JP2014089325A - 像振れ補正装置、光学機器、および撮像装置 - Google Patents

像振れ補正装置、光学機器、および撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】補正部材を保持する可動部材を移動させて像振れを補正する像振れ補正装置において、推進力の出力変動を小さくし、駆動効率の低下を抑えること。
【解決手段】像振れ補正装置は、補正レンズ102を保持する像振れ補正ユニット103を備えており、像振れ補正ユニット103を、固定部材101に対して回転中心点Oを球心とする球面に沿って移動させることで像振れを補正する。電磁駆動部104、105は、補正レンズ102の光軸に直交する方向にて、補正レンズ102の外周に配置され、互いの対向面に磁石1041,1051および電磁コイル1042,1052を有する。磁石および電磁コイルの各対向面における幾何学的中心と補正レンズ102の光軸を含む断面において、対向面の幾何学的中心での法線が光軸に対して傾いており、当該法線と光軸との交点と回転中心点Oが一致し、または両者が補正レンズ102から見て同じ側に位置する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置や、デジタル一眼レフ用の交換レンズ、双眼鏡および望遠鏡等の光学機器に搭載される像振れ補正装置に関する。
デジタルカメラ等に搭載される像振れ補正装置は、光学部材又は撮像素子を保持する像振れ補正ユニットを、光軸と直交する平面内の2方向(ヨー方向およびピッチ方向)に駆動することで、撮影時に発生する手振れによる影響を緩和する。
特許文献1に開示の像振れ補正装置は、補正レンズを保持する像振れ補正ユニットを、所定の点を球心とする球面上の2方向にて駆動することで、補正レンズが移動した場合の光学性能の低下を防止する。
特許文献1では、ボイスコイルモータを用いて像振れ補正ユニットを駆動する装置が開示されている。2つのボイスコイルモータを、光軸に直交し、互いに直交する第1の方向および第2の方向へ駆動力が働くように配置することで、像振れ補正ユニットを球面上の2方向へ駆動する構成を実現している。
特開2008−134329号公報
前記特許文献1の装置では、像振れ補正ユニットが可動領域の一方の端にあるときと、他方の端にあるときでは、ボイスコイルモータを構成する磁石とコイルの間の距離が大きく変化する。ボイスコイルモータの出力は、磁石とコイルの間の距離に強く依存するため、像振れ補正ユニットの位置によって、ボイスコイルモータの出力も大きく変化することになる。したがって、最も出力が小さい時でも十分な駆動力を引き出すためには、ボイスコイルモータの大型化を伴うという問題がある。
本発明の目的は、補正部材を保持する可動部材を移動させて像振れを補正する像振れ補正装置において、推進力の出力変動を小さくし、駆動効率の低下を抑えることである。
前記課題を解決するために、本発明に係る装置は、像振れの補正部材を保持する可動部材と、前記可動部材を、回転中心点を球心とする球面に沿って移動可能に保持する固定部材と、前記可動部材および前記固定部材にて互いに対向する部分に設けた磁石およびコイルからなる駆動手段を備える。前記磁石およびコイルは、前記コイルに通電したときに発生する駆動力の方向が、前記回転中心点を球心とする球面の接線方向と略一致するように、光軸に直交する方向から傾いて配置される。
本発明によれば、推進力の出力変動を小さくし、駆動効率の低下を抑えることができる。
図1ないし図8と併せて本発明の第1実施形態を説明するために、像振れ補正装置の構成例を示す分解斜視図である。 像振れ補正装置を、回転中心点Oを通りヨー方向に平行な平面で切断した場合の断面図である。 像振れ補正装置を、光軸を通り転動部材の中心を通る平面で切断した場合の断面図である。 比較例の像振れ補正装置を、回転中心点Oを通り可動部材の回転軸に垂直な平面で切断した場合の断面図である。 図4の像振れ補正装置を構成する補正レンズと磁石の位置関係を示す正面図である。 磁石からの距離と磁束密度の関係を例示するグラフである。 第1実施形態における磁石とコイルとのギャップ変化量を説明するための断面図である。 図7の像振れ補正装置を構成する補正レンズと磁石の位置関係を示す正面図である。 本発明の第2実施形態の像振れ補正装置にて、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足の位置を説明する図である。 本発明の第2実施形態の像振れ補正装置を、光軸および可動側対向面の法線を含む平面で切断した場合の断面図である。 本発明の第3実施形態の像振れ補正装置を、回転中心点Oを通り可動部材の回転軸と直交する面で切断した場合の断面図である。 図11の像振れ補正装置を、可動側対向面の法線方向から見た場合の図である。 本発明の第4実施形態の像振れ補正装置を例示する分解斜視図である。 図13の像振れ補正装置を、ヨー方向の回転軸と直交して回転中心点Oを通る平面で切断した場合の断面図である。 図13の像振れ補正装置を、ピッチ方向の回転軸と直交して回転中心点Oを通る平面で切断した場合の断面図である。 本発明の第5実施形態の像振れ補正装置を例示する分解斜視図である。 図16の像振れ補正装置を、ヨー方向の回転軸と直交して回転中心点Oを通る平面で切断した場合の断面図である。 図16の像振れ補正装置を、ピッチ方向の回転軸と直交して回転中心点Oを通る平面で切断した場合の断面図である。 図16の像振れ補正装置を、第1磁石の法線方向から見た場合の図である。 本発明の第6実施形態の像振れ補正装置を、ピッチ方向の回転軸と直交して回転中心点Oを通る平面で切断した場合の断面図である。
以下に本発明の各実施形態を添付図面に従って詳細に説明する。
各実施形態に係る像振れ補正装置は、ビデオカメラ、デジタルおよび銀塩スチルカメラといった撮影装置や、双眼鏡、望遠鏡、フィールドスコープといった観察装置を含む光学機器に搭載可能である。例えば、各実施形態は撮像装置にて撮像光学系を構成する像振れ補正光学系に適用できる。像振れ補正レンズを用いて手振れ等の振動による画像振れを補正するユニットは駆動制御部によって制御される。
[第1実施形態]
図1ないし図8を参照して、本発明の第1実施形態に係る像振れ補正装置について説明する。
図1ないし図3は、像振れ補正装置の構成例を示す図である。図1は、像振れ補正装置100の部品構成を示す分解斜視図である。図2は、組み立て後の像振れ補正装置100を、回転中心点Oを通って第1の方向(ヨー方向)に平行な平面で切断した場合の断面図である。図3は、組み立て後の像振れ補正装置100を、回転中心点Oを通って転動部材(本例ではボール)106の中心を通る平面で切断した場合の断面図である。
像振れ補正装置100は、固定部材101と、補正レンズ102を保持する像振れ補正ユニット103を有する。像振れ補正ユニット103は、転動部材106や引張りばね107を用いて固定部材101に移動可能な状態で支持され、第1の電磁駆動部104と第2の電磁駆動部105を用いて駆動される可動部材である。第1および第2の電磁駆動部は、いずれも永久磁石と電磁コイルを備える。像振れ補正ユニット103の位置検出のため、センサホルダ109には第1の位置センサ1081、第2の位置センサ1082が設けられている。
以下、各部品について詳細に説明する。
固定部材101は有底の円筒状に形成され、撮像光学系のレンズを固定するレンズ鏡筒に保持される。また、固定部材101の中心に形成した開口部101aには像振れ補正ユニット103が配置されて、その可動範囲が制限される。また固定部材101は開口部101aの外周の2箇所のコイル保持部1011を有する。なお、コイル保持部1011の詳細については後述する。開口部101aの外周には、複数の固定側ボール受け部1012が設けられている。固定側ボール受け部1012の数は転動部材106の個数に等しく、本実施形態では開口部101aの中心軸の回りに等しい角度間隔で3個配置されている。図3に示すように固定側ボール受け部1012の底面は、補正レンズ102の光軸上にある回転中心点Oを球心とする球面の一部をなす形状を有する。固定側ボール受け部1012の内側面は、転動部材106の可動範囲を規定する壁面とされ、転動部材106の脱落を防止する。また固定部材101は複数箇所にばねかけ部1013を有し、引張りばね107の一端がそれぞれ取り付けられる。引張りばね107の個数は本実施形態では3個である。
補正レンズ102は像振れ補正ユニット103に保持され、像振れ補正ユニット103とともに、回転中心点Oを球心とする球面に沿って移動する。像振れ補正装置は撮像光学系の作る像を光軸と直交する面内で移動させ、手振れ等を検出した場合に、像面での安定性を確保できる。なお、撮像光学系の光軸と直交する一つの回転軸を中心とする回転方向(第2の方向)をピッチ方向と定義し、撮像光学系の光軸およびピッチ方向と直交する回転軸を中心とする回転方向をヨー方向と定義する。補正光学要素(補正部材)として補正レンズを用いる実施形態の他、撮像素子やプリズムを駆動する実施形態も可能である。
