JP2014088687A - 杭体造成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の杭体造成方法は、コンクリートを加圧する泥水をケーシング内側の掘削孔に入れる工程と、該泥水を押し上げるようにコンクリートを掘削孔に打設する工程とを含んでいる。この方法では、例えばコンクリートの打設開始から完了までの間、打設コンクリートの天端が泥水を押し上げるように、該コンクリートを打設する。また、打設完了までの間は、該泥水を掘削孔の孔口付近まで満たしておくとともに、その水頭位をほぼ一定に保つように回収・管理する。これにより、打設済部分についてケーシングを引き抜いても、引き抜き範囲での未固結コンクリートの内圧(側圧)が、孔壁の土圧や上載圧などの外圧に負けることがなく、孔細りを確実に防止でき、設計杭径を確保できる。
【選択図】図1
Description
(1) 孔細りを考慮した大径でケーシング掘削を行う。例えば、設計杭径がφ1200の杭の造成に際して、φ1300のケーシングで掘削孔を形成し、たとえ孔細りが生じた場合でも杭体が設計杭径を上回るようにする。
(2) 孔細り発生が予想される範囲にわたって、設計杭径よりも大きい径のケーシングを二重管状に圧入しておく。
そのため、自硬性流体の打設が済んだ部分についてケーシングを引き抜いても、当該引き抜き範囲での未固結の自硬性流体の内圧(側圧)が、孔壁の土圧や上載圧などの外圧に負けることがなく、孔細りを確実に防止できる。しかも、加圧用流体のウエイトで加圧し続ける結果、ケーシング引き抜きで生じる管状スペースには、未固結の自硬性流体が速やかに(引き抜きとほぼ同時に)流動、充填される。よって、たとえ自律性が乏しく崩壊性の高い緩い地盤であっても、孔細りを確実に防止でき、設計どおりの杭径を確保できる。
したがって本発明によれば、杭全長にわたって孔壁保護ケーシングを用いる杭造成方法(例えばオールケーシング工法)の孔細りの問題点を簡単に且つ低コストで解決して、かかる杭造成方法の利用価値をより一層高めることができる。特に、崩壊性の高い軟弱地盤での杭造成に際して、「孔壁崩壊」を防止できるだけでなく、ケーシング引き抜き時の「孔細り」を確実に防止できるので、「杭全長にわたって孔壁保護ケーシングを用いる杭造成方法」の適用範囲を大幅に広げることができ、軟弱地盤の現場でも積極的に利用できるようになる。
これが仮に「気体」である場合には、それ単体で加圧できるほどのウエイトがなく、該気体の圧力を高める手段(コンプレッサなど)が更に必要となるため、設備が大掛かりとなり、その管理も煩雑である。また打設の間、ケーシング上部を常に密閉して、ケーシング内側の気圧を高く維持管理する必要があるので、ケーシング引き抜きと同時に加圧力を印加できない。
また、これが仮に「固体」(例えば重りを載せた蓋など)である場合には、打設途中では鉄筋カゴやトレミー管が障害となるので、事実上、打設を完了してトレミー管を撤去した後にのみ使用可能となる。したがって、打設開始当初の段階では自硬性流体を加圧できず、杭体1本分の打設が完了した後に杭頭部しか加圧できないことになる。
これに対し本発明では、加圧可能なほどのウエイトを有する液体で加圧手段を構成しているので、コンプレッサなどの設備が不要で、ケーシング上部を密閉する必要もない。また、液体であれば、鉄筋カゴやトレミー管があっても障害にならないため、打設開始の当初から継続して自硬性流体を加圧できる。
そのため、上記のような層の場合は、杭下端近傍(中間層下部)の軟弱層では土圧が大きいのに対して、打設中のコンクリートの天端がその杭下端近傍を通過するときにはコンクリートの内圧(側圧)が低いため、設計杭径を確保できない「孔細り」が生ずる懸念がある。
これに対し、本発明では、自硬性流体の打設開始の当初から加圧用流体のウエイトによって加圧することができるようになっているので、自硬性流体の打ち込み量が少ない打設初期段階でケーシングを引き抜いても、孔底側での孔細りを確実に防止でき、杭体底部側において設計通りの杭径を確保できるので、杭下端近傍(中間層下部)の杭細りが生ずることがない。
なお、以下の説明では、オールケーシング工法に本発明を適用する場合について例示しているが、本発明の適用可能範囲は必ずしもオールケーシング工法に限定されないことに留意されたい。
はじめに、ケーシング1を、図示しないケーシング圧入装置(全回転式オールケーシング掘削機)にセットして回転圧入または揺動圧入し、また、該ケーシングに他の継ぎケーシングを順次継ぎ足して、地盤中の支持層に達するまで鉛直方向に圧入し続ける。
