JP6645432B2 - シート状物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シート状物とその製造方法に関するものであり、特にドレープ感に優れた適度な弾性と従来実現できなかった柔らかな風合いを有する皮革様シート状物、およびその製造方法に関するものである。
主として繊維質基材とポリウレタン等の高分子弾性体からなる皮革様シート状物は、天然皮革にない優れた特徴を有しており、種々の用途に広く利用されている。とりわけ、ポリエステル系繊維質基材を用いた皮革様シート状物は、耐光性に優れているため、衣料や椅子張りおよび自動車内装材用途等にその使用が年々広がってきた。
このような皮革様のシート状物には、ドレープ感に優れる適度な弾性はもちろんのこと、天然のスエードのような柔らかな風合いを有することが求められており、これまでに様々な検討がなされている。
皮革様のシート状物の弾性を発現させる手段として、シート状物にシリコーン系樹脂を含浸する方法が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案では、シリコーン樹脂の弾性が高すぎるため、シート状物の風合いが硬くなってしまうという課題があった。
また、ポリエステル系繊維と高分子弾性体を含むシート状物をアルカリ減量処理することにより、シート状物を柔軟化する方法が提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、この提案のように、高分子弾性体を含むシート状物をアルカリ減量処理する方法では、高分子弾性体が劣化しシート状物の耐摩耗性が悪化してしまうという課題があった。
すなわち、シート状物の製造に際してドレープ感に優れた適度な弾性と、天然スエードのような柔らかな風合いを両立させた皮革様シート状物は得られていないのが現状である。
日本特開2009−235644公報 日本特開平1-229882号公報
そこで本発明の目的は、シート状物、特にドレープ感に優れた適度な弾性と従来実現できなかった天然スエードのような柔らかな風合いを有する皮革様のシート状物およびその製造方法を提供することにある。
本発明のシート状物は、平均単繊維直径が0.3〜7μmの極細繊維を含んでなる繊維質基材の内部に高分子弾性体を含有し、少なくとも片方の表面に立毛を有するシート状物であり、そのシート状物のJIS L1913の方法で、初期荷重0.5kPaをかけたときのシート状物の厚みT0に対し、荷重30kPaをかけたときのシート状物の厚みT1、さらに初期荷重0.5kPaに戻したときのシート状物の厚みT2について下記式1によって得られる圧縮率Pが7%以上14%以下であり、さらに下記式2によって得られる圧縮弾性率Peが30%以上70%以下であることを特徴とするシート状物である。
式1:圧縮率P(%)=100×(T0−T1)/T0
式2:圧縮弾性率Pe(%)=100×(T2−T1)/(T0−T1)。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記のシート状物は織編物を含むことである。
また、本発明のシート状物の製造方法は、次の1〜3の工程を含むことを特徴とするシート状物の製造方法である。
1.極細繊維を含む繊維質基材に5℃以上90℃以下の温度でポリビニルアルコールを付与する工程、
2.上記1の工程の後に得られた繊維質基材に高分子弾性体を付与してシート状物を製造する工程、
3.得られたシート状物の少なくとも片方の面を起毛処理する工程。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、95℃以上の温度でポリビニルアルコールを溶解させた後に、50℃以上75℃以下の温度に調整したポリビニルアルコールを付与する工程を含むことである。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記のポリビニルアルコールの重合度は400以上600以下である。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の工程において、有機
溶剤に溶解させた高分子弾性体を用いて高分子弾性体の付与を行うことである。
本発明のシート状物の製造方法は、次の1〜3の工程を含むことを特徴とするシート状物の製造方法である。
1.極細繊維を含む繊維質基材を粘度10〜50mPa・sのポリビニルアルコール水溶液に投入してポリビニルアルコールを付与する工程、
2.上記1の工程の後に得られた繊維質基材に高分子弾性体を付与してシート状物を製造する工程、
3.得られたシート状物の少なくとも片方の面を起毛処理する工程。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記のポリビニルアルコールの重合度は400以上600以下である。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の工程2において、有機溶剤に溶解させた高分子弾性体を用いて高分子弾性体の付与を行うことである。
本発明のシート状物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の工程1の極細繊維を含む繊維質基材は、海島型繊維を含む繊維質基材シートの海成分を除去し、極細繊維を発現させて製造すること。
本発明によれば、シート状物、特にドレープ感に優れる適度な弾性と従来実現できなかった天然スエードのような柔らかな風合いを両立させた皮革様のシート状物を得ることができる。
本発明のシート状物は、平均単繊維直径が0.3〜7μmの極細繊維を含んでなる繊維質基材の内部に高分子弾性体を含有し、少なくとも片方の表面に立毛を有するシート状物である。
