JP2014056623A - 垂直磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】結晶配向制御ならびに薄膜化を非加熱で実現でき、高K値を有するL1型規則構造を有する合金(FePt,FePd,CoPt)の垂直磁気記録媒体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】非磁性基体上に、少なくとも非磁性シード層、非磁性下地層、および磁性層がこの順に形成されている垂直磁気記録媒体において、前記非磁性シード層が、MgO層および体心立方(bcc)構造を有する金属層を含み、前記非磁性下地層が、MgO、NiO、TiO、CrN、Tiの炭化物、およびTiの窒化物からなる群から選択された1つからなるNaCl型構造を有し、前記磁性層が、L1型規則構造のFePt、FePd、およびCoPtから選択された1つを主体とする合金からなることを特徴とする垂直磁気記録媒体である。
【選択図】図1

Description

本発明は、垂直磁気記録媒体およびその製造方法に関し、好適にはコンピュータの外部記録装置をはじめとする各種磁気記録装置に搭載される垂直磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
ハードディスク、光磁気記録(MO)、磁気テープなどの磁気記録装置に用いられる磁気記録媒体の記録方式には、面内磁気記録方式と垂直磁気記録方式の2つの方式がある。ハードディスクに用いられる記録方式は、長年、ディスク表面に対して水平に磁気記録を行う面内磁気記録方式が用いられていた。しかし、記録密度の向上に伴い記録磁化が熱エネルギーによって消失する熱揺らぎ問題が顕著に現れるようになり、また、面内磁気記録方式では、記録密度の向上に伴い、同じ極性の磁化が向き合う箇所が不安定となる問題があった。そのため、2005年頃から、より高い記録密度が可能となる、ディスク表面に対して垂直に磁気記録を行う垂直磁気記録方式が用いられるようになった。そのため近年ではほぼ全ての磁気記録媒体に垂直磁気記録媒体が用いられるようになっている。
従来、垂直磁気記録媒体用の金属磁性材料として、CoCrPtをはじめとするCoCr系不規則合金磁性層が主に研究されてきた。しかし、垂直磁気記録媒体においても記録磁化の微細化に伴い将来的には熱揺らぎが問題化することを考えると、従来のCoCr系よりも垂直磁気異方性の大きな材料が必要である。その有力な候補として、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1種の磁性元素と、Pt、Pd、AuおよびIrから選択される少なくとも1種の貴金属元素とが規則相を形成する、規則合金系材料の研究が盛んに行われるようになってきている。特に、fct結晶構造を持つ規則合金であるFePtおよびCoPtは、それぞれ7×10erg/cmおよび4×10erg/cmという、現在CoCr系材料で得られている値の2倍以上の大きな磁気異方性を、磁化容易軸であるc軸方向に有することが知られている。これらFePt、CoPt規則合金、およびFePd規則合金などのL1型規則合金と、これを磁性層として用いた磁気記録媒体が、特許文献1〜6に記載されている。
このようにc軸(磁化容易軸)方向に大きな磁気異方性を持つ多結晶薄膜を面内または垂直磁気記録媒体に適用するための検討が進められている。
特開2002−208129号公報 特許第3730906号 特許第3730518号 特開2004−311607号公報 特許第3434476号 特許第4199194号 特許第4091228号 特開2010−34182号公報 特開2010−135610号公報 特開2003−173511号公報
T. Maeda, IEEE Trans. Magn., vol. 41, pp. 3331-3333(2005). T. Suzuki et. al., J. Magn. Magn. Mater., vol. 193, pp. 85-88(1999). Li-Lien Lee et al., Appl. Phys. Lett., vol. 67, pp. 3638-3640(1995). Y. Gauthier, et al., Phys. Rev. B, vol. 31, pp 6216-6218 (1985). Y. Gauthier, et al., Surf. Sci., vol. 276, pp 1-11 (1992). Byeong-Joo Lee et al., Phys. Rev. B, vol. 64, p. 184102 (2001).
