JP2010026092A - 無端ベルト、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転駆動する回転体と該回転体に従動する無端ベルトとで搬送される用紙のしわの発生を抑制すると共に、該用紙の端部と接触する該無端ベルトの接触部位での摩耗を低減する。
【解決手段】無端ベルト62の凹凸部62A上に用紙Kが重なった状態で、無端ベルト62及び用紙Kが挟込領域に導入すると、挟込領域の圧力により用紙Kを両側端に引き伸ばす張力が働くと共に、無端ベルト62の凹凸部62Aも回転体の表面形状に沿った直線に近い断面形状に伸びながら、直線に近い断面形状に変形する。これにより、凹凸部62Aの無い無端ベルト62に比べ、用紙Kの側端部と無端ベルト62表面とのスリップが少なくなる。これにより搬送される用紙Kのしわの発生を抑制すると共に、用紙Kの端部と接触する無端ベルト62の接触部位での摩耗を低減できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、無端ベルト、定着装置及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えばドラム状に形成された感光体(感光体ドラム)を一様に帯電し、この感光体ドラムを画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、このトナー像を感光体ドラム上から中間転写ベルトに一次転写した後、さらに中間転写ベルトから記録紙に二次転写した後、定着装置によってこのトナー像を記録紙に定着している。
定着装置としては、例えば、加熱源を有する回転可能な加熱定着ロールと、この加熱定着ロールに圧接し且つ加熱定着ロールに従動する無端ベルトと、この無端ベルトの内側に配設されて、前記無端ベルトを定着ロールに押圧させ且つ前記無端ベルトと加熱定着ロールとの間に圧接域(ニップ領域)を形成する押圧部材と、前記無端ベルトの両端部の内側に嵌合された状態に配設され、当該無端ベルトの内面を回転自在にガイドするベルトガイド部材と、を備え、この圧接域にシートを通過させることで、当該シート上の未定着トナー像を加熱加圧定着するようにしたものが知られている。(例えば特許文献1参照)
かかる特許文献1に記載した定着装置(「ベルトニップ方式」という。)では、定着ロールが中央部から両端部にかけて外径を大きくした所謂フレア形状で形成されているか、または、無端ベルトを定着ロールに圧接させる圧力パッドの押圧力が、軸方向において中央部よりも両端部側で大きくなるように設定されている。このように構成することで、ニップ部を通過する記録紙の速度は中央部よりも両端部にかけて速くなるので、ニップ部に挟持される用紙に対して、中央部から両端部に向かう幅方向の引張力を作用させることができる。この幅方向の引張力によって、用紙における紙しわの発生、さらには画像ずれの発生を抑制している。
また、ベルトニップ方式の定着装置において無端ベルトとの摺動面に摩耗が生じたり、摺動オイルの劣化などによって押圧部材と無端ベルトとの滑り性の低下が生じたりした場合に、無端ベルトの動きが加熱ロールに対応し難くなり、それに伴って記録紙幅方向の引張力の不足を防ぐために用紙に対する静止摩擦係数が定着ロールの用紙に対する静止摩擦係数よりも小さくすることによって、摺動抵抗の大きさの如何に拘わらず、用紙が無端ベルトから受ける逆搬送力を小さく抑えた定着装置(例えば特許文献2参照)が提案されている。
また、ニップ部を通過する記録紙の速度は中央部よりも両端部にかけて速くするのに対応して、用紙と無端ベルトとの間に部分的にスリップを軽減するために、無端ベルトの周長が中央部よりも両端部で大きく形成した定着装置(例えば特許文献3参照)が提案されている。
このような紙しわの抑制はベルトニップ方式においては、特に定着装置の高速化や両面印刷機構の普及に伴い、重要なファクターとなっている。
特許第3298354号公報 特開2005−70453号公報 特開2005−148544公報
本発明は、回転駆動する回転体と該回転体に従動する無端ベルトとで搬送されるシートの端部と接触する該無端ベルトの接触部位での摩耗を低減することを課題とする。
本発明の請求項1に係る無端ベルトは、回転駆動する回転体に表面が相対的に押し付けられて該回転体との間にシートを挟み込む挟込領域を形成し、前記回転体に従動して回転し、前記挟込領域に導入される前記シートを前記回転体とで搬送し、前記挟込領域において前記回転体の回転軸方向に沿って広がり変形する凹凸状の凹凸部が少なくとも内面の一部に複数形成されている。
本発明の請求項2に係る定着装置は、請求項1に記載の回転体と、未定着トナー像を有する前記シートを挟み込む挟込領域を形成する請求項1に記載の無端ベルトと、前記挟込領域において前記未定着トナー像を加熱する加熱手段と、を備えている。
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、表面に形成される像を保持可能な像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像形成手段により前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記現像手段により形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段により転写された未定着トナー像を前記シートとしての前記記録媒体に定着させる請求項2に記載の定着装置と、を備えている。
本発明の請求項1の構成によれば、本構成を有していない場合に比して、回転駆動する回転体と該回転体に従動する無端ベルトとで搬送されるシートの端部と接触する該無端ベルトの接触部位での摩耗を低減できる。
本発明の請求項2の構成によれば、本構成を有していない場合に比して、回転駆動する回転体と該回転体に従動する無端ベルトとで搬送されるシートのしわの発生を抑制できる。
本発明の請求項3の構成によれば、本構成を有していない場合に比して、回転駆動する回転体と該回転体に従動する無端ベルトとで搬送されるシートのしわの発生を抑制できる。
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
本実施形態では、まず無端ベルトを説明し、次にその無端ベルトを備えた定着装置を説明し、次にその定着装置を備えた画像形成装置について説明する。なお、本実施形態に係る無端ベルトは、定着装置以外にも適用でき、例えば、中間転写ベルトや搬送ベルトなどに用いても良い。
<無端ベルトの構成>
図1は、本実施形態に係る無端ベルト62を示し、挟込領域以外に位置して圧力が加わっていない状態の断面図である。図2は、本実施形態に係る無端ベルト62を示し、挟込領域に位置して凹凸部62Aが圧力により引き伸ばされた状態の断面図である。
図3及び図4は、無端ベルト62をその回転軸方向に沿って切断して平面状に展開した図であり、図3は複数の溝が無端ベルト62の回転方向に沿って形成された無端ベルト62を示し、図4は無端ベルト62の回転方向に対して角度を有する複数の溝が形成された無端ベルト62を示す。なお、図3及び図4において、無端ベルト62上の実線は凸部(山)を示し、破線は凹部(谷)を示す。
図5は、内面側にのみ凹凸部62Aを有する無端ベルト62の構成を示す断面図である。
本実施形態に係る無端ベルト62は、回転駆動する回転体に表面が相対的に押し付けられて該回転体との間にシートの一例としての用紙Kを挟み込む挟込領域を形成し、前記回転体に従動して回転(循環)し、前記挟込領域に導入される用紙Kを前記回転体とで搬送し、前記挟込領域において前記回転体の回転軸方向に沿って広がり変形する凹凸状の凹凸部62Aが少なくとも内面の一部に複数形成されている。
なお、搬送されるシートとしては、用紙に限られず、プラスチックフィルムなど、膜状に形成された膜状部材であってもよい。また、シートとしては、画像が記録される記録媒体に限られるものでなく、種々の用途のシートが用いられる。また、その枚数としては、1枚でもよいし、ラミネートシートを作製する場合のように、搬送されるシートは複数枚であってもよい。
無端ベルト62の凹凸部62Aは、無端ベルト62表面上の微細な表面粗さとしての凹凸ではなく、挟込領域での圧力により変形可能な凹凸である。
すなわち、無端ベルト62は、無端ベルト62をその回転軸方向に沿って切断して平面状に展開した後、その上下から面方向に垂直に挟込領域における圧力と同程度の面圧となるように加圧した際、無端ベルト62の凹凸部62Aが広がり変形し、無端ベルト62の回転軸方向の長さLが長くなり、加圧する前の垂直方向から投影した面積に比べ、加圧後の投影面積が増加する無端ベルトであり(図2参照)、かつ加圧を解除した場合にはもとの長さL、面積および形状に復帰する無端ベルト(図1参照)であるとも言える。
また、無端ベルト62の大きさ等については特に制限はなく、層構造としては単層であっても、あるいは複数の素材を積層したものであってもかまわないが、少なくとも1層は凹凸部62Aが挟込領域で変形した後、挟込領域から外れた場合に元の形状に復元可能な弾性変形可能なものである必要がある。