本発明で用いられる繊維質基材を構成する繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリ乳酸などのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド、ポリアクリル、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンおよび熱可塑性セルロースなどの溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂からなる繊維を用いることができる。中でも、強度、寸法安定性および耐光性の観点から、ポリエステル系繊維が好ましく用いられる。また、繊維質基材は、異なる他の素材の繊維が混合されて構成されることもできる。
本発明で用いられる繊維の横断面形状としては、丸断面でよいが、楕円、扁平、三角などの多角形、扇形および十字型などの異形断面の繊維を採用することができる。
本発明で用いられる極細繊維を含んでなる繊維質基材を構成する繊維の平均単繊維直径は、0.3〜7μmである。平均単繊維直径を7μm以下、より好ましくは6μm以下、更に好ましくは5μm以下とすることにより、優れた柔軟性や立毛品位のシート状物を得ることができる。一方、平均単繊維直径を0.3μm以上、より好ましくは0.7μm以上、更に好ましくは1μm以上とすることにより、染色後の発色性やサンドペーパーなどによる研削など立毛処理時の束状繊維の分散性に優れ、柔らかな風合いにも優れたシート状物を得ることができる。
また、繊維の平均単繊維直径が7μmより大きくなると優れた表面タッチが得られず、シート状物の風合いが硬化する。また、繊維の平均単繊維直径が0.3μmより小さくなると、繊維が弱く、立毛が少なくなり、良好な表面品位が得られない。
繊維質基材を構成する繊維の平均単繊維直径は、次のようにして求めることができる。すなわち、繊維の断面が円形または円形に近い楕円形の場合は、繊維質基材またはシート状物の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、繊維をランダムに100本選び、単繊維径を測定して平均単繊維直径を算出して平均単繊維直径とする。
本発明で用いられる極細繊維からなる繊維質基材の形態としては、織物、編物および不織布等を採用することができる。中でも、表面起毛処理した際のシート状物の表面品位が良好であることから不織布が好ましく用いられる。
不織布としては、短繊維不織布および長繊維不織布のいずれも用いられるが、風合いや品位の点では短繊維不織布が好ましく用いられる。
短繊維不織布における短繊維の繊維長は、25〜90mmであることが好ましい。繊維長を25mm以上とすることにより、絡合により耐摩耗性に優れたシート状物を得ることができる。また、繊維長を90mm以下とすることにより、より風合いや品位に優れたシート状物を得ることができる。繊維長は、より好ましくは35〜75mmである。
極細繊維からなる繊維質基材が不織布の場合、その不織布は極細繊維の束(極細繊維束)が絡合してなる構造を有するものであることが好ましい態様である。極細繊維が束の状態で絡合していることによって、シート状物の強度が向上する。このような態様の不織布は、極細繊維発現型繊維同士をあらかじめ絡合させて繊維質基材シートとした後に、極細繊維発現型繊維から極細繊維を発現させることによって得ることができる。
極細繊維あるいはその極細繊維束が不織布を構成する場合、その内部に強度を向上させる、および/または、加工時の寸法変化を抑える等の目的で、織物や編物を挿入させることができる。この場合、織物組織としては、平織、綾織および朱子織等が挙げられ、コスト面から平織が好ましく用いられる。また、編物組織としては、丸編、トリコットおよびラッセル等が挙げられる。このような織物や編物を構成する繊維の平均単繊維直径は、0.3〜10μm程度であることが好ましい。
本発明で用いられる高分子弾性体としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂およびシリコーン樹脂等が挙げられ、それらの樹脂を併用して用いることもできる。中でも、本発明においては、人工皮革等の皮革様の耐久性の発現の観点から、ポリウレタン樹脂が特に好ましく用いられる。ポリウレタン樹脂の中でも、有機溶剤に溶解させた溶液型ポリウレタン樹脂(DIC株式会社製“クリスボン”(登録商標)MP−812NB)がドレープ感に優れた弾性と柔らかな風合いを実現するために好ましく用いられる。また、水性型ポリウレタン樹脂(DIC株式会社製“ハイドラン”(登録商標)WLI−602)等を用いることができる。
本発明のシート状物は、シート状物に対する高分子弾性体の比率が、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以上55質量%以下である。高分子弾性体の比率を10質量%以上とすることにより、シート強度を得て、かつ繊維の脱落を防ぐことができる。また、高分子弾性体の比率を50質量%以下とすることにより、風合いが硬くなることを防ぎ、良好な風合いを得ることができる。
ポリウレタン樹脂としては、ポリマージオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。
ポリマージオールとしては、例えば、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリエーテル系、シリコーン系およびフッ素系のジオールを採用することができ、これらを組み合わせた共重合体を用いることもできる。
また、耐加水分解性の観点からは、ポリカーボネート系およびポリエーテル系のジオールが好ましく用いられる。また、耐光性と耐熱性の観点からは、ポリカーボネート系およびポリエステル系のジオールが好ましく用いられる。さらに、耐加水分解性と耐熱性と耐光性のバランスの観点からは、ポリカーボネート系とポリエステル系のジオールがより好ましく用いられ、特に好ましくはポリカーボネート系のジオールが好ましく用いられる。
ポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオールおよび1,10−デカンジオールなどの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられる。それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネート系ジオールでも良く、2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネート系ジオールのいずれも用いることができる。
ポリエステル系ジオールとしては、各種低分子量ポリオールと多塩基酸とを縮合させて得られるポリエステルジオールを挙げることができる。
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、およびシクロヘキサン−1,4−ジメタノールから選ばれる一種または二種以上を使用することができる。また、ビスフェノールAに各種アルキレンオキサイドを付加させた付加物も使用可能である。
また、多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびヘキサヒドロイソフタル酸から選ばれた一種または二種以上を挙げることができる。
ポリエーテル系ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびそれらを組み合わせた共重合ジオールを挙げることができる。
ポリマージオールの数平均分子量は、500〜4000であることが好ましい。数平均分子量を500以上、より好ましくは1500以上とすることにより、風合いが硬くなることを防ぐことができる。また、数平均分子量を4000以下、より好ましくは3000以下とすることにより、ポリウレタンとしての強度を維持することができる。
有機ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートや、ジフェニルメタンジイソシアネート、およびトリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネートが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いることもできる。中でも、耐光性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートが好ましく用いられる。
鎖伸長剤としては、エチレンジアミンおよびメチレンビスアニリン等のアミン系の鎖伸長剤、およびエチレングリコール等のジオール系の鎖伸長剤を用いることができる。また、ポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを鎖伸長剤として用いることもできる。
ポリウレタンには、耐水性、耐摩耗性および耐加水分解性等を向上する目的で架橋剤を併用することができる。架橋剤は、ポリウレタン樹脂に対し、第3成分として添加する外部架橋剤でもよく、また、ポリウレタン分子構造内に予め架橋構造となる反応点を導入する内部架橋剤も用いることができる。ポリウレタン分子構造内により均一に架橋点を形成することができ、柔軟性の減少を軽減できる観点から、内部架橋剤を用いることが好ましい。
架橋剤としては、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、エポキシ基、メラミン樹脂、およびシラノール基などを有する化合物を用いることができる。ただし、架橋が過剰に進むとポリウレタンが硬化してシート状物の風合いも硬くなる傾向にあるため、反応性と柔軟性とのバランスの点ではシラノール基を有する化合物が好ましく用いられる。
また、本発明で用いられるポリウレタン樹脂は、分子構造内に親水性基を含有させることができる。分子構造内に親水性基を有することにより、水分散型ポリウレタン樹脂を使用する際には、その分散性と安定性を向上させることができる。
上記の親水性基としては、例えば、4級アミン塩等のカチオン系、スルホン酸塩やカルボン酸塩等のアニオン系、ポリエチレングリコール等のノニオン系、およびカチオン系とノニオン系の組み合わせ、およびアニオン系とノニオン系の組み合わせのいずれの親水性基も採用することができる。中でも、光による黄変や中和剤による弊害の懸念のないノニオン系の親水性基が特に好ましく用いられる。
すなわち、アニオン系の親水性基の場合は中和剤が必要となるが、例えば、中和剤がアンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミンおよびジメチルエタノールアミン等の第3級アミンである場合は、製膜や乾燥時の熱によってアミンが発生して揮発し、このアミンが系外に放出される。そのため、大気放出や作業環境の悪化を抑制するために、揮発するアミンを回収する装置の導入が必須となる。また、アミンは加熱によって揮発せずに最終製品であるシート状物中に残留した場合、製品の焼却時等に環境へ排出されることも考えられる。これに対し、ノニオン系の親水性基の場合は、中和剤を使用しないためアミン回収装置を導入する必要はなく、アミンのシート状物中への残留の心配もない。
また、中和剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウム等のアルカリ金属、またはアルカリ土類金属の水酸化物等である場合、ポリウレタン部分が水に濡れるとアルカリ性を示すこととなるが、ノニオン系の親水性基の場合は中和剤を使用しないため、ポリウレタン樹脂の加水分解による劣化を心配する必要もない。
