JP2014079882A - サーマルプリンタ - Google Patents

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Abstract

【課題】高速な印刷と良好な階調性との両立が可能なサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】エネルギーが印加されることにより多階調を有するデータを印刷する発熱体と、発熱体にエネルギーを印加するICと、を具備し、ICは、階調度が中間濃度領域内である場合、階調度が高くなるごとに一定のエネルギーEを加算して発熱体に印加し、階調度が中間濃度領域より高い飽和濃度領域において、エネルギーEより大きいエネルギーEを印加する。
【選択図】図3

Description

本発明はサーマルプリンタに関する。
濃度階調(以下、単に階調)を有するデータを印刷が可能なサーマルプリンタが利用されている。例えば特許文献1には、16階調のデータの印刷が可能なサーマルプリンタが開示されている。特許文献2には、階調データの転送の回数を少なくし、印字速度を高めたサーマルプリンタが開示されている。
特開昭62−70064号公報 特開平4−220358号公報
しかし従来の技術では、印字速度の向上と良好な階調性とを両立させることが困難であった。本発明は、上記課題に鑑み、高速な印刷と良好な階調性との両立が可能なサーマルプリンタを提供することを目的とする。
本発明は、多階調を有するデータを印刷するサーマルプリンタにおいて、印加されたエネルギーに応じて発熱する発熱体と、前記発熱体にエネルギーを印加するエネルギー印加部と、を具備し、前記エネルギー印加部は、前記データの階調度が第1領域内である場合、前記第1領域内において前記階調度が高くなるごとに前記エネルギーに一定のエネルギーである第1エネルギーを加算して印加し、前記階調度が前記第1領域より高い領域である第2領域において、前記第1エネルギーより大きいエネルギーを印加するサーマルプリンタである。
上記構成において、前記データが有する階調の数は2(nは1以上の整数)であり、前記第1エネルギーをEとすると、前記階調度が第1領域内である場合、前記エネルギー印加部は、前記階調度に応じてE、2×E・・・2n−1×Eを前記発熱体に印加する構成とすることができる。
上記構成において、前記第2領域は1つの階調度に対応する領域である構成とすることができる。
上記構成において、前記第2領域は複数の階調度に対応する領域であり、前記エネルギー印加部は、前記第2領域において、階調度が高くなるごとに一定のエネルギーを加算することにより、前記第2エネルギーを前記発熱体に印加する構成とすることができる。
上記構成において、前記エネルギー印加部は、前記データの階調度が前記第1領域よりも低い第3領域内である場合、階調度が高くなるごとに一定のエネルギーを加算して前記発熱体に印加する構成とすることができる。
上記構成において、前記エネルギー印加部は、複数の前記発熱体のうち第1グループへの前記エネルギーの印加が終了した後、前記複数の発熱体のうち第2グループにエネルギーを印加する構成とすることができる。
上記構成において、最大諧調のデータを印刷する際に前記発熱体に印加される第3エネルギーを、印刷の行われる条件に応じて設定するエネルギー設定部を具備し、前記エネルギー設定部は、前記第1エネルギー及び前記第2エネルギーを、前記第3エネルギーに対する比率として設定するエネルギー設定部を具備する構成とすることができる。
本発明によれば、高速な印刷と良好な階調性との両立が可能なサーマルプリンタを提供することができる。
図1(a)はサーマルプリンタを例示するブロック図である。図1(b)はMCUの機能ブロック図である。図1(c)はシフトレジスタの構成を概念的に例示する図である。 図2(a)は比較例1におけるエネルギーと発色濃度との関係を例示するグラフである。図2(b)は比較例2におけるエネルギーと発色濃度との関係を例示するグラフである。 図3は実施例1におけるエネルギーと発色濃度との関係を例示するグラフである。 図4はデータを例示する概念図である。 図5はデータ転送及びエネルギー印加を例示するタイムチャートである。 図6はデータ転送及びエネルギー印加の別の例を示すタイムチャートである。 図7(a)から図7(d)はシフトレジスタを概念的に例示する図である。 図8はサーマルプリンタの制御を例示するフローチャートである。 図9はサーマルプリンタの制御を例示するフローチャートである。 