JP4409815B2 - 内燃機関用スパークプラグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用スパークプラグ(以下、「スパークプラグ」ということもある。)に関する。更に詳しくは、絶縁体の貫通孔の形状及び断面寸法、並びに中心電極の各部の断面寸法等にかかわらず、貫通孔の内周面と中心電極の鍔上部及び鍔部の外周面との間に導電性シール材を十分に充填することができ、中心電極を絶縁体に対して確実に固定することができる内燃機関用スパークプラグに関する。
【0002】
【従来の技術】
スパークプラグは、絶縁体の貫通孔の一端側に固定された端子電極、他端側に固定された中心電極を備え、貫通孔内において端子電極と中心電極は導電性シール材により封止・固着されるとともに、電気的に接続されている。絶縁体の貫通孔内において、端子電極と中心電極は導電性シール材により直結されるか、或いは各々の側の導電性シール材の間に抵抗体を配置する形で結合される。ここで、中心電極は、径方向外向きに突出して形成される鍔部と、その鍔部の前方側の鍔下部と、同じく後方側の鍔上部とを有し、この鍔部が絶縁体の貫通孔に設けられた変径部に接して抜け落ちないように支持されている。そして、中心電極は、絶縁体の貫通孔の内周面と、鍔上部及びそれに連設された鍔部の外周面との間に形成されるクリアランス(空間)に充填された導電性シール材によって、機関の振動等により緩むことのないように固定されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭62−035481号公報(第1図、第7図)
【特許文献2】
特開平2-165587号公報(第2図)
【特許文献3】
特開平9−266055号公報(第3図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、鍔上部の軸方向長さが短い場合は、導電性シール材を用いて中心電極を確実に固定し得ないことがある。また、絶縁体の貫通孔の内周面と、中心電極の鍔上部及び鍔部の外周面との間の空間が少ない場合は、その空間に導電性シール材を十分に充填することができない。例えば、ニッケル系合金や鉄系合金からなる中心電極では、耐久性を向上させるため鍔下部の径(鍔下径)を大きくすることがある。この場合に、鍔上部の径(鍔上径)を小さくすることができれば問題ないが、中心電極の一般的な製法である冷間鍛造法では、鍔上径が鍔下径と同等か、それ以上でないと効率良く成形することができない。このように鍔上径が大きくなれば、導電性シール材を充填するための空間が少なくなり、充填不良になり易い。
【0005】
更に、機関の種類等によっては全長が短い(例えば、55mm以下)小型のスパークプラグも必要とされている。このようなスパークプラグでは中心電極の鍔上部等、各々の部分の軸方向長さも短くせざるを得ない。これは中心電極を導電性シール材により絶縁体の貫通孔内に固定するという点では不利である。また、スパークプラグが小型化、換言すればスパークプラグの全長が短くなると、中心電極の鍔上部の軸方向長さも短くなり、この鍔上部及び鍔部の外周面と、それに対向する貫通孔の内周面との間の導電性シール材を充填するための空間が小さくなることが余儀なくされ、導電性シール材の充填不良による中心電極の緩みが発生することがある。
【0006】
本発明は、上記の従来の問題点を解決するものであり、鍔下径が大きく、それにともなって鍔上径も大きい中心電極を備えるスパークプラグ、或いは小型化にともなって絶縁体の貫通孔の鍔上部等に対応する部分の空間が縮小化されたスパークプラグ等、のいずれであっても導電性シール材を充填するための十分な空間を確保することができ、中心電極を確実に固定することができるスパークプラグを提供することを目的とする。
【0007】
