JP2014089256A - 定着部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】押し出し成形によるフッ素樹脂チューブを被覆した、画像加熱定着装置用の定着部材で、長期使用でもベルト端部起点のフッ素樹脂チューブ剥がれを防止する定着部材を提供する。また、その定着部材を、安定的かつ簡易的に製造するための製造方法を提供する。
【解決手段】定着部材の両端部の弾性層上に、発振波長λが、120nm≦λ≦10600nmの範囲のレーザーを、周方向に少なくとも1か所の隙間を開けて連続的に照射した領域を作成し、その上からフッ素樹脂チューブを被覆する。その結果として、長期使用でもベルト端部起点のフッ素樹脂チューブ剥がれを防止する定着部材を得ることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は画像加熱定着装置用の定着部材及びその製造方法に関する。
ここで、定着部材には、記録材の画像担持面に当接して画像を加熱する加熱手段としての加熱部材、または加熱部材と定着ニップを形成する加圧手段としての加圧部材、若しくはその両者である。
例えば電子写真方式のプリンター、コピー機、ファクシミリ等の画像形成装置の画像加熱定着装置に用いられる定着部材として、ベルト形状のもの、ローラ形状のものがある。
これら定着部材として、耐熱樹脂製或いは金属製のベルト或いはローラ形状の基材上に、耐熱ゴム等からなる弾性層が形成され、さらにその表面には、トナーに対して優れた離型性を有するフッ素樹脂層を設けたものが知られている。
このような定着部材として、特許文献1は、拡径したフッ素樹脂チューブ内にローラ基材を挿入し、フッ素樹脂チューブの内周面及びローラ基材の外周面の少なくとも一方に塗布した接着剤で固定してなる、フッ素樹脂チューブ被覆ローラを開示している。
また、フッ素樹脂チューブは、押出し成形したものを用いることが好ましいことを開示している。また、フッ素樹脂チューブの厚さとしては、チューブが変形し難くなることから50μm以下が好ましく、成形性やローラとしての使用時の性能などの点より20μm以上が好ましいことを開示している。
ところで、近年、電子写真画像形成装置においてトナーの加熱定着の際のエネルギー消費量を低減させるために、定着部材の熱伝導効率のより一層の向上が求められている。そのため、フッ素樹脂チューブについても、肉厚の薄いものを用いることが必要となってきた。
ここで、肉厚が、10〜50μm程度の薄肉の、シームレスフッ素樹脂チューブは、押し出し成形によって形成することが可能である。しかし、このように押し出し成形によって形成してなる薄肉のシームレスフッ素樹脂チューブで円筒状の弾性層を被覆し、接着剤で固定してなる定着ローラは、加熱定着枚数の増加に伴って、フッ素樹脂チューブの長手方向に亀裂やしわを生じてしまうことがあった。
この長手方向に亀裂やしわが生じてしまう課題に対し、特許文献2は、押し出し成形で得た薄肉のシームレスフッ素樹脂チューブは、当該チューブの長手方向にフッ素樹脂分子が高度に配向していることが当該亀裂の発生の原因と推測している。そして、特許文献2は、フッ素樹脂チューブのアニ−ル処理によって、フッ素樹脂チューブの長手方向のフッ素樹脂分子の配向の低減を図ることを試みた。
しかし、フッ素樹脂チューブの長手方向のフッ素樹脂の配向度は、フッ素樹脂チューブの結晶化度と相関している。薄肉のフッ素樹脂チューブは、フッ素樹脂の配向度並びに結晶化度が共に高い傾向にある。結晶化度が高いこと自体は、弾性層に追従してフッ素樹脂チューブが繰り返し屈曲させられる定着部材及び加圧部材においては、フッ素樹脂チューブの表面へのシワの発生を抑制することができるため、有利な特性である。
押出し成形によって形成した薄肉のシームレスフッ素樹脂チューブの結晶化度の低下を極力抑えつつ、配向度を下げる方法として、特許文献2は、次のような方法を開示している。
即ち、円筒状弾性層の外径よりも小さい内径を有するように押出し成形によりフッ素樹脂チューブを形成する。当該フッ素樹脂チューブを拡径させて該円筒状弾性層に被せて、フッ素樹脂チューブの拡径状態を維持させる。これと共に、該フッ素樹脂チューブを長手方向に伸張させ、その状態で該フッ素樹脂チューブを弾性層上にて加熱処理を行う。これにより、長期の使用によっても表面にシワや亀裂を生じ難く、良好な定着性能を安定的に発揮し得る。
特開2004−276290号公報 特開2010−143118号公報
近年、定着部材としては、ランニングコスト低下への要求に伴って、耐久寿命のより一層の向上が求められている。定着部材の耐久長寿命化を目指す上で、弾性層とフッ素樹脂チューブとの剥がれ抑止という観点が上げられる。弾性層とフッ素樹脂チューブとの剥がれの原因としては、次の1)の場合と2)の場合とが有る。
1)前記のようなシワや亀裂などのチューブ表層起点で発生する場合
2)それとは別に、弾性層/フッ素樹脂チューブ間の界面に直接接触し、ベルト寄りによる力がかかりやすいベルト端部のチューブ界面起点で発生する場合
特許文献2は前記シワや亀裂の抑制に関しては非常に有効な手法であるが、ベルト端部の弾性層/フッ素樹脂チューブ界面からで発生するチューブ剥がれに関しては、直接抑制効果のある構成ではなかった。
そこで、本発明の目的は、長期使用でもベルト端部起点のフッ素樹脂チューブ剥がれを生じ難く、良好な定着性能を発揮し得る画像加熱定着装置用の定着部材を安定的かつ簡易的に製造するための製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明に係る定着部材の代表的な構成は、円筒状弾性層と、前記円筒状弾性層の周面を被覆しているフッ素樹脂チューブとを有する、画像加熱定着装置用の定着部材であって、前記定着部材の両端部における前記円筒状弾性層の表面には、発振波長λが120nm≦λ≦10600nmの範囲のレーザーが周方向に少なくとも1か所の隙間を開けて連続的に照射されたレーザー照射領域が形成されており、その上から前記フッ素樹脂チューブが被覆されていることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明に係る定着部材の製造方法の代表的な構成は、
円筒状弾性層と、前記円筒状弾性層の周面を被覆しているフッ素樹脂チューブとを有する、画像定着装置用の定着部材の製造方法であって、
(1)前記円筒状弾性層の両端部における表面に、発振波長λが120nm≦λ≦10600nmの範囲のレーザーを周方向に少なくとも1か所の隙間を開けて連続的に照射したレーザー照射領域を形成する工程と、
(2)前記レーザー照射領域が形成された前記円筒状弾性層の表面に前記フッ素樹脂チューブを接着させるための接着剤層を塗工する工程と、
(3)前記接着剤層が塗工された前記円筒状弾性層に前記フッ素樹脂チューブを被覆する工程と、
(4)前記接着剤層を硬化させ、前記円筒状弾性層と前記フッ素樹脂チューブを固定する工程と、
(5)前記(1)乃至(4)の工程を経て得られた部材を前記レーザー照射領域が両端部になるように切断し定着部材を仕上げる工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、長期使用でも定着部材端部起点のフッ素樹脂チューブ剥がれを防止する定着部材を得ることができる。
