JP7163220B2 - 定着部材及び加圧部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真画像形成装置の加熱定着装置に用いられる定着部材及び加圧部材の製造方法に関する。
プリンター、コピー機、ファクシミリ等の電子写真画像形成装置の加熱定着装置に用いられる定着部材として、ベルト形状のもの、ローラ形状のものがある。これら定着部材として、耐熱樹脂製或いは金属製のベルト或いはローラ形状の基材上に、耐熱ゴム等からなる弾性層が形成され、さらにその表面には、トナーに対して優れた離型性を有するフッ素樹脂層を設けたものが知られている。このような定着部材として、特許文献1は、拡径したフッ素樹脂チューブ内にローラ基材を挿入し、フッ素樹脂チューブの内周面及びローラ基材の外周面の少なくとも一方に塗布した接着剤で固定してなる、フッ素樹脂チューブ被覆ローラを開示している。また、フッ素樹脂チューブは、押出し成形したものを用いること、フッ素樹脂チューブの厚さとしては、チューブが変形し難くなることから50μm以下が好ましいことを開示している。
ところで、近年、電子写真画像形成装置の加熱定着の際のエネルギー消費量を低減させるために、定着部材の熱伝導効率のより一層の向上が求められている。そのため、フッ素樹脂チューブについても、肉厚の薄いものを用いることが必要となってきた。ここで、肉厚が、10~50μm程度の薄肉の、シームレスフッ素樹脂チューブは、押し出し成形によって形成することが可能である。しかし、このように押し出し成形によって形成してなる薄肉のシームレスフッ素樹脂チューブで円筒状の弾性層を被覆し、接着剤で固定してなる定着ローラは、加熱定着枚数の増加に伴って、当該フッ素樹脂チューブの長手方向に亀裂を生じてしまうことがあった。
この長手方向に亀裂が生じてしまう課題に対し、特許文献2では、押し出し成形で得た薄肉のシームレスフッ素樹脂チューブは、当該チューブの長手方向にフッ素樹脂分子が高度に配向していることが当該亀裂の発生の原因と推測し、フッ素樹脂チューブのアニ-ル処理によって、フッ素樹脂チューブの長手方向のフッ素樹脂分子の配向の低減を図ることを試みた。
しかし、フッ素樹脂チューブの長手方向のフッ素樹脂の配向度は、フッ素樹脂チューブの結晶化度と相関している。薄肉のフッ素樹脂チューブは、フッ素樹脂の配向度並びに結晶化度が共に高い傾向にある。結晶化度が高いこと自体は、弾性層に追従してフッ素樹脂チューブが繰り返し屈曲させられる定着部材及び加圧部材においては、フッ素樹脂チューブの表面へのシワの発生を抑制することができるため、有利な特性である。
押出し成形によって形成した薄肉のシームレスフッ素樹脂チューブの結晶化度の低下を極力抑えつつ、配向度を下げる方法として、円筒状弾性層の外径よりも小さい内径を有するように押出し成形によりフッ素樹脂チューブを形成し、当該フッ素樹脂チューブを拡径させて該円筒状弾性層に被せて、フッ素樹脂チューブの拡径状態を維持させると共に、該フッ素樹脂チューブを長手方向に伸張させ、その状態で該フッ素樹脂チューブを弾性層上にて加熱処理を行うことで、長期の使用によっても表面にシワや亀裂を生じ難く、良好な定着性能を安定的に発揮し得ることを開示している。
また、発明者らは、特許文献3で、フッ素樹脂チューブを外側から拡張し、該円筒状弾性層に被せる被覆工程において、フッ素樹脂チューブの両端をそれぞれ保持した第1の保持具と第2の保持具との間の距離を所定距離狭めた後、前記樹脂チューブを径方向へ拡張させることで、フッ素樹脂チューブの拡径時ダメージを低減させ、亀裂発生要因となる製造時のフッ素樹脂チューブへのストレスを軽減する方法を提案している。
特開2004-276290号公報 特開2010-143118号公報 特開2014-112201号公報
しかし、フッ素樹脂チューブには製造バラツキがあるため、径が小さいフッ素樹脂チューブを拡径すると塑性変形を起こしてしまうことがあった。塑性変形を起こした部分は加熱処理を行っても、フッ素樹脂チューブの膜厚が塑性変形を起こしていない部分よりも薄くなったり、残留応力が残ったりして、耐屈曲亀裂性が悪くなる。
また、特許文献3において、第1の保持具と第2の保持具との間の距離を所定距離縮めた後、前記樹脂チューブを径方向へ拡張させることで、フッ素樹脂チューブの拡径時のダメージを低減することが知られている。しかし、フッ素樹脂チューブの厚み、材料種、保持具の縮め量によってフッ素樹脂チューブをあらかじめ縮めた段階でフッ素樹脂チューブが座屈することがあり、その座屈による折れ跡が定着フィルム状態にした際に残存し、定着フィルム製造時における良品率を下げてしまう要因となってしまうことがあった。
そこで、本発明の目的は、定着部材及び加圧部材の表層に使用するフッ素樹脂チューブの拡径と長手方向に伸張させたときのフッ素樹脂チューブのダメージを軽減し、定着部材及び加圧部材の製造時にフッ素樹脂チューブの伸びや裂けによる不良率を下げ、また、長期の使用によっても表面にシワや亀裂を生じ難く、良好な定着性能を安定的に発揮し得る、定着部材及び加圧部材の製造方法を提供することにある。
上記の目的は本発明に係る製造方法によって達成される。本発明の態様により、以下の特徴を有する製造方法が提供される。
(特徴1)
円筒状弾性層と、
前記円筒状弾性層の周面を被覆しているフッ素樹脂チューブと、を有する
定着部材または加圧部材の製造方法であって、
前記円筒状弾性層にフッ素樹脂チューブを被覆する工程で、
フッ素樹脂チューブの長手方向一端を第1の保持具により保持する工程と、
前記フッ素樹脂チューブの長手方向他端を第2の保持具により保持する工程と、前記第1の保持具と第2の保持具で保持された前記フッ素樹脂チューブを径方向へ拡張させる工程と、
