JP2014088687A - 杭体造成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ケーシング掘削による掘削孔にコンクリートを打設して杭体を造成する工事において、孔細りを確実に防止でき、設計杭径を確実に確保できる方法を提供する。
【解決手段】本発明の杭体造成方法は、コンクリートを加圧する泥水をケーシング内側の掘削孔に入れる工程と、該泥水を押し上げるようにコンクリートを掘削孔に打設する工程とを含んでいる。この方法では、例えばコンクリートの打設開始から完了までの間、打設コンクリートの天端が泥水を押し上げるように、該コンクリートを打設する。また、打設完了までの間は、該泥水を掘削孔の孔口付近まで満たしておくとともに、その水頭位をほぼ一定に保つように回収・管理する。これにより、打設済部分についてケーシングを引き抜いても、引き抜き範囲での未固結コンクリートの内圧(側圧)が、孔壁の土圧や上載圧などの外圧に負けることがなく、孔細りを確実に防止でき、設計杭径を確保できる。
【選択図】図1

Description

開示技術は、ケーシングを圧入して掘削孔を形成し、該掘削孔に自硬性流体を打設して杭体を造成する方法に関するものである。
現場で造成した掘削孔にコンクリートを充填することで杭体を造成する技術が広く知られている。例えば、その種の技術に属するオールケーシング工法では、下端に掘削ビットを具備するケーシング(掘削ケーシング)を掘削孔全長にわたり回転圧入すると共に、圧入されたケーシング内側の土砂をハンマーグラブで掴んで地上に排土して、所定深度の掘削孔を形成し、次いで、そのケーシング内側の掘削孔内に鉄筋カゴを挿入して建て込み、続いて、トレミー管を用いてコンクリートを打設しつつケーシングを引き抜いて場所打ちコンクリート杭を造成する(特許文献1)。
上述したような、杭全長にわたってケーシングを圧入し掘削する方法、いわゆるケーシング掘削では、該ケーシングによって孔壁崩壊が確実に防止され、また、礫層や玉石層などの掘削が容易であるという利点があるため、現場で杭を造成する工事において広く利用されている。特に、岩石・転石・玉石等の硬質地盤や、崩壊性の高い緩い地盤での杭の造成に際して、掘削中に確実に孔壁が保持できるという優れた効果が発揮され、他の工法(孔壁保護に液体を用いるリバースサーキュレーション工法やアースドリル工法)よりも高く評価されている。
しかし一方で、掘削孔全長に孔壁保護ケーシングを用いて軟弱地盤に杭を造成する場合、ケーシング引き抜き後に杭径がケーシング径より細くなるといった事案が多く発生しているとの報告があり、この点が問題視されている。そのため、国土交通省の報告によれば、オールケーシング工法にみられるようなケーシング掘削を利用する施工方法は、軟弱地盤における場所打ち杭施工に「適用性が低い」工法として評価されるに至っている。
具体的な事案としては、例えば軟弱地盤にオールケーシング工法で場所打ちコンクリート杭を造成する場合、コンクリート打ち込み時において、ケーシング引き抜き後の孔壁および孔壁に密着し杭体を形成する打設したコンクリート面に作用する外圧(土圧、上載圧等)と内圧(側圧)のバランスやコンクリートの充填性の不足などが原因で、掘削孔が細くなり、結果として杭径が設計径を下回ることがある。
このようにオールケーシング工法で造成された杭が設計杭径よりも細くなってしまう、いわゆる「杭細り」が生じると、造成杭が強度不足に陥るため、その対策として次のような方法が提案されている。
(1) 孔細りを考慮した大径でケーシング掘削を行う。例えば、設計杭径がφ1200の杭の造成に際して、φ1300のケーシングで掘削孔を形成し、たとえ孔細りが生じた場合でも杭体が設計杭径を上回るようにする。
(2) 孔細り発生が予想される範囲にわたって、設計杭径よりも大きい径のケーシングを二重管状に圧入しておく。