像振れ補正ユニット103は、中央の開口部103aに補正レンズ102を保持する可動部材であり、可動側ボール受け部1031を3箇所に有する。図3に示すように、可動側ボール受け部1031の底面は、補正レンズ102の光軸上にある回転中心点Oを球心とした球面の一部をなす形状をもつ。この球面の半径は、固定側ボール受け部1021に係る球面の半径に転動部材106の直径を加えたものに等しい。また、像振れ補正ユニット103は外周縁部の2箇所に磁石保持部1032を有し(図2参照)、後述する第1および第2の永久磁石(以下、単に磁石という)を保持する。像振れ補正ユニット103は3箇所にばねかけ部1033を有し、引張りばね107の一端がそれぞれ取り付けられる。
第1の電磁駆動部104(第1アクチュエータ)はボイスコイルモータである。第1の磁石1041は、概ね直方体状に構成された磁石である。本実施形態においては、特に第1の電磁コイル1042と対向する面は回転中心点Oを球心とする球面ではなく、長方形の平面となっている。第1の磁石1041は中央で二分割され、それぞれN極とS極として、対向面の法線方向が磁極の方向となるように着磁されている。その反対側の面については、第1の電磁コイル1042と対向する面とは反対の極に着磁されていてもよいし、磁石の厚みが十分に厚いとき等では着磁されていなくてもよい。
第1の電磁コイル(以下、単にコイルという)1042は、小判型(長辺が扁平な楕円形)に形成された巻き線コイルであり、一方の面が第1の磁石1041の着磁面と対向している。着磁面との対向面部は、それぞれ第1の磁石1041のN極およびS極と対向する2つの直線部と、両直線部をつなぐ2つの円弧状部から成る。ここで、第1の磁石1041および第1のコイル1042は、その駆動力の方向が、回転中心点Oを球心とする球面の接線方向と略一致するように光軸に対して傾けた配置にされている。第1のコイル1042が図示しない駆動制御部により通電されると、第1の磁石1041の着磁方向および通電方向と直交する方向、即ち回転中心点Oを球心とする球面の接線方向にローレンツ力が発生する。なお、本実施形態においては、第1の磁石1041および第1のコイル1042によって発生する駆動力の方向をヨー方向とする。また、像振れ補正ユニット103は、回転中心点Oを球心として球面上を移動した場合でも、第1の磁石1041の着磁方向は常に回転中心点Oの方へ向かうことになる。よって第1アクチュエータの駆動力の方向は常に回転中心点Oを球心とする球面の接線方向と略一致する。第1の電磁駆動部104の出力は、第1の磁石1041と第1のコイル1042とが対向する面積が大きくなるほど大きくなる。したがって、予め決められた電力内で所定の出力を得るためには、所定の対向面積が必要である。
第2の電磁駆動部105(第2アクチュエータ)はボイスコイルモータであり、第2の磁石1051と第2のコイル1052から成る。第1の電磁駆動部104と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。ここでも、第2の磁石1051および第2のコイル1052は、その駆動力の方向が、回転中心点Oを球心とする球面の接線方向と略一致するように光軸に対して傾けた配置にされている。第2のコイル1052が図示しない駆動制御部により通電されると、第2の磁石1051の着磁方向および通電方向と直交する方向、即ち回転中心点Oを球心とする球面の接線方向にローレンツ力が発生する。なお、本実施形態においては、第2の磁石1051および第2のコイル1052によって発生する駆動力の方向をピッチ方向とする。また、像振れ補正ユニット103は、回転中心点Oを球心として球面上を移動した場合でも、第2の磁石1051の着磁方向は常に回転中心点Oの方へ向かうことになる。よって、第2アクチュエータの駆動力の方向は常に回転中心点Oを球心とする球面の接線方向と略一致する。
第1の電磁駆動部104および第2の電磁駆動部105は、補正レンズ102の外周に配置されるので、像振れ補正ユニット103の内周側の部分を補正レンズ102の光路として利用することができる。
転動部材106は、固定部材101に対して像振れ補正ユニット103を転動支持するボール部材である。本実施形態では、転動部材106の数は3つであり、光軸を中心として円周方向に沿って均等に配置されている。転動部材106は、転がり抵抗を小さくし、また高い加工精度で製作するために、ステンレス鋼やセラミック材料等、硬度の高い材質で形成される。なお、転動部材106の代わりに、固定部材101から突出するように配設されて先端の点接触で像振れ補正ユニット103を支持する錘状の部材などであってもよい。
引張りばね107は、固定部材101と像振れ補正ユニット103の間に配置され、像振れ補正ユニット103と固定部材101とを近づける方向に付勢力を作用させる。これによって像振れ補正ユニット103と固定部材101とで、転動部材106を挟持することができる。本実施形態では、3本のばねを円周方向に等分に配置している。これらの引張りばね107により、補正レンズ102を中心として放射方向にも引張り力が発生する。なお、本実施形態では、3本のばねを用いているが、磁石で像振れ補正ユニット103と固定部材101とを近づける方向に付勢力を作用させてもよい。
センサホルダ109は、第1の位置センサ1081および第2の位置センサ1082を保持する部材であり、固定部材101に固定される。第1の位置センサ1081は、像振れ補正ユニット103のヨー方向の移動を検出する磁気検出手段である。本実施形態では、ホール素子等により、磁束密度の変化を検出するセンサが使用され、第1の磁石1041と対向して配置される。像振れ補正ユニット103に固定された第1の磁石1041の移動によって変化する磁束密度を検出することで、像振れ補正ユニット103のヨー方向の移動を検出できる。この位置検出信号は図示しない駆動制御部に出力され、像振れ補正ユニット103のフィードバック制御が行われて、高精度な位置制御が実現される。第2の位置センサ1082は、像振れ補正ユニット103のピッチ方向の移動を検出する。検出方向や配置の違いを除いて第1の位置センサ1081と同様の構成を有するため、詳細な説明を省略する。
次に、像振れ補正装置100の構造および動作について、図2および図3を参照して説明する。
まず、像振れ補正ユニット103と固定部材101の関係について述べる。本実施形態にて3つの転動部材106は、固定部材101に設けた複数の固定側ボール受け部1012の底面にそれぞれ接触するように配置されている。また、各転動部材106は像振れ補正ユニット103に設けた可動側ボール受け部1031にも接触している。この状態で引張りばね107により、像振れ補正ユニット103と固定部材101の間には引張り力が働く。この引張り力によって、転動部材106は像振れ補正ユニット103と固定部材101によって挟持された状態で像振れ補正ユニット103が安定に転動支持される。
可動側ボール受け部1031と固定側ボール受け部1012にて転動部材106がそれぞれに点接触する接触面は、回転中心点Oを球心とする同心の球面の一部をなす。これらの球面同士の半径の差は転動部材106の直径と等しい。したがって、像振れ補正ユニット103や転動部材106の位置によらず、可動側ボール受け部1031と固定側ボール受け部1012とが同心の状態を保つ。すなわち、像振れ補正ユニット103は、回転中心点Oを球心とした球面に沿って移動可能に支持されている。3本の引張りばね107は、それぞれ像振れ補正ユニット103を光軸回り方向に引張る付勢力を発生させるので、像振れ補正ユニット103が光軸を中心とする回転方向に移動しても、それを戻そうとする復元力が働く。これにより、像振れ補正ユニット103にて回転方向の移動量がゼロとなる安定位置が得られる。
次に、第1の磁石1041と、第1のコイル1042との位置関係について説明する。図2は、光軸およびコイルの中心点を通る平面で切断した場合の断面図である。ここでコイルの中心点とは、第1のコイル1042にて、第1の磁石1041に対する対向面における幾何学的中心(以下、図心という)である。図2において、回転中心点Oから第1のコイル1042へ下ろした垂線の足は、当該コイルの中心点と一致するように配置される。コイル保持部1011は、第1のコイル1042を光軸に対して傾けた配置にすることができる形状を有する。また、回転中心点Oから第1の磁石1041へ下ろした垂線の足についても、第1の磁石1041にて、第1のコイル1042に対する対向面の図心と一致している。第1の磁石1041は、第1のコイル1042に対する対向面と直交する方向に着磁されているので、像振れ補正ユニット103が回転中心点Oを球心として球面上を移動した場合でも、着磁方向は常に回転中心点Oの方へ向かうことになる。
像振れ補正ユニット103がその可動範囲の中央に位置する状態を、以下では「初期状態」と呼ぶことにする。初期状態にて、第1の磁石1041の対向面は第1のコイル1042の対向面と平行であり、第1の磁石1041の対向面における図心と、第1のコイル1042の対向面における図心は、回転中心点Oを通る直線上に配置される。
第1の磁石1041および第1のコイル1042は、その駆動力の方向が回転中心点Oを球心とする球面の接線方向と略一致するように光軸に対して傾けた配置にされる。このため、第1のコイル1042には、図示しない駆動制御部により、図2の紙面と直交する方向に電流が流れ、よってローレンツ力は、図2の紙面内に働く。また第1の磁石1041の着磁方向は、上述のように回転中心点Oの方向を向いている。したがって、第1のコイル1042に通電すると、回転中心点Oを中心とする円の接線方向に沿って像振れ補正ユニット103にローレンツ力が働く。像振れ補正ユニット103は、上述の機構によって回転中心点Oを球心とした球面上を移動可能に支持されているので、第1のコイル1042への通電により、像振れ補正ユニット103を、回転中心点Oを中心してヨー方向へ効率的に回転させることができる。
第2の磁石1051と第2のコイル1052については、第1の磁石1041と第1のコイル1042に対して、光軸を中心軸として90°回転させた位相になっており、互いの位置関係は第1の磁石1041、第1のコイル1042の場合と同じである。よって、第2のコイル1052に通電することで、像振れ補正ユニット103を、回転中心点Oを中心としてピッチ方向へ効率的に回転させることができる。各コイルへの通電を組み合わせることで、補正レンズ102を、回転中心点Oを球心とする球面に沿って任意の位置に移動させることができる。
次に、コイルと磁石とのギャップ変化量および電磁駆動部の出力変化について、従来の像振れ補正装置を比較例として、本実施形態と対比して説明する。
まず、従来の像振れ補正装置のギャップ変化量および電磁駆動部の出力変化について、図4ないし図6を参照して説明する。図4は、従来の像振れ補正装置にて、光軸を通り可動部材の回転軸に垂直な平面で切断した場合の断面図である。図5は、従来の像振れ補正装置の正面図であり、コイルに対する磁石の対向面を光軸方向から示す。各図には補正レンズ002、像振れ補正ユニット003、磁石0041をそれぞれ示す。符号については、本実施形態に係る構成要素に対して使用する符号の先頭数字を1から0に置換した符号で示す。なお、比較例および本実施形態の像振れ補正装置では、像振れ補正ユニットに磁石を配置し、固定部材にコイルを配置した可動磁石式の構成を有する。勿論、これとは逆に像振れ補正ユニットにコイルを配置し、固定部材に磁石を配置する構成も可能である。以下では、電磁駆動部にて磁石とコイルが対向する対向面に関して、像振れ補正ユニットに磁石またはコイルが取り付けられる方の面を「可動側対向面」と呼び、固定部材にコイルまたは磁石が取り付ける方の面を「固定側対向面」と呼ぶことにする。なお、可動側と固定側を特に区別する必要がない場合には、単に対向面という。
初期状態において、像振れ補正ユニット003に取り付けた磁石0041は、図示しない固定部材に取り付けたコイルと平行に配置されている。また、図4に示す固定側対向面や可動側対向面は、それらの法線が補正レンズ002の光軸と平行に配置される。ここでは、説明の簡略化のために、固定側対向面を無限平面とし、可動側対向面を有限の広がりをもつ平面と定義する。また、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足を点Pとする。
図4には、初期状態における像振れ補正ユニット003を実線で示し、像振れ補正ユニット003が回転中心点Oを中心にΔθだけ回転した状態を破線で示す。この回転によって、磁石とコイルとのギャップが変化し、その変化量は、点Pからの距離Rの大きさによって変化する。ここで、距離Rは点Pを基準とする点A0の位置までの長さを表す。点A0は、初期状態にて可動側対向面上に位置しており、移動後の点をA1とする。このときのギャップ変化量をΔgと記す。点Pから点Oまでの距離をLと記し、直線OPと直線O−A0のなす角をθと記す。図4に示す幾何学的関係から、(1)式が成り立つ。
Figure 2014089325

ここで、(2)式が成り立つ。
Figure 2014089325

よって、(1)式は、(3)式に書き換えられる。
Figure 2014089325

(3)式より、ギャップ変化量Δgの絶対値は、R値が最大となるときに最大(その値をΔgmaxとする)となることが分かる。Δgの値が負となるのは、像振れ補正ユニット003を図4上の正方向に回転させたときに、磁石とコイルの間隔が近づくことを表している。R値が最大となるのは、図5中に示す回転軸Amaxを中心軸として像振れ補正ユニット003を回転させたときの、磁石0041の外周側の隅に位置する点PAmaxである。
ここで、下表1の条件を設定した例について説明する。
Figure 2014089325
この場合、点Pから点PAmaxまでの距離(Rmaxとする。図5参照)は21.9mmとなるので、ギャップ変化量Δgの最大値(Δgmaxとする)は、(3)式より0.784mmとなる。初期状態における磁石とコイルのギャップは、Δgmaxよりも大きくする必要があるが、ここでは、説明の簡単化のために0.784mmとする。
コイルに通電したときに発生するローレンツ力は、磁束密度の強さに比例する。アクチュエータ全体のローレンツ力を求める場合、正確にはコイルの各点における磁束密度を積分する必要がある。ここでは対向面の図心における磁束密度を利用することで、その値で近似し、説明の簡単化のために近似値を用いるものとする。一般に、磁石の磁束密度は、磁石からの距離が遠くなるほど弱くなる。例えば、図6に示すような磁束密度分布をもつ磁石を用いるものとする。横軸は磁石表面からの距離(単位:mm)を示し、縦軸は磁束密度(単位:T(テスラ))を示す。
点Pから可動側対向面の図心までの距離をR0とすると、R0の値は13mmとなるため、図心上のギャップが最も大きくなるときの変化量(Δg0maxとする)は、像振れ補正ユニット003を−Δθの角度で回転させたときの値、0.435mmとなる。このときの磁石0041とコイルとのギャップはΔgmax+Δg0maxとなり、1.22mmである。このときの磁束密度は、図6より0.32Tとなる。
次に、本実施形態の像振れ補正装置におけるギャップ変化量および電磁駆動部の出力変化について、図6ないし図8を参照して説明する。
図7は像振れ補正装置100を、像振れ補正ユニット103の回転軸に直交して光軸を含む平面で切断した場合の断面図である。図7は図2の状態を簡略化して表示した図に相当する。図8は図7の像振れ補正装置100を、可動側対向面の法線方向(すなわち回転中心点Oから見た方向:図7中の白抜き矢印方向を参照)から見た場合の正面図である。点Qは、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足である。線分OQの長さを光軸方向に投影した距離をLとし、また光軸に直交する放射方向に投影した距離をR0とする。
図7では、初期状態での像振れ補正ユニット103を実線で示し、回転中心点Oを中心としてΔθだけ回転させた状態を破線で示す。図8に示すように、本実施形態では点Qが磁石1041の図心と重なっている。像振れ補正ユニット103の移動に従って、磁石1041とコイル1042とのギャップが変化し、その変化量は点Qから点B0までの距離(Sと記す)の大きさに応じて変化する。点B0は可動側対向面上での任意の位置を表す。点B1は点B0をΔθだけ回転させた場合の位置を示す。∠QOB0の角度をθとし、∠QOB1の角度をΔθとする。可動側対向面上でQ点から距離Sにある点B0におけるギャップ変化量Δgについて、(1)〜(3)式と同様に計算すると、(4)式が得られる。
Figure 2014089325

(4)式からギャップ変化量Δgの絶対値は、Sの絶対値が最大になるときに最大になることが分かる。Δgの値が最大となるのは、例えば図8中に示す回転軸Bmaxを中心軸として像振れ補正ユニット103を回転させた場合の、磁石1041の隅に位置する点PBmaxである。
前記表1と同じ条件に揃えるため、図4および図5に示す例と磁石における図心の位置を一致させている。
R0=13mm、Smax=8.07mmとなるので、(4)式よりギャップ変化量の絶対値の最大値Δgmaxを計算すると、0.30mmとなる。上述の例と同様、初期状態における磁石1041とコイル1042とのギャップを0.30mmにしたとする。また、磁石1041の図心の最大ギャップ変化量Δg0maxは、像振れ補正ユニット103を+Δθで回転させたときでも、−Δθで回転させたときでも、−0.02mmとなる。したがって、磁石1041の図心からコイル1042までの距離が最も離れるのは、初期状態であり、その距離は0.30mmである。図6を参照すると、このときの図心における磁束密度は、0.54Tとなる。
本実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
