JP2006335616A - 酸化ガリウム単結晶 - Google Patents
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Abstract
【課題】 既存のものよりはるかに結晶性に優れ、光学材料、電極、導電体、ガスセンサ、光記録材料等の種々のデバイスへの応用に有利な酸化ガリウム単結晶を提供する。
【解決手段】 放射光をX線源としたX線ロッキングカーブ測定により得られるX線ロッキングカーブの半値幅が0.08°以下であることを特徴とする酸化ガリウム(β-Ga2O3)単結晶である。
【選択図】 図4
【解決手段】 放射光をX線源としたX線ロッキングカーブ測定により得られるX線ロッキングカーブの半値幅が0.08°以下であることを特徴とする酸化ガリウム(β-Ga2O3)単結晶である。
【選択図】 図4
Description
この発明は、結晶性に優れた酸化ガリウム単結晶に関する。
酸化ガリウム単結晶は、可視領域で透明であり、かつ、4.8eVのワイドバンドギャップを有することから、紫外領域の光学材料、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等を得るための窒化物半導体用基板、フラットパネルディスプレー、光学的エミッター、太陽電池等で使用される酸化物透明導電体、及び高温酸素ガスセンサ材料等をはじめとして、レーザ光共振キャビティ等の光学材料、電極、導電体、ガスセンサ、光記録材料等として種々の応用が検討され、研究・開発が進められている。
酸化ガリウム単結晶の研究・開発を行う上では、特に単結晶の品質、すなわち結晶性に優れた酸化ガリウム単結晶を得ることが重要な因子になってくる。これまでに、本発明者らは、酸化ガリウム粉末を焼成して得た酸化ガリウム焼結体を原料とし、浮遊帯域溶融法(フローティングゾーン法;FZ法)によって結晶成長を行うことで、結晶性に優れた酸化ガリウム(β-Ga2O3)単結晶を得る方法を報告している(非特許文献1参照)。一方では、FZ法によって1インチサイズを超えるβ-Ga2O3単結晶を得ることに成功したとの報告もある(非特許文献2参照)。FZ法は、一般に、るつぼを使用せず、結晶成長の雰囲気を制御することが可能であることから、高品質の単結晶を育成することができる特徴を有する。
しかしながら、上記非特許文献2に記載されている酸化ガリウム単結晶は、通常のX線源を用いた測定によるX線ロッキングカーブの半値幅が0.09°であって、そのカーブの形状はブロードである(非特許文献2のFig.6参照)。X線ロッキングカーブについては、例えば松波弘之編著「半導体SiC技術と応用」日刊工業新聞社(2003年)の「5.3.2 X線回折」第101〜102頁(非特許文献3)に説明されているように、完全性の高い単結晶の場合にはそのピークがシャープであるのに対し、ドメイン構造を有する結晶では高密度の転位領域により格子面の傾いた分域(ドメイン)が結合されてそのピークはブロードになるとされる。すなわち、これまでの報告では、十分な品質を有すると言えるまでの酸化ガリウム単結晶は得られておらず、特に、レーザ光共振キャビティ等の光学材料、電極、導電体、ガスセンサ、光記録材料等としての応用を考えると、これまで以上に結晶性に優れた酸化ガリウム単結晶を作製する必要がある。
菅原孝昌, E.Garcia Villora, JungMin Ko, 吉川彰, 宍戸統悦, 中嶋一雄, 福田承生, 「光Fz法によるβ- Ga2O3単結晶の作製及び結晶学的評価」, 技術研究報告書 第19号(2001), 東北大学金属材料研究所 E.G.Villora et al. Journal of Crystal Growth 270 (2004) 420-426. 松波弘之編著「半導体SiC技術と応用」日刊工業新聞社(2003年)の「5.3.2 X線回折」第101〜102頁
菅原孝昌, E.Garcia Villora, JungMin Ko, 吉川彰, 宍戸統悦, 中嶋一雄, 福田承生, 「光Fz法によるβ- Ga2O3単結晶の作製及び結晶学的評価」, 技術研究報告書 第19号(2001), 東北大学金属材料研究所 E.G.Villora et al. Journal of Crystal Growth 270 (2004) 420-426. 松波弘之編著「半導体SiC技術と応用」日刊工業新聞社(2003年)の「5.3.2 X線回折」第101〜102頁