凹凸部62Aの形状は特に制限はなく、断面波形の形状としては、円弧状の凸状部が連続して連なったもの、三角波状のもの、正弦波状のものあるいはこれらが複合した形状のもの、さらには不定形なものでもかまわない。無端ベルト62が挟込領域に導入した際にスムーズに広がりやすい図1に示したような波形が良く、具体的には正弦波に類似した形状や円弧が交互に山谷を形成したような凹凸形状が好ましい。
また、凹凸部62Aの形成方向は、図3に示すように、連続した筋状の凹凸の各凹及び各凸が、無端ベルト62の回転方向(円周方向)に沿って形成される構成であっても良い。この場合では、挟込領域における加圧により凹凸部62Aが伸びる方向は、回転軸方向のみに伸びることになる。
また、図4に示すように、凹凸部62Aは、連続した筋状の凹凸が無端ベルト62の回転方向に対して角度を有しても良い。この角度は、大きくなるほど回転に伴う無端ベルト62のウォークが発生しやすくなるため、大きな角度を設ける場合には、図4のように左右対称に溝を設けることが好ましい。
図4に示す構成では、無端ベルト62の回転軸方向中央部を対称軸とする線対称に形成されている。筋状の凹凸は、回転軸方向中央部の回転方向上流側から、回転軸方向外側の回転方向下流側に連続して形成されている。
各凹及び各凸が、回転軸方向外側の回転方向上流側から、回転軸方向中央部側が回転方向下流側に沿って形成される。この構成では、挟込領域における加圧により凹凸部62Aが伸びる方向は、回転方向下流側と回転軸方向外側の両方向に伸びることになる。
また、凹凸部62Aは不連続なものであっても良いが、無端ベルト62の回転軸方向と出来るだけ平行となる部分の少ない連続した筋状の凹凸であることがより好ましい。
また、凹凸部62Aの凹凸の高さh及びピッチPは、無端ベルト62が挟込領域に導入した際に、回転体表面の形状に沿った形状に変形可能なものであれば特に制限はない。
また、最適な高さh及びピッチPは、無端ベルト62の基材材質やその他積層材料の材質などによって変化するため一概には限定できないが、凹凸部62Aが挟込領域で十分に変形可能な弾性率の材質や膜厚であることを前提とした場合には、凹凸の高さhは、無端ベルト62び基材膜厚の1/5程度から基材膜厚の3倍程度の範囲が好ましい。
すなわち、凹凸の高さhが小さすぎると、挟込領域での拡張面積が少なく、用紙Kと無端ベルト62表面とのスリップを抑制できず、また凹凸の高さhが大きすぎると逆に用紙Kに対して伸びすぎ、かえって用紙Kの搬送不良や無端ベルト62の摩耗を発生させる場合がある。また、基材の繰り返し変形によるクラック発生などの疲労破壊などにも繋がってしまう。
従来から使用されている一般的なベルトの基材の膜厚が40〜100μm程度であることから、より具体的には凹凸の高さhは、8μm〜300μm程度が好ましい。
また、凹凸のピッチPは、凹凸の高さhに対して10倍から200倍程度が好ましい。すなわち、凹凸ピッチPが高さhに対して10倍程度以下になると、挟込領域での用紙Kに対する無端ベルト62の拡張面積が多くなりすぎ、かえって用紙Kの搬送不良や無端ベルト62の摩耗を発生させる場合がある。また、200倍程度以上になると挟込領域での拡張面積が少なく、用紙Kと無端ベルト62表面とのスリップを抑制できない。
また、凹凸形状のピッチP及び高さhは、ベルト全面に渡って一定である必要はなく、例えば中央部でピッチPと高さhを小さく、両端部でピッチPと高さhを大きくすることも可能である。また凹凸部62Aは、無端ベルト62の回転軸方向に対して全面に渡って設けることが好ましいが、必ずしも全面に設ける必要はなく、例えば中央部のみを凹凸を無くしたり、あるいは、ベルトガイドと接触する両端部の凹凸を無くしたりすることも可能である。
また、中央部の周長に対して両端部側の周長もしくは平均外径を長くもしくは太くしたり、逆に中央部の周長に対して両端部側の周長もしくは平均外径を短くもしくは細くしたりすることも可能である。
また、ベルトの膜厚は均一で内面と表面ともに同様な凹凸形状であることが好ましいが、不均一であってもかまわない、たとえば凹の部分の厚みが凸の部分より薄くてもあるいは逆に凸の部分の厚みが凹の部分より薄くてもかまわない。
すなわち、図5に示すように、少なくとも無端ベルト62の内面側に凹凸部62Aを有していれば良く、外面側は平面であっても良いし、さらには内面と反転した形状であってもかまわない。但し、この場合には、柔軟性を有する伸縮可能な表面層62Bが形成されている必要がある。
また無端ベルト62の回転軸方向の厚み分布も均一である必要は無く、たとえば中央に対して両端部の厚みを厚くしたりその逆にしたりすることも可能である。
また、無端ベルト62内面の微細な表面形状あるいは表面粗さは特に制限はなく、摺動用潤滑剤を保持し、低摩擦シートとの摺動抵抗を低く維持するために、ブラスト処理された金型面を転写したランダムな凹凸形状であったり、切削目などからなる筋状の凹凸、綾目ローレット状の凹凸あるいは鏡面状態のものであったりしてもかまわない。
<無端ベルト62の作用>
無端ベルト62は、挟込領域外においては圧力が加わっておらず、図1に示すように、凹凸部62Aが凹凸状となっている。このとき、無端ベルト62上に配置された用紙Kも、凹凸部62Aに沿って凹凸状となっている。
無端ベルト62の凹凸部62A上に用紙Kが重なった状態で、無端ベルト62及び用紙Kが挟込領域に導入すると、図2に示すように、挟込領域の圧力により用紙Kを両側端に引き伸ばす張力が働くと共に、無端ベルト62の凹凸部62Aも回転体の表面形状に沿った直線に近い断面形状に伸びながら、直線に近い断面形状に変形する。これにより、凹凸部62Aの無い無端ベルト62に比べ、用紙Kの側端部と無端ベルト62表面とのスリップが少なくなる。
<無端ベルト62の材料>
本実施形態の無端ベルト62の基層に用いられる耐熱性の材質としては、公知の各種プラスチック材料および金属材料のものの中から適宜選択して使用することができる。
プラスチック材料のなかでは一般にエンジニアリングプラスチックと呼ばれるものが適しており、例えばフッソ樹脂、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、全芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)などが好ましい。また、この中でも機械的強度、耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性等に優れる熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂などが好ましい。
また、無端ベルト62の基層に用いられる金属材料としては、特に制限は無く、各種金属や合金材料が適宜使用可能で、例えばSUS、ニッケル、銅、アルミ、鉄などが好適に使用可能である。また、前記耐熱性樹脂や前記金属材料を複数積層することも可能である。
また、本実施形態の無端ベルト62には、前記樹脂や金属及び複数の積層材料に加えてゴム材料も積層することが可能であり、各種ゴム材料の中から適宜使用可能である。各種ゴム材料としては、例えば、ウレタンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、シリコーンゴム、フッ素ゴム(FKM)などが上げられ、特に耐熱性、加工性に優れたシリコーンゴムが好ましい。該シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)などが挙げられる。
また、無端ベルト62が定着用ベルトとして使用される場合には表面離型層として最外表面層に非粘着性の高いフッ素樹脂が積層されることが好ましく、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂挙げられ、特に耐熱性、機械特性等の面からポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)あるいはこれらの変性体が好適に用いられる。
また、複数に渡って積層された各層の厚さは、必ずしも均一である必要はなく、たとえば凹の部分の厚みが凸の部分より薄くても、あるいは逆であってもかまわない。また無端ベルト62の回転軸方向での厚さも均一なもので無くてもかまわない。たとえば中央に対して両端部の厚みを厚くすることも可能であり、あるいは逆であってもかまわない。また各層は、無端ベルト62の全面に渡って積層する必要はなく一部であってもかまわない。
また、無端ベルト62の各層には適宜、導電性、熱伝導性、絶縁性、剥離性、摺動性、補強等の目的に応じて、各種フィラーを添加することも可能である。フィラーとしては層状構造を持った潤滑性フィラー(例えば、二硫化モリブデン、六方晶窒化硼素、マイカ、グラファイト、二硫化二硫化モリブデン、タルク)、導電性を有するフィラー(例えば、カーボンブラック、黒鉛)、耐熱性樹脂を含んで構成されるフィラー(例えば、耐熱性樹脂がイミド系樹脂、アミド系樹脂、及び全芳香族ポリエステル系樹脂から選択されるフィラー:例えばポリイミド、液晶ポリマー、アラミド)、各種フッ素樹脂粉末、その他(ガラス粉末、珪酸アルミ、炭素繊維、ブロンズ、チタン酸カリウム、酸化チタン、金属粉末、硫酸バリウム、金属酸化物、炭化物、窒化物、ケイ酸塩化合物)などが使用可能である。