ポリウレタン樹脂には、各種の添加剤、例えば、カーボンブラックなどの顔料、リン系、ハロゲン系、シリコーン系および無機系などの難燃剤、フェノール系、イオウ系およびリン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系およびオキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、柔軟剤、撥水剤、凝固調整剤、染料、防腐剤、抗菌剤、消臭剤、セルロース粒子等の充填剤、およびシリカや酸化チタン等の無機粒子などを含有させることができる。
本発明のシート状物は、JIS L1913の方法で、初期荷重0.5kPaをかけたときのシート状物の厚みT0に対し、荷重30kPaをかけたときのシート状物の厚みT1、次いで初期荷重0.5kPaに戻したときのシート状物の厚みT2について下記式1によって得られる圧縮率Pが7%以上14%以下であり、さらに下記式2によって得られる圧縮弾性率Peが30%以上70%以下であることが、ドレープ感に優れた適度な弾性と従来実現できなかった天然スエードのような柔らかな風合いを発現するために重要である。
式1:圧縮率P(%)=100×(T0−T1)/T0
式2:圧縮弾性率Pe(%)=100×(T2−T1)/(T0−T1)。
初期荷重0.5kPaをかけたときのシート状物の厚みと、荷重30kPaをかけたときのシート状物の厚みT1の差(T0−T1)は、シート状物を指で押したときの動きを模倣しており、差が大きいほど指の沈み込みが大きく、風合いが柔らかに感じる。
荷重30kPaをかけたときのシート状物の厚みT1と、次いで初期荷重50.5kPaに戻したときのシート状物の厚みT2の差(T2−T1)は、シート状物を指で押した状態から離すときの動きを模倣しており、差が多きいほど厚みの戻りが大きく、指に弾性感を感じる。
本発明のシート状物は、圧縮率が7%よりも小さくなると、非常に硬いシート状物となり、柔らかな風合いのシート状物が得られない。また、圧縮率が14%より大きくなると、弾性がなくドレープ感の弱いシート状物となるだけでなく、力学物性が弱く実用に適さない。
また、圧縮弾性率が30%より小さくなると、シート状物を指で押したときの反発性が弱く、ドレープ感のないシート状物となってしまう。また、圧縮弾性率が70%より大きくなると、シート状物を指で押したときに風合いが非常に硬く感じられる。
ドレープ感に優れた適度な弾性と天然スエードのような柔らかな風合いを発現するためには、上記のような適正な圧縮率と圧縮弾性率を併せ持つシート状物とすることが重要である。
風合いと弾性の面から、上記の圧縮率は好ましくは7.5%以上14%以下であり、より好ましくは8%以上13%以下であり、また、上記の圧縮弾性率は好ましくは35%以上65%以下であり、より好ましくは40%以上60%以下である。
本発明では、シート状物の少なくとも一面を起毛処理して表面に立毛を形成させる。立毛を形成する方法は、サンドペーパー等によるバフィング等の各種方法を用いることができる。
次に、本発明のシート状物の製造方法について述べる。本発明のシート状物の製造方法は、次の1〜3の工程を含む製造方法である。
1.極細繊維を含む繊維質基材に5℃以上90℃以下の温度ポリビニルアルコールを付与する工程、
2.上記1の工程の後に得られた繊維質基材に高分子弾性体を付与してシート状物を製造する工程、および
3.得られたシート状物の少なくとも片方の面を起毛処理する工程。
本発明のシート状物の製造方法においては、極細繊維を含む繊維質基材に50℃以上75℃以下の温度でポリビニルアルコールを付与することが重要である。高分子弾性体により極細繊維は拘束され、自由度を失うため、高分子弾性体を付与する前にポリビニルアルコールを付与し、極細繊維の周りにポリビニルアルコールを配置し、極細繊維と高分子弾性体の直接接着を阻害することにより、シート状物内で極細繊維の自由度を確保することが好ましい態様である。
極細繊維を含む繊維質基材に付与されるポリビニルアルコール水溶液は、5℃以上90℃以下の温度に調整しておくことが重要である。
ポリビニルアルコール水溶液の温度が5℃より低くなると、水溶液の粘度が非常に高くなり均一に付与することができなくなり、極細繊維の自由度が低くなるため、シート状物の弾性が悪くなる。また、ポリビニルアルコール水溶液の温度が90℃より高くなると、水溶液の粘度が低くなりすぎ、ポリビニルアルコール水溶液を極細繊維を含む繊維質基材に付与した際に、繊維質基材内でポリビニルアルコールが移動してしまい、シート状物の風合いが硬くなる。ポリビニルアルコール水溶液の温度は、より好ましくは50℃以上75℃以下であり、該温度にすることで、ドレープ感に優れた適度な弾性と非常に柔らかな風合いをバランスよく両立することが可能である。
ポリビニルアルコール水溶液の温度のより好ましい調整方法として、以下の方法がある。
ポリビニルアルコールは90℃以上で良好に溶解するが、50℃以上75℃以下の温度に調整する際は、一度90℃以上の温度まで上昇させて溶解させ、その後に50℃以上75℃以下の温度に調整することにより、均一に溶解したポリビニルアルコール溶液を得ることができる。
調整した後のポリビニルアルコール溶液の温度は、繊維質基材に付与するまで、その温度をキープし、付与する時点での温度が50℃以上75℃以下となるようにすることが重要である。付与する方法として、50℃以上75℃以下に調整したポリビニルアルコール溶液を保温機能のある容器に入れ、一定温度に保ちつつ、容器内に繊維質基材を投入した後にニップロールで絞る方法や、一定温度に保ったポリビニルアルコール溶液を繊維質基材に塗る方法等があるが、極細繊維を含む繊維質基材に均一に付与することができることから、ポリビニルアルコール溶液に繊維質基材を投入した後にニップロールで絞る方法が好ましい。
