JP2014063669A - 非水電解液二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
低コストで放電容量及び初期効率が優れた正極活物質の製造方法を提供する。
【解決手段】
(Ni1−x−y−zCoMn(0.25<x<0.60、0<y<0.40、0≦z≦0.02、x+y+z<1、MはZr、W及びMgからなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表される第1の複合酸化物、(Ni1−x’−y’−z’Cox’Mny’M’z’(0≦x’<0.20、0<y’<0.60、0≦z’≦0.02、x’+y’+z’<x+y+z−0.10、M’はZr、W及びMgからなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表され、且つその中央粒径が第1の複合酸化物の中央粒径よりも小さい第2の複合酸化物、及びリチウム化合物を混合する工程と、混合工程で得られる混合物を焼成する工程とを含む非水電解液二次電池用正極活物質の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池用正極活物質の製造方法、特に、低コストで且つ優れた放電容量および初期効率を有する非水電解液二次電池用正極活物質の製造方法に関する。
近年、VTR、携帯電話、ノートパソコン等の携帯機器の普及および小型化が進み、その電源用にリチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池が用いられるようになってきている。非水電解液二次電池は、更に、最近の環境問題への対応から、電気自動車等の動力用電池としても注目されている。
リチウム二次電池用正極活物質としてはLiCoO(コバルト酸リチウム)が4V級の二次電池を構成できるものとして一般に広く採用されている。LiCoOを正極活物質として用いた場合、放電容量が約160mAh/gで実用化されている。
LiCoOの原料であるコバルトは希少資源であるためコストがかかり、また、偏在しているため原料供給について不安が生じる。
こうした事情に鑑み、LiNiO(ニッケル酸リチウム)も検討されている。LiNiOは、実用的には4V級で放電容量約200mAh/gの二次電池を実現可能であるが、充放電時の正極活物質の結晶構造の安定性に難がある。
そこで、LiNiOのニッケル原子を他元素で置換し、結晶構造の安定性を向上させつつLiCoO並みの放電容量を低コストで実現する研究もなされている。例えば、LiNi0.33Co0.33Mn0.33はコストの点でLiCoOよりも有利とされている。また、Coの割合を減らしてコストを下げ、Niの割合を増やして放電容量を向上させたLiNi0.5Co0.2Mn0.3のような正極活物質も知られている。
例えば、特許文献1には、組成式Lix1Nia1Mnb1Coc1(0.2≦x1≦1.2、0.6≦a1、0.05≦b1≦0.3、0.05≦c1≦0.3)で表され、平均一次粒子径が1μm以上3μm以下である第1の正極活物質と、組成式Lix2Nia2Mnb2Coc2(0.2≦x2≦1.2、a2≦0.5、0.05≦b2≦0.5、0.05≦c2≦0.5)で表され、平均一次粒子径が0.05μm以上0.5μm以下である第2の正極活物質と、を有することを特徴とする正極材料が開示されている。
特開2010−86693号公報
ノートパソコン、携帯電話等の手に持った、あるいは身につけた状態で使用することを想定した機器の分野においては、より軽く、より長寿命の非水電解液二次電池が求められる。上述のLiNi0.33Co0.33Mn0.33およびLiNi0.5Co0.2Mn0.3等のいわゆる多元系のリチウム遷移金属複合酸化物は、コストおよび容量の点で好適な材料であるが、昨今の要求に応えるには更なる改良が必要であった。
本発明はこれらの事情に鑑みてなされたものであり、低コストで且つ優れた放電容量および初期効率を有する正極活物質を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、正極活物質中のコバルト含有量の低減によるコストダウンと、放電容量および初期効率の向上とを両立するために鋭意検討を重ねた結果、コバルト含有量が比較的高く且つ中央粒径が比較的大きい特定組成の複合酸化物の粒子と、コバルト含有量が比較的低く且つ中央粒径が比較的小さい特定組成の複合酸化物の粒子とを用いて正極活物質を製造することにより、正極活物質全体のコバルト含有量を増加させることなく、高い放電容量及び初期効率を達成し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
一般式(Ni1−x−y−zCoMn(0.25<x<0.60、0<y<0.40、0≦z≦0.02、x+y+z<1、MはZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表され且つ中央粒径が10〜18μmである第1の複合酸化物の粒子、一般式(Ni1−x’−y’−z’Cox’Mny’M’z’(0≦x’<0.20、0<y’<0.60、0≦z’≦0.02、x’+y’+z’<x+y+z−0.10、M’はZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表され且つ中央粒径が、4〜10μmであり、且つ第1の複合酸化物の中央粒径より小さい第2の複合酸化物の粒子、およびリチウム化合物を含む原料を混合する混合工程と、
混合工程で得られる原料混合物を焼成する焼成工程と
を含む、非水電解液二次電池用正極活物質の製造方法である。
xとx’について、x−x’>0.10であることが好ましい。また、x’=0であることが好ましい。
混合工程において、第1の複合酸化物および第2の複合酸化物は、7:3〜5:5のモル比で混合することが好ましい。
