JP2014080513A - 水分散型ポリウレタン樹脂組成物およびシート状物並びにシート状物の製造方法 - Google Patents

水分散型ポリウレタン樹脂組成物およびシート状物並びにシート状物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シート状物、特に製造工程に有機溶剤を使用しない環境に配慮した皮革様シート状物において、起毛工程のサンドペーパーによる目詰まりが少なく、生産性が良好であり、かつ柔軟な風合いとシワにならない良好なシワ回復性を両立させた水分散型ポリウレタン樹脂組成物およびそれを用いたシート状物並びにシート状物の製造方法の提供。
【解決手段】水分散型ポリウレタン樹脂と、マイクロバルーンとを含有し、前記水分散型ポリウレタン樹脂から形成された乾式膜の100%モジュラスが、2〜8MPaであり、前記水分散型ポリウレタン樹脂から形成された乾式膜のガラス転移温度が−25℃〜0℃である水分散型ポリウレタン樹脂組成物。また、平均単繊維直径0.3〜7μmの極細繊維を含んでなる繊維質基材の内部にポリウレタンを含有したシート状物であって、該ポリウレタンが前記水分散型ポリウレタン樹脂組成物であるシート状物である。また、平均単繊維直径10〜40μmの繊維を含んでなる繊維質基材に、前記水分散型ポリウレタン樹脂組成物液を含浸せしめ、次いで、湿熱加熱処理した後、乾熱処理しポリウレタンを凝固させるシート状物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、水分散型ポリウレタン樹脂組成物およびシート状物並びにシート状物の製造方法に関する。
さらに詳しくは、特に、製造工程に有機溶剤を使用しない環境に配慮した皮革様シート状物を製造するにあたり、起毛工程でサンドペーパーの目詰まりが少なく、生産性が良好であり、かつ柔軟な風合いの実現とシワにならないという良好なシワ回復性とを両立させた水分散型ポリウレタン樹脂組成物およびそれを用いたシート状物、並びに該シート状物の製造方法に関する。
主として繊維質基材とポリウレタンからなる皮革様のシート状物は、天然皮革にない優れた特徴を有しており、種々の用途に広く利用されている。とりわけ、ポリエステル系繊維質基材を用いたシート状物は、耐光性に優れているため、衣料や椅子張りおよび自動車内装材用途などにその使用が年々広がってきた。
かかるシート状物を製造するにあたっては、繊維質基材にポリウレタンの有機溶剤溶液を含浸せしめた後、該ポリウレタンの有機溶剤溶液が含浸されている繊維質基材を、ポリウレタンの非溶媒である水または有機溶剤水溶液中に浸漬して、ポリウレタンを湿式凝固せしめる工程の組み合わせが、一般的に採用されている。
かかるポリウレタンの溶媒である有機溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミドなどの水混和性有機溶剤が用いられる。しかし、一般的に有機溶剤は、人体や環境への有害性が高いことから、シート状物の製造に際しては、有機溶剤を使用しない手法が強く求められている。
その具体的な解決手段として、例えば、従来の有機溶剤タイプのポリウレタンに代えて、水中にポリウレタンを分散させた水分散型ポリウレタンを用いて、ポリウレタンを乾式凝固させる方法が検討されている。しかし、繊維質基材に水分散型ポリウレタンを含浸して付与したシート状物は、製品では、従来の有機溶剤タイプのポリウレタンを含浸して付与したシート状物に比べて、風合いの硬さと、シワが残留しやすくシワ回復性が良くない点において、課題があるものであった。
具体的には、水分散型ポリウレタンを繊維質基材に含浸し、乾式凝固すると、マイグレーション現象が生じて繊維質基材中においてポリウレタンの偏在が発生するため、風合いは硬くなる。
また、従来の有機溶剤タイプのポリウレタンの場合は、繊維質基材に含浸後、一般的には、水中に浸漬する湿式凝固方式によりポリウレタンを凝固させるため、ポリウレタンは有機溶剤と水の置換によって多孔構造となり、ポリウレタンが繊維質基材の繊維の交絡部分を強く把持することはなく、シート状物の風合いは柔軟になる。これに対して、水分散型ポリウレタンの場合は、繊維質基材に含浸させた後のポリウレタンの凝固は、一般的には加熱乾燥する乾式凝固方式によるため、ポリウレタンは無孔構造となり、ポリウレタンが繊維質基材の繊維の交絡部分を強く把持して、シート状物の風合いは硬くなるのである。
そこで、水分散型ポリウレタンを用いる方法においては、風合いの柔軟化に関して、以下に記載するような種々の検討と提案がなされている。
水分散型ポリウレタンを用いる方法において、マイグレーションの抑制については、水分散型ポリウレタンに感熱凝固剤として無機塩を添加し、加熱によって水分散型ポリウレタンの流動性を消失させる手法が提案されている(特許文献1)。
しかし、この特許文献1の提案では、ポリウレタンが繊維質基材の繊維の交絡部分を強く把持することに対して十分な検討がなされていないため、シート状物の風合いはポリウレタン自体の柔軟性の影響を強く受けることとなる。このため、シート状物に柔軟な風合いを発現させるために結晶性の低い柔軟なポリウレタンを適用することが考えられる。しかし、その場合には、シート状物の耐摩耗性は悪化し、さらに、研削して起毛処理をする際に使用されるサンドペーパーなどが容易に目詰まりし、良好な立毛品位を得ることは困難となって、さらに起毛工程の生産性は悪いものである。その上、柔軟なポリウレタンを適用すると、シート状物にシワが発生した場合に、シワが回復しにくくなるという課題がある。
ポリウレタンの繊維交絡点の把持力を弱める手法については、以下に記載する柔軟な水分散型ポリウレタンを適用する方法や、有機溶剤タイプのポリウレタンを湿式凝固させて得られる多孔構造を水分散型ポリウレタンで得る方法が提案されている。
すなわち、柔軟な水分散型ポリウレタンを適用する方法としては、繊維質基材に付与する水分散型ポリウレタンとして、感熱ゲル化性がありかつ温度50℃で乾燥して得られる厚さ100μmのフィルムの90℃の温度における弾性率が2.0×107〜5.0×108dyn/cm2、160℃における弾性率が1.0×107dyn/cm2以上、α分散の温度(Tα)が−30℃以下であるポリウレタンを用いることが提案されている(特許文献2)。この提案のものでは、これにより柔軟な風合いを有するシート状物を得ているが、この提案のように柔軟なポリウレタンを用いると、シート状物の耐摩耗性は悪化し、さらに研削して起毛処理する際に使用するサンドペーパーなどが容易に目詰まりすることから、良好な立毛品位を得ることは困難になるものであり、生産性も劣ることになる。また、シート状物にシワが発生した場合に、シワの回復がしにくくなるという課題がある。
また、水分散型ポリウレタンを用いて有機溶剤タイプの湿式凝固ポリウレタンのような多孔構造を得る手法として、水分散型ポリウレタンに会合型増粘剤を添加して繊維質基材内でのポリウレタンの構造を多孔構造とすることが提案されている(特許文献3)。この提案では、ポリウレタンを多孔構造とすることにより繊維とポリウレタンとの接着面積が少なくなり、繊維の交絡点の把持力は弱まる。しかし、会合型増粘剤を水分散型ポリウレタンに添加すると、ポリウレタンを含浸、付与したシート状物は会合型増粘剤に起因するベトツキが発生するため、会合型増粘剤の洗浄工程が必要となり生産性は低いものとなる。さらに、会合型増粘剤は、水分散型ポリウレタンに溶解しているものであり、ポリウレタン構造の孔は会合型増粘剤の存在部分で発生することから、孔径を大きくすることはできず、明確なシート状物の風合い柔軟化効果は得られない。
また、水分散型ポリウレタンに整泡剤を添加して機械的に発泡させ、それをコーティングするコーティングシートが提案されている(特許文献4)。この提案では、機械的に発泡した水分散型ポリウレタンを繊維質基材表面にコーティングすることにより多孔構造のポリウレタン膜を得ることができるが、発泡した水分散型ポリウレタンを繊維質基材に含浸、付与すると、含浸時に泡が消失するため、繊維質基材内部でポリウレタンを多孔構造とすることはできない。
さらに、感熱凝固性水分散型ポリウレタンに、熱膨張性プラスチックマイクロバルーンを併用する提案がされている(特許文献5)。この特許文献5の提案では、シート状物内での水分散型ポリウレタンのマイグレーションを抑制し、かつ熱膨張性マイクロバルーンによって水分散型ポリウレタンを多孔構造とすることにより、シート状物の風合いを柔軟化している。しかし、この提案で具体的に開示されているポリウレタンは、ポリブチレンアジペートジオールとポリオキシエチレンプロピレンランダム共重合グリコールをポリオール成分とした柔軟なポリウレタンのみであり、それ以外のポリウレタン組成については開示されていない。柔軟なポリウレタンを適用した場合は、シート状物の風合いは柔軟となるが、シート状物の耐摩耗性やシワが発生した際のシワ回復性、さらには研削して起毛処理する際のサンドペーパーの目詰まりが発生するなど生産性は劣るものであった。
特開平7−229071号公報 特開2000−17582号公報 特開2000−297211号公報 特開2002−69858号公報 特開平1−104634号公報
従来技術において、有機溶剤を使用しない工程でのシート状物の製造に際して、起毛工程での良好な生産性があり、かつ柔軟な風合いとシワ回復性を両立させたシート状物およびそれを製造するための水分散型ポリウレタン樹脂組成物はこれまで得られていない。
本発明の目的は、柔軟な風合いとシワにならない良好なシワ回復性を両立させた水分散型ポリウレタン樹脂組成物、およびそれを用いたシート状物並びにシート状物の製造方法を提供することにある。
上述した目的を達成する本発明の水分散型ポリウレタン樹脂組成物は、以下の(1)の構成を有する。
(1)水分散型ポリウレタン樹脂と、マイクロバルーンとを含有し、前記水分散型ポリウレタン樹脂から形成された乾式膜の100%モジュラスが2〜8MPaであり、前記水分散型ポリウレタン樹脂から形成された乾式膜のガラス転移温度が−25℃〜0℃であることを特徴とする水分散型ポリウレタン樹脂組成物。
また、かかる本発明の水分散型ポリウレタン樹脂組成物において、以下の(2)〜(3)のうちのいずれかの構成を有することが好ましい。
(2)前記水分散型ポリウレタン樹脂は、親水性基を有することを特徴とする上記(1)記載の水分散型ポリウレタン樹脂組成物。
(3)前記マイクロバルーンの膨張開始温度T1(℃)が、下記(a)式の関係にあることを特徴とする上記(1)または(2)記載の水分散型ポリウレタン樹脂組成物。
