JP5830938B2 - タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents
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一方、高硬度化を達成するために、ゴム組成物にフェノール系樹脂とその硬化剤を配合する技術が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、現在の市場における厳しい耐偏摩耗性への要求には十分ではない。
すなわち本発明は以下のとおりである。
2.前記ノボラック型フェノール系樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、ノボラック型レゾルシン樹脂、オイル変性フェノール樹脂のいずれかあるいはそれらの混合物であり、前記ノボラック型フェノール系樹脂と前記有機溶媒との比率が、前者:後者(質量比)として、1:0.25〜1:4であることを特徴とする前記1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
3.前記有機溶媒のSP値が40以下であることを特徴とする前記1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
4.前記硬化剤が、ヘキサメチレンテトラミン、HMMM(ヘキサメトキシメチロールメラミンの部分縮合物)、PMMM(ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテルの部分縮合物)、ヘキサエトキシメチルメラミン、パラ−ホルムアルデヒドのポリマーおよびメラミンのN−メチロール誘導体からなる群から選択された1種以上であることを特徴とする前記1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
5.前記1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を加硫し成形する工程を有する空気入りタイヤの製造方法。
本発明の樹脂溶液は、軟化点が84℃以上であるノボラック型フェノール系樹脂を有機溶媒に溶解してなることを特徴とする。
本発明において、発熱性とゴム中への分散性という理由から、ノボラック型フェノール系樹脂の軟化点は、84℃以上が好ましい。さらに好ましくは87〜160℃である。
本発明で使用するノボラック型フェノール系樹脂は、発熱性とゴム中への分散性の観点から、ノボラック型フェノール系樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、ノボラック型レゾルシン樹脂のいずれかあるいはそれらの混合物であることが好ましい。
また本発明で使用するノボラック型フェノール系樹脂は、市販されているものを利用することができ、例えば田岡化学工業(株)製スミカノール610、住友ベークライト(株)製PR−YR−170等が挙げられる。
本発明において好ましい有機溶媒の好ましいSP値は40以下16以上である。
なお、ノボラック型フェノール系樹脂の分散性の観点から、使用される有機溶媒のSP値はノボラック型フェノール系樹脂のSP値と差異が少ないことが好ましい(例えばノボラック型クレゾール樹脂のSP値=23.6)。また、ノボラック型フェノール系樹脂が0℃〜200℃の範囲で溶解できる、および作業環境への配慮から非有害性の有機溶媒が好ましいので、有機溶媒としてはエチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。さらにゴムと化学結合を形成する等の親和性があるとより好ましい。ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等がより好ましい。
上記割合を採用することにより、ゴム成分に対するノボラック型フェノール系樹脂の分散性が一層向上し、本発明の効果を良好に奏することができる。
このようなタイヤ用ゴム組成物は、タイヤ用の各種部材に使用することができ、トレッド(とくにキャップトレッド)に好ましく使用できる。
以下、本発明に好適なタイヤ用ゴム組成物について説明する。
本発明で使用されるゴム成分は、ゴム組成物に配合することができる任意のゴムを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
これらの中でも、本発明の効果の点からジエン系ゴムはNR、BRが好ましい。
本発明のゴム組成物は、硬化剤を配合する。硬化剤としてはノボラック型フェノール系樹脂を硬化可能なものであればよく、とくに制限されないが、例えば本発明の効果の観点から、ヘキサメチレンテトラミン、HMMM(ヘキサメトキシメチロールメラミンの部分縮合物)、PMMM(ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテルの部分縮合物)、ヘキサエトキシメチルメラミン、パラ−ホルムアルデヒドのポリマーおよびメラミンのN−メチロール誘導体からなる群から選択された1種以上が好ましい。
本発明のゴム組成物は、各種充填剤を配合することができる。充填剤としてはとくに制限されず、用途により適宜選択すればよいが、例えばカーボンブラック、シリカ、無機充填剤等が挙げられる。無機充填剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム等を挙げることができる。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、上記樹脂溶液を、ノボラック型フェノール系樹脂の質量として0.1〜30質量部および硬化剤を0.1〜15質量部配合するのが好ましい。
ノボラック型フェノール系樹脂の配合量が0.1質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に30質量部を超えると、硬度および破断伸びが悪化する。
硬化剤の配合量が0.1質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に15質量部を超えると発熱性が悪化する。
さらに好適な形態において、本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、上記樹脂溶液を、ノボラック型フェノール系樹脂の質量として0.5〜18質量部および硬化剤を0.5〜10質量部配合するのがよい。
本発明の樹脂溶液をゴム組成物に配合する方法には特に制限はないが、加硫系(加硫促進剤、硫黄)を除く成分を密閉式バンバリーミキサー等のミキサーで混練する際に配合するのが好ましい。その際の混練り温度は130℃〜170℃が好ましい。得られたゴム組成物は、加硫し、成形されることによって、空気入りタイヤが製造される。なお該加硫および成形工程は、従来の空気入りタイヤの製造方法に従えばよい。