ケーシング1を支持層に達するように圧入し、ケーシング内の孔底を図1(a)に示すようにハンマーグラブ3で処理したら、次に、図1(b)に示すようにケーシング内に鉄筋カゴ7を挿入して孔底に建て込む。
次に、図1(c)に示すように、後工程で打設されるコンクリートを上から加圧するための泥水9を、掘削孔5に充填し、図示するように地盤面の孔口付近まで満たしておく。或いは、ケーシング1の上端開口部付近まで満たすように充填してもよい。この泥水9は、掘削孔内に打ち込まれたコンクリートをそのウエイトによって上から加圧(押圧)するための「加圧用流体」として機能・作用する。
掘削孔への泥水の充填が完了したら、次に、上端にホッパーを具備するトレミー管13を、図1(d)に示すように掘削孔内の鉄筋カゴ7の内側に挿入する。その際、トレミー管13が鉄筋カゴ7に当たらないように注意する。
次に図1(e)に示すように、トレミー管13を用いて掘削孔内にコンクリート15を打設しつつ、ケーシング1とトレミー管13を段階的に地上方向に引き上げる。ケーシング1とトレミー管13の引き上げでは、鉄筋カゴ7が共上がりしないように注意する。なお本実施形態では、打設する自硬性流体の一例としてコンクリートを用いているが、セメントミルクやモルタルなどの自硬性流体を用いる杭体造成方法にも本発明は適用可能である。
上述した打設を、ケーシング内に打設されたコンクリート天端が設計高さに達するまで行い、必要に応じて余盛りを行う。必要量のコンクリートの打設が完了して打設コンクリートが設計杭天に至ったら、図1(f)に示すように、残っていたトレミー管とケーシングをすべて撤去する。
上記工程fから所定時間が経過したら、次に図1(g)に示すように、掘削孔内に残っている泥水(杭体1本分のコンクリート全体を上から加圧している泥水9)をすべて吸引してタンクに回収し、最後に、余盛りされたコンクリートの上部に土砂を埋め戻して、場所打ちコンクリート杭の造成が完了する。
上述した本発明によれば、予め掘削孔に充填しておいた泥水を上方へ押し上げるように、コンクリートが掘削孔内に打設される。(泥水の押し上げは掘削孔内に打ち込まれたコンクリートの天端で行われる。)これにより、掘削孔に打ち込まれるコンクリートは、泥水のウエイトによって継続して加圧され、その結果、固結していないコンクリートの内圧(側圧)に、泥水のウエイトが印加されることになる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載の本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されない。すなわち、上述した実施形態では、本発明の実施態様の一例として、オールケーシング工法に本発明を適用する場合について説明したが、本発明の適用可能範囲はこれに限定されず、掘削長の全長にわたってケーシング(掘削ケーシング)を利用する杭体造成方法であれば、いかなる工法にも適用可能である。
3 ハンマーグラブ
5 掘削孔
7 鉄筋カゴ
9 泥水(加圧用流体)
13 トレミー管
15 コンクリート(自硬性流体)
Claims (5)
- ケーシング掘削による掘削孔に自硬性流体を打設して杭体を造成する方法において、
自硬性流体を加圧するための加圧用流体をケーシング内側の掘削孔に入れる工程と、
前記加圧用流体を押し上げるように自硬性流体を前記掘削孔内に打設する工程とを含み、掘削孔内の前記自硬性流体は、前記加圧用流体のウエイトによって加圧されることを特徴とする杭体造成方法。 - 前記自硬性流体の打設開始の当初から前記加圧用流体のウエイトによって加圧されるように、該自硬性流体を打設することを特徴とする請求項1に記載の杭体造成方法。
- 前記自硬性流体を打設しているとき、前記加圧用流体を掘削孔の孔口付近まで満たすことを特徴とする請求項1に記載の杭体造成方法。
- 前記自硬性流体を打設しているとき、前記加圧用流体の液面レベルをほぼ一定に保つことを特徴とすることを請求項1に記載の杭体造成方法。
- 前記加圧用流体をケーシング内側の掘削孔に入れるにあたって、
掘削孔内の自硬性流体にとって必要な大凡の加圧量を予め予測し、
予測した加圧量に相当するウエイトの加圧用流体を前記掘削孔に入れる、
ことを特徴とすることを請求項1に記載の杭体造成方法。
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