規則合金を用いた高い異方性エネルギー(K)値を有する垂直磁気記録媒体を作成するためには、以下に示す2つの課題を克服しなくてはならない。
1つ目の課題は磁化容易軸の配向制御である。規則合金に限らず、全ての面内磁気記録媒体では磁気記録層に用いられている磁性材料の磁化容易軸は面内方向であり、垂直磁気記録媒体では垂直方向となっている。磁化容易軸を所望の方向とするためには、各結晶粒を配向成長させる必要がある。一般的な磁気記録層の形成方法であるスパッタリング法を用いて磁気記録層の配向を制御する有力な方法として、ある結晶性を持つ下地の上に磁性薄膜を積層する方法が挙げられる。これに加えて、磁性薄膜の成膜後および/または成膜中にアニールすることもある。
例えば非特許文献1によれば、L1構造を有するFePtの下地層として、Pt20nm/Cr5nm/NiTa25nmが開示されている。なお、積層膜の記載において“/”の左側が上層、右側が下層を表している。また、特許文献7には、NaCl構造を有する酸化物、窒化物、若しくは炭化物が開示されている。さらに非特許文献2には、下地層としてCr7nm/MgO10nmが開示されている。いずれもFePt直下の層は(002)面が基板面と平行に成長しており、下地の配向性を向上させるために第2の層を下地層直下に設けた形となっている。通常の薄膜成長プロセスでは、形成した薄膜は、その材料の持つ表面エネルギーが最小となる面(通常は最密面)が膜面と平行に成長する。しかし、ここで示した下地層では、最密面以外の面を膜面に平行に配向させるため、薄膜形成時に基板を加熱し、原子に熱エネルギーを与えることで表面エネルギーが最小となる最密面とのエネルギー差を小さくすることで結晶面の配向制御を実現している。
ここで例示したL1型規則合金向け下地層の形成方法は、いずれの方法についても下地層を形成する際の加熱が必要であり、量産性を考慮すると非加熱で(001)面が配向した下地層の形成方法が必要とされていた。ここで、非特許文献3には非加熱でCoCrPt長手媒体用下地層としてCrを用い、その(001)面を配向させるための方法として、Cr100nm/MgOが開示されている。この文献においてはCr(001)面の配向を実現するためにはMgO膜厚が5nm以上かつCr100nmの膜厚が必要であり、厚い膜を用いることは量産性を考慮すると望ましくない。磁気記録媒体の量産性を考慮すると、基板加熱を施すことなく、非磁性下地層および非磁性シード層を薄膜化しつつ(001)面の高配向を実現することが必要とされていた。
2つ目の課題は規則化温度の低減である。FePtの規則化には通常700℃程度の熱処理が必要であるが、高温熱処理は媒体に用いる基体に高い耐熱性を要求することはもちろんのこと、媒体を作成する装置自体の耐熱性も高くする必要がある。しかし、700℃という高温熱処理に対応した耐熱性を備えることは、基体においても装置においても現実的ではない。そこで規則化温度を低減することでFePtをはじめとする規則合金を量産に具する試みが行われている。非特許文献3〜5には、FePt合金にCu、Ag、Auを第3元素として添加することによる規則化温度低減の方法が開示されている。いずれの添加材料についても効果的に規則化温度を低減できる一方、K値も同時に下がってしまうため、規則化温度低減のメリットを享受できていないことが問題となっている。そのため、K値を低下させずに規則化温度を低減する方法が必要とされていた。
この問題に対し、特許文献8、9には不純物濃度が2〜3ppbである高純度ガスを用いることで、準安定相であるL1型のCo50Pt50合金ならびにCo50Pt50合金にCを添加したCo50Pt50−Cをスパッタ法よって基板温度350℃で形成する方法がそれぞれ開示されている。非特許文献4,5によれば、FePt,CoPt,NiPtのいずれにおいても薄膜の成長過程においてPtが表層に析出する効果が見られることが明らかとなっている。特許文献8,9に示されている準安定L1型CoPtの低温形成においては、プロセスガスの純度ならびに成膜前の真空度がL1準安定相の形成の鍵となっている。不純物濃度の小さいガスを用い、真空度を高めることで、膜成長に伴いPtが表層へ析出する効果が強く現れ、結果として膜面成長方向にCoとPtの単原子層が積層した構造が低温で実現できているものと考えられる。この効果をL1型の規則合金において示した例は現時点で見当たらない。また、垂直方向を磁化容易軸とする際、L1型CoPtがfcc(111)面を配向させる必要があるのに対し、L1型規則合金においては(002)面を配向させる必要があるため、L1型に適用する製法をそのままL1型規則合金に適用してしまうと、垂直方向が磁化容易軸とならず、垂直磁気記録媒体の形成ができない。したがって、適切な配向制御を実現した上で高純度ガスを用いたL1型規則合金の低温形成可否を明らかにし、垂直媒体へ適用することが求められていた。
