JP2014084270A - 酸化ガリウム粉末及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】それを用いて焼結される焼結体の密度が向上される酸化ガリウム粉末及びその製造方法の提供。
【解決手段】粒子の平均長短軸比が1〜2.5であって、粒子の長軸方向に直交する断面の面積が該長軸方向における中心から両端に向かい漸減する酸化ガリウム粒子を主成分として含むことを特徴とする酸化ガリウム粉末を提供する。また、ガリウムイオン濃度が0.1Mより大きく0.4M未満のガリウム塩溶液に、アルカリ性沈澱剤を該溶液のpH値が8より大きく9未満となるように添加しガリウム塩沈澱物を生成する生成ステップと、該沈殿物を分離するステップと、該沈殿物を乾燥させるステップと、該沈殿物を焼成するステップとを含み、該生成ステップでの該溶液の液温が15〜50℃、該焼成ステップにおける焼成温度が700℃以上であることを特徴とする酸化ガリウム粉末の製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化金属粉末及びその製造方法に関し、詳しくは酸化ガリウム粉末及びその製造方法に関する。
スパッタリングによって酸化金属の薄膜を形成する際には、通常、該酸化金属を含んだ焼結体をスパッタリングターゲット(以下、単にターゲットとも)に用いている。この焼結体は、密度が高ければ高いほど、スパッタリングを経て形成される酸化金属薄膜における膜厚の均一性と膜質の均質性が向上する。
上記焼結体を製造するために通常以下の工程を行う。まず、酸化金属粉末を例えばボールミルで十分に粉砕混合して混合物を得る。次に該混合物に水などを加えてスラリー状にし、該スラリーを噴霧乾燥して得られた顆粒を加圧成形して成形物を得る。最後に該成形物を高温焼結炉に入れて数時間の焼結を行い、焼結体を得る。
得られる焼結体の密度は酸化金属粉末の性質に大きく左右される。そこで、該焼結体をターゲットとしてスパッタリングして得られる酸化金属薄膜の膜厚の均一性と膜質の均質性を向上させるために、酸化金属粉末の性質を、いかにしてそれにより得られる焼結体の密度が高められるように改良するかが、研究されている。
特開平10‐273318号公報 特開2002‐20122号公報 特開2004‐142969号公報
上記酸化金属の焼結体における空隙率が小さく且つ密度が高いほど、スパッタリングの過程で異常放電やノジュールの発生が抑えられ、得られる薄膜の品質が良好になる。焼結体の空隙率は、その材料となる酸化金属粉末の諸物性と密接な関連が有る。これに鑑みて、本発明の発明人は研究を重ねた結果、酸化ガリウム粉末においては、その粒子形状が例えば各特許文献にて示されているような長方体状や等方体状であったり、粒子の平均長短軸比が大きすぎると、焼結体の製造過程における上述した粉砕混合の効率が低下し、結果的に焼結体における空隙率の減少つまり密度の向上が妨げられることを発見した。
そこで、本発明は、それを用いて焼結される焼結体における空隙率がより減少され、密度がより向上される酸化ガリウム粉末の提供を一つの目的とする。
また、本発明は、上記酸化ガリウム粉末を製造することができる製造方法の提供を他の目的とする。
前記一つの目的を達成するための手段として、本発明は、粒子の平均長短軸比が1〜2.5であって、該粒子の長軸方向に直交する断面の面積が、該粒子の長軸方向における中心から両端に向かって漸減している酸化ガリウム粒子を主成分として含んでいることを特徴とする酸化ガリウム粉末を提供する。
加えて、前記他の目的を達成するために、本発明は、ガリウムイオン濃度が0.1Mより大きく0.4M未満のガリウム塩溶液に、アルカリ性沈澱剤を、該アルカリ性沈澱剤を入れた後の該ガリウム塩溶液のpH値が8より大きく9未満となるように添加してガリウム塩沈澱物を生成する沈殿物生成ステップと、固液分離法により該ガリウム塩沈殿物を該ガリウム塩溶液から分離する沈殿物分離ステップと、分離した該ガリウム塩沈殿物を乾燥させる沈殿物乾燥ステップと、乾燥した該ガリウム塩沈殿物を焼成して酸化ガリウム粉末を得る焼成ステップと、を含んでおり、 前記沈殿物生成ステップにおける前記ガリウム塩溶液の液温が15℃〜50℃であり、前記焼成ステップにおける焼成温度が700℃以上であることを特徴とする酸化ガリウム粉末の製造方法をも提供する。