40≦T1≦150 ………(a)式
また、上述した目的を達成する本発明のシート状物は、以下の(4)の構成を有する。
(4)平均単繊維直径0.3〜7μmの極細繊維を含んでなる繊維質基材の内部にポリウレタンを含有したシート状物であって、該ポリウレタンが上記(1)〜(3)のいずれか一に記載の水分散型ポリウレタン樹脂組成物からなることを特徴とするシート状物。
また、かかる本発明のシート状物において、以下の(5)または(6)であることが好ましい。
(5)前記水分散型ポリウレタン樹脂組成物が、シリコーンを含有することを特徴とする上記(4)記載のシート状物。
(6)前記シリコーンが、造膜性シリコーンであることを特徴とする上記(5)記載のシート状物。
また、上述した目的を達成する本発明のシート状物の製造方法は、以下の(7)の構成を有する。
(7)平均単繊維直径10〜40μmの繊維を含んでなる繊維質基材に、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の水分散型ポリウレタン樹脂組成物液を含浸せしめ、次いで、湿熱加熱処理した後、乾熱処理して前記ポリウレタンを凝固させることを特徴とするシート状物の製造方法。
また、かかる本発明のシート状物の製造方法において、以下の(8)または(9)であることが好ましい。
(8)前記水分散型ポリウレタン樹脂組成物液が、シリコーン水分散液を含有することを特徴とする上記(7)記載のシート状物の製造方法。
(9)前記シリコーン水分散液が、造膜性シリコーン水分散液であることを特徴とする上記(8)記載のシート状物の製造方法。
本発明によれば、製造工程に有機溶剤を使用しない環境に配慮した、水分散型ポリウレタン樹脂組成物を用いて製造したシート状物において、起毛工程のサンドペーパーによる目詰まりが少なく、生産性が良好であり、かつ衣料としても実用に耐える柔軟な風合いと折り畳み後、拡げた際にシワにならない良好なシワ回復性を両立させたシート状物とその製造方法が得られる。
また、本発明によれば、該シート状物の製造に最適に使用される水分散型ポリウレタン樹脂組成物が得られる。
本発明のシート状物は、平均単繊維直径0.3〜7μmの極細繊維を含んでなる繊維質基材の内部に水分散型ポリウレタン樹脂組成物の凝固物を含有してなるシート状物である。
繊維質基材を構成する繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートあるいはポリ乳酸などのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド、ポリアクリル、ポリエチレンやポリプロピレンあるいは熱可塑性セルロースなどの溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂からなる繊維を用いることができる。中でも、強度、寸法安定性および耐光性の点から、ポリエステル繊維を用いることが好ましい。
また、繊維質基材には、異なる素材の繊維が混合して構成されていてもよい。
繊維質基材を構成する繊維の断面形状は、丸断面でよいが、楕円、扁平、三角などの多角形、扇形および十字型などの異形断面のものを採用してもよい。
本発明において、繊維質基材を構成する繊維の平均単繊維直径は、0.3〜7μmとすることが重要である。平均単繊維直径を7μm以下、より好ましくは6μm以下、さらに好ましくは5μm以下とすることにより、優れた柔軟性や立毛品位のシート状物を得ることができる。一方、平均単繊維直径を0.3μm以上、より好ましくは0.7μm以上、さらに好ましくは1μm以上とすることにより、染色後の発色性やサンドペーパーなどによる研削など立毛処理時の束状繊維の分散性とさばけ易さに優れる。
極細繊維からなる繊維質基材の形態としては、織物、編物および不織布などを採用することができる。中でも、表面起毛処理した際のシート状物の表面品位が良好であることから、不織布が好ましく用いられる。
不織布は、短繊維不織布および長繊維不織布のいずれでもよいが、風合いや品位の点では短繊維不織布が好ましく用いられる。
短繊維不織布における短繊維の繊維長は、25〜90mmであることが好ましい。繊維長を25mm以上とすることにより、絡合により耐摩耗性に優れたシート状物を得ることができる。また、繊維長を90mm以下とすることにより、より風合いや品位に優れたシート状物を得ることができる。
極細繊維からなる繊維質基材が不織布の場合、その不織布は繊維の束(繊維束)が絡合してなる構造を有するものであることが好ましい態様である。繊維が束の状態で絡合していることによって、シート状物の強度が向上する。かかる態様の不織布は、後述するように、極細繊維発現型繊維同士をあらかじめ絡合した後に極細繊維を発現させることによって得ることができる。
極細繊維あるいはその繊維束が不織布を構成する場合、その内部に強度を向上させるなどの目的で、織物や編物を挿入してもよい。かかる織物や編物を構成する繊維の平均単繊維直径としては、0.3〜15μm程度が好ましい。
繊維質基材の目付は、低すぎるとシート状物の引張強力や引裂強力などの物理特性が弱くなり、高すぎるとシート状物の風合いは硬くなることから、50〜2000g/m2 が好ましい。
また、繊維質基材の厚みは、薄すぎるとシート状物の引張強力や引裂強力などの物理特性が弱くなり、厚すぎるとシート状物の風合いは硬くなることから、0.1〜5mmが好ましい。
本発明において、水分散型ポリウレタン樹脂組成物は、水分散型ポリウレタン樹脂と、マイクロバルーンを含有することが重要である。
水分散型ポリウレタン樹脂は、ポリオールと有機ポリイソシアネートと鎖伸長剤との反応により得られる。
ポリオールとして、例えば、ポリマージオールなどが挙げられる。そのようなポリマージオールとしては、例えば、ポリカーボネート系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、シリコーン系ジオールおよびフッ素系ジオールを好適に採用することができ、これらを組み合わせた共重合体を用いてもよい。耐加水分解性の観点からは、ポリカーボネート系ジオールおよびポリエーテル系ジオールが好ましく用いられる。また、耐光性と耐熱性の観点からは、ポリカーボネート系およびポリエステル系ジオールが好ましく用いられる。耐加水分解性と耐熱性と耐光性のバランスの観点からは、ポリカーボネート系ジオールとポリエステル系ジオールがより好ましく、特に好ましくはポリカーボネート系ジオールである。
ポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルとのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられる。それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネート系ジオールでも、2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネート系ジオールのいずれでもよい。共重合ポリカーボネート系ジオールとして、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネートと3−メチルペンタンカーボネートとの共重合ポリカーボネートジオールが挙げられる。
ポリカーボネート系ジオールは、市販品を用いることができ、例えば、ETERNACOLL UHシリーズ(宇部興産社製)、C2090(クラレ社製)などが用いられる。
ポリエステル系ジオールとしては、各種低分子量ポリオールと多塩基酸とを縮合させて得られるポリエステルジオールを挙げることができる。
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、およびシクロヘキサン−1,4−ジメタノールから選ばれる一種または二種以上を使用することができる。また、ビスフェノールAに各種アルキレンオキサイドを付加させた付加物も使用可能である。
また、多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびヘキサヒドロイソフタル酸から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。
ポリエーテル系ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、およびそれらを組み合わせた共重合ジオールを挙げることができる。
ポリエーテル系ジオールとして、市販品を用いることができ、具体的には、TERATHANEシリーズ(ポリテトラメチレンエーテルグリコール、INVISTA社製)などが挙げられる。
ポリマージオールの数平均分子量は、500〜4000であることが好ましい。数平均分子量を500以上、より好ましくは1000以上とすることにより、風合いが硬くなるのを防ぐことができる。また、数平均分子量を4000以下、より好ましくは3000以下とすることにより、ポリウレタンとしての強度を維持することができる。
また、ジオールとしては、ポリマージオール以外に、上記した低分子量ポリオールをポリマージオールと併用することができる。そのような低分子量ポリオールとして、好ましくは、エチレングリコールが挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系ジイソシアネート、例えば、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートなどの脂環族系ジイソシアネート、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどの芳香族系ジイソシアネートなどが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いてもよい。中でも、耐光性の観点から、脂環族系ジイソシアネートが好ましく用いられる。
鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミンやメチレンビスアニリンなどのアミン系鎖伸長剤、例えば、エチレングリコールなどのジオール系鎖伸長剤、例えば、水などを用いることができる。また、鎖伸長剤として、ポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを用いることもできる。さらに、アミン系鎖伸長剤として、アルコキシシリル基含有アミン系鎖伸長剤を挙げることもできる。
