JP2014060176A - リチウム二次電池及び負極 - Google Patents

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Abstract

【課題】鱗片状炭素性物質を用いた負極活物質層に球状物質を存在させることにより、形状可変姓を有するケースに収納した場合においても、負極に十分な活物質強度と接着性とを有するリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】正極と負極と電解質とを有するリチウム二次電池要素をケースに収納してなるリチウム二次電池に用いる負極に用いる負極活物質であって、アスペクト比が1.5以上の黒鉛材料にアモルファスな炭素質が被覆された平均粒径D50が1μm以上45μm以下である黒鉛粒子と、アスペクト比が1.0以上1.5以下の球状の黒鉛とを含有し、該球状の黒鉛の平均粒径D50が0.5μm以上30μm以下であり、該黒鉛粒子に対する該球状の黒鉛の重量比が5%以上70%以下であることを特徴とするリチウム二次電池用負極活物質(上記、平均粒径D50はマイクロトラックを用いて測定した値である)。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム二次電池に関する。
カメラ一体型VTR装置、オーディオ機器、携帯型コンピュータ、携帯電話等様々な機器の小型化、軽量化が進んでおり、これら機器の電源としての電池に対する高性能化の要請が高まっている。中でも高電圧、高エネルギー密度の実現が可能なリチウム二次電池の開発が盛んになっている。
リチウム二次電池の負極に使用される活物質として、鱗片状黒鉛等の鱗片状炭素性物質を使用することが知られている。鱗片状炭素性物質は、リチウム金属を負極に使用する場合に比べリチウムデンドライトの生成が抑制され、高い容量と高い安全性を確保できる優れた負極活物質である。鱗片状炭素性物質を使用した場合、リチウムは炭素の層状構造の層間にインターカレートされる。また、通常、このような電極は、活物質を含む活物質層を集電体上に形成してなる。
一方、近年、正極と負極と電解質とを有するリチウム二次電池要素(以下、本明細書においては、これを単に「リチウム二次電池要素」又は「電池要素」という場合がある。)を、従来の金属缶に代えて、金属層と樹脂層と積層してなる、形状可変性を有するラミネートフィルム製ケースに収納することが提案されている。このようなラミネートフィルムは、従来の金属缶よりも加工が容易であるばかりではなく、より薄型・軽量なので、電池全体の体積エネルギー密度や重量エネルギー密度をより向上させることができる。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記のような鱗片状炭素性物質を電極に用いた場合、活物質層の強度が弱く、接着性も劣ることが判明した。つまり、鱗片状炭素性物質が充放電時に膨張収縮することにより、充放電を繰り返していくと、最終的には活物質層が集電体から剥がれてしまうことによりリチウム二次電池の特性が大きく劣化するのである。
上記活物質層の強度不足や接着性が劣ることによるリチウム二次電池の特性劣化は、リチウム二次電池要素を収納するケースとして、形状可変性を有するケースを用いる場合に特に問題となる。即ち、金属缶に電池要素を収納する場合は、金属缶そのものの強度が大きいので外力に対する活物質層の強度や接着性はそれ程大きな問題とならないのみならず、電池要素全体が金属缶に押し付けられているので充放電に伴って電極の活物質が膨張収縮しても活物質層に与える影響は小さい。一方、形状可変性を有するケースを用いた場合、外力によって活物質層が破壊されやすいだけでなく、ケースによって電池要素全体を押さえ付ける力も弱いので活物質の膨張収縮の繰り返しが活物質層の耐久性そのものや活物質層と集電体との接着性に与える影響は大きい。
従って、鱗片状炭素性物質を電極に用いることによる上記問題点は、例えば、リチウム二次電池のサイクル特性に悪影響を与えるが、特に電池要素を形状可変性を有するケースに収納した場合、これらの問題点は特に顕在化するのである。
本発明の目的は、十分な活物質強度と接着性とを有する負極を有するリチウム二次電池を得ることにあり、特に、形状可変姓を有するケースに収納した場合においても十分な活物質強度と接着性とを有する負極を有するリチウム二次電池を得ることにある。
本発明によれば、鱗片状炭素性物質を有する負極を有するリチウム二次電池要素をケースに収納した場合に特有の問題である、負極活物質層の強度不足及び接着力不足を有効に解消し、サイクル特性、レート特性、容量、安全性等優れた性能を有するリチウム二次電池及びこのようなリチウム二次電池を実現できるリチウム二次電池用負極を得ることができる。
本発明者は、問題点を解決するために鋭意検討した結果、鱗片状炭素性物質を用いた活物質層の強度及び接着性不足は、活物質層に球状物質を存在させることによって解決できることを見出し、特に、リチウム二次電池要素を形状可変性を有するケースに収納したリチウム二次電池においては、活物質層に球状物質を存在させることによる効果が顕著に発揮されることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、下記(1)〜(7)に存する。
(1)正極と負極と電解質とを有するリチウム二次電池要素をケースに収納してなるリチウム二次電池に用いる負極に用いる負極活物質であって、アスペクト比が1.5以上の黒鉛材料にアモルファスな炭素質が被覆された平均粒径D50が1μm以上45μm以下である黒鉛粒子と、アスペクト比が1.0以上1.5以下の球状の黒鉛とを含有し、該球状の黒鉛の平均粒径D50が0.5μm以上30μm以下であり、該黒鉛粒子に対する該球状の黒鉛の重量比が5%以上70%以下であることを特徴とするリチウム二次電池用負極活物質(上記、平均粒径D50はマイクロトラックを用いて測定した値である)。
(2)該黒鉛材料が鱗片状の天然黒鉛であることを特徴とする(1)に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
(3)該黒鉛粒子のX線回折による(002)面の面間隔d002が3.35Å以上3.39Å以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
