JP2011179239A - 場所打ちコンクリート杭の築造方法 - Google Patents

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和夫 島田
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【課題】地盤の土水圧がコンクリート圧よりも大きい場合であっても、設計杭径に略等しい杭径とすることができる場所打ちコンクリート杭の築造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】掘削孔1内にコンクリート2を打設しつつケーシング5を引き抜く際に、この打設されたコンクリート2の上面に、直径が、ケーシング5の内径Dと略等しくなるように設定され、かつ所定の面積π(D/2)^2とされた蓋部材6を載せ、さらに、この蓋部材6の上面に所定の重さWとされたウェイト7を載せることによって、打設されたコンクリート2に対して、荷重△p=W/[π(D/2)^2]を加え、掘削孔1の孔壁1aに作用するコンクリート圧pと土水圧pとの内外圧をp+△p≧pとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、オールケーシング工法によって地中に場所打ちコンクリート杭を築造する方法に関する。
従来、建築物や構築物等を築造する場合に、地中に場所打ちコンクリート杭を築造する技術がある。このような技術として、下端に掘削刃物が備えられたケーシングを掘削孔全長にわたって全周回転圧入あるいは揺動圧入すると共に、圧入されたケーシング内の土砂を、ハンマーグラブを用いて地上に搬出して立坑(掘削孔)を地盤に掘削し、その掘削孔内に籠状に組み立てられた鉄筋を挿入して配筋し、トレミー管等を用いてコンクリートを打設しつつケーシングを引き抜いて場所打ちコンクリート杭を築造する、いわゆるオールケーシング工法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−156864号公報
ところで、オールケーシング工法においては、ケーシングを引き抜くまではそのケーシングが掘削孔の孔壁を保持しているものの、コンクリートを打設しつつケーシングを引き抜いた際に地盤の土水圧が打設されたコンクリートのコンクリート圧よりも大きい場合には、築造された場所打ちコンクリート杭の杭径が、設計杭径よりも小さな杭径となってしまい、設計杭径が確保されないことがある。
このようにオールケーシング工法で築造された場所打ちコンクリート杭の杭径が設計杭径よりも細い杭径となってしまうと、築造された場所打ちコンクリート杭が強度不足となる場合があるため、細くなった部分に、例えばコンクリートを新たに打ち直して補強するなどといった対策が必要となり、補強に係る手間やコストの増加を招くこととなる。
本発明の課題は、地盤の土水圧がコンクリート圧よりも大きい場合であっても、設計杭径に略等しい杭径とすることができる場所打ちコンクリート杭の築造方法を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、掘削孔内に打設されるコンクリートのコンクリート圧をpとし、掘削孔周囲の地盤の土水圧をpとした場合に、掘削孔の孔壁に作用するコンクリート圧pと土水圧pとの内外圧がp<pとなる地盤に対してコンクリート杭を築造する場所打ちコンクリート杭の築造方法において、掘削孔内に鉄筋を挿入して配筋し、この掘削孔内にコンクリートを打設しつつケーシングを引き抜く際に、この打設されたコンクリートの上面に、直径が、前記ケーシングの内径Dと略等しくなるように設定され、かつ所定の面積π(D/2)^2とされた蓋部材を載せ、さらに、この蓋部材の上面に所定の重さWとされたウェイトを載せることによって、打設されたコンクリートに対して、荷重△p=W/[π(D/2)^2]を加え、掘削孔の孔壁に作用するコンクリート圧pと土水圧pとの内外圧をp+△p≧pとすることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の場所打ちコンクリート杭の築造方法において、前記蓋部材として、前記ケーシングの内径Dよりも若干小さくなるように形成された蓋本体と、この蓋本体の外周縁に取り付けられるとともに、この外周縁と前記ケーシングの内壁との隙間を塞ぎ、かつ該ケーシングの内壁に対して摺動可能とされた気密材とを備えたものを用いることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の場所打ちコンクリート杭の築造方法において、前記蓋本体として鉄板を用いることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の場所打ちコンクリート杭の築造方法において、前記掘削孔内にコンクリートを打設する際に、このコンクリートの上面が前記掘削孔内に配筋された鉄筋よりも上方に位置するようにして余盛りすることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の場所打ちコンクリート杭の築造方法において、コンクリート杭の杭頭部付近に打設されるコンクリートのコンクリート圧pと、この杭頭部周囲の地盤の土水圧pとの内外圧をp+△p≧pとすることを特徴とする。
本発明によれば、掘削孔内に打設されたコンクリートに対して荷重△pを加えることによって、この打設されたコンクリートのコンクリート圧pを、掘削孔周囲の地盤の土水圧pと等しくするか、または土水圧pよりも大きくすることができるので、掘削孔の孔壁に作用するコンクリート圧pと土水圧pとの内外圧がp<pとなる地盤であっても、設計杭径と略等しい杭径のコンクリート杭を築造することができる。これによって、従来とは異なり、コンクリートを新たに打ち直して補強するなどといった対策が必要なくなるので、補強に係る手間やコストを削減することができる。
本発明に係る場所打ちコンクリート杭の築造方法の概要を示す縦断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態の場所打ちコンクリート杭の築造方法は、図1に示すように、掘削孔1内に打設されるコンクリート2のコンクリート圧をpとし、掘削孔1周囲の地盤3の土水圧をpとした場合に、掘削孔1の孔壁1aに作用するコンクリート圧pと土水圧pとの内外圧がp<pとなる地盤3に対してコンクリート杭を築造するものであり、掘削孔1内に鉄筋4を挿入して配筋し、この掘削孔1内にコンクリート2を打設しつつケーシング5を引き抜く際に、この打設されたコンクリート2の上面に、直径が、前記ケーシング5の内径Dと略等しくなるように設定され、かつ所定の面積π(D/2)^2とされた蓋部材6を載せ、さらに、この蓋部材6の上面に所定の重さWとされたウェイト7を載せることによって、打設されたコンクリート2に対して、荷重△p=W/[π(D/2)^2]を加え、掘削孔1の孔壁1aに作用するコンクリート圧pと土水圧pとの内外圧をp+△p≧pとする。
まず、本実施の形態の場所打ちコンクリート杭の築造方法を構築する各要素について説明する。
前記掘削孔1は、下端に掘削刃物5aが備えられたケーシング5を揺動圧入するとともに、圧入された前記ケーシング5内の土砂を、ハンマーグラブ(図示せず)を用いて地上に搬出するようにして掘削することで形成されている。また、この掘削孔1内には、鉄筋4が挿入されて配筋されている。
なお、前記地盤3は、上述のように、前記掘削孔1内に打設されるコンクリート2のコンクリート圧をpとし、掘削孔1周囲の地盤3の土水圧をpとした場合に、前記掘削孔1の孔壁1aに作用するコンクリート圧pと土水圧pとの内外圧がp<pとなるような性状とされている。
すなわち、打設されたコンクリート2のコンクリート圧pよりも地盤3の土水圧pの方が大きく、例えば前記コンクリート2を打設しつつケーシング5を引き抜いた際に、何の対処もしなければ、築造されたコンクリート杭の杭径が、設計杭径よりも小さな杭径となる場合があるような性状の地盤3となっている。
図1において、コンクリート圧pは、矢印pで表しており、土水圧pは、矢印pで表している。これらコンクリート圧pおよび土水圧pは、深さ方向に増大するものである。
また、コンクリート圧pは深さ方向に増大するため、前記掘削孔1内に打設されるコンクリート2のうち、築造されるコンクリート杭の杭頭部付近に打設されるコンクリート2のコンクリート圧pは、築造されるコンクリート杭の下端部付近に打設されるコンクリート2のコンクリート圧pに比して小さい。
したがって、本実施の形態の場所打ちコンクリート杭の築造方法は、打設されたコンクリート2全体はもちろんのこと、特に、築造されるコンクリート杭の杭頭部付近に打設されるコンクリート2のコンクリート圧pに対して効果的に荷重△pを加えることができるようになっている。
前記掘削孔1内に打設されるコンクリート2は、トレミー管(図示せず)等を用いて打設されており、このコンクリート2が打設されつつ前記ケーシング5が引き抜かれることで、コンクリート杭が築造されるようになっている。
