JP2014065960A - 車両用アルミ合金、および、自動二輪車用ホイール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両用アルミ合の組成を重量%でFe:0.5%以下、Mn:0.2%以下とし、SiおよびCuを含み、残部のAlおよび不可避的不純物を含み、デンドライト2次アーム間隔が45μm以下、且つ、金属間化合物のサイズが150μm以下である。
【選択図】なし
Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、Fe等の不純物を含むアルミニウム材料を用いても車両部品に適した靭性を確保することが可能な車両用アルミ合金、および、自動二輪車用ホイールを提供することを目的とする。
本発明によれば、再生塊アルミニウム材のような、Fe、Mn、Cu等を不純物として含むアルミニウム原料を用いて、車両部品に適した靭性を有する車両用アルミ合金を得ることができる。
この場合、より優れた靭性を有する車両用アルミ合金を得ることができる。
この場合、より優れた靭性を有する車両用アルミ合金を得ることができる。
この場合、より優れた靭性を有する車両用アルミ合金を得ることができる。
本発明によれば、好適な靭性を有する自動二輪車用ホイールを提供できる。
本発明によれば、鋳造時にリム部が速やかに冷却されることにより、冷却中の初晶の晶出時間を短くしてリム部におけるデンドライト2次アーム間隔を小さくすることができ、さらに、共晶の晶出期間における針状の金属間化合物の成長を抑えることができる。これにより、自動二輪車用ホイールを構成するアルミ合金に、車両用部品としてより好適な特性を持たせることができ、靭性に優れた自動二輪車用ホイールを提供できる。
この場合、上型、下型及びスライド型のいずれかに冷却液流路を形成した金型を用いることにより、鋳造時にリム部を速やかに冷却できるので、自動二輪車用ホイールのリム部におけるデンドライト2次アーム間隔を小さくするとともに、針状の金属間化合物の成長を抑えることができる。これにより、靭性に優れ、低コストで製造可能な自動二輪車用ホイールを提供できる。
また、上記の自動二輪車用ホイールを、上記金型を用いて低圧金型鋳造(LPDC:Low Pressure Die Casting)により製造してもよい。
この場合、上型、下型及びスライド型のいずれかにベリリウム銅合金を配置した金型を用いることにより、鋳造時に、リム部を形成する成形面でリム部を速やかに放熱させ、冷却時間を短縮できる。このため、自動二輪車用ホイールのリム部におけるデンドライト2次アーム間隔を小さくするとともに、針状の金属間化合物の成長を抑えることができる。これにより、靭性に優れ、低コストで製造可能な自動二輪車用ホイールを提供できる。
また、鋳造時にリム部が速やかに冷却されることにより、冷却中の初晶の晶出時間を短くしてリム部におけるデンドライト2次アーム間隔を小さくすることができ、初晶の晶出後における針状の金属間化合物の成長を抑えることができる。これにより、自動二輪車用ホイールを構成するアルミ合金に、車両用部品としてより好適な特性を持たせることができ、靭性に優れた自動二輪車用ホイールを提供できる。
また、上型、下型、及びスライド型の少なくともいずれかに冷却液流路を形成した金型を用いることにより、鋳造時にリム部を速やかに冷却できるので、自動二輪車用ホイールのリム部におけるデンドライト2次アーム間隔を小さくするとともに、針状の金属間化合物の成長を抑えることができ、靭性に優れ、低コストで製造可能な自動二輪車用ホイールを提供できる。
また、上型、下型及びスライド型の少なくともいずれかの成形面にベリリウム銅合金を配置した金型を用いることにより、鋳造時にリム部を速やかに放熱させて冷却時間を短縮できるので、自動二輪車用ホイールのリム部におけるデンドライト2次アーム間隔を小さくするとともに、針状の金属間化合物の成長を抑えることができ、靭性に優れ、低コストで製造可能な自動二輪車用ホイールを提供できる。
図1は、本発明を適用した実施形態に係る自動二輪車用ホイール10の構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は断面視図である。
この図1に示す自動二輪車用ホイール10は、ハブ11と、ハブ11から放射状に延びる複数のスポーク15と、タイヤ(図示略)が装着されるリム17とが、鋳造により一体成形されたものである。