<無端ベルト62の製造方法>
また、本実施形態の無端ベルト62の製造方法としては、例えば以下の様な方法が挙げられる。
アルミニウムなどの金属からなる円筒状の金型表面に無端ベルト62に設けたい凹凸に対応したピッチ及び深さ及び形状の溝を螺旋状に設け、前記金型表面に離型剤を塗布した後、耐熱性樹脂を被服し、さらに熱などを加えて狙いの形状に安定化させた後に、螺旋溝にそって回転させながら金型より取り外すことによって作製することが可能である。また図4のような螺旋溝を中央部から左右で逆巻きにした場合には金型を中央部から分割することによって製造可能である。
また、あらかじめ凹凸のない平らな金型に耐熱性樹脂を被服し、さらに前記耐熱性樹脂が完全に安定化しない程度に加熱したのち、続いて無端ベルト62に設けたい凹凸に対応したピッチ及び深さ及び形状の溝を螺旋状に設けた第2の金型に被せ変え、さらに前記耐熱性樹脂が完全に安定化する程度に加熱して、狙いの形状に収縮および安定化させた後に螺旋溝にそって回転させながら、金型を取り外すことによって作製することが可能である。また前記金型としては線状あるいは板状の金属をスプリング状に巻いたものも使用可能である。
また、凹凸のない平らな金型に耐熱性樹脂を被服し、さらに前記耐熱性樹脂が完全に安定化しない程度に加熱して凹凸の無い無端ベルト62を製作したのち、無端ベルト62に設けたい凹凸に対応したピッチ及び深さ及び形状の平行な溝を有し、かつ回転可能な複数本のシャフトを使用し、ベルト内側に挿入してベルト内側から外側に向かって張力および熱を加えながら変形と同時に安定化させることによって製造可能である。あるいは無端ベルト62に設けたい凹凸に対応したピッチ及び深さ及び形状の平行な溝を有する2本のシャフトでベルトの内側と外側から圧力と熱を加えた状態で挟みながら回転させ所定の形状に変形させたりすることも可能である。
また、線膨張係数が小さく焼成後に、金型に比べ収縮小さい耐熱性樹脂(たとえばポリイミド)においては、凹凸溝の無い平らな金型において、通常は前面に離型剤をコーティングするのに対して、マスキングしたりあるいはいったん塗布した離型剤をはがしたりして、樹脂に対して離型性のない部分を螺旋状に設けた金型を使用しても製造することが可能である。この場合には前記離型性の低い線状部分が凹凸の凹の部分になりその他の部分が半円弧状の凸となる。ただし離型性の無い部分は広くしすぎると金型に張り付き脱型できなくなるため、離型性の無い部分は10〜500μm程度の細い線状とする必要がある。
また、金属ベルトなどにおいては電鍍や、ヘラ絞り加工時の芯金の形状を凹凸溝としたり、あるいは凹凸の無い無端ベルト62を製造したのち、エラストマーマンドレルを使用したバジル加工やハイドロフォーミング加工やあるいは無端ベルト62に設けたい凹凸に対応したピッチ及び深さ及び形状の平行な溝を有するシャフトでベルトの内側と外側から圧力を加えた状態で挟みながら回転させ所定の形状に変形させたりすることも可能である。また、凹凸形状を形成した樹脂に鍍金や蒸着などによって金属を積層することも可能である。
また、表面にシリコーンゴムやフッ素ゴムなど弾性層やさらにフッ素樹脂等の離型層をスプレーコート、フローコート、ディップコート、ロールコート、バーコート、スピンコートあるいはチュービングなどによって被服することが可能である。凹凸を有する基体上にコーティングする場合には、コーティング材料やコーティング膜厚によっては凹凸に対応した膜厚が変動する場合があるが、均一な膜厚にする場合には、基材に対してあらかじめ軸方向に張力を与えて平らな状態に引っ張って固定した上でコーティングした後、張力を解除することによって、均一な膜厚とすることができる。
<定着装置>
次に、本実施形態に係る無端ベルト62を用いた定着装置について説明する。
定着装置としては種々の構成が考えられ、以下に、第1実施形態として、加熱源を有する定着ロールと圧力パッドが押圧された無端ベルトと備えた定着装置を説明し、第2実施形態として、加熱源が押圧された無端ベルトの一例としての定着ベルトと加圧ロールと備えた定着装置を説明する。
[定着装置の第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る定着装置60について説明する。図6は、第1実施形態の定着装置60の構成を示す概略図である。
定着装置60は、図6に示すように、回転駆動する回転体の一例としての定着ロール61と、無端ベルト62と、無端ベルト62を介して定着ロール61を加圧する圧力部材の一例としての圧力パッド64とを備えて構成されている。なお、圧力パッド64は、無端ベルト62と定着ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、無端ベルト62側が定着ロール61に加圧されても良く、定着ロール61側が定着ロール61に加圧されても良い。
定着ロール61は、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612及び離型層613を積層して構成されたものである。定着ロール61の内部には、挟込領域において未定着トナー像を加熱する加熱手段の一例としてのハロゲンランプ66が配設されている。加熱手段としては、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材を用いてもよい。
一方、定着ロール61の表面には感温素子69が接触して配置されている。この感温素子69による温度計測値に基づいて、ハロゲンランプ66の点灯が制御され、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、150℃)を維持される。
無端ベルト62は、内部に配置された圧力パッド64とベルト走行ガイド63と、後段で述べる両端部に配置されたエッジガイド80によって回転自在に支持されている。そして、挟込領域Nにおいて定着ロール61に対して圧接されて配置されている。
圧力パッド64は、無端ベルト62の内側において、無端ベルト62を介して定着ロール61に加圧される状態で配置され、定着ロール61との間で挟込領域Nを形成している。圧力パッド64は、幅の広い挟込領域Nを確保するためのプレ挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、定着ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
さらに、無端ベルト62の内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を小さくするために、プレ挟込部材64a及び剥離挟込部材64bの無端ベルト62と接する面に低摩擦シート68が設けられている。そして、圧力パッド64と低摩擦シート68とは、金属製のホルダ65に保持されている。
さらに、ホルダ65にはベルト走行ガイド63が取り付けられ、無端ベルト62がスムーズに回転することができるように構成されている。すなわち、ベルト走行ガイド63は、無端ベルト62内周面と摺擦するため、静止摩擦係数の小さな材質で形成されている。また、ベルト走行ガイド63は、無端ベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
そして定着ロール61は、図示しない駆動モータにより矢印C方向に回転し、この回転に従動して無端ベルト62は、定着ロール61の回転方向と反対の方向へ回転する。すなわち、定着ロール61が図6における時計方向へ回転するのに対して、無端ベルト62は反時計方向へ回転する。
未定着トナー像を有する用紙Kは、定着入口ガイド56によって導かれて、挟込領域Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上のトナー像は挟込領域Nに作用する圧力と、定着ロール61から供給される熱とによって定着される。
第1実施形態の定着装置60では、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状のプレ挟込部材64aにより、プレ挟込部材64aがない構成に比して、広い挟込領域Nを確保される。
また、第1実施形態に係る定着装置60では、定着ロール61の外周面に対し突出させて剥離挟込部材64bを配置することにより、挟込領域Nの出口領域において定着ロール61の歪みが局所的に大きくなるように構成されている。
このように剥離挟込部材64bを配置すれば、定着後の用紙Kは、剥離挟込領域を通過する際に、局所的に大きく形成された歪みを通過することになるので、用紙Kが定着ロール61から剥離しやすい。
また、剥離の補助手段として、定着ロール61の挟込領域Nの下流側に、剥離部材70を配設されている。剥離部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
以下、第1実施形態に係る定着装置60に使用される無端ベルト62以外の部材について詳細に説明する。