接着剤が塗工された弾性材に対し径方向へ拡張された前記フッ素樹脂チューブを外挿する工程と、を有し、
前記フッ素樹脂チューブが径方向に拡張される際に第1の保持具と第2の保持具の間を長手方向に縮む方向にフッ素樹脂チューブが移動すること
を特徴する定着部材または加圧部材の製造方法。
(特徴2)
前記フッ素樹脂チューブが、径方向に拡張される際の長手方向の収縮力Fが、前記第1の保持具と前記フッ素樹脂チューブ内面間の最大静止摩擦力F
前記第1の保持具と前記フッ素樹脂チューブ外面間の最大静止摩擦力F’、
前記第2の保持具と前記フッ素樹脂チューブ内面間の最大静止摩擦力F
前記第2の保持具と前記フッ素樹脂チューブ外面間の最大静止摩擦力F’、
のいずれよりも大きいことを特徴とする特徴1に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
(特徴3)
前記第1の保持具と第2の保持具が円筒状もしくは円柱状の回転体対を有しており、前記回転体対の間で前記フッ素樹脂チューブを保持し、拡径時に前記フッ素樹脂チューブが前記回転体対の間を移動することを特徴とする特徴1乃至2に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
(特徴4)
前記フッ素樹脂チューブが前記弾性材に外挿された後、前記フッ素樹脂チューブの径方向への拡張を解く工程を更に有することを特徴とする特徴1乃至3に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
(特徴5)
前記フッ素樹脂チューブの拡張が解かれた後、前記フッ素樹脂チューブをそれぞれ保持した前記第1の保持具と前記第2の保持具との間の距離を所定距離広げる工程を更に有することを特徴とする特徴4に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
(特徴6)
前記接着剤が塗工された前記弾性材に前記フッ素樹脂チューブが外挿された後、前記フッ素樹脂チューブの長手方向両端部を局所的に加熱し、前記フッ素樹脂チューブの長手方向両端部を前記弾性材に固定させる工程を更に有することを特徴とする特徴1乃至5に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
(特徴7)
前記フッ素樹脂チューブの長手方向両端部が前記弾性材に固定された後、前記弾性材と前記フッ素樹脂チューブとの間にある前記接着剤を扱き出す工程を更に有することを特徴とする特徴6に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
(特徴8)
前記接着剤が扱き出された後、前記弾性材に固定された前記フッ素樹脂チューブを加熱する工程を更に有することを特徴とする特徴7に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
本発明によれば、フッ素樹脂チューブを拡径するときには、拡張に合わせて長手方向に縮むようにフッ素樹脂チューブが移動することで、フッ素樹脂チューブへのダメージを最小限にすることができるため、製造時のフッ素樹脂チューブの不良率を下げ、長期の使用によっても表面にシワや亀裂を生じ難く、良好な定着性能を安定的に発揮し得る、定着部材及び加圧部材を製造できる。
定着ベルト及び加圧ベルトの構成を説明する図である。 画像形成装置の構成を説明する図である。 ツインベルト方式の定着装置の構成を説明する図である。 定着ベルト及び加圧ベルトの弾性層形成方法を説明する図である。 本発明の実施例1のフッ素樹脂チューブを被覆する方法を説明する図である。 フッ素樹脂チューブの収縮力Fを測定する方法を説明する図である。 本発明の実施例2のフッ素樹脂チューブを被覆する方法を説明する図である。 比較例1のフッ素樹脂チューブを被覆する方法を説明する図である。 比較例2のフッ素樹脂チューブを被覆する方法を説明する図である。
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施例は、本発明を適用できる実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではなく本発明の思想の範囲内において種々の変形が可能である。
(1)画像形成部
図2は、本発明に従う画像加熱装置を定着装置Aとして搭載した画像形成装置の一例の概略構成を示す断面模式図である。
この画像形成装置1は電子写真方式レーザープリンタであり、潜像を担持する像担持体として感光体ドラム2を備えている。感光体ドラム2は矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動され、その外面が帯電器3によって所定の極性・電位に一様に帯電される。その一様帯電面に対してレーザースキャナ(光学装置)4により画像情報のレーザー走査露光5がなされる。これにより、感光体ドラム2の面には走査露光した画像情報の静電潜像が形成される。その静電潜像が現像器6によってトナー画像として現像される。そのトナー画像が、感光体ドラム2と転写ローラ7との当接部である転写部において、該転写部に導入された記録材(シート)Sに対して順次に転写される。
記録材Sは装置下部の給紙カセット9内に積載収納されている。所定の給紙タイミングで給紙ローラ10が駆動されると、給紙カセット9内の記録材が1枚分離給紙されて、搬送路10aを通ってレジストローラ対11に至る。レジストローラ対11は記録材Sの先端部を受け止めて記録材の斜行修正をする。また、感光体ドラム上のトナー画像の先端部が転写部に到達したときに記録材の先端部も転写部に丁度到達するタイミングとなるように、感光体ドラム上のトナー画像と同期をとって、記録材Sを転写部に給送する。