画像形成装置例の概略の構成模式図 定着装置例の概略断面図 定着ベルトの構成模式図 リングコート法の塗工装置の模式図 実施例1におけるフッ素樹脂チューブの被覆工程の模式図(拡張被覆法) 実施例2におけるフッ素樹脂チューブの被覆工程の模式図(潤滑被覆法) 実施例の評価に用いた接着性試験の模式図
次に、本発明を実施するための形態について、画像加熱定着装置用の定着部材に用いられる定着ベルトに基づいて説明するが、本発明の範囲はこの形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を損ねない範囲で変更されたものも本発明に含まれる。
[実施例1]
(1)画像形成装置例の概略説明
図1は本実施例に用いた画像形成装置の概略の構成模式図である。この画像形成装置1は電子写真方式レーザープリンタであり、潜像を担持する像担持体として感光体ドラム2を備えている。感光体ドラム2は矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動され、その外面が帯電器3によって所定の極性・電位に一様に帯電される。その一様帯電面に対してレーザースキャナ(光学装置)4により画像情報のレーザー走査露光5がなされる。これにより、感光体ドラム2の面には走査露光した画像情報の静電潜像が形成される。
その静電潜像が現像器6によってトナー画像として現像される。そのトナー画像が、感光体ドラム2と転写ローラ7との当接部である転写部において、該転写部に導入された記録材(シート)Sに対して順次に転写される。
記録材Sは装置下部の給紙カセット9内に積載収納されている。所定の給紙タイミングで給紙ローラ10が駆動されると、給紙カセット9内の記録材が1枚分離給紙されて、搬送路10aを通ってレジストローラ対11に至る。レジストローラ対11は記録材Sの先端部を受け止めて記録材の斜行修正をする。また、感光体ドラム上のトナー画像の先端部が転写部に到達したときに記録材の先端部も転写部に丁度到達するタイミングとなるように、感光体ドラム上のトナー画像と同期をとって、記録材Sを転写部に給送する。
転写部を通った記録材Sは感光体ドラム2の面から分離されて、画像定着装置Aへと搬送される。この定着装置Aにより記録材S上の未定着トナー画像が加熱・加圧により固着画像として記録材面に定着される。そして、その記録材が搬送路10bを通って排出ローラ対12によって装置上部の排出トレイ13へと排出、積載される。また、記録材分離後の感光体ドラム2の面はクリーニング装置8によって転写残トナー等の残留付着物が除去されて清掃され、繰り返して作像に供される。
(2)定着装置A
図2は本実施例における画像加熱定着装置Aの概略の構成模式図である。この定着装置Aはツインベルト方式-電磁誘導加熱方式の装置である。
ここで、定着装置Aまたはこれを構成している部材について長手または長手方向とは記録材搬送路面内において、記録材搬送方向に直交する方向に並行な方向である。定着装置について正面とは記録材導入側の面である。左右とは装置を正面から見て左または右である。ベルトの幅とは記録材搬送方向に直交する方向のベルト寸法(=ベルト長手方向の寸法)である。また記録材の幅とは記録材面において記録材搬送方向に直交する方向の記録材寸法である。また上流または下流とは記録材の搬送方向に関して上流または下流である。
この定着装置Aは、第1のエンドレスベルトとしての定着ベルト(加熱部材)20と、第2のエンドレスベルトとしての加圧ベルト(加圧部材)30とを備えている。
定着ベルト20の構成については(3)項で詳述する。定着ベルト20は、ベルト懸架部材としての間隔をあけて並行に配列されたテンションローラ31および定着ローラ32と、この両ローラ31・32間に配設された第1の加圧パッドとしての下向きの定着パッド33との間に懸回張設されている。テンションローラ31と定着ローラ32は、それぞれ、定着装置筐体(不図示)の左右の側板間に回転自由に軸受されて支持されている。定着パッド33は定着装置筐体の左右の側板間に支持されて配設されている。
テンションローラ31は、外径が20mm、内径が18mmである厚さ1mmの鉄製の中空ローラであり、定着ベルト20に張りを与える。
定着ローラ32は、外径が20mm、内径が18mmである厚さ1mmの鉄合金製の中空芯金に、弾性層としてのシリコーンゴム弾性層が設けられた高摺動性の弾性ローラである。この定着ローラ32は駆動ローラとして駆動源(モータ)Mから不図示の駆動ギア列を介して駆動力が入力されて、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される。
この定着ローラ32に前記のように弾性層を設けることで、定着ローラ32に入力された駆動力を定着ベルト20へ良好に伝達することができるとともに、定着ベルト20からの記録材Sの分離性を確保するための定着ニップを形成できる。シリコーンゴムの硬度はJIS−A15度である。シリコーンゴム弾性層によって、内部への熱伝導も少なくなるためウォーミングアップタイムの短縮にも効果がある。
加圧ベルト30は、本実施例においては、電鋳ニッケルを基層とし、表面は離型層としてフッ素樹脂であるPFAチューブを30μmの厚みで設けられている。加圧ベルト30は、図面上、定着ベルト20の下側に位置させて次のようにして配設されている。即ち、加圧ベルト30は、ベルト懸架部材としての間隔をあけて並行に配列されたテンションローラ34および加圧ローラ35と、この両ローラ34・35間に配設された第2の加圧パッドとしての上向きの加圧パッド36との間に懸回張設されている。
テンションローラ34と加圧ローラ35は、それぞれ、定着装置筐体(不図示)の左右の側板間に回転自由に軸受されて支持されている。テンションローラ34は、外径が20mm、内径が16mmである厚さ2mmの鉄合金製の中空芯金に、熱伝導率を小さくして加圧ベルト30からの熱伝導を少なくするためにシリコーンスポンジ層を設けてあり、加圧ベルト30に張りを与える。加圧ローラ35は、外径が20mm、内径が16mmである厚さ2mmの鉄合金製とされた低摺動性の中空剛性ローラである。加圧パッド36は定着装置筐体の左右の側板間に支持されて配設されている。
そして、定着ベルト20と加圧ベルト30との間に画像加熱部としての定着ニップ40を形成するために、加圧ローラ35は、回転軸の左右両端側がそれぞれ加圧機構(不図示)により矢印Fの方向に所定の加圧力にて定着ローラ32に向けて加圧されている。
また、装置を大型化することなく幅広い定着ニップ40を得るために、加圧パッドを採用している。すなわち、定着パッド33により定着ベルト20を加圧ベルト30に向けて加圧させるとともに加圧パッド36により加圧ベルト30を定着ベルト20に向けて加圧させている。加圧パッド36は、加圧機構(不図示)により矢印Gの方向に所定の加圧力にて定着パッド33に向けて加圧されている。定着パッド33と加圧パッド36との間に定着ベルト20と加圧ベルト30が圧着されることで記録材搬送方向において幅広の定着ニップ40が形成されている。
