JP2014089325A - 像振れ補正装置、光学機器、および撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】像振れ補正装置は、補正レンズ102を保持する像振れ補正ユニット103を備えており、像振れ補正ユニット103を、固定部材101に対して回転中心点Oを球心とする球面に沿って移動させることで像振れを補正する。電磁駆動部104、105は、補正レンズ102の光軸に直交する方向にて、補正レンズ102の外周に配置され、互いの対向面に磁石1041,1051および電磁コイル1042,1052を有する。磁石および電磁コイルの各対向面における幾何学的中心と補正レンズ102の光軸を含む断面において、対向面の幾何学的中心での法線が光軸に対して傾いており、当該法線と光軸との交点と回転中心点Oが一致し、または両者が補正レンズ102から見て同じ側に位置する。
【選択図】 図2
Description
特許文献1に開示の像振れ補正装置は、補正レンズを保持する像振れ補正ユニットを、所定の点を球心とする球面上の2方向にて駆動することで、補正レンズが移動した場合の光学性能の低下を防止する。
各実施形態に係る像振れ補正装置は、ビデオカメラ、デジタルおよび銀塩スチルカメラといった撮影装置や、双眼鏡、望遠鏡、フィールドスコープといった観察装置を含む光学機器に搭載可能である。例えば、各実施形態は撮像装置にて撮像光学系を構成する像振れ補正光学系に適用できる。像振れ補正レンズを用いて手振れ等の振動による画像振れを補正するユニットは駆動制御部によって制御される。
図1ないし図8を参照して、本発明の第1実施形態に係る像振れ補正装置について説明する。
図1ないし図3は、像振れ補正装置の構成例を示す図である。図1は、像振れ補正装置100の部品構成を示す分解斜視図である。図2は、組み立て後の像振れ補正装置100を、回転中心点Oを通って第1の方向(ヨー方向)に平行な平面で切断した場合の断面図である。図3は、組み立て後の像振れ補正装置100を、回転中心点Oを通って転動部材(本例ではボール)106の中心を通る平面で切断した場合の断面図である。
固定部材101は有底の円筒状に形成され、撮像光学系のレンズを固定するレンズ鏡筒に保持される。また、固定部材101の中心に形成した開口部101aには像振れ補正ユニット103が配置されて、その可動範囲が制限される。また固定部材101は開口部101aの外周の2箇所のコイル保持部1011を有する。なお、コイル保持部1011の詳細については後述する。開口部101aの外周には、複数の固定側ボール受け部1012が設けられている。固定側ボール受け部1012の数は転動部材106の個数に等しく、本実施形態では開口部101aの中心軸の回りに等しい角度間隔で3個配置されている。図3に示すように固定側ボール受け部1012の底面は、補正レンズ102の光軸上にある回転中心点Oを球心とする球面の一部をなす形状を有する。固定側ボール受け部1012の内側面は、転動部材106の可動範囲を規定する壁面とされ、転動部材106の脱落を防止する。また固定部材101は複数箇所にばねかけ部1013を有し、引張りばね107の一端がそれぞれ取り付けられる。引張りばね107の個数は本実施形態では3個である。
第1の電磁駆動部104および第2の電磁駆動部105は、補正レンズ102の外周に配置されるので、像振れ補正ユニット103の内周側の部分を補正レンズ102の光路として利用することができる。
引張りばね107は、固定部材101と像振れ補正ユニット103の間に配置され、像振れ補正ユニット103と固定部材101とを近づける方向に付勢力を作用させる。これによって像振れ補正ユニット103と固定部材101とで、転動部材106を挟持することができる。本実施形態では、3本のばねを円周方向に等分に配置している。これらの引張りばね107により、補正レンズ102を中心として放射方向にも引張り力が発生する。なお、本実施形態では、3本のばねを用いているが、磁石で像振れ補正ユニット103と固定部材101とを近づける方向に付勢力を作用させてもよい。
