JP2014055060A - 吊り具 - Google Patents

吊り具 Download PDF

Info

Publication number
JP2014055060A
JP2014055060A JP2012202014A JP2012202014A JP2014055060A JP 2014055060 A JP2014055060 A JP 2014055060A JP 2012202014 A JP2012202014 A JP 2012202014A JP 2012202014 A JP2012202014 A JP 2012202014A JP 2014055060 A JP2014055060 A JP 2014055060A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
opening
rod
closing
locking
open
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012202014A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5889146B2 (ja
Inventor
Hideki Noguchi
秀記 野口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Caterpillar Japan Ltd
Original Assignee
Caterpillar Japan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Caterpillar Japan Ltd filed Critical Caterpillar Japan Ltd
Priority to JP2012202014A priority Critical patent/JP5889146B2/ja
Publication of JP2014055060A publication Critical patent/JP2014055060A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5889146B2 publication Critical patent/JP5889146B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Load-Engaging Elements For Cranes (AREA)

Abstract

【課題】物体の係止時にも物体の解放時にも係止部材の開度を固定することができるようにした吊り具を提供する。
【解決手段】互いに枢着された一対の開閉ロッド1a,1bと、各開閉ロッド1a,1bの下部に連結されて開閉ロッド1a,1bの開閉に応じて開閉し、吊上げ対象の物体を係止する一対の係止爪43,43と、開閉ロッド1a,1bの上部に連結された吊上金具2とをそなえ、開閉ロッド1a,1bの開閉開度を固定する固定機構6を有し、固定機構6は、一端部を一方の開閉ロッド1aに揺動可能に枢着され、他端部を他方の開閉ロッド1bにスライド可能に係止された固定用ロッド61と、他方の開閉ロッド1bに可動に装備され、係止爪43,43が物体を係止する状態に保持する係止保持用爪部と物体を解放する状態に保持する解放保持用爪部とを有するロックレバー63とから構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、比較的大型で重量のある物体を安定して吊り上げるために用いて好適の、吊り具に関するものである。
例えば、墓石や鋼材や大型ワークといった比較的大型で重量のある物体を移動するには、クレーン等の機械の力を利用して物体を吊上げなくてはならない場合が多い。この場合、吊上げ対象の物体をクレーンのフックに懸吊して移動するが、物体を直にフックに係止することはできないので、いわゆる吊り具を利用して物体をフックに係止する。このような吊り具には、種々の構造のものがある。
例えば特許文献1には、ガイド管で互いに接近や離隔が可能に連結される一対の支持アーム(脚支杆)の各下端部に爪板を装備し、一対の開閉ロッド(開閉杆)を用いて一対の支持アームを離隔させることにより、両支持アーム間に墓石等の吊り上げ対象の物体を配置させ、一対の支持アームを接近させて、両爪板を物体の両側下部に配置し、一対の開閉ロッドの上部をクレーン等のフックに係止して上昇させることにより物体をクランプしながら吊り上げる吊り具が記載されている。
この吊り具では、一対の開閉ロッドは、下端を各支持アームの上部に設けられたL字状曲腕部に揺動自在に連結され、上端を互いに揺動自在に連結される。一対の開閉ロッドの中間部には、リンク機構を備えた操作ロッドが装備され、操作ロッドを揺動操作することで開閉ロッドを開閉する。これにより、一対の支持アームを接近又は離隔させて、吊り上げ対象の物体のクランプやアンクランプを行う。
また、特許文献2には、ホイストクレーンに連結される連結部材に上部支軸を介して開閉可能に上端が軸着された一対の上部リンクと、この上部リンク下端に連結され、かつ下部支軸を介して開閉可能に軸着され、上部リンクとでパンダグラフ機構を形成する一対の下部リンクと、この下部リンク下端に設けられ、パンダグラフ機構の上下方向収縮動作に追従してワークを掴持するクランプ部とを備えたワーク吊り具が記載されている。
このワーク吊り具には、下端を下部支軸に軸支され上端を上部支軸にスライド自在に係止されたガイドプレートが設けられ、このガイドプレートの側面には、係止溝が設けられる。上部リンクの一方に、係止溝に進入する方向に付勢された係止爪が設けられ、パンダグラフ機構が、クランプ部がワークの係止を解放する所定の開度になると、係止爪が係止溝に進入して係止されこの開度が保持される。
実公昭56−44777号公報 特開2005−41670号公報
ところで、特許文献1に記載された吊り具は、支持アームの爪板が吊り上げ対象の物体の両側部の外側から下部に潜り込んで吊上げ時には物体を下方から支持する。このため、吊り上げ対象の物体の自重が吊り具にかかると、この物体の荷重は一対の開閉ロッドに閉鎖する方向へ作用するため、吊上げ時には物体が吊り具から落下するおそれはない。
しかしながら、物体に下から力が加わり物体の自重がなくなると、一対の開閉ロッドに閉鎖方向へ拘束する力がなくなって、開閉ロッドが開きながら両爪板間が開いて、吊り具から吊り上げ対象の物体が落下するおそれが生じる。
また、吊り上げ対象の物体をクランプする際やアンクランプする際には、両爪板間を一時的に吊り上げ対象の物体を解放する状態に適宜の開度に保持したい。しかし、この吊り具は、その自重が開閉ロッドを閉鎖するように作用するのに対して、開閉ロッドを一定開度の開状態に拘束する構造は有しているが、両爪板間を適当な間隔とする適宜の開度で開いた状態に保持するには、作業者が操作ロッドを操作するなどして開閉ロッドを開状態に拘束する力を加え続ける必要があり、吊り上げ対象の物体の着脱に時間や労力を要する。
一方、特許文献2に記載されたワーク吊り具は、クランプ部がワークを開放する所定の開度になると、係止爪が係止溝に進入して係止され、このアンクランプ状態の開度が保持される。ただし、係止爪が係止溝に係止されるのは、アンクランプ時だけであり、クランプ時には、係止爪は係止溝に係止されることはない。
特許文献2の場合も、クランプ時には、吊り上げ対象の物体であるワークの自重がパンダグラフ機構を閉鎖する(ワークをクランプする)方向へ作用するため、吊上げ時には物体が吊り具から落下するおそれはないが、ワークに下から力が加わりワークの自重がなくなると、パンダグラフ機構を閉鎖方向へ拘束する力がなくなって、クランプ部が開いて、ワークが落下するおそれが生じる。
本発明は、かかる課題に鑑み創案されたもので、開閉することにより吊り上げ対象の物体を係止又は解放する係止部材をそなえた吊り具において、物体の係止時にも物体の解放時にも係止部材の開度を固定することができるようにした、吊り具を提供することを目的とする。
(1)上述の目的を達成するために、本発明の吊り具は、互いに開閉する一組の開閉ロッドと、前記開閉ロッドの開閉に応じて互いに離接し、吊上げ対象の物体を係止する係止状態と前記物体を解放する解放状態とをとる一組の係止爪と、前記一組の開閉ロッドの上方に装備された吊上金具と、を備えた吊り具において、前記一組の開閉ロッドの開閉開度を固定する固定機構を有し、前記固定機構は、前記一組の開閉ロッドの開閉に応じて相対移動する第1部材及び第2部材の相互間に設けられ、前記第1部材に前記相対移動の方向に並んで形成された複数の溝からなる溝部と、前記第2部材に基端を揺動可能に支持されたロックレバーと、をそなえ、前記ロックレバーには、前記第2部材に対して一回転方向へ揺動すると前記溝部の何れかの溝に係合して前記一組の係止爪を前記係止状態に保持する係止保持用爪部と、前記第2部材に対して他回転方向へ揺動すると前記溝部の何れかの溝に係合して前記一組の係止爪を前記解放状態に保持する解放保持用爪部と、が備えられていることを特徴としている。
(2)前記第1部材は、前記一組の係止爪を係止状態へ移動させる前記一組の開閉ロッドの閉動作に応じて前記第2部材に対して一方向にスライドし、前記一組の係止爪を解放状態へ移動させる前記一組の開閉ロッドの開動作に応じて前記第2部材に対して他方向にスライドし、前記溝部の前記複数の溝は、いずれも、前記他方向へ傾斜した第1傾斜面と前記一方向へ傾斜した第2傾斜面とがV字型断面をなすように配置されて形成され、前記係止保持用爪部は、前記一回転方向へ揺動して前記溝部に係合する際には、前記複数の溝のうち前記ロックレバーの回転中心よりも前記一方向の側に位置する溝に係合すると共に、この係合する溝の前記第1傾斜面に当接して前記第1部材の前記他方向の側への相対移動を阻止する係止保持用当接面を有し、前記解放保持用爪部は、前記他回転方向へ揺動して前記溝部に係合する際には、前記複数の溝のうち前記ロックレバーの回転中心よりも前記他方向の側に位置する溝に係合すると共に、この係合する溝の前記第2傾斜面に当接して前記第1部材の前記一方向の側への相対移動を阻止する解放保持用当接面を有していることが好ましい。
(3)この場合、前記係止保持用爪部は、前記係止保持用爪部の前記溝への係合時に前記第2傾斜面に当接し、この当接時に前記一組の開閉ロッドが前記一組の係止爪を閉鎖状態へ移動させる方向に開閉動すると前記第2傾斜面に沿って滑りながら前記係止保持用爪部を係合離脱方向へ揺動させる係止時離脱案内用当接面をさらに備え、前記係止保持用当接面と前記係止時離脱案内用当接面とが山形形状をなすように形成され、前記解放保持用爪部は、前記解放保持用爪部の前記溝への係合時に前記第1傾斜面に当接し、この当接時に前記一組の開閉ロッドが前記一組の係止爪を解放状態へ移動させる方向に開閉動すると前記第1傾斜面に沿って滑りながら前記解放保持用爪部を係合離脱方向へ揺動させる解放時離脱案内用当接面をさらに備え、前記解放保持用当接面と前記解放時離脱案内用当接面とが山形形状をなすように形成されていることが好ましい。
(4)前記一組の開閉ロッドは、一対の開閉ロッドであって、上部に前記吊上金具が連結され、下部に共通ピンを通じて各開閉ロッドの上端部を開閉方向に揺動可能に支持する支持部材を備え、前記各開閉ロッドの下部に前記係止爪を備えた係止爪部材が連結され、前記第1部材は、一端部を前記一対の開閉ロッドの一方の軸方向中間部に揺動可能に結合され、他端部及び中間部を前記一対の開閉ロッドの他方の軸方向中間部に前記開閉ロッドの開閉に応じてスライド可能に係合された固定用ロッドであって、前記溝部は前記固定用ロッドに形成され、前記第2部材は、前記他方の開閉ロッドであって、前記ロックレバーは前記他方の開閉ロッドに支持されていることが好ましい。
(5)この場合、前記固定用ロッドは水平方向に配置され、前記溝部は前記固定用ロッドの鉛直上方側の側部に形成され、前記ロックレバーは、その基端部が前記溝部よりも鉛直上方において前記他方の開閉ロッドに枢支され、その先端部の側が揺動可能であり、前記ロックレバーの前記基端部と前記先端部との間の中間部の一側に前記係止保持用爪部を備え、前記中間部の他側に前記解放保持用爪部を備え、前記ロックレバーの前記先端部には前記ロックレバーを揺動操作するための把持部が設けられていることが好ましい。
(6)前記他方の開閉ロッドの中間部に、前記固定用ロッドの他端部側をスライド可能に保持するガイド部材が装備され、前記ロックレバーは、前記基端部を前記ガイド部材にピン結合されていることが好ましい。
(7)さらに、前記各開閉ロッドの下部には、それぞれアーム部材の各端部が枢着され、前記係止爪部材は、前記アーム部材の前記各端部の下部にそれぞれ固設されて装備され、前記各アーム部材は、水平に延在するガイドロッドを通じて前記開閉ロッドの開閉に伴って互いに水平に離接動可能に接続されていることが好ましい。
(8)前記アーム部材は、水平方向に延在して前記ガイドロッドが内装される筒状の上部水平アーム部と、前記上部水平アーム部の前記各端部の上方に固設され、前記開閉ロッドの下部にピン結合される結合片部と、前記上部水平アーム部の前記各端部に鉛直下方へ突設された鉛直アーム部とを備え、前記係止爪部材は、前記鉛直アーム部の下部から両端部を前記上部水平アーム部の軸方向と直行する方向に水平に延設された下部水平アーム部と、前記各アーム部材の前記下部水平アーム部の前記両端部にそれぞれ装備され、上部を前記水平アーム部の端部に結合され鉛直下方へ突設された係止アーム部と、前記係止アーム部の下部に、前記開閉ロッドの開閉方向内側に突出形成された前記係止爪とを備えていることが好ましい。
(9)前記アーム部材の前記各端部には、前記両アーム部材の前記各端部間を離接させ前記開閉ロッドの開閉を操作するための開閉操作用把持部が設けられていることが好ましい。
(10)前記一組の開閉ロッドの各上端部を支持すると共に、各開閉ロッドを互いに連動して開閉操作するロッド開閉機構をそなえ、前記ロッド開閉機構は、鉛直方向に配備され上部に前記吊上金具が連結されるメインシャフト部材と、前記メインシャフト部材の下半部に昇降可能に係止され、前記一組の開閉ロッドの各下端部側を前記メインシャフト部材に対して離接する放射方向に揺動しながら開閉動作するように、各上端部をそれぞれのピンを通じて支持するロッド支持部材と、前記メインシャフト部材の下部に結合され、前記の各開閉ロッドの内側の当接面に当接する外周面を有し、前記ロッド支持部材の昇降に伴う前記各開閉ロッドの相対動に応じて、自重が前記メインシャフト部材に接近する方向に作用する前記各開閉ロッドを、前記メインシャフト部材から離隔する方向に排動して開閉操作する開閉操作部材と、を備え、前記メインシャフト部材は、側面に前記溝部が形成された前記第1部材であって、前記ロッド支持部材は、前記ロックレバーの基端を揺動可能に支持する前記第2部材であって、前記係止爪は、前記各開閉ロッドの下端部に外向きに設けられ、前記吊上げ対象の物体には前記係止爪によって係止される環状内周面を有する穴部が備えられ、前記各開閉ロッドの下端部が前記吊上げ対象の前記穴部に上方から差し込まれ、前記各開閉ロッドの下端部が前記メインシャフト部材から離隔する方向へ揺動し、前記各係止爪が前記環状内周面に当接すると前記係止状態となり、前記各開閉ロッドの下端部が前記メインシャフト部材に接近する方向へ揺動し、前記各係止爪が前記環状内周面から離隔すると前記解放状態となることが好ましい。
