JP2014060029A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた熱安定性と出力特性を有する非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】正極活物質を含む正極合剤層を有する正極と、負極と、非水電解質とを備え、正極活物質が、層状構造を有し、一般式Li1+xNiMnCo2+d(式中、x,a,b,c,dは、x+a+b+c=1、0<x≦0.1、a≧b、a≧c、0<c/(a+b)<0.65、1.0≦a/b≦3.0、−0.1≦d≦0.1の条件を満たす)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物であり、正極合剤層に、常温で固体である環状ホスファゼン化合物が含まれ、非水電解質に、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩が含まれることを特徴としている。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関するものである。
リチウム二次電池などの非水電解質二次電池は、電動工具や電気自動車などの高出力が要求される用途の電源として注目が高まってきており、高い出力特性が求められている。また、他の電池と比較して高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池は、内部短絡等により急激な温度上昇をきっかけに熱暴走する可能性がある。このため、熱安定性のより高いリチウム二次電池が求められている。
特許文献1においては、環状ホスファゼン化合物と含フッ素有機溶媒とを含むことで、高い安全性を有する非水電解質電池が提案されている。
特許文献2には、正極合剤層中に環状ホスファゼン化合物を配合させ、正極合剤の細孔径の最頻値を0.5〜2.0μmの範囲内とすることで、電池構成材料の燃焼抑制と電子移動経路を確保し、異常時の電池の安全性の確保と高率放電特性の低下を抑制する非水電解質電池が提案されている。
特許文献3においては、NiとCoとMnを含むリチウム遷移金属酸化物を正極活物質として用いた非水電解質二次電池が開示されている。
国際公開WO2009/028567号パンフレット 特開2012−79685号公報 特開平5−242891号公報
しかしながら、特許文献1に記載される技術を用いた場合、電解液中のイオン伝導度が低下することから、出力特性が大幅に低下するという課題があった。また、出力特性の低下を抑えるため、電解液に含有させるホスファゼン化合物の量を減らすと、十分な安全性を得ることができない。
また、後述する通り、本件発明者らが検討した結果、特許文献3で記載されているNiとCoとMnを含有するリチウム含有遷移金属複合酸化物と、特許文献2に記載された固体のホスファゼン化合物を組み合わせた場合、ホスファゼンが、200℃を超える高温下で、正極と反応するため、ホスファゼンによる熱安定性向上の効果を十分に得ることができず、むしろ正極活物質の熱安定性が低下するという課題を生じることがわかった。
本発明の目的は、優れた熱安定性と出力特性を有する非水電解質二次電池を提供することにある。
本発明の非水電解質二次電池は、正極活物質を含む正極合剤層を有する正極と、負極と、非水電解質とを備え、正極活物質が、層状構造を有し、一般式Li1+xNiMnCo2+d(式中、x,a,b,c,dは、x+a+b+c=1、0<x≦0.1、a≧b、a≧c、0<c/(a+b)<0.65、1.0≦a/b≦3.0、−0.1≦d≦0.1の条件を満たす)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物であり、正極合剤層に、常温で固体である環状ホスファゼン化合物が含まれ、非水電解質に、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩が含まれることを特徴としている。
本発明によれば、優れた熱安定性と出力特性を有する非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明では、正極活物質として、NiとCoとMnを含むリチウム含有遷移金属酸化物を用い、正極合剤層に、常温で固体である環状ホスファゼン化合物が含有されている。「常温で固体である」とは、25℃で固体であることを意味しており、60℃で固体であってもよい。
上記リチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として用い、上記ホスファゼン化合物を正極合剤層中に含有させると、従来では、200℃を超える高温下で、ホスファゼン化合物の分解反応が、上記のリチウム含有遷移金属酸化物の表面上で生じる。このため、熱安定性を十分に高めることができない。
本発明においては、非水電解質に、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩が含まれている。このようなリチウム塩を非水電解質に含有させることにより、上記高温下でのホスファゼン化合物の分解反応を抑制することができる。詳細な理由は明らかではないが、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩が、初期の充放電サイクルで、正極表面上に高温下でも安定な保護被膜を形成し、これによって高温下でのホスファゼン化合物の分解反応が抑制されると思われる。ホスファゼン化合物本来の難燃作用が発現して、リチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として用いた電池における熱安定性をさらに向上できるものと考えられる。
