JP2014076636A - 輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗工紙の装飾性および印字した文字や画像の視認性が良好であり、且つオフセット印刷適性を損なうことなく、水性染料インクまたは顔料インクを採用する輪転方式のインクジェット印刷機に優れた適性を有する輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙を提供する。
【解決手段】本発明の課題は、原紙の少なくとも一方の面に顔料とバインダーを主成分とするインク受理層を設けた輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙において、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙のインク受理層を有する側の面におけるJIS P 8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定において、L*値が90以上、a*値が−1以上+5以下、b*値が−12以上0以下である輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙によって基本的に達成された。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の課題は、原紙の少なくとも一方の面に顔料とバインダーを主成分とするインク受理層を設けた輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙において、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙のインク受理層を有する側の面におけるJIS P 8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定において、L*値が90以上、a*値が−1以上+5以下、b*値が−12以上0以下である輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙によって基本的に達成された。
【選択図】なし
Description
本発明は、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に関する。さらには、オフセット印刷適性を損なわない輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に関する。
インクジェット記録方式の技術が急速に進歩し、インクジェット記録方式を利用するプリンター(以下、「インクジェットプリンター」と記載する。)によって、紙やフィルムなど記録用の媒体にカラーでかつ高画質に画像を形成できるようになった。このようなインクジェットプリンターには、家庭用の小型プリンターから印刷業者などが使用する大判プリンターがある。基本的には1枚単位で印刷を実行するために、主に少部数の印刷現場でこれらプリンターは利用されていた。
近年、さらなる技術の進歩により、インクジェット記録方式を利用する商業印刷(以下、「インクジェット印刷」と記載する)の応用が始まっている。商業印刷分野は印刷部数が多く、生産性および印刷コストの兼ね合いから印刷速度が重視される。インクを吐出するヘッドが用紙の搬送方向に直行する幅方向全体に固定されたラインヘッドを備える印刷機(以下、「インクジェット印刷機」と記載する)によって、インクジェット印刷に適した印刷速度は達成される(例えば、特許文献1参照)。また最近では、印刷速度が15m/分以上、より高速では60m/分以上、さらに高速では120m/分を超える顔料インクを搭載する輪転方式のインクジェット印刷機も開発されている。
可変情報を取り扱うことができるため、インクジェット印刷機は特にオンデマンド印刷に応用される。固定情報をオフセット印刷機で印刷し、可変情報を輪転方式のインクジェット印刷機で印刷する形態が商業印刷では好ましい。
輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙の使用用途としては、元来、電気・ガス・水道・通信会社などのエンドユーザーへの請求書や金融機関の口座取引明細書といったモノクロ印刷用途がほとんどであり、文字の視認性を良好とするためにできるだけ塗工紙の白色度の高いものが好まれ、使用されてきた。
近年、輪転方式のインクジェット印刷機のカラー化に伴って、従来のオフセット印刷方式で作製したポスターと同様に、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に文字や数字を印刷する領域を空けて背景として色・柄のバックグラウンド印刷を施すことによって塗工紙自体の装飾性を高める手法をとることが多くなっている。また、塗工紙に淡色を付与することによって文字や数字がはっきり見えるよう視認性を高める手法をとることが多くなっている。
また、インクジェット印刷機を使用して請求書や明細書などに顧客に応じた商品情報・ダイレクト広告を印刷する用途が伸長しつつある。これらの用途上、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に対して塗工紙の装飾性が要求され、印刷された文字の視認性が要求される。
従来のオフセット印刷機用塗工紙を輪転方式のインクジェット印刷機に採用すると、上記のような印刷速度では印刷後の擦過によって印刷画像が汚れ、またオフセット印刷機用塗工紙はインクジェットインクのインク吸収性が不十分であるために印刷ムラや印刷滲み、酷い場合はインク流れ(吸収されなかったインクが塗工紙面上を流れる現象)が発生するなど問題があった。
また、輪転方式のインクジェット印刷機の印刷におけるインク吸収性を改良するために単純に塗工層のバインダーを減量した場合、あるいは塗工層に多孔性顔料を多用した場合、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙は、塗工層の塗層強度が失われブランパイリングが発生するなどのオフセット印刷適性が損なわれる。従って、オフセット印刷適性を損なうことなく、十分なインク吸収性のインクジェット印刷適性を有することが輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に要求される。