(4)該黒鉛粒子のラマンスペクトル分析から求められるR値が0.15以上1.0以下であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用負極活物質。
(5)該黒鉛粒子の窒素ガス吸着によるBET法を用いて測定した比表面積が13m/g以下0.1m/g以上であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用負極活物質。
(6)集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備えると共に、該活物質層が、(1)乃至(5)のいずれかに記載の炭素材料を含有することを特徴とする、リチウム二次電池用負極。
(7)正極と負極と電解質とを有するリチウム二次電池要素をケースに収納してなり、該負極が、(6)に記載の負極であることを特徴とするリチウム二次電池。
本発明のリチウム二次電池は、正極と負極と電解質とを有する。
本発明の特徴の1つは、上記負極中に、鱗片状炭素性物質と球状物質とを共存させることにある。
鱗片状炭素性物質は、後述の通り、通常その形状が平板状なので、負極活物質層中で負極膜厚方向と垂直な方向に配向しやすい。従って、鱗片状炭素性物質を含有する負極は、負極膜厚方向にはがれやすいという問題がある。そのため球状物質を負極中にさらに含有させれば、上記配向が抑制されるため、負極活物質層の強度及び接着性が強くなる。
鱗片状炭素性物質は、容量が高くリチウム二次電池の負極材料として有用な材料である。鱗片状炭素性物質は、形状異方性を有し、その形状は通常平板状である。そしてアスペクト比(最長径と最短径との比)が1よりも大きいのが特徴である。ここで、最長径と最短径とはSEM(Scanning Electron Microscope)にて測定することができる。
本願発明に用いる鱗片状炭素性物質は、アスペクト比を所定の範囲とすることが好ましい。ここで、アスペクト比の上限は、通常6.0以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.9以下、特に好ましくは2.8以下である。アスペクト比が大きい場合、鱗片状炭素性物質が負極中で配向して、鱗片状炭素性物質のベーサル面が負極膜厚方向に、エッジ面が負極の膜厚方向と垂直方向に向く傾向があるが、アスペクト比を上記数値以下とすることによって、前記エッジ面が負極の膜厚方向に向くように鱗片状炭素性物質を配向させることができるようになる。鱗片状炭素性物質はそのエッジ面においてリチウムイオンの吸蔵放出を行うため、前記エッジ面を膜厚方向に向けてやればリチウムイオンの吸蔵放出を効率良く行うことができるようになる。また、アスペクト比を上記数値以下とすることにより負極の屈曲度を下げることができるため、鱗片状炭素性物質の利点である高容量を維持しつつも、リチウムの吸蔵放出をさらに効率よく行うことができるようになる。
一方、アスペクト比の下限は、通常1.1以上、好ましくは、1.2以上、より好ましくは1.5以上である。鱗片状炭素性物質のアスペクト比を1.0とすることは工業上困難であるため、生産効率を考慮して上記数値以上とすることが好ましい。
アスペクト比を制御する方法としては、例えば球形化処理を行う方法を挙げることができる。球形化処理の詳細については後述する。
鱗片状炭素性物質の平均粒径は、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、また通常45μm以下、好ましくは35μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。平均粒径が小さすぎると不可逆容量が増え電池容量が低下してしまうことがあり、一方大きすぎると活物質層の膜厚が制限され均一な活物質層を基材の上に形成させることが難しくなる。
このような鱗片状炭素性物質としては、コークスや、黒鉛系の炭素質物等各種の炭素質物を例示できるが、容量が大きい点で、黒鉛系炭素質物材料が好ましい。
黒鉛系炭素質物材料(以下、黒鉛材料と略称することがある)としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電性カーボンブラックの黒鉛化品、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛粉末及びその精製品、気相成長炭素繊維等の炭素繊維が挙げられる。このような黒鉛材料ならどれでもよいが、好ましくは天然黒鉛等からなる鱗片状の黒鉛である。また下記(I)〜(IV)に示す様な粒径と比表面積との所定の関係、特定数値域のラマン
R値、半値幅等を有する黒鉛材料がより好ましい。
(I)BET法(窒素ガス吸着)で測定された比表面積の値をY(m2/g)、粉体の
粒径の値をX(μm)とした場合、1≦X≦45、0.1≦Y≦25、且つY≦axb、
(但しa=52、b=−0.6)で表される領域内にある黒鉛材料が好ましい。尚、粒子の大きさの測定には、レーザー回折法、電気抵抗式法、CCD高感度カメラの写真イメージの処理による粒径直接評価法などが利用できる。また、比表面積の測定には、気体分子吸着によるBET法、有機分子吸着法、有機溶媒吸着法が利用できる。
(II)ラマンスペクトル分析におけるR値(=IB/IA)が、0.001以上0.2以下、特に0.15以下、さらには0.07以下である黒鉛材料が好ましい。
(III)上記ラマンスペクトル分析において、1570〜1620cm-1に存在するピ
ークの半値幅である△v値の大きさが、14〜22cm-1である黒鉛材料が好ましい。
(IV)X線回折による(002)面の面間隔d002が3.38Å以下、特に3.36
Å以下であるのが好ましい。また、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が1000Å以下である黒鉛材料が好ましい。
本発明で使用し得る黒鉛材料のより詳細な具体例としては、下記のものを挙げることができる。また、これらの高純度精製品でもよい。
(1)高結晶性の天然黒鉛や人造黒鉛。
(2)天然黒鉛、人造黒鉛、或いは膨張黒鉛の再熱処理品。
(3)下記(a)及び(b)のような、黒鉛化可能な有機物原料から黒鉛化を行うことにより生成した上記(1)及び(2)と同等の性能を持つ黒鉛。