アルコキシシリル基含有アミン系鎖伸長剤は、1分子中に少なくとも2つの活性水素基と、アルコキシシリル基とを含有する化合物であり、具体的には、例えば、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジエトキシシラン、N,N´−ビス[a−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどが挙げられる。
鎖伸長剤として、好ましくは、アミン系鎖伸長剤、水が挙げられる。
鎖伸長剤は、単独使用または併用することができる。好ましくは、アミン系鎖伸長剤および水の併用が挙げられる。
水分散型ポリウレタン樹脂には、耐水性、耐摩耗性および耐加水分解性などを向上する目的で架橋剤を併用してもよい。架橋剤は、水分散型ポリウレタン樹脂に対し、第3成分として添加する外部架橋剤でもよく、また水分散型ポリウレタン樹脂の分子構造内に予め架橋構造となる反応点を導入する内部架橋剤でもよい。水分散型ポリウレタン樹脂の分子構造内により均一に架橋点を形成でき、柔軟性の減少を軽減できる観点から、内部架橋剤を用いることが好ましい。
架橋剤としては、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、エポキシ基、メラミン樹脂、およびシラノール基などを有する化合物を好適に用いることができる。ただし、架橋が過剰に進むと水分散型ポリウレタン樹脂が硬化してシート状物の風合いも硬くなる傾向にあるため、反応性と柔軟性とのバランスの点ではシラノール基を有する架橋剤が好ましく用いられる。シラノール基を内部架橋剤として水分散型ポリウレタン樹脂の分子構造内に導入した場合、不織布の内部空間に含浸・凝固させた水分散型ポリウレタン樹脂は、シロキサン結合による架橋構造を有することになり、シート状物の風合いを維持しながら水分散型ポリウレタン樹脂の耐加水分解性などの耐久性を飛躍的に向上させることができる。
水分散型ポリウレタン樹脂を得るには、例えば、ワンショット法、プレポリマー法などが用いられ、好ましくは、プレポリマー法が用いられる。
プレポリマー法では、例えば、ポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを得る。適宜、溶媒、触媒を用いてよい。
次いで、必要により、乳化剤(外部乳化剤)を加え、続いて、適宜溶媒を追加して配合し、その後、水を加えて、イソシアネート基末端プレポリマーを水分散させる。あるいは、水中にイソシアネート基末端プレポリマーを加えて水分散させてもよい。
外部乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどのエーテル系乳化剤などのノニオン系乳化剤が挙げられる。そのような外部乳化剤は、通常、曇点を有し、具体的には35〜100℃の曇点、さらには50〜90℃の曇点を有している。また、外部乳化剤のHLB値は、例えば、7〜20である。
その後、鎖伸長剤を配合して、鎖伸長反応させる。なお、鎖伸長剤は、分割して配合することもできる。
その後、溶媒を留去させる。
これにより、水分散型ポリウレタン樹脂を、水分散型ポリウレタン樹脂が水分散された水分散型ポリウレタン液として得る。
また、水分散型ポリウレタン樹脂は、分子構造内に親水性基を有していることが好ましい。分子構造内に親水性基を有することで、水分散型ポリウレタン樹脂としての分散・安定性を向上させることができる。
親水性基としては、例えば、4級アミン塩などのカチオン系親水性基、スルホン酸塩やカルボン酸塩などのアニオン系親水性基、ポリエチレングリコールなどのノニオン系親水性基、およびカチオン系親水性基とノニオン系親水性基の組み合わせ、およびアニオン系親水性基とノニオン系親水性基の組み合わせの、いずれの親水性基も採用することができる。
なかでも、光による黄変や中和剤による弊害の懸念のないノニオン系親水性基が特に好ましく用いられる。
すなわち、アニオン系親水性基の場合は中和剤が必要となるが、例えば、中和剤がアンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミンおよびジメチルエタノールアミンなどの第3級アミンである場合は、製膜・乾燥時の熱によってアミンが発生・揮発し、系外へ放出される。そのため、大気放出や作業環境の悪化を抑制するために、揮発するアミンを回収する装置の導入が必須となる。
また、アミンは、加熱によって揮発せずに最終製品であるシート状物中に残留した場合、製品の焼却時などに環境へ排出されることも考えられる。これに対し、ノニオン系親水性基の場合は、中和剤を使用しないためアミン回収装置を導入する必要はなく、アミンのシート状物中への残留の心配もない。また、中和剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ金属、またはアルカリ土類金属の水酸化物などである場合、ポリウレタン(水分散型ポリウレタン)部分が水に濡れるとアルカリ性を示すこととなるが、ノニオン系親水性基の場合は中和剤を使用しないため、水分散型ポリウレタンの加水分解による劣化を心配する必要もない。
親水性基としては、具体的には、ポリオキシエチレン基などのポリオキシアルキレン基などが挙げられる。
親水性を有する水分散型ポリウレタン樹脂は、例えば、ポリオキシエチレン鎖(ポリオキシアルキレン基)を含有するポリオキシエチレン鎖含有ジオールと、有機ポリイソシアネートとポリオールと鎖伸長剤との反応により得られる。
親水性を有する水分散型ポリウレタン樹脂は、具体的には、上記原料をプレポリマー法によって得られる。
なお、ポリオキシエチレン鎖含有ジオールは、例えば、特開2010−150398号公報に開示されているものが挙げられる。ポリオキシエチレン鎖含有ジオールは、市販品を用いることができ、具体的にはDHD1000S(三井化学社製)などが用いられる。
なお、ポリオキシエチレン鎖の水分散型ポリウレタン樹脂における含有割合は、例えば、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは5〜25質量%である。
また、ジオールとしては、例えば、上記したポリオキシエチレン鎖含有ジオール以外のジオールを含有してもよく、具体的には、ポリオールとして、例えば、ポリオキシエチレン鎖含有ジオールおよびポリカーボネート系ジオール(共重合ポリカーボネート系ジオールを含む)の併用、ポリオキシエチレン鎖含有ジオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールの併用などの、ポリオキシエチレン鎖含有ポリエーテルジオールとポリマージオールとの併用が挙げられる。さらに、ポリオキシエチレン鎖含有ポリエーテルジオールとポリマージオールと低分子量ポリオール(具体的にはエチレングリコール)との併用も挙げられる。
その後、ポリオールと適宜溶媒とを混合させ、次いで、有機ポリイソシアネートと、適宜ウレタン化触媒とを配合して、ウレタン化反応させることによりイソシアネート基末端プレポリマーを得る。
次いで、適宜溶媒を追加して配合し、その後、水を加えて、イソシアネート基末端プレポリマーを水分散させる。イソシアネート基末端プレポリマーの水分散において、外部乳化剤を加える必要がなく、分子内にポリオキシエチレン鎖を含有することから自己乳化されている。
その後、上記と同様にして、鎖伸長剤を配合して鎖伸長反応させる。
その後、溶媒を留去させる。
これにより、水分散型ポリウレタン液として得る。
そして、水分散型ポリウレタン樹脂から形成される乾式膜の100%モジュラスは、2〜8MPaである。乾式膜の100%モジュラスは、ポリウレタンの硬さを表す指標であり、乾式膜の100%モジュラスがこの範囲内の水分散型ポリウレタン樹脂を用いることにより、シート状物での繊維の拘束力を強くでき、良好な耐摩耗性を発現するとともに良好なシワ回復性を得ることができる。
一方、100%モジュラスが上記した上限を超えると、シート状物の風合いは硬く、また、シート状物は折り曲げ後はその形態をほとんど保持してしまい、シワ回復性も低下する。
他方、100%モジュラスが、上記した下限に満たないと、シワ回復性が低下する。
また、かかる水分散型ポリウレタン樹脂を用い、シート状物内でのポリウレタンの構造を後述するマイクロバルーンによって多孔構造とすることにより、硬いポリウレタンであっても構造的に風合いを柔軟化することができる。
また、硬いポリウレタンを用いることにより、サンドペーパーなどによる起毛工程において良好な研削性を示し、立毛を有する優美な外観を得、さらにサンドペーパーの目詰まりを抑制して良好な生産性を得ることができる。水分散型ポリウレタンの乾式膜の100%モジュラスは、好ましくは2〜6MPaであり、この範囲であることによりシート状物の風合いと耐摩耗性はより良好となる。水分散型ポリウレタン乾式膜の100%モジュラスは、水分散型ポリウレタン樹脂の分子構造内におけるイソシアネートや鎖伸長剤に起因するハードセグメント構造の割合、ジオールと有機イソシアネートなどの種類、および架橋剤の使用量により調整することができる。
なお、乾式膜の100%モジュラスは、後の実施例にて詳述するが、引張試験における引張強さとして測定される値である。
水分散型ポリウレタン樹脂から形成される乾式膜のガラス転移温度は、−25℃〜0℃であることが重要である。上記したポリウレタンの乾式膜の100%モジュラスと同様に、ポリウレタンのガラス転移温度もポリウレタンの硬さを表す指標であり、乾式膜のガラス転移温度がこの範囲内の水分散型ポリウレタン樹脂を用いることにより、シート状物での繊維の拘束力が強く、良好な耐摩耗性を発現すると共に、良好なシワ回復性を得ることができる。また、かかる水分散型ポリウレタン樹脂を用い、シート状物内でのポリウレタンの構造を後述するマイクロバルーンによって多孔構造とすることにより、硬いポリウレタンであっても構造的に風合いを柔軟化することができる。
また、乾式膜が硬い水分散型ポリウレタン樹脂を用いることにより、サンドペーパーなどによる起毛工程において良好な研削性を示し、立毛を有する優美な外観を得、さらにサンドペーパーによる目詰まりを抑制して良好な生産性を得ることができる。乾式膜のガラス転移温度は、好ましくは−25℃〜−10℃であり、この範囲であるとシート状物の風合いと耐摩耗性はより良好となる。
詳しくは、乾式膜のガラス転移温度が上記した下限に満たないと、シート状物のシワ回復性が低下する。