図1(B)に示すように、リム17は薄肉で設計されており、リム17における厚みは、20mm以下であることが好ましい。
図2に示す鋳造用金型20は、溶湯重力鋳造(GDC:Gravity Die Casting)により自動二輪車用ホイール10を鋳造するための金型であって、上型21、下型23、及びスライド型25を含む鋼製の部分金型により構成されている。スライド型25は、上型21及び下型23に対して側方から嵌合され、自動二輪車用ホイール10のリム17を形成する。また、鋳造用金型20において自動二輪車用ホイール10の軸中心に相当するキャビティには、ハブ11の中空部を形成する中子27が配置される。
また、下型23には、リム17を形成するキャビティに対向する位置に、冷却液流路39bが設けられている。上型21には、リム17を形成するキャビティに対向する位置に、冷却液流路39cが設けられている。図2には冷却液流路39a〜39cの断面を示しているが、これら冷却液流路39a〜39cはリム17の周方向に沿って、ほぼ円弧を描くように配置されている。このため、冷却液流路39a〜39cに冷却液を流すことにより、リム17をほぼムラなく、所望の冷却速度で冷却できる。
鋳造用金型40は、鋳造用金型20(図2)と同様に溶湯重力鋳造により自動二輪車用ホイール10を鋳造するための金型である。鋳造用金型40は、上型21を上型41に代え、下型23を下型43に代え、スライド型25をスライド型45に代えた構成を有し、その他は鋳造用金型20と共通である。
鋳造用金型40を構成する上型41、下型43、及びスライド型45は、上型21、下型23、及びスライド型25と同様の鋼材からなり、同じ中子27と組み合わされて同形状のキャビティを構成する。上型41、下型43、及びスライド型45には冷却液流路39a〜39cは形成されておらず、その一部にベリリウム銅合金が配されている。
また、下型43においても、リム17を形成する成形面49bを含む部分がベリリウム銅合金で構成され、上型21においてリム17を形成する成形面49cを含む部分もベリリウム銅合金で構成される。これらの成形面49a〜49cはリム17の周方向に沿って円弧を描いているため、リム17の全周を速やかに放冷できる。
従って、鋳造用金型40においてベリリウム銅合金を配置する構成を、上型41、下型43、及びスライド型45のいずれか一部のみとしても、本発明の効果を得られる。例えば、上型41と下型43のみベリリウム銅合金を配置しても、スライド型45のみベリリウム銅合金を配置してもよい。
このように、鋳造用金型20または鋳造用金型40を用いて自動二輪車用ホイール10を鋳造する場合には、リム17がより高速で冷却される。
ここで、発明者らは、Feを含む金属間化合物のサイズを小さくするためには、この金属間化合物が成長する期間を短縮することが効果的であるとの知見を得た。すなわち、溶湯を上記期間中冷却することにより、針状の金属間化合物の成長を抑制することができる。この金属間化合物が成長する期間においては溶湯が既にキャビティ内に回っているため、冷却速度を加速しても湯回り性に影響を与えにくい。
そこで、上型21、下型23及びスライド型25の少なくともいずれかに冷却液流路39a〜39cが形成された鋳造用金型20を用いることで、金属間化合物のサイズを効果的に抑制できる。この場合、金属間化合物の成長が始まるタイミングで冷却速度が高まるように、冷却液流路39a〜39cに流れる冷却液の流量を調整すればよい。鋳造用金型20を用いると、冷却液によって特に自動二輪車用ホイール10のリム17が確実に、かつ速やかに冷却される。このため、特にリム17における靭性の向上を図ることができる。勿論、冷却液の効果により、自動二輪車用ホイール10全体の靭性の向上が期待できる。
以下に説明するアルミ合金の靭性の測定にあたっては、鋳造用金型20を用いて自動二輪車用ホイール10を鋳造し、注湯口31の空間35に形成される鋳造品の湯口50から直方体形状の試験片51、53、55を切り出して、これらの試験片の機械的特性を引張試験機で測定した。後述する測定値は、一つの自動二輪車用ホイール10から切り出した複数の試験片51、53、55の測定値の平均である。また、各試験片51、53、55について、光学顕微鏡(金属顕微鏡)写真に基づいてデンドライト2次アーム間隔及び金属間化合物のサイズの測定を行った。