上記輪転方式のインクジェット印刷機に使用されるインクの動向としては、水性染料インクに加えて、耐候性の観点から、水性顔料インクが使用されることが増えてきている。水性顔料インクの問題点としては、印刷部分の印刷ムラが挙げられる。印刷ムラとは、印刷速度が速い時にインクジェット印刷機用塗工紙のインク吸収性にバラツキが発生し、インクが乾燥した後の最終的な印刷画像において定着したインクの濃度が不均一となる現象である。インクジェット印刷に用いるインクは色材の濃度が小さく、オフセット印刷に比べて印刷ムラが顕著となり易い。印刷ムラによって印刷物の商品価値は低下し、故に、印刷ムラを抑制することが求められる。
紫色顔料および/または青色顔料を含有し、不透明度が85%以上であり、JIS P 8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定においてa*値が0以上7未満、b*値が−15以上−3未満である顔料塗工層を有するオフセット印刷用塗工紙がある(例えば、特許文献2参照)。このような印刷用紙は、文字の視認性やオフセット印刷適性は優れるものの、インクジェット印刷適性は劣る。また、支持体上の少なくとも片面にインク受理層を設けたインクジェット記録シートにおいて、該インク受理層表面が、JIS−Z8722で規定される測定方法に従い、JIS−Z8730で規定される該表面の明度指数L、知覚色度指数a及びbが、それぞれ87以上、−2〜+2及び−3〜+3であるインクジェット記録シートがある(例えば、特許文献3参照)。このようなインクジェット記録シートは、インクジェット印刷適性は優れる。しかしながら、インク受理層の強度が不足しオフセット印刷適性に劣る。
塗工紙の装飾性および印字した文字や視認性が良好であり、且つオフセット印刷適性を損なうことなく、水性染料インクまたは顔料インクを採用する輪転方式のインクジェット印刷機に優れた適性を有するインクジェット印刷機用塗工紙は得られていない。
すなわち、本発明の目的は、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙において、(1)塗工紙の装飾性が良いこと、(2)インクジェット印刷した文字の視認性が良いこと、(3)オフセット印刷適性が良いこと、(4)インクジェット印刷においても十分なインク吸収性を有すること、(5)顔料インクを採用するインクジェット印刷において印刷部分の印刷ムラが十分に抑制されていること、を満足させることである。
上記の課題は、原紙の少なくとも一方の面に顔料とバインダーを主成分とするインク受理層を設けた輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙において、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙のインク受理層を有する側の面におけるJIS P 8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定において、L*値が90以上、a*値が−1以上+5以下、b*値が−12以上0以下である輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙によって解決することができる。
また好ましくは、前記のインク受理層の顔料の少なくとも1種が、平均粒子径0.1μm以上0.3μm未満の重質炭酸カルシウムであり、平均粒子径0.1μm以上0.3μm未満の重質炭酸カルシウムのインク受理層中の含有量がインク受理層中の総顔料100質量部に対して60質量部以上の範囲である。
また好ましくは、前記のインク受理層が着色剤を含有する。
本発明の別の態様として、輪転方式のインクジェット印刷機の印刷方法であって、上記輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙を得る工程、および輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙のインク受理層上に、顔料インクを用いた輪転方式のインクジェット印刷を印刷速度120m/分以上で行って印刷画像を形成する工程を含む方法を提供する。また本発明は、優れた印刷画像を形成する方法であって、上記輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙を得る工程、および輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙のインク受理層上に、オフセット印刷機および/または輪転方式のインクジェット印刷機を用いて印刷画像を形成する工程を含む方法を提供する。
本発明により、塗工紙の装飾性および印字した文字や画像の視認性が良好であり、且つオフセット印刷適性を損なうことなく、インクジェット印刷においても良好なインク吸収性を有する輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙を得ることができる。特に、顔料インクを搭載する輪転方式のインクジェット印刷機でも、印刷部分の印刷ムラが抑えられた輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙を得ることができる。
以下、本発明の輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙について詳細に説明する。
本発明において、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙のインク受理層を有する側における明度指数L*、クロマティックネス指数a*およびb*は、JIS P 8150に規定される方法で得られ、この規定によれば、L*、a*、b*の3つの値によって測定対象物の色相が表される。ここで、L*は明度を表し、この数値が大きいほど明度が高いことを表す。また、a*は赤味を表し、a*の値が大きいほど赤味が強く、小さいほど緑色味が強くなる。さらに、b*は黄色味を表し、b*値が大きいほど黄色味が強く、小さいほど青色味が強くなる。
本発明の輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙において、インク受理層を有する側の面におけるL*、a*、b*の値が、それぞれ特定の範囲内にあることを特徴とする。
本発明において、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙のインク受理層を有する側の面におけるL*値が90以上、a*値が−1以上+5以下、b*値が−12以上0以下である。L*が本発明の範囲外であると印字した文字や画像の視認性が低下する。また、a*の値およびb*の値が本発明の範囲外であると、バックグラウンド印刷したときに望む色合いに仕上げることが困難となり、塗工紙の装飾性が低下するため好ましくない。
