JP2014088496A - エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子で構成された反応基材、およびその製造方法、ならびに前記反応基材を用いたグラフト共重合体粒子 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子で構成された反応基材、およびその製造方法、ならびに前記反応基材を用いたグラフト共重合体粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子で構成された反応基材、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】前記反応基材は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と水溶性ポリマーとを溶融混合し、溶融物を冷却固化させた複合体を得る工程Iと、前記複合体から水溶性ポリマーを抽出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体を得る工程IIと、を備え、前記工程IまたはIIの後で、粒子化処理を行うことにより得ることができる。得られた反応基材は、粒子の表面に形成された細孔の長径の平均値が0.01μm〜20μmであるエチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子で構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子で構成された反応基材、およびその製造方法に関する。
ビニルアルコール系樹脂の多孔体は、高い親水性を特徴に、微生物固定担体、有機合成反応担体、排水処理用担体、複合繊維、人工皮革などに利用されている。中でもエチレン−ビニルアルコール系共重合体の多孔体は、水に不溶でありながら高い親水性を有することから、親水性ろ過膜、吸着担体などに使用されている。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体の多孔質粒子を得る方法として、エチレン−ビニルアルコール系共重合体とポリビニルピロリドンのジメチルスルホキシド溶液を混合し、凝固浴槽中で多孔質粒子化する手法が開示されている(特許文献1)。
特許文献2には、10モル%以上のエチレン単位と、10〜60モル%のビニルアルコール単位と、1モル%以上の酢酸ビニル単位とを含む非晶性の親水性共重合体(X)とポリオレフィン(Y)とをブレンドしたポリマーアロイからなる多孔質膜、繊維、多孔質繊維が開示されている。また、特許文献3には、エチレン−ビニルアルコール共重合体と高温溶剤とを溶融混合し、溶融成形した後、高温溶剤を抽出除去して微多孔膜を得る方法が開示されている。
特開2011−224360号公報 特開平5−202240号公報 特開2005−46803号公報
しかしながら、特許文献1は、血液などの体液から悪性物質を吸着するための担体であって、反応基材ではない。また製造工程において、高沸点溶媒であるジメチルスルホキシドを用いているため、最終的に得られる多孔質粒子に溶媒が残留する懸念があり、反応基材としては不適であった。さらにまた、溶媒を多量に使用するため、大量に生産した場合、環境負荷が大きいなどの問題を抱えていた。
また、特許文献2および特許文献3はろ過膜としての開示であり、反応基材には何の言及もなく、さらにこのような多孔膜は反応基材として用いるには適用範囲に制約を有している。
特に、特許文献2では、ポリオレフィンとエチレン−ビニルアルコール系共重合体のアロイであるがゆえ、親水性が制限される。特に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のけん化度に制約がある場合、得られた多孔質膜は、反応基材としての親水性に制約があり使用用途が限られる。
また、特許文献3の手法では、グリセリンと1,3−プロパンジオールの混合溶剤といった高沸点溶剤を用いて多孔化しているため、多孔化後の基材に溶剤が残留し、反応基材としては不適当である。またこの場合においても、大量生産の場合には、環境負荷が大きいなどの問題を抱えている。
従って、本発明の目的は、反応基材(特にグラフト重合のための反応基材)として好適な形状を有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子で構成された反応基材、およびその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、機械的強度と反応性との両立が可能な反応基材およびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、親水性に優れ、幅広い用途に適用可能である反応基材およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、多孔質化する際に用いられる溶媒が残留しにくいだけでなく、製造に際して環境へ与える付加が少ない反応基材およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(i)エチレン−ビニルアルコール系共重合体に対して水溶性ポリマーを組合わせ、両者を溶融混合して溶融物を冷却固化させた複合体を形成し、さらにこの複合体から水溶性ポリマーを抽出して、多孔質体を得る工程と、複合体または多孔質体を粒子化処理する工程とを組合わせると、多孔質化したエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得ることができることを見出し、さらに、(ii)このエチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子は、グラフト重合に対して、極めて優れた反応性を示すことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、粒子の表面に形成された細孔の長径の平均値が0.01μm〜20μmであるエチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子で構成された反応基材である。前記反応基材において、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質微粒子の比表面積(S)は、0.01m/g≦S<10m/gであってもよく、多孔質粒子の粒子径は10μm〜2000μm程度であってもよい。
前記反応基材において、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有量は、20モル%〜50モル%程度であってもよく、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のけん化度は90モル%以上であってもよい。
前記反応基材は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と水溶性ポリマーとを溶融混合し、溶融物を冷却固化させた複合体を得る工程Iと、前記複合体から水溶性ポリマーを抽出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体を得る工程IIと、を備え、前記工程IまたはIIの後で、粒子化処理を行う、製造方法により製造することができる。
