JP2004018687A - ゴム組成物 - Google Patents

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Junichiro Natori
名取 潤一郎
Tomohiro Awane
阿波根 朝浩
Kazunori Ishikawa
石川 和憲
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Abstract

【課題】高剛性で、かつ伸びを確保したスチールコードとの接着性に優れたゴム組成物を提供する。
【解決手段】ジエン系ゴムに、脂肪族または脂環式カルボン酸のコバルト塩、安息香酸塩、カーボンブラック、ノボラック型フェノール樹脂およびメチレン基供与体を配合してなるゴム組成物。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム組成物に関し、更に詳細には、高剛性で、かつ伸びを確保したスチールコードとの接着性に優れたゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
先行技術として、ゴム組成物の初期および老化後の破断物性を大きくしてタイヤの耐久性を改善するために、天然ゴム、または天然ゴム100重量部に天然ゴム以外のジエン系ゴムをブレンドした原料ゴム100重量部に対して、カーボンブラック50〜90重量部、硫黄4.5〜10重量部、有機酸コバルト0.01〜0.8重量部(Co換算)、メタクレゾールを80重量%以上含むメタクレゾール樹脂0.2〜10重量部を配合してなるゴム組成物が、特開2000−233603号公報により提案され、また、ゴム100重量部に対し、有機酸コバルト0.5重量部以上とモノオキシ安息香酸0.5重量部以上とを併用してなる、加硫することにより金属材料との接着を良好にしたゴム組成物、更に、当該ゴム組成物にアルキルフェノール系樹脂およびクレゾールホルマリン系樹脂の一種または二種の0.5重量部以上を加えることにより、繊維材料との接着性、および加硫前後の接着力の耐湿性をも向上させたゴム組成物が、特開昭52−43851号公報により提案されている。
【0003】
更には、弾性を高めつつ、耐破壊性、低発熱性、接着性、作業性の良好なゴム組成物を得るため、ゴム成分に、特定のビスマレイミドのうち少なくとも一種とノボラック型フェノール樹脂とメチレン基供与体としてのヘキサメチレンテトラミンおよび特定のメチロール化メラミン誘導体の少なくとも一種を配合してなるゴム組成物が、特開2001−226528号公報により提案され、また、ゴム成分100重量部当たり、D−フルクトースやラクトースなどの炭水化物を0.5〜10重量部、メトキシ化メチロールメラミン樹脂を0.5〜10重量部およびカルボン酸コバルト塩をCo量として0.005〜1重量部配合してなる、接着性能に優れ、高硬度、高弾性のスチールコード用ゴム組成物が、特開平7−118457号公報により提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ベルトコートコンパウンドには高い剛性が求められるが、剛性を上げると伸びが低下して耐疲労性が悪化する。その結果、ベルトの端部でセパレーションが起こり、タイヤに不具合が発生する。また、剛性を上げる手段としては、NSAが大きく(つまり、粒径が小さく)、DBP吸油量が多い(つまり、ストラクチャーが大きい)カーボンブラックを配合すればよいが、そうすると混練中に大量のラジカルが発生してゲル化が促進される。その結果、加硫時間が短縮され、加硫ゴムの強度は増大するがスコーチ時間が短縮され、伸びが減少し、スチールコードに対する接着性も低下してしまう。一方、伸びを大きくするには、ジエン系ゴムにフェノール系の樹脂を配合すればよいが、高伸張モジュラスが低下し、加硫が遅れ、架橋密度も低下してしまう。したがって、本発明では、かかる各種の配合剤を総合的に駆使して、当該ゴム組成物に高剛性と高い伸びを付与することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ジエン系ゴムに、脂肪族または脂環式カルボン酸のコバルト塩、安息香酸塩、カーボンブラック、ノボラック型フェノール樹脂およびメチレン基供与体を配合してなるゴム組成物が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明では、ゴム組成物における、粒径が小さくストラクチャーの大きなカーボンブラックの配合によるゲル化、およびスチールコードに対する接着性の低下をフェノール系樹脂で抑制し、当該樹脂の配合によって低下する架橋密度を安息香酸塩で高めることによって、スコーチ時間を短縮することなく強度の増大と伸びの回復、接着性の保持が可能となることを見出したものである。
【0007】
本発明のゴム組成物における脂肪族または脂環式カルボン酸のコバルト塩は、当該ゴム組成物の金属材料との接着性を高める目的で配合するものであり、その配合量は、ゴム成分100重量部に対して、コバルト元素換算で0.05〜1.0重量部、好ましくは0.1〜0.3重量部とすることが好適である。
【0008】
上記脂肪族または脂環式カルボン酸のコバルト塩としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、オレイン酸コバルト、リノール酸コバルト、リノレイン酸コバルト、パルミチン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ロジン酸コバルト、トール油酸コバルト等が使用されるが、更にホウ素含有有機酸のコバルト塩、例えば、ホウ酸三ネオデカン酸コバルト等が用いられてもよい。
【0009】
本発明のゴム組成物における安息香酸塩は、フェノール樹脂の配合によって低下する架橋密度を高める目的で配合するものであり、その配合量は、ゴム成分100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部とすることが好適である。