そこで本発明者らは、光学材料、電極、導電体、ガスセンサ、光記録材料等への応用に必要となる十分に結晶性に優れた酸化ガリウム単結晶について鋭意検討した結果、放射光を用いたX線ロッキングカーブ測定により得られるロッキングカーブの半値幅が0.08°以下である極めて結晶性に優れた酸化ガリウム単結晶を得ることに成功し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、既存のものよりはるかに結晶性に優れ、光学材料、電極、導電体、ガスセンサ、光記録材料等の種々のデバイスへの応用に有利な酸化ガリウム単結晶を提供することにある。
すなわち、本発明は、放射光をX線源としたX線ロッキングカーブ測定により得られるX線ロッキングカーブの半値幅が0.08°以下であることを特徴とする酸化ガリウム(β-Ga2O3)単結晶である。
X線ロッキングカーブ測定は、一般に、半導体単結晶等の結晶組成、格子歪み、ドメイン構造等の評価に用いられるものであり、被検査結晶に対しX線を照射し、回折角度を中心に所定の範囲で被検査結晶を回転させてX線カウンターの検出値をモニタリングし、回折角度に対するX線検出値の関係を示すスペクトルであるロッキングカーブを得る。このロッキングカーブについて、ピークを与える角度(ピーク角度:θ)からは格子定数の情報を得ることができ、このピーク角度(θ)は回折面によって決まることから、これが揺らぐ場合には結晶面が傾いていることを示すことになる。また、ピークにおけるX線強度はその面における回折の強さを示すものであり、このピーク強度によって結晶化度の情報を得ることができる。更に、ピークの半値幅(FWHM)はその回折面の角度の揺らぎを表すものであることから、この半値幅がより小さければ格子面の傾き(misorientation)がより小さく、また、格子歪み(lattice strain)がより小さいことを示す。
本発明においては、X線源として放射光を用いてX線ロッキングカーブ測定する。放射光は、光の強度が通常用いられるX線光源に比べて103〜106倍程度強いX線であり、かつ、平行ビームである。そして、この放射光を被検査結晶である酸化ガリウム(β-Ga2O3)単結晶の(100)面に照射し、四軸回折計によりω、χ(カイ)を固定し、φを変化させてロッキングカーブを測定する。また、測定する領域については、放射光のビームサイズにより決まるが、この場合のビームサイズは100μmφ程度であり、更に波長についてはモノクロメータで単色化したX線(例えば0.7Å)を用いる。
本発明における酸化ガリウム(β-Ga2O3)単結晶は、このようなX線ロッキングカーブ測定により得られたX線ロッキングカーブの半値幅が0.08°以下、好ましくは0.01°以下である。この半値幅が0.08°以下であることより、本発明におけるβ-Ga2O3単結晶は回折ピークがシングル、すなわち結晶ドメインがシングルであって、より完全性が高く優れた結晶性を有すると言える。特に半値幅が0.01°以下であれば、例えばGaN系窒化物半導体膜成長用基板やレーザ光共振キャビティ等における応用において極めて有利である。
また、格子歪みと半値幅との関係については、2θ軸を固定しω軸をスキャンするωモード測定に加えて、2θとωを同期させてロッキングカーブ測定するω−2θモード測定を適用する逆格子空間マッピングと呼ばれる手法で測定することができる。具体的には、逆空間にして観測した逆格子点のx−y投影図を作成し、このx−y投影図から逆格子点の位置を計算することで、酸化ガリウム単結晶の格子歪みを求めることができる。そして、本発明における酸化ガリウム単結晶の格子点位置関係を調べることで、この酸化ガリウム単結晶は双晶がないことが分かる。なお、逆格子空間マッピングを行う場合には、X線ロッキングカーブ測定におけるX線源は特に制限はなく、通常のX線であってもよく、放射光を用いてもよい。
本発明における酸化ガリウム単結晶については、浮遊帯域溶融法(フローティングゾーン法;FZ法)により作製することができる。FZ法では溶融帯を形成する際に容器を使わないため、育成して得られる酸化ガリウム単結晶は容器に由来する汚染の心配がなく、高品質な単結晶を得ることができる。FZ法で用いる装置については特に制限されず、例えば、加熱手段としては、必要によりサセプターを併用した高周波による電磁誘導加熱や電気抵抗加熱、赤外線、電子ビーム、アーク、又はランプを用いた集光加熱、あるいはレーザーや火炎による加熱等を用いることができるが、安定した加熱条件が確保できると共に加熱に際しての不純物導入のおそれがないランプを用いた集光加熱であるのが好ましい。
