JP2014061505A - 透湿防水膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエチレンを含むポリオレフィン微多孔膜からなり、水蒸気透過量が4000〜10000g/m2/24hrであり、耐水圧が30kPa以上である透湿防水膜。
【選択図】なし
Description
例えば、衛生用品のひとつである紙おむつは、肌に直接触れて尿を素早く吸収材に送り込む表面材、表面材を通過した尿を吸収する吸収紙や高分子吸収材からなる吸収材、および、紙おむつの外側を覆う尿の漏れを防止する防水材から構成されている。最近では、一部の紙おむつの防水材に、水分を通さずに通気性能を有する材料を使うことが新たに考案されてきてはいるものの、紙おむつの内部での蒸れによって発生する肌の不具合や装着時の不快感は、依然として解消されていない。
また、例えば、燃料電池の高分子電解質では、特許文献3で提案されているように、高分子多孔質膜の空隙(孔部分)に高分子電解質を含有させることで、電解質自体ではなし得なかった機械的強度の向上を、高分子多孔質膜を支持体に利用することで達成している。さらに、電解質中では水素イオンの高い電導性を保つために、電解質膜を湿潤状態に保つ必要があり、その湿潤状態を保つために、燃料となる水素や空気は予め加湿され、反応場である電解質に供給されている。その加湿された水素や空気を高分子電解質膜の全体に行き渡らせるために、支持体となる高分子多孔質には、優れた透湿性能と通気性能を有することが求められている。
また、例えば、熱交換素子では、建築基準法の改正により、シックハウス対策として屋内空気の24時間常時換気が義務付けられ、夏場や冬場など外気と屋内の温度差が大きい季節のエネルギーロスが大きな問題となっている。室内の空調の冷暖房効率の損失を抑えた換気方法としては、給気流と排気流との間で熱交換を行わせる換気方法がある。熱交換の効率を向上させるためには、給気流と排気流との間で温度(顕熱)とともに湿度(潜熱)の交換も同時に行う全熱交換が有効である。全熱交換を行うための全熱交換素子では、給気流路と排気流路とが、仕切板を挟んで互いに独立した流路として形成される。給気流路を流れる給気流と、排気流路を流れる排気流との間で全熱交換が行われるため、全熱交換素子を備える全熱交換器で室内の空気を換気すれば、室内の空調の冷暖房効率の損失を抑えることができる。
1. ポリエチレンを含むポリオレフィン微多孔膜からなり、水蒸気透過量が4000〜10000g/m2/24hrであり、耐水圧が30kPa以上である透湿防水膜。
2. 100cc空気透過時間が25秒以下であり、1μm厚みあたりの100cc空気透過時間が0.01〜1秒である、上記1に記載の透湿防水膜。
3. 前記透湿防水膜中のポリオレフィンフィブリルの平均フィブリル径が10〜150nmである、上記1または2に記載の透湿防水膜。
4. 前記透湿防水膜の固形分厚みが1〜8μmである、上記1〜3のいずれかに記載の透湿防水膜。
5. 膜厚が1〜70μmである、上記1〜4のいずれかに記載の透湿防水膜。
6. 少なくとも一方向の破断強度が1MPa以上である、上記1〜5のいずれかに記載の透湿防水膜。
7. 前記透湿防水膜は、親水性の被覆層と前記ポリオレフィン微多孔膜からなる透湿防水膜との積層体に用いられる、上記1〜6に記載の透湿防水膜。
本発明は、ポリエチレンを含むポリオレフィン微多孔膜からなり、水蒸気透過量が4000〜10000g/m2/24hrであり、耐水圧が30kPa以上である透湿防水膜である。ここで、当該ポリオレフィン微多孔膜は、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった膜である。