(11)前記ロッド支持部材には、前記開閉ロッドの上端部を支持する前記ピンが、水平な円周軸線に沿って互いに等間隔に配置されると共に、前記ロッド支持部材の中心部分には、軸穴部が形成され、前記軸穴部に前記メインシャフト部材がスライド可能に内挿され、前記ロッド支持部材は前記メインシャフト部材の外周面に案内されて鉛直方向に昇降可能であり、前記各開閉ロッドの内側の前記当接面は、前記開閉ロッドに自重のみが加わる状態で上方に行くにしたがって前記メインシャフト部材に対して接近するように傾斜し、前記ロッド支持部材が前記メインシャフト部材に対して上昇し、前記開閉操作部材の前記外周面が前記各開閉ロッドの前記当接面の下方に当接するほど前記各開閉ロッドの下端部が前記メインシャフト部材に接近する方向へ揺動し、前記ロッド支持部材が前記メインシャフト部材に対して下降し、前記開閉操作部材の前記外周面が前記各開閉ロッドの前記当接面の上方に当接するほど前記各開閉ロッドの下端部が前記メインシャフト部材から離隔する方向へ揺動することが好ましい。
(12)前記ロックレバーは、その基端部を前記ロッド支持部材にブラケットを介して水平に装備されたピンにより前記メインシャフト部材の側面の前記溝部よりも外方において前記ロッド支持部材に枢支され、前記係止保持用爪部と前記解放保持用爪部とを備えたロック部と、前記ロック部を揺動操作するための把持部が設けられたレバー部とを備えていることが好ましい。
(13)前記ロック部は、プレート状に形成され、基端を前記ロッド支持部材に固設されたブラケットに、ピン結合され、前記ピン結合箇所の一側に前記係止保持用爪部が他側に前記解放保持用爪部がそれぞれ突設され、前記レバー部は、シャフト状に形成され、基端を前記ロック部に固設され、先端に前記把持部が設けられていることが好ましい。
(1)本発明の吊り具によれば、吊上金具を通じて吊り具を懸吊しながら、開閉ロッドの開閉に応じて一組の係止爪を互いに離接させることにより、吊上げ対象の物体を係止又は係止した物体を解放する。この際、開閉ロッドが開閉するとこれに応じて相対移動する第1部材及び第2部材の相互間に設けられた固定機構により、開閉ロッドの開閉動を固定し一組の係止爪を係止状態又は解放状態に保持することができる。
つまり、固定機構は、第1部材に相対移動の方向に並んで形成された複数の溝からなる溝部と、第2部材に基端を揺動可能に支持されたロックレバーとをそなえており、ロックレバーを第2部材に対して一回転方向へ揺動させると、ロックレバーに備えられた係止保持用爪部が、溝部の何れかの溝に係合して一組の係止爪を係止状態に保持し、ロックレバーを第2部材に対して他回転方向へ揺動させると、ロックレバーに備えられた解放保持用爪部が、溝部の何れかの溝に係合して一組の係止爪を解放状態に保持する。
一組の係止爪の係止状態への保持や解放状態への保持を、係止保持用爪部或いは解放保持用爪部の溝への係合により行なうので、各状態への保持を確実に行うことができ、一組の係止爪を係止状態に保持すれば、係止した物体に下から力が加わりその自重がなくなっても物体の係止を継続して落下を防止することができる。また、一組の係止爪を解放状態に保持すれば、係止爪により物体を係止しようとする際に、一対の係止爪を解放状態としながら物体の上方から下方に容易に進入させることができ作業性が向上する。
(2)さらに、第1部材を、係止爪を係止状態へ移動させる開閉ロッドの開閉動に応じて第2部材に対して一方向にスライドし、係止爪を解放状態へ移動させる開閉ロッドの開閉動に応じて第2部材に対して他方向にスライドするように構成し、溝部の複数の溝を、いずれも、前記他方向へ傾斜した第1傾斜面と前記一方向へ傾斜した第2傾斜面とがV字型断面をなすように配置して形成する。そして、係止保持用爪部に、前記一回転方向へ揺動して溝部に係合する際には複数の溝のうちロックレバーの回転中心よりも前記一方向の側に位置する溝に係合すると共に、この係合する溝の第1傾斜面に当接して第1部材の前記他方向の側への相対移動を阻止する係止保持用当接面を設ければ、一組の係止爪を係止状態に確実に保持することができる。
つまり、係止保持用当接面が第1傾斜面に当接し一組の係止爪を係止状態に保持している時に、一組の開閉ロッドが一組の係止爪を解放状態へ移動させるように移動しようとすると、第1部材は第2部材に対して他方向にスライドしようとするが、第1部材に他方向へ傾斜して設けられている第1傾斜面に第2部材の係止保持用爪部が当接するので、第1部材の他方向へのスライドが係止保持用爪部によって阻止され、一組の係止爪を係止状態に確実に保持する。
また、解放保持用爪部に、前記他回転方向へ揺動して溝部に係合する際には複数の溝のうちロックレバーの回転中心よりも前記他方向の側に位置する溝に係合すると共に、この係合する溝の第2傾斜面に当接して第1部材の前記一方向の側への相対移動を阻止する解放保持用当接面を設ければ、一組の係止爪を解放状態に確実に保持することができる。
つまり、解放保持用当接面が第2傾斜面に当接し一組の係止爪を解放状態に保持している時に、一組の開閉ロッドが一組の係止爪を閉鎖状態へ移動させるように移動しようとすると、第1部材は第2部材に対して一方向にスライドしようとするが、第1部材に一方向へ傾斜して設けられている第2傾斜面に第2部材の解放保持用爪部が当接するので、第1部材の一方向へのスライドが解放保持用爪部によって阻止され、一組の係止爪を解放状態に確実に保持する。
(3)係止保持用爪部に、この係止保持用爪部の溝への係合時に第2傾斜面に当接し、この当接時に開閉ロッドが係止爪を閉鎖状態へ移動させる方向に開閉動すると第2傾斜面に沿って滑りながら係止保持用爪部を係合離脱方向へ揺動させる係止時離脱案内用当接面をさらに設け、係止保持用当接面と係止時離脱案内用当接面とが山形形状をなすように形成すれば、係止保持用爪部が溝に係合した状態で、係止爪を閉鎖状態へ移動させる方向に開閉ロッドを移動させると、係止時離脱案内用当接面が第2傾斜面から係合離脱方向へ揺動して、開閉ロッドの移動を許容する。
つまり、第1部材の溝の第2傾斜面は一方向へ傾斜しているので、係止爪を閉鎖状態へ移動させる方向に開閉ロッドを移動させると、これに伴い、第1部材は第2部材に対して一方向にスライドし、第1部材に一方向へ傾斜して設けられている第2傾斜面が、これに当接する第2部材の係止保持用爪部の係止時離脱案内用当接面を第2傾斜面から押し出すように係合離脱方向へ揺動させるので、開閉ロッドの移動が許容される。
同様に、解放保持用爪部に、この解放保持用爪部の溝への係合時に第1傾斜面に当接し、この当接時に開閉ロッドが係止爪を解放状態へ移動させる方向に開閉動すると第1傾斜面に沿って滑りながら解放保持用爪部を係合離脱方向へ揺動させる解放時離脱案内用当接面をさらに設け、解放保持用当接面と解放時離脱案内用当接面とが山形形状をなすように形成すれば、解放保持用爪部が溝に係合した状態で、係止爪を解放状態へ移動させる方向に開閉ロッドを移動させると、解放時離脱案内用当接面が第1傾斜面から係合離脱方向へ揺動して、開閉ロッドの移動を許容する。
つまり、第1部材の歯の第1傾斜面は他方向へ傾斜しているので、係止爪を解放状態へ移動させる方向に開閉ロッドを移動させると、これに伴い、第1部材は第2部材に対して他方向にスライドし、第1部材に他方向へ傾斜して設けられている第1傾斜面が、これに当接する第2部材の解放保持用爪部の解放時離脱案内用当接面を第1傾斜面から押し出すように係合離脱方向へ揺動させるので、開閉ロッドの移動が許容される。
本発明の第1実施形態にかかる吊り具を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態にかかる吊り具の動作を説明する正面図であり、(a)は係止爪が離隔した解放状態(開閉ロッドの開状態)での固定状態を示し、(b)は係止爪が接近して吊上げ対象の物体を係止する係止状態(開閉ロッドの閉状態)での固定状態を示す。 本発明の第1実施形態にかかる吊り具の固定機構を説明する正面図であり、図1のA1矢視図に相当し、(a)は係止爪部材が接近して吊上げ対象の物体を係止する係止状態での固定機構の固定状態を示し、(b)は係止爪部材が離隔した解放状態での固定機構の固定状態を示す。 本発明の第1実施形態にかかる吊り具の固定機構を説明する要部断面図であり、図3(a)のB1−B1矢視断面図に相当する。 本発明の第1実施形態にかかる吊り具の固定機構において溝部の溝と爪部とが係合している時に加わる力を説明する要部拡大図であって、(a),(b)は係止爪の係止状態(開閉ロッドの閉状態)における図であり、(c),(d)は係止爪の解放状態(開閉ロッドの開状態)における図である。 本発明の第2実施形態にかかる吊り具を示す図であって、(a)はその側面図[(b)のA2−A2矢視断面図]、(b)はその平面図[(a)のB2−B2矢視断面図]、(c)はそのロックレバーを示す側面図、(d)はそのロックレバーの把持部(揺動操作ハンドル)のみを示す平面図である。 本発明の第2実施形態にかかる吊り具による物体の係止状態を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。 本発明の第2実施形態にかかる吊り具における固定機構による固定状態を示す要部側面図であり、(a)はその係止爪の係止状態(開閉ロッドの開状態)を示す図、(b)はその係止爪の解放状態(開閉ロッドの閉状態)を示す図である。 本発明の第2実施形態にかかる吊り具の固定機構において溝部の溝と爪部とが係合している時に加わる力を説明する要部拡大図であって、(a),(b)は係止爪が係止状態(開閉ロッドが開状態)にある場合の図であり、(c),(d)は係止爪が解放状態(開閉ロッドが閉状態)にある場合の図である。 本発明の第2実施形態にかかる吊り具の固定機構のロックレバーの変形例を説明する図であり、(a)はその吊り具の要部側面図、(b)は(a)のB3矢視図である。
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。ここでは、係止爪が内向きに突出していて、開閉ロッドの閉動作によって係止爪が係止状態となり、開閉ロッドの開動作によって係止爪が解放状態となる吊り具を第1実施形態として説明し、係止爪が外向きに突出していて、開閉ロッドの開動作によって係止爪が係止状態となり、開閉ロッドの閉動作によって係止爪が解放状態となる吊り具を第2実施形態として説明する。
<第1実施形態>
図1〜図5は本発明の第1実施形態にかかる吊り具を示すもので、図1はその吊り具の斜視図、図2は吊り具の動作を説明する正面図、図3はその吊り具の固定機構を説明する正面図、図4はその吊り具の固定機構を説明する要部断面図、図5はその固定機構における溝部の溝と爪部との係合時に加わる力を説明する要部拡大図であり、これらの図を用いて説明する。なお、下記の説明の中で、各部の配置や姿勢等の説明に関し、上方,下方,上部,下部といった上下、及び水平等との表記をするが、これらは組み立てられた吊り具の使用時におけるものである。また、各部の配置の説明に関する右左及び表裏の表記は、図1,図2におけるものである。
〔吊り具の構成〕
図1,図2に示すように、本実施形態にかかる吊り具10は、互いに上部を枢着された一対の開閉ロッド(開閉杆)1a,1bと、これらの開閉ロッド1a,1bの上部に連結された吊上金具2と、各開閉ロッド1a,1bの下部にそれぞれ連結されたアーム部材3a,3bと、各アーム部材3a,3bの下部に固設された係止爪部材4a,4bと、各アーム部材3a,3bを同一軸心上で相対動可能に接続するガイドロッド5とを有している。そして、開閉ロッド1a,1bの開閉開度を固定するために、一対の開閉ロッド1a,1bの相互間には、本発明にかかる吊り具10に特有な固定機構6が介装されている。
開閉ロッド1a,1b,アーム部材3a,3b及び係止爪部材4a,4bは、いずれも図1,図2に示すように左右に対をなして装備される。図1,図2において、それぞれ左側のものを第1開閉ロッド1a,第1アーム部材3a,及び第1係止爪部材4aと呼び、それぞれ右側のものを第2開閉ロッド1b,第2アーム部材3b,及び第2係止爪部材4bと呼び区別する。また、これらを区別しない場合には、開閉ロッドを符号1で、アーム部材を符号3で、係止爪部材を符号4で、それぞれ示す。以下、各部を順に説明する。
各開閉ロッド1は、例えば鋼材等の金属製の厚板材により、細長い棒状の同一形状に形成され、それぞれの上部を結合金具7及び枢着ピン(共通ピン)として機能するボルト81を介して互いに枢着されている。このため、開閉ロッド1の一端部(使用時の上端部)には、開閉ロッド1a,1bを互いに相対回転自在に結合する(即ち、ピン結合する或いは枢着する)ための図示しない上部ピン穴(ボルト穴)が形成されている。
結合金具7は、例えば鋼材等の金属により形成され、下方に位置する下半部71がプレート状に形成され、上方に位置する上半部72が二股状に分岐形成されている。プレート状下半部71には、ボルト81を挿入するための図示しないピン穴(ボルト穴)が形成され、このピン穴と2つの開閉ロッド1a,1bの上部ピン穴とに挿入されるボルト81によって、結合金具7及び各開閉ロッド1a,1bは互いに回転できるように結合される。
なお、各開閉ロッド1は、そのプレート面をプレート状下半部71のプレート面と平行に配置され、一方(左方)の開閉ロッド1aは、プレート状下半部71の一面(裏面)側に、他方(右方)の開閉ロッド1bは、プレート状下半部71の他面(表面)側に、それぞれ重なるように配置され、両者を貫通するボルト81により結合される。ボルト81には、図示しないワッシャを介して緩み止めナット81aが締結され、上記結合状態が保持される。
このような接続関係から、各開閉ロッド1は、板厚方向にプレート状下半部71の板厚と略同程度離隔しており、互いに平行な各平面内で、ボルト81を中心にして結合金具7に対してそれぞれ揺動できるようになっている。
結合金具7の上半部72の二股状に分岐した両分岐部72a,72bには、水平に向く軸73が装備されている。
吊上金具2は、クレーンの懸吊用フック等を係止する懸吊用リング21と、懸吊用リング21の下部に形成された二股状分岐部22と、この二股状分岐部22に装備され水平に向く軸23と、一端(使用時の上端)を軸23に連結されたチェーン24とを有している。チェーン24の他端(使用時の下端)は結合金具7の上部の軸73に連結され、吊上金具2は、結合金具7を介して開閉ロッド1a,1bの上部に連結されている。