しかしながら、前者(1)の方法では、打設するコンクリート量が増加し、工事費の大幅な増大を招き、また後者(2)の方法でも、二重管ケーシング施工にかかる手間と工事費の増大は免れないため、上記のいずれの孔細り対策でも、施工コストの大幅な高騰を招くといった問題があった。
特開2008-156864号公報
上述したように、現場での杭の造成に際して掘削孔全長に孔壁保護ケーシング(掘削ケーシング)を用いる方法は、岩石・転石・玉石等の硬質地盤や、崩壊性の高い緩い地盤での杭の造成において優れた効果を発揮するものの、一方で、施工現場の地盤によっては杭径が設計杭径を下回って細くなるといった問題が発生するため、かかる問題点を早急に解決して、掘削ケーシングを用いる杭造成方法を軟弱地盤で積極的に利用できるようにすることが強く求められている。
そこで上述した問題点に鑑み、本発明の目的は、ケーシング掘削による掘削孔に自硬性流体を打設して杭体を造成する方法において、地盤性状にかかわらず孔細りを確実に防止でき、簡単かつ低コストで設計どおりの杭体を確実に造成できる方法を提供することにある。
このような目的は、ケーシング掘削による掘削孔に自硬性流体を打設して杭体を造成する方法において、自硬性流体を加圧するための加圧用流体をケーシング内側の掘削孔に入れる工程と、前記加圧用流体を上方へ押し上げるように自硬性流体を前記掘削孔内に打設する工程とを含み、掘削孔内の前記自硬性流体は、前記加圧用流体のウエイトによって加圧されることを特徴とすることを特徴とする杭体造成方法。
上記方法では、前記自硬性流体の打設開始の当初から前記加圧用流体のウエイトによって加圧されるように、該自硬性流体を打設することが好ましい。
また上記方法では、前記自硬性流体の打設開始から打設完了までの間、前記加圧用流体のウエイトによって加圧されるように、該自硬性流体を打設することが好ましい。
また上記方法では、前記自硬性流体の打設が完了するまでの間、前記加圧用流体を掘削孔の孔口付近まで満たすことが好ましい。
また上記方法では、前記自硬性流体の打設が完了するまでの間、前記加圧用流体の液面レベルをほぼ一定に保つことが好ましい。
また上記方法では、掘削孔内の自硬性流体にとって必要な大凡の加圧量を予め予測し、予測した加圧量に相当するウエイトの加圧用流体を前記掘削孔に入れるようにしてもよい。
本発明では、例えば自硬性流体の打設開始前に、ケーシング掘削で形成する掘削孔に加圧用流体(例えば泥水)を充填しておく。そして、予め掘削孔に充填しておいた前記加圧用流体を上方へ押し上げるように、コンクリートなどの自硬性流体を掘削孔に打設する。(加圧用流体の押し上げは掘削孔内に打ち込まれた自硬性流体の天端で行われる。)これにより、掘削孔に打ち込まれる自硬性流体は、加圧用流体のウエイトによって真上から継続して加圧され、その結果、固結していない自硬性流体の内圧(側圧)に、加圧用流体のウエイトが印加されることになる。
そのため、自硬性流体の打設が済んだ部分についてケーシングを引き抜いても、当該引き抜き範囲での未固結の自硬性流体の内圧(側圧)が、孔壁の土圧や上載圧などの外圧に負けることがなく、孔細りを確実に防止できる。しかも、加圧用流体のウエイトで加圧し続ける結果、ケーシング引き抜きで生じる管状スペースには、未固結の自硬性流体が速やかに(引き抜きとほぼ同時に)流動、充填される。よって、たとえ自律性が乏しく崩壊性の高い緩い地盤であっても、孔細りを確実に防止でき、設計どおりの杭径を確保できる。
したがって本発明によれば、杭全長にわたって孔壁保護ケーシングを用いる杭造成方法(例えばオールケーシング工法)の孔細りの問題点を簡単に且つ低コストで解決して、かかる杭造成方法の利用価値をより一層高めることができる。特に、崩壊性の高い軟弱地盤での杭造成に際して、「孔壁崩壊」を防止できるだけでなく、ケーシング引き抜き時の「孔細り」を確実に防止できるので、「杭全長にわたって孔壁保護ケーシングを用いる杭造成方法」の適用範囲を大幅に広げることができ、軟弱地盤の現場でも積極的に利用できるようになる。