図10はサーマルプリンタの制御を例示するフローチャートである。 図11はサーマルプリンタの制御を例示するフローチャートである。 図12はサーマルプリンタの制御を例示するフローチャートである。 図13はサーマルプリンタの制御を例示するフローチャートである。 図14はサーマルプリンタの制御を例示するフローチャートである。 図15は各階調度におけるエネルギーを例示するグラフである。 図16(a)及び図16(b)は温度変化によるエネルギーの変化を例示するグラフである。 図17(a)は256階調における階調度とエネルギーとの関係を例示するグラフである。図17(b)は256階調を複数の領域に分割した例における階調度とエネルギーとの関係を示す図である。
まずサーマルプリンタの構成について説明する。図1(a)はサーマルプリンタ100を例示するブロック図である。図1(b)はMCU10の機能ブロック図である。
図1(a)に示すように、サーマルプリンタ100は、MCU(Micro Control Unit)10、サーミスタ11、RAM(Read Only Memory)12、シフトレジスタ14、ラッチレジスタ16、分圧回路17、電源18、IC1〜IC576(エネルギー印加部)、及び発熱体R1〜R576を備える。サーマルプリンタ100は例えば単色印刷に対応したプリンタであり、多階調を有するデータを印刷することができる。発熱体R1〜R576は144個ごとにグループ分けされている。1グループが1ライン分の印刷を行う。シフトレジスタ14はラッチレジスタ16と接続され、ラッチレジスタ16はIC1〜IC576(以下、IC)の一方の入力端子に接続されている。発熱体R1〜R576のそれぞれは、各ICの出力端子及び電源18と接続されている。
図1(b)に示すように、MCU10は、エネルギー設定部20、及び印加制御部22として機能する。エネルギー設定部20は、階調に応じて発熱体R1〜R576に印加するエネルギーを設定し、エネルギーに基づいてデータDを生成する。RAM12はデータDを記憶する。印加制御部22は、RAM12からデータDを読み込み、データD及びクロック信号CLKをシフトレジスタ14に送信する。図1(a)に示すサーミスタ11は温度を測定する。分圧回路17は電源18から発熱体に印加される電圧を測定する。後述するように、エネルギー設定部20は、サーミスタ11から取得した温度及び分圧回路17から取得した電圧に基づいてエネルギーを設定することができる。
図1(c)はシフトレジスタ14の構成を概念的に例示する図である。シフトレジスタ14は、4つの領域14a〜14dを有する。領域14aには、データDのうち発熱体R1〜R144に対応したデータが格納される。同様に領域14bは発熱体R145〜R288、領域14cは発熱体R289〜R432、領域14dは発熱体R433〜R576に対応する。シフトレジスタ14はデータDに基づいて信号を出力する。各領域の出力信号はラッチレジスタ16に入力される。印加制御部22は、ラッチ信号LATをラッチレジスタ16に送信する。ラッチ信号LATを受信したラッチレジスタ16は、シフトレジスタ14の出力信号をラッチする。ラッチされた信号は、IC1〜IC576それぞれの入力端子の一方に入力される。例えば領域14aの出力信号がラッチされ、IC1〜IC144に入力される。
印加制御部22は、各ICの入力端子の他方にストローブ信号STB1〜STB4を送信する。例えばIC1はラッチレジスタ16からの信号、及びストローブ信号STB1が入力されることでオンになる。発熱体R1〜R576は電源18と接続されている。IC1の出力端子は発熱体R1に接続されている。IC1がオンになることで発熱体R1に通電が行われ、発熱体R1は発熱する。このようにICは発熱体R1〜R576にエネルギーを印加する。発熱体R1〜R576が発熱することで、例えば感熱紙に印刷が可能である。通電時間が長いほどエネルギーは大きくなる。通電時間は、ストローブ信号STB1〜4が入力される時間により制御される。印加制御部22は、ストローブ信号STB1〜STB4のパルス幅により、エネルギーを調整することができる。次に、発熱体R1〜R576に印加されるエネルギーについて説明する。