本発明の方法によって得られる非水電解液二次電池用正極活物質の平均組成は、好ましくは、一般式LiNi1−q−r−sCoMn(1.0≦p≦1.2、0.15≦q≦0.35、0.30≦r≦0.40、0≦s≦0.02、q+r+s<1、MはZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表される。
また、本発明の方法によって得られる非水電解液二次電池用正極活物質は、一般式LiNi1−b−c−dCoMn(1.0≦a≦1.2、0.20<b≦0.40、0<c≦0.40、0≦d≦0.02、b+c+d<1、MはZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表され、中央粒径が6μm〜14μmである第1のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子と、
一般式Lia’Ni1−b’−c’−d’Cob’Mnc’M’d’(1.0≦a’≦1.2、0<b’≦0.30、b’<b、0<c’≦0.40、0≦d’≦0.02、b’+c’+d’<b+c+d、M’はZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表され、中央粒径が、2μm〜10μmであり且つ第1のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径より小さい、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子と
を含むことが好ましい。
第2のリチウム遷移金属複合酸化物において、X線回折法により求められるニッケル元素のディスオーダーは、好ましくは1.5〜5.0%である。
焼成工程における焼成温度は、好ましくは900〜1000℃である。
更に、本発明は、一般式LiNi1−b−c−dCoMn(1.0≦a≦1.2、0.20<b≦0.40、0<c≦0.40、0≦d≦0.02、b+c+d<1、MはZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表され、中央粒径が6μm〜14μmである第1のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子と、
一般式Lia’Ni1−b’−c’−d’Cob’Mnc’M’d’(1.0≦a’≦1.2、0<b’≦0.30、b’<b、0<c’≦0.40、0≦d’≦0.02、b’+c’+d’<b+c+d、M’はZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表され、中央粒径が2μm〜10μmであり、且つ前記第1のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径より小さい第2のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子と
を含む、非水電解液二次電池用正極活物質に関する。
本発明の方法により製造される正極活物質は、非水電解液二次電池の単位質量当たりの放電容量および初期効率を向上させることができる。また、本発明の方法により製造される正極活物質を用いることにより、非水電解液二次電池の初期効率が向上するので、負極活物質として炭素材料を用いる場合、従来と比較してより少ない負極活物質量で、従来と同等の放電容量を実現することができる。また、本発明の方法により製造される正極活物質を用いることにより、単位質量当たりの放電容量が向上するので、従来と比較してより少ない正極活物質量で、従来と同等の放電容量を実現することができる。即ち、本発明の方法により製造される正極活物質を用いることにより、非水電解液二次電池の軽量化およびコストダウンが可能である。本発明の方法により製造される正極活物質は、単位質量当たりの放電容量の向上が特に顕著であるので、従来よりも軽く且つ高容量の非水電解液二次電池が製造可能である。
本発明の上記構成と効果との関係については、凡そ以下の通りであると考えられる。
本発明の方法により得られる非水電解液二次電池用正極活物質は、第1の複合酸化物に由来する第1のリチウム遷移金属複合酸化物と、第2の複合酸化物に由来する第2のリチウム遷移金属複合酸化物とを含む。第1の複合酸化物の中央粒径が第2の複合酸化物の中央粒径より大きいことに起因して、第1のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径は、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径より大きくなっている。以下、第1および第2のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子をそれぞれ、単に大粒子および小粒子とも呼ぶ。
リチウム遷移金属複合酸化物は一般に、組成中のコバルト比率が高いほど初期効率が向上する傾向にあるが、コストアップにつながるので好ましくない。また、組成中のコバルト比率が同等の場合、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子径が大きいほど初期効率は低下する傾向にある。
本発明の方法によって得られる正極活物質は、上述のように大粒子と小粒子とを含んでいる。第1の複合酸化物のコバルト含有量が第2の複合酸化物のコバルト含有量より多いことに起因して、得られる正極活物質中の第1のリチウム遷移金属複合酸化物(大粒子)のコバルト含有量は、第2のリチウム遷移金属複合酸化物(小粒子)のコバルト含有量と比較して多くなっている。大粒子の組成中のコバルト比率を小粒子の組成中のコバルト比率より高くすることにより、一般に初期効率に劣る大粒子の初期効率を向上させることができ、その結果、正極活物質全体として初期効率を向上させることができる。