定着パッド33はパッド基体と定着ベルト内面に接する摺動シート(低摩擦シート)38を有する。加圧パッド36もパッド基体と加圧ベルト内面に接する摺動シート39を有する。これはベルト基層を金属層にした場合には、パッドのベルト内周面と摺擦する部分の削れが大きくなるという問題があるためである。ベルトとパッド基体の間に、摺動シート38と39を介在させることで、パッドの削れを防止し、摺動抵抗も低減できるので、良好なベルト走行性、ベルト耐久性を確保できる。
定着ベルト20の加熱手段として、エネルギー効率の高い電磁誘導加熱方式の加熱源(誘導加熱部材、励磁コイル)を採用している。加熱源としての誘導加熱部材37は定着ベルト20の上行側ベルト部分の外面に対して所定の僅少な隙間を存して対向させて配設されている。
誘導加熱部材37は、誘導コイル37aと、励磁コア37bと、それらを保持するコイルホルダー37cと、から構成される。誘導コイル37aは、長円状に扁平巻きされたリッツ線を用い、誘導コイルの中心と両脇に突起した横E型の励磁コア37bの中に配置されている。励磁コア37bはフェライト、パーマロイといった高透磁率で残留磁速密度の低いものを用いるので、誘導コイル37aや励磁コア37bでの損失を抑えられ、効率的に定着ベルト20を加熱する事ができる。
定着動作は次のとおりである。制御回路部43は、少なくとも画像形成実行時にはモータMを駆動する。また、励磁回路44から誘導加熱部材37の誘導コイル37aに高周波電流を流す。
モータMが駆動されることで定着ローラ32が回転駆動される。これにより、定着ベルト20が定着ローラ32と同じ方向に回転駆動される。定着ベルト20の周速度は、定着ニップ40の記録材入口側において記録材Sにループを形成するため画像形成部側から搬送されてくるシートSの搬送速度に比して僅かに遅い周速とされている。本実施例の場合、定着ベルト20の周速は300mm/secとされ、A4サイズのフルカラー画像を1分間に70枚定着することが可能である。
加圧ベルト30は定着ニップ40における定着ベルト20との摩擦力で定着ベルト20に従動して回転する。ここで、定着ニップ最下流の部分をローラ対32・35により定着ベルト20と加圧ベルト30を挟んで搬送する構成としたことで、ベルトのスリップを防止することができる。定着ニップ最下流の部分は定着ニップでの圧分布(記録材搬送方向)が最大となる部分である。
一方、励磁回路44から誘導加熱部材37の誘導コイル37aに高周波電流が流されることで、定着ベルト20の金属層が誘導発熱して定着ベルト20が加熱される。定着ベルト20の表面温度がサーミスタ等の温度検知素子42により検知される。この温度検知素子42で検知される定着ベルト20の温度に関する信号が制御回路部43に入力する。制御回路部43は温度検知素子42から入力する温度情報が所定の定着温度に維持されるように、励磁回路44から誘導コイル37aに対する供給電力を制御して、定着ベルト20の温度を所定の定着温度に温調する。
定着ベルト20が回転駆動され、また所定の定着温度に立ち上がって温調された状態において、定着ベルト20と加圧ベルト30間の定着ニップ40に、未定着トナー画像tを有する記録材Sが搬送される。記録材Sは未定着トナー画像tを担持した面を定着ベルト20側にして導入される。そして、記録材Sは未定着トナー画像担持面が定着ベルト20の外周面に密着したまま定着ニップ40で挟持搬送されていくことにより、定着ベルト20から熱が付与され、また加圧力を受けて未定着トナー画像tが記録材Sの表面に定着される。
また、定着ベルト20内の定着ローラ32がゴム層を有する弾性ローラであり、加圧ベルト30内の加圧ローラ35は鉄合金製の剛性ローラであるため、定着ベルト20と加圧ベルト30との定着ニップ出口では定着ローラ32の変形が大きくなっている。その結果、定着ベルト20も大きく変形し、定着トナー画像を担持した記録材Sは定着ベルト20から自らのこしにより曲率分離される。41は分離補助爪部材である。
(3)定着ベルト20
図3の(a)は定着部材である定着ベルト20の層構成を示す断面模式図である。20bは円筒状基体、20aは円筒状基体20bの内周面に配された内面摺動層、20cは円筒状基体20bの外周面を被覆したプライマー層、20dはプライマー層20c上に配された円筒状弾性層である。20fはフッ素樹脂表層としてのフッ素樹脂チューブであり、弾性層20d上にシリコーンゴム接着剤層20eを介して配してある。また、定着ベルト20の両端部の弾性層20dにはレーザー照射領域Lを設けてある。図3の(b)は弾性層20dのレーザー照射領域Lを示した図である。
本実施例の定着ベルト20は上記6層の積層複合層部材であり、全体に可撓性を有する薄肉の低熱容量の部材である。そして、この定着ベルト1は自由状態においてはほぼ円筒形状を保持している。以下に各構成層について具体的に説明する。
(3−1)円筒状基体20b
定着ベルト20には耐熱性が要求される為、円筒状基体20bは、耐熱、耐屈曲性に配慮されたものを用いるのが好ましい。例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅などの金属やそれらの合金、もしくは、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂などの耐熱性樹脂やそれらのポリマーアロイを用いることが出来る。
本実施例では、円筒状基体20bとして、内径φ55mm、厚み65μm、長さ420mmの電鋳ニッケルベルトを用いた。
(3−2)内面摺動層20a
内面摺動層20aとしては、ポリイミド樹脂のような高耐久性、高耐熱性を持つ樹脂が適している。本実施例では、芳香族テトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体と、芳香族ジアミンとの略等モルを有機極性溶媒中で反応させて得られるポリイミド前駆体溶液を、円筒状基体20bの内面に塗工する。そして、乾燥、加熱し、脱水閉環反応により形成したポリイミド樹脂層を形成して内面摺動層20aとした。
具体的には、本実施例では、ポリイミド前駆体溶液として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリイミド前駆体のN−メチル−2−ピロリドン溶液を用いた。そして、厚み15μmのポリイミド樹脂内面摺動層20aを形成した。
(3−3)弾性層20d
弾性層20dは、定着時にトナー画像と用紙の凹凸に対して均一な圧力を与えるために定着部材に担持させる弾性層として機能する。かかる機能を発現させる上で、弾性層20dは、特に限定しないが、加工性を鑑み付加硬化型シリコーンゴムを硬化させたものとすることが好ましい。また、後述するフィラーの種類や添加量に応じて、その架橋度を調整することで、弾性を調整することができるからである。
一般に、付加硬化型シリコーンゴムは、不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンと、ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン、および架橋触媒として白金化合物が含まれている。
ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサンは白金化合物の触媒作用により、不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン成分のアルケニル基との反応によって架橋構造を形成させる。
シリコーンゴム弾性層20dは、定着部材に熱伝導性の向上、補強、耐熱性の向上などのためにフィラーを含んでいてもよい。
特に、熱伝導性を向上させる目的では、フィラーとしては高熱伝導性であることが好ましい。具体的には、無機物、特に金属、金属化合物などを挙げることができる。
高熱伝導性フィラーの具体例は、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si34)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al23)が挙げられる。また、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、シリカ(SiO2)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)などが挙げられる。
これらは単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。高熱伝導性フィラーの平均粒径は取り扱い上、および分散性の観点から1μm以上50μm以下が好ましい。また、形状は球状、粉砕状、針状、板状、ウィスカ状などが用いられるが、分散性の観点から球状のものが好ましい。
定着部材の表面硬度への寄与、及び定着時の未定着トナーへの熱伝導の効率から、シリコーンゴム弾性層の厚みの好ましい範囲は100μm以上600μm以下、特には200μm以上500μm以下が好ましい。
本実施例では、450μm厚の付加硬化型シリコーンゴムを塗工し、200℃にて30分間焼成した。この時、付加硬化型シリコーンゴムの原液は、下記の材料(a)および(b)を、Si−H基に対するビニル基の個数の割合(H/Vi)が、0.45となるように配合し、触媒量の白金化合物を加えて、付加硬化型シリコーンゴム原液を得た。
(a)1分子中にビニル基を少なくとも2個以上有する、ビニル化ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100000(ポリスチレン換算))
(b)1分子中にSi−H結合を少なくとも2個以上有する、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン(重量平均分子量1500(ポリスチレン換算))
(3−4)プライマー層20c
プライマー処理とは円筒状基体20bと弾性層20dとを接着させるプライマーを、接着性能を発揮しうる状態で基体20bの表面に形成することを指す。
プライマー層20cを構成する材料は、内面摺動層20a、円筒状基体20b、フッ素樹脂表層20fの材料よりも軟化点および溶融点が低く、またシリコーンゴム弾性層20dに比べて円筒状基体20bとの濡れ性が良いことが求められる。例えば、ヒドロシリル系(SiH系)シリコーンプライマー、ビニル系シリコーンプライマー、アルコキシ系シリコーンプライマーなどが挙げられる。ヒドロシリル系(SiH系)、ビニル系に関しては付加重合架橋、アルコキシ系に関しては縮合重合架橋によってシリコーンゴム弾性層と結合される。
更に詳細には、シリコーンプライマーは、シランカップリング剤であるプライマー組成物と有機溶媒の混合物となっている。
プライマー組成物は、更に接着成分と造膜成分とにわかれることが多い。接着成分としては、アルケニル基を含むオルガノアルコキシシランやオルガノアルコキシポリシロキサン樹脂などが挙げられる。
具体的には、下記のような分子中に、無機質と化学結合する反応基(アルコキシ基、シラノール基など)及び有機材料と化学結合する反応基(ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基など)を併せ持つ有機ケイ素化合物である。
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどの分子。
造膜成分としては、アルコキシ基、シラノール基などを多く含有する有機ケイ素化合物などが挙げられ、具体的にはテトラエトキシシランなどである。プライマー中のシラノール基(アルコキシ基も加水分解してシラノール基に変換される)は、プライマー層自身のシラノール基や、シリコーンゴム弾性層のシラノール基、もしくは無機質と化学結合することにより膜形成を行う働きを担う。
プライマー組成物の溶媒としては揮発し易いものが良い。メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶剤が例示される。また、ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチルなどのエステル系溶剤が例示される。
これらの溶剤は単独で用いても2種類以上を併用しても良い。溶剤の添加量に関しては、プライマー組成物の塗工方法に応じて、適切な濃度になるように適宜調整すれば良い。プライマー組成物中の溶剤量は溶剤以外の成分に対して質量基準で2倍以上であることが望ましく、円筒状基体に塗工する際、接着層に厚さムラをより少なくすることができる。
本実施例では、ヒドロシリル系のシリコーンプライマー『DOW CORNING TORAY DY 39−051A/B(東レ・ダウコーニング製)』を5.0μm狙いで塗工し、200℃にて5分間焼成した。
(3−5)シリコーンゴム弾性層の形成
図4は、外周面にプライマー層20cを形成した円筒状基体20b上にシリコーンゴム弾性層(円筒状弾性層)20dを形成する工程の一例であり、所謂リングコート法を用いる方法を説明するための模式図である。
付加硬化型シリコーンゴムとフィラーとが配合された付加硬化型シリコーンゴム組成物をシリンダーポンプ57に充填し、シリンダーポンプ57から環状の塗工ヘッド53へ上記の組成物を圧送する。これにより、環状の塗工ヘッド53の内側に配置された塗工液供給ノズル(不図示)から円筒状基体20b(20a・20b・20c)の周面に付加硬化型シリコーンゴム組成物が塗工される。
塗工ヘッド53は固定された塗工ヘッド保持部54に保持されている。シリンダーポンプ57はモータM1により駆動されて付加硬化型シリコーンゴム組成物を、チューブ56を介して塗工ヘッド53へ圧送する。
円筒状基体20bは芯金保持具51に保持された円筒状芯金に外嵌されて保持されている。芯金保持具51は軸線が水平にされて塗工台52に水平移動可能に保持されている。環状の塗工ヘッド53は円筒状基体20bに同軸に外嵌されている。塗工台52はモータM2により芯金保持具51の水平軸線方向に所定の速度で往動される。また、復動(戻し移動)される。
塗工ヘッド53による塗工と同時に円筒状基体20bを図面上で右方向に一定速度で移動(往動)させることで、付加硬化型シリコーンゴム組成物の塗膜55を円筒状基体20bの周面に円筒状に形成することが出来る。
