JP2014070114A - タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】熱硬化性樹脂を配合してなるタイヤ用ゴム組成物において、金属コードとの接着性および高温物性を改善し、耐破壊特性に優れるタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、トルエンスルホン酸のような芳香族スルホン酸を0.1〜8質量部、ノボラック型フェノール系樹脂を0.1質量部以上5質量部未満配合してなるタイヤ用ゴム組成物と、該組成物をタイヤベルト層の被覆に用いた空気入りタイヤにより、上記課題を解決した。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、熱硬化性樹脂を配合してなるタイヤ用ゴム組成物において、金属コードとの接着性および高温物性に優れるタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
空気入りタイヤのベルト層は、例えばスチールコードのような金属コードと、該金属コードを被覆するゴムとからなる。このような金属コードを被覆するゴムは、耐破壊特性を得るために金属コードとの接着性および高温物性を向上させることが求められている。
下記特許文献1には、ワイヤとゴムとの接着性を改善することを目的として、ジエン系ゴムにアミノ安息香酸エステルを配合する技術が開示されている。
しかしながら、金属コードを被覆するゴムに対し、近年さらなる接着性および高温物性の良化の要求があり、そのため当業界では種々の技術が検討されているが、提案されているゴム組成物ではその要求レベルに十分に応えることができなかった。
特開平10−195240号公報
したがって本発明の目的は、熱硬化性樹脂を配合してなるタイヤ用ゴム組成物において、金属コードとの接着性および高温物性を改善し、耐破壊特性に優れるタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、天然ゴムを含むジエン系ゴムに、芳香族スルホン酸の特定量および特定の熱硬化性樹脂の特定量を配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、芳香族スルホン酸を0.1〜8質量部、ノボラック型フェノール系樹脂を0.1質量部以上5質量部未満配合してなるタイヤ用ゴム組成物。
2.前記芳香族スルホン酸が、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸から選択された1種以上である前記1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
3.前記ジエン系ゴム100質量部に対し、コバルト量として0.1〜0.5質量部の有機酸コバルト塩を配合した前記1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
4.前記1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をタイヤベルト層の被覆に用いた空気入りタイヤ。
本発明によれば、天然ゴムを含むジエン系ゴムに、芳香族スルホン酸の特定量および特定の熱硬化性樹脂の特定量を配合したので、金属コードとの接着性および高温物性を改善し、耐破壊特性に優れたタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物をタイヤベルト層の被覆に用いた場合、金属コードとの良好な接着性および高温物性に基づく高い耐破壊特性を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で使用されるジエン系ゴムは、天然ゴム(NR)の使用を必須とする。また、NR以外にも、タイヤ用ゴム組成物に配合することができる任意のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ジエン系ゴムはその分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル基等で末端変性されていてもよい。
本発明において、ジエン系ゴム全体を100質量部としたとき、NRは、50質量部以上であることが好ましく、100質量部であることがさらに好ましい。
(芳香族スルホン酸)
本発明で使用される芳香族スルホン酸は、例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホサリチル酸、スルホフタル酸、スルホイソフタル酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、他のアルキルナフタレンスルホン酸、ポリアルキルナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、ビフェニルスルホン酸およびこれらの誘導体等を挙げることができ、中でも本発明の効果が高まるという観点から、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸(例えばp−トルエンスルホン酸)、ナフタレンスルホン酸(例えば2−ナフタレンスルホン酸)が好ましい。これら芳香族スルホン酸は2種以上を併用することもできる。
(ノボラック型フェノール系樹脂)
本発明で使用されるノボラック型フェノール系樹脂は、例えばフェノール、クレゾールまたはレゾルシンをアルデヒド化合物、特にホルムアルデヒドを用いて縮合した縮合物であり、好ましくは後述するメチレンドナーなどの硬化剤と反応して三次元架橋化したものであり、これらはいずれも公知の樹脂である。ノボラック型フェノール系樹脂は、オイルまたは脂肪酸で変性していてもよく、例えば、ロジン油、トール油、カシュー油、リノール酸、オレイン酸、リノレイン酸などのオイルで変性した樹脂を挙げることができる。
ノボラック型フェノール系樹脂は、本発明の効果の観点から、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
(有機酸コバルト塩)
本発明では、その効果の観点、とくに金属コードに対する接着性の観点から、有機酸コバルト塩を配合するのが好ましい。
本発明で使用する有機酸コバルト塩としては、例えばナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルト、ホウ酸ネオデカン酸コバルト、アセチルアセトナートコバルト等を例示することができる。また、ホウ素を含む有機酸コバルト塩、例えばオルトホウ酸コバルト等も使用できる。
(メチレンドナー)
本発明で使用されるメチレンドナーとしては、ヘキサメチレンテトラミンやメラミン誘導体等が挙げられる。メラミン誘導体は、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチロールメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサキス−(メトキシメチル)メラミン、N,N’,N’’−トリメチル−N,N’,N’’−トリメチロールメラミン、N,N’,N’’−トリメチロールメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−(メトキシメチル)メラミン、N,N’,N’’−トリブチル−N,N’,N’’−トリメチロールメラミンが挙げられる。特にヘキサメトキシメチロールメラミン若しくはペンタメトキシメチロールメラミンが好ましい。
