JP5597513B2 - 熱交換器用アルミニウムクラッド材 - Google Patents

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本発明は、真空ろう付によって作製されるアルミニウム熱交換器、特に熱伝導性が高くかつ内部循環水に対して高耐食性を必要とする熱交換器に適した熱交換器用アルミニウムクラッド材に関する。
真空ろう付によって作製されるアルミニウム熱交換器、例えばラミネートエバポレータ用材料として使用されるブレージングシートとして、流体通路の外側となる心材の面において、心材とろう材との間に中間層を設けることによって耐食性を高めたクラッド材が知られている(特許文献1、2参照)。
これらの文献に記載されたブレージングシートは自動車用熱交換器として提案されたものである。自動車用熱交換器は融雪塩や排気ガスが付着する環境にあり、前記ブレージングシートは、熱交換器の流体通路の外側の腐食環境が内側よりも過酷であることを前提として、ろう付による心材中のCuのろう材層への拡散を中間材で遮断することにより、心材を流体通路の外側からの腐食を防いで心材を防食するようにしたものである。
特開平9−296243号公報 特開平9−316578号公報
代表的な熱交換器であるラジエータのように内部循環水が用いられる環境もあり、流体通路の内側からの心材防食が求められている。また、熱交換器は電子素子の冷却にも使用され、電子素子冷却用熱交換器では、耐食性を向上させるために熱伝導性が低下するようなものではならず、高い熱伝導性が要求される。特に、電子素子冷却用熱交換器では素子を熱交換器に接触させた状態で組み付け、素子の発熱を直接的に抜熱するために高い熱伝導性が求められる。
このように、熱交換器用材料に求められる特性は、熱交換器の用途、使用状態、使用環境等によって異なっている。
しかしながら、特許文献1、2に記載されたブレージングシートは、流体通路の内側からの心材防食が求められる熱交換器に適したものではなかった。
本発明は上述した技術背景に鑑み、真空ろう付で作製される熱交換器の流体通路の内側において優れた耐食性を有する熱交換器用アルミニウムクラッド材およびその関連技術を提供するものである。
即ち、本発明は下記[1]〜[11]に記載の構成を有する。
[1]心材の一方の面に中間材と内皮材とが順に積層された熱交換器用アルミニウムクラッド材であって、
前記心材は、Cu:0.3〜0.8質量%およびMg:0.2〜0.6質量%を含み、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成され、
前記中間材は、Mn:0.8〜1.5質量%およびZn:0.8〜3質量%を含み、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成され、
前記内皮材は、Mg:0.3〜1.8質量%を含み、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成されていることを特徴とする熱交換器用アルミニウムクラッド材。
[2]前記内皮材を構成するアルミニウム合金は、さらにSi:0.01〜0.6質量%を含有する前項1に記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
[3]前記心材を構成するアルミニウム合金は、さらにFe:0.01〜0.4質量%、Ti:0.001〜0.3質量%およびSi:0.01〜0.8質量%を含有する前項1または2に記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
[4]前記中間材を構成するアルミニウム合金は、さらにFe:0.01〜0.4質量%、Ti:0.001〜0.3質量%およびCu:0.2質量%以下を含有する前項1〜3のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
[5]前記内皮材を構成するアルミニウム合金は、さらにCu:0.2質量%以下およびMn:0.1質量%以下を含有するアルミニウム合金で構成されている前項1〜4のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