また本発明では、上記の優れた効果を得る手段として泥水などの「加圧用流体」を利用するだけなので、例えばオールケーシング工法に本発明を適用する場合、現存の施工機材を何ら改変する必要はなく、簡単に本発明を適用することができる。また本発明は、従来の杭体造成方法(例えばオールケーシング工法など)の設計思想の本質を変えるものではないので、既存の基礎工事業者にとって導入が簡単である。
なお、本発明では、自硬性流体を加圧する手段として「液体」を利用する。
これが仮に「気体」である場合には、それ単体で加圧できるほどのウエイトがなく、該気体の圧力を高める手段(コンプレッサなど)が更に必要となるため、設備が大掛かりとなり、その管理も煩雑である。また打設の間、ケーシング上部を常に密閉して、ケーシング内側の気圧を高く維持管理する必要があるので、ケーシング引き抜きと同時に加圧力を印加できない。
また、これが仮に「固体」(例えば重りを載せた蓋など)である場合には、打設途中では鉄筋カゴやトレミー管が障害となるので、事実上、打設を完了してトレミー管を撤去した後にのみ使用可能となる。したがって、打設開始当初の段階では自硬性流体を加圧できず、杭体1本分の打設が完了した後に杭頭部しか加圧できないことになる。
これに対し本発明では、加圧可能なほどのウエイトを有する液体で加圧手段を構成しているので、コンプレッサなどの設備が不要で、ケーシング上部を密閉する必要もない。また、液体であれば、鉄筋カゴやトレミー管があっても障害にならないため、打設開始の当初から継続して自硬性流体を加圧できる。
更に、自硬性流体の打ち込み量が少ない打設初期段落では、自硬性流体の打設が済んだ部分についてケーシングを引き抜くと、当該引き抜き範囲での未固結の自硬性流体の内圧(側圧)が小さい一方で、孔底側での孔壁の土圧などの外圧が大きいため、孔底側から広い範囲で孔細りが生じやすいといった問題がある。というのも、通常の杭の設計では、杭下端付近は支持層となっており比較的良質(N値が高く固結性がある)な地盤が存在するものの、例えば、実際には、上記支持層が薄く、更にその直上部には、N値が1以下の軟弱な粘性土・有機シルトなどが相当の厚みで介在する場合が多くある。そして、孔壁に土圧として作用する力の大きさは、(土質が一定であるとした場合に)深くなるに従って大きくなる。
そのため、上記のような層の場合は、杭下端近傍(中間層下部)の軟弱層では土圧が大きいのに対して、打設中のコンクリートの天端がその杭下端近傍を通過するときにはコンクリートの内圧(側圧)が低いため、設計杭径を確保できない「孔細り」が生ずる懸念がある。
これに対し、本発明では、自硬性流体の打設開始の当初から加圧用流体のウエイトによって加圧することができるようになっているので、自硬性流体の打ち込み量が少ない打設初期段階でケーシングを引き抜いても、孔底側での孔細りを確実に防止でき、杭体底部側において設計通りの杭径を確保できるので、杭下端近傍(中間層下部)の杭細りが生ずることがない。
また、自硬性流体の打設開始の当初から打設完了までの間に、適宜前記加圧用流体のウエイトによって常に加圧することで、打設工程の全般にわたって常に孔細りが防止されるので、造成される杭体の全体にわたって設計どおりの杭径を確保できる。
更に、不確定要素を多く伴う施工において、確実に効果を得るためには、自硬性流体の打設が完了するまでの間、加圧用流体を掘削孔の孔口付近まで満たすことで、該加圧用流体のウエイトを最大限確保でき、その結果、その下方に打ち込まれる自硬性流体に対して最大限の加圧力を印加できる。特に、打設開始直後は、掘削孔の自硬性流体の内圧(側圧)が僅かである一方で、その上にのしかかる加圧用流体による加圧力が最大限確保されているので、地盤性状にかかわらず、打設開始して間もない中間層の最深部(すなわち支持層の直上部)の段階でも孔細りを確実に防止できる。