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、結晶配向制御ならびに薄膜化を非加熱で実現でき、高K値を有するL1型規則構造を有する合金(FePt,FePd,CoPt)の垂直磁気記録媒体およびその製造方法を提供することにある。あるいは、本発明の別の目的は、非磁性下地層および非磁性シード層の結晶配向制御ならびに薄膜化を非加熱で実現し、Ptの表層析出効果を助長することによってL1型規則合金(FePt,FePd,CoPt)の高K値化に必要な規則化温度を350℃以下に低減させた垂直磁気記録媒体およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の垂直磁気記録媒体は、非磁性基体上に、少なくとも非磁性シード層、非磁性下地層、および磁性層がこの順に形成されている垂直磁気記録媒体であって、前記非磁性シード層が、MgO層および体心立方(bcc)構造を有する金属層を含み、前記非磁性下地層が、MgO、NiO、TiO、CrN、Tiの炭化物、およびTiの窒化物からなる群から選択された1つからなるNaCl型構造を有し、前記磁性層が、L1型規則構造のFePt、FePd、およびCoPtから選択された1つを主体とする合金からなることを特徴とする。
ここで、前記金属層の(001)結晶格子面、前記非磁性下地層のNaCl型構造の(001)結晶格子面、および前記磁性層中のL1型規則構造の(001)結晶格子面が、いずれも膜面と平行であることが好ましい。
また、前記金属層において、(002)面および(110)面の表面エネルギー差が300erg/cm以下であることが好ましい。さらに、前記金属層の膜厚が、3nm以上50nm以下であることが好ましく、前記金属層の下に配置された前記MgO層の厚みが、1原子層(0.2nm)以上3nm以下であることが好ましい。
あるいは、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法は、非磁性基体上に、少なくとも非磁性シード層、非磁性下地層、および磁性層をこの順に形成する工程を含み、前記非磁性シード層が、MgO層および体心立方(bcc)構造を有する金属層を含み、前記非磁性下地層が、MgO、NiO、TiO、CrN、Tiの炭化物、およびTiの窒化物からなる群から選択された1つからなるNaCl型構造を有し、前記磁性層が、L1型規則構造のFePt、FePd、およびCoPtから選択された1つを主体とする合金からなり、前記磁性層形成時において、前記非磁性基体の基体温度を200℃〜350℃とし、かつ、プロセスガスの不純物濃度を5ppb以下としたことを特徴とする。
本発明によれば、結晶配向制御ならびに薄膜化が実現された垂直磁気記録媒体およびその製造方法を提供できる。例えば超高真空プロセスを用いることで、非磁性下地層および非磁性シード層の結晶配向制御ならびに薄膜化を非加熱で実現できる。また、L1型規則合金(FePt,FePd,CoPt)の高K値化に必要な規則化温度を、Pt等の表層析出効果を助長することによって、例えば350℃以下に低減させた垂直磁気記録媒体およびその製造方法を提供できる。
本発明の垂直磁気記録媒体の構成例を示す概略断面図である。 参考例、実施例1および比較例1におけるK値のMgO層厚さ依存性を示す。 実施例1においてMgO層の厚さを1.0nmとした試料(実施例1−1)および4.0nmとした試料(実施例1−2)の磁化曲線を示す。 実施例1−1,2、比較例1,2におけるK値のFePt成膜時基体温度依存性を示す。 参考例、実施例1−1および比較例3において得られた試料のXRD回折結果を示す。 実施例3におけるFePt薄膜のK値のCr膜厚依存性を示す。 実施例1−1および実施例4において1nmのMgO層上にそれぞれCrおよびTaを形成した試料のXRD回折結果を示す。 各種非磁性下地層上に形成したFePt薄膜のXRD回折結果を示す。 MgO層上に形成した各種L1型規則合金のXRD回折結果を示す。
図1は、本発明の垂直磁気記録媒体の構成例を示す概略断面図である。図1において、非磁性基体10上に、非磁性シード層14、非磁性下地層16、および磁性層18がこの順に形成されている。
非磁性基体10は、垂直磁気記録媒体1の後述する他の構成要素を順次形成し、当該他の構成要素を支持するために媒体の最下部に配設する構成要素である。非磁性基体10としては、例えばAl基板、表面酸化Siウエハ、石英基板、プラスチック樹脂基板等も使用可能である。なお、後述の実施例および比較例において垂直磁気記録媒体作成に用いた基板は全て2.5インチガラスディスクであるが、上記例が基板材料を限定するものではない。
非磁性基体10上には、任意で軟磁性裏打ち層12を形成することができる。軟磁性裏打ち層12は、情報の記録時にヘッドから発生する磁束の広がりを防止すべく、垂直方向の磁界を十分に確保する役割を担う構成要素である。軟磁性裏打ち層12の材料としては、Ni合金、Fe合金、Co合金を用いることができる。特に、非晶質のCo−Zr−Nb、Co−Ta−Zr、Co−Ta−Zr−Nb、Co−Fe−Nb、Co−Fe−Zr−Nb、Co−Ni−Fe−Zr−Nb、Co−Fe−Ta−Zr−Nbなどを用いることにより、良好な電磁変換特性を得ることができる。