これらの展伸系スクラップ材由来の再生塊アルミニウム材と、鋳物系スクラップ由来の再生塊アルミニウム材とを適宜選択し、或いは混合して車両用アルミ合金に使用する場合、この車両用アルミ合金の組成は、1.0%以上のSi、0.2%以上のMg、0.3%以下のMgを含み、不純物として、0.2%以上のCu、0.4%のZn、0.6%以上のFeを含むこととなる。これらの再生塊アルミニウム材と新塊アルミニウム材とを混合して用いることも可能であるが、その場合も不純物としてCu、Zn、Feが混入する。
Feは、Al−Si系合金の鋳造品において、靭性を低下させる。Fe量が多いと針状のAl−Si−Fe系金属間化合物が多く生成されるため、靭性を低下させる。
Mnは、Feを含むAl−Si系合金に添加された場合に、靭性に悪影響しない塊状のAl−Si−Fe−Mn系の金属間化合物を生成し、上述した針状のAl−Si−Fe系金属間化合物の生成を抑制する効果がある。しかしその一方で、Mn量が多い場合には、鋳造品の靭性が低下する。従って、Mn量は0.2%以下であることが好ましい。
Cuは鋳造品の靭性を低下させ、耐食性を損なう不純物として考えられ、0.4%以下であることが好ましい。Znは、耐食性を損なう不純物として考えられる。
Mgは引っ張り強さと耐力を向上させる効果があるが、Mgの量が増加するに伴って靭性が低下する。
また、デンドライト2次アーム間隔が35μm以下、且つ、金属間化合物のサイズが70μm以下である構成とすれば、より確実に、車両部品として好適な靭性を得ることができ、より一層好ましい。
さらに、デンドライト2次アーム間隔が25μm以下、且つ、金属間化合物のサイズが30μm以下である構成とすれば、より優れた靭性を有する車両用アルミ合金を得ることができ、さらに好ましい。
また、この自動二輪車用ホイール10は、リム17の厚みが20mm以下に設定されたことが好ましい。この場合、鋳造時にリム17が速やかに冷却されることにより、冷却中の初晶の晶出時間を短くしてリム部におけるデンドライト2次アーム間隔を小さくすることができ、さらに、共晶の晶出期間における針状の金属間化合物の成長を抑えることができ、より優れた靭性を発揮する。
さらに、本発明の車両用アルミ合金は、ホイールに限らず、車両の足回り部品に好適である。例えば、上記車両用アルミ合金を用いてスイングアーム、フロントフォークを保持するブラケット(ブリッジ)等を製造し、好適な靭性を有する足回り部品を得ることができる。
以下の実施例では、本発明を適用した実施例1〜11、および、比較対象としての比較例1〜5について、鋳造および評価を行った。
各実施例の仕様、物性の測定結果、および評価は表1に示す通りである。なお、表1に記載した符号A〜Q(Oを除く)は、後述する図5〜図7中のプロットとの対応を示す。
実施例1では、アルミニウム原料にアルミ合金を溶解して各種元素を添加することにより、化学成分重量比が、Si:7.1%、Mg:0.29%、Cu:0.23%、Mn:0.15%、Fe:0.1%、Ti:0.1%、Zn:0.32%、Sr:0.01、残部がAlおよび不可避的不純物からなる溶湯を調整した。
続いて、上記溶湯を、鋳造用金型20を用いた溶湯重力鋳造法により鋳造し、自動二輪車用ホイールを作製した。この自動二輪車用ホイールから、図4を参照して説明したように試験片を作製し、この引張試験片の機械的特性を引張試験機で測定した。また、試験片のSEM写真に基づきデンドライト2次アーム間隔(DAS)を測定した。
なお、以下に説明する実施例2〜11及び比較例1〜5についても、鋳造、試験片の作製及び測定は同様に行った。
実施例1では、デンドライト2次アーム間隔25μm、金属間化合物のサイズ9.6μm、伸び12.5%の結果を得た。
実施例2では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.3%、Mg:0.28%、Cu:0.24%、Mn:0.18%、Fe:0.1%、Ti:0.1%、Zn:0.31%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
実施例2では、デンドライト2次アーム間隔30μm、金属間化合物のサイズ15.6μm、伸び10.4%の結果を得た。
実施例3では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.1%、Mg:0.29%、Cu:0.22%、Mn:0.15%、Fe:0.1%、Ti:0.1%、Zn:0.31%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