[6]前記心材を構成するアルミニウム合金は、さらにMn:0.8〜1.5質量%を含有する前項1〜5のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
[7]前記中間材の厚さが15〜100μmである前項1〜6のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
[8]前記心材の他方の面に外皮材としてろう材が積層された前項1〜7のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
[9]前項1〜8のいずれかに記載された熱交換器用アルミニウムクラッド材で構成された熱交換器用部材であって、内皮材が流体通路の内側に位置するように成形されてなることを特徴とする熱交換器用部材。
[10]前項1〜8のいずれかに記載された熱交換器用アルミニウムクラッド材を、内皮材が流体通路の内側に位置するように成形して熱交換器用部材を作製し、作製した熱交換器用部材を真空ろう付することを特徴とする熱交換器の製造方法。
[11]前項10に記載の方法で製造されたことを特徴とする熱交換器。
上記[1]に記載の発明は、CuおよびMgを含有するアルミニウム合金からなる心材の一方の面に、ZnおよびMnを含有する中間材が積層され、さらにその上にMgを含有する内皮材が積層されたアルミニウムクラッド材である。かかる構成により、真空ろう付における中間材中のZnの心材への拡散が心材中のMgによって抑制され、中間材中のZnの昇華は内皮材によって抑止されかつ内皮材への拡散は内皮材中のMgによって抑制される。これにより、真空ろう付による中間材中のZnの濃度低下が防がれ、中間材中のMnおよびZnによる犠牲腐食効果が得られる。しかも、内皮材自身が犠牲腐食層として作用するので、心材の内皮材側の面は中間材および内皮材の犠牲腐食によって防食される。
また、心材を構成するアルミニウム合金はCuおよびMgの添加によって強度を確保するものであるから、強度向上を目的としてMnを添加したAl−Mn系合金よりも熱伝導性が高い。
上記[2]に記載の発明によれば、内皮材中のSiの含有により耐食性が高まる。
上記[3]に記載の発明によれば、心材中のFe、Ti、Siの含有により耐食性が高まる。
上記[4]に記載の発明によれば、中間材中のFe、Ti、Cu含有により耐食性が高まる。
上記[5]に記載の発明によれば、内皮材中のCuおよびMnの含有により耐食性が高まる。
上記[6]に記載の発明によれば、心材中のMnの含有により加工性を低下させることなく耐食性を高めることができる。
上記[7]に記載の発明によれば、中間材の厚さが適正であり、中間材による心材防食効果を確実に得ることができる。
上記[8]に記載の発明によれば、外皮材としてろう材が積層されているので、熱交換器用部材または熱交換器を効率良く作製することができる。
上記[9]に記載の発明によれば、熱交換器用部材の流体通路の内側に中間材および内皮材による犠牲腐食層が形成されるので、流体通路の内側において高い耐食性が得られる。
上記[10]に記載の発明によれば、流体通路の内側に中間材および内皮材による犠牲腐食層を形成できるので、流体通路の内側において高い耐食性を有する熱交換器を製造できる。
上記[11]に記載の発明によれば、熱交換器用部材の流体通路の内側に中間材および内皮材による犠牲腐食層が形成されるので、流体通路の内側において高い耐食性が得られる。
本発明の熱交換器用アルミニウムクラッド材の基本構造を示す断面図である。 本発明の他の態様である、4層構造の熱交換器用アルミニウムクラッド材を示す断面図である。 図2のアルミニウムクラッド材を用いて作製した熱交換器用チューブの一実施形態を示す斜視図である。 図2の熱交換器用チューブを用いた熱交換器のコア部の正面図である。 図3の熱交換器用チューブの作製工程を示す説明図である。
[熱交換器用アルミニウムクラッド材]
図1のアルミニウムクラッド材(1)は本発明の一実施形態であり、本発明の熱交換器用アルミニウムクラッド材の基本構造を有している。
アルミニウムクラッド材(1)は、心材(11)の一方の面に、中間材(12)が積層され、さらにその上に内皮材(13)が積層された3層のクラッド材である。このアルミニウムクラッド材(1)は、内皮材(13)の側が熱交換器の流体通路の内側に位置するように成形される。