また、各開閉ロッド1の下部には、対応するアーム部材3が枢着ピンとして機能するボルト82を介して互いに枢着されている。このため、開閉ロッド1の他端部(使用時の下端部)には、アーム部材3を連結するための図示しない下部ピン穴(ボルト穴)が形成されている。
さらに、各開閉ロッド1の中間部には、固定機構6が介装される。このため、開閉ロッド1の中間部には、固定機構6を装備するための2つの穴11,12が形成されている。
アーム部材3は、上部に位置して水平方向に延在する上部水平アーム部31と、上部水平アーム部31の外方端部に鉛直下方へ突設された鉛直アーム部32とを有している。
各アーム部31,32は、何れも鋼管等の金属製パイプを用いた略同径の筒状のものである。上部水平アーム部31及び鉛直アーム部32は、各開閉ロッド1のプレート面と平行な方向に延在している。
上部水平アーム部31には、上方に突出してプレート状の結合片部34が溶接等によって固設されている。この結合片部34には、アーム部材3を各開閉ロッド1の下部に連結するための図示しないピン穴(ボルト穴)が形成されている。結合片部34のピン穴と開閉ロッド1の下部ピン穴とに挿入されるボルト82によって開閉ロッド1の下部は結合片部34と互いに回転できるように結合される。また、各上部水平アーム部31の外端部にはキャップ33が装備され閉塞されている。
なお、各開閉ロッド1は、そのプレート面を結合片部34のプレート面と平行に配置され、一方(左方)の開閉ロッド1aは、一方(左方)の結合片部34の一面(裏面)側に、他方(右方)の開閉ロッド1bは、他方(右方)の結合片部34の他面(表面)側に、それぞれ重なるように配置され、両者を貫通するボルト82により結合される。このボルト82にも、図示しないワッシャを介して緩み止めナット82aが締結され、上記結合状態が保持される。なお、結合片部34の板厚は、プレート状下半部71の板厚と略同程度に設定されている。
そして、上部水平アーム部31の結合片部34よりも外方(端部側)の外周面の上部には、開閉操作グリップ(開閉操作用把持部)35が上方に突出するように溶接等によって固設されている。これにより、作業者はこの開閉操作グリップ35を把持して両アーム部材3a,3bを離接させる操作(開閉ロッド1a,1bを開閉する操作でもある)を行うことができる。
一対の上部水平アーム部31の相互間に、ガイドロッド5が介装されている。ガイドロッド5は、各端部をそれぞれの筒状の上部水平アーム部31の筒内に相対動可能に遊嵌されている。また、ガイドロッド5の外周には、軸線方向に溝5aが穿設されており、各上部水平アーム部31の端部には、ボルト83が先端部を筒内へ突出するように装備され、ダブルナット83aにより固定されている。ボルト83の先端部は、溝5a内壁に滑らかに摺接するピン状に形成され、溝5a内にスライド可能に遊嵌している。
このようなガイドロッド5の上部水平アーム部31内への遊嵌及びボルト83の先端部の溝5a内への遊嵌により、各上部水平アーム部31は、ガイドロッド5に対して相対回転しないように拘束されつつ、ガイドロッド5の軸心線に沿って移動できるようになっている。したがって、一対のアーム部材3は、互いに軸心周りに相対回転することなく各アーム部材3の姿勢を保ちながら接近移動或いは離隔移動できるようになっている。
鉛直アーム部32は、上部水平アーム部31の外方端部における鉛直下方の外周面に溶接等によって固設されている。鉛直アーム部32の上端面は上部水平アーム部31の外周面に沿うように円筒面状に加工された上で溶接等をなされている。この鉛直アーム部32の上部水平アーム部31との結合を強化するために、鉛直アーム部32及び上部水平アーム部31の双方にわたって補強プレート36が固着されている。
この補強プレート36は、直角三角形状に形成され、鉛直アーム部32及び上部水平アーム部31の両側部(裏面側及び表面側)に、それぞれ各開閉ロッド1や結合片部34のプレート面等と平行に配置される。また、補強プレート36は、直角をなす二辺に対応する箇所を鉛直アーム部32及び上部水平アーム部31の各側面に溶接等によって固着されている。
係止爪部材4は、アーム部材3の鉛直アーム部32の下部に結合された下部水平アーム部41と、この下部水平アーム部41の両端部に結合されて鉛直下方へ突設された係止アーム部42と、係止アーム部42の下部において開閉ロッド1a,1bの開閉方向内側に突出形成された係止爪43とを備えている。
下部水平アーム部41は、アーム部材3の各アーム部31,32と同様に、鋼管等の金属製パイプを用いた筒状のものであり、アーム部31,32と略同径のものが用いられている。鉛直アーム部32の下端面は下部水平アーム部41の外周面に沿うように円筒面状に加工されており、この下部水平アーム部41は、その中間部の外周面上部を鉛直アーム部32の円筒面状下端面に溶接等によって固設され、各開閉ロッド1のプレート面と直交する水平方向に延在している。
また、鉛直アーム部32と下部水平アーム部41との結合を強化するために、鉛直アーム部32及び下部水平アーム部41の双方にわたって補強プレート37が固着されている。
この補強プレート37は、二等辺三角形状に形成され、鉛直アーム部32及び下部水平アーム部41の各外周面の外側に、鉛直アーム部32及び下部水平アーム部41の延在方向と平行に、その底辺を下方にして配置される。また、補強プレート37は、その底辺部分を下部水平アーム部41の外周面に、その底辺から直角に頂角に延びる中心部分を鉛直アーム部32の外周面に、それぞれ溶接等によって固着されている。
係止アーム部42は、板厚の大きいプレート状であり、一端部(上端部)の一面(内側面)を下部水平アーム部41の端部に溶接等によって固設されている。係止アーム部42は鉛直下方に延びて配設され、係止アーム部42の他端部(下端部)に、係止爪43が水平方向に延びて形成されている。係止アーム部42は、下部水平アーム部41の両端部に装備されるので、一対の係止爪部材4a,4bには、合せて4個の係止アーム部42が備えられ、係止爪43も合計4個備えられる。
係止爪43は、各係止爪部材4a,4bの一方(図1中、手前側)に設けられたもの同士、及び、各係止爪部材4a,4bの他方(図1中、奥側)に設けられたもの同士が、互いに向かい合って突出しており、各係止爪43の上面が物体支持面44となっている。物体を吊り上げる際には、これらの係止爪43が吊り上げ対象の物体の下方に挿入され、物体支持面44を通じて吊り上げ対象の物体を下方から4点で支持するようになっている。また、吊り上げ対象の物体によっては、物体を支持する際に各係止アーム部42の内面45もこの物体に当接する。
〔固定機構の構成〕
図1,図2に示すように、固定機構6は、固定用ロッド61と、ロックレバー63とを有している。固定用ロッド61は、一端部(左端部)を一方の開閉ロッド1aの中間部に揺動可能に枢着され、他端部(右端部)側を他方の開閉ロッド1bの中間部に、開閉ロッド1a,1bの開閉に応じてスライド可能に係合されている。また、ロックレバー63は、他方の開閉ロッド1bに揺動可能に支持され、係止爪部材4の係止爪43が吊り上げ対象の物体8を係止する係止状態と、この物体8の係止を解放する解放位置とで、固定用ロッド61の他端部を他方の開閉ロッド1bに対して固定する。
具体的には、固定用ロッド61は、開閉ロッド1と同様に、例えば鋼材等の金属製の厚板材により、細長い棒状に形成され、一端部に形成された図示しないピン穴と開閉ロッド1aの中間部に形成された穴11とに挿入され、枢着ピンとして機能するボルト84を介して開閉ロッド1aに枢着(ピン結合)されている。なお、ボルト84には、図示しないワッシャを介して緩み止めナット84aが締結され、上記枢着状態が保持される。
固定用ロッド61の他端部側の上側部(上縁部)には、複数の溝(或いは歯)61aが、長手方向(後述のスライド方向)に沿って所定の範囲に形成されてなる溝部61Aが形成されている。なお、各溝61aは、いずれも、第1傾斜面611及び第2傾斜面612が互いに直角に交わってV字型断面をなすように配置されて形成される。
他方の開閉ロッド1bの中間部には、図1〜図3に示すように、固定用ロッド61の他端部側をスライド可能に保持するガイド部材62が装備されている。ガイド部材62は、図3,図4に示すように、正面視で八角形の一片を略矩形状に外方に延長した形状をした2つのプレート状部材62a,62bを、互いに結合して形成され、一方のプレート状部材62aの内外面はいずれも平面状であるのに対して、他方のプレート状部材62bの外面は平面状であるが、その内面には上部に切欠き62cが中間部に凹部62dが形成されている。他方のプレート状部材62bの板厚は、結合片部34やプレート状下半部71の板厚と略同程度に設定されている。
2つのプレート状部材62a,62bは、ビス87a〜87cによって結合され、結合されたプレート状部材62a,62bの相互間には、切欠き62cが形成された部分にロックレバー63が挟装され、また、凹部62dが形成された部分に固定用ロッド61の他端部側をガイドするガイド穴62eが形成される。ガイド穴62eの幅(板厚方向長さ)及び高さ(上下方向長さ)は、これに挿入される固定用ロッド61が容易にスライドしうるように、固定用ロッド61の横断面の板厚及び上下方向長よりも大きく設定されている。
固定用ロッド61の一端の枢着点と固定用ロッド61の他端のスライドガイド点(ガイド穴の上下中心)は、同一高さになるように設定されており、固定用ロッド61はほぼ水平の姿勢に保持される。したがって、固定用ロッド61の複数の溝61aは常に鉛直上方を向く。
また、固定用ロッド61の他端には、ガイド穴62eよりも下方に突出した突起部61bが形成され、突起部61bは、固定用ロッド61のガイド穴62eからの離脱を防止するストッパとして機能する。
このようなガイド部材62は、枢着ピンとして機能するボルト85によって他方の開閉ロッド1bの中間部に下部を揺動可能に結合(枢着)される。なお、ボルト85には、図示しないワッシャを介して緩み止めナット85aが締結され、上記枢着状態が保持される。このガイド部材62のガイド穴62e内には、固定用ロッド61が挿入されている。ガイド部材62が揺動可能に結合されているのは、固定用ロッド61がガイド穴62e内を常時滑らかにスライドできるように互いの位置関係を維持できるようにするためである。
つまり、開閉ロッド1a,1bの開度が変化すると、開閉ロッド1bの傾斜角度が変わって、ガイド部材62が開閉ロッド1bに固定されていると、ガイド穴62eの方向も変化して、固定用ロッド61がガイド穴62e内を滑らかにスライドできない。この点、ガイド部材62が開閉ロッド1bに揺動可能に結合されるので、開閉ロッド1a,1bの開度が変化しながら固定用ロッド61がガイド穴62e内をスライドする際には、ガイド部材62が適宜揺動して、固定用ロッド61とガイド穴62eとの位置関係が常に良好に保たれる。
ロックレバー63は、やや細長いプレート状の部材であり、その一端部63aを、枢着ピンとして機能するボルト86によってガイド部材62の上部に揺動可能にピン結合(枢着)されている。なお、ボルト86には、ガイド部材62から外れないように、図示しないワッシャを介してダブルナット86aが締結されるため、上記枢着状態が保持される。なお、ボルト86は、ガイド穴62eの上方に位置しており、ロックレバー63は、複数の溝61aよりも鉛直上方領域で揺動可能に開閉ロッド1bに枢支されている。
このロックレバー63の中間部の両側部には、固定用ロッド61の複数の溝61aに選択的に係合しうる固定用爪部63c,63dが形成されている。各固定用爪部63c,63dには、溝61aの各傾斜面611,612に当接しうる当接面631,632,633,634がそれぞれ設けられている。なお、ロックレバー63の揺動中心、即ち、ボルト86の軸心は、これに近い側の当接面632,633の延長面上付近に配置されている。
また、ロックレバー63の他端部63bには、ロックレバー63を揺動操作するための揺動操作ハンドル(揺動操作用把持部)64が取り付けられている。揺動操作ハンドル64を用いて一端部63aを中心に揺動操作して、ロックレバー63を何れかの方向に傾倒させて固定用爪部63c,63dを何れかの溝61aに係合させれば、開閉ロッド1a,1b及び係止爪43,43を係止状態或いは解放状態に固定(ロック)することができる。
例えば、係止爪43,43を係止状態に保持するには、開閉ロッド1a,1bを閉動作させて係止爪43,43によって吊上げ対象の物体8を挟み込むように係止させる[図2(b)参照]。ただし、この動作の前には、ロックレバー63を、図3(a)に示すように、ガイド部材62及び開閉ロッド1bに対して一回転方向(図中、反時計回り方向)へ揺動させておく。この結果、一方の固定用爪部63cが溝部61Aの何れかの溝61aに係合して、開閉ロッド1a,1bの閉動作は許容するが開動作は許容しない状態となり、開閉ロッド1a,1b及び係止爪43,43を係止状態にロックすることができる。つまり、一方の固定用爪部63cは、係止爪43,43を係止状態に保持する係止保持用爪部として機能するので、以下、係止保持用爪部とも呼ぶ。
また、係止爪43,43を開放状態に保持するには、開閉ロッド1a,1bを開動作させて係止爪43,43によって吊上げ対象の物体8を解放する。ただしこの動作の前には、ロックレバー63を、図3(b)に示すように、ガイド部材62及び開閉ロッド1bに対して他回転方向(図中、時計回り方向)へ揺動させておく。この結果、他方の固定用爪部63dが溝部61Aの何れかの溝61aに係合して、開閉ロッド1a,1bの開動作は許容するが閉動作は許容しない状態となり、開閉ロッド1a,1b及び係止爪43,43を解放状態にロックすることができる。つまり、他方の固定用爪部63dは、係止爪43,43を解放状態に保持する解放保持用爪部として機能するので、以下、解放保持用爪部とも呼ぶ。
この機能を、図5を用いて更に詳述する。
図5(a),(b)は、図3(a)に対応するもので、係止状態のロックレバー63と溝部61Aとに着目して示す要部拡大図である。この状態では、開閉ロッド1a,1bが閉動作されて係止爪43,43は係止状態であり、係止保持用爪部63cが溝61aに係合している。開閉ロッド1a,1bが閉動作する際には、固定用ロッド61はロックレバー63及び開閉ロッド1bに対して一方向(閉方向、図2では右方向、図3,図5では左方向)にスライドする。このように係止爪43,43を係止状態とする際には、図5(a),(b)に示すように、ロックレバー63を予め一回転方向(ここでは、固定用ロッド61の閉方向に向けて倒す方向)に揺動させて、係止保持用爪部63cを溝61aに係合させておく。
係止保持用爪部63cを溝61aに係合させた状態で、図5(a)に示すように、固定用ロッド61をロックレバー63及び開閉ロッド1bに対してさらに閉方向にスライドさせようとすると、この固定用ロッド61の溝61aを構成する傾斜面のうち閉方向に傾斜した第2傾斜面612と係止保持用爪部63cの当接面(係止時離脱案内用当接面)632とが当接して、ロックレバー63に閉方向への力Fが加わることになる。