また、このコンクリート2は、上面が前記掘削孔1内に配筋された鉄筋4よりも上方に位置するようにして余盛りされている。この余盛り部2aは、前記掘削孔1内に打設されたコンクリート2のスライムや安定液等を含む不良なコンクリートであり、順次、処理される。また、図中において一点鎖線よりも上方が余盛り部2aとされており、一点鎖線よりも下方が杭本体とされている。
また、前記蓋部材6は、前記ケーシング5の内径Dよりも若干小さくなるように形成された蓋本体6aと、この蓋本体6aの外周縁に取り付けられるとともに、この外周縁と前記ケーシング5の内壁との隙間を塞ぎ、かつ該ケーシング5の内壁に対して摺動可能とされた気密材6bとを備えている。
そして、これら蓋本体6aと、外周縁の気密材6bとを含む蓋部材6の面積が、上述のように「π(D/2)^2」となるように設定されている。
また、前記ケーシング5の内径Dは、図中において、矢印Dで表している。
なお、本実施の形態においては、前記蓋本体6aとして、例えば厚さ20mm程度の鉄板が用いられており、上面に前記ウェイト7を載置するのに十分な強度を発揮することができる。
また、前記気密材6bとしてゴムパッキンが用いられており、前記蓋本体6aの外周縁と前記ケーシング5の内壁との隙間から、該蓋部材6の上面にウェイト7を載せてコンクリート2に対して荷重△pを加えた際の圧力が散逸するのを防ぐことができる。つまり、隙間から打設されたコンクリート2が漏出することを防ぐことができる。
さらに、この気密材6bは、前記ケーシング5の内壁に対して摺動するので、前記ケーシング5の内壁に引っかかるのを防ぐことができる。これによって、前記蓋部材6の上面にウェイト7を載せた際に、この蓋部材6自体が前記ケーシング5の内壁に引っかかるのを防ぐことができる。
前記ウェイト7は、前記打設されたコンクリート2に対して加えられる荷重△pを構成する重さWに設定されている。また、上端部にはリング7aが設けられている。このリング7aには、クレーン(図示せず)のワイヤー8に取り付けられたフック8aが引っかけられており、ウェイト7は、クレーンによって吊り下げられている。
なお、このウェイト7の平面形状は特に限定されるものではなく、円形や平面等、適宜変更可能である。
また、図において、ウェイト7の重量Wは、矢印Wで表している。
また、ウェイト7の1個分の重さWが運搬・吊り下ろしに適さない程度に重い場合は、図示はしないが、複数に分割され、かつ積み重ね可能な形状のウェイト7を用いてもよいものとする。このようにウェイト7として複数に分割されたものを用いる場合は、分割されたウェイト7のぞれぞれが、クレーンのフック8aに引っかかるリング7aを有しており、さらに、これらリング7aが、上方に積み重ねられるウェイト7の底面に形成された窪みに嵌るような構成となっていることが好ましい。
また、このウェイト7の重量Wが過剰に大きい場合は、コンクリート2が孔壁1aを押し広げ、孔壁1aを破壊する場合があるため、このウェイト7の重量Wは、ある程度の安全率を考慮した場合に許容される重量Wとされている。
つまり、例えば現場では、前記コンクリート2のコンクリート圧pに荷重△pを加えて、掘削孔1の孔壁1aに作用するコンクリート圧pと土水圧pとの内外圧がp+△p≧pとなるように施工を行ったとしても、p+△p=pを実現することは容易ではない。
このため実際には、掘削孔1の孔壁1aに作用するコンクリート圧pと土水圧pとの内外圧がp+△p>pとなるように施工を行う場合が考えられるが、p+△p=pを実現できる数値からかけ離れないようにする必要がある。このような場合は、ウェイト7の重量Wを考慮し、荷重△pを適宜調整することが望ましい。
なお、荷重△pとは、上述のように「荷重△p=W/[π(D/2)^2]」という式で表されており、コンクリート2に対する上載荷重となる。すなわち、前記掘削孔1の孔壁1aに作用するコンクリート圧pに対して付加される増加圧力を意味する。なお、この際の側圧係数は1.0とする。
以上のような各要素を含んで構築された場所打ちコンクリート杭の築造方法では、前記地盤3に掘削孔1を形成した後、この掘削孔1内に鉄筋4を挿入して配筋し、この掘削孔1内にコンクリート2を打設する。
この時、このコンクリート2の上面が前記掘削孔1内に配筋された鉄筋4よりも上方に位置するようにして余盛りする。このように余盛りすることによって、前記鉄筋4の上端部と蓋部材6とが接触することを防ぐことができるので、前記コンクリート2に対して効果的に荷重△pを加えることができるようになっている。