前記心材(11)は、Cu:0.3〜0.8質量%およびMg:0.2〜0.6質量%を含み、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成される。
Cuは、耐食性に影響を及ぼす因子であり、真空ろう付時に表層部に濃化することによって心材の耐食性を高める。Cu濃度が0.3質量%未満では耐食性を高める効果が乏しく、0.8質量%を超えると長期的な耐食性が低下するおそれがある。好ましいCu濃度は0.35〜0.7質量%である。
Mgは合金の強度を向上させるとともに、真空ろう付時に後述する中間材(12)を構成する合金に含有されるZnの心材(11)への拡散を抑止するために添加される元素である。中間材(12)中のZnが心材(11)中に拡散すると心材(11)の耐食性が低下するが、心材(11)中のMgが中間材(12)からのZn拡散を抑制することで心材(11)の耐食性を高めることができる。Mg濃度が0.2質量%未満では強度向上効果および耐食性向上効果が少なく、0.6質量%を超えると加工性が悪くなる。好ましいMg濃度は0.3〜0.5質量%である。
また、前記アルミニウム合金はCuおよびMgの添加によって心材強度を確保するものであり、強度向上を目的としてMnを添加したAl−Mn系合金よりも熱伝導性が高い。
前記心材(11)を構成するアルミニウム合金は、上述したCuおよびMgの含有に加えて、さらにFe:0.01〜0.4質量%、Ti:0.001〜0.3質量%のTiおよびSi:0.01〜0.8質量%を含有する合金であっても良い。Fe、Ti、Siはいずれも心材の耐食性に影響を及ぼす因子であり、これらの含有によって耐食性を高めることができる。Fe濃度が0.01質量%未満では前記効果が少なく、0.4質量%を超えると却って耐食性が低下する。Ti濃度が0.001質量%未満では前記効果が少なく、0.3質量%を超えると却って耐食性が低下する。Si濃度が0.01質量%未満では前記効果が少なく、0.8質量%を超えると却って耐食性が低下する。特に好ましいFe濃度は0.1〜0.3質量%である。特に好ましいTi濃度は0.05〜0.2質量%である。特に好ましいSi濃度は0.3〜0.6質量%である。
また、心材(11)を構成するアルミニウム合金は、上述したCuおよびMgの含有に加えて、あるいはFe、Ti、Siの含有に加えて、0.8〜1.5質量%のMnを含有する合金であっても良い。Mnは耐食性を向上させる元素であり、これらの含有によって耐食性を高めることができる。Mn濃度が0.8質量%未満では前記効果が少なく、1.5質量%を超えると合金の加工性が悪くなる。特に好ましいMn濃度は0.9〜1.3質量%である。
以上より、心材(11)を構成するアルミニウム合金において、Alおよび不可避不純物を除く構成元素は下記の4通りである。
(1)Cu、Mg
(2)Cu、Mg、Fe、Ti、Si
(3)Cu、Mg、Mn
(4)Cu、Mg、Fe、Ti、Si、Mn
前記中間材(12)は、心材(11)の内皮材(13)側の面における防食を目的として設けられた層であって、Mn:0.8〜1.5質量%およびZn:0.8〜3質量%を含み、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成される。
Mnは、合金の強度と耐食性に影響を及ぼす因子であり、合金の強度を高めるとともに、中間材(12)と内皮材(13)との間に電位差を設けることにより、内皮材(13)を犠牲腐食層として機能させる。Mn濃度が0.8質量%未満では前記効果が少なく、1.5質量%を超えると加工性が低下する。好ましいMn濃度は0.9〜1.3質量%である。
Znは、合金の電位を低下させて中間材(12)における犠牲腐食効果により心材を防食するとともに、心材(11)を構成するアルミニウム合金中のMgの中間材(12)への拡散を抑制する元素である。心材(11)中のMgが中間材(12)に拡散してMg濃度が低下すると心材強度が低下するが、中間材(12)中のZnが心材(11)からMg拡散を抑制することによって心材強度を維持することができる。Zn濃度が0.8質量%未満では心材の防食効果および強度維持効果が少なく、3質量%を超えると長期的な耐食性が悪くなるおそれがある。好ましいZn濃度は0.9〜2.5質量%である。