また、付与するポリビニルアルコールは、重合度が400以上600以下であるであることが好ましい。重合度が400より小さくなると、水溶液の粘度が低くなりすぎ、ポリビニルアルコール水溶液を極細繊維を含む繊維質基材に付与した際に、繊維質基材内でポリビニルアルコールが移動してしまい、シート状物の風合いが硬くなる。重合度が600より大きいと、水溶液の粘度が非常に高くなり、ポリビニルアルコールが付与された繊維質基材の極細繊維の自由度が低くなり、ポリウレタンを付与した後にポリビニルアルコールを取り除いたシート状物の弾性が悪くなる。重合度が400以上600以下であるポリビニルアルコールとして、電気化学工業社製デンカポバールB−04、B−05、K−05や、日本合成化学工業社製ゴーセノールGL−05等が挙げられる。
また、付与するポリビニルアルコールは、粘度10〜50mPa・sのポリビニルアルコール水溶液とすることが好ましい。粘度が10mPa・sより低いとポリビニルアルコール水溶液を極細繊維を含む繊維質基材に付与した際に、繊維質基材内でポリビニルアルコールが移動してしまい、シート状物の風合いが硬くなる。粘度が50mPa・sより高いと、ポリビニルアルコールが付与された繊維質基材の極細繊維の自由度が低くなり、ポリウレタンを付与した後にポリビニルアルコールを取り除いたシート状物の弾性が悪くなる。
また、ポリビニルアルコール水溶液は、容器内で10〜50mPa・sの粘度に調整した後に、容器内に繊維質基材を投入して付与することが好ましい。この方法では繊維質基材内の極細繊維に均一にポリビニルアルコールを付与することができる。さらに好ましくは、15〜40mPa・sである。ポリビニルアルコール水溶液が入った容器内に繊維質基材を投入して付与した後に、ニップロールで絞ることでポリビニルアルコールの付与量を調整することができる。
繊維質基材の極細繊維を形成する手段は、極細繊維発現型繊維を用いることが好ましい。極細繊維発現型繊維を用いることにより、極細繊維束が絡合した形態を安定して得ることができる。
極細繊維発現型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分と島成分とし、海成分を、溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面に放射状または多層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。中でも、海島型繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち極細繊維間に適度な空隙を付与することができるので、シート状物の柔軟性や風合いの観点からも好ましく用いられる。
海島型繊維には、海島型複合用口金を用い、海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する海島型複合繊維や、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸繊維などが挙げられる。均一な繊度の極細繊維が得られる点、また十分な長さの極細繊維が得られシート状物の強度にも資する点からは、海島型複合繊維が好ましく用いられる。
海島型繊維の海成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステルおよびポリ乳酸などを用いることができる。中でも、環境配慮の観点から、有機溶剤を使用せずに分解可能なアルカリ分解性のナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステルやポリ乳酸が好ましく用いられる。
海島型繊維を用いた場合の脱海処理は、溶剤中に海島型繊維を浸漬し窄液する、または、繊維質基材に脱海に必要な溶剤を付与した後に加熱処理を行い、洗いによって海成分を除去する方法等で行うことができる。海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンの場合には、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用い、海成分が共重合ポリエステルやポリ乳酸の場合には水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いることができる。工程の環境配慮の観点からは、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液での脱海処理が好ましい。
極細繊維発現後、前述のようにしてポリビニルアルコール水溶液の付与を行う。ポリビニルアルコール水溶液を付与する方法は、極細繊維を含む基材や、脱海後のシートに均一に付与する方法が好ましい。ポリビニルアルコール水溶液を含浸した後にニップロールにて搾取する方法、スプレーにより付与する方法、ナイフコーターやグラビアロール等でコーティングする方法が挙げられる。
ポリビニルアルコールが付与された繊維質基材に高分子弾性体を付与した後にポリビニルアルコールの抽出除去を行う。除去を行うことで極細繊維とポリウレタン樹脂の間に空隙を作ることができ、極細繊維の自由度を確保することができる。
高分子弾性体の付与は、高分子弾性体を有機溶剤により適度な濃度に調整して行うことが好ましい。有機溶剤に溶解させた高分子弾性体、特に有機溶剤に溶解させたポリウレタンは水分散型のポリウレタンに比べて、シート状物の弾性が発現しやすいことから、有機溶剤に溶解したポリウレタンを同じ有機溶剤により適度な濃度に調整したのちに、ポリビニルアルコールを付与した繊維質基材に付与することが好ましい。
繊維質基材にポリウレタンの付与後、ポリウレタン付与シート状物をシート厚み方向に半裁する。これにより、生産効率を向上するとともに、シート状物に織物または編物を含む場合、シート厚み方向に半裁した後の半裁面について下記の起毛処理を行うことにより、緻密な外観品位を有するシート状物が得られる。
シート状物の表面に立毛を形成するために、起毛処理を行うことができる。起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて、研削する方法などにより施すことができる。また、起毛処理の前に滑剤としてシリコーン等を付与することは、表面研削による起毛が容易に可能となり、表面品位が非常に良好となる。