転写部を通った記録材Sは感光体ドラム2の面から分離されて、定着装置Aへと搬送される。この定着装置Aにより記録材S上の未定着トナー画像が加熱・加圧により固着画像として記録材面に定着される。そして、その記録材が搬送路10bを通って排出ローラ対12によって装置上部の排出トレイ13へと排出、積載される。
また、記録材分離後の感光体ドラム2の面はクリーニング装置8によって転写残トナー等の残留付着物が除去されて清掃され、繰り返して作像に供される。
(2)定着装置A
図3はツインベルト方式の定着装置Aの要部の断面模式図である。ここで、定着装置Aまたはこれを構成している部材について長手または長手方向とは記録材搬送路面内において、記録材搬送方向に直交する方向である。定着装置について正面とは記録材導入側の面である。左右とは装置を正面から見て左または右である。ベルトの幅とは記録材搬送方向に直交する方向のベルト寸法(=ベルト長手方向の寸法)である。また記録材の幅とは記録材面において記録材搬送方向に直交する方向の記録材寸法である。また上流または下流とは記録材の搬送方向に関して上流または下流である。
この定着装置Aは、詳しくは後述するが第1のエンドレスベルトとしての定着ベルト(定着手段)20と、第2のエンドレスベルトとしての加圧ベルト(加圧手段)30とを備えている。
定着ベルト20の加熱手段として、エネルギー効率の高い電磁誘導加熱方式の加熱源(誘導加熱部材、励磁コイル)を採用している。誘導加熱部材57は、誘導コイル57aと、励磁コア57bと、それらを保持するコイルホルダー57cと、から構成される。誘導コイル57aは、長円状に扁平巻きされたリッツ線を用い、誘導コイルの中心と両脇に突起した横E型の励磁コア57bの中に配置されている。励磁コア57bはフェライト、パーマロイといった高透磁率で残留磁速密度の低いものを用いるので、誘導コイル57aや励磁コア57bでの損失を抑えられ、効率的に定着ベルト20を加熱する事ができる。
励磁回路64から誘導加熱部材57の誘導コイル57aに高周波電流が流されると、定着ベルト20の金属層が誘導発熱して定着ベルト20が加熱される。定着ベルト20の表面温度がサーミスタ等の温度検知素子62により検知される。この温度検知素子62で検知される定着ベルト20の温度に関する信号が制御回路部63に入力する。制御回路部63は温度検知素子62から入力する温度情報が所定の定着温度に維持されるように、励磁回路64から誘導コイル57aに対する供給電力を制御して、定着ベルト20の温度を所定の定着温度に温調する。
定着ベルト20は、ベルト懸架部材としてローラ51並びに定着ローラ52によって張架されている。ローラ51と定着ローラ52はそれぞれ装置の不図示の左右の側板間に回転自由に軸受させて支持させてある。
ローラ51は、外径が20mmで、内径が18mmである厚さ1mmの鉄製の中空ローラであり、定着ベルト20に張りを与えるテンションローラとして機能している。
定着ローラ52は、外径が20mmで、径が18mmである鉄合金製の芯金に、弾性層としてのシリコーンゴム層が設けられた高摺動性の弾性ローラである。この定着ローラ52は駆動ローラとして駆動源(モータ)Mから不図示の駆動ギア列を介して駆動力が入力されて、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される。この定着ローラ52に上記のように弾性層を設けることで、定着ローラ52に入力された駆動力を定着ベルト20へ良好に伝達することができるとともに、定着ベルト20からの記録材の分離性を確保するための定着ニップを形成できる。シリコーンゴムの硬度はJIS-A15度である。シリコーンゴム層によって、内部への熱伝導も少なくなるためウォーミングアップタイムの短縮にも効果がある。
定着ベルト20は、定着ローラ52が回転駆動されると、定着ローラ52のシリコーンゴム表面と定着ベルト20の内面ポリイミド層との摩擦によって定着ローラ52と共に回転する。
加圧ベルト30は、ベルト懸架部材としてのテンションローラ54と加圧ローラ55によって張架されている。テンションローラ54と加圧ローラ55はそれぞれ装置の不図示の左右の側板間に回転自由に軸受させて支持させてある。
テンションローラ54は、外径が20mmで、径が16mmである鉄合金製の芯金に、熱伝導率を小さくして加圧ベルト30からの熱伝導を少なくするためにシリコーンスポンジ層を設けてある。
加圧ローラ55は、外径が20mmで、内径が16mmである厚さ2mmの鉄合金製とされた低摺動性の剛性ローラである。
ここで、定着ベルト20と加圧ベルト30との間に画像加熱ニップとしての定着ニップ60を形成するために、加圧ローラ55は、回転軸の左右両端側が不図示の加圧機構により矢印Fの方向に所定の加圧力にて定着ローラ52に向けて加圧されている。
また、装置を大型化することなく幅広い定着ニップ60を得るために、加圧パッドを採用している。すなわち、定着ベルト20を加圧ベルト30に向けて加圧する第1の加圧パッドとしての定着パッド53と、加圧ベルト30を定着ベルト20に向けて加圧する第2の加圧パッドとしての加圧パッド56である。定着パッド53及び加圧パッド56は装置の不図示の左右の側板間に支持させて配設してある。加圧パッド56は、不図示に加圧機構により矢印Gの方向に所定の加圧力にて定着パッド53に向けて加圧されている。第1の加圧パッドである定着パッド53はパッド基体とベルトに接する摺動シート(低摩擦シート)58を有する。第2の加圧パッドである加圧パッド56もパッド基体とベルトに接する摺動シート59を有する。これはベルト基層を金属層にした場合には、パッドのベルト内周面と摺擦する部分の削れが大きくなるという問題があるためである。ベルトとパッド基体の間に、摺動シート58と59を介在させることで、パッドの削れを防止し、摺動抵抗も低減できるので、良好なベルト走行性、ベルト耐久性を確保できる。