定着部材としての定着ロール61としては、その形状、構造、大きさ等について特に制限はなく、目的に応じてそれ自体公知のものの中から適宜選択して使用することができる。定着ロール61は、円筒状のコア611と、その表面に形成された弾性層612と、更にその弾性層の表面に形成された離型層613を備えてなる。
このような定着ロール61は公知の製造方法で製造することが可能で、一般的には円筒状のコア611の周りに弾性層612を形成する為の金型を配置し、液状ゴムを金型と円筒状コア611の隙間に流し込んだ後に加硫し固め、その上で、表面にPFA等の樹脂スリーブを装着したものが使用できる。
円筒状のコア611の材質としては、機械的強度に優れ、伝熱性が良好である材質ならば特に制限はないが、例えば、アルミニウム(例えば、A−5052材)、SUS、鉄、銅等の金属、合金、セラミックス、FRMなどが挙げられる。第1実施形態の定着装置60では外径φ25mm、肉厚0.5mm、長さ360mmの円筒体で構成されている。
弾性層612の材質としては、公知の材質の中から適宜選択できるが、耐熱性の高い弾性体であればどのような材料を用いることも可能である。特に、ゴム硬度が15〜45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましく、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。
第1実施形態においては、これらの材質の中でも、表面張力が小さく、弾性に優れる点でシリコーンゴムが好ましい。該シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)などが挙げられる。
なお、弾性層612の厚みとしては、3mm以下であることが好ましく、0.5〜1.5mmの範囲であることがより好ましい。第1実施形態の定着装置60では、ゴム硬度が35°(JIS−A)のHTVシリコーンゴムを600μmの厚さでコアに被覆している。
離型層613の材質としては、トナー画像に対し、適度な離型性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの材質の中でもフッ素樹脂が好適に挙げられる。
フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂挙げられる。
特に耐熱性、機械特性等の面からポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)が好適に用いられる。
離型層613の厚みとしては、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。離型層613の厚みが5μm未満であると、用紙端部付近での定着ロール61の歪みに基づく離型層のしわや摩滅が生じやすくなり、一方、50μmを超えると、離型層が硬くなり、画像に光沢ムラ等の欠陥が生じる可能性が増え、ともに好ましくないからである。
離型層613の厚みとしては、通常、10〜100μmであり、好ましくは20〜30μmである。前記離型層613を前記コアの表面に形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、押出し成型によって形成されたチューブを被覆する方法が挙げられる。第1実施形態の定着装置60では、厚さ30μmのPFAを被覆している。
定着ロール61を加熱する加熱源としては、上述のように、例えばハロゲンランプ66が用いられ、上記コアの内部に収容することができる形状、構造のものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。ハロゲンランプ66により加熱された定着ロール61の表面温度は、定着ロール61に設けられた感温素子により計測され、制御手段によりその温度が一定に制御される。感温素子としては、特に制限はなく、例えば、サーミスタ、温度センサなどが挙げられる。
無端ベルト62の内部に配置された圧力パッド64は、上述したように、プレ挟込部材64aと剥離挟込部材64bとで構成され、バネや弾性体によって定着ロール61を、例えば32kgfの荷重で押圧するようにホルダ65に支持されている。定着ロール61側の面は、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹状曲面で形成されている。また定着時の熱による劣化を防止するという観点からすれば、それぞれの材質は耐熱性を具備するもので構成することが好ましい。
なお、無端ベルト62の内部に配置された圧力パッド64は、無端ベルト62を介して定着ロール61を加圧し、無端ベルト62と定着ロール61との間に、未定着トナー像を保持する用紙Kが通過可能な挟込領域Nが形成することができる機能を有していれば形状や材質に特に制限はなく、さらには圧力パッド64に加え、定着ロール61に対して加圧しつつ回転する加圧ローラなどを並設することも可能である。
プレ挟込部材64aには、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性エラストマーや板バネ等の弾性体を用いることができ、これらの材質の中でも、弾性に優れる点でシリコーンゴムが好ましい。該シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)などが挙げられる。硬度の点からJIS−A硬度10〜40°のシリコーンゴムが好適に用いられる。弾性体の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。第1実施形態の定着装置60では、幅10mm、厚さ5mm、長さ320mmのシリコーンゴムを用いている。
剥離挟込部材64bは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離挟込部材の形状としては、挟込領域Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸状曲面に形成されている。そして、本実施の形態の定着装置60では、無端ベルト62は、圧力パッドにより定着ロール61に約40°の巻き付き角度でラップされ、約8mm幅の挟込領域Nを形成している。
低摩擦シート68は、無端ベルト62内周面と圧力パッド64との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減するために設けられ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性・耐熱性に優れた材質が適している。
この低摩擦シート68の材質としては、金属、セラミックス、樹脂等各種材料を採用することが可能であるが、具体的には、耐熱性樹脂であるフッ素樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の他、6−ナイロンあるいは6,6−ナイロンのナチュラル材や、これらにカーボンやガラス繊維等を添加した材料を用いることができる。
この中でも無端ベルト62との接触面側が、無端ベルト62内面との摺動抵抗が小さくかつ潤滑剤が保持される表面に微細な凹凸形状を有するフッ素樹脂シートが好ましい。
具体的には、シンタード成型したPTFE樹脂シート、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維シート、またガラス繊維にフッ素樹脂からなるスカイブフィルムシートを加熱融着サンドした積層シートやあるいはフッ素樹脂シートに筋状の凹凸を設けたもの等を用いることができる。
なお、低摩擦シート68は、プレ挟込部材64aや剥離挟込部材64bと別体に構成しても、プレ挟込部材64aや剥離挟込部材64bと一体的に構成しても、いずれでもよい。
さらに、ホルダ65には、定着装置60の長手方向に亘って潤滑剤塗布部材67が配設されている。潤滑剤塗布部材67は、無端ベルト62内周面に対して接触するように配置され、潤滑剤を適量供給する。これにより、無端ベルト62と低摩擦シート68との摺動部に潤滑剤を供給し、低摩擦シート68を介した無端ベルト62と圧力パッドとの摺動抵抗をさらに低減して、無端ベルト62の円滑な回転を図っている。また、無端ベルト62の内周面や低摩擦シート68表面の摩耗を抑制する効果も有している。
潤滑剤としてはシリコーンオイルが好ましく、シリコーンオイルとしてはジメチルシリコーンオイル、有機金属塩添加ジメチルシリコーンオイル、ヒンダードアミン添加ジメチルシリコーンオイル、有機金属塩およびヒンダードアミン添加ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、有機金属塩添加アミノ変性シリコーンオイル、ヒンダードアミン添加アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、スルホン酸変性シリコーンオイル等を用いることもできるが、濡れ性に優るアミノ変性シリコーンオイルがより好ましい。