塗膜の厚みは、塗工液供給ノズルと円筒状基体20bとのクリアランス、シリコーンゴム組成物の供給速度、円筒状基体20bの移動速度、などによって制御することが出来る。本実施例では塗工液供給ノズルと円筒状基体20bとのクリアランスを0.8mm、シリコーンゴム組成物の供給速度を2.9mm/s、円筒状基体20bの移動速度を40mm/sとし、450μmのシリコーンゴム組成物層55を得た。
円筒状基体20b上に形成された付加硬化型シリコーンゴム組成物層55は、電気炉などの加熱手段によって一定時間加熱して、架橋反応を進行させることにより、シリコーンゴム弾性層20dとすることができる。
(3−6)フッ素樹脂表層20f
定着部材の表層20fとしては、成形性やトナー離型性の観点から押し出し成形によるフッ素樹脂チューブが使用される。
フッ素樹脂チューブの原材料としてのフッ素樹脂としては、耐熱性に優れたテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適に用いられる。フッ素樹脂チューブの厚みは、50μm以下とするのが好ましい。積層した際に下層のシリコーンゴム弾性層20dの弾性を維持し、定着部材としての表面硬度が高くなりすぎることを抑制できるからである。
フッ素樹脂チューブの内面は、予め、ナトリウム処理やエキシマレーザ処理、アンモニア処理などを施すことで、接着性を向上させることが出来る。
フッ素樹脂チューブは、押し出し成形により成形するものを用いる。原料となるPFAの共重合の形式は特に限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などが挙げられる。
また、原料となるPFAにおけるテトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)の含有モル比は特に限定されるものではない。例えば、TFE/PAVEの含有モル比が、94/6〜99/1のものを好適に用いることができる。
この他のフッ素樹脂として、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)が挙げられる。また、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。そして、それらのフッ素樹脂を1種あるいは複数種組み合わせて用いることもできる。
本実施例においては、押し出し成形で得られたPFAチューブを使用した。チューブ厚みは40μmであった。チューブ内径は、弾性層20dの外径よりも小さく、52mmであった。チューブ内面は、接着性を向上させるためアンモニア処理が施されている。
(3−7)接着剤層20e
弾性層20dであるところの硬化シリコーンゴム弾性層上に表層20fであるところのフッ素チューブを固定する接着層20eは、弾性層20dの表面に1〜10μmの厚みで均一に塗布した付加硬化型シリコーンゴム接着剤の硬化物からなっている。そして、付加硬化型シリコーンゴム接着剤20eは、自己接着成分が配合された付加硬化型シリコーンゴムを含む。
具体的には、付加硬化型シリコーンゴム接着剤20eは、ビニル基に代表される不飽和炭化水素基を有するオルガノポリシロキサンと、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンおよび架橋触媒としての白金化合物を含有する。そして、付加反応により硬化する。このような接着剤としては、既知のものを使用することができる。
本実施例では、付加硬化型シリコーンゴム接着剤『DOW CORNING(R) SE 1819 CV A/B(東レ・ダウコーニング製)』を使用した。
(3−8)レーザー照射
定着ベルト20の端部の弾性層20d/フッ素樹脂チューブ20fの界面が起点となるチューブ剥がれを抑制するためには、接着力を上げる必要がある。本発明は、十分な接着力を発現するためにレーザー照射領域Lを定着ベルト両端部に形成し、その結果、ベルト端部からのチューブ剥がれを抑制することを特徴としている。
レーザーの照射領域Lは後述する扱き工程(接着に寄与しない余剰な接着剤と、被覆時に巻き込んでしまった空気を扱き出す工程)で接着剤と空気を抜けやすくするために、ベルト周方向に少なくとも1か所の隙間を開けなければならない。隙間を開けずに全周方向に連続的にレーザーが出力されていると、出来上がりの定着ベルト20の厚みムラが発生することがある。レーザーは、局所的かつ簡易に表面処理をすることができるため、上記のような領域の制御は容易である。
レーザー照射に用いる発振波長λは120nm≦λ≦10600nmの範囲にある必要がある。λ<120nmでは、繰り返しの出力に時間がかかり、製造工程の生産性が落ちてしまう。また、λ>10600nmでは、十分なエネルギーを得ることができず表面処理能力が落ちてしまう。
レーザー照射により弾性層20dとフッ素チューブ20f間の接着力が増加するメカニズムとしては下記1)の効果と2)の効果で、フッ素樹脂チューブ20fと弾性層20dとの接着力を増加させることができる。
1)弾性層20dを粗面化させることによるアンカー効果
2)弾性層20dの官能基変化による弾性層20dの表層部分での接着剤保持効果(親水化による接着剤の表面保持、もしくは、架橋構造形成による付加硬化型接着剤の弾性層深部への浸透抑制)
1)の効果は120nm≦λ≦10600nmの範囲内ではどの波長のレーザーを用いても効果が得られ、本発明者らが検討したところ、該レーザー照射領域Lの算術平均粗さRaが0.5μm≦Ra≦10μmの範囲だと接着力がより増加する効果が見られた。
2)の効果に関しては波長の短いエキシマレーザーなどで顕著である。該レーザーの照射により、弾性層表面の分子間(または被処理物表面に付着した物質の分子間)の結合を切断し、フリーラジカルが形成される。
フリーラジカルは空気中の水分や隣接する分子鎖と反応することにより、弾性層20dの表面に水酸基(赤外分光光度計(FT−IR)で3400cm−1付近のピーク)が導入されたり、弾性層表面の架橋が進行したりする。弾性層表面の水酸基は、接着剤中のシランカップリング剤などとの脱水縮合反応を促進するため、結果としてフッ素樹脂チューブと弾性層との接着力を増加させることができる。
また、弾性層20dにシリコーンゴムを用いる場合はレーザー照射により、表層の架橋(Si−O結合(赤外分光光度計(FT−IR)で1020cm−1付近のピーク))が進行する。そうすると、特開2009−244887号公報で記述されているように、付加硬化型接着剤の弾性層深部への浸透することを抑制するという効果も働く。そのため、弾性層表面部分での接着剤枯渇による接着不良をより防ぐことができる。
本実施例では10600nm、出力20W、発信周波数25kHz、幅15mmで周方向4箇所(90°毎)に5mmの隙間aを設けて、弾性層20dにCO2レーザーを連続的に照射した。
本発明における上記のレーザー照射に関してまとめると次のとおりである。
a:円筒状弾性層20dの表面の初期粗さをRa(before)、レーザー照射領域Lにおける円筒状弾性層20dの表面の粗さをRa(after)、としたとき、Ra(before)<Ra(after)である。