本発明に係る酸化ガリウム粉末によれば、該粉末が含む酸化ガリウム粒子が、それを用いて焼結される焼結体における空隙率がより減少され、密度がより向上されるように形成されているので、スパッタリングターゲットとして用いるに相応しい緻密な焼結体を製造することが可能となる。
本発明の実施例2−1により得られた酸化ガリウム粉末を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下SEM)を用いて観察した像である。 本発明に係る酸化ガリウム粉末の製造方法を示したフローチャートである。 比較例2−1により得られた酸化ガリウム粉末を示すSEM像である。 比較例2−2により得られた酸化ガリウム粉末を示すSEM像である。 比較例2−3により得られた酸化ガリウム粉末を示すSEM像である。 比較例2−4により得られた酸化ガリウム粉末を示すSEM像である。
以下に本発明を実施するための形態を図面を参照しながらその具体的な実施例を示して説明する。
<酸化ガリウム粉末>
図1には、本発明に係る酸化ガリウム粉末の好ましい実施例における酸化ガリウム粒子を、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下SEM)を用いて観察して得られた像が示されている。図中、aは酸化ガリウム粒子の長軸(長さ)を、bは短軸(幅)をそれぞれ示している。
本発明に係る酸化ガリウム粉末は、粒子の長短軸比(a/b)の値が主に1より大きく且つ2.5より小さく、即ち1〜2.5の範囲内、つまり、その長軸が短軸よりも長いが2.5倍以下である酸化ガリウム粒子を主成分として含んでいる。また、本発明に係る酸化ガリウム粉末は、それが主成分として含む粒子の長軸方向に直交する断面の面積が、粒子の長軸方向における中心から両端に向かって漸減している。ちなみにここで主成分として含むとは、上記酸化ガリウム粒子を60%以上含んでいることを指している。
なお、上記酸化ガリウム粒子の長短軸比は、主に1〜1.5の範囲内であるとより好ましい。
加えて、本発明に係る酸化ガリウム粉末の粒子は、その結晶構造がβ(ベータ)相である。結晶構造がβ相の酸化ガリウムの硬度はα(アルファ)相のものよりも低い。
更に、本発明に係る酸化ガリウム粉末の粒子径は、等体積球相当径の中位径(以下、単にD50とも)が1〜3μmの範囲内であり、より好ましくは1〜1.5μmの範囲内である。ここで、粉末の粒子径の等体積球相当径の中位径とは、レーザー回折散乱法を用いて計測されるものであり、レーザー回折式粒度分布測定装置によってまず各々の粒子をそれら粒子と体積が相当する球形と仮定してその球形の直径から算出された体積基準粒度分布の50%径(メディアン径)である。一般に酸化ガリウム粒子の粒径はこの等体積球相当径により表される。
本発明に係る酸化ガリウム粉末を用いて、スパッタリングターゲットとして用いるための焼結体を製造するには、主に以下の工程を経る。
まず、酸化ガリウム粉末を、該酸化ガリウム粉末の酸化ガリウム粒子のD50が0.5μmより小さくなるまで粉砕する。次に、酸化ガリウム粉末および酸化ガリウムとは異なる酸化金属の粉末を共にボールミル容器に入れてボールミル粉砕を行い、これら粉末を均等に混合させ、酸化金属粉末混合物を得る。粉砕を行う時間は1時間以上必要であり、2時間以上が適している。なお、上記酸化ガリウムとは異なる酸化金属の粉末が異なる複数種の金属により構成される混成酸化金属粉末である場合には、先にその混成酸化金属粉末を別にボールミルで粉砕しておく。
続いて、上記酸化金属粉末混合物をスプレードライ法で処理することで、D50が約10μmとなる造粒粉末を形成する。
次に、上記造粒粉末を、加圧成形して成形物を得る。加圧成形の方法としては、冷間プレスと冷間等静圧プレスを組み合わせて行う。