この力Fは、第2傾斜面612から当接面632に作用し、ロックレバー63の揺動中心(ボルト86の軸心)にモーメントMを発生せしめる。力Fを、第2傾斜面612及び当接面632と直交する分力成分Fと平行な分力成分Fとに分けると、分力Fの作用線とロックレバー63の揺動中心との距離はほぼ0なので、モーメントMとしては、当接面632と直交する分力Fが主体に作用する。ロックレバー63の揺動中心と分力Fの作用線の位置関係から、モーメントMはほぼ下式(1)の値となり、ロックレバー63の係止保持用爪部63cを溝61aから外すように作用する。
M=F×L(1)
:分力Fの作用線と揺動中心との距離
したがって、固定用ロッド61をロックレバー63及び開閉ロッド1bに対してさらに閉方向にスライドさせようとすると、ロックレバー63の係止保持用爪部63cが溝61aから外れて隣接する溝61aに移りながら、固定用ロッド61をロックレバー63及び開閉ロッド1bに対してさらに閉方向に移動することが許容される。これにより、係止爪43,43を係止状態まで移動操作することができる。
一方、この係止保持用爪部63cを溝61aに係合させた状態で、図5(b)に示すように、固定用ロッド61をロックレバー63及び開閉ロッド1bに対して他方向(開方向、図2では左方向、図3,図5では右方向)にスライドさせようとすると、この固定用ロッド61の溝61aを構成する傾斜面のうち開方向に傾斜した第1傾斜面611と係止保持用爪部63cの当接面(係止保持用当接面)631とが当接して、ロックレバー63に開方向への力Fが加わることになる。
この力Fは、第1傾斜面611から当接面631に作用し、ロックレバー63の揺動中心(ボルト86の軸心)にモーメントMを発生せしめる。力Fを、第1傾斜面611及び当接面631と直交する分力成分Fと平行な分力成分Fとに分けると、分力Fの作用線とロックレバー63の揺動中心との距離はほぼ0なので、モーメントMとしては、当接面631と平行な分力Fが主体に作用する。ロックレバー63の揺動中心と分力Fの作用線の位置関係から、モーメントMはほぼ下式(2)の値となり、ロックレバー63の係止保持用爪部63cを溝61aに食い込ませるように作用する。
M=F×L(2)
:分力Fの作用線と揺動中心との距離
したがって、固定用ロッド61をロックレバー63及び開閉ロッド1bに対して開方向にスライドさせようとすると、ロックレバー63の係止保持用爪部63cが溝61aに食い込むようになって、固定用ロッド61をロックレバー63及び開閉ロッド1bに対して開方向に移動することが規制(移動不可)される。これにより、係止爪43,43の係止側から解放側への移動、つまり、開閉ロッド1a,1bの開移動は防止され、係止爪43,43に係止された吊り上げ対象の物体の落下のおそれが回避されるようになっている。
図5(c),(d)は、図3(b)に対応するもので、解放状態のロックレバー63と溝部61Aとに着目して示す要部拡大図である。この状態では、開閉ロッド1a,1bが開動作されて係止爪43,43は解放状態であり、解放保持用爪部63dが溝61aに係合している。開閉ロッド1a,1bが開動作する際には、固定用ロッド61はロックレバー63及び開閉ロッド1bに対して他方向(開方向、図2では左方向、図3,図5では右方向)にスライドする。このように係止爪43,43を解放状態とする際には、例えば、吊り上げ対象の物体を解放可能な状態にするか、または解放しておく。そして、図5(c),(d)に示すように、ロックレバー63を予め他回転方向(ここでは、固定用ロッド61の開方向に向けて倒す方向)に揺動させて、解放保持用爪部63dを溝61aに係合させておく。
解放保持用爪部63dを溝61aに係合させた状態で、図5(c)に示すように、固定用ロッド61をロックレバー63及び開閉ロッド1bに対してさらに開方向にスライドさせようとすると、この固定用ロッド61の溝61aを構成する傾斜面のうち開方向に傾斜した第1傾斜面611と解放保持用爪部63dの当接面(解放時離脱案内用当接面)633とが当接して、ロックレバー63に開方向への力Fが加わることになる。
この力Fは、第1傾斜面611から当接面633に作用し、ロックレバー63の揺動中心(ボルト86の軸心)にモーメントMを発生せしめる。力Fを、第1傾斜面611及び当接面633と直交する分力成分Fと平行な分力成分Fとに分けると、分力Fの作用線とロックレバー63の揺動中心との距離はほぼ0なので、モーメントMとしては、当接面633と直交する分力Fが主体に作用する。ロックレバー63の揺動中心と分力Fの作用線の位置関係から、モーメントMはほぼ下式(1)の値となり、ロックレバー63の解放保持用爪部63dを溝61aから外すように作用する。
M=F×L(1)
:分力Fの作用線と揺動中心との距離
したがって、固定用ロッド61をロックレバー63及び開閉ロッド1bに対してさらに開方向にスライドさせようとすると、ロックレバー63の解放保持用爪部63dが溝61aから外れて隣接する溝61aに移りながら、固定用ロッド61をロックレバー63及び開閉ロッド1bに対してさらに開方向に移動することが許容される。これにより、係止爪43,43を必要な開度の解放状態まで移動操作することができる。
一方、この解放保持用爪部63dを溝61aに係合させた状態で、図5(d)に示すように、固定用ロッド61をロックレバー63及び開閉ロッド1bに対して一方向(閉方向、図2では右方向、図3,図5では左方向)にスライドさせようとすると、この固定用ロッド61の溝61aを構成する傾斜面のうち閉方向に傾斜した第2傾斜面612と解放保持用爪部63dの当接面(係止保持用当接面)634とが当接して、ロックレバー63に開方向への力Fが加わることになる。
この力Fは、第2傾斜面612から当接面634に作用し、ロックレバー63の揺動中心(ボルト86の軸心)にモーメントMを発生せしめる。力Fを、第2傾斜面612及び当接面634と直交する分力成分Fと平行な分力成分Fとに分けると、分力Fの作用線とロックレバー63の揺動中心との距離はほぼ0なので、モーメントMとしては、当接面634と平行な分力Fが主体に作用する。ロックレバー63の揺動中心と分力Fの作用線の位置関係から、モーメントMはほぼ下式(2)の値となり、ロックレバー63の解放保持用爪部63dを溝61aに食い込ませるように作用する。
M=F×L(2)
:分力Fの作用線と揺動中心との距離
したがって、固定用ロッド61をロックレバー63及び開閉ロッド1bに対して閉方向にスライドさせようとすると、ロックレバー63の解放保持用爪部63dが溝61aに食い込むようになって、固定用ロッド61をロックレバー63及び開閉ロッド1bに対して閉方向に移動することが規制(移動不可)される。これにより、係止爪43,43が解放側から係止側への移動、つまり、開閉ロッド1a,1bの閉移動は防止され、係止爪43,43の間が調整した離隔状態に維持されるようになっている。
〔作用及び効果〕
本発明の第1実施形態にかかる吊り具10は、上述のように構成されているので、吊り具10を図示しないクレーンの懸吊用フック等を係止してクレーン等によって吊り上げておく。吊上げ対象の物体8を係止する際には、図2(a)に示すように、開閉ロッド1a,1bの開度を大きくしながら係止爪43,43の間隔を広げる。この開閉ロッド1a,1bの開度を拡張操作する際には、予め、図3(b),図5(c),(d)に示すように、ロックレバー63の解放保持用爪部63dを溝61aに係合させておく。この状態では、開閉ロッド1a,1bの開動作は許容されるが閉動作は許容されないので、開閉ロッド1a,1bの開度を円滑に拡張させることができる。
開閉ロッド1a,1bの開度を大きくする場合には、固定用ロッド61の一端部が一方の開閉ロッド1aと共に他方の開閉ロッド1bから離隔するので、固定用ロッド61の位置が開閉ロッド1a側にシフトすることになり、溝61aが形成される範囲も、開閉ロッド1a側にシフトする。したがって、ロックレバー63を開閉ロッド1aの側に傾倒させれば、ロックレバー63の一側の係止保持用爪部63cを何れかの溝61aに容易に係合させることができる。
このようにして、係止爪部材4a,4bの間隔を前もって所定の大きさに広げた状態に保持しておけば、吊上げ対象の物体8の上方から吊り具10を降下させて、係止爪部材4a,4bの各係止爪43を物体の両側下方に到達させることができる。そして、図2(b)に示すように、開閉ロッド1a,1bの開度を小さくしながら係止爪43,43の間隔を物体8の幅に応じて狭める。この開閉ロッド1a,1bの開度を縮小操作する際には、予め、図3(a),図5(a),(b)に示すように、ロックレバー63の係止保持用爪部63cを溝61aに係合させておく。この状態では、開閉ロッド1a,1bの閉動作は許容されるが開動作は許容されないので、開閉ロッド1a,1bの開度を円滑に縮小させることができる。
このように、本吊り具10によれば、固定機構6のロックレバー63の逆行規制の機能を利用して、係止爪部材4a,4bの係止爪43,43が物体8を係止する係止状態まで任意に移行させることや、その後、係止状態に保持すること、及び、係止爪部材4a,4bの係止爪43,43が物体8の係止を解放する解放状態まで任意に移行させることや、その後、解放状態に保持することを、容易にしかも確実に行うことができる。
例えば、係止状態では、固定機構6が開閉ロッド1a,1bを開放方向に移動しないように閉鎖状態にロックしているので、物体8に下から力が加わりその自重がなくなっても物体8の係止を継続して落下を防止することができる。また、解放状態では、固定機構6が開閉ロッド1a,1bを閉鎖方向に移動しないように開放状態にロックしているので、係止爪部材4a,4bの係止爪43,43を離隔させた状態を維持でき、係止爪43,43により物体8を係合しようとする際に、係止爪43,43を物体8の上方から下方に容易に進入させることができ良好な作業性を確保することができる。
また、本実施形態では、固定用ロッド61を水平方向に配置しており、複数の溝61aを固定用ロッド61の鉛直上方の側部に形成し、ロックレバー63を、複数の溝61aよりも鉛直上方領域で揺動可能に開閉ロッド1bに枢支させており、ロックレバー63の揺動方向の側部に、ロックレバー63の傾倒時に溝61aに嵌合する固定用爪部63c,63dが突設されるので、ロックレバー63の傾倒時におけるロックレバー63の自重と把持具64の自重も、固定用爪部63c,63dが溝61aに食い込む状態を支援する。
また、固定用爪部63c,63dがロックレバー63の中間部の両側部に突設されるので、ロックレバー63の一側及び他側の各方向への傾倒という簡単な操作によって、固定用爪部63c,63dを溝61aに嵌合することができ、操作性が良い。さらに、固定用ロッド61のスライドによって、複数の溝61aがシフトするのに応じた方向にロックレバー63を傾倒させることで、複数の溝61aが限られた範囲に形成されていても、固定用ロッド61の広いスライド範囲で固定用ロッド61を固定することができる。
さらに、固定用ロッド61のスライドをガイドするガイド部材62をロックレバー63の支持ブラケットとして兼用しているので、構造を簡素化することができる。
また、アーム部材3a,3bを、水平に延在するガイドロッド5を通じて開閉ロッド1a,1bの開閉に伴って互いに水平に離接動可能に接続する様式の吊り具なので、係止爪部材4a,4bを水平移動させながら係止位置や解放位置に操作でき、係止爪部材4a,4bの係止位置と解放位置との間での移動を、開閉ロッド1a,1bの少ない開閉動によって行うことができる。また、係止爪部材4a,4bの姿勢が傾かず一定なので係止位置における物体の係止を安定して行うことができる。
各アーム部材3a,3bの下部に開閉ロッド1a,1bの開閉方向と直交する方向に離隔してそれぞれ係止爪43が設けられ、両アーム部材3a,3bの下部には、合わせて4つの係止爪43が設けられるため、これらの係止爪43による4点支持で物体8を安定して係止することができる。
さらに、上記の係止爪部材4a,4bの拡張動作や縮小動作といった開閉操作の際に、開閉操作グリップ35を利用することができるので、開閉操作を容易に行える。
<第2実施形態>
図6〜図10は本発明の第2実施形態にかかる吊り具を示すもので、図6はその吊り具を示す図、図7は吊り具による物体の係止状態を示す図、図8はその係止爪の解放状態及び係止状態における固定機構を示す図、図9はその固定機構における溝部の溝と爪部との係合時に加わる力を説明する要部拡大図、図10はそのロックレバーの変形例を説明する図である。これらの図を用いて説明する。なお、下記の説明の中でも、各部の配置や姿勢等の説明に関し、上方,下方,上部,下部といった上下、及び水平等との表記をするが、これらは組み立てられた吊り具の使用時におけるものである。また、各部の配置の説明に関する右左及び表裏の表記は、図6,図7におけるものである。
〔吊り具の構成〕
本実施形態にかかる吊り具100は、例えば図7(a),(b)に示すように、キャリア等の中央部に穴のあるワーク108を吊上げ対象の物体としたものである。また、以下の説明する吊り具100の各構成部品は、例えば鋼材等の金属により形成されるものとするが、必要な剛性及び強度を確保することができれば、材料は限定されない。
この吊り具100は、図6(a),(b)に示すように、一組(ここでは4本)の開閉ロッド(ワーク爪)101a〜101dと、各開閉ロッド101a〜101dの上端部を揺動可能に支持(枢支)すると共に、各開閉ロッド101a〜101dを互いに連動して開閉操作するロッド開閉機構102と、ロッド開閉機構102の上部に連結された吊上金具103と、各開閉ロッド101a〜101dの下部に固設された係止爪111とを有している。そして、開閉ロッド101a〜101dの開閉開度を固定するために、ロッド開閉機構102には、本発明にかかる吊り具100に特有な固定機構106が介装されている。
各開閉ロッド101a〜101dは、4本がそれぞれ等間隔に90度ずつ方向を変えて装備される。以下、各開閉ロッド101a〜101dを区別しない場合には、開閉ロッドを符号101で示す。各開閉ロッド101は、細長い棒状の同一形状に形成され、それぞれの上部を枢着ピンとして機能するボルト181を介してロッド開閉機構102のロッド支持部材122に枢着されている。なお、ボルト181には緩み止めナット182が締結される。
各開閉ロッド101は、板材が延びる方向を放射状に向けて配置され[図6(b)参照]、各上端部には、ボルト181が貫通するボルト穴(図示略)が形成され、各下端部には、外方に向けて突出した係止爪111が形成されている。各開閉ロッド101は、ボルト181を通じて各下端部を吊り具100の中心(ロッド開閉機構102の中心)CLに対して離接する方向(放射方向)に揺動可能に支持され、各下端部を外方に揺動させると、吊上げ対象の物体108を係止する係止状態となり、各下端部を内方に揺動させると、吊上げ対象の物体108を係止から解放する解放状態となる。