(a)コールタールピッチ、石炭系重質油、常圧残油、石油系重質油、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、天然高分子、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂から選ばれる1 種以上の有機物を例えば2500℃以上3200℃以下の焼成温度で黒鉛化したもの。
(b)上記(a)の黒鉛化可能な有機物をリチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、珪素、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、亜鉛、ニッケル、白金、パラジウム、コバルト、ルテニウム、錫、鉛、鉄、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、バリウム、タンタル、タングステン、レニウム、から選ばれる少なくとも一種以上の粉体、或いは薄膜などの触媒存在下で、400℃以上2500℃以下、より好ましくは1000℃以上2000℃以下で焼成することにより黒鉛化したもの。
(4)黒鉛材料の粒径測定及びラマン分光分析の結果が、高い負極容量や高速の充放電に対する耐レート特性を期待し得る所望の一定範囲内の数値を有しない黒鉛材料であるが、それらの材料を改めて2000℃以上3200℃以下の温度で再焼成処理することにより、焼成後の材料の持つ粒径測定とラマン分光分析から得られる数値を所望の一定範囲に収めることができる黒鉛。
(5)黒鉛材料のBET法(窒素ガス吸着)による比表面積測定、及びラマン分光分析の結果が、高い負極容量や高速の充放電に対する耐レート特性を期待し得る所望の一定範囲内の数値を有しない黒鉛材料であるが、それらの材料を改めて2000℃以上3200℃以下の温度で再焼成処理することにより、焼成後の材料の持つ比表面積測定とラマン分光分析から得られる数値を所望の一定範囲に収めることができる黒鉛。
本発明においては、前述したように、負極中での鱗片状炭素性物質の配向を制御して、鱗片状炭素性物質のエッジ面を負極膜厚方向に向けるようにし、かつ負極の屈曲度を向上させるために、鱗片状炭素性物質のアスペクト比を所定の範囲をにすることが好ましい。
このようなアスペクト比を持つ鱗片状炭素性物質は、例えば、アスペクト比の大きい鱗片状炭素性物質を球形化処理することにより得ることができる。球形化処理は、処理前の鱗片状炭素性物質の角を削り取ることによって行われる。角を削り取れば、鱗片状炭素性物質の形状がラグビーボール状に近づき、アスペクト比が小さくなる。さらに上記処理を進めれば、鱗片状炭素性物質の形状が球形に近づきアスペクト比をさらに小さくすることができる。
球形化処理は、通常、処理前の鱗片状炭素性物質を粉砕することによって行われる。
粉砕は、物質へ加わる力の種類、処理形態により分類され、力の種類としては、たたき
割る力(衝撃力)、押しつぶす力(圧縮力)、すりつぶす力(摩砕力)、削りとる力(剪断力)の4つに大別され、処理形態としてはは、粒子内部に亀裂を発生、伝播させていく体積粉砕と粒子表面を削り取っていく表面粉砕の二つに大別される。体積粉砕は、衝撃力、圧縮力、剪断力により進行し、表面粉砕は、摩砕力、剪断力により進行する。粉砕とは、これら被粉砕物に加えられる力の種類、処理形態が、様々な比率で組合わされた処理のことである。本発明の球形化処理は、摩砕力、剪断力を利用した表面粉砕を中心として行われることが好ましい。
鱗片状炭素性物質の角が取れて、粒子形状に丸みを導入するには、表面粉砕が行われることが重要であるが、この為には、処理を行う装置種類の選定とその装置の持つ粉砕能力の見極めが重要である。前者は、被粉砕物に与える粉砕力の種類により、装置種類を選び出すことであり、後者は装置機種毎に存在する粉砕力の限界(粉砕限界)を利用することである。尚、粉砕限界とは、粒子径の領域のことを指し、体積粉砕が進行する粒子径としては、最下限界領域のことである。すなわち、粒子径が小さくなり、衝突確率が低下し、粒子の自重も小さくなるため、衝突しても大きな応力を発生せず、体積粉砕が進行しなくなる粒子径領域のことである。この領域では、体積粉砕に代わり、表面粉砕が行われるようになる。
表面粉砕を行うことができる装置種類としては、剪断力により粉砕が進行する装置が有効であることが、発明者らの検討で明らかとなっている。このような装置としては、例えば、ボールミルや振動ミル、媒体撹拌ミルなどの粉砕メディアを使用する装置を挙げることができる。これらの粉砕メディアが使用できる機種では、摩砕力と剪弾力中心の粉砕を行われていると考えられ、角を取るような粉砕を行うことができる。湿式粉砕も乾式粉砕と同様に好ましい。具体的な装置名を一例として挙げるとすれば、中央化工機(株)社製の振動ミルやボールミル、岡田精工(株)社製のメカノミル、(株)栗本鉄工所社製の乾式・湿式両用の媒体撹拌ミルなどが挙げられる。また、例えば、回転する容器と容器内部に取り付けられたテーパーの間を処理物が通過することで、回転する容器とテーパーとの速度差に起因する圧縮力と剪断力が処理物に加えられるようになっている装置も、表面粉砕を進行させる装置として好ましい。これらの装置は、元来、2種以上の粉体を複合化し、粉体の表面改質を行うための装置であるが、剪断力が強く加わる装置であるために、粉体の充填性の向上、すなわち粒子に丸みを帯びさせることができたものと考えられる。具体的な装置名を一例として挙げるとすれば、(株)徳寿工作所社製のシータ・コンポーザ、ホソカワミクロン(株)社製のメカノフュージョンシステムなどが挙げられる。
鱗片状炭素性物質として、鱗片状の黒鉛等の黒鉛系炭素質物が用いられる場合、その表面の少なくとも一部をアモルファスな炭素質(特にコークス)で被覆することが好ましい
(以下、このような表面の少なくとも一部がアモルファスなコークスで被覆された黒鉛系炭素質物を炭素被覆黒鉛系炭素質物と略称することがある)。炭素被覆黒鉛系炭素質物を負極に用いたリチウム2次電池は、被覆を行わない黒鉛系炭素質物を負極に用いたリチウム2次電池に比べ、レート特性とサイクル特性に優れる利点がある。この炭素被覆黒鉛系炭素質物は、黒鉛系炭素質物を炭素化可能な有機物で被覆し、その被覆体を焼成することで炭素化し、必要に応じて炭素化物を粉砕することにより生成し得るものであり、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な性質を有する。
この炭素被覆黒鉛系炭素質物は、通常以下の(a)から(c)特性を有する炭素質物の粒子である。
(a)X線回折から求められる(002)面の面間隔d002の値が、3.35Å以上3