図1の垂直磁気記録媒体1においては、軟磁性裏打ち層12の上に非磁性シード層14が形成されている。非磁性シード層14は、当該層の上層として形成する非磁性下地層16の配向性を好適に制御し、ひいては磁性層18の良好な垂直配向性を実現するために配設する構成要素である。非磁性シード層14は、MgO層(第1シード層ともいう)14aおよび体心立方(bcc)構造を有する金属層14b(第2シード層ともいう)を含む。このとき、金属層14bの(001)結晶格子面、後述の非磁性下地層16のNaCl型構造の(001)結晶格子面、および後述の磁性層18中のL1型規則構造の(001)結晶格子面が、いずれも膜面と平行であることが好ましい。また、金属層14bの下に配置されたMgO層14aの厚みは、上述の結晶格子面配列を実現し、所望の磁気特性を満足し得る膜厚領域を適宜設定することが好ましい。
非磁性下地層16は、後述する磁性層18の配向性を向上させるとともに、該層の粒径を制御し、更にその形成時における初期成長層の発生を抑制するために配設する構成要素である。非磁性下地層16にこのような役割を十分に発揮させるには、その上に成長する磁性層18の結晶構造ならびに結晶配向面を適切に制御することを鑑み、その構造について考慮する必要がある。例えば磁性層18としてL1−FePt規則化合金を用いる場合には、FePtの(002)面を膜面に平行に配列させる必要があるため、非磁性下地層16には同様の結晶構造を有する材料の(002)面を膜面に平行に配列させることが好ましい。
磁性層18は、情報を記録するために配設する構成要素である。磁性層18は、単層体又は2層以上の積層構造体とすることができる。本発明において、磁性層は、L1型規則構造のFePt、FePd、およびCoPtから選択された1つを主体とする合金からなる。
磁性層18の上に、保護層20を形成することができる。保護層20は、図1の垂直磁気記録媒体1の断面視において、磁性層18の下方に位置する各層を保護するとともに、特に、磁性層18がグラニュラー膜である場合に、磁性層18からの強磁性元素の溶出を防止するために配設する構成要素である。保護層20には、垂直磁気記録媒体に通常使用される材料を用いることができる。例えば、ダイヤモンド状カーボン(DLC)、若しくはアモルファスカーボン(好ましくはダイヤモンド状カーボン(DLC))などのカーボンを主体とする保護層、又は磁気記録媒体の保護層として用いることが知られている種々の薄層材料が挙げられる。保護層20の厚さは、垂直磁気記録媒体の構成要素として通常用いられる厚さを適用することができる。
また、液体潤滑層22を保護層20上に形成することができる。液体潤滑層22は、任意の構成要素であるが、保護層20と図1には示さないヘッドとの間に生ずる摩擦力を低減し、垂直磁気記録媒体1の優れた耐久性及び信頼性を得る目的で配設する液状の構成要素である。液体潤滑層22の材料としては、垂直磁気記録媒体に通常用いられる材料を使用することができる。例えば、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤などが挙げられる。液体潤滑層22の膜厚は、垂直磁気記録媒体の構成要素として通常用いられる膜厚を適用することができる。液体潤滑層22は、ディップコート法、スピンコート法などの当該技術において知られている任意の塗布方法を用いて形成することができる。
本発明の効果を確かめるため、以下に示す実施例および比較例について実験を行い、各例で用いたシード層、下地層、磁性層と共に、得られた磁性層の異方性エネルギー(K)値をそれぞれ第1表にまとめた。
Figure 2014056623
[実施例1]
超高真空(UHV)DC/RFマグネトロンスパッタ装置(ANELVA,E8001)を用いて以下のように試料を作成した。成膜を始める前の到達真空度は7.0×10−7Pa以下であった。プロセスガスには、不純物濃度が2〜3ppbの超高純度Arガスを用いた。
非磁性基体としてのガラス基板上に、基板への付着強度を強めるため、Taを5nm付与し、その上にMgOを、膜厚を0.2〜10nmまで変化させて付与してMgO層を形成した。その後非磁性シード層としてCr20nmをMgO層上に付与した。なお、MgO層の膜厚が0nmの場合を参考例とした。ここで、Crは体心立方構造を有する材料の一例として用いたに過ぎず、本実施例の効果に特段の影響を与えるものではない。その上に非磁性下地層としてMgO20nmを形成した。Ta層から非磁性下地層としてのMgO層までは、全て成膜プロセスガスとしてArを用いており、成膜時のガス圧は0.3Paとした。また、MgO層の成膜にはMgとOを1:1で含む材料から成るターゲットを用い、RFスパッタ法により薄膜を形成した。薄膜形成時のガスはArのみとし、酸素添加は実施しなかった。形成した薄膜のXRD(X−ray Diffraction)回折のピーク位置はMgOのそれによく一致しており、また、EDX(Energy Dispersive X−ray Spectrometer)を用いた組成分析においても、MgとOを1:1で含む材料から成っていることを確認した。さらにFeおよびPtを同時スパッタさせることで磁性層としてFePt合金を10nm形成した。FePtの組成はFeおよびPtターゲットに印加する電力を変化させることで調整が可能であるが、本実施例におけるFePt合金薄膜の組成はFeが55at.%であり、Ptが45at.%であることがEDXから明らかとなっている。なお、上記組成は一例に過ぎず、FePtにおいてL1相が形成される限りにおいては以下の効果が現れるものと考えて良い。磁性層形成時の基板温度は室温から350℃とし、成膜時のArガス圧は3.0Paとした。