次に、上記成形物に脱ろう(debinding)を施す。最後に、脱ろう後の該成形物を所定の温度、例えば1400℃〜1500℃で5〜10時間の焼結を行う。これにより酸化ガリウムを含むと共にスパッタリングターゲットとして用いることができる焼結体が得られる。
なお、上記製造工程においては、粉砕を行う時間が短いほど、不純物の混入も少ない。また、粉砕を行う時間の長さは酸化ガリウム粉末の硬さによる。つまり、結晶構造がβ相のものはα相のものに比べて軟らかく、粉砕時間も比較的短くて済む。これ以外に、粉砕を行う時間の長さは酸化ガリウム粉末の粒子の形状にもよる。つまり、酸化ガリウム粉末における粒子が平均長短軸比の大きすぎるもの(形状が長くなっているもの)または形状が長方体状や等方体状など粒子の長軸方向に直交する断面の面積がほぼ等しいものである場合、それを理想的な形状や粒子径分布まで粉砕するには、時間が長くかかるばかりでなく、実際的に困難である。また、焼結温度は低いほうが、燃料消費を抑えられ、製造時間も短くなると共に炉の使用寿命も長くなり、製造効率が良い。
下記の表1は、それが含む粒子の態様が上記実施形態の範囲内である各実施例と、各比較例との酸化ガリウム粉末の粒子特性(形状、長短軸比、該粒子のD50など)、並びに各酸化ガリウム粉末を原料にして上記製造方法によりスパッタリングターゲット(焼結体)を製造した際の、各製造パラメーターおよび各該スパッタリングターゲットの特性を示したものである。
Figure 2014084270
(分析結果)
以下(1−a)〜(1−d)は、上記表1から得られる分析結果である。
(1−a)
実施例1−2および比較例1−3の比較から分かるように、酸化ガリウム粉末における酸化ガリウム粒子の長短軸比が近似しており、結晶構造が同じくβ相であるという条件下においても、本発明に係る「各酸化ガリウム粒子の長軸方向に直交する断面の面積が、該粒子の長軸方向における中心から両端に向かって漸減している形状」の酸化ガリウム粉末(実施例1−2)を用いて得られた焼結体は、その結晶相がスパッタリングターゲットとして用いるに相応しい単相(つまり実質的にβ相しか有しない)となった一方で、「各酸化ガリウム粒子の長軸方向に直交する断面の面積が、該粒子の長軸方向における中心においてと両端においてで実質等しい形状」の酸化ガリウム粉末(比較例1−3)を用いて得られた焼結体は、その結晶相がスパッタリングターゲットとして用いるに相応しくない多相(つまりβ相以外の結晶相をも含んでいる)となった。また、実施例1−2の酸化ガリウム粉末を用いて得られたスパッタリングターゲット(焼結体)の密度は99.5%に達し、比較例1−3の酸化ガリウム粉末を用いて得られたものと比べて1.2%高い。
なお、結晶相が単相であるとスパッタリングターゲットとして用いるに相応しいのは、スパッタリングにおいてターゲットに例えばアルゴンを衝突させて該ターゲット金属を基板上に堆積させる際に、ターゲットが単相であると上記衝突が均等になり堆積速度も平均となるからである。また逆に、多相であるとスパッタリングターゲットとして用いるに相応しくないのは、ターゲットが多相であると上記衝突が不均等になり堆積速度にむらが出るからである。
(1−b)
実施例1−1および比較例1−1の比較から分かるように、酸化ガリウム粉末における酸化ガリウム粒子の長短軸比が近似しており、また、酸化ガリウム粒子の等体積球相当径の中位径が共に1〜3μmの範囲内であり、且つ、粒子の形状が同じく楕円状(E)であるという条件下においても、結晶構造がβ相である酸化ガリウム粉末(実施例1−1)は、結晶構造がα相である酸化ガリウム粉末(比較例1−1)と比べて、等体積球相当径の中位径が0.5μmより小さくなるまで粉砕するのにかかる粉砕時間が遥かに短かい。なお、比較例1−1では、20時間粉砕を行っても、酸化ガリウム粉末における粒子の等体積球相当径の中位径が0.5μm以下にならなかった。
(1−c)