前記中間材(12)を構成するアルミニウム合金は、上述したMnおよびZnの含有に加えて、さらにFe:0.01〜0.4質量%e、Ti:0.001〜0.3質量%およびCu:0.2質量%以下を含有する合金であっても良い。Fe、Ti、Cuはいずれも耐食性に影響を及ぼす因子であり、中間材におけるこれらの元素の含有によってクラッド材としての耐食性を高めることができる。Fe濃度が0.01質量%未満では前記効果が少なく、0.4質量%を超えると却って耐食性が低下する。Ti濃度が0.001質量%未満では前記効果が少なく、0.3質量%を超えると却って耐食性が低下する。Cu濃度が0.2質量%を超えると犠牲腐食効果が低下する。特に好ましいFe濃度は0.1〜0.3質量%である。特に好ましいTi濃度は0.05〜0.2質量%である。特に好ましいCu濃度は0.001〜0.18質量%である。
以上より、中間材(12)を構成するアルミニウム合金において、Alおよび不可避不純物を除く構成元素は下記の2通りである。
(1)Mn、Zn
(2)Mn、Zn、Fe、Ti、Cu
前記内皮材(13)は、それ自身が犠牲腐食層であるとともに、真空ろう付時の中間材(12)中のZnの昇華を防いで中間材(12)にZnを保持させる層であり、Mg:0.3〜1.8質量%を含み、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成される。真空ろう付ではZnが昇華するので、Zn含有層やZn濃化層によって犠牲腐食層を形成することは極めて困難であるが、Znを含有する中間材(12)上に特定組成の内皮材(13)を積層することによってZnによる心材防食が可能となる。
前記アルミニウム合金において、Mgは強度および耐食性に影響を及ぼす因子であり、合金の強度を高めるとともに、中間材(12)中のZn拡散を抑止する。中間材(12)中のZnが内皮材(13)に拡散すると中間材(12)中のZn濃度が低下して中間材(12)における犠牲腐食効果が低下するが、内皮材(13)中のMgがZnの拡散を抑止することで中間材(12)による犠牲腐食効果を維持することができる。Mg濃度が0.3質量%未満では前記効果が少なく、1.8質量%を超えると加工性が低下するので所要形状への成形が難しくなる。特に好ましいMg濃度は0.5〜1.5質量%である。
また、真空ろう付においては内皮材(13)に含まれるMgのゲッター作用によって良好なろう付を達成できる。
前記内皮材(13)を構成するアルミニウム合金は、上述したMgの含有に加えて、Si:0.01〜0.6質量%を含有するアルミニウム合金であっても良い。Siは、耐食性に影響を及ぼす因子である。Si濃度が0.01質量%未満では耐食性を高める効果が乏しく、0.6質量%を超えると耐食性が低下する。好ましいSi濃度は0.1〜0.55質量%である。
また、前記内皮材(13)を構成するアルミニウム合金は、上述したMgの含有に加えて、あるいはSiの含有に加えて、Cu:0.2質量%以下およびMn:0.1質量%以下を含有するアルミニウム合金であっても良い。CuおよびMnは耐食性に影響を及ぼす因子であり、これらの含有によって耐食性を高めることができる。しかし、Cu濃度が0.2質量%を超えると中間材(12)との電位差が小さくなって、内皮材(13)を犠牲腐食させるという好ましい腐食形態になりにくくなる。また、Mn濃度が0.1質量%を超えると中間材(12)との電位差が小さくなって、内皮材(13)を犠牲腐食させるという好ましい腐食形態になりにくくなる。特に好ましいCu濃度は0.001〜0.15質量%である。特に好ましいMn濃度は0.001〜0.05質量%である。
以上より、内皮材(13)を構成するアルミニウム合金において、Alおよび不可避不純物を除く構成元素は下記の4通りである。
(1)Mg
(2)Mg、Si
(3)Mg、Cu、Mn
(4)Mg、Si、Cu、Mn
本発明はアルミニウムクラッド材の厚さおよび各層の厚さを限定するものではなく、用途に応じて任意に設定することができる。
熱交換器材料に適したアルミニウムクラッド材の心材(11)として200〜1500μmを例示できる。また、中間材(12)は熱交換器における十分な耐食性を得るために厚さ(t)が15μm以上に設定することが好ましい。また、100μmの厚さ(t)があれば十分な耐食性が得られるので、100μmを超える厚い中間材(12)は不経済である。よって、中間材(12)の好ましい厚さは15〜100μmであり、特に好ましい厚さ(t)は20〜70μmである。また、内皮材(13)の厚さは、上記範囲の厚さの中間材(12)中のZnの昇華を十分に防ぎ得る厚さとして15〜100μmが好ましく、特に15〜70μmが好ましい。