制御回路部63は、少なくとも画像形成実行時にはモータMを駆動する。これにより定着ローラ52が回転駆動され、定着ベルト20が同じ方向に回転駆動される。定着ベルト20の周速度は、記録材にループを形成するため画像形成部側から搬送されてくるシートSの搬送速度に比して僅かに遅い周速とされている。
加圧ベルト30は、定着ベルト20に従動して回転する。ここで、定着ニップ最下流の部分をローラ対52・55により定着ベルト20と加圧ベルト30を挟んで搬送する構成としたことで、ベルトのスリップを防止することができる。定着ニップ最下流の部分は定着ニップでの圧分布(記録材搬送方向)が最大となる部分である。
本実施例の場合、定着ベルト20の周速は300mm/secとされ、A4サイズのフルカラー画像を1分間に70枚定着することが可能である。
定着ベルト20が所定の定着温度に立ち上がって温調された状態において、定着ベルト20と加圧ベルト30間の定着ニップ60に、未定着トナー画像tを有する記録材Sが搬送される。記録材Sは、未定着トナー画t像を担持した面を、定着ベルト20側に向けて導入される。そして、記録材Sの未定着トナー画像tが定着ベルト20の外周面に密着したまま挟持搬送されていくことにより、定着ベルト20から熱が付与され、また加圧力を受けて記録材Sの表面に定着される。
また、定着ベルト20内の定着ローラ52がゴム層を有する弾性ローラであり、加圧ベルト30内の加圧ローラ55は鉄合金製の剛性ローラであるため、定着ベルト20と加圧ベルト30との定着ニップ出口では定着ローラ52の変形が大きくなっている。その結果、定着ベルト20も大きく変形し、トナー画像を担持した記録材Sは定着ベルト20から自らのこしにより曲率分離される。
(3)定着ベルト20
図1の(a)は本実施例における定着部材である定着ベルト20の層構成を示す断面模式図、(b)は構成層の積層要領説明図である。
21は定着ベルト20の基材(円筒状基体)、25はその基体21の内周面に配された内面摺動層、26は基材21の外周面を被覆したプライマー層、22はプライマー層26上に配された弾性層(円筒状弾性層)である。24は表層としてのフッ素樹脂チューブであり、弾性層22の周面に接着剤層23により固定されている。
本実施例の定着ベルト20は上記6層の積層複合層部材であり、全体に可撓性を有する薄肉の低熱容量の部材である。そして、この定着ベルト20は自由状態においてはほぼ円筒形状を保持している。
以下に各構成層について具体的に説明する。
(3-1)基材21
定着ベルト20の基材は前記誘導加熱部材57によって加熱させるために、SUS合金、ニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバルト-ニッケル合金等の金属層で形成されている。本実施例においては、内径が55mmで、厚みが65μmの電鋳ニッケルベルトを基材としている。その厚みは好ましくは1~300μmがよい。基材の厚みが1μmよりも小さいと剛性が低く、多数枚耐久に耐えることが困難となる。また、基材が300μmを超えると剛性が高くなりすぎ、また屈曲性が悪くなり回転体として使用するには現実的ではない。より好ましくは20μmから100μmが理想である。
(3-2)内面摺動層25
内面摺動層25としては、ポリイミド樹脂のような高耐久性、高耐熱性を持つ樹脂が適している。本実施例では、芳香族テトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体と、芳香族ジアミンとの略等モルを有機極性溶媒中で反応させて得られるポリイミド前駆体溶液を、基材21の内面に塗工する。そして、乾燥、加熱し、脱水閉環反応により形成したポリイミド樹脂層を形成して内面摺動層25とした。
(3-3)弾性層22
基材21の外周には弾性層22が設けられている。弾性層の材料としては、公知の弾性材料を使用することができ、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。弾性層の厚さは、画像を印刷する場合に記録材の凹凸或いはトナー層の凹凸に加熱面が追従できないことによる光沢ムラを予防するために、100μm以上が好ましい。弾性層の厚さが100μm未満では、弾性部材としての機能が発揮されず、定着時の圧力分布が不均一となることによって、特にフルカラー画像定着時に二次色の未定着トナーを十分に加熱定着することができずに定着画像のグロスにおいてムラを生じる。また、溶融不十分なことによってトナーの混色性が悪化し、高精細なフルカラー画像が得られず好ましくない。本実施例においては、シリコーンゴムを用い、硬度はJIS-A6度、熱伝導率は0.8W/mK、厚みは450μmである。
(3-4)弾性層の製造方法
弾性層の塗工方法を図4を用いて説明する。
図4は基材21上に弾性層のシリコーンゴム層を形成する工程の一例であり、所謂リングコート法を用いる方法を説明するための模式図である。
本実施例では、付加硬化型シリコーンゴムとフィラーとが配合された付加硬化型シリコーンゴム組成物をシリンダポンプ41充填し、圧送することで塗布液供給ノズル42から基材21の周面に塗布する。基材21の周面には予め公知の方法でプライマー処理が施されている。塗布と同時に基材21を図面右方向に一定速度で移動させることで、付加硬化型シリコーンゴム組成物の塗膜を基材21の周面に形成することが出来る。塗膜の厚みは、塗布液供給ノズル42と基材21とのクリアランス、シリコーンゴム組成物の供給速度、シリコーンゴム組成物の粘度、基材21の移動速度、などによって制御することが出来る。基材21上に形成された付加硬化型シリコーンゴム層は、電気炉などの加熱手段によって一定時間加熱して、架橋反応を進行させることにより、硬化シリコーンゴム層とすることができる。本実施例においては、電気炉で200℃、30分加熱した。