本発明の輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙において、インク受理層表面のL*、a*、b*の値が本発明の範囲内になるようにするためには、原紙とインク受理層の少なくとも一方に各種の着色剤および白色顔料を添加することで達成される。着色剤と白色顔料は、原紙またはインク受理層において各々一緒、各々別々あるいは両方に含有しても構わない。特にインク受理層中に着色剤を含有させた場合に、本発明の色相範囲内に生産し易く好ましい。本発明において、着色剤とは、白色以外の色である着色剤をいう。
本発明に用いられる着色剤としては、染料系着色剤および顔料系着色剤を使用可能であるが、塗工紙の色相の安定性の観点から顔料系着色剤を使用することが特に好ましい。
本発明に用いられる着色剤としては、例えば、アゾ化合物(ジチゾン、ホルマザン)、キノン系(ナフトキノン、アントラキノン、アクリドン、アントアントロン、インダントレン、ピレンジオン、ビオラントロン)、キノンイミン(アジン、オキサジン、チアジン)、インジゴ染料(インジルビン、オキシインジゴ、チオインジゴ)、硫化染料、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン(フルオラン、フルオレセイン、ローダミン)、フェロセン、フルオレノン、フルギド、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン(カロテン、マレイン酸誘導体、ピロラゾン、スチルベン、スチリル)、ポリメチン(シアニン、ピリジニウム、ピリリウム、キノリニウム、ローダニン)、キサンテン、アリザリン、アクリジン、アクリジノン、カルボスチリル、クマリン、ジフェニルアミン、キナクリドン、キノフタロン、フェノキサジン、フタロペリノン、ポルフィン、クロロフィル、フタロシアニン、クラウン化合物、スクアリリウム、チアフルバレン、チアゾール、ニトロ染料、ニトロソ染料、発色後のロイコ染料などの染料系着色剤、または、二酸化チタン被覆雲母、チタンブラック、チタニウムイエロー、ウルトラマリン、アズライト、群青、紺青、錫酸コバルト、コバルト青、カーボンブラック、鉄黒、酸化コバルト、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、染色レーキ、澱粉粒、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン樹脂などの合成樹脂粒子、シリコーン粒子などの顔料系着色剤およびスチルベン系、ジスチルベン系、ベンゾオキサゾール系、クマリン系、イミダゾール系、ベンゾイミダゾール系、ピラゾリン系などの蛍光染料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明に用いられる白色顔料としては、塗工紙用に従来から用いられているものを使用することができ、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛、リトポン、石膏、鉛白、珪酸、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料などであるが、これらに限定されない。
これらの着色剤または白色顔料は、単独あるいは2種類以上併用することもできる。また、染料と顔料の混合比率は、色むらが生じない限り、いかなる比率で用いても良い。
さらに、着色剤の含有量は所望の色合いが出せるものであれば、いかなる含有量で用いてもよいが、原紙中に含有する場合、パルプの固形分100質量部に対して0.001質量部以上0.1質量部以下であることが好ましく、インク受理層中に含有する場合、インク受理層中に含有する全顔料固形分100質量部(ただし、顔料系着色剤分を除く。)に対して0.001質量部以上0.7質量部以下であることが好ましい。
本発明の輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に用いられる原紙としては、セルロースパルプと填料を主成分とするシートであり、セルロースパルプとしては、LBKP、NBKPなどの化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGPなどの機械パルプ、およびDIPなどの古紙パルプが単独あるいは併用して用いられる。本発明の原紙に用いられる填料としては、前記の白色顔料など塗工紙用に従来公知の各種填料を単独あるいは併用して用いることができる。
本発明の原紙は、セルロースパルプと填料の他、サイズ剤、歩留まり剤、カチオン化剤、湿潤乾燥紙力増強剤や乾燥紙力増強剤などの各種紙力剤などの各種添加剤を適宜配合することができ、セルロースパルプおよび填料並びに各種添加剤を適宜配合した紙料を長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種抄紙機で抄造することができる。
本発明において、原紙の紙料中には、さらにその他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、染料定着剤などを本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜配合することもできる。
またインクジェットインクのインク吸収性および印刷ムラの観点から、原紙中の灰分量は、8質量%以上25質量%以下が好ましく、10質量%以上20質量%以下がより好ましい。
本発明において、灰分量とは、原紙を500℃で1時間燃焼処理を行った後の不燃物の質量と、燃焼処理前の原紙の絶乾質量との比率(質量%)である。灰分量は、原紙中の填料などの含有量により、調整することができる。
本発明において、原紙は、本発明の所望の効果を損なわない限りいずれのサイズ度でもよい。サイズ度は、内添サイズ剤または表面サイズ剤の塗工紙用で従来公知の種類およびその使用量によって調整することができる。
本発明の輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙は、原紙上に顔料およびバインダーを主成分とするインク受理層を有する。インク受理層を設けることによって、印刷品質および外観の点で上質紙と差別化することができる。主成分とは、インク受理層の乾燥固形分において顔料とバインダーとの総和が50質量%以上を占めることである。本発明において、顔料は、前記の白色顔料など塗工紙用に従来公知の各種顔料である。