図2(a)は比較例1におけるエネルギーと発色濃度(階調度)との関係を例示するグラフである。横軸はエネルギーを表し、縦軸は発色濃度を表す。発色濃度は16階調(=2階調、0〜15階調度)である。点線は階調度、及び階調度に対応したエネルギーを表す。エネルギーが発熱体R1〜R576に印加されることにより、階調を有する印刷が実現される。しかし、階調度ごとに印加されるエネルギーが異なる。例えば階調度0〜1に対応するエネルギーE、階調度1〜2に対応するエネルギーE、及び階調度14〜15に対応するエネルギーEは、互いに異なる。従って、階調度ごとにデータDを転送することが要求される。図2(a)の例では転送回数が16回となる。この結果、印字速度が低下する。例えば転送速度が3MHzの場合、1ラインに対応するデータの転送時間は192μsである。解像度200dpi(8dot/mm)及び転送回数が16回ならば、印字速度は40mm/sとなる。階調の数がより多くなれば(2階調のnがより大きくなれば)、印字速度はさらに大きく低下する。
図2(b)は比較例2におけるエネルギーと発色濃度との関係を例示するグラフである。図2(b)に示すように、発色濃度は、非発色領域、中間濃度領域(第1領域)、及び飽和濃度領域に分けることができる。非発色領域は中間濃度領域より低階調の領域であり、例えば階調度0に対応する。飽和濃度領域は中間濃度領域より高階調の領域である。例えば階調度1〜15は中間濃度領域に位置する。
非発色領域におけるエネルギーはEである。中間濃度領域において、エネルギーと発色濃度との関係は線形に近い。従って、エネルギー設定部20は、中間濃度領域の一階調ごとのエネルギーを同一の値Eとする。この結果、中間濃度領域におけるエネルギーは、一階調に対応するエネルギーEの階調度倍となる。ICは、非発色領域におけるエネルギーE、及び中間濃度領域におけるエネルギー(Eの階調度倍)を印加すればよい。例えば15階調度を実現するために、ICはエネルギー8E、4E、2E、E及びE(合計15E+E)を印加する。これによりエネルギーの印加の回数を5回とすることができ、比較例1と比べデータDの転送回数を少なくすることができる。この結果、印字速度が向上する。しかしエネルギーE+15Eが印加されても発色濃度は飽和領域にまで到達しない。従って発色濃度が低下し、良好な階調性を得ることが難しい。
次に、図面を用いて、本発明の実施例について説明する。
実施例1は飽和濃度領域におけるエネルギーを印加する例である。サーマルプリンタ100の構成は図1(a)及び図1(b)に示したため、説明を省略する。図3は実施例1におけるエネルギーと発色濃度との関係を例示するグラフである。
図3に示すように、階調度0は非発色領域に位置する。階調度1〜14は中間濃度領域(第1領域)に位置する。階調度15は飽和濃度領域に位置する。図2(b)の例と同様に、中間濃度領域におけるエネルギーと発色濃度との関係はほぼ線形である。非発色領域(第3領域)における総印加エネルギーはEである。飽和濃度領域(第2領域)における総印加エネルギーはE(第2エネルギー)である。エネルギーE及びEはエネルギーE(第1エネルギー)より大きい。なおエネルギーE(第3エネルギー)は階調度0〜15にわたる全エネルギーであり、最大階調のデータを印刷するために印加するエネルギーである。
表1は発熱体に印加されるエネルギーを例示する表である。
Figure 2014079882
エネルギー設定部20は、階調度に応じたエネルギーを図3及び表1のように設定する。印加制御部22は、表1のうち発熱体の階調度に応じたデータDをシフトレジスタ14に転送する。シフトレジスタ14は、データDが表中の“0”なら信号を出力せず、“1”ならば信号を出力する。ICは、階調度に応じて、表1に示すように6回の印加を行う。例えば、階調度0の発熱体にはエネルギーが印加されない。階調度1の発熱体には、エネルギーE(4回目)及びE(5回目)が印加される。階調度2の発熱体には、エネルギー2E(3回目)及びE(5回目)が印加される。つまりICは、階調度が1〜14において、階調度が1つ高くなるごとにEを加算して印加する。
階調度14の場合、ICはエネルギー8E、4E、2E、及びEを印加する(1〜3、4回目)。階調度15の場合、ICはエネルギー8E、4E、2E、E、E、及びEを印加する(1〜6回目)。つまりICは、階調度1〜14において階調度×E+Eのエネルギーを印加し、階調度15ではエネルギーE(=15×E+E+E)を印加する。これにより、図3に示すように階調度15における発色濃度は飽和領域に到達する。この結果、実施例1によれば比較例2と比べて、良好な階調性を得ることができる。エネルギー印加の回数及びデータDの転送回数は6回である。従って、例えば比較例1のようにデータの転送を16回行う例よりも、印字速度が速くなる。