本発明のポリオレフィン微多孔膜からなる透湿防水膜は、水を透過しないが、水蒸気をよく透過することを特徴とする。当該ポリオレフィン微多孔膜の水蒸気透過量は、4,000〜10,000g/m2/24hrであるが、その下限値としては4,500g/m2/24hr以上が好ましく、さらには5,000g/m2/24hr以上がより好ましい。本発明において、ポリオレフィン微多孔膜の水蒸気透過量が10,000g/m2/24hrを超えると、耐水圧が著しく低下してしまい、透湿防水膜として十分な機能を発現しない。また、この場合、力学強度が不十分となり、ポリオレフィン微多孔膜の製造時の切断等の問題を有し、さらには、ポリオレフィン微多孔膜から透湿防水膜への加工時等におけるハンドリング性も著しく低下する。一方、ポリオレフィン微多孔膜の水蒸気透過量が4,000g/m2/24hrより低いと、透湿防水膜として必要な水蒸気透過量が不足してしまい、例えば熱交換効率が低下する等の問題が生じ得る。
本発明の透湿防水膜を構成するポリオレフィン微多孔膜は、耐水圧が30kPa以上において好適に用いることができ、好ましくは40kPa以上、さらに好ましくは50kPa以上である。耐水圧が30kPaより低いと、水蒸気や空気などの気体の透過量を増やすために圧力を加えた場合に、水が透湿防水膜の反対面側に染み出す等、水が透過し、透湿防水膜として十分な機能を発現しない。
また、水蒸気透過量が4000〜10000g/m2/24hrであり、かつ、耐水圧が30kPa以上であるポリオレフィン微多孔膜であれば、高湿度下においても寸法変化が少なく、親水性透湿樹脂との優れた密着性を示すことが分かった。
本発明の透湿防水膜を構成するポリオレフィン微多孔膜は、平均フィブリル径が10〜150nmであることが好ましく、10〜130μmであることがさらに好ましく、10〜110μmであることが特に好ましい。ポリオレフィン微多孔膜の平均フィブリル径が150nm以下である場合、水蒸気透過量の低下や空気透過時間の悪化を防ぐことが出来る点で好ましい。一方、ポリオレフィン微多孔膜の平均フィブリル径が10nm以上である場合、十分な力学強度を確保でき、ポリオレフィン微多孔膜の加工時等におけるハンドリング性も良好なものになる点で好ましい。
本発明の透湿防水膜を構成するポリオレフィン微多孔膜は、最大細孔径が0.5〜5.0μmであることが好ましく、0.5〜4.7μmであることがさらに好ましく、0.6〜4.5μmであることが特に好ましい。ポリオレフィン微多孔膜の最大細孔径が5.0μm以下である場合、力学強度が十分なものとなり、ポリオレフィン微多孔膜の加工時等におけるハンドリング性が良好になるため好ましい。一方、ポリオレフィン微多孔膜の最大細孔径が0.5μm以上である場合、良好な水蒸気透過量が得られやすく、適切な空気透過時間が得られやすくなるため好ましい。
d=0.415×15.9/P …(1)
d:最大細孔径(μm)
P:バブルポイント値(PSI)
本発明のポリオレフィン微多孔膜からなる透湿防水膜は、薄くても強度に優れており、その膜厚は1〜70μmであることが好ましく、さらに好ましくは2〜60μm、特に好ましくは2〜55μmである。ポリオレフィン微多孔膜の膜厚が70μm以下である場合、良好な水蒸気透過量が得られやすく、適切な空気透過時間が得られやすくなるため好ましい。一方、膜厚が1μm以上である場合、十分な力学強度が得られやすくなり、ポリオレフィン微多孔膜の加工時等におけるハンドリング性も良好になるため好ましい。なお、本発明のポリオレフィン微多孔膜からなる透湿防水膜に、被膜層や機能層を設けた後の厚さは180μm以下であることが好ましい。
ts=t×{(100−ε)/100} …(2)
ts:固形分厚み(μm)
ε:空孔率(%)
t:膜厚(μm)
本発明において、ポリオレフィン微多孔膜は、1マイクロメートル厚みあたりの100cc空気透過時間が0.01〜1秒であることが好ましく、0.01〜0.8秒以下であることがさらに好ましく、0.01〜0.7秒以下であることが特に好ましい。1マイクロメートル厚みあたりの100cc空気透過時間が1.0秒以下である場合、ポリオレフィン微多孔膜への親水性樹脂の形成(例えば、樹脂溶液の含浸、樹脂溶液の塗布、樹脂ラミネート)や特定の気体の透過を遮断するなどの機能性膜の形成を良好に行うことができ、形成した親水性樹脂層の剥がれを防止し易くなる点で好ましい。一方、1マイクロメートル厚みあたりの100cc空気透過時間が0.01秒以上である場合、防水膜としての耐水圧性能が良好になりやすく、さらには、力学強度も十分なものとなり、ポリオレフィン微多孔膜の加工時等におけるハンドリング性も良好なものとなる点で好ましい。