(3-5)接着剤層23
弾性層22であるところの硬化シリコーンゴム層上にフッ素チューブを固定する接着剤層23は、弾性層22の表面に1~10μmの厚みで均一に塗布した付加硬化型シリコーンゴム接着剤の硬化物からなっている。そして、付加硬化型シリコーンゴム接着剤は、自己接着成分が配合された付加硬化型シリコーンゴムを含む。具体的には、付加硬化型シリコーンゴム接着剤は、ビニル基に代表される不飽和炭化水素基を有するオルガノポリシロキサンと、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン及び架橋触媒としての白金化合物を含有する。そして、付加反応により硬化する。このような接着剤としては、既知のものを使用することができる。本実施例においては、接着剤層を約5μmの厚みで均一に塗布した。
(3-6)フッ素樹脂チューブ24
定着部材の表層としては、成形性やトナー離型性の観点から押し出し成形によるフッ素樹脂チューブ24が使用される。
フッ素樹脂としては、耐熱性に優れたテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適に用いられる(クレーム3の「PFAチューブ」に対応する構成)。PFAチューブは、押し出し成形により成形するものを用いる。
原料となるPFAの共重合の形式は特に限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などが挙げられる。また、原料となるPFAにおけるテトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)の含有モル比は特に限定されるものではない。例えば、TFE/PAVEの含有モル比が、94/6~99/1のものを好適に用いることができる。この他、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂を1種あるいは複数種組み合わせて用いることもできる。
本実施例においては、押し出し成形で得られたPFAチューブを使用した。本実施例で使用したチューブ厚み範囲は20~40μmである。チューブ内径は、弾性層22の外径よりも小さく、48~52mmのものを使用した。チューブ内面は、接着性を向上させるためアンモニア処理が施されている。
(3-7)フッ素樹脂チューブ被覆方法
PFAチューブ24を外側から拡張し、被覆する方法(拡張被覆法)を用いた。拡張被覆法について図5を用いて説明する。
(a)チューブ挿入
弾性層22としてシリコーンゴム層の積層された基材W(図5の(b))の外径より大きな内径を有する金属製チューブ拡張型Kの内側にPFAチューブ24を配置(挿入)する。
(b)両端部保持
拡張型Kに配置したPFAチューブ24の両端を第1の保持具Fuと、第2の保持具Flを用いて保持する。第1の保持具Fuと、第2の保持具FlについてはPFAチューブが径方向に拡張される際に第1の保持具と第2の保持具の間を長手方向に縮む方向に移動しやすくできるように設計されており(3-8-1)で後述する。
(c)真空拡張
PFAチューブ24の外表面と拡張型Kの内面の隙間部分を真空状態(大気圧に対して負圧)にする。真空(5kPa)になったことでPFAチューブ24が拡張してPFAチューブ24の外表面が拡張型Kの内面に密着する。
(d)基材Wを挿入
中子Nに基材W(25+21+26+22+23)をセット(外嵌)して、内側にPFAチューブ24が拡張されている拡張型Kの中に挿入する。基材Wのシリコーンゴム層22の表面には予め付加硬化型シリコーンゴム接着剤23が均一に塗布されている。
拡張型Kの内径はこの基材Wの挿入がスムーズに行われる範囲であれば特に限定するものではない。
(e)真空破壊
拡張型Kに対する基材Wの配置後、PFAチューブ24の外表面と拡張型Kの内面の隙間部分の真空状態(大気圧に対して負圧)を破壊(大気圧に対して負圧を解除)する。真空が破壊されることで、PFAチューブ24は、シリコーンゴム層22の積層された基材Wの外径と同じ大きさまで拡径が解かれ(フッ素樹脂チューブの拡張を緩める緩め工程)、PFAチューブ24とシリコーンゴム層表面は密着した状態になる。
(f)延伸工程
次に、PFAチューブ24を所定の伸張率まで伸張する(フッ素樹脂チューブの長手方向への伸張工程)。
PFAチューブ24が伸張される際、PFAチューブ24とシリコーンゴム層22の間にある付加硬化型シリコーンゴム接着剤23が潤滑剤の役目を果たし、スムーズに伸張することができる。
本実施例の長手方向の伸張率は7%であった(円筒状弾性層に被せたフッ素樹脂チューブの全長を基準)。PFAチューブ24を長手方向に伸張することで、PFAチューブ24に皺が発生しにくくなり、高耐久な定着ベルトになる。
(g)カシメ工程
PFAチューブ24の長手方向の伸張率を維持するために、弾性層22とPFAチューブ24の両端部(後の工程で切断される部分)をヒーターを内蔵したカシメビットなどでカシメる工程である。
(h)扱き工程
弾性層22とPFAチューブ24の間には、接着に寄与しない余剰な付加硬化型シリコーンゴム接着剤23と、チューブ被覆時に巻き込んでしまった空気が存在する。この余剰な接着剤と空気を扱き出す工程である。
PFAチューブ24が被覆されている基材Wを拡張型Kから取り出す。この基材Wの外径より僅かに大きい内径をもつリング状部材Rを基材Wに外嵌する。そして、このリング状部材Rを、PFAチューブ24が被覆されている基材Wの上端部よりPFAチューブ24の表面へエアー(エアー圧0.5MPa)をPFAチューブ24の周方向と垂直の方向に噴出させながらPFAチューブ24の長手方向へ移動させる。