また、耐熱性により優れた性能が必要な場合、メチルフェニルシリコーンオイルあるいはフッ素オイル(パーフルオロポリエーテルオイル、変性パーフルオロポリエーテルオイル)などを使用することも好適である。なお、耐熱性を向上させるためにシリコーンオイル中に微量の酸化防止剤を添加することも可能である。その他固形物質と液体とを混合させた合成潤滑油グリース、例えばシリコーングリス、フッ素グリス等、さらにはこれらを組み合わせたものも用いることができる。第1実施形態の定着装置60では、粘度300csのアミノ変性シリコーンオイル(KF96:信越化学(株)製)を用いている。
また、ベルト走行ガイド63は、上述したように、無端ベルト62の内周面と摺擦するため、摩擦係数が低く、かつ、無端ベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質が適しており、PFAやPPS等の耐熱性樹脂が用いられる。
次に、定着装置60における無端ベルト62を支持する構成について述べる。
図7は、無端ベルト62が支持された状態を説明する定着装置60の端部を含んだ一部分の断面図であり、用紙Kの搬送方向下流側から見た図である。図7に示すように、ホルダ65の両端部にはエッジガイド80が配設されている。エッジガイド80は、挟込領域Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド801、ベルト走行ガイド801の外側に設けられ、無端ベルト62の内径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイドを定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803で構成されている。エッジガイド80は、ホルダ65の両端部にフランジ部802の内側面が固定されるようにして支持されている。その際、ベルト走行ガイド801は、ホルダ65の端部にオーバーラップするように構成されている。
このように、ベルト走行ガイド801は、エッジガイド80と一体に成型され、無端ベルト62端部付近の回転をガイドするものである。なお、上述のベルト走行ガイド63は、ホルダ65側に固定され、無端ベルト62の中央部付近をガイドするものであり、図7において図示を省略している。
そして、無端ベルト62は、挟込領域Nとその近傍を除いて、両側部の内周面がベルト走行ガイド63の外周面に支持され、ベルト走行ガイド63の外周面に沿って回転する。したがって、ベルト走行ガイド63は、無端ベルト62がスムーズに回転することができるように静止摩擦係数の小さな材質で形成され、さらには、無端ベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
また、フランジ部802は、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両フランジ部802の内側面が、無端ベルト62の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、無端ベルト62が回転する際には、無端ベルト62の端部がフランジ部802の内側面に当接することによって、無端ベルト62の幅方向への移動(ベルトウォーク)が規制されている。このように、無端ベルト62は、エッジガイド80によって片寄りが規制されるように設定されている。
[定着装置の第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る定着装置90について説明する。図8は、第2実施形態の定着装置90の構成を示す概略図である。
なお、第1実施形態に係る定着装置と同様な構成については、同様の符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図8に示すように、第2実施形態に係る定着装置90は、無端ベルトとしての定着ベルト92と、回転駆動する回転体の一例としての加圧ロール91とを備えて構成されている。定着ベルト92は、上述した無端ベルト62と同様に構成されている。
そして、定着ベルト92が用紙Kのトナー像保持面側に配置されるとともに、定着ベルト92の内側には、加熱手段の一例としての抵抗発熱体であるセラミックヒータ82が配設され、セラミックヒータ82から挟込領域Nに熱を供給するように構成している。
セラミックヒータ82は、加圧ロール91側の面がほぼフラットに形成されている。そして、定着ベルト92を介して加圧ロール91に加圧される状態で配置され、挟込領域Nを形成している。したがって、セラミックヒータ82は圧力部材としても機能している。挟込領域Nを通過した用紙Kは、挟込領域Nの出口領域(剥離挟込部)において定着ベルト92の曲率の変化によって定着ベルト92から剥離される。
さらに、定着ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、定着ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成してもよい。
一方、加圧ロール91は定着ベルト92に対向するように配置され、図示しない駆動モータにより矢印D方向に回転し、この回転に従動して定着ベルト92が回転するように構成されている。加圧ロール91は、コア (円柱状芯金)911と、コア911の外周面に被覆した耐熱性弾性体層912と、さらに耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層913とが積層されて構成され、必要に応じて各層はトナーのオフセット対策としてカーボンブラックなどの添加により半導電性化されている。
さらに、第2実施形態の定着装置90では、定着ベルト92は、原形が円筒形状に形成された無端ベルトであり、ベース層と、このベース層の加圧ロール91側の面または両面に被覆された離型層とから構成されている。
また、剥離の補助手段として、定着ベルト92の挟込領域Nの下流側に、剥離部材70を配設することも可能である。剥離部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト92と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
加えて、ホルダ95の両端部にはエッジガイド(不図示)が配設されている。エッジガイドは、ホルダ95の両端部において対向するように配置された両エッジガイドの内側面が、定着ベルト92の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、定着ベルト92が回転する際には、定着ベルト92の端部が両エッジガイドの内側面に当接することによって、定着ベルト92の幅方向への移動(ベルトウォーク)が規制されている。このように、定着ベルト92は、エッジガイドによって片寄りが規制されるように設定されている。
そして、未定着トナー像を有する用紙Kは、定着入口ガイドによって定着装置90の挟込領域Nに導かれる。用紙Kが挟込領域Nを通過する際には、用紙K上のトナー像は、挟込領域Nに作用する圧力と、定着ベルト92側のセラミックヒータから供給される熱とによって定着される。
ここで、第2実施形態の定着装置90においては、加圧ロール91は、両端部の外径が中央部の外径よりも大きい逆クラウン形状(フレア形状)に形成されるとともに、定着ベルト92も、内面に凹凸形状を有し、この凹凸形状は挟込領域においては前記加圧ロール91の表面形状に沿った形状に広がり変形するように構成されている。このように構成することによって、用紙が挟込領域を通過するに際して、加圧ロール91による用紙への中央部から両端部に向かって幅方向に引張力が作用することによって用紙が伸びるのとともに定着ベルト92の表面幅方向の長さも伸びる。
このため、第2実施形態の定着装置90でも、中央部から両端部に亘る全領域において、定着ベルト92は用紙Kに対してスリップを抑制される。
なお、加熱源としてはセラミックヒータ82以外に、無端ベルト62内部に設けたハロゲンランプであったり、あるいは無端ベルト62内部あるいは外部に設けた電磁誘導コイルによる電磁誘導発熱を利用したものであったりしてもかまわない。
また、無端ベルト62内部にフラットな圧力部材に加え定着ロール61に対して加圧しつつ回転する加圧ローラなどを並設することも可能である。
<画像形成装置>
次に、第1実施形態に係る定着装置を備えた本実施形態の画像形成装置について説明する。図9は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
図9に示される画像形成装置100は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60とを備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
この定着装置60が既述の第1実施形態の定着装置であり、当該定着装置は既述の本実施形態の無端ベルト62を有してなる。なお、画像形成装置100は、既述の第2実施形態に係る定着装置90を備える構成であってもよい。
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成される像を保持可能な像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体ドラム11を備えている。