本発明において、ポリオレフィン微多孔膜は、少なくとも一方向の引張強度が1MPa以上であることが好ましく、1.5MPa以上であることがさらに好ましい。ポリオレフィン微多孔膜の強度が1MPa以上である場合、透湿度防水膜としての力学強度が良好になりハンドリング性が向上する点で好ましい。一方、100ccの空気が透過するために必要な時間を適正な範囲に保つ観点から、ポリオレフィン微多孔膜の強度は35MPa以下であることが好ましく、30MPa以下が特に好ましい。
本発明において、ポリエチレン微多孔膜の空孔率は78〜93%であることが好ましく、より好ましくは80%〜93%である。空孔率が78%以上である場合、水蒸気透過量が良好なものとなり、空気透過時間や1μm厚みあたりの100cc空気透過時間も良好なものとなる点で好ましい。一方、空孔率が93%以下である場合、透湿防水膜の力学強度が良好なものとなりハンドリング性も向上する点で好ましい。ここで、ポリオレフィン微多孔膜の空孔率(ε)は、ポリオレフィン微多孔膜の目付け(g/m2)、真密度(g/cm3)、膜厚(μm)より、下記式(3)により算出する。
ε(%)={1−Ws/(ds・t)}×100 …(3)
Ws:目付け(g/m2)
ds:ポリオレフィンの真密度(g/cm3)
t:膜厚(μm)
本発明において、ポリオレフィン微多孔膜は、ポリエチレンを含み、必要に応じてポリエチレン以外のポリオレフィンを含んでいてもよい。本発明に用いられるポリエチレンとしては、高密度ポリエチレンや、高密度ポリエチレンと超高分子量ポリエチレンの混合物等が好適である。ポリエチレン以外の成分としては、例えばポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリプロピレンとポリエチレンとの共重合体などが挙げられる。また、ポリオレフィンとして性質の相互に異なるポリオレフィンを用いる、すなわち相互に相溶性の乏しい重合度や分岐性の異なる、換言すれば結晶性や延伸性・分子配向性を異にするポリオレフィンを組み合わせて用いてもよい。
本発明において、ポリオレフィン微多孔膜は、下記に示す方法で好ましく製造することができる。即ち、(I)ポリエチレンを含むポリオレフィン組成物と大気圧における沸点が210℃未満の揮発性の溶剤とを含む溶液を調整する工程、(II)これを溶融混練し、得られた溶融混練物をダイより押出し、冷却固化してゲル状成形物を得る工程、(III)ゲル状成形物を少なくとも一方向に延伸(一次延伸)および溶剤の乾燥を行いゲル状成形物を得る工程、(IV)ゲル状成形物を少なくとも一方向に延伸(二次延伸)する工程により好ましく製造することができる。
この製法により、ゲル状組成物からの溶剤除去時にクエンチ時に形成した空孔を成長させた後に、縦方向および横方向に二軸延伸を行うことができるため高空孔率のポリエチレン微多孔膜を提供することが可能になる。
本発明において、上述したポリオレフィン微多孔膜は、親水性の被覆層と前記ポリオレフィン微多孔膜からなる透湿防水膜との積層体に用いられることが好ましい。親水性の被覆層は、親水性高分子を含有する溶液をポリオレフィン微多孔膜上に塗工、あるいはポリオレフィン微多孔膜に含浸することで形成することができる。この親水性高分子としては、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリルアミド等が挙げられる。これらの樹脂を含有する溶液としては、水溶液、水分散液、有機溶媒に溶解した溶液などが挙げられる。
親水性高分子溶液の好ましい濃度としては、1.0重量%以上であれば良く、溶液の粘度が高くなって取り扱いが難しくならない範囲(例えば30重量%以下)であれば、溶液の濃度調整は可能である。
上記難燃剤の付着量(塗布量)としては、ポリオレフィン微多孔膜の2重量%以上であれば良く、難燃剤の塗工により親水性高分子加工ポリオレフィン微多孔膜の透湿性に影響を及ぼさない範囲で付着量(塗布量)を増やすことができる。
上述した本発明の透湿防水膜は、水蒸気を透過しかつ水は通さないという機能を有するため、かかる機能が必要とされるあらゆる用途に使用可能である。例えば、衣類や特殊な防護衣、衛生用品(例えば紙おむつ)等に利用することができる。また、空調機の全熱交換素子や燃料電池の高分子電解質膜などに用いることもできる。このような用途においては、ポリオレフィン微多孔膜に親水性の被覆層(各用途で必要な機能層)を複合化して用いられることも多いが、本発明であればポリオレフィン微多孔膜と親水性の被覆層との間の剥がれを好適に防止することができる。
以下、本発明の実施例で用いた測定方法について説明する。
(水蒸気透過量)
サンプルとなるポリオレフィン微多孔膜について、PBI Dansensor社の水蒸気透過度計(型式:L80−5000)を用い、測定面積231mm2、測定温度40℃において、JIS K7129(A法)に準拠して、一定の湿度変化に要する時間を計測した。測定面積とその計測時間から水蒸気透過量(g/m2/24hr)を算出した。
ガラス製メッシュフィルター(直径37mm)を備えた漏斗を用い、ガラスメッシュの上にポリオレフィン微多孔膜の試料を敷いて漏斗の壁面との間に隙間が無いように固定する。ポリオレフィン微多孔膜の上から漏斗内に計量した純水(100cc)を注ぎ入れ、ガラスメッシュの反対面側を減圧する。1kPa毎に減圧度(ガラスメッシュ両面の差圧)を変えながら、各差圧下で1分間保持した間のポリオレフィン微多孔膜の純水の通液の有無を検査し、通液が観測される直前の大気圧との圧力差(減圧度)をもって、耐水圧とした。
サンプルの膜厚は、接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)にて20点測定し、これを平均することで求めた。ここで接触端子は底面が直径0.5cmの円柱状のものを用いた。
構成材料がa、b、c…、nからなり、構成材料の重量がWa、Wb、Wc…、Wn(g/cm2)であり、それぞれの真密度がxa、xb、xc…、xn(g/cm3)で、着目する層の膜厚をt(cm)としたとき、空孔率ε(%)は以下の式(4)より求めた。
ε={1−(Wa/xa+Wb/xb+Wc/xc+…+Wn/xn)/t}×100 …(4)
ポリオレフィン微多孔膜のフィブリル径及び微多孔径は以下の方法で求めた。ポリオレフィン微多孔膜のBET比表面積を、JIS K 8830に準じて測定した。具体的にはNOVA−1200(ユアサアイオニクス社製)を用い、窒素ガス吸着法より解析し求めた。測定の際のサンプル重量は0.1〜0.15gとした。解析は3点法にて実施し、BETプロットから比表面積Ss(m2/g)を求めた。また、孔径はフィブリル繊維質の全体積をVs1、全細孔体積をVs2とし、フィブリルの直径をRs1、孔径をRs2とし、フィブリル全長Ls1、円柱状孔全長をLs2とすると、下記式(i)〜(v)が成り立つ。そして、これら(i)〜(v)の式からRs1、Rs2を求める事ができる。
Ss・Ws=πRs1・Ls1=πRs2・Ls2 ・・・(i)
Vs1=π(Rs1/2)2・Ls1 ・・・(ii)
Vs2=π(Rs2/2)2・Ls2 ・・・(iii)
Vs2=ε・(Vs1+Vs2) ・・・(iv)
Vs1=Ws/ds ・・・(v)
Ss:比表面積(m2/g)
Ws:目付(g/m2)
ε:空孔率(%)
ds:比重(g/cm3)
空気透過時間および1マイクロメートル厚みあたりの100cc空気透過時間τは以下のように求めた。JIS P8117に従って、面積642mm2のポリエチレン微多孔膜の空気透過時間(秒/100cc)Tを測定した。上記の空気透過時間と膜厚みから下記式(5)により1マイクロメートル厚みあたりの100cc空気透過時間を求めた。
τ = T/t …(5)
T:JIS P8117に従い測定した空気透過時間(秒/100cc)
t:膜厚(μm)
引張試験機(オリエンテック社製 RTE−1210)にて、短冊状の試験片(幅15mm、長さ50mm)を200mm/分の速度で引っ張り、引張強度を求めた。