【0010】
前記安息香酸塩としては、安息香酸のマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、アミン、亜鉛、ニッケル、コバルト、アンモニウム塩等が使用されるが、このうち、特に安息香酸のアンモニウム、コバルト、ニッケルおよび亜鉛塩の使用が好ましい。
【0011】
本発明のゴム組成物には、ゴム成分100重量部に対して、10〜100重量部、好ましくは30〜90重量部、より好ましくは50〜70重量部のカーボンブラックが配合される。当該カーボンブラックとしては、ゴムコンパウンドの剛性を上げるために、NSAが大きく、かつDBP吸油量の多いカーボンブラックを使用することが好適であり、特に、NSAが79〜130m/gおよびDBP吸油量が90〜150ml/100gのカーボンブラックを使用することが好ましい。
【0012】
更に、本発明のゴム組成物には、当該ゴム組成物を高伸長化し、かつ接着性を上げる目的で、ノボラック型フェノール樹脂とメチレン基供与体が配合されるが、その配合量は、ゴム成分100重量部に対して、当該フェノール樹脂成分が0.1〜5.0重量部、好ましくは1〜3重量部の量で用いられる。そして、メチレン基供与体は、ノボラック型フェノール樹脂に対して、20〜100重量%の割合で使用することが好ましい。
【0013】
上記メチレン基供与体としては、ヘキサメチレンテトラミンおよびメチロール化メラミン誘導体が使用でき、当該メチロール化メラミン誘導体としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサキス−(メトキシメチル)メラミン、N,N′,N″−トリメチル−N,N′,N″−トリメチロールメラミン、N,N′,N″−トリメチロールメラミン、N−メチロールメラミンN,N´−(メトキシメチル)メラミン、N,N′,N″−トリブチル−N,N′,N″−トリメチロールメラミン等が挙げられ、これらを単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。これらのうち、特に、ヘキサメトキシメチルメラミンの使用が好ましい。
【0014】
本発明のゴム組成物には、加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、充填剤、軟化剤、可塑剤等のタイヤ用または一般のゴム組成物に配合される各種配合剤および添加剤を配合することができ、これら配合剤、添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、一般的な量とすることができる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
【0016】
実施例1〜4および比較例1〜4
以下の表1に示す配合例を用いて各例に示すゴム組成物を得、その未加硫物性および加硫物性、並びに接着性を測定、評価した。
【0017】
試験片および試験体の作製
以下の表1に示す硫黄と加硫促進剤を除く配合成分を1.8リットルの密閉型ミキサーで3〜5分間混練し、165±5℃の温度に達したときに放出したマスターバッチに硫黄および加硫促進剤を加え、8インチのオープンロールで混練してゴム組成物を得た。このゴム組成物の一部を未加硫物性の「スコーチ試験」および「加硫試験」用の測定サンプルに供し、次いで、残余のゴム組成物の一部を15cm×15cm×0.2cmの金型中において148℃で、30分間プレス加硫して各試験片(ゴムシート)を作製し、これを加硫物性の「膨潤度測定」および「引張強度試験」に供した。また、前記で得た残余のゴム組成物にブラス鍍金スチールコードを埋め込み、148℃で45分間加硫して試験体を作製し、これを「接着試験」に供した。
【0018】
試験方法
<未加硫物性>
1)スコーチ時間:JIS K6300に準拠して、125℃にて粘度が5ポイント上昇する時間(分)を測定した。
2)加硫試験:JIS K6300に準拠して、148℃にて95%加硫度に達する時間(分)を測定した。
<加硫物性>
1)膨潤度:20mm×25mm×2mmに切断した試験片を、室温にて大過剰のトルエンに48時間浸漬し膨潤させる。自動比重系(東洋精機製;DENSIMETER−H)にて重量・比重を測定し、膨潤前後の体積を算出した。膨潤度は、以下の式に従って算出した。
[膨潤後体積]/[膨潤前体積]
2)引張強度:JIS K6301に準拠して、100%モジュラス(MPa)、破断強度(MPa)および破断伸び(%)を測定した。
<接着試験>
ASTM 2229に準拠して、引抜力(接着力N)とゴム付き(ゴム被覆率%)の評価を実施した。ブランク試験は、加硫接着後に試験を行い、高温・高
湿度試験は、70℃、96%湿度下に2週間放置後に試験を行った。
【0019】
結果を表1に示す。
【表1】
Figure 2004018687
【0020】
【発明の効果】
表1の結果によると、本発明のゴム組成物では、スコーチ時間を延ばし、高弾性でかつ伸びを確保した上、加硫時間を短縮し、スチールコードとの接着性にも優れていることが判る。よって、本発明のゴム組成物は、特に、ベルトコート用ゴム組成物として極めて有用である。

Claims (3)

  1. ジエン系ゴムに、脂肪族または脂環式カルボン酸のコバルト塩、安息香酸塩、カーボンブラック、ノボラック型フェノール樹脂およびメチレン基供与体を配合してなるゴム組成物。
  2. 前記安息香酸塩がアンモニウム、コバルト、ニッケルまたは亜鉛からなる塩である、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記カーボンブラックのNSAが79〜130m/g、およびDBP吸油量が90〜150ml/100gである、請求項1または2に記載のゴム組成物。
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