JP2014097511A - 熱交換器の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱交換器の真空ろう付において、蒸発したZnで炉を汚染することなく容器の内面にZnによる防食性能を付与する。
【解決手段】作動液通路11に連通する開口部12を有する容器は10は、少なくとも内面側がZn濃度0.05質量%以下のアルミニウムで構成され、前記容器10をZn濃度0.5〜2.5質量%のアルミニウムからなるフィン30を装入した状態で仮組し、真空ろう付して開口部12を除く容器10の縁を接合するとともに前記フィン30を容器10の内面に接合し、ろう付時の加熱によってフィン10からZnを蒸発させて、ろう付後のフィン30の板厚方向の中央部におけるZn濃度を0.4質量%以下とするとともに、中央部から表面側に向かってZn濃度が低下する濃度勾配を生じさせ、前記フィン30から蒸発したZnを容器10の内面に付着させるとともに容器10の板厚の深部方向に拡散させてZn拡散層を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は容器の内面に防食性能を有する熱交換器の製造方法に関する。
なお、この明細書および特許請求の範囲において、「アルミニウム」の語はアルミニウムおよびその合金の両者を含む意味で用いられる。
熱交換器は腐食環境で使用されるため、ろう付によって製作されるアルミニウム製熱交換器は高い耐食性とろう付性が求められる。また、作動液として水を使用するアルミニウム製熱交換器は外面だけでなく内面においても耐食性が要求される。
耐食性およびろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム材料として、心材の一方の面にZnを含む犠牲腐食層をクラッドし、他方の面にAl−Si系合金ろう材をクラッドした高耐食性クラッド材が提案されている(特許文献1参照)。
特開2000−205680号公報
しかし、上記の高耐食性クラッド材を用いて熱交換器を真空ろう付すると蒸発したZnが炉を汚染するという問題点があった。
本発明は上述した背景技術に鑑み、真空ろう付において蒸発したZnで炉を汚染することなくZnによる防食性能を付与できる熱交換器の製造方法の提供を目的とする。
即ち、本発明は下記[1]〜[9]に記載の構成を有する。
[1]内部が作動液通路となり、該作動液通路に連通する開口部を有する容器は、少なくとも内面側がZn濃度:0.05質量%以下のアルミニウムで構成され、前記容器をZn濃度:0.5〜2.5質量%のアルミニウムからなるフィンを装入した状態で仮組し、
前記仮組体を真空ろう付して開口部を除く容器の縁を接合するとともに前記フィンを容器の内面に接合し、
ろう付時の加熱によってフィンからZnを蒸発させて、ろう付後のフィンの板厚方向の中央部におけるZn濃度を0.4質量%以下とするとともに、中央部から表面側に向かってZn濃度が低下する濃度勾配を生じさせ、
前記フィンから蒸発したZnを容器の内面に付着させるとともに容器の板厚の深部方向に拡散させてZn拡散層を形成することを特徴とする熱交換器の製造方法。
[2]前記Zn拡散層は表面から深部側に向かってZn濃度が低下する濃度勾配を有する前項1に記載の熱交換器の製造方法。
[3]前記真空ろう付の温度履歴において、570℃以上を保持する時間が10〜60分である前項1または2に記載の熱交換器の製造方法。
[4]前記開口部の開口面積が10cm未満である前項1〜3のいずれかに記載の熱交換器の製造方法。
[5]前記開口部の一部を塞いで真空ろう付する前項1〜4のいずれかに記載の熱交換器の製造方法。
[6]前記真空ろう付の温度履歴において、ろう材溶融後に炉内を昇圧する前項1〜5のいずれかに記載の熱交換器の製造方法。
[7]ろう材溶融後に炉内を常圧まで昇圧する前項6に記載の熱交換器の製造方法。
[8]アルミニウム容器内の作動液通路にアルミニウムフィンがろう付され、
前記フィンの板厚方向の中央部におけるZn濃度が0.4質量%以下であり、かつ中央部から表面側に向かってZn濃度が低下する濃度勾配を有し、
前記容器の内面側にZn拡散層を有することを特徴とする熱交換器。
[9]前記Zn拡散層は表面から深部側に向かってZn濃度が低下する濃度勾配を有する前項8に記載の熱交換器。
上記[1]に記載の熱交換器の製造方法によれば、真空ろう付時にフィンから蒸発したZnは容器の内面に付着し拡散してZn拡散層を形成するので、容器の内面にZnの犠牲腐食による防食性能を付与できる。容器内部は半密閉空間であるから、蒸発したZnは容器外に放散しにくく、容器内に留まって内面に付着し易いので効率良くZn拡散層が形成される。また、蒸発したZnが容器外に放散しにくいので、ろう付炉の壁面へのZn汚染が少ない。