前記製造方法では、工程Iにおいて、エチレン−ビニルアルコール系共重合体100質量部に対して水溶性ポリマーを0.01質量部〜200質量部程度、溶融混合してもよい。
前記製造方法において、水溶性ポリマーは、例えば、ポリビニルアルコールであってもよく、そのポリマーがけん化度が70〜95モル%程度であってもよい。
前記粒子化処理は、工程IまたはIIのいずれかの後で、粒子化処理を行えばよいが、工程Iの後に粒子化処理するのが好ましい。
本発明は、前記反応基材に対して、重合性単量体がグラフト重合されたグラフト共重合体粒子についても包含する。前記グラフト共重合体粒子は、グラフト率が90%以上であるのが好ましい。
また、本発明は、前記反応基材に対して、重合性単量体をグラフト重合させるグラフト共重合体粒子の製造方法についても包含する。好ましくは、重合性単量体は、電離放射線の照射によりグラフト重合される。
なお、本発明において、多孔質とは、体積1cmあたり、細孔を少なくとも10個、好ましくは100個以上、より好ましくは1,000個以上含む構造を意味している。なお、この細孔は、連続構造であってもよく、独立構造であってもよい。
また、本発明において、「溶融物の冷却固化」とは、溶融物を凝固浴など用いることなく冷却固化することであり、ポリマー溶液の凝固浴によって生じるポリマーのゲル化とは全く異なる概念である。
本発明の反応基材は、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子から形成されているため、その反応性を従来のエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子よりも向上することが可能である。
特に、前記反応基材は、グラフト重合に際し、極めて高い反応性を示すことができるため、グラフト重合用反応基材として利用することができる。
特定のエチレン含量を有する場合、反応基材は、優れた機械的強度と反応性との両立を達成することが可能である。また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が特定のけん化度を有する場合、反応基材の親水性を向上させて、幅広い用途に用いることが可能である。
さらに、本発明の反応基材では、多孔質化する際に用いられる溶媒が残留しにくいだけでなく、製造に際して環境へ与える負荷を少なくすることが可能である。
実施例1におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例2におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例3におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例4におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例5におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例6におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例7におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例8におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例9におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例10におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例11におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例12におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例13におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例14におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 実施例15におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 比較例1におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。 比較例2におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の表面観察像である。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を限定するものではない。
(エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子)
本発明の反応基材は、粒子の最表面に形成された細孔の長径の平均値が0.01μm〜20μmであるエチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子で構成される。
本発明におけるエチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子は、多孔質体であるが、少なくとも粒子の表面に細孔が形成されていればよく、粒子内部まで細孔が形成されている必要はない。表面に形成される細孔は、その長径の平均値が0.01μm〜20μm程度であってもよく、好ましくは0.05μm〜10μm程度、より好ましくは0.1μm〜5μm程度であってもよい。これら細孔の長径の平均値は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質微粒子の粒子径は、10μm〜2000μmであってもよい。粒子径が10μm未満の場合、反応基材としてのハンドリング性が悪化する。一方2000μmを超える場合は、表面積が低下するため、反応基材としての反応性が低減する。好ましくは、粒子径は30〜1500μm、より好ましくは50〜1000μmである。
反応基材として用いる場合、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質微粒子の比表面積(S)は、0.01m/g≦S<10m/gであってもよい。比表面積が0.01m/g未満の場合、表面積が小さく有用な反応基材が得られない場合がある。また比表面積が高すぎても、反応基材の機械的強度が低く、反応性基材として用いた場合に基材が崩壊してしまう恐れがある。比表面積(S)は、好ましくは9m/g以下であり、より好ましくは、7m/g以下であり、さらに好ましくは5m/g以下であってもよい。
なお、比表面積は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
(エチレン−ビニルアルコール系共重合体)