シート状物は、染色することがでる。染色方法としては、シート状物を染色すると同時に揉み効果を与えてシート状物を柔軟化することができることから、液流染色機を用いることが好ましい。
染色温度は、繊維の種類にもよるが、80〜150℃の範囲であることが好ましい。染色温度を80℃以上、より好ましくは110℃以上とすることにより、繊維への染着を効率良く行わせることができる。一方、染色温度を150℃以下、より好ましくは130℃以下とすることにより、ポリウレタンの劣化を防ぐことができる。
本発明で用いられる染料は、繊維質基材を構成する繊維の種類にあわせて選択することができる。例えば、ポリエステル系繊維であれば分散染料を用いることができ、ポリアミド系繊維であれば酸性染料や含金染料を用いることができ、更にそれらの組み合わせを用いることができる。分散染料で染色した場合は、染色後に還元洗浄を行ってもよい。
また、染色時に染色助剤を使用することも好ましい態様である。染色助剤を用いることにより、染色の均一性や再現性を向上させることができる。また、染色と同浴または染色後に、シリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤、耐光剤および抗菌剤等を用いた仕上げ剤処理を施すことができる。
本発明により得られるシート状物は、家具、椅子および壁材や、自動車、電車および航空機などの車輛室内における座席、天井および内装などの表皮材として非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケット、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴および婦人靴等の靴のアッパー、トリム等、鞄、ベルト、財布等、およびそれらの一部に使用した衣料用資材、ワイピングクロス、研磨布およびCDカーテン等の工業用資材として好適に用いることができる。
次に、本発明のシート状物とその製造方法について、実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[評価方法]
(1)平均単繊維直径:
平均単繊維直径は、繊維質基材またはシート状物の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、極細繊維をランダムに100本選び、単繊維直径を測定して平均値を計算することにより算出した。
繊維質基材またはシート状物を構成する極細繊維が異形断面の場合は、異形断面の外周円直径を単繊維直径として算出する。また、円形断面と異形断面が混合している場合、単繊維直径が大きく異なるものが混合している場合等は、それぞれの存在本数比率に応じたサンプリング数を計100本となるように選び算出する。ただし、極細繊維あるいはその極細繊維束からなる不織布の他に補強用の織物や編物が挿入されているような場合には、当該補強用の織物や編物の繊維は、極細繊維の平均単繊維直径の測定においてサンプリング対象からは除外する。
(2)シート状物の圧縮率と圧縮弾性率:
シート状物の圧縮率と圧縮弾性率は、シート状物から縦50mm、横50mmの試験片をランダムに5枚採取し、JIS L1913:2010年に記載の方法で、初期荷重0.5kPaのときの厚さT0と、荷重を30kPaとしたときの厚みT1を用いて圧縮率を、次式1によって求めた。次いで、荷重を初期荷重0.5kPaに戻したときの厚みT2を測定し、式2によって圧縮弾性率を求めた。
式1:圧縮率P(%)=100×(T0−T1)/T0
式2:圧縮弾性率Pe(%)=100×(T2−T1)/(T0−T1)。
(3)シート状物の弾性:
シート状物の弾性は、健康状態の良好な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、シート状物を手で握り離すことを3回繰り返し、手から感じた弾性を官能評価によって下記のように5段階評価し、最も多かった評価を弾性とした。弾性は、3級〜5級を適正な風合いとした。
5級:シート状物に心地よい弾性が感じられる。
4級:5級と3級の間の評価である。
3級:シート状物に弱い弾性を感じる。
2級:3級と1級の間の評価である。
1級:シート状物に弾性を感じない。
(4)シート状物の風合い:
シート状物の風合いは、健康状態の良好な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、シート状物を手で握り離すことを3回繰り返し、官能評価によってシート状物の柔軟性を下記のように5段階評価し、最も多かった評価を風合いとした。風合いは、3級〜5級を適正な風合いとした。
5級:シート状物は非常に柔らかい。
4級:5級と3級の間の評価である。
3級:シート状物は硬くはない。
2級:3級と1級の間の評価である。
1級:シート状物は硬すぎる。
(5)シート状物の外観品位:
シート状物の外観品位は、健康状態の良好な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、目視と官能評価によって下記のように5段階評価し、最も多かった評価を外観品位とした。外観品位は、3級〜5級を良好とした。
5級:均一な繊維の立毛があり、繊維の分散状態は良好で、外観は良好である。
4級:5級と3級の間の評価である。
3級:繊維の分散状態はやや良くない部分があるが、繊維の立毛はあり、外観はまずまず良好である。
2級:3級と1級の間の評価である。
1級:全体的に繊維の分散状態は非常に悪く、外観は不良である。
[実施例1]
(繊維質基材用の不織布)