次にデータ転送及びエネルギーの印加のタイミングについて説明する。図4はデータDを示す概念図である。データDはデータD1〜6を含む。データD1はエネルギー8Eを印加するためのデータである。データD2はエネルギー4E、データD3はエネルギー2E、データD4はエネルギーE、データD5はエネルギーE、及びデータD6はエネルギーE、を印加するためのデータである。
データD1はデータD1−1〜D1−4を含み、データD2はデータD2−1〜D2−4を含む。データD3はデータD3−1〜D3−4、データD4はデータD4−1〜D4−4、データD5はデータD5−1〜D5−4、データD6はデータD6−1〜D6−4を含む。データD1−1〜D6−1は、IC1〜IC144及び発熱体R1〜R144に対応し、データD1−2〜D6−2はIC145〜IC288及び発熱体R145〜R288に対応する。データD1−3〜D6−3は、IC145〜IC432及び発熱体R145〜R432に対応し、データD1−4〜D6−4はIC433〜IC576及び発熱体R433〜R576に対応する。データD1〜D6はそれぞれ576bitのデータであり、データD1−1〜D6−4はそれぞれ144bitのデータである。
図5はデータ転送及びエネルギー印加を例示するタイムチャートである。上から順に、ストローブ信号STB1〜4、ラッチ信号LAT、クロック信号CLK、及びデータDを表す。
図5に示すように、まず印加制御部22はクロック信号CLKと共にデータD1をシフトレジスタ14に転送する。データDは図4の矢印A1で示す順番で転送される。図1(c)に示したシフトレジスタ14の領域14a〜14dには、データD1−1〜D1−4が格納される。データD1転送終了後、印加制御部22はラッチ信号LATをラッチレジスタ16に送信する。ラッチレジスタ16はデータD1に基づく出力信号をラッチする。印加制御部22は、ストローブ信号STB1をIC1〜IC144に送信する。これによりIC1〜IC144がオンになり、発熱体R1〜R144が発熱する。ストローブ信号STB1の送信終了後、印加制御部22はストローブ信号STB2をIC145〜IC288に送信する。同様に、印加制御部22はストローブ信号STB3をIC289〜IC432に送信し、ストローブ信号STB4をIC433〜IC576に送信する。ストローブ信号STB1〜4のパルス幅は、エネルギー8Eに対応した大きさである。これにより、発熱体R1〜R576にエネルギー8Eが印加される。エネルギー8Eの印加の間、印加制御部22は、クロック信号CLK及びデータD2をシフトレジスタ14に転送する。シフトレジスタ14のデータがデータD2に入れ替わる。
ストローブ信号STB4の送信終了後、印加制御部22は、4Eに対応したパルス幅を有するストローブ信号STB1を送信する(二度目のSTB1)。これによりIC1〜IC144が再びオンになる。以下同様に、印加制御部22はストローブ信号STB2〜4を送信する。データD2に基づき、エネルギー4Eが印加される。二度目のストローブ信号STB1〜4のパルス幅は、一度目のストローブ信号STB1〜4のパルス幅の半分である。上記のシークエンスの間、印加制御部22は、クロック信号CLK及びデータD3をシフトレジスタ14に転送する。以下、同様にしてエネルギー2E、E、E、及びEを印加する。
ストローブ信号STB1〜4が順次入力されるため、IC1〜IC576は順次オンになる。従って、発熱体が発熱するタイミングがずれる。一度に発熱する発熱体は144個である。従って、例えば全ての発熱体R1〜R576が同時に発熱する場合より、消費電力が低減される。
しかし、図5の例では濃度が変動する恐れがある。例えば一度目のストローブ信号STB1から、二度目のストローブ信号STB1までの間、発熱体R1〜R144が発熱しない冷却時間T1がある。冷却時間T1後、発熱体R1〜R144の温度が十分に上昇しない状態で印刷が行われる。このため、濃度が変動する恐れがある。また冷却時間にはバラつきがある。例えば図5に示す冷却時間T1は冷却時間T2より長い。従って発熱体R1〜R144の温度が変化し、濃度の変動がより大きくなる。他の発熱体R145〜R576も同様である。
濃度の変動を抑制する例について説明する。図6はデータ転送及びエネルギー印加の別の例を示すタイムチャートである。図7(a)から図7(d)はシフトレジスタ14を概念的に例示する図である。