本発明のスパークプラグは、筒状の主体金具と、該主体金具の内側に挿通されて固定され、軸方向に貫通孔を有する絶縁体と、該貫通孔の後方側に固定された端子電極と、該貫通孔の前方側に固定された中心電極と、を備えるスパークプラグにおいて、前記絶縁体の前記貫通孔は、前記中心電極を嵌挿させる径小部と、該径小部よりも径大に形成されるとともに前記端子電極を嵌挿させる径大部と、該径小部と該径大部とを接続する変径部とを有し、前記中心電極は、径方向外向きに突出して形成されるとともに前記貫通孔の前記変径部に支持される鍔部と、該鍔部の前方側に接続された鍔下部と、該鍔部の後方側に連接された鍔上部とを有し、前記中心電極の該鍔上部の外周面と前記絶縁体の前記貫通孔の内周面との最小距離が0.7mm以下であり、該鍔上部は、軸直交断面における断面積が一定である部分と前方側から後方側に向かって小さくなる部分とを有し、前記軸直交断面における断面積が一定である部分の軸方向における長さは、前記前方側から後方側に向かって小さくなる部分の軸方向における長さよりも短く、前記軸直交断面における断面積が前方側から後方側に向かって小さくなる部分は、断面積の異なる円柱体を同心円状に積み重ねた形状であることを特徴とする。
【0008】
絶縁体は、一般に、優れた耐電圧特性、機械的強度及び耐熱性等を有するアルミナ焼結体又は窒化アルミニウム焼結体により形成される。絶縁体及び貫通孔は、通常、断面円形であり、貫通孔は絶縁体の軸方向に、絶縁体と軸を同じくして形成される。尚、軸方向とは、主体金具、絶縁体、端子電極及び中心電極に共通の中心軸に平行な方向を意味する。
【0009】
貫通孔は、端子電極を嵌挿させるための径大部と、この径大部よりも径小に形成されるとともに中心電極を嵌挿させるための径小部と、径小部と径大部とを接続する変径部とを有する。尚、端子電極及び中心電極も、通常、軸直交断面形状が円形であり、絶縁体及び貫通孔と同心円状に配設されるのが一般的である。中心電極は、貫通孔の後方側から順に、鍔上部と、径方向外向きに突出して形成されて最も径大な外径を有するとともに、鍔上部に連設される鍔部と、鍔部に連設される鍔下部とを有している。尚、この中心電極は、Ni合金やFe合金等で構成され、放熱促進のためにCu或いはCu合金等で構成された芯材を埋設させてもよい。そして、中心電極は、鍔部の主に鍔下部側の外表面が貫通孔の変径部の内周面に当接され、貫通孔から抜け落ちないように絶縁体に支持されている。更に、導電性シール材を充填して中心電極を固定するために、中心電極の鍔上部及び鍔部の外周面と絶縁体の貫通孔の内周面との間には、導電性シール材が充填されるクリアランス(空間)が形成され、このクリアランスに導電性シール材が充填されている。
【0010】
ここで、貫通孔の内周面と、鍔上部等の外周面との間に、導電性シール材を充填するための十分な空間を有するスパークプラグであれば、鍔上部が通常の円柱体であっても中心電極を確実に固定することができる。しかし、中心電極の鍔上部の外周面と、絶縁体の貫通孔の内周面との最小距離[図1(c)におけるL1及び図2(c)におけるL2参照]が0.7mm以下、特に0.65mm以下であるときには、導電性シール材を充填するための十分な空間がないスパークプラグとなってしまう場合がある。尚、本明細書でいう「最小距離」とは、鍔上部の外周面と、絶縁体の貫通孔の内周面との軸方向に直交する向きにおける最短の距離を指すものとする。また、上記最小距離は理論上0mmより大きければよいが、導電性シール材によるシール性を確実なものとするには、0.3mm以上であることが好ましい。
【0011】