自硬性流体を打設している間、加圧用流体の液面レベルをほぼ一定に保つように、該加圧用流体を回収管理することで、該流体の再利用が可能になり、また周辺環境の汚染を防止できる。
また、加圧用流体は、リバースサーキュレーション工法やアースドリル工法に見られるような掘削ずりの排出や孔壁崩壊を防ぐ目的を有していないため、予め必要な加圧量が凡そ予測できれば、加圧用流体の使用量は必要最小限の量で足りる。これにより、施工日数の短縮と施工費の削減が図れ、また汚染リスクを軽減するなどの最適な設定が選択できる。
本発明の杭体造成方法の概要を示す工程図である。
以下、図1に示す工程a〜gに基づいて、本発明の杭体造成方法を説明する。
なお、以下の説明では、オールケーシング工法に本発明を適用する場合について例示しているが、本発明の適用可能範囲は必ずしもオールケーシング工法に限定されないことに留意されたい。
(工程a/ケーシング掘削)
はじめに、ケーシング1を、図示しないケーシング圧入装置(全回転式オールケーシング掘削機)にセットして回転圧入または揺動圧入し、また、該ケーシングに他の継ぎケーシングを順次継ぎ足して、地盤中の支持層に達するまで鉛直方向に圧入し続ける。
また図1(a)に示すように、地上のクレーンでハンマーグラブ3を吊り降ろし、ケーシング1によって掘削孔の孔壁崩落を防止しながら該ケーシングの内側をハンマーグラブ3で掘削し土砂を掴んで地上に排出する。
上述したケーシング1の圧入を支持層のある所定深度に達するまで行い、また、ハンマーグラブ3によるケーシング内側の掘削排土を繰り返して、所定径・所定深度の掘削孔を形成する。ケーシング内側に形成した掘削孔5には、後工程でコンクリートが打設されて杭体が造成される。
このように掘削孔全長および杭全長にわたって圧入されるケーシング(掘削ケーシング)を用いることで、地盤性状にかかわらず(たとえ崩壊性が高い緩い軟弱地盤であっても)ケーシング1が及ぶ範囲での孔壁崩壊が確実に防止され、また、礫層や玉石層などの掘削を容易に且つ確実に行うことができる。
なお、この掘削工程で用いるケーシング1は、掘削先端側に装着されたファーストチューブと、掘削長に応じて該ファーストチューブに順次継ぎ足される複数の継ぎケーシングとにより構成されている。ケーシング先頭にあるファーストチューブの先端には、地盤を掘削する工具をなす掘削ビットが取り付けられている。ファーストチューブに継ぎ足された複数の継ぎケーシングは、ケーシングを地盤から引き抜く際には、逆の手順により順次取り外される。
(工程b/鉄筋カゴの建込み)
ケーシング1を支持層に達するように圧入し、ケーシング内の孔底を図1(a)に示すようにハンマーグラブ3で処理したら、次に、図1(b)に示すようにケーシング内に鉄筋カゴ7を挿入して孔底に建て込む。
(工程c/泥水充填)
次に、図1(c)に示すように、後工程で打設されるコンクリートを上から加圧するための泥水9を、掘削孔5に充填し、図示するように地盤面の孔口付近まで満たしておく。或いは、ケーシング1の上端開口部付近まで満たすように充填してもよい。この泥水9は、掘削孔内に打ち込まれたコンクリートをそのウエイトによって上から加圧(押圧)するための「加圧用流体」として機能・作用する。
本実施形態では加圧用流体の一例として泥水を用いているが、掘削孔内のコンクリートをそのウエイトによって加圧できるものであれば流体の種類は特に限定されない。具体的には、コンクリートよりも比重が軽くて、掘削孔内でコンクリートの真上に留まり、下方のコンクリートを自己のウエイトによって十分に加圧できるものであれば、いかなる流体でも用いることができる。