.39Å以下の値を持つこと。
(b)ラマンスペクトル分析から求められるR値が0.15以上1.0以下、さらに好ましくは0.2以上0.5以下であること、特に上記R値が被覆前の黒鉛系炭素質物のR
値以上であること。
(なお、R値とは、波長5145Åのアルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において、1570〜1620cm-1の範囲に存在するピークの強度をIA、1350〜1370cm-1の範囲に存在するピークの強度をIBとしたとき、その比IB/IAを表す。以下、特記しない限りR値は同義を意味する。)
(c)窒素ガス吸着によるBET法を用いて測定した比表面積が13m2/g以下、よ
り好ましくは10m2/g以下、さらに好ましくは5m2/g以下であり、また0.1m2
/g以上であること。
炭素被覆黒鉛系炭素質物の被膜を形成するために用いられる有機物としては、液相で炭素化が進行する有機物や固相で炭素化が進行する各種の有機物を例示できる。液相で炭素化が進行する有機物としては、軟ピッチから硬ピッチまでを含むコールタールピッチや乾留液化油などの石炭系重質油の外、常圧残油、減圧残油等の直流系重質油、原油、ナフサなどの熱分解時に副生するエチレンタール等分解系重質油等の石油系重質油が挙げられる。さらにアセナフチレン、デカシクレン、アントラセンなどの芳香族炭化水素、フェナジンやアクリジンなどの窒素含有環状化合物、チオフェンなどの硫黄含有環状化合物、アダマンタンなどの脂環族炭化水素、ビフェニルやテルフェニルなどのポリフェニルなどが挙げられる。また、固相で炭素化が進行する有機物としては、セルロースや糖類などの天然高分子、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド等の熱可塑性樹脂、フルフリルアルコール樹脂(フラン樹脂)、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂等の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらの有機物は無論複数種を併用することができる。
炭素被覆黒鉛系炭素質物を得るには、液相で炭素化が進む有機物を用いるのが有利である。
なお、被膜がコークスであることは、例えば、(a)TEM写真により、又は(b)被覆後のX線回折のピークから被覆前の黒鉛系炭素物質のX線回折ピークを差し引くことにより、又は(c)シモン試薬(クロム酸銀−硫酸)で黒鉛系炭素物質を溶解した後残った被膜を公知の方法(TEM、X線回折、ラマン分光分析等)で測定することにより、容易に確認することができる。
炭素被覆黒鉛系炭素質物は、上記の有機物及び黒鉛材料を混合し、通常700℃以上、好ましくは900℃以上、より好ましくは1000℃以上、特に好ましくは1100℃以上、一方、通常2800℃以下、好ましくは1500℃以下で焼成することによって得ることができる。上記温度範囲は、炭素被覆黒鉛系炭素質物に所望する性能に応じて適宜選択すればよいが、焼成温度が低すぎると、前記有機物の焼成が不十分で炭素被覆黒鉛系炭素質物の導電性が不十分となる場合がある。一方、焼成温度が高すぎると炭素被覆黒鉛系炭素質物の表面処理効果が不十分となる場合がある。
炭素被覆黒鉛系炭素質物は、通常1〜100μm、さらには5〜50μmの平均粒径をもつ粒子を得られることがある。これらの粒子は必要に応じさらに粉砕処理に供することにより、所望する粒径を有する炭素被覆黒鉛系炭素質物を得ることができる。
炭素被覆黒鉛系炭素質物の組成は、前記黒鉛系炭素質物と前記有機物との合計を100重量%とした場合に、有機物の割合を通常50重量%以下、好ましくは25重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは8重量%以下、一方、通常1重量%以上、好ましくは2重量%以上、より好ましくは5重量%以上とする。有機物の焼成物組成が多すぎると、低電位化、急速充放電特性の改善が少ない傾向にある。また、有機物の焼成物組成が多すぎると、更に性能を改善するために焼成後に実施することが好ましい酸またはアルカリによる処理の効果があまり顕著でない場合がある。一方、有機物の焼成物組成が少なすぎると所望の効果が得られない場合がある。なお、上記範囲は原料仕込み比では
なく、最終的生成物での組成である。そのため、仕込み時には、最終段階での組成比を考慮して原料の配合量を決定する必要がある。こうして調製した炭素被覆黒鉛系炭素質物を負極に用いたリチウムイオン2次電池は被覆しない黒鉛負極使用時に比べ、優れたレート特性とサイクル特性を示す。
鱗片状炭素性物質と共に負極中に含有される球状物質は、形状異方性をほとんど有さないものであり、そのアスペクト比(最長径と最短径との比)は、通常1.5以下、好ましくは1.45以下、より好ましくは1.4以下、一方、通常1.0以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上である。尚、アスペクト比は1より小さくなることはない。また、球状粒子の最長径と最短径とはSEMにて測定することができる。アスペクト比が上記範囲内の球状物質を鱗片状炭素性物質とともに用いると、負極の屈曲度を小さくすることができるため、負極中でのリチウムイオンの吸蔵放出が効率よく行われるようになる。このような球状物質を構成する材料としては、例えば炭素性物質、アルミナ、酸化チタン、アクリル系樹脂等が挙げられ、好ましくは炭素性物質、特に黒鉛である。つまり、球状物質としては、好ましくは球状炭素性物質が用いられ、特に好ましくは球状の黒鉛が用いられる。炭素性物質は、それ自体にもリチウムがインターカレートされるので活物質として機能し、その結果、電池容量をより向上させることができる。ここで、球状の黒鉛の具体例としてはメソカ−ボンマイクロビーズ、グラッシーカーボン等が挙げられ、好ましくはメソカーボンマイクロビーズである。
メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)は、ピッチの炭素化過程で生じるメソフェーズ小球体を高温で熱処理し黒鉛化して得ることができる球状粒子であり、これは石油学会誌第6巻第5号(1973年)に開示されている。さらに、MCMBは、その黒鉛化度が重要な因子であり、炭素の物性パラメータで表すと、002面の面間隔(d002)が3.