上記のように導電性シール材を充填するための十分な空間がないスパークプラグとして、鍔下部の最大径(Da)と、変径部の後端における径(Db)との比(Da/Db)が0.5以上で且つ0.8未満、即ち、通常よりDaが大きいスパークプラグが挙げられる。更に、鍔上部の最大径が、鍔下部の最大径と同一若しくはそれ以上であるスパークプラグが実用に供されている。ここで、鍔下部の最大径が大きくても、鍔上部の最大径が小さい中心電極であれば、鍔部を絶縁体の貫通孔の変径部に支持させたときに、鍔上部の外周面と貫通孔の内周面との間に、導電性シール材を充填するための十分な空間を形成することができる。しかし、中心電極は一般に冷間鍛造法により形成され、従来からの方法では、鍔上部となる側から金型に嵌挿し、加工するため、鍔下部の径が大きいからといって鍔上部の径全体を鍔下部の径より小さくすることは困難である。従って、このような中心電極である場合は、導電性シール材を充填するための十分な空間を形成することができない。
【0012】
また、導電性シール材を充填するための十分な空間を形成することができない例として、小型のスパークプラグ(例えば、全長が55mm以下)が挙げられる。このスパークプラグでは、中心電極の鍔上部の軸線方向長さを短くせざるを得ないため、導電性シール材を充填するための空間の大きさが制約を受け、中心電極の固定という点では不利である。更に、小型のスパークプラグでは、絶縁体の外径も小さくなるために、絶縁体の肉厚をできるだけ確保すべく、絶縁体の貫通孔の径大部のうち変径部に連設される側の一部を、変径部の後端に向かって徐々に縮径化する構造も検討されている。このような場合にも、鍔上部の外周面と絶縁体の貫通孔の内周面との間に導電性シール材を充填するための十分な空間を形成することができない。
【0013】
本発明では、これらのスパークプラグにおいて、鍔上部の軸直交断面における断面積が、鍔上部自体の前方側から後方側に向かって小さくなっている中心電極を使用する。これにより、鍔上部の外周面と絶縁体の貫通孔の内周面との間に導電性シール材を充填するための十分な空間が確保され、導電性シール材を貫通孔の後方側より充填する際の充填効率が良好となる。
【0014】
この鍔上部の形状は特に限定されず、円錐体、角錐体、円錐台(図3参照)、角錐台(図4参照)等、及びこれらの側面の傾斜が途中で変化した形状などとすることができる。また、鍔部の後端から所定の高さ(これは鍔上部の長さ方向、即ち、絶縁体の軸方向の寸法であり、長さと言うべきであるが、以下、「高さ」ということもある。)までは円柱体、角柱体であり、その後方側に円錐台、角錐台等が連設された形状(図6、8、9及び12参照)とすることもでき、鍔部の後端から所定の高さまでは円錐台、角錐台であり、その後方側に円柱体、角柱体等が連設された形状(図10参照)とすることもできる。更に、断面積の異なる複数の円錐台、角錐台、円柱体、角柱体等を、同じ形状のもの、或いは適宜に組み合わせて、断面積の大きいものから順に3段以上積み重ねた形状(図7参照)、及びその他の特定の形状(図5及び図11参照)とすることもできる。
【0015】
このように、鍔上部の断面積が前方側から後方側に向かって小さくなっているとは、前方側から後方側に向かって断面積が漸次小さくなっている場合ばかりでなく、鍔上部の長さ方向(絶縁体の軸方向)において断面積が一定である部分がある場合をも意味し、断面積が段階的に小さくなる場合も含む。
【0016】
尚、通常のスパークプラグでは、前記のように、絶縁体、その貫通孔、並びに中心電極の鍔部及び鍔下部等はいずれも断面円形であり、中心電極は貫通孔に同心円状に嵌挿される。従って、鍔上部も鍔部及び鍔下部と軸を同じくし、且つ立体形状が軸に対して対称であることが好ましい。このような形状であれば、貫通孔の内周面と鍔上部の外周面との間に導電性シール材を充填するための空間が均等に形成され、中心電極をより確実に絶縁体に対して固定することができる。
【0017】