各開閉ロッド101の内側縁部112には、係止爪111が形成された下端部から上方に向けて吊り具100の中心(ロッド開閉機構102の中心)CLに次第に接近するように傾斜した傾斜面113が形成されている。この傾斜面113は、ボルト181に支持された開閉ロッド101が自重のみで垂れ下がった状態でも、上方に行くに従って吊り具の中心に接近するように設定されている。
ロッド開閉機構102は、鉛直方向に配備され上部に吊上金具103が連結されるメインシャフト部材121と、メインシャフト部材121の下半部に昇降可能に係止された上記ロッド支持部材(支持フレームともいう)122と、メインシャフト部材121の下部に結合された開閉操作部材123とを備えている。つまり、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123は一体であるが、支持フレーム122はこれらに対してメインシャフト部材121の軸方向に相対移動可能になっている。
メインシャフト部材121は、吊上げ対象の物体108の荷重を負担する軸状部材であり、その上半部の外周には、溝部160が設けられている。溝部160は、軸方向に複数の溝161が連続して形成されたものであり、ここでは外周全周に各溝161が形成されるが、これは、外周に部分的に溝161を形成するよりも加工性が良いことと、全周に溝161が形成されれば、何れの方向からも溝161を利用することができ、利便性が良いためである。
なお、各溝161は、図8に示すように、各開閉ロッド101が開動作する際にメインシャフト部材121に対して移動する方向(鉛直下方)へ傾斜した第1傾斜面1611と、各開閉ロッド101が閉動作する際にメインシャフト部材121に対して移動する方向(鉛直上方)へ傾斜した第2傾斜面1612とが、V字型断面をなすように配置されて形成される。また、第1傾斜面1611と第2傾斜面1612とは、いずれも水平面に対して45度又は略45度傾斜しており、互いに直角又は略直角をなしている。
支持フレーム122は、中心部分に、メインシャフト部材121がスライド可能に挿し込まれる軸穴部122aが形成され、メインシャフト部材121に対して鉛直方向に昇降可能になっている。なお、支持フレーム122がメインシャフト部材121に対して移動する際には、軸穴部122aの内周面とメインシャフト部材121の外周面とが摺接し、その相対移動を案内する。
支持フレーム122には、それぞれ各開閉ロッド101が枢着されるピンであるボルト181を軸支する軸支部122bが、軸穴部122aの周囲に四方向へそれぞれ突出するように設けられている。軸支部122bは、2枚の板状部1221,1221により、板状の開閉ロッド101を挟むように構成され、板状部1221,1221及び開閉ロッド101の各ボルト穴を貫通して備えられるボルト181によって、開閉ロッド101を揺動可能に支持している。なお、開閉ロッド101の上端部を支持する各ボルト181は、水平な円周軸線に沿って互いに等間隔に配置される。
開閉操作部材123は、連結金具124によってメインシャフト部材121の下端部に結合されるが、この開閉操作部材123は、下方に行くに従って拡径したテーパコーン状の外周面123aを有する部材であり、テーパコーン状外周面123aの下部が開閉ロッド101の内側の当接面である上記傾斜面113に当接するようになっている。外周面123aがテーパコーン状なので、開閉ロッド101の内側の傾斜面113に対して僅かな角度で当接するので、開閉操作部材123と傾斜面113との相対移動を円滑に行える。
そして、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123が、支持フレーム122に対して相対的に昇降すると、支持フレーム122のボルト181に支持された開閉ロッド101に対しても相対的に昇降し、テーパコーン状外周面123aの下部が開閉ロッド101の傾斜面113へ当接する位置も変更される。
開閉操作部材123が開閉ロッド101に対して相対的に上昇すれば、言い換えると、開閉ロッド101が開閉操作部材123対して相対的に下降すれば、テーパコーン状外周面123aの下部は、開閉ロッド101の傾斜面113の上部のロッド開閉機構102の中心に接近した個所に当接する。これにより、開閉ロッド101の下端部の係止爪111は、外方に突出するように揺動し、吊上げ対象の物体108を係止する係止状態とすることができる。
逆に、開閉操作部材123が開閉ロッド101に対して相対的に下降すれば、言い換えると、開閉ロッド101が開閉操作部材123対して相対的に上昇すれば、テーパコーン状外周面123aの下部は、開閉ロッド101の傾斜面113のした部のロッド開閉機構102の中心から離隔した個所に当接する。これにより、開閉ロッド101の下端部の係止爪111は、内方に後退するように揺動し、吊上げ対象の物体108を係止から解放する解放状態とすることができる。
このように係止状態への移行や係止状態への保持を行なうため、及び、このように開放状態への移行や開放状態への保持を行なうために、固定機構106が設けられている。
この固定機構106は、図8に示すように、メインシャフト部材(第1部材)121と、支持フレーム(第2部材)122との相互間に設けられ、メインシャフト部材121に前記相対移動の方向(軸方向)に並んで形成された前記の複数の溝161からなる溝部160と、支持フレーム122に基端を揺動可能に支持されたロックレバー163と、をそなえている。
ロックレバー163は、その基端部を、支持フレーム122上の支持プレート122cに立設されたブラケット164に水平に装備されたピン165によりメインシャフト部材121の側面の溝部160よりも外方において支持フレーム122に枢支されたロック部166と、ロック部166を揺動操作するための把持部(揺動操作ハンドル)168が設けられたレバー部167とを備えている。
ロック部166は、プレート状に形成されるのでロックプレートとも称し、基端を支持フレーム122にピン165により枢支され、このピン165で枢支される部分の両側方に突出した揺動端には、固定用爪部170,171が突設されている。ピン165によるピン結合箇所の一側に設けられた固定用爪部170は係止爪111を係止状態に保持する係止保持用爪部であり、他側に設けられた固定用爪部171は係止爪111を解放状態に保持する解放保持用爪部である[図6(c)参照]。
なお、図9に示すように、係止保持用爪部170及び解放保持用爪部171には、溝161の各傾斜面1611,1612に当接しうる当接面1631,1632,1633,1634がそれぞれ設けられている。係止保持用爪部170の当接面1631,1632は互いに直角又は略直角をなし、当接面1631,1632は溝161の各傾斜面1611,1612に同時に当接しうる。同様に、解放保持用爪部171の当接面1633,1634も互いに直角又は略直角をなしており、当接面1633,1634は溝161の各傾斜面1611,1612に同時に当接しうる。
レバー部167は、湾曲したシャフト状に形成され、基端をロック部166に固設され、先端側に把持部168が設けられている。ここでは、レバー部167は、U字型に湾曲しており、その中間部を基端として、基端の両側に同方向に延びており、先端側の把持部168の端部には、ウェイトとしての鉄球169が装着されている。係止保持用爪部170が溝部160の何れかの溝161に係合した状態では、レバー部167は略真横を向き、この鉄球169の荷重が、係止保持用爪部170の溝161への係合保持を支援する。
そして、把持部168を掴んでロックレバー163のレバー部167を揺動操作して、ロックレバー163の係止保持用爪部170を何れかの溝161に係合させれば、開閉ロッド101及び係止爪111を係止状態に移動させることができ且つ係止状態に保持することができる。また、解放保持用爪部171を何れかの溝161に係合させれば、開閉ロッド101及び係止爪111を解放状態に移動させることができ且つ解放状態に保持することができるようになっている。
つまり、係止保持用爪部170を溝161に係合させると、開閉ロッド101及び係止爪111の係止状態への移動は許容し解放状態への移動は規制し(即ち、係止状態に保持する)、解放保持用爪部171を溝161に係合させると、開閉ロッド101及び係止爪111の開放状態への移動は許容し係止状態への移動は規制する(即ち、解放状態に保持する)。この機能を、図9を用いて更に詳述する。
図9(a),(b)は、図8(a)に対応するもので、係止状態のロックレバー163と溝部160とに着目して示す要部拡大図である。この状態では、各開閉ロッド101が開動作されて各係止爪111は係止状態であり、係止保持用爪部170が溝161に係合している。開閉ロッド101が開動作する際には、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123はロックレバー163及び開閉ロッド101に対して一方向(開方向、図7〜図9では上方向)にスライドする。このように係止爪111を係止状態とする際には、図9(a),(b)に示すように、ロックレバー163を予め一回転方向(ここでは、ロックレバー163のレバー部167を傾倒させる時計回り方向)に揺動させて、レバー部167をほぼ水平に傾倒させて係止保持用爪部170を溝161に係合させておく。
係止保持用爪部170を溝161に係合させた状態で、図9(a)に示すように、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123をロックレバー163及び開閉ロッド101に対してさらに開方向にスライドさせようとすると、この溝161を構成する傾斜面のうち開方向に傾斜した第2傾斜面1612と係止保持用爪部170の当接面(係止時離脱案内用当接面)1632とが当接して、ロックレバー163に開方向への力Fが加わることになる。
この力Fは、第2傾斜面1612から当接面1632に作用し、ロックレバー163の揺動中心(ピン165の軸心)にモーメントMを発生せしめる。力Fを、第2傾斜面1612及び当接面1632と直交する分力成分Fと平行な分力成分Fとに分けると、ロックレバー163の揺動中心と分力F,Fの作用線の位置関係から、モーメントMは下式(3)の値となり、ロックレバー163の係止保持用爪部170を溝161から外すように作用する。
M=F×L+F×L(3)
:分力Fの作用線と揺動中心との距離
:分力Fの作用線と揺動中心との距離
したがって、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123をロックレバー163及び開閉ロッド101に対してさらに開方向にスライドさせようとすると、ロックレバー163の係止保持用爪部170が溝161から外れて隣接する溝161に移りながら、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123をロックレバー163及び開閉ロッド101に対してさらに開方向に移動することが許容される。これにより、係止爪111を係止状態まで移動操作することができる。
一方、このように係止保持用爪部170を溝161に係合させた状態で、図9(b)に示すように、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123をロックレバー163及び開閉ロッド101に対して他方向(閉方向、図7〜図9では下方向)にスライドさせようとすると、溝161を構成する傾斜面のうち開方向に傾斜した第1傾斜面611と係止保持用爪部170の当接面(係止保持用当接面)1631とが当接して、ロックレバー163に閉方向への力Fが加わることになる。
この力Fは、第1傾斜面1611から当接面1631に作用し、ロックレバー163の揺動中心(ピン165の軸心)にモーメントMを発生せしめる。力Fを、第1傾斜面1611及び当接面1631と直交する分力成分Fと平行な分力成分Fとに分けると、ロックレバー163の揺動中心と分力F,Fの作用線の位置関係から、モーメントMは下式(4)の値となり、ロックレバー163の係止保持用爪部107を溝161に食い込ませるように作用する。
M=F×L+F×L(4)
:分力Fの作用線と揺動中心との距離
:分力Fの作用線と揺動中心との距離
したがって、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123をロックレバー163及び開閉ロッド101に対して閉方向にスライドさせようとすると、ロックレバー163の係止保持用爪部170が溝161に食い込むようになって、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123をロックレバー163及び開閉ロッド101に対して閉方向に移動することが規制(移動不可)される。これにより、係止爪111の係止側から解放側への移動、つまり、開閉ロッド101の閉移動は防止され、係止爪111に係止された吊り上げ対象の物体の落下のおそれが回避されるようになっている。
図9(c),(d)は、図8(b)に対応するもので、解放状態のロックレバー163と溝部160とに着目して示す要部拡大図である。この状態では、各開閉ロッド101が閉動作されて各係止爪111は解放状態であり、解放保持用爪部171が溝161に係合している。開閉ロッド101が開動作する際には、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123はロックレバー163及び開閉ロッド101に対して他方向(閉方向、図7〜図9では下方向)にスライドする。このように係止爪111を解放状態とする際には、図9(c),(d)に示すように、ロックレバー163を予め他回転方向(ここでは、ロックレバー163のレバー部167を起立させる反時計回り方向)に揺動させて、レバー部167を起立させて、さらに係止状態とは逆側に僅かに傾倒させて解放保持用爪部171を溝161に係合させておく。
解放保持用爪部171を溝161に係合させた状態で、図9(c)に示すように、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123をロックレバー163及び開閉ロッド101に対してさらに閉方向にスライドさせようとすると、この溝161を構成する傾斜面のうち閉方向に傾斜した第1傾斜面1611と解放保持用爪部171の当接面(解放時離脱案内用当接面)1633とが当接して、ロックレバー163に閉方向への力Fが加わることになる。
この力Fは、第1傾斜面1611から当接面1633に作用し、ロックレバー163の揺動中心(ピン165の軸心)にモーメントMを発生せしめる。力Fを、第1傾斜面1611及び当接面1633と直交する分力成分Fと平行な分力成分Fとに分けると、ロックレバー163の揺動中心と分力F,Fの作用線の位置関係から、モーメントMは下式(5)の値となり、ロックレバー163の解放保持用爪部171を溝161から外すように作用する。
