JP7121081B2 - スパークプラグ - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に用いられるスパークプラグに関する。
自動車用エンジンなどの内燃機関の着火手段として、スパークプラグが用いられている。スパークプラグには、火花放電を発生させるための構成として、中心電極と接地電極とが設けられている。中心電極と接地電極との対向面には、スパークプラグの着火性を向上させるために、例えば、貴金属材料などで形成された電極チップがそれぞれ設けられている。
スパークプラグの中には、貴金属の使用量を低減させることなどを目的として、中心電極および接地電極の構造を工夫しているものがある。例えば、特許文献1には、中心電極および接地電極のうちの少なくとも一方の電極において、電極母材上に中間部材を介して貴金属チップを取り付けたスパークプラグが開示されている。
国際公開WO2017/077688号公報
特許文献1に開示されたスパークプラグの接地電極は、接地電極母材31と、貴金属チップ351と、中間部材353と、第1溶融部352とを備えている。第1溶融部352は、レーザ溶接によって、貴金属チップ351と中間部材353との間に形成されている。第1溶融部352は、貴金属チップ351の成分と中間部材353の成分とが溶融凝固した部分である。また、接地電極母材31と中間部材353との間において、少なくとも貴金属チップ351の軸線と交差する位置には、第2溶融部354が形成されている。第2溶融部354は、抵抗溶接によって、接地電極母材31の成分と中間部材353の成分とが溶融凝固した部分である。
このように、中間部材を挟んで、貴金属チップを接地電極母材に固定することによって、比較的高価な材料で形成される貴金属チップの使用量を低減させながら、貴金属チップの接合強度を向上させることができる。しかし、接地電極母材と中間部材との接合強度を向上させるためには、接地電極の構造にさらなる改良を行う余地がある。
そこで、本発明では、スパークプラグにおいて、接地電極母材と中間部材との接合強度をより向上させることのできる溶融部の構造を提供することを目的とする。
本発明の一局面にかかるスパークプラグは、中心電極と、接地電極とを備えている。このスパークプラグにおいて、前記接地電極は、前記中心電極の先端部と対向する対向面を有する電極チップと、前記電極チップを支持する電極母材と、前記電極チップと前記電極母材との間に配置されている中間部材と、前記電極母材および前記中間部材の成分を含み、前記電極母材と前記中間部材との境界の少なくとも一部に配置されている溶融部とを有している。そして、前記溶融部のうち前記対向面よりも径方向内側に形成されている部分は、前記接地電極の軸線を含む断面を観察したときに、前記中間部材と前記溶融部との境界線は、前記電極チップ側に突出する第1凸部を少なくとも2つ有し、前記電極母材と前記溶融部との境界線は、前記第1凸部とは反対側に突出する第2凸部を少なくとも2つ有している。
上記の構成によれば、接地電極の軸線を含む一断面において、中間部材と溶融部との境界線が、電極チップ側に突出する少なくとも2つの第1凸部を有していることで、溶融部と中間部材との境界における溶融部の表面積を大きくすることができる。また、接地電極の当該断面において、電極母材と溶融部との境界線が、第1凸部とは反対側に突出する少なくとも2つの第2凸部を有していることで、溶融部と電極母材との境界における溶融部の表面積を大きくすることができる。これにより、溶融部を介して接合される電極母材と中間部材との接合強度を向上させることができる。
上記の本発明の一局面にかかるスパークプラグにおいて、前記中間部材は、前記電極チップ側に位置する本体部と、前記電極母材側に位置し、前記本体部よりも前記径の大きな鍔部とを有しており、前記接地電極の軸線を含む断面を観察したときに、少なくとも一つの前記第1凸部の高さは、前記鍔部の高さよりも高くなっていてもよい。
上記の構成によれば、電極チップの径方向に中間部材がずれにくい接地電極を得ることができる。これにより、溶融部を介して接合される電極母材と中間部材との接合強度をさらに向上させることができる。
以上のように、本発明の一局面にかかるスパークプラグによれば、接地電極母材と中間部材との接合強度をより向上させることができる。
一実施形態にかかるスパークプラグの外観を示す側面図である。 第1の実施形態にかかるスパークプラグの接地電極の内部構成を示す断面模式図である。 (a)および(b)は、接地電極の凸部の製造工程を順に示す模式図である。 (a)は、溶接前の中間部材の端面に形成されている突起部の一例を示す断面模式図である。(b)は、溶接前の中間部材の端面に形成されている突起部の一例を示す平面模式図である。 第2の実施形態にかかるスパークプラグの接地電極の内部構成を示す断面模式図である。 第3の実施形態にかかるスパークプラグの接地電極の内部構成を示す断面模式図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