これにより、弾性層22とPFAチューブ24の間にある接着に寄与しない余剰な付加硬化型シリコーンゴム接着剤23と、チューブ被覆時に巻き込んでしまった空気を扱き出す(塗布した接着剤を扱く工程)。
扱き方法としては、エアー圧を利用した方法の他にも、液体や半固体を噴出させてもよい。また、PFAチューブ24が被覆されている基材Wの外径より小さな径をもつ伸縮するリングを用いて扱いてもよい。
(i)加熱処理
扱き工程後、加熱処理(電気炉で150℃、20分加熱)を行うことで、付加硬化型シリコーンゴム接着剤23の全体を硬化させる。これにより、PFAチューブ24と弾性層22を全域にわたって固定させる(接着剤を硬化させる工程)。
(j)切断、研磨
加熱処理後、自然冷却をしたのち、基材W(25+21+26+22+23+24)の両端側を所定の長さで切断してから研磨し、定着ベルト20を完成させた。
(3-8-1)本実施例1における第1の保持具と第2の保持具の構成
PFAチューブ24を径方向に拡張すると、長手方向は縮むことが確認されている。長手方向を固定した状態で径方向を拡張すると、PFAチューブ24は長手方向に縮まる方向の力と径方向に拡張する力がかかるため、チューブが塑性変形を起こしやすくなる。よって、本実施例ではPFAチューブ24を径方向に拡張する際に、第1の保持具Fuと第2の保持具Flの間をPFAチューブが長手方向に縮む方向に移動(滑ることが)できるようにして塑性変形を起こしにくくしている。
第1の保持部材Fuと、第2の保持部材Flは、PFAチューブが拡径される際にPFAチューブが保持部材の間を移動(滑ることが)できるようにPFAチューブに対する第1および第2の保持部材の最大静止摩擦力がPFAチューブの収縮力Fより小さくなるように設計されている。すなわち、PFAチューブが、径方向に拡張される際の長手方向の収縮力Fが、
第1の保持具Fuと前記PFAチューブ内面間の最大静止摩擦力F
第1の保持具Fuと前記PFAチューブ外面間の最大静止摩擦力F’、
第2の保持具Flと前記PFAチューブ内面間の最大静止摩擦力F
第2の保持具Flと前記PFAチューブ外面間の最大静止摩擦力F’、
のいずれよりも大きくなるようになっている。
このような関係になるためにはフッ素樹脂チューブと当接する保持部材の表面エネルギーを小さくする必要がある。そのためには、材質をフッ素系樹脂にしたり、部材の表面にフッ素系コーティングを施したりすることなどがあげられる。
最大静止摩擦力については、JIS K7125の方法で測定することができ、切り開いたPFAチューブの試験片と、保持具の材質と同質の板状の試験片を用意し、片方の試験片をもう片方の試験片の上で滑らせ、その時の力をロードセルで検出する。なお、試験片が動き始めるときの衝撃を吸収するため、ロードセルと試験片の間にはスプリングが設置されている。力は直線的に増加して摩擦を与え、最大荷重に達する。このピークが最大静止摩擦力を表す。この方法により、
第1の保持具Fuと前記PFAチューブ内面間の最大静止摩擦力F
第1の保持具Fuと前記PFAチューブ外面間の最大静止摩擦力F’、
第2の保持具Flと前記PFAチューブ内面間の最大静止摩擦力F
第2の保持具Flと前記PFAチューブ外面間の最大静止摩擦力F’、
のそれぞれを求めることができる。
なお、第1の保持具、もしくは第2の保持具がPFAチューブと当接する部分の材質がPFAチューブの内面と外面で異なる場合は、それぞれの保持具の材質での板状試験片を用意する必要がある。
本実施例1においては第1の保持部材、第2の保持部材として表面をフッ素コーティングしたSUSを用いた。この時のF、Fが1.0~1.2N、F’、F’が0.5~0.8Nであった。
次に、PFAチューブが径方向に拡張される際の長手方向の収縮力Fの算出について、図6を用いて説明する。
まず、PFAチューブを切り開き、PFAの長手方向の上端と下端を固定し、少なくともどちらか一方にフォースゲージ70を設置する。その後、PFAの長手方向を固定しながら延伸できる延伸治具71に装着し、径方向に延伸する。PFAチューブの上端と下端は固定されているため、PFAチューブには長手方向に収縮する力が発生し、それをフォースゲージのピーク値で読み取り収縮力Fを求めることができる。本実施例で用いたPFAチューブ(初期径48~52mm、厚み20~40μm)でのPFAチューブの収縮力Fは2.3~4.8Nであり、Fが、F、F’、F、F’よりも大きくなっているため、PFAチューブが拡径される際にPFAチューブが第1の保持部材Fuと、第2の保持部材Flの間を移動(滑ることが)できるようになっている。
PFAチューブ24を長手方向に伸張させる前には、PFAチューブ24外表面と拡張型K内面の隙間部分の真空状態(大気圧に対して負圧)を破壊し、PFAチューブ24の径方向の拡張を最小限する工程を設けている。PFAチューブ24を長手方向に伸張すると、径方向は縮むことが確認されている。径方向を必要以上に拡張した状態で長手方向を伸張すると、PFAチューブ24は径方向に縮む力と長手方向に伸張する力がかかるため、チューブが塑性変形を起こしやすくなる。よって、PFAチューブ24を長手方向に伸張する時は、予めPFAチューブ24の径方向の拡張を最小限することで塑性変形を起こしにくくしている。
真空状態を破壊し、径方向に拡張していない状態のため、PFAチューブには収縮力はかからず、保持具の間を滑りにくくなりPFAチューブを長手方向に伸張することができる。それでも、伸張する際に若干滑る場合には第1の保持具と第2の保持具以外に別途設けた保持具で伸張してもよい。