縦12cm、横12cm(内寸法)の金属製の枠にポリオレフィン微多孔膜からなる透湿防水膜を固定した。枠に固定した状態のまま、メチルエチルケトン(MEK)を溶媒として、ポリウレタン樹脂(エーテル系)20重量%を溶解したポリウレタン樹脂溶液中に5秒間浸漬させて引き揚げた。その後、金属製の枠に固定した状態のまま、温度50℃で5分間溶媒を乾燥し、乾燥終了後に金属製の枠から透湿防水膜(ポリオレフィン微多孔膜と親水性樹脂層との積層体)を外して、100cc空気透過時間(t1)を測定した。続いて、金属枠から外した状態で温度40℃、相対湿度90%の環境下で1000時間処理を行った。1000時間の処理後に、100cc空気透過時間(t2)を測定し、下記式(6)により100cc空気透過時間の変化率を算出した。変化率が10%以下である場合を良好と判定した。
空気透過時間の変化率(%)=|(t1−t2)/t1|×100(%) …(6)
縦20cm、横20cmの大きさに透湿防水膜を切出し、試料を固定しない状態で温度40℃、相対湿度90%の環境下で24時間の処理を行った。24時間処理した後の寸法変化率を下記式(7)により算出し、寸法変化率が1%以下である場合を良好と判定した。
寸法変化率(%)=(|高湿度処理前寸法−高湿度処理後寸法|/高湿度処理前寸法)×100 …(7)
縦12cm、横12cm(内寸法)の金属製の枠にポリオレフィン微多孔膜からなる透湿防水膜を固定した。枠に固定した状態のまま、ポリウレタン樹脂の水分散溶液中(荒川化学工業(株)ユリアーノW321 粘度500mPa・s)に5秒間浸漬させて引き揚げた。引き揚げた後、金属製の枠に固定した状態のまま、温度60℃で5分間を乾燥した。乾燥後の浸透斑(色斑)の有無を目視で確認し、浸透斑がない場合は良好と判定した。
ポリオレフィン樹脂として、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン1.7重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン19.3重量部とを混合したポリオレフィン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が21重量%となるようにしてデカリン(デカヒドロナフタレン)と混合し、ポリエチレン溶液を調製した。
このポリエチレン溶液を温度170℃でダイよりシート状に押出し、ついで前記押出物を水浴中で冷却し、ゲル状シートを作製した。
該ゲル状シートを55℃の温度雰囲気下にて10分間、予備乾燥を行い、その後、30℃で長手方向に1.6倍で一次延伸をした後に、本乾燥を50℃の温度雰囲気下にて5分間行った(溶剤残留量1%未満)。本乾燥を完了した後、二次延伸として該ベーステープを長手方向に温度95℃にて倍率3.5倍で延伸し、引き続いて幅方向に温度115℃にて倍率10倍で延伸し、その後直ちに135℃で熱処理(熱固定)を行って、二軸延伸ポリエチレン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン微多孔膜は好適な水蒸気透過量、耐水圧を有し、親水性樹脂との密着性にも優れた基材であった。得られたポリエチレン微多孔膜からなる透湿防水膜の物性を表1に示す。
実施例1において、ポリオレフィン樹脂として、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン9.8重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン18.2重量部とを混合したポリオレフィン組成物を用い、ポリエチレン樹脂総量の濃度が28重量%となるようにデカリンと混合して、ポリエチレン溶液を調製した以外は同様にポリエチレン微多孔膜を作製した。得られたポリエチレン微多孔膜からなる透湿防水膜の物性を表1に示す。
なお、得られたポリエチレン微多孔膜は、好適な水蒸気透過量、耐水圧を有し、親水性樹脂との密着性にも優れた基材であった。
実施例1において、二次延伸工程での縦方向の延伸倍率を2.5倍、横方向の延伸倍率を12倍とした以外は同様にポリエチレン微多孔膜を作製した。得られたポリエチレン微多孔膜からなる透湿防水膜の物性を表1に示す。
なお、得られたポリエチレン微多孔膜は、好適な水蒸気透過量、耐水圧を有し、親水性樹脂との密着性にも優れた基材であった。
実施例1において、熱処理(熱固定)温度を115℃とした以外は同様にポリエチレン微多孔膜を作製した。得られたポリエチレン微多孔膜からなる透湿防水膜の物性を表1に示す。