実施例3では、デンドライト2次アーム間隔45μm、金属間化合物のサイズ20.2μm、伸び9.5%の結果を得た。
実施例4では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.2%、Mg:0.29%、Cu:0.25%、Mn:0.15%、Fe:0.28%、Ti:0.1%、Zn:0.33%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
実施例4では、デンドライト2次アーム間隔25μm、金属間化合物のサイズ35.5μm、伸び8.8%の結果を得た。
実施例5では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.1%、Mg:0.29%、Cu:0.24%、Mn:0.17%、Fe:0.28%、Ti:0.1%、Zn:0.29%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
実施例5では、デンドライト2次アーム間隔30μm、金属間化合物のサイズ42μm、伸び9.1%の結果を得た。
実施例6では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.1%、Mg:0.28%、Cu:0.23%、Mn:0.19%、Fe:0.28%、Ti:0.1%、Zn:0.30%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
実施例6では、デンドライト2次アーム間隔45μm、金属間化合物のサイズ49.6μm、伸び8%の結果を得た。
実施例7では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.3%、Mg:0.29%、Cu:0.25%、Mn:0.2%、Fe:0.51%、Ti:0.1%、Zn:0.29%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
実施例7では、デンドライト2次アーム間隔25μm、金属間化合物のサイズ124μm、伸び6.8%の結果を得た。
実施例8では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.2%、Mg:0.28%、Cu:0.24%、Mn:0.2%、Fe:0.51%、Ti:0.1%、Zn:0.30%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
実施例8では、デンドライト2次アーム間隔30μm、金属間化合物のサイズ146.8μm、伸び5.8%の結果を得た。
実施例9では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.5%、Mg:0.29%、Cu:0.24%、Mn:0.15%、Fe:0.51%、Ti:0.1%、Zn:0.28%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
実施例9では、デンドライト2次アーム間隔20μm、金属間化合物のサイズ45μm、伸び9%の結果を得た。
実施例10では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.2%、Mg:0.28%、Cu:0.23%、Mn:0.17%、Fe:0.51%、Ti:0.1%、Zn:0.27%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
実施例10では、デンドライト2次アーム間隔32μm、金属間化合物のサイズ84μm、伸び5.3%の結果を得た。
実施例11では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.1%、Mg:0.29%、Cu:0.24%、Mn:0.15%、Fe:0.51%、Ti:0.1%、Zn:0.31%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
実施例11では、デンドライト2次アーム間隔29μm、金属間化合物のサイズ55μm、伸び6.8%の結果を得た。