35〜3.42Å、特に3.36〜3.40Åのものがよい。また、そのBET法による比表面積は0.7〜5m2/gのものが好ましい。メソカーボンマイクロビーズは、例え
ば、コールタールやコールタールピッチ等の石炭系重質油を、300〜500℃程度の低温で熱処理してメソフェーズ小球体を得、これをさらに2000〜3000℃程度の高温で熱処理することによって得ることができる。
球状物質の平均粒径は、通常0.5μm以上、好ましくは3μm以上であり、また通常30μm以下、好ましくは10μm以下である。平均粒径が小さすぎると塗膜強度を向上させる効果が小さく、大きすぎると膜厚が均一な塗膜を形成させることが難しいだけでなくこの場合も塗膜強度を向上させる効果が小さい傾向にある。
鱗片状炭素性物質の平均粒径に対する球状物質の平均粒径の比は、通常1未満とするが、その中でも、好ましくは2/3以下、さらに好ましくは2/5以下であり、また好ましくは1/5以上、さらに好ましくは1/4以上である。この比が小さすぎると塗膜強度や接着性の改善効果が小さくなる傾向にあり、また大きすぎると電池容量が低下する傾向にある。
鱗片状炭素性物質に対する球状物質の重量比は、通常100%以下、好ましくは70%以下、さらに好ましくは50%以下、最も好ましくは40%以下であり、通常1%以上、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上、最も好ましくは15%以上である。この重量比が小さすぎると塗膜強度や接着性を向上させる効果が小さくなる傾向にあり、また大きすぎると電池容量が低下する傾向にある。
負極は、通常、上記鱗片状炭素性物質と球状物質とを含む活物質層を集電体上に形成してなる。また、上記活物質層は、通常鱗片状炭素性物質と球状物質とバインダーとを含有しており、さらに鱗片状炭素性物質と球状物質とが互いに分散して存在してなる。このような負極は、鱗片状炭素性物質と球状物質とをバインダーとともに該バインダーを溶解し
うる溶剤を用いて分散塗料化し、その塗料を集電体上に塗布、乾燥することにより製造することができる。
負極中の鱗片状炭素性物質の割合は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、通常89.9重量%以下、好ましくは80重量%以下である。多すぎると電極の機械的強度が劣る傾向にあり、少なすぎると容量等電池性能が劣る傾向にある。
負極活物質層に使用するバインダーとしては、電解液等に対して安定である必要があり、耐候性、耐薬品性、耐熱性、難燃性等の観点から各種の材料が使用される。具体的には、シリケート、ガラスのような無機化合物や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,1−ジメチルエチレンなどのアルカン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー;ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドンなどのポリマー鎖中に環構造を有するポリマーが挙げられる。
他の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドなどのアクリル誘導体系ポリマー;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンシアニドなどのCN基含有ポリマー;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン含有ポリマー;ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが使用できる。
また上記のポリマーなどの混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などであっても使用できる。これらの樹脂の重量平均分子量は、通常10,000〜3,000,000、好ましくは100,000〜1,0
00,000程度である。低すぎると塗膜の強度が低下する傾向にある。一方高すぎると
粘度が高くなり電極の形成が困難になることがある。好ましいバインダー樹脂としては、フッ素系樹脂、CN基含有ポリマーが挙げられ、より好ましくはポリフッ化ビニリデンである。
バインダーの使用量は、鱗片状炭素性物質100重量部に対して通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上であり、また通常30重量部以下、好ましくは20重量部以下である。バインダーの量が少なすぎると活物質層の強度が低下する傾向にあり、バインダーの量が多すぎると電池容量が低下する傾向にある。
活物質層中には、必要に応じて、導電性材料、補強材など各種の機能を発現する添加剤、粉体、充填材などを含有させてもよい。
活物質層を形成する際に使用する溶剤としては、例えばN−メチルピロリドンや、ジメチルホルムアミドを挙げることができ、好ましくはN−メチルピロリドンである。塗料中の溶剤濃度は、少なくとも10重量%より大きくするが、通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは35重量%以上である。また、上限としては、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下である。溶剤濃度が低すぎると塗布が困難になることがあり、高すぎると塗布膜厚を上げることが困難になると共に塗料の安定性が悪化することがある。
分散塗料化には通常用いられる分散機が使用でき、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、二軸混練機などが使用できる。
集電体上に塗料を塗布する塗布装置に関しては特に限定されず、スライドコーティングやエクストルージョン型のダイコーティング、リバースロール、グラビアコーター、ナイ
フコーター、キスコーター、マイクログラビアコーター、ロッドコーター、ブレードコーターなどが挙げられるが、ダイコーティングが好ましく、塗料粘度および塗布膜厚等を考慮するとエクストルージョン型のダイコーティングが最も好ましい。
上記塗料を集電体上に塗布した後、塗膜を例えば120℃程度の温度で10分間程度の時間乾燥させることよって活物質層が形成される。
活物質層の厚さは、通常10μm以上、好ましくは20μm以上であり、通常200μm以下、好ましくは150μm以下である。薄すぎると電池の容量が小さくなりすぎることがある。一方、あまりに厚すぎるとレート特性が低下しすぎることがある。
負極に使用される集電体としては、電気化学的に溶出等の問題が生じず、電池の集電体として機能しうる各種のものを使用でき、通常は銅、ニッケル、ステンレス等の金属や合金が用いられる。好ましくは、銅を使用する。集電体の厚さは、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、また通常100μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。薄すぎると機械的強度が弱くなる傾向にあり、生産上問題になる。厚すぎると電池全体としての容量が低下する。二次電池の重量を低減させる、すなわち重量エネルギー密度を向上させるために、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの基材を使用することもできる。この場合、その開口率を変更することで重量も自在に変更可能となる。また、このような穴あきタイプの基材の両面に接触層を形成した場合、この穴を通しての塗膜のリベット効果により塗膜の剥離がさらに起こりにくくなる傾向にあるが、開口率があまりに高くなった場合には、塗膜と基材との接触面積が小さくなるため、かえって接着強度は低くなることがある。また、活物質層との接着性を向上させるため、集電体の表面を予め粗面化処理することができる。表面の粗面化方法としては、ブラスト処理や粗面ロールにより圧延するなどの方法、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤ−ブラシなどで集電体表面を研磨する機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。