〔第1の実施形態〕
本実施形態では、スパークプラグ1を例に挙げて説明する。
(スパークプラグの全体構成)
先ず、スパークプラグ1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。スパークプラグ1は、絶縁体50および主体金具30を備えている。図1では、紙面下側をスパークプラグ1の先端側とし、紙面上側をスパークプラグ1の後端側とする。また、図1では、スパークプラグ1の軸線をO’で示す。以下では、この軸線O’と平行な方向を軸線方向と呼び、軸線O’と垂直な平面上に位置し、軸線O’を中心とする円の径方向を、単に径方向と呼び、当該円の周方向を、単に周方向と呼ぶ。
絶縁体50は、スパークプラグ1の長手方向に延びる略円筒形状の部材である。絶縁体50は、絶縁性、耐熱性、および熱伝導性に優れた材料で形成されている。例えば、絶縁体50は、アルミナ系セラミックなどで形成されている。絶縁体50の一方の端部(先端部)51には、中心電極21が設けられている。また、絶縁体の他方の端部(後端部)には、端子金具52が取り付けられている。
中心電極21は、その先端部(電極先端部22)が絶縁体50の先端部51から突出した状態で、絶縁体50の軸孔に保持されている。中心電極21は略円柱形状を有しており、その先端部分は、電極先端部22へ向かってテーパ状に縮径している。電極先端部22は、中心電極21の先端に設けられており、縮径された中心電極21の先端部分と同径の略円柱形状を有している。電極先端部22は、軸線O’と概ね一致するように配置されている。
中心電極21は、例えば、Ni(ニッケル)を主成分として含むNi基合金等の金属材料を母材として形成される。Ni基合金に添加される合金元素としては、Al(アルミニウム)等が挙げられる。中心電極21は、その内部に、熱伝導性に優れた金属、例えば、Cu(銅)又はCu合金等の金属材料等からなる芯材を有していてもよい。
電極先端部22は、例えば、円柱状に成形された貴金属チップにて構成することができ、溶接等により中心電極21の先端に接合される。貴金属チップは、例えば、Pt、Rh、Ir、およびRuから選ばれる1種の貴金属を50wt%以上の含有割合で含む。
主体金具30は、内燃機関のネジ穴に固定される筒状の部材である。本実施形態では、主体金具30は略円筒形状を有しており、絶縁体50を部分的に覆うように設けられている。主体金具30は、導電性を有する金属材料で形成されている。このような金属材料としては、低炭素鋼、または鉄を主成分とする金属材料などが挙げられる。主体金具30は、主に、加締め部31、工具係合部32、湾曲部33、座部34、および胴部36などを有している。
加締め部31は、主体金具30の後端側において絶縁体50側に屈曲する部位である。工具係合部32は、加締め部31の先端側に接続され内燃機関(シリンダヘッド)のネジ穴に主体金具30を取り付けるときに使用されるレンチなどの工具を係合させる部位である。座部34は、工具係合部32より先端側に位置し、主体金具30の径方向外側に張り出している。
湾曲部33は、工具係合部32と座部34とを接続する薄肉の部位である。胴部36は、座部34の先端側に位置し、外周にネジ部が形成されている。座部34と胴部36のネジ部との間には、環状のガスケットが配置される。スパークプラグ1が内燃機関に取り付けられる際には、胴部36の外周に形成されたネジ溝(図示せず)が内燃機関のネジ穴に螺合される。このとき、座部34とシリンダヘッドとで環状のガスケットが挟まれることにより、ネジ穴における気密性が確保される。
また、主体金具30には、接地電極11が接合されている。接地電極11は、主として、電極母材11aと、凸部11bとを有している。電極母材11aは、略L字形に屈曲した棒状の形状をなす。電極母材11aの基端部は、主体金具30の胴部36の先端面に接合されている。電極母材11aの先端部は、中心電極21の電極先端部22に対向する。
電極母材11aは、例えば、Ni(ニッケル)を主成分として含むNi基合金等の金属材料で形成されている。Ni基合金に添加される合金元素としては、Mn(マンガン)、Cr(クロム)、Al(アルミニウム)、Fe(鉄)等が挙げられる。接地電極11は、その内部に、熱伝導性に優れた金属、例えば、Cu(銅)又はCu合金等の金属材料等からなる芯材を有していてもよい。
電極母材11aに用いられる金属材料として具体的には、インコネル(登録商標)、JIS G 4901に規格されるNCF材などを挙げることができる。これらの金属材料は、耐酸化消耗性を有している。