本発明において、インク受理層中の顔料の少なくとも1種は、平均粒子径が0.1μm以上0.3μm未満の重質炭酸カルシウムであることが好ましい。このような重質炭酸カルシウムを用いることによって、オフセット印刷適性を有しかつインクジェット印刷適性を有し、バックグラウンド印刷がより良好となり、色や図柄の視認性がより良好となる。
このような平均粒子径を有する重質炭酸カルシウムは、例えば、次に示す方法で製造することができる。先ず、天然石灰石を乾式粉砕し得られた粉体を、水または分散剤を添加した水溶液に分散させた重質炭酸カルシウムスラリーを調製する。このようにして調製した重質炭酸カルシウムスラリーを、さらに、ビーズミル等を用い湿式粉砕する。ここで、天然石灰石を直ちに湿式粉砕することもできるが、湿式粉砕に先立って予め乾式粉砕することが好ましい。乾式粉砕では、石灰石の粒子径を40mm以下、好ましくは平均粒子径を2μm以上2mm以下の程度に粉砕しておくことがよい。
次に、上記粉砕した石灰石の表面に有機分散剤を施すのがよい。これは種々の方法で行うことができるが、乾式粉砕した石灰石を有機分散剤の存在下で湿式粉砕することにより行う方法が好ましい。具体的には、石灰石/水性媒体(好ましくは水)との質量比が30/70以上85/15以下、好ましくは60/40以上80/20以下の範囲となるように石灰石に水性媒体を加え、ここに有機分散剤を加える。使用する有機分散剤の量は特に限定されないが、重質炭酸カルシウム100質量部当たり固形分として0.3質量部以上3.5質量部以下の範囲で使用することが好ましく、0.5質量部以上3質量部以下の範囲がより好ましい。得られる分散液を従来公知の方法によって湿式粉砕する。または、上記範囲の量となる有機分散剤を予め溶解してなる水性媒体を石灰石と混合し従来公知の方法によって湿式粉砕する。湿式粉砕は、バッチ式でも連続式でもよく、サンドミル、アトライター、ボールミル等の粉砕媒体を使用したミル等の装置が好ましい。このように湿式粉砕することにより、平均粒子径が0.1μm以上0.3μm未満である重質炭酸カルシウムを得ることができる。なお、本発明にかかる平均粒子径である重質炭酸カルシウムを得る方法は上記方法に限定されない。
上記有機分散剤としては、例えば、官能基としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩またはリン酸エステル塩を有する低分子または高分子の水溶性アニオン系界面活性剤、若しくはポリエチレングリコール型または多価アルコール型非イオン界面活性剤を挙げることができる。有機分散剤の水溶性アニオン系界面活性剤で、ポリアクリル酸を有するポリアクリル酸系有機分散剤が特に好ましい。これら有機分散剤は、サンノプコ社、東亞合成社、花王社等から市販されており、本発明に用いることができる。
本発明において、平均粒子径は、レーザー回折・散乱法あるいは動的光散乱法を用いた体積を基準とした平均粒子径である。平均粒子径は、単粒子で存在する場合は単粒子の平均粒子径を表し、二次粒子などの凝集粒子で存在する場合は凝集粒子の平均粒子径を表す。平均粒子径は、例えば、日機装社製レーザー回折・散乱式粒度分布測定器Microtrac MT3300EXIIを用いて測定することができる。印刷用機塗工紙から重質炭酸カルシウムの平均粒子径を算出する場合は、例えば、走査型電子顕微鏡を用いてインクジェット印刷機用塗工紙表面の電子顕微鏡写真を撮影し、得られた画像から重質炭酸カルシウム粒子を面積の近似する球形と見なし、粒子径を測定し平均することによって求めることができる。
本発明に用いられる顔料は、前記の白色顔料以外として、例えば、炭酸亜鉛、珪藻土、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、スチレン−アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の中空型、非中空型またはコアシェル型の有機顔料等を挙げることができる。
本発明において、インク受理層中の前記重質炭酸カルシウムの含有量は、印刷ムラの抑制の点で、インク受理層中の総顔料100質量部に対して60質量部以上が好ましい。
本発明において、バインダーは、従来公知のバインダーである。例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等のポリアクリル酸系重合体、ポリ酢酸ビニル系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル等の各種共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ユリアまたはメラミン等のホルマリン樹脂、エピクロルヒドリン等の水溶性合成物が挙げられる。さらには、天然植物から精製した澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、デキストリン、マンナン、キトサン、アラビノガラクタン、グリコーゲン、イヌリン、ペクチン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の天然多糖類またはそのオリゴマー、さらにはその変性体が挙げられる。また、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、コラーゲン等の天然タンパク質またはその変性体、ポリ乳酸、ペプチド等の合成高分子やオリゴマーが挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用することができる。またバインダーは、カチオン変性を施して使用することができる。顔料に対して過剰にバインダーを配合するとインクジェット印刷におけるインクの吸収性が低下して印刷画像部分に汚れを発生する場合があり、インク受理層に含有される全顔料固形分100質量部に対してバインダー含有量は3質量部以上30質量部以下の範囲が好ましく、5質量部以上20質量部以下の範囲がより好ましい。
本発明のインク受理層には、顔料とバインダーの他に添加剤として、インク定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、印刷適性向上剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤等を適宜配合することができる。