集電体と活物質層との間にアンダーコートプライマー層を形成することもできる。プライマー層を設けることによって、集電体に対する負極の接着性を向上させることができる。その結果、電池内部抵抗の低減、充放電サイクル試験過程における集電体からの塗膜脱離による急速な容量低下を防ぐことができる。アンダーコートプライマー層は、例えば、導電性材料とバインダーと溶剤を含むアンダーコートプライマー材料塗料を集電体上に塗布した後、これを乾燥することによって形成することができる。アンダーコートプライマー層に使用する導電性材料としては、カーボンブラック、グラファイト等の炭素材料、金属粉体、導電性の有機共役系樹脂等を挙げることができる。アンダーコートプライマー層に使用するバインダーや溶剤は、前記電極材料の塗料に使用するバインダーや溶剤と同様のものを使用することができる。アンダーコートプライマー層の厚さは、通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上であり、通常10μm以下、好ましくは1μm以下である。薄すぎると均一性が確保しにくくなり、あまりに厚すぎると電池の体積容量が低下しすぎることがある。
リチウム二次電池要素は、正極と負極と電解質を有する。
リチウム二次電池に使用される電解質は、通常支持電解質であるリチウム塩を非水系溶媒に溶解してなる電解液を有する。
非水系溶媒としては特に限定されないが、比較的高誘電率の溶媒が好適に用いられる。具体的にはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの非環状カーボネート類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のグライム類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類、スルフォラン等の硫黄化合物、アセトニトリル等のニトリル類等を挙げることができる。中でも、沸点が150℃以上、特
に200℃以上の高沸点溶媒を使用するのが好ましい。このような高沸点溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。中でも高沸点溶媒としてプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンを使用するのが好ましい。
以上の非水系溶媒は、複数種を併用することができる。前記高沸点溶媒を使用する場合、使用する非水系溶媒に対する前記高沸点溶媒の割合は、好ましくは60体積%以上、さらに好ましくは70体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上、最も好ましくは90体積%以上とする。また、複数の溶媒を併用する場合の非水系溶媒全体としての沸点を200℃以上とするのが好ましい。高沸点溶媒を使用することによって、リチウム二次電池要素を形状可変性ケースに収納した場合においても、高温下等での電池の形状変化(変形)を抑制することができる。なお、「沸点X℃以上」とは、圧力1atmのもとで室温からX℃まで加熱しても蒸気圧が1atmを越えないことを意味する。即ち、圧力1atmのもとで室温から200℃まで加熱した場合、常に蒸気圧が1atm以下であることを意味する。
なお、非水系溶媒は、粘度が1mPa・s以上であることが好ましい。
電解質に使用する支持電解質であるリチウム塩としては、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiClO4、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、L
iHF2、LiSCN、LiSO3CF2等を挙げることができる。これらのうちでは特に
LiPF6及びLiClO4が好適である。これら支持電解質の電解液における含有量は、通常0.5〜2.5mol/lである。
電解質は、正極と負極との間に電解質層として存在するが、電解質層の電解質は、非流動性を有するものが好ましい。その結果、電池要素を形状可変性を有するケースに収納した場合においても、電解液の液漏れ等が有効に防止できる。このような非流動性電解質としては、具体的には、完全固体型の電解質の外、ポリマーにより前記電解液を保持した、いわゆるポリマー電解質が挙げられる。ポリマー電解質は、通常上記非水電解液をポリマーによって保持することによってゲル状を呈する。ポリマーの電解液に対する濃度は、使用するポリマーの分子量にもよるが、通常0.1〜30重量%である。濃度が低すぎるとゲルを形成しにくくなり、電解液の保持性が低下して流動、液漏れの問題が生じることがある。また濃度が高すぎると粘度が高くなりすぎて工程上困難を生じるとともに、電解液の割合が低下してイオン伝導度が低下しレート特性などの電池特性が低下する傾向にある。電解質を保持するポリマーとしては、アルキレンオキシドユニットを有するアルキレンオキシド系高分子や、ポリフッ化ビニリデンやフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体のようなフッ素系高分子等、上記機能を有する各種のポリマーを挙げることができる。
非流動性電解質を形成する方法としては、あらかじめポリマーを電解液に溶解させた電解質塗料として用いる方法、また電解液に重合性モノマーを含有させた電解質塗料を架橋反応させて非流動性電解質とする方法など必要に応じた材料・製法を採用し、電解質層を形成することができる。
本発明における非流動性電解質の形成を、電解液に重合性モノマーを含有させた塗料を架橋反応させて非流動化電解質とする方法で行う場合には、紫外線硬化や熱硬化などの重合処理を施すことによって高分子を形成するモノマーを重合性モノマーとして電解液に添加することにより塗料を調製する。
重合性モノマーとしては、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基等の不飽和二重結合を有するものが挙げられる。具体的には、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルア
クリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエトキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、N、N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アリルアクリレート等が挙げられる。
他の使用可能な具体例としては、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジメタクリレート等が挙げられ、さらにトリメチロールプロパンアルコキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールアルコキシレートトリアクリレートなどの3官能モノマー、ペンタエリスリトールアルコキシレートテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンアルコキシレートテトラアクリレートなどの4官能以上のモノマー等も使用できる。これらの中から反応性、極性、安全性などから好ましいものを単独、または組み合わせて用いれば良い。これらの中で特に好ましくはエチレノキシド基を複数含有するジアクリレート、トリアクリレートである。
これらのモノマーを熱、紫外線、電子線等によって重合させることにより、電解質を非流動性電解質とすることができる。電解液中における重合性モノマーの含有量は特に制限されないが、好ましくは塗料中に1重量%以上含有することが好ましい。含有量が低いと高分子の形成効率が低下し、電解液を非流動化しにくくなる。他方、あまりに多すぎると未反応モノマーの残留や電解質塗料としての操作性が悪くなるので、通常30重量%以下とする。
