は、樹脂層、多孔質金属又は焼結合金から構成される面を有する。
本発明のラックピニオンステアリング用ラックガイドの第4の態様によれば、前記第1乃至第3の態様のいずれかのラックピニオンステアリング用ラックガイドであって、前記ラックガイド基体に当接可能な前記ラックガイドの外面が、単一の曲率半径又は中心線に関し左右それぞれ単一の傾きを有する。
本発明にかかるラックピニオンステアリング装置用ラックガイド、ラックピニオンステアリング装置が備えるラックガイド、及びラックピニオンステアリング装置用ラックガイドの製造方法で製造されるラックガイドは、厚さ寸法が互いに異なる、ラックガイド基体に当接するラックガイドの当接部と逃げ部を設けていることにより、外面の曲率半径が単一の寸法で形成されている。従って、ラックガイド基体に支持されるラックガイドの外面の形状が簡素化され、ラックガイドのラックガイド基体に対する密着性を容易に実現できる。結果として、ラックガイドの静音化を実現しつつ、ラックガイドの製造コストを低廉化することができる。
第1の実施形態に係るラックピニオンステアリング装置の一部を模式的に示す一部縦断面部分図である。 図1に示すラックガイド及びラックガイド基体の平面図である。 図2の線III−IIIに沿った断面図である。 図1に示すラックガイドを拡大し示す拡大断面図である。 図4のV部の拡大断面図である。 ラックガイドの製造工程を示す断面図であり、(a)は、材料部材がプレスされる前の状態を示し、(b)は、材料部材がプレスされている状態を示す。 第2の実施形態に係るラックガイドを示す断面図である。 第3の実施形態に係るラックガイドを示す断面図である。
以下に、本発明に係るラックピニオンステアリング装置用ラックガイドを備えるラックピニオンステアリング装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態に係るラックピニオンステアリング装置101の一部を模式的に示す縦断面部分図であり、図2は、図1に示すラックガイド103及びラックガイド基体105の平面図であり、図3は、線III−III(ラックガイド基体105の直径)に沿った断面図であり、図4は、図1に示すラックガイド103を拡大し示す拡大断面図であり、図5は、図4のV部の拡大断面図である。なお、図1、図4、図6は、図3と同様に、平面視で互いに同心のラックガイド103、ラックガイド基体105、固定部121の中心線xを通り、後述の直線状縁部117を2等分する仮想面に沿った断面図である。
図1に示すように、ラックピニオンステアリング装置101は、主として、筐体であるケーシング107と、ケーシング107内に回転自在に支持されるピニオン109と、ピニオン109に噛合するラック歯111aを備えるラックバー111と、ラックバー111を摺動自在に当接する当接部103a1、103a2と、当接部103a1、103a2に連続しラックバー111から離間する逃げ部103b1、103b2とを有するラックガイド103と、ラックガイド103を収容するラックガイド基体105と、ラックガイド基体105を介してラックガイド103をラックバー111に付勢する付勢手段であるである弾性部材114と、を備える。逃げ部103b1、103b2の厚さ寸法は、当接部103a1、103a2の厚さ寸法(ROとRIの差分)と異なる。なお、厚さ寸法については、図4を参照しつつ後述する。さらに、本実施形態では、ラックガイド基体105に当接するラックガイド103の支持面を構成する外面Qが、単一の曲率半径ROを有する。なお、ラックバー111に接する当接部とラックバー111に非接触の逃げ部とは、ラックガイド103に対するラックバー111の摺動面積を調整するために設けられている。
前述のピニオン109は円形歯車であり、ステアリング軸113の一端部に連結され、他端部は、操作者が操舵するために用いる不図示のステアリングホイールが装着されている。ピニオン109は、ケーシング107内に配置される一対の転がり軸受115により回転可能に支持されている。ステアリング軸113の軸心方向(図1の左右方向)に対し交差する方向に延在するラックバー111がケーシング107を貫通するように配置されている。
ラックバー111には、ラック歯111aが設けられ、ラック歯111aは、ピニオン109に噛合することでステアリング軸113の回転運動は、ピニオン109及びラック歯111aを介して、ラックバー111の直線運動に変換される。さらに、ラックバー111は、ラック歯111aが設けられている部位に連続し、所定の曲率半径を有する円弧状部111bを有する。
ケーシング107内に配置されるラックガイド基体105は、図1〜3に示されるように、円柱状の部材であり、図1の上下方向にのみ摺動できるようにケーシング107の壁面により移動が規制されている。ラックガイド基体105は、コイルスプリング114の一端部が当接し、コイルスプリング114の一部を収容する弾性部材収容部105aと、弾性部材収容部105aに対向する側であり、ラックバー111の円弧状部111b側に設けられるラックガイド103を収容するための凹部であるラックガイド収容部105bとを有する。