・磁石とコイルとのギャップ変化量の最大値Δgmaxを小さくできること。
上述の比較例(図4、図5参照)では、Δgmaxが0.784mmとなるのに対し、本実施形態ではΔgmaxが0.30mmと、大幅に小さくなっている。これにより、初期状態における磁石とコイルとのギャップを狭くすることができ、電磁駆動部の効率が向上する。なお、磁石とコイルとの対向面を光軸と直交させた場合において、磁石の図心を光軸上に配置することで、ギャップ変化量の最大値を本実施形態と同等にすることはできる。しかし、これでは補正レンズ102の光路を確保できなくなってしまう。補正レンズ102の光路の外側に電磁駆動部を配置する場合、本実施形態のように電磁駆動部の図心からの垂線が回転中心点Oを通るように設定することで、ギャップ変化量の最大値を小さくできる。
・最大ギャップ変化量Δg0maxの値を小さくできること。
比較例ではΔg0maxが0.435mmであり、本実施形態ではΔg0maxが−0.02mmとなって、絶対値の比較では約20の1となる。これにより、像振れ補正ユニット103の可動範囲の全域に亘って、電磁駆動部の出力の変化を小さくすることができ、制御性の良好な像振れ補正装置を実現できる。また、電磁駆動部の最低出力が著しく低下しないように回避できるため、推進力の不足を電磁駆動部の大型化により補う必要がなく、装置全体の小型化に寄与する。
また、比較例の場合、像振れ補正ユニット103をΔθだけ回転させると、可動側対向面は、全領域がコイルに近づき、また−Δθだけ回転させると、全領域がコイルから遠ざかる。これに対して本実施形態では、像振れ補正ユニット103をΔθだけ回転させると、磁石の一方の端はコイルに近づき、磁石の他方の端はコイルから遠ざかる。平均値としては両者の寄与分が相殺して打ち消されるので、従来に比べて変化量を小さくすることができる。
・磁石の図心がコイルから最も離れたときの距離を小さくできること。
これは、ΔgmaxおよびΔg0maxの値が小さくなることに依る。比較例では、最大距離は1.22mmで磁束密度は0.32Tとなり、本実施形態では最大距離は0.30mmで磁束密度は0.54Tとなる。磁石表面からの磁束密度の低下を抑え、電磁駆動部の出力を67%向上させることができる。つまり、電磁駆動部の出力は磁束密度に比例するため、電磁駆動部の出力低下を回避できる。これにより、推進力の不足を電磁駆動部の大型化で補う必要がなくなり、装置全体の小型化に寄与する。
・電磁駆動部を構成する磁石やコイルの製造が容易なこと。
コイルに対する磁石の対向面は平面であるので、磁石の製造時に複雑な金型を準備する必要が無く、直方体の磁石等、汎用の磁石を使用できる。これは低コスト化や品質の安定化に寄与する。
・電磁駆動部の出力を効率的に利用できること。
これは、電磁駆動部による駆動力が常に回転中心点Oの円の接線方向に働いており、像振れ補正ユニットを移動させる方向と一致していることに依る。また、電磁駆動部の個々のアクチュエータを見ると、それぞれのアクチュエータによる駆動力も回転中心点Oの円の接線方向に働く。それぞれのアクチュエータは、各駆動力の方向が回転中心点Oを球心とする球面の接線方向と略一致するように光軸に対して傾けた配置にされている。
・安定した位置検出を行えること。
初期状態において磁気検出手段は、コイルに対する磁石の対向面の図心と回転中心点Oを通る垂線上に配置している。上述したように、コイルと磁石とのギャップ変化量を小さくすることができるという関係は、磁石と磁気検出手段との間にも成り立つ。すなわち、初期状態にて磁石と磁気検出部を前記垂線上に配置することで、両者のギャップ変化量を小さくすることができる。
なお、本実施形態では、初期状態において磁石とコイルとを平行に対向させる配置とした。これにより、可動範囲全域に亘り、磁石とコイルの対向面がなす角度に対する最大ギャップ変化量を小さくすることができる。この他、可動範囲の一部領域で使用頻度が高くなることが事前に判明している場合等では、初期状態において磁石とコイルの対向面に所定の傾きをもたせる配置にしてもよい。この場合、可動側対向面と固定側対向面が初期状態以外で両者が平行になる範囲が存在する。この他、可動側対向面と固定側対向面に配置される磁石およびコイルの平面部の図心と補正レンズの光軸を含む断面にて、平面部の図心を通る法線が前記回転中心点Oの近傍に位置してもよい。この場合の近傍とは、平面部の図心を通る法線と光軸との交点と、回転中心点Oとの差が公差などを含めた許容範囲内であることを意味する。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、図9および図10を参照して説明する。なお、第1実施形態の場合と同様の構成要素については既に使用した符号を用いることで、それらの詳細な説明を省略し、第1実施形態との相違点を中心に説明する。このような説明の省略の仕方は後述する他の実施形態でも同様である。
前記のように、コイルと磁石の最大ギャップ変化量Δgmaxの値を小さくすることで、電磁駆動部の出力変化を小さくできる。(3)式や(4)式に示すように、ギャップ変化量Δgは、Δθ、L、RまたはR0、Sの値で決まる。このうち、Δθの値は抑制したい振れ量や光学設計によって決まる。また、回転中心点Oから可動側対向面までの距離は、回転中心点Oから補正レンズ102までの距離と、ほぼ等しい。こうすることによって、補正レンズ102と電磁駆動部が光軸方向に離れ、装置全体の厚みが大きくなることを防いでいる。したがって、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足を基準として、可動側対向面内での最大距離(図5のRmax、図8のSmax参照)の値を小さくすることで、コイルと磁石の最大ギャップ変化量を小さくしている。第1実施形態では、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足が、可動側対向面の図心と一致する配置とした。これにより、Smax値を最小にできるので、ギャップ変化量を最小にすることができる。
第2実施形態では、第1実施形態に対して、加工の難易度を下げ、他の部品との干渉を避けつつ磁石やコイルの大型化を回避する場合の形態である。図9は像振れ補正装置を光軸方向から見た場合の透視図であり、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足Qの位置を示す。図10は、像振れ補正装置を、可動側対向面の法線および光軸を含む平面で切断した場合の断面図である。
まず、図10に示すように、可動側対向面を回転中心点Oから見て傾けた状態を想定する。このとき、可動側対向面の図心を通る平面内で、可動側対向面の垂線と光軸との交点は、補正レンズ102から見て回転中心点Oと同じ側に位置している。但し、両者は一致するとは限らない。図9および図10に示す状態では、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足Qは、可動側対向面の図心に一致しておらず、図9のA領域に位置する。図9にて紙面に垂直な光軸に対して直交する2軸をそれぞれX軸およびY軸として設定した座標系において、A領域は、Y>0の領域である。点Qを基準として、可動側対向面内の最大距離Smaxを、Rmax(図5参照)よりも小さくすることができる。これにより、電磁駆動部を構成するコイルと磁石との最大ギャップ変化量Δgmaxの値を小さくして、電磁駆動部の出力変化を低減できる。
次に、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足Qが、図9にB領域として示す円内にある場合を説明する。B領域は、可動側対向面の図心を中心とし、可動側対向面の図心から補正レンズ102の光軸までの距離を半径とする円の内部領域である。B領域内では、点Qから可動側対向面内の各点までの距離のうちで最大距離Smaxを、確実にRmaxよりも小さくすることができる。これにより、最大ギャップ変化量Δgmaxの値を小さくして、電磁駆動部の出力変化を小さくすることができる。
次に、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足Qが、図9にC領域として示す矩形枠内にある場合を説明する。C領域は可動側対向面の境界の内部領域であり、本実施形態ではコイルに対する磁石の対向面内の領域に相当する。C領域内では、点Qから可動側対向面内の各点までの距離のうちで最大距離Smaxが、矩形状の磁石の対角線長よりも短くなり、Rmaxよりも小さくなる。また、C領域に点Qを配置した場合、像振れ補正ユニット103を回転させた際に、磁石の一方の端がコイルに近づき、磁石の他方の端はコイルから遠ざかる。したがって、平均値としては両者の寄与分の打ち消し合いが生じるため、磁石とコイルとの平均ギャップ変化量を大幅に小さくすることができる。
以上のように、前記比較例に対して最大ギャップ変化量Δgmaxの値を小さくするための条件は、前記垂線の足Qを、A領域、B領域、C領域内へと限定するにつれて、Rmaxに対するSmaxの比率を小さくすることに相当する。