図6に示すように、印加制御部22はクロック信号CLKと共にデータD1−1〜D4−1をシフトレジスタ14に転送する。つまり図4のデータDは矢印A2で示す順番で転送される。図7(a)に示すように、シフトレジスタ14の領域14a〜14dには、データD1−1〜D4−1が格納される。印加制御部22はラッチ信号LATをラッチレジスタ16に送信する。ラッチレジスタ16はデータD1−1〜D4−1に基づく信号をラッチする。印加制御部22は、エネルギー8Eに対応するストローブ信号STB1をIC1〜IC144に送信する。これにより、データD1−1に基づきエネルギー8Eが発熱体R1〜R144に印加される。データD2−1〜D4−1に基づく信号はIC145〜IC576に入力されるが、ストローブ信号STB2〜4が入力されていないため、IC145〜IC576はオフである。従って発熱体R145〜R576は発熱しない。
図6に示すように、ラッチ信号LATの送信と共に、印加制御部22はラッチ信号LAT及びデータD5−1を転送する。これにより、シフトレジスタ14内におけるデータの配置がシフトする。つまり図7(b)に示すように、領域14a〜14dにデータD2−1〜D5−1が格納される。印加制御部22は、ラッチ信号LATをラッチレジスタ16に送信し、エネルギー4Eに対応するストローブ信号STB1をIC1〜IC144に送信する。IC1〜IC144は、データD2−1に基づき発熱体R1〜R144にエネルギー4Eを印加する。以下、同様にしてIC1〜IC144は発熱体R1〜R144にエネルギー2E、E、E、及びEを印加する。
図7(c)に示すように、発熱体R1〜R144へのエネルギーEの印加の際、領域14a〜14dにはデータD6−1、D1−2〜D3−2が格納されている。ラッチレジスタ16はデータD6−1、D1−2〜D3−2に基づく出力信号をラッチしている。エネルギーEの印加終了後、印加制御部22はエネルギー8Eに対応するストローブ信号STB2をIC145〜IC288に送信する。IC145〜IC288は、データD1−2に基づいて発熱体R145〜R288にエネルギー8Eを印加する。
図6に示すように、発熱体R145〜R288にエネルギー8Eが印加されている間、印加制御部22はデータD4−2を転送する。図7(d)に示すように、領域14a〜14dにデータD1−2〜D4−2が格納される。ストローブ信号STB2が入力されることで、データD2−2に基づいて発熱体R145〜R288にエネルギー4Eが印加される。以下、発熱体R145〜R576にエネルギーを印加する。
図6の例によれば、発熱体R1〜R144(第1グループ)へのエネルギーの印加が終了した後、発熱体R145〜R288(第2グループ)への印加を行う。ICに入力されるストローブ信号間の間隔は一定にすることができる。従って発熱体R1〜R144の冷却時間も一定となる。このため、濃度の変動を抑制することができる。また、例えばデータの転送時間が通電時間より短ければ、ストローブ信号STB1〜4を1つのまとまったパルス信号としてもよい。このとき冷却時間は0である。この結果、濃度の変動は抑制される。
エネルギーの印加の順番は変更可能である。例えば一回目に印加するエネルギーをEとしてもよい。エネルギーEの印加においては各発熱体が発熱する。このため、E以降のエネルギーの印加において発熱体の温度が上昇しやすくなる。この結果、印刷がより円滑に進行する。
図8から図14はサーマルプリンタ100の制御を例示するフローチャートである。ここでは図7の例における制御を述べる。
図8に示すように、印加制御部22は発熱体R1〜R576から第1グループ(発熱体R1〜R144)を、発熱対象として選択する(ステップS10)。印加制御部22は、データの転送回数を1回、対象発熱体を1番目の発熱体R1とする(ステップS11及びS12)。ステップS12の後、制御は図9のステップS13に移る(図8及び図9の“A”参照)。
図9に示すように、印加制御部22は転送が1回目であるか判定する(ステップS13)。Yesの場合、印加制御部22は階調度が8以上であるか判定する(ステップS14)。ステップS14においてNoの場合、印加制御部22はデータDとして0を定め、ラッチレジスタ16にデータDを転送する(ステップS15)。Yesの場合、印加制御部22はデータDとして1を定め、ラッチレジスタ16にデータDを転送する(ステップS16)。このデータDは表1に示したものである。
