JP2014100118A - 家畜の肝臓酵素分解物を含有する食肉加工食品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】食肉加工食品に含まれる肝臓酵素分解物にアルギニンを添加することで、肝臓特有のレバー臭がマスキングする。しかも、そのアルギニンの濃度は、肝臓酵素分解物に対して、0.5重量%以上添加することが好ましい。この濃度範囲であれば、より効果的に家畜の肝臓の特有の臭いをマスキングすることができ、食肉加工食品の食感、物性を損なうことはない。
【選択図】なし
Description
豚肝臓1400gを5mm目でミンチし、アルカラーゼ(酵素活性2.4AU−A/g)を2.8g(豚肝臓重量の0.2%)添加し、50℃で3時間反応させた。酵素反応中、pH8.5を維持するよう水酸化ナトリウムを添加しながら調整した。反応終了後、アスコルビン酸でpHを約7.0に調整し、90℃で1時間アルカラーゼを加熱失活させた。
豚うで肉を9.6mm、豚脂を3.2mmでミンチした。その後、ミンチ後の原料肉と実施例1で調製した肝臓酵素分解物を塩漬し、4℃で24時間熟成処理した。原料肉の塩漬配合割合を表1、酵素処理していない豚肝臓又は豚肝臓酵素分解物(実施例1で調製)の熟成時の配合割合を表2に示す。試験区1は酵素未処理の豚肝臓(アルギニン無添加)、試験区2は酵素未処理の豚肝臓(アルギニン添加)、試験区3は豚肝臓酵素分解物(アルギニン無添加)、試験区4は豚肝臓酵素分解物(アルギニン添加)をそれぞれ含有した際のソーセージの配合割合である。その後、熟成後の原料肉と豚肝臓酵素分解物を、カッティング処理により混合、味付けした。その際の配合割合は表3の通りである。カッティング処理後、羊腸に充填し、63℃で20分間乾燥し、70℃で15分間くん煙し、さらに78℃で30分間蒸煮することで加熱処理を行った後、冷却処理した。
8名のパネリストで官能検査を行った。その結果を表4に示す。風味について、○:肝臓特有の臭いがマスキングされて風味は良好、△:肝臓特有の臭いがやや残っている、×:肝臓特有の臭いが残っており、風味が悪い。一方、食感について、○:良好、△:やや良好、×:不良である。
豚肝臓の添加区の風味について、アルギニン無添加の試験区(試験区1)は、豚肝臓特有の臭いが残っていたが、アルギニン添加の試験区(試験区2)は肝臓特有の臭いがマスキングされ、良好だった。しかし、食感は両試験区ともレバー特有のボソボソ感があり、好ましくなかった。一方、豚肝臓酵素分解物の添加区について、アルギニン無添加の試験区(試験区3)は、豚肝臓特有の臭いが残っていたものの、レバー特有の好ましくない食感が改善され、アルギニン添加の試験区(試験区4)では、豚肝臓特有の臭いがマスキングされ、さらに食感も良好であった。
牛ネック肉を3.2mmでミンチした。その後、ミンチ後の原料肉と実施例1で調製した肝臓酵素分解物を塩漬し、4℃で24時間熟成処理した。ミンチ原料肉の塩漬配合割合を表5、酵素処理していない豚肝臓又は豚肝臓酵素分解物(実施例1で調製)の熟成時の配合割合を表6に示す。試験区1は酵素未処理の豚肝臓(アルギニン無添加)、試験区2は酵素未処理の豚肝臓(アルギニン添加)、試験区3は豚肝臓酵素分解物(アルギニン無添加)、試験区4は豚肝臓酵素分解物(アルギニン添加)をそれぞれ含有した際の乾燥食肉製品の配合割合である。熟成後の原料肉と豚肝臓酵素分解物を、混合、味付けした。その際の配合割合は表7の通りである。カッティング処理後、セルロースケーシングに充填し、凍結処理し、半解凍の状態でスライス処理した。さらに、スライス処理した原料肉を、75℃で120分間乾燥し、70℃で15分間加熱し、75℃で28分乾燥し、75℃で5分間乾燥した。
9名のパネリストで官能検査を行った。その結果を表8に示す。評価方法は実施例2と同様である。
豚肝臓の添加区の風味は、アルギニン無添加では豚肝臓特有の臭いが残っていたが(試験区1)、アルギニン添加によりマスキングされた(試験区2)。しかし、食感は両試験区とも豚肝臓酵素分解物の添加区に比べてやや劣っていた。一方、豚肝臓酵素分解物の添加区は、アルギニン無添加の試験区(試験区3)は、豚肝臓特有の臭いが残っていたものの、アルギニン添加の試験区(試験区4)は、豚肝臓特有の臭いがマスキングされており、良好な風味であった。さらに、レバー特有の粉っぽい食感が改善され、好ましい食感であった。
ソーセージ、乾燥食肉製品いずれにおいても、アルギニンの添加によって、豚肝臓特有の臭いがマスキングされることが示された。さらに、肝臓の酵素分解処理により、食感が良くなることが示された。
原料肉の塩漬配合割合を表9、豚肝臓酵素分解物とアルギニンの配合割合は表10、原料肉と豚肝臓酵素分解物の混合時の配合割合を表11に示す。アルギニンは、試験区1〜9まで9段階に分けて濃度の調製を行った。ミンチ、塩漬、熟成、混合、加熱の製造条件は、実施例2と同様の方法を採用した。
10名のパネリストで官能検査を行った。その結果を表12に示す。評価方法は実施例2と同様である。
風味の評価について、アルギニン無添加(試験区1)では、特有の臭みが残っており、アルギニン濃度0.25重量%(試験区2)では、臭みがやや残っていたが、0.5重量%(試験区3)以上で特有の臭みがマスキングされており、風味は良好との評価であった。食感については、アルギニンの濃度に関係なく、全ての試験区で良好との評価が得られた。
原料肉の塩漬配合割合を表13、豚肝臓酵素分解物とアルギニンの配合割合は表14、原料肉と豚肝臓酵素分解物の混合時の配合割合を表15に示す。味付け時に添加するトレハロースの濃度を、試験区1〜7まで7段階に設定した。塩漬、熟成、混合、加熱の製造条件は、実施例3と同様の方法を採用した。
8名のパネリストで官能検査を行った。その結果を表16に示す。評価方法は実施例2と同様である。
風味の評価について、トレハロースの濃度による違いは認められなかった。一方、食感については、トレハロース濃度が3.0重量%までは変化はなかったが、4.5〜6.0重量%(試験区5〜6)で、しっとり軟らかい良好な食感が得られる結果となった。7.5重量%(試験区7)では軟らかすぎて好ましくない食感となった。
本発明により、食肉加工食品の栄養・生理活性機能を高めることに加えて、家畜の肝臓酵素分解物を食肉加工食品に含ませた場合であっても、家畜の肝臓の特有の臭いがマスキングされ、さらには食感、物性が改善された食肉加工食品を製造することができる。
Claims (4)
- 家畜の肝臓酵素分解物を含有する食肉加工食品の製造方法であって、前記肝臓酵素分解物にアルギニンを添加する工程を少なくとも含むことを特徴とする食肉加工食品の製造方法。
- 前記肝臓酵素分解物は、肝臓をプロテアーゼで加水分解したことを特徴とする請求項1記載の食肉加工食品の製造方法。
- 前記アルギニンの濃度は、肝臓酵素分解物に対して0.5重量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の食肉加工食品の製造方法。
- 請求項1〜3いずれか1つに記載の製造方法により製造された食肉加工食品。
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