実施例1−1および比較例1−2の比較から分かるように、酸化ガリウム粉末の酸化ガリウム粒子の形状が上記柱状である上に、その長短軸比が2.5を超える場合(比較例1−2)、該粉末を加圧成形して得られた成形物は密度が比較的低く、実施例1−1と同じ焼結条件(温度1400℃、10時間)の場合、実施例1−1での焼結体の密度が99.7%であるのに比べて、比較例1−2では97%と低く、しかも結晶相も多相となり、スパッタリングターゲットとして用いるに向かない。なお、比較例1‐2では、焼結温度を1550℃まで上げると、得られる焼結体の結晶相が単相となりまた密度も98.2%と多少向上したが、焼結温度を高くすれば製造コストも上がる。
(1−d)
実施例1−1および実施例1−2の比較から分かるように、酸化ガリウム粉末において酸化ガリウム粒子の長短軸比が1〜1.5の範囲内である場合には、該粒子の等体積球相当径の中位径が0.5μmになるまでにかかる粉砕時間も比較的短くて済む。また、スパッタリングターゲットとするために焼結する際の焼結温度も比較的低く、且つ、焼結後に得られる焼結体の密度も99.5%以上と比較的高い。
表1ならびに上記(1−a)〜(1−d)の分析結果から分かるように、本発明に係る酸化ガリウム粉末は、それが含む酸化ガリウム粒子の長軸方向に直交する断面の面積が該粒子の長軸方向における中心から両端に向かって漸減する形状となっている上に、結晶構造がβ相となっているので、同じ焼結条件であっても、空隙率の低い、つまり密度がより高い焼結体を得ることができ、スパッタリングターゲットとして用いた場合に、品質が良好な酸化金属薄膜が得られる。
<酸化ガリウム粉末の製造方法>
以下、本発明に係る酸化ガリウムの製造方法の実施形態、およびその具体例として実施例を説明する。
該製造方法の実施形態は、図2のフローチャートに示されているように、以下の4つのステップを含んでいる。
(沈殿物生成ステップS11)
ガリウムイオン濃度が0.5M未満のガリウム塩溶液に、アルカリ性沈澱剤を、該アルカリ性沈澱剤を入れた後の該ガリウム塩溶液のpH値が7より大きく且つ10未満となるように添加してガリウム塩沈澱物を生成する。
なお、上記ガリウム塩溶液としては、ガリウムイオン濃度が0.1Mより大きく0.4M未満のものを用いるとさらに好ましい。また、上記アルカリ性沈澱剤は、それを入れた後の該ガリウム塩溶液のpH値が8〜9となるように添加することがより好ましい。
ここで、上記ガリウム塩溶液とは、ガリウム塩を溶剤中に分散させたものであり、ガリウム塩としては塩化ガリウムおよび硝酸ガリウムのいずれかを用いる。また、上記アルカリ性沈澱剤としては、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液のいずれかを用いる。また、アルカリ性沈殿剤をガリウム塩溶液に入れた際の反応温度は15℃〜50℃が好ましく、言い換えれば、ガリウム塩沈殿物を生成する際の溶液温度は15℃〜50℃であることが好ましい。
(沈殿物分離ステップS12)
得られたガリウム塩沈殿物を、固液分離法によりガリウム塩溶液から分離する。
(沈殿物乾燥ステップS13)
ガリウム塩溶液から分離したガリウム塩沈殿物を乾燥させる。
(焼成ステップS14)
乾燥したガリウム塩沈殿物を焼成して酸化ガリウム粉末を得る。焼成温度は700℃を超えることが好ましい。
(製造実施例および比較例)
具体的な製造例を以下に挙げる。
まず、金属ガリウムを硝酸溶液に入れて溶解することで、ガリウムイオンを含む硝酸ガリウム溶液、つまりガリウム塩溶液を作成した(溶液のガリウムイオン濃度は下記表2に記載)。続いて、水酸化アンモニウム水溶液を該ガリウム塩溶液に滴下して加えて(加えた後のガリウム塩溶液のpH値は下記表2に記載)、所定の時間静置させて熟成を行い、水酸化アンモニウム溶液とガリウム塩溶液が反応しガリウム塩沈殿物を形成した(この際の反応温度は下記表2に記載)。なお、上記所定の時間は少なくとも一時間である。
次に、固液分離を行い上記ガリウム塩沈殿物を溶液から分離した。また、該沈殿物に対して濾過と水洗を数回繰り返し、雑質やガリウム塩以外の不必要な塩類物質を取り除いた。
次に、濾過と水洗を経たガリウム塩沈殿物をオーブンに入れて90℃に加熱し該沈殿物を乾燥させた。
最後に、乾燥したガリウム塩沈殿物を高温炉に入れ、所定の焼成温度(焼成温度は下記表2に記載)に加熱し、該沈殿物中の水分を揮発させ、所望の結晶相(β相)となるように焼成を行い、酸化ガリウム粉末を得た。