感光体ドラム11の周囲には、前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段の一例として、感光体ドラム11を帯電させる帯電器12が設けられ、前記帯電手段により帯電した像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段の一例として、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザー露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
また、感光体ドラム11の周囲には、前記潜像形成手段により前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
さらに、感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザー露光器13、現像器14、一次転写ロール16及びドラムクリーナ17の電子写真用デバイスが感光体ドラム11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚みは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図9に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33、二次転写部20に設けられるバックアップロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5〜108.5Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、バックアップロール25と、前記現像手段により形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段の一例としての、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
バックアップロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10〜1010Ω/□となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5〜108.5Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
更に、本実施形態の画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙トレイ50、この用紙トレイ50に集積された用紙Kを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51、ピックアップロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。図9に示すような画像形成装置では、図示しない画像読取装置(IIT)や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置(IPS)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザー露光器13に出力される。
レーザー露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザーから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザー露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Kが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能であり、本発明の要件を満足する範囲内で実現可能であることは言うまでもない。
以下に、本実施形態の無端ベルト62と、比較例に係る無端ベルトとを作製し、定着装置及び画像形成装置に取り付けた時の評価結果を具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、芯体としては、外径30.0mm、長さ500mm、肉厚2mmのアルミ製円筒を用い、この表面にブラスト処理を施した後、更に芯体表面にはシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布して、260℃で1時間、焼き付け処理した。
次に、芯体表面へのPI前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製、固形分濃度:18%、粘度:約5Pa・s)をフローコーティング(螺旋巻き塗布)法により厚さ約110μmに塗布した後、110℃で40分間回転させながら乾燥した。フッ素樹脂(PFA)分散溶液(商品名:EN-710CL、三井・デュポンフロロケミカル社製)をスプレーコーティングによりコートしたのち、330℃で20分焼成し、ついで芯体表面から取り外した。
さらに金型軸方に沿って測定した深さ150μmでピッチが5mmで断面形状が正弦波に類似した溝を全長に渡って螺旋状に設けた平均外径29.85mmで第2の金型に被せ、380℃で45分間再度焼成を行い、無端ベルトを第2の金型の表面形状に沿って収縮および安定化させた。
さらに、前記焼成後の無端ベルトを螺旋溝に沿って回転させながら抜き取り、両端部をカットし、膜厚60μmのポリイミド樹脂の外周に、PFAを含有する膜厚25μmの被覆層が形成された全長340mm無端ベルトとしたものである。
またこのとき、出来上がった無端ベルトの内面の凹凸形状を測定したところほぼ第2の金型の表面形状を反転させた形状が得られ、深さ150μmでピッチが5mmであった。また平均外径は全長に渡って30.03mmのストレートな形状であった。
(実施例2)
まず、芯体としては、外径30.0mm、長さ500mm、肉厚2mmのアルミ製円筒を用い、この表面にブラスト処理を施した後、更に芯体表面にはシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布して、260℃で1時間、焼き付け処理した。
次に、芯体表面へのPI前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製、固形分濃度:18%、粘度:約5Pa・s)をフローコーティング(螺旋巻き塗布)法により厚さ約110μmに塗布した後、110℃で40分間回転させながら乾燥した。フッ素樹脂(PFA)分散溶液(商品名:EN-710CL、三井・デュポンフロロケミカル社製)をスプレーコーティングによりコートしたのち、330℃で20分焼成し、ついで芯体表面から取り外した。
さらに金型軸方に沿って測定した深さ150μmでピッチが5mmで断面形状が正弦波に類似した溝を金型端部側から中央部に向かって30°角度の螺旋状になるように左右対称に設けかつ金型中央部でインロウ式に分割可能とした平均外径29.85mmの第2のアルミニウム製金型に被せ、380℃で45分間再度焼成を行い、無端ベルトを第2の金型の表面形状に沿って収縮および安定化させた。
さらに、前記焼成後の無端ベルトを金型中央部で分割すると同時に、螺旋溝に沿って回転させながら抜き取り、両端部をカットし、膜厚60μmのポリイミド樹脂の外周に、PFAを含有する膜厚25μmの被覆層が形成された全長340mm無端ベルトとしたものである。
またこのとき、出来上がった無端ベルトの内面の軸方向に沿った凹凸形状を測定したところほぼ第2の金型の表面形状を反転させた形状が得られ、深さ150μmでピッチが5mmであった。また螺旋溝の無端ベルト円周方向との角度は30°で、ベルト中央部に対して左右対称であった。また平均外径は全長に渡って30.03mmのストレートな形状であった。
(実施例3)
まず、芯体としては、外径30.0mm、長さ500mm、肉厚2mmのアルミ製円筒を用い、この表面にブラスト処理を施した後、更に芯体表面にはシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布して、260℃で1時間、焼き付け処理した。
次に、芯体表面へのPI前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製、固形分濃度:18%、粘度:約5Pa・s)をフローコーティング(螺旋巻き塗布)法により厚さ約110μmに塗布した後、110℃で40分間回転させながら乾燥した。フッ素樹脂(PFA)分散溶液(商品名:EN-710CL、三井・デュポンフロロケミカル社製)をスプレーコーティングによりコートしたのち、330℃で20分焼成し、ついで芯体表面から取り外した。
さらに金型軸方に沿って測定した深さ30μmでピッチが0.8mmで断面形状が正弦波に類似した溝を金型端部側から中央部に向かって30°角度の螺旋状になるように左右対称に設けかつ金型中央部でインロウ式に分割可能とした平均外径29.97mmの第2のアルミニウム製金型に被せ、380℃で45分間再度焼成を行い、無端ベルトを第2の金型の表面形状に沿って収縮および安定化させた。