次に、可動側対向面の法線と光軸とがなす角θの範囲について、図10を参照して説明する。
図10にて補正レンズ102と光軸との交点のうち、回転中心点Oに近い方を点C1とし、遠い方を点C2とする。回転中心点Oから点C1までの距離をL2とし、回転中心点Oから点C2までの距離をL3とする。光軸を基準として補正レンズ102の有効半径をR2とし、固定部材101の最外周部の半径をR3とする。本実施形態にて可動側対向面の法線と光軸とがなす角θは下式を満たす。
[数式5]
θ1<θ<θ2 ・・・(5)
ここでθ1=Atan(R2/L3)、θ2=Atan(R3/L2)であり、Atan()は逆正接関数(正接関数の逆関数)を表す。
可動側対向面の法線と光軸とのなす角θが(5)式に示す範囲内にある場合、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足Qは、補正レンズ102の外周側に位置し、かつ固定部材101の最外周部の内側に位置する。
本実施形態の電磁駆動部は、補正レンズ102の外周側であって、かつ固定部材101の最外周部よりも内側に配置される。これにより、補正レンズ102の光路との干渉を避けつつ、装置全体の大径化を回避できる。すなわち、θが(5)式に示す範囲内にあることは、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足Qが、電磁駆動部内に位置するための条件となる。(5)式に示す範囲内であれば、電磁駆動部を補正レンズ102の光路の外側に配置しながら、コイルと磁石とのギャップ変化量を小さくすることができる。
第2実施形態によれば、以上に説明した条件を課すことにより、電磁駆動部を構成する磁石とコイルとの間の距離の変化を小さくすることができ、電磁駆動部の出力変化を低減できる。これにより、推進力の不足を電磁駆動部の大型化で補う必要がなく、装置全体の小型化を実現できる。
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態について、図11および図12を参照して説明する。第3実施形態に係る像振れ補正装置では、第1の駆動部304が第1の磁石3041および第1のコイル3042を備える。
図11は、本実施形態の像振れ補正装置を、回転中心点Oを通り像振れ補正ユニットの回転軸と直交する平面で切断した場合の断面図である。図12は本実施形態の像振れ補正装置を、一方の可動側対向面の法線方向(図11における白抜き矢印に示す直線OQ1方向参照)から見た場合の図である。
第1の磁石3041は、第1のコイル3042に対する対向面にて2つの平面部を有する。その一方の面を第1の面とし、回転中心点Oからの当該面へ下ろした垂線の足を点Q1とする。また、他方の面を第2の面とし、回転中心点Oからの当該面へ下ろした垂線の足を点Q2とする。本実施形態では、点Q1と点Q2がそれぞれ対向面の図心に一致するように配置されている。
第1のコイル3042は、第1の磁石3041に対する対向面にて2つの平面部を有する。その一方の第1の面が第1の磁石3041の第1の面に対向し、他方の第2の面が第1の磁石3041の第2の面に対向する。可動部材303が可動範囲の中央に位置する状態にて、第1の磁石3041に対する2つの対向面(固定側対向面)は、それぞれ可動側対向面の2つの対向面と平行になる。なお、説明は省略するが、第2の磁石と第2のコイルについても、可動側対向面および固定側対向面の関係は前記と同様である。
前記第1実施形態および第2実施形態では、電磁駆動部を構成する磁石およびコイルは、それぞれの対向面が1つの平面であり、磁石およびコイルを容易に製造できる。これに対して第3実施形態では、磁石とコイルとの対向面を、複数の面で構成することにより、磁石とコイルとのギャップ変化量をさらに小さくすることができる。つまり、磁石とコイル対向面にて複数の平面部を有する構成では、各部の面積が1つの平面で構成する場合に比べて小さくなる。したがって、例えば、点Q1から可動側対向面内の点までの最大距離Smaxは、1つの平面で対向面を構成した場合よりも小さな値となり、最大ギャップ変化量Δgmaxが小さくなる。これにより、電磁駆動部の出力変化を低減できる。
本実施形態では、点Q1および点Q2を、それぞれの対向面の図心と一致させた構成を有する。これにより、磁石とコイルとのギャップ変化量を最小にできるという効果を奏する。
なお、加工の難易度等を考慮して、それぞれの対向面と垂線の足Q1およびQ2、回転中心点Oとの関係を、前記第2実施形態で説明した条件に従って設定することにより、前記と同様の効果が得られる。また、コイルに対する磁石の対向面は、1つの磁石内に複数の対向面を持たせる形状にしてもよいし、複数の磁石を組み合わせて複数の対向面を構成してもよい。また、可動側対向面および固定側対向面において3以上の平面部を有する構成でもよい。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態について、図13ないし図15を参照して説明する。本実施形態における像振れ補正装置400について、以下では、前記実施形態と相違する第1の電磁駆動部404、第2の電磁駆動部405を説明する。
図13は、本実施形態に係る像振れ補正装置400の構成例を示す分解斜視図である。第1の電磁駆動部404は、第1の磁石4041と1のコイル4042で構成され、第2の電磁駆動部405は、第2の磁石4051と第2のコイル4052で構成される。図14は、像振れ補正装置400を、像振れ補正ユニット103のヨー方向における回転軸と直交し、回転中心点Oおよび第1の電磁駆動部の図心を通る平面で切断した場合の断面図である。図15は、像振れ補正装置400を、像振れ補正ユニット103のピッチ方向における回転軸と直交し、回転中心点Oおよび第1の電磁駆動部の図心を通る平面で切断した場合の断面図(図14におけるD−D線参照)である。
電磁駆動部404,405をそれぞれ構成する磁石4041,4051は、コイル4042,4052にそれぞれ対する対向面が円筒面状に形成されている。それらの中心軸は、回転中心点Oを通り、中心軸の向きは、電磁駆動部404,405の各駆動方向と平行である。円筒面の半径方向は、回転中心点Oから各可動側対向面の図心へ向かう方向であり、円筒面の半径は、回転中心点Oから各可動側対向面の図心までの距離に等しい。円筒面の中心軸を図14に例示する。
他方、電磁駆動部404,405をそれぞれ構成するコイル4042,4052は、磁石4041,4051にそれぞれ対する対向面が円筒面状に形成されている。これらの円筒は、初期状態において、各コイルに対する磁石4041,4051の対向面と同軸となるように配置されており、円筒面の半径は、回転中心点Oから各固定側対向面の図心までの距離に等しい。
このような配置によって、磁石とコイルとのギャップ変化量Δgを小さくすることができる。その理由を以下に説明する。
まず、像振れ補正ユニット103をヨー方向に回転させる場合、つまり、図14の紙面と直交する回転軸を中心として回転させる場合に、電磁駆動部404における磁石4041とコイル4042とのギャップ変化量について説明する。可動側対向面は円筒面状に形成され、その中心軸は電磁駆動部404の駆動方向と平行である。このため、ヨー方向に回転させるときの磁石とコイルとのギャップ変化量は、第1実施形態の場合と同様、(4)式で表される。回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足を基準とする最大距離Smaxは、磁石の短辺方向の長さの半分となり、第1実施形態の場合に比べて短くなる。したがって、磁石とコイルとのギャップ変化量Δgの値を小さくすることができる。
次に、像振れ補正ユニット103をピッチ方向に回転させる場合、つまり図15の紙面と直交する回転軸を中心として回転させる場合に、電磁駆動部404における磁石とコイルとのギャップ変化量について説明する。この場合、可動側対向面は固定側対向面に対して、同軸関係を保ったまま回転する。したがって、幾何学的なギャップ変化量Δgは、理想的にはゼロとなる。実際には、加工精度や組立誤差に起因する量が存在するが許容範囲内である。
以上のように、第4実施形態では、磁石とコイルのそれぞれに対する対向面を円筒面状にすることで、対向面を平面にした場合に比べてギャップ変化量を小さくできるので、電磁駆動部の出力変化をさらに低減できる。
また、円筒面の回転軸を電磁駆動部の長手方向と一致させること、すなわち駆動方向と平行になるようにすることで、磁石とコイルとのギャップ変化量をより小さくすることができる。以下にその理由を説明する。
