JP6446015B2 - アルミニウム合金クラッド材および該クラッド材を成形したチューブを組み付けた熱交換器 - Google Patents

アルミニウム合金クラッド材および該クラッド材を成形したチューブを組み付けた熱交換器 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム合金クラッド材、詳しくは、チューブに成形した場合、外面の耐食性に優れた熱交換器用チューブを得ることができるアルミニウム合金クラッド材、および該クラッド材を成形したチューブを組み付けた熱交換器に関する。
従来、ろう付けにより接合一体化されるアルミニウム製熱交換器の冷媒通路管としては、アルミニウム合金押出管またはアルミニウム合金板材を曲成してなるチューブが適用されている。これらの冷媒通路管は、外面(大気側)の耐食性向上のために、冷媒通路管の外面となる側に、押出管についてはZn溶射を行い、板材を曲成してなるチューブについてはAl−Zn系合金をクラッドして、Zn拡散層による犠牲陽極効果を狙った設計がなされている。
近年、とくに自動車用熱交換器においては、構成材料の薄肉化、高耐食化が要請され、犠牲陽極材のZn含有量低減による犠牲陽極層の腐食速度低減や犠牲陽極層厚さの増大が求められている。しかしながら、従来の押出管では、溶射効率の面からZn溶射量の低減は難しく、板材を曲成してなるチューブにおいても、心材に含有されるCuの拡散の影響により犠牲陽極材の電位が貴になって、Zn量を低減すると犠牲陽極効果を得るのに十分な電位差が確保できなくなるため、犠牲陽極材のZn含有量を低減することは困難であり、また、犠牲陽極層厚さの増大についても、製造コストの観点からクラッド率を増大することは難しい。
内面側のろう材に心材より多くのCuを添加して、ろう付け後において、外面側から内面側に向かって電位が貴になるように電位勾配を付与したブレージングシートや、外面側のろう材にZnを添加するとともに内面側のろう材にCuを添加し、Zn、Cuを特定の添加比率にすることによって形成されたZnとCuの濃度勾配により、電位がブレージングシートの外面から内面方向に貴になるようにしたブレージングシートも提案されているが、ろう材から拡散されるCuにより形成される電位が貴な層が薄く、電位が貴な層と心材の電位差も小さいため、腐食によって心材が殆ど消耗し、貫通孔が発生する直前の状態では、貫通孔の発生を抑制する効果は十分ではない。
特開2011−224656号公報 特開2009−127121号公報 特開2007−247021号公報
発明者らは、上記の問題を解決するために、アルミニウム合金板材を曲成してなるチューブについて、チューブを構成するアルミニウム合金クラッド材の構成、クラッド材各層の合金組成と耐食性との関連について試験、検討を行った結果、チューブを構成するアルミニウム合金クラッド材の構成を、心材と犠牲陽極材の2層構造、または心材の一方の面に犠牲陽極材をクラッドし、他方の面に心材よりも電位が貴な内皮材を配した3層構造としたものにおいて、犠牲陽極材に微量のCuを含有させた場合、犠牲陽極材の腐食速度が抑制されて犠牲陽極材が長期にわたり残存し、貫通孔の発生を抑制することが可能となり
、外面(大気側)の耐食性が向上することを見出した。とくに3層構造においては、心材が内皮材に対して犠牲陽極効果を発揮するため、内皮材に対して犠牲陽極材と心材が犠牲陽極層となり、結果として犠牲陽極層の厚さが増大することとなり、より長期にわたり貫通孔の発生を抑制することが可能となる。
本発明は、上記の知見に基づいて、さらに試験、検討を重ねた結果としてなされたものであり、その目的は、チューブに成形した場合、外面の耐食性に優れた熱交換器用チューブを得ることができるアルミニウム合金クラッド材、および該クラッド材を成形したチューブを組み付けた熱交換器を提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1によるアルミニウム合金クラッド材は、心材の一方の面に犠牲陽極材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、心材が、Mn:0.6〜2.0%(質量%、以下同じ)、Cu:0.03〜1.0%