また、コイルスプリング114の他端部は、ケーシング107の内壁に固定されている。したがって、コイルスプリング114の弾性力により、ラックガイド基体105がラックガイド103を介し、ラックバー111のラック歯111aと、ステアリング軸113のピニオン109との係合を維持するように付勢される。
図2に示されるように、ラックガイド103は、平面視において、互いに平行な2つの直線状縁部117と、直線状縁部117に連結する2つの円弧状縁部119と、を有する。さらに、ラックガイド103は、平面視における中心に凹部である固定部121が絞り加工等により設けられている。固定部121の形状、寸法は適宜変更可能である。固定部121は、ラックガイド基体105に設けられている貫通口内に挿入され、ラックガイド103のラックガイド基体105に対する位置決めが行われる。なお、本実施形態では、固定部121は、当接部103b1、103b2により取り囲まれるように配置されている。
図4に示すように、ラックガイド103は、ラックガイド103の中心線xに関し、その断面が左右対称な形状であるので、ラックガイド103の右半分の部位について説明する。当接部103a1の厚さ寸法(曲率中心Oに関する半径方向長さ)は一定である。当接部103a1の外面Qは、曲率中心Oとする曲率半径がROで示される。当接部103a1の内面T1は、曲率中心Oとする曲率半径がRIで示される。
また、当接部103a1の他端部に連続するのは、逃げ部103b1である。逃げ部103b1は、当接部103a1から離れるに従いその厚さ(曲率中心Oに関する半径方向長さ)が漸減している。すなわち、逃げ部103b1が当接部103a1から離れるに従い、逃げ部103b1の内面S1が、外面Qに対して近づくように延在する。また、当接部103a1の内面T1は、曲率中心Oとする曲率半径がROの円周上に延在し、逃げ部103b1の内面S1は、曲率中心Oから離間する曲率中心C1とする曲率半径がRPの円周上に延在する。
本実施形態では、ラックバー111の円弧状部111bの曲率半径と、ラックガイド103の当接部103a1、103a2の曲率半径ROが同一の寸法である。
図4に示す中心線xに関し左方に位置する当接部103a2及び逃げ部103b2は、前述の通り、中心線xに関し右方に位置する当接部103a1及び逃げ部103b1と左右対称であるので、ラックガイド103の内面T1、T2が、ラックバー111に当接し、ラックガイド103の直線状縁部117及び円弧状縁部119側の逃げ部103b1、103b2は、ラックバー111には当接しない構成である。なお、曲率中心C1、C2の位置や、曲率半径RO、RP1、RP2の寸法は、ラックバー111の円弧状部111bに当接する、当接部103a1、103a2の領域の大きさに応じて設定できる。
さらに、図5に示すように、ラックガイド103は、3層に積層されている部材であり、鋼板等から構成される基盤Bと、基盤B上に青銅系等の金属粉末が焼結され形成される多孔質金属焼結層Sと、この多孔質金属焼結層S上に、四フッ化エチレン樹脂を含有する材料から薄膜状に形成される樹脂層Rと、を有する。
また、多孔質金属焼結層Sは摺動特性が良好な青銅系材料で構成されているため、ラックバー111の円弧状部111bが樹脂層R上を摺動することにより樹脂層Rが摩耗して多孔質金属焼結層Sが露出した状態に至り、多孔質金属焼結層S上で、ラックバー111が摺動したとしても、ラックバー111が急激に摩耗したり、焼け付いたりして破損することを防止できる。
なお、ラックガイド103に用いる3層構造の部材としては、オイレス工業株式会社製のオイレスドライメットLF、ST等を使用することができる。樹脂層Rを設ける構成であるため、ラックガイド103の厚さを容易に調整することが可能である。
上述の通り、樹脂層Rの下に多孔質金属焼結層Sを設けることにより、樹脂層Rの厚みが比較的薄いにも拘わらず、ラックガイド103がラックガイドとして機能するために必要な強度を確保できる。
〔ラックガイドの製造方法〕
以下に上述のラックガイド103の製造方法について、図6を主として参照しつつ説明する。図6は、ラックガイド103の製造工程を示す断面図であり、(a)は、材料部材203がプレスされる前の状態を示し、(b)は、材料部材203がプレスされている状態を示す。なお、本実施形態では、前述の3層構造(図5参照。)を有し、打ち抜き加工により所定の形状及び寸法に形成された被加工物である材料部材203を用意する。
本実施形態のプレス装置201により、I)固定部121を形成する絞り工程と、II)所定の曲率半径を有するように材料部材203を曲げる曲げ工程と、III)所定の厚さに加工する圧縮工程を実行する。なお、本実施形態のプレス装置201の構成は、一対のダイ211、213を除き従来から知られる構成であるので、以下に一対のダイ211、213について説明する。