一方、第2の複合酸化物のニッケル含有量が第1の複合酸化物のニッケル含有量より多いことに起因して、第2のリチウム遷移金属複合酸化物(小粒子)のニッケル含有量は、第1のリチウム遷移金属複合酸化物(大粒子)のニッケル含有量と比較して多くなっている。リチウム遷移金属複合酸化物は、ニッケル比率が高いほど単位質量当たりの放電容量が向上する傾向にある。また、リチウム遷移金属複合酸化物は、同一組成の場合、粒子径が小さいほど比表面積が大きくなり、従って、充放電に関わる領域の割合が大きくなる。本発明の方法により得られる正極活物質は、大粒子と比較して充放電に関わる領域の割合が大きい小粒子におけるニッケル含有量が多いので、正極活物質全体として単位質量当たりの放電容量を向上させることができる。
これらの結果、正極活物質全体のコバルト比率を増加させることなく、初期効率および単位質量当たりの放電容量を向上させることができる。
図1は、実施例6〜8における第1のリチウム遷移金属複合酸化物中のNiディスオーダーと、焼成温度との関係を示すグラフである。 図2は、実施例6〜8における第2のリチウム遷移金属複合酸化物中のNiディスオーダーと、焼成温度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の正極活物質の製造方法について、実施の形態および実施例を用いて詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施の形態および実施例に限定されるものではない。
本発明の方法は、第1の複合酸化物、第2の複合酸化物およびリチウム酸化物を含む原料を混合する混合工程と、混合工程で得られる原料混合物を焼成する焼成工程とを含む。
[第1の複合酸化物]
本発明における第1の複合酸化物は、一般式(Ni1−x−y−zCoMnで表され、式中、0.25<x<0.60、0<y<0.40、0≦z≦0.02、x+y+z<1、MはZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素である。xの値が0.25より大きいと、二次電池の初期効率を向上させることができるので好ましい。xの値が0.60より小さいと、製造コストを抑えることができるので好ましい。第1の複合酸化物は、Mnを含むことにより、得られる正極活物質の結晶構造の安定性を向上させることができる。yが0.40より小さいと、良好な放電容量および初期効率が得られるので好ましい。第1の複合酸化物は、場合によりZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素Mを含んでよい。zが0.02以下であると、良好な電池特性が得られるので好ましい。
第1の複合酸化物の製造方法は、特に限定されるものではないが、共沈法等の公知の方法を用いることができる。
[第2の複合酸化物]
本発明における第2の複合酸化物は、一般式(Ni1−x’−y’−z’Cox’Mny’M’z’で表され、式中、(0≦x’<0.20、0<y’<0.60、0≦z’≦0.02、x’+y’+z’<1、M’はZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素である。x’の値が0.20より小さいと、製造コストを抑えることができるので好ましい。xの値は、x’の値より大きい。xの値をx’の値より大きくすることにより、正極活物質の製造に用いるCo量を増加させることなく、正極活物質の放電容量および初期効率を向上させることができる。xとx’について、x−x’>0.10であると、得られる正極活物質の平均組成が同じである場合、正極活物質の放電容量および初期効率を向上させる効果が高くなるので、好ましい。より好ましくは、x’=0である。x’=0であると、正極活物質の放電容量および初期効率をより一層向上させることができる。第2の複合酸化物は、Mnを含むことにより、得られる正極活物質の結晶構造の安定性を向上させることができる。y’の値が0.60より小さいと、良好な放電容量および初期効率が得られるので好ましい。第2の複合酸化物は、場合によりZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素Mを含んでよい。z’が0.02以下であると、良好な電池特性が得られるので好ましい。
第2の複合酸化物におけるニッケル含有量は、第1の複合酸化物におけるニッケル含有量より多く、(x’+y’+z’)<(x+y+z)−0.10の関係式を満たしている。x、y、z、x’、y’およびz’の値が上記関係式を満たしていると、得られる正極活物質において、第2のリチウム遷移金属複合酸化物のニッケル含有量が、第1のリチウム遷移金属複合酸化物のニッケル含有量より多くなり、その結果、正極活物質の単位質量当たりの放電容量を向上させることができる。
第2の複合酸化物の中央粒径は、第1の複合酸化物の中央粒径より小さい。第2の複合酸化物の中央粒径を第1の複合酸化物の中央粒径より小さくすることにより、得られる活物質の密度が増加し、その結果、単位体積当たりの活物質の放電容量が増加する。
第1の複合酸化物の中央粒径は10〜18μmであり、第2の複合酸化物の中央粒径は4〜10μmである。第1および第2の複合酸化物がこのような中央粒径を有することにより、得られる正極活物質の嵩密度が高くなり、二次電池の体積当たりの放電容量を向上させることができる。
第2の複合酸化物の製造方法は、特に限定されるものではないが、共沈法等の公知の方法を用いることができる。
[リチウム化合物]
本発明の方法で使用可能なリチウム酸化物としては、例えば、炭酸リチウム、水酸化リチウム、シュウ酸リチウム、硫酸リチウム、リン酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム等が挙げられる。
[混合工程]
混合工程において、上述の第1の複合酸化物と、第2の複合酸化物と、リチウム化合物とを含む原料を混合して原料混合物を作製する。第1の複合酸化物および第2の複合酸化物は、7:3〜5:5のモル比で混合することが好ましい。このようなモル比で混合することにより、得られる正極活物質の嵩密度を高くすることができ、その結果、得られる二次電池の単位体積当たりの放電容量を大きくすることができる。