M=F×L+F×L(5)
:分力Fの作用線と揺動中心との距離
:分力Fの作用線と揺動中心との距離
したがって、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123をロックレバー163及び開閉ロッド101に対してさらに閉方向にスライドさせようとすると、ロックレバー163の解放保持用爪部171が溝161から外れて隣接する溝161に移りながら、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123をロックレバー163及び開閉ロッド101に対してさらに閉方向に移動することが許容される。これにより、係止爪111を解放状態まで移動操作することができる。
一方、このように解放保持用爪部171を溝161に係合させた状態で、図9(d)に示すように、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123をロックレバー163及び開閉ロッド101に対して一方向(開方向、図7〜図9では上方向)にスライドさせようとすると、溝161を構成する傾斜面のうち開方向に傾斜した第2傾斜面1612と解放保持用爪部171の当接面(係止保持用当接面)1634とが当接して、ロックレバー163に開方向への力Fが加わることになる。
この力Fは、第2傾斜面1612から当接面1634に作用し、ロックレバー163の揺動中心(ピン165の軸心)にモーメントMを発生せしめる。力Fを、第2傾斜面1612及び当接面1634と直交する分力成分Fと平行な分力成分F10とに分けると、ロックレバー163の揺動中心と分力F,F10の作用線の位置関係から、モーメントMは下式(6)の値となり、ロックレバー163の解放保持用爪部171を溝161に食い込ませるように作用する。
M=F×L+F10×L10 (6)
:分力Fの作用線と揺動中心との距離
10:分力F10の作用線と揺動中心との距離
したがって、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123をロックレバー163及び開閉ロッド101に対して開方向にスライドさせようとすると、ロックレバー163の解放保持用爪部171が溝161に食い込むようになって、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123をロックレバー163及び開閉ロッド101に対して開方向に移動することが規制(移動不可)される。これにより、係止爪111の係止側から係合側への移動、つまり、開閉ロッド101の開移動は防止され、各係止爪111が外方に突出しない状態に維持されるようになっている。
〔作用及び効果〕
本発明の第2実施形態にかかる吊り具100は、上述のように構成されているので、吊り具100を図示しないクレーンの懸吊用フック等を係止してクレーン等によって吊り上げておく。吊上げ対象の物体108を係止する際には、図6(a),図7(b)に二点鎖線で示すように、開閉ロッド101の開度を小さくしながら係止爪111を外方に突出しない状態に維持する。この開閉ロッド101の開度を縮小操作する際には、予め、図8(b),図9(c),(d)に示すように、ロックレバー163の解放保持用爪部171を溝161に係合させておく。この状態では、開閉ロッド101の閉動作は許容されるが開動作は許容されないので、開閉ロッド101の開度を円滑に縮小させることができる。
このようにして、係止爪111を外方に突出しないように前もって所定量だけ引き込んでおけば、吊上げ対象の物体108の上方から吊り具100を降下させて、図7(b)に二点鎖線で示すように、物体108の中心部分の穴部109内に各開閉ロッド101の係止爪111を挿入させることができる。このとき、各係止爪111の上面111aが穴部109の周縁部109aよりも下方に進入するまで吊り具100を降下させる。
そして、図6(b),図7(b)に実線で示すように、開閉ロッド101の開度を大きくしながら係止爪111の外径が物体108の穴部109の内径よりも大きくなるように、穴部109の内径に応じて係止爪111を突出させる。この開閉ロッド101の開度を拡大操作する際には、予め、図8(a),図9(a),(b)に示すように、ロックレバー163の係止保持用爪部170を溝161に係合させておく。この状態では、開閉ロッド101の開動作は許容されるが閉動作は許容されないので、開閉ロッド101の開度を円滑に拡大させることができる。
このように、本吊り具100によれば、固定機構106のロックレバー163の逆行規制の機能を利用して、開閉ロッド101の係止爪111が物体108を係止する係止状態まで任意に移行させることや、その後、係止状態に保持すること、及び、開閉ロッド101の係止爪111が物体108の係止を解放する解放状態まで任意に移行させることや、その後、解放状態に保持することを、容易にしかも確実に行うことができる。
例えば、係止状態では、固定機構106が開閉ロッド101を閉鎖方向に移動しないように開放状態にロックしているので、物体108に下から力が加わりその自重がなくなっても物体108の係止を継続して落下を防止することができる。また、解放状態で固定機構106が開閉ロッド101を開放方向に移動しないように閉鎖状態にロックしているので、開閉ロッド101の係止爪111を外方に突出させない状態を維持でき、係止爪111により物体108を係合しようとする際に、係止爪111を物体108の上方から物体108の穴部109内に容易に進入させることができ良好な作業性を確保することができる。
例えば、係止状態では、固定機構6が開閉ロッド1a,1bを開放方向に移動しないように閉鎖状態にロックしているので、物体8に下から力が加わりその自重がなくなっても物体8の係止を継続して落下を防止することができる。また、解放状態では、固定機構6が開閉ロッド1a,1bを閉鎖方向に移動しないように開放状態にロックしているので、係止爪部材4a,4bの係止爪43,43を離隔させた状態を維持でき、係止爪43,43により物体8を係合しようとする際に、係止爪43,43を物体8の上方から下方に容易に進入させることができ良好な作業性を確保することができる。
また、本実施形態では、ロックレバー163のレバー部167は、U字型に湾曲しており、その中間部の基端の両側に同方向に延びて、それぞれ把持部168が設けられているので、メインシャフト部材121を挟んだ何れの側からも対応する把持部168を容易に把持することができ、操作性が良い。
また、把持部168の端部には、ウェイトとしての鉄球169が装着されているので、特に、係止保持用爪部170が溝部160の溝161に係合した状態では、レバー部167は略真横を向き、この鉄球169の荷重が、係止保持用爪部170の溝161への係合保持を支援するために効果的に作用する。また、解放保持用爪部171が溝部160の溝161に係合した状態でも、レバー部167は係止状態とは逆側に傾倒するので、この鉄球169の荷重が、解放保持用爪部171の溝161への係合保持を支援するために作用する。
<変形例>
また、上記第2実施形態の固定機構106の変形例として、図10に示すような固定機構206が考えられる。なお、図10において、図6〜図9と同符号は同様のものを示し、説明は一部省略する。
この固定機構206は、図10に示すように、メインシャフト部材121と、支持フレーム122との相互間に設けられ、メインシャフト部材121に支持フレーム122との相対移動の方向(軸方向)に並んで形成された前記の複数の溝161からなる溝部160と、支持フレーム122に基端を揺動可能に支持されたロックレバー263と、をそなえている。
ロックレバー263は、その基端部を、支持フレーム122上に立設されたブラケット264に水平に装備されたピン265によりメインシャフト部材121の側面の溝部160よりも外方において支持フレーム122に枢支されたロック部266と、ロック部266を揺動操作するための把持部(揺動操作ハンドル)268が設けられたレバー部267とを備えている。
ロック部266は、プレート状に形成されるのでロックプレートとも称し、基端を支持フレーム122にピン265により枢支され、ピン265によるピン結合箇所の一側に係止保持用爪部270が他側に解放保持用爪部271がそれぞれ突設されている。係止保持用爪部270は開閉ロッド101の係止爪111(図10には図示せず)を係止状態に保持し、解放保持用爪部271は係止爪111を解放状態に保持する。
なお、詳細は図示しないが、係止保持用爪部270及び解放保持用爪部271には、第2実施形態の係止保持用爪部170及び解放保持用爪部171と同様に、溝161の各傾斜面1611,1612に当接しうる当接面がそれぞれ設けられている。係止保持用爪部270の2つの当接面は互いに直角又は略直角をなし、これらの当接面は溝161の各傾斜面1611,1612に同時に当接しうる。同様に、解放保持用爪部271の2つの当接面も互いに直角又は略直角をなしており、これらの当接接面も溝161の各傾斜面1611,1612に同時に当接しうる。
レバー部267は、ロック部266と一体の板状部材からなり、先端側に把持部268が取り付けられている。ここでは、把持部268はシャフト状に形成され、レバー部267と直角に結合されている。この変形例では、レバー部267にウェイトとしての鉄球は装備されず、これに替えて、レバー部267を、係止保持用爪部270が溝161に係合した係止保持状態、及び、解放保持用爪部271が溝161に係合した解放保持状態に、弾性的に保持するバネ269が装備されている。
このバネ269は、レバー部267に固定されたピン269aとブラケット264に固定されたピン269bとに両端を係止されて引張状態で介装されている。レバー部267に固定されたピン269aとブラケット264に固定されたピン269bとは、レバー部267を枢支するピン265を挟むように配置され、ロックレバー263がピン265の周りに揺動し、係止保持状態と解放保持状態との中間状態になったときに、バネ269が最も伸長するように設定されている。なお、ここでは、バネ269として最も一般的な伸縮バネであるコイルばねを例示するが、他の伸縮バネを適用しても良い。
このように、係止保持状態と解放保持状態との中間状態で、引張状態のバネ269が最も伸長するので、この中間状態ではバネ269は収縮しようとして、ロックレバー263を係止保持状態と解放保持状態との何れかに揺動させるように作用する。逆に、ロックレバー263が係止保持状態又は解放保持状態にあれば、バネ269の弾性力はロックレバー263が中間状態に揺動するのを阻止するように働く。
これにより、ロックレバー263が、係止保持用爪部270が溝161に係合した係止保持状態とされると、バネ269の弾性力がこの状態を保持するように支援し、ロックレバー263が、解放保持用爪部271が溝161に係合した解放保持状態とされると、バネ269の弾性力がこの状態を保持するように支援する。
<その他>
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記の実施形態を適宜変更して実施しうる。
例えば、特許文献2に記載されたパンタグラフ式など、各アーム部材が相対角度を変えながら開閉するタイプの吊り具に本固定機構を適用しても良い。
さらに、上記の各実施形態における開閉ロッドの数は一例でありこれに限定されるものではない。
本発明の吊り具は、例えば、墓石や鋼材や大型ワークといった比較的大型で重量のある物体を、クレーン等を用いて安定して吊り上げるために好適である。
1,1a,1b 開閉ロッド(開閉杆)
101,101a〜101d 開閉ロッド(ワーク爪)
2,103 吊上金具
21 懸吊用リング
3,3a,3b アーム部材
31 上部水平アーム部
32 鉛直アーム部
34 結合片部
4,4a,4b 係止爪部材
41 下部水平アーム部
42 係止アーム部
43,111 係止爪
44 物体支持面
5 ガイドロッド
6,106,206 固定機構
61 固定用ロッド
61A,160 溝部
61a,161 溝(或いは歯)
611,1611 第1傾斜面
612,1612 第2傾斜面
62 ガイド部材
62e ガイド穴
63,163,263 ロックレバー
1631,1632,1633,1634 当接面
63c,170,270 係止保持用爪部(固定用爪部)
63d,171,271 解放保持用爪部(固定用爪部)
7 結合金具
71 プレート状下半部
8,108 吊上げ対象の物体
81,82,84,85,86,181 枢着ピンとして機能するボルト
10,100 吊り具
102 ロッド開閉機構
113 開閉ロッド101の傾斜面(当接面)
121 メインシャフト部材
122 ロッド支持部材(支持フレーム)
122a 軸穴部
122b 軸支部
122c 支持プレート
123 開閉操作部材
123a テーパコーン状外周面
124 連結金具
164,264 ブラケット
165,265 ピン
166,266 ロック部
167,267 レバー部
168,268 把持部
169 ウェイトとしての鉄球
269 バネ
CL 吊り具100の中心(ロッド開閉機構102の中心)
(3)この場合、前記係止保持用爪部は、前記係止保持用爪部の前記溝への係合時に前記第2傾斜面に当接し、この当接時に前記一組の開閉ロッドが開閉動すると前記第2傾斜面に沿って滑りながら前記係止保持用爪部を係合離脱方向へ揺動させる係止時離脱案内用当接面をさらに備え、前記係止保持用当接面と前記係止時離脱案内用当接面とが山形形状をなすように形成され、前記解放保持用爪部は、前記解放保持用爪部の前記溝への係合時に前記第1傾斜面に当接し、この当接時に前記一組の開閉ロッドが開閉動すると前記第1傾斜面に沿って滑りながら前記解放保持用爪部を係合離脱方向へ揺動させる解放時離脱案内用当接面をさらに備え、前記解放保持用当接面と前記解放時離脱案内用当接面とが山形形状をなすように形成されていることが好ましい。
つまり、第1部材のの第1傾斜面は他方向へ傾斜しているので、係止爪を解放状態へ移動させる方向に開閉ロッドを移動させると、これに伴い、第1部材は第2部材に対して他方向にスライドし、第1部材に他方向へ傾斜して設けられている第1傾斜面が、これに当接する第2部材の解放保持用爪部の解放時離脱案内用当接面を第1傾斜面から押し出すように係合離脱方向へ揺動させるので、開閉ロッドの移動が許容される。
一方、このように解放保持用爪部171を溝161に係合させた状態で、図9(d)に示すように、メインシャフト部材121及び開閉操作部材123をロックレバー163及び開閉ロッド101に対して一方向(開方向、図7〜図9では上方向)にスライドさせようとすると、溝161を構成する傾斜面のうち開方向に傾斜した第2傾斜面1612と解放保持用爪部171の当接面(解放保持用当接面)1634とが当接して、ロックレバー163に開方向への力Fが加わることになる。