本発明に用いられるエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、上記の性質を有する反応基材として有用な多孔質体を得ることができる限り特に限定されないが、例えば、そのエチレン含有量は、10〜60モル%程度であってもよく、20〜50モル%程度が好ましい。エチレン含有量が低すぎると、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の耐水性が低下し、水溶性ポリマーの熱水抽出時に一部が溶出してしまう可能性がある。一方、エチレン含量が高すぎると製造が難しく入手が困難である。
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のけん化度は、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、99.5モル%以上が特に好ましい。けん化度が90モル%未満の場合、成形性が悪くなったり、得られる反応基材の耐水性が低下する虞がある。
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)についても特に限定されないが、0.1g/分以上が好ましく、0.5g/分がより好ましい。0.1g/分未満の場合、反応基材の強度が低下する。なお、メルトフローレートの上限は通常用いられる範囲であればよく、例えば、25g/分以下であってもよい。
本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で別の不飽和単量体単位を含んでいてもよい。該不飽和単量体単位の含量は、10モル%以下であることが好ましく、5%モル以下であることがより好ましい。
このようなエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(反応基材の製造方法)
多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子の製造方法は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を多孔質にできる限り特に限定されないが、例えば、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と水溶性ポリマーとを溶融混合し、溶融物を冷却固化させた複合体を得る工程Iと;前記複合体から水溶性ポリマーを抽出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体を得る工程IIと;を備え、前記工程IまたはIIの後で、粒子化処理を行う方法が挙げられる。
粒子化処理は、前記工程IまたはIIのいずれかの段階で行えばよく、例えば、工程Iの後で粒子化処理を行う場合、工程Iで得られたエチレン−ビニルアルコール系共重合体と水溶性ポリマーから得られた複合体(例えば、ストランド、ペレット、フレークなど)を、カットまたは粉砕し、次いで分級して、粒度調整を行う処理であってもよい。
また、工程IIの後で粒子化処理を行う場合、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と水溶性ポリマーから形成した複合体(例えば、ストランド、ペレット、フレークなど)を抽出浴に通し、水溶性ポリマーを抽出して得られた多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体を、カットまたは粉砕し、次いで分級して、粒度調整を行う処理であってもよい。特に、工程Iの後で粒子化処理を行う手法が好適である。
粉砕する方法としては、好ましくは遠心粉砕機、ハンマーミル等を利用することができる。
工程Iにおいて、複合体を得る方法は、多孔化したエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を製造できる限り特に限定されないが、通常、前述のエチレン−ビニルアルコール系共重合体と水溶性ポリマーを溶融混練で混合して、溶融物を冷却固化させた後、両者が複合化した複合体が形成される。溶融混練する方法は特に限定されず、一軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー、ニーダーなど公知の混練機を用いることができる。
また、工程IIにおいて、複合体から水溶性ポリマーを抽出するために用いられる溶媒としては、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を溶解せず、水溶性ポリマーを抽出することができる限り、抽出に用いられる溶媒は特に限定されず、水、各種有機溶媒、水と有機溶媒との混合物などを用いることができる。環境負荷やその後反応基材として使用することを考慮すると、水溶性ポリマーを利用している観点から、溶媒としては水、特に熱水を用いるのが好ましい。熱水の温度は、40℃〜120℃が好ましく、50℃〜100℃がさらに好ましい。
なお、水溶性ポリマーを抽出した後、多孔質体は、室温に放置して自然乾燥させてもよいが、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の結晶性を高め、多孔質体としての強度を向上させる観点から、熱処理をして乾燥させるのが好ましい。
乾燥温度は、用いるエチレン−ビニルアルコール系共重合体にもよるが、結晶化を進めるとともに樹脂の熱劣化を抑える観点から、好ましくは60℃〜190℃、より好ましくは80℃〜150℃、さらに好ましくは100℃〜130℃である。
本発明における、エチレン−ビニルアルコール系共重合体に対する水溶性ポリマーの複合量は特に限定されないが、エチレン−ビニルアルコール系共重合体100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜200質量部程度、より好ましくは0.05質量部〜150質量部程度、さらに好ましくは0.1質量部〜100質量部程度である。水溶性ポリマーの複合量が少なすぎると、熱水による抽出で水溶性ポリマーが十分抽出できず、期待する表面積増加効果が得られない場合がある。水溶性ポリマーの複合量が多すぎると、得られる多孔質体の機械的強度が低く、反応性基材として用いた場合に基材が崩壊してしまう恐れがある。
本発明に用いられる水溶性ポリマーは特に限定されず、一般に知られている水溶性ポリマーが利用できる。当該水溶性ポリマーは、例えば、デンプン、ゼラチン、セルロース誘導体、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の水溶性アミン系ポリマー、ポリアクリル酸、ポリイソプロピルアクリルアミド等のポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。これらの中でも、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と溶融混合し易く、空隙の制御が容易であることから、特にポリビニルアルコールが好適に用いられる。