上記[2]に記載の熱交換器の製造方法によれば、表面から深部側に向かって濃度勾配を形成することで心材と表面に電位差が生じ長期的な耐食性を得ることができる。
上記[3]に記載の熱交換器の製造方法によれば、フィンからのZnの蒸発と容器へのZn付着および拡散が十分に行われ、効率良くZn拡散層を形成できる。
上記[4]に記載の熱交換器の製造方法によれば、容器外へのZnの放散が抑制されて、容器内面に効率良くZn拡散層を形成できる。また、ろう付炉の汚染も少ない。
上記[5]に記載の熱交換器の製造方法によれば、Zn拡散層形成を促し、ろう付炉の汚染を減少させることができる。
上記[6][7]に記載の熱交換器の製造方法によれば、フィンから蒸発したZnの容器への付着および拡散が促され、効率良くZn拡散層を形成することができる。
上記[8][9]に記載の熱交換器によれば、容器の内面に形成されたZn拡散層によって内面防食性能を有する。
本発明の方法により製作する熱交換器の一実施形態を示す斜視図である。 フィンの板厚方向におけるZn濃度曲線を示す図である。 容器の板厚方向におけるZn濃度曲線を示す図である。
図1は本発明の方法で作製した熱交換器の一実施形態である。
熱交換器(1)は、扁平チューブ(10)内の扁平空間を作動液通路(11)とし、この作動液通路(11)内に薄板を曲成したフィン(30)が装入された扁平チューブ型の熱交換器である。前記扁平チューブ(10)は本発明における容器に対応するものであり、外方に突出する通路形成部(21a)(21b)の幅方向の両端から外方に接合用側縁(22a)(23a)(22b)(23b)が延出する同形の2つの半部材(20a)(20b)を向かい合わせにして組み立てたものである。前記扁平チューブ(10)の両端は開口して、作動液通路(11)に連通する開口部(12)となされている。
前記熱交換器(1)は、一方の半部材(20a)の通路形成部(21a)の底(24a)にフィン(30)を置いて他方の半部材(20b)を被せ、接合用側縁(22a)(23a)、(22b)(23b)を重ね合わせるとともにフィン(30)の山部を通路形成部(21b)の天(24b)に当接させた状態に仮組みされる。このように組まれた仮組体を真空ろう付し、重ね合わせた接合用側縁(22a)(23a)、(22b)(23b)を接合するとともに、フィン(30)の谷部および山部をそれぞれ通路形成部(21a)(21b)の底(24a)および天(24b)に接合する。
なお、図1において、Ctは扁平チューブ(10)の板厚、Cwは作動液通路(11)の幅、Ftはフィン(30)の板厚である。Fhはフィン(30)の高さでありかつ作動液通路(11)の高さでもある。
本発明の熱交換器の製造方法は、容器の材料としてZn濃度を規制されたアルミニウムを用いる一方で、フィンの材料として所定量のZnを含有するアルミニウム合金を用い、真空ろう付によって容器とフィンとを接合するとともに、フィンに含まれるZnを蒸発させて蒸発したZnを容器の内面に付着させ板厚の深部方向に拡散させる。これにより、容器の内面側にZn拡散層を形成して犠牲腐食による防食性能を付与する。容器内部、即ち作動液通路は半密閉空間であるから、フィンから蒸発したZnは容器外に放散しにくい。このため、蒸発したZnは容器内に留まって内面に付着し易く、ろう付炉の壁面へのZn汚染が少ない。
上記効果を得るために、容器およびフィンを構成するアルミニウム材料の化学組成を以下のとおりに規定する。
容器の材料にはZn濃度が0.05質量%以下に規制されたアルミニウムを使用する。前記Zn濃度はろう付前の濃度である。ろう付前のZn濃度が0.05質量%を超えると、心材の電位が卑となり防食できなくなり、特にZn濃度が0.03質量%以下に規制されたアルミニウムが好ましい。Zn以外の添加元素やそれらの濃度は熱交換器容器としての強度、熱伝導性、ろう付性、成形性といった特性を具備する限り制限されないが、好ましい容器材料としてAl−Mn系の3000系合金やA3003などの合金を推奨できる。また、容器材料は上記組成のアルミニウムの無垢材であっても良いし、上記組成のアルミニウムを心材とし、この心材の片面または両面にろう材をクラッドしたブレージングシートであっても良い。また心材とろう材との間に中間層を設けたクラッド材であっても良い。ろう材としてはAl−Si−Mg合金を推奨できる。また、容器材料はZnを付着、拡散させる容器の内面側のアルミニウム中のZn濃度が0.05質量%以下に規制されていれば良いので、2層以上のクラッド材を用いる場合の外層や中間層におけるZn濃度は0.05質量%以下であることに限定されない。