一方、乾式膜のガラス転移温度が上記した上限を超えると、シート状物の風合いは硬く、シワ回復性も低下する。
なお、乾式膜のガラス転移温度は、水分散型ポリウレタン樹脂の分子構造内におけるイソシアネートや鎖伸長剤に起因するハードセグメント構造の割合、ジオールや有機ジイソシアネートなどの種類、および架橋剤の使用量により調整することができる。
乾式膜のガラス転移温度は、実施例にて詳述するが、動的粘弾性試験におけるtanδのピーク値として測定される値である。
本発明において、マイクロバルーンとは、熱可塑性樹脂を殻とし、膨張剤として、特定の沸点を有する有機化合物を内包し、カプセル化された、好適には5〜300μmの大きさ、より好ましくは10〜25μmの大きさの微小中空球体をいう。該マイクロバルーンは、加熱により熱可塑性樹脂の外殻が軟化し、内包された有機化合物がガス化して膨張し、通常50〜100倍程度の体積まで膨張するものである。
本発明では、マイクロバルーンを水分散型ポリウレタン樹脂組成物に含有させることにより、ポリウレタン(凝固物)の構造を多孔化するものである。
すなわち、本発明の主な目的は、シート状物において、柔軟な風合いと良好なシワ回復性を両立させることにあるが、良好なシワ回復性を発現するためには硬いポリウレタンの適用が必須である反面、風合いは硬くなる。そこで、風合いを柔軟化するために、ポリウレタンの膜構造を多孔化することにより、硬いポリウレタンを構造的に柔軟化して、良好なシワ回復性と柔軟な風合いの両立を得るものである。さらに、マイクロバルーンを水分散型ポリウレタン樹脂組成物に含有させることにより、立毛を有する優美な外観を有するシート状物を得ることができる。
マイクロバルーンの殻は、熱可塑性樹脂からなり、該熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリロニトリル系共重合体や塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体などのアクリル系ポリマーや、ポリウレタンなどを採用することができる。
マイクロバルーンは、該熱可塑性樹脂を殻とし、イソブタンを内包しカプセル化したものなどが本発明に用いられる代表的なものである。しかし、ポリマー種、殻の厚みおよびバルーンの直径などにより、膨張開始温度T1(℃)および最高膨張点が異なった、微粉状または含水ケーキ状の各種グレードがあるので、水分散型ポリウレタン液の感熱凝固温度T2(℃)および水または水蒸気による処理浴温度との関係で、適宜選択することが好ましい。
マイクロバルーンの膨張開始温度T1(℃)は、40〜150℃であるものを用いることが好ましい。この関係を満足するものを使用することにより、マイクロバルーンは膨張した状態でポリウレタン内に含有されることとなり、ポリウレタンに明確な多孔構造を形成することができる。一方、マイクロバルーンの膨張開始温度T1(℃)は、低すぎると室温保管時に膨張してしまい、ポリウレタン水分散液への分散性が低下することから、マイクロバルーンの膨張開始温度T1(℃)は40〜150℃が好ましく、さらに好ましくは40〜120℃、また、さらに好ましくは45〜100℃、最も好ましくは50〜80℃である。このようなマイクロバルーンは、例えば、松本油脂製薬製“マツモトマイクロスフェアー”シリーズや、エクスパンセル社製“エクスパンセル”シリーズとして市販されているものを採用することができる。なお、マイクロバルーンの膨張開始温度T1(℃)は、一般に、後述する実施例において記載しているように、一定の範囲を有するものである場合があるが、そうした場合は、本発明では、その範囲の境界値の一方でも上述した範囲40〜150℃に入ればよいものである。
水分散型ポリウレタン樹脂組成物が含有するマイクロバルーンの含有量は、水分散型ポリウレタン樹脂の質量に対して、好ましくは0.1〜10質量%である。マイクロバルーンの含有量は、少なすぎるとポリウレタンを多孔構造化できないため、シート状物の風合いを柔軟化できず、多すぎるとマイクロバルーン自体の硬さでシート状物の風合いは硬くなることから上述した範囲が好適であり、マイクロバルーンの含有量はより好ましくは0.5〜5質量%である。
また、本発明にかかる水分散型ポリウレタン樹脂組成物は、シリコーンを含有することが好ましい。水分散型ポリウレタン樹脂組成物がシリコーンを含有することにより、マイクロバルーンで多孔構造化したポリウレタンと繊維質基材の繊維との間の摩擦力を低下させ、シート状物の風合いをより柔軟にすることができるためである。
また、水分散型ポリウレタン樹脂組成物へのマイクロバルーン添加時においては、水分散型ポリウレタン液にシリコーンを添加しておくことにより、マイクロバルーンの分散性を向上することができる。シリコーンの含有量は、水分散型ポリウレタン液の固形分(水分散型ポリウレタン樹脂)の質量に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。シリコーンの含有量は、少なすぎるとシート状物の柔軟化効果は不十分となり、多すぎるとシート状物において、ポリウレタンが繊維を把持する力が弱まることになり、耐摩耗性が低下することから、より好ましくは0.5〜8質量%である。
シリコーンは、ポリジメチルシロキサン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーンあるいはポリエーテル変性シリコーンなどを用いることができ、中でも造膜性シリコーンであることが好ましい。
「造膜性シリコーン」とは、加熱によって3次元架橋構造となって皮膜化し、水へ再分散ができなくなるシリコーンのことであり、造膜性があることによって、該造膜性シリコーン付与後に、該シートの洗浄や染色、洗濯などの水中での取り扱いや摩擦などの外的要因があったとしても、シートからのシリコーンの脱落がなく、シート状物の柔軟性を保持することができる。また、造膜性シリコーン水分散液を含有する水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を繊維質基材に含浸後、そのシートを、熱水および/またはアルカリ水溶液で処理して繊維を極細化する場合においては、シリコーンに造膜性があることによって、シート状物の柔軟性を保持することができる。
本発明において、「造膜性シリコーンが繊維の極細化処理後もシート状物に残存している」とは、極細化処理後のシート状物の質量の実測値と理論計算値を比較し、その差が30%以内であることをいう。
水分散型ポリウレタン樹脂組成物は、各種の添加剤、例えば、カーボンブラックなどの顔料、リン系、ハロゲン系、シリコーン系あるいは無機系などの難燃剤、フェノール系、イオウ系あるいはリン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系あるいはオキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、発泡剤、柔軟剤、撥水剤、凝固調整剤、染料、防腐剤、抗菌剤、消臭剤、セルロース粒子などの充填剤あるいはシリカや酸化チタンなどの無機粒子などを含有していてもよい。
シート状物に対する水分散型ポリウレタン樹脂組成物の固形分の質量比率は、10〜80質量%であることが好ましい。水分散型ポリウレタン樹脂組成物の固形分の比率を10質量%以上、より好ましくは15質量%以上とすることにより、シート状物の強度を得ると共に繊維の脱落を防ぐことができる。また、水分散型ポリウレタン樹脂組成物の固形分の比率を80質量%以下、より好ましくは70質量%以下とすることにより、風合いが硬くなるのを防ぎ、良好な立毛品位を得ることができる。
次に、本発明にかかるシート状物の製造方法について述べる。
シート状物の製造方法では、繊維質基材に、水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を含浸させる。すなわち、繊維質基材にポリウレタンを付与する。
繊維質基材の極細繊維を形成させる手段としては、極細繊維発現型繊維を用いることが好ましい。極細繊維発現型繊維を用いることにより、繊維束が絡合した形態を安定して得ることができる。
極細繊維発現型繊維の平均単繊維直径は、10〜40μmとすることが重要である。平均単繊維直径を40μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下とすることにより、優れた柔軟性のシート状物を得ることができる。また、繊維質基材の不織布はニードルパンチ、ウォータージェットパンチ等の方法により得ることができるが、平均単繊維直径は大きすぎない方が繊維の絡合効率が良好で、物理特性の良好な繊維質基材となる。一方、平均単繊維直径を10μm以上、より好ましくは12μm以上、さらに好ましくは15μm以上とすることにより、繊維質基材の強度等の物理特性を維持でき、水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を含浸させる工程での工程通過性が良好となる。
極細繊維発現型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分と島成分とし、海成分を溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面に放射状または多層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。中でも、海島型繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち極細繊維間に適度な空隙を付与することができるので、シート状物の柔軟性や風合いの観点からも好ましく用いられる。
海島型繊維には、海島型複合繊維用口金を用い、海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する海島型複合繊維や、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸繊維などがある。均一な繊度の極細繊維が得られる点、また十分な長さの極細繊維が得られシート状物の強度にも資する点からは、海島型複合繊維が好ましく用いられる。