鍔上部の軸方向における長さが2.0mm以下であるときに、本発明のように鍔上部の形状を特定することによる効果がより発揮される。ここで、鍔上部の軸方向における高さは、中心電極の中心軸線に沿って断面をとったときの鍔上部の外周面における最も鍔部側に近い直線部の鍔部側の前端から当該鍔部の後方側に向けての軸方向長さをいう。鍔部の後端から所定の高さ[H2、図9(a)参照]までその断面積が一定(径が一定)となる部分を形成する場合は、その部分の高さ[図9(a)でのH2]は鍔上部の全高さ[図9(a)のH1]の1/4以下、特に1/5以下とすることが、鍔上部の外周面と絶縁体の貫通孔の内周面との間の導電性シール材を充填するための空間を確実に確保するうえで好ましい。また、鍔上部の全高さが1.5mm以下の場合は、一定の断面積を有する部分は形成しないことが好ましい。尚、鍔上部の軸方向における長さは、導電性シール材による中心電極の固定を確実なものとするために、1.0mm以上とすることが好ましい。
【0018】
スパークプラグは、通常、一端が主体金具に結合され、他端が中心電極の鍔下部の先端部に対向する接地電極を備え、この鍔下部の先端部と接地電極との間で火花放電ギャップを形成するように構成される。そして、スパークプラグでは、近年、中心電極の鍔下部の先端部、又は/及び接地電極のうちで中心電極の鍔下部の先端部と対向して火花放電ギャップを形成する部分に、耐火花消耗性を向上させるべく貴金属を主体とする貴金属チップを溶接したタイプのものが使用されている。ここで、中心電極又は/及び接地電極に溶接されて火花放電ギャップを形成する貴金属チップは、Ir、Pt及びRhのいずれかを主成分とする貴金属を主体に構成されることが好ましい。これらの貴金属の使用により、電極の温度が上昇し易い環境下においても、チップ自体の耐消耗性を良好なものとすることができる。
【0019】
例えば、Ptを主成分にした貴金属としては、Pt単体の他、Pt−Ni合金(例えば、Pt−1〜30質量%Ni合金)、Pt−Ir合金(例えば、Pt−1〜20質量%Ir合金)、Pt−Ir−Ni合金等を好適に使用することができる。また、Irを主成分とするものとしては、Ir−Rh合金(例えば、Ir−5〜40質量%Rh合金)、Ir−Pt合金(例えば、Ir−1〜10質量%Pt合金)、Ir−Ru合金(例えば、Ir−1〜30質量%Ru合金)、Ir−Rh−Ni合金(例えば、Ir−1〜40質量%Rh−0.5〜8質量%Ni合金)等を使用することができる。
【0020】
尚、Ir系の貴金属材料を使用する場合、周期表の3A族(所謂、希土類元素)及び4A族(Ti、Zr、Hf)に属する金属元素の酸化物を0.1〜15質量%の範囲内で含有させることができる。これにより、Ir成分の酸化・揮発を効果的に抑制することができる。上記酸化物としては、Y2O3が好適に使用されるが、この他にもLa2O3、ThO2、ZrO2等を好ましく使用することができる。
【0021】
また、中心電極の鍔上部の形状を、本発明のように特定の形状にするにあたっては、冷間鍛造を行い、鍔下部、鍔部、鍔上部を有する中心電極を成形する際の金型形状を一部変更して行うことができるが、この手法に限定はされない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
[1]スパークプラグの形状、寸法
全長、絶縁体の貫通孔の形状、寸法、及び中心電極の特に鍔上部の形状、寸法が異なる下記の4種類のスパークプラグを作製した。
(1)スパークプラグa(図1に示すスパークプラグ100であり、中心電極2の鍔上部21の全体の形状が円錐台であるスパークプラグ100)
▲1▼中心電極2の鍔上部21の外周面と絶縁体1の貫通孔11の内周面との最小距離[L1、図1(c)参照];0.45mm
▲2▼鍔上部21の形状及び寸法;円錐台であり、前端(鍔部と連結する部分)の直径;3.0mm、後端の直径;2.4mm、軸方向の長さ;2.3mm。
▲3▼その他の寸法:スパークプラグ100の全長;75mm、絶縁体1の貫通孔11の径大部111の直径;3.9mm(変径部112の後端の直径も3.9mm)、径小部113の直径;3.1mm、中心電極2の鍔部22の直径;3.4mm、鍔下部23の直径;3.0mm(但し、鍔下部の先端側の直径は2.9mm)。
【0023】
(2)スパークプラグb(中心電極の鍔上部の全体の形状が円柱体であるスパークプラグ)