フィンの材料にはZn濃度が0.5〜2.5質量%を含有するアルミニウムを使用する。前記Zn濃度はろう付前の濃度である。ろう付前のZn濃度が0.5質量%未満では容器外に放散してしまい、容器内面に防食効果を有するZn拡散層を形成するに足りる量のZnを付着させることができない。一方、2.5質量%を超える高濃度のZn含有は不経済であるし、加工性が低下するのでフィンへの曲成が困難になる。特に好ましいZn濃度は0.7〜2.0質量%である。また、Zn以外の添加元素は耐食性や加工性に悪影響を及ぼさない限り制限されない。好ましいフィン材料は高温強度が得られるAl−Mn系合金である。また、Inは電位を卑にして耐食性を低下させるので、Inを含有しないアルミニウムであることが好ましい。
図2はろう付後のフィン(30)の板厚(Ft)方向におけるZn濃度曲線(FZn)を示している。フィン(30)中のZnは表面に近い部分ほど蒸発量が多いので、ろう付後のZn濃度はフィン(30)の板厚(Ft)方向の中央部において最も高く、中央部から表面側に向かって濃度が低下する濃度勾配を生じ、Zn濃度は表面において最も低くなる。そして、本発明においては板厚(Ft)方向の中央部におけるZn濃度が0.4質量%以下であることを要する。Zn濃度が最大となる中央部で0.4質量%以下であるから、フィン全体としてもZn濃度は0.4質量%以下である。ろう付後のZn濃度を0.4質量%以下とするのは、0.4質量%を超えるとフィン中央が腐食してしまい、フィンとしての強度を維持することができなくなるためである。フィン(30)の板厚方向の中央部における好ましいZn濃度は0.2質量%以下である。
図3は、ろう付後の容器(扁平チューブ(10))の板厚(Ct)方向におけるZn濃度曲線(CZn)の一例を示している。容器(10)の内面にはフィン(30)から蒸発したZnが付着しかつ板厚の深部方向に拡散してZn拡散層(13)が形成される。容器(10)のZn拡散層は、Zn濃度が表面において最も高く、深部側に向かってZn濃度が低下する濃度勾配が形成されていることが好ましい。このような濃度勾配が好ましい理由は、表面から深部にかけて濃度勾配ができることで心材と表面に電位差を形成することができ、容器に貫通孔食が発生するのを防止することができるからである。また、容器(10)の表面における好ましいZn濃度は0.06〜0.7質量%であり、特に好ましいZn濃度は0.1〜0.6質量%である。また、前記Zn拡散層(13)の層厚(d)をZn濃度がろう付前の容器のZn濃度に等しくなる、即ち拡散量が0となる深さとして定義すると、Zn拡散層(13)の層厚(d)は2〜100μmが好ましく、特に5〜80μmが好ましい。
上述したように、ろう付後の板厚方向におけるZnの濃度勾配はフィン(30)と容器(10)とでは逆転する。このような板厚方向において逆転した濃度勾配の効果はフィン材を腐食させながら、容器材の孔食を防止し、組み合わせることで長期的に容器材料を防食することが可能となる。
[ろう付条件]
真空ろう付の温度条件は、容器とフィンとが良好にろう付されかつろう付後のフィンのZn濃度が規定した濃度と濃度勾配になる限り限定されない。Znは570℃以上で蒸発するので、フィンから十分にZnを蒸発させるには570℃以上の温度を10〜60分保持することが好ましい。570℃以上の保持時間が10分未満ではフィンからの蒸発量および容器内面への付着量および拡散量が少なくZn拡散層による防食効果も小さくなる。また、570℃以上で60分保持すれば十分にZnを蒸発させることができる。特に好ましい温度条件は580℃以上の温度を15〜50分保持することである。
また、ろう付時の真空プロファイルについては、フィンからのZn蒸発と容器内面へのの付着、拡散を効率良く行うために、蒸発段階と付着、拡散段階とでそれぞれに適した圧力に設定することが好ましい。ろう材が十分に溶融するまでは高真空が必要であるが、ろう材が溶融した後は高真空を必要としない。また、Znの蒸発には高真空が必要であるが、容器内面への付着、拡散は低真空または常圧の方が効率が良い。従って、ろう材が溶融するまでの期間を高真空とし、ろう材が溶融した後に昇圧して低真空または常圧にすることが好ましい。ろう材が溶融するまでの好ましい真空度は1×10−3〜1×10−5Paであり、特に9×10−4〜5×10−5Paが好ましい。また、ろう材溶融後の低真空は10Pa以上が好ましく、特に50Pa〜常圧が好ましい。このうようにろう付時の真空度を管理することでZnを容器の板厚方向の深くまで拡散させて防食効果の高いZn拡散層を効率良く形成することができる。