まず、像振れ補正ユニット103と固定部材101の関係について述べる。本実施形態にて3つの転動部材106は、固定部材101に設けた複数の固定側ボール受け部1012の底面にそれぞれ接触するように配置されている。また、各転動部材106は像振れ補正ユニット103に設けた可動側ボール受け部1031にも接触している。この状態で引張りばね107により、像振れ補正ユニット103と固定部材101の間には引張り力が働く。この引張り力によって、転動部材106は像振れ補正ユニット103と固定部材101によって挟持された状態で像振れ補正ユニット103が安定に転動支持される。
像振れ補正ユニット103がその可動範囲の中央に位置する状態を、以下では「初期状態」と呼ぶことにする。初期状態にて、第1の磁石1041の対向面は第1のコイル1042の対向面と平行であり、第1の磁石1041の対向面における図心と、第1のコイル1042の対向面における図心は、回転中心点Oを通る直線上に配置される。
まず、従来の像振れ補正装置のギャップ変化量および電磁駆動部の出力変化について、図4ないし図6を参照して説明する。図4は、従来の像振れ補正装置にて、光軸を通り可動部材の回転軸に垂直な平面で切断した場合の断面図である。図5は、従来の像振れ補正装置の正面図であり、コイルに対する磁石の対向面を光軸方向から示す。各図には補正レンズ002、像振れ補正ユニット003、磁石0041をそれぞれ示す。符号については、本実施形態に係る構成要素に対して使用する符号の先頭数字を1から0に置換した符号で示す。なお、比較例および本実施形態の像振れ補正装置では、像振れ補正ユニットに磁石を配置し、固定部材にコイルを配置した可動磁石式の構成を有する。勿論、これとは逆に像振れ補正ユニットにコイルを配置し、固定部材に磁石を配置する構成も可能である。以下では、電磁駆動部にて磁石とコイルが対向する対向面に関して、像振れ補正ユニットに磁石またはコイルが取り付けられる方の面を「可動側対向面」と呼び、固定部材にコイルまたは磁石が取り付ける方の面を「固定側対向面」と呼ぶことにする。なお、可動側と固定側を特に区別する必要がない場合には、単に対向面という。
図4には、初期状態における像振れ補正ユニット003を実線で示し、像振れ補正ユニット003が回転中心点Oを中心にΔθだけ回転した状態を破線で示す。この回転によって、磁石とコイルとのギャップが変化し、その変化量は、点Pからの距離Rの大きさによって変化する。ここで、距離Rは点Pを基準とする点A0の位置までの長さを表す。点A0は、初期状態にて可動側対向面上に位置しており、移動後の点をA1とする。このときのギャップ変化量をΔgと記す。点Pから点Oまでの距離をLと記し、直線OPと直線O−A0のなす角をθと記す。図4に示す幾何学的関係から、(1)式が成り立つ。
(3)式より、ギャップ変化量Δgの絶対値は、R値が最大となるときに最大(その値をΔgmaxとする)となることが分かる。Δgの値が負となるのは、像振れ補正ユニット003を図4上の正方向に回転させたときに、磁石とコイルの間隔が近づくことを表している。R値が最大となるのは、図5中に示す回転軸Amaxを中心軸として像振れ補正ユニット003を回転させたときの、磁石0041の外周側の隅に位置する点PAmaxである。
コイルに通電したときに発生するローレンツ力は、磁束密度の強さに比例する。アクチュエータ全体のローレンツ力を求める場合、正確にはコイルの各点における磁束密度を積分する必要がある。ここでは対向面の図心における磁束密度を利用することで、その値で近似し、説明の簡単化のために近似値を用いるものとする。一般に、磁石の磁束密度は、磁石からの距離が遠くなるほど弱くなる。例えば、図6に示すような磁束密度分布をもつ磁石を用いるものとする。横軸は磁石表面からの距離(単位:mm)を示し、縦軸は磁束密度(単位:T(テスラ))を示す。
図7は像振れ補正装置100を、像振れ補正ユニット103の回転軸に直交して光軸を含む平面で切断した場合の断面図である。図7は図2の状態を簡略化して表示した図に相当する。図8は図7の像振れ補正装置100を、可動側対向面の法線方向(すなわち回転中心点Oから見た方向:図7中の白抜き矢印方向を参照)から見た場合の正面図である。点Qは、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足である。線分OQの長さを光軸方向に投影した距離をLとし、また光軸に直交する放射方向に投影した距離をR0とする。