その後、膜面を保護するため、Ta5nm/Pt2nmをArガス圧0.3Paで形成した。なお、ここで示した成膜条件は一例に過ぎず、本実施例の効果に特段の影響を与えるものではない。
[実施例2]
実施例1のうち、Ta上に付与したMgO層の膜厚を1nmとした場合(実施例1−1)の条件中、ガス不純物純度はppbオーダーで変化させずに成膜を始める前の到達真空度のみを7.0×10−5Pa程度に劣化させた以外は実施例1と同様の条件で、FePt垂直磁気記録媒体を形成した。
[実施例3]
非磁性シード層としてCrを0〜50nmで変化させ、磁性層形成時の基板温度を350℃とした以外は実施例1−1と同様の条件で、FePt垂直磁気記録媒体を形成した。
[実施例4]
非磁性シード層としてTaを20nm付与し、磁性層形成時の基板温度を350℃とした以外は実施例1−1と同様の条件で、FePt垂直磁気記録媒体を形成した。
[実施例5]
下地層材料をTiNとし、FePt形成時の基板温度を200℃とした。TiNの形成にはTiとNを1:1で含む材料から成るターゲットを用いた。成膜時のプロセスガスはArのみを用い、窒素ガスの添加は行っていない。成膜時のArガス圧は0.3Paとした。XRD回折ピークの位置およびEDXによる組成分析の結果から、形成した薄膜の組成がTiとNを1:1で含む材料であることを確認している。上記以外は実施例1−1と同様の条件で、FePt垂直磁気記録媒体を形成した。
[実施例6]
下地層材料をCrNとし、FePt形成時の基板温度を200℃とした。CrNの形成にはCrとNを1:1で含む材料から成るターゲットを用いた。成膜時のプロセスガスはArのみを用い、窒素ガスの添加は行っていない。成膜時のArガス圧は0.3Paとした。XRD回折ピークの位置およびEDXによる組成分析の結果から、形成した薄膜の組成がCrとNを1:1で含む材料であることを確認している。上記以外は実施例1−1と同様の条件で、FePt垂直磁気記録媒体を形成した。
[実施例7]
磁性層としてFePdを用いた。FePd層の組成はEDXの結果から、Feが50at.%であり,Pdが50at.%であることがわかった。本実施例において得られる効果については、FePdにおいてL1相が発現する限りにおいて普遍的に現れると考えられる。磁性層形成時の基板温度を350℃とした。上記以外は実施例1−1と同様の条件で、FePd垂直磁気記録媒体を形成した。
[実施例8]
磁性層としてCoPtを用いた。CoPt層の組成はEDXの結果から、Coが50at.%であり,Ptが50at.%であることがわかった。本実施例において得られる効果については、CoPtにおいてL1相が発現する限りにおいて普遍的に現れると考えられる。磁性層形成時の基板温度を350℃とした。上記以外は実施例1−1と同様の条件で、CoPt垂直磁気記録媒体を形成した。
[比較例1]
不純物濃度が2〜3ppmの低純度ガスをプロセスガスとして用い、MgO層の膜厚を0〜10nmまで変化させた以外は実施例1と同様の条件で、FePt垂直磁気記録媒体を形成した。
[比較例2]
成膜前の真空度を7.0×10−5Pa程度に劣化させ、さらに不純物濃度が2〜3ppmの低純度ガスをプロセスガスとして用いた以外は実施例1−1と同様の条件で、FePt垂直磁気記録媒体を形成した。
[比較例3]
ガラス基板上に薄膜の付着強度を強めるためにTaを5nm付与し、その上にArガス圧0.3PaでPtを10nm付与し、磁性層形成時の基板温度を350℃とした以外は実施例1と同様な条件で、FePt薄膜を形成した。
[比較例4]
ガラス基板上に薄膜の付着強度を強めるためにTaを5nm付与し、その上にArガス圧0.3PaでRuを20nm付与し、磁性層形成時の基板温度を350℃とした以外は実施例1と同様な条件で、FePt薄膜を形成した。
図2に実施例1および比較例1において得られた試料のK値を、第1シード層として用いたMgO層の膜厚に対して示す。プロセスガスの不純物濃度がppbオーダーである実施例1においては、MgO層の膜厚が0.2〜3.0nmの範囲でK値が大きな値、特に0.2〜2.0nmの範囲でK値が3×10erg/cmを超える大きな値を示すのに対し、プロセスガスの不純物濃度がppmオーダーである比較例1ではいかなるMgO層の膜厚においてもK値が1.0×10erg/cmを下回っている。