なお、得られたポリエチレン微多孔膜は、好適な水蒸気透過量、耐水圧を有し、親水性樹脂との密着性にも優れた基材であった。
実施例1において、二次延伸工程での縦方向の延伸倍率を5倍、横方向の延伸倍率を9倍とした以外は同様にポリエチレン微多孔膜を作製した。得られたポリエチレン微多孔膜からなる透湿防水膜の物性を表1に示す。
なお、得られたポリエチレン微多孔膜は、好適な水蒸気透過量、耐水圧を有し、親水性樹脂との密着性にも優れた基材であった。
ポリエチレン樹脂として、重量平均分子量が460万の超高分子量ポリエチレン3重量部と、重量平均分子量が56万の高密度ポリエチレン27重量部と、を混合したポリオレフィン組成物を用いた。ポリエチレン樹脂総量の濃度が30重量%となるようにしてデカリン(デカヒドロナフタレン)と混合し、ポリエチレン溶液を調製した。
このポリエチレン溶液を温度160℃でダイよりシート状に押出し、ついで前記押出物を水浴中で冷却し、ゲル状シートを作製した。
該ゲル状シートを70℃の温度雰囲気下にて20分間、予備乾燥を行い、その後、室温下で長手方向に1.5倍で一次延伸をした後に、本乾燥を60℃の温度雰囲気下にて5分間行った。本乾燥後のベーステープ中に残存する溶剤は20重量%であった。本乾燥を完了した後、二次延伸として該ベーステープを長手方向に温度100℃にて倍率5.5倍で延伸し、引き続いて幅方向に温度125℃にて倍率13倍で延伸し、その後直ちに120℃で熱処理(熱固定)を行って、二軸延伸ポリエチレン微多孔膜を得た。
得られたポリエチレン微多孔膜は、水蒸気透過量が小さく、親水性樹脂との密着性が悪く適さなかった。得られたポリエチレン微多孔膜の物性を表1に示す。
実施例2において、該ゲル状シートを55℃の温度雰囲気下にて10分間、予備乾燥を行い、その後、長手方向への一次延伸を行わず(一次延伸倍率1.0倍)に、本乾燥を50℃の温度雰囲気下にて5分間行った(溶剤残留量1%未満)以外は同様にして、ポリエチレン微多孔膜を作製した。得られたポリエチレン微多孔膜は、水蒸気透過量が小さく、親水性樹脂との密着性が悪く適さなかった。得られたポリエチレン微多孔膜の物性を表1に示す。
比較例3として、ポリテトラフルオロエチレンメンブレンFP−100−100(住友電工ファインポリマー株式会社製、厚さ100μm)を用いた。この比較例3は好適な水蒸気透過量、耐水圧を有したが、親水性樹脂の含浸性および親水性樹脂との密着性が悪く、実用性に欠けるものであった。
比較例4として、グラシン紙(日本製紙株式会社製、厚さ30μm)を用いた。この比較例4は耐水圧が低く、高湿度下における寸法変化が大きく透湿防水膜に適さなかった。
比較例5として、ポリエステル不織布15TH(廣瀬製紙株式会社製、厚み15μm)を用いた。この比較例5は耐水圧が低く、親水性樹脂の含浸性および親水性樹脂との密着性が悪く、実用性に欠けるものであった。
Claims (7)
- ポリエチレンを含むポリオレフィン微多孔膜からなり、水蒸気透過量が4000〜10000g/m2/24hrであり、耐水圧が30kPa以上である透湿防水膜。
- 100cc空気透過時間が25秒以下であり、1μm厚みあたりの100cc空気透過時間が0.01〜1秒である、請求項1に記載の透湿防水膜。
- 前記透湿防水膜中のポリオレフィンフィブリルの平均フィブリル径が10〜150nmである、請求項1または2に記載の透湿防水膜。
- 前記透湿防水膜の固形分厚みが1〜8μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の透湿防水膜。
- 膜厚が1〜70μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の透湿防水膜。
- 少なくとも一方向の破断強度が1MPa以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の透湿防水膜。
- 前記透湿防水膜は、親水性の被覆層と前記ポリオレフィン微多孔膜からなる透湿防水膜との積層体に用いられる、請求項1〜6のいずれかに記載の透湿防水膜。
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