サンプルの調製
所定の比率の樹脂と溶液を樹脂の軟化点以上の温度にて攪拌することで透明の樹脂溶液を得た。
表1に示す配合(質量部)において、加硫系(加硫促進剤、硫黄)と硬化剤を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物を同バンバリーミキサーに再度入れ、加硫系を加えて混練し、タイヤ用ゴム組成物を得た。得られたタイヤ用ゴム組成物を150℃、30分の条件でプレス加硫し、以下に示す試験法で物性を測定した。
破断伸び:上記加硫ゴム試験片を用い、JIS K6251に基づき、室温にて引張試験を実施し、室温における破断伸び(%)を測定した。結果は比較例4の値を100として指数表示し、この数字が大きいほど破断伸びが高く、耐ブロック欠け性が良好であることを示す。
結果を表1に併せて示す。
*2:BR(日本ゼオン(株)製Nipol 1220)
*3:カーボンブラック(東海カーボン(株)製シースト6、N2SA=119m2/g)
*4:ノボラック型クレゾール樹脂(田岡化学工業(株)製スミカノール610、軟化点=96℃)
*5:カシュー変性ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト(株)製PR−YR−170、軟化点=94℃)
*6:ノボラック型フェノール樹脂−1(住友ベークライト(株)製PR−50731、軟化点=122℃)
*7:ノボラック型フェノール樹脂−2(住友ベークライト(株)製PR−HF−3、軟化点=82℃)
*8:樹脂溶液−1(上記ノボラック型クレゾール樹脂をジエチレングリコールに溶解したもの。樹脂:有機溶媒(質量比)として、1:2。なお表中の括弧内は樹脂の質量部を表す)
*9:樹脂溶液−2(上記カシュー変性ノボラック型フェノール樹脂をジエチレングリコールに溶解したもの。樹脂:有機溶媒(質量比)として、1:2。なお表中の括弧内は樹脂の質量部を表す)
*10:樹脂溶液−3(上記ノボラック型フェノール樹脂−1をジエチレングリコールに溶解したもの。樹脂:有機溶媒(質量比)として、1:2。なお表中の括弧内は樹脂の質量部を表す)
*11:樹脂溶液−4(上記ノボラック型フェノール樹脂−2をジエチレングリコールに溶解したもの。樹脂:有機溶媒(質量比)として、1:2。なお表中の括弧内は樹脂の質量部を表す)
*12:樹脂溶液−5(上記ノボラック型クレゾール樹脂をビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(エボニックデグッサ(株)製Si75)に溶解したもの。樹脂:有機溶媒(質量比)として、1:2。なお表中の括弧内は樹脂の質量部を表す)
*13:樹脂溶液−6(上記ノボラック型フェノール樹脂−1をビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(エボニックデグッサ(株)製Si75)ルに溶解したもの。樹脂:有機溶媒(質量比)として、1:2。なお表中の括弧内は樹脂の質量部を表す)
*14:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*15:ステアリン酸(千葉脂肪酸(株)製工業用ステアリン酸)
*16:老化防止剤(住友化学(株)アンチゲン6C)
*17:ヘキサメチレンテトラミン(三新化学工業(株)製サンセラーHT−PO)
*18:HMMM(三井サイテック(株)製サイレッツ964RPC、ヘキサメトキシメチロールメラミン65%+シリカ35%)
*19:PMMM(田岡化学工業(株)製スミカノール507A)
*20:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄)
*21:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーNS−F)
これに対し、比較例1は、ノボラック型フェノール系樹脂および硬化剤を配合しない例であり、硬度および破断伸びともに改善されず、耐偏摩耗性、耐ブロック欠け性に劣る結果となった。
比較例2は、単にカーボンブラックを増量した例であり、破断伸びが低下し、耐ブロック欠け性が悪化した。
比較例3は、単に硫黄を増量した例であり、破断伸びが低下し、耐ブロック欠け性が悪化した。
比較例5は、カシュー変性ノボラック型フェノール樹脂を有機溶媒に溶解させることなく添加した例であり、硬度および破断伸びともに改善されず、耐偏摩耗性、耐ブロック欠け性に劣る結果となった。
比較例6および7は、ノボラック型フェノール樹脂を有機溶媒に溶解させることなく添加した例であり、硬度および破断伸びともに改善されず、耐偏摩耗性、耐ブロック欠け性に劣る結果となった。
比較例8は、本発明で規定する軟化点未満であるノボラック型フェノール樹脂−2を用い、これを有機溶媒に溶解させた例である。ノボラック型フェノール樹脂を有機溶媒に溶解していない比較例7よりも硬度が低下してしまった。これはノボラック型フェノール樹脂−2の軟化点が低く、有機溶媒に溶解させることにより逆にゴム中に細かく分散しすぎたことが原因である。
Claims (5)
- ジエン系ゴム100質量部に対し、軟化点が84℃以上であるノボラック型フェノール系樹脂を有機溶媒に溶解してなるゴム加工用樹脂溶液を、ノボラック型フェノール系樹脂の質量として0.1〜30質量部および硬化剤を0.1〜15質量部配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ノボラック型フェノール系樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、ノボラック型レゾルシン樹脂、オイル変性フェノール樹脂のいずれかあるいはそれらの混合物であり、前記ノボラック型フェノール系樹脂と前記有機溶媒との比率が、前者:後者(質量比)として、1:0.25〜1:4であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記有機溶媒のSP値が40以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記硬化剤が、ヘキサメチレンテトラミン、HMMM(ヘキサメトキシメチロールメラミンの部分縮合物)、PMMM(ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテルの部分縮合物)、ヘキサエトキシメチルメラミン、パラ−ホルムアルデヒドのポリマーおよびメラミンのN−メチロール誘導体からなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を加硫し成形する工程を有する空気入りタイヤの製造方法。
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