ステップS16の後、印加制御部22は対象発熱体をR1からR2に更新する(ステップS17)。印加制御部22は、第1グループ内の全発熱体に対応するデータが転送されたか判定する(ステップS18)。Noの場合、制御はステップS14に戻る。Yesとなるのは、発熱体R144に対応するデータが転送された場合である。この場合、エネルギー設定部20はエネルギーEを設定する(ステップS19)。エネルギー設定部20は、1回目に印加するエネルギーとして8Eを定める(ステップS20)。印加制御部22は、前回の通電が終了したか判定する(ステップS21)。Noの場合、ステップS21を繰り返す。Yesの場合、印加制御部22は、ラッチ信号LAT及びストローブ信号STB1を送信する(ステップS22及びS23)。これにより発熱体R1〜R144のうち階調度8以上の印刷を行うものに通電が行われる。印加制御部22は転送回数を更新する(ステップS24)。なお、ステップS22において開始した通電の行われる時間は、例えば不図示のタイマなどにより計測される。通電開始後、エネルギーに対応した時間が経過すると、通電は自動的に停止される。つまり、通電の開始は本フローチャートの処理で行うが、通電の終了は本処理と並列する別のタスクで行われる。
ステップS24の後、制御は図8のステップS12に戻る(図8及び図9の“B”参照)。印加制御部22はステップS12及びS13を行う。ステップS13においてNoとなる。制御は図10のステップS25に進む(図9及び図10の“C”参照)。
図10に示すように、印加制御部22は転送が2回目であるか判定する(ステップS25)。Yesの場合、印加制御部22は、階調度が4〜7及び12〜15であるか判定する(ステップS26)。印加制御部22は、ステップS26においてNoの場合データDとして0、Yesの場合データDとして1を転送する(ステップS27及びS28)。ステップS29及びS30は、図9のステップS17及びS18に対応する。ステップS30の後、エネルギー設定部20はエネルギーとして4Eを定める(ステップS31)。ステップS31の後、図9のステップS21〜S24が行われる(図9及び図10の“D”参照)。これにより、発熱体R1〜R144のうち階調度が4〜7及び12〜15の印刷を行うものに通電が行われる。
同様に、図11〜図14の制御を行い、エネルギー2E、E、E、及びEを印加する。図14のステップS53においてNoの場合、印加制御部22は発熱体のグループの更新を行う(ステップS60)。つまり、印加制御部22は、発熱対象を、第1グループ(発熱体R1〜R144)から第2グループ(発熱体R145〜R288)とする。印加制御部22は全グループ(発熱体R1〜R576)の通電が終了したか判定する(ステップS61)。Noの場合、制御は図8のステップS12に戻る(図8及び図14の“I”参照)。図8〜図14の制御により、第2〜4グループへの印加が行われる。Yesの場合、制御は終了する。
エネルギー設定部20は、条件に応じてエネルギーを補正することができる。条件とは、用紙、サーマルプリンタ100が使用される条件の温度、電源電圧、印字速度などである。
エネルギー設定部20は、サーミスタ11から温度Tを取得し、温度TにおけるエネルギーEを次の式により算出する。
Figure 2014079882
エネルギー設定部20は、分圧回路17から電圧Vを取得し、電圧補正係数Kを次の式により算出する。
Figure 2014079882
エネルギー設定部20は、印加制御部22から印字周期tを取得し、印字周期補正係数Kを次の式により算出する。印字周期tとは発熱体が印字を開始してから、次の印字を開始するまでの期間である。
Figure 2014079882
エネルギー設定部20は、エネルギーEを次の式により算出する。
Figure 2014079882
このようにエネルギー設定部20がエネルギーEを条件(温度、電圧、印字速度)に応じて定める。このため、より良好な階調性を得ることができる。
次の3つの式のように、エネルギー設定部20は、エネルギーE、E、及びEを、エネルギーEに対する比率として算出する。
Figure 2014079882
Figure 2014079882
Figure 2014079882
エネルギー設定部20は、エネルギーEとして上記の数4から算出した値を用いることにより、温度、電圧及び印字速度に応じて補正したエネルギーE、E、及びEを算出することができる。このため良好な階調性を得ることができる。