下記表2は、上記実施例の製造方法に基づいて、ガリウム塩溶液のガリウムイオン濃度、反応温度、pH値、焼成温度だけをそれぞれ変えて実施した各実施例および各比較例の上記各パラメータ、およびそれにより得られた酸化ガリウム粉末の粒子の特性をそれぞれ示したものである。
Figure 2014084270
(分析結果)
以下(2−a)〜(2−e)は、上記表2から得られる分析結果である。また、図1は表2の実施例2−1により得られた酸化ガリウム粉末のSEM像であり、図3〜図6は、それぞれ表2の比較例2−1〜比較例2‐4により得られた酸化ガリウム粉末を示すSEM像である。
(2−a)
実施例2‐1(図1)、実施例2−2ならびに比較例2−2(図4)の比較から分かるように、ガリウム塩溶液のガリウムイオン濃度が0.5Mを超え0.6Mに達している場合(比較例2−2)、たとえアルカリ性沈澱剤を入れた後のガリウム塩溶液のpH値が8〜9の範囲内であってもそれにより得られた酸化ガリウム粉末の酸化ガリウム粒子の形状は、粒子の長軸方向に直交する断面の面積が、該粒子の長軸方向における中心においてと両端においてで実質等しい形状、つまり柱状となってしまった(図4参照)。一方、ガリウム塩溶液のガリウムイオン濃度が0.5M未満である場合(実施例2‐1、実施例2−2)、それにより得られた酸化ガリウム粉末の主成分である酸化ガリウム粒子の形状は、上述した本発明に係る酸化ガリウム粉末のように、それが含む酸化ガリウム粒子の長軸方向に直交する断面の面積が、該粒子の長軸方向における中心から両端に向かって漸減している形状、つまり楕円状となった(図1参照)。よって、本発明に係る酸化ガリウム粉末を得るには、ガリウム塩溶液のガリウムイオン濃度が0.5M未満である必要がある。
(2−b)
実施例2‐1(図1)、実施例2−2ならびに比較例2−3(図5)の比較から分かるように、アルカリ性沈澱剤を入れた後のガリウム塩溶液のpH値が10以上である場合(比較例2−3)、たとえガリウム塩溶液のガリウムイオン濃度が0.5M未満であっても、それにより得られる酸化ガリウム粉末の主成分である酸化ガリウム粒子の形状は、上記柱状となってしまった(図5参照)。一方、アルカリ性沈澱剤を入れた後のガリウム塩溶液のpH値が10未満である場合(実施例2−1、実施例2−2)、それにより得られる酸化ガリウム粉末の主成分である酸化ガリウム粒子は、上記楕円状となった(図1参照)。よって、本発明に係る酸化ガリウム粉末を得るには、アルカリ性沈澱剤を入れた後のガリウム塩溶液のpH値が7より大きく(つまりアルカリ性であり)且つ10未満である必要がある。
(2−c)
実施例2‐1(図1)、実施例2−2ならびに比較例2−4(図6)の比較から分かるように、アルカリ性沈殿剤とガリウム塩溶液とが反応を起こす際の溶液温度(つまり上記沈殿物生成ステップにおけるガリウム塩溶液の液温)が、50℃を超えて60℃に達している場合、それにより得られる酸化ガリウム粉末の主成分である酸化ガリウム粒子の形状は、上記柱状となってしまった(図6参照)。一方、上記溶液温度が50℃を超えない場合(実施例2‐2)、それにより得られる得られる酸化ガリウム粉末の主成分である酸化ガリウム粒子は、上記楕円状となった。よって、上記溶液温度としては15℃〜50℃が好ましい。
(2−d)
実施例2‐1(図1)、実施例2−2ならびに比較例2−1(図3)の比較から分かるように、焼成温度が700℃以上である場合(実施例2‐1、実施例2−2)、得られる酸化ガリウム粉末の結晶構造はβ相であった。一方、比較例2−1のように、焼成温度が700℃を下回る場合、得られる酸化ガリウム粉末の結晶構造はα相であった。よって、焼成温度は700℃以上であることが好ましい。
(2−e)
実施例2−1および実施例2−2から分かるように、ガリウム塩溶液のガリウムイオン濃度が0.4Mである場合、得られる酸化ガリウム粉末の主成分である酸化ガリウム粒子の平均長短軸比が2.23であり、該ガリウムイオン濃度が0.2Mである場合、得られる酸化ガリウム粉末の主成分である酸化ガリウム粒子の平均長短軸比が1.32であった。よって、ガリウム塩溶液のガリウムイオン濃度は、0.1Mより大きく0.4M未満であることがより好ましい。