(4)式からギャップ変化量Δgの絶対値は、Sの絶対値が最大になるときに最大になることが分かる。Δgの値が最大となるのは、例えば図8中に示す回転軸Bmaxを中心軸として像振れ補正ユニット103を回転させた場合の、磁石1041の隅に位置する点PBmaxである。
前記表1と同じ条件に揃えるため、図4および図5に示す例と磁石における図心の位置を一致させている。
・磁石とコイルとのギャップ変化量の最大値Δgmaxを小さくできること。
上述の比較例(図4、図5参照)では、Δgmaxが0.784mmとなるのに対し、本実施形態ではΔgmaxが0.30mmと、大幅に小さくなっている。これにより、初期状態における磁石とコイルとのギャップを狭くすることができ、電磁駆動部の効率が向上する。なお、磁石とコイルとの対向面を光軸と直交させた場合において、磁石の図心を光軸上に配置することで、ギャップ変化量の最大値を本実施形態と同等にすることはできる。しかし、これでは補正レンズ102の光路を確保できなくなってしまう。補正レンズ102の光路の外側に電磁駆動部を配置する場合、本実施形態のように電磁駆動部の図心からの垂線が回転中心点Oを通るように設定することで、ギャップ変化量の最大値を小さくできる。
比較例ではΔg0maxが0.435mmであり、本実施形態ではΔg0maxが−0.02mmとなって、絶対値の比較では約20の1となる。これにより、像振れ補正ユニット103の可動範囲の全域に亘って、電磁駆動部の出力の変化を小さくすることができ、制御性の良好な像振れ補正装置を実現できる。また、電磁駆動部の最低出力が著しく低下しないように回避できるため、推進力の不足を電磁駆動部の大型化により補う必要がなく、装置全体の小型化に寄与する。
また、比較例の場合、像振れ補正ユニット103をΔθだけ回転させると、可動側対向面は、全領域がコイルに近づき、また−Δθだけ回転させると、全領域がコイルから遠ざかる。これに対して本実施形態では、像振れ補正ユニット103をΔθだけ回転させると、磁石の一方の端はコイルに近づき、磁石の他方の端はコイルから遠ざかる。平均値としては両者の寄与分が相殺して打ち消されるので、従来に比べて変化量を小さくすることができる。
これは、ΔgmaxおよびΔg0maxの値が小さくなることに依る。比較例では、最大距離は1.22mmで磁束密度は0.32Tとなり、本実施形態では最大距離は0.30mmで磁束密度は0.54Tとなる。磁石表面からの磁束密度の低下を抑え、電磁駆動部の出力を67%向上させることができる。つまり、電磁駆動部の出力は磁束密度に比例するため、電磁駆動部の出力低下を回避できる。これにより、推進力の不足を電磁駆動部の大型化で補う必要がなくなり、装置全体の小型化に寄与する。
コイルに対する磁石の対向面は平面であるので、磁石の製造時に複雑な金型を準備する必要が無く、直方体の磁石等、汎用の磁石を使用できる。これは低コスト化や品質の安定化に寄与する。
・電磁駆動部の出力を効率的に利用できること。
これは、電磁駆動部による駆動力が常に回転中心点Oの円の接線方向に働いており、像振れ補正ユニットを移動させる方向と一致していることに依る。また、電磁駆動部の個々のアクチュエータを見ると、それぞれのアクチュエータによる駆動力も回転中心点Oの円の接線方向に働く。それぞれのアクチュエータは、各駆動力の方向が回転中心点Oを球心とする球面の接線方向と略一致するように光軸に対して傾けた配置にされている。
初期状態において磁気検出手段は、コイルに対する磁石の対向面の図心と回転中心点Oを通る垂線上に配置している。上述したように、コイルと磁石とのギャップ変化量を小さくすることができるという関係は、磁石と磁気検出手段との間にも成り立つ。すなわち、初期状態にて磁石と磁気検出部を前記垂線上に配置することで、両者のギャップ変化量を小さくすることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について、図9および図10を参照して説明する。なお、第1実施形態の場合と同様の構成要素については既に使用した符号を用いることで、それらの詳細な説明を省略し、第1実施形態との相違点を中心に説明する。このような説明の省略の仕方は後述する他の実施形態でも同様である。