さらに、前記焼成後の無端ベルトを金型中央部で分割すると同時に、螺旋溝に沿って回転させながら抜き取り、両端部をカットし、膜厚60μmのポリイミド樹脂の外周に、PFAを含有する膜厚25μmの被覆層が形成された全長340mm無端ベルトとしたものである。
またこのとき、出来上がった無端ベルトの内面の軸方向に沿った凹凸形状を測定したところほぼ第2の金型の表面形状を反転させた形状が得られ、深さ30μmでピッチが0.8mmであった。また螺旋溝の無端ベルト円周方向との角度は30°で、ベルト中央部に対して左右対称であった。また平均外径は全長に渡って30.15mmのストレートな形状であった。
(実施例4)
まず、芯体としては、外径30.0mm、長さ500mm、肉厚2mmのアルミ製円筒を用い、この表面にブラスト処理を施した後、更に芯体表面にはシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布して、260℃で1時間、焼き付け処理した。
次に芯体表面へのPI前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製、固形分濃度:18%、粘度:約5Pa・s)をフローコーティング(螺旋巻き塗布)法により厚さ約110μmに塗布した後、110℃で40分間回転させながら乾燥した。フッ素樹脂(PFA)分散溶液(商品名:EN-710CL、三井・デュポンフロロケミカル社製)をスプレーコーティングによりコートしたのち、330℃で20分を焼成し、ついで芯体表面から取り外した。
さらに金型軸方に沿って測定した深さ30μmでピッチが0.8mmで断面形状が正弦波に類似した溝を金型端部側から中央部に向かって30°角度の螺旋状になるように左右対称に設けかつ金型中央部でインロウ式に分割可能とした金型であって、金型中部の平均外径が29.87mmで中部から170mm離れた位置での平均外径が左右それぞれ29.97mmとなるような逆クラウン状の第2のアルミニウム製金型に被せ、380℃で45分間再度焼成を行い、無端ベルトを第2の金型の表面形状に沿って収縮および安定化させた。
さらに、前記焼成後の無端ベルトを金型中央部で分割すると同時に、螺旋溝に沿って回転させながら抜き取り、両端部をカットし、膜厚60μmのポリイミド樹脂の外周に、PFAを含有する膜厚25μmの被覆層が形成された全長340mm無端ベルトとしたものである。
またこのとき、出来上がった無端ベルトの内面の軸方向に沿った凹凸形状を測定したところほぼ第2の金型の表面形状を反転させた形状が得られ、深さ30μmでピッチが0.8mmであった。また螺旋溝の無端ベルト円周方向との角度は30°で、ベルト中央部に対して左右対称であった。また無端ベルトの平均外径は端部が30.15mm、中央部が30.05mmで、平均外径で約100μmの逆クラウン形状であった。
(実施例5)
まず、芯体としては、外径30.0mm、長さ500mm、肉厚2mmのアルミ製円筒を用い、この表面にブラスト処理を施した後、更に芯体表面にはシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布して、260℃で1時間、焼き付け処理した。
次に芯体表面へのPI前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製、固形分濃度:18%、粘度:約5Pa・s)をフローコーティング(螺旋巻き塗布)法により厚さ約110μmに塗布した後、110℃で40分間回転させながら乾燥したのち、330℃で20分焼成し、ついで芯体表面から取り外した。
さらに金型軸方に沿って測定した深さ60μmでピッチが4.5mmで断面形状が正弦波に類似した溝を全長に渡って螺旋状に設けた平均外径29.94mmで第2の金型に被せ、380℃で45分間再度焼成を行い、無端ベルトを第2の金型の表面形状に沿って収縮および安定化させた。さらに、前記焼成後の無端ベルトを螺旋溝に沿って回転させながら抜き取り、両端部をカットし、膜厚60μmのポリイミド樹脂からなる全長380mm無端ベルトを作成した。
次に、この前記無端ベルトを外径29.9mmのストレートな形状のアルミニウム製の第3の金型に挿入するとともに、無端ベルト両端部に張力を加え無端ベルト上の凹凸がフラットな状態に引き伸ばした状態で両端部を金型に固定した。
次に、その表面にシランカップリング剤系プライマーを塗布した。プライマーは(商品名:DY39−067 東レダウコーニングシリコーン株式会社製 )を用い刷毛で均一に塗布した後、室温(25℃)で30分間乾燥した。
次に液状シリコーンゴム(商品名:DY35−2128 東レダウコーニングシリコーン株式会社製)A,B2液をあらかじめ1:1の割合で混合した液状ゴムをフローコート(螺旋巻き塗布)法により、前記金型上に引き伸ばして固定したポリイミド製の無端ベルトの外面に塗布した。その後150℃の温度で15分間一次加硫を行い、さらに200℃で4時間加熱して前記金型上に引き伸ばして固定したポリイミド製の無端ベルトの外面にシリコーンゴムが厚さ250μmに形成された2層構造の管状体とした。
次に、前記シリコーンゴム層の表面をアセトンで洗浄したのち、プライマーの濡れ性をよくする為に短波長の紫外線を照射3分間照射してから、フッ素樹脂とシリコーンゴム用のプライマー(商品名:PR―990CL 三井・デュポンフロロケミカル社製)を塗布し、常温で15分間乾燥した。次に、フッ素樹脂(PFA)分散溶液(商品名:PFA HP-Plus945 ディスパージョン、三井・デュポンフロロケミカル社製)を粘度300mP・sに調整したのち、スプレーコーティングによりコーティングして、80℃で15間乾燥したのち、窒素雰囲気中で330℃のイナートオーブンに20分間入れ、シリコーンゴム層の上にPFAを20μmの厚さで被覆した。
次に、前記ポリイミドの上にシリコーンゴムとPFAを被覆した無端ベルトを金型より取り外し、両端部をカットし、膜厚60μmのポリイミド樹脂の上にシリコーンゴム250μmおよびPFA20μmを被覆し、かつからなる全長340mm無端ベルトを作成した。
またこのとき、出来上がった無端ベルトの内面の凹凸形状を測定したところ、深さ53μmでピッチが5.1mmであった。また平均外径は全長に渡って30.61mmのストレートな形状であった。
(比較例1)
まず、芯体としては、外径30.0mm、長さ500mm、肉厚2mmのアルミ製円筒を用い、この表面にブラスト処理を施した後、更に芯体表面にはシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布して、260℃で1時間、焼き付け処理した。
次に芯体表面へのPI前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製、固形分濃度:18%、粘度:約5Pa・s)をフローコーティング(螺旋巻き塗布)法により厚さ約110μmに塗布した後、110℃で40分間回転させながら乾燥した。次にフッ素樹脂(PFA)分散溶液(商品名:EN-710CL、三井・デュポンフロロケミカル社製)をスプレーコーティングによりコートしたのち、380℃で45分焼成し、ついで芯体表面から取り外した。
そして、両端部をカットし、膜厚60μmのポリイミド樹脂の外周に、PFAを含有する膜厚25μmの被覆層が形成された全長340mm無端ベルトとしたものである。
またこのとき、出来上がった無端ベルト平均外径は全長に渡って30.18mmのストレートな形状であった。
(比較例2)
まず、芯体としては、外径30.0mm、長さ500mm、肉厚2mmのアルミ製円筒を用い、この表面にブラスト処理を施した後、更に芯体表面にはシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布して、260℃で1時間、焼き付け処理した。次に芯体表面へのPI前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製、固形分濃度:18%、粘度:約5Pa・s)をフローコーティング(螺旋巻き塗布)法により厚さ約110μmに塗布した後、110℃で40分間回転させながら乾燥したのち、380℃で45分焼成し、ついで芯体表面から取り外した。さらに、両端部をカットし、膜厚60μmのポリイミド樹脂からなる全長380mm無端ベルトを作成した。
次に、この前記無端ベルトをアルミニウムからなる外径30.0mmのストレートな形状の第2の金型に挿入するとともに金型に固定した。
次に、その表面にシランカップリング剤系プライマーを塗布した。プライマーは(商品名:DY39−067 東レダウコーニングシリコーン株式会社製)を用い刷毛で均一に塗布した後、室温(25℃)で30分間乾燥した。次に液状シリコーンゴム(商品名:DY35−2128 東レダウコーニングシリコーン株式会社製)A,B2液をあらかじめ1:1の割合で混合した液状ゴムをフローコート(螺旋巻き塗布)法により、前記金型上に引き伸ばして固定したポリイミド製の無端ベルトの外面に塗布した。