Claims (13)

  1. 互いに開閉する一組の開閉ロッドと、
    前記開閉ロッドの開閉に応じて互いに離接し、吊上げ対象の物体を係止する係止状態と前記物体を解放する解放状態とをとる一組の係止爪と、
    前記一組の開閉ロッドの上方に装備された吊上金具と、を備えた吊り具において、
    前記一組の開閉ロッドの開閉開度を固定する固定機構を有し、
    前記固定機構は、前記一組の開閉ロッドの開閉に応じて相対移動する第1部材及び第2部材の相互間に設けられ、前記第1部材に前記相対移動の方向に並んで形成された複数の溝からなる溝部と、前記第2部材に基端を揺動可能に支持されたロックレバーと、をそなえ、
    前記ロックレバーには、前記第2部材に対して一回転方向へ揺動すると前記溝部の何れかの溝に係合して前記一組の係止爪を前記係止状態に保持する係止保持用爪部と、前記第2部材に対して他回転方向へ揺動すると前記溝部の何れかの溝に係合して前記一組の係止爪を前記解放状態に保持する解放保持用爪部と、が備えられている
    ことを特徴とする、吊り具。
  2. 前記第1部材は、前記一組の開閉ロッドの閉動作に応じて前記第2部材に対して一方向にスライドし、前記一組の開閉ロッドの開動作に応じて前記第2部材に対して他方向にスライドし、
    前記溝部の前記複数の溝は、いずれも、前記他方向へ傾斜した第1傾斜面と前記一方向へ傾斜した第2傾斜面とがV字型断面をなすように配置されて形成され、
    前記係止保持用爪部は、前記一回転方向へ揺動して前記溝部に係合する際には、前記複数の溝のうち前記ロックレバーの回転中心よりも前記一方向の側に位置する溝に係合すると共に、この係合する溝の前記第1傾斜面に当接して前記第1部材の前記他方向の側への相対移動を阻止する係止保持用当接面を有し、
    前記解放保持用爪部は、前記他回転方向へ揺動して前記溝部に係合する際には、前記複数の溝のうち前記ロックレバーの回転中心よりも前記他方向の側に位置する溝に係合すると共に、この係合する溝の前記第2傾斜面に当接して前記第1部材の前記一方向の側への相対移動を阻止する解放保持用当接面を有している
    ことを特徴とする、請求項1記載の吊り具。
  3. 前記係止保持用爪部は、前記係止保持用爪部の前記溝への係合時に前記第2傾斜面に当接し、この当接時に前記一組の開閉ロッドが開閉動すると前記第2傾斜面に沿って滑りながら前記係止保持用爪部を係合離脱方向へ揺動させる係止時離脱案内用当接面をさらに備え、前記係止保持用当接面と前記係止時離脱案内用当接面とが山形形状をなすように形成され、
    前記解放保持用爪部は、前記解放保持用爪部の前記溝への係合時に前記第1傾斜面に当接し、この当接時に前記一組の開閉ロッドが開閉動すると前記第1傾斜面に沿って滑りながら前記解放保持用爪部を係合離脱方向へ揺動させる解放時離脱案内用当接面をさらに備え、前記解放保持用当接面と前記解放時離脱案内用当接面とが山形形状をなすように形成されている
    ことを特徴とする、請求項2記載の吊り具。
  4. 前記一組の開閉ロッドは、一対の開閉ロッドであって、
    上部に前記吊上金具が連結され、下部に共通ピンを通じて各開閉ロッドの上端部を開閉方向に揺動可能に支持する支持部材を備え、
    前記各開閉ロッドの下部に前記係止爪を備えた係止爪部材が連結され、
    前記第1部材は、一端部を前記一対の開閉ロッドの一方の軸方向中間部に揺動可能に結合され、他端部及び中間部を前記一対の開閉ロッドの他方の軸方向中間部に前記開閉ロッドの開閉に応じてスライド可能に係合された固定用ロッドであって、前記溝部は前記固定用ロッドに形成され、
    前記第2部材は、前記他方の開閉ロッドであって、前記ロックレバーは前記他方の開閉ロッドに支持されている
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の吊り具。
  5. 前記固定用ロッドは水平方向に配置され、前記溝部は前記固定用ロッドの鉛直上方側の側部に形成され、
    前記ロックレバーは、その基端部が前記溝部よりも鉛直上方において前記他方の開閉ロッドに枢支され、その先端部の側が揺動可能であり、
    前記ロックレバーの前記基端部と前記先端部との間の中間部の一側に前記係止保持用爪部を備え、前記中間部の他側に前記解放保持用爪部を備え、
    前記ロックレバーの前記先端部には前記ロックレバーを揺動操作するための把持部が設けられている
    ことを特徴とする、請求項4記載の吊り具。
  6. 前記他方の開閉ロッドの中間部に、前記固定用ロッドの他端部側をスライド可能に保持するガイド部材が装備され、
    前記ロックレバーは、前記基端部を前記ガイド部材にピン結合されている
    ことを特徴とする、請求項4又は5記載の吊り具。
  7. 前記各開閉ロッドの下部には、それぞれアーム部材の各端部が枢着され、
    前記係止爪部材は、前記アーム部材の前記各端部の下部にそれぞれ固設されて装備され、
    前記各アーム部材は、水平に延在するガイドロッドを通じて前記開閉ロッドの開閉に伴って互いに水平に離接動可能に接続されている
    ことを特徴とする、請求項4〜6の何れか1項に記載の吊り具。
  8. 前記アーム部材は、
    水平方向に延在して前記ガイドロッドが内装される筒状の上部水平アーム部と、
    前記上部水平アーム部の前記各端部の上方に固設され、前記開閉ロッドの下部にピン結合される結合片部と、
    前記上部水平アーム部の前記各端部に鉛直下方へ突設された鉛直アーム部とを備え、
    前記係止爪部材は、
    前記鉛直アーム部の下部から両端部を前記上部水平アーム部の軸方向と直行する方向に水平に延設された下部水平アーム部と、
    前記各アーム部材の前記下部水平アーム部の前記両端部にそれぞれ装備され、上部を前記水平アーム部の端部に結合され鉛直下方へ突設された係止アーム部と、
    前記係止アーム部の下部に、前記開閉ロッドの開閉方向内側に突出形成された前記係止爪とを備えている
    ことを特徴とする、請求項7記載の吊り具。
  9. 前記アーム部材の前記各端部には、前記両アーム部材の前記各端部間を離接させ前記開閉ロッドの開閉を操作するための開閉操作用把持部が設けられている
    ことを特徴とする、請求項7又は8記載の吊り具。
  10. 前記一組の開閉ロッドの各上端部を支持すると共に、各開閉ロッドを互いに連動して開閉操作するロッド開閉機構をそなえ、
    前記ロッド開閉機構は、
    鉛直方向に配備され上部に前記吊上金具が連結されるメインシャフト部材と、
    前記メインシャフト部材の下半部に昇降可能に係止され、前記一組の開閉ロッドの各下端部側を前記メインシャフト部材に対して離接する放射方向に揺動しながら開閉動作するように、各上端部をそれぞれのピンを通じて支持するロッド支持部材と、
    前記鉛直メインシャフト部材の下部に結合され、前記の各開閉ロッドの内側の当接面に当接する外周面を有し、前記ロッド支持部材の昇降に伴う前記各開閉ロッドの相対動に応じて、自重が前記メインシャフト部材に接近する方向に作用する前記各開閉ロッドを、前記メインシャフト部材から離隔する方向に排動して開閉操作する開閉操作部材と、を備え、
    前記メインシャフト部材は、側面に前記溝部が形成された前記第1部材であって、
    前記ロッド支持部材は、前記ロックレバーの基端を揺動可能に支持する前記第2部材であって、
    前記係止爪は、前記各開閉ロッドの下端部に外向きに設けられ、前記吊上げ対象の物体には前記係止爪によって係止される環状内周面を有する穴部が備えられ、
    前記各開閉ロッドの下端部が前記吊上げ対象の前記穴部に上方から差し込まれ、前記各開閉ロッドの下端部が前記メインシャフト部材から離隔する方向へ揺動し、前記各係止爪が前記環状内周面に当接すると前記係止状態となり、前記各開閉ロッドの下端部が前記メインシャフト部材に接近する方向へ揺動し、前記各係止爪が前記環状内周面から離隔すると前記解放状態となる
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の吊り具。
  11. 前記ロッド支持部材には、前記開閉ロッドの上端部を支持する前記ピンが、水平な円周軸線に沿って互いに等間隔に配置されると共に、前記ロッド支持部材の中心部分には、軸穴部が形成され、
    前記軸穴部に前記メインシャフト部材がスライド可能に内挿され、前記ロッド支持部材は前記メインシャフト部材の外周面に案内されて鉛直方向に昇降可能であり、
    前記各開閉ロッドの内側の前記当接面は、前記開閉ロッドに自重のみが加わる状態で上方に行くにしたがって前記メインシャフト部材に対して接近するように傾斜し、
    前記ロッド支持部材が前記メインシャフト部材に対して上昇し、前記開閉操作部材の前記外周面が前記各開閉ロッドの前記当接面の下方に当接するほど前記各開閉ロッドの下端部が前記メインシャフト部材に接近する方向へ揺動し、
    前記ロッド支持部材が前記メインシャフト部材に対して下降し、前記開閉操作部材の前記外周面が前記各開閉ロッドの前記当接面の上方に当接するほど前記各開閉ロッドの下端部が前記メインシャフト部材から離隔する方向へ揺動する
    ことを特徴とする、請求項10記載の吊り具。
  12. 前記ロックレバーは、
    その基端部を前記ロッド支持部材にブラケットを介して水平に装備されたピンにより前記メインシャフト部材の側面の前記溝部よりも外方において前記ロッド支持部材に枢支され、前記係止保持用爪部と前記解放保持用爪部とを備えたロック部と、
    前記ロック部を揺動操作するための把持部が設けられたレバー部とを備えている
    ことを特徴とする、請求項11記載の吊り具。
  13. 前記ロック部は、プレート状に形成され、基端を前記ロッド支持部材に固設されたブラケットに、ピン結合され、前記ピン結合箇所の一側に前記係止保持用爪部が他側に前記解放保持用爪部がそれぞれ突設され、
    前記レバー部は、シャフト状に形成され、基端を前記ロック部に固設され、先端に前記把持部が設けられている
    ことを特徴とする、請求項12記載の吊り具。
JP2012202014A 2012-09-13 2012-09-13 吊り具 Active JP5889146B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012202014A JP5889146B2 (ja) 2012-09-13 2012-09-13 吊り具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012202014A JP5889146B2 (ja) 2012-09-13 2012-09-13 吊り具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014055060A true JP2014055060A (ja) 2014-03-27
JP5889146B2 JP5889146B2 (ja) 2016-03-22