(3-8-2)本実施例2における第1の保持具と第2の保持具の構成
PFAチューブが径方向に拡張される際に第1の保持具と第2の保持具の間を長手方向に縮む方向に移動しやすくするために、第1の保持具と第2の保持具を円筒状もしくは円柱状回転体対(コロ)にすることも好適である(図7の80)。この場合、PFAチューブが回転体対の間を移動することでPFAチューブの負荷を軽減し、塑性変形を起こしにくくすることができる。本実施例では第1の保持具と第2の保持具にφ7の回転体対を5個並べた構成とした以外は実施例1と同構成で定着ベルト20を作成した。
(3-9-1)比較例1のフッ素樹脂チューブ被覆方法
比較例1として、従来から知られる真空拡張法でフッ素樹脂チューブを被覆し、定着ベルトを作成した。比較例1の方法を図8で説明する。
(a’)チューブ挿入
本実施例の(a)と同等工程である。
(b’)両端部保持
拡張型Kに配置したPFAチューブ24の両端を保持部材FuとFlを用いて保持する。ただし、拡径時にPFAチューブが保持部材の間を移動することができないようになっている。
(c’)真空拡張
本実施例の(c)と同等工程である。
(d’)基材Wを挿入
本実施例の(d)と同等工程である。
(e’)延伸工程
シリコーンゴム層の積層された基材Wが拡張したPFAチューブ24内に配置後、PFAチューブ24を所定の伸張率まで伸張する。
(f’)真空破壊
PFAチューブ24外表面と拡張型K内面の隙間部分の真空状態(大気圧に対して負圧)を破壊する。真空が破壊されることで、PFAチューブ24は、シリコーンゴム層の積層された基材Wの外径と同じ大きさまで拡径が解かれ、PFAチューブ24とシリコーンゴム層表面は密着された状態にする。
(g’)カシメ工程
本実施例の(g)と同等工程である。
(h’)扱き工程
本実施例の(h)と同等工程である。
(i’)加熱処理
本実施例の(i)と同等工程である。
(j’)切断、研磨
本実施例の(j)と同等工程である。
比較例1の長手方向の伸張率は本実施例と同じ7%であった(円筒状弾性層に被せたフッ素樹脂チューブの全長を基準)。
(3-9-2)比較例2のフッ素樹脂チューブ被覆方法
比較例2として、特許文献3の拡張被覆法でPFAチューブを被覆し、定着ベルトを作成した。すなわち、フッ素樹脂チューブの両端をそれぞれ保持した保持具間の距離を所定距離狭めた後、前記フッ素樹脂チューブを径方向へ拡張させることで拡径時のPFAチューブへのダメージを軽減する方法である。比較例2のフッ素樹脂チューブ被覆法を図9を用いて説明する。
(a’’)チューブ挿入
本実施例の(a)と同等工程である。
(b’’)両端部保持
拡張型Kに配置したPFAチューブ24の両端を保持部材FuとFlを用いて保持する。ただし、拡径時にPFAチューブが保持部材の間を移動することができないようになっている。
(c’’)縮め
次に、PFAチューブ24について詳しくは後述するが事前に求めた所定の長さ分だけ長手方向を縮める(フッ素樹脂チューブの全長より短くなるように長手方向に縮める縮め工程)。
(d’’)真空拡張
本実施例の(c)と同等工程である。
(e’’)基材Wを挿入
本実施例の(d)と同等工程である。
(f’’)真空破壊
本実施例の(e)と同等工程である。
(g’’)延伸工程
本実施例の(f)と同等工程である。
(h’’)カシメ工程
本実施例の(g)と同等工程である。
(i’’)扱き工程
本実施例の(h)と同等工程である。
(j’’)加熱処理
本実施例の(i)と同等工程である。
(k’’)切断、研磨
本実施例の(j)と同等工程である。
比較例2の長手方向の伸張率は、本実施例と同じ7%であった(円筒状弾性層に被せたフッ素樹脂チューブの全長を基準)。自然冷却後、両側を切断してから研磨し、定着ベルト20を完成させた。
(4)定着ベルト20外観検査結果
次に、比較例と本実施例におけるPFAチューブ拡張時の伸びや裂けの発生や周スジの発生についての実験を行った。PFAチューブ伸び・裂けに関しては、完成後の定着ベルトを目視で確認し、伸び・裂けが発生している場合を×、発生していない場合を○として評価した。また比較例2については真空拡張前にPFAチューブを所定の長さ分だけ長手方向を縮めるため、その際にPFAチューブが座屈することによって、完成後の定着ベルトのPFAチューブに折れ跡やスジが残ることがある。そのため、折れ跡やスジに関しても完成後の定着ベルトを目視で確認し、折れ跡やスジが発生している場合を×、発生していない場合を○として評価した。
本評価においては、PFAチューブとして厚みを20、30、40μm、初期径を48、50、52mmの9水準におけるチューブの伸び裂けの確認を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0007163220000001
比較例1では、全体的な傾向として、PFAチューブが薄く、初期径が小さいほど、拡径時の伸び・裂けが発生している。
比較例2では、比較例1と比較すると拡径時の伸び・裂けの発生が抑えられていることがわかる。しかしながら、真空拡張前にPFAチューブを所定の長さ分だけ長手方向を縮める影響によって、座屈による折れ跡やスジが発生する場合があり、特に厚みが薄いものに関してその傾向が見られた。
それに対し、実施例1、2においては、いずれの条件においてもPFAチューブ伸び・裂け、および、座屈による折れ跡やスジが発生しなかった。
上記の結果から本実施例は、比較例よりも不良率を低くできることが分かった。
(5)通紙耐久試験結果