比較例1では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.2%、Mg:0.29%、Cu:0.25%、Mn:0.18%、Fe:0.65%、Ti:0.1%、Zn:0.28%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
比較例1では、デンドライト2次アーム間隔32μm、金属間化合物のサイズ130μm、伸び3.8%の結果を得た。
比較例2では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.1%、Mg:0.29%、Cu:0.25%、Mn:0.25%、Fe:0.65%、Ti:0.1%、Zn:0.27%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
比較例2では、デンドライト2次アーム間隔41μm、金属間化合物のサイズ150μm、伸び4%の結果を得た。
比較例3では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.4%、Mg:0.29%、Cu:0.25%、Mn:0.25%、Fe:0.65%、Ti:0.1%、Zn:0.26%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
比較例3では、デンドライト2次アーム間隔43μm、金属間化合物のサイズ200μm、伸び3.9%の結果を得た。
比較例4では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.2%、Mg:0.29%、Cu:0.25%、Mn:0.3%、Fe:0.51%、Ti:0.1%、Zn:0.30%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
比較例4では、デンドライト2次アーム間隔45μm、金属間化合物のサイズ180μm、伸び4.6%の結果を得た。
比較例5では、溶湯の化学成分重量比を、化学成分重量比が、Si:7.1%、Mg:0.28%、Cu:0.25%、Mn:0.3%、Fe:0.51%、Ti:0.1%、Zn:0.29%、Sr:0.01とし、残部をAlおよび不可避的不純物とした。
比較例5では、デンドライト2次アーム間隔30μm、金属間化合物のサイズ250μm、伸び3.7%の結果を得た。
図5(A)は、実施例1〜11及び比較例1〜5について、デンドライト2次アーム間隔と靭性との相関の例を示し、図中(1)は実施例1〜11及び比較例1〜5の結果から求めた線形近似曲線である。
この図5(A)に示すように、デンドライト2次アーム間隔が小さいほど伸びが大きくなる相関が認められる。近似曲線(1)に基づき、デンドライト2次アーム間隔が45μm以下であれば少なくとも伸び5%以上となることが明らかになったので、デンドライト2次アーム間隔の好適な値は45μm以下であり、より好ましくは40μm以下であり、さらに好ましくは35μm以下である。デンドライト2次アーム間隔の値を25μm以下とすると最も好ましい値が得られることが明らかになった。
この図5(B)に示すように、金属間化合物のサイズが小さいほど伸びが大きくなる相関が認められる。金属間化合物のサイズが150μm以下であれば少なくとも伸び5%以上となることが明らかになった。近似曲線(2)に基づき、金属間化合物のサイズの好適な値は150μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは70μm以下である。金属間化合物のサイズを30μm以下とすると最も好ましい値が得られることが明らかになった。
この図6(A)に示すように、Fe量が多いほど金属間化合物のサイズが大きくなる相関が認められる。上述のように、金属間化合物のサイズが小さいほど優れた伸びを呈することが明らかである。近似曲線(3)に基づき、Fe量が0.51%以下であれば金属間化合物のサイズを150μm以下に抑えられることが明らかになった。有効数字を考慮し、Fe量を0.5%以下(0.51%を含む)とすることが好ましいと言える。言い換えれば、アルミニウム原料として再生塊アルミニウム材等のFeが含まれた原料を用いた場合であっても、Fe量が0.5%以下であれば、車両部品として好適な伸びが得られることが明らかになった。