熱交換器の仮組体において、容器は作動液通路に連通する開口部を有する半閉鎖空間を形成している。開口部の位置や形状は熱交換器の種類によって多様であり、例えば図1に示した扁平チューブ(10)では両端部が開口部(12)である。フィンから蒸発したZnを容器内面に効率良く付着、拡散させるには、蒸発したZnをできる限り開口部から容器外に逃がさないことが好ましい。また、ろう付炉内をZnで汚染しないためにもZnを容器外への放散を抑制することが好ましい。このため、容器の開口部の開口面積(S)は小さいことが好ましく、10cm以下であることが好ましい。特に好ましい開口部の開口面積(S)は8cm以下である。また、容器の内部容量に対して開口面積(S)は小さい方が好ましい。
なお、前記開口部の開口面積(S)とは容器に冷却水を流すための前後のパイプ等の断面積のことであり、パイプ等の通水口がない場合は、開口部の内断面積からフィンの断面積を差し引いた実質的な開口面積である。
また、ろう付時における容器の開口面積(S)は、開口部の一部を塞ぐことによって実質的に小さくすることができる。閉塞手段は、開口部に当て板をしたりキャップを被せる等を適宜選ぶことができる。このようにろう付時に開口部の一部を塞ぐことで容器内面へのZnの付着、拡散を促して効率良くZn拡散層を形成することができ、かつろう付炉の汚染も減少させることができる。さらに、開口部の内断面積の大きい容器に対しても開口部の一部を塞ぐことで本発明の方法を適用して炉を汚染することなく容器内面に防食性能を付与することができる。
[熱交換器のろう付]
図1に参照される扁平チューブ型の熱交換器を仮組みしてろう付を行った。
(実施例1)
扁平チューブ(10)を構成する半部材(20a)(20b)の材料は、A3003からなる心材の片面にAl−Si−Mg合金からなるろう材をクラッドした総厚(Ct)0.8mm、クラッド率6%のブレージングシートを使用した。前記ブレージングシートのろう材が作動液通路(11)の壁面となる方向にプレス成形し、通路形成部(21a)(21b)の両側に接合用側縁(22a)(23a)(22b)(23b)が延出する半部材(20a)(20b)を作製した。前記通路形成部通路形成部(21a)(21b)によって形成される作動液通路(11)の幅(Cw)は70mmである。フィン(30)を構成する材料は、A3203に1質量%Znを添加したアルミニウム合金からなる板厚(Ft):0.3mmの薄板を使用した。前記薄板を曲成してフィンピッチ(Fp):2.4mm、フィン高さ(Fh):6mmの波形のフィン(30)を作製した。
2枚の半部材(20a)(20b)の間にフィン(30)を挟み付けて両端に開口部を(12)を有する扁平チューブ型の熱交換器(1)を仮組みした。この仮組体にはパイプが取り付けられておりその両端の開口部(12)の合計の開口面積(S)は6cmである。
前記仮組体を炉内で1×10−5Paの真空中で600℃×20分加熱し、その後炉内で実体温度が200℃に低下するまで自然冷却した。このろう付の温度履歴における570℃以上の保持時間は30分であった。
ろう付した熱交換器(1)において、重ね合わせた接合用側縁(22a)(23a)(22b)(23b)、通路形成部(21a)の底(24a)とフィン(30)、通路形成部(21b)の天(24b)とフィン(30)はそれぞれ良好に接合されていることを確認した。
(実施例2)
実施例1と同じ仮組体を炉内で1×10−5Paの真空中で600℃×20分加熱し、その後炉内で実体温度が200℃に低下するまで自然冷却した。このろう付の温度履歴における570℃以上の保持時間は30分であり、570℃以上の高温を15分保持した時点で炉内を常圧に戻した。
ろう付した熱交換器(10)は重ね合わせた接合用側縁(22a)(23a)(22b)(23b)、通路形成部(21a)の底(24a)とフィン(30)、通路形成部(21b)の天(24b)とフィン(30)はそれぞれ良好に接合されていることを確認した。
(比較例)
フィン(30)の材料としてA3203(Zn濃度:0質量%)を用いたことを除き、実施例1と同じ条件で熱交換器(1)を真空ろう付した。
ろう付した熱交換器(10)は重ね合わせた接合用側縁(22a)(23a)(22b)(23b)、通路形成部(21a)の底(24a)とフィン(30)、通路形成部(21b)の天(24b)とフィン(30)はそれぞれ良好に接合されていることを確認した。