本発明に用いられるポリビニルアルコールは、本発明の効果が得られる限り、ビニルアルコール単位およびビニルエステル系単量体に由来する構造単位以外の構造単位を有することができる。当該構造単位は、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸N−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸N−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸N−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸N−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩(例えば4級塩);メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩(例えば4級塩);メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−ビニルオキシプロパンなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩またはエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニルである。当該構造単位の含有量は、10モル%未満である。
本発明に用いられるポリビニルアルコールは、粘度平均重合度(JIS K6726に準拠して測定)は特に限定されないが、多孔質体の表面積を好適な範囲にする観点から、好ましくは100〜10,000であり、より好ましくは200〜7,000であり、さらに好ましくは300〜5,000である。
本発明に用いられるポリビニルアルコールのけん化度は特に限定されないが、エチレン−ビニルアルコール系共重合体との溶融混合性、溶融成形性、および抽出性を良好にする観点から、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは60〜98モル%であり、特に好ましくは70〜95モル%である。
本発明の多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子は、本発明の効果を阻害しない範囲で、吸着剤、抽出剤、界面活性剤、架橋剤、酸化防止剤、光安定化剤、等の他成分を含んでいてもよい。
このようにして得られた多孔質粒子は、例えば、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の水酸基の反応性を活かした反応基材として有用に利用することができる。特に、反応基材は、その多孔質な構造を利用して、グラフト重合のための反応基材として用いることができる。
(グラフト共重合体粒子)
グラフト共重合体粒子は、前記反応基材に対して、重合性単量体がグラフト重合されている。上記の多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体に対して、重合性単量体をグラフト重合する方法としては、種々の公知の方法が可能であるが、特に電離放射線を用いて、グラフト鎖を導入する方法が好ましく用いられる。
電離放射線としては、α線、β線、γ線、加速電子線、紫外線などがあるが、実用的には加速電子線またはγ線が好ましい。
電離放射線を用いて、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子に重合性単量体をグラフト重合させる方法としては、該粒子と重合性単量体の共存下、電離放射線を照射する同時照射法と、該粒子のみに予め電離放射線を照射した後、重合性単量体と基材とを接触させる前照射法のいずれでも可能であるが、前照射法がグラフト重合以外の副反応を生成しにくい特徴を有する。
グラフト重合の際に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子と重合性単量体とを接触させる方法としては、液状の重合性単量体あるいは重合性単量体の溶液と直接接触させる液相重合法と、重合性単量体の蒸気あるいは気化状態で接触させる気相グラフト重合法とがあるが、目的に応じて選択可能である。
電離放射線を照射する線量としては、特に限定されないが、5〜230kGyが好ましく、10〜190kGyがより好ましく、15〜140kGyがさらに好ましい。20〜90kGyが最も好ましい。5kGy未満の場合、線量が少な過ぎるためグラフト率が低下し目的のグラフト共重合体が得られないことがある。230kGy以上の場合、処理工程にコストがかかる、照射時に樹脂が劣化する懸念がある。
グラフト重合により導入される重合性単量体の量(グラフト率)は、特に限定されないが、90%〜900%であることが好ましく、120%〜700%であることがより好ましく、150%〜500%であることがさらに好ましい。なお、本明細書内の「グラフト率」とは、後述する実施例に記載した方法によって算出される値である。
重合性単量体としては、グラフト重合によりエチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子に導入できる限り特に限定されないが、(メタ)アクリルアミド末端、(メタ)アクリレート末端、アリル末端、環状オレフィン末端、スチリル末端のものが好ましく、特に、(メタ)アクリルアミド末端、(メタ)アクリレート末端、スチリル末端を有するものが好ましい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」および「部」は特に断りのない限り、それぞれ「質量%」および「質量部」を表す。
[細孔の長径の平均値の算出]
走査型電子顕微鏡を用い、粒子表面を観察した。表面に形成されている細孔から任意に50個選択し、それぞれの細孔の長径を計測した。50個の長径を平均し、平均値を導出した。但し、1nm以下の場合、傷、付着物等との区別がつかないため、選択から除外した。
[比表面積の測定]
ユアサアイオニクス株式会社製比表面積測定装置「MONOSORB」を用い、N2吸着によるBET一点法により多孔質粒子の比表面積を導出した。
[グラフト率]
以下の式によってグラフト率を算出した。
グラフト率[(w/w)%]=100×(付与したグラフト鎖の質量)/(反応基材の質量)
[実施例1]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、E105、エチレン含有量44モル%)70質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205)30質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積0.16m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図1に示す。
[実施例2]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、E105、エチレン含有量44モル%)60質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205)40質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積0.33m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図2に示す。