ここで、結晶配向面と磁気特性の関係を明らかにするため、実施例1の結果について詳細な検討を行った。図3に、実施例1においてMgO層の膜厚を1.0nmとしたもの(実施例1−1、図中左)と4.0nmとした試料(実施例1−2、図中右)についての磁化曲線の測定結果を示す。試料の磁化曲線は、磁界を膜面に垂直に磁界を印加して測定したもの(⊥)、および平行に磁界を印加して測定したもの(//)のそれぞれについての結果である。MgO層の膜厚が1.0nmの試料(実施例1−1)は垂直方向への強い異方性が発現しており、垂直磁気記録媒体用材料として好適であることを示唆している。一方MgO層の膜厚が4.0nmの試料(実施例1−2)では、印加磁界の方向に拠らず、ほぼ同じ磁化曲線形状となっており、垂直方向への異方性は見られていない。両試料についてXRD測定を実施したところ、MgO層の膜厚が1.0nmの試料ではMgO(002)面、Cr(002)面からの回折線のみが観察され、その結晶格子面上に成長したFePtでは、FePt(001)面および(002)面からの回折線のみが観察され、それ以外の結晶配向面からは回折線が観察されなかった。これに対してMgO層の膜厚が4.0nmの試料では、Cr(002)面に加えてCr(110)面からの回折線が観察され、その上に成長する非磁性下地層としてのMgO層についてもMgO(002)面に加えてMgO(111)面からの回折線が観察されていた。非磁性下地層としてのMgO層上に成長するFePtについても、FePt(001)面、(002)面に加えて(111)面からの回折線が観察されていた。
次に、種々のプロセスガス純度、ならびに真空度の条件下で、基板温度を変化させてL1型規則合金を作成し、低温形成に与える影響を調べた。図4には、実施例1−1,2および比較例1のうちMgO層の膜厚を1nmとした場合(比較例1−1),比較例2で得られた試料のK値をFePt成膜時の基板温度に対して示す。ここで用いたTa上に付与したMgO薄膜の厚さは、先のとおり、図2に示すようにK値が最も大きくなる1nmが採用されている。
プロセスガスの不純物濃度がppbオーダーであり、成膜前の真空度のみが異なる実施例1−1および2においては200℃から規則化が進行し、10erg/cm台のK値が導出できている。一方不純物濃度がppmオーダーであり、成膜前の真空度が10−7Pa台と高い真空度条件である比較例1−1においては、350℃程度の温度で規則化が進行し始めることによるK値の増加が見られるものの、K値の大きさは0.4×10erg/cmと小さい。一方、ガス純度および成膜前真空度の両方が悪い比較例2では、検討した基板温度領域において規則化の進行を確認することができなかった。以上の結果から、プロセスガスの不純物濃度をppbオーダーまで低減することで、非特許文献4,5に示されるような薄膜の成長過程においてPtが表層に析出する効果が見られ、結果としてFeとPtの単原子層が交互に積層した(002)配向が実現し、垂直方向が磁化容易軸となったL1相の低温形成につながったと考えられる。
また、実施例1−1,2の結果から、L1相の低温形成は検討した範囲においては成膜前の真空度に拠らないことがわかる。これは準安定相であるL1型とは異なる挙動であり、L1相が安定相であるが故の結果であると考えられる。プロセスガスの不純物ガス濃度を低減するだけでL1相の低温形成が可能になることは、量産に具する場合には成膜装置の簡略化に繋がるため、L1型規則合金の形成よりもメリットが大きいと考えられる。
ここで、L1型規則合金で用いられるfcc(111)面あるいはhcp(002)面が膜面に平行に配向した薄膜が、L1型規則合金に対し、垂直方向を磁化容易軸とするために有効であるかどうかを比較例3に示した実験により確認した。
図5には、参考例、実施例1−1および比較例3で得られた試料のXRD測定結果を示す。ここでは結晶配向面が磁気特性に及ぼす影響を明瞭に観察するため、本検討において最も規則化が進行する350℃で実験を行った。磁気特性は結晶配向面と密接に関係しており、ここで設定した温度は本実施例の効果に特段の影響を与えるものではない。
MgO(002)面を下地層として用いている実施例1−1ではFePt(001)および(002)面からの回折線が観察されており、FePtの他の面に由来する回折線は観察されていない。参考例は、第2シード層としての金属層がCrの場合について、最密面である(110)面を膜面に平行に形成した例(実施例1中第1シード層としてのMgO層の膜厚を0nmとした例に相当)である。参考例では、2θ=44°付近にCrの最密面である(110)面、37°付近に非磁性下地層のMgOの(111)面、41°付近にFePtの最密面である(111)面からの回折線がそれぞれ確認されており、それ以外の面からの回折線は確認されていない。参考例から、第2シード層の(001)結晶格子面を膜面と平行に形成しないと非磁性下地層(この場合はMgO)の(001)結晶格子面が膜面に平行に形成されず、さらにこのとき、FePtの(001)結晶格子面が膜面に平行に形成されないことが明らかとなった。一方、下地層にfcc型であるPt(111)面が膜面に平行に配向した薄膜を用いた比較例3においては、FePt(111)面からの回折線のみが観察されている。ここで、FePtの規則化が進行しているか否かを確認するため、FePt(001)面と(111)面が成す角度である54.73°試料を傾け、(001)面が正対するように試料を傾けてXRD測定を行った(図中Ψ=54.73(度)と記載したもの)。このとき、規則化に起因するFePt(001)面からの回折線が2θ=24°付近に観察された。したがって、比較例3においてはFePtの規則化が進行しているが、結晶配向面が(002)面となっておらず、垂直方向が磁化容易軸となっていないことが明らかとなった。また、比較例4では非磁性下地層としてhcp型の結晶構造を有するRuを用いている。hcp型とfcc型の両者は結晶の原子配置が非常に類似しており、結果は比較例3と同様であった。