FZ法における原料棒については、好ましくは酸化ガリウム粉末を焼成して得た酸化ガリウム焼結体を用いるのがよい。酸化ガリウム粉末は純度が99.99%以上であるのが好ましく、この酸化ガリウム粉末をラバーチューブ等に封じ、静水圧50〜600MPa、好ましくは100〜500MPaで5分間程度ラバープレスし、円柱状に成型した後、1400〜1700℃、好ましくは1500〜1600℃の焼結温度で10〜20時間、好ましくは12〜15時間焼結させるのがよい。この焼結温度が1400℃より低いと焼結が不足して十分なかさ密度の酸化ガリウム焼結体を得ることが困難になり、反対に1700℃より高温になると酸化ガリウムの融点(〜1740℃)に近づいてしまい好ましくない。また、焼結時間が10時間より短いと焼結が十分に行えないおそれがあり、反対に20時間を越えると効果が飽和する。一方、焼結雰囲気については特に制限はされず、大気中で行ってもよい。このようにして得られた酸化ガリウム焼結体は円柱状の形状となり、好ましくは得られた酸化ガリウム焼結体のかさ密度が5.8〜5.9g/cm3となるようにするがのよい。
上記で得た酸化ガリウム焼結体を原料棒としてFZ法で用いる加熱炉の上軸に設置し、下軸には種結晶として酸化ガリウム単結晶を取り付けて、本発明における酸化ガリウム単結晶を育成する。この際、種結晶については、好ましくは予め酸化ガリウム粉末を焼成して得た酸化ガリウム焼結体を原料としてFZ法により製造した酸化ガリウム単結晶であるのがよい。また、原料棒及び種結晶の回転速度については、それぞれ10〜30rpm、好ましくは15〜20rpmであるのがよく、互いに逆向きに回転させるのが好ましい。
酸化ガリウム単結晶を育成して得る育成雰囲気については、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの1種以上と酸素との混合ガスを用いて、不活性ガスの総量に対する酸素の流量比(O2/不活性ガス総量)が1〜20vol%、好ましくは2〜5vol%となるように加熱炉に供給するのがよい。不活性ガスの総量に対する酸素の流量比が1vol%より小さいと酸素の比率が少な過ぎて原料棒からの蒸発が顕著となり、酸化ガリウム単結晶が十分に成長しなくなる。反対にこの流量比が20vol%より大きくなると融液内にバブリングが発生して得られる単結晶に閉じ込められクラック発生の誘因となるおそれがある。また、上記の好適な育成雰囲気となるように、酸素と不活性ガスとの混合ガスを加熱炉の石英管内に200〜600ml/minで供給するのがよい。
酸化ガリウム単結晶の結晶成長速度については、2.5〜20mm/h、好ましくは5〜10mm/hであるのがよい。FZ法では、一般には、成長速度が比較的遅いほうが得られる結晶の品質が良いとされている。しかしながら、本発明においては、従来の方法よりも結晶成長速度を上げても優れた品質の酸化ガリウム単結晶を得ることができる。また、結晶成長の際の圧力については、大気圧であってもよく、加圧した状態で行ってもよい。加圧する効果としては、単結晶育成中の原料棒からの蒸発を抑制することができて、雰囲気ガスを流す透明石英管の内壁のくもりを抑えて石英管外部からの加熱の効率を低下させることなく操作できる等が考えられる。
本発明における酸化ガリウム単結晶は、放射光をX線源としたX線ロッキングカーブ測定により得られるX線ロッキングカーブの半値幅が0.08°以下であるという、これまで報告されているものより極めて結晶性に優れたものである。また、結晶ドメインがシングルであり、双晶もないと考えられることから、レーザ光共振キャビティ等の光学材料、電極、導電体、ガスセンサ、光記録材料等への応用も十分に可能である。
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
[酸化ガリウム焼結体の作製]