本発明では、常温で固体である環状ホスファゼン化合物を正極合剤層中に含有させているため、非水電解質にホスファゼン化合物を含有させた場合のようなイオン伝導度の低下による出力特性の低下も生じることはない。さらに、電気化学的に不安定な鎖状ホスファゼン化合物と異なり、環状ホスファゼン化合物は電気化学的に安定であるため、電池性能に悪影響も及ぼすことはない。
正極合剤層中における環状ホスファゼン化合物の含有量は、0.1〜5質量%の範囲内であることが好ましい。含有量が0.1質量%未満であると、十分な熱安定性向上の効果が得られない場合がある。また、含有量が、5質量%を超えると、正極合剤層中に充放電に関与しない材料の割合が増えるため、十分な電池容量が得られないとともに、正極合剤層の電気抵抗が上がり、出力特性が低下する場合がある。環状ホスファゼン化合物の含有量は、さらに好ましくは2質量%以下である。
本発明における環状ホスファゼン化合物としては、一般式(NPR(nは3以上の整数である。)で表されるものが好ましく用いられる。nはさらに好ましくは3である。また、Rは好ましくはフェノキシ基である。リンと窒素を構成元素とする二重結合を有する化合物群であるホスファゼンは、環状構造と鎖状構造に大別される。鎖状ホスファゼンは、電気化学的に不安定であるため、非水電解質内に添加すると電池性能が低下するとともに、電池の熱安定性向上の効果も低くなる。このため、本発明においては、環状構造を有するホスファゼン化合物を用いている。
上記オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩としては、後述の実施例において用いるLiBOB[リチウム−ビスオキサレートボレート]が挙げられる。しかしながら、本発明で用いるオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩は、LiBOBに限定されるものではなく、中心原子にC 2−が配位したアニオンを有するリチウム塩、例えば、Li[M(C](式中、Mは遷移金属,周期律表のIIIb族,IVb族,Vb族から選択される元素、Rはハロゲン、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基から選択される基、xは正の整数、yは0又は正の整数である。)で表わされるものを用いることができる。具体的には、Li[B(C)F]、Li[P(C)F]、Li[P(C]等がある。なお、高温環境下においても表面に安定な被膜を形成するためには、LiBOBを用いることが最も好ましい。
オキサレート錯体を含むリチウム塩の非水電解質中における濃度は、0.05〜0.3モル/リットルの範囲であることが好ましい。
上記濃度が0.05モル/リットル未満であると、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を添加する効果が十分に得られない場合がある。また、上記濃度が0.3モル/リットルを超えると、電池の放電容量が低下する場合がある。
本発明において正極活物質として用いるリチウム含有遷移金属酸化物は、一般式Li1+xNiMnCo2+d(式中、x,a,b,c,dは、x+a+b+c=1、0<x≦0.1、a≧b、a≧c、0<c/(a+b)<0.65、1.0≦a/b≦3.0、−0.1≦d≦0.1の条件を満たす)で表される。このようなリチウム含有遷移金属酸化物を用いることにより、優れた熱安定性を得ることができる。
上記のリチウム含有遷移金属酸化物において、ニッケルの組成比aと、マンガンの組成比bとが1.0≦a/b≦3.0の条件を満たすものを用いる。これは、a/bの値が3.0を超えてニッケルの割合が多くなった場合には、ニッケルコバルトマンガン酸リチウムの熱安定性が低下して、発熱がピークになる温度が低くなるため、安全性を確保するための電池設計で不利が生じるからである。一方、a/bの値が1.0未満になってマンガンの割合が多くなった場合には、不純物相が生じやすく、容量が低下するためである。このようなことを考慮すれば、1.0≦a/b≦2.0という条件、特に、1.0≦a/b≦1.8という条件を満たすことがさらに好ましい。
また、上記一般式に示されるニッケルコバルトマンガン酸リチウムにおいて、リチウムの組成比(1+x)におけるxが0<x≦0.1の条件を満たすものを用いるのは、0<xの条件を満たすと、その出力特性が向上するからである。一方、x>0.1になると、ニッケルコバルトマンガン酸リチウムの表面に残留するアルカリが多くなって、電池を作製する工程においてスラリーがゲル化し易くなると共に、酸化還元反応を行う遷移金属量が少なくなって、正極容量が低下するためである。このようなことを考慮すれば、0.05≦x≦0.1という条件を満たすことがさらに好ましい。
さらに、上記一般式に示されるニッケルコバルトマンガン酸リチウムにおいて、酸素の組成比(2+d)におけるdが−0.1≦d≦0.1の条件を満たすようにするのは、上記ニッケルコバルトマンガン酸リチウムが酸素欠損状態や酸素過剰状態になって、その結晶構造が損なわれるのを防止するためである。