以上の結果から、350℃以下の低温領域で規則化を促進し、かつ1.0×10erg/cmを超える大きなK値を導出した垂直磁気記録媒体を形成するためには、プロセスガスの不純物濃度をppbオーダーにすることに加え、NaCl型構造を有する非磁性下地層の(001)結晶格子面、ならびにbcc構造を有する非磁性シード層の(001)結晶格子面がいずれも膜面と平行に形成され、L1型規則構造の(001)結晶格子面を膜面に平行に形成することが好ましいことがわかる。こうすることで配向性を維持したまま第1シード層として用いられるMgO層の膜厚の低減を図ることが可能となる。
次に第2シード層として用いられた金属層Crの膜厚に対する特性の変化を確かめるため、実施例1−1において金属層Crの膜厚を0〜50nmで変化させ、得られた結果を実施例3とした。
図6に、実施例3において得られた試料のK値の変化をCrの膜厚に対して示す。このとき、磁性層成膜時の基板温度は350℃一定とした。Crを付与しない状態では下地層として用いたMgOの(002)面の結晶配向性が悪く、垂直磁気記録媒体として用いるには好ましくない。しかしCrを1nm付与するだけでMgOの結晶成長性は向上し、K値も1.0×10erg/cmを超えて1.1×10erg/cmとなる。10nm以上のCr膜厚ではK値はほぼ一定となり、Crの構造がFePtの磁気特性に与える影響は飽和していると考えられる。
本実施例の効果をCr以外のbcc合金材料において確認するため、第2表に各種bcc系材料の最密面である(110)面、および垂直媒体形成上所望の面である(002)面の表面エネルギーの値と共に、両者の表面エネルギー差および(002)配向の可否を示す。なお、表に示した数値は非特許文献6記載の値である。
Figure 2014056623
また、図7にはCr以外のbcc構造を有する非磁性シード層の配向状態を確認するため、第2表に示した材料において、(002)面の表面エネルギーが最大となるTaについて、実施例1−1の条件で、Ta金属層(第2シード層)までを形成した試料を実施例4とし、Cr金属層(第2シード層)までを作成した試料のXRD結果と合わせて示す。また、図中にはそれぞれ10nmのFePt薄膜を付与した試料におけるK値も合わせて示した。なお、FePt薄膜形成時の基板温度は350℃とした。本例では表面エネルギーが最小となるCr、および最大となるTaにおいて、それぞれ最密面以外の(002)面を室温成膜で導出することができている。そのため、これらの材料よりも表面エネルギーが小さく、(002)面と(110)面の表面エネルギー差がCr,Taよりも小さいFe,Nb,Vといった単体金属でも同様の結果を導出可能であることは自明である。さらに、第2表で示したbcc系材料はいずれも完全固溶であり、合金を作成する場合、表面エネルギー値はCrより大きく、Taより小さくなる。合金においても本発明に従えば安定に(002)面の導出が室温で可能となり、その上に成長するFePtについても、(001)面および(002)面のみを膜面に平行に成長させることが可能となる。また、Crを非磁性シード層とした場合のK値が3.54×10erg/cmであるのに対し、Taにした場合には3.28×10erg/cmと大きく変化していないことがわかる。このことから、下地層の配向状態が適切であり、表面エネルギー差が所定の範囲内にあれば、その材料に拠らず大きなK値を導出できることが明らかとなった。
MgO以外のNaCl型結晶構造を有する材料を下地層として用いた際の規則合金低温形成効果について確認するため、下地層材料をMgOと同じNaCl型結晶構造を有するTiNおよびCrNに変更したものをそれぞれ実施例5,6とした。ここでは、更なる低温規則化について効果を確認するため、FePt形成時の基板温度を200℃とし、実施例1についても同様に200℃とした。図8に示したXRD測定結果から、いずれの下地層材料においても2θ=24単位付近に規則化に伴う回折ピークが観察されており、FePtの規則化が200℃という低温領域から進行していることがわかる。
最後に、FePt以外のL1型規則合金系での効果を確認するため、磁性層材料をFePdおよびCoPtとして試料を作成し、各々実施例7,8とした。
図9に、実施例1−1,7,8において、各種磁性層材料成膜時の基板温度を350℃とした場合のXRD測定結果を示す。なお、先のとおり、実施例1−1において第1シード層として用いたMgO層の膜厚は1.0nmとしてある。いずれのL1構造を有する磁性層材料においても規則化に伴う回折ピークが観察されており、本発明で得られたシード層を用いて下地層および磁性層を形成することで効果的にL1規則構造が得られることがわかった。図8に示した結果と合わせて考えると、下地層材料を問わずいずれのL1型規則合金の形成が可能であると考えられる。