磁石の着磁面にコイルを対向配置させた構成をもつボイスコイルモータにおいて、その駆動力は、磁石の着磁面に対向するコイルの導線部の長さに比例し、電流の方向と直交する方向に働く。したがって、十分な駆動力を確保するためには、電磁駆動部の形状は、駆動方向と直交する方向が長手方向となる長方形状の対向面に設計することが多い。上述のように、磁石とコイルとの最大ギャップ変化量Δgmaxは、回転中心点Oから対向面へ下ろした垂線の足からの最大距離Smaxの値を小さくするほど小さくなる。したがって、円筒面の回転軸を電磁駆動部の長手方向に一致させれば、電磁駆動部の出力変化を小さくすることができる。
本実施形態では、固定側対向面の中心軸と可動側対向面の中心軸が、回転中心点Oを通る配置とし、これにより、回転中心点Oを中心に像振れ補正ユニット103をピッチ方向に回転させたときのギャップ変化量をゼロにすることができる。しかし、加工の難易度が高くなってしまう等の理由により、このような配置を採用できない場合もある。この場合、対向面(円筒面)の回転中心軸を回転中心点Oの近傍に設定することで、上述の効果に近づけることができる。これは、円筒面の中心軸と回転中心点Oが、補正レンズ102から見て同じ側に配置される場合には、そうでない場合に比べて円筒面の回転中心軸を回転中心点Oの近傍に近づけることができるからである。
本実施形態では、固定側対向面の中心軸と可動側対向面の中心軸が同軸となる配置とし、回転中心点Oを中心に可動部材をピッチ方向に回転させたときのギャップ変化量をゼロにすることができる。一方、加工上の制約等により、このような配置が難しくなる場合がある。この場合、回転中心点Oから近い内側の対向面(図14では固定側対向面)の半径が大きくなり、回転中心点Oから遠い外側の対向面(図14では可動側対向面)の半径が小さくなると、対向面同士の干渉が発生する可能性がある。干渉を回避するには、2つの対向面が同軸とならない配置の場合、回転中心点Oから見て外側の対向面の曲率半径を相対的に大きくし、内側の対向面の曲率半径を相対的に小さくするとよい。各対向面の中心軸を同軸にした配置と比べた場合、コイルと磁石とのギャップの平均値は大きくなるものの、部材間の干渉の発生を避けることができる。
また、加工上の制約等により、一方の対向面を円筒面部とし、他方の対向面を平面部とすることがある。この場合、平面は、曲率半径が無限大の円とみなせるので、平面状にした対向面を回転中心点Oから見て外側に配置し、円筒面状にした対向面を回転中心点Oから見て内側に配置すればよい。
次に磁石およびコイルの製造と関連する事項について説明する。
磁石を生産性良く製作するには、金型を利用して作る方式が一般的である。また、コイルを生産性良く製作するには、線材を糸巻きに巻いて作る方式が一般的である。円筒面の部分を持つ金型を準備することは比較的容易であるため、円筒面部を持つ磁石は比較的容易に製造できる。一方、本実施形態で用いる小判型コイルの場合、磁石に対する対向面を円筒面として形成するには、糸巻きの底面を円筒型にする必要があり、その底面に沿ってコイルを巻くには、複雑な巻き方を要するので、平面のみで対向面を構成するよりも加工の難易度が高い。したがって、磁石およびコイルのうち、一方の対向面を平面とし、他方の対向面を円筒面にする場合には、コイルに対する磁石の対向面を円筒面とし、磁石に対するコイルの対向面を平面とすることにより、製造が容易になり、コスト低減に寄与する。この場合、上述した理由により、磁石を回転中心点Oに近い側に配置し、コイルを回転中心点Oから遠い側に配置すればよい。
次に磁石と磁気検出手段とのギャップについて説明する。
本実施形態では、初期状態において、磁気検出手段(図14:位置センサ1081,1082参照)を、回転中心点Oから可動側対向面の図心に引いた直線上に配置している。これにより、磁石と磁気検出手段とのギャップ変化量を小さくすることができる。したがって、磁気検出手段に必要な測定レンジを小さくでき、像振れ補正ユニット103の位置を安定して検出できる。
[第5実施形態]
次に本発明の第5の実施形態について、図16ないし図18を参照して説明する。
以下では第5実施形態に係る像振れ補正装置500の構成部品のうち、固定部材501、像振れ補正ユニット503、電磁駆動部504および電磁駆動部505、中間移動部材506を主として説明する。第1の電磁駆動部504は、第1の磁石5041、第2の磁石5042、第1のコイル5043、第2のコイル5044で構成される。また、第2の電磁駆動部505は、第3の磁石5051、第4の磁石5052、第3のコイル5053、第4のコイル5054で構成される。
第1の転動部材507、第2の転動部材508はいずれもボールである。中間移動部材506は第1の転動部材507を介して固定部材501に支持され、像振れ補正ユニット503は第2の転動部材508を介して中間移動部材506に支持されている。よって、固定部材501に対して中間移動部材506が相対的に移動可能であり、中間移動部材506に対して像振れ補正ユニット503が相対的に移動可能な構成である。
図16は、像振れ補正装置500の構成部品を示す分解斜視図である。図17は、像振れ補正装置500を、ヨー方向に回転させるときの回転軸と直交し、かつ回転中心点Oおよび第1の電磁駆動部504の図心を通る平面で切断した場合の断面図である。図18は、像振れ補正装置500を、ピッチ方向に回転させるときの回転軸と直交し、かつ回転中心点Oおよび第2の電磁駆動部505の図心を通る平面で切断した場合の断面図である。
固定部材501は概ね円盤状に形成され、図示しないレンズ鏡筒に保持される。レンズ鏡筒は、撮像光学系を構成する他のレンズ群および像振れ補正装置500を含む。固定部材501の中心にある開口部501aには、像振れ補正ユニット503が配置されることで、像振れ補正ユニット503の可動範囲が制限される。また固定部材101は、開口部501aの外周部の2箇所にコイル保持部501bを有し、第1のコイル5043および第2のコイル5044をそれぞれ保持する。
固定部材501は、複数のヨー方向ボール受け部5011を有し、これらは第1の転動部材507に対する受け部である。ヨー方向ボール受け部5011の底面は、回転中心点Oを通ってピッチ方向に平行な直線を回転中心軸とした円筒面の一部を成す形状、またはV字状の断面をもつ形状に構成されている。これにより、第1の転動部材507は、回転中心点Oを通る回転軸を中心としてヨー方向に回転移動できる。
光学要素の保持部材である像振れ補正ユニット503は、中央の開口部503aに補正レンズ102を保持する。像振れ補正ユニット503は、複数のピッチ方向ボール受け部5031(図17参照)を有し、これらは第2の転動部材508に対する受け部である。ピッチ方向ボール受け部5031の底面は、回転中心点Oを通ってヨー方向に平行な直線を回転中心軸とした円筒面の一部を成す形状、またはV字状の断面をもつ形状に構成されている。これにより、第2の転動部材508は、回転中心点Oを通る回転軸を中心としてピッチ方向に回転移動できる。また、像振れ補正ユニット503は複数の磁石保持部503bを有し、第3の磁石5051および第4の磁石5052をそれぞれ保持する。
第1の電磁駆動部504はボイスコイルモータである。本実施形態では、2つのボイスコイルモータを並設することで1つの電磁駆動部が構成される。第1の磁石5041は、概ね直方体状に形成されており、中間移動部材506に取り付けられる。第1の磁石5041において第1のコイル5043との対向面は長方形の平面となっており、中央で二分割されてそれぞれN極とS極とされ、対向面の法線方向に着磁されている。図17に示すように、回転中心点Oから、第1のコイル5043に対する第1の磁石5041の対向面へ下ろした垂線の足は、対向面の図心を通るように配置される。第2の磁石5042は、概ね直方体状に形成され、補正レンズ102を挟んで第1の磁石5041とは反対側に配置されて中間移動部材506に取り付けられる。第2の磁石5042において第2のコイル5044と対向する面は長方形の平面となっており、中央で二分割されてそれぞれN極とS極にとされ、対向面の法線方向に着磁されている。図17に示すように、回転中心点Oから、第2のコイル5044に対する第2の磁石5042の対向面へ下ろした垂線の足は、対向面の図心を通るように配置される。
第1のコイル5043は小判型に形成されたコイルであり、第1の磁石5041の着磁面と対向するように、固定部材501に取り付けられている。第1の磁石5041の着磁面との対向面は平面であり、第1のコイル5043への通電により、第1の磁石5041の着磁方向および通電方向と直交する方向であるヨー方向にローレンツ力が発生する。第2のコイル5044は小判型に形成されたコイルであり、第2の磁石5042の着磁面と対向するように、補正レンズ102を挟んで第1のコイル5043の反対側にて固定部材501に配置されている。第2のコイル5044において第2の磁石5042の着磁面と対向する面は平面である。第2のコイル5044への通電により、第2の磁石5042の着磁方向および通電方向と直交する方向であるヨー方向にローレンツ力が発生する。なお、このときに第2のコイル5044へ流す電流は、第1のコイル5043へ流す電流と同相でよく、第1のコイル5043と第2のコイル5044は電気的に直列に接続されてもよい。