本発明において、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙は、インク受理層塗工液を原紙上に塗工・乾燥して得ることができる。インク受理層塗工液を原紙上に塗工する方法としては、通常使用される塗工装置を用いることができ、特に限定されない。例えば、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター等の各種ブレードコーター、ショートドウェルコーター、カーテンコーター等の各種塗工装置を用いることができる。乾燥方法としては、通常使用される乾燥装置を用いることができ、特に限定されない。例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等の各種乾燥装置を挙げることができる。
本発明において、インク受理層の塗布量は、片面あたり7.0g/m2以上20.0g/m2以下が好ましい。8.0g/m2以上18.0g/m2以下がより好ましい。この範囲にすることによって、オフセット印刷適性とインクジェット印刷適性の両方を得ることができる。本発明において、インク受理層の塗布量とは、乾燥固形分の塗布量を指す。
インク受理層塗工液が塗工された塗工紙をそのまま輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙として使用できるが、必要に応じてマシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダー等により表面を平滑化することもできる。
ただし、平滑化のために過度のカレンダー処理を行うと、インク受理層の空隙を潰すこととなり、結果として、インクジェット印刷でのインク吸収性を悪化させるため、適度のカレンダー処理が好ましい。
本発明において、原紙に対してインク受理層塗工液を両面に塗工してもよい。インク受理層を両面に設けることで、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙は両面に印刷できるために好ましい。
本発明において、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙の坪量は特に限定されるものではないが、40g/m2以上300g/m2以下が好ましい。
また本発明の輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙は、オフセット印刷のみならずグラビア印刷、湿式および乾式電子写真や他の印刷方式に用いることも可能であり、何ら制限しない。さらには、インクジェット印刷機の他、市販のインクジェットプリンター等に用いることも可能である。
本発明にかかる輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙を用いることによって、印刷速度が15m/分以上、より高速では60m/分以上、さらに高速では120m/分を超えるインクジェット印刷機を使用し、良好な印刷画像を得る印刷方法を提供することができる。本発明の輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙を用いることによって、オフセット印刷機およびインクジェット印刷機を使用し、良好な画像を形成する方法を提供することができる。
本発明の別の態様としては、輪転方式のインクジェット印刷機での印刷方法であって、上記輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙を得る工程、および輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙のインク受理層上に、顔料インクを用いた輪転方式のインクジェット印刷を印刷速度120m/分以上で行って印刷画像を形成する工程を含む方法である。この印刷方法によって、印刷の操業性に優れながらインク吸収性に優れ、且つ印刷ムラが抑制された印刷物を得ることができる。また本発明は、優れた印刷画像を形成する方法であって、上記輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙を得る工程、および輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙のインク受理層上に、オフセット印刷機および/または輪転方式のインクジェット印刷機を用いて印刷画像を形成する工程を含む方法である。この印刷画像を形成する方法によって、オフセット印刷および/または輪転方式のインクジェット印刷機で画像を形成することができ、輪転方式のインクジェット印刷においてインク吸収性や印刷濃度に優れ、印刷ムラが抑制される印刷画像を形成することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」および「%」は、特に明示がない限り、乾燥固形分あるいは実質成分の質量部および質量%を示す。また、インク受理層塗工液の塗工量は乾燥固形分量を示す。
(原紙の作製)
<原紙1の作製>
濾水度400mlcsfのLBKP100部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム14部、両性澱粉0.8部、硫酸バンド0.5部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(サイズパインK903、荒川化学工業社製)1.0部を添加して、長網抄紙機で抄造し、サイズプレス装置で片面あたりリン酸エステル化澱粉を3.0g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして坪量105g/m2の原紙1を作製した。
<原紙1の作製>
濾水度400mlcsfのLBKP100部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム14部、両性澱粉0.8部、硫酸バンド0.5部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(サイズパインK903、荒川化学工業社製)1.0部を添加して、長網抄紙機で抄造し、サイズプレス装置で片面あたりリン酸エステル化澱粉を3.0g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして坪量105g/m2の原紙1を作製した。
<原紙2の作製>
濾水度400mlcsfのLBKP100部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム14部、両性澱粉0.8部、硫酸バンド0.5部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(サイズパインK903、荒川化学工業社製)1.0部、染料系着色剤として紫色染料(バサゾールバイオレット57L、BASFジャパン社製)0.002部を添加して、長網抄紙機で抄造し、サイズプレス装置で片面あたりリン酸エステル化澱粉を3.0g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして坪量105g/m2の原紙2を作製した。