海島型繊維の海成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、ポリ乳酸、またはポリビニルアルコールなどを用いることができる。中でも、有機溶剤を使用せずに分解可能なアルカリ分解性のナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステルやポリ乳酸や、熱水で海成分除去が可能なポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
海島型繊維を用いた場合の脱海処理(海成分を除去する処理)は、繊維質基材へのポリウレタンの付与前に行ってもよいし、付与後に行ってもよい。ポリウレタン付与前に脱海処理を行うと、極細繊維に直接ポリウレタンが密着する構造となって極細繊維を強く把持できることから、シート状物の耐摩耗性が良好となる。一方、ポリウレタン付与後に脱海処理を行うと、ポリウレタンと極細繊維間に、脱海された海成分に起因する空隙が生成し、極細繊維を直接ポリウレタンが把持しない構造となることから、シート状物の風合いが柔軟となる。
脱海処理(海成分を除去する処理)によって得られる極細繊維の平均単繊維直径は、0.3〜7μmとすることが重要である。平均単繊維直径を7μm以下、より好ましくは6μm以下、さらに好ましくは5μm以下とすることにより、優れた柔軟性や立毛品位のシート状物を得ることができる。一方、平均単繊維直径を0.3μm以上、より好ましくは0.7μm以上、さらに好ましくは1μm以上とすることにより、染色後の発色性やサンドペーパーなどによる研削など立毛処理時の束状繊維の分散性とさばけ易さに優れる。
脱海処理は、溶剤中に海島型繊維を浸漬し、窄液することによって行うことができる。海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンの場合には、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用いることができる。また、海成分が共重合ポリエステルやポリ乳酸の場合には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いることができ、海成分がポリビニルアルコールの場合は熱水を用いることができる。
繊維質基材として用いられる不織布において、繊維あるいは繊維束を絡合させる方法としては、ニードルパンチやウォータージェットパンチを採用することができる。
なお、水分散液樹脂組成物は、例えば、水分散型ポリウレタン樹脂組成物が水分散された水分散型ポリウレタン液と、マイクロバルーンとを配合することにより、調製される。なお、マイクロバルーンは、予め調製された水分散型ポリウレタン液に配合することができ、あるいは、調製途中の水分散型ポリウレタン液に配合することもできる。
水分散型ポリウレタン液は、水分散型ポリウレタン樹脂が水中に分散・安定化されている。なお、水分散型ポリウレタン樹脂は、上記したように、乳化剤(外部乳化剤)を用いて強制的に分散・安定化させる強制乳化型ポリウレタン樹脂と、分子構造中に親水性基を有し、乳化剤が存在しなくても水中に分散・安定化する自己乳化型ポリウレタン樹脂に分類される。水分散型ポリウレタン液にはいずれを用いてもよいが、乳化剤を含有しない点では自己乳化型ポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。乳化剤を含有する強制乳化型ポリウレタンを用いた場合、乳化剤はシート状物の表面のベトツキなどが発生する原因となり、洗浄工程が必要となって加工工程が増加してコストアップに繋がる。また、乳化剤の存在により、皮膜化した水分散型ポリウレタン樹脂を含有する乾式膜の耐水性が低下するため、ポリウレタンを付与したシート状物の染色において、ポリウレタンの染色液への脱落が発生する傾向にある。
水分散型ポリウレタン樹脂の濃度(水分散型ポリウレタン液に対する水分散型ポリウレタン樹脂の含有量)としては、水分散型ポリウレタン液の貯蔵安定性の観点から、5質量%〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10質量%〜40質量%である。
また、水分散型ポリウレタン液は、貯蔵安定性や製膜性向上のために、水溶性有機溶剤(例えば、アセトンなどのケトン系溶媒)を水分散型ポリウレタン液に対して40質量%以下含有していてもよいが、製膜環境の保全などの点から、有機溶剤の含有量は1質量%以下とすることが好ましい。
また、水分散型ポリウレタン液としては、感熱凝固性を有するものが好ましい。感熱凝固性を有する水分散型ポリウレタン液を用いることにより、繊維質基材の厚み方向に均一にポリウレタンを付与することができる。感熱凝固性とは、水分散型ポリウレタン液を加熱した際に、ある温度(感熱凝固温度T2(℃))に達すると水分散型ポリウレタン液の流動性が減少し、凝固する性質のことを言う。シート状物の製造においては、水分散型ポリウレタン液を繊維質基材に付与後、それを乾熱凝固、湿熱凝固、湿式凝固、あるいはこれらの組み合わせにより凝固させ、乾燥することにより繊維質基材にポリウレタン(凝固物)を付与する。
感熱凝固性を示さない水分散型ポリウレタン液を凝固させる方法としては、乾式凝固が工業的な生産において現実的であるが、その場合、繊維質基材の表層に水分散型ポリウレタン樹脂が集中するマイグレーション現象が発生し、シート状物の風合いは硬化する傾向にある。
水分散型ポリウレタン液の感熱凝固温度T2(℃)は、40℃〜90℃であることが好ましい。感熱凝固温度T2(℃)を40℃以上とすることにより、水分散型ポリウレタン液の貯蔵時の安定性が良好となり、操業時のマシンへの水分散型ポリウレタンの付着などを抑制することができる。また、感熱凝固温度T2(℃)を90℃以下とすることにより、繊維質基材中での水分散型ポリウレタンのマイグレーション現象を抑制することができる。感熱凝固温度T2(℃)は、より好ましくは50℃〜80℃である。
マイクロバルーンの膨張開始温度T1(℃)は、少なくとも水分散型ポリウレタン液の感熱凝固温度T2(℃)と同等か、それ以下であることにより、マイクロバルーンは膨張した状態でポリウレタン内に含有されることとなり、ポリウレタンの明確な多孔構造が得られることから、感熱凝固温度T2(℃)を前記の通りとするために、適宜感熱凝固剤を水分散型ポリウレタン樹脂組成物液に添加してもよい。感熱凝固剤としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウムなどの無機塩や過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム(APS)、アゾビスイソブチロニトリル、および過酸化ベンゾイルなどのラジカル反応開始剤が挙げられる。
感熱凝固剤の配合割合は、水分散型ポリウレタン樹脂(固形分)に対して、例えば、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%である。
シート状物の製造方法において、繊維質基材に付与される水分散型ポリウレタン液を構成する水分散型ポリウレタン樹脂から形成される乾式膜の100%モジュラスが2〜8MPaであるため、良好なシワ回復性を得ることができる。
また、かかる水分散型ポリウレタンを用い、シート状物内でのポリウレタンの構造をマイクロバルーンによって多孔構造とすることにより、硬いポリウレタンであっても構造的に風合いを柔軟化することができる。また、硬いポリウレタンを用いることにより、サンドペーパーなどによる起毛工程において良好な研削性を示し、立毛を有する優美な外観を得、さらにサンドペーパーによる目詰まりを抑制して良好な生産性を得ることができる。
また、水分散型ポリウレタン樹脂から形成される乾式膜のガラス転移温度は、−25℃〜0℃であるものを採用するため、良好な耐摩耗性を発現すると共に、良好なシワ回復性を得ることができる。
水分散型ポリウレタン液は、シリコーン水分散液を含有することが好ましい。シリコーン水分散液を含有することにより、マイクロバルーンで多孔構造化したポリウレタンと繊維質基材の繊維との間の摩擦力を低下させ、シート状物の風合いをより柔軟にすることができる。また、水分散型ポリウレタン液へのマイクロバルーン添加時においては、水分散型ポリウレタン液にシリコーン水分散液を添加しておくことにより、マイクロバルーンの分散性を向上することができる。水分散型ポリウレタン液のシリコーン水分散液含有量は、水分散型ポリウレタン樹脂の質量に対して、シリコーンの固形分として0.1〜10質量%であることが好ましい。含有量は少なすぎるとシートの柔軟化効果は不十分となり、多すぎるとシート状物において、ポリウレタンが繊維を把持する力が弱まり耐摩耗性が低下することから、より好ましくは0.5〜8質量%である。
水分散型ポリウレタン液の粘度は、25℃の温度の測定条件において、1〜900mPa・sであることが好ましい。粘度を900mPa・s以下、より好ましくは500mPa・s以下とすることにより、水分散型ポリウレタン液を繊維質基材内部にまで浸透させることができる。一方、粘度を1mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上とすることにより、水分散型ポリウレタン樹脂組成物を効率よく凝固させることができる。
水分散型ポリウレタン液を繊維質基材に含浸、塗布などし、乾熱凝固、湿熱凝固、湿式凝固、あるいはこれらの組み合わせにより水分散型ポリウレタン樹脂組成物を凝固させることができる。
湿熱凝固の温度は、水分散型ポリウレタンの感熱凝固温度T2(℃)以上とし、40〜200℃であることが好ましい。湿熱凝固の温度を40℃以上、より好ましくは80℃以上とすることにより、水分散型ポリウレタン樹脂組成物の凝固までの時間を短くしてマイグレーション現象をより抑制することができる。一方、湿熱凝固の温度を200℃以下、より好ましくは160℃以下とすることにより、水分散型ポリウレタン樹脂組成物の熱劣化を防ぐことができる。
湿式凝固の温度は、水分散型ポリウレタン液の感熱凝固温度T2(℃)以上とし、40〜100℃であることが好ましい。熱水中での湿式凝固の温度を40℃以上、より好ましくは80℃以上とすることにより、水分散型ポリウレタン液の凝固までの時間を短くしてマイグレーション現象をより抑制することができる。
乾式凝固温度および乾燥温度は、80〜180℃が好ましい。乾式凝固温度および乾燥温度を80℃以上、より好ましくは90℃以上とすることにより、生産性に優れる。一方、乾式凝固温度および乾燥温度を180℃以下、より好ましくは160℃以下とすることにより、水分散型ポリウレタンの熱劣化を防ぐことができる。