海成分として、5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、島成分として、ポリエチレンテレフタレートを用い、海成分が45質量%、島成分が55質量%の複合比率で、島数36島/1フィラメント、平均単繊維直径17μmの海島型複合繊維を得た。得られた海島型複合繊維を繊維長51mmにカットしてステープルとし、カードおよびクロスラッパーを通して繊維ウェブを形成し、ニードルパンチ処理により、不織布とした。このようにして得られた不織布を、98℃の温度の湯中に2分間浸漬させて収縮させ、100℃の温度で5分間乾燥させ、繊維質基材用不織布(シート)とした。
(脱海処理)
繊維質基材用不織布を95℃の温度に加熱した濃度10g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分間処理を行い、海島型複合繊維の海成分を除去した極細繊維を含む脱海シート(繊維質基材)を得た。
(ポリビニルアルコールの付与)
脱海シート(繊維質基材)を重合度500、粘度50mPa・s、50℃の温度に調整した濃度12%ポリビニルアルコール水溶液に投入してポリビニルアルコールを含浸し、ニップロールで絞った後に、120℃の温度の乾燥機で乾燥を行った。
(高分子弾性体の付与)
ポリビニルアルコールを付与した脱海シート(繊維質基材)に、固形分濃度12質量%に調整したエーテル系ポリウレタン樹脂のDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)溶液を含浸し、DMF濃度30質量%の水溶液中でポリウレタン樹脂を凝固させた。その後、ポリビニルアルコールおよびDMFを熱水で除去し、120℃の温度で10分間熱風乾燥することにより、不織布のポリエステル成分質量に対するポリウレタン樹脂の質量が30質量%となるようにポリウレタン樹脂を付与したシート状物を得た。
(半裁、起毛、染色、還元洗浄)
上記の繊維質基材にポリウレタン樹脂を付与したシート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面と反対の表面を240メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いた研削によって起毛処理を施した後、サーキュラー染色機を用いて分散染料により染色し還元洗浄を行い、シート状物を得た。得られたシート状物の圧縮率は10.2%であり、圧縮弾性率は51%であった。また、得られたシート状物の弾性は5級で、風合いは5級であり、外観品位は5級と良好で、ドレープ感に非常に優れ、非常にやわらかい風合いであった。
[実施例2]
(繊維質基材用の不織布、脱海処理)
実施例1と同様にして、脱海シート(繊維質基材)を得た。
(ポリビニルアルコールの付与)
脱海シート(繊維質基材)に重合度300、粘度8mPa・s、90℃の温度に調整した濃度12%ポリビニルアルコール水溶液を実施例1と同様に含浸し、120℃の乾燥機にて乾燥を行った。
(高分子弾性体の付与、半裁、起毛、染色、還元洗浄)
続いて実施例1と同様に高分子弾性体の付与し、半裁し起毛し染色し還元洗浄を行い、シート状物を得た。得られたシート状物の圧縮率は7.1%であり、圧縮弾性率は70%であった。また、得られたシート状物の弾性は5級で、風合いは3級であり、外観品位は5級とドレープ感に非常に優れ、風合いも硬くない評価であった。
[実施例3]
(繊維質基材用の不織布、脱海処理)
実施例1と同様にして、脱海シート(繊維質基材)を得た。
(ポリビニルアルコールの付与)
脱海シート(繊維質基材)に重合度650、粘度60mPa・s、4℃の温度に調製した濃度12%ポリビニルアルコール水溶液を実施例1と同様に含浸し、120℃の乾燥機にて乾燥を行った。
(高分子弾性体の付与、半裁、起毛、染色、還元洗浄)
続いて実施例1と同様に高分子弾性体の付与、半裁し起毛し染色し還元洗浄を行い、シート状物を得た。得られたシート状物の圧縮率は14.0%であり、圧縮弾性率は30%であった。また、得られたシート状物の弾性は3級で、風合いは5級であり、外観品位は4級とドレープ感もあり、非常にやわらかい風合いであった。
[実施例4]
(繊維質基材用の不織布、脱海処理)
実施例1と同様にして、脱海シート(繊維質基材)を得た。
(ポリビニルアルコールの付与)
脱海シート(繊維質基材)に重合度500、粘度10mPa・s、75℃の温度に調整した濃度12%ポリビニルアルコール水溶液を含浸し、120℃の温度の乾燥機にて乾燥を行った。
(高分子弾性体の付与、半裁、起毛、染色、還元洗浄)
続いて実施例1と同様に高分子弾性体の付与、半裁し起毛し染色し還元洗浄を行い、シート状物を得た。得られたシート状物の圧縮率は8.4%であり、圧縮弾性率は62%であった。また、得られたシート状物の弾性は5級で、風合いは4級であり、外観品位は5級と良好であった。
[実施例5]
(繊維質基材用の不織布、脱海処理)
実施例1と同様にして、脱海シート(繊維質基材)を得た。
(ポリビニルアルコールの付与)
脱海シート(繊維質基材)に重合度650、粘度52mPa・s、20℃の温度に調整した濃度12%ポリビニルアルコール水溶液を実施例1と同様に含浸し、120℃の乾燥機にて乾燥を行った。
(高分子弾性体の付与、半裁、起毛、染色、還元洗浄)
続いて実施例1と同様に高分子弾性体の付与、半裁し起毛し染色し還元洗浄を行い、シート状物を得た。得られたシート状物の圧縮率は12.6%であり、圧縮弾性率は43%であった。また、得られたシート状物の弾性は3級で、風合いは5級であり、外観品位は5級とドレープ感に非常に優れ、やわらかい風合いであった。
[実施例6]