非流動性電解質を、あらかじめポリマーを含有した電解質塗料を用いて生成する方法においては、ポリマーとして、高温で電解液に溶解し、常温でゲル状電解質を形成する高分子を使用するのが好ましい。この様な特性を持ち、電池材料として安定なものであればどのような高分子でも使用できるが、例えば、ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドン等の環を有するポリマー;ポリメタク・BR>潟去_メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドなどのアクリル誘導体系ポリマー;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンシアニド等のCN基含有ポリマー;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン含有ポリマー等が挙げられる。これらの中、好ましくはポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリエチレノキシド、あるいはそれらの変性体である。
また、上記のポリマー等の混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体等であっても使用できる。後述するようにリチウム電池に使用される電解液、電解質が極性を有するものであるから、ポリマー(高分子)も有る程度の極性を有する方が好ましい。更に、これらのポリマーの重量平均分子量は、好ましくは10,000〜5,000,000の範囲である。分子量が低いとゲルを形成し
にくくなり、他方、あまり分子量が高いと粘度が高くなりすぎて取り扱いが難しくなる。
高温で電解液に溶解し、常温でゲル状電解質を形成するポリマーを使用した非流動化電解質の形成法では、ポリマーを電解液に加温して溶解する。加温温度としては50〜200℃、好ましくは、100〜160℃である。あまりにも低温で溶解するようであると、非流動化電解質の安定性が低下する。溶解温度が高すぎると、電解液成分、ポリマー等の
分解を引き起こすことがあり得る。非流動化の条件としては、ポリマー溶解電解液を室温で冷却することが好ましいが、強制冷却してもよい。
電解質中には、必要に応じて、電池の性能向上のために各種の添加剤を添加することができる。
電解質層は、多孔質フィルムのような支持体を併用するのが好ましい。多孔質フィルムとしては、高分子樹脂からなるフィルムや、粉体とバインダーからなる薄膜が好ましく使用でき、より好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質膜である。
リチウム二次電池の正極に使用される活物質としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物が挙げられ、具体的には、LiNiO2、LiNiCoO2等のリチウムニッケル複合酸化物、LiCoO2等のリチウムコバルト複合酸化物、LiMn2O4等のリチウムマン
ガン複合酸化物が挙げられる。これら複合酸化物の遷移金属サイトの一部は他の元素で置換されていてもよい。遷移金属の一部を他の元素で置換することにより、結晶構造の安定性を向上させることができる。この際の該遷移金属サイトの一部を置換する他元素(以下、置換元素と表記する)としては、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr等が挙げられ、好ましくはAl、Cr、Fe、Co、Li、Ni、Mg、Ga、更に好ましくはAlである。なお、遷移金属サイトは2種以上の他元素で置換されていてもよい。置換元素による置換割合は通常ベースとなる遷移金属元素の2.5モル%以上、好ましくはベースとなる遷移金属元素の5モル%以上であり、通常ベースとなる遷移金属元素の30モル%以下、好ましくはベースとなる遷移金属元素の20モル%以下である。置換割合が少なすぎると結晶構造の安定化が十分図れない場合があり、多すぎると電池にした場合の容量が低下してしまう場合がある。リチウム遷移金属複合酸化物のうち、より好ましくはリチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物であり、特に好ましくはLiCoO2である。正極活物質の粒径は、レート特性
、サイクル特性等の電池特性が優れる点で通常1〜30μm、好ましくは1〜10μm程度である。正極は、通常正極活物質とバインダーとを有する活物質層を集電体上に形成してなる。正極に使用されるバインダーの種類や活物質層の形成方法は負極の場合と同様である。
正極、負極、及び電解質を有するリチウム二次電池要素はケースに収納される。リチウム二次電池要素としては、例えば、正極と負極とを電解質層を介して積層した積層体を巻回した形態、正極と負極と電解質層を介して平板状に積層した形態、又は前記平板状に積層したリチウム二次電池要素を複数個用意してさらに積層した形態を挙げることができる。
電池要素を収納するケースは、通常、金属缶や形状可変性を有するケースを挙げることができる。本発明の効果は、基本的には収納するケースに依存せず発揮されるが、本発明の効果が特に顕著に発揮されるのは、形状可変性ケースを用いた場合である。つまり、鱗片状炭素性物質を用いた活物質層は機械的強度が弱い。従って、強度の弱い形状可変性ケースを用いた場合に外力によって活物質層が破壊されやすい問題が顕著となり、球状物質を負極に含有させる本発明の効果が顕著となる。また、鱗片状炭素性物質を用いた活物質層は集電体との接着性も悪い。従って、電池要素を押さえつける力が弱い形状可変性ケースを用いた場合に活物質層が集電体から剥がれる問題が顕著となり、球状物質を負極に含有させる本発明の効果が顕著となる。電池要素は、好ましくは、形状可変性を有するケースに電池要素を密着して収納する。さらに好ましくは、減圧下で封入して、大気圧によって電池要素を押圧する。
形状可変性を有するケースを構成するケース部材としては、可撓性プラスチック、高分子フィルム、金属フィルム、ゴム、薄い金属板、ガスバリア層の両面に樹脂層を設けてな
るラミネートフィルム等が挙げられ、好ましくはガスバリア層の両面に樹脂層を設けてなるラミネートフィルムである。ラミネートフィルムのバリア層としては、金属層が好ましく用いられる。ラミネートフィルムとしては、通常、金属層と高分子フィルムのラミネート素材からなるフィルムが好適に使用できる。
ラミネートフィルムを使用する際の金属層の材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、チタン、モリブデン、金等の金属単体やステンレスやハステロイ等の合金、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の金属酸化物を使用することができる。好ましくは、軽量で加工性に優れるアルミニウムである。樹脂層に使用する樹脂としては、熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマー類、熱硬化性樹脂、プラスチックアロイ等各種の合成樹脂を使うことができる。これらの樹脂にはフィラー等の充填材が混合されているものも含んでいる。具体的には、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、アイオノマー、非晶性ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等耐薬品性や機械的強度に優れた樹脂が望ましい。樹脂層は、好ましくは金属層の両面に形成される。
形状可変性を有するケースの部材厚さは、通常0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上であり、通常5mm以下、好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下、最も好ましくは0.3mm以下とする。薄いほど電池がより小型・軽量化でき、また本発明の効果も大きいが、あまりに薄いと、十分な剛性の付与ができなくなったり密閉性が低下する可能性がある。
形状可変性を有するケースを用いた場合のリチウム二次電池要素の収納方法は任意であるが、好ましいのは、リチウム二次電池要素をケースに減圧封入することである。このような収納方法としては、例えば、フィルム状のケース部材の両端を貼り合わせて筒状とし、内部にリチウム二次電池要素を収納した後、減圧下で筒の上下をさらに貼り合わせる方法を例示することができる。また、2片のフィルム状のケース部材の間にリチウム二次電池要素を収納した後、減圧下で周縁部を貼り合わせる方法も採用することができる。