[実施例3]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、E105、エチレン含有量44モル%)70質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA217)3質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積0.46m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図3に示す。
[実施例4]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、E105、エチレン含有量44モル%)60質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA217)40質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積1.12m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図4に示す。
[実施例5]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、F101、エチレン含有量32モル%)70質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205)30質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積0.17m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図5に示す。
[実施例6]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、F101、エチレン含有量32モル%)60質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205)40質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積0.72m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図6に示す。
[実施例7]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、F101、エチレン含有量32モル%)70質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA217)30質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積0.69m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図7に示す。
[実施例8]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、F101、エチレン含有量32モル%)60質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA217)40質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積1.84m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図8に示す。
[実施例9]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、L104、エチレン含有量27モル%)70質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205)30質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図9(比表面積1.45m/g)に示す。
[実施例10]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、L104、エチレン含有量27モル%)60質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205)4質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積2.19m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図10に示す。
[実施例11]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、L104、エチレン含有量27モル%)70質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA217)30質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積0.69m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図11に示す。
[実施例12]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、L104、エチレン含有量27モル%)60質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA217)40質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積1.84m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図12に示す。
[実施例13]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、F101、エチレン含有量32モル%)80質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205)20質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積0.13m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図13に示す。
[実施例14]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、F101、エチレン含有量32モル%)90質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205)10質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積0.09m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図14に示す。