一対のダイ211、213は、それぞれ互いに接離可能に対向配置されている。上側のダイ211は、完成品であるラックガイド103の内面T1、T2、S1、S2に相補的なプレス面211a、211bを有する。すなわち、第1の上側プレス面211aは、当接部103a1、103b1の当接面である内面T1、T2と同じ曲率半径RIを有する凸状面であり、第2の上側プレス面211bは、逃げ部103b1、103b2の内面S1、S2と同じ曲率半径RP1、RP2を有する凸状面である。同様に、下側のダイ213は、完成品であるラックガイド103の外面Qと相補的な下側プレス面213aを有する。すなわち、下側プレス面213aは、ラックガイド103の外面Qと同じ曲率半径ROを有する凹状面である。
上側のダイ211と下側のダイ213との間に材料部材203を配置し(図6a参照。)、上側のダイ211と下側のダイ213とを不図示の駆動手段により当接させるプレス加工がおこなわれる。
このように、上側のダイ211と下側のダイ213とを互いに接合することにより、半製品である材料部材203は、その第1の面である上面203aが曲率半径RI、ROを有するように、成形されるとともに、逃げ部103b1、103b2は、所定の厚さに圧縮(すなわち、塑性変形)される。
本実施形態の製造方法は、樹脂層Rを塑性変形させる圧縮工程を備えるが、樹脂層Rを研磨することにより逃げ部103b1、103b2を所定の厚さにする研磨工程を圧縮工程の代わりに設けることも可能である。また、実施形態では、絞り工程と曲げる工程と圧縮工程を一の工程において行う構成としているが、絞り工程と曲げ工程と圧縮工程を別工程とすることも可能である。
〔第2の実施形態〕
図7は、第2の実施形態に係るラックピニオンステアリング装置を構成するラックガイド303及びラックガイド基体305を図3と同様の断面で示す断面図である。第1の実施形態のラックガイド103と異なり、第2の実施形態に係るラックガイド303は、所謂Y型であり、ラックガイド303が当接するラックバー311の外面Q2が斜面から構成されている。なお、ラックガイド303、ラックガイド基体305を除くラックピニオンステアリング装置を構成する要素は、従来から知られている構成であるのでその詳細な説明は割愛する。
図7に示すように、ラックバー311は、ピニオン(図1の参照符号109を参照)に噛合するラック歯311aを備える。ラックガイド303は、ラックバー311を摺動自在に当接する当接部303a1、303a2と、当接部303a1、303a2の一端に接続する逃げ部303b1、303b2とを有し、当接部303a1、303a2の厚さt1と、逃げ部303b1、303b2の厚さt2が異なる。
当接部203の当接面である内面T3、T4には、ラックバー311が当接する。ラックガイド303がラックガイド基体305内に収容されると、ラックガイド303の外面Q2が、ラックガイド基体305に当接する。不図示の付勢手段であるであるコイルスプリング(図1の参照符号114を参照。)により、ラックガイド基体305を介してラックガイド303がラックバー311に付勢される。従って、ラックガイド基体305がラックガイド303を介し、ラックバー311のラック歯311aと、ピニオン(図1の参照符号109を参照。)との係合が維持される。
ラックバー311は、ラック歯311aと、ラック歯311aに連続し、固定部321の中心を通る中心線xに対し末広がりに傾斜するラック歯形成部311bと、ラック歯形成部311bに連続し、中心線xに対し末窄まりに延在しラックガイド311が当接する傾斜部311cと、傾斜部311aに連続しラックバー311に対し図7の左右方向の位置決めを行うための基台部311dと、を有する。
ラックガイド303は、ラックガイド303の中心線xに関し、その断面が左右対称な形状であるので、ラックガイド303の右半分の部位について説明する。当接部303a1は、その一端部が基部351に連続し、当接部303a1の厚さt1は一定である。当接部303a1の他端部に連続するのは、逃げ部303b1である。逃げ部303b1は、当接部303a1から離れるに従いその厚さt2が漸減している。すなわち、逃げ部303b1が当接部303a1から離れるに従い、逃げ部303b1の内面S3が、外面Q2に対して近づくように延在する。また、当接部303a1及び逃げ部303b1を構成する外面Q2は、単一の傾きを有する直線状に延在する。従って、右側に延在する当接部303a1及び逃げ部303b1の外面Q2と、左側に延在する当接部303a2及び逃げ部303b2の外面Q2は、中心線xに関し左右対称で、それぞれ単一の傾きを有する。