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Mn−Cu合金であり、犠牲陽極材が、Zn:2.0〜6.0%、Cu:0.03〜0.3%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Zn−Cu合金であり、心材および犠牲陽極材のCu含有量が(犠牲陽極材のCu含有量%)≦(心材のCu含有量%)の関係にあり、該犠牲陽極材が大気側に成形されるチューブ材用のアルミニウム合金クラッド材(1.0≦(犠牲陽極材に含有されるZnの%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnの%)+(心材に含有されるCuの%)+(1/3)・(心材に含有されるMnの%)≦2.4を満たすものを除く。)。以下の説明において、合金%は全て質量%で示す。
請求項2によるアルミニウム合金クラッド材は、請求項1において、前記心材が、さらにSi:1.5%以下、Fe:0.7%以下の1種または2種を含有することを特徴とする。
請求項3によるアルミニウム合金クラッド材は、請求項1または2において、前記心材が、さらにTi:0.01〜0.3%を含有することを特徴とする。
請求項によるアルミニウム合金クラッド材は、前記犠牲陽極材が、さらにSi:1.5%以下、Fe:0.7%以下、Mn:1.5%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする。
請求項5による熱交換器は、請求項1〜のいずれかに記載のアルミニウム合金クラッド材の成形体であり、心材が冷媒通路側、犠牲陽極材が大気側になるように成形されたチューブ材と、アルミニウムフィンとの組み付け体のろう付け体からなることを特徴とする。
本発明によれば、チューブに成形した場合、外面の耐食性に優れ、熱交換器、とくに自動車用熱交換器のチューブの素材として好適に使用することができるアルミニウム合金クラッド材、および該アルミニウム合金クラッド材を成形したチューブを組み付けた熱交換器が提供される。
本発明のアルミニウム合金クラッド材を成形した熱交換器用チューブの実施例を示す断面図である。 本発明のアルミニウム合金クラッド材を成形した熱交換器用チューブの他の実施例を示す断面図である。
本発明のアルミニウム合金クラッド材は、前記のように、その構成を心材と犠牲陽極材からなる2層構造、または心材の一方の面に犠牲陽極材を配し、他方の面に心材よりも電位が貴な内皮材を配した3層構造とし、犠牲陽極材にCuを含有させてなるものであり、内皮材が冷媒通路側、犠牲陽極材が大気側になるようにチューブに成形して熱交換器に組み付けられると、犠牲陽極材の腐食速度が抑制され、犠牲陽極材による犠牲陽極効果が長期間持続するため、長期にわたり貫通孔の発生を抑制することが可能となり、外面(大気側)の耐食性の向上が達成される。とくに3層構造においては、心材が内皮材にして犠牲陽極効果を発揮するため、内皮材に対して犠牲陽極材と心材が犠牲陽極層となり、結果として犠牲陽極層の厚さが増大することとなり、より長期にわたり貫通孔の発生を抑制することが可能となる。
2層構造の基本構成において、心材としては、Mn:0.6〜2.0%、Cu:0.03〜1.0%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Mn−Cu合金、犠牲陽極材としては、Zn:0.5〜6.0%、Cu:0.03〜0.3%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Zn−Cu合金が適用される。但し、心材および犠牲陽極材のCu含有量が(犠牲陽極材のCu含有量%)≦(心材のCu含有量%)の関係にあるようにする。
心材には、Si:1.5%以下、Fe:0.7%以下の1種または2種を含有させることができ、Ti:0.01〜0.3%を含有させることができる。また、犠牲陽極材には、Si:1.5%以下、Fe:0.7%以下、Mn:1.5%以下の1種または2種以上を含有させることができる。