本実施例、および比較例のフッ素樹脂チューブ被覆方法で作成した定着ベルト20の良品をキヤノン製フルカラーコピー機である『imagePRESS C850』の定着装置に組み込み、加圧力75kgf、定着ニップ16mm×230mm、定着温度190℃、プロセススピード348mm/secに設定して、70万枚通紙耐久試験を行った。なお、定着ベルト20に用いたPFAチューブ24の径は48mm、厚みは40μmである。
耐久試験においては、上質紙カラーレーザーコピア用紙80g/m(キヤノン製)A4紙を短手方向に搬送で連続通紙(80枚/分)し、10万枚ごとにコート紙OKトップコート128g/m(王子製紙製)の13×19インチ紙に、シアンのハーフトーン均一画像を形成した。この画像上に、傷やスジ、グロスムラ等の画像不良が存在するかを確認した。画像不良がない場合は○、画像不良を確認した場合は×、画像不良を確認できるが実用上問題ないレベルの場合は△とした。試験結果を表2に示す。
Figure 0007163220000002
比較例1、比較例2に関しては耐久枚数が多くなると、実用上問題ないレベルであったが若干のグロスムラが発生した。それに対し、実施例1、2は70万枚でもグロスムラは見られなかった。
上記の結果から本実施例のフッ素樹脂チューブ被覆方法で作成した定着ベルト20は良好な耐久性をもっていることが分かった。
1 画像形成装置、2 感光体ドラム、3 帯電器、
4 レーザースキャナ(光学装置)、5 レーザー走査露光、6 現像器、
7 転写ローラ、8 クリーニング装置、9 給紙カセット、
10 給紙ローラ、10a 搬送路、10b 搬送路、11 レジストローラ対、
12 排出ローラ対、13 排出トレイ、20 定着部材(定着ベルト)、
21 基材、22 弾性層、23 接着剤層、24 表層、25 内面摺動層、
26 表層(フッ素樹脂チューブ)、30 加圧ベルト、41 シリンダポンプ、
42 塗布液供給ノズル、51 ローラ、52 定着ローラ、53 定着パッド、
54 テンションローラ、55 加圧側ローラ、56 加圧パッド、
57 誘導加熱部材、57a 誘導コイル、57b 励磁コア、
57c コイルホルダー、58、59 摺動シート、60 定着ニップ、
61 分離部材、62 温度検知素子、63 制御回路部、64 励磁回路、
70 フォースゲージ、71 延伸治具、80 円筒状もしくは円柱状回転体対、
t 未定着トナー、S 記録媒体、M モータ、A 定着装置、Fu 保持部材、
Fl 保持部材、N 中子、K 拡張型

Claims (8)

  1. 円筒状弾性層と、
    前記円筒状弾性層の周面を被覆しているフッ素樹脂チューブと、を有する
    定着部材または加圧部材の製造方法であって、
    前記円筒状弾性層にフッ素樹脂チューブを被覆する工程で、
    フッ素樹脂チューブの長手方向一端を第1の保持具により保持する工程と、
    前記フッ素樹脂チューブの長手方向他端を第2の保持具により保持する工程と、前記第一の保持具と第二の保持具で保持された前記フッ素樹脂チューブを径方向へ拡張させる工程と、
    接着剤が塗工された弾性材に対し径方向へ拡張された前記フッ素樹脂チューブを外挿する工程と、を有し、
    前記フッ素樹脂チューブが径方向に拡張される際に第1の保持具と第2の保持具の間を長手方向に縮む方向にフッ素樹脂チューブが移動すること
    を特徴する定着部材または加圧部材の製造方法。
  2. 前記フッ素樹脂チューブが、径方向に拡張される際の長手方向の収縮力Fが、前記第1の保持具と前記フッ素樹脂チューブ内面間の最大静止摩擦力F
    前記第1の保持具と前記フッ素樹脂チューブ外面間の最大静止摩擦力F’、
    前記第2の保持具と前記フッ素樹脂チューブ内面間の最大静止摩擦力F
    前記第2の保持具と前記フッ素樹脂チューブ外面間の最大静止摩擦力F’、
    のいずれよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
  3. 前記第1の保持具と第2の保持具が円筒状もしくは円柱状の回転体対を有しており、前記回転体対の間で前記フッ素樹脂チューブを保持し、拡径時に前記フッ素樹脂チューブが前記回転体対の間を移動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
  4. 前記フッ素樹脂チューブが前記弾性材に外挿された後、前記フッ素樹脂チューブの径方向への拡張を解く工程を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
  5. 前記フッ素樹脂チューブの拡張が解かれた後、前記フッ素樹脂チューブをそれぞれ保持した前記第1の保持具と前記第2の保持具との間の距離を所定距離広げる工程を更に有することを特徴とする請求項4に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
  6. 前記接着剤が塗工された前記弾性材に前記フッ素樹脂チューブが外挿された後、前記フッ素樹脂チューブの長手方向両端部を局所的に加熱し、前記フッ素樹脂チューブの長手方向両端部を前記弾性材に固定させる工程を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
  7. 前記フッ素樹脂チューブの長手方向両端部が前記弾性材に固定された後、前記弾性材と前記フッ素樹脂チューブとの間にある前記接着剤を扱き出す工程を更に有することを特徴とする請求項6に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
  8. 前記接着剤が扱き出された後、前記弾性材に固定された前記フッ素樹脂チューブを加熱する工程を更に有することを特徴とする請求項7に記載の定着部材または加圧部材の製造方法。
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