純度99.99%の酸化ガリウム粉末(高純度化学社製)を内径10mm×長さ10cm(内容量7cm3)のラバーチューブに入れ、プレス機を用いて静水圧450MPaで5分間プレス成形して酸化ガリウム粉末を円柱状に固めた。次いで、この円柱状に固めた酸化ガリウム粉末をラバーチューブから取り出し、これを電気炉に入れて大気中1450℃で10時間焼結し、酸化ガリウム焼結体を得た。得られた酸化ガリウム焼結体のかさ密度は5.8157g/cm3であった。
純度99.99%の酸化ガリウム粉末(高純度化学社製)を内径10mm×長さ10cm(内容量7cm3)のラバーチューブに入れ、プレス機を用いて静水圧450MPaで5分間プレス成形して酸化ガリウム粉末を円柱状に固めた。次いで、この円柱状に固めた酸化ガリウム粉末をラバーチューブから取り出し、これを電気炉に入れて大気中1450℃で10時間焼結し、酸化ガリウム焼結体を得た。得られた酸化ガリウム焼結体のかさ密度は5.8157g/cm3であった。
[酸化ガリウム単結晶の作製]
酸化ガリウム単結晶を作製するため、双楕円の赤外線集光加熱炉(ASGAL Co.製SS-10W)を用いて光FZ(フローティングゾーン:浮遊帯域溶融)法により酸化ガリウム単結晶の育成を行った。
上記で得た酸化ガリウム焼結体を原料棒として赤外線集光加熱炉の上軸に設置し、下軸には種結晶として酸化ガリウム単結晶の[001]方向が軸方向に向くように設置した。なお、この種結晶は、予め酸化ガリウム多結晶に対して光加熱帯域溶融を施して得た単結晶部分を切出したものである。
酸化ガリウム単結晶を作製するため、双楕円の赤外線集光加熱炉(ASGAL Co.製SS-10W)を用いて光FZ(フローティングゾーン:浮遊帯域溶融)法により酸化ガリウム単結晶の育成を行った。
上記で得た酸化ガリウム焼結体を原料棒として赤外線集光加熱炉の上軸に設置し、下軸には種結晶として酸化ガリウム単結晶の[001]方向が軸方向に向くように設置した。なお、この種結晶は、予め酸化ガリウム多結晶に対して光加熱帯域溶融を施して得た単結晶部分を切出したものである。
結晶育成雰囲気については酸素と窒素との混合ガスを用い、窒素に対する酸素の流量比が5vol%(O2/N2=5.0 vol%)となるようにして、赤外線集光加熱炉の透明石英管内にこの混合ガスを500ml/minで供給した。また、原料棒と種結晶のそれぞれの先端を炉中心になるように移動させて溶解接触させ、原料棒と種結晶とをそれぞれ20rpmの回転速度で互いに逆向きに回転させながら、結晶成長速度7.5mm/hとなるように上下軸を移動させて1気圧下で酸化ガリウム単結晶の育成を行った。これにより、長さ50mm×幅10mm×厚さ8mmの水滴型の酸化ガリウム単結晶を得た。得られた酸化ガリウム単結晶の写真を図1に示す。図1において、細くなっていく方向(図1中の左側方向)が種結晶側であって、一番長手方向が結晶成長方向である。また、成長方向に平行に広く平らな面が確認できる。
[結晶方位の確認]
得られた酸化ガリウム単結晶を一番長手方向に対して垂直に切断してから、広く平らな面を樹脂により真鍮のロッドに接着して四軸回折計(リガク電機製四軸回折計AFC5)のゴニオメーターヘッドに載せた。この際、図2に示すように、単結晶の成長方向をx軸、広く平らな面をz軸にした。なお、このx、y、zは回折計の座標軸である〔W.R.Businig and H.A.Levy(1967), Acta. Cryst. 22, p457〕。
得られた酸化ガリウム単結晶を一番長手方向に対して垂直に切断してから、広く平らな面を樹脂により真鍮のロッドに接着して四軸回折計(リガク電機製四軸回折計AFC5)のゴニオメーターヘッドに載せた。この際、図2に示すように、単結晶の成長方向をx軸、広く平らな面をz軸にした。なお、このx、y、zは回折計の座標軸である〔W.R.Businig and H.A.Levy(1967), Acta. Cryst. 22, p457〕。
MoターゲットのX線管球にて発生したX線をグラファイトモノクロメータにてKα線〔λ=0.7107(Å)〕のみに単色化し、0.3mmφのコリメータを通して上記酸化ガリウム単結晶に照射した。X線の検出にはNaIシンチレーションカウンタを使用し、カウンター前に水平垂直方向ともに1°のスリットを入れた。四軸回折計の2θ、χ(カイ)、及びφを振りながら回折線を探して見つかった回折線の位置よりオリエンテーションマトリクスを決定した。次いで、2θ:12〜31°の16反射のピーク位置を精密化し、最小二乗法にて格子定数を求めた。その結果、得られた酸化ガリウム単結晶はβ-Ga2O3であることが確認でき、格子定数はa=12.25(2)、b=2.993(4)、c=5.771(8)、β=103.7(1)、V=205.6(5)であった。