基部351は、ラックバー311の基台部311dの形状と相補的な形状を呈し、ラックバー311の基台部311dを収容する凹部である。また、基部351のほぼ中央には、第1実施形態のラックガイド103の固定部121と同様に、絞り加工により形成される有底筒状の固定部321(図2の参照符号121を参照。)が設けられている。この固定部321は、ラックガイド基体305に設けられている貫通口に収容されると、ラックガイド基体305に対するラックガイド303の位置決めがなされる。
中心線xに関し左方に位置する当接部303a2及び逃げ部303b2は、前述の通り、中心線xに関し右方に位置する当接部303a1及び逃げ部303b1と左右対称であるので、ラックガイド303の内面T3、T4が、ラックバー311に当接し、逃げ部303b1、303b2は、ラックバー311には当接しない構成である。なお、当接部303a1、303a2の厚さt1及び逃げ部303b1、303b2の厚さt2、逃げ部303b1、303b2の傾き等は、適宜変更できる。
また、ラッガイド303は、図5に示される第1の実施形態と同様に、3層に積層されている部材から形成され、鋼板等から構成される基盤Bと、基盤B上に青銅系等の金属粉末が焼結され形成される多孔質金属焼結層Sと、この多孔質金属焼結層S上に、四フッ化エチレン樹脂を含有する材料から薄膜状に形成される樹脂層Rと、を有する。従って、第1の実施形態と同様の作用、効果を奏する。さらに、第1の実施形態と同様に、2層の部材からラックガイド303を作製することも可能である。
ラックガイド303の製造方法は、第1及び第2の実施形態のラックガイド103、303の形状が違うため金型の形状は異なるものの、第1の実施形態と同様の工程により作製することが可能である。まず、打ち抜き加工により所定の形状及び寸法に形成された被加工物である材料部材を用意する。プレス装置により、I)固定部321を形成する絞り工程と、II)所定の形状に形成するように材料部材を曲げる曲げ工程と、III)所定の厚さに加工する圧縮工程を実行する。なお、本実施形態のプレス装置の構成は、一対のダイを除き第1の実施形態において説明したプレス装置と同じである。
上側のダイ(図6の参照符号211を参照。)は、完成品であるラックガイド303の当接部303a1、303a2の当接面である内面T3、T4、S3、S4に相補的なプレス面を有し、下側のダイ(図6の参照符号213を参照。)は、完成品であるラックガイド303の外面Q2と相補的な下側プレス面(図6の参照符号213aを参照。)を有する。すなわち、すなわち、上側プレス面は、ラックガイド303の内面T3、T4、S3、S4と同じ傾きを有する凹状面であり、下側プレス面は、ラックガイド303の外面Q2と同じ傾きを有する凹状面である。もちろん、上側及び下側のダイは、基部351の形状に相補的なプレス面を有していることは言うまでもない。
上側のダイと下側のダイとを互いに接合することにより、半製品である材料部材の上面が所定の傾きを有するように当接部303a1、303a2が形成される部位が成形されるとともに、逃げ部303b1、303b2が形成される部位は、所定の厚さに圧縮(すなわち、塑性変形)され、所定の傾きを有する内面S3、S4が形成される。一方、材料部材の下面は、所定の傾きを有する外面Q2が形成される。このように、ラックガイド基体305に当接するラックガイド303の外面Q2の形状が簡素化できるため、両部材の密着性を実現できる。結果として、ラックピニオンステアリング装置の静音性を確保できる。
なお、本実施形態の製造方法は、樹脂層Rを塑性変形させる圧縮工程を備えるが、樹脂層Rを研磨することにより逃げ部303b1、303b2を所定の厚さにする研磨工程を圧縮工程の代わりに設けることも可能である。また、実施形態では、絞り工程と曲げる工程と圧縮工程を一の工程において行う構成としているが、絞り工程と曲げ工程と圧縮工程を別工程とすることも可能である。
〔第3の実施形態〕
第3の実施形態に係るラックガイド403について図8を参照しつつ説明する。図8は、第3の実施形態に係るラックガイド403の断面図である。なお、この断面図は、図3に示す第1の実施形態に係るラックガイド103と同様に、固定部421の中心線xを通り、直線状縁部417を2等分する仮想面に沿った断面図である。なお、ラックガイド403は、第1の実施形態に係るラックガイド103の当接部及び逃げ部の位置を変更する変形例であり、図1に示されるラックピニオンステアリング装置101に、ラックガイド103の代わりに組み込むことが可能である。従って、図1乃至図4を適宜参照する。また、ラックガイド403の特に説明しない構成、効果等は、第1の実施形態に係るラックガイド103と同様である。