その後150℃の温度で15分間一次加硫を行い、さらに200℃で4時間加熱して前記金型上に引き伸ばして固定したポリイミド製の無端ベルトの外面にシリコーンゴムが厚さ250μmに形成された2層構造の管状体とした。
次に、前記シリコーンゴム層の表面をアセトンで洗浄したのち、プライマーの濡れ性をよくする為に短波長の紫外線を照射3分間照射してから、フッ素樹脂とシリコーンゴム用のプライマー(商品名:PR―990CL 三井・デュポンフロロケミカル社製)を塗布し、常温で15分間乾燥した。次に、フッ素樹脂(PFA)分散溶液(商品名:PFA HP-Plus945 ディスパージョン、三井・デュポンフロロケミカル社製)を粘度300mP・sに調整したのち、スプレーコーティングによりコーティングして、80℃で15間乾燥したのち、窒素雰囲気中で330℃のイナートオーブンに20分間入れ、シリコーンゴム層の上にPFAを20μmの厚さで被覆した。
次に、前記ポリイミドの上にシリコーンゴムとPFAを被覆した無端ベルトを金型より取り外し、両端部をカットし、膜厚60μmのポリイミド樹脂の上にシリコーンゴム250μmおよびPFA20μmを被覆し、かつからなる全長340mm無端ベルトを作成した。また、平均外径は全長に渡って30.67mmのストレートな形状であった。
次に、実施例1〜4で作製した無端ベルト及び比較例1、2の無端ベルトの評価結果を説明する。
この評価では、実施例1〜4で作製した無端ベルト及び比較例1、2の無端ベルトを、無端ベルト62として、図6に示す第1実施形態に係る定着装置60に取り付け、さらに定着装置60を画像形成装置100に取り付けて行った。
ついで、紙シワやその他の画像ディフェクトの発生状況をモニターしながら、表と裏合わせて50,000枚両面画像印刷を実施したのち、定着装置60を画像形成装置100より取り出し、さらに定着装置60を分解して無端ベルトを取り出し、無端ベルト表面離型層の最大摩耗量を測定した。
定着ロール61は肉厚0.5mm、外径25mmの炭素鋼管からなるパイプに上にシリコーンゴム(信越化学工業製LSR)を厚さ0.6mmで且つ最外表面層に厚さ30μmのPFAチューブ(三井・デュポンフロロケミカル社製950HP-Plusを押し出し成型し、内面をエキシマレーザー処理したもの)が一体に被覆されるように注入成型を行ったものである。
また挟込領域では、定着ロール61に対して圧力パッド64が通常は32Kgの荷重で加圧されるのに対して摩耗の加速条件として約1割高い35kgfの荷重で加圧され、また中央部に対して両端部の荷重が約1.5倍となるように設定されている。
なお、通常の定着装置においては潤滑剤保持部材にアミン変性シリコーンオイルなどの潤滑剤を十分に含浸させるが、無端ベルト62の耐久性および紙シワ性能確認の為の加速条件として潤滑オイルを摺動シート表面に薄く塗布するのみで無端ベルト62を定着装置60に装着した。
評価の結果、実施例1〜4および比較例1、2における無端ベルト62表面離型層の最大摩耗量はそれぞれ、実施例1では3.8μm、実施例2では2.9μm、実施例3では2.4μm、実施例4では2.0μmであった。これに対して比較例1では19.2μm、比較例2では17.3μmであった。
また、紙シワの発生状況(発生率)はそれぞれ、実施例1では0.02%、実施例2では0.006%、実施例3では0%(未発生)、実施例4では0%(未発生)であった。これに対して比較例1では0.8%、比較例2では0.2%であった。
これらの結果から分かるように、本実施例の無端ベルトでは比較例に係る無端ベルトに比べ、用紙側端部での摩耗及び紙シワに対して優れていることが分かる。
次に、実施例5で作製した無端ベルト及び比較例2の無端ベルトの評価結果を説明する。
この評価では、実施例5で作製した無端ベルト及び比較例2の無端ベルトを、定着ベルト92として、図8に示す第2実施形態に係る定着装置90に取り付け、さらに定着装置90を画像形成装置100に取り付けて行った。
ついで、紙シワやその他の画像ディフェクトの発生状況をモニターしながら、表と裏合わせて500,000枚両面画像印刷を実施したのち、定着装置90を画像形成装置100より取り出し、さらに定着装置90を分解して定着ベルト92を取り出し、定着ベルト92表面離型層の最大摩耗量を測定した。
加圧ロール91は外径23mm中実の鉄製状芯金にシリコーンゴム(信越化学工業製LSR)を厚さ3.5mmでかつ最外表面層に厚さ50μmのPFAチューブ(三井・デュポンフロロケミカル社製950HP-Plusを押し出し成型し、内面をエキシマレーザー処理したもの)が一体に被覆されるように注入成型を行ったもので、また中央部に対して端部の外径が50μm大きい逆クラウン形状ある。
また挟込領域Nでは定着ベルト92に対して加圧ロール91が通常は20Kgの荷重で加圧されるのに対して摩耗の加速条件として約1割高い22Kgの荷重で加圧されている。
なお、通常の定着装置においては挟込領域にフッ素グリスなどの潤滑剤を充填するが、定着ベルト92の耐久性および紙シワ性能確認の為の加速条件として潤滑剤を充填せずに定着ベルト92を前記定着装置90に装着した。
評価の結果、実施例5および比較例2における無端ベルト表面離型層の最大摩耗量はそれぞれ、実施例5では0.4μmであった。これに対して比較例2では、5.5μmであった。
また、紙シワの発生状況(発生率)はそれぞれ、実施例5では0%(未発生)であった。これに対して比較例2では0.2%であった。また比較例2では剥離不良も数回発生したが、実施例5では未発生であった。
これらの結果から分かるように、本実施例5の無端ベルトでは比較例2に係る無端ベルトに比べ、用紙側端部での摩耗及び紙シワやその他(剥離不良)などに対しても優れている。
図1は、本実施形態に係る無端ベルトを示し、挟込領域以外に位置して圧力が加わっていない状態の断面図である。 図2は、本実施形態に係る無端ベルトを示し、挟込領域に位置して凹凸部が圧力により引き伸ばされた状態の断面図である。 図3は、無端ベルトをその回転軸方向に平行な線で切断して平面状に展開した図であり、複数の溝が無端ベルトの回転方向に沿って形成された無端ベルトを示す。 図4は、無端ベルトをその回転軸方向に平行な線で切断して平面状に展開した図であり、無端ベルトの回転方向に対して角度を有する複数の溝が形成された無端ベルトを示す。 図5は、内面側にのみ凹凸部を有する無端ベルトの構成を示す断面図である。 図6は、第1実施形態の定着装置の構成を示す概略図である。 図7は、無端ベルトが支持された状態を説明する定着装置の端部を含んだ一部分の断面図であり、用紙の搬送方向下流側から見た図である。 図8は、第2実施形態の定着装置の構成を示す概略図である。 図9は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
符号の説明
11 感光体ドラム(像保持体)
12 帯電器(帯電手段)
13 レーザー露光器(潜像形成手段)
14 現像器(現像手段)
22 二次転写ロール(転写手段)
60 定着装置
61 定着ロール(回転体)
62A 凹凸部
62 無端ベルト
66 ハロゲンランプ(加熱手段)
82 セラミックヒータ(加熱手段)
90 定着装置
91 加圧ロール(回転体)
92 定着ベルト(無端ベルト)
100 画像形成装置
K 用紙(シート)
N 挟込領域

Claims (3)

  1. 回転駆動する回転体に表面が相対的に押し付けられて該回転体との間にシートを挟み込む挟込領域を形成し、前記回転体に従動して回転し、前記挟込領域に導入される前記シートを前記回転体とで搬送し、前記挟込領域において前記回転体の回転軸方向に沿って広がり変形する凹凸状の凹凸部が少なくとも内面の一部に複数形成されている無端ベルト。
  2. 請求項1に記載の回転体と、
    未定着トナー像を有する前記シートを挟み込む挟込領域を形成する請求項1に記載の無端ベルトと、
    前記挟込領域において前記未定着トナー像を加熱する加熱手段と、
    を備えた定着装置。
  3. 表面に形成される像を保持可能な像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
    前記帯電手段により帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記潜像形成手段により前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記現像手段により形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記転写手段により転写された未定着トナー像を前記シートとしての前記記録媒体に定着させる請求項2に記載の定着装置と、
    を備えた画像形成装置。
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JP2019061044A (ja) * 2017-09-26 2019-04-18 富士ゼロックス株式会社 定着装置及び画像形成装置

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