凸部11bは、電極母材11aの先端側に配置されている。凸部11bは、中心電極21の電極先端部22側に向かって突出するように設けられている。凸部11bの先端は、中心電極21の電極先端部22に対向する対向面(具体的には、頂面12a)となっている。凸部11bは、軸線O’に概ね一致するように電極先端部22側に向かって突出している。
凸部11bは、中心電極21の電極先端部22と同様に、貴金属を含む電極チップ(具体的には、電極チップ12)などで構成されている。
(接地電極の凸部の構成)
続いて、接地電極11の凸部11b周辺の構成について説明する。図2には、接地電極11の凸部11bの断面構成を示す。図2は、略円柱形状の凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面の構成を示す図である。なお、凸部11bの軸線Oは、スパークプラグ1の軸線O’と略一致するような位置関係となっている。
接地電極11の凸部11bは、電極母材11a上に形成されている。電極母材11aは、電極チップ12などで形成されている凸部11bを支持している。
凸部11bは、主として、電極チップ12、中間部材13、第1溶融部41、および第2溶融部45で形成されている。
電極チップ12は、例えば、円柱状に成形された貴金属のチップにて構成することができる。電極チップ12は、凸部11bの先端部を形成しており、中心電極21の電極先端部22と対向する頂面12a(対向面)を有している。なお、電極チップ12の径方向の長さを径Rとする(図2参照)。電極チップ12は、中心電極21の電極先端部22と同様に、例えば、Pt、Rh、Ir、およびRuから選ばれる1種の貴金属を50wt%以上の含有割合で含む。
中間部材13は、電極チップ12と電極母材11aとの間に配置されている。本実施形態では、中間部材13は、中心電極21と対向する側の電極母材11aの表面11s上に配置されている。中間部材13は、例えば、Ni(ニッケル)を主成分として含むNi基合金等の金属材料で形成されている。Ni基合金に添加される合金元素としては、Mn(マンガン)、Cr(クロム)、Al(アルミニウム)、Si(ケイ素)等が挙げられる。中間部材13は、接地電極11の電極母材11aと同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。
中間部材13は、主として、本体部13bと、鍔部13aとを有している。本体部13bは、電極チップ12側に位置しており、略円柱形状を有している。鍔部13aは、電極母材11a側に位置しており、本体部13bの径を径方向に拡張するように設けられている。なお、鍔部13aにおいて、電極母材11aの表面11sから、鍔部13aと本体部13bとの境界部までの軸線方向の長さを、鍔部13aの高さHとする(図2参照)。
電極チップ12および中間部材13は、後述するように、溶接(例えば、レーザ溶接、抵抗溶接等)によって、接地電極11の電極母材11aに接合される。この溶接による接合工程によって、電極母材11aと中間部材13との境界には、第1溶融部(溶融部)41が形成され、電極チップ12と中間部材13との境界には、第2溶融部45が形成される。
第1溶融部41は、電極母材11aと中間部材13との境界の少なくとも一部に配置されている。第1溶融部41は、電極母材の成分および中間部材13の成分を含んでいる。すなわち、第1溶融部41は、電極母材11aに含まれる金属材料と、中間部材13に含まれる金属材料との合金で形成されているということもできる。第1溶融部41は、例えば、抵抗溶接によって形成される。
第1溶融部41は、電極チップ12の頂面12aの径Rよりも径方向内側の領域に形成されている。第1溶融部41の形状および大きさは、後述するように、溶接前の中間部材13に形成されている突起部13c(図3(a)参照)の形状やサイズ、および、抵抗溶接の条件を適宜変更することで変更することができる。
図2には、接地電極11の凸部11bの内部構成を示す。図2は、接地電極11の凸部11bの軸線Oを含む断面の状態を模式的に示す図である。このような断面の状態は、例えば、光学顕微鏡、電子顕微鏡などを用いて観察することができる。
凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面では、第1溶融部41は、中間部材13との境界において、電極チップ12側に突出する2つの第1凸部42aおよび42bと、これら2つの第1凸部42aおよび42bの間に位置する第1凹部42cとを有している。第1凸部42aおよび第1凸部42bは、軸線Oを中心とする円の周に沿って周方向に連続した形状となっている。また、第1凹部42cは、軸線Oを含む領域に設けられている。