(タイヤ用ゴム組成物の配合割合)
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、芳香族スルホン酸を0.1〜8質量部、ノボラック型フェノール系樹脂を0.1質量部以上5質量部未満配合してなることを特徴とする。
芳香族スルホン酸の配合量が0.1質量部未満であると、添加量が少な過ぎて所望の効果が奏されない。
芳香族スルホン酸の配合量が8質量部を超えると高温物性を満足することができない。
前記ノボラック型フェノール系樹脂の配合量が0.1質量部未満であると、硬度が低下し、操縦安定性が悪化する。
前記ノボラック型フェノール系樹脂の配合量が5質量部以上であると、硬度が過度に上昇し、発熱性と金属コードに対する接着性が悪化する。
芳香族スルホン酸のさらに好ましい配合量は、天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し0.5〜3.0質量部である。
前記ノボラック型フェノール系樹脂のさらに好ましい配合量は、天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し1〜3質量部である。
有機酸コバルト塩を使用する場合、その配合量はジエン系ゴム100質量部に対し、コバルト量として0.1〜0.5質量部が好ましく、0.15〜0.25質量部がさらに好ましい。
メチレンドナーを使用する場合、その配合量はジエン系ゴム100質量部に対し、0.5〜5質量部が好ましく、2〜5質量部がさらに好ましい。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、前記した成分に加えて、シリカ、カーボンブラックなどの補強剤、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤを製造するのに使用することができる。本発明のタイヤ用ゴム組成物は、金属コードとの優れた接着性および高温物性を達成していることから、とくにタイヤベルト層の被覆に用いるのが好適である。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
標準例、実施例1〜4、比較例1〜3
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.5リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物を同バンバリーミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えて混練し、タイヤ用ゴム組成物を得た。次に得られたタイヤ用ゴム組成物を所定の金型中で170℃で15分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。得られた加硫ゴム試験片について以下に示す試験法で物性を測定した。
高温物性:JIS K6251に準拠し、試験温度100℃で引張試験を行い、100%モジュラス(M100)、引張強さ(TB)、破断時伸び(EB)を測定した。結果は、標準例の値を100として指数で示した。指数が大きいほど高温物性に優れることを示す。
接着試験:ASTM-D-2に準拠してコードを引き抜き、その引き抜き時の引抜力を評価した。結果は、標準例の値を100として指数で示した。指数が大きいほどスチールワイヤとの初期接着力に優れることを示す。
Figure 2014070114
*1:NR(TSR20)
*2:カーボンブラック(東海カーボン(株)製シースト300、CTAB比表面積=84m/g、NSA=76m/g、DBP吸油量=74cm/100g)
*3:亜鉛華(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*4:老化防止剤(フレキシス社製サントフレックス6PPD)
*5:ステアリン酸コバルト(DIC(株)製)
*6:ノボラック型クレゾール樹脂(田岡化学工業(株)製スミカノール610)
*7:PMMM(バラケミカル製スミカノール507A、ペンタメトキシメチロールメラミン、メラミン誘導体65%)
*8:p−トルエンスルホン酸(東京化成工業(株)製)
*9:2−ナフタレンスルホン酸(東京化成工業(株)製)
*10:ベンゼンスルホン酸 (東京化成工業(株)製)
*11:硫黄(四国化成工業製ミュークロンOT−20)
*12:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーDZ)
上記の表から明らかなように、実施例1〜4で調製されたタイヤ用ゴム組成物は、NRを含むジエン系ゴムに芳香族スルホン酸の特定量および特定の熱硬化性樹脂の特定量を配合したので、従来の代表的な標準例に対し、金属コードとの優れた接着性および優れた高温物性が達成されている。したがって、これらのタイヤ用ゴム組成物を例えばタイヤベルト層の被覆に用いることにより、優れた耐破壊特性が付与される。
これに対し、比較例1は、芳香族スルホン酸の配合量が本発明で規定する下限未満であるので、その効果が全く発現していない。
比較例2は、芳香族スルホン酸の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、EBが悪化した。
比較例3は、ノボラック型フェノール系樹脂の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、高温物性が悪化し、金属コードに対する接着性も改善が見られなかった。

Claims (4)

  1. 天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、芳香族スルホン酸を0.1〜8質量部、ノボラック型フェノール系樹脂を0.1質量部以上5質量部未満配合してなるタイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記芳香族スルホン酸が、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸から選択された1種以上である請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記ジエン系ゴム100質量部に対し、コバルト量として0.1〜0.5質量部の有機酸コバルト塩を配合した請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をタイヤベルト層の被覆に用いた空気入りタイヤ。
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