最後に本実施例で得られた知見がもたらす効果について述べる。
本件の方式によれば、ガス純度のみをppbオーダーとすることで、FePtの磁化容易軸を垂直方向に向けるために必要なシード層および下地層の形成においても、非加熱で形成できることから、量産効率の向上が見込まれる。
垂直磁気記録媒体の高密度化について考えた場合、記録ヘッドと軟磁性裏打ち層との距離を小さくし、ヘッドにより生じる書き込み磁界を効率良く軟磁性裏打ち層へ流入させ、記録磁界強度および勾配を大きくすることが高密度化には必要不可欠である。そのためには非磁性下地層およびシード層の薄膜化は避けて通れない。本発明によれば、非特許文献3において示されていない5nm以下のMgOと100nm以下のCr膜厚領域において大きなK値を示すFePt薄膜が形成できることは明らかである。もっとも、ヘッドおよび軟磁性裏打ち層とのスペーシングを低減するため、bcc構造を有する金属層(ここではCr)の膜厚は高々50nm程度である。また、1Tbit/inを超える記録密度を実現するためには、磁性結晶粒の微細化に伴う熱安定性の確保の観点から、10erg/cm台のK値を有する磁性材料が必要となる。以上、必要なK値および本発明で得られた結果を考慮すると、bcc構造を有する金属層の最低膜厚は1nmが好ましく、結果として1nm以上50nm以下のbcc構造を有する金属層を非磁性下地層として用いることが好ましいと言える。
また、特許文献10においては、本特許同様、2つの異なる層から成る配向制御層を有するFePt薄膜の提案がなされている。ここで提案されている媒体は、磁性層がL1FePtとFePtの混相であり、結晶粒界に常磁性であるFePtが析出した構造となっている。これに対して本提案では磁性層がFePt単独で構成されており、高純度Arを用いる結果、特許文献10で提案されている薄膜よりも大きなK値を有する薄膜の形成に成功している点で優位性が保たれる。
以上を考慮し、本発明が将来の高密度垂直磁気記録媒体用磁性薄膜形成に寄与するところは非常に大きいと言える。
1 垂直磁気記録媒体
10 非磁性基体
12 軟磁性裏打ち層
14 非磁性シード層
14a MgO層(第1シード層)
14b 金属層(第2シード層)
16 非磁性下地層
18 磁性層
20 保護層
22 液体潤滑層

Claims (6)

  1. 非磁性基体上に、少なくとも非磁性シード層、非磁性下地層、および磁性層がこの順に形成されている垂直磁気記録媒体において、
    前記非磁性シード層が、MgO層および体心立方(bcc)構造を有する金属層を含み、
    前記非磁性下地層が、MgO、NiO、TiO、CrN、Tiの炭化物、およびTiの窒化物からなる群から選択された1つからなるNaCl型構造を有し、
    前記磁性層が、L1型規則構造のFePt、FePd、およびCoPtから選択された1つを主体とする合金からなることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記金属層の(001)結晶格子面、前記非磁性下地層のNaCl型構造の(001)結晶格子面、および前記磁性層中のL1型規則構造の(001)結晶格子面が、いずれも膜面と平行であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記金属層において、(002)面および(110)面の表面エネルギー差が300erg/cm以下であることを特徴とする請求項1〜2いずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記金属層の膜厚が、1nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記金属層の下に配置された前記MgO層の厚みが、1原子層(0.2nm)以上3nm以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の垂直磁気記録媒体。
  6. 非磁性基体上に、少なくとも非磁性シード層、非磁性下地層、および磁性層をこの順に形成する工程を含み、
    前記非磁性シード層が、MgO層および体心立方(bcc)構造を有する金属層を含み、
    前記非磁性下地層が、MgO、NiO、TiO、CrN、Tiの炭化物、およびTiの窒化物からなる群から選択された1つからなるNaCl型構造を有し、
    前記磁性層が、L1型規則構造のFePt、FePd、およびCoPtから選択された1つを主体とする合金からなり、
    前記磁性層形成時において、前記非磁性基体の基体温度を200℃〜350℃とし、かつ、プロセスガスの不純物濃度を5ppb以下としたことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
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