図3には、逆空間のx−y面に投影した逆格子点の位置データ(逆格子空間マッピング)を示す。この図3より、逆格子の間隔からの計算によればx軸方向にc*軸、yのマイナス方向にb*軸があることが分かる。格子点位置より、得られた酸化ガリウム単結晶については、双晶はしていないものと考えられる。また、結晶方位については、成長方向がc軸、広く平らな面が(100)面、この面に所定の角度だけ傾いた方向にa軸があり、丸みを帯びた面の方向がb軸であると考えられる。
[放射光を用いたX線ロッキングカーブ測定]
Photon FactoryのBL10Aビームラインの四軸単結晶回折計を用い、得られた酸化ガリウム単結晶の結晶性を評価した。
先の[結晶方位の確認]で記載した方法と同様に、図2に示したようにして得られた酸化ガリウム単結晶を真鍮ロッドの上に接着し、上記四軸単結晶回折計(BL10Aビームライン)のゴニオメーターヘッドの上に搭載した。偏向電磁石からの放射光を水平1枚振りSi(111)モノクロメータにて単色化した0.7(Å)のX線を酸化ガリウム単結晶の(100)面に照射してX線ロッキングカーブ測定を行った。
Photon FactoryのBL10Aビームラインの四軸単結晶回折計を用い、得られた酸化ガリウム単結晶の結晶性を評価した。
先の[結晶方位の確認]で記載した方法と同様に、図2に示したようにして得られた酸化ガリウム単結晶を真鍮ロッドの上に接着し、上記四軸単結晶回折計(BL10Aビームライン)のゴニオメーターヘッドの上に搭載した。偏向電磁石からの放射光を水平1枚振りSi(111)モノクロメータにて単色化した0.7(Å)のX線を酸化ガリウム単結晶の(100)面に照射してX線ロッキングカーブ測定を行った。
図4には、得られたX線ロッキングカーブを示す。この図4より、(110)の位置に反射があり、その半値幅(FWHM)は0.006°と極めて小さく、ピークもシングルであり、かつ、ピーク割れもないことから、この酸化ガリウム単結晶は結晶ドメインがシングルであり、結晶性もかなり良いことが分かる。なお、表1には、酸化ガリウム単結晶の育成条件とX線ロッキングカーブの半値幅との関係をまとめた。
[実施例2〜13]
光FZ法により酸化ガリウム単結晶の育成を行う際の結晶成長速度及び結晶育成雰囲気(酸素と窒素との混合ガス)について、表1に示すように条件を変えた以外は実施例1と同様にして酸化ガリウム単結晶を得て、実施例1と同様にX線ロッキングカーブを測定して半値幅を求めた。結果を表1に示す。なお、表1中の結晶育成雰囲気については、窒素に対する酸素の流量比O2/N2(vol%)を示す。
光FZ法により酸化ガリウム単結晶の育成を行う際の結晶成長速度及び結晶育成雰囲気(酸素と窒素との混合ガス)について、表1に示すように条件を変えた以外は実施例1と同様にして酸化ガリウム単結晶を得て、実施例1と同様にX線ロッキングカーブを測定して半値幅を求めた。結果を表1に示す。なお、表1中の結晶育成雰囲気については、窒素に対する酸素の流量比O2/N2(vol%)を示す。
本発明における酸化ガリウム単結晶は、極めて結晶性に優れたものであることから、紫外領域の光学材料、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等を得るための窒化物半導体用基板、フラットパネルディスプレー、光学的エミッター、太陽電池等で使用される酸化物透明導電体、及び高温酸素ガスセンサ材料、レーザ光共振キャビティ等を含めた光学材料、電極、導電体、ガスセンサ、光記録材料等への応用が考えられ、また、新規な光材料や電気材料、あるいはこれらの複合材料の開発をもたらすことに資することが期待できる。
Claims (2)
- 放射光をX線源としたX線ロッキングカーブ測定により得られるX線ロッキングカーブの半値幅が0.08°以下であることを特徴とする酸化ガリウム単結晶。
- 結晶ドメインがシングルである請求項1に記載の酸化ガリウム単結晶。
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