図10にて補正レンズ102と光軸との交点のうち、回転中心点Oに近い方を点C1とし、遠い方を点C2とする。回転中心点Oから点C1までの距離をL2とし、回転中心点Oから点C2までの距離をL3とする。光軸を基準として補正レンズ102の有効半径をR2とし、固定部材101の最外周部の半径をR3とする。本実施形態にて可動側対向面の法線と光軸とがなす角θは下式を満たす。
θ1<θ<θ2 ・・・(5)
ここでθ1=Atan(R2/L3)、θ2=Atan(R3/L2)であり、Atan()は逆正接関数(正接関数の逆関数)を表す。
可動側対向面の法線と光軸とのなす角θが(5)式に示す範囲内にある場合、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足Qは、補正レンズ102の外周側に位置し、かつ固定部材101の最外周部の内側に位置する。
次に本発明の第3実施形態について、図11および図12を参照して説明する。第3実施形態に係る像振れ補正装置では、第1の駆動部304が第1の磁石3041および第1のコイル3042を備える。
図11は、本実施形態の像振れ補正装置を、回転中心点Oを通り像振れ補正ユニットの回転軸と直交する平面で切断した場合の断面図である。図12は本実施形態の像振れ補正装置を、一方の可動側対向面の法線方向(図11における白抜き矢印に示す直線OQ1方向参照)から見た場合の図である。
第1のコイル3042は、第1の磁石3041に対する対向面にて2つの平面部を有する。その一方の第1の面が第1の磁石3041の第1の面に対向し、他方の第2の面が第1の磁石3041の第2の面に対向する。可動部材303が可動範囲の中央に位置する状態にて、第1の磁石3041に対する2つの対向面(固定側対向面)は、それぞれ可動側対向面の2つの対向面と平行になる。なお、説明は省略するが、第2の磁石と第2のコイルについても、可動側対向面および固定側対向面の関係は前記と同様である。
なお、加工の難易度等を考慮して、それぞれの対向面と垂線の足Q1およびQ2、回転中心点Oとの関係を、前記第2実施形態で説明した条件に従って設定することにより、前記と同様の効果が得られる。また、コイルに対する磁石の対向面は、1つの磁石内に複数の対向面を持たせる形状にしてもよいし、複数の磁石を組み合わせて複数の対向面を構成してもよい。また、可動側対向面および固定側対向面において3以上の平面部を有する構成でもよい。
本発明の第4実施形態について、図13ないし図15を参照して説明する。本実施形態における像振れ補正装置400について、以下では、前記実施形態と相違する第1の電磁駆動部404、第2の電磁駆動部405を説明する。
まず、像振れ補正ユニット103をヨー方向に回転させる場合、つまり、図14の紙面と直交する回転軸を中心として回転させる場合に、電磁駆動部404における磁石4041とコイル4042とのギャップ変化量について説明する。可動側対向面は円筒面状に形成され、その中心軸は電磁駆動部404の駆動方向と平行である。このため、ヨー方向に回転させるときの磁石とコイルとのギャップ変化量は、第1実施形態の場合と同様、(4)式で表される。回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足を基準とする最大距離Smaxは、磁石の短辺方向の長さの半分となり、第1実施形態の場合に比べて短くなる。したがって、磁石とコイルとのギャップ変化量Δgの値を小さくすることができる。
以上のように、第4実施形態では、磁石とコイルのそれぞれに対する対向面を円筒面状にすることで、対向面を平面にした場合に比べてギャップ変化量を小さくできるので、電磁駆動部の出力変化をさらに低減できる。
磁石の着磁面にコイルを対向配置させた構成をもつボイスコイルモータにおいて、その駆動力は、磁石の着磁面に対向するコイルの導線部の長さに比例し、電流の方向と直交する方向に働く。したがって、十分な駆動力を確保するためには、電磁駆動部の形状は、駆動方向と直交する方向が長手方向となる長方形状の対向面に設計することが多い。上述のように、磁石とコイルとの最大ギャップ変化量Δgmaxは、回転中心点Oから対向面へ下ろした垂線の足からの最大距離Smaxの値を小さくするほど小さくなる。したがって、円筒面の回転軸を電磁駆動部の長手方向に一致させれば、電磁駆動部の出力変化を小さくすることができる。