濾水度400mlcsfのLBKP100部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム14部、両性澱粉0.8部、硫酸バンド0.5部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(サイズパインK903、荒川化学工業社製)1.0部、染料系着色剤として紫色染料(バサゾールバイオレット57L、BASFジャパン社製)0.002部を添加して、長網抄紙機で抄造し、サイズプレス装置で片面あたりリン酸エステル化澱粉を3.0g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして坪量105g/m2の原紙2を作製した。
<原紙3の作製>
濾水度400mlcsfのLBKP100部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム14部、両性澱粉0.8部、硫酸バンド0.5部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(サイズパインK903、荒川化学工業社製)1.0部、染料系着色剤として紫色染料(バサゾールバイオレット57L、BASFジャパン社製)0.004部を添加して、長網抄紙機で抄造し、サイズプレス装置で片面あたりリン酸エステル化澱粉を3.0g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして坪量105g/m2の原紙3を作製した。
濾水度400mlcsfのLBKP100部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム14部、両性澱粉0.8部、硫酸バンド0.5部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(サイズパインK903、荒川化学工業社製)1.0部、染料系着色剤として紫色染料(バサゾールバイオレット57L、BASFジャパン社製)0.004部を添加して、長網抄紙機で抄造し、サイズプレス装置で片面あたりリン酸エステル化澱粉を3.0g/m2付着させ、マシンカレンダー処理をして坪量105g/m2の原紙3を作製した。
(重質炭酸カルシウムの調製)
<重質炭酸カルシウムA>
天然の石灰石をジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、ローラーミルによって平均粒子径30μm程度までに粗粉砕して、これに水と市販のポリアクリル酸系分散剤を加えて攪拌し、約75%の予備分散スラリーとした。この予備分散スラリーをアシザワ・ファインテック社製湿式粉砕機(横型、円柱型粉砕室の寸法:直径約0.5m、長さ約1.3m)を用いて処理した。条件は、ビーズにジルコニア製直径約0.2mmを用い、充填率を83体積%、流量を約15リットル/分、パス回数を16回とした。得られた重質炭酸カルシウムは平均粒子径0.20μmであった。
<重質炭酸カルシウムA>
天然の石灰石をジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、ローラーミルによって平均粒子径30μm程度までに粗粉砕して、これに水と市販のポリアクリル酸系分散剤を加えて攪拌し、約75%の予備分散スラリーとした。この予備分散スラリーをアシザワ・ファインテック社製湿式粉砕機(横型、円柱型粉砕室の寸法:直径約0.5m、長さ約1.3m)を用いて処理した。条件は、ビーズにジルコニア製直径約0.2mmを用い、充填率を83体積%、流量を約15リットル/分、パス回数を16回とした。得られた重質炭酸カルシウムは平均粒子径0.20μmであった。
<重質炭酸カルシウムの平均粒子径の測定>
上記の重質炭酸カルシウムAの平均粒子径は以下の方法で求めた。塗工層に配合した重質炭酸カルシウムの粒度分布を、日機装社製粒度分布測定器Microtrac MT3300EXIIを用い、以下の測定条件で求めた。
溶媒 :水
粒子屈折率 :1.65
粒子形状 :非球形
粒度分布結果から、顔料の粒子径に関する体積を基準とした粒度分布曲線を作成し、測定器に付属する解析手段によって、平均粒子径を算出した。
上記の重質炭酸カルシウムAの平均粒子径は以下の方法で求めた。塗工層に配合した重質炭酸カルシウムの粒度分布を、日機装社製粒度分布測定器Microtrac MT3300EXIIを用い、以下の測定条件で求めた。
溶媒 :水
粒子屈折率 :1.65
粒子形状 :非球形
粒度分布結果から、顔料の粒子径に関する体積を基準とした粒度分布曲線を作成し、測定器に付属する解析手段によって、平均粒子径を算出した。
<インク受理層塗工液の調製>
インク受理層塗工液は、下記の内容により調製した。
顔料 種類および配合部数は表1に記載
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(JSR−2605G、JSR社製)
10部
ポリビニルアルコール(PVA110、クラレ社製) 7部
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度45%に調整した。
インク受理層塗工液は、下記の内容により調製した。
顔料 種類および配合部数は表1に記載
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(JSR−2605G、JSR社製)
10部
ポリビニルアルコール(PVA110、クラレ社製) 7部
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度45%に調整した。
表1に示したその他の顔料は、以下の通りである。
重質炭酸カルシウムB(SETACARB−HG、備北粉化工業社製、平均粒子径0.73μm)
重質炭酸カルシウムC(HYDROCARB−90、白石カルシウム社製、平均粒子径0.84μm)
軽質炭酸カルシウム(TP123、奥多摩工業社製、平均粒子径0.63μm)
カオリン(UW90、エンゲルハード社製、平均粒子径2.2μm)
合成シリカA(ニップジェルAZ−204、東ソー・シリカ社製、2.7μm)
合成シリカB(コロイダルシリカMP−2040、日産化学工業社製、平均粒子径0.2μm)
重質炭酸カルシウムB(SETACARB−HG、備北粉化工業社製、平均粒子径0.73μm)