続いて、この掘削孔1内にコンクリート2を打設しつつ、前記ケーシング5を引き抜くようにする。この際、まず、この打設されたコンクリート2の上面に、直径が、前記ケーシング5の内径Dと略等しくなるように設定され、かつ所定の面積π(D/2)^2とされた前記蓋部材6を載せる。
続いて、この蓋部材6の上面に所定の重さWとされた前記ウェイト7を載せる。この時、前記蓋部材6は、前記ウェイト7の重さWによって、前記気密材6bが前記ケーシング5の内壁を摺動するようにして該ケーシング5の軸方向に沿って下方に押し下げられることになる。
さらに、このように蓋部材6の上面に所定の重さWとされた前記ウェイト7を載せることによって、打設されたコンクリート2に対して、荷重△p=W/[π(D/2)^2]を加える。
また、上述のように、このウェイト7の重量Wが過剰に大きい場合は、コンクリート2が孔壁1aを押し広げ、孔壁1aを破壊する場合があるため、このウェイト7の重量Wを調整し、これに伴って、荷重△pの数値も適宜調整する。
そして、前記掘削孔1の孔壁1aに作用するコンクリート圧pと土水圧pとの内外圧をp+△p≧pとする。すなわち、前記コンクリート2のコンクリート圧pを、掘削孔1周囲の地盤3の土水圧pと等しくするか、または土水圧pよりも大きくすることができる。
なお、前記コンクリート2が固まった後は、コンクリート杭周囲の地面を掘削して余盛り部2aを露出させてから、この余盛り部2aを撤去する。このような余盛り部2aの撤去方法は、例えば、余盛り部2aと鉄筋4との間に付着防止材を設けたり、杭本体と余盛り部2aとの間をカッターで切断したり等、従来周知の方法で行われる。
本実施の形態によれば、前記掘削孔1内に打設されたコンクリート2に対して荷重△p=W/[π(D/2)^2]を加えることによって、この打設されたコンクリート2のコンクリート圧pを、掘削孔1周囲の地盤3の土水圧pと等しくするか、または土水圧pよりも大きくすることができるので、前記掘削孔1の孔壁1aに作用するコンクリート圧pと土水圧pとの内外圧がp<pとなる地盤3であっても、設計杭径と略等しい杭径のコンクリート杭を築造することができる。これによって、従来とは異なり、コンクリートを新たに打ち直して補強するなどといった対策が必要なくなるので、補強に係る手間やコストを削減することができる。
1 掘削孔
1a 孔壁
2 コンクリート
3 地盤
4 鉄筋
5 ケーシング
6 蓋部材
7 ウェイト
コンクリート圧
土水圧
D ケーシングの直径
W ウェイトの重さ

Claims (5)

  1. 掘削孔内に打設されるコンクリートのコンクリート圧をpとし、掘削孔周囲の地盤の土水圧をpとした場合に、掘削孔の孔壁に作用するコンクリート圧pと土水圧pとの内外圧がp<pとなる地盤に対してコンクリート杭を築造する場所打ちコンクリート杭の築造方法において、
    掘削孔内に鉄筋を挿入して配筋し、この掘削孔内にコンクリートを打設しつつケーシングを引き抜く際に、この打設されたコンクリートの上面に、直径が、前記ケーシングの内径Dと略等しくなるように設定され、かつ所定の面積π(D/2)^2とされた蓋部材を載せ、さらに、この蓋部材の上面に所定の重さWとされたウェイトを載せることによって、打設されたコンクリートに対して、荷重△p=W/[π(D/2)^2]を加え、掘削孔の孔壁に作用するコンクリート圧pと土水圧pとの内外圧をp+△p≧pとすることを特徴とする場所打ちコンクリート杭の築造方法。
  2. 前記蓋部材として、前記ケーシングの内径Dよりも若干小さくなるように形成された蓋本体と、この蓋本体の外周縁に取り付けられるとともに、この外周縁と前記ケーシングの内壁との隙間を塞ぎ、かつ該ケーシングの内壁に対して摺動可能とされた気密材とを備えたものを用いることを特徴とする請求項1に記載の場所打ちコンクリート杭の築造方法。
  3. 前記蓋本体として鉄板を用いることを特徴とする請求項2に記載の場所打ちコンクリート杭の築造方法。
  4. 前記掘削孔内にコンクリートを打設する際に、このコンクリートの上面が前記掘削孔内に配筋された鉄筋よりも上方に位置するようにして余盛りすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の場所打ちコンクリート杭の築造方法。
  5. コンクリート杭の杭頭部付近に打設されるコンクリートのコンクリート圧pと、この杭頭部周囲の地盤の土水圧pとの内外圧をp+△p≧pとすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の場所打ちコンクリート杭の築造方法。
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