[ろう付後のZn濃度]
上記の実施例1、2および比較例でろう付した熱交換器(1)のフィン(30)を高さ方向の中央部で切断し、板厚(Ft)方向におけるZn濃度を測定した。また、扁平チューブ(10)は通路形成部(21a)のフィン接合部の中間部で切断し、チューブ内部の表面から板厚(Ct)方向におけるZn濃度を測定した。測定位置はそれぞれの表面からの深さ(mm)で表すものとし、これらの位置における測定値を表1に示す。
[耐食性試験]
ろう付した熱交換器(1)の作動液通路(11)にOY水を循環させるOY水内循環腐食試験を実施した。OY水は、Cl:195ppm、SO42−:60ppm、Fe3+:30ppmおよびCu2+:1ppmを含む水溶液である。そして、80℃の前記OY水を8時間内循環させ、続いて常温のOY水を16時間内循環させる内循環を1サイクルとし、このサイクルを20サイクル繰り返して合計480時間の腐食試験を実施した。試験後に熱交換器(1)を切断し、扁平チューブ(10)の内面の腐食の状態を観察して下記の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
◎:最大腐食深さが200μm以下
○:最大腐食深さが200μm超300μm未満
×:最大腐食深さが300μm以上
Figure 2014097511
表1に示したように、実施例1、2の熱交換器はフィン中のZnが蒸発して板厚方向の中央部から表面に向かって濃度が低下する濃度勾配を形成するとともに、扁平チューブにはフィンと逆方向の濃度勾配をもつZn拡散層が形成されることを確認した。耐食性試験の結果は、チューブ内面に形成したZn拡散層が防食効果を発揮していることを示している。また、実施例1、2は、ろう材溶融後の真空度の低下がZnの拡散を促進して防食効果の高いZn拡散層を形成しうることを示している。
本発明は内部防食を必要とするアルミニウム熱交換器の製造に利用できる。
1…熱交換器
10…扁平チューブ(容器)
11…作動液通路
12…開口部
13…Zn拡散層
20a、20b…半部材(容器)
21a、21b…通路形成部
30…フィン
Ft…フィン板厚
Ct…扁平チューブ(容器)の板厚
Zn…フィンのZn濃度曲線
Zn…容器のZn濃度曲線

Claims (9)

  1. 内部が作動液通路となり、該作動液通路に連通する開口部を有する容器は、少なくとも内面側がZn濃度:0.05質量%以下のアルミニウムで構成され、前記容器をZn濃度:0.5〜2.5質量%のアルミニウムからなるフィンを装入した状態で仮組し、
    前記仮組体を真空ろう付して開口部を除く容器の縁を接合するとともに前記フィンを容器の内面に接合し、
    ろう付時の加熱によってフィンからZnを蒸発させて、ろう付後のフィンの板厚方向の中央部におけるZn濃度を0.4質量%以下とするとともに、中央部から表面側に向かってZn濃度が低下する濃度勾配を生じさせ、
    前記フィンから蒸発したZnを容器の内面に付着させるとともに容器の板厚の深部方向に拡散させてZn拡散層を形成することを特徴とする熱交換器の製造方法。
  2. 前記Zn拡散層は表面から深部側に向かってZn濃度が低下する濃度勾配を有する請求項1に記載の熱交換器の製造方法。
  3. 前記真空ろう付の温度履歴において、570℃以上を保持する時間が10〜60分である請求項1または2に記載の熱交換器の製造方法。
  4. 前記開口部の開口面積が10cm未満である請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器の製造方法。
  5. 前記開口部の一部を塞いで真空ろう付する請求項1〜4のいずれかに記載の熱交換器の製造方法。
  6. 前記真空ろう付の温度履歴において、ろう材溶融後に炉内を昇圧する請求項1〜5のいずれかに記載の熱交換器の製造方法。
  7. ろう材溶融後に炉内を常圧まで昇圧する請求項6に記載の熱交換器の製造方法。
  8. アルミニウム容器内の作動液通路にアルミニウムフィンがろう付され、
    前記フィンの板厚方向の中央部におけるZn濃度が0.4質量%以下であり、かつ中央部から表面側に向かってZn濃度が低下する濃度勾配を有し、
    前記容器の内面側にZn拡散層を有することを特徴とする熱交換器。
  9. 前記Zn拡散層は表面から深部側に向かってZn濃度が低下する濃度勾配を有する請求項8に記載の熱交換器。
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