また、本発明のアルミニウムクラッド材は心材の他方の面にろう材をクラッドした4層構造であっても良い。図2のアルミニウムクラッド材(2)は、心材(11)の一方の面に中間材(12)および内皮材(13)を積層し、他方の面、即ち熱交換器の流体通路の外側になる側の面に外皮材(14)としてろう材を積層した4層材である。ろう材の組成は特に限定されず、真空ろう付に適したろう材として、Al−Si系合金、Al−Si−Mg系合金を例示できる。外皮材(14)としてろう材を積層したクラッド材(2)では、外皮材(14)が熱交換器用部材の作製時あるいは他の部材との接合時に接合用ろう材となるので、熱交換器用部材または熱交換器を効率良く作製することができる。
[熱交換器用部材および熱交換器、これらの製造方法]
熱交換器用部材は上述したアルミニウムクラッド材(1)(2)を内皮材(13)が流体通路の内側に位置するように成形することにより作製する。作製した熱交換器用部材は、単独で真空ろう付し、あるいは他の部材とともに熱交換器を組み立てて真空ろう付する。真空ろう付において、中間材(12)のZnは内皮材(13)によって昇華による濃度低下が防がれるので、流体通路の内面に犠牲腐食層が形成される。また、アルミニウムクラッド材(1)(2)の心材(11)を構成するアルミニウム合金はCuおよびMgの添加によって強度を確保するものであり、強度向上を目的としてMnを添加したAl−Mn系合金よりも熱伝導性が高いので、熱交換器としても優れた冷却性能が得られる。
図3および図4は、本発明のアルミニウムクラッド材で作製した熱交換器用チューブ(20)と、この熱交換器用チューブ(20)を用いて作製した積層型熱交換器のコア部(100)である。図示例の熱交換器用チューブ(20)は図2の4層構造のアルミニウムクラッド材(2)を成形したものである。
前記熱交換器用チューブ(20)は扁平形であり、対向する平坦壁(21a)(21b)間に設けた補強壁(22)によって流体通路(23)が2室に分割されている。
図5は、アルミニウムクラッド材(2)を用いて熱交換器用チューブ(20)を成形する工程を示している。先ず、板状のアルミニウムクラッド材(2)の幅方向の両端を内皮材(13)側に突出するように折り曲げて補強壁(22)を成形する。補強壁(22)は内皮材(13)の面から直角に立ち上がる隔壁(22a)と、隔壁(22a)の先端から直角に曲げられた当接壁(22b)とからなる。板状のアルミニウムクラッド材(2)は幅方向の中央部分が一方の平坦壁(21a)となり、両補強壁(22)に続く部分が他方の平坦壁(21b)になるので、次工程においてこれらの中間に位置する2箇所で円弧状に曲げる。対向する平坦壁(21a)(21b)が平行になるまで曲げ続け、2つの補強壁(22)の隔壁(22a)の外面どうしが当接すると平坦壁(21b)における継ぎ目が閉塞されるとともに、両方の当接壁(22b)が一直線となって継ぎ目のない平坦壁(21a)の内面に当接する。この状態において補強壁(22)が流体通路(23)を2室に分割して扁平形のチューブ形状となる。
前記熱交換器用チューブ(20)は、流体通路(23)の内面が内皮材(13)によって形成され、外面がろう材(14)によって形成されている。また、補強壁(22)の隔壁(22a)のろう材(14)どうしが当接し、当接壁(22b)と平坦壁(21a)との接触部は当接壁(22b)のろう材(14)と平坦壁(21a)の内皮材(13)が接触している。
前記コア部(100)は、熱交換器用チューブ(20)とフィン(101)とが交互に積層されるとともに、前記熱交換器用チューブ(20)の両端をヘッダーパイプ(102)に連通接続し、熱交換器用チューブ(20)とフィン(101)、熱交換器用チューブ(20)(2)とヘッダーパイプ(102)がろう付接合されたものである。なお、図4のコア部(100)においては、最外側のフィン(101)にサイドプレート(103)がろう付されている。