鍔上部の形状が直径3.0mmの円柱体である他は、形状、寸法ともにスパークプラグaと同じである。
【0024】
(3)スパークプラグc(図2に示すスパークプラグ200であり、絶縁体1の貫通孔11の径大部111のうち変径部112に連結される側の一部が変径部112の後端に向かって徐々に縮径化されており、鍔上部21が断面積の異なる円柱体を同心円状に二段積み重ねた形状であるスパークプラグ200)
▲1▼中心電極2の鍔上部21の外周面と絶縁体1の貫通孔11の内周面との最小距離[L2、図2(c)参照];0.62mm
▲2▼鍔上部21の形状及び寸法;円柱体を同心円状に二段積み重ねた形状であり、前方側の円柱体の直径;2.1mm、軸方向の高さ;0.8mm、後方側の円柱体の直径;2.0mm、軸方向の高さ;1.0mm。
▲3▼その他の寸法:スパークプラグ200の全長;49mm、絶縁体1の貫通孔11の径大部111の直径(縮径化された部分を除く。);3.9mm、径小部113の直径;2.2mm、変径部112の後端の直径;3.0mm、中心電極2の鍔部22の直径;2.7mm、鍔下部23の直径;2.1mm(但し、鍔下部23の先端側の直径は2.0mm)。
【0025】
(4)スパークプラグd(絶縁体の貫通孔の径大部のうち変径部に連結される側の一部が、変径部の後端に向かって徐々に縮径化されており、鍔上部の全体の形状が円柱体であるスパークプラグ)
鍔上部の形状が直径2.1mmの円柱体である他は、形状、寸法ともにスパークプラグcと同じである。
【0026】
[2]スパークプラグの製造
[1]のスパークプラグa、b、c及びdの製造工程はいずれも同様であり、以下のとおりである。
絶縁体1の内部に形成された軸方向に延設される貫通孔11の一端側の径大部111の開口部1111から、鍔下部23の先端面にイリジウム合金(5質量%のPtを含有するIr−Pt合金)からなる貴金属チップ(図示せず)がレーザー溶接された中心電極2を、貴金属チップの側から挿通させ、中心電極2の鍔部22の鍔下部23の側の外周面を貫通孔11の変径部112の内周面に当接させた。尚、変径部112は径大部111と径小部113とを接続する部分であり、鍔部22を受けるための内周面はテーパ面状、或いはR面状に形成されている。また、変径部112の後端とは、絶縁体を自身の中心軸線に沿って断面をとったときに、中心電極2の鍔部22を受ける面を後方側にみていき、その面の形状が変化(方向変化)を起こす点をいう。
【0027】
その後、端子電極3を組み付けるとともに、抵抗体層5と導電性シール材層41、42との形成を、以下に説明するガラスシール工程により行った。
先ず、図13(a)に示すように、絶縁体1の貫通孔11に対し、その径小部113に上述した中心電極2を嵌挿させた後、図13(b)に示すように第1導電性シール材粉末層41aとなるべき導電性シール材粉末Pを充填する。そして、図13(c)に示すように、貫通孔11内に押さえ棒Sを挿入して充填した粉末Pを予備圧縮し、第1導電性シール材粉末層41aを形成する。尚、導電性シール材粉末Pは、ホウケイ酸塩系のものなど酸化物を主体にしたガラス粉末と、Cu及びFe等の金属成分の1種又は2種以上を主体とする金属粉末と、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン、キータイト、ムライト、チタン酸アルミニウム等から選ばれる1種又は2種以上の酸化物系絶縁性フィラー粉末と、を配合原料として構成される。
【0028】
次いで、公知の抵抗体組成物の原料粉末を、絶縁体1の後端側から貫通孔11内に充填して同様に予備圧縮し、更に上述の導電性シール材粉末Pを充填して、押さえ棒Sにより予備圧縮を行う。このようにして、図13(d)に示すように、絶縁体1の貫通孔11内には、中心電極2側から後方側に向かって、第1導電性シール材粉末層41a、抵抗体粉末層5a及び第2導電性シール材粉末層42aが積層された状態となる。