b:Ra(after)が0.5μm≦Ra(after)≦10μmである。
c:円筒状弾性層20dにシリコーンゴムを使用した場合であって、
円筒状弾性層のレーザーの照射前における表面に関して、赤外分光光度計(FT−IR)で測定した、[Si−O結合に起因する吸収(1020cm−1付近)]/[Si−C結合に起因する吸収(1260cm-1付近)]の強度比をα(before)、
円筒状弾性層のレーザー照射領域Lにおける表面に関して、赤外分光光度計(FT−IR)で測定した、[Si−O結合に起因する吸収(1020cm−1付近)]/[Si−C結合に起因する吸収(1260cm−1付近)]の強度比をα(after)、
としたとき、α(before)<α(after)である。
d:円筒状弾性層20dにフッ素ゴムを使用した場合であって、
円筒状弾性層のレーザーの照射前における表面に関して、赤外分光光度計(FT−IR)で測定した、[ヒドロキシル結合に起因する吸収(3400cm−1付近)]/[C−F結合に起因する吸収(1210cm−1付近)]の強度比をβ(before)、
円筒状弾性層のレーザー照射領域Lにおける表面に関して、赤外分光光度計(FT−IR)で測定した、[ヒドロキシル結合に起因する吸収(3400cm−1付近)]/[C−F結合に起因する吸収(1210cm−1付近)]の強度比をβ(after)、
としたとき、β(before)<β(after)である。
(4)実施例1のフッ素樹脂チューブ被覆工程(拡張被覆法)
本実施例1では表層20fとしてのフッ素樹脂チューブを外側から拡張し、接着剤層20eを介して弾性層20dに被覆する方法(拡張被覆法)を用いた。
図5は、拡張被覆法でフッ素樹脂チューブ20fをシリコーンゴム弾性層20dの積層された円筒状基体20bに被覆する時の工程概略図である。中子(不図示)にシリコーンゴム弾性層20dの積層された円筒状基体20bをセットし、チューブ拡張型Kの内面に配置したフッ素樹脂チューブ20fを被覆する。この拡張被覆法の流れを、図5を用いて説明する。
(a)ゴム塗工
内周面に内面摺動層20aを施し、外周面にプライマー層20cを施した円筒状基体20bの外周に前述の要領にて弾性層20dとしてシリコーンゴム弾性層を形成する工程である。
(b)レーザー照射
シリコーンゴム弾性層20dの所定の部位に所定の形態で前述の要領にてレーザー照射を施す工程である。
(c)接着剤塗布
レーザー照射を施したシリコーンゴム弾性層20cに前述の要領にて付加硬化型シリコーンゴム接着剤20eを均一に塗布する工程である。
(d)チューブ挿入
(a)〜(c)の工程で得られた、内面摺動層20a、シリコーンゴム弾性層20、接着剤層20eが施された円筒状基体20bの外径より大きな内径を有する金属製チューブ拡張型Kの内側に表層としてのフッ素樹脂チューブ20fを配置(挿入)する。そして、フッ素樹脂チューブ20fの両端を保持部材FuとFlを用いて保持する。
(e)チューブ拡径
次に、フッ素樹脂チューブ20fの外表面と拡張型Kの内面の隙間aの部分を真空状態(大気圧に対して負圧)にする。真空(5kPa)になったことでフッ素樹脂チューブ20fが拡張(拡径)して、フッ素樹脂チューブ20fの外表面が拡張型Kの内面に密着する。
(f)挿入
中子(不図示)に、(a)〜(c)の工程で得られた、内面摺動層20a、シリコーンゴム弾性層20、接着剤層20eが施された円筒状基体20bをセットし、上記(e)の拡張型Kにより拡径されている状態のフッ素樹脂チューブ20f内に挿入する。
金属製チューブ拡張型Kの内径はこの円筒状基体20bの挿入がスムーズに行われる範囲であれば特に限定するものではない。
(g)チューブ被覆
上記(f)の挿入後、フッ素樹脂チューブ20fの外表面と拡張型Kの内面の隙間の部分の真空状態(大気圧に対して負圧)を破壊(大気圧に対して負圧を解除)する。真空が破壊されることで、フッ素樹脂チューブ20fは、シリコーンゴム弾性層20dの積層された円筒状基体20bの外径と同じ大きさまで拡径が解かれる。これにより、フッ素樹脂チューブ20fとシリコーンゴム弾性層20dの表面は接着剤層20eを介して密着した状態になる。
この後に、特許文献2のようにフッ素樹脂チューブ20fを所定の伸張率まで伸張する工程を入れることもできる。フッ素樹脂チューブ20fが伸張される際、フッ素樹脂チューブ20fとシリコーンゴム弾性層20dの間にある付加硬化型シリコーンゴム接着剤20eが潤滑剤の役目を果たし、スムーズに伸張することができる。
(h)扱き工程
拡張型Kからシリコーンゴム弾性層20dの表面にフッ素樹脂チューブ20fが被覆された円筒状基体20bを抜き出す。弾性層20dとフッ素樹脂チューブ20fの間には、接着に寄与しない余剰な付加硬化型シリコーンゴム接着剤20eと、被覆時に巻き込んでしまった空気が存在する。そのため、この余剰な接着剤と空気を扱き出すための扱き工程が必要である。
フッ素樹脂チューブ20fが被覆されている円筒状基体20bの外径より僅かに大きい内径をもつエアー噴出リングRをその円筒状基体20bに外嵌する。そして、エアー噴出リングRを、円筒状基体20bの上端部よりフッ素樹脂チューブ20fの表面へエアー(エアー圧0.5MPa)をフッ素樹脂チューブ20fの周方向と垂直の方向に噴出させながらフッ素樹脂チューブ20fの長手方向へ移動させる。
これにより、弾性層20dとフッ素樹脂チューブ20fの間にある接着に寄与しない余剰な付加硬化型シリコーンゴム接着剤20eと、被覆時に巻き込んでしまった空気を扱き出す。
ここで、レーザー照射領域Lにおいては、弾性層20dとフッ素樹脂チューブ20fの接着が強くなっているため、全周方向連続的にレーザーが照射されていると、その部分で扱き出される付加硬化型シリコーンゴム接着剤20eと空気は抵抗を受けてしまう。しかし、本実施例では周方向に少なくとも1か所隙間a(レーザー非照射部)が設けられてレーザーが照射されているため、その隙間aから付加硬化型シリコーンゴム接着剤20eと空気がとり抜けることができ、抵抗が軽減される。
扱き方法としては、エアー圧を利用した方法の他にも、液体や半固体を噴出させてもよい。また、フッ素樹脂チューブ20fが被覆されている円筒状基体20bの外径より小さな径をもつ伸縮するリングを用いて扱いてもよい。
(i)加熱処理
上記(h)の扱き工程後、加熱処理(電気炉で200℃、30分加熱)を行うことで、付加硬化型シリコーンゴム接着剤20eを硬化させ、フッ素樹脂チューブ20fと弾性層20dを全域にわたって固定させた。
(j)製品長にカット(切断、研磨)
加熱処理後、自然冷却してから、レーザー照射部Lが定着部材の両端部にくるように所定の長さで切断してから研磨し、定着ベルト20を完成させた。
(5)実施例1に対する比較例
実施例1に対する比較例として、他の層構成の作製条件が等しく、フッ素樹脂チューブ20fの被覆工程のみを表1のように「レーザー照射(の有無や範囲)」「接着剤量」をそれぞれ変更して比較例1−1乃至1−3の定着ベルトを前記の拡張被覆法にて作製した。