Family

ID=50612743

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012202014A Active JP5889146B2 (ja) 2012-09-13 2012-09-13 吊り具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5889146B2 (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106698189A (zh) * 2017-01-19 2017-05-24 广西利升石业有限公司 一种岗石荒料专用吊夹
CN107131945A (zh) * 2017-06-26 2017-09-05 北京轩宇智能科技有限公司 一种转舌机构及热室内的天平转出转入装置
CN107720523A (zh) * 2017-11-19 2018-02-23 黄石市华天自动化设备有限公司 一种汽车左右侧围吊具
CN108313721A (zh) * 2018-05-11 2018-07-24 广西钟山县天顺石材有限公司 一种板材抓手
CN108584689A (zh) * 2018-06-08 2018-09-28 苏州市硕曜机械有限公司 一种飞机发动机轴类零件用吊具结构
CN108750929A (zh) * 2018-08-13 2018-11-06 国网江苏省电力有限公司泗阳县供电分公司 一种挖机立杆专用吊具
JP2018184230A (ja) * 2017-04-24 2018-11-22 株式会社ロボテック 物品把持具
CN112027897A (zh) * 2020-09-15 2020-12-04 四川华神钢构有限责任公司 一种钢制箱梁快速起吊吊具及其使用方法
JP2021011384A (ja) * 2019-07-03 2021-02-04 株式会社カナモト 昇降装置
CN113173493A (zh) * 2021-05-11 2021-07-27 中交一公局西北工程有限公司 一种大直径混凝土管用吊装夹具
CN115285846A (zh) * 2022-10-10 2022-11-04 国网山东省电力公司新泰市供电公司 一种电杆吊装夹具

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4970365A (ja) * 1972-11-10 1974-07-08
JPS5460865U (ja) * 1977-10-06 1979-04-27
JPS54109880U (ja) * 1978-01-14 1979-08-02
JPS5644777Y2 (ja) * 1979-03-27 1981-10-20
JPH0712380U (ja) * 1993-07-26 1995-02-28 三木ネツレン株式会社 吊りクランプ
JP3114875U (ja) * 2005-07-19 2005-10-27 良策 荻 刈り取り物のつかみ装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4970365A (ja) * 1972-11-10 1974-07-08
JPS5460865U (ja) * 1977-10-06 1979-04-27
JPS54109880U (ja) * 1978-01-14 1979-08-02
JPS5644777Y2 (ja) * 1979-03-27 1981-10-20
JPH0712380U (ja) * 1993-07-26 1995-02-28 三木ネツレン株式会社 吊りクランプ
JP3114875U (ja) * 2005-07-19 2005-10-27 良策 荻 刈り取り物のつかみ装置

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106698189A (zh) * 2017-01-19 2017-05-24 广西利升石业有限公司 一种岗石荒料专用吊夹
JP2018184230A (ja) * 2017-04-24 2018-11-22 株式会社ロボテック 物品把持具
CN107131945B (zh) * 2017-06-26 2023-11-14 北京轩宇智能科技有限公司 一种转舌机构及热室内的天平转出转入装置
CN107131945A (zh) * 2017-06-26 2017-09-05 北京轩宇智能科技有限公司 一种转舌机构及热室内的天平转出转入装置
CN107720523A (zh) * 2017-11-19 2018-02-23 黄石市华天自动化设备有限公司 一种汽车左右侧围吊具
CN108313721A (zh) * 2018-05-11 2018-07-24 广西钟山县天顺石材有限公司 一种板材抓手
CN108584689A (zh) * 2018-06-08 2018-09-28 苏州市硕曜机械有限公司 一种飞机发动机轴类零件用吊具结构
CN108750929A (zh) * 2018-08-13 2018-11-06 国网江苏省电力有限公司泗阳县供电分公司 一种挖机立杆专用吊具
CN108750929B (zh) * 2018-08-13 2024-05-03 国网江苏省电力有限公司泗阳县供电分公司 一种挖机立杆专用吊具
JP2021011384A (ja) * 2019-07-03 2021-02-04 株式会社カナモト 昇降装置
JP7195548B2 (ja) 2019-07-03 2022-12-26 株式会社カナモト 昇降装置
CN112027897A (zh) * 2020-09-15 2020-12-04 四川华神钢构有限责任公司 一种钢制箱梁快速起吊吊具及其使用方法
CN113173493B (zh) * 2021-05-11 2022-12-16 中交一公局西北工程有限公司 一种大直径混凝土管用吊装夹具
CN113173493A (zh) * 2021-05-11 2021-07-27 中交一公局西北工程有限公司 一种大直径混凝土管用吊装夹具
CN115285846A (zh) * 2022-10-10 2022-11-04 国网山东省电力公司新泰市供电公司 一种电杆吊装夹具
CN115285846B (zh) * 2022-10-10 2023-02-28 国网山东省电力公司新泰市供电公司 一种电杆吊装夹具

Also Published As

Publication number Publication date
JP5889146B2 (ja) 2016-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5889146B2 (ja) 吊り具
JP2007161357A (ja) フック収納部付バケットリンク
JP5980698B2 (ja) 吊りフックのロック機構
JP6430671B1 (ja) 建設機械のアタッチメント取付け冶具および建設機械
JP3160459U (ja) プーリー抜き工具
JP6270524B2 (ja) 吊り具
JP2006312530A (ja) 吊上げ治具
JP6498504B2 (ja) クランプ装置
JP3198314U (ja) 引留クランプ把持具
JP2001226078A (ja) フック付きバケットリンク装置
KR200478647Y1 (ko) 클램핑기구
JP2015107854A (ja) 吊り具
EP2406168B1 (en) Lifting clamp
KR20150000085A (ko) 커플러
JP2010042883A (ja) 吊り作業用フック
JP2019014589A (ja) 根固ブロック用内吊りクランプ
JP5665346B2 (ja) 角コラム用継手の吊り上げに用いるクランプ
JP5947681B2 (ja) クランプ
JP2010001086A (ja) 吊りクランプのロック装置
JP4473049B2 (ja) クランプ
JP2005041670A (ja) ワーク吊り具
JP3206873U (ja) 吊りクランプ
JP4550607B2 (ja) 簡易吊り金具
JPH0351396Y2 (ja)
JP6508795B1 (ja) 鉄筋支持構造、鉄筋支持モジュール、及び鉄筋支持治具

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150717

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150728

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150915

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160209

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160216

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5889146

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250