図8に示すように、ラックガイド403は、ラックバー(図1の参照符号111参照。)を摺動自在に当接する当接部403a1、403a2と、当接部403a1、403a2に連続しラックバーから離間する逃げ部403b1、403b2とを有する。第1の実施形態に係るラックガイド103と異なり、直線状縁部417に近い部位に当接部403a1、403a2が設けられ、x軸の近い部位に、逃げ部403b1、403b2が設けられている。逃げ部403b1、403b2の厚さ寸法は、当接部403a1、403a2の厚さ寸法(ROとRIの差分)と異なる。さらに、本実施形態では、ラックガイド基体(図1の参照符号105参照。)に当接するラックガイド403の支持面を構成する外面Qが、単一の曲率半径ROを有する。
ラックガイド403は、平面視において、互いに平行な2つの直線状縁部417と、直線状縁部417に連結する2つの円弧状縁部(図2の参照符号119に対応する部位。)と、を有する。さらに、ラックガイド403には、第1の実施形態と同様に、平面視における中心に凹部である固定部421が絞り加工等により設けられ、ラックガイド基体(図1の参照符号105参照。)に設けられている貫通口内に挿入され、ラックガイド403のラックガイド基体に対する位置決めが行われる。なお、本実施形態では、固定部421は、逃げ部403b1、403b2により取り囲まれるように配置されている。
図8に示すように、ラックガイド403は、ラックガイド403の中心線xに関し、その断面が左右対称な形状であるので、ラックガイド403の右半分の部位について説明する。第1の実施形態のラックガイド103では、中心線x側から直線状縁部117に向かい、当接部103a1及び逃げ部103b1の順に設けられているが、本実施形態のラックガイド403では、中心線x側から直線状縁部417に向かい、逃げ部403b1及び当接部403a1の順に設けられている。
図8の断面視において、逃げ部403b1の厚さが、当接部403a1から離れるに従い漸減している。換言すると、逃げ部403b1が中心線xから離れるに従い、逃げ部403b1の内面S5が、外面Qに対して離れるように延在する。なお、逃げ部403b1の内面S5は、所定の曲率中心を有する円弧状であるが、その曲率中心及び曲率半径は、逃げ部403b1の厚さが当接部403a1の厚さより小さくなるような範囲で適宜選択できる。
他方、逃げ部403b1に連続する当接部403a1の当接面である内面T5は、曲率中心Oとする曲率半径がRIの円周上に延在する。当接部403a1の外面Qは、曲率中心Oとする曲率半径がROで示される。すなわち、当接部403a1の厚さ寸法(曲率中心Oに関する半径方向長さ)が一定である。
本実施形態では、ラックバー111の円弧状部111b(図3参照。)の曲率半径と、ラックガイド403の当接部403a1、403a2の曲率半径ROが同一の寸法である。
図8に示す中心線xに関し左方に位置する当接部403a2及び逃げ部403b2は、前述の通り、中心線xに関し右方に位置する当接部403a1及び逃げ部403b1と左右対称の関係にあるので、ラックガイド403の内面T5、T6が、ラックバー111(図3参照。)に当接し、ラックガイド403の逃げ部403b1、403b2は、ラックバー111には当接しない構成である。なお、当接部403a1、403a2の曲率中心Oの位置や、曲率半径RO、RIの寸法は、ラックバー111の円弧状部111bに当接する、当接部403aの領域の大きさに応じて設定できる。
さらに、第1の実施形態のラックガイド103と同様に、ラックガイド403は、3層に積層されている部材であり、図5に示される鋼板等から構成される基盤Bと、基盤B上に青銅系等の金属粉末が焼結され形成される多孔質金属焼結層Sと、この多孔質金属焼結層S上に、四フッ化エチレン樹脂を含有する材料から薄膜状に形成される樹脂層Rと、を有する。
従って、第1の実施形態のラックガイド103と同様に、多孔質金属焼結層S上で、ラックバー111が摺動しても、ラックバー111が急激に摩耗したり、焼け付いたりして破損することを防止できるという効果を、ラックガイド403が奏する。
さらに、ラックガイド403に用いる3層構造の部材としては、オイレス工業株式会社製のオイレスドライメットLF、ST等を使用することができる。樹脂層Rを設ける構成であるため、ラックガイド403の厚さを容易に調整することが可能である。
上述の通り、樹脂層Rの下に多孔質金属焼結層Sを設けることにより、樹脂層Rの厚みが比較的薄いにも拘わらず、ラックガイド403がラックガイドとして機能するために必要な強度を確保できる。
さらに、本実施形態のラックガイド403の製造方法は、逃げ部や当接部の形状や寸法に相補的な形状を有する一対のダイを使用すること以外は、第1の実施形態と同様であるので詳細は割愛する。
第1及び第3の実施形態に係る逃げ部103b1、103b2、403b1、403b2を適宜組み合わせることによりラックガイドを構成することも可能である。すなわち、x中心線側と直線状縁部417側に互いに離間する複数の逃げ部を設け、その間に当接部を設ける構成である。また、x中心線に関し左右対称に逃げ部及び当接部を備えるラックガイドではなく、左右非対称に当接部及び逃げ部の数や寸法を異ならせる構成とすることも可能である。上述の製造方法によれば、逃げ部は、圧縮行程を利用しているため、同一のラックガイド基体を用いる場合は上側の金型の形状を変更するのみで種々の逃げ部及び当接部を備えるラックガイドを比較的簡易な方法で作製することができる。もちろん、圧縮行程の代わりに研磨工程を用いることも可能である。同様に、第2の実施形態に係る当接部303a1、303b1及び逃げ部303b1、303b2の位置、数、寸法等も適宜変更できる。