比較例1−1は弾性層20dにレーザーを照射せずに作製した定着部材である。比較例1−2は弾性層20dにレーザーを照射せず、かつ接着剤量を実施例1の2倍(6g)に増やして作製した定着部材である。比較例1−3はレーザーを弾性層の周方向全域に隙間なく連続的に照射して製造した定着部材である。
(6)厚み測定
マイクロメータ『高精度デジマチックマイクロメータMDH−25M;ミツトヨ製』にて、定着ベルト両端部から20mmの位置のベルト厚みを計測し、MAX値−MIN値を算出した。ここで、20mmの位置は、レーザー照射を行っている実施例1、比較例1−3にとっては、レーザー照射部に隣接する位置となっており、前記(h)の扱き工程で接着剤が残存している可能性が高い領域である。結果を表1に併せて記載する。
周方向に隙間aを入れてレーザー照射領域Lを設けてある実施例1は、レーザーを照射していない比較例1−1、比較例1−2と同程度の10μm付近の厚みムラしかなく、精度のよい定着ベルトに仕上がった。
全周方向連続的にレーザーが照射されている比較例1−3は、レーザー照射部の弾性層20dとフッ素樹脂チューブ20fとの接着が強い。そのため、弾性層20dとフッ素樹脂チューブ20fの間にある付加硬化型シリコーンゴム接着剤20eをうまく扱き出すことができずに、3305μm(≒3.3mm)という大幅な厚みムラが観測された。
(7)接着性試験
弾性層20dとフッ素樹脂チューブ20fとの接着性をピーリング測定機『縦型自動計測MV−1000N;イマダ製』を用いて評価した。
具体的には、定着ベルト端部の弾性層20dとフッ素樹脂チューブ20fの界面にフェザーカッターで切りこみを入れる。そして、フッ素樹脂チューブ側を試験機で引っ張り速度1mm/s、サンプル幅10mmの状態で弾性層とフッ素樹脂チューブとの界面の90度ピーリング強度を測定した。引張の方向としては、実機でのベルト端部からの剥がれを想定し、図7のように長手方向へ剥がれが進展していくように測定した。結果を表1に併せて示す。
実施例1に関しては、6.5Nのピーリング強度を示し、弾性層20dとフッ素樹脂チューブ20fが強固に接着されていることが確認された。
レーザーを照射していない比較例1−1、比較例1−2に関しては、4.0N付近のピーリング強度を示し、弱めの接着力であった。また、比較例1−1から比較例1−2への接着剤量の増加は接着力には直接影響を与えないという結果となった。
全周方向連続的にレーザーが照射されている比較例1−3に関しては、6.0Nとなり、実施例1の結果よりも接着力が若干弱い結果となった。これは、前記の接着剤溜まりの厚みムラによって生じた残存応力のため、実施例1に比べて、チューブが剥がれやすくなってしまったためと推測される。
[実施例2]
実施例1において、フッ素樹脂チューブ20fの被覆工程を変更したこと以外は、同仕様で定着ベルト20を作製した。
(1)実施例2のフッ素樹脂チューブ被覆工程(潤滑被覆法)
本実施例2では、弾性層20dに対するフッ素樹脂チューブ20fの被覆を、付加硬化型シリコーンゴム接着剤20eを潤滑材として行なう方法(潤滑被覆法)を用いた。
図6はこの潤滑被覆法でフッ素樹脂チューブ20fをシリコーンゴム弾性層20dの積層された円筒状基体20bに被覆する時の工程概要図である。
(a)ゴム塗工、(b)レーザー照射、(c)接着剤塗布は、実施例1の図5の(a)ゴム塗工、(b)レーザー照射、(c)接着剤塗布の工程と同じである。
(d)チューブ被覆
中子(不図示)に、(a)〜(c)の工程で得られた、内面摺動層20a、シリコーンゴム弾性層20、接着剤層20eが施された円筒状基体20bをセットし、その円筒状基体20bに対して表層となるフッ素樹脂チューブ20fを被せて(外嵌して)被覆する。
(e)チューブ上固定
シリコーンゴム弾性層20dの積層された円筒状基体20bの片端部のレーザー照射領域Lにおいてフッ素樹脂チューブ20fの外側から金属塊Mで押圧加熱して接着剤20eを硬化させる。これにより、フッ素樹脂チューブ20fとシリコーンゴム弾性層20dとの片端部(一端側)を固定する。
(f)扱き
その後、接着層20eの厚みを調整するために、硬化シリコーンゴム弾性層20dとフッ素樹脂チューブ20fとの間に残った、余剰の付加硬化型シリコーンゴム接着剤を、エアー噴出リングRで扱き出すことで除去する。その際に、扱き出す工程と伸張する工程を同時に行うこともできる。
(g)チューブ下固定
そして、チューブ別片端部(他端側)を前記(e)のチューブ上固定と同様に押圧加熱で固定する。固定化する両端部の位置は定着ベルトとして使用する際の通紙領域以外の部位を適宜選択する。
(h)加熱処理
次に、電気炉などの加熱手段にて所定の時間加熱することで、付加硬化型シリコーンゴム接着剤20eを硬化させ、フッ素樹脂チューブ20fとシリコーンゴム弾性層20dの全域を固定する。
(i)製品長にカット
最後に、両端部を所望の長さに切断することで、本発明の定着部材としての定着ベルト20を得ることが出来る。
(2)実施例2に対する比較例
実施例2に対する比較例として、他の層構成の作製条件が等しく、フッ素樹脂チューブ20fの被覆工程のみを表1のように「レーザー照射(の有無や範囲)」「接着剤量」をそれぞれ変更して比較例2−1乃至2−3の定着ベルトを前記の拡張被覆法にて作製した。
比較例2−1は弾性層20dにレーザーを照射せずに作製した定着部材である。比較例1−2は弾性層20dにレーザーを照射せず、かつ接着剤量を実施例2の2倍(10g)に増やして作製した定着部材である。比較例2−3はレーザーを弾性層20dの周方向全域に隙間なく連続的に照射して製造した定着部材である。
(3)厚み測定
実施例1の(6)と同様の方法で厚み測定を行った。結果を表2に併せて記載する。周方向に隙間aを入れてレーザー照射領域Lを設けてある実施例2は、レーザーを照射していない比較例2−1、比較例2−2と同程度の13μm付近の厚みムラしかなく、精度のよい定着ベルトに仕上がった。
全周方向連続的にレーザーが照射されている比較例2−3は、レーザー照射部Lの弾性層20dとフッ素樹脂チューブ20fとの接着が強い。そのため、弾性層20dとフッ素樹脂チューブ20fの間にある付加硬化型シリコーンゴム接着剤20eをうまく扱き出すことができずに、4395μm(≒4.4mm)という大幅な厚みムラが観測された。
(4)接着性試験
実施例1の(7)と同様の方法で接着性試験を行った。結果を表2に併せて示す。実施例2に関しては、6.8Nのピーリング強度を示し、弾性層20dとフッ素樹脂チューブ20fが強固に接着されていることが確認された。
レーザーを照射していない比較例2−1、比較例2−2に関しては、4.0N付近のピーリング強度を示し、弱めの接着力であった。また、比較例2−1から比較例2−2への接着剤量の増加は接着力には直接影響を与えないという結果となった。
全周方向連続的にレーザーが照射されている比較例2−3に関しては、5.8Nとなり、実施例2の結果よりも接着力が若干弱い結果となった。これは、前記の接着剤溜まりの厚みムラによって生じた残存応力のため、実施例2に比べて、チューブが剥がれやすくなってしまったためと推測される。
[その他の事項]