また、凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面では、第1溶融部41は、電極母材11aとの境界において、電極母材11a側(すなわち、第1凸部42aおよび42bとは反対側)に突出する2つの第2凸部43aおよび43bと、これら2つの第2凸部43aおよび43bの間に位置する第2凹部43cとを有している。第2凸部43aおよび第2凸部43bは、軸線Oを中心とする円の周に沿って周方向に連続した形状となっている。また、第2凹部43cは、軸線Oを含む領域に設けられている。
凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面において、第1溶融部41が、電極チップ12側に突出する第1凸部42aおよび42bと、その間に設けられた第1凹部42cとを有していることで、第1溶融部41と中間部材13との境界における第1溶融部41の表面積を大きくすることができる。また、凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面において、第1溶融部41が、電極母材11a側に突出する第2凸部43aおよび43bと、その間に設けられた第2凹部43cとを有していることで、第1溶融部41と電極母材11aとの境界における第1溶融部41の表面積を大きくすることができる。
これにより、第1溶融部41を介して接合される電極母材11aと中間部材13との接合強度を向上させることができる。また、第1溶融部41が、電極チップ12の頂面12aの径Rよりも径方向内側の領域に形成されていることで、電極母材11aと中間部材13との接合強度をより向上させることができる。
また、本実施形態では、電極チップ12側に突出する2つの第1凸部42aおよび42bのうち少なくとも一方の凸部(図2では、第1凸部42a)の高さが、鍔部13aの高さHよりも大きくなっている。ここで、第1凸部42aの高さとは、図2において矢印で示すように、電極母材11aの表面11sの仮想延長面(図2中破線で示す)から第1凸部42aの頂点部分までの軸線方向の長さのことをいう。
第1凸部42aの高さが鍔部13aの高さよりも大きくなっていることで、接地電極11の凸部11bに対して径方向の力が加えられたときに、径方向に中間部材13がずれにくい構造とすることができる。
第2溶融部45は、電極チップ12と中間部材13との境界の少なくとも一部に配置されている。本実施形態では、第2溶融部45は、電極チップ12と中間部材13との境界の全領域に形成されている。すなわち、第2溶融部45は、電極チップ12と中間部材13との間に設けられている。第2溶融部45は、電極チップ12の成分および中間部材13の成分を含んでいる。すなわち、第2溶融部45は、電極チップ12に含まれる金属材料と、中間部材13に含まれる金属材料との合金で形成されているということもできる。第2溶融部45は、例えば、レーザ溶接によって形成される。
なお、図2では図示していないが、電極母材11aと中間部材13との境界には、第1溶融部41とは別の溶融部が、電極チップ12の頂面12aの径Rよりも径方向外側の位置に形成されていてもよい。
(接地電極の製造方法)
続いて、スパークプラグ1の製造方法について説明する。ここでは、接地電極11の凸部11bの製造方法を中心に説明する。スパークプラグ1の製造方法において、接地電極11の凸部11b以外の部分の製造方法については、従来公知の製造方法を適用することができる。
図3の(a)および(b)には、凸部11bの形成過程を順に示す。凸部11bを製造する際には、溶接前の電極チップ12、および溶接前の中間部材13を準備する。溶接前の電極チップ12は、略円柱形状を有している。
溶接前の中間部材13は、本体部13bと、鍔部13aと、突起部13cとを有している。本体部13bは、略円柱形状を有している。鍔部13aは、略円柱形状の本体部13bの一方の端部において、本体部13bの径を拡張するように設けられている。すなわち、鍔部13aの径は、本体部13bの径よりも大きくなっている。突起部13cは、略円柱形状の本体部13bの一方の端面(鍔部13aが設けられている側の端面13s)から突出する突起である。
電極チップ12および中間部材13は、例えば、レーザ溶接、抵抗溶接などの溶接加工を行うことで電極母材11aに接合される。
先ず、電極チップ12と中間部材13とがレーザ溶接によって接合される。具体的には、図3(a)に示すように、中間部材13の鍔部13aが締め具Cpを用いて固定され、中間部材13の本体部13bの他方の端面(端面13sとは反対側の端面)上に、電極チップ12が配置される。このとき、略円柱形状の電極チップ12の軸線、および、中間部材13の略円柱形状の本体部13bの軸線は、軸線O上に配置される。