また、上記第1及び第2の実施形態のラックガイド103、303は、中心軸心xに関し、ほぼ中央に位置する当接部103a1、103a2と、直線上縁部117側の逃げ部103b1、103b2を備える構成であるが、本発明のラックガイドは、当該構成に限定されない。すなわち、特許文献1に開示されるラックガイドのように、当接部103a1、103a2内にさらに曲率半径の異なる領域を設け、ラックバー111の円弧状部111bに接触する領域を少なくする構成とすることも可能である。
第1及び第3の実施形態では、ラックガイド103、403は、直線状縁部117、417及び円弧状縁部119を有する構成であるが、本発明は、このラックガイドに限定されない。例えば、直線状縁部の両端を、曲線状縁部の代わりに直線状に延びる縁部で連結する所謂短冊型のラックガイド等においても、本発明が適用できることは言うまでもない。
なお、第1乃至第3の実施形態のラックガイド103、303、403は、樹脂層Rを有する3層構造の部材から構成されているが、本発明は、この構成に限定されない。例えば、基板Bに、多孔質金属焼結層S又は固体潤滑剤を含有する金属焼結合金層が積層される2層構造の部材を用いてラックガイドを形成することも可能である。なお、固体潤滑剤を含有する金属焼結金属層を有する2層構造の部材としてオイレス株式会社製のオイレスタフメット等が挙げられる。2層構造の部材を利用する場合においても、逃げ部は、多孔質金属焼結層又は固体潤滑剤を含有する金属焼結合金層を研磨する工程により形成することも可能である。
第1乃至第3の実施形態の逃げ部の厚さは、当接部から離間するに従い漸減する構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、逃げ部と当接部との間に段差を設ける構成とすることも可能である。また、第1乃至第3の実施形態のラックガイド103、303、402の逃げ部の内面は円弧形状又は直線形状であるが、ラックバー111、311に接触しない範囲で種々の形状に変更できることは言うまでもない。
101 ラックピニオンステアリング装置
103、303、403 ラックガイド
103a1、103a2、303a1、303a2、403a1、403a2 当接部
103b1、103b2、303b1、303b2、403b1、403b2 逃げ部
105、305 ラックガイド基体
107 ケーシング
109 ピニオン
111、311 ラックバー
113 ステアリング軸
114 コイルスプリング
201 プレス装置
203 材料部材
211、213 ダイ
T1、T2、T3、T4、T5、T6、S1、S2、S3、S4、S5、S6 内面
Q、Q2 外面
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態に係るラックピニオンステアリング装置101の一部を模式的に示す縦断面部分図であり、図2は、図1に示すラックガイド103及びラックガイド基体105の平面図であり、図3は、図2の線III−III(ラックガイド基体105の直径)に沿った断面図であり、図4は、図1に示すラックガイド103を拡大し示す拡大断面図であり、図5は、図4のV部の拡大断面図である。なお、図1、図4、図6は、図3と同様に、平面視で互いに同心のラックガイド103、ラックガイド基体105、固定部121の中心線xを通り、後述の直線状縁部117を2等分する仮想面に沿った断面図である。
図1に示すように、ラックピニオンステアリング装置101は、主として、筐体であるケーシング107と、ケーシング107内に回転自在に支持されるピニオン109と、ピニオン109に噛合するラック歯111aを備えるラックバー111と、ラックバー111を摺動自在に当接する当接部103a1、103a2と、当接部103a1、103a2に連続しラックバー111から離間する逃げ部103b1、103b2とを有するラックガイド103と、ラックガイド103を収容するラックガイド基体105と、ラックガイド基体105を介してラックガイド103をラックバー111に付勢する付勢手段である弾性部材114と、を備える。逃げ部103b1、103b2の厚さ寸法は、当接部103a1、103a2の厚さ寸法(ROとRIの差分)と異なる。なお、厚さ寸法については、図4を参照しつつ後述する。さらに、本実施形態では、ラックガイド基体105に当接するラックガイド103の支持面を構成する外面Qが、単一の曲率半径ROを有する。なお、ラックバー111に接する当接部103a1、103a2とラックバー111に非接触の逃げ部とは、ラックガイド103に対するラックバー111の摺動面積を調整するために設けられている。