マイクロバルーンの膨張は、ポリウレタンを凝固させる工程で行ってもよく、乾燥工程で行ってもよく、また乾燥後にさらに高い温度で熱処理を行う工程を設けて行ってもよい。
ポリウレタンの付与後、ポリウレタン付与シート状物をシート厚み方向に半裁(厚さが1/2になるように裁断すること)ないしは数枚に分割すると、生産効率に優れ好ましい態様である。
後述する起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によってシート状物から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくする上で好ましい態様である。
シート状物の表面に立毛を形成するために、起毛処理を行ってもよい。起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて研削する方法などにより施すことができる。
シート状物は、染色してもよい。染色方法としては、シート状物を染色すると同時に揉み効果を与えてシート状物を柔軟化することができることから、液流染色機を用いることが好ましい。
染色温度は、繊維の種類にもよるが、80〜150℃であることが好ましい。染色温度を80℃以上、より好ましくは110℃以上とすることにより、繊維への染着を効率よく行わせることができる。一方、染色温度を150℃以下、より好ましくは130℃以下とすることにより水分散型ポリウレタンの劣化を防ぐことができる。
染料は、繊維質基材を構成する繊維の種類にあわせて選択すればよく、例えば、ポリエステル系繊維であれば分散染料を用い、ポリアミド系繊維であれば酸性染料や含金染料を用い、さらにそれらの組み合わせを用いることができる。分散染料で染色した場合は、染色後に還元洗浄を行ってもよい。
また、染色時に染色助剤を使用することも好ましい態様である。染色助剤を用いることにより、染色の均一性や再現性を向上させることができる。また、染色と同浴または染色後に、シリコーンなどの柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤、耐光剤および抗菌剤などを用いた仕上げ剤処理を施すことができる。
本発明にかかるシート状物は、家具、椅子および壁材や、自動車、電車および航空機などの車輛室内における座席、天井および内装などの表皮材として、非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケット、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴または婦人靴などの靴のアッパー、トリムなど、鞄、ベルト、財布など、またはそれらの一部に使用した衣料用資材、ワイピングクロス、研磨布あるいはCDカーテンなどの工業用資材として好適に用いることができる。
特に、シート状物の効果である柔軟な風合いとシワにならない良好なシワ回復性は、これらの機能が強く要求される衣料用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を、合成例、実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
[合成例A]
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、DHD1000S(三井化学社製、ポリオキシエチレン鎖含有ジオール)71.0g、UH200(宇部興産社製、ETERNACOLL UH−200、ポリカーボネートジオール)420.0g、および、アセトン160.0gを混合した。
次いで、それらに、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(デグサ社製)109.1g、オクチル酸第一錫0.2gを添加し、55℃で反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを得た。
次いで、反応液に、アセトン240.0gを添加して、よく混合した後、30℃まで冷却し、その後、イオン交換水1083.5gを徐々に添加してイソシアネート基末端プレポリマーを水分散させた。
次いで、鎖伸長剤1として1,6−ヘキサメチレンジアミン14.5gおよび水58.0を含有するアミン水溶液を添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖伸長した。
その後、アセトンを留去することにより、固形分(水分散型ポリウレタン樹脂)35質量%の水分散型ポリウレタン液Aを得た。
合成例Aの配合処方を表1に示す。
[合成例B]、[合成例D]、[合成例E]および[合成例G]
表1の配合処方に従った以外は、合成例Aと同様に処理して、水分散型ポリウレタン液B、D、EおよびGをそれぞれ得た。
[合成例C]および[合成例F]
表1の配合処方に従い、さらに、鎖伸長剤1の添加後に、鎖伸長剤2(γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン9.9gおよび水39.7gを含有するアルコキシシリル基含有アミン系鎖伸長剤水溶液)を添加した以外は、合成例Aと同様に処理して、水分散型ポリウレタン液CおよびFをそれぞれ得た。
[合成例H]
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、UH200(宇部興産社製、ETERNACOLL UH−200、ポリカーボネートジオール)495.6g、および、アセトン160.0gを混合した。
次いで、それらに、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(デグサ社製)104.4g、オクチル酸第一錫0.2gを添加し、55℃で反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。
次いで、反応液に、エマルゲンA60(花王社製、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、外部乳化剤、曇点61℃、HLB12.8)60.0gを添加し、さらに、アセトン240.0gを添加して、よく混合後、30℃まで冷却し、その後、イオン交換水1195.0gを徐々に添加してイソシアネート基末端プレポリマーを水分散させた。
次いで、鎖伸長剤1として1,6−ヘキサメチレンジアミン14.5gおよび水58.0を含有するアミン水溶液を添加して、イソシアネート基末端プレポリマーを鎖伸長した。
その後、アセトンを留去することにより、固形分(水分散型ポリウレタン樹脂)35質量%の水分散型ポリウレタン液Hを得た。
合成例Hの配合処方を表1に示す。
Figure 2014080513
なお、表1中の原料および物性を以下で詳述する。
・H12MDI:デグサ社製、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
・DHD1000S:三井化学社製、ポリオキシエチレン鎖含有ジオール
・UH300:宇部興産社製、商品名“ETERNACOLL UH−300”、分子量3000、ポリカーボネートジオール
・UH200:宇部興産社製、商品名“ETERNACOLL UH−200”、分子量2000、ポリカーボネートジオール
・UH100:宇部興産社製、商品名“ETERNACOLL UH−100”、分子量1000、ポリカーボネートジオール
・UH50:宇部興産社製、商品名“ETERNACOLL UH−50”、分子量500、ポリカーボネートジオール
・C2090:クラレ社製、商品名“C2090”、分子量2000、ポリヘキサメチレンカーボネートと3−メチルペンタンカーボネートとの共重合ポリカーボネートジオール
・テラタン1000:INVISTA社製、商品名“TERATHANE2000”、分子量2000、ポリテトラメチレンエーテルグリコール
・A60:花王社製、商品名“エマルゲンA60”、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、外部乳化剤、曇点61℃、HLB12.8
・KBM603:信越化学工業社製、商品名“KBM603”、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン
・100%モジュラス(MPa):後述する引張試験によって測定されるポリウレタンの乾式膜の100%モジュラス(1)である。
・ガラス転移温度Tg(℃):後述する粘弾性試験によって測定される乾式膜のガラス転移温度(2)である。
以下、合成例の水分散型ポリウレタン液、それから形成されるポリウレタン、および、水分散型ポリウレタン液を含有する水分散型ポリウレタン樹脂組成物の評価方法について説明する。
[ポリウレタンの評価方法]
(1)乾式膜の100%モジュラス
マイクロバルーンを含まない固形分30質量%の水分散型ポリウレタン液を水で希釈して、固形分20質量%に調整した後、それを幅5cm×長さ10cm×深さ1cmのポリエチレン製トレーに入れ、8時間25℃で風乾後、120℃の温度の熱風乾燥機で2時間熱処理して、厚さ1mmのポリウレタンの乾式膜(塗膜)を得る。この乾式膜について、引張試験機JIS−L1096−8.12.1(1999)記載のA法(ストリップ法)に従い、100%伸長時の引張強さを100%モジュラスとして測定した。
各合成例のものについて、測定した結果を表1に示す。
(2)乾式膜のガラス転移温度
粘弾性試験によって、乾式膜のガラス転移温度を測定した。
まず、水分散型ポリウレタン液を基材の上に、乾燥厚みが200μmとなるように塗布して、200℃で5分間乾燥してポリウレタンの乾式膜を得た。
その後、乾式膜を、長さ10.0cm、幅5.0mm、厚み2.0mmの短冊状に裁断し、それを、動的粘弾性測定装置(VES−F−III、VISCO−ELASTICSPECTROMETER、岩本製作所社製)を用いて、昇温速度3℃/分、振動数10Hz、振幅±0.01mmの温度分散モードにて測定し、得られたデータのtanδのピーク値としてガラス転移温度(Tg)を算出した。
各合成例のものについて、測定した結果を表1に示す。
[水分散型ポリウレタン液の評価方法]
(3)水分散型ポリウレタン液の感熱凝固温度T2(℃)