上述した方法で成形した熱交換器用チューブ(20)を、フィン(101)、ヘッダーパイプ(102)、サイドプレート(103)とともに仮組して真空ろう付する。この真空ろう付によって、熱交換器用チューブ(20)においては補強壁(22)の隔壁(22a)どうしが互いの接触面にあるろう材(14)によって接合され、かつ補強壁(22)の当接壁(22b)と平坦壁(21a)の内面とが当接壁(22b)が有するろう材(14)によって接合される。また、コア部(100)全体においては、熱交換器用チューブ(20)とフィン(101)とが熱交換器用チューブ(20)の外面にあるろう材(14)によって接合され、熱交換器用チューブ(20)とヘッダーパイプ(102)も熱交換器用チューブ(20)の外面にあるろう材(14)によって接合される。また、サイドプレート(103)はブレージングシートで作製され、フィン(101)にろう付されている。
真空ろう付の条件は特に限定されない。好適な真空ろう付条件は、10−3〜10−5Paの真空中で580〜620℃×3〜60分の加熱である。
また、図1に示したろう材を積層していない3層構造のアルミニウムクラッド(1)を用いて熱交換器用部材または熱交換器を作製する場合は、接合予定箇所に別途ろう材を供給するか、あるいは他の部材をブレージングシートで作製する等、適宜の方法でろう材する。
本発明のアルミニウムクラッド材で成形した熱交換器用部材(例えば熱交換器用チューブ)の製造、あるいは熱交換器用部材を用いた熱交換器の製造に際しては、他の部材とともに仮組みして一括して真空ろう付することに限定されるものではなく、熱交換器用部材単独で真空ろう付する場合も本発明に含まれる。
また、本発明の熱交換器用部材は、アルミニウムクラッド材を所要形状に成形してろう付する前とろう付した後の両方の状態を含んでいる。
また、本発明の熱交換器用アルミニウムクラッド材で形成する流体通路の形状は何ら限定されない。もちろん、熱交換器用部材はチューブに限定されるものでもなく、ヘッダーパイプ等の他の流体通路の材料として用いることができる。熱交換器の形態も積層型に限定されず、半導体搭載基板に対して接触状態で使用する半導体冷却用熱交換器としても用いることができる。アルミニウムクラッド材の心材が熱伝導性の高いアルミニウム合金で構成されているため、半導体冷却用熱交換器として優れた冷却性能が得られる。
図2に示す4層構造のアルミニウムクラッド材(2)を作製した。心材(11)、中間材(12)、内皮材(13)を構成する各アルミニウム合金は表1〜3に示す組成のものを用いた。また、心材(11)の厚さは400μm、内皮材(13)の厚さは40μmで各例共通とし、中間材(12)の厚さは表に示す厚さに変化させた。また、外皮材(14)は各例で共通とし、外皮材(14)を構成するろう材はAl−Si−Mg系合金とし、厚さを40μmとした。
比較例3および比較例5は加工性が悪いためにクラッド材を作製することができなかった。他の例は円滑にクラッド材を作製することができた。
各アルミニウムクラッド材(2)で図3に示す扁平形の熱交換器用チューブ(20)を成形し、フィン(101)、ヘッダーパイプ(102)、サイドプレート(10)とともに図4に示す熱交換器のコア部(100)を仮組みし、10−4Paの真空中で600℃×10分のろう付をした。
真空ろう付後の熱交換器用チューブ(20)について、耐食性および熱伝導性を下記の基準で評価した。
[耐食性(腐食試験)]
熱交換器のコア部(100)のヘッダーパイプ(10)に設けた内循環水の入り口(104)からOY水を導入し、全ての熱交換器用チューブ(20)にOY水を通して入れ、出口(105)から排出する、600時間のOY水内循環腐食試験を実施した。OY水は、Cl:195ppm、SO42−:60ppm、Fe3+:30ppmおよびCu2+:1ppmを含む水溶液である。そして、80℃の前記OY水を8時間内循環させ、続いて常温のOY水を16時間内循環させる内循環を1サイクルとし、このサイクルを25サイクル繰り返した。試験後に熱交換器用チューブ(20)を切断して腐食の状態を観察し、下記の基準で3段階で評価した。
○:腐食が中間材までで止まり、心材が腐食していないもの
△:腐食が心材のCu拡散層(心材におけるCu濃化層)の端部まで達しているもの
×:腐食が心材のCu拡散層を超えているもの
[熱伝導性]
ろう付後のアルミニウムクラッド材について熱伝導率を測定し、Al−Mn系合金であるJIS A3003材の熱伝導率と比較して下記の基準で評価した。