図15は各階調度におけるエネルギーを例示するグラフである。数5〜数7によりエネルギーを算出することにより、図15のようなエネルギーが設定される。例えば階調度が1の場合、E(=0.24E)とE(=0.03E)との和である0.27Eが印加される。階調度が14の場合エネルギー0.66E(=0.24E+14×0.03E)が印加される。階調度が15の場合、0.69E(=0.24E+15×0.03E)にE(=0.31E)を加えたエネルギーEが印加される。係数(数5における0.03など)は例であり、変更可能である。
図16(a)及び図16(b)は温度変化によるエネルギーの変化を例示するグラフである。図16(a)の複数の曲線のうち、右側の曲線は低温下におけるエネルギーを表し、左側の曲線は高温化におけるエネルギーを表す。図16(b)の白抜きのグラフは低温下におけるエネルギー、斜線を付したグラフは高温下におけるエネルギーを表す。
図16(a)及び図16(b)に示すように、高温下においては低温下と比較して、小さいエネルギーで発色濃度は濃くなる。このため、高温下又は低温下において、エネルギー設定部20が、例えば図3の関係に基づきエネルギーを定めた場合、良好な階調性が得られないことがある。従って、エネルギー設定部20は、エネルギーEだけでなく、エネルギーE、E、及びEも温度に応じて補正することが好ましい。
エネルギー設定部20は、次の3つの式により温度補正係数k、k及びkを算出する。
Figure 2014079882
Figure 2014079882
Figure 2014079882
エネルギー設定部20は、温度補正係数を用いて、次の3つの式によりエネルギーE、E、及びEを算出する。
Figure 2014079882
Figure 2014079882
Figure 2014079882
これにより良好な階調を得ることができる。なお上記の補正は例であり、他の補正を行ってもよい。
実施例1は、2階調に適用することができる(nは1以上の整数)。IC1〜IC576は、中間濃度領域において階調度が1つ高くなるごとに一定のエネルギーEを加算して印加する。階調が2階調であれば、ICは中間濃度領域のエネルギーとしてE、2×E・・・2n−1×Eを発熱体R1〜R576に印加する。エネルギー印加の回数は冪数nを用いてn+2回となる。このため印字速度が向上する。階調が2階調以外の多階調である場合、エネルギー設定部20はEの整数倍を中間濃度領域のエネルギーとすればよい。発熱体の数が増えた場合、ICの数を増やせばよい。またICの増加に伴い、シフトレジスタ14の領域を増やしてもよい。
飽和濃度領域は一階調に対応するとしたが、二階調以上が飽和濃度領域に対応してもよい。例えば図3の例において、階調度1〜13が中間濃度領域、階調度14及び15が飽和濃度領域でもよい。階調度が14の場合、IC1〜IC576は、Eより大きなエネルギーを一回印加する。階調度が15の場合、IC1〜IC576は、Eより大きなエネルギーを二回印加する。
実施例2は、非発色領域及び飽和濃度領域が複数の階調度に対応する例である。図17(a)は256階調における階調度とエネルギーとの関係を例示するグラフである。横軸はエネルギー、縦軸は階調度を表す。
図17(a)に楕円で示した低階調度及び高階調度においては、一階調ごとのエネルギーの変化が大きい。これに対し、中間濃度領域において、一階調ごとのエネルギーの変化は小さい。このように、階調度とエネルギーとの線型性が悪化する。このため、良好な階調性が得られない可能性がある。特に、低階調及び高階調において階調性が悪化する。このような階調性の悪化は、階調が32階調以上の場合に大きくなる。
図17(b)は256階調を複数の領域に分割した例における階調度とエネルギーとの関係を示す図である。図17(b)に示すように、0〜255(=2)階調度は領域P1〜P8に分割されている。階調度0〜3(階調の数=2)は領域P1、階調度4〜19(2)は領域P2、階調度20〜51(2)は領域P3、階調度52〜179(2)は領域P4、階調度180〜211(2)は領域P5、階調度212〜243(2)は領域P6、階調度244〜251(2)は領域P7、階調度252〜255(2)は領域P8に位置する。中間濃度領域は例えば領域P4を含む。非発色領域は例えば領域P1を含む。飽和濃度領域は例えば領域P8を含む。
エネルギー設定部20は、各領域において階調度とエネルギーとの関係が線型であると見なし、各領域内の一階調が一定のエネルギーに対応するようにエネルギーを定める。ICは、非発色領域及び飽和濃度領域のそれぞれにおいて、階調度が高くなるごとに一定のエネルギーを加算して印加する。例えばICは、領域P1において一階調ごとにエネルギーE1a、領域P2において一階調ごとにエネルギーE1bを加算する。このため、低階調である領域P1、高階調である領域P8などにおいても良好な階調性を得ることができる。領域P8では、ICが一定のエネルギーを加算することで、飽和濃度領域におけるエネルギーE(図3参照)を印加する。