上記一般式において、0<c/(a+b)<0.65の条件を満たすようにするのは、Coの割合を低くして、正極活物質の材料コストを低減させ、工具用や自動車等の電源として好適に利用するためである。このようなことを考慮すれば、0<c/(a+b)<0.45という条件、特に、0<c/(a+b)<0.35という条件を満たすことが一層好ましい。
なお、上記のリチウム含有遷移金属酸化物には、ホウ素(B)、フッ素(F)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、錫(Sn)、タングステン(W)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)からなる群から選択される少なくとも一種が含まれていてもよい。これらの元素の含有量は、上記リチウム含有遷移金属複合酸化物中の遷移金属とこれら元素の総和に対し、0.1mol%以上5.0mol%以下であることが望ましい。
正極と負極との間に介在させるセパレータは、ポリエチレンあるいは、ポリプロピレンフィルムや、ポリエチレンとポリプロピレンが積層された三層以上の積層フィルムを用いることができる。
本発明における負極活物質としては、炭素材料、リチウムと合金化する金属または合金材料やそれらの酸化物などを用いることができる。これらの中では、炭素材料を用いることがより好ましい。炭素材料の具体例としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズピッチ系炭素繊維(MCF)、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス、ハードカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
本発明に係る非水電解質二次電池において、非水電解質に用いる非水系溶媒は、特に限定されない。好ましく用いられる非水系溶媒の具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネートや、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒などが挙げられる。
また、イオン性液体も、非水系溶媒として好ましく用いられる。イオン性液体のカチオンとしては、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、4級アンモニウムカチオンなどが好ましく用いられる。一方、イオン性液体のアニオンとしては、フッ素含有イミド系アニオンなどが好ましく用いられる。
非水電解質に用いる溶質の具体例としては、例えば、P、B、F、O、S、N及びClからなる群から選ばれた1種類以上の元素を含むリチウム塩を挙げることができる。このようなリチウム塩の具体例としては、例えば、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CSO、LiAsF、LiClO等が挙げられる。なかでも、優れた充放電特性や耐久性を得る観点からは、LiPFを溶質として用いることが好ましい。
正極は、例えば正極集電体の上に正極活物層を設けることにより作製することができる。負極も同様に、負極集電体の上に負極活物質層を設けることにより作製することができる。集電体は、導電性を有するものである限りにおいて、特に限定されない。集電体は、導電性を有する金属や合金からなる箔により構成することができる。具体的には、負極の場合は、例えばCuなどの金属や、Cuなどの金属を含む合金からなる箔により構成することができる。一方、正極の場合は、例えばAlなどの金属や、Alなどの金属を含む合金からなる箔により構成することができる。なお、集電体の厚さは、例えば、5μm〜30μm程度とすることができる。また、集電体の上に形成されている活物質層の厚さは、例えば、50μm〜200μm程度とすることができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
<実験1>
ここでは、正極活物質として、上記リチウム含有遷移金属酸化物を用い、正極合剤層中に固体の環状ホスファゼンを含有させた際の熱安定性を、熱分析によって評価した。
(実施例1)
[正極の作製]
共沈法により作製した[Ni0.5Mn0.3Co0.2](OH)とLiCOを所定比で混合した後、これらを空気中にて930℃で10時間焼成することで、Li1.04[Ni0.48Mn0.29Co0.19]Oの正極活物質粒子を得た。
次に、N−メチル−2−ピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデン溶液と、以下の式1で示したシクロホスファゼン粉末(6つの置換基が全てフェノキシ基、25℃で固体、融点:112 ℃)と、正極活物質粒子と、導電剤としてカーボンブラックSuper P(TIMCAL社製;比表面積が62m/g、平均粒子径が40nm)を混練機を用いて混練することにより、正極活物質:カーボンブラック:シクロホスファゼン粉末:ポリフッ化ビニリデンの質量比が91:5:1:3からなる正極スラリーを作製した。
Figure 2014060029
次いで、正極スラリーを、集電体としてのアルミニウム箔上に塗布し、乾燥した後に、圧延ローラーを用いて圧延し、さらに集電タブを取り付けることにより正極を完成させた。
[負極の作製]