○:JIS A3003材の1.2倍以上
△:JIS A3003材の1倍を超え1.2倍未満
×:JIS A3003材の1倍以下
これらの結果を表1および表2に示す。
Figure 0005597513
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表1〜3より、本発明のアルミニウムクラッド材を真空ろう付して作製した熱交換器は熱伝導性に優れ、かつ流体通路の内面における耐食性に優れていることを確認した。
本発明のアルミニウムクラッド材は、流体通路の内側が外側よりも過酷な腐食環境で使用される熱交換器の材料として好適に利用できる。
1、2…熱交換器用アルミニウムクラッド材
100…熱交換器のコア部
11…心材
12…中間材
13…内皮材
14…ろう材
20…熱交換器用チューブ(熱交換器用部材)

Claims (11)

  1. 心材の一方の面に中間材と内皮材とが順に積層された真空ろう付用の熱交換器用アルミニウムクラッド材であって、
    前記心材は、Cu:0.3〜0.8質量%およびMg:0.2〜0.6質量%を含み、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成され、
    前記中間材は、Mn:0.8〜1.5質量%およびZn:0.8〜3質量%を含み、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成され、
    前記内皮材は、Mg:0.3〜1.8質量%を含み、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成されていることを特徴とする熱交換器用アルミニウムクラッド材。
  2. 前記内皮材を構成するアルミニウム合金は、さらにSi:0.01〜0.6質量%を含有する請求項1に記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
  3. 前記心材を構成するアルミニウム合金は、さらにFe:0.01〜0.4質量%、Ti:0.001〜0.3質量%およびSi:0.01〜0.8質量%を含有する請求項1または2に記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
  4. 前記中間材を構成するアルミニウム合金は、さらにFe:0.01〜0.4質量%、Ti:0.001〜0.3質量%およびCu:0.2質量%以下を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
  5. 前記内皮材を構成するアルミニウム合金は、さらにCu:0.2質量%以下およびMn:0.1質量%以下を含有するアルミニウム合金で構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
  6. 前記心材を構成するアルミニウム合金は、さらにMn:0.8〜1.5質量%を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
  7. 前記中間材の厚さが15〜100μmである請求項1〜6のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
  8. 前記心材の他方の面に外皮材としてろう材が積層された請求項1〜7のいずれかに記載の熱交換器用アルミニウムクラッド材。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載された熱交換器用アルミニウムクラッド材で構成された真空ろう付用の熱交換器用部材であって、内皮材が流体通路の内側に位置するように成形されてなることを特徴とする熱交換器用部材。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載された熱交換器用アルミニウムクラッド材を、内皮材が流体通路の内側に位置するように成形して熱交換器用部材を作製し、作製した熱交換器用部材を真空ろう付することを特徴とする熱交換器の製造方法。
  11. 請求項10に記載の方法で製造されたことを特徴とする熱交換器。
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