前述のピニオン109は円形歯車であり、ステアリング軸113の一端部に連結され、他端部には、操作者が操舵するために用いる不図示のステアリングホイールが装着されている。ピニオン109は、ケーシング107内に配置される一対の転がり軸受115により回転可能に支持されている。ステアリング軸113の軸心方向(図1の左右方向)に対し交差する方向に延在するラックバー111がケーシング107を貫通するように配置されている。
図2に示されるように、ラックガイド103は、平面視において、互いに平行な2つの直線状縁部117と、直線状縁部117に連結する2つの円弧状縁部119と、を有する。さらに、ラックガイド103は、平面視における中心に凹部である固定部121が絞り加工等により設けられている。固定部121の形状、寸法は適宜変更可能である。固定部121は、ラックガイド基体105に設けられている貫通口内に挿入され、ラックガイド103のラックガイド基体105に対する位置決めが行われる。なお、本実施形態では、固定部121は、当接部103a1、103a2により取り囲まれるように配置されている。
当接部303a1、303a2の当接面である内面T3、T4には、ラックバー311が当接する。ラックガイド303がラックガイド基体305内に収容されると、ラックガイド303の外面Q2が、ラックガイド基体305に当接する。不図示の付勢手段であるであるコイルスプリング(図1の参照符号114を参照。)により、ラックガイド基体305を介してラックガイド303がラックバー311に付勢される。従って、ラックガイド基体305がラックガイド303を介し、ラックバー311のラック歯311aと、ピニオン(図1の参照符号109を参照。)との係合が維持される。
ラックバー311は、ラック歯311aと、ラック歯311aに連続し、固定部321の中心を通る中心線xに対し末広がりに傾斜するラック歯形成部311bと、ラック歯形成部311bに連続し、中心線xに対し末窄まりに延在しラックガイド311が当接する傾斜部311cと、傾斜部311cに連続しラックバー311に対し図7の左右方向の位置決めを行うための基台部311dと、を有する。
また、ラックガイド303は、図5に示される第1の実施形態と同様に、3層に積層されている部材から形成され、鋼板等から構成される基盤Bと、基盤B上に青銅系等の金属粉末が焼結され形成される多孔質金属焼結層Sと、この多孔質金属焼結層S上に、四フッ化エチレン樹脂を含有する材料から薄膜状に形成される樹脂層Rと、を有する。従って、第1の実施形態と同様の作用、効果を奏する。さらに、第1の実施形態と同様に、2層の部材からラックガイド303を作製することも可能である。
上側のダイ(図6の参照符号211を参照。)は、完成品であるラックガイド303の当接部303a1、303a2の当接面である内面T3、T4、S3、S4に相補的なプレス面を有し、下側のダイ(図6の参照符号213を参照。)は、完成品であるラックガイド303の外面Q2と相補的な下側プレス面(図6の参照符号213aを参照。)を有する。すなわち、上側プレス面は、ラックガイド303の内面T3、T4、S3、S4と同じ傾きを有する凹状面であり、下側プレス面は、ラックガイド303の外面Q2と同じ傾きを有する凹状面である。もちろん、上側及び下側のダイは、基部351の形状に相補的なプレス面を有していることは言うまでもない。
図8に示すように、ラックガイド403は、ラックバー(図1の参照符号111参照。)を摺動自在に当接する当接部403a1、403a2と、当接部403a1、403a2に連続しラックバーから離間する逃げ部403b1、403b2とを有する。第1の実施形態に係るラックガイド103と異なり、直線状縁部417に近い部位に当接部403a1、403a2が設けられ、中心線xの近い部位に、逃げ部403b1、403b2が設けられている。逃げ部403b1、403b2の厚さ寸法は、当接部403a1、403a2の厚さ寸法(ROとRIの差分)と異なる。さらに、本実施形態では、ラックガイド基体(図1の参照符号105参照。)に当接するラックガイド403の支持面を構成する外面Qが、単一の曲率半径ROを有する。
第1及び第3の実施形態に係る逃げ部103b1、103b2、403b1、403b2を適宜組み合わせることによりラックガイドを構成することも可能である。すなわち、中心線x側と直線状縁部417側に互いに離間する複数の逃げ部を設け、その間に当接部を設ける構成である。また、中心線xに関し左右対称に逃げ部及び当接部を備えるラックガイドではなく、左右非対称に当接部及び逃げ部の数や寸法を異ならせる構成とすることも可能である。上述の製造方法によれば、逃げ部は、圧縮行程を利用しているため、同一のラックガイド基体を用いる場合は上側の金型の形状を変更するのみで種々の逃げ部及び当接部を備えるラックガイドを比較的簡易な方法で作製することができる。もちろん、圧縮工程の代わりに研磨工程を用いることも可能である。同様に、第2の実施形態に係る当接部303a1、303b1及び逃げ部303b1、303b2の位置、数、寸法等も適宜変更できる。