エネルギー設定部20は、各領域における一階調ごとのエネルギーは任意に定めることができ、各領域で異なるエネルギーとしてもよいし、同じエネルギーとしてもよい。図17(b)に示すように、領域P1及び領域P8におけるエネルギーの傾きは、領域P4における傾きより大きい。従って、領域P1及びP8それぞれにおける一定のエネルギーは、領域P4における一定のエネルギーより大きいことが好ましい。
領域P1から領域P2への遷移は、階調度3から階調度4への遷移を意味する。階調度3から階調度4への遷移のため、ICは領域P1における一階調ごとのエネルギーE1a、又は領域P2における一階調ごとのエネルギーE1bをオフセットエネルギーとして印加する。他の領域間においてもオフセットエネルギーが印加される。エネルギー印加の回数は、各領域の階調の数を2の冪乗で表した際の冪数の和(33)とオフセット印加の回数(8)との和である41回となる。従って、階調と同じ回数(256回)の印加を行う場合より、印字速度が速くなる。例えば階調数が256より多ければ、図の例より領域の数を増やせばよい。これにより良好な階調性を得ることができる。このように、飽和濃度領域は1つ又は複数の階調度に対応する。飽和濃度領域に含まれる階調度は、中間濃度領域に含まれる階調度より少ない。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 MCU
20 エネルギー設定部
22 印加制御部
R144〜R576 発熱体
IC1〜IC576 IC
100 サーマルプリンタ

Claims (8)

  1. 多階調を有するデータを印刷するサーマルプリンタにおいて、
    印加されたエネルギーに応じて発熱する発熱体と、
    前記発熱体にエネルギーを印加するエネルギー印加部と、を具備し、
    前記エネルギー印加部は、前記データの階調度が第1領域内である場合、前記第1領域内において前記階調度が高くなるごとに前記エネルギーに一定のエネルギーである第1エネルギーを加算して印加し、
    前記階調度が前記第1領域より高い領域である第2領域において、前記第1エネルギーより大きいエネルギーを印加することを特徴とするサーマルプリンタ。
  2. 前記データが有する階調の数は2(nは1以上の整数)であり、
    前記第1エネルギーをEとすると、前記階調度が第1領域内である場合、前記エネルギー印加部は、前記階調度に応じてE、2×E・・・2n−1×Eを前記発熱体に印加することを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
  3. 前記第2領域は1つの階調度に対応する領域であることを特徴とする請求項1又は2記載のサーマルプリンタ。
  4. 前記第2領域は複数の階調度に対応する領域であり、
    前記エネルギー印加部は、前記第2領域において、階調度が高くなるごとに一定のエネルギーを加算することにより、前記第2エネルギーを前記発熱体に印加することを特徴とする請求項1又は2記載のサーマルプリンタ。
  5. 前記エネルギー印加部は、前記データの階調度が前記第1領域よりも低い第3領域内である場合、階調度が高くなるごとに一定のエネルギーを加算して前記発熱体に印加することを特徴とする請求項1から4いずれか一項記載のサーマルプリンタ。
  6. 前記第3領域における一定のエネルギーは、前記第1エネルギーより大きいことを特徴とする請求項5記載のサーマルプリンタ
  7. 前記エネルギー印加部は、複数の前記発熱体のうち第1グループへの前記エネルギーの印加が終了した後、前記複数の発熱体のうち第2グループにエネルギーを印加することを特徴とする請求項1から6いずれか一項記載のサーマルプリンタ。
  8. 最大諧調のデータを印刷する際に前記発熱体に印加される第3エネルギーを、印刷の行われる条件に応じて設定するエネルギー設定部を具備し、
    前記エネルギー設定部は、前記第1エネルギー及び前記第2エネルギーを、前記第3エネルギーに対する比率として設定するエネルギー設定部を具備することを特徴とする請求項1から7いずれか一項記載のサーマルプリンタ。
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