また、泥水を掘削孔に充填するタイミングは本実施形態に例示するものに限定されず、打設コンクリートを加圧できるのであれば、いかなるタイミングで充填してもよい。
なお、本実施形態で利用する泥水は、後工程(コンクリート打設工程)でもっぱら掘削孔内のコンクリートを加圧するウエイトとして用いるものであり、リバースサーキュレーション工法やアースドリル工法に見られるような掘削ずりの排出や孔壁崩壊を防ぐ目的で用いる液体とは、使用目的やその機能作用の点で全く異なっていることに留意されたい。
(工程d/トレミー管の挿入)
掘削孔への泥水の充填が完了したら、次に、上端にホッパーを具備するトレミー管13を、図1(d)に示すように掘削孔内の鉄筋カゴ7の内側に挿入する。その際、トレミー管13が鉄筋カゴ7に当たらないように注意する。
(工程e/コンクリート打設,トレミー管引抜,ケーシング引抜)
次に図1(e)に示すように、トレミー管13を用いて掘削孔内にコンクリート15を打設しつつ、ケーシング1とトレミー管13を段階的に地上方向に引き上げる。ケーシング1とトレミー管13の引き上げでは、鉄筋カゴ7が共上がりしないように注意する。なお本実施形態では、打設する自硬性流体の一例としてコンクリートを用いているが、セメントミルクやモルタルなどの自硬性流体を用いる杭体造成方法にも本発明は適用可能である。
コンクリートの打設では、地上側の生コン車から、ホッパーを介してトレミー管13内にコンクリートを流し込む。トレミー管内に充填されたコンクリートは、プランジャーを先頭にトレミー管内を流下し、その下端開口部から排出される。打設の初期にトレミー管13を介して打ち込まれたコンクリート15は、泥水9を押しやるようにして掘削孔の孔底に充填されてゆく。
トレミー管13を介して掘削孔へコンクリート15を打設するときには、トレミー管13の先端部分が既打設コンクリート中に埋没した状態を保ちつつ、該トレミー管を段階的に引上げるようにする。例えば、トレミー管13の先端を既打設コンクリート中に常に2〜5m程度埋没させた状態を保つようにして、該トレミー管の埋没深さを管理しながら、打設コンクリートが設計杭天に至るまで連続的に打設する。これにより、図1(e)に示すように、打ち込まれたコンクリート15の天端が泥水9の全体を押し上げるという状態が常に維持される。
また、打設作業時における既打設コンクリート15へのケーシング1の挿入長さは、好ましく下限を2m程度とし、また、好ましくは上限を引き抜き困難を考慮して9〜10m程度とする。このような挿入長さを維持しつつ、コンクリート打設の進行に伴って、ケーシング1の引き抜きを行う。
打設コンクリートは、それより上に打設されたコンクリートの自重(杭径寸法の5倍程度の高さ)を受けながら順次硬化が始まり、2〜5時間経過後に自立する程度まで硬化が進行する。
上述したような作業手順によるコンクリート打設の進行に伴って、孔底側に打ち込まれたコンクリートは徐々にその容積を増し、その天端はなだらかに上昇を続け、ケーシング1内の泥水9全体を孔底から上方へ押し上げ続ける。この打設済みコンクリートによる泥水押し上げ作用を受けると、泥水の水位(液面レベル)は上昇するはずであるが、本実施形態では、上昇分の泥水を掘削孔から漸次的に回収し、図示しないタンクに貯留する。すなわち、コンクリートの打設と同時に、打設量とほぼ等しい容積の泥水をポンプで吸引してタンクに回収し、掘削孔内の泥水9の水位をほぼ一定に保つようにする。
このようにコンクリートの打設と同時並行的に泥水を回収することで、加圧用流体である泥水を周囲に垂れ流しにすることなく、その全量を回収することができ、これを現場内での次の杭体造成に再利用することが可能になる。また、このように回収することで、泥水の周辺域への流出を確実に防止できるので、環境汚染を招くことがない。