水分散型ポリウレタン液20gを内径12mmの試験管に入れ、温度計を先端が液面よりも下になるように差し込んだ後、試験管を封止し、95℃の温度の温水浴に水分散型ポリウレタン液の液面が温水浴の液面よりも下になるように浸漬した。温度計により試験管内の温度の上昇を確認しつつ、適宜1回あたり5秒以内の時間、試験管を引き上げて水分散型ポリウレタン液の液面の流動性の有無を確認できる程度に揺すり、水分散型ポリウレタン液の液面が流動性を失った温度を感熱凝固温度T2(℃)とした。この測定を水分散型ポリウレタン液1種につき3回ずつ行い、平均値を算出した。その結果を表1に示す。
[水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液の評価方法]
(4)発泡試験
まず、水分散型ポリウレタン液およびマイクロバルーンを、下記表2の配合比(固形分比)となるように配合した後、それらを水で希釈することにより、固形分(水分散型ポリウレタン樹脂およびマイクロバルーン)30質量%である水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を調製した。
その後、水分散液(後述、表2参照)を、乾燥後の厚みが200μmとなるように、ポリプロピレン容器に広げ、スチーム(温度95℃)に1分間暴露した後、80℃で、10分間加熱し、続いて、120℃で3分間加熱した。これにより、水分散型ポリウレタン樹脂組成物(サンプル(a)〜(c))を発泡させた。
発泡体を以下の評価基準によって評価した。その結果を表2に示す。
(評価基準)
○:発泡し、スポンジ状となった。
△:発泡はしているが、気泡が少なかった。
×:ほとんど発泡しなかった。
(5)溶出試験
上記(4)の発泡試験により得られた加熱後のサンプル(a)〜(c)を、さらに、120℃で1.5時間加熱した後、サンプル1g/熱水45gの割合となるように80〜85℃の熱水に5時間浸漬した。
その後、サンプルを熱水から引き上げ、120℃で、1.5時間乾燥した後、サンプルの質量減量率(質量%=[浸漬前後のサンプルの質量減量/浸漬前のサンプルの質量]×100)を算出した。その結果を表2に示す。
Figure 2014080513
次に、後述する実施例および比較例で用いた繊維質基材の平均単繊維直径の評価方法と、後述する実施例および比較例で得られたシート状物の風合い、シワ回復性、耐摩耗性評価および外観品位の評価方法とをそれぞれ詳述する。
[繊維質基材の評価方法]
(6)平均単繊維直径
平均単繊維直径は、繊維質基材の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、繊維をランダムに100本選び、単繊維直径を測定して平均値を計算することで算出した。
繊維質基材を構成する極細繊維が異形断面の場合は、異形断面の外周円直径を単繊維直径として算出した。また、円形断面と異形断面が混合している場合、単繊維直径が大きく異なるものが混合している場合などは、それぞれの存在本数比率に応じたサンプリング数を計100本となるように選び算出した。ただし、極細繊維あるいはその繊維束からなる不織布の他に補強用の織物や編物が挿入されているような場合には、当該補強用の織編物の繊維は、極細繊維の平均単繊維直径の測定においてサンプリング対象からは除外した。
[シート状物の評価方法]
(7)シート状物の風合い
JIS L1096−8.19.1(1999)記載のA法(45°カンチレバー法)に基づき、タテ方向とヨコ方向へそれぞれ2×15cmの試験片を5枚作成し45℃の温度の斜面を有する水平台へ置き、試験片を滑らせて試験片の一端の中央点が斜面と接したときのスケールを読み、5枚の平均値を求めた。
(8)シート状物のシワ回復性
JIS L1059−1(1998)記載のモンサント法に基づき、10Nの荷重装置を用い、試験片5枚でのシワ回復角を測定して、8.3記載の防シワ率の式によってシワ回復性を算出し、5枚の平均値を求めた。
(9)シート状物の耐摩耗性評価
ナイロン6からなる直径0.4mmのナイロン繊維を繊維の長手方向に垂直に長さ11mmに切ったものを100本そろえて束とし、この束を直径110mmの円内に6重の同心円状に97個(中心に1個、直径17mmの円に6個、直径37mmの円に13個、直径55mmの円に19個、直径74mmの円に26個、直径90mmの円に32個)配置した円形ブラシ(ナイロン糸9700本)を用い、荷重8ポンド(約3629g)、回転速度65rpm、回転回数50回の条件で、シート状物の円形サンプル(直径45mm)の表面を摩耗させ、その前後のサンプルの質量変化を測定し、5サンプルの平均値を摩耗減量とした。
(10)シート状物の外観品位
シート状物の外観品位は、健康状態の良好な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、目視と官能評価によって、下記のように5段階評価し、最も多かった評価を外観品位とした。外観品位は3級〜5級を良好とした。その結果を表2に示す。
5級:均一な繊維の立毛があり、繊維の分散状態は良好で、外観は良好であった。
4級:5級と3級の間の評価であった。
3級:繊維の分散状態はやや良くない部分があったが、繊維の立毛はあり、外観はまずまず良好であった。
2級:3級と1級の間の評価であった。
1級:繊維の立毛は少なく、また、全体的に繊維の分散状態は非常に悪く、外観は不良であった。
以下、シート状物の製造について、実施例および比較例にて詳述する。
実施例1
〔繊維質基材用不織布の製造〕
海成分として5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、島成分としてポリエチレンテレフタレートを用いて、海成分45質量%、島成分55質量%の複合比率で、島数36島/1フィラメント、平均単繊維直径17μmの海島型複合繊維を得た。得られた海島型複合繊維を、繊維長51mmにカットしてステープルとし、カードおよびクロスラッパーを通して繊維ウェブを形成し、ニードルパンチ処理により不織布とした。この不織布を97℃の温度の湯中に2分間浸漬させて収縮させ、140℃の温度で5分間乾燥させ、繊維質基材用不織布とした。
〔水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液の製造〕
水分散型ポリウレタン液Aに、その固形分100質量部に対して、感熱凝固剤として過硫酸アンモニウム(APS)2質量部と、マイクロバルーンとして松本油脂製薬製“マツモトマイクロスフェアーF−36LV”(膨張開始温度T1:75〜85℃。膨張前平均バルーン径16μm)1質量部と、造膜性シリコーンとして東レ・ダウコーニング製“BY22−856EX”5質量部とを加え、水によって全体を固形分10質量%に調整した水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を得た。
〔ポリウレタンの付与〕
上記の繊維質基材用不織布に、上記の水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を含浸させ、100℃の温度の湿熱雰囲気下で5分間処理後、乾燥温度120℃の温度で5分間熱風乾燥させることにより、不織布の島成分質量に対するポリウレタン(感熱凝固剤、マイクロバルーンおよび造膜性シリコーンを含有するポリウレタン)の質量が30質量%となるようにポリウレタンを付与したシートを得た。
〔脱海・起毛・染色・還元洗浄〕
上記のポリウレタンを付与したシートを、95℃の温度に加熱した濃度10g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分処理を行い、海島型繊維の海成分を除去した脱海シートを得た。得られた脱海シート表面の平均単繊維直径は2μmであった。次に、脱海シート表面を240メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いた研削によって起毛処理した後、サーキュラー染色機を用いて分散染料により染色し還元洗浄を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物の外観品位と耐摩耗性は良好であり、柔軟な風合いと良好なシワ回復性を有していた。
実施例2
〔繊維質基材用不織布の製造〕
実施例1で用いたものと同じ繊維質基材用不織布を用いた。
〔水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液の製造〕
水分散型ポリウレタン液Bに、その固形分100質量部に対して、感熱凝固剤として過硫酸アンモニウム(APS)2質量部と、マイクロバルーンとして松本油脂製薬製“マツモトマイクロスフェアーF−36LV”(膨張開始温度T1:75〜85℃。膨張前平均バルーン径16μm)3質量部と、造膜性シリコーンとして日華化学製“ドライポン600E”3質量部とを加え、水によって全体を固形分10質量%に調整した水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を得た。
〔水分散型ポリウレタンの付与〕
上記の繊維質基材用不織布に上記の水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を含浸させ、実施例1と同様にしてポリウレタン(感熱凝固剤、マイクロバルーンおよび造膜性シリコーンを含有するポリウレタン)を付与したシートを得た。
〔脱海・起毛・染色・還元洗浄〕
上記のポリウレタンを付与したシートに対して、実施例1と同様にして脱海・起毛・染色・還元洗浄処理を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物の外観品位と耐摩耗性は良好であり、柔軟な風合いと良好なシワ回復性を有していた。
実施例3
〔繊維質基材用不織布の製造〕
実施例1で用いたものと同じ繊維質基材用不織布を用いた。
〔水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液の製造〕
水分散型ポリウレタン液Cに、その固形分100質量部に対して、感熱凝固剤として過硫酸アンモニウム(APS)2質量部と、マイクロバルーンとして松本油脂製薬製“マツモトマイクロスフェアーF−36LV”(膨張開始温度T1:75〜85℃。膨張前平均バルーン径16μm)5質量部と、造膜性シリコーンとして日華化学製“ドライポン600E”5質量部とを加え、水によって全体を固形分10質量%に調整した水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を得た。
〔ポリウレタンの付与〕