表2ならびに上記(2−a)〜(2−e)の分析結果から分かるように、本発明に係る上記酸化ガリウム粉末の製造方法によれば、ガリウム塩溶液のガリウムイオン濃度が0.5M未満であって、アルカリ性沈澱剤を入れた後のガリウム塩溶液のpH値が7より大きく10未満であれば、平均長短軸比が1〜2.5の範囲内であり且つ形状が各該粒子の長軸方向に直交する断面の面積が、各該粒子の長軸方向における中心から両端に向かって漸減している酸化ガリウム粒子を主成分として含有する酸化ガリウム粉末を得ることができる。また、該製造方法においては、上記沈殿物生成ステップにおけるガリウム塩溶液の液温、つまりアルカリ性沈澱剤を入れた際のガリウム塩溶液における反応温度が15℃〜50℃の範囲内であることが好ましく、上記焼成ステップにおける焼成温度が700℃以上であることが好ましい。また、ガリウム塩溶液のガリウムイオン濃度は、0.1Mより大きく0.4M未満の範囲内であり、且つ、アルカリ性沈澱剤を入れた後のガリウム塩溶液のpH値が8より大きく且つ9未満であることがより好ましい。
以上総括すると、上述した本発明に係る酸化ガリウム粉末の製造方法に基づいて、且つ、ガリウム塩溶液のガリウムイオン濃度を0.5M未満とし、アルカリ性沈殿剤をを添加した後のガリウム塩溶液がアルカリ性を呈すると共にpH値が10未満となるようにすれば、本発明に係る酸化ガリウム粉末を製造することができる。また、本発明に係る酸化ガリウム粉末は、粒子の平均長短軸比が1〜2.5であり且つ各粒子の長軸方向に直交する断面の面積が各該粒子の長軸方向における中心から両端に向かって漸減している形状を有する酸化ガリウム粒子を主成分として含んでいるので、該粉末を用いてスパッタリングターゲットとする焼結体を製造すれば、焼結温度が比較的低くてよく、しかも密度が99%以上と、密度がより向上された焼結体を得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明に係る酸化ガリウム粉末は、緻密な焼結体を製造するのにふさわしい物性を有しているので、これを用いれば、異常放電やノジュールの発生が抑えられた品質良好なスパッタリングターゲットを製造することが可能となる。

Claims (5)

  1. 粒子の平均長短軸比が1〜2.5であって、該粒子の長軸方向に直交する断面の面積が、該粒子の長軸方向における中心から両端に向かって漸減している酸化ガリウム粒子を主成分として含有することを特徴とする酸化ガリウム粉末。
  2. 前記酸化ガリウム粒子の平均長短軸比が1〜1.5である
    ことを特徴とする請求項1に記載の酸化ガリウム粉末。
  3. 前記酸化ガリウム粒子の結晶構造がβ相である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の酸化ガリウム粉末。
  4. 前記酸化ガリウム粒子の等体積球相当径の中位径(D50)が1〜3μmである
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸化ガリウム粉末。
  5. ガリウムイオン濃度が0.1Mより大きく0.4M未満のガリウム塩溶液に、アルカリ性沈澱剤を、該アルカリ性沈澱剤を入れた後の該ガリウム塩溶液のpH値が8より大きく9未満となるように添加してガリウム塩沈澱物を生成する沈殿物生成ステップと、
    固液分離法により該ガリウム塩沈殿物を該ガリウム塩溶液から分離する沈殿物分離ステップと、
    分離した該ガリウム塩沈殿物を乾燥させる沈殿物乾燥ステップと、
    乾燥した該ガリウム塩沈殿物を焼成して酸化ガリウム粉末を得る焼成ステップと、
    を含んでおり、
    前記沈殿物生成ステップにおける前記ガリウム塩溶液の液温が15℃〜50℃であり、
    前記焼成ステップにおける焼成温度が700℃以上である
    ことを特徴とする酸化ガリウム粉末の製造方法。
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