本実施形態においては、黒鉛負極を用いた。増粘剤であるCMC(カルボキシメチルセルロース)を水に溶解した溶液に、黒鉛粉末を投入し、撹拌混合した後、バインダーであるSBRを混合してスラリーを調製した。黒鉛、CMC、及びSBRの質量比は、98:1:1とした。このスラリーを、銅箔からなる負極集電体の上に塗布し、これを乾燥させた後、圧延ローラーにより圧延し、これにニッケルの集電タブを取りつけて負極を作製した。
[非水電解質の作製]
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とジメチルカーボネート(DMC)とをそれぞれ体積比3:3:4で混合した溶媒に対し、支持塩としてのLiPFを1モル/リットル溶解させ、さらにビニレンカーボネートを1質量%溶解させた。その後さらにLiBOBを0.1モル/リットルになるよう溶解して非水電解液を作製した。
[非水電解質二次電池の作製]
上記で作製した正極および負極を、ポリエチレン製のセパレータを介して対向するように巻き取って巻取体を作製した。アルゴン雰囲気下のドライボックス中にて、この巻取体を電解液とともにラミネート外装体に封入することにより、4.1V充電での定格容量が16mAhである非水電解質二次電池A1を作製した。
(比較例1)
比較例1においては、実施例1における電池の作製において、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とジメチルカーボネート(DMC)とをそれぞれ体積比3:3:4で混合した溶媒に対し、支持塩としてのLiPFを1モル/リットル溶解させ、さらにビニレンカーボネートを1質量%溶解させた電解液を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る非水電解質二次電池X1を作製した。
(比較例2)
比較例1における正極合剤層にシクロホスファゼンを含有させないこと以外は比較例1と同様にして、比較例2に係る非水電解質二次電池X2を作製した。
(カルベ式熱量計を用いた熱量測定)
上記非水電解質二次電池を作製した後、充電電流4mAで4.1Vまで定電流充電を行った後、更に4.1Vにて充電電流が0.8mAになるまで定電圧で充電し、休止後、4mAで2.5Vまで放電を行った。この充放電サイクルを2回行った後、充電電流4mAで4.1Vまで定電流充電を行った後、更に4.1Vにて充電電流が0.8mAになるまで定電圧で充電した。満充電の状態でラミネートを開封し、電極の巻取り体を取り出し、熱量測定用の耐圧容器に入れ、Setaram社製カルベ式熱量計C−80にて30〜300℃、昇温速度1.0℃/分とし、正極と電解液との反応に起因する160〜290℃での発熱ピーク温度を求めた。
Figure 2014060029
表1から明らかな通り、正極活物質としては層状構造を有し、一般式Li1+xNiMnCo2+d(式中、x,a,b,c,dは、x+a+b+c=1、0<x≦0.1、a≧b、a≧c、0<c/(a+b)<0.65、1.0≦a/b≦3.0、−0.1≦d≦0.1の条件を満たす)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物を用いた場合、単に正極合剤層中に固体のシクロホスファゼン粉末を含有させた比較例1では、正極中にシクロホスファゼン粉末を含まない比較例2よりも発熱ピーク温度が低下し、熱安定性が下がることがわかる。これに対し、電解液にオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を含有させた実施例1は、比較例1、比較例2のいずれよりも発熱ピーク温度が高くなり、熱安定性が向上することがわかる。これは、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩が正極活物質の表面上で好適な被膜を形成することで、正極活物質の表面上でのホスファゼンの分解を抑制し、含有させたホスファゼンの本来の難燃作用が発現したためと考えられる。
<実験2>
ここでは、上記リチウム含有遷移金属酸化物を用い、正極合剤層中に固体の環状ホスファゼンを含有させるとともに、電解液にオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を含有させた場合の熱安定性への効果と、出力特性を、円筒18650電池によって評価した。
[非水電解質二次電池の作製]
(実施例2)
実施例1と同様にして作製した正極と負極を、ポロプロピレン/ポリエチレン/ポロプロピレンの三層セパレータを介して巻き取り、得られた巻取り体を円筒電池缶(円筒形18650サイズ)に挿入した。次に、実施例1で用いた非水電解液を注入した後に封止して、本発明の実施例2に係る非水電解質二次電池A2(設計容量:1200mAh)を作製した。
(比較例3)
実施例1で用いた正極活物質とカーボンブラックとポリフッ化ビニリデンの質量比を92:5:3として混練することにより正極スラリーを作製したこと以外は実施例2と同様にして、本件比較例3に係る非水電解質二次電池X3を作製した。
(比較例4)
25℃で液体であるシクロホスファゼン(上記式1における6つのフェノキシ基のうち5つをフッ素としたもの)を1.4質量%含有させたものを電解液として用いた以外は比較例3と同様にして、比較例2に係る非水電解質二次電池X4を作製した。尚、この場合、電解液中のシクロホスファゼンの濃度は、非水電解質二次電池系内に存在するシクロホスファゼンの量が実施例2と同量の濃度になっている。
(比較例5)