磁石を生産性良く製作するには、金型を利用して作る方式が一般的である。また、コイルを生産性良く製作するには、線材を糸巻きに巻いて作る方式が一般的である。円筒面の部分を持つ金型を準備することは比較的容易であるため、円筒面部を持つ磁石は比較的容易に製造できる。一方、本実施形態で用いる小判型コイルの場合、磁石に対する対向面を円筒面として形成するには、糸巻きの底面を円筒型にする必要があり、その底面に沿ってコイルを巻くには、複雑な巻き方を要するので、平面のみで対向面を構成するよりも加工の難易度が高い。したがって、磁石およびコイルのうち、一方の対向面を平面とし、他方の対向面を円筒面にする場合には、コイルに対する磁石の対向面を円筒面とし、磁石に対するコイルの対向面を平面とすることにより、製造が容易になり、コスト低減に寄与する。この場合、上述した理由により、磁石を回転中心点Oに近い側に配置し、コイルを回転中心点Oから遠い側に配置すればよい。
本実施形態では、初期状態において、磁気検出手段(図14:位置センサ1081,1082参照)を、回転中心点Oから可動側対向面の図心に引いた直線上に配置している。これにより、磁石と磁気検出手段とのギャップ変化量を小さくすることができる。したがって、磁気検出手段に必要な測定レンジを小さくでき、像振れ補正ユニット103の位置を安定して検出できる。
次に本発明の第5の実施形態について、図16ないし図18を参照して説明する。
以下では第5実施形態に係る像振れ補正装置500の構成部品のうち、固定部材501、像振れ補正ユニット503、電磁駆動部504および電磁駆動部505、中間移動部材506を主として説明する。第1の電磁駆動部504は、第1の磁石5041、第2の磁石5042、第1のコイル5043、第2のコイル5044で構成される。また、第2の電磁駆動部505は、第3の磁石5051、第4の磁石5052、第3のコイル5053、第4のコイル5054で構成される。
固定部材501は概ね円盤状に形成され、図示しないレンズ鏡筒に保持される。レンズ鏡筒は、撮像光学系を構成する他のレンズ群および像振れ補正装置500を含む。固定部材501の中心にある開口部501aには、像振れ補正ユニット503が配置されることで、像振れ補正ユニット503の可動範囲が制限される。また固定部材101は、開口部501aの外周部の2箇所にコイル保持部501bを有し、第1のコイル5043および第2のコイル5044をそれぞれ保持する。
中間移動部材506は、固定部材501と像振れ補正ユニット503の間に位置し、固定部材501との対向面には、複数のヨー方向ボール受け部5061を有する。ヨー方向ボール受け部5061は、回転中心点Oを通ってピッチ方向に平行な直線を回転中心軸とする円筒面の一部を成す形状、またはV字状の断面形状をもつ。これにより、第1の転動部材507は、回転中心点Oを通る回転軸を中心としてヨー方向に回転移動できる。また中間移動部材506は、像振れ補正ユニット503との対向面に、複数のピッチ方向ボール受け部5062を有する。ピッチ方向ボール受け部5062は、回転中心点Oを通りヨー方向に平行な直線を回転中心軸とする円筒面の一部を成す形状、またはV字状の断面形状をもつ。これにより、第2の転動部材508は、回転中心点Oを通る回転軸を中心としてピッチ方向に回転移動できる。中間移動部材506は、一方の側にて第1の磁石5041および第2の磁石5042を保持し、反対側にて第3のコイル5053および第4のコイル5054を保持する。
中間移動部材506は、固定部材501に対して、回転中心点Oを通る第1の回転軸を中心にヨー方向に回転可能に支持されている。また像振れ補正ユニット503は、中間移動部材506に対して、回転中心点Oを通る第2の回転軸を中心としてピッチ方向に回転可能に支持されている。したがって、像振れ補正ユニット503は固定部材501に対して回転中心点Oを交点とする第1および第2の回転軸を中心として、回転可能に支持されていることになる。この状態で、第1のコイル5043および第2のコイル5044への通電が行われると、中間移動部材506はヨー方向に駆動される。また、第3のコイル5053および第4のコイル5054への通電により、像振れ補正ユニット503はピッチ方向に駆動される。