形状可変性を有するケースは、金属缶の様な重量、剛性がなく、柔軟性、屈曲性、可撓性等を有するため、電池を収納後、曲げたりできる自由性があるとともに軽量化が図れるという利点を持つ。むろん電池の機器への装着等の利便を図るため、ケースに電池を封入した後、必要ならば複数のケースを、剛性を持つ外装ケースに収納することも可能である。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1[鱗片状炭素性物質の製造]
内容積20リットルのステンレスタンク中で、ホソカワミクロン社製のメカノフュージョンシステムによって球形化処理を行った天然黒鉛粉末(平均粒径22〜23μm、BET法を用いて測定した比表面積4.7m2/g)3.0kgを、ナフサ分解時に得られる
エチレンヘビーエンドタール(EHE;三菱化学(株)社製)1.0kgと混合した。得られたスラリー状の混合物を回分式加熱炉で不活性雰囲気下にて700℃に保ち、1時間熱処理することにより脱揮した。次に、1300℃まで温度を上昇させ2時間保持し焼成した。焼成物を粉砕し、振動式篩いにより粒径を20〜25μmに整え、鱗片状の炭素被覆黒鉛系炭素質物を得た。
得られた炭素被覆黒鉛系炭素質物のBET法で測定した比表面積は3.1m2/gであ
った。また、得られた炭素被覆黒鉛系炭素質物と被覆前の黒鉛系炭素物質に対し、波長5145Åのアルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析を行いR値を求めたところ、炭素被覆黒鉛系炭素質物は0.21、被覆前の黒鉛系炭素物質は0.11であった。
なお、ラマンスペクトル測定は、日本分光NR−1800を用い、波長5145Åのアルゴンイオンレーザー光を30mWの強度で用いた。
[形状異方性の確認]
粉末のSEM画像を1000倍にて撮影しランダムに100個の粒子を抽出して粒子の最長径と最短径をノギスで測定し最長径/最短径値の平均を形状異方性として測定した。その結果、上記炭素被覆黒鉛系炭素質物の最長径/最短径比は1.6であった。
[平均粒径の測定]
平均粒径は粒子を水溶媒中に分散させホリバ製マイクロトラックを用いて測定した。その結果、上記炭素被覆黒鉛系炭素質物の平均粒径D50は20.0μmであった。
[負極の製造]
上記炭素被覆黒鉛系炭素質物100重量部に対して、球状物質としてメソカーボンマイクロビーズ(MCMB6−28、大阪ガス化学社製;最長径/最短径=1.1、平均粒径D50=6.1μm)20重量部、ポリフッ化ビニリデン(バインダー)10重量部、N−メチル−2−ピロリドン(溶剤)100重量部を調合し、混練機により2時間混練し負極用分散塗料とした。得られた負極用分散塗料を、20μm厚の銅集電体基材上にエクストルージョン型のダイコーティングによって乾燥後膜厚が50μmになるよう塗布し、120℃にて10分間乾燥し、負活物質がバインダーによって集電体上に結着された膜を作成した。
ついで、ロールプレス(カレンダー)をもちいて、線圧100kgf/cmの条件で圧密することによって負極とした。
[正極の製造]
コバルト酸リチウム90重量部、アセチレンブラック5重量部、ポリフッ化ビニリデン5重量部及びN−メチル−2−ピロリドン80重量部を混練機により2時間混練して得た正極用分散塗料を、20μm厚のアルミニウム集電体に、エクストルージョン型のダイコ
ーティングによって、乾燥後の膜厚が60μmとなるよう塗布、乾燥し、活物質がバインダーによって集電体上に結着された膜を作成した。ついで、ロールプレス(カレンダー)をもちいて、線圧100kgf/cmの条件で圧密することによって正極とした。
[リチウム二次電池の製造]
テトラエチレングルコールジアクリレート14重量部、ポリエチレンオキシドトリアクリレート7重量部、LiPF621重量部、重合開始剤1重量部、添加剤(酸無水物)1
4重量部、プロピレンカーボネート120重量部及びエチレンカーボネート120重量部を混合攪拌溶解し、電解質塗料とした。
上記の正極ならびに負極に上記電解質塗料を塗布し、別に電解質塗料に浸した電極よりやや面積の広いポリエチレン製多孔質フィルムを両極間に挟んで積層し、それを90℃にて10分加熱することにより電解質を非流動化して、正極、負極及び非流動性電解質を有する平板状のリチウム二次電池要素を得た。得られた電池要素に電流を取り出すタブを接続した。アルミニウム層の両面に合成樹脂層を形成してなる、形状可変性を有する薄型ラミネートフィルムを2枚用意し、これらの間に前記電池要素を配置した状態でケース部材の周縁部を真空シールして平板状のリチウム二次電池とした。
比較例1
球状物質を入れずにその分だけ鱗片状の炭素被覆黒鉛系炭素質物の使用量を増やしたこと以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を得た。
試験例
実施例1及び比較例1で得た負極及びリチウム二次電池を下記のような方法で評価した。
まず、接着強度試験として、得られた負極に対して接着テープによる剥離試験を行なった。負極活物質層が集電体から剥がれずに残った面積を測定し、全接着面積に対する割合(%)が65%以上の場合を○、65以下のものを×とした。
次に、得られたリチウム二次電池に対してサイクル試験を行なった。得られた電池に対して、100サイクル充放電を行なった後の容量を測定し、1サイクル目の容量に対する比で表した。なお、この際、充電の際は、1Cにて4.2Vまで定電流充電を行なった後、C/25になるまで低電圧充電を行なった。放電の際は、1Cにて3.0Vまで定電流放電を行なった。
さらに、100サイクル後の電池を分解し、負極における活物質層と集電体との接着性を目視観察した。結果を表−1に示す。
Figure 2014060176
表−1より、形状可変性を有するケースに電池要素を収納したリチウム二次電池においては、負極活物質層と集電体の接着力が弱く、また充放電の繰り返しによって特性が低下したり、活物質層が実際に集電体から剥がれる現象が起こりやすいのに対し、球状物質を添加することによってこれらの問題を大きく改善できることが分かる。

Claims (7)

  1. 正極と負極と電解質とを有するリチウム二次電池要素をケースに収納してなるリチウム二次電池に用いる負極に用いる負極活物質であって、アスペクト比が1.5以上の黒鉛材料にアモルファスな炭素質が被覆された平均粒径D50が1μm以上45μm以下である黒鉛粒子と、アスペクト比が1.0以上1.5以下の球状の黒鉛とを含有し、該球状の黒鉛の平均粒径D50が0.5μm以上30μm以下であり、該黒鉛粒子に対する該球状の黒鉛の重量比が5%以上70%以下であることを特徴とするリチウム二次電池用負極活物質(上記、平均粒径D50はマイクロトラックを用いて測定した値である)。
  2. 該黒鉛材料が鱗片状の天然黒鉛であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
  3. 該黒鉛粒子のX線回折による(002)面の面間隔d002が3.35Å以上3.39Å以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
  4. 該黒鉛粒子のラマンスペクトル分析から求められるR値が0.15以上1.0以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用負極活物質。
  5. 該黒鉛粒子の窒素ガス吸着によるBET法を用いて測定した比表面積が13m/g以下0.1m/g以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のリチウム二次電池用負極活物質。
  6. 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備えると共に、該活物質層が、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の負極活物質を含有することを特徴とする、リチウム二次電池用負極。
  7. 正極と負極と電解質とを有するリチウム二次電池要素をケースに収納してなり、該負極が、請求項6に記載の負極であることを特徴とするリチウム二次電池。
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