そして、電極チップ12の頂面12aが、所定の押圧部材Prを用いて押圧された状態で、電極チップ12と中間部材13との接触部分に対して、径方向の外側から内側に向かって、軸線Oと略垂直なレーザLzが照射される。レーザLzは、例えば、ファイバレーザ照射装置などの照射装置を用いて、電極チップ12と中間部材13との接触部分に照射される。
そして、レーザLzの照射装置に対して、電極チップ12および中間部材13が、軸線Oを中心に相対的に回転されることによって、電極チップ12と中間部材13との接触部分の全周にわたってレーザLzが照射される。これによって、電極チップ12と中間部材13との間に、図3(b)に示すような形状の第2溶融部45が形成され、電極チップ12と中間部材13とが接合される。
このとき、レーザLzのエネルギー、集光位置、電極チップ12と中間部材13との回転速度、押圧部材Prによる圧力などの条件を調整することによって、第2溶融部45の形状を制御することができる。例えば、回転速度を速く、かつ、レーザLzのエネルギーを強くすることによって、第2溶融部45の軸線O上における厚さと、外周面における厚さとの差を小さくすることができる。
次に、図3(b)に示すように、電極チップ12が接合された中間部材13を、接地電極11の電極母材11aの表面11sに抵抗溶接によって固定する。このとき、筒状の溶接用電極Wdによって、鍔部13aの端面13sと反対側の面が押圧された状態で、電極母材11aと中間部材13との間に溶接のための電流を流すことによって、抵抗溶接が行われる。電極母材11aの表面11sと、中間部材13の突起部13cとが接触した状態から抵抗溶接が開始されるので、最初に突起部13cに電流が集中する。これにより、突起部13cと、電極母材11aのうちの突起部13cと接触する部分とが溶融して、第1溶融部41が形成される。
その後、中間部材13の端面13sが電極母材11aの表面11sに接触して、中間部材13の端面13sと電極母材11aとが抵抗溶接される。これにより、図2に示すような第1溶融部41が形成され、電極チップ12および中間部材13が電極母材11a上に接合固定される。
第1溶融部41の大きさおよび形状は、突起部13cの形状やサイズ、および、抵抗溶接の電流の大きさ、溶接用電極Wdに圧力などの抵抗溶接の条件を調整することによって制御することができる。
例えば、突起部13cの軸線方向の長さが長いほど、第1溶融部41の軸線方向の長さ(すなわち、第1凸部42aおよび42b並びに第2凸部43aおよび43cの高さ)が大きくなり、突起部13cの軸線方向と垂直な径方向の長さが大きいほど、第1溶融部41の径方向の長さが大きくなる。
図4(a)および(b)には、溶接前の中間部材13の端面13sに形成されている突起部13cの形状の一例を示す。図4(a)および(b)に示す突起部13cは、端面13sの中央部にドーナツ状に形成されている。例えば、このような形状の突起部13cを有する中間部材13を使用することで、図2に示すような、第1凸部42aおよび42b、並びに、第2凸部43aおよび43cを有する第1溶融部41を形成することができる。
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかるスパークプラグ1は、中心電極21と、接地電極11とを備えている。接地電極11は、主として、電極チップ12と、電極チップ12を支持する電極母材11aと、中間部材13と、第1溶融部41とを有している。中間部材13は、電極チップ12と電極母材11aとの間に配置されている。第1溶融部41は、電極母材および中間部材の成分を含み、電極母材11aと中間部材13との境界の少なくとも一部に配置されている。接地電極11の軸線Oを含む断面を観察したときに、中間部材13と第1溶融部41との境界線は、電極チップ12側に突出する、少なくとも2つの第1凸部42aおよび42bを有しており、電極母材11aと第1溶融部41との境界線は、第1凸部とは反対側に突出する、少なくとも2つの第2凸部43aおよび43bを有している。
上記の構成によれば、中間部材13を間に挟んで、電極チップ12を電極母材11aに固定することによって、貴金属を含む比較的高価な電極チップの使用量を低減させながら、電極チップ12を電極母材11a上に強固に接合させることができる。
また、凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面において、第1溶融部41が、電極チップ12側に突出する少なくとも2つの第1凸部42aおよび42bを有していることで、第1溶融部41と中間部材13との境界における第1溶融部41の表面積を大きくすることができる。また、凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面において、第1溶融部41が、電極母材11a側に突出する少なくとも2つの第2凸部43aおよび43bを有していることで、第1溶融部41と電極母材11aとの境界における第1溶融部41の表面積を大きくすることができる。