第2の電磁駆動部505はボイスコイルモータであり、本実施形態では、2つのボイスコイルモータを並設することで1つの電磁駆動部が構成される。第3の磁石5051、第4の磁石5052は、概ね直方体状に形成されており、像振れ補正ユニット503に取り付けられる。第4の磁石5052は、補正レンズ102を挟んで第3の磁石5051の反対側に配置される。第3の磁石5051において第3のコイル5053と対向する面は長方形の平面となっており、中央で二分割されてそれぞれN極とS極とされ、対向面の法線方向に着磁されている。同様に、第4の磁石5052において第4のコイル5054と対向する面は長方形の平面である。図18に示すように、回転中心点Oから、第3のコイル5053に対する第3の磁石5051の対向面へ下ろした垂線の足は、対向面の図心を通るように配置される。また、回転中心点Oから、第4のコイル5054に対する第4の磁石5042の対向面へ下ろした垂線の足は、対向面の図心を通るように配置される。
第3のコイル5053、第4のコイル5054は小判型に形成されたコイルであり、第3の磁石5051、第4の磁石5042の着磁面とそれぞれ対向した状態で中間移動部材506に取り付けられる。第4の磁石5042は、補正レンズ102を挟んで第3のコイル5043の反対側にて中間移動部材506に配置される。第3のコイル5053において第3の磁石5051の着磁面との対向面は平面である。第3のコイル5053への通電により、第3の磁石5051の着磁方向および通電方向と直交する方向であるピッチ方向にローレンツ力が発生する。また、第4のコイル5054において第4の磁石5052の着磁面との対向面は平面である。第4のコイル5054への通電により、第4の磁石5042の着磁方向および通電方向と直交する方向であるピッチ方向にローレンツ力が発生する。なお、このとき第4のコイル5054に流す電流は、第3のコイル5053へ流す電流と同相でよく、第3のコイル5053と第4のコイル5054は電気的に直列に接続されてもよい。
電磁駆動部504,505の各出力は、磁石とコイルが対向する面積が大きくなるほど大きくなる。したがって、決められた電力内で所定の出力を得るためには、所定の対向面積が必要である。複数の電磁駆動部は補正レンズ102の外周部に配置されるので、補正レンズ102の光路との干渉を回避できる。
中間移動部材506は、固定部材501と像振れ補正ユニット503の間に位置し、固定部材501との対向面には、複数のヨー方向ボール受け部5061を有する。ヨー方向ボール受け部5061は、回転中心点Oを通ってピッチ方向に平行な直線を回転中心軸とする円筒面の一部を成す形状、またはV字状の断面形状をもつ。これにより、第1の転動部材507は、回転中心点Oを通る回転軸を中心としてヨー方向に回転移動できる。また中間移動部材506は、像振れ補正ユニット503との対向面に、複数のピッチ方向ボール受け部5062を有する。ピッチ方向ボール受け部5062は、回転中心点Oを通りヨー方向に平行な直線を回転中心軸とする円筒面の一部を成す形状、またはV字状の断面形状をもつ。これにより、第2の転動部材508は、回転中心点Oを通る回転軸を中心としてピッチ方向に回転移動できる。中間移動部材506は、一方の側にて第1の磁石5041および第2の磁石5042を保持し、反対側にて第3のコイル5053および第4のコイル5054を保持する。
第1の転動部材507は、固定部材501に対して中間移動部材506を転動支持する。本実施形態では第1の転動部材507の個数は3つであり、回転中心点Oを通る回転軸を中心に、中間移動部材506をヨー方向にて転動支持する。また、第2の転動部材508は、中間移動部材506に対して像振れ補正ユニット503を転動支持する。本実施形態では第2の転動部材508の個数は3つであり、回転中心点Oを通る回転軸を中心に、像振れ補正ユニット503をピッチ方向にて転動支持する。
なお、図示は省略するが、弾性部材や磁気的な付勢手段等により、像振れ補正ユニット503と固定部材501の間には両者が引き合う方向の付勢力が働いている。これにより、第1および第2の転動部材は、それぞれのボール受け部に対して常に接触状態を保つ。
次に、本実施形態における像振れ補正装置の動作について説明する。
中間移動部材506は、固定部材501に対して、回転中心点Oを通る第1の回転軸を中心にヨー方向に回転可能に支持されている。また像振れ補正ユニット503は、中間移動部材506に対して、回転中心点Oを通る第2の回転軸を中心としてピッチ方向に回転可能に支持されている。したがって、像振れ補正ユニット503は固定部材501に対して回転中心点Oを交点とする第1および第2の回転軸を中心として、回転可能に支持されていることになる。この状態で、第1のコイル5043および第2のコイル5044への通電が行われると、中間移動部材506はヨー方向に駆動される。また、第3のコイル5053および第4のコイル5054への通電により、像振れ補正ユニット503はピッチ方向に駆動される。
以上のように、像振れ補正ユニット503をヨー方向に駆動する場合、像振れ補正ユニット503、第2の電磁駆動部505、第2の転動部材508、中間移動部材506が可動部に相当する。つまり、中間移動部材506は第1の可動部材であり、像振れ補正ユニット503は第2の可動部材であり、両者を含めた可動部が構成される。可動部は固定部材501に対してヨー方向の回転軸を中心として回転する。このときに発生する駆動力は、第1の電磁駆動部504によるローレンツ力に基づく。
また、像振れ補正ユニット503をピッチ方向に駆動する場合、中間移動部材506、第1の電磁駆動部504、第1の転動部材507、固定部材501を含めた部分が固定部に相当する。中間移動部材506は第1の可動部材であるが、この場合、第2の可動部材である像振れ補正ユニット503に対しては固定部とみなすことができる。像振れ補正ユニット503は、固定部に対してピッチ方向の回転軸を中心として回転する。このときに発生する駆動力は、第2の電磁駆動部505によるローレンツ力に基づく。
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
・磁石とコイルとのギャップ変化量を小さくできること。
磁石とコイルとのギャップ変化量は、前記(4)式で記述でき、S値(図7に示すS参照)によって変化する。第1実施形態の場合、磁石とコイルの相対的な位置関係は、回転中心点Oを球心とする球面に沿って変化する。すなわち、磁石はコイルに対して、回転中心点Oを通り光軸と直交する任意の回転軸を中心として回転する。したがって変数Sの最大値は、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足という、一点を基準とした距離の最大値をとる必要があった。
一方、第5実施形態における磁石とコイルの相対的な位置関係は、回転中心点Oを通り駆動方向と直交する回転軸を中心とする回転により変化する。したがって変数Sの最大値は、その回転軸を可動側対向面へ投影した投影線からの最大値となる。図19は、回転中心点Oから見た場合(図18の白抜き矢印の方向参照)に、像振れ補正ユニット503および第3の磁石5051、第4の磁石5052を示す正面図である。図19は、第1実施形態にて説明した図8に相当する図である。
本実施形態のように、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足が、可動側対向面の図心を通る場合、図19に示すように、最大値Smaxは可動側対向面の短辺の長さの半分となる。これは、可動側対向面を単一の平面で構成した場合の最小値である。したがって、磁石とコイルとのギャップ変化量Δgの値を小さくすることができ、電磁駆動部の出力変化を低減できる。なお、加工上の制約等で上記の条件を満たすことが難しい場合には、回転中心点Oと可動側対向面との位置関係について前記第2実施形態で説明した条件に従って設定することにより、前記と同様の効果が得られる。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る像振れ補正装置600について、図20を参照して説明する。図20は、像振れ補正装置600を、ピッチ方向に回転させる場合の回転軸と直交し、かつ回転中心点Oおよび第1の電磁駆動部の図心を通る平面で切断した場合の断面図である。以下、第5実施形態との相違点を中心に説明する。
第2の電磁駆動部605は、第3の磁石6051、第4の磁石6052、第3のコイル6053、第4のコイル6054で構成される。第3の磁石6051は、第3のコイル6053との対向面が円筒面状に形成されており、像振れ補正ユニット503に取り付けられている。第4の磁石6052は、補正レンズ102を挟んで第3の磁石6051の反対側にて像振れ補正ユニット503に配置され、第4のコイル6054との対向面が円筒面状に形成されている。