また、像振れ補正ユニット503をピッチ方向に駆動する場合、中間移動部材506、第1の電磁駆動部504、第1の転動部材507、固定部材501を含めた部分が固定部に相当する。中間移動部材506は第1の可動部材であるが、この場合、第2の可動部材である像振れ補正ユニット503に対しては固定部とみなすことができる。像振れ補正ユニット503は、固定部に対してピッチ方向の回転軸を中心として回転する。このときに発生する駆動力は、第2の電磁駆動部505によるローレンツ力に基づく。
・磁石とコイルとのギャップ変化量を小さくできること。
磁石とコイルとのギャップ変化量は、前記(4)式で記述でき、S値(図7に示すS参照)によって変化する。第1実施形態の場合、磁石とコイルの相対的な位置関係は、回転中心点Oを球心とする球面に沿って変化する。すなわち、磁石はコイルに対して、回転中心点Oを通り光軸と直交する任意の回転軸を中心として回転する。したがって変数Sの最大値は、回転中心点Oから可動側対向面へ下ろした垂線の足という、一点を基準とした距離の最大値をとる必要があった。
一方、第5実施形態における磁石とコイルの相対的な位置関係は、回転中心点Oを通り駆動方向と直交する回転軸を中心とする回転により変化する。したがって変数Sの最大値は、その回転軸を可動側対向面へ投影した投影線からの最大値となる。図19は、回転中心点Oから見た場合(図18の白抜き矢印の方向参照)に、像振れ補正ユニット503および第3の磁石5051、第4の磁石5052を示す正面図である。図19は、第1実施形態にて説明した図8に相当する図である。
次に、本発明の第6実施形態に係る像振れ補正装置600について、図20を参照して説明する。図20は、像振れ補正装置600を、ピッチ方向に回転させる場合の回転軸と直交し、かつ回転中心点Oおよび第1の電磁駆動部の図心を通る平面で切断した場合の断面図である。以下、第5実施形態との相違点を中心に説明する。
第3のコイル6053は小判型に形成されたコイルであり、第3の磁石6051の着磁面と対向した状態で中間移動部材506に取り付けられる。第3のコイル6053において第3の磁石6051の着磁面との対向面は円筒面状に形成されている。この円筒面は、回転中心点Oを通り、ピッチ方向に平行な中心軸を有する。第3のコイル6053への通電により、第3の磁石6051の着磁方向および通電方向と直交する方向であるピッチ方向にローレンツ力が発生する。
前記実施形態では、例えば、可動部と固定部にて同心にそれぞれ形成した2つの球面の間に転動部材を配置し、回転中心点Oを球心とする球面上で可動部を移動可能に支持する構成を説明した。これに限らず、転動部材を用いずに、可動部に設けた球面部と固定部に設けた球面部とを摺動させて支持する構造等を用いてもよい。
また、可動部に磁石を配置し、固定部にコイルを配置した実施形態では、可動部に給電する必要が無いので、給電ケーブルの変形や摩擦等によって可動部が外力を受けてしまうことを回避できる。一方、可動部にコイルを配置し、固定部に磁石を配置した実施形態では、磁石がコイルに比べて重量が大きい場合、可動部を軽量化できる。いずれの実施形態でも本発明の効果が同様に得られる。
102 補正レンズ(補正部材)
103 像振れ補正ユニット(可動部材)
104、 105 電磁駆動部
1041、1051 磁石
1042、1052 コイル
1081、1082 位置センサ(磁気検出手段)
Claims (17)
- 像振れの補正部材を保持する可動部材と、
前記可動部材を、回転中心点を球心とする球面に沿って移動可能に保持する固定部材と、
前記可動部材および前記固定部材にて互いに対向する部分に設けた磁石およびコイルからなる電磁駆動手段を備え、
前記磁石およびコイルは、前記コイルに通電したときに発生する駆動力の方向が、前記回転中心点を球心とする球面の接線方向と略一致するように、光軸に直交する方向から傾いて配置されることを特徴とする像振れ補正装置。 - 複数の可動部材と、固定部材を備え、補正部材を保持する可動部材を、前記固定部材に対して回転中心点を交点とする第1の回転軸および第2の回転軸を中心として回転させることで像振れを補正する像振れ補正装置であって、
前記固定部材に対して第1の回転軸を中心として回転し得る状態で支持された第1の可動部材と、
前記補正部材を保持し、前記第2の回転軸を中心として回転し得る状態で前記第1の可動部材に支持された第2の可動部材と、
前記第1の可動部材および前記固定部材にて互いに対向する部分に設けた磁石およびコイルを有する第1の電磁駆動手段と、