これにより、第1溶融部41を介して接合される電極母材11aと中間部材13との接合強度を向上させることができる。
〔第2の実施形態〕
続いて、第2の実施形態にかかるスパークプラグ1について説明する。第2の実施形態にかかるスパークプラグ1は、接地電極11の凸部11bの構成が第1の実施形態とは異なっている。第2の実施形態にかかるスパークプラグ1において、凸部11b以外の構成については、第1の実施形態にかかるスパークプラグ1と同様の構成が適用できる。
図5には、第2の実施形態にかかるスパークプラグ1に備えられている接地電極11の凸部11bの断面構成を示す。
接地電極11の凸部11bは、電極母材11a上に形成されている。凸部11bは、主として、電極チップ12、中間部材13、第1溶融部141、および第2溶融部45で形成されている。これらのうち、電極チップ12、中間部材13、および第2溶融部45については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
本実施形態にかかるスパークプラグ1では、第1溶融部141の形状、より具体的には、中間部材13と第1溶融部141との境界面の形状が、第1の実施形態で説明した第1溶融部41の形状とは異なっている。
第1溶融部141は、電極母材11aと中間部材13との境界の少なくとも一部に配置されている。第1の実施形態と同様に、第1溶融部241は、電極母材の成分および中間部材13の成分を含んでいる。第1溶融部141は、例えば、抵抗溶接によって形成される。
図5に示すように、凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面では、第1溶融部141は、中間部材13との境界において、電極チップ12側に突出する2つの第1凸部142aおよび142bと、これら2つの第1凸部142aおよび142bの間に位置する第1凹部142cとを有している。
また、図5に示すように、凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面では、第1溶融部141は、電極母材11aとの境界において、電極母材11a側(すなわち、第1凸部142aおよび142bとは反対側)に突出する2つの第2凸部143aおよび143bと、これら2つの第2凸部143aおよび143bの間に位置する第2凹部143cとを有している。
本実施形態では、図5に示される2つの第1凸部142aおよび142bの高さは、互いにほぼ同じになっている。また、これら2つの第1凸部142aおよび142bの高さは、鍔部13aの高さHよりも小さくなっている。このように、第1溶融部141は、中央部に窪み(すなわち、第1凹部142cおよび第2凹部143c)を有する略円盤形状を有している。
本実施形態にかかるスパークプラグ1では、凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面において、第1溶融部141が、電極チップ12側に突出する第1凸部142aおよび142bと、その間に設けられた第1凹部142cとを有していることで、第1溶融部141と中間部材13との境界における第1溶融部141の表面積を大きくすることができる。また、凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面において、第1溶融部141が、電極母材11a側に突出する第2凸部143aおよび143bと、その間に設けられた第2凹部143cとを有していることで、第1溶融部141と電極母材11aとの境界における第1溶融部141の表面積を大きくすることができる。
これにより、第1溶融部141を介して接合される電極母材11aと中間部材13との接合強度を向上させることができる。
〔第3の実施形態〕
続いて、第3の実施形態にかかるスパークプラグ1について説明する。第3の実施形態にかかるスパークプラグ1は、接地電極11の凸部11bの構成が第1の実施形態とは異なっている。第3の実施形態にかかるスパークプラグ1において、凸部11b以外の構成については、第1の実施形態にかかるスパークプラグ1と同様の構成が適用できる。
図6には、第3の実施形態にかかるスパークプラグ1に備えられている接地電極11の凸部11bの断面構成を示す。