(1)実施例1、2においては、画像加熱定着装置用の定着部材として、記録材の画像担持面に当接して画像を加熱する加熱手段としての加熱部材20について説明した。加熱部材20と定着ニップ40を形成するもう一方の定着部材である加圧部材30についても、円筒状弾性層と、その円筒状弾性層の周面を被覆しているフッ素樹脂チューブとを有する構成のものである場合には本発明を適用することで同様の効果が得られる。
(2)実施例1、2においては定着部材としてエンドレスベルト体の形態のもので説明したが、これに限られるものではない。定着部材としては、剛性を有するローラ体あるいは中空ローラ体を基体として、その外周面に円筒状弾性層20dが形成され、更にその表面を被覆しているフッ素樹脂チューブ20fを有するローラ体の形態のものであってもよい。
(3)画像加熱定着装置Aには、定着部材により未定着のトナー像(顕画剤像、現像剤像)を加熱して固着画像として定着または仮定着する装置の他に、定着されたトナー像を再加熱してつやなどの表面性を改質する装置も包含される。
A・・画像加熱定着装置、20・・定着部材(定着ベルト)、30・・定着部材(加圧ベルト)、40・・定着ニップ、20d・・円筒状弾性層、20e・・接着剤層、20f・・フッ素樹脂チューブ、L・・レーザー照射領域、a・・隙間

Claims (10)

  1. 円筒状弾性層と、前記円筒状弾性層の周面を被覆しているフッ素樹脂チューブとを有する、画像加熱定着装置用の定着部材であって、
    前記定着部材の両端部における前記円筒状弾性層の表面には、発振波長λが120nm≦λ≦10600nmの範囲のレーザーが周方向に少なくとも1か所の隙間を開けて連続的に照射されたレーザー照射領域が形成されており、その上から前記フッ素樹脂チューブが被覆されていることを特徴とすることを特徴とする定着部材。
  2. 前記円筒状弾性層の表面の初期粗さをRa(before)、
    前記レーザー照射領域における前記円筒状弾性層の表面の粗さをRa(after)、
    としたとき、Ra(before)<Ra(after)、であることを特徴とする請求項1に記載の定着部材。
  3. 前記Ra(after)が0.5μm≦Ra(after)≦10μmであることを特徴とする請求項2に記載の定着部材。
  4. 前記円筒状弾性層にシリコーンゴムを使用した場合であって、
    前記円筒状弾性層の前記レーザーの照射前における表面に関して、赤外分光光度計(FT−IR)で測定した、[Si−O結合に起因する吸収(1020cm−1付近)]/[Si−C結合に起因する吸収(1260cm−1付近)]の強度比をα(before)、
    前記円筒状弾性層の前記レーザー照射領域における表面に関して、赤外分光光度計(FT−IR)で測定した、[Si−O結合に起因する吸収(1020cm−1付近)]/[Si−C結合に起因する吸収(1260cm−1付近)]の強度比をα(after)、
    としたとき、α(before)<α(after)、であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の定着部材。
  5. 前記円筒状弾性層にフッ素ゴムを使用した場合であって、
    前記円筒状弾性層の前記レーザーの照射前における表面に関して、赤外分光光度計(FT−IR)で測定した、[ヒドロキシル結合に起因する吸収(3400cm−1付近)]/[C−F結合に起因する吸収(1210cm−1付近)]の強度比をβ(before)、
    前記円筒状弾性層の前記レーザー照射領域における表面に関して、赤外分光光度計(FT−IR)で測定した、[ヒドロキシル結合に起因する吸収(3400cm−1付近)]/[C−F結合に起因する吸収(1210cm−1付近)]の強度比をβ(after)、
    としたとき、β(before)<β(after)、であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の定着部材。
  6. 円筒状弾性層と、前記円筒状弾性層の周面を被覆しているフッ素樹脂チューブとを有する、画像加熱定着装置用の定着部材の製造方法であって、
    (1)前記円筒状弾性層の両端部における表面に、発振波長λが120nm≦λ≦10600nmの範囲のレーザーを周方向に少なくとも1か所の隙間を開けて連続的に照射したレーザー照射領域を形成する工程と、
    (2)前記レーザー照射領域が形成された前記円筒状弾性層の表面に前記フッ素樹脂チューブを接着させるための接着剤層を塗工する工程と、
    (3)前記接着剤層が塗工された前記円筒状弾性層にフッ素樹脂チューブを被覆する工程と、
    (4)前記接着剤層を硬化させ、前記円筒状弾性層と前記フッ素樹脂チューブを固定する工程と、
    (5)前記(1)乃至(4)の工程を経て得られた部材を前記レーザー照射領域が両端部になるように切断し定着部材を仕上げる工程と、
    を含むことを特徴とする定着部材の製造方法。
  7. 前記円筒状弾性層の表面の初期粗さをRa(before)、
    前記レーザー照射領域における前記円筒状弾性層の表面の粗さをRa(after)、
    としたとき、Ra(before)<Ra(after)、であることを特徴とする請求項6に記載の定着部材の製造方法。
  8. 前記Ra(after)が、0.5μm≦Ra(after)≦10μm、であることを特徴とする請求項7に記載の定着部材の製造方法。
  9. 前記円筒状弾性層にシリコーンゴムを使用した場合であって、
    前記円筒状弾性層の前記レーザーの照射前における表面に関して、赤外分光光度計(FT−IR)で測定した、[Si−O結合に起因する吸収(1020cm−1付近)]/[Si−C結合に起因する吸収(1260cm−1付近)]の強度比をα(before)、
    前記円筒状弾性層の前記レーザー照射領域における表面に関して、赤外分光光度計(FT−IR)で測定した、[Si−O結合に起因する吸収(1020cm−1付近)]/[Si−C結合に起因する吸収(1260cm−1付近)]の強度比をα(after)、
    としたとき、α(before)<α(after)、であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の定着部材の製造方法。
  10. 前記円筒状弾性層にフッ素ゴムを使用した場合であって、
    前記円筒状弾性層の前記レーザーの照射前における表面に関して、赤外分光光度計(FT−IR)で測定した、[ヒドロキシル結合に起因する吸収(3400cm−1付近)]/[C−F結合に起因する吸収(1210cm−1付近)]の強度比をβ(before)、
    前記円筒状弾性層の前記レーザー照射領域における表面に関して、赤外分光光度計(FT−IR)で測定した、[ヒドロキシル結合に起因する吸収(3400cm−1付近)]/[C−F結合に起因する吸収(1210cm−1付近)]の強度比をβ(after)、
    としたとき、β(before)<β(after)、であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の定着部材の製造方法。
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