重質炭酸カルシウムC(HYDROCARB−90、白石カルシウム社製、平均粒子径0.84μm)
軽質炭酸カルシウム(TP123、奥多摩工業社製、平均粒子径0.63μm)
カオリン(UW90、エンゲルハード社製、平均粒子径2.2μm)
合成シリカA(ニップジェルAZ−204、東ソー・シリカ社製、2.7μm)
合成シリカB(コロイダルシリカMP−2040、日産化学工業社製、平均粒子径0.2μm)
表1に示した着色剤は、以下の通りである。
a:青色顔料(TB 536ブルー、大日精化工業社製)
b:紫色顔料(TB 1548バイオレット、大日精化工業社製)
c:黒色顔料(サンダイDPブラックCN、山陽色素社製)
a:青色顔料(TB 536ブルー、大日精化工業社製)
b:紫色顔料(TB 1548バイオレット、大日精化工業社製)
c:黒色顔料(サンダイDPブラックCN、山陽色素社製)
実施例および比較例の輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙を以下の手順にて作製した。
<輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙の作製>
処理原紙上に、インク受理層塗工液をブレードコーターにて両面塗工し、乾燥させた後、カレンダー処理をして塗工紙を作製した。塗布量は片面当たり15g/m2とした。
処理原紙上に、インク受理層塗工液をブレードコーターにて両面塗工し、乾燥させた後、カレンダー処理をして塗工紙を作製した。塗布量は片面当たり15g/m2とした。
実施例1〜10および比較例1〜13の塗工紙について、色相、装飾性、文字の視認性、輪転方式のインクジェット印刷機に対するインク吸収性、印刷ムラ、およびオフセット印刷適性を下記の方法により評価した。
色相およびオフセット印刷適性の評価以外は、輪転方式のインクジェット印刷機を用いて評価を行った。輪転方式のインクジェット印刷機として大日本スクリーン製造社製印刷機Truepress Jet520を用いた。また、インクは文字の視認性およびインク吸収性においては染料インクを、装飾性および印刷ムラにおいては顔料インクを用いた。インクジェット印刷機の印刷は毎分当たりの印刷搬送速度128mに設定し行った。
(色相の評価)
JIS P8150に準拠し、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙を、日本電色工業社製分光色差計PF−10を用いて紫外光を含む光源にて明度指数L*、クロマティックネス指数a*およびb*を測定した。
JIS P8150に準拠し、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙を、日本電色工業社製分光色差計PF−10を用いて紫外光を含む光源にて明度指数L*、クロマティックネス指数a*およびb*を測定した。
(装飾性)
輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に、塗工紙面の80面積%領域に対して絵柄模様のバックグラウンド印刷を50m行い、絵柄模様の色合い・鮮やかさ・色濃度から下記の3段階により装飾性を官能評価した。本発明においては、3の評価であれば装飾性が良好である。
3:色合い・鮮やかさ・色濃度のすべてが良好。
2:色合い・鮮やかさ・色濃度の少なくとも1つがやや劣る。
1:色合い・鮮やかさ・色濃度のいずれも劣る。
輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に、塗工紙面の80面積%領域に対して絵柄模様のバックグラウンド印刷を50m行い、絵柄模様の色合い・鮮やかさ・色濃度から下記の3段階により装飾性を官能評価した。本発明においては、3の評価であれば装飾性が良好である。
3:色合い・鮮やかさ・色濃度のすべてが良好。
2:色合い・鮮やかさ・色濃度の少なくとも1つがやや劣る。
1:色合い・鮮やかさ・色濃度のいずれも劣る。
(文字の視認性)
輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に、ブラックの6〜10ポイントの明朝体文字を種々印刷し、下記の3段階で文字の視認性を官能評価した。本発明においては、3の評価であれば視認性が良好である。
3:文字がはっきり見え、視認性が良好。
2:文字がはっきりではないものの、実用上問題なく読み取れる。
1:文字がはっきりせず、視認性が不良。
輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に、ブラックの6〜10ポイントの明朝体文字を種々印刷し、下記の3段階で文字の視認性を官能評価した。本発明においては、3の評価であれば視認性が良好である。
3:文字がはっきり見え、視認性が良好。
2:文字がはっきりではないものの、実用上問題なく読み取れる。
1:文字がはっきりせず、視認性が不良。
(インク吸収性の評価)
輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色および、ブラックインクを除く他の3色インクでの2重色(レッド、グリーン、ブルー)の計7色のベタパターンを、2cm×2cm四方で横一列に隙間なく並べて印刷するという方法で、ベタ印刷を行った。各色ベタ部の境界部分について以下の5段階により目視評価で判定した。3〜5の評価であれば、実用上に問題はない。
5:色の境界部に滲みがない。
4:色の境界部にほとんど滲みがない。
3:色の境界部に滲みはあるものの、境界部がはっきり識別できる。
2:色の境界部が、はっきりせず、隣接する色が境界部を越えて若干移動している。
1:各色の境界がわからず、隣接する色への滲み出しが大きい。
輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色および、ブラックインクを除く他の3色インクでの2重色(レッド、グリーン、ブルー)の計7色のベタパターンを、2cm×2cm四方で横一列に隙間なく並べて印刷するという方法で、ベタ印刷を行った。各色ベタ部の境界部分について以下の5段階により目視評価で判定した。3〜5の評価であれば、実用上に問題はない。
5:色の境界部に滲みがない。
4:色の境界部にほとんど滲みがない。
3:色の境界部に滲みはあるものの、境界部がはっきり識別できる。
2:色の境界部が、はっきりせず、隣接する色が境界部を越えて若干移動している。
1:各色の境界がわからず、隣接する色への滲み出しが大きい。
(印刷ムラの評価)
輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に、インクジェット印刷機でブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色および、ブラックインクを除く他の3色インクでの2重色(レッド、グリーン、ブルー)の計7色のベタパターンを、3cm×3cm四方で横一列に並べて印刷するという方法で、ベタ印刷を行った。各色ベタ部の部分的な濃淡色ムラの存在から印刷ムラについて以下の5段階により目視評価で判定した。3〜5の評価であれば、実用上に問題はない。
5:印刷ムラが認められない。
4:色によってはごく僅かに印刷ムラが認められる。
3:印刷ムラが僅かに認められる。
2:印刷ムラが部分的に認められる。
1:印刷部分の全体的に、印刷ムラが認められる。
輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙に、インクジェット印刷機でブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色および、ブラックインクを除く他の3色インクでの2重色(レッド、グリーン、ブルー)の計7色のベタパターンを、3cm×3cm四方で横一列に並べて印刷するという方法で、ベタ印刷を行った。各色ベタ部の部分的な濃淡色ムラの存在から印刷ムラについて以下の5段階により目視評価で判定した。3〜5の評価であれば、実用上に問題はない。
5:印刷ムラが認められない。
4:色によってはごく僅かに印刷ムラが認められる。
3:印刷ムラが僅かに認められる。
2:印刷ムラが部分的に認められる。
1:印刷部分の全体的に、印刷ムラが認められる。
(オフセット印刷適性の評価)
ミヤコシ社製オフセットフォーム輪転機で、印刷速度:150m/分、使用インク:T&K TOKA UVベストキュア墨および金赤、UV照射量:8kW2基の条件で6000mの印刷を行い、印刷後のブランパイリングの発生状況および印刷サンプルの状態について以下の5段階により目視評価で判定した。3〜5の評価であれば、実用上に問題はない。
5:極めて良好。
4:良好。
3:実用上問題ない範囲。
2:不良。
1:極めて不良。
ミヤコシ社製オフセットフォーム輪転機で、印刷速度:150m/分、使用インク:T&K TOKA UVベストキュア墨および金赤、UV照射量:8kW2基の条件で6000mの印刷を行い、印刷後のブランパイリングの発生状況および印刷サンプルの状態について以下の5段階により目視評価で判定した。3〜5の評価であれば、実用上に問題はない。
5:極めて良好。
4:良好。
3:実用上問題ない範囲。
2:不良。
1:極めて不良。
上記実施例1〜10および比較例1〜13の評価結果を表2に示す。
表2より、実施例1〜10で示されるように、原紙の少なくとも一方の面に顔料とバインダーを主成分とするインク受理層を設けた輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙において、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙のインク受理層を有する側の面におけるJIS P 8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定において、L*値が90以上、a*値が−1以上+5以下、b*値が−12以上0以下である輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙は、塗工紙の装飾性および印字した文字や画像の視認性が良好であり、且つオフセット印刷適性を損なうことなく、水性染料インクまたは顔料インクを採用する輪転方式のインクジェット印刷機に優れた適性を有することがわかる。
一方、表2より、本発明の条件を満足しない比較例1〜13では本発明の効果は得られない。
Claims (3)
- 原紙の少なくとも一方の面に顔料とバインダーを主成分とするインク受理層を設けた輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙において、輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙のインク受理層を有する側の面におけるJIS P 8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定において、L*値が90以上、a*値が−1以上+5以下、b*値が−12以上0以下である輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙。
- インク受理層の顔料の少なくとも1種が、平均粒子径0.1μm以上0.3μm未満の重質炭酸カルシウムであり、平均粒子径0.1μm以上0.3μm未満の重質炭酸カルシウムのインク受理層中の含有量がインク受理層中の総顔料100質量部に対して60質量部以上の範囲である請求項1に記載の輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙。
- インク受理層中に着色剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012226851A JP2014076636A (ja) | 2012-10-12 | 2012-10-12 | 輪転方式のインクジェット印刷機用塗工紙 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015107991A1 (ja) * | 2014-01-14 | 2015-07-23 | 三菱製紙株式会社 | 産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙 |
-
2012
- 2012-10-12 JP JP2012226851A patent/JP2014076636A/ja active Pending
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WO2015107991A1 (ja) * | 2014-01-14 | 2015-07-23 | 三菱製紙株式会社 | 産業用インクジェット印刷機向け印刷用塗工紙 |
US9562329B2 (en) | 2014-01-14 | 2017-02-07 | Mitsubishi Paper Mills Limited | Coated printing paper for industrial inkjet printing press |
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