[実施例15]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、F101、エチレン含有量32モル%)99.5質量部とポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205)0.5質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してポリビニルアルコールを抽出した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子(比表面積0.09m/g)を得た。該多孔質粒子の細孔長径平均値を表1に示す。また、粒子の観察像を図15に示す。
[比較例1]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、E105)を遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子(比表面積0.1m/g)を作製した。該粒子には細孔が形成されていなかった。粒子の観察像を図16に示す。
[比較例2]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ製、E105)を遠心粉砕機で粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子(比表面積0.1m/g)を作製した。次に、得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌した。その後、粒子を100℃で3時間熱風乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得た。該粒子には細孔が形成されていなかった。粒子の観察像を図17に示す。
[実施例16]
実施例11で得られたエチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質微粒子に30kGyのγ線を照射した後、該粒子を80℃窒素置換したグリシジルメタクリレート(以下GMAを表記)の40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥し、GMAグラフト粒子を調製した。結果を表1に示す。
[実施例17]
実施例15で得られたエチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質微粒子に30kGyのγ線を照射した後、該粒子を80℃窒素置換したGMAの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥し、GMAグラフト粒子を調製した。結果を表2に示す。
[比較例3]
比較例1で得られたエチレン−ビニルアルコール系共重合体微粒子に30kGyのγ線を照射した後、該粒子を80℃窒素置換したGMAの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥し、GMAグラフト粒子を調製した。結果を表2に示す。
[比較例4]
比較例2で得られたエチレン−ビニルアルコール系共重合体微粒子に30kGyのγ線を照射した後、該粒子を80℃窒素置換したGMAの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥し、GMAグラフト粒子を調製した。結果を表2に示す。
Figure 2014088496
Figure 2014088496
エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子を反応基材として用いた実施例16、実施例17では、多孔質化していない粒子を反応基材として用いた比較例3、比較例4に比べ、グラフト率が顕著に向上し、該多孔質粒子は反応基材として有用であった。
本発明によれば、反応基材として有用なエチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子を提供することができる。この多孔質粒子は、例えば、電離放射線を用いたグラフト重合の基材として有用である。
以上のとおり、本発明の好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。

Claims (13)

  1. 粒子の表面に形成された細孔の長径の平均値が0.01μm〜20μmであるエチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質粒子で構成された反応基材。
  2. 請求項1に記載の反応基材において、エチレン−ビニルアルコール系共重合体多孔質微粒子の比表面積(S)が、0.01m/g≦S<10m/gである反応基材。
  3. 請求項1または2に記載の反応基材において、多孔質粒子の粒子径が10μm〜2000μmである反応基材。
  4. 請求項1から3のいずれか一項の反応基材において、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有量が20モル%〜50モル%である反応基材。
  5. 請求項1から4のいずれか一項の反応基材において、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のけん化度が90モル%以上である反応基材。
  6. エチレン−ビニルアルコール系共重合体と水溶性ポリマーとを溶融混合し、溶融物を冷却固化させた複合体を得る工程Iと、
    前記複合体から水溶性ポリマーを抽出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体を得る工程IIと、
    を備え、前記工程IまたはIIの後で、粒子化処理を行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の反応基材の製造方法。
  7. 請求項6の製造方法において、工程Iにおいて、エチレン−ビニルアルコール系共重合体100質量部に対して水溶性ポリマーを0.01質量部〜200質量部溶融混合する、製造方法。
  8. 請求項6または7の製造方法において、水溶性ポリマーがポリビニルアルコールである製造方法。
  9. 請求項6から8のいずれか一項の製造方法において、水溶性ポリマーがけん化度70〜95モル%のポリビニルアルコールである製造方法。
  10. 請求項1から5のいずれか一項に記載の反応基材に対して、重合性単量体がグラフト重合されたグラフト共重合体粒子。
  11. 請求項10のグラフト共重合体粒子において、グラフト率が90%以上であるグラフト共重合体粒子。
  12. 請求項1から5のいずれか一項に記載の反応基材に対して、重合性単量体をグラフト重合させるグラフト共重合体粒子の製造方法。
  13. 請求項12の製造方法において、重合性単量体が、電離放射線の照射によりグラフト重合される製造方法。
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