上記の繊維質基材用不織布に上記の水分散型ポリウレタン液を含浸させ、実施例1と同様にしてポリウレタン(感熱凝固剤、マイクロバルーンおよび造膜性シリコーンを含有するポリウレタン)を付与したシートを得た。
〔脱海・起毛・染色・還元洗浄〕
上記の水分散型ポリウレタンを付与したシートに対して、実施例1と同様にして脱海・起毛・染色・還元洗浄処理を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物の外観品位と耐摩耗性は良好であり、柔軟な風合いと良好なシワ回復性を有していた。
実施例4
〔繊維質基材用不織布の製造〕
実施例1で用いたものと同じ繊維質基材用不織布を用いた。
〔水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液の製造〕
水分散型ポリウレタン液Hに、その固形分100質量部に対して、感熱凝固剤として硫酸マグネシウム3質量部と、マイクロバルーンとして松本油脂製薬製“マツモトマイクロスフェアーF−36LV”(膨張開始温度T1:75〜85℃。膨張前平均バルーン径16μm)5質量部と、造膜性シリコーンとして日華化学製“ドライポン600E”2質量部とを加え、水によって全体を固形分10質量%に調整した水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を得た。
〔ポリウレタンの付与〕
上記の繊維質基材用不織布に上記の水分散型ポリウレタン液を含浸させ、実施例1と同様にしてポリウレタン(感熱凝固剤、マイクロバルーンおよび造膜性シリコーンを含有するポリウレタン)を付与したシートを得た。
〔脱海・起毛・染色・還元洗浄〕
上記の水分散型ポリウレタンを付与したシートに対して、実施例1と同様にして脱海・起毛・染色・還元洗浄処理を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物の外観品位と耐摩耗性は良好であり、柔軟な風合いと良好なシワ回復性を有していた。
比較例1
〔繊維質基材用不織布の製造〕
実施例1で用いたものと同じ繊維質基材用不織布を用いた。
〔水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液の製造〕
水分散型ポリウレタン液Dに、その固形分100質量部に対して、感熱凝固剤として過硫酸アンモニウム(APS)2質量部と、マイクロバルーンとして松本油脂製薬製“マツモトマイクロスフェアーF−36LV”(膨張開始温度T1:75〜85℃。膨張前平均バルーン径16μm)1質量部とを加え、水によって全体を固形分10質量%に調整した水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を得た。
〔ポリウレタンの付与〕
上記の繊維質基材用不織布に、上記の水分散型ポリウレタン液を含浸させ、実施例1と同様にしてポリウレタン(感熱凝固剤およびマイクロバルーンを含有するポリウレタン)を付与したシートを得た。
〔脱海・起毛・染色・還元洗浄〕
上記のポリウレタンを付与したシートに対して、実施例1と同様にして脱海・起毛・染色・還元洗浄処理を行い、シート状物を得た。
比較例1では、水分散型ポリウレタンの100%モジュラスが1MPaと低すぎたために、得られたシート状物は、風合いは柔軟であったがシワ回復性は低いものとなった。
比較例2
〔繊維質基材用不織布の製造〕
実施例1で用いたものと同じ繊維質基材用不織布を用いた。
〔水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液の製造〕
水分散型ポリウレタン液Eに、その固形分100質量部に対して、感熱凝固剤として過硫酸アンモニウム(APS)2質量部と、マイクロバルーンとして松本油脂製薬製“マツモトマイクロスフェアーF−36LV”(膨張開始温度T1:75〜85℃。膨張前平均バルーン径16μm)1質量部とを加え、水によって全体を固形分10質量%に調整した水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を得た。
〔ポリウレタンの付与〕
上記の繊維質基材用不織布に上記の水分散型ポリウレタン液を含浸させ、実施例1と同様にしてポリウレタン(感熱凝固剤およびマイクロバルーンを含有するポリウレタン)を付与したシートを得た。
〔脱海・起毛・染色・還元洗浄〕
上記のポリウレタンを付与したシートに対して、実施例1と同様にして脱海・起毛・染色・還元洗浄処理を行い、シート状物を得た。
比較例2では、乾式膜のガラス転移温度が−45℃と低すぎるポリウレタンであったことにより、得られたシート状物は、風合いは柔軟であったがシワ回復性は低いものとなった。
比較例3
〔繊維質基材用不織布の製造〕
実施例1で用いたものと同じ繊維質基材用不織布を用いた。
〔水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液の製造〕
水分散型ポリウレタン液Aを水によって全体を固形分10質量%に調整した水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を得た。
〔ポリウレタンの付与〕
上記の繊維質基材用不織布に上記の水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を含浸させ、実施例1と同様にしてポリウレタンを付与したシートを得た。
〔脱海・起毛・染色・還元洗浄〕
上記の水分散型ポリウレタンを付与したシートに対して、実施例1と同様にして脱海・起毛・染色・還元洗浄処理を行い、シート状物を得た。
比較例3ではマイクロバルーンを加えなかったことにより、得られたシート状物は、シワ回復性は良好であったが、風合いは硬くなり、外観品位は不良となった。
比較例4
〔繊維質基材用不織布の製造〕
実施例1で用いたものと同じ繊維質基材用不織布を用いた。
〔水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液の製造〕
水分散型ポリウレタン液Fに、その固形分100質量部に対して、感熱凝固剤として過硫酸アンモニウム(APS)2質量部と、マイクロバルーンとして松本油脂製薬製“マツモトマイクロスフェアーF−36LV”(膨張開始温度T1:75〜85℃。膨張前平均バルーン径16μm)3質量部とを加え、水によって全体を固形分10質量%に調整した水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を得た。
〔ポリウレタンの付与〕
上記の繊維質基材用不織布に、上記の水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を含浸させ、実施例1と同様にしてポリウレタン(感熱凝固剤およびマイクロバルーンを含有するポリウレタン)を付与したシートを得た。
(脱海・起毛・染色・還元洗浄)
上記のポリウレタンを付与したシートに対して、実施例1と同様にして脱海・起毛・染色・還元洗浄処理を行い、シート状物を得た。
比較例4では、乾式膜の100%モジュラスが9MPaと高すぎたために、得られたシート状物は、風合いは硬く、また、折り曲げ後はその形態をほとんど保持してしまい、シワ回復性は低いものとなった。
比較例5
〔繊維質基材用不織布の製造〕
実施例1で用いたものと同じ繊維質基材用不織布を用いた。
〔水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液の製造〕
水分散型ポリウレタン液Gに、その固形分100質量部に対して、感熱凝固剤として過硫酸アンモニウム(APS)2質量部と、マイクロバルーンとして松本油脂製薬製“マツモトマイクロスフェアーF−36LV”(膨張開始温度T1:75〜85℃。膨張前平均バルーン径16μm)3質量部とを加え、水によって全体を固形分10質量%に調整した水分散型ポリウレタン樹脂組成物の水分散液を得た。
〔ポリウレタンの付与〕
上記の繊維質基材用不織布に、上記の水分散型ポリウレタン液を含浸させ、実施例1と同様にしてポリウレタン(感熱凝固剤およびマイクロバルーンを含有するポリウレタン)を付与したシートを得た。
〔脱海・起毛・染色・還元洗浄〕
上記のポリウレタンを付与したシートに対して、実施例1と同様にして脱海・起毛・染色・還元洗浄処理を行い、シート状物を得た。
比較例5では、乾式膜のガラス転移温度が5℃と高すぎたために、得られたシート状物は、風合いは硬く、シワ回復性は低いものとなった。
上記の各実施例と各比較例で得られたシート状物の評価結果を、表3に示す。
Figure 2014080513

Claims (9)

  1. 水分散型ポリウレタン樹脂と、マイクロバルーンとを含有し、前記水分散型ポリウレタン樹脂から形成された乾式膜の100%モジュラスが2〜8MPaであり、前記水分散型ポリウレタン樹脂から形成された乾式膜のガラス転移温度が、−25℃〜0℃であることを特徴とする水分散型ポリウレタン樹脂組成物。
  2. 前記水分散型ポリウレタン樹脂は、親水性基を有することを特徴とする請求項1記載の水分散型ポリウレタン樹脂組成物。
  3. 前記マイクロバルーンの膨張開始温度T1(℃)が、下記(a)式の関係にあることを特徴とする請求項1または2記載の水分散型ポリウレタン樹脂組成物。
    40≦T1≦150 ………(a)式
  4. 平均単繊維直径0.3〜7μmの極細繊維を含んでなる繊維質基材の内部にポリウレタンを含有したシート状物であって、該ポリウレタンが請求項1〜3のいずれかに記載の水分散型ポリウレタン樹脂組成物からなることを特徴とするシート状物。
  5. 前記水分散型ポリウレタン樹脂組成物が、シリコーンを含有することを特徴とする請求項4記載のシート状物。
  6. 前記シリコーンが、造膜性シリコーンであることを特徴とする請求項5記載のシート状物。
  7. 平均単繊維直径10〜40μmの繊維を含んでなる繊維質基材に、請求項1〜3のいずれか1項記載の水分散型ポリウレタン樹脂組成物液を含浸せしめ、次いで、湿熱加熱処理した後、乾熱処理して前記ポリウレタンを凝固させることを特徴とするシート状物の製造方法。
  8. 前記水分散型ポリウレタン樹脂組成物液が、シリコーン水分散液を含有することを特徴とする請求項7記載のシート状物の製造方法。
  9. 前記シリコーン水分散液が、造膜性シリコーン水分散液であることを特徴とする請求項8記載のシート状物の製造方法。
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