以後は、打設済みコンクリートの天端が泥水全体を押し上げるという状態が保たれるようにして、トレミー管13を介して掘削孔5へコンクリートを充填し続ける。また、上述のように掘削孔5から泥水9を漸次的にタンクに回収して、掘削孔内での泥水の水頭位が、打設開始の当初から打設完了までの間、ほぼ一定に保たれるように管理する。タンクに回収された泥水は、現場内での次の杭体造成において、前述と同様に加圧用流体として再利用される。
なお、打設中における掘削孔内での泥水の水頭位(液面レベル)の高さは特に限定されないが、表層から中間層にかけてN値が1以下の軟弱な粘性土、有機シルトが相当の層厚で分布する、地下水の挙動により状態が不安定であるなどの不確定要素を多く伴う地盤では、掘削孔に打設されたコンクリートに対する加圧作用を得るために、その水頭位は高いほど好ましい。より好ましくは、コンクリート打設の間、泥水の周囲への溢流を招くことなく、該泥水の水頭位が常に地盤面の孔口付近に保たれるように管理するのがよい。或いは、泥水の水頭位が常にケーシングの上端開口部付近に保たれるように管理してもよい。
(工程f/トレミー管とケーシングを撤去)
上述した打設を、ケーシング内に打設されたコンクリート天端が設計高さに達するまで行い、必要に応じて余盛りを行う。必要量のコンクリートの打設が完了して打設コンクリートが設計杭天に至ったら、図1(f)に示すように、残っていたトレミー管とケーシングをすべて撤去する。
(工程g/杭造成完了)
上記工程fから所定時間が経過したら、次に図1(g)に示すように、掘削孔内に残っている泥水(杭体1本分のコンクリート全体を上から加圧している泥水9)をすべて吸引してタンクに回収し、最後に、余盛りされたコンクリートの上部に土砂を埋め戻して、場所打ちコンクリート杭の造成が完了する。
(本発明の優れた効果)
上述した本発明によれば、予め掘削孔に充填しておいた泥水を上方へ押し上げるように、コンクリートが掘削孔内に打設される。(泥水の押し上げは掘削孔内に打ち込まれたコンクリートの天端で行われる。)これにより、掘削孔に打ち込まれるコンクリートは、泥水のウエイトによって継続して加圧され、その結果、固結していないコンクリートの内圧(側圧)に、泥水のウエイトが印加されることになる。
そのため、コンクリート打設が済んだ部分についてケーシングを引き抜いても、当該引き抜き範囲での未固結コンクリートの内圧(側圧)が、孔壁の土圧や上載圧などの外圧に負けることがなく、孔細りを確実に防止できる。しかも、泥水のウエイトで上から加圧し続ける結果、ケーシング引き抜きで生じる管状スペースには、未固結コンクリートが速やかに(引き抜きとほぼ同時に)流動、充填される。よって、たとえ崩壊性の高い緩い地盤であっても、孔細りを確実に防止でき、設計どおりの杭径を確保できる。
したがって本発明によれば、杭全長にわたって孔壁保護ケーシングを用いる杭造成方法(例えばオールケーシング工法)の孔細りの問題点を簡単に且つ低コストで解決して、かかる杭造成方法の利用価値をより一層高めることができる。特に、崩壊性の高い軟弱地盤での杭造成に際して、「孔壁崩壊」を防止できるだけでなく、ケーシング引き抜き時の「孔細り」を確実に防止できるので、オールケーシング工法をはじめとする「杭全長にわたって孔壁保護ケーシングを用いる杭造成方法」の適用範囲を大幅に広げることができる。
(本発明の変形例)
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載の本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されない。すなわち、上述した実施形態では、本発明の実施態様の一例として、オールケーシング工法に本発明を適用する場合について説明したが、本発明の適用可能範囲はこれに限定されず、掘削長の全長にわたってケーシング(掘削ケーシング)を利用する杭体造成方法であれば、いかなる工法にも適用可能である。