【0029】
そして、図14(a)に示すように、貫通孔11の後端側からに端子電極3を配置した組立体PA1を形成する。この状態で加熱炉Fに挿入して所定温度(例えば、900℃)に加熱し、その後、端子電極3を貫通孔11内へ中心電極2とは反対側から軸方向に圧入して積層状態の上記各粉末層41a、5a及び42aを軸方向にプレスする。これにより、図14(b)に示すように、各層は圧縮・焼結されてそれぞれ第1導電性シール材層41、抵抗体層5、導電性シール材層42となる。
【0030】
その後、この図14(b)に示す組立体PA2を、図1乃至図2に示すように内燃機関に取り付けるための取付ネジ部61が形成された筒状の主体金具6の内部に挿通し、主体金具6の内周面から内向きに突出して形成された金具側係止部63に板パッキン(図示せず)を介して係合させる。尚、主体金具6の先端面の所定位置には、断面が矩形に成形された接地電極9となる棒状の基体が電気抵抗溶接により接合され、この基体のうちで、後述の工程により中心電極2の先端面と対向して火花放電ギャップを形成する部分にはPt合金からなる貴金属チップ(図示せず)が電気抵抗溶接により接合されている。そして、主体金具6の後方側開口部内周面と、絶縁体1の外周面との間に、絶縁体1の外周面と係合するリング状の線パッキン72、更にその後方側にタルク等の充填部8、リング状の線パッキン71を配置し、絶縁体2を主体金具6に向けて前方側に押し込み、その状態で主体金具6の開口縁を線パッキン71に向けて内側に加締めて加締め部62を形成することにより、絶縁体1(組立体PA2)を主体金具6に固定した。
【0031】
次いで、主体金具6に接合された接地電極9となる棒状の基体に対して、当該基体に形成された貴金属チップが、中心電極2の貴金属チップと火花放電ギャップを隔てて対向するように曲げ加工し、火花放電ギャップが1.1mmに調整されたスパークプラグを製造した。
【0032】
[3]中心電極の衝撃による緩みの有無の評価
スパークプラグa、b、c及びdをそれぞれ3本づつ製造し、JIS B 8031 6.4により、30分間、衝撃を与えた場合の、中心電極の緩みの有無を評価した。その結果、スパークプラグa及びcでは、3本すべてに緩みはまったくみられなかった。一方、スパークプラグbでは3本のすべてに、また、スパークプラグdでは1本に緩みがみられた。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、耐久性を向上させるため、中心電極の鍔下部の寸法を大きくしたスパークプラグ、或いは小型であって、絶縁体の貫通孔が中心電極の鍔部に対向する部分において縮径化されたスパークプラグ等、絶縁体の貫通孔の内周面と中心電極の鍔上部及び鍔部の外周面との間に導電性シール材を充填するための十分な空間を形成することができない場合であっても、機関の振動等による中心電極の緩みを低減することができ、機関の不調を抑えることができるスパークプラグとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、全長は通常寸法であり、中心電極の鍔下部の直径が大きく、鍔上部の形状が円錐台であるスパークプラグ縦断面図である。(b)は、中心電極の正面図である。(c)は(a)の中心電極近傍の拡大図である。
【図2】(a)は、全長が通常より短く、絶縁体の貫通孔が中心電極の鍔部に対向する部分において縮径化され、鍔上部が直径の異なる円柱体を積み重ねた形状であるスパークプラグの縦断面図である。(b)は、中心電極の正面図である。(c)は(a)の中心電極近傍の拡大図である。
【図3】円錐台からなる鍔上部の(a)は正面、(b)は平面を表わす模式図である。
【図4】角錐台からなる鍔上部の(a)は正面、(b)は平面を表わす模式図である。
【図5】円柱体の上部に角錐台が連設されて形成された、異形部分を有する鍔上部の(a)は正面、(b)は平面を表わす模式図である。