リチウム化合物の量は、得られる正極活物質の平均組成LiNi1−q−r−sCoMnにおいて1.0≦p≦1.2となるように適宜調節する。
上記第1および第2の複合酸化物ならびにリチウム化合物の他、目的に応じて融剤(焼結助剤)あるいは焼結抑制剤等を混合してもよい。
混合は、羽根式撹拌機、V型混合機等の公知の装置を用いて行うことができる。あるいは原料を分散媒に分散して湿式混合し、噴霧乾燥を経て原料混合物を得てもよい。
[焼成工程]
焼成工程において、混合工程で得られる原料混合物を焼成する。焼成温度は、900〜1000℃であることが好ましい。焼成温度が上記範囲内であると、焼結工程において第1の複合酸化物中のコバルト原子が第2の複合酸化物へと移動し、その結果、得られる正極活物質中の後述の第2のリチウム遷移金属複合酸化物において、X線回折法により求められるニッケル元素のディスオーダーを小さくすることができる。ニッケル元素のディスオーダーが小さいと、二次電池の初期効率を向上させることができる。
[その他追加の工程]
混合工程で得られる原料混合物は、焼成工程の前に仮焼成して酸化物とする熱分解工程を経てもよい。また、焼成工程によって得られる焼成品は、必要に応じて粉砕、湿式処理、分級、アニール等の工程を追加してもよい。
本発明の方法により得られる非水電解液二次電池用正極活物質は、第1の複合酸化物に由来する第1のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子と、第2の複合酸化物に由来する第2のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子とを含む。第1の複合酸化物の中央粒径が第2の複合酸化物の中央粒径より大きいことに起因して、第1のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径は、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径より大きい。第1の複合酸化物のコバルト含有量が第2の複合酸化物のコバルト含有量より多いことに起因して、第1のリチウム遷移金属複合酸化物のコバルト含有量は、第2のリチウム遷移金属複合酸化物のコバルト含有量と比較して多い。
また、第2の複合酸化物のニッケル含有量が第1の複合酸化物のニッケル含有量より多いことに起因して、第2のリチウム遷移金属複合酸化物のニッケル含有量は、第1のリチウム遷移金属複合酸化物のニッケル含有量と比較して多い。
本発明の方法により得られる正極活物質は、上述の第1のリチウム遷移金属複合酸化物(大粒子)と第2のリチウム遷移金属複合酸化物(小粒子)とを含んでいるので、小粒子が大粒子の隙間に入り込むことにより、正極活物質の嵩密度が向上する。従って、本発明の方法により製造される正極活物質を用いて得られる二次電池は、平均組成が同じであり且つ単一の組成および中央粒径を有するリチウム遷移金属複合酸化物のみを実質的に含む正極活物質を用いて得られる二次電池と比較して、単位体積当たりの放電容量が向上する。
正極活物質は一般に、粒子径が大きいほど初期効率が低下する傾向にある。本発明の方法で得られる正極活物質は、大粒子のコバルト含有量が多いことにより、大粒子の初期効率を向上させることができる。更に、大粒子のコバルト含有量を高くすると共に小粒子のコバルト含有量を低くすることにより、正極活物質全体のコバルト含有量を増加させることなく優れた初期効率を達成することができる。
一方、小粒子のニッケル含有量は、大粒子のニッケル含有量と比較して多くなっている。このため、小粒子の単位質量当たりの放電容量は、正極活物質全体の平均組成と同じ組成を有する場合と比較して向上する。同一組成においては、粒子径が小さいほど粒子の充放電に関わる領域の比率が大きいので、組成の調節により得られる単位質量当たりの放電容量向上の効果は、粒子径が小さいほど大きくなる。本発明の方法により得られる正極活物質において放電容量増加の効果を担うのが小粒子であるため、結果として正極活物質全体の単位質量当たりの放電容量も向上させることができる。
以上より、本発明の方法によって得られる正極活物質は、正極活物質全体のコバルト含有量を高くすることなく、優れた初期効率および単位質量当たりの放電容量を達成することができ、低コストと電池特性の向上とを両立することができる。
本発明の方法により得られる非水電解液二次電池用正極活物質の平均組成は、好ましくは、一般式LiNi1−q−r−sCoMnで表され、式中、1.0≦p≦1.2、0.15≦q≦0.35、0.30≦r≦0.40、0≦s≦0.02、q+r+s<1、MはZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素である。pの値は大きいほど放電容量が向上するが、大きすぎると正極活物質を使用可能な形態で得ることが困難になってしまう。pの値が1.0≦p≦1.2の範囲内であると、放電容量が向上し且つ正極活物質を使用可能な形態で得ることができるので好ましい。qが0.15以上であると、二次電池の初期効率を向上させることができるので好ましい。qが0.35以下であると、製造コストを抑えることができるので好ましい。rが0.30以上であると、正極活物質の結晶構造の安定性を向上させることができるので好ましい。rが0.40以下であると、良好な放電容量および初期効率が得られるので好ましい。本発明の方法により得られる正極活物質は、Zr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素Mを含んでよい。sが0.02以下であると、良好な電池特性が得られるので好ましい。
本発明の方法により得られる正極活物質は、第1の複合酸化物に由来する第1のリチウム遷移金属酸化物の粒子と、第2の複合酸化物に由来する第2のリチウム遷移金属複合酸化物とを含む。