25℃で液体であるシクロホスファゼンを10質量%含有させたものを電解液として用いた以外は比較例3と同様にして、比較例5に係る非水電解質二次電池X5を作製した。尚、この場合、電解液中のシクロホスファゼンの濃度は、非水電解質二次電池系内に存在するシクロホスファゼンの量が実施例2に対し、約7.1倍となる濃度となっている。
[初期充放電]
作製した各非水電解質二次電池を充電電流1200mAで4.2Vまで定電流充電した後、4.2Vで20mAまで定電圧充電を行い、引き続き放電電流1200mAで2.5Vまで放電することで初期の充放電を行った。
[充電状態での釘刺し試験]
上記の初期充放電後の非水電解質二次電池を、充電電流1200mAで4.2Vまで定電流で充電した後、4.2Vにて充電電流が20mAになるまで定電圧で充電した。充電後の電池に、東洋システム製釘刺し試験装置にてφ=2.45mmの釘を1mm/秒の速度で貫通させた後の電池の最高到達温度を計測した。
[低温出力特性評価]
上記の初期充放電後の非水電解質二次電池を、25℃の条件下で充電電流1200mAにて電池容量の50%充電した後に、−30℃の条件下において、それぞれ0.1A、0.5A、1A、2Aの電流で10秒間放電を行い、10秒後の電池電圧を測定し、各電流値と電池電圧をプロットした。得られたプロットの直線近似から、放電終止電圧を2.7Vとしたときに10秒間放電可能な最大電流値Ipを求め、以下の式により−30℃、充電深度(SOC)50%における非水電解質二次電池の出力値を算出した。
出力値(SOC50%)=Ip(A)×放電終止電圧(2.7V)
本発明に係る非水電解質二次電池A2、および比較例3〜5に係る非水電解質二次電池X3〜X5の釘刺し試験結果、および低温出力特性(−30℃)の結果を以下の表2にまとめた。尚、釘刺し試験の結果は、比較例3に係る電池X3の最高到達温度を基準とし、それに対する低減幅で記載した。また、低温出力特性も比較例3に係る電池X3の出力値を基準とした相対値を求め、記載した。
Figure 2014060029
表2から明らかなとおり、電解液にオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を含有し、かつ正極合剤層中に常温で固体の環状ホスファゼンを含有する実施例2に係る非水電解質二次電池A2は、電解液にオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を含有するが、正極合剤層中に環状ホスファゼンを含有していない比較例3に係る電池X3と比較して最高到達温度が30℃低減し、熱安定性が向上していることがわかる。また、同時に低温出力特性は電池X3と同程度を維持している。一方、実施例2と同量の環状ホスファゼンを電解液に添加した比較例4に係る電池X4は、最高到達温度低減が認められず、さらに低温出力特性が低下している。
また、電解液に環状ホスファゼンを10質量%添加した比較例5に係るX5は、実施例2の電池A2とほぼ同等の熱安定性向上の効果が得られているものの、低温出力特性は大幅に低下している。
以上の実験1及び実験2の結果から、本発明に従い、層状構造を有し、一般式Li1+xNiMnCo2+d(式中、x,a,b,c,dは、x+a+b+c=1、0<x≦0.1、a≧b、a≧c、0<c/(a+b)<0.65、1.0≦a/b≦3.0、−0.1≦d≦0.1の条件を満たす)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として含み、正極合剤層中に、常温で固体の環状ホスファゼン化合物を混合させ、かつ電解液にオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩を含有させた場合にのみ、優れた熱安定性と出力特性を得ることができることがわかる。

Claims (5)

  1. 正極活物質を含む正極合剤層を有する正極と、負極と、非水電解質とを備え、
    前記正極活物質が、層状構造を有し、一般式Li1+xNiMnCo2+d(式中、x,a,b,c,dは、x+a+b+c=1、0<x≦0.1、a≧b、a≧c、0<c/(a+b)<0.65、1.0≦a/b≦3.0、−0.1≦d≦0.1の条件を満たす)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物であり、
    前記正極合剤層に、常温で固体である環状ホスファゼン化合物が含まれ、
    前記非水電解質に、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩が含まれる、非水電解質二次電池。
  2. 前記正極合剤層中における前記環状ホスファゼン化合物の含有量が、0.1〜5質量%の範囲内である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記環状ホスファゼン化合物が、(NPR(Rはフェノキシ基)である、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記リチウム塩が、リチウム−ビスオキサレートボレートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記非水電解質中における前記リチウム塩の濃度が、0.05〜0.3モル/リットルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
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