前記第2の可動部材および前記第1の可動部材にて互いに対向する部分に設けた磁石およびコイルを有し、前記補正部材の光軸に直交する方向にて当該補正部材の外周に配置される第2の電磁駆動手段を備え、
前記磁石およびコイルは、前記コイルに通電したときに発生する駆動力の方向が、前記回転中心点を球心とする球面の接線方向と略一致するように、光軸に直交する方向から傾いて配置されることを特徴とする像振れ補正装置。 - 前記磁石およびコイルは互いに対向する部分が前記回転中心点を球心とする球面ではないことを特徴とする請求項1または2に記載の像振れ補正装置。
- 互いに対向する前記磁石または前記コイルの幾何学的中心および前記補正部材の光軸を含む断面において、前記磁石または前記コイルの対向面の前記幾何学的中心での法線が前記光軸に対して傾いており、当該法線と前記光軸との交点および前記回転中心点は前記補正部材に対して同じ側に位置することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の像振れ補正装置。
- 前記磁石に対する前記コイルの対向面または前記コイルに対する前記磁石の対向面に平面部を有し、前記回転中心点から前記平面部へ下ろした垂線の足は、前記平面部の幾何学的中心から前記光軸までの距離を半径とする円の内部に位置することを特徴とする請求項4に記載の像振れ補正装置。
- 前記回転中心点から前記平面部へ下ろした垂線の足は、前記磁石またはコイルの対向面内に位置することを特徴とする請求項5に記載の像振れ補正装置。
- 前記補正部材と前記光軸との交点のうち、前記回転中心点に近い方を点C1とし、前記回転中心点から遠い方を点C2として、前記回転中心点から点C1までの距離をL2とし、前記回転中心点から点C2までの距離をL3とし、前記補正部材の半径をR2とし、前記補正部材を保持する前記可動部材の最外周部の半径をR3とし、前記光軸に対して前記平面部の法線がなす角をθとし、逆正接関数をAtanとするとき、
Atan(R2/L3)<θ<Atan(R3/L2)の関係を満たすことを特徴とする請求項5または6に記載の像振れ補正装置。 - 前記平面部の幾何学的中心と前記光軸を含む断面において、当該幾何学的中心を通る法線は、前記回転中心点を通ることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の像振れ補正装置。
- 前記磁石の磁気を検出する磁気検出手段をさらに備え、
前記磁気検出手段は、前記磁石またはコイルに対向するとともに、前記可動部材が可動範囲の中心に位置する状態にて前記回転中心点から前記平面部へ下ろした垂線上に配置されることを特徴とする請求項5ないし8のいずれか1項に記載の像振れ補正装置。 - 前記磁石に対する前記コイルの対向面または前記コイルに対する前記磁石の対向面に円筒面部を有することを特徴とする請求項4に記載の像振れ補正装置。
- 前記円筒面部の回転中心軸は、前記回転中心点を通ることを特徴とする請求項10に記載の像振れ補正装置。
- 前記円筒面部の回転中心軸は、前記電磁駆動手段の駆動方向に対して平行であるか、または直交することを特徴とする請求項10または11に記載の像振れ補正装置。
- 前記磁石およびコイルの対向面のうち、前記回転中心点に近い方の対向面の曲率半径は、前記回転中心点から遠い方の対向面の曲率半径よりも小さいことを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1項に記載の像振れ補正装置。
- 前記磁石は、対向する前記コイルよりも前記回転中心点に近い位置に配置されることを特徴とする請求項13に記載の像振れ補正装置。
- 前記磁石の磁気を検出する磁気検出手段をさらに備え、
前記磁気検出手段は、前記磁石またはコイルに対向するとともに、前記可動部材が可動範囲の中心に位置する状態にて前記回転中心点から前記円筒面部へ下ろした垂線上に配置されることを特徴とする請求項10ないし14のいずれか1項に記載の像振れ補正装置。 - 請求項1ないし15のいずれか1項に記載の像振れ補正装置を備えることを特徴とする光学機器。
- 請求項1ないし15のいずれか1項に記載の像振れ補正装置を備えることを特徴とする撮像装置。
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