[第1のリチウム遷移金属複合酸化物]
本発明に係る第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、好ましくは、一般式LiNi1−b−c−dCoMnで表され、式中、1.0≦a≦1.2、0.20<b≦0.40、0<c≦0.40、0≦d≦0.02、b+c+d<1、MはZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素である。aの値は大きいほど放電容量が向上するが、大きすぎると正極活物質を使用可能な形態で得ることが困難になってしまう。aが1.0以上1.2以下であると、放電容量が向上し且つ正極活物質を使用可能な形態で得ることができるので好ましい。bが0.20より大きいと、二次電池の初期効率を向上させることができるので好ましい。bが0.40以下であると、製造コストを抑えることができるので好ましい。第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、Mnを含むことにより、結晶構造の安定性を向上させることができる。cが0.40以下であると、良好な放電容量および初期効率が得られるので好ましい。第1のリチウム遷移金属複合酸化物は、場合によりZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素Mを含んでよい。dが0.02以下であると、良好な電池特性が得られるので好ましい。
[第2のリチウム遷移金属複合酸化物]
本発明に係る第2のリチウム遷移金属複合酸化物は、好ましくは、一般式Lia’Ni1−b’−c’−d’Cob’Mnc’M’d’で表され、式中、1.0≦a’≦1.2、0<b’≦0.30、b’<b、0<c’≦0.40、0≦d’≦0.02、b’+c’+d’<b+c+d、M’はZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素である。a’の値は大きいほど放電容量が向上するが、大きすぎると正極活物質を使用可能な形態で得ることが困難になってしまう。a’が1.0以上1.2以下であると、放電容量が向上し且つ正極活物質を使用可能な形態で得ることができるので好ましい。b’が0より大きく且つ0.30以下であると、低コストと放電容量および初期効率の向上とを両立させることができるので好ましい。bの値は、b’の値より大きいことが好ましい。bの値がb’の値より大きいことにより、正極活物質全体のコバルト含有量を増加させることなく、放電容量および初期効率を向上させることができ、その結果、低コストと電池特性の向上とを両立させることができる。第2のリチウム遷移金属複合酸化物は、Mnを含むことにより、結晶構造の安定性を向上させることができる。c’が0.40以下であると、良好な放電容量および初期効率が得られるので好ましい。第2のリチウム遷移金属複合酸化物は、場合によりZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素Mを含んでよい。d’が0.02以下であると、良好な電池特性が得られるので好ましい。
第2のリチウム遷移金属複合酸化物のニッケル含有量は、第1のリチウム遷移金属複合酸化物のニッケル含有量より多く、(b’+c’+d’)<(b+c+d)の関係式を満たしている。b、c、d、b’、c’およびd’の値が上記関係式を満たしていることにより、正極活物質の単位質量当たりの放電容量を向上させることができる。
第2のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径は、第1のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径より小さいことが好ましい。第2のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径が第1のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径より小さいことにより、正極活物質の嵩密度を高くすることができ、その結果、正極活物質を用いて得られる二次電池の単位体積当たりの放電容量を増加させることができる。
第1のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径は6μm〜14μmであり、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径は2μm〜10μmである。第1および第2のリチウム遷移金属複合酸化物がこのような中央粒径を有することにより、正極活物質全体の嵩密度が高くなり、得られる二次電池の単位体積当たりの放電容量が高くなる。
得られる正極活物質において、第1のリチウム遷移金属複合酸化物は第1の複合酸化物に由来し、第2のリチウム遷移金属複合化合物は第2の複合酸化物に由来する。
しかし、第1の複合酸化物と第1のリチウム遷移金属複合酸化物とでは、各金属元素の組成比が異なっている。同様に、第2の複合酸化物と第2のリチウム遷移金属複合酸化物とでは、各金属元素の組成比が異なっている。これは、焼成工程において、第1の複合酸化物と第2の複合酸化物との間で金属元素の一部が移動するからである。この金属元素の移動のうち、第1の複合酸化物中のコバルト元素の一部が第2の複合酸化物へと移動することにより、得られる第2のリチウム遷移金属複合酸化物におけるニッケルのディスオーダーは、第2の複合酸化物のみをリチウム化合物と混合して焼成した場合に得られるリチウム遷移金属複合酸化物におけるニッケルのディスオーダーよりも低くなる。なお、本明細書において、ディスオーダーとは、本来のサイトを占有すべき遷移金属イオン(主にニッケルイオン)の化学的配列無秩序(chemical disorder)を意味する。層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物においては、Wyckoff記号で表記した場合に3bで表されるサイト(3bサイト、以下同様)を占有すべきリチウムイオンと3aサイトを占有すべき遷移金属イオンの入れ替わりが代表的である。ニッケルのディスオーダーが小さいほど、初期効率が向上するので好ましい。