【図6】円柱体の上部に円錐台が連設されて形成された鍔上部の(a)は正面、(b)は平面を表わす模式図である。
【図7】直径の異なる円柱体が同心円状に3段積み重ねられて形成された鍔上部の(a)は正面、(b)は平面を表わす模式図である。
【図8】円柱体の上部に角錐台が連設されて形成された鍔上部の(a)は正面、(b)は平面を表わす模式図である。
【図9】円柱体の上部に円錐台が連設されて形成された図6のものとは寸法の異なる鍔上部の(a)は正面、(b)は平面を表わす模式図である。
【図10】円錐台の上部に円柱体が連設されて形成された鍔上部の(a)は正面、(b)は平面を表わす模式図である。
【図11】円柱体の上部に特殊な形状の円錐台が連設されて形成された鍔上部の(a)は正面、(b)は平面を表わす模式図である。
【図12】円柱体の上部に円錐台が連設されて形成された図6及び図9のものとは寸法の異なる鍔上部の(a)は正面、(b)は平面を表わす模式図である。
【図13】(a)〜(d)はガラスシール工程を順に説明するための説明図である。
【図14】(a)は、ガラスシール工程が終了し、端子電極が配置される組立体PA1を示す模式図である。(b)は、(a)の組立体PA1を加熱し、プレスした後の組立体PA2を示す模式図である。
【符号の説明】
100、200;スパークプラグ、1;絶縁体、11;貫通孔、111;径大部、1111;開口部、112;変径部、113;径小部、2;中心電極、21;鍔上部、22;鍔部、23;鍔下部、3;端子電極、4;導電性シール材層、41;第1導電性シール材層、41a;第1導電性シール材粉末層、42;第2導電性シール材層、42a;第2導電性シール材粉末層、5;抵抗体層、5a;抵抗体粉末層、6;主体金具、61;取付ネジ部、62;加締め部、63;金具側係止部、71、72;線パッキン、8;充填部、9;外側電極、P;導電性シール材粉末、S;押さえ棒、F;加熱炉、PA1、PA2;組立体。
Claims (4)
- 筒状の主体金具と、該主体金具の内側に挿通されて固定され、軸方向に貫通孔を有する絶縁体と、該貫通孔の後方側に固定された端子電極と、該貫通孔の前方側に固定された中心電極と、を備えるスパークプラグにおいて、前記絶縁体の前記貫通孔は、前記中心電極を嵌挿させる径小部と、該径小部よりも径大に形成されるとともに前記端子電極を嵌挿させる径大部と、該径小部と該径大部とを接続する変径部とを有し、前記中心電極は、径方向外向きに突出して形成されるとともに前記貫通孔の前記変径部に支持される鍔部と、該鍔部の前方側に接続された鍔下部と、該鍔部の後方側に連接された鍔上部とを有し、前記中心電極の該鍔上部の外周面と前記絶縁体の前記貫通孔の内周面との最小距離が0.7mm以下であり、該鍔上部は、軸直交断面における断面積が一定である部分と前方側から後方側に向かって小さくなる部分とを有し、前記軸直交断面における断面積が一定である部分の軸方向における長さは、前記前方側から後方側に向かって小さくなる部分の軸方向における長さよりも短く、前記軸直交断面における断面積が前方側から後方側に向かって小さくなる部分は、断面積の異なる円柱体を同心円状に積み重ねた形状であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
- 上記鍔上部の軸線方向の長さが2.0mm以下である請求項1記載の内燃機関用スパークプラグ。
- 上記鍔上部の最大径(Da)と、上記変径部の後端における径(Db)との比(Da/Db)が0.5以上で且つ0.8未満である請求項1又は2に記載の内燃機関用スパークプラグ。
- 上記鍔上部の最大径が、上記鍔下部の最大径以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の内燃機関用スパークプラグ。
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