図6(A)を参照して説明したように、Fe量が多いほど金属間化合物のサイズが大きくなり、これが伸びの低下に繋がることが明らかになっている。図6(B)の近似曲線(4)に基づき、Fe量を0.51%以下とすれば少なくとも伸び5%以上の良好な値を得られることが明らかになった。有効数字を考慮し、Fe量を0.5%以下(0.51%を含む)とすることが好ましいと言える。言い換えれば、アルミニウム原料として再生塊アルミニウム材等のFeが含まれた原料を用いた場合であっても、Fe量が0.5%以下であれば、車両部品として好適な伸びが得られることが明らかになった。
この図7(A)に示すように、Mn量が多いほど金属間化合物のサイズが大きくなる相関が認められる。上述のように、金属間化合物のサイズが小さいほど優れた伸びを呈することが明らかである。近似曲線(5)に基づき、Mn量が0.2%以下であれば金属間化合物のサイズを100μm以下に抑えられることが明らかになったので、Mn量は0.2%以下とすることが好ましい。
図7(A)を参照して説明したように、Mn量が多いほど金属間化合物のサイズが大きくなり、これが伸びの低下に繋がることが明らかになっている。図7(B)の実施例7、8(プロットG、H)および近似曲線(6)から、Mn量を0.2%以下とすれば少なくとも伸び5%以上の良好な値を得られることが明らかになった。言い換えれば、アルミニウム原料として再生塊アルミニウム材等のMnが含まれた原料を用いた場合であっても、Mn量を0.2%以下とすれば、車両部品として好適な伸びが得られることが明らかになった。
図8に示すように、実施例9の鋳造品のデンドライト2次アーム間隔(図中DAS)は、同写真の50μmのスケールと比較しても明らかに小さい。また、初晶α−Al晶の間に存在する金属間化合物はいずれも塊状であって、そのサイズは同写真の50μmのスケールと比較して小さい。この実施例9では9%の伸びが得られた。
これに対し、図9中に矢印で示すように、比較例4の鋳造品には、同写真の50μmのスケールと比較して大きい、金属間化合物の針状結晶が含まれている。比較例4の鋳造品の伸びは4.6%であり、上記において好適な値の基準として用いた5%を下回っている。
11 ハブ
15 スポーク
17 リム
20、40 鋳造用金型
21、41 上型
23、43 下型
25、45 スライド型
27 中子
31 注湯口
37 排出口
39a、39b、39c 冷却液流路
49a、49b、49c 成形面
Claims (8)
- 重量%でFe:0.5%以下、Mn:0.2%以下とし、SiおよびCuを含み、残部のAlおよび不可避的不純物を含み、
デンドライト2次アーム間隔が45μm以下、且つ、金属間化合物のサイズが150μm以下であることを特徴とする車両用アルミ合金。 - デンドライト2次アーム間隔が40μm以下、且つ、金属間化合物のサイズが100μm以下であることを特徴とする請求項1記載の車両用アルミ合金。
- デンドライト2次アーム間隔が35μm以下、且つ、金属間化合物のサイズが70μm以下であることを特徴とする請求項2記載の車両用アルミ合金。
- デンドライト2次アーム間隔が25μm以下、且つ、金属間化合物のサイズが30μm以下であることを特徴とする請求項3記載の車両用アルミ合金。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用アルミ合金を用いて構成されたことを特徴とする自動二輪車用ホイール。
- リム部(17)の厚みが20mm以下に設定されたことを特徴とする請求項5記載の自動二輪車用ホイール。
- 上型(21)、下型(23)、および、リム部(17)を形成するスライド型(25)を有し、前記上型(21)、前記下型(23)、及び前記スライド型(25)の少なくともいずれかにおいて、前記リム部(17)を形成する部分に冷却速度を速める冷却液流路(39)を形成した金型(20)を用い、溶湯重力金型鋳造により製造されたことを特徴とする請求項5又は6記載の自動二輪車用ホイール。
- 上型(21)、下型(23)、および、リム部(17)を形成するスライド型(41)を有し、前記上型(21)、前記下型(23)、及び前記スライド型(41)の少なくともいずれかにおいて、前記リム部(17)を形成する成形面(43)をベリリウム銅合金で形成した金型(40)を用い、溶湯重力金型鋳造で製造されたことを特徴とする請求項5又は6記載の自動二輪車用ホイール。
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