第3のコイル6053は小判型に形成されたコイルであり、第3の磁石6051の着磁面と対向した状態で中間移動部材506に取り付けられる。第3のコイル6053において第3の磁石6051の着磁面との対向面は円筒面状に形成されている。この円筒面は、回転中心点Oを通り、ピッチ方向に平行な中心軸を有する。第3のコイル6053への通電により、第3の磁石6051の着磁方向および通電方向と直交する方向であるピッチ方向にローレンツ力が発生する。
また、第4のコイル6054は小判型に形成されたコイルであり、第4の磁石6052の着磁面と対向した状態で、補正レンズ102を挟んで第3のコイル6053の反対側にて中間移動部材506に取り付けられる。第4のコイル6054において第4の磁石6052の着磁面との対向面は円筒面状に形成されている。この円筒面は、回転中心点Oを通り、ピッチ方向に平行な中心軸を有する。第4のコイル6054への通電により、第4の磁石6052の着磁方向および通電方向と直交する方向であるピッチ方向にローレンツ力が発生する。
本実施形態では、第3の磁石6051、第4の磁石6052と、第3のコイル6053、第4のコイル6054とのそれぞれの対向面は、すべて同軸の円筒面の一部を成す。中間移動部材506を用いた構造において、磁石とコイルとの対向面を円筒面状に形成する場合、円筒面の中心軸を電磁駆動部の駆動方向と直交させることで、ギャップ変化量も最も小さくでき、電磁駆動部の出力変化を最小にすることができる。
また第5実施形態にて説明したように、中間移動部材506を用いる構造にて、磁石とコイルとの相対的な位置変化は、回転中心点Oを通り駆動方向と直交する回転軸を中心とする回転に従う。よって、コイルと磁石との対向面を、その回転軸を中心軸とする円筒面形状にすると、回転に伴う幾何学的なギャップ変化量Δgをゼロにできる(加工精度や組立誤差に起因する成分は無視する)。
なお、円筒面の中心軸が回転中心点Oを通る配置とすることが難しい場合には、円筒面の回転中心軸を回転中心点Oに近づければよい。円筒面の中心軸と回転中心点Oが、補正レンズ102から見て同じ側に配置される場合、磁石とコイルとのギャップ変化量をより小さくする効果が得られるので、電磁駆動部の出力変化を低減できる。また、磁石およびコイルとの対向面を円筒面状に設計することは、球面状の場合に比べて加工の難易度を下げられるので、製造時の低コスト化や品質の安定化に寄与する。
[その他の実施形態]
前記実施形態では、例えば、可動部と固定部にて同心にそれぞれ形成した2つの球面の間に転動部材を配置し、回転中心点Oを球心とする球面上で可動部を移動可能に支持する構成を説明した。これに限らず、転動部材を用いずに、可動部に設けた球面部と固定部に設けた球面部とを摺動させて支持する構造等を用いてもよい。
また、可動部に磁石を配置し、固定部にコイルを配置した実施形態では、可動部に給電する必要が無いので、給電ケーブルの変形や摩擦等によって可動部が外力を受けてしまうことを回避できる。一方、可動部にコイルを配置し、固定部に磁石を配置した実施形態では、磁石がコイルに比べて重量が大きい場合、可動部を軽量化できる。いずれの実施形態でも本発明の効果が同様に得られる。
101 固定部材
102 補正レンズ(補正部材)
103 像振れ補正ユニット(可動部材)
104、 105 電磁駆動部
1041、1051 磁石
1042、1052 コイル
1081、1082 位置センサ(磁気検出手段)

Claims (17)

  1. 像振れの補正部材を保持する可動部材と、
    前記可動部材を、回転中心点を球心とする球面に沿って移動可能に保持する固定部材と、
    前記可動部材および前記固定部材にて互いに対向する部分に設けた磁石およびコイルからなる電磁駆動手段を備え、
    前記磁石およびコイルは、前記コイルに通電したときに発生する駆動力の方向が、前記回転中心点を球心とする球面の接線方向と略一致するように、光軸に直交する方向から傾いて配置されることを特徴とする像振れ補正装置。
  2. 複数の可動部材と、固定部材を備え、補正部材を保持する可動部材を、前記固定部材に対して回転中心点を交点とする第1の回転軸および第2の回転軸を中心として回転させることで像振れを補正する像振れ補正装置であって、
    前記固定部材に対して第1の回転軸を中心として回転し得る状態で支持された第1の可動部材と、
    前記補正部材を保持し、前記第2の回転軸を中心として回転し得る状態で前記第1の可動部材に支持された第2の可動部材と、
    前記第1の可動部材および前記固定部材にて互いに対向する部分に設けた磁石およびコイルを有する第1の電磁駆動手段と、
    前記第2の可動部材および前記第1の可動部材にて互いに対向する部分に設けた磁石およびコイルを有し、前記補正部材の光軸に直交する方向にて当該補正部材の外周に配置される第2の電磁駆動手段を備え、
    前記磁石およびコイルは、前記コイルに通電したときに発生する駆動力の方向が、前記回転中心点を球心とする球面の接線方向と略一致するように、光軸に直交する方向から傾いて配置されることを特徴とする像振れ補正装置。
  3. 前記磁石およびコイルは互いに対向する部分が前記回転中心点を球心とする球面ではないことを特徴とする請求項1または2に記載の像振れ補正装置。
  4. 互いに対向する前記磁石または前記コイルの幾何学的中心および前記補正部材の光軸を含む断面において、前記磁石または前記コイルの対向面の前記幾何学的中心での法線が前記光軸に対して傾いており、当該法線と前記光軸との交点および前記回転中心点は前記補正部材に対して同じ側に位置することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の像振れ補正装置。
  5. 前記磁石に対する前記コイルの対向面または前記コイルに対する前記磁石の対向面に平面部を有し、前記回転中心点から前記平面部へ下ろした垂線の足は、前記平面部の幾何学的中心から前記光軸までの距離を半径とする円の内部に位置することを特徴とする請求項4に記載の像振れ補正装置。
  6. 前記回転中心点から前記平面部へ下ろした垂線の足は、前記磁石またはコイルの対向面内に位置することを特徴とする請求項5に記載の像振れ補正装置。
  7. 前記補正部材と前記光軸との交点のうち、前記回転中心点に近い方を点C1とし、前記回転中心点から遠い方を点C2として、前記回転中心点から点C1までの距離をL2とし、前記回転中心点から点C2までの距離をL3とし、前記補正部材の半径をR2とし、前記補正部材を保持する前記可動部材の最外周部の半径をR3とし、前記光軸に対して前記平面部の法線がなす角をθとし、逆正接関数をAtanとするとき、
    Atan(R2/L3)<θ<Atan(R3/L2)の関係を満たすことを特徴とする請求項5または6に記載の像振れ補正装置。
  8. 前記平面部の幾何学的中心と前記光軸を含む断面において、当該幾何学的中心を通る法線は、前記回転中心点を通ることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の像振れ補正装置。
  9. 前記磁石の磁気を検出する磁気検出手段をさらに備え、
    前記磁気検出手段は、前記磁石またはコイルに対向するとともに、前記可動部材が可動範囲の中心に位置する状態にて前記回転中心点から前記平面部へ下ろした垂線上に配置されることを特徴とする請求項5ないし8のいずれか1項に記載の像振れ補正装置。
  10. 前記磁石に対する前記コイルの対向面または前記コイルに対する前記磁石の対向面に円筒面部を有することを特徴とする請求項4に記載の像振れ補正装置。
  11. 前記円筒面部の回転中心軸は、前記回転中心点を通ることを特徴とする請求項10に記載の像振れ補正装置。
  12. 前記円筒面部の回転中心軸は、前記電磁駆動手段の駆動方向に対して平行であるか、または直交することを特徴とする請求項10または11に記載の像振れ補正装置。
  13. 前記磁石およびコイルの対向面のうち、前記回転中心点に近い方の対向面の曲率半径は、前記回転中心点から遠い方の対向面の曲率半径よりも小さいことを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1項に記載の像振れ補正装置。
  14. 前記磁石は、対向する前記コイルよりも前記回転中心点に近い位置に配置されることを特徴とする請求項13に記載の像振れ補正装置。
  15. 前記磁石の磁気を検出する磁気検出手段をさらに備え、
    前記磁気検出手段は、前記磁石またはコイルに対向するとともに、前記可動部材が可動範囲の中心に位置する状態にて前記回転中心点から前記円筒面部へ下ろした垂線上に配置されることを特徴とする請求項10ないし14のいずれか1項に記載の像振れ補正装置。
  16. 請求項1ないし15のいずれか1項に記載の像振れ補正装置を備えることを特徴とする光学機器。
  17. 請求項1ないし15のいずれか1項に記載の像振れ補正装置を備えることを特徴とする撮像装置。

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