リチウム遷移金属複合酸化物におけるニッケル元素のディスオーダーは、X線回折法により求めることができる。リチウム遷移金属複合酸化物について、CuKα線によりX線回折スペクトルを測定する。組成モデルをLi1−xNiMeO(Meは、リチウム遷移金属複合酸化物中のニッケル以外の遷移金属)とし、得られたX線回折スペクトルに基づいて、リートベルト解析により構造最適化を行う。構造最適化の結果算出されるxをニッケルのディスオーダーの値とする。
本発明の方法により得られる第2のリチウム遷移金属複合酸化物のNiディスオーダーの値は、焼成工程における焼成温度が高いほど小さくなる傾向にある。本発明の方法により正極活物質を製造する場合、焼成温度は900〜1000℃であることが好ましい。焼成温度が900℃以上であると、Niディスオーダーの値が5.0%以下と十分低くなる。焼成温度が1000℃以下であると、得られる第2のリチウム遷移金属複合酸化物の焼結が進み過ぎるのを回避できる。
第2のリチウム遷移金属複合酸化物において、X線回折法により求められるニッケル元素のディスオーダーは、5.0%以下であることが好ましい。ディスオーダーは低ければ低いほど二次電池の初期効率を向上させることができるので好ましいが、製造の手間等を考慮すると現実的には1.5%程度で十分である。
上述の第1および第2のリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質は、低コストと、優れた放電容量および初期効率とを両立することができ、特に、単位質量当たりの放電容量の向上が顕著であるので、従来よりも軽く且つ高容量の非水電解液二次電池が製造可能である。
[実施例1]
第1の複合酸化物として中央粒径が18μmの(Ni0.45Co0.30Mn0.25を、第2の複合酸化物として、第2の複合酸化物として中央粒径が4.0μmの(Ni0.65Mn0.35を共沈法によって各々作製した。炭酸リチウム1.04mol、第1の複合酸化物0.35mol、第2の複合酸化物0.15molを混合機で混合して原料混合物を得た。この原料混合物を保持温度920℃で10時間焼成した。得られた焼成品を粉砕し、乾式篩にかけて、平均組成が一般式Li1.04Ni0.51Co0.21Mn0.28で表される実施例1の正極活物質を得た。
[実施例2]
第1の複合酸化物として中央粒径が18μmの(Ni0.45Co0.35Mn0.20を、第2の複合酸化物として中央粒径が4.0μmの(Ni0.60Mn0.40を共沈法によって各々作製した。炭酸リチウム1.04mol、第1の複合酸化物0.30mol、第2の複合酸化物0.20molを混合機で混合して原料混合物を得た。この原料混合物を保持温度920℃で10時間焼成した。得られた焼成品を粉砕し、乾式篩にかけて、平均組成が一般式Li1.04Ni0.51Co0.21Mn0.28で表される実施例2の正極活物質を得た。
[実施例3]
共沈法によって作製した中央粒径が4.0μmの(Ni0.65Mn0.35を第2の複合酸化物として使用した以外は実施例2と同様の手順で、実施例3の正極活物質を得た。実施例3の正極活物質の平均組成は、一般式Li1.04Ni0.53Co0.21Mn0.26で表される。
[実施例4]
第1の複合酸化物として中央粒径が18μmの(Ni0.40Co0.40Mn0.20を、第2の複合酸化物として中央粒径が4.0μmの(Ni0.60Mn0.40を共沈法によって各々作製した。炭酸リチウム1.04mol、第1の複合酸化物0.25mol、第2の複合酸化物0.25molを混合機で混合して原料混合物を得た。この原料混合物を保持温度920℃で10時間焼成した。得られた焼成品を粉砕し、乾式篩にかけて、平均組成が一般式Li1.04Ni0.50Co0.20Mn0.30で表される実施例4の正極活物質を得た。
[実施例5]
共沈法によって作製した中央粒径が4.0μmの(Ni0.65Mn0.35を第2の複合酸化物として使用した以外は実施例4と同様の手順で、実施例5の正極活物質を得た。実施例5の正極活物質の平均組成は、一般式Li1.04Ni0.525Co0.20Mn0.275で表される。
[比較例1]
中央粒径が18μmの(Ni0.50Co0.20Mn0.30を共沈法によって作製した。炭酸リチウム1.04molおよび0.5molの(Ni0.50Co0.20Mn0.30を混合機で混合して原料混合物を得た。この原料混合物を保持温度920℃で10時間焼成した。得られた焼成品を粉砕し、乾式篩にかけて、平均組成が一般式Li1.04Ni0.50Co0.20Mn0.30で表される比較例1の正極活物質を得た。
実施例1〜5および比較例1の正極活物質を用いて、以下の手順で評価用電池を作製した。
[正極の作製]
実施例1〜5および比較例1の正極活物質を用いて、以下に示す手順で正極を作製した。
正極活物質90重量部、アセチレンブラック5.0重量部、および結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)5.0重量部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極スラリーを調製した。得られた正極スラリーを、集電体としてのアルミニウム箔に塗布し、乾燥後ロールプレス機で圧縮成形して正極極板を得た。この極板を所定のサイズに裁断することにより、正極を得た。
[負極の作製]
以下に示す手順で負極を作製した。
チタン酸リチウム90重量部、アセチレンブラック3.0重量部、VGCF(登録商標、気相法炭素繊維)2.0重量部およびPVDF5.0重量部をNMPに分散させて負極スラリーを調製した。得られた負極スラリーを、集電体としてのアルミニウム箔に塗布し、乾燥後ロールプレス機で圧縮成形して負極極板を得た。この極板を所定のサイズに裁断することにより、負極を得た。