実施例1と同様にして繊維ウェブを形成し、100本/cmのニードルパンチを施し予備絡合不織布とした。得られた予備絡合不織布両面に平織ポリエステルスクリムを重ね、フェルト針で2500本/cmのニードルパンチを行い、繊維質基材用不織布としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂を付与したシート状物を得た。次に、ポリウレタン樹脂を付与したシート状物を厚さ方向に半裁し、半裁面の表面を240メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いた研削によって起毛処理した後、実施例1と同様にしてシート状物を得た。得られたシート状物の圧縮率は9.8%であり、圧縮弾性率は48%であった。また、得られたシート状物の弾性は4級で、風合いは4級であり、外観品位は5級と良好であった。ドレープ感に優れ、やわらかい風合いであった。
[実施例7]
実施例1と同様にして得られた海島型繊維の1フィラメント中の島成分が100島であったこと以外は、実施例1と同様の方法でシート状物を得た。得られたシート状物に含まれる極細繊維の単繊維直径は0.3μmであった。得られたシート状物の圧縮率は11.%であり、圧縮弾性率は45%であった。また、得られたシート状物の弾性は3級で、風合いは5級であり、外観品位は5級と、ドレープ感もあり、非常にやわらかい風合いであった。
[実施例8]
実施例1と同様にして得られた海島型繊維の1フィラメント中の島成分が8島であったこと以外は、実施例1と同じ方法でシート状物を得た。得られたシート状物に含まれる極細繊維の単繊維直径は7.0μmであった。得られたシート状物の圧縮率は9.5.%であり、圧縮弾性率は60%であった。また、得られたシート状物の弾性は5級で、風合いは4級であり、外観品位は4級と、ドレープ感に優れ、やわらかい風合いであった。
[比較例1]
(繊維質基材用の不織布、脱海処理)
実施例1と同様にして、脱海シート(繊維質基材)を得た。
(ポリビニルアルコールの付与)
脱海シート(繊維質基材)に重合度700、粘度70mPa・s、3℃の温度に調整した濃度12%のポリビニルアルコール水溶液を実施例1と同様に含浸し、120℃の温度の乾燥機によって乾燥を行った。続いて、実施例1と同様にして高分子弾性体の付与と、半裁・起毛・染色・還元洗浄を行い、シート状物を得た。得られたシート状物の圧縮率は16%であり、圧縮弾性率は23%であった。また、得られたシート状物の弾性は1級で、風合いは5級であり、外観品位は4級と柔らかすぎるシート状物となり、弾性もなく良好な結果が得られなかった。
[比較例2]
(繊維質基材用の不織布、脱海処理)
実施例1と同様にして、脱海シート(繊維質基材)を得た。
(ポリビニルアルコールと高分子弾性体の付与、半裁、起毛、染色、還元洗浄)
脱海シート(繊維質基材)に重合度350、粘度7mPa・s、92℃の温度に調整した濃度12%のポリビニルアルコール水溶液を実施例1と同様に含浸し、120℃の温度の乾燥機によって乾燥を行った。続いて、実施例1と同様にして高分子弾性体の付与し、半裁し起毛し染色し還元洗浄を行い、シート状物を得た。得られたシート状物の圧縮率は6.8%であり、圧縮弾性率は75%であった。また、得られたシート状物の弾性は5級で、風合いは1級であり、外観品位は3級と非常に硬いシート状物となり、良好な結果が得られなかった。
上記の各実施例と比較例で得られたシート状物の評価結果を、まとめて表1に示す。
Figure 0006645432

Claims (8)

  1. 平均単繊維直径が0.3〜7μmの極細繊維を含んでなる繊維質基材の内部に高分子弾性体を含有し、少なくとも片方の表面に立毛を有するシート状物であって、該シート状物のJIS L1913の方法で、初期荷重0.5kPaをかけたときのシート状物の厚みT0に対し、荷重30kPaをかけたときのシート状物の厚みT1と、次いで初期荷重0.5kPaに戻したときのシート状物の厚みT2について、下記式1によって得られる圧縮率Pが7%以上14%以下であり、さらに下記式2によって得られる圧縮弾性率Peが30%以上70%以下であり、前記高分子弾性体は、有機溶剤に溶解させた溶液型ポリウレタン樹脂を用いて得られたものであることを特徴とするシート状物。
    式1:圧縮率P(%)=100×(T0−T1)/T0
    式2:圧縮弾性率Pe(%)=100×(T2−T1)/(T0−T1)
  2. シート状物が織編物を含むことを特徴とする請求項1記載のシート状物。
  3. 次の1〜3の工程を含み、下記工程2の高分子弾性体として、有機溶剤に溶解させた溶液型ポリウレタン樹脂を用いることを特徴とするシート状物の製造方法。
    1.極細繊維を含む繊維質基材に5℃以上90℃以下の温度でポリビニルアルコールを付与する工程、
    2.上記1の工程の後に得られた繊維質基材に高分子弾性体を付与してシート状物を製造する工程、
    3.得られたシート状物の少なくとも片方の面を起毛処理する工程。
  4. 95℃以上の温度でポリビニルアルコールを溶解させた後に、50℃以上75℃以下の温度に調整したポリビニルアルコールを付与する工程を含む請求項3記載のシート状物の製造方法。
  5. 前記ポリビニルアルコールの重合度が400以上600以下である、請求項3または4記載のシート状物の製造方法。
  6. 次の1〜3の工程を含み、下記工程2の高分子弾性体として、有機溶剤に溶解させた溶液型ポリウレタン樹脂を用いることを特徴とするシート状物の製造方法。
    1.極細繊維を含む繊維質基材を粘度10〜50mPa・sのポリビニルアルコール水溶液に投入してポリビニルアルコールを付与する工程、
    2.上記1の工程の後に得られた繊維質基材に高分子弾性体を付与してシート状物を製造する工程、
    3.得られたシート状物の少なくとも片方の面を起毛処理する工程。
  7. 前記ポリビニルアルコールの重合度が400以上600以下である請求項記載のシート状物の製造方法。
  8. 前記工程1の極細繊維を含む繊維質基材は、海島型繊維を含む繊維質基材シートの海成分を除去し、極細繊維を発現させて製造することを特徴とする請求項3または記載のシート状物の製造方法。
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