また、上記第1及び第2の実施形態のラックガイド103、303は、中心線xに関し、ほぼ中央に位置する当接部103a1、103a2と、直線上縁部117側の逃げ部103b1、103b2を備える構成であるが、本発明のラックガイドは、当該構成に限定されない。すなわち、特許文献1に開示されるラックガイドのように、当接部103a1、103a2内にさらに曲率半径の異なる領域を設け、ラックバー111の円弧状部111bに接触する領域を少なくする構成とすることも可能である。

Claims (13)

  1. ケーシングと、
    前記ケーシングに回転自在に支持されるピニオンと、
    前記ピニオンに噛合するラック歯を有するラックバーと、
    前記ラックバーを摺動自在に前記ラックバーに当接する当接部と、前記当接部に連続し前記ラックバーから離間する逃げ部と、を有するラックガイドと、
    前記ラックガイドを収容するラックガイド基体と、
    前記ラックガイド基体を介して前記ラックガイドを前記ラックバーに付勢する付勢手段と、を備え、
    前記逃げ部の厚さ寸法は、前記当接部の厚さ寸法と異なることを特徴とするラックピニオンステアリング装置。
  2. 前記逃げ部の厚さ寸法は、前記当接部から離れるに従い漸減することを特徴とする請求項1に記載のラックピニオンステアリング装置。
  3. 前記当接部の前記ラックバーに当接する当接面は、可塑性材料から構成される面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のラックピニオンステアリング装置。
  4. 前記ラックガイド基体に当接する前記ラックガイドの外面が、単一の曲率半径又は中心線に関し左右それぞれ単一の傾きを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のラックピニオンステアリング装置。
  5. 前記可塑材料は、樹脂、多孔質金属又は焼結合金であることを特徴とする請求項3に記載のラックガイド製造方法。
  6. ピニオンとラックバーとが噛合するように前記ラックバーを支持可能で、前記ラックバーに当接する当接部と、前記ラックバーから離間する逃げ部を有する、ラックガイド基体に収容されるラックピニオンステアリング用ラックガイドを製造するラックガイド製造方法であって、
    前記逃げ部の厚さ寸法が前記当接部の厚さ寸法と異なるように被加工物を所定の厚さにする加工を行うことを特徴とするラックピニオンステアリング装置用のラックガイド製造方法。
  7. 前記被加工物の前記ラックバーに当接する前記当接部の当接面になる部位は、樹脂、多孔質金属又は焼結合金からなる面を有していることを特徴とする請求項6に記載のラックガイド製造方法。
  8. 前記被加工物を所定の厚さにする加工は、前記被加工物の前記逃げ部になる部位を圧縮加工することにより行われることを特徴とする請求項7に記載のラックガイド製造方法。
  9. 前記ラックガイド基体に当接可能なように前記ラックガイドの外面が、単一の曲率半径又は中心線に関し左右それぞれ単一の傾きを有するように曲げ加工を行うことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載のラックガイド製造方法。
  10. ピニオンとラックバーとが噛合するように前記ラックバーを支持可能で、ラックガイド基体に収容されるラックピニオンステアリング用ラックガイドであって、
    前記ラックバーを摺動自在に前記ラックバーに当接できる当接部と、
    前記当接部に連続し前記ラックバーから離間する逃げ部と、を備え、
    前記逃げ部の厚さ寸法は、前記当接部の厚さ寸法と異なることを特徴とするラックピニオンステアリング用ラックガイド。
  11. 前記逃げ部は、前記当接部から離れるに従い厚さが漸減することを特徴とする請求項10に記載のラックピニオンステアリング用ラックガイド。
  12. 前記ラックバーに当接可能な前記当接部の当接面は、樹脂層、多孔質金属又は焼結合金から構成される面を有することを特徴とする請求項10又は11に記載のラックピニオンステアリング用ラックガイド。
  13. 前記ラックガイド基体に当接可能な前記ラックガイドの外面が、単一の曲率半径又は中心線に関し左右それぞれ単一の傾きを有することを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載のラックピニオンステアリング用ラックガイド。
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