また、本発明の適用可能範囲は、コンクリート杭の造成に限定されず、セメントミルクやモルタルなどの自硬性流体(経時的に硬化する流動可能な材料)を用いて杭体を造成する方法にも広く適用可能である。したがって、特許請求の範囲に記載の自硬性流体には、コンクリートのほか、セメントミルクやモルタルなどの流体も含まれる。
また本発明において、掘削孔に加圧用流体(泥水)を充填するタイミングは、自硬性流体の加圧の必要となるタイミング以前であれば特に限定されず、例えば、掘削と同時並行的に充填しても良く、また、鉄筋カゴを建込みトレミー管を挿入した後で加圧用流体を充填するようにしてもよい。
また、自硬性流体に対して必要な加圧量が予め凡そ予測できる場合には、必ずしも、加圧用流体を掘削孔の孔口付近まで満たす必要はなく、必要最小限の量を掘削孔に入れておけば足りる。これにより、施工に必要な加圧用流体の使用量が減り、施工日数の短縮と施工費の削減が図れ、また、泥水による汚染リスクが軽減できるなどの効果が期待できる。
また、掘削孔下端での孔細りの虞が少なく、それより上(例えば中間層)での孔細りの虞がある場合には、加圧用流体を少量だけ掘削孔に入れた状態で自硬性流体の打設を開始し、打設の進行に伴って、掘削孔内の加圧用流体を増量するようにしてもよい。この場合、自硬性流体の打設と同時に加圧用流体を掘削孔に充填するので、前述した実施形態のように、充填と打設を別工程で実施する場合と比べて効率的に作業を進めることができる。
また、例えば孔細りが生じ易い深度(層)が予め判明している場合には、深度に応じて掘削孔内の加圧用流体を増量するようにしてもよい。これにより、掘削孔の孔口付近まで加圧用流体を満たさなくても打設を開始できるので、作業の効率化を図ることができる。
その他、自硬性流体の加圧を主たる目的とする流体を掘削孔に入れる工程と、該加圧用流体を押し上げるように自硬性流体を打設する工程とを含み、該加圧用流体のウエイトによって自硬性流体に加圧力を印加する方法は、本発明の技術的範囲に属する。前記の各工程は、時間をずらして別々に実施してもよく、或いは同時に実施してもよい。
1 ケーシング(掘削ケーシング)
3 ハンマーグラブ
5 掘削孔
7 鉄筋カゴ
9 泥水(加圧用流体)
13 トレミー管
15 コンクリート(自硬性流体)

Claims (5)

  1. ケーシング掘削による掘削孔に自硬性流体を打設して杭体を造成する方法において、
    自硬性流体を加圧するための加圧用流体をケーシング内側の掘削孔に入れる工程と、
    前記加圧用流体を押し上げるように自硬性流体を前記掘削孔内に打設する工程とを含み、掘削孔内の前記自硬性流体は、前記加圧用流体のウエイトによって加圧されることを特徴とする杭体造成方法。
  2. 前記自硬性流体の打設開始の当初から前記加圧用流体のウエイトによって加圧されるように、該自硬性流体を打設することを特徴とする請求項1に記載の杭体造成方法。
  3. 前記自硬性流体を打設しているとき、前記加圧用流体を掘削孔の孔口付近まで満たすことを特徴とする請求項1に記載の杭体造成方法。
  4. 前記自硬性流体を打設しているとき、前記加圧用流体の液面レベルをほぼ一定に保つことを特徴とすることを請求項1に記載の杭体造成方法。
  5. 前記加圧用流体をケーシング内側の掘削孔に入れるにあたって、
    掘削孔内の自硬性流体にとって必要な大凡の加圧量を予め予測し、
    予測した加圧量に相当するウエイトの加圧用流体を前記掘削孔に入れる、
    ことを特徴とすることを請求項1に記載の杭体造成方法。
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