接地電極11の凸部11bは、電極母材11a上に形成されている。凸部11bは、主として、電極チップ12、中間部材13、第1溶融部241、および第2溶融部45で形成されている。これらのうち、電極チップ12、中間部材13、および第2溶融部45については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
本実施形態にかかるスパークプラグ1では、第1溶融部241の形状が、第1の実施形態で説明した第1溶融部41の形状とは異なっている。
図6に示すように、凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面では、第1溶融部241は、中間部材13との境界において、電極チップ12側に突出する2つの第1凸部242aおよび242bを有している。第1凸部242aおよび第1凸部242bは、軸線Oを中心とする円の周に沿って周方向に連続した形状となっている。
また、図6に示すように、凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面では、第1溶融部241は、電極母材11aとの境界において、電極母材11a側(すなわち、第1凸部242aおよび242bとは反対側)に突出する2つの第2凸部243aおよび243bを有している。第2凸部243aおよび第2凸部243bは、軸線Oを中心とする円の周に沿って周方向に連続した形状となっている。
そして、第1溶融部241は、第1凸部242aと第1凸部242bとの間および第2凸部243aと第2凸部243bとの間(すなわち、軸線Oを中心とする円の中央部)に、貫通部244を有している。この貫通部244は、中間部材13の材料で埋められている。このように、第1溶融部241は、中央部に開口部(すなわち、貫通部244)を有する略ドーナツ型の形状を有している。
本実施形態にかかるスパークプラグ1では、凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面において、第1溶融部241が、電極チップ12側に突出する第1凸部242aおよび242bと、その間に設けられた貫通部244とを有していることで、第1溶融部241と中間部材13との境界における第1溶融部241の表面積を大きくすることができる。また、凸部11bの軸線Oを含む任意の一断面において、第1溶融部241が、電極母材11a側に突出する第2凸部243aおよび243bと、その間に設けられた貫通部244とを有していることで、第1溶融部241と電極母材11aとの境界における第1溶融部241の表面積を大きくすることができる。
これにより、第1溶融部241を介して接合される電極母材11aと中間部材13との接合強度を向上させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
1 :スパークプラグ
11 :接地電極
11a :電極母材
11b :凸部
12 :電極チップ
12a :頂面(対向面)
13 :中間部材
13a :(中間部材の)鍔部
13b :(中間部材の)本体部
21 :中心電極
22 :電極先端部
41 :第1溶融部(溶融部)
42a :第1凸部
42b :第1凸部
42c :第1凹部
43a :第2凸部
43b :第2凸部
43c :第2凹部
45 :第2溶融部
141 :第1溶融部(溶融部)
241 :第1溶融部(溶融部)

Claims (2)

  1. 中心電極と、接地電極とを備えているスパークプラグであって、
    前記接地電極は、
    前記中心電極の先端部と対向する対向面を有する電極チップと、
    前記電極チップを支持する電極母材と、
    前記電極チップと前記電極母材との間に配置されている中間部材と、
    前記電極母材および前記中間部材の成分を含み、前記電極母材と前記中間部材との境界の少なくとも一部に配置されている溶融部と
    を有し、
    前記溶融部のうち前記対向面よりも径方向内側に形成されている部分は、
    前記接地電極の軸線を含む断面を観察したときに、
    前記中間部材と前記溶融部との境界線は、前記電極チップ側に突出する第1凸部を少なくとも2つ有し、
    前記電極母材と前記溶融部との境界線は、前記第1凸部とは反対側に突出する第2凸部を少なくとも2つ有している、
    スパークプラグ。
  2. 前記中間部材は、
    前記電極チップ側に位置する本体部と、
    前記電極母材側に位置し、前記本体部よりも前記径の大きな鍔部と
    を有しており、
    前記接地電極の軸線を含む断面を観察したときに、少なくとも一つの前記第1凸部の高さは、前記鍔部の高さよりも高くなっている、
    請求項1に記載のスパークプラグ。
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