[電解液の調製]
以下に示す手順で電解液を作製した。
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とを体積比3:7で混合し、得られた混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を濃度が1mol/lになるように溶解させて、電解液を調製した。
[電池の組み立て]
上述の手順で作製した実施例1〜5および比較例1の正極と、負極と、電解液とを用いて、以下に示す手順で非水電解液二次電池を組み立てた。
正極および負極の集電体に各々リード電極を取り付けた後、正極と負極との間にセパレータを配し、袋状のラミネートパックにそれらを収納した。次いで、これを60℃で真空乾燥させて、各部材に吸着した水分を除去した。その後、アルゴン雰囲気下でラミネートパック内に電解液を注入し、封止した。こうして得られた電池を25℃の恒温槽に入れ、微弱電流でエージングを行った。
[充放電試験]
実施例1〜5および比較例1の各電池を、25℃に設定した恒温槽に接続し、充電電位4.6V−充電負荷0.2C(1Cは1時間で放電が終了する電流負荷を意味する)で充電した後、放電電位2.0V−放電負荷0.05Cにて放電し、初期充放電容量を測定した。結果を表1に示す。実施例1〜5の正極活物質を用いて作製した電池は、比較例1の正極活物質を用いて作製した電池と比較して、優れた初期放電容量および初期効率を示した。実施例1〜5および比較例1の正極活物質は、ほぼ同じ平均組成を有している。このことから、本発明の方法を用いることにより、正極活物質全体のコバルト含有量を増加させることなく放電容量および初期効率を向上させ得ることがわかる。
第1の複合酸化物の組成が同じである場合、第2の複合酸化物のニッケル含有量が多いほど初期放電容量が大きくなる傾向が見られた。また、第1の複合酸化物のコバルト含有量が多いほど、初期効率が高くなる傾向が見られた。
Figure 2014063669
焼成温度と、ディスオーダーとの関係を評価するために、下記の実施例6〜8の正極活物質を作製した。
[実施例6]
第1の複合酸化物として中央粒径が18μmの(Ni0.45Co0.30Mn0.25を、第2の複合酸化物として中央粒径が4.0μmの(Ni0.60Mn0.40を共沈法によって各々作製した。炭酸リチウム1.04mol、第1の複合酸化物0.35mol、第2の複合酸化物0.15molを混合機で混合して原料混合物を得た。この原料混合物を保持温度850℃で10時間焼成した。得られた焼成品を粉砕し、乾式篩にかけて、平均組成が一般式Li1.04Ni0.495Co0.21Mn0.295で表される実施例6の正極活物質を得た。この正極活物質を湿式分級して、中央粒径が12μmの第1のリチウム遷移金属複合酸化物と、中央粒径が4μmの第2のリチウム遷移金属複合酸化物とを得た。
[実施例7]
焼成温度を900℃にする以外は実施例6と同様の手順で、平均組成が一般式Li1.04Ni0.495Co0.21Mn0.295で表される実施例7の正極活物質を得た。この正極活物質を湿式分級して、中央粒径が12μmの第1のリチウム遷移金属複合酸化物と、中央粒径が4μmの第2のリチウム遷移金属複合酸化物とを得た。
[実施例8]
焼成温度を950℃にする以外は実施例6と同様の手順で、平均組成が一般式Li1.04Ni0.495Co0.21Mn0.295で表される実施例8の正極活物質を得た。この正極活物質を湿式分級して、中央粒径が12μmの第1のリチウム遷移金属複合酸化物と、中央粒径が4μmの第2のリチウム遷移金属複合酸化物とを得た。
[ニッケル元素のディスオーダーの算出]
実施例6〜8で得られた第1および第2のリチウム遷移金属複合酸化物におけるニッケル元素のディスオーダーを、X線回折法により下記の手順で求めた。
各々のリチウム遷移金属複合酸化物について、CuKα線によりX線回折スペクトルを測定した。得られたX線回折スペクトルに基づいて、組成モデルをLi1−xNiMeO(Meは、リチウム遷移金属複合酸化物中のニッケル以外の遷移金属)として、リチウム遷移金属複合酸化物について、リートベルト解析により、構造最適化を行った。構造最適化の結果算出されるxをニッケルのディスオーダーの値とした。結果を図1および2に示す。第1および第2のリチウム遷移金属複合酸化物の両方において、焼成温度の上昇と共にニッケルのディスオーダーは低下した。特に、第2のリチウム遷移金属複合酸化物において、ニッケルのディスオーダーの低下が顕著であり、焼成温度950℃におけるニッケルのディスオーダーは約2.5%であった。これは、(Ni0.60Mn0.40を単独で炭酸リチウムと共に焼成した場合におけるニッケルのディスオーダーが8%程度であることと対照的である。
[EDX測定]
EDX(エネルギー分散型X線分光法)を用いて、実施例6〜8で得られた第1および第2のリチウム遷移金属複合酸化物の組成を分析した。結果を表2に示す。表2より、実施例6の正極活物質において、第1のリチウム遷移金属複合酸化物の組成がLi1.04Ni0.468Co0.326Mn0.206であり、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の組成がLi1.04Ni0.624Co0.042Mn0.334であることがわかる。同様に、実施例7の正極活物質における第1および第2のリチウム遷移金属複合酸化物の組成はそれぞれ、Li1.04Ni0.476Co0.305Mn0.219およびLi1.04Ni0.547Co0.208Mn0.245であり、実施例8の正極活物質における第1および第2のリチウム遷移金属複合酸化物の組成はそれぞれ、Li1.04Ni0.484Co0.290Mn0.225およびLi1.04Ni0.514Co0.214Mn0.272であった。
Figure 2014063669