3層構造の基本構成においては、心材として、Mn:0.6〜2.0%、Cu:0.03〜1.0%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Mn−Cu合金、内皮材として、Mn:0.6〜2.0%、Cu:0.2〜1.5%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Mn−Cu合金、犠牲陽極材として、Zn:0.5〜6.0%、Cu:0.03〜0.3%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Zn−Cu合金が適用される。但し、心材、内皮材および犠牲陽極材のCu含有量が(犠牲陽極材のCu含有量%)≦(心材のCu含有量%)≦(内皮材のCu含有量%)の関係にあるようにする。
心材には、Si:1.5%以下、Fe:0.7%以下の1種または2種を含有させることができ、Ti:0.01〜0.3%を含有させることができる。内皮材には、Si:1.5%以下、Fe:0.7%以下の1種または2種を含有させることができ、Ti:0.01〜0.3%を含有させることができる。また、犠牲陽極材には、Si:1.5%以下、Fe:0.7%以下、Mn:1.5%以下の1種または2種以上を含有させることができる。
以下、心材、内皮材および犠牲陽極材の合金成分の意義および限定理由について説明する。
(犠牲陽極材)
Zn:
犠牲陽極材中のZnは電位を貴にするよう機能し、心材、内皮材との電位のバランス調整のために含有させる。Znの好ましい含有量は0.5〜6.0%の範囲であり、0.5%未満ではその効果が十分でなく、6.0%を超えると、自己腐食速度が増大して耐食寿命が低下する。Znのさらに好ましい含有量範囲は1.0〜5.0%である。
Cu:
Cuは犠牲陽極材の腐食速度を抑制するよう機能する。Cuの好ましい含有量は0.03〜0.3%の範囲であり、0.03%未満では十分な腐食速度抑制効果が得られず、0.3%を超えると、電位が貴になるため犠牲陽極効果が得難くなる。Cuのさらに好ましい含有範囲は0.03〜0.2%である。
Si:
Siは強度を向上させるよう機能する。Siの好ましい含有量は1.5%以下の範囲であり、1.5%を超えると自己腐食速度が増大する。Siのさらに好ましい含有範囲は0.
5%以下である。
Fe:
Feは強度を向上させるよう機能する。Feの好ましい含有量は0.7%以下の範囲であり、0.7%を超えると自己腐食速度が増大する。
Mn:
Mnは強度を向上させるよう機能する。Mnの好ましい含有量は1.5%以下の範囲であり、1.5%を超えると自己腐食速度が増大する。Mnのさらに好ましい含有範囲は0.5%以下である。なお、犠牲陽極材には、それぞれ0.3%以下のIn、Sn、Ti、V、Cr、ZrおよびBが含有されていても本発明の効果が損なわれることはない。
(心材)
Mn:
Mnは強度を向上させるよう機能する。Mnの好ましい含有量は0.6〜2.0%の範囲であり、0.6%未満ではその効果が十分でなく、2.0%を超えると圧延が困難となる。Mnのさらに好ましい含有範囲は1.0〜2.0%である。
Cu:
Cuは心材の電位を貴にするよう機能し、犠牲陽極材、内皮材との電位のバランス調整の
ために含有させる。心材中のCu含有量が犠牲陽極材のCu含有量未満になると、犠牲陽極材との電位差が確保できなくなるため、心材中のCu含有量は犠牲陽極材のCu含有量以上とするのが好ましい。また、心材中のCuはろう付け加熱時に犠牲陽極材中に拡散し、犠牲陽極材との電位差を小さくするので、心材のCu含有量は1.5%以下とするのが好ましい。3層構造のクラッド材においては、心材中のCu含有量が内皮材中のCu含有量以上となると、内皮材との電位差が確保できなくなるため、3層構造のクラッド材における心材中のCu含有量は内皮材中のCu含有量未満とするのが好ましい。Cuのさらに好ましい含有範囲は0.6%以下である。
Si:
Siは強度を向上させるよう機能する。Siの好ましい含有量は1.5%以下の範囲であり、1.5%を超えると融点が低下して、ろう付け時に溶融し易くなる。Siのさらに好ましい含有範囲は0.8%以下である。
Fe:
Feは強度を向上させるよう機能する。Feの好ましい含有量は0.7%以下の範囲であり、0.7%を超えると自己腐食速度が増大する。
Ti:
Tiは、心材の板厚方向に濃度の高い領域と低い領域とに分かれ、それらが交互に分布する層状となり、Ti濃度の低い領域が高い領域に比べ優先的に腐食する結果、腐食形態を層状にする効果を有し、それにより板厚方向への腐食の進行を妨げて耐食性を向上させる。Tiの好ましい含有量は0.01〜0.3%の範囲であり、0.01%未満ではその効果が十分でなく、0.3%を超えると、巨大な晶出物が生成して成形性が害される。なお、心材には、それぞれ0.3%以下のV、Cr、ZrおよびBが含有されていても本発明の効果が損なわれることはない。
(内皮材)
Mn:
Mnは強度を向上させるよう機能する。Mnの好ましい含有量は0.6〜2.0%の範囲であり、0.6%未満ではその効果が十分でなく、2.0%を超えると圧延が困難となる。Mnのさらに好ましい含有範囲は1.0〜2.0%である。
Si:
Siは強度を向上させるよう機能する。Siの好ましい含有量は1.5%以下の範囲であり、1.5%を超えると融点が低下して、ろう付け時に溶融し易くなる。
Fe:
Feは強度を向上させるよう機能する。Feの好ましい含有量は0.7%以下の範囲であり、0.7%を超えると自己腐食速度が増大する。
Cu:
Cuは内皮材の電位を貴にするよう機能し、心材との電位のバランス調整のために含有させる。Cuの好ましい含有量は0.2〜1.5%の範囲であり、(心材のCu含有量%)≦(内皮材のCu含有量%)となる範囲で、1.5%を超えると融点が低下して、ろう付け時に溶融し易くなる。内皮材のCu含有量が心材のCu含有量より少ない場合は、心材が内皮材に対して犠牲陽極材として作用しなくなるため、耐食寿命が低下する。内皮材のCuのさらに好ましい含有範囲は0.8%以下である。
Ti:
Tiは、内皮材の板厚方向に濃度の高い領域と低い領域とに分かれ、それらが交互に分布する層状となり、Ti濃度の低い領域が高い領域に比べ優先的に腐食する結果、腐食形態を層状にする効果を有し、それにより板厚方向への腐食の進行を妨げて耐食性を向上させる。Tiの好ましい含有量は0.01〜0.3%の範囲であり、0.01%未満ではその効果が十分でなく、0.3%を超えると、巨大な晶出物が生成して成形性が害される。なお、内皮材には、それぞれ0.3%以下のV、Cr、ZrおよびBが含有されていても本発明の効果が損なわれることはない。
なお、犠牲陽極材、心材および内皮材中のSiおよびFeの含有量については、高純度地金を用いると製造コストの高騰を招くので、SiおよびFeの含有量をいずれも0.03%未満とすることは好ましくない。
本発明におけるクラッド構成は、犠牲陽極材のクラッド率を5〜30%、3層構造のものにおいては、内皮材のクラッド率を5〜30%とするのが好ましい。犠牲陽極材のクラッド率が5%未満では、ろう付け時の拡散により犠牲陽極材中のZn量が低下して十分な犠牲陽極効果が得難くなる。犠牲陽極材のクラッド率が30%を超えるとクラッド圧延が困難となる。より好ましい犠牲陽極材のクラッド率は10〜30%である。内皮材のクラッド率が5%未満では、ろう付け時の拡散により内皮材中のCu濃度が低下して心材との電位差が小さくなり、心材の犠牲陽極効果が得難くなる。内皮材のクラッド率が30%を超えるとクラッド圧延が困難となる。より好ましい内皮材のクラッド率は10〜30%である。
本発明のアルミニウム合金クラッド材は、内皮材が冷媒通路側、犠牲陽極材が大気側(外面側)になるようにチューブに成形し、このチューブの外面側(大気側)に、あるいは外面側と内面側(冷媒流路側)にアルミニウムフィンを組み付けて、ろう付け接合し、熱交換器とする。
チューブ材1の作製は、例えば、図1に示すように、アルミニウム合金クラッド材2をチューブに成形後、両面にろう材を配したブレージングシートからなるインナーフィン3を装入し、チューブの継ぎ目4をインナーフィン3のろう材でろう付け接合する手法、図2に示すように、予めアルミニウム合金クラッド材2の犠牲陽極材側にペーストろう5を塗布してチューブに成形し、または、チューブへの成形後にペーストろう5を塗布し、ペーストろう5により継ぎ目4をろう付け接合する手法により行われる。
本発明のアルミニウム合金クラッド材を、2層構造のものにおいては心材、3層構造のものにおいては内皮材が冷媒通路側、犠牲陽極材が大気側(外面側)になるようにチューブに成形し、このチューブにアルミニウムフィンを組み付けて、600℃の温度で3分間ろう付け加熱、両者を接合して熱交換器を作製した場合、組み付けられたチューブにおける犠牲陽極材、心材および内皮材の電位は、(犠牲陽極材の電位)<(心材の電位)<(3層構造の内皮材の電位)の関係となり、犠牲陽極材は心材に対して犠牲陽極効果を発揮する。本発明によるAl−Zn−Cu系合金の犠牲陽極材は、一般的なAl−Zn系合金の犠牲陽極材よりも腐食速度が遅く、犠牲陽極効果が作用する期間が長くなるため耐食性の向上が達成できる。また、3層構造のものでは、心材が内皮材に対して犠牲陽極効果を発揮するため、結果として犠牲陽極層の厚さが増大することとなり、犠牲陽極材と心材のいずれもが腐食によりその殆どが消耗しても、電位の貴な内皮材が残存することによって貫通孔の発生を抑制することが可能となり、外面(大気側)の耐食性のさらなる向上が達成される。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明し、その効果を実証する。これらの実施
例は、本発明の一実施態様を示すものであり、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
半連続鋳造により表1に示す組成を有する犠牲陽極材用合金(S1〜S11)、表2に示す組成を有する心材用合金および内皮材用合金(C1〜C20)を造塊し、得られた鋳塊のうち、犠牲陽極材用合金鋳塊については500℃で8時間の均質化処理を行った後、開始温度500℃で熱間圧延して所定厚さとし、心材および内皮材用合金鋳塊については500℃で8時間の均質化処理を行った後、心材用合金鋳塊は面削し、内皮材用合金鋳塊は開始温度500℃で熱間圧延して所定厚さとした。
ついで、犠牲陽極材用合金および内皮材用合金の熱間圧延材を面削後、各アルミニウム合金を、表3に示す組み合わせで重ね合わせて、開始温度500℃で3mm厚さまで熱間圧延し、さらに冷間圧延した後、400℃の温度で中間焼鈍を行い、その後、冷間圧延を行って厚さ0.2mmのアルミニウム合金クラッド板材(試験材1〜31)を得た。
比較例1
半連続鋳造により表1に示す組成を有する犠牲陽極材用合金(S12〜S18)、表2に示す組成を有する心材用合金および内皮材用合金(C21〜C26)を造塊し、さらに、実施例1で造塊された犠牲陽極材用合金(S1)、心材用合金および内皮材用合金(C1、C11)を用い、これらの鋳塊のうち、犠牲陽極材用合金鋳塊については500℃で8時間の均質化処理を行った後、開始温度500℃で熱間圧延して所定厚さとし、心材および内皮材用合金鋳塊については500℃で8時間の均質化処理を行った後、心材用合金鋳塊は面削し、内皮材用合金鋳塊は開始温度500℃で熱間圧延して所定厚さとした。なお、表1〜2において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
ついで、犠牲陽極材用合金および内皮材用合金の熱間圧延材を面削後、各アルミニウム合金を、表4に示す組み合わせで重ね合わせて、開始温度500℃で3mm厚さまで熱間圧延し、さらに冷間圧延した後、400℃の温度で中間焼鈍を行い、その後、冷間圧延を行って厚さ0.2mmのアルミニウム合金クラッド板材(試験材101〜114)を得た。
得られた試験材について、ろう付け加熱相当の600℃で3分間の加熱を加えた後、以下の方法で電位測定、引張試験、腐食試験を行った。結果を表3〜4に示す。
(電位測定)
試験材の電位は、酢酸を用いてpH3に調整した5%NaCl水溶液中で室温にて測定した。犠牲陽極材の電位は、犠牲陽極材側表面以外をマスキングして測定し、内皮材の電位は内皮材側表面以外をマスキングして測定した。また、心材の電位は、犠牲陽極材面側より心材厚さ中央まで試験材を研削し、研削面以外をマスキングして測定した。
(引張試験)
試験材をJIS−5号試験片に成形し、JIS Z2241に準拠して引張試験を行い、3003合金のO材相当強度(95MPa)以上の引張強さを有するものを合格とした。
(腐食試験)
マスキングにより犠牲陽極材面を露出させた試験片について、SWAAT試験(ASTM
G85)を行って耐食性を評価し、1000時間経過時点で貫通孔が生じなかったものを合格(○)とし、とくに1500時間経過時点でも貫通孔が生じなかったものを優良(◎)と評価し、1000時間未満で貫通孔を生じたものを不合格(×)と評価した。
Figure 0006446015
Figure 0006446015
Figure 0006446015
Figure 0006446015
表3にみられるように、本発明に従う試験材1〜31はいずれも、SWAAT試験において貫通孔を生じなかった。とくに、内皮材を配した試験材14〜31は、より長時間貫通孔を生じなかった。また、これらのアルミニウム合金クラッド材を、内皮材が冷媒通路側、犠牲陽極材が大気側(外面側)になるようにチューブに成形し、このチューブにアルミニウムフィンを組み付けて、600℃の温度で3分間ろう付け加熱、両者を接合して熱交換器を作製したところ、改善された外面(大気側)の耐食性が得られることが確認された。
これに対して、表4に示すように、試験材101、109は犠牲陽極材のSi量が多いため、試験材102は犠牲陽極材のFe量が多いため、また試験材105は犠牲陽極材のMn量が多いため、いずれも犠牲陽極材の自己腐食量が多くなり、SWAAT試験で貫通孔が生じた。試験材103は犠牲陽極材のCu量が少ないため犠牲陽極材の自己腐食量が大きくなり、SWAAT試験で貫通孔が生じた。試験材104は犠牲陽極材のCu量が多いため、試験材106は犠牲陽極材のZn量が少ないため犠牲陽極効果が十分でなく、SWAAT試験で貫通孔が生じた。試験材107は犠牲陽極材のZn量が多いため、犠牲陽極材の自己腐食量が多くなり、SWAAT試験で貫通孔が生じた。試験材108は心材のCu量が少ないため犠牲陽極効果が十分でなく、SWAAT試験で貫通孔が生じた。
試験材110は心材のSi量が多いため、ろう付け加熱時に心材が溶融した。試験材111は心材のFe量が多いため、心材の自己腐食量が多くなり、SWAAT試験で貫通孔が生じた。試験材112は心材のMn量が少ないため、引張強度が低かった。
試験材113は内皮材のCu量が多いため、ろう付け加熱時に内皮材が溶融した。試験材114は内皮材のMn量が多いため冷間圧延時に割れが生じ、健全なクラッド材を得ることができなかった。
1 チューブ材
2 アルミニウム合金クラッド材
3 インナーフィン
4 継ぎ目
5 ペーストろう

Claims (5)

  1. 心材の一方の面に犠牲陽極材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、心材が、Mn:0.6〜2.0%(質量%、以下同じ)、Cu:0.03〜1.0%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Mn−Cu合金であり、犠牲陽極材が、Zn:2.0〜6.0%、Cu:0.03〜0.3%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Zn−Cu合金であり、心材および犠牲陽極材のCu含有量が(犠牲陽極材のCu含有量%)≦(心材のCu含有量%)の関係にあり、該犠牲陽極材が大気側に成形されるチューブ材用のアルミニウム合金クラッド材(1.0≦(犠牲陽極材に含有されるZnの%)−(1/3)・(犠牲陽極材に含有されるMnの%)+(心材に含有されるCuの%)+(1/3)・(心材に含有されるMnの%)≦2.4を満たすものを除く。)
  2. 前記心材が、さらにSi:1.5%以下、Fe:0.7%以下の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金クラッド材。
  3. 前記心材が、さらにTi:0.01〜0.3%を含有することを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウム合金クラッド材。
  4. 前記犠牲陽極材が、さらにSi:1.5%以下、Fe:0.7%以下、Mn:1.5%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のアルミニウム合金クラッド材。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のアルミニウム合金クラッド材の成形体であり、心材が冷媒通路側、犠牲陽極材が大気側になるように成形されたチューブ材と、アルミニウムフィンとの組み付け体のろう付け体からなることを特徴とする熱交換器。
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