第2のリチウム遷移金属複合酸化物は、焼成温度850℃の場合(実施例6)、コバルトをほとんど含有しない。これは、出発物質である第2の複合酸化物がコバルトを含まないことに起因する。これに対し、焼成温度950℃の場合(実施例8)、第2のリチウム遷移金属複合酸化物はコバルトを21.4mol%含有する。これは、第1の複合酸化物に含まれるコバルトが焼成工程において第2の複合酸化物へと移動したことによると考えられる。表2より、焼成温度が高いほど、得られる第2のリチウム遷移金属複合酸化物におけるコバルト含有量が増加し、従って、第1の複合酸化物から第2の複合酸化物へのコバルトの移動頻度が高くなることがわかる。
上述のように、焼成温度が高いほど、第1の複合酸化物から第2の複合酸化物へのコバルトの移動頻度が高くなり、その結果、ニッケルのディスオーダーが低下すると考えられる。このようにニッケルのディスオーダーが低下することにより、電池の初期効率が向上すると考えられる。
本発明の非水電解液二次電池用正極活物質は、ノート型パソコン、携帯電話、電動工具等、軽量且つ高容量であることが求められる小・中型機器の二次電池に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 一般式(Ni1−x−y−zCoMn(0.25<x<0.60、0<y<0.40、0≦z≦0.02、x+y+z<1、MはZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表され且つ中央粒径が10〜18μmである第1の複合酸化物の粒子、一般式(Ni1−x’−y’−z’Cox’Mny’M’z’(0≦x’<0.20、0<y’<0.60、0≦z’≦0.02、x’+y’+z’<x+y+z−0.10、M’はZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表され且つ中央粒径が、4〜10μmであり、且つ前記第1の複合酸化物の中央粒径より小さい第2の複合酸化物の粒子、およびリチウム化合物を含む原料を混合する混合工程と、
    前記混合工程で得られる原料混合物を焼成する焼成工程と
    を含む、非水電解液二次電池用正極活物質の製造方法。
  2. 前記xと前記x’について、x−x’>0.10である、請求項1に記載の方法。
  3. x’=0である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記混合工程において、前記第1の複合酸化物および前記第2の複合酸化物を、7:3〜5:5のモル比で混合する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 得られる非水電解液二次電池用正極活物質の平均組成が、一般式LiNi1−q−r−sCoMn(1.0≦p≦1.2、0.15≦q≦0.35、0.30≦r≦0.40、0≦s≦0.02、q+r+s<1、MはZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 得られる非水電解液二次電池用正極活物質が、一般式LiNi1−b−c−dCoMn(1.0≦a≦1.2、0.20<b≦0.40、0<c≦0.40、0≦d≦0.02、b+c+d<1、MはZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表され、中央粒径が6μm〜14μmである第1のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子と、
    一般式Lia’Ni1−b’−c’−d’Cob’Mnc’M’d’(1.0≦a’≦1.2、0<b’≦0.30、b’<b、0<c’≦0.40、0≦d’≦0.02、b’+c’+d’<b+c+d、M’はZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表され、中央粒径が2μm〜10μmであり、且つ第1のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径より小さい、第2のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子と
    を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記第2のリチウム遷移金属複合酸化物において、X線回折法により求められるニッケル元素のディスオーダーが1.5〜5.0%である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記焼成工程における焼成温度が900〜1000℃である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 一般式LiNi1−b−c−dCoMn(1.0≦a≦1.2、0.20<b≦0.40、0<c≦0.40、0≦d≦0.02、b+c+d<1、MはZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表され、中央粒径が6μm〜14μmである第1のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子と、
    一般式Lia’Ni1−b’−c’−d’Cob’Mnc’M’d’(1.0≦a’≦1.2、0<b’≦0.30、b’<b、0<c’≦0.40、0≦d’≦0.02、b’+c’+d’<b+c+d、M’はZr、WおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種類の元素)で表され、中央粒径が、2μm〜10μmであり、且つ前記第1のリチウム遷移金属複合酸化物の中央粒径より小さい第2のリチウム遷移金属複合酸